JP2001518065A - ウイルス複製の阻害 - Google Patents

ウイルス複製の阻害

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、標的タンパク質の翻訳中および/またはその小胞輸送中に、HAもしくはEタンパク質と結合、複合または会合する融合疎外剤によって、HA媒介性融合またはEタンパク質媒介性融合が阻害されるという作用のメカニズムに基づく、インフルエンザおよびフラビウイルスの複製を阻害する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 ウイルス複製の阻害 インフルエンザおよびフラビウイルスは、それに対する適切な治療剤のない種 々の感染性疾患を引き起こす。存在する治療の欠点として、36時間以内の臨床 的耐性の開始およびB型インフルエンザに対しては無効であることが挙げられる 。不活性化インフルエンザウイルスワクチンは、60年間にわたって有効である 。しかし、これらのワクチンによって罹患率、死亡率あるいはこのような疾患に よって生じる財政的困難が軽減されるわけではない。したがって、当然、インフ ルエンザまたはフラビウイルス感染を治療または予防する作用剤または臨床的症 状を予防するのに有効である作用剤が、社会的に重要な利益をもたらすことにな るであろう。 現在、インフルエンザ感染の治療的または予防的治療に適切である唯一の化合 物は、アダマンタン類:アマンタジンおよびリマンタジンである。これらの化合 物は、ウイルスのM2イオンチャネル活性を阻害することによってA型インフル エンザを阻害する。アマンタジンは、プラーク減少アッセイなどの標準抗ウイル スアッセイによって示されるように、A型インフルエンザウイルスの強力なイン ビトロインヒビターである。アマンタジンは、A型インフルエンザに感染した個 体に臨床的症状の発症の48時間以内に投与した場合、熱および筋肉痛ならびに 疲労といったような(これらに限定されるものではないが)他の全身性病訴の持 続期間を減少することにおいて有効である。アマンタジンは、野生型インフルエ ンザウイルスに感染したボランティアのヒトの鼻洗浄に用いた場合、熱得点評価 のスコアにおける劇的な軽減化をともなって、ウイルス力価を100分の1に減 少することも観察されている。このように、インビトロでのインフルエンザ阻害 効果から、インビボにおける有用な阻害効果、すなわち、インフルエンザ感染に 伴う臨床的症状の低減化を予期してよいものと考えてよい。 本発明は、インフルエンザウイルスといったようなオルソミクソウイルスおよ びウシ下痢ウィルスならびにC型肝炎ウイルスといったようなフラビウイルスが エンベロープをもつウイルスであり、ウイルスの遺伝情報を細胞に導入するプロ セスを開始するためには、該ウイルスエンベロープが宿主細胞のエンドソーマル 膜と融合しなければならないという事実から誘導される。このプロセスは、すべ てのエンベロープウイルスに共通しているので、抗ウイルス化学療法にとって魅 力的なターゲットである。インフルエンザウイルスのエンベロープ糖タンパク質 の融合ドメイン、赤血球凝集素(HA)およびフラビウイルスのエンベロープタ ンパク質(Eタンパク質)の特徴に関しては、従来からよく研究がなされている 。たとえば、ホワイト,J.M.のAnnu.Rev.Physiol.Vol.52,675-697頁(1990);レイ, F.A.らのNature.375,291-298(1995)を参照せよ(本発明の引用文献である)。 インフルエンザウイルスHAおよびフラビウイルスEタンパク質は、少なくと も2つの別個の機能をもつ:1)宿主細胞受容体、すなわち、複合糖質上のシア ル酸残基の認識、および2)ウイルスエンベロープとエンドソーマル膜の融合。 両方の機能が、たとえばインフルエンザウイルスのインビトロならびにインビボ での増殖において不可欠である。インフルエンザウイルスの成熟中に、モノマー HAが脂質二重層に挿入され、翻訳後修飾が行われ、次いで同一のサブユニット のトリマーへとオリゴマー形成が行われる(トリマーHA)。後代インフルエン ザウイルスの感染性は、宿主だいぼうプロテアーゼによるHAの部位特異的切断 と条件としている。この切断によって、非共有的相互作用ならびに分子間および 分子内ジスルフィド結合によって会合している2つのポリペプチド鎖、HA1お よびHA2が形成される。 インフルエンザHAおよびEタンパク質が2つの機能的に関連性のあるコンホ ーメーションをもつことが確立されている。ひとつのコンホーメーションは、中 性pHで準安定な構造として存在し、受容体認識を媒介する。受容体を介して宿 主細胞に結合した後、ウイルスは、酸性環境に遭遇するエンドソーマルコンパー トメントへ輸送される。低いpHが引金となって、劇的な構造転位が起こり、別 の、より安定なコンホーメーションが形成される。インフルエンザウイルスの場 合、たとえば、HAのA体からB体への変化がこの構造転位であり、HAの融合 ドメインを、エンドソーマル膜と直接相互作用させて、ウイルスの遺伝情報が宿 主細胞の細胞質へ放出されうるようになる。これらの考察は、ウイルス−宿主膜 のHA媒介性またはEタンパク質媒介性融合を阻害することに基づく抗ウイルス 的干渉のための方策の発達の役に立つものである。 後代ウイルスは複製不能であるが、親ウイルスは複製可能であるように、産生 宿主細胞に、有効量の融合阻害剤を投与することを特徴とするフラビウイルス複 製を阻害する方法。 後代ウイルスは複製不能であるが、親ウイルスは複製可能であるように、産生 宿主細胞に、有効量の融合阻害剤を投与することを特徴とするインフルエンザウ イルス複製を阻害する方法。 後代ウイルスにおけるHAまたはEタンパク質の不活性コンホーマーがエンド ソーマルpHにおいて安定であるように、産生宿主細胞において融合阻害剤に対 して、該タンパク質の融合ドメインを不活性化する方法。 成熟に際し、後代ウイルスのHAはノンフソジェニック(non-fusogenic)で あるが、親ウイルスのHAはフソジェニックであるように、産生宿主細胞におい て後代ウイルスのHAのA体トリマーを安定化することを特徴とするインフルエ ンザウイルス複製を阻害する方法。 後代ウイルスにおけるEタンパク質のノンフソジェニック体を安定化すること を特徴とするフラビウイルス複製を阻害する方法。 産生宿主細胞に有効量の融合阻害剤を投与することを特徴とする後代インフル エンザまたはフラビウイルスと宿主細胞の融合を阻害する方法。 成熟中、後代ウイルスにおけるHAまたはEタンパク質はノンフソジェニック であるが、親ウイルスのHAまたはEタンパク質はフソジェニックであるように 、後代ウイルスのHAまたはEタンパク質の融合ドメインを安定化することを特 徴とする後代インフルエンザまたはフラビウイルスと宿主細胞の融合を阻害する 方法。 図1は、アマンタジン耐性インフルエンザウイルスに対する化合物C,E,G およびアマンタジンの“阻害パーセント”対“濃度(μg/ml)”のグラフで ある。 図2は、野生型インフルエンザウイルスに対する化合物C,E,Gおよびアマ ンタジンの“阻害パーセント”対“濃度(μg/ml)”のグラフである。 図3Aは、化合物C耐性インフルエンザウイルスに対する化合物C,E,Gお よびアマンタジンの“阻害パーセント”対“濃度(μg/ml)”のグラフであ る。 図3Bは、化合物D耐性インフルエンザウイルスに対する化合物C,E,Gお よびアマンタジンの“阻害パーセント”対“濃度(μg/ml)”のグラフであ る。 図4は、WSN HAセグメントによって付与された化合物Aに対する耐性で ある。a,インフルエンザウイルス間の遺伝再組み合わせ物の図式的ダイアグラ ムである。MDCK細胞は、化合物Aの不在下で化合物A感受性株A/Kaw/ 86(H1N1)および化合物A耐性株A/WSN/33に共感染させた。感染 細胞から得た上清を用い、化合物A5μg/mlの存在下でMDCK細胞を感染 させた。ウイルスプラークを採取し、次の分析に用いた。b,6個の化合物A耐 性組み合わせ物から単離したウイルスRNA(vRNA)からプラス鎖cDNA を合成した。PCRで増幅した後、制限分析法を用いて各セグメントの起源を決 定した。 図5は、BHAモノマーのα炭素トレースである。HA1(ブルー)およびH A2(グリーン)鎖、ならびに融合ペプチド(マゼンタ)を示す。ローカル・ア ラインメント・ツールMACAWを用い、A/Aichi/2/68(H3N2 )およびA/Kaw/86(H1N1)のアミノ酸配列を整列させた。化合物A ,B,CまたはD耐性A/Kaw/86(それぞれ、変異体3−1,JT.C, JT.AおよびJT.B)あるいは化合物A耐性A/Kaw/86(変異体A1− A10)のHAにおいて置換されていることが発見されたアミノ酸に対応するア ミノ酸をそれぞれレッドおよびイエローで示す。太字で記載されているアミノ酸 は、A/AichiおよびA/Kawの間で保存されている。 図6は、低pH誘発TBHA2およびBHAの対応領域(pH7コンホーメー ション)のα炭素トレースである。HA1(アミノ酸12〜16)およびHA2( ア ミノ酸40〜153)鎖をそれぞれブルーおよびグリーンで示す。変異体3−1 ,JT.A,JT.BおよびJT.Cにおいて発見された置換に対応するアミノ酸 をレッドで示し、変異体A1−A10において発見された置換に対応するアミノ 酸をイエローで示す。 図7では、アミノ酸置換は、HA構造の内部に隠されている。a,BHAトリ マーのα炭素トレースである。変異体3−1,JT.A,JT.BおよびJT.C に対応するアミノ酸をレッドで示し、変異体A1−A10に対応するアミノ酸を グリーンで示す。b,ほとんどのアミノ酸構造が隠されていることを示すaにお ける構造の空間充填モデルである。c,観点が膜末梢領域からであるaの様子で ある。 図8は、感染MDCK細胞とヒト赤血球の融合を示す。A/Kaw/86に感 染したMDCK細胞を、cおよびdでは化合物Aで、eおよびfではアマンタジ ンで、それぞれ濃度10μg/mlにて処理した。37℃で8時間のインキュベ ーション後、ヒト赤血球を感染細胞モノレイヤーに結合させた。pH7において (a,c,およびe)または(b,d,およびf)をインキュベーションした後 、位相差光学顕微鏡(200倍)で観察した。 “複製(replication)”とは、宿主細胞によるウイルスRNAおよび関連ウ イルスタンパク質の再生産または複写(duplication)の挙動または過程を意味し 、その定義には、感染性の後代ウイルス粒子の組み立てが包含される。 “安定化”とは、HAまたはEタンパク質の構造転位、たとえば、HAのA体 からB体へ転位の阻止または妨害を意味し、すなわち、HAの融合ドメインがフ ソジェニックになることを阻止することを意味する。 “投与する”とは、産生宿主細胞を融合阻害剤に暴露することを意味する。“ 暴露する”には、細胞および作用を剤互いに接近させることが包含される。 “フソジェニック”とは、宿主細胞のエンドソーマル膜と相互作用することが でき、宿主細胞の細胞質にウイルス遺伝情報を放出を引き起こしうる融合ドメイ ンを含むHAまたはEタンパク質の構造形体を意味する。 “ノンフソジェニック”とは、宿主細胞のエンドソーマル膜と相互作用するこ とができず、宿主細胞の細胞質にウイルス遺伝情報を放出を引き起こせない融合 ドメインを含むHAまたはEタンパク質の構造形体を意味する。 “後代ウイルス”とは、親ウイルスと宿主細胞の融合後に産生宿主細胞によっ て産生されるウイルスを意味する。 “Eタンパク質”または“エンベロープタンパク質”とは、標的細胞受容体の 結合およびウイルス膜融合を媒介するフラビウイルス上の主要表面タンパク質を 意味する。Eタンパク質は、生理的pHにおいて成熟ウイルスの表面上でダイマ ーを形成する。しかし、約6.5より低いpH環境においては、Eタンパク質に 、フラビウイルス膜とエンドソーマル膜の融合において臨界条件であると考えら れているコンホーメーションの変化が起こる。 “融合阻害剤”とは、標的タンパク質の翻訳中および/または小胞輸送中に、 HAまたはEタンパク質に結合、複合あるいは会合し、最終的にタンパク質のオ リゴマー形成が起こり、そのためにEタンパク質のコンホーメーションの転換ま たはHAのA体からB体へのコンホーメーションの転換を阻害する、化学分子な どの作用剤を意味する。 “フラビウイルス”とは、動物ウイルスのひとつの属を意味し、ウエストナイ ルウイルス(WNV)、ダニ媒介脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、 黄熱ウイルスおよびウシ下痢症ウイルス(BVDV)などが挙げられるがこれら に限定されるものではない。フラビウイルスは、エンベロープをもち、RNAゲ ノムを含み、E1およびE2といったようなEタンパク質が関与するメカニズム によって標的宿主細胞と融合する。ウイルスとエンドソーマル膜の融合は低pH において最適条件である。 本明細書で用いる“有効量”とは、ウイルスと宿主細胞の融合を阻害する融合 阻害剤の量を意味する。本発明方法によって企図されるインフルエンザウイルス およびフラビウイルスの阻害には、治療的および予防的処置の両方が包含される 。本発明にしたがって治療的および/または予防的効果を得るために投与される 化合物の特定の用量は、もちろん、たとえば、投与される化合物、投与経路、処 置される身体状態および処置される個体といったような各ケースを取り巻く個々 の 環境によって決定される。代表的な一日の用量(一回投与または分割投与)は、 体重1kg当たり約0.01mg〜約50mgの投与量の本発明活性化合物であ る。好ましい一日用量は、一般に体重1kg当たり約0.05mg〜約20mg であり、理想的には、約0.1mg〜約10mgである。 化合物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内および鼻孔内などの種々 の経路によって投与することができる。本発明化合物は、投与前に製剤されるの が好ましい。したがって、本発明の他の具体例は、有効量の化合物Iまたはその 医薬的に許容しうる塩、および医薬的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を 含む医薬製剤である。 このような製剤において有効成分は、製剤の0.1〜99.9重量%である。 “医薬的に許容しうる”とは、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤の他の成分と 共存可能であって、そのレシピエントにとって有害でないことを意味する。 化合物AからKは、未成熟の後代ウイルスの赤血球凝集素(HA)またEタン パク質の融合ドメインを安定化することによって、成熟中である未成熟の後代ウ イルスがノンフソジェニックなHAまたはEタンパク質を含み、複製不可能とな るゆえに、ウイルスの複製を阻害することがわかった。 化合物Cは、フランス特許FR7031(690721);化合物Hは、Can .J.Chem.65(1)124-30(1987)に記載されている。 製造例1 当業界で公知の方法および本明細書に開示した方法により化合物Cから化合物 Eを製造することができる。たとえば、氷酢酸(約15ml)に化合物C(775mg) を溶解し、耐圧ガラスボトルに入れ、5%ロジウム/炭素(100mg)を加える。 ボトルを水素ガスでフラッシュし、シールし、次いで約60psiの圧力をかけ る。反応物を60℃に加熱し、一夜かきまぜる。反応物を冷却し、開封し、濾過 し、次いで回転蒸発により溶媒を除去する。1N水酸化ナトリウム(10ml)に溶 解し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで水層を5N塩酸で酸性化することによ り粗生成物を精製する。水層を3部の塩化メチレンで抽出し、抽出物を合わせ、 食塩水で洗浄する。回転蒸発により溶媒を除去して褐色油状生成物を得る。NM R、マススペクトルおよび元素分析により、生成物を確認する。 抗ウイルスプラークアッセイ 化合物A、化合物B、化合物Cおよびアマンタジンのインビトロにおける抗イ ンフルエンザ活性を、HaydenらのAntimicrob.Agents Chemother.,vol.17,pp8 65-870(1980)(本発明の引用文献である)に記載されているような標準プラークア マンタジンを用いて評価した。このアッセイでは、インフルエンザウイルス感染 マジンダービイイヌ腎臓(MDCK)細胞を各化合物の連続希釈液で非処理また は処理した。化合物濃度対プラーク形成阻害パーセントのプロットの直線回帰直 線から、ウイルスプラーク形成を50%阻害するのに必要な化合物の濃度(IC50 )を決定した。これ以外にも、ReedおよびMuenchのAm.J.Hyg,vol.27,493-4 97(1938)(本発明の引用文献である)の方法によってもIC50を決定することが できる。これらの化合物は、インフルエンザA/Kawasakiに対して有効な活性を 示す。これらの化合物はまた、インフルエンザAおよびBウイルスに対する抗ウ イルス活性も示す。下記表1は、これらのデータの一覧である。表1 化合物A、化合物Bおよび化合物Cの抗ウイルス活性 耐性実験 これらの化合物の生物学的活性がウイルス標的または宿主細胞に対して示され るかどうかを確認するために、インフルエンザA/Kawasakiウイルスを選択し、 これらの化合物の各クラスのメンバーに対する耐性を調べた。耐性実験から2つ の結論が導かれた。ひとつ目は、試験化合物の抗ウイルス活性が、細胞の機能に 対するものとしてのウイルスの機能を介して媒介されることである。2番目は、 試験化合物の抗ウイルス活性が、共通の作用メカニズムを介して作動することで ある。 野生型ウイルスにおいて、化合物濃度を段階的上昇させ、次いでプラークの精 製を行い、その結果として高度に薬物耐性のあるウイルスの選択がなされたこと から、抗ウイルス活性がウイルスの機能の阻害に由来することがわかる。さらに 、耐性ウイルスが交差耐性であることがわかったことから、化合物の抗ウイルス 活性が共通の作用メカニズムに由来することが示唆される。図1、2、3Aおよ び 3Bは、阻害パーセント対試験化合物の濃度(μg/ml)のグラフである。 さらなる実験から、感染後8時間に至って加える場合でさえも、これらの化合 物がフルの抗ウイルス活性を保有していることがわかり、このことから、抗ウイ ルス活性の作用のメカニズムが、ウイスル複製サイクルにおいて後期に媒介され ることが示された。図4は、阻害パーセント対添加時間(感染後の時間)のグラ フである。 薬物耐性ウイルス変異体の分子的特徴 1. A型インフルエンザウイルスのHA遺伝子セグメントに対する薬物耐性マ ップ 図5は、インフルエンザA/KawasakiのHAの完全ヌクレオチドおよびアミノ 酸配列である。薬物耐性表現型に関与するウイルスゲノム変異のマッピングのた めに配列試験を行った。逆転写酵素によるcDNAの合成のためのテンプレート として、野生型、化合物C耐性インフルエンザ、化合物D耐性,化合物B耐性ま たは化合物A耐性A/Kawasakiウイルス由来のウイルスRNAを用いた。セグメ ント特異的PCRプライマーを用い、cDNAとなっている個々のウイルスの遺 伝子セグメントを増幅し、次いで循環的シーケンシングプロトコルを用いてPC R産物の配列法定を行った。 下記表2に示すように、各薬物耐性ウイルスにおいて、HAのHA2セグメン トにヌクレオチドの変化が発見された。化合物A耐性変異由来のHAセグメント の配列分析によって、高レベルの薬物耐性およびウイルス交差耐性によるHA配 列の変更の相関関係をさらに具体化した。A/Kawasakiの独立した単離物(n= 10)を選択し、単一経路のプロトコルを用いて高濃度の化合物A(5μg/ml )中での成長を試験した。これらのウイルスのそれぞれのHA遺伝子セグメント の配列決定をし、再度各ケースにおいて、少なくともひとつの配列変更を含む変 異RNAセグメントの配列決定を行った。これによって、HA配列の変更と高レ ベルの薬物耐性の間に直接的な相関関係が確立される。表2 薬物耐性変異体のHAにおけるアミノ酸置換 a)化合物C、化合物D、化合物Bまたは化合物Aに対する耐性試験用として インフルエンザウイルス株A/Kawasaki/86を選択し、マディーダービイイヌ 腎臓(MDCK)細胞を用い、化合物濃度を段階的に上昇させ、プラーク精製を 3回行った。変異体また親A/Kawasaki/86ウイルスからビリオンRNA(v RNA)を精製し、プラス鎖DNA合成のためのテンプレートとして用いた。次 いで、該プラス鎖DNAをPCRにより増幅し、二本鎖サイクル配列決定法によ り配列決定を行った。JT.AウイルスのvRNAセグメント、NS,M,NP ,NAおよびHAの配列分析から、HAにおけるアミノ酸置換を導く変異が示さ れた。 b)化合物Cに耐性のあるJT.Aウイルスもまた化合物Dに対して交差耐性で ある。 c)ローカルアラ・インメントツール(MACAW)を用いてA/Kaw/86( H1N1)およびA/Aichi/2/68(H3N2)のアミノ酸配列を整列した 。括弧内のアミノ酸は、A/Aichi/2/68のHAにおける対応するアミノ酸 を示す。表3 化合物A耐性変異体におけるアミノ酸置換 a)MDCK細胞を、化合物A(5μg/ml)の存在下インフルエンザウイルス 株A/Kaw/86のひとつのプラーク形成ユニット(pfu)で感染させ、プラ ークを1回精製した。表1に示したように薬物耐性または親ウイルスからビリオ ンRNAを精製した。 b)括弧内のアミノ酸は、A/Aichi/2/68のHAにおける対応するアミノ 酸を示す。 c)MDCK細胞±化合物Aにおいて、変異体ウイルスストックの力価決定を 行った。 d)変異体A2は、同数のプラーク±化合物Aを示したが、化合物Aの不在下 では別のプラーク形態を示した。 再組み合わせ実験 再組み合わせ実験により、化合物Aの抗ウイルス活性に対するA型インフルエ ンザウイルスの耐性におけるHAの役割をさらに具体化した。これらの実験では 、紫外線照射により、化合物Aに対して天然耐性をもつインフルエンザA/WS N/33を不活化し、図6に示す、化合物Aに対して感受性のあるインフルエン ザA/Kawasaki/86とともにMDCK細胞上に植えた。 二重に感染させた細胞を、化合物Aの不在下にて、ウイルスの細胞変性効果が 観察されるまでインキュベートした。細胞培養液中のウイルスを連続的に希釈し 、化合物A(5μg/ml)の存在下、MDCK細胞を感染させるのに用いた。得 られるウイルスプラークを採集し、拡張(expand)した。拡張したプラークから ウイルスRNAを得、逆転写酵素を用いてcDNAにコピーした。セグメント特 異的PCRプライマーを用いて、得られるcDNAを増殖し、増殖した遺伝子セ グメントのそれぞれを制限酵素分析に付し、遺伝子セグメントを最初のウイルス のものと比較することにより、特徴を決定した。 これらの実験から、化合物Aに耐性のあるすべての再類別ウイルスが、インフ ルエンザA/WSN/33由来のHAセグメントを含み、幾つかの耐性単離体が 、HAセグメントのみを含むことがわかった。これらの結果を図7にまとめた。 薬物耐性表現型を得るためには、耐性ウイルスA/WSN/33由来のHA遺伝 子が、必要不可欠であったという結果になる。 2. 薬物耐性ウイルスにおける変異の位置:作用のメカニズムとの関連 薬物耐性ウイルスにおけるすべての変異がHA遺伝子セグメントにマッピング されたことから、HAの阻害が抗ウイルス活性にとって必須であることは明らか である。HAのシアル酸受容体結合ドメインにマッピングされた変異がないこと は、これらの化合物が受容体認識を妨害しないことを示している。さらに、実験 から、インフルエンザウイルスによるニワトリ赤血球細胞の赤血球凝集が、融合 阻害剤によって影響されないことが示されている。 化合物C耐性ウイルスおよび化合物A耐性ウイルスの両方のHAセグメントに おいて発見された変異は、HAの一次アミノ酸配列にわたって分散しており、H AのA体の三次構造の2つの領域のうちのひとつに群存している。これらの2つ の領域とは:1)中性pHでA体の完全さを維持するために臨界的である、HA 1とHA2との間の界面、および2)HA2の融合ドメインの近傍である。これ らの変異を図8に示す。図9は、A体およびB体における、これらの変異の位置 を示す。図10は、これらの変異が、トリマーHA構造の内部に隠されているこ とを示す。 ウイルスが遺伝物質を宿主細胞の細胞質に導入できなくするという、HA媒介 性融合の阻害は、少なくとも5つの作用のメカニズムによって達成される。これ らの作用のメカニズムは次のとおりである。 B体の作用のメカニズムは、HAのB体を不活性化することによって融合プロ セスを阻害することからなる。このメカニズムには、B体と小さい分子などのイ ンヒビターとの直接の相互作用が含まれる。このようなインヒビターはコンホー メーションのスイッチとして迅速に作動すると予測される。 トリペリデン(Norikan(登録商標))およびBodianらの作用のメカニズムは、薬 物で細胞質内におけるA体のコンホーメーション構造をB体よりも安定化するこ とにより、A体からB体へのコンホーメーションの変化を阻害することからなる 。A体を安定化しうる少なくとも2つの方法がある。たとえばトリペリデンのメ カニズムは、エンドソーマルpHを上昇させてB体へのコンホーメーションの変 化を阻止することからなる。Bodianのメカニズムは、薬物がA体トリマーと相互 作用することによりA体を安定化し、それによってB体へのコンホーメーション の変化を阻止することからなる。この仮説はBodianらのBiochemistry,vol.32,29 67-2978(1993)に記載されている。 本発明においては、モノマーHAは、翻訳中に融合阻害剤に曝露され、その結 果として、ひとつ以上の融合阻害剤と結合、複合または会合しているA体トリマ ーが形成される。化合物Aおよび化合物C耐性ウイルスにおける変異の位置は、 エンドソーマルコンパートメントにおけるA体からB体へのコンホーメーション スイッチの阻害と一致する。薬物添加時間の実験から、これらの化合物の標的は 、感染宿主細胞内にあるが、抗ウイルス活性は、新たに感染した細胞における次 の感染ラウンド中のみに現れることが示された。本発明は、産生宿主細胞のHA のA体トリマーとの偵接の相互作用を含まないことになる。むしろ、本発明を例 証する化合物は、産生宿主細胞によって産生され、後代ウイルスによって用いら れるA体トリマーに影響を及ぼす。 これらの融合阻害剤が直接HAと相互作用する、上記メカニズムのサポートと して、薬物耐性ウイルスのサブセットは薬物依存的表現型を表した(すなわち薬 物の存在下、それらは薬物なしの100倍の力価で複製した)。 さらに、上記メカニズムを確認するために次のアッセイを行った。 赤血球融合アッセイ ヒト赤血球と感染したMDCK細胞の融合を、次のようにモニターした:MD CK細胞の集密的単層細胞を、およそ25の感染多重度で37℃にて1時間A/ Kawasaki/86に感染させた。次いで、0.2%ウシアルブミン(BA)を含む 最少必須培地(MEM)で2回濯ぎ、0.2%BA,2μg/mlのトリプシン および化合物Aを10μg/mlの濃度で含むMEMを満たす。37℃で8時間 インキュベートした後、単層を上記培地で1回濯ぎ、ヒト赤血球の1%リン酸緩 衝食塩水(PBS)の溶液を加える。室温で15分インキュベートした後、すべ ての未結合の赤血球が未感染のコントロール単層から洗浄されるまで単層をPB S(3〜5回)で広範囲にわたって洗浄する。次いで、結合洗浄の存在について 感染細胞を調べた。細胞単層を予熱したMEMとともにpH7または4.8にて 37℃でインキュベートした。5分間インキュベートした後、培地を中性pHの MEMで置き換え、単層を37℃でインキュベートした。感染MEM細胞と結合 ヒト赤血球の融合について細胞単層をモニターし、位相差光学顕微鏡(200倍 )で、2時間後に観察した。 結果 化合物Aで処理した細胞への赤血球の結合によって明らかなように(図11の パネルc対aを参照せよ)、化合物Aは、感染細胞表面のHAの発現に効果はな かった。しかし、感染MDCK細胞を化合物Aで処理すると、MDCKの低pH 誘発融合の阻害が得られた(パネルb対dを参照)。これらの結果は、化合物A が、HAの折り畳み中および/またはオリゴマー形成中にHAと結合し、それに よって膜融合を阻止するという仮説と一致する。 さらに、化合物Aの抗ウイルス活性に耐性を獲得しているA/WSN/33を 用いて赤血球融合アッセイを行った(表1参照)。化合物Aがヒト赤血球とA/ WSN/33感染MDCK細胞との融合において無効であることを示すことが観 察された。これらの結果は、化合物Aの抗ウイルス活性は、インフルエンザウイ ルスのHAのフソジェニック機能の阻害を介して媒介されるという仮説をさらに サポートしている。 別のメカニズムば、A体トリマーの形成からモノマーHAを阻害することであ る。トリマーHAが融合プロセスに必須であるために、A体のHAの形成を阻害 することによって、ウイルスと産生宿主細胞の融合が必然的に阻害される。 上記詳述した実験から、本発明は、タンパク質のオリゴマー形成がなされる、 標的タンパク質の翻訳中および/またはその小胞輸送中に、HAもしくはEタン パク質と結合、複合または会合する融合疎外剤によって、HA媒介性融合が阻害 され、最終的にA体トリマーからB体トリマーへのコンホーメションスイッチが 阻害されるという新規な作用メカニズムを含むことが立証された。融合阻害剤は 、完全に形成されたオリゴマー状態においては達せられない、タンパク質のドメ インへ結合、複合または会合すると考えられる。したがって、これらの化合物は 、完全に組み立てられたHAトリマーが成熟ビリオンのエンベロープへ挿入され た後では、活性はない。記載した作用のメカニズムに一致して、細胞のない培地 において感染性ビリオンと予備インキュベートした場合、化合物Aは試験の結果 不活性であった。 フラビウイルスの阻害 BVDVは、全ゲノム構成および遺伝子発現がC型肝炎ウイスルに類似してい るウイルスのうちのフラビウイルスグループに属する。BVDVは、組織培養ウ ィルス複製アッセイにおいて、HCV用のサロゲートウイルスとして用いられて いる。インフルエンザと同様に、フラビウイルスが宿主細胞に感染するには、特 定のウイルス膜糖タンパク質(すなわちEタンパク質)がフラビウイルスとエン ドソーマル膜の融合を媒介することが必要である。フラビウイルス感染が低pH によって刺激され、Eタンパク質のコンホーメーション変化に関連性があるとい う点で、フラビウイルスの融合はインフルエンザ感染を暗示する。 組織培養においてBVDVの複製を阻害する能力について、化合物Aおよび関 連化合物を試験した。化合物AはMDBKの複製を濃度3.5μg/mlで50 %および濃度13.4μg/mlで90%阻害した(表4を参照)。すべての化 合物は、DMSOに溶解してストック溶液とした。薬物の希釈はDMSOで行っ た;“薬物なし”のコントロールは、DMSOのみからなる。すべてのケースに おいて、DMSOの最終濃度は0.1%である。表4 化合物Aおよび関連化合物の抗BVDV活性 a)CPE/XTTアッセイにより決定したウイルスの複製を50%阻害する のに必要な化合物の濃度。 b)CPE/XTTアッセイにより決定したウイルスの複製を50%阻害する のに必要な化合物の濃度。 c)XTTアッセイにより決定したMDBK宿主細胞に対して50%の毒性を もつ化合物の濃度。 CPE/XTT保護アッセイまたはプラーク減少アッセイのいずれかにより抗 ウイルス活性を評価した。CPE/XTT保護アッセイでは、試験化合物につい て、ウイルス誘発性細胞毒性効果から宿主細胞を保護する能力を評価した。MD BK細胞を、96ウエル平底マイクロタイター組織培養プレート上のペニシリン /ストレプトマイシン、重炭酸ナトリウムおよび10%ウマ血清を含む最少必須 培地(MEM)に、約10000細胞/ウエルの密度で植えた。細胞をBVDV (ATCCVR−534)に感染多重度0.1プラーク形成ユニット/細胞で感 染させた。化合物のシリーズ希釈物を含む培地を加え、培養物を37℃で3〜4 日間、薬物なしコントロールにおいてウイルス誘発性細胞毒性効果が著しくあら われるまでインキュベートした。50μlの新たに調製したXTT−PMS培地 [(1mgの2,3−ビス(メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−2 H−テトラゾリウム−5(XTT)/mlおよび25nMのメトスルホン酸フェ ナジン(PMS)を含む血清フリーMEM)]を各ウエルに加えるTXTアッセ イにより抗ウイルス活性を定量した。プラークを37℃で2〜3時間インキュベ ートした。代謝的活性細胞と相互関係がある呈色を、450nmにおける光学密 度を記録することによって分光光学的に評価した。細胞毒性効果を50%妨害す るのに必要な薬物濃度(IC50)または90%妨害するのに必要な薬物濃度(I C90)を、各用量応答曲線の直線部分から算出した。 抗ウイルスプラーク減少アッセイでは、MDBK細胞を、6ウエルの組織培養 プレートに植え、MEM培養培地でインキュベートした。細胞が集密になったと き、培地を除去し、約100プラーク形成ユニットのBVDVを含む植え込み物 を各ウイルスに加えた。室温にてウイルスを1〜2時間吸着させた後、等量部の 1.5%アガロースおよび5%ウマ血清(v/v)を含む2倍のMEM中にDM SO担体単独または指示された濃度の薬物を含む表層を、細胞に加えた。表層を 凝固させる場合、37℃で2〜4日間、薬物なしコントロールにプラーク形成が 現れるまで、プレートをインキュベートした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,YU (72)発明者 ホーンバック,ウィリアム・ジェイ アメリカ合衆国46038インディアナ州 フ ィッシャーズ、ベント・トゥリー・レイン 10063番 (72)発明者 ムーシング,マーク・エイ アメリカ合衆国46143インディアナ州 グ リーンウッド、シエロ・ビスタ・ドライブ 664番 (72)発明者 マンロー,ジョン・イー アメリカ合衆国46220インディアナ州 イ ンディアナポリス、ローリング・パイン ズ・コート5783番 (72)発明者 スタシュク,カーク・エイ アメリカ合衆国46220インディアナ州 イ ンディアナポリス,グリーンリーブズ・ロ ード6423番 (72)発明者 タン,ジョゼフ・チョウ―チュン アメリカ合衆国46033インディアナ州 カ ーメル、ドーチェスター・プレイス1512番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.後代ウイルスは複製不能であるが、親ウイルスは複製可能であるように、 産生宿主細胞に、有効量の融合阻害剤を投与することを特徴とするフラビウイル ス複製を阻害する方法。 2.後代ウイルスは複製不能であるが、親ウイルスは複製可能であるように、 産生宿主細胞に、有効量の融合阻害剤を投与することを特徴とするインフルエン ザウイルス複製を阻害する方法。 3.モノマー赤血球凝集素が、ノンフソジェニックな融合ドメインを含むトリ マーを形成する請求項2記載の方法。 4.A体トリマーがエンドソーマルpHにおいて安定であるために、後代ウイ ルスが複製不能である請求項2記載の方法。 5.トリマー赤血球凝集素が、A体トリマーからB体トリマーへのコンホーメ ーション変化が不能である請求項2記載の方法。 6.後代ウイルスにおけるトリマー赤血球凝集素がエンドソーマルpHにおい て安定であるように、産生宿主細胞においてモノマー赤血球凝集素を融合阻害剤 に暴露することにより、トリマー赤血球凝集素の融合ドメインを不活性化する方 法。 7.成熟に際し、後代ウイルスの赤血球凝集素はノンフソジェニック(non-fu sogenic)であるが、親ウイルスの赤血球凝集素はフソジェニックであるように 、産生宿主細胞において後代ウイルスのA体トリマーを安定化することを特徴と するインフルエンザウイルス複製を阻害する方法。 8.A体からB体へのコンホーメーション変化が不能であるために、赤血球凝 集素がノンフソジェニックである請求項7記載の方法。 9.産生宿主細胞に有効量の融合阻害剤を投与することを特徴とする後代イン フルエンザウイルスと宿主細胞の融合を阻害する方法。 10.成熟中、後代ウイルスにおける赤血球凝集素はノンフソジェニックであ るが、親ウイルスの赤血球凝集素はフソジェニックであるように、後代ウイルス の赤血球凝集素の融合ドメインを安定化することを特徴とする後代インフルエン ザと宿主細胞の融合を阻害する方法。
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