JP2001519913A - マルチキャピラリー電気泳動システムの改良 - Google Patents
マルチキャピラリー電気泳動システムの改良Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、複数の並置されたキャピラリーと、ビーム行路内に位置し、キャピラリー内にある分子を励起するビームを放射するための少なくとも1つのソースと、ビームによって励起された分子の蛍光を検出するための手段とを備えたマルチキャピラリー電気泳動システムに関する。この発明は、蛍光検出手段が、キャピラリーが延びる方向に伝搬し、キャピラリーの出口から放出される光を検出するように配置されており、この検出手段の解像度が、キャピラリーの出口で放出される光とキャピラリーの壁から出る光および/またはキャピラリーを囲む媒体からの光とを区別するのに充分大きいことを特徴とする。
Description
【発明の詳細な説明】
マルチキャピラリー電気泳動システムの改良
本発明はマルチキャピラリー電気泳動システムに関する。
2枚のプレーの間におかれたゲル内に構成された複数のトラックに沿って、種
々のサンプルを注入する従来のゲル電気泳動技術は、一方で多数の手作業を必要
とし、かつ他方で極めて速い移動速度を可能にしないので、極めて高い処理量が
可能でない場合、満足できないものであることが知られている。しかしながら主
な配列決定および遺伝子型決定プログラムは、DNA分子の極めて高速の分離お
よび識別を必要としている。
更に移動させるためにゲルまたは装填の容易な、特に手で触ることができると
いう利点を有する別の分離用マトリックスが充填されたキャピラリー(毛細管)
を電気泳動による移動のために使用し、印加できる高電界によりゲルスラブを使
った電気泳動の場合よりも分離速度が速い状態で、実質的に自動作業を可能にす
る電気泳動技術も知られている。
しかしながら、キャピラリーに印加できる電界、従って得られる移動速度が速
くても、1本のキャピラリーを使用した場合、多数の平行トラックを有するスラ
ブを使用する電気泳動技術によって可能な速度と同じ速度を得ることはできない
。
このことが、数本の並置されたキャピラリーのリニアレイを含むマルチキャピ
ラリーシステムと称されるシステムが提案されている理由である。
特に、キャピラリーが延びる方向に直交する、リニアアレイの平面内の軸線に
沿って、キャピラリーの壁を通して、キャピラリー内に分子を励起させるための
レーザービームを送り、キャピラリーのリニアアレイの平面に直交する光軸を有
する受光手段によって、分子の蛍光作用を観察するマルチキャピラリー電気泳動
システムが知られている。
この点に関し、例えば次の刊行物、すなわちT.アナザワ、S.タカハシおよび
H.カンバラ著「DNA配列決定のためにマルチレーザー合焦法を使ったキャピ
ラリーアレイゲル電気泳動システム」(ケミストリー年報、第68巻第15号、
1996年8月1日、2699〜2704ページ)を参考とすることができる。
しかしながら、かかる技術は励起光とキャピラリーの壁からの蛍光との相互作用
から生じる検出ノイズにより、極めて満足できるものであるとは言えない。更に
、キャピラリーを通過する際にレーザービームは強度を失うので、レーザー源か
ら最も遠いキャピラリー内に位置する分子は、最初のキャピラリー内を移動中の
分子よりもあまり励起されない。
これら主な欠点により、刊行物、すなわちC.ヘラー著「キャピラリー電気泳
動による拡散の分析」(1997年ビーウェーク版、236〜254ページ)ま
たはその他の特許明細書、例えば米国特許第5,567,294号明細書または欧州特許
第723,149号明細書に記載のタイプのシステムは一般に分子を励起させるための
レーザービームをキャピラリーの壁を通して分子内に送るマルチキャピラリー電
気泳動システムよりも望ましい。
上記文献または特許明細書に記載されているシステムでは、キャピラリーが沿
って延びるガラスキュベット内で、キャピラリーの一方は他方のキャピラリーに
対して固定された状態に保持されている。キャピラリーが沿って延びる方向に対
して直角な、前記リニアアレイの平面内のリニアアレイの出口で送られるレーザ
ービームによりキャピラリーが励起された後に、キャピラリーに沿って進む分子
が励起される。
このようなレーザービームの照射によって励起された分子の蛍光現象は、例え
ば軸線がキャピラリーのリニアアレイの平面に直角であるか、または軸線がキャ
ピラリーと平行となるように配置されたCCDカメラにより検出される。しかし
ながら、かかるシステムでは、種々のキャピラリーの出口で分子が過度に発散し
ないようにする層流手段またはガイド要素のような手段を設けなければならない
。このようにするには、キュベットはガラス内の高精密の機械的構造を必要とす
る。特に装置は流れを極めて均一にし、ガスの泡の発生または流れを乱すような
ゴミの発生を防止しなければならない。更にこの技術は異なる機能、すなわち分
子を分離するように働く機能と流れをチャンネル化するための他の機能を有する
、キャピラリーおよびキュベットに対し、少なくとも粘性に関して異なる材料を
使用しなければならない。従って、流れを発生させるのに、多量の容積の溶液を
使用しなければならない。
後に理解できるように、かかる技術は特に高価であるという欠点を有する。
従って、本発明の課題は化学および薬学的用途に対し頑丈であり、安価であり
、信頼性があり、使用が容易であり、高処理量の配列決定および遺伝子型決定を
可能とする性能を有するマルチキャピラリー電気泳動システムを提案することに
ある。
この目的のために、本発明は、複数の並置されたキャピラリーと、ビーム行路
内に位置し、キャピラリー内にある分子を励起するビームを放射するための少な
くとも1つのソースと、前記ビームによって励起された分子の蛍光を検出する手
段とを備えた、マルチキャピラリー電気泳動システムを提案するものである。
従来の公知のシステムにおいて、このタイプのシステムから当業者を離反させ
る理由となった欠点を除くために、本発明は、前記キャピラリーが延びる方向に
伝搬し、前記キャピラリーの出口から放出される光を検出する検出手段を配置す
るだけでなく、キャピラリーの出口で放出される光とキャピラリーの壁から出る
光および/またはキャピラリーを囲む媒体からの光とを区別するのに充分大きい
解像度を有する検出手段を使用することを提案するものである。
かかるシステムにより検出ノイズを大幅に低下させながら、キャピラリー内の
分子を検出することが可能となった。
このシステムは、次の有利な種々の特徴またはそれらの技術的に可能な組み合
わせのいずれかによって有利に完成させることができる。
・このシステムは、キャピラリーのマトリックスを含む。
・このシステムは、キャピラリーのリニアアレイにマルチ合焦するための手段、
例えばマイクロレンズを含む。
・キャピラリーの1つのリニアアレイは次のリニアアレイの入口でマルチ合焦さ
せる。
・励起ビームの横断面は細長く、励起ビームは重ねられた数本のキャピラリーに
同時に入射する。
・キャピラリーに沿って進んだ後に励起ビームが発散しないようにする屈折率が
選択された材料により、少なくとも励起ビーム路に沿ってキャピラリーの間の空
間が満たされている。
・前記材料は透明であり、非蛍光性である。
・本システムは、キャピラリーを分離マトリックスで満たすことができるように
する圧力を、検出キュベットに加えるための手段を含む。
・本システムは、種々の蛍光波長を空間的に分離するための分散手段を含む。
・前記検出手段は、キャピラリーを出る光の完全な画像を発生する。
・前記検出手段は、電荷結合デバイス(CCD)タイプの検出手段だけでなく、
合焦手段も含む。
・前記検出手段は、電荷結合デバイス(CCD)タイプの検出手段だけでなく、
キャピラリーの出口と電荷結合デバイスタイプの検出手段との間に介在された光
ファイバー束も含む。
次の説明から、本発明の上記以外の特徴および利点も明らかとなろう。この説
明は、真に説明のためのものにすぎず、限定的なものではない。この説明は添付
図面を参照して読むべきである。
図1は、本発明の1つの可能な実施例に係わるシステムの斜視図である。
図2は、図1のシステムのためのキャピラリーに対する検出手段の配置を示す
略図である。
図3aおよび3bは、横断面が円形の励起ビームの使用法を示す。
図4aおよび4bは、横断面が楕円形のビームの使用法を示す。
図5は、キャピラリーのマトリックスの使用法を示す。
図6aおよび6bは、キャピラリーを取り付けるための2つの可能な変形例を
示す。
図7aおよび7bは、キャピラリーを囲み、前記励起ビームが通過する媒体の
屈折率に応じた、キャピラリーに沿って進行した後の励起ビームの分布を示す2
枚の写真である。
図8は、フルオレセインの濃度の関数としてプロットしたシステムの応答のグ
ラフである。
図9は、1本のキャピラリー当たりの信号/ノイズ比をプロットしたグラフで
ある。
図10は、フルオレセインの3つの異なる濃度に対するレーザーのパワーの関
数として信号/ノイズ比をプロットしたグラフである。
図11は、対物レンズの口径の関数として信号/ノイズ比の強度をプロットし
たグラフである。
図12aは、図1に示されたシステムと共に使用される標本分離例に対する時
間関数として、収集強度をプロットしたグラフである。
図12bは、図1に示されたシステムと共に使用されるDNA分離例に対する
時間関数として、収集強度をプロットしたグラフである。
図1に示されたマルチキャピラリー電気泳動システムは、光学テーブル1上に
、
キャピラリーが沿って延びるチャンネル3と、
キャピラリー入力部が取り付けられ、内部に温度制御システムが組み込まれた
、加熱手段を備えた高電圧ボックス2と、
チャンネル3の出口に設けられた検出セル4と、
CCDカメラ6およびこのカメラ6と検出セルとの間に配置された収束光学系
5と、
レーザーソース7と、
レール9上に取り付けられており、ソース7からのビームを検出セル4へ向け
ることができる光学手段8とを備える。
図2により詳細に示されているように、CCDカメラ6はキャピラリーCの軸
線に平行な光軸に沿ったレーザービームFによりキャピラリー内部で励起された
分子の蛍光を観察する。CCDカメラ6は励起された分子から来る蛍光を収集す
る。この光はキャピラリー内の励起された分子位置とキャピラリーの開口部との
間の立体角に広がる、キャピラリーの軸線を中心とする円錐体を形成する。
カメラの分解能が充分に高ければ、カメラはキャピラリーCの内部から生じる
光と、キャピラリーの壁から生じる光および/またはキャピラリーの壁を囲む媒
体からの光とを区別することができる。この結果、信号対ノイズ比はかなり改善
される。
例えば内径が100μmであり、外径が300μmであるキャピラリーCの場
合、光学手段5と組み合わせて解像度を20μmの大きさとすることができるC
CDカメラ6を検出器として使用することができる。
更に、レーザービームFの散乱またはキャピラリーCの壁の蛍光または周辺の
媒体から生じるバックグラウンドノイズを最小とするために、ダイヤフラムを形
成する黒色マスクをキャピラリーCの出口に取り付けると有利である。
キャピラリーCの方向に平行な軸線に沿って、キャピラリーCの出口で分子の
蛍光を観察できれば、電気泳動の効率をかなり高めることができるように、キャ
ピラリーCのマトリックスを使用することが可能となることが理解できよう。こ
のマトリックスなる用語は一般的に理解すべきであり、この用語は二方向に互い
に重ねられた状態でキャピラリーCが分散されたキャピラリーCの集合体を示す
ものである。従って、この用語はいくつかの重ねられたリニアアレイからなるマ
トリックスだけでなく、キャピラリーの他の配置および特に、例えばキャピラリ
ーが互い違いに分散された集合体も含むものである。
マトリックス1つ当たりのキャピラリーの本数は大幅に変わり得る。16本、
50本および100本のキャピラリーから成るマトリックスについてテストを実
施した。1つのマトリックス当たりのキャピラリーの数を増加することも想到で
きる。
レーザーソース7によって放射された励起ビームFは、キャピラリーCが延び
る方向に直角にキャピラリーCに入射するよう検出セル4へ送られる。
次に励起ビームFは横断面が円形(図3aおよび3a)でもよく、この場合、
キャピラリーCを連続的に通過するようにキャピラリーCのリニアアレイの平面
に送られる。
更に好ましくは、励起ビームは細長く(例えば楕円形)することができ、この
場合、リニアアレイの平面に直角な光学的方向にリニアアレイに入射し、よって
同じビームFで種々の重なったキャピラリーCに同時に入射することができる(
図4aおよび4b)。更にこれにより、キャピラリーの相対的な位置の許容差を
大きくすることができる。
更に、図5に示されるように、キャピラリーCがリニアアレイに分散されてお
らず、マトリックス内に分散されている場合、楕円形ビームFを使用すると有利
となる。
キャピラリーCは接着および/またはパーフォームによりひとまとめにするこ
とができる。
更に図6aに示されるように、キャピラリーを横断した後、励起ビームが発散
しないように屈折率を選択した材料、特に屈折率がキャピラリーの屈折率よりも
小さい材料を、キャピラリーCの間の交点に励起ビーム路に沿って設けることが
可能である。
この材料はできるだけ透明であり、蛍光を生じないようにも選択される。
図7aおよび7bに示された写真により、かかる材料で得られる合焦効果が示
されている。これら写真では、キャピラリーCの屈折率と周辺媒体の屈折率が同
じである場合に、平行な数本のキャピラリーCを照明するビームFがキャピラリ
ーCを通過した後、陰の領域を発生するが、外側の媒体の屈折率がキャピラリー
Cの屈折率よりも小さい場合に、透過光が合焦されることが判る。従って、各々
のキャピラリーの出口の光は直接対向する次の列のキャピラリーに合焦される。
このような多数の合焦によって、例えばキャピラリーCの種々のアレイを照明
するのに同じ楕円形ビームFを使用することが可能となる。
このような合焦効果によってレーザーソース7を有利に使用することも可能と
なる。すなわち種々のキャピラリーに強度のほとんどすべてが合焦される。
このような合焦はキャピラリーのアレイまたはマイクロレンズにより更に完璧
に達成することができる。このような合焦によって、必要なレーザーのパワーを
少なくとも3分の1に減少させ、同時にノイズを低くする。合焦機能を奏する材
料はキャピラリーを固定するように働く材料から任意に構成することができる。
しかしながらキャピラリーを横断する励起ビームの発散を防止するよう、キャピ
ラリーを固定するために使用される材料と異なる材料を使用する解決案を用いる
ことが好ましい。
更に図7bに示されるように、本例では励起ビームの発散を防止する材料を、
キャピラリーを満たすバッファ溶液から構成できることが理解できよう。
本発明者たちが使用した、図1に示された設計に関し、以下、技術的な細部を
示す。
スペルマン(Spellman)社によって販売されている電圧発生器により、ボック
ス2の電極に給電する。
キャピラリーCの入口および出口をバッファまたはポリマー溶液を介し、この
電圧発生器の陰極および陽極に電気的に接続する。
陽極をアース電位に保ちながら15cm〜60cmの間のキャピラリーCの長
さに対し、陰極へ印加される電圧を30kVまでの範囲とすることができる。
キャピラリーCが突出している検出セル4は、不透明な壁を備えた長方形の六
面体であり、この壁にはレーザービームFが入出力するための2つの横方向の石
英ウィンドーが設けられており、他方、キャピラリーCの軸線上には光学系5お
よびカメラ6によって蛍光を集めることができるように、石英製の別のウィンド
ーが設けられている。
この後者のウィンドーはレーザー光から蛍光を弁別するよう、フィルタと置換
してもよい。変形例として、このフィルタを前記ウィンドーの出口に設計しても
よい。
セルの上部壁に設けられた第4のウィンドーにより、レーザービームFと観察
すべきキャピラリーCとを整合させることができる。
キャピラリーCを検出セル内に固定するのに使用される接着剤は、透明な紫外
線硬化性接着剤である。
光学系5は1.2(単位欠如)の焦点距離を有する対物レンズであり、この光
学系は1に近い倍率を得るために総計6ジオプタの2つの補助レンズによって構
成することが好ましい。
これとは異なり、光学系5を2つの対物レンズから構成し、そのうちの1つを
反転させて構成することができる。これら2つの対物レンズの間には多色分散シ
ステムを取り付けることが好ましい。
更に変形例として、光学系5はキャピラリーの出口とCCDカメラとの間に光
ファイバー束を有利に含むことができる。
CCDカメラ6は「フレームトランスファー」なる名称でプリンストン(PRIN
STON)社によって販売されているタイプのものである。このカメラによりデッド
時間および機械的シャッターを用いることなく連続的なデータ収集を行うことが
可能となる。
カメラのアクティブ面積は6〜8mm2であり、1つのピクセルのサイズは2
2μm×22μmである。
カメラはペルチエ効果により約−40℃に冷却されている。
レーザーは488nmの波長で、約100mWの最大パワーを有する(ILT
からの)アルゴンレーザーである。
ホログラムプリズムを用いることにより、この488nmの波長以外のすべて
の波長を除去することが可能となる。
検出キュベット内で圧力を加えることができるようにするポンプにより、キャ
ピラリー内に分離マトリックス(ゲルまたはその他の材料)を注入する。
動電力学的または流体力学的な流れにより、公知の濃度のオリゴヌクレオチド
の希釈液を注入することによりレーザービームFのパワーが40mWであり、キ
ャピラリーCの出口面と検出励起ビームFの衝撃点との間の距離が750μmの
かかるシステムで得られた結果を下記に示す。
図8は、注入したフルオレセイン硫酸塩の濃度に応じた25個のピクセル上に
収集された電荷数(ソフトウェアによる合計)を示す。0.05〜100nmo
l/lの間でチェックした、図示した領域では、良好なリニアリティが観察され
ている。これら2本の直線は、中心のキャピラリーおよび行のエッジの1つのキ
ャピラリーでそれぞれ集められた電荷に対応する。この差はレーザービームのガ
ウス分布によって説明される(従来は楕円形)。
検出可能な最小感度に関し、図9はフルオレセインの1nmol/nの濃度に
対して得られるキャピラリーの本数の関数としての信号/ノイズ(S/N)比を
示す。50よりも大きい信号/ノイズ比が観察される。エッジから見ても、この
比は配列決定または遺伝子型決定実験に対して広く満足できるものである。
感度を更に改善するために、例えば先に考えた3つのピクセルをグループ分け
することにより、更に大きいピクセルを使用することができる。この場合、約3
倍〜5倍以上の感度が得られる。これは、25個のピクセルを個々に読み出した
場合、25個のピクセルを1つのピクセルとした場合よりも、約25倍、カメラ
の呼び出しノイズが大きくなるという事実から生じる。
図10から観察されるように、レーザーのパワーを単に増加するだけで、感度
を増すことも可能である。このことは、システムは限界がないことを示している
。
対物レンズの口径に対する収集光の依存性もテストした。図11に対物レンズ
の3つの異なる口径に対する信号/ノイズ比が示されている。
更に、本発明により実施されるテストは、システムの感度がキャピラリーCの
出口に対するレーザーの衝撃点の位置にも依存することを示した。しかしながら
、前記衝撃点と出口との間の距離が2mm〜250μmまで変化する場合、シス
テムの感度はほとんど変わらないので、キャピラリーCの開口部から出る光のほ
とんどすべてを有効に収集できることが確認されている。従って、感度を更に高
めるにはビームFをキャピラリーCの出口にかなり接近させる必要がある。かか
る利得は、光のコリメーションをより貧弱にさせ、このことは画像の解像度を部
分的に劣化させる。
バンドを分離するシステムの能力を証明するために、本発明者たちはポリマー
溶液(0.5%HPC)内でダブルストランドの標本(ギブコBRL社からのφ
X174)に対して電気泳動移動テストを実施した。使用したマーカーは(モレ
キュラープローブ社からの)SYBR(I)インサートであった。図12aに2
本のキャピラリーCに対する結果をグラフとしてプロットした。1ng/μlの
濃度において、本発明者たちはバンドの良好な分離と良好な信号対ノイズ比を得
た。
更に本発明者たちは、55℃でポリマー溶液(キュリー研究所からの5%のT
15)内でシーケンス反応のDNA標本(M13)(アマーシャム社からのTタ
ーミネーターキット、ファーマシア社からのFITCの標識の付いたプライマー
)に対する分離テストも実施した。図は、分離の質、良好な信号対ノイズ比およ
び分離レート(1時間当たり600ベース)を示している。
当然ながら、これまで述べた以外の変形例も考えつくことができる。特に、キ
ャピラリーCを出て収集される平行ビームは、1つ以上の中間プリズムまたは回
折格子へ直接送り、放出される種々の波長を空間的に分離し、かつこれらをフォ
トダイオードのアレイ上で分離することができる。
後に理解できるように、これまで述べたシステムは構造が簡単であり、かつ信
頼性が高く、また実現がかなり容易な状態で高スループットを得ることができる
。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ
,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML,
MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K
E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM
,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM)
,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,
BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D
K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM
,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,
KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L
T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX
,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,
SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U
A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ハンス、レブシャー
フランス国レ、ジュリ、レジダンス、ラ、
ボークーラール、10
(72)発明者 リュック、バランタン
フランス国ビュール、リュ、ゴメッツ、36
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 複数の並置されたキャピラリーと、ビーム行路内に位置し、キャピラリ ー内にある分子を励起するビームを放射するための少なくとも1つのソースと、 前記ビームによって励起された分子の蛍光を検出する手段とを備えたマルチキャ ピラリー電気泳動システムにおいて、 前記蛍光検出手段は、前記キャピラリーが延びる方向に伝搬し、前記キャピラ リーの出口から放出される光を検出するように配置され、この検出手段の解像度 は、キャピラリーの出口で放出される光とキャピラリーの壁から出る光および/ またはキャピラリーを囲む媒体からの光とを区別するのに充分大きいことを特徴 とする、マルチキャピラリー電気泳動システム。 2. キャピラリーのマトリックスを含むことを特徴とする、請求項1記載の システム。 3. 励起ビームは横断面が細長く、重ねられた数本のキャピラリーに同時に 入射することを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。 4. キャピラリーのリニアアレイにマルチ合焦するための手段、例えばマイ クロレンズを含むことを特徴とする、請求項3記載のシステム。 5. キャピラリーの1つのリニアアレイが次のリニアアレイの入口でマルチ 合焦させることを特徴とする、請求項3または4記載のシステム。 6. キャピラリーに沿って進んだ後に励起ビームが発散しないようにする屈 折率が選択された材料により、少なくとも励起ビーム路に沿ってキャピラリーの 間の空間が満たされていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項 に記載のシステム。 7. 前記材料は透明であり、非蛍光性であることを特徴とする、請求項4記 載のシステム。 8. キャピラリーを分離マトリックスで満たすことができるようにする圧力 を検出キュベットに加えるための手段を含むことを特徴とする、請求項1ないし 7のいずれか1項に記載のシステム。 9. 種々の蛍光波長を空間的に分離するための分散手段を含むことを特徴と する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシステム。 10. 前記検出手段は、キャピラリーを出る光の完全な画像を発生すること を特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシステム。 11. 前記検出手段は、電荷結合デバイス(CCD)タイプの検出手段だけ でなく、合焦手段をも含むことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項 に記載のシステム。 12. 前記検出手段は、電荷結合デバイス(CCD)タイプの検出手段だけ でなく、キャピラリーの出口と電荷結合デバイスタイプの検出手段との間に介在 された光ファイバー束をも含むことを特徴とする、請求項1ないし11のいずれ か1項に記載のシステム。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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