JP2001516768A - 臓器を維持するための組成物、方法及び装置 - Google Patents

臓器を維持するための組成物、方法及び装置

Info

Publication number
JP2001516768A
JP2001516768A JP2000512407A JP2000512407A JP2001516768A JP 2001516768 A JP2001516768 A JP 2001516768A JP 2000512407 A JP2000512407 A JP 2000512407A JP 2000512407 A JP2000512407 A JP 2000512407A JP 2001516768 A JP2001516768 A JP 2001516768A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organ
storage
liquid medium
solution
heart
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000512407A
Other languages
English (en)
Inventor
ハッサネイン,ワリード,エイチ.
Original Assignee
ハッサネイン,ワリード,エイチ.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US08/936,062 external-priority patent/US6100082A/en
Application filed by ハッサネイン,ワリード,エイチ. filed Critical ハッサネイン,ワリード,エイチ.
Publication of JP2001516768A publication Critical patent/JP2001516768A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • A01N1/0236Mechanical aspects
    • A01N1/0242Apparatuses, i.e. devices used in the process of preservation of living parts, such as pumps, refrigeration devices or any other devices featuring moving parts and/or temperature controlling components
    • A01N1/0247Apparatuses, i.e. devices used in the process of preservation of living parts, such as pumps, refrigeration devices or any other devices featuring moving parts and/or temperature controlling components for perfusion, i.e. for circulating fluid through organs, blood vessels or other living parts

Abstract

(57)【要約】 移植前に採取臓器を機能状態及び生存状態に維持するための、組成物、方法、システム/装置及び媒体を提供する。臓器灌流装置は、保存期間に臓器を保存するための保存チャンバーを含む。酸素富化液体を臓器に提供するための第一ライン及び劣化した液体を臓器から運び出すための第二ラインを有する灌流回路を提供する。灌流装置はまた、臓器を実質的に正常体温の温度に維持するための、灌流回路に作動可能に結合された装置を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 1.技術分野 本発明は、移植又は再移植の前に、採取した(体外の)動物臓器を機能状態及
び生存状態に維持するための組成物、方法、システム/装置及び媒体に関する。
特に、本発明は、採取したヒト又はヒト適合性臓器を機能的状態及び生存状態に
維持するための組成物、方法、システム/装置及び媒体に関する。かかる臓器は
、かかる状態で評価されてもよく、又は死後に蘇生させてもよい。
【0002】 本発明はまた、臓器灌流装置、より詳しくは、採取された臓器の保存期間を延
長するための灌流装置及び方法並びに化学組成物に関する。
【0003】 2.論考 多くの態様を有するが、本発明は、臓器を理想に近い条件及び生理的状態で保
存するためのシステム、装置(器具)、方法及び媒体に関する。これにより、臓
器をより長い期間保存でき、保存の間に高エネルギーリン酸塩の分解を減少でき
、虚血及び再灌流障害を減少でき、並びに全体的に結果を改善することができる
。通常若しくは通常に近い機能状態での保存期間の増加は、ある利点も提供する
。例えば、臓器をより遠距離に輸送可能であり、かかる臓器の試験及び評価の時
間が増加する。
【0004】 心臓移植に列挙される4患者に1人が、適するドナー臓器の入手可能性を待ち
ながら死亡していると推定される。いくつかの進歩により、ドナー臓器がより入
手可能になってはいるが、ドナー心臓保存技術の開発の達成は、心臓移植の要求
に遅れをとっている。患者の生存の改善と新しい免疫抑制剤の開発に伴い、心臓
移植はより実行可能なものとなり、臓器供給の問題をより重要にしている。現在
のドナー臓器及びドナー心臓保存技術により得られる、許容し得る臨床結果にも
かかわらず、挑戦が続けられている主要なものの1つには、4時間以上のドナー
心臓の安全な保存が、現在、不可能であることがある。現在の保存技術を用いて
保存期間を4時間以上に延ばすことは、移植間又は移植後における臓器の機能不
全の危険性を有意に増加する;この機能不全は、保存の期間と技術に関連する。
この4時間の制限は、移植を成功させるため、ドナー心臓を輸送し得る地理的面
積も制限する。さらに、心臓又は他の臓器の現在の備蓄方法又は保存方法は、臓
器を非機能状態及び/又は低体温状態で保存するため、保存臓器の、完全な若し
くは意味のある試験又は評価の実施を不可能なものにする。
【0005】 一般に、現在のドナー臓器保存プロトコルでは、採取臓器のためのインビボ様
の生理的状態を再構築する試みは行われていない。そのかわりに、それらでは、
最高4時間の低体温(20℃以下、通常、約4℃)停止及び心臓(非拍動性)又
は他の臓器(非機能性)の維持のための化学灌流液中での保存を利用する。これ
らのプロトコルでは、虚血及び再灌流障害から生ずる心筋損傷からドナー心臓を
完全には保護しない、種々の晶質系心臓麻痺溶液を利用する。最も頻繁に使用さ
れる心臓麻痺保存溶液は、ジ ユニバーシティー オブ ウイスコンシン溶液(
UW)、セント トーマス溶液、及びザ スタンフォード ユニバーシティー溶
液(SU)である。心筋損傷に加え、虚血、再灌流及び/又はカリウム濃度の増
加はまた、最近の臓器機能不全の主要原因であると信じられている、冠状血管運
動不全に導く冠状血管内皮障害及び平滑筋障害を生ずるかもしれない(虚血とは
一般に、心筋への不十分な血液供給と定義されている。)。
【0006】 心臓に保存溶液を低体温状態で灌流する技術も開発されている。他の臓器(肝
臓、腎臓、肺など)は、類似の非機能性で低体温の状態に維持されている。その
ように保存される心臓又は他の臓器は、次いで、移植までの最高でほんの4時間
の間に、この低体温状態で輸送される。
【0007】 当該技術分野で周知のように、適切なドナー心臓又は他の臓器の保存に、以下
の原理が適用され、それは虚血及び/又は再灌流障害の最少化に貢献すると考え
られている:a)細胞膨張及び浮腫の最少化;b)細胞内アシドーシスの防止;
c)虚血及び/又は再灌流障害の最少化;並びにd)再灌流の間の高エネルギー
リン酸塩化合物及びATPの再生のための基質の供給。低体温停止及び備蓄保存
の現在の方法では、細胞膨張、細胞内アシドーシス、及び高エネルギーリン酸塩
の分解を生ずることが知られている。さらに、ヒトにおける研究では、低体温停
止及び保存プロトコルを利用する際の、ドナー心臓保存後の有意な内皮不全が明
確に示されている。いくつかの例では、低体温停止を受けた臓器が受容者に移植
され、それは移植後に再始動又は蘇生され得ない。さらに、多くの場合、不十分
な保存により、急性移植片機能不全を起こしたり、移植臓器による通常機能の再
開及び受容者の循環の維持が出来なくなる。次いで、急性移植片機能不全の問題
は、他のドナー心臓に置きかえるまで、心室補助装置及び/又は心肺バイパスに
よる、受容者の循環系の不断の援護を必要とする。いくつかの例では、適切な臓
器は、受容者が死に至るまでには置きかえれ得ない。代謝、収縮及び血管運動機
能の保存は、現在の保存プロトコルでは最適化されないということについて、最
近の多くの臨床研究からその証拠がまた増加している。例えば、パール(Pea
rl)ら、「ユニバーシティー オブ ウイスコンシン溶液を用いた心筋保護の
後の、内皮依存性血管拡張及び一酸化窒素放出の喪失(“Loss of En
dothelium−Dependent Vasodilatation a
nd Nitric Oxide Release After Myocar
dial Protection With University of W
isconsin Solution”)」、Journal of Thor
acic and Cardiovascular Surgery,Vol.
107,No.1,1994年1月を参照のこと。
【0008】 当該技術分野では、内因性に近い最適な条件で採取した臓器を保存することが
できず、また、かかる保存が実施可能である又は望ましいと認識されていないこ
とから、臓器状態の悪化を防止するため、低体温条件及び/又は晶質系心臓麻痺
溶液の上記組み合わせの使用が試みられている。
【0009】 当該技術分野で試みられている他のアプローチは、ほとんど全てのドナーの臓
器を一緒に採取することにより、通常に近い生理的条件を模倣することである。
例えば、チェン(Chien)ら、「24時間以上の正常体温保存の後のイヌ肺
移植(“Canine Lung Transplantation Afte
r More Than Twenty−four Hours of Nor
mothermic Preservation)」、The Journal
of Heart and Lung Transplantation,V
ol.16,No.3,1997年3月では、非適合性血液を連続的に灌流する
ことで、最高24時間、拍動活動状態でブタ心臓が保存される、自動灌流機構を
開発した。このシステムは、ドナー心臓の保存時間を安全に延長できる可能性を
示したが、この方法では、心臓との組み合わせで(ひとまとめにして)肺、肝臓
、膵臓、及び腎臓の除去及び保存を、全てについて機能的条件であり、また、全
てが未だ相互作用しかつ相互依存するようにして行う必要があるので、非常に煩
わしく、広範な使用には実際的でない。
【0010】 連続的で容易な灌流を提供することによる、ドナー心臓又は他の臓器を通常(
拍動又は機能)状態に維持しながらの、ドナーから摘出されたドナー心臓又は他
の臓器のエキソビボでの又は生体外での保存の延長を、当該技術分野において達
成する必要がある。かかる技術は、低体温環境における保存のための心臓停止の
必要を消去し、再灌流障害を低減し、低体温停止及び保存に関連する、その多く
が明らかに時間依存的である多くの問題を克服するであろう。
【0011】 24時間以上までの摘出した臓器の保存の延長のために、正常体温の温度(約
20℃〜約37℃、好ましくは約25℃〜約37℃)で摘出臓器を容易に灌流す
るための生体外回路の構築用の装置、方法及び生理的媒体を提供することが、当
該技術分野においてさらに必要である。かかる装置、方法及び媒体は、保存期間
に拍動又は機能状態に心臓又は他の採取臓器を適切に維持し、基質のパルス状の
冠流及び均一な分布を保証するであろう。かかる装置、システム、方法及び媒体
は、時間依存性の虚血障害及び虚血延長を避け、それによって冠状内皮血管運動
機能を保存し、高エネルギーリン酸塩の代謝的分解を防ぎながら、採取臓器の保
存期間を現在の4時間の制限以上に延長する能力を提供するであろう。
【0012】 さらに、かかる装置、方法及び媒体は、臓器ドナープールを拡大し、組織適合
性調和時間を増加させ、心臓の同種移植片血管症の発生率を潜在的に低減させる
ことができるであろう。ドナー心臓の保存期間の延長は、心臓移植の慣行に劇的
なインパクトを有するであろうことが認められるであろう;臓器の全世界的な回
収が可能になり、従って、入手可能な臓器のプールが増加するであろう。適する
近位の受容者の欠如による、臓器の不使用は無くなるであろう。さらに、機能状
態での保存と組み合わせる追加時間では、例えば、各臓器の免疫的及び機能的特
性を決定するための臓器の評価及び試験を行い、それによって、臓器のより完全
な評価を行い、移植片機能不全の危険性を低減することができるであろう。
【0013】 即ち、先行技術では、採取臓器に、理想に近い生理的状態エキソビボを使用す
ることの実施可能性及び/又は望ましさを認識することはできない。
【0014】 本態様は、本発明の組成物、方法及びシステム/装置により、提供される。(
1)ドナー適合性全血(又は白血球除去全血)及び(2)炭水化物源、インシュ
リン及びエピネフリンを含む他のホルモン類、重炭酸イオン源などの電解質及び
緩衝液を含む保存溶液を含んでなる、液体又は液媒体を提供する。この液体又は
液媒体は、少なくとも1つの大血管、好ましくは、実質的に臓器を取り囲む若し
くは浴浸する、かかる臓器の「外部」部分に送達される。このように、本発明の
組成物、方法、システム/装置及び媒体は、正常体温若しくは実質的に正常体温
である温度における理想的な保存条件を提供するのに使用され得、臓器が機能的
に維持され得る。
【0015】 発明の要旨 本発明は、移植又は再移植を含む、移植前の保存期間又は評価期間の間に、保
存又は蘇生が必要なヒト又はヒト適合性採取臓器の保存システムを提供する。本
発明のシステムはまた、保存期間に、移植される臓器に、地理的な場所を変更さ
せ得る。このシステムは: (a)(i) 前記臓器適合性の全血(又は白血球除去全血)及び(ii)保存溶液を含
有してなる、生理的媒体又は液体と交流する、前記臓器をいれるための封入手段
; (b)前記臓器の少なくとも1つの大血管に前記液体を送達するための送達手段
; (c)前記臓器から前記液体を運び出すための手段; (d)灌流液及び前記臓器の温度を約20℃〜約37℃の正常体温の温度に維持
するための温度制御手段; (e)前記液体の圧力を制御するための圧力制御手段; (f)前記液体の少なくとも一部を酸素富化するための酸素富化手段; (g)好ましくは前記酸素富化手段と前記臓器との間に位置する、前記液体から
好ましくない濾液を除去するための濾過手段;並びに (h)前記液体の少なくとも一部の流れを制御するためのフロー制御手段; を含む。
【0016】 かかるシステムは、前記臓器の外部が実質的に完全に前記液体に浴浸され又は
取り囲まれるように、任意に前記液体を前記封入手段に送達するための手段を含
む。
【0017】 本発明はまた、特に本発明のシステム及び方法との組み合わせが有効な、ヒト
又はヒト適合性採取臓器を約20℃〜約37℃の正常体温の温度において機能状
態に保存するための臓器保存溶液を提供する。これらの溶液は: (1)炭水化物又は他のエネルギー源; (2)塩化ナトリウム; (3)カリウム; (4)カルシウム; (5)マグネシウム; (6)重炭酸イオン; (7)エピネフリン;並びに (8)アデノシン、 を含む。
【0018】 これらの溶液は、さらに脂肪酸に加え、ニトログリセリン、ACE阻害剤、ベ
ータブロッカー、細胞保護剤、抗酸化剤、抗生物質、抗微生物剤、抗真菌、抗ウ
イルス、免疫抑制剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド類、及びそれらの混
合物から選ばれる医薬を含んでもよい。
【0019】 好ましい態様では、臓器保存溶液は、非代謝性インペルメント(impermeant)
を実質的に含んでおらず;また、pHが約7.4〜約8.5である。
【0020】 本発明はまた、移植又は再移植前の保存期間又は評価期間における機能状態で
のヒト又はヒト適合性採取臓器の保存方法を提供する。かかる方法は以下の工程
を含む: (a)保存する又は試験する、生体外臓器を提供する工程; (b)前記臓器のための封入手段を提供する工程; (c)保存媒体又は液体を提供する工程;前記液媒体は: (i) 前記臓器適合性の全血又は白血球除去全血;及び (ii)(a) 代謝性炭水化物; (b) 塩化ナトリウム; (c) カリウム; (d) カルシウム; (e) マグネシウム; (f) 重炭酸塩; (g) エピネフリン;及び (h) インシュリン; を含んでなる保存溶液: を含んでなる; (d)前記臓器が約20℃〜約37℃の正常体温の温度に維持されている間に、
封入された機能性臓器の少なくとも1つの大血管にかかる液体を送達する工程。
好ましい態様では、かかる液体はまた、臓器の外部に送達される。
【0021】 本発明は、連続的で容易な灌流が可能な方法を実施することによる、正常又は
正常に近い拍動又は機能状態での、ドナー臓器又は心臓の適切なエキソビボでの
保存及びかかる保存の延長を提供する、システム、器具、方法及び媒体を提供す
る。本発明に関連する、かかるシステム、器具、方法及び媒体によれば、この保
存期間を、心臓又は他の臓器を生存状態に維持しながら、24時間以上に延長す
ることができる。
【0022】 従って、実施例により、一態様において、保存期間に採取臓器を維持するため
の灌流装置を提供する。かかる灌流装置は、保存期間に臓器を保存するための保
存チャンバーを含む。酸素富化液体を臓器に提供するための第1ライン、及び臓
器から劣化した液体を運び出すための第2ラインを有する、灌流回路を提供する
。灌流装置はまた、実質的に正常体温の温度に臓器を維持するための灌流回路と
作動可能に結合された装置を含む。さらに、灌流装置は、臓器を生存状態に維持
する。
【0023】 他の態様において、実施例により、臓器又はドナー心臓を灌流する方法を提供
する。かかる方法は、臓器を入れるための保存チャンバー、及びかかる保存チャ
ンバーに作動可能に結合された灌流回路を提供する工程を含む。灌流回路は、液
体を臓器に送達するための第1ライン、及び臓器から液体を運び出すための第2
ラインを含む。かかる方法はまた、灌流回路において、数種の化学物質溶液を液
体に提供する工程、及び臓器又はドナー心臓に液体を灌流する工程を含む。
【0024】 本発明の組成物、方法、システム/装置及び媒体は、基質の均一な分布を保証
するために、保存期間にドナー心臓を拍動状態に維持する。心臓を拍動状態に維
持することは、さらに、現在、ドナー心臓保存に対し行われている4時間の低体
温停止及び保存期間以上に、正常代謝で、収縮性の内皮血管運動機能を維持する
のに役立つ。
【0025】 本発明の種々の利点が、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲を読むことに
より、また以下の図面を参照することにより、当業者に明らかになるだろう。
【0026】 本発明の前記目的及び他の目的、特徴並びに利点は、参照として、文字により
異なる図を通して同じ部分を引用する、添付の図面で説明するので、以下の本発
明の好ましい態様のより詳細な説明により明らかになるであろう。かかる図面は
、本発明の原理の説明に代わるスケール、強調では必ずしもない。
【0027】 発明の詳細な説明 本発明は、移植又は再移植用に採取された、ヒト心臓など、少なくとも1つの
ヒト又はヒト適合性臓器の保存時間を延長するための潅流装置及び方法に関する
【0028】 ここで、図1を参照しながら、本発明による潅流システム10を示す。図1は
潅流システム10のスキームを示したものであるが、このスキームに対する様々
な変更も、本発明の範囲に含まれるものと解される。本発明は、ドナー心臓を拍
動状態で任意に採取し、該臓器を拍動状態に保ち、パルス状の生理的冠血流を与
える潅流システム10に接続することができる。すなわち、ドナー心臓は、潅流
システム10と接続する前に停止させる必要がない。さらに、ドナー心臓は、保
存期間中、心停止低体温状態で保存されることはないので、経時的虚血障害が排
除される。本発明のもう1つの利点は、保存期間を延長するために用いられる潅
流液が、潅流システム10を循環する主に自己血(好ましい)又は場合によって
は同種血から成るということである。したがって、ドナー心臓は、保存期間中、
酸素と必須栄養素の供給を受けることになり、これが臓器を生きた状態に保つ。
さらに、細胞老廃物も臓器から取り除かれ、潅流システム10の外に濾去される
【0029】 潅流システム10は、最大24時間まで又はそれ以上の期間にわたりドナー心
臓12を拍動状態に保つためにヒト循環器系をシュミュレートする目的で設計さ
れている。ヒト循環器系の場合と同様に、潅流システム10も、自己血及びその
他の化学組成物から成る液体をドナー心臓12に循環させるための閉鎖潅流回路
14から成る。すなわち、潅流回路14は、酸素富化潅流液をドナー心臓12に
供給するための1つ以上の動脈ライン16、及び劣化潅流液をドナー心臓12か
ら運び出すための1つ以上の静脈ライン18を含む。本発明の方法の一部として
、動脈ライン16を用いて、非活動状態と活動状態の両方の状態でドナー臓器1
2を潅流することができる。以下、この順向潅流法について、さらに詳細に説明
する。
【0030】 さらに図1を参照し、ドナー心臓12を、潅流回路14に接続された状態で示
す。ドナー心臓12は、保存臓器が見えるように硬質透明プラスチック製である
ことが好ましい保存チャンバー20の中に閉じ込められている。保存チャンバー
20はLEXANOプラスチックなどのプラスチック材料から形成されたもので
あることが好ましいが、保存チャンバー20は、ドナー心臓12の高低及び形状
に合わせてジッパーバッグ(図示せず)状の、厚みがあるが軟質で可塑性のプラ
スチック製であってもよい。保存チャンバー20が硬質プラスチック容器である
場合、プラスチックカバーアセンブリー(cover assembly)22を用いて、保存
チャンバー20をシールするとともに、ドナー臓器12の無菌性と湿潤性を維持
する。軟質プラスチック保存チャンバー( 図示せず) を使用する場合、ジッパー
を用いて、保存チャンバー20をシールするとともに、臓器を保護する。保存チ
ャンバー20の最下部には、適当なドレイン24が設けられている。ドレイン2
4は、ドレインライン26を介してリザーバー30に接続されていて、取付け時
に臓器12から溢出したり、保存及び輸送期間中に起きる液漏れによって溢出す
る血液を返送させることができる。
【0031】 開示されるように、リザーバー30は、約500〜3000mlの液体が入る
ように設計されている。まず、リザーバー30を500〜2500mlの自己血
又は交差試験した血でプライミングした(primed)後、その血液を潅流回路14
を通して圧送させる。あるいは、適合性のある血液又は代用血液も、本発明の範
囲に含まれる。リザーバー出口ライン32は、潅流回路14の動脈ライン16を
通して潅流液を循環させる遠心ポンプ34(好ましい)の入口に接続される。本
用途に好ましいポンプとしては、メドトロニック(Medtronic )社製のBiom
edicus550があるが、このものは磁場駆動コーンを介して血液を移動さ
せる。従来のローラーポンプを使用してもよいが、血液の溶血を極力抑えるため
には、遠心ポンプ34によって生成される磁性推進力が好ましい。パルス流が望
ましい場合、サーモカルディオシステムズ(Thermo-Cardiosystems Inc. )社製
のHEARTMATE(登録商標)電気補助ポンプやバクスターヘルスケア(Ba
xter Healthcare Corporation )社製のNOVACOR左心室補助ポンプなどの
パルスポンプ(pulsatile pump)を用いることができる。代表的なパルスポンプ
としては、チェン(Chen)ら、米国特許第5,599,173号公報に開示され
ているものが挙げられる。
【0032】 遠心ポンプ34は、血液を、ポンプ出口ライン36を介して中空繊維膜オキシ
ジェネーター(oxygenator)38に移動させる。血液は、好ましくは95%O2
と5%CO2の混合物を用いて、1〜2L/ 分の速度で、膜オキシジェネーター
38によって酸素富化される。好ましいオキシジェネーターとしては、ソーリン
バイオメディカル(Sorin Biomedical)社製のMonolythやメドトロニッ
ク社製のMINIMAX PLUS(商標)などの中空繊維膜オキシジェネータ
ーが挙げられる。図1には具体的には示していないが、膜オキシジェネーター3
8は、レギュレーター付き酸素ボトル178を通して酸素と二酸化炭素を与えら
れる。オキシジェネーター38は、加圧潅流液を他のデバイスに向かわせる複数
のポート(port)(図示せず)も具備している。ウォーターヒーター/ クーラー
40が、潅流回路14の中の液体を約37℃(正常体温)に保つウォーター回路
42を通して、加温水を供給する。次いで、加温潅流液が、ドナー心臓12を正
常体温の温度に保つ。あるいは、ウォーターヒーター40は、潅流回路14の中
の潅流液を冷却するために、ウォーター回路42を通して循環する水から熱を奪
うこともできる。熱は、様々な理由で奪うことができる。たとえば、装置/ シス
テム10が臓器12を温かすぎる環境( すなわち正常体温を超えている) で保存
している場合、温度が37℃又はそれ以外の所定温度を超えるのを防ぐために、
液体から熱を奪うことができる。熱はまた、液体を37℃以下に冷却するために
液体から奪うこともできるが、これは、保存臓器12を低めの正常体温状態及び
/ 又は軽度の低体温状態に誘導する場合に望ましい。これは、臓器12を停止さ
せる前でも望ましい。液体と臓器の温度を約20℃まで下げるために、十分な熱
を奪ってもよい。オキシジェネーター出口ライン44は、酸素富化、再加温され
た液体をフィルター46に運ぶ。液体は、ポールフィルターズ(Pall Filters)
社製のPall白血球除去フィルターなどの白血球フィルターで濾過することが
好ましい。
【0033】 フィルター46の出口は、フィルター出口ライン48を介してセレクターバル
ブ50に接続される。セレクターバルブ50は、液体流を、初期潅流ライン52
(大動脈を介する順向潅流用)、左心房供給ライン54( 左心房を介する順向潅
流用) 、又は両方のライン同時に(プライミング用)のいずれかに向かわせるた
めの複数の位置のうちの1つに置くことができる。また、セレクターバルブ50
は、完全に動作を停止させてもよい。図からわかるように、ライン48、54、
及び場合によってはライン52と58が、潅流回路14の動脈側16を10形成
する。初期潅流ライン52の反対側末端はティー(tee )56に接続され、次い
でこのティーは大動脈ライン58と後負荷カラムライン60へと分岐する。ライ
ン60と大動脈返送ライン62を接続するために、ストレートコネクター61が
用いられる。単向サイホン(siphoning )防止バルブが固定されているルアーポ
ート(luer port )63がコネクター61に固定されており、コネクター61を
横切って圧送される液体が、余分な液体を後負荷ライン60からサイホンさせる
ことなく、大動脈返送ライン62を通って流れるようにするための単向バルブと
して作用する。ルアーポート63は、液体のサイホン効果をこわすために空気を
大動脈返送ライン62に入れる作用をする。すなわち、後負荷カラム60の頂部
は、コネクター61とルアーポート63によって形成される。
【0034】 後負荷ライン62の遠位末端は、大動脈130を通して圧送される血液がリザ
ーバー30に返流するようにするために、リザーバー30に取付けられている。
以下、さらに詳細に説明するように、大動脈ライン58は、潅流システム10の
動作モードに応じて、ドナー心臓12での双向流を供給する。後負荷カラム60
の高さは、心臓12がそれに抗して拍動すなわち圧送するところの後負荷圧を選
択的に変化させるために、一定の垂直位置範囲内で調節可能である。後負荷カラ
ム60を通して圧送された液体がコネクター61を横切ると、大動脈返送ライン
62を介してリザーバー30に返送される。また、右心室返送ライン64が肺動
脈132に接続され、冠流出液をリザーバー30に返送する。図に示したように
、心臓が動いている状態にあるときは、ライン58、60、62及び64が潅流
回路14の静脈側18すなわち送達手段を形成する。
【0035】 大動脈流は、大動脈ライン58の一部をなす超音波フロープローブ66によっ
て測定される。同様に、超音波フロープローブ68は、右心室からリザーバー3
0への冠流出液が右心室返送ライン64を通る冠血流を測定する。超音波フロー
プローブ66及び68によって生成される大動脈流信号と冠流信号は、保存臓器
12の状態及び潅流システム10の性能の状態の監視を補助する2チャンネル流
量計70で記録される。本発明と合わせて使用するのに好ましい流量計70は、
トランソニックシステムズ(Transonic Systems )社製の2チャンネル流量計で
ある。
【0036】 冠流は、心臓12の上の後負荷カラム60の高さを調節し、ポンプ34によっ
て提供される流速を調節することにより、許容される生理的範囲( 300〜50
0ml/ 分) 内に保たれる。後負荷圧は約70mm水銀柱に保たれるが、必要に
応じて調節してもよい。ドナー心臓12の腔内圧を測定するために、マイクロチ
ップ圧力カテーテル72が、左心房134を介して左心室に挿入される。好まし
い圧力カテーテル72としては、ミラーインスツルメンツ(Millar Instruments
)社製のタイプのものが挙げられる。圧力カテーテル72が生成するすべての圧
力測定値は、やはり保存臓器12の状態の監視を補助するデジタル式圧力記録シ
ステム74を用いて記録され、表示される。開示されるように、圧力記録システ
ム74は、多数の圧力測定値を記録し、表示することができる。
【0037】 オキシジェネーター38から出ているポートの1つは、滴下マニホールド(ma
nifold)80に酸素富化血液を供給する供給ライン76に接続される。開示され
るように、3つのIVバッグ82、84、86が滴下マニホールド80に接続さ
れ、保存臓器に様々な化学組成物を供給する( 以下、さらに詳細に説明する) 。
滴下マニホールド80は当該分野において公知であり、IVバッグ82、84、
86に保存されている滴下速度調節済みの各化学物質溶液を受容するための機構
を提供する。当該分野において公知であるように、滴下速度は、インフュージョ
ンポンプ(infusion pump )( 図示せず) によって調節することができる。ドナ
ー心臓12への循環のために、マニホールド出口ライン78が、様々な化学物質
溶液で富化された血液をリザーバー30に運ぶ。
【0038】 潅流システム10の様々なライン及び要素を作製するためには、多様な材料を
用いることができる。潅流回路14のほぼすべてのライン及び要素は常に血液潅
流液と接触しているため、体外人工表面への血液の曝露によって引き起こされる
急性炎症反応を抑制すことが望ましい。この問題を解決するために、潅流回路1
4の中のすべての接触面をヘパリンでコーティング又は結合して、補体及び顆粒
球の活性化を低減させてもよい。あるいは、ヘパリンは、潅流回路14を通して
循環する液体に直接的に導入してもよいし、他の生体適合性表面を回路14に利
用してもよい。
【0039】 さらに図1を参照しながら、潅流システム10の動作について、より具体的に
説明する。上記したように、ドナー心臓は、拍動状態又は停止状態のいずれかの
状態で採取され、保存チャンバー20に入れられる。この時点で、遠心ポンプ3
4が酸素富化され再加温された血液をライン48を通して圧送する。プライミン
グの際は、血液を初期潅流ライン52と左心房供給ライン54を同時に通過させ
る位置に、セレクターバルブ50が置かれる。潅流回路14の動脈ライン16が
、気泡又は空気ポケットの存在を排除するのに十分にプライミングされたら、バ
ルブ50が初期潅流ライン52に液体を供給するための位置に回転される。次い
で、大動脈ライン58は、大動脈カニューレ120を用いて大動脈130に接続
され、固定される。この手順により、血液を、大動脈ライン58に流れ込ませ、
大動脈130を介して、非活動拍動状態のドナー心臓12をただちに潅流させる
。あるいは、後負荷ライン60をクランプ(clamped )して、大動脈130への
血流を最大化させてもよい。この大動脈130を介する順向潅流の手順は、ドナ
ー臓器の安定化を図るとともに、装置取付け時間を確保するために、約10〜1
5分間にわたり実施される。この装置取付け時に、残りのフローラインがドナー
心臓12に接続される。より具体的には、大動脈ライン58と大動脈130の間
の接続が完了し、供給ライン54が左心房134に接続され、右心室返送ライン
64が肺動脈132に接続される。次いで、肺静脈、上及び下大静脈が#0縫合
絹糸を用いて結紮閉鎖される。初期接続プロトコルの際は、流出血液は保存チャ
ンバー20の中に閉じ込められ、ドレインライン26を介してリザーバー30に
返送される。
【0040】 安定化段階終了時に、左心房供給ライン54を介する左心房134への流れを
同時的かつ徐々に増大させるとともに、初期潅流ライン52を通る流れを徐々に
遮断するセレクターバルブ50を正常動作位置まで回転させることによって、大
動脈130への流れが減少される。後負荷ライン60もクランプ解除される。次
いで、この手順が、ドナー心臓12を非活動状態から血液がドナー心臓12によ
って潅流回路14の静脈ライン18を通して圧送される活動状態に切りかえる。
ドナー心臓12は常に拍動しつづけるということが特に注目される。動脈ライン
16を通るドナー心臓12への血流は、遠心ポンプ34によって補助される。ド
ナー心臓12は、保存チャンバー20の上の後負荷カラム60の垂直位置によっ
て生じる後負荷圧に抗して拍動させられ、これによりパルス状冠流が発生する。
また、酸素富化血液が冠血管系に供給され、冠血管系から来る脱酸素化血液が右
心室から肺動脈返送ライン64へ圧送され、リザーバー30に返送される。この
時点で、ドナー心臓12は、保存期間中、生きた拍動状態に保つことができる。
潅流システム10を心臓の保存に使う場合について具体的に説明したが、本発明
に関する装置及び方法は、ライン52、58、60及び62を除き、ライン54
を用いて臓器の動脈にカニューレ留置し、ライン64を用いて保存臓器の静脈に
カニューレ留置することによって、あらゆる固体臓器の保存時間を延長する目的
にとくに適している。すなわち、潅流システム10により、腎臓、肝臓、肺、膵
臓、及び小腸をはじめとする臓器を長期にわたり保存することができる。
【0041】 ここで、図2に移り、保存チャンバー20及び様々なカニューレとドナー心臓
12の間の接続について、さらに詳細に示す。開示されるように、保存チャンバ
ー20は開放上端部を有し、ほぼ円筒状の側壁90と、ライン26を介したリザ
ーバー30への返送のためにドレイン24への液体の流れを促進する勾配底部9
2によって形成される。装置取付け時及び保存時に、勾配底部92は、より正し
い解剖学的位置にドナー臓器12をさらに収納する。円筒状側壁90の上端部は
、カバーアセンブリー22を受容するためのさらに別の面を提供するために、周
囲を囲むように外側に突き出たフランジ(flange)94を具備している。
【0042】 ここで、図2及び3を参照しながら、カバーアセンブリー22の要素について
さらに詳細に説明する。カバーアセンブリー22の外周は、ヒンジ(hinge )9
8によって接続されている2個の半分割部分を具備したクランピングリング96
によって形成される。クランピングリング96の2個の半分割部分は、スナップ
ロック(snap lock )100を介して目に見えるように固定することができる。
カバーアセンブリー22の残り部分は、カニューレプレート106を受容するた
めに、中心にアパチャー(aperture)を有する円状カバープレートを一体的に形
成する第1カバー102と第2カバー104によって形成される。クランピング
リング96は、図2に示すように、密封シールを作り出すために、フランジ94
と第1及び第2カバー102、104を受容するために設計されたほぼU字型の
断面を有する。第1カバー102と第2カバー104の間の隣接エッジ105は
、カバーアセンブリー22に対してさらに剛性と密封性を付与するための舌溝(
tongue-and-groove )構造(図示せず) を具備している。同様に、カニューレプ
レート106は、カバーアセンブリー22の中にカニューレプレート106を固
定するために、第1カバー102と第2カバー104の内部に形成された環溝1
10内に嵌合する環舌部108を具備している。隣接エッジ105と関連する舌
溝構成については具体的には示さないが、当業者であれば、本構成が環舌状部1
08及び環溝110の構成と実質的に同様であることの良さを容易に認識するで
あろう。
【0043】 カバーアセンブリー22を構成するいくつかのバリエーションが存在するが、
第1カバー102と第2カバー104はクランピングリング96のそれぞれの側
に恒久的に固定されることが好ましい。この場合、カバーアセンブリー22が保
存チャンバー20の上端部に置かれたときに、フランジ94を受容するために、
環状チャンネル112がクランピングリング96の下部内周に沿ったままの状態
でとどまる。環状チャンネル112をフランジ94と正しく嵌合させると、スナ
ップロック100を強固に締付けるためにクランピングリング96の両方の半分
割部分を一体化させて、カバーアセンブリー22が封入臓器の無菌性と湿潤性を
適切に保つことができる。
【0044】 カバーアセンブリー22がもたらすもう1つの利点は、取付け時及び固定時に
、カニューレプレート106がカバーアセンブリー22の第1及び第2のカバー
102、104とインターロックする別の要素となっていることである。このた
め、カニューレプレート106の中に固定される様々なカニューレを、カバーア
センブリー22の取付け前に、臓器12上の正しい位置に取付けることができる
。カニューレプレート106はまた、臓器12を潅流システム10に接続する際
に、各カニューレを正しい位置に置くという働きもする。さらに詳しくは、カニ
ューレプレート106は、大動脈カニューレ120を受容するための第1のアパ
チャーと、動脈カニューレ122を受容するための第2のアパチャーと、左心房
カニューレ124を受容するための第3のアパチャーと、圧力カテーテル72を
受容するための第4のアパチャーを具備している。各個別のカニューレは、カニ
ューレプレート106にはめ込まれて、強固な接続をもたらす。さらに、各カニ
ューレは、カニューレプレート106にはめ込むための標準サイズの上端部チュ
ーブと、関連する動脈又は静脈内に嵌合させるための様々なサイズのフレア付き
下部チューブを有するものとする。したがって、より小型ないし大型の下部チュ
ーブを有するカニューレが必要な場合、他方のカニューレを除去することなくカ
ニューレプレート106にはめ込ませることができる。すなわち、カニューレプ
レート106のデザインは、カバーアセンブリー22と容易かつ強固に一体化す
るモジュラー(modular )要素を提供する。
【0045】 動作時には、完全に組み立てられたカニューレプレート106は、大動脈13
0が大動脈カニューレ120に接続され、肺動脈132が動脈カニューレ122
に接続され、左心房カニューレ124が左心房134の中に正しく挿入され固定
されうるように、拍動臓器12に近接した状態に置かれる。手術用ケーブルタイ
( 図示せず) を用いて、大動脈カニューレ120の周囲に大動脈130を固定し
、動脈カニューレ122の周囲に肺動脈132を固定することが好ましい。左心
房カニューレ124は、サイズ2- 0の手術用プロレン縫合糸を用いて、左心房
134の中に固定される。開示されるように、手術用ケーブルタイは、液漏れ防
止シール、及び組織損傷のリスク無くカニューレ周囲の動脈を縫合するためのよ
り広い表面積を提供する。ひるがえって、このことは、保存チャンバー20の中
にドナー心臓12を正しく支持することを補助する。より小さいドナー心臓12
の場合など一部の例では、保存チャンバー20の中で大動脈130によって心臓
が懸垂されることもある。
【0046】 臓器を保存チャンバー20の中のカニューレプレート106の要素に正しく固
定した後、カバーアセンブリー22が保存チャンバー20の上端部に固定される
ように、リッドアセンブリー(lid assembly)22の各半分を、カニューレプレ
ート106の外周のまわりに嵌合させることができる。次いで、カバーアセンブ
リー22とカニューレプレート106は、保存チャンバー20の中でドナー心臓
12を懸垂する働きをする。図2において最もよく示されるように、肺動脈ライ
ン64は動脈カニューレ122に固定され、大動脈ライン58は大動脈カニュー
レ120に接続され、左心房供給ライン54は左心房カニューレ124に接続さ
れる。すべての接続が正しくなされたら(約15分)、安定化のために、臓器を
、上記のように非活動状態で約10〜15分間拍動させる。安定化及び取付け段
階終了後、ドナー心臓を、後負荷カラム60によって作り出される後負荷に抗し
て活動している状態で拍動させる。保存臓器は、保存期間中、最大24時間まで
又はそれ以上にわたり、活動状態で拍動しつづけてもよい。
【0047】 動物心臓を補助するために潅流システム10を用いて行われた研究によれば、
本発明の装置及び方法は、心筋障害がほとんどないか全くない状態で、最大24
時間まで、保存臓器を拍動状態に保たせることができる。動物心臓を用いた予備
試験の一部として、拍動状態に保たれたドナー心臓の血液電解質を、1時間、6
時間、及び12時間の間隔で測定した。血液電解質の分析で、グルコース、ナト
リウム( Na) 、塩素(Cl)、カリウム(K)、カルシウム( Ca) 、及び重
炭酸塩HCO3は、保存期間中、実質的にベースライン値に保持されることが示
された。すなわち、本発明の装置及び方法によれば、既存の低体温停止保存法に
伴う4時間の時間制限を超える期間にわたり、ドナー心臓が強い拍動状態に保た
れる。
【0048】 臓器12の保存において機能する3種類の化学物質溶液も、本発明の装置及び
方法に関係する。開示されるように、この3種類の化学物質溶液は、細胞活動に
よって消費されるエネルギーを保存臓器に補給し、血液電解質を生理的レベルに
保ち、心臓収縮系を刺激して保存期間中ドナー心臓を拍動状態に保たせる。3種
類の化学物質溶液は、すでに説明したように、各化学物質溶液の適切な滴下速度
の調節を補助する滴下マニホールド80を通してリザーバー30に供給される。
第1の溶液はIVバッグ82の中で保存され、第2の溶液はIVバッグ84の中
で保存され、第3の溶液はIVバッグ86の中で保存される。
【0049】 臓器12を潅流する前に、潅流システム10を、100〜250mlの一次溶
液(IVバッグ82の中で保存)、12. 5〜25mgのマンニトール(複合糖
)又は適当な代替物、及び125〜250mgのコハク酸メチルプレドニゾロン
ナトリウム又は適当な代替物でプライミングする。このマンニトールは潅流液の
浸透圧を上げるためのインペルメントとして作用し、これが保存臓器中の浮腫形
成を抑制又は低減する働きをする。マンニトールは、保存臓器に対する再潅流障
害や体外潅流の悪影響を緩和する酸素スカベンジャー又はフリーラジカルスカベ
ンジャーとしても作用する。さらに、マンニトールは、潅流回路14の潅流液接
触面がヘパリン結合されていない場合に、とくに有用である。しかしながら、マ
ンニトールは、潅流回路14のすべての要素がヘパリン結合面を有する場合でも
、その内部で使用することで、マンニトールによってもたらされる利益を十分に
利用することができる。コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムは、再潅流時
の細胞溶解を防止するための細胞膜安定化剤として作用するとともに、免疫抑制
剤としても作用するステロイドである。
【0050】 開示されるように、第1の溶液すなわち一次溶液は、糖と様々な電解質から成
る溶液である。第1の溶液は、数種類の化学組成物と、好ましくは規定生理食塩
水( 0.9モル塩化ナトリウム) 中5%(デキストロース2.5%〜5%の範囲
が好ましい)のデキストロース1リットルを混合することによって処方される。
あるいは、デキストロースは、半規定生理食塩水(0.45モル塩化ナトリウム
)中で送達させてもよい。デキストロースは、細胞エネルギーとATP生成のた
めに保存臓器が必要とする主成分の1つである。デキストロースはグルコースの
1形態であって、解糖の好気経路とクレブス回路を刺激することによって作用し
、体内エネルギー生成のための一次生化学過程となっている。このデキストロー
ス溶液に、4ミリ等量の塩化カリウム(4meq〜6meqの範囲が好ましい)
を加える。この塩化カリウムの目的は、細胞内及び細胞外カリウムを正常な生理
的レベルに保つことによって、不整脈(異常な心臓律動)を予防することである
。35単位のレギュラーインシュリン(20単位〜40単位の範囲が好ましい)
も一次溶液に加えることが好ましい。インシュリンは、グルコースを細胞内に移
動させて、細胞質及びミトコンドリア代謝過程に利用できやすくするように作用
する。インシュリンはまた、細胞外カリウムを細胞内に移動させ、生理的なカリ
ウム値を確保するのにも役立つ。塩化カルシウム1.5グラム(塩化カルシウム
1.0グラム〜1.5グラムの範囲が好ましい)も加えることが好ましい。塩化
カルシウムは、心筋収縮に必要な主要カチオンであり、それが正常な生理的レベ
ルで存在することが、ドナー心臓を拍動状態すなわち活動状態に保つために重要
である。塩化カルシウムは、心筋収縮力を増大させるための陽性変力剤としても
作用し、拍動状態のドナー心臓の保存時における正常な心筋機能のためにもやは
り必要である。IVバッグ82の中で保存される一次滴下溶液は、15ml/ 時
間(15ml/ 時間〜40ml/ 時間の範囲が好ましい)という好ましい滴下速
度で滴下マニホールド80に供給される。一次溶液の別の態様においては、好ま
しくは5mlの重炭酸ナトリウム(5ml〜10mlの範囲が好ましい)を溶液
バッグに加え、7.4〜7.5という正常pHを維持する。すなわち、重炭酸ナ
トリウムの添加は、溶液を緩衝化するように作用する。
【0051】 開示される第2の溶液は、脂肪酸溶液、すなわち飽和及び/ 又は不飽和モノカ
ルボン酸溶液であることが好ましい。C3〜C10、C3〜C8鎖脂肪酸、好ま
しくはC3、C7又はC8鎖脂肪酸をはじめとする単鎖及び長鎖の両方の脂肪酸
を用いることができる。好ましい態様においては、本目的は、20%脂質内溶液
(10%〜20%の範囲を用いることが好ましい)によって達成される。脂質内
溶液の好ましい濃度としては、現在、市販品製造業者から、10%の脂質内溶液
又は20%の脂質内溶液が入手できる。あるいは、脂肪酸を提供する大豆ベース
由来のソヤカル(soyacal )を用いてもよい。脂質内溶液は、2ml/ 時間(1
ml/ 時間〜2ml/ 時間の範囲が好ましい)という好ましい速度で滴下マニホ
ールド80に供給される。脂質内溶液は、ドナー心臓の細胞によって直接的に代
謝されうる脂肪酸の含有率が高いという理由で、本発明と合わせて使用するのに
好ましい。脂肪酸は、心筋細胞のエネルギーの一次供給源である。心筋細胞のエ
ネルギーのニ次供給源は、第1の滴下溶液によって供給されるグルコースである
【0052】 開示される第3の溶液は、好ましくは250mlの規定生理食塩水(250m
l〜500mlの範囲が好ましい)と、好ましくは4mgのエピネフリン(エピ
ネフリン4mg〜8mgの範囲が好ましい)を混合することによって調製される
。この溶液を用いて、ドナー心臓に、正常な心拍数と収縮性に必要なベースライ
ン値のカテコールアミンを供給する。エピネフリンは、心拍数を正常な生理的範
囲内に保つ目的にも用いられる。エピネフリンは、保存心臓の交感神経系の受容
体を刺激することによって作用する。本発明と並行して行われた研究で、血清中
カテコールアミン値の頻回測定を行ったところ、潅流システム10の中で2〜6
時間の保存を行った後で血漿中カテコールアミン値が著しく低下することが示さ
れている。第3の溶液は、ベースライン値のカテコールアミンを維持するために
、4ml/ 時間(2ml/ 時間〜12ml/ 時間の範囲が好ましい)という好ま
しい滴下速度で滴下マニホールド80に供給される。第3の溶液すなわちエピネ
フリン溶液のさらに別の態様においては、好ましくは2mlの重炭酸ナトリウム
(2ml〜5mlの範囲が好ましい)を溶液バッグに加え、7.4〜7.5とい
う正常pHを維持する。すなわち、重炭酸ナトリウムの添加は、溶液を緩衝化す
るように作用する。
【0053】 保存臓器12は拍動状態に保たれるため、正常体温の温度で心臓に酸素富化血
液が供給されることが重要である。保存臓器は、すでに開示した3種類の化学物
質溶液から成るバランス基質の供給も受けなければならない。また、保存期間は
最大24時間まで、又はそれ以上にわたるため、保存臓器12は、正常な拍動動
作を維持するために、大量のエネルギーを供給されるとともに、様々な化学組成
物の補給を受けねばならない。別の好ましい態様の一部として、脂肪酸は、溶液
バッグ274を介して液媒体中に送達させ、残りの化学組成物は、溶液バッグ2
72を介して液媒体中に送達させることができる。
【0054】 図4に移り、モービルカート140に設置された状態の潅流システム10を示
す。開示されるように、カート140は、4つのポスト(post)148によって
支持される上段シェルフ142と中段シェルフ144と下段シェルフ146を具
備している。各ポスト148の下部末端は、ロッキングキャスター150を具備
している。ポスト148のうちの2つには、1対の調節可能ポール152、15
4が係合している。各ポール152、154の高さは、スレッド式ロッキングノ
ブ156を用いて調節可能である。ポール154は、後負荷カラム60の高さを
設定するためのライン60及び62を支持することを主な目的とする調節可能ア
ーム158を具備している。調節可能アーム158は、調節可能アーム158の
高さを設定するためのスレッド式ロッキングノブ160、及びライン60、62
を支持するためのフック部分162をその外側末端部に具備している。
【0055】 カート140の上段シェルフ142は、保存チャンバー20を受容し固定する
ための円形アパチャーと環状クランプ170を具備している。開示されるように
、保存チャンバー20は、環状クランプ170にはめ込まれ、複数の蝶ねじ17
2で固定される。具体的には示さないが、環状クランプ170と蝶ねじ172は
、保存チャンバー20を固定するためのリリースレバーによって操作される環状
クランプで代替してもよい。上段シェルフ142は、様々なラインを保存チャン
バー20から下の要素まで下げさせる矩形アパチャー174も設けられている。
中段シェルフ144も、同様の機能を付与する矩形アパチャー176を具備して
いる。開示されるように、リザーバー30は、中段シェルフ144上の保存チャ
ンバー20の直下位置に置かれる。中段シェルフ144は、膜オキシジェネータ
ー38に必要な酸素と二酸化炭素の混合物を供給するための酸素ボトルとレギュ
レーター178も具備している。下段シェルフ146は、遠心ポンプ34、膜オ
キシジェネーター38、及びウォーターヒーター40を支持するのにとくに適し
ている。これらのものは通常、潅流システム10と係合する要素のなかでは最も
重いものであるため、これらの要素が下段シェルフ146上に位置することで、
全体の重心を下げるのに役立っており、モービルカート140をさらに安定化さ
せる。上段シェルフ142は、流量計70及びデジタル式圧力記録システム74
を支持するための十分な表面積を提供する。しかしながら、潅流システム10と
合わせて使用するために、さらに別の電子測定及びフィードバック器具を上段シ
ェルフ142によって支持することもできる。最後に、透明な硬質プラスチック
カバー180をカート140の上端部にかぶせることができる。カバー180は
、上段シェルフ142の上に置かれた要素の肉眼的観察を可能にするとともに、
潅流システム10及び保存チャンバー20をさらに保護する。
【0056】 当業者であればその良さがわかるはずであるが、モービルカート140は、潅
流システム10の機能全般に対して大幅な強化をもたらす。より具体的には、潅
流システム10は、別の保存位置から手術室へ台車運搬することができる。また
、カート140は、臓器採取時と臓器埋め込み時のいずれの際にも1つ又は複数
の手術室内で容易に移動させることができる。さらに、ロッキングキャスター1
50が、好ましくない動きを防止する1つの位置にカート140を固定させる。
モービルカート140の全体サイズは、救急車などの陸上交通手段、又は病院ヘ
リコプターやエアプレーンなどの自家用又は商用航空機の中のいずれにおいても
、容易に輸送することができるようなものである。すなわち、モービルカート1
40は、レシピエントへの埋込み用に採取された臓器の輸送の全体的効率を上げ
る働きをする。
【0057】 ここで図5に移り、別の好ましい態様に従い、本発明の保存システム200を
示す。保存システム200は、上記に開示される潅流システム10と同様の要素
を多数共有し、同様の方法で動作することが注目される。すなわち、保存システ
ム200は、従来技術に伴う経時的虚血を低減又は排除し、浮腫を抑制又は排除
し、生理的方法により保存臓器に化学強化剤を供給する働きもする。しかしなが
ら、保存システム200と関連するいくつかの改良点について、以下、さらに詳
細に説明する。保存システム200の本構成は、ドナー心臓12を拍動状態又は
非拍動(停止)状態のいずれかで採取し、保存システム200に接続させ、拍動
状態に保たれて、保存液の生理的冠流の供給を受けるようにもする。
【0058】 図5で具体的に示されるように、心臓はそれ自体のパルス流を生成するために
活動状態で拍動しているため、生理的冠流はパルス状態で供給される。すでに述
べたように、保存期間を延長するために用いられる液媒体は、保存システム20
0を通って循環される主に自己の、同種の、又は適合性の血液から成るというこ
とが、本発明の利点の1つである。次いで、本明細書で説明する化学強化剤を、
血液と混合し、保存液媒体を調製する。すなわち、ドナー心臓12は、その臓器
を生存状態に保つための保存及び維持期間の間、酸素と様々な化学強化剤を供給
される。本発明の目的のためには、生存状態とは、臓器が生理的レベルで機能し
ている状態をいう。さらに、細胞老廃物及び代謝物が正常な生理的状態で臓器か
ら運び出され、保存システム200の外に濾去される。あるいは、細胞老廃物や
代謝物は、リザーバーの中の血液をトランスフューズ(transfusing
)することによって、保存システム200内部から希釈又は除去することができ
る。さらに細胞老廃物や代謝物は、適当な血液透析フィルターで除去することが
できる。
【0059】 保存システム200は、ドナー心臓12を、最大24時間まで、又はそれ以上
にわたり、拍動状態に保つためのインビボのヒト循環器系をシュミュレートする
ように設計されている。この保存技術は、約37℃の正常体温の温度で、又は約
20℃〜約37℃の実質的に正常体温の温度で操作されうる。上記に開示される
ように、保存システム200は。自己血又は同種又は適合性血液又は代用血液、
及びその他の保存溶液から成る化学組成物から成る液媒体をドナー心臓12に循
環させるための閉鎖保存回路202から成る。開示されるように、血液は、臓器
と適合性がある全血又は白血球除去全血のいずれかであればよい。図に示したよ
うに、保存回路202は、酸素富化液体をドナー心臓12に供給するための1つ
以上の動脈ライン16、及び劣化液体をドナー心臓12から運び出すための1つ
以上の静脈ライン18を具備している。本態様によれば、動脈ライン16は、液
媒体を臓器の少なくとも1つの大血管に送達するための送達手段から成り、静脈
ライン18は、液媒体を臓器から運び出すための手段から成る。本発明の方法の
一部として、動脈ライン16を用いて、非活動及び活動状態のいずれかの状態に
あるドナー臓器12への液体の供給及び/ 又は潅流を行う。
【0060】 さらに図5を参照しながら、保存回路202に接続した状態のドナー心臓12
を示す。ドナー心臓12は、液媒体と交通した状態のドナー心臓を入れるための
封入手段206の中に閉じ込められている。開示されるように、封入手段206
は、保存臓器を保護し、目に見えるようにすための硬質プラスチックチャンバー
である。封入手段すなわち保存コンテナー206は、透明ポリカーボネート又は
その他の適当な硬質プラスチック材料でできていることが好ましい。開示される
ように、封入手段206は、一重又はニ重ジップロッククロージャー(zip-lock
closure)を有するバッグの形をした、厚いが軟質で可塑性のプラスチック容器
から成るものであってよい。バッグは、ドナー心臓12などの保存臓器又はその
他の固体臓器の高低及び形状に合うように形成されたものであることが好ましい
【0061】 図に示すように、保存コンテナー206は、やはり中空繊維膜オキシジェネー
ター208と熱交換器210を含む一体化保存デバイス204の一部を形成する
。本態様の一部として、オキシジェネーター208は、液媒体の少なくとも一部
を酸素富化するための酸素富化手段から成り、熱交換器210ならびにそれに関
連する温度制御水を供給するためのウォーターヒーター/ クーラーユニット23
6は、臓器の温度を約20℃〜約37℃に保つための温度制御手段から成る。図
からわかるように、保存コンテナー206は、上記に開示した保存チャンバー2
0と実質的に同様であるが、本発明の一部として、保存コンテナー206は、保
存液又は液媒体の供給物を保存するための液体リザーバー212を同時に形成す
るためにやや大き目となっている。図に示すように、保存コンテナー206は、
約500〜3000mlの液体が入るための液体リザーバー212を形成するの
に十分に大きいことが好ましい。このデザイン特徴により、必要に応じて、ドナ
ー心臓12を保存コンテナー206の中の液体の中に実質的に浸漬及び/ 又は浴
浸することができる。
【0062】 保存コンテナー206は、開放した上端部を有し、ほぼ円筒状の側壁90によ
って形成され、リザーバー出口222への液体の流れを促進する勾配底部92を
有する。円筒状側壁90の上端部は、図2に示すように、カバーアセンブリー2
2を受容するためのさらに別の面を提供するために、その周囲を囲むように外側
に突き出たフランジ94も具備している。カバーアセンブリー22の残りの部分
は、多数の血液入口又はポート292及び1つ以上の安全バルブ294が加えら
れている点以外は、上記に開示したものと実質的に同様である。
【0063】 保存コンテナー206は、保存液から粒状物質を除去する働きをする1対のフ
ィルター214も具備している。各フィルター214は、ポリウレタンスポンジ
から成ることが好ましい。すなわち、フィルター214は、液媒体から好ましく
ない濾液を除去するための濾過手段の一部をなす。各フィルター214の1端側
は、再循環保存液からの気泡や発泡の低減及び/ 又は除去をさらに補助するシリ
コン製消泡スクリーン216を含む。保存期間中ドナー心臓12を支持するため
のシリコンフォームパッド218が、保存コンテナー206の下部内に置かれて
いる。シリコンパッド218は、衝撃吸収用スポンジとしても作用する。図に示
すように、保存回路202の操作中に液体リザーバー212の中の保存液を排出
することが望ましい場合は、ストップコック226を有するさらに別のポート2
24も設けられる。
【0064】 リザーバー出口222を遠心ポンプヘッド230と接続するための出口ライン
228が設けられている。ポンプヘッド230に与えられる回転力と制御を作り
出すポンプヘッドドライバー232が設けられている。本用途に好ましいポンプ
ヘッド及びポンプは、磁場によって移動するコーンを介して血液を移送させると
ともに、血液の溶血を極力抑える生体適合性表面を含むメドトロニック社製のB
iomedicus 550である。図からわかるように、遠心ポンプヘッド2
30及びドライバー232は、液媒体の圧力を制御するための圧力制御手段と、
液媒体の少なくとも一部の流れを制御するためのフロー制御手段の両方から成る
【0065】 遠心ポンプ230は、ポンプ出口ライン234を介して、血液及び保存液を、
保存液を所定の温度まで加温又は冷却する一体化熱交換器210に移動させる。
ドナー臓器12は約37℃の正常体温の温度に保たれることが好ましいが、一体
化熱交換器210を用いて、保存液の温度を約20℃の温度まで下げることもで
きる。この加熱及び冷却機能は、ウォーター回路ライン240を介して熱交換器
210の水側238を通して温度制御水を循環させるウォーターヒーター/ クー
ラーユニット236によって行われる。保存液は、一体化熱交換器210の第2
液側242を通って循環し、そこで所望温度に到達する。
【0066】 次いで、温度制御された保存液は、接続ライン244を通って、一体化膜オキ
シジェネーター208に流れ込む。本態様の一部として、保存液の中の血液が、
好ましくは95%〜97%O2と3%〜5%CO2の混合物を用いて、1〜5L
/ 分の速度で、膜オキシジェネーター208によって酸素富化される。この混合
物は、入口/ 出口ライン246を介してオキシジェネーター208に供給される
。すでに述べたように、好ましいオキシジェネーターとしては、ソーリンバイオ
メディカル社製のMonolythオキシジェネーターやメドトロニック社製の
MINIMAX PLUSなどの中空繊維オキシジェネーターが挙げられる。図
5には具体的には示していないが、膜オキシジェネーター208は、レギュレー
ター付き酸素ボトル178(図4)から、必要な酸素と二酸化炭素の混合物を与
えられる。オキシジェネーター208は、加圧保存液を他のデバイスに送達させ
る複数の出口も具備している。オキシジェネーター208の出口のうちの少なく
とも1つは、オキシジェネーターを出る液媒体の温度を監視するために用いるこ
とができる一体化温度監視プローブ(図示せず)を具備していることを、認識し
ておかねばならない。より具体的には、第1の出口ライン248が動脈フィルタ
ー252に保存液を供給する。フィルター252は、メドトロニック社製小児用
動脈フィルターなどの20ミクロン動脈フィルターであることが好ましい。第2
の出口ライン250は、再循環ラインとして働き、白血球フィルター254に保
存液を供給する。フィルター254は、ポールフィルターズ社製Pall白血球
除去フィルターなどのミクロン白血球フィルターであることが好ましい。すなわ
ち、フィルター252及び254は、液媒体から好ましくない濾液を除去するた
めの濾過手段から成る。
【0067】 動脈フィルター252の出口は、フィルター出口ライン48を介してセレクタ
ーバルブ50に接続されている。セレクターバルブ50は、液体流を初期潅流ラ
イン52(大動脈を介する順向潅流用)、左心房供給ライン54( 左心房を介す
る順向潅流用) 、又は両方のライン同時(プライミング用)のいずれかに向かわ
せるためのいくつかの位置の1つに置くことができるマルチポジションストップ
コックである。さらに、セレクターバルブ50は、完全に動作を停止させてもよ
い。すでに述べたように、ライン48、54、及び場合によってはライン52と
58が、保存回路202の動脈側16すなわち送達手段を形成する。初期潅流ラ
イン52の末端は、ティー又はYコネクター56に接続されており、次いでこの
ものは大動脈ライン58と後負荷カラムであるライン60に分岐する。ティー5
6の一端は、保存液の圧力、より具体的には大動脈根部圧力を、セントラル信号
プロセッサー及びコントローラー560によって監視できるようにする圧力トラ
ンスデューサー256も具備している。高さ調節可能後負荷カラムライン60と
大動脈返送ライン62を接続するために、ストレートコネクター258が設けら
れている。上に設けたストップコックに固定されたサイホン防止バルブを有する
ルアーポート63が、コネクター258に一体化されており、コネクター258
を横切って圧送された液体が、後負荷ライン60からさらにサイホンすることな
く、大動脈返送ライン62を通って流れるようにするための単向バルブとして作
用する。
【0068】 後負荷ライン60の遠位末端は、保存液をリザーバー212に返送させるため
に、3方向ポート260上のコネクターの1つに取付けられている。すでに述べ
たように、大動脈ライン58は、保存システム200がどのモードで動作してい
るかによって、ドナー心臓12への流れとドナー心臓12からの流れの双向流を
供給する。また、後負荷カラム60の高さは、ドナー心臓12がそれに対して拍
動すなわち圧送するところの後負荷圧を選択的に変化させるために、一定範囲の
垂直位置に調節可能である。後負荷カラム60の高さは、コントローラー560
によって受容される冠流及び大動脈及び/ 又は左心室圧力信号に応答してフィー
ドバック調節される電気機構器具によって調節される。後負荷カラム60を通し
て圧送された保存液がストップコックコネクター258とサイホン防止ルアーポ
ート63を横切ると、重力により大動脈返送ライン62を介して液体リザーバー
212に返送される。また、右心室返送ライン64が肺動脈132の3方向ポー
ト260とカニューレ122の間に接続されて、冠流出液を液体リザーバー21
2に返送させる。すなわち、ライン58、60、62及び64が保存回路202
の静脈側18を形成して、液媒体を心臓から運び出す手段を提供する。
【0069】 大動脈流は、大動脈ライン58の一部をなす超音波フロープローブ66によっ
て測定される。同様に、超音波フロープローブ68は、右心室から液体リザーバ
ー212へと右心室返送ライン64を通って流れる冠流出液の冠血流を測定する
。フロープローブ66、68によって生成された信号は、システムコントローラ
ー560上のそれぞれの入口66A、68Aに送られる。あるいは、超音波フロ
ープローブ66及び68によって生成された大動脈及び冠流信号は、ドナー心臓
12の状態の監視及び保存システム200の動作状態を補助する少なくとも2つ
のチャンネルを有する図1に示した流量計70又は図11に示した流量計562
などのマルチチャンネルデータレコーダー/ コントローラーによって受信される
。すでに述べたように、好ましい流量計は、トランソニックシステムズ社製の2
チャンネル流量計である。しかしながら、本態様の場合、セントラルコントロー
ラー560が、様々なトランスデューサーによって生成される信号をフィードバ
ック信号として受信することで、1つのセントラルステーションからのすべての
関連信号を監視することになる。あるいは、圧力トランスデューサー72及び2
56からの信号は、マルチチャンネルデータレコーダーによって監視し、ラップ
トップコンピューター564によって表示してもよい。好ましい装置としては、
アドインスツルメンツ(ADInstruments, Inc. )社製のMacLab(登録商標
)などの一体化ハードウエア/ ソフトウエアシステムがある。次いで、これらの
フィードバック信号を、コントロールライン580を介してポンプ230によっ
て供給される圧力と流れ、ならびに双向コントロールライン582を介して熱交
換器210の温度を監視し、調節するために用いることができる。また、セント
ラルプロセッサー又はコントローラー560は、オキシジェネーター208の温
度プローブ出口( 図示せず) からの温度フィードバック信号584を受信するこ
とも示した。
【0070】 冠流は、心臓12の上の後負荷カラム60の高さを調節し、ポンプ230によ
って生成される流速を調節することにより、許容される生理的範囲( 300〜5
00ml/ 分) 内に維持される。後負荷圧は約70mm水銀柱に維持されるが、
必要に応じて調節することができる。ドナー心臓12の腔内圧を測定するために
、マイクロチップ圧力カテーテル72が左心房134を介して左心室に挿入され
る。好ましい圧力カテーテル72としては、ミラーインスツルメンツ社製のタイ
プのものが挙げられる。圧力カテーテル72によって生成されるすべての圧力測
定値は、やはり保存臓器12の状態の監視を補助するマックラブ(Maclab)社製
のものなどのデジタル式圧力記録システム74を用いて記録され、表示される。
開示されるように、圧力記録システム74は、多数の圧力測定値を記録し、表示
することができる。他方、圧力カテーテル72により生成される信号は、保存又
はディスプレイ72Aにオンラインでセントラルコントローラー560により受
信されてもよい。
【0071】 本発明の一部として、コントローラー560は、保存期間中後負荷カラム60
の高さを自動的に調節することができる機械式アクチュエーター(actuator)又
はアーム566(図11)も制御するものとする。これは、フロープローブ66
、68によって生成されるフロー信号、及び図に示したように、それぞれ256
Aと72Aにオンラインでコントローラー560によって受信される圧力トラン
スデューサー256及び圧力カテーテル72によって生成される圧力信号を監視
することで、達成される。
【0072】 あるいは、ペースメーカー及び内部除細動器220を、ペーシングリード(pa
cing lead )221を介して保存心臓12の心室壁に接続し、保存期間中の望ま
しくない不整脈をDCショックによって矯正してもよい.
【0073】 オキシジェネーター208の第2のポートが、出口ライン250に酸素富化血
液を供給し、この血液が白血球フィルター254に運ばれる。フィルター254
の出口ライン262が、保存液を、第1のストップコック266と第2のストッ
プコック268の間のライン262に一連する位置に置かれた血液透析フィルタ
ー264フィルターに送達させる。血液透析フィルター264は、保存臓器によ
って産生される可能性のある代謝老廃物を除去する働きをする。本用途に好まし
い血液透析フィルター264としては、コーブ(Cobe)社又はバクスター(Baxt
er)社製のものがある.
【0074】 ストップコック268の出口が、濾過血液を2ポート滴下マニホールド270
に供給し、このものが、それぞれ溶液バッグ272及び274から第1及び第2
の保存溶液を受容する。図に示したように、滴下マニホールド270は、滴下マ
ニホールド270を通って流れる保存液への本発明の化学物質溶液の送達を制御
するのを補助する2つのストップコックバルブを具備している。滴下マニホール
ド270の出口ライン276は、強化保存液を液体リザーバー212に返送させ
るための3方向ポート260に接続される。具体的には示さないが、当該分野に
おいて公知のごとく、滴下バッグ272、274に含まれている化学物質溶液の
滴下マニホールド270への滴下速度を個々に制御し調節するために、インフュ
ージョンポンプが、各溶液バッグ272、274と滴下マニホールド270の間
に挿入されることを認識しなければならない。
【0075】 保存システム200の様々なラインや要素を作製するためには、様々な材料を
用いることができる。保存回路202のほぼすべてのラインと要素は常に保存液
媒体と接触しているため、体外人工表面への液内血液曝露によって引き起こされ
る急性炎症性反応を抑制することが望ましい。この問題を解決するために、潅流
回路14の中のすべての接触面をヘパリンでコーティング又は結合させて、補体
と顆粒球の活性化を低減させてもよい。あるいは、ヘパリンは、保存回路202
を通して循環する液媒体に直接的に導入してもよいし、他の生体適合性表面を回
路202に利用してもよい。ヘパリンの導入は、回路の中の血液凝固を極力抑え
るのに役立つ。
【0076】 さらに図5を参照しながら、保存システム200の動作についてさらに具体的
に説明する。上記のように、ドナー心臓は、拍動状態又は非拍動すなわち停止状
態のいずれかの状態で採取され、保存チャンバー206に入れられる。この時点
で、遠心ポンプ230が酸素富化され再加温された血液を、ライン248を通し
て移動させている。プライミングの際は、セレクターバルブ50が、血液が初期
潅流ライン52と左心房供給ライン54を同時に通過するような位置に置かれる
。保存回路202の動脈ライン16が、気泡又は空気ポケットの存在を排除する
のに十分にプライミングされたら、初期潅流ライン52に液体を供給するための
位置にバルブ50が回転される。次いで、大動脈ライン58は、大動脈カニュー
レ120を用いて大動脈130に接続され、固定される。この手順により、血液
は大動脈ライン58に流れ込み、大動脈130を介して非活動拍動状態のドナー
心臓12をただちに潅流する。
【0077】 あるいは、コネクター258上のストップコックを閉じて、大動脈130への
血流を最大化させてもよい。この大動脈130を介する順向潅流の手順は、ドナ
ー臓器の安定化を図るとともに、装置取付け時間を確保するために、約10〜1
5分間にわたり実施される。この装置取付けの際に、残りのフローラインはドナ
ー心臓12に接続される。より具体的には、大動脈ライン58と大動脈130の
間の接続が完了し、液漏れがないかチェックされ、供給ライン54が左心房13
4に接続され、右心室返送ライン64が肺動脈132に接続される。次いで、肺
静脈、上部及び下部大静脈が手術用縫合糸を用いて閉鎖される。この初期接続プ
ロトコルの際は、あらゆる過剰血流は保存コンテナー206内に閉じ込められ、
リザーバー212に返送される。
【0078】 安定化段階終了時に、大動脈130への流れが、左心房供給ライン54を介す
る左心房134への流れを同時的かつ徐々に増大させるとともに、初期潅流ライ
ン52を通る流れを徐々に遮断する回転セレクターバルブ50によって、正常動
作位置まで戻される。次いで、コネクター258のストップコックが開き、血液
を、後負荷ライン60と返送ライン62を通って流れさせる。次いで、この手順
が、ドナー心臓12を非活動状態から活動状態に切りかえ、血液がドナー心臓1
2によって保存回路202の返送ライン18を通して圧送され、パルス状冠流送
達を確実にする。
【0079】 動脈又は送達ライン16を通るドナー心臓12への血流は、遠心ポンプ230
によって補助される。流速、圧力及び温度は、保存液の圧力と流速を制御するた
めのポンプヘッド230のスピードを調節するコントローラー560によって監
視される。ドナー心臓12は、保存チャンバー20上の後負荷カラム60の垂直
位置によって作り出される後負荷圧に抗して拍動させ、これによりパルス状冠流
が発生する。また、酸素富化血液が冠血管系に供給され、冠血管系から来る脱酸
素化血液が右心室から肺動脈返送ライン64へと圧送され、リザーバー212に
返送される。この時点で、ドナー心臓12は、保存期間中、生存性の拍動状態に
維持されうる。
【0080】 ここで図6に移り、保存システム200の別の構成を示す。図からわかるよう
に、図6に示した保存システム200は、図5に示した要素のうちの多くのもの
から成るが、非パルス状又は半定常流ではなく、パルス状冠流がドナー心臓12
に供給されるという主な相違点がある。したがって、この構成は、ドナー心臓1
2が拍動非活動状態で保存されるために、液体運搬ラインのいくつかを無くすこ
とができる。
【0081】 本態様においては、保存システム200は、一体化された保存コンテナー20
6とリザーバー212を含む同様の一体化保存デバイス204と中空繊維膜オキ
シジェネーター208と一体化熱交換器210を含む。オキシジェネーター20
8と熱交換器210は、上記と実質的に同様の方法で操作される。すでに述べた
ように、リザーバー212の中で保存される保存液は、出口ライン228を介し
て、パルスポンプ280へ送達されるべくリザーバー出口222を通って流れる
。パルスポンプ280は、電気制御ユニット282によってパルス駆動される。
本用途に好ましいパルスポンプは、サーモカルディオシステムズ社製Heart
mate電気補助ポンプ又はバクスターヘルスケア社製Novocar(登録商
標)左心室補助ポンプのいずれかである。あるいは、本態様の保存回路202と
も適合性があって、より低コストでパルス流の機能を提供する、より低い厳格度
の規格に合わせて設計された他のパルスポンプもある。
【0082】 すなわち、パルスポンプ280は、遠心ポンプ230によって生成される定常
流とは逆に、パルス流を生成する。熱交換器210とオキシジェネーター208
を通る保存液の流れは、上記したものと実質的に同様である。次いで、第1の出
口ライン248が、保存液を動脈フィルター252に運ぶ。フィルター252の
出口は、その一体化された一部として形成された同様の圧力トランスデューサー
256を有するストップコックコネクター284に接続される。次いで、保存液
は大動脈送達ライン286を通って、大動脈カニューレ120を介して大動脈1
30に流れ込む。送達ライン286中の液体の圧力は、圧力トランスデューサー
256を通して監視することができる。この大動脈130への反対方向での保存
液送達法は、冠血管系を、酸素富化血液と本発明の様々な化学強化剤から成る液
媒体で潅流させる。次いで、冠流出液が、肺動脈132を通って、カニューレ1
22に圧送される。次いで、冠流出液が肺動脈返送ライン288を通って液体リ
ザーバー212に返送される。再循環ライン250、ならびにそれに配置されて
いる白血球フィルター254、血液透析フィルター264及び滴下マニホールド
270をはじめとする様々な要素は、上記と実質的に同様の方法で動作すること
が注目される。また、大動脈送達ライン286及び肺動脈返送ライン288はそ
れぞれが、送達及び返送ラインを通過する流速を測定するための超音波フロープ
ローブ66、68(それぞれ)を具備していることも示した。
【0083】 図6の代替構成の一部として、保存コンテナー206はドナー心臓12を入れ
るために同様のサイズとされ、約500〜3000mlの液媒体を保存するため
の液体リザーバー212を構成している。しかしながら、1つのポリウレタンフ
ィルター214と1つのシリコン製消泡スクリーン216だけ用いられる。図か
らわかるように、保存回路202へのこの変更は、順向潅流技術を用いて冠動脈
に供給するために、大動脈130へ酸素富化血液を運ぶための1つのライン又は
送達手段、及びドナー心臓12から冠流出液( 脱酸素化血液) を運び出すために
肺動脈に連結される1つのライン又は手段だけの使用を可能ならしめるものであ
る。すなわち、パルスポンプ282によって提供されるパルス流により、左心房
とつながるカニューレや潅流ラインを追加する必要がなくなる。このパルス流が
、冠痙攣、冠内皮障害を予防するとともに、保存臓器の微小循環を適正化するた
めの生理的特性を冠流に提供する。ドナー心臓12を拍動非活動状態で保存する
ことで、酸素消費量の低減と後負荷カラムに対するポンプのストレスの低減を図
ることができる。これによりさらに、細胞代謝と細胞老廃物が低減され、保存期
間の延長につながる。あるいは、左心室内に心臓内ベントを留置して、大動脈弁
から漏出する血液を排出してもよい。
【0084】 該代替構成の一部として、保存コンテナー206はドナー心臓12を入れるた
めに同様のサイズとされ、約500〜3000mlの液媒体を保存するための液
体リザーバー212を構成している。しかしながら、液媒体と保存臓器( 図示せ
ず) を分離するための内部隔壁が存在する。本構成においては、回路の液媒体か
ら分離されたリザーバーの上端部に臓器が置かれる。本構成によれば、保存及び
輸送期間中、保存臓器を完全に可視化することができる。
【0085】 以上、移植用のドナー心臓の保存について説明したが、保存システム200を
用いて、再建手術やその他のタイプの手術の際の心臓の維持を図ることもできる
ということも、本発明の範囲に含まれる。すなわち、本手順によれば、個体の心
臓を摘出して、本発明の保存回路202に入れ、体外側で手術することができる
。この場合、患者は、当該分野において公知のごとく、適当なバイパス及び心臓
/ 肺マシンにより、一時的に維持されることができる。しかしながら、心臓又は
その他の臓器を矯正手術のために摘出し、その臓器を生存状態に保てば、通常で
あれば複雑で高リスクであると思われる手順を、体外側の臓器に対して容易に実
施することができる。臓器に対する手術が完了したら、その臓器を元の患者の体
内に再移植する。別の用途としては、癌治療のための化学療法により、臓器を摘
出して維持し、その臓器を潅流することがある。化学療法の手順終了後、臓器を
再移植することができる。この手技は、肝臓、腎臓、又は膵臓の癌の治療のため
にとくに有用である。すなわち、本発明の開示内容による保存システム200は
、移植用ドナー臓器を生存状態に保つこと以外にも、様々な用途を提供する。
【0086】 ここで、図7〜10を参照しながら、本発明の教示による保存システムの別の
態様について開示する。下記説明を検討すれば、本発明の保存システムはまた、
腎臓、肝臓、肺、膵臓、小腸、及び重度の熱傷若しくは外傷患者、又はガン患者
にさえ移植のために使用することができる筋遊離皮弁(myocutaneous free flap
)など、特に限定なく様々な固体臓器を保存するために利用できることが認めら
れるだろう。該保存システムは、移植又は形成及び再建手術のために、大動脈な
どの様々な血管、及び静脈移植片を生存状態に保つ目的にも用いることができる
。本発明のこの態様によれば、生存状態に保存又は維持すべき固体臓器は、当該
臓器のためにとくに設計されたソフトシェルバッグ(soft shell bag)の中に封
入される。適合性のある血液を含んだ保存液が臓器に送達され、臓器から運び出
されるように、少なくとも1つの動脈と1つの静脈がカニューレ留置される。す
なわち、本代替構成に必要な保存回路は、上記したようにドナー心臓を保存する
ために用いられるものと同様である。
【0087】 とくに図7を参照して、腎臓310を保存するための保存システム300を示
す。腎臓保存回路302は、酸素富化液体を腎臓310に送達し、劣化液体を腎
臓310から運び出す働きをする。腎臓保存回路302も、保存コンテナー20
6及び液体リザーバー212を形成する一体化保存デバイス204、熱交換器2
10、及びオキシジェネーター208を利用する。加温され酸素富化された保存
液は、出口ライン312を介して、オキシジェネーター208の1ポートから動
脈フィルター314へと運ばれる。超音波フロープローブ316が、ライン31
2を通る流速を測定する。ライン312は、動脈ストップコックコネクター31
8に接続する。圧力トランスデューサー320がストップコックコネクター31
8の反対側末端に形成されており、ソフトシェルバッグの動脈フィッティング(
fitting )322にやはり接続する。動脈カニューレ324が動脈フィッティン
グ322の中に挿入されていて、ソフトシェルバッグ360の保存チャンバー3
64の中に伸びている。次いで、動脈カニューレ324は、ドナー腎臓310に
酸素富化保存液を送達するために腎動脈326に接続する。同様に、返送ライン
328が液体リザーバー212の上端部カバーアセンブリー22と静脈ストップ
コックコネクター330の間に伸びている。劣化液の返送流を監視するために、
返送ライン328に沿って超音波フロープローブ356も設けられている。コネ
クター330の反対側末端は、ドナー腎臓310から運び出された劣化液媒体の
圧力を監視するために用いられる圧力トランスデューサー332も具備している
。圧力トランスデューサー332は、挿入された静脈カニューレ336も含む静
脈フィッティング334に接続する。静脈フィッティング334もソフトシェル
バッグ360と一体的に形成されていることが好ましい。静脈カニューレ336
は、ドナー腎臓310の腎静脈338に接続される。腎臓310の尿管340は
、ライン344を通って目盛り付き容器346に尿を運び込むための尿管コネク
ター348とやはり一体化されている尿管カニューレ342に接続される。容器
346を変更しなければならない場合、又は尿のサンプルを採取しなければなら
ない場合に、ライン344を通る流れを停止させるためのストップコックコネク
ター348がライン344に沿って設けられている。また、液体は、ストップコ
ック354を通して容器346から放出させてもよい。容器346の目盛りは、
保存期間中、腎臓310の尿産生を監視できるようにする。
【0088】 他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター
254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存
液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出
口は、溶液バッグ272、274から様々な滴下速度で化学物質溶液を受容する
同様の2ポート滴下マニホールド270に接続する。強化保存液は、返送ライン
276を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴下速度は、上
記のように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって制御される。
わかるように、任意の固体臓器を保存するための回路を通して液媒体を循環させ
るために、遠心ポンプ230又はパルスポンプ280を用いることができる。
【0089】 腎臓保存回路302と関連する封入手段は、シールされた本体部分362と保
存チャンバー364を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ360を含む。消泡材
ライン、ソフトシェル(図示せず) 、内側ジップロッククロージャー366、及
び外側ジップロッククロージャー368が保存チャンバー364の外周に設けら
れている。すなわち、これらのクロージャー366、368は、かかる臓器が上
記のように挿入され、正しくカニューレ留置されるようにするために、シールさ
れた本体部分362についてジップを解除して開放することができるフラップ(
flap)370を形成している。次いで、クロージャー366、368が、かかる
臓器を入れて、保存チャンバー364を形成するためにシールされる。ヒートシ
ールによって形成されている強化部材384が、クロージャー366、368の
末端に置かれている。構造剛性を強化するために、ならびに保存チャンバー36
4の中に残留する液体が好ましくない液漏れを起こすのを防止するための一次シ
ール及び二次シールを提供するために、2つのジップロッククロージャー366
、368が設けられている(互いに向き合って)。ベントアセンブリー(vent
assembly)372が本体部分362の中に一体化されていて、両方のジップロッ
ククロージャー366、368の下方、保存チャンバー364の中に伸びている
。ベント372の上端部は、保存チャンバー364からの空気の出し入れを可能
にするストップコックバルブ374を具備している。また、保存チャンバー36
4は、フラップ370を正しくシーリングした後で、ベント372を介して、生
理食塩水などの生体適合性液体、又は薬学的に活性な液体を満たすこともできる
ものとする。
【0090】 腎臓保存バッグ360は、保存バッグにさらに構造剛性を与えるとともに、一
定の形状を維持することをさらに補助する1つ以上の強化リブ(rib )376を
設けることもできる。また、バッグを1対のバッグハンガー382によって水平
支持部材380から懸垂させる保存バッグ360の各コーナーの中にホール37
8が設けられている。ソフトシェルバッグ360の利点の1つとして、バッグに
よって保護しつつ、臓器に超音波プローブを当てることができるために、腎臓3
10をバッグ360に入れたままで超音波検査を実施することができるというこ
とがある。
【0091】 ここで、図8に移り、肝臓を保存するための保存システム300を示す。肝臓
保存回路304は、酸素富化液媒体を肝臓390に送達し、劣化液体を肝臓39
0から運び出す働きをする。肝臓保存回路304も、保存コンテナー206及び
液体リザーバー212を形成する一体化保存デバイス204、熱交換器210、
及びオキシジェネーター208を利用する。加温され酸素富化された保存液は、
出口ライン312を介して、オキシジェネーター208の1つのポートから動脈
フィルター314へと運ばれる。超音波フロープローブ316が、上記のように
して、ライン312を通る流速を測定する。この位置で、ライン312は2つの
ラインに分岐する。1つは動脈ストップコックコネクター392で終了し、他方
の分岐は動脈ストップコックコネクター394で終了する。各ストップコックコ
ネクター392、394は、その反対側末端に形成された圧力トランスデューサ
ー396、398(それぞれ)も具備している。コネクター392は、ソフトシ
ェルバッグと一体的に形成されている動脈フィッティング400にも接続する。
適当なカニューレ402が動脈フィッティング400の中に挿入され、ソフトシ
ェル肝臓バッグ440の保存チャンバー444の内部に伸びている。次いで、カ
ニューレ402は、酸素富化保存液をドナー肝臓390に送達するための門脈4
04に接続する。動脈ストップコックコネクター394も、ソフトシェルバッグ
の動脈フィッティング400に接続する。動脈カニューレ408が動脈フィッテ
ィング406の中に挿入され、ソフトシェルバッグ440の保存チャンバー44
4の内部に伸びている。次いで、動脈カニューレ408は、酸素富化保存液をド
ナー肝臓390の左右葉に送達するために分岐する肝動脈410に接続する。同
様に、返送ライン412が液体リザーバー212の上端部カバーアセンブリー2
2と、やはりソフトシェルバッグ440の中に一体的に形成されている返送フィ
ッティング416に順に接続する返送ストップコックコネクター414との間に
伸びている。
【0092】 示すように、劣化保存液がそこから直接的に保存チャンバー444に流れ込め
るように、下大静脈418は開放され、カニューレ留置されないままである。す
なわち、返送フィッティング416は、劣化液を返送ライン412から出入りで
きるように、出口を提供している。返送ライン412に沿って、劣化液の返送流
を監視するための超音波フロープローブ420が設けられている。依然として肝
臓390に付着している胆嚢422は、やはりフィッティング426を挿入され
ている適当な胆嚢カニューレ424に接続される。ライン430を通って目盛り
つき容器346に入る胆汁の流れを調節するためのストップコックコネクター4
28がフィッティング426に接続される。ストップコックコネクター428は
また、容器346を変更しなければならない場合又は胆汁のサンプル採取のため
に、ライン430を通る流れを停止させる。また、液体は、ストップコック35
4を通して容器346から放出させてもよい。容器346の目盛りは、保存期間
中、胆嚢422の胆汁産生を監視できるようにする。
【0093】 他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター
254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存
液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出
口は、溶液バッグ272、274から様々な滴下速度で化学物質溶液を受容する
同様の2ポート滴下マニホールド270に接続する。次いで、強化保存液は、返
送ライン276を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴下速
度は、上記のように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって制御
される。
【0094】 肝臓保存回路304と関連する封入手段はまた、シールされた本体部分442
と保存チャンバー444を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ440を含む。肝
臓バッグ440は、以下に説明する腎臓バッグ360と同じ要素の多くのものが
共通していることが注目される。
【0095】 内側ジップロッククロージャー366と外側ジップロッククロージャー368
が保存チャンバー444の外周に設けられている。すなわち、これらのクロージ
ャー366、368は、かかる臓器が上記のように挿入され、正しくカニューレ
留置されるようにするために、シールされた本体部分362についてジップを解
除して開放することができるフラップ370を形成している。次いで、クロージ
ャー366、368が、かかる臓器を入れて、保存チャンバー364を形成する
ためにシールされる。ヒートシールによって形成されている強化部材384が、
クロージャー366、368の末端に置かれている。構造剛性を強化するために
、ならびに保存チャンバー364の中に残留する液体が好ましくない液漏れを起
こすのを防止するための一次シール及び二次シールを提供するために、2つのジ
ップロッククロージャー366、368が設けられている(互いに向き合って)
。1対のベントアセンブリー372が本体部分362の中に一体化されていて、
両方のジップロッククロージャー366、368の下方、保存チャンバー444
の中に伸びている。各ベント372の上端部は、保存チャンバー444からの空
気の出し入れを可能にするストップコックバルブ374を具備している。また、
保存チャンバー444は、フラップ370を正しくシーリングした後で、ベント
372を通して、生体適合性又は薬学的に活性な液体を満たすこともできるもの
とする。
【0096】 肝臓保存バッグ440は、保存バッグにさらに構造剛性を与えるとともに、一
定の形状を維持することをさらに補助する1つ以上の強化リブ376を設けるこ
ともできる。また、バッグを1対のバッグハンガー382によって水平支持部材
380から懸垂させる保存バッグ440の各コーナーの中にホール378が設け
られている。
【0097】 ここで、図9に移り、膵臓450を保存するための保存システム300を示す
。膵臓保存回路306は、酸素富化液媒体を膵臓450に送達し、劣化液体を膵
臓450から運び出す働きもする。示すように、膵臓450は、十二指腸452
と共に採取される。膵臓保存回路306も、一体化保存デバイス204を利用す
る。加温され酸素富化された液媒体は、出口ライン312を介して、オキシジェ
ネーター208の1つのポートから動脈フィルター314へと運ばれる。超音波
フロープローブ316が、動脈ライン312を通る流速を測定する。ライン31
2は、動脈ストップコックコネクター454に接続する。圧力トランスデューサ
ー456がストップコックコネクター454の反対側末端に形成されており、ソ
フトシェルバッグと一体的に形成されている動脈フィッティング458に接続す
る。動脈カニューレ460が動脈フィッティング458の中に挿入されていて、
ソフトシェルバッグ490の保存チャンバー494の中に伸びている。次いで、
動脈カニューレ460は、膵臓450に酸素富化保存液を送達するために膵臓/
十二指腸動脈462に接続する。同様にして、返送ライン464が液体リザーバ
ー212の上端部カバーアセンブリー22と静脈ストップコックコネクター46
6の間に伸びている。返送ライン464に沿って超音波フロープローブ465が
設けられている。コネクター466の反対側末端はまた、膵臓450から運び出
される劣化液媒体の圧力を監視するために用いられる圧力トランスデューサー4
68も具備する。圧力トランスデューサー468は、その中に挿入された静脈カ
ニューレ472も含む静脈フィッティング470に接続する。静脈フィッティン
グ470もソフトシェルバッグ490の中に一体的に形成されていることが好ま
しい。動脈カニューレ472は、膵臓450の脾静脈及び/又は門脈に接続する
。膵臓450の膵管476は、ライン344を通って同様の目盛り付き容器34
6に膵液を運び込むための一体化カニューレフィッテイング480の中にやはり
挿入されている適当なサイズのカニューレ478に接続される。上記したように
、ストップコックコネクター482がライン344に沿って設けられていて、容
器346を変更しなければならない場合に、ライン344を通る流れを停止させ
る。また、液体は、ストップコック354を通して容器346から排出させても
よい。容器346の目盛りは、保存期間中、膵臓450の膵液産生を監視できる
ようにする。
【0098】 他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター
254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存
液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出
口は、溶液バッグ272、274から様々な滴下速度で化学物質溶液を受容する
2ポート滴下マニホールド270にも接続する。強化液媒体は、返送ライン27
6を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴下速度は、上記の
ように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって同様に制御される
【0099】 膵臓保存回路306と関連する封入手段は、シールされた本体部分492と保
存チャンバー494を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ490を含む。内側ジ
ップロッククロージャー366と外側ジップロッククロージャー368が保存チ
ャンバー494の外周に設けられている。すなわち、これらのクロージャー36
6、368は、かかる臓器が上記のように挿入され、正しくカニューレ留置され
るようにするために、本体部分362についてジップを解除して開放することが
できるフラップ370を形成している。示すように、フラップ370の1つのコ
ーナーをジップ解除してその動作を示している。次いで、クロージャー366、
368が、かかる臓器を入れて、保存チャンバー494を形成するためにシール
される。ヒートシールによって形成されている強化部材384が、クロージャー
366、368の末端に置かれている。構造剛性を強化するために、ならびに保
存チャンバー494の中に残留する液体が好ましくない液漏れを起こすのを防止
するための一次シール及び二次シールを提供するために、2つのジップロックク
ロージャー366、368が設けられている(互いに向き合って)。膵臓バッグ
490の特徴の1つとして、保存チャンバー494の最下部の中に残留する液体
を採取する働きをする勾配部分484がある。ベントアセンブリー372が本体
部分492の中に一体化されていて、両方のジップロッククロージャー366、
368の下方、保存チャンバー494の中に伸びている。上端部ベント372は
、保存チャンバー494からの空気の出し入れを可能にするストップコックバル
ブ374を具備している。また、保存チャンバー494は、フラップ370を正
しくシーリングした後で、ベント372を介して、生理食塩水などの生体適合性
液体、又は薬学的に活性な液体を(臓器の外部と接触又は浴浸するため)満たす
こともできるものとする。膵臓保存バッグ490は、保存バッグ(懸垂された状
態)にさらに構造剛性を与えるとともに、一定の形状を維持することをさらに補
助する1つ以上の強化リブ376を設けることもできる。また、バッグを1対の
バッグハンガー382によって水平支持部材380から懸垂させる保存バッグ4
90の各コーナーの中にホール378が設けられている。ソフトシェルバッグ4
90の利点の1つとして、バッグのプラスチック壁によって保護しつつ、臓器に
超音波プローブを当てることができるため、その中に保存されている臓器に対し
て超音波検査を実施することができるということがある。上記開示の膵臓の場合
と同様の方法で、小腸を保存することができることも注目される。
【0100】 図10を参照しながら、1つ又は2つの肺500を保存するための保存システ
ム300を示す。肺保存回路308は、酸素富化液媒体を肺500に送達し、劣
化液体を肺500から運び出す働きもする。肺保存回路308も、上記に示した
ように、一体化保存デバイス204を利用する。加温され酸素富化された保存液
媒体は、出口ライン312を介して、オキシジェネーター208の1ポートから
動脈フィルター314へと運ばれる。超音波フロープローブ316が、ライン3
12を通る流速を測定する。ライン312は、動脈ストップコックコネクター5
08に接続する。圧力トランスデューサー510がストップコックコネクター5
08の反対側末端に形成されており、ソフトシェルバッグとともに成形又は一体
化されていることが好ましい動脈フィッティング512に接続する。動脈カニュ
ーレ514が動脈フィッティング512の中に挿入されていて、ソフトシェルバ
ッグ530の保存チャンバー534の中に伸びている。次いで、それは動脈カニ
ューレ514は、肺動脈516に接続し、次いで、肺500に酸素富化保存液媒
体を送達するために各肺に分岐している。上記と同様にして、1対の返送ライン
518が液体リザーバー212の上端部カバーアセンブリー22と1対のストッ
プコックコネクター520の間に伸びている。示すように、各ストップコックコ
ネクター520は、ソフトシェルバッグ530と一体的に形成され、保存チャン
バー534の中に形成された採取部分522と液体交通する位置に置かれている
。劣化液体の返送流を監視するために、各返送ライン518に沿って超音波フロ
ープローブ524が設けられている。具体的には示さないが、肺500の肺静脈
はカニューレ留置されず、むしろ保存チャンバー534に直接的に排出されるよ
うになっている。具体的に示すように、保存チャンバー534の下部は、採取部
分522への劣化液体の流れを促進するための弧状面526を具備している。
【0101】 他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター
254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存
液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出
口は、溶液バッグ272、274から所定の滴下速度で化学物質溶液を受容する
同様の2ポート滴下マニホールド270に接続する。次いで、強化保存液媒体は
、返送ライン276を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴
下速度も、上記のように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって
制御される。
【0102】 肺保存回路308と関連する封入手段も、シールされた本体部分532と保存
チャンバー534を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ530を含む。内側ジッ
プロッククロージャー366と外側ジップロッククロージャー368が保存チャ
ンバー534の外周に設けられている。すなわち、これらのクロージャー366
、368は、肺が上記のように挿入され、正しくカニューレ留置されるようにす
るために、シールされた本体部分532についてジップを解除して開放すること
ができるフラップ370も形成している。次いで、クロージャー366、368
が、肺を入れて、保存チャンバー534を形成するためにシールされる。ヒート
シールによって形成されている強化部材384が、クロージャー366、368
の末端に置かれている。構造剛性を強化するために、ならびに保存チャンバー5
34の中の残留液体が好ましくない液漏れを起こすのを防止するための一次シー
ル及び二次シールを提供するために、2つのジップロッククロージャー366、
368が設けられている(互いに向き合って)。1対のベントアセンブリー37
2が本体部分532の中に一体化されており、両方のジップロッククロージャー
366、368の下方、及び保存チャンバー534の中に伸びている。各ベント
372の上端部は、保存チャンバー534との双方向液体交流を可能にするスト
ップコックバルブ374を具備している。示すように、気管502が、やはり肺
保存バッグ530と一体的に形成されている換気チューブ及びカニューレ504
に接続されている。容積調節空気が、適当な換気マシン506によって換気ライ
ン504に供給される。肺は、かかる肺の肺胞の崩壊を防止するために、適当な
換気マシン506によって定期的に換気しなければならないため、保存チャンバ
ー534によって規定される容積を、肺500の対応する拡張及び収縮に合わせ
て拡張及び収縮させる必要がある。すなわち、開放ベント372は、保存チャン
バー534への空気の出入りを可能にする。この拡張及び収縮は、肺を呼吸させ
るための任意の手段によって、行うことができる。
【0103】 肺保存バッグ530は、実質的に上記と同様に機能する1つ以上の強化リブ3
76を設けることもできる。また、バッグを1対のバッグハンガー382によっ
て水平支持部材から懸垂させる保存バッグ530の各コーナーの中にホール37
8が設けられている。この特徴については具体的には示さないが、バッグハンガ
ー382は図7〜9に示したように機能するものとする。
【0104】 ここで、図11に移り、本発明の好ましい態様による移動式保存システム54
0を示す。より具体的には、移動式保存システム540は、4つのロッキングキ
ャスター544を有する本体542を具備している。移動式保存システム540
の一方の側は、保存回路202の要素を収納するための保存エリア546を具備
している。輸送中の保存回路202を保護するためのカバー548が設けられて
いる。移動式保存システム540のもう一方の側は、エレクトロニクス部分55
0を具備している。示すように、エレクトロニクス部分550は、バッテリーと
無停電電力供給装置(UPS)554を有する電源552、及び電力コンバータ
ー556を含む。示すように、ポンプコントローラー558が、電源552に隣
接して設置されており、このものは、遠心ポンプ232のコントローラー又はパ
ルスポンプ280のコントローラーユニット282のいずれかであることができ
る。加熱/ 冷却コントロールユニット236は、電源552とポンプコントロー
ラー558の上端部に位置することが好ましい。水循環ライン240が熱交換器
210とウォーターヒーター/ クーラーユニット236の間に伸びていることも
示した。また、調節酸素タンク178が保存エリア546の中に固定されている
。システムプロセッサー/ コントローラー560がウォーターヒーター/ クーラ
ーユニット236の上端部に設けられている。最後に、2チャンネル流量計56
2がエレクトロニクス部分550の上端部に一体化されている。移動式保存シス
テム540の上端部に固定又は一体化させることができるノートパソコン564
も示した。パソコン564のディスプレイは、システムコントローラー560か
ら受信される様々な圧力及びフロー信号を表示している状態で示した。システム
コントローラー560は、保存、輸送、評価、又は蘇生期間中に記録されるすべ
てのデータ( フロー、圧力、酸素飽和度、容量、及び心電図(EKG)活動) の
デジタル保存のためのデータロガー(図示せず)も有している。
【0105】 エレクトロニクス部分550の内部の要素は、移動式保存システム540の動
作を監視するための様々なディスプレイも具備している。より具体的には、ウォ
ーターヒーター/ クーラーユニット236は、温度ディスプレイ586を有する
。セントラルプロセッサー/ コントローラー560は、セントラルコントローラ
ー560によって受信及び/ 又は処理される任意のデータを好ましく表示するた
めの3つのディスプレイ588を具備していることが示されている。最後に、流
量計562は、保存回路202を通って流れる保存液媒体の流速を表示するため
の2つのディスプレイ590を具備していることが示されている。また、機械式
コントロールアーム566がシステムコントローラー560から出て、操作され
ることも示した。
【0106】 移動式保存システム540の特徴の1つは、ピボットブラケット(pivot bra-
cket)568とピボット可能に連結されているヒンジアーム570を有すること
である。アーム570の外側末端からはロッド又はポール572が垂直に伸びて
いる。ポール572は、それにクランプ固定された様々な支持ブラケットを有す
ることができる。より具体的には、クランプブラケット574はポンプドライバ
ー232を支持する。クランプブラケット576は、一体化保存コンテナー20
4を支持ずるための半円状部材578を具備している。最後に、溶液バッグ27
2及び274がそれから懸垂されるように、水平支持部材380が設けられてい
る。
【0107】 図11に示した移動式保存システム540は必ずしもスケール図面を描く必要
はなく、その中に組み込まれた代表的保存回路202を含むということにとくに
注目すべきである。すなわち、当業者であれば、本明細書で開示する保存回路は
いずれのものも、保存エリア546の範囲内で構成され、エレクトロニクス部分
550に接続することができることを認識するであろう。具体的には示さないが
、圧力トランスデューサー72、256及びフロープローブ66、68によって
生成される信号がプロセッサー/ コントローラー560及び流量計562に接続
されることも理解すべきである。また、コントローラー560は、メドトロニッ
ク社により製造されるような、一体化オンラインヘマトクリット及び酸素飽和度
センサーからの様々な信号も受信するものである。また、任意の固体臓器を保存
又は維持するためのソフトシェル保存バッグ360、440、490、530も
、保存エリア546の中で構成され、懸垂させてもよい。
【0108】 移動式表示システム540の中に封入されている電気要素は、専用電源552
によって電力が供給されるものとする。 開示されるように、電源552は、それ
に封入されている電子装置に応じて、適切な60/ 50Hzレベルで汎用110
/ 220V AC電力を供給する。電源552は、レセプタクルを介して12〜
24ボルトの範囲のDC電源を受容できるだけでなく、60/ 50Hzで110
/ 220VのAC電力を受容することもできる。すなわち、電源552は、救急
車などの陸上交通手段、及び飛行機やヘリコプターなどの航空機に見られる様々
な電源から電力を受容することができる双方向DC/ AC電力コンバーター55
6も具備している。さらに、電源552は、外部電力が利用できないときに、必
要なレベルの電力を移動式保存システムに送達するためのUPS554の形での
保存エネルギーデバイスのいくつかの型も含むものとする。
【0109】 ここで図12に移り、保存システム200及び300に関連する様々な方法に
ついて要約する。下記説明を検討すれば、当業者であれば、開示した方法を成す
工程は、本発明の様々な代表的態様によって根拠づけられるということを容易に
理解するであろう。要するに、ドナー心臓12などのドナー臓器はブロック60
0で採取される。次に、ドナー臓器は、保存回路200などの保存回路に接続さ
れ、ブロック602で示されるように、保存コンテナー206の中に置かれる。
ブロック604では、本発明の保存液媒体が、ドナー臓器の好ましくは動脈であ
る少なくとも1つの大血管に送達される。ブロック606では、劣化した保存液
媒体がドナー臓器から運び出される。ブロック608では、液媒体及び/ 又はド
ナー臓器の温度が、約20℃と約37℃の間の実質的に正常体温の温度に保たれ
る。ブロック610では、保存液媒体の少なくとも一部がオキシジェネーター2
08によって酸素富化される。ブロック612では、保存液媒体が上記のように
して濾過される。ブロック614では、セントラルコントローラー560や流量
計562などにより、保存液媒体の流速及び/ 又は圧力を測定し、監視すること
ができる。ブロック616では、浴浸又は液媒体の中の化学物質溶液を臓器の外
部に供給するために、保存液媒体を、ドナー臓器の外部に任意に送達させること
もできる。最後に、返送ライン618は、本法を反復し、ブロック604におけ
るドナー臓器の大血管への保存液の送達を続けることによって、最大24時間ま
で又はそれ以上の時間にわたり保存期間を継続させることができるようにする。
【0110】 本発明の液媒体は、全血と保存溶液を含む。上記したように、本発明の組成物
、方法及びシステム/ デバイスのあるものは、保存されている1つ又は複数の臓
器と適合性のある全血を利用する。基礎試験及び臨床試験により、ドナー又はド
ナー適合性血液潅流液は、より好適な基質、酸素送達、内因性フリーラジカルス
カベンジャー、高力価緩衝液、及び改善されたコロイド浸透圧を供給するため、
臨床ドナー心臓保存の代替手段としてより適していることが示されている。保存
されている1つ又は複数の臓器において経時的に悪影響を及ぼす可能性のあるあ
る種の要素又は構成成分がすでに除去されている全血を任意に利用することもで
きる。たとえば、1つの態様においては、本発明において用いる前に、白血球除
去フィルターを通過させることによって、全血を処理し、白血球除去血を得る。
本発明の目的の1つは、ドナーに最も近い環境を提供することであるため、全血
の適合性が高ければ高いほど、保存に成功する可能性が高まるものと思われる。
【0111】 液体組成物( 本明細書においては液体又は液媒体ということもある) を形成す
るために、全血を保存溶液と混合する。かかる液体は、液体又は液媒体が容器に
供給され、臓器を浸漬すなわち実質的に取り囲むような、1つ又は複数の特定の
主要容器及び/ 又は臓器の外部への送達の前のいずれかの時点で、全血を保存溶
液の要素と混合することにより形成してもよい。保存溶液の要素は、単独で又は
組み合わせて全血と混合することができる。たとえば、1つの好ましい態様にお
いては、炭水化物、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、重
炭酸イオン、エピネフリン、及びアデノシンを液媒体の形成に先立ち、混合する
ことによって、保存安定性保存溶液プレミックスを形成させる。次いで、全血、
上記プレミックス、ならびに、インシュリンなど上記プレミックス中では保存安
定的でないその他の望ましい液体成分を、臓器への送達の直前に混合することに
よって、最終液媒体を形成させる。
【0112】 本明細書の液体及び/ 又は臓器保存溶液は、有効量の炭水化物、電解質、ホル
モン類、及びその他の静脈内又は直接注射送達のために従来入手可能な薬学的に
活性又は有益な薬剤を利用する。本明細書で使用する場合、「有効量」という用
語は、保存している1つ又は複数の臓器に対して有益な影響を及ぼすのに十分な
量をいう。そのような有益な影響としては、臓器の機能、臓器生存性、インプラ
ント性、移植性の維持、又は上記の任意のものの経時的増大又は向上などが挙げ
られるが、これらに限定されない。1つの非常に好ましい態様においては、臓器
がドナーから摘出されてから24時間後、より好ましくは摘出から36時間後、
さらに好ましくは摘出から48時間後、なお好ましくは摘出から72時間後の移
植に耐えるのに十分な生存性が維持される有効量を用いる。
【0113】 本発明の液媒体及び/ 又は保存溶液に用いることができる構成成分の例として
は、炭水化物(グルコース、デキストロース);電解質(ナトリウム、カリウム
、重炭酸塩、カルシウム、マグネシウム);抗生物質及び抗微生物剤(グラム陰
性及びグラム陽性菌、たとえば250,000〜1,000,000単位、好ま
しくは250,000単位のペニシリン);ホルモン類(インシュリン、エピネ
フリン);内因性代謝物質又は内因性代謝物質の前駆物質(アデノシン、L- ア
ルギニン);脂肪酸(飽和及び不飽和、単鎖及び長鎖);及び従来の薬学的に活
性な薬剤(ヘパリン、ニトログリセリン、ACE阻害剤、ベータブロッカー、カ
ルシウムチャンネルブロッカー、細胞保護剤、抗酸化剤、補体、抗補体、免疫抑
制剤、非ステロイド系抗炎症剤、抗真菌薬、抗ウイルス薬、ステロイド類、ビタ
ミン類、酵素、補酵素、など);及びその他の従来、溶液の送達、生物学的利用
性、又は安定性を補助する際に静脈内投与又は直接的注射に使用されている物質
などが挙げられるが、これらに限定されない。pHを調節したり、溶液を安定化
させたり、粘性を調節したりなどする他の構成成分も用いることもできる(当業
者によって認識されるように)。
【0114】 以下の表は、前記濃度の1つ以上において、液体及び/ 又は臓器保存溶液中で
、単独又は組み合わせて使用することができるより詳細な様々な構成成分を列挙
したものである。示した濃度は好ましい濃度であって、P=で示される濃度は少
なくとも1つの非常に好ましい濃度であることに注意されたい。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】
【表7】
【0122】
【表8】
【0123】
【表9】
【0124】 本発明によれば、正常体温の温度状態かつ正常又はほぼ正常な機能状態で臓器
を保存することができるため、本発明の組成物及び方法は、ラクトビオネート、
ペンタフラクションなどの非代謝性インペルメントなど、低体温コールド保存溶
液中で用いられる薬剤を実質的に含んでいないことが好ましい。
【0125】 好ましい態様においては、保存溶液及び/ 又は液媒体は、約7. 35〜約8.
5、より好ましくは約7. 4〜約7.6、さらに好ましくは約7. 4〜約7. 5
のpHに保たれる。
【0126】 本発明の組成物、方法、及びシステム/ 装置は、正常又はほぼ正常な機能状態
で長時間にわたり臓器を保存することができるという点でとくに有用である。そ
れらは、これを正常体温の温度又は実質的に正常体温の温度で達成することがで
きる。本明細書で使用する場合、正常体温の温度又は実質的に正常体温の温度と
は、好ましくは約20℃〜約37℃、さらに好ましくは約25℃〜約37℃の温
度範囲をいう。臓器移植技術の範囲に入らない正常体温の温度とは通常、約37
℃をいうが、臓器保存技術では、低体温という用語は通常は20℃未満、より一
般的には約4℃未満をいうため、当業者であれば、正常体温の温度又は実質的に
正常体温の温度とは、移植用に保存されている臓器に適用する場合は、幾分異な
る意味を有すると解するであろう。
【0127】 大幅に長期にわたり好適な条件下で臓器を保存することができるという重要利
点以外にも、本発明の他の1つの重要な利点として、臓器を機能状態で保存する
ことができるために、移植前に、はるかに容易かつ完全に臓器の検査や評価を行
えることが挙げられる。たとえば、保存臓器に対して下記の検査を実施して、移
植前の生存性や機能を評価することができる。
【0128】 心臓: 心拍数、律動、及びかかる臓器伝導系の生存性を評価するための連続
EKG測定;壁運動、弁コンピテンス、及び心筋機能( 駆出分画EFなど) を評
価するための心エコー測定;圧力、心拍出量、及び冠流の測定;酸素供給量、酸
素消費量、及び酸素要求量を計算することによる代謝評価;血液生化学的指標(
電解質など)、クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)、全血算(CBC)の測
定;及び変力剤及び代謝強化剤に対する心筋機能の評価。
【0129】 腎臓: 腎臓の尿排出量の連続測定;腎臓の機能評価としての尿中ナトリウム
排泄量の測定;腎臓の濃縮機能を評価するための尿浸透圧の測定;血清中及び尿
中血液尿素態窒素(BUN)及びクレアチニン3の測定、腎臓の構造的統合性を
評価するための超音波分析;酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量を計算す
ることによる保存臓器の代謝評価;及び血液生化学的指標(電解質など)、全血
算(CBC)の測定。
【0130】 肝臓: 胆汁産生量(肝細胞生存性の指標)の連続測定;肝機能の血液学的検
査(LFT)値(AST、ALT、アルカリホスフェート、アルブミン、ビリル
ビン(直接及び間接))の測定;血液中フィブリノーゲン値(肝細胞の凝固因子
産生能力の指標)の測定;肝臓の肝実質細胞、肝内及び肝外胆汁ツリーを評価す
るための肝臓の超音波分析;及び酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量を計
算することによる肝臓の代謝評価。
【0131】 膵臓: 膵液量の連続測定と化学分析;膵臓の生存性を評価するための血清中
アミラーゼ及びリパーゼ値の測定;構造構成及び膵管統合性、直径、並びに耐性
を評価するための超音波分析;膵臓の内分泌機能を評価するための血清中インシ
ュリン値及びグルコースの測定;及び酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量
を計算することによる膵臓の代謝評価。
【0132】 小腸: 生存腸管筋肉及び神経の伝導の目安となる腸管蠕動運動の肉眼的観察
;腸管の血液供給と生存性を評価するための腸管色の肉眼的観察;酸素供給量、
酸素消費量、及び酸素要求量を計算することによる代謝評価;及び血液生化学的
指標(電解質など)、全血算(CBC)の測定。
【0133】 本発明の組成物、方法及びシステム/ 装置を用いることにより、臓器を機能状
態で摘出し、処理することもできる。たとえば、抗新生物剤などの細胞傷害性治
療剤若しくはベクターを、単離状態で臓器に送達させることができる。また、移
植前に、たとえば遺伝子治療など、当業者により認識される他の治療プロトコル
を臓器に適用してもよい。また、採取した死体臓器を蘇生させ(通常は死後10
〜60分以内)、臓器の生存性をたとえば上記方法によって分析してもよい。
【0134】 上記説明は、本発明の具体的態様について開示し、説明したものである。当業
者であれば、上記説明ならびに添付図面及び請求の範囲から、請求の範囲で規定
する発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、修飾及びバリエー
ションを行うことができることを容易に認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の好ましい態様による、灌流回路及び灌流システ
ムを形成する構成要素の略図である。
【図2】 図2は、本発明の好ましい態様による、ドナー心臓を拍動状態に
維持するための保存チャンバーの横断面図である。
【図3】 図3は、本発明による、保存チャンバーと共に利用されるカバー
アセンブリーの上面図である。
【図4】 図4はまた、本発明の好ましい態様による、採取臓器の輸送を容
易にするための移動式カートに据えつけられた灌流システムの透視図である。
【図5】 図5は、本発明の好ましい態様による、一体化されたコンテナー
及びリザーバーを利用する保存回路の概略図である。
【図6】 図6は、本発明の他の態様による、保存回路の別の配置での概略
図、及び心臓を非活動性の拍動状態に維持するためのパルスポンプの利用を示す
【図7】 図7は、本発明の教示による、腎臓を維持するための、保存シス
テム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
【図8】 図8は、本発明の教示による、肝臓を維持するための、保存シス
テム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
【図9】 図9は、本発明の教示による、膵臓を維持するための、保存シス
テム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
【図10】 図10は、本発明の教示による、1つ又は2つの肺を維持する
ための、保存システム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
【図11】 図11は、本発明の教示による、任意の数の臓器を維持するた
めの移動式保存システムの透視図である。
【図12】 図12は、本発明の方法による作業フロー図である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月23日(2000.3.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)(i) 臓器適合性の全血又は白血球除去全血及び(ii)保
    存溶液を含有してなる液媒体と交流する、前記臓器を入れるための封入手段; (b)前記臓器の少なくとも1つの大血管に前記液媒体を送達するための送達手
    段; (c)前記臓器から前記液媒体を運び出すための手段; (d)前記臓器の温度を約20℃〜約37℃の正常体温の温度に維持するための
    温度制御手段; (e)前記液媒体の圧力を制御するための圧力制御手段; (f)前記液媒体の少なくとも一部を酸素富化するための酸素富化手段; (g)前記液媒体から好ましくない濾液を除去するための濾過手段; (h)前記液媒体の少なくとも一部の流れを制御するためのフロー制御手段;並
    びに (i)マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、インシ
    ュリン、塩化カルシウム、重炭酸ナトリウム、モノカルボキシル脂肪酸及びエピ
    ネフリンからなる群より選ばれる化学物質の供給手段、 を含んでなる、移植前の保存期間に保存、蘇生又は評価の必要なヒト採取臓器又
    はヒト適合性採取臓器の保存システム。
  2. 【請求項2】 前記液媒体が、前記臓器の外部を取り囲むものである、請求
    項1記載のシステム。
  3. 【請求項3】 前記システムが、さらに前記液媒体を前記臓器から分離する
    ための分離機を含むものである、請求項1記載のシステム。
  4. 【請求項4】 前記液媒体送達手段が、遠心ポンプを含むものである、請求
    項1記載のシステム。
  5. 【請求項5】 前記液媒体送達手段が、パルスポンプを含むものである、請
    求項1記載のシステム。
  6. 【請求項6】 前記酸素富化手段が、膜オキシジェネーターを含むものであ
    る、請求項1記載のシステム。
  7. 【請求項7】 前記システムが、さらに移動式のエネルギー保存及び供給手
    段を含むものである、請求項1記載のシステム。
  8. 【請求項8】 前記システムが、それ自体で独立した、かつ移動式である請
    求項7記載のシステム。
  9. 【請求項9】 さらに、前記システムに電力を供給するための再充電式電源
    を含む請求項1記載のシステム。
  10. 【請求項10】 採取臓器が、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、肺、小腸、血液運
    搬管及び筋遊離皮弁からなる群より選ばれるものである、請求項1記載のシステ
    ム。
  11. 【請求項11】 前記臓器が、前記保存期間に機能状態に維持されているも
    のである、請求項10記載のシステム。
  12. 【請求項12】 前記臓器が心臓である請求項10記載のシステム。
  13. 【請求項13】 前記心臓が拍動状態に維持されているものである、請求項
    11記載のシステム。
  14. 【請求項14】 前記封入手段が、さらに (a)特定の物質を前記液媒体から除去するための濾過材;並びに (b)気泡を再循環液媒体から除去するための消泡スクリーン、 を含むものである、請求項1記載のシステム。
  15. 【請求項15】 前記封入手段がソフトシェルバッグである請求項1記載の
    システム。
  16. 【請求項16】 前記ソフトシェルバッグが、 (a)少なくとも1つの動脈フィッティング; (b)少なくとも1つの静脈フィッティング; (c)内側のジップロッククロージャー; (d)外側のジップロッククロージャー; (e)前記臓器を含む前記ソフトシェルバッグの内側領域から、前記ソフトシェ
    ルバッグの外側に伸びるベントアセンブリー;並びに (f)前記ソフトシェルバッグを固定支持構造に保持する手段、 を含むものである、請求項15記載のシステム。
  17. 【請求項17】 (1)代謝性炭水化物; (2)塩化ナトリウム; (3)カリウム; (4)カルシウム; (5)マグネシウム; (6)重炭酸イオン; (7)エピネフリン;並びに (8)アデノシン; を含有してなり、非代謝性インペルメントを実質的に含有しておらず、さらにp
    Hが約7.4〜約8.5である、機能状態でのヒト採取臓器又はヒト適合性採取
    臓器の保存のための臓器保存溶液。
  18. 【請求項18】 前記溶液が、さらにヘパリン、ニトログリセリン、ACE
    阻害剤、ベータブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、細胞保護剤、抗
    酸化剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗細菌剤、免疫抑制剤、非ステロイド系抗炎
    症剤、ステロイド、ビタミン類及びそれらの混合物からなる群より選ばれる薬学
    的に活性な薬剤を含有してなるものである、請求項17記載の溶液。
  19. 【請求項19】 前記液がさらにインシュリンを含むものである請求項18
    記載の溶液。
  20. 【請求項20】 前記溶液がさらに補体中和剤を含むものである請求項18
    記載の溶液。
  21. 【請求項21】 前記代謝性炭水化物が、デキストロース、グルコース、及
    びそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、請求項18記載の溶液。
  22. 【請求項22】 前記溶液が、さらに少なくとも1つの脂肪酸を含むもので
    ある請求項18記載の溶液。
  23. 【請求項23】 (a)保存の必要な臓器を提供する工程; (b)前記臓器のための封入手段を提供する工程; (c)(i) 前記臓器適合性の全血又白血球除去全血;及び (ii)(a) 代謝性炭水化物; (b) 塩化ナトリウム; (c) カリウム; (d) カルシウム; (e) マグネシウム; (f) 重炭酸塩;エピネフリン;及びインシュリン を含有してなる保存溶液、 を含有してなる保存液媒体を提供する工程; (d)前記臓器が約20℃〜約37℃の正常体温の温度に維持されている間に、
    前記封入された機能性臓器の少なくとも1つの大血管に前記液媒体を送達する工
    程、 を含む、移植前の保存期間における機能状態でのヒト採取臓器又はヒト適合性採
    取臓器の保存方法。
  24. 【請求項24】 前記媒体がヘパリンを含むものである請求項23記載の方
    法。
  25. 【請求項25】 前記媒体が、さらにニトログリセリン、ACE阻害剤、ベ
    ータブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、細胞保護剤、抗酸化剤、抗
    真菌剤、抗ウイルス剤、抗細菌剤、免疫抑制剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステ
    ロイド、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる薬学的に活性な剤を含む、
    請求項23記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記媒体が、さらに少なくとも1つの脂肪酸を含む請求項
    23記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記方法が、さらに前記液媒体を前記臓器の外部に送達す
    る工程を含む請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記方法が、前記臓器由来の代謝産物が前記液媒体に蓄積
    した際に、前記液媒体を濾過するさらなる工程を含む請求項23記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記方法が、さらに前記液媒体の少なくとも一部を酸素富
    化する工程を含む請求項23記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記方法が、さらに前記液媒体の流量を測定する工程を含
    む請求項23記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記方法が、さらに前記液媒体の圧力を測定する工程を含
    む請求項23記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記採取臓器が、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、小腸、血
    液運搬管、及び筋遊離皮弁からなる群より選ばれる、請求項23記載の方法。
  33. 【請求項33】 保存される臓器が心臓である請求項32記載の方法。
JP2000512407A 1997-09-23 1998-09-23 臓器を維持するための組成物、方法及び装置 Withdrawn JP2001516768A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/936,062 US6100082A (en) 1997-09-23 1997-09-23 Perfusion apparatus and method including chemical compositions for maintaining an organ
US08/936,062 1997-09-23
US09/054,698 US6046046A (en) 1997-09-23 1998-04-03 Compositions, methods and devices for maintaining an organ
US09/054,698 1998-04-03
PCT/US1998/019912 WO1999015011A1 (en) 1997-09-23 1998-09-23 Compositions, methods and devices for maintaining an organ

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011066448A Division JP5746534B2 (ja) 1997-09-23 2011-03-24 臓器を維持するための組成物、方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001516768A true JP2001516768A (ja) 2001-10-02

Family

ID=26733365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000512407A Withdrawn JP2001516768A (ja) 1997-09-23 1998-09-23 臓器を維持するための組成物、方法及び装置

Country Status (10)

Country Link
EP (1) EP1017274B1 (ja)
JP (1) JP2001516768A (ja)
AT (1) ATE253819T1 (ja)
AU (1) AU728233B2 (ja)
CA (1) CA2304598C (ja)
DE (1) DE69819759T2 (ja)
DK (1) DK1017274T3 (ja)
ES (1) ES2210825T3 (ja)
PT (1) PT1017274E (ja)
WO (1) WO1999015011A1 (ja)

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006132205A1 (ja) * 2005-06-07 2006-12-14 Inbiotex Inc. ラジカルスカベンジャー及び活性酸素消去剤
JP2008515914A (ja) * 2004-10-07 2008-05-15 トランスメディクス, インク. ex−vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
JP2010520207A (ja) * 2007-03-01 2010-06-10 ライフライン サイエンティフィック インコーポレイテッド 潅流調節
JP2011520839A (ja) * 2008-05-14 2011-07-21 フンダシオ プリバダ クリニク ペル ア ラ レセルカ ビオメディカ 正常体温における肝臓移植片の保存用装置
WO2011093268A1 (ja) * 2010-01-29 2011-08-04 株式会社オーガンテクノロジーズ 臓器又は組織の灌流培養方法及び灌流培養装置
JP2013510590A (ja) * 2009-11-17 2013-03-28 ハーバード バイオサイエンス インコーポレーテッド 臓器を形成および/または分析するためのバイオリアクタ、システムおよび方法
JP2013075888A (ja) * 2011-09-15 2013-04-25 Tokyo Metropolitan Univ 臓器保存装置
JP2013536804A (ja) * 2010-09-01 2013-09-26 オルガン・パフュージョン・プロプライエタリー・リミテッド 灌流組成物
JP2014028845A (ja) * 2007-04-25 2014-02-13 Transmedics Inc ラクテートを指標として用いるエクスビボ臓器ケアのためのシステムおよび方法
JP2015007083A (ja) * 2008-01-31 2015-01-15 トランスメディックス インコーポレイティッド エクスビボ肺ケアのためのシステムおよび方法
JP2015525761A (ja) * 2012-07-10 2015-09-07 ライフライン サイエンティフック インコーポレイテッドLifeline Scientific, Inc. 酸素発生を用いた臓器運搬装置
JP2015527997A (ja) * 2012-07-10 2015-09-24 ライフライン サイエンティフック インコーポレイテッドLifeline Scientific, Inc. 臓器灌流装置における濾過
JP2017504559A (ja) * 2013-10-24 2017-02-09 ヴィヴォライン メディカル エービーVivoline Medical Ab 検査中の拍動中の心臓のための後負荷装置
JP2017512492A (ja) * 2014-03-14 2017-05-25 ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション 肺バイオリアクタ
JP2017518301A (ja) * 2014-06-02 2017-07-06 トランスメディクス, インク.Transmedics, Inc. ex−vivoでの臓器管理システム
US9756851B2 (en) 1997-09-23 2017-09-12 The Department Of Veteran Affairs Compositions, methods and devices for maintaining an organ
WO2018037836A1 (ja) * 2016-08-25 2018-03-01 株式会社Screenホールディングス 持続灌流中の血管吻合方法
US10039276B2 (en) 2005-06-28 2018-08-07 Transmedics, Inc. Systems, methods, compositions and solutions for perfusing an organ
US10194655B2 (en) 2015-09-09 2019-02-05 Transmedics, Inc. Aortic cannula for ex vivo organ care system
JP2019048776A (ja) * 2017-09-08 2019-03-28 株式会社ジェイ・エム・エス 臓器及び生体組織の輸送装置
JP2019048652A (ja) * 2017-09-08 2019-03-28 株式会社ジェイ・エム・エス 臓器及び生体組織の輸送装置
US10327443B2 (en) 2007-03-20 2019-06-25 Transmedics, Inc. Systems for monitoring and applying electrical currents in an organ perfusion system
WO2020004295A1 (ja) * 2018-06-27 2020-01-02 株式会社Screenホールディングス 灌流装置および灌流方法
JP2020007297A (ja) * 2018-06-27 2020-01-16 株式会社Screenホールディングス 灌流装置および灌流方法
JP7406211B2 (ja) 2020-10-14 2023-12-27 株式会社島津製作所 臓器灌流装置および制御方法
US11856944B2 (en) 2011-04-14 2024-01-02 Transmedics, Inc. Organ care solution for ex-vivo machine perfusion of donor lungs

Families Citing this family (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6375613B1 (en) * 1994-05-20 2002-04-23 Breonics, Inc. Prognostic testing of organs intended for transplantation
US6977140B1 (en) 1998-09-29 2005-12-20 Organ Recovery Systems, Inc. Method for maintaining and/or restoring viability of organs
AU6274899A (en) * 1998-09-29 2000-04-17 Organ Recovery Systems, Inc. Apparatus and method for maintaining and/or restoring viability of organs
US6673594B1 (en) * 1998-09-29 2004-01-06 Organ Recovery Systems Apparatus and method for maintaining and/or restoring viability of organs
DE69922985T2 (de) * 1998-10-22 2005-12-15 Medtronic, Inc., Minneapolis Verfahren zur untersuchung an einem isolierten perfundierten herz-präparat
GB9908335D0 (en) * 1999-04-12 1999-06-09 Univ Cambridge Tech Methods and means for extracorporeal organ perfusion
US6582953B2 (en) * 1999-04-14 2003-06-24 Breonics, Inc. Organ chamber for exsanguinous metabolic support system
GB0028414D0 (en) 2000-11-22 2001-01-03 Univ Leeds Flush preservation solution
JP2004529938A (ja) * 2001-05-04 2004-09-30 ブレオニクス,インコーポレーティッド 血液を含まない代謝支持システム用の器官室
US7572622B2 (en) 2002-08-14 2009-08-11 Transmedic, Inc. Heart preservation chamber
ATE363233T1 (de) 2002-08-23 2007-06-15 Organ Recovery Systems Verbindungsanordnungen, insbesondere für transplantationsorgane
NL1024022C2 (nl) * 2003-07-30 2005-02-01 Technologiestichting Stw Draagbare preservatie-inrichting voor een donororgaan.
DE10340487B4 (de) * 2003-09-03 2007-07-12 Technische Universität Dresden Perfusionskreislauf
AU2016222388B2 (en) * 2004-10-07 2017-12-07 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care
US9301519B2 (en) 2004-10-07 2016-04-05 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care
AU2012216796B2 (en) * 2004-10-07 2014-11-27 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care
CA2649703C (en) * 2006-04-19 2019-01-08 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex vivo organ care
US20080145919A1 (en) * 2006-12-18 2008-06-19 Franklin Thomas D Portable organ and tissue preservation apparatus, kit and methods
DE102007034132B4 (de) * 2007-07-21 2010-04-29 Technische Universität Dresden Perfusionsbeutel für explantierte Organe und Organteile
US9084416B2 (en) 2009-09-25 2015-07-21 Vivoline Medical Ab Container and supporting structure for housing an organ
US20120148542A1 (en) * 2010-12-10 2012-06-14 Lifeline Scientific, Inc. Machine perfusion with complement inhibitors
US8828710B2 (en) 2011-03-15 2014-09-09 Paragonix Technologies, Inc. System for hypothermic transport of samples
US11178866B2 (en) 2011-03-15 2021-11-23 Paragonix Technologies, Inc. System for hypothermic transport of samples
EP2688541A4 (en) * 2011-03-23 2014-08-20 Vivoline Medical Ab DEVICE FOR MAINTAINING THE VITABILITY AND TRANSPORTABILITY OF REMOVED ORGANS
US8828034B2 (en) 2011-04-29 2014-09-09 Lifeline Scientific, Inc. Cannula
US9022978B2 (en) 2011-04-29 2015-05-05 Lifeline Scientific, Inc. Universal sealring cannula
US9642625B2 (en) 2011-04-29 2017-05-09 Lifeline Scientific, Inc. Cannula for a donor organ with or without an aortic cuff or patch
CN104039137B (zh) 2011-11-10 2017-03-08 奥加诺克斯有限责任公司 器官灌注系统
WO2013128002A1 (en) * 2012-03-01 2013-09-06 Medical Device Works Nv Organ perfusion device
ES2388223B1 (es) 2012-06-29 2013-09-02 Grifols Sa Dispositivo para la perfusión de un injerto hepático
US10602740B2 (en) 2012-07-10 2020-03-31 Lifeline Scientific, Inc. Organ perfusion apparatus with downstream flow control
WO2015021513A1 (en) * 2013-08-16 2015-02-19 University Of Western Sydney Device for storing a tissue sample
WO2016090498A1 (en) 2014-12-12 2016-06-16 Freed Darren Apparatus and method for organ perfusion
US10091986B2 (en) 2016-05-09 2018-10-09 Xor-Labs Toronto Inc. Organ perfusion device and method
GB2551795A (en) * 2016-06-30 2018-01-03 Spectrum Medical Ltd Heat exchanger
WO2018226993A1 (en) * 2017-06-07 2018-12-13 Paragonix Technologies, Inc. Apparatus for tissue transport and preservation
US11632951B2 (en) 2020-01-31 2023-04-25 Paragonix Technologies, Inc. Apparatus for tissue transport and preservation
GB2591784A (en) * 2020-02-06 2021-08-11 Univ Strathclyde Organ transport apparatus
EP4110050A1 (en) 2020-02-26 2023-01-04 Finless Food Inc. Systems and methods for live fish tissue preservation
WO2023023309A1 (en) 2021-08-20 2023-02-23 Finless Foods Inc. Systems and methods for fish tissue preservation

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4923427B1 (ja) * 1969-10-06 1974-06-15
JPS59212701A (ja) * 1983-05-18 1984-12-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd パタ−ンマツチングによる位置認識方法
WO1988005261A1 (en) * 1987-01-16 1988-07-28 Tops Systems, Inc. Total organ perfusion system
JPH0499701A (ja) * 1988-10-26 1992-03-31 Mckelvey Karen 移植に使用するヒトの臓器の輸送用装置
JPH08511012A (ja) * 1993-06-07 1996-11-19 マイヤー,バーント 器官、身体末端及び身体組織片を保存するための方法及び装置
WO1997046091A1 (en) * 1996-06-06 1997-12-11 Medtronic, Inc. Heart preservation and transportation apparatus and method

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0376763A3 (en) * 1988-10-26 1992-04-01 McKelvey, Karen A device for transportation of human organs used for transplantation
DE69535920D1 (de) * 1994-05-20 2009-04-09 Breonics Inc Verfahren zur überwachung der lebensfähigkeit transplantabler organe
WO1996029865A1 (en) * 1995-03-27 1996-10-03 Organ, Inc. Organ evaluation and resuscitation device and method

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4923427B1 (ja) * 1969-10-06 1974-06-15
JPS59212701A (ja) * 1983-05-18 1984-12-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd パタ−ンマツチングによる位置認識方法
WO1988005261A1 (en) * 1987-01-16 1988-07-28 Tops Systems, Inc. Total organ perfusion system
JPH0499701A (ja) * 1988-10-26 1992-03-31 Mckelvey Karen 移植に使用するヒトの臓器の輸送用装置
JPH08511012A (ja) * 1993-06-07 1996-11-19 マイヤー,バーント 器官、身体末端及び身体組織片を保存するための方法及び装置
WO1997046091A1 (en) * 1996-06-06 1997-12-11 Medtronic, Inc. Heart preservation and transportation apparatus and method

Cited By (68)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9756851B2 (en) 1997-09-23 2017-09-12 The Department Of Veteran Affairs Compositions, methods and devices for maintaining an organ
US9756850B2 (en) 1997-09-23 2017-09-12 The Department Of Veteran Affairs Compositions, methods and devices for maintaining an organ
US9756849B2 (en) 1997-09-23 2017-09-12 The Department Of Veteran Affairs Compositions, methods and devices for maintaining an organ
US10321676B2 (en) 2004-10-07 2019-06-18 Transmedics, Inc. System and methods for ex-vivo organ care and for using lactate as an indication of donor organ status
US11723357B2 (en) 2004-10-07 2023-08-15 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care
JP7066766B2 (ja) 2004-10-07 2022-05-13 トランスメディクス, インク. ex-vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
US10736314B2 (en) 2004-10-07 2020-08-11 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care and for using lactate as an indication of donor organ status
JP2008515914A (ja) * 2004-10-07 2008-05-15 トランスメディクス, インク. ex−vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
JP2020090539A (ja) * 2004-10-07 2020-06-11 トランスメディクス, インク.Transmedics, Inc. ex−vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
US11570985B2 (en) 2004-10-07 2023-02-07 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care and for using lactate as an indication of donor organ status
US11191263B2 (en) 2004-10-07 2021-12-07 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care
US10314303B2 (en) 2004-10-07 2019-06-11 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care
JP2018070651A (ja) * 2004-10-07 2018-05-10 トランスメディクス, インク.Transmedics, Inc. ex−vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
US9894894B2 (en) 2004-10-07 2018-02-20 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex-vivo organ care and for using lactate as an indication of donor organ status
JP2016053030A (ja) * 2004-10-07 2016-04-14 トランスメディクス, インク.Transmedics, Inc. ex−vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
JP2012255003A (ja) * 2004-10-07 2012-12-27 Transmedics Inc ex−vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
JP2017071622A (ja) * 2004-10-07 2017-04-13 トランスメディクス, インク.Transmedics, Inc. ex−vivoでの臓器管理のためのシステム及び方法
WO2006132205A1 (ja) * 2005-06-07 2006-12-14 Inbiotex Inc. ラジカルスカベンジャー及び活性酸素消去剤
US8304452B2 (en) 2005-06-07 2012-11-06 Inbiotex Inc. Radical scavenger and active oxygen eliminating agent
US10039276B2 (en) 2005-06-28 2018-08-07 Transmedics, Inc. Systems, methods, compositions and solutions for perfusing an organ
US11844345B2 (en) 2005-06-28 2023-12-19 Transmedics, Inc. Systems, methods, compositions and solutions for perfusing an organ
JP2010520207A (ja) * 2007-03-01 2010-06-10 ライフライン サイエンティフィック インコーポレイテッド 潅流調節
US10327443B2 (en) 2007-03-20 2019-06-25 Transmedics, Inc. Systems for monitoring and applying electrical currents in an organ perfusion system
US11917991B2 (en) 2007-03-20 2024-03-05 Transmedics, Inc. Systems for monitoring and applying electrical currents in an organ perfusion system
JP2014028845A (ja) * 2007-04-25 2014-02-13 Transmedics Inc ラクテートを指標として用いるエクスビボ臓器ケアのためのシステムおよび方法
JP7059330B2 (ja) 2007-04-25 2022-04-25 トランスメディックス インコーポレイティッド ラクテートを指標として用いるエクスビボ臓器ケアのためのシステムおよび方法
JP2020189890A (ja) * 2007-04-25 2020-11-26 トランスメディックス インコーポレイティッド ラクテートを指標として用いるエクスビボ臓器ケアのためのシステムおよび方法
JP2019163332A (ja) * 2007-04-25 2019-09-26 トランスメディックス インコーポレイティッド ラクテートを指標として用いるエクスビボ臓器ケアのためのシステムおよび方法
US10750738B2 (en) 2008-01-31 2020-08-25 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex vivo lung care
JP2015007083A (ja) * 2008-01-31 2015-01-15 トランスメディックス インコーポレイティッド エクスビボ肺ケアのためのシステムおよび方法
US9462802B2 (en) 2008-01-31 2016-10-11 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex vivo lung care
JP2020138976A (ja) * 2008-01-31 2020-09-03 トランスメディックス インコーポレイティッド エクスビボ肺ケアのためのシステムおよび方法
US9516875B2 (en) 2008-01-31 2016-12-13 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex vivo lung care
US9814230B2 (en) 2008-01-31 2017-11-14 Transmedics, Inc. Systems and methods for ex vivo lung care
JP2011520839A (ja) * 2008-05-14 2011-07-21 フンダシオ プリバダ クリニク ペル ア ラ レセルカ ビオメディカ 正常体温における肝臓移植片の保存用装置
JP2013510590A (ja) * 2009-11-17 2013-03-28 ハーバード バイオサイエンス インコーポレーテッド 臓器を形成および/または分析するためのバイオリアクタ、システムおよび方法
KR101770853B1 (ko) * 2010-01-29 2017-08-23 가부시키가이샤 오간 테크놀로지즈 장기 또는 조직의 관류배양방법 및 관류배양장치
WO2011093268A1 (ja) * 2010-01-29 2011-08-04 株式会社オーガンテクノロジーズ 臓器又は組織の灌流培養方法及び灌流培養装置
JPWO2011093268A1 (ja) * 2010-01-29 2013-06-06 株式会社オーガンテクノロジーズ 臓器又は組織の灌流培養方法及び灌流培養装置
AU2011211050B2 (en) * 2010-01-29 2014-05-15 Organ Technologies, Inc. Perfusion culture method and perfusion culture device for organ or tissue
JP5881422B2 (ja) * 2010-01-29 2016-03-09 株式会社オーガンテクノロジーズ 臓器又は組織の灌流培養方法及び灌流培養装置
CN102812117A (zh) * 2010-01-29 2012-12-05 株式会社器官再生工学 器官或组织的灌注培养方法以及灌注培养装置
JP2013536804A (ja) * 2010-09-01 2013-09-26 オルガン・パフュージョン・プロプライエタリー・リミテッド 灌流組成物
US11856944B2 (en) 2011-04-14 2024-01-02 Transmedics, Inc. Organ care solution for ex-vivo machine perfusion of donor lungs
JP2013075888A (ja) * 2011-09-15 2013-04-25 Tokyo Metropolitan Univ 臓器保存装置
JP2015525761A (ja) * 2012-07-10 2015-09-07 ライフライン サイエンティフック インコーポレイテッドLifeline Scientific, Inc. 酸素発生を用いた臓器運搬装置
US11766038B2 (en) 2012-07-10 2023-09-26 Lifeline Scientific, Inc. Organ transporter with oxygen generation
CN111771870A (zh) * 2012-07-10 2020-10-16 生命线科学有限公司 具有氧生成的器官运送器
JP2015527997A (ja) * 2012-07-10 2015-09-24 ライフライン サイエンティフック インコーポレイテッドLifeline Scientific, Inc. 臓器灌流装置における濾過
JP2017504559A (ja) * 2013-10-24 2017-02-09 ヴィヴォライン メディカル エービーVivoline Medical Ab 検査中の拍動中の心臓のための後負荷装置
US11891593B2 (en) 2014-03-14 2024-02-06 The General Hospital Corporation Lung bioreactor
JP2017512492A (ja) * 2014-03-14 2017-05-25 ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション 肺バイオリアクタ
US11427797B2 (en) 2014-03-14 2022-08-30 The General Hospital Corporation Lung bioreactor
US10076112B2 (en) 2014-06-02 2018-09-18 Transmedic, Inc. Ex vivo organ care system
JP2020193219A (ja) * 2014-06-02 2020-12-03 トランスメディクス, インク.Transmedics, Inc. ex−vivoでの臓器管理システム
US11944088B2 (en) 2014-06-02 2024-04-02 Transmedics, Inc. Ex vivo organ care system
JP2017518301A (ja) * 2014-06-02 2017-07-06 トランスメディクス, インク.Transmedics, Inc. ex−vivoでの臓器管理システム
US11154050B2 (en) 2014-06-02 2021-10-26 Transmedics, Inc. Ex vivo organ care system
US11903381B2 (en) 2014-06-02 2024-02-20 Transmedics, Inc. Ex vivo organ care system
US10194655B2 (en) 2015-09-09 2019-02-05 Transmedics, Inc. Aortic cannula for ex vivo organ care system
US11122795B2 (en) 2015-09-09 2021-09-21 Transmedics, Inc. Aortic cannula for ex vivo organ care system
JPWO2018037836A1 (ja) * 2016-08-25 2019-06-20 株式会社Screenホールディングス 持続灌流中の血管吻合方法
WO2018037836A1 (ja) * 2016-08-25 2018-03-01 株式会社Screenホールディングス 持続灌流中の血管吻合方法
JP2019048652A (ja) * 2017-09-08 2019-03-28 株式会社ジェイ・エム・エス 臓器及び生体組織の輸送装置
JP2019048776A (ja) * 2017-09-08 2019-03-28 株式会社ジェイ・エム・エス 臓器及び生体組織の輸送装置
WO2020004295A1 (ja) * 2018-06-27 2020-01-02 株式会社Screenホールディングス 灌流装置および灌流方法
JP2020007297A (ja) * 2018-06-27 2020-01-16 株式会社Screenホールディングス 灌流装置および灌流方法
JP7406211B2 (ja) 2020-10-14 2023-12-27 株式会社島津製作所 臓器灌流装置および制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
ES2210825T3 (es) 2004-07-01
DE69819759D1 (de) 2003-12-18
WO1999015011A1 (en) 1999-04-01
DE69819759T2 (de) 2004-09-23
CA2304598C (en) 2009-03-10
AU728233B2 (en) 2001-01-04
CA2304598A1 (en) 1999-04-01
DK1017274T3 (da) 2004-03-22
ATE253819T1 (de) 2003-11-15
PT1017274E (pt) 2004-04-30
EP1017274A1 (en) 2000-07-12
AU9504298A (en) 1999-04-12
EP1017274B1 (en) 2003-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6347565B2 (ja) 臓器を維持するための組成物、方法及び装置
JP2001516768A (ja) 臓器を維持するための組成物、方法及び装置
US9756850B2 (en) Compositions, methods and devices for maintaining an organ
US6953655B1 (en) Compositions, methods and devices for maintaining an organ
US11723357B2 (en) Systems and methods for ex-vivo organ care
US11570985B2 (en) Systems and methods for ex-vivo organ care and for using lactate as an indication of donor organ status
CA2980782C (en) Systems and methods for ex vivo organ care
US20230210104A1 (en) Systems and methods for ex-vivo organ care and for using lactate as an indication of donor organ status
JPH0499701A (ja) 移植に使用するヒトの臓器の輸送用装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050315

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050801

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050810

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090626

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090924

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20091001

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20091007

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20091015

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110324

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110401

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20110603

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20110822