JP2001515852A - 多胞状リポソーム中のigf−iの高封入量製剤および低封入量製剤 - Google Patents
多胞状リポソーム中のigf−iの高封入量製剤および低封入量製剤Info
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Abstract
Description
治療のための血中レベルを維持するためには繰り返し投与することが必要である
。治療効果を得るために頻繁に投与することが必要なタンパク質の1つに、イン
スリン様成長因子I(IGF-I)がある。成熟した循環IGF-Iは7.65kDのタンパク質 であり、BドメインおよびAドメイン(インスリンのB鎖およびA鎖に相同である)
からなる。インスリンとは異なり、IGFのBドメインおよびAドメインはCペプチド
により結合されており、C末端に8アミノ酸伸長(Dドメインと呼ばれる)を含む
。
-CysB7、CysA6-CysA11およびCysB18-CysA20。還元条件下では、これらのジスル フィド結合は切断され、変性剤溶液中での酸化的リフォールディングの際に「ス
クランブル状態(scrambled)」となり、異なる3次構造を有する2つの二者択 一的な異性体が生成する(L.O. Narhiら、Biochemistry 32/5214-5221, 1993) 。
能性を有する生物学的活性には、飢餓、重病、または怪我状態における異化作用
を転換させる活性、創傷の治癒および神経の再生を強化する活性、および糖尿病
患者におけるインスリン抵抗性を低下させる活性がある。また、IGF-Iは神経組 織の成長および維持を一般に刺激し、細胞のグルコースの取り込み増加させ、腎
機能を刺激することも知られている。若年層における慢性的な栄養失調およびあ
まり管理されていない糖尿病は、低い循環IGF-Iレベルおよび成長遅滞を伴う。
療には、数日間の間IGF-Iを比較的高レベルに維持することが必要となる。
わたる低レベルのIGF-I放出が有益である。
ローチは、リポソーム封入(liposome encapsulation)である。主なタイプのリ
ポソームの中でも、多胞状リポソーム(Kimら、Biochim. Biophys. Acta; 728:
339-348, 1983)は、単膜リポソーム(Huang, Biochemistry; 8: 334-352, 1969
; Kimら、Biochim. Biophys. Acta; 646: 1-10, 1981)、多胞状リポソーム(Ba
nghamら、J. Mol. Bio., 13:238-252, 1965)、および安定多膜(stable pluril
amellar)リポソーム(米国特許第4,522,803号)とは独自に異なる。単膜リポソ
ームに対して、多胞状リポソームは、複数の水系チャンバーを含む。多膜リポソ
ームに対して、この多胞状リポソームの複数の水系チャンバーは、全体的に網状
にはりめぐらされた膜を有し、非同心円状である。
ど)の封入効率は比較的低く、封入された分子の生物学的液体への放出速度は、
この放出速度を制御するように該第1の水系成分を調節しない限り、治療的に望
ましいものよりも速い。欧州特許第EP0 280 503B1は、塩酸などの塩酸塩と活性 な薬剤との共封入による活性剤放出速度の制御を開示している。国際特許出願公
開第WO95/13796号に開示されている更なる研究は、ヒト血漿中における多胞状リ
ポソームからの薬剤の放出速度は、多胞状リポソームを形成する前に薬剤を溶解
する水系溶液中に塩酸以外の酸を導入することによっても制御することができる
ことを示している。また、多胞状リポソームを生成する前に薬剤を溶解する水系
溶液中に「浸透圧スペーサー」と呼ばれる他のタイプの溶質を導入することによ
って活性な薬剤の放出速度を制御することも知られている(WO96/08253)。
速度を調節するための酸または浸透圧スペーサーに加えて、幾つかのヘルパー機
能のいずれかを果たさせるための活性な薬剤の化合物を一緒に封入することが一
般に実施されている。例えば、ある生物学的に活性な化合物は、特定のpHで維持
された場合にだけ活性を保持する。したがって、薬剤環境のpHを調節するために
は、必然的に、活性な薬剤に加えて酸または緩衝剤が封入されることが多い。別
の場合には、対イオンを加えて、溶解性の低い生物学的に活性な薬剤の溶解性を
増大させる。
有するIGF-Iの新しい高封入量(high loading)および低封入量(low loading)徐
放性製剤が必要である。IGF-Iは高価な薬物であるため、生物学的サンプルから 精製したものであれ組換えにより製造したものであれ、高価な活性剤を無駄にす
ることなく封入効率をできる限り高く維持しながらこれらの目的を達成する必要
がある。
封入量製薬は、製造中に溶解濃度約1mg/mL〜33mg/mL(例えば約5mg/mL〜約20m
g/mL)のIGF-Iを含む第1水系成分を用いることにより得ることができる。低封 入量製剤を製造するために使用する第1水系成分は、1以上の浸透圧賦形剤(例
えばスクロースなど)、およびpHを約1〜約5の範囲に維持するのに十分な1以
上のpH調整剤(例えばクエン酸二アンモニウム)を更に含むことができる。
ースなど)を更に含む。
可能な担体をさらに加えて希釈し、任意の治療上有効な総用量の、注射可能もし
くは埋込み可能な徐放性デポー型製剤を得ることができる。
76,018号、係属中の米国特許出願第08/305,158号(出願日:1994年4月13日)、 第08/473,019号(出願日:1995年6月6日)、第08/473,013号(出願日:1995年6 月6日)および第08/502,569号(出願日:1995年7月14日)に記載されている。こ
れらの特許または特許出願は、本明細書中に参考としてその全体が含まれるもの
とする。多胞状リポソームの一般的な製造方法により、これらにその特徴的性質
(封入された生物学的に活性な物質の調節性放出など)が付与される。この方法
では、少なくとも1つの両親媒性脂質および少なくとも1つの中性脂質を揮発性
有機溶剤中に溶解して脂質成分とし、該脂質成分に不混和性の第1水系成分を添
加し、そして該混合物を乳化することにより、封入しようとする生物学的に活性
な物質を含む「油中水型」エマルジョンを作製する。塩酸塩もしくは塩酸でない
酸を第1水系成分か脂質成分のどちらかまたはその両方に加えてMVLからの活性 剤の放出を制御することができる。この一般的な方法では、封入しようとする生
物学的に活性な物質を、第1水系成分か脂質成分のどちらかまたはその両方の中
に含ませることができる。
うに機械的に攪拌し、第2水系成分中に懸濁された溶剤小球体を作製する。この
溶剤小球体は、封入しようとする物質が中に溶解された多数の水性小滴を含む。
最終工程では、揮発性有機溶剤を小球体から例えばエバポレーションにより除去
する。溶剤を完全に除去すると、多胞状リポソームが生成される。溶剤の蒸発に
使用するのに申し分のない気体の代表的な例としては、窒素、ヘリウム、アルゴ
ン、酸素、水素および二酸化炭素が挙げられる。或いは、有機溶剤は、散布、ロ
ータリーエバポレーション、または溶剤選択膜により除去することができる。つ
ぎに、多胞状リポソーム粒子を水性溶剤中に懸濁して保存および使用する。
剤を得るために、ある重要な例においては(in certain key instance)、変更 される。特に、第1水系成分の組成物は、最終的な製品中のIGF-Iの封入量を制 御するよう調節される。さらにIGF-Iは、脂質成分中ではなく第1水系成分中に 溶解され、より重要なことは、封入のための活性剤を溶解する水系成分の容量オ
スモル濃度は、その中への生物学的に活性な薬剤の封入量を制御するように調節
される。
が判明し、IGF-Iの封入量はMVLの製造中に使用される水系成分の容量オスモル濃
度が低下すると増加し、また容量オスモル濃度が上昇すると減少する。従って、
IGF-Iの封入量が高いもしくは低いMVLを製造する際に操作する重要なパラメータ
ーは、製造工程中に使用される薬物含有第1水系溶液の容量オスモル濃度である
。本発明において、水系溶液の容量オスモル濃度は、浸透圧賦形剤(例えばスク
ロースやグリシルグリシンなど)を該水系溶液中に溶解させることにより調節す
る。高濃度の浸透圧賦形剤を使用すると活性剤の封入量が少なくなり、低濃度の
ものを使用すると封入量が多くなる。浸透圧賦形剤としてスクロースを使用する
場合、低封入量製剤の場合は、製造中の第1水系成分中のスクロース濃度は重量
/体積基準で約5〜約7%(%w/v)であるが、高封入量製剤の場合は、スクロ ース濃度は0〜約2.5%w/vである。
水系成分中の溶液中のIGF-I濃度は、任意の所与の製剤中に封入することができ るIGF-Iの量に直接比例する。しかし、水系溶液中へのIGF-Iの溶解性は、約5pH
で突然低下する。図1は、4.5〜5.5の範囲のpHにおける5%w/vのスクロースへの
、20mMクエン酸アンモニウム中で約120mg/mL濃度のIGF-I(5%w/v)の可溶性を 示す。更なる研究により、最高で300mg/mLまでのIGF-IをpH5未満で溶解するこ とができることが分かった。従って、第1水系溶液中の溶液中に十分なIGF-Iを 得てこれを維持するために、製造中に緩衝剤または酸も加えて、確実に第1水系
成分中にIGF-Iを十分高い濃度で溶解させて、所望の封入量の薬物を含む最終的 なMVL製品を得る。低封入量製剤では、第1水系成分のpHは、一般に1〜約5の 範囲内の値に調節されるが、高封入量製剤の場合のpH範囲は2〜4.8の間である 。
量オスモル濃度を決める要因となるため、浸透圧賦形剤およびpH調整剤の量は、
所望の濃度の薬物の封入を可能にしつつ、最終的な製品中での薬物の溶解性を維
持するように均衡させなければならない。当業者であれば、浸透圧賦形剤の一部
(緩衝剤を含む)が透過性小胞膜を通過するので、最終的な製品の中の水系成分
の容量オスモル濃度は、製造時に使用される第1水系成分の容量オスモル濃度と
一般には異なることが、分かるであろう。
16mg/mLのIGF-I、浸透圧賦形剤として3〜7%w/vのスクロース、およびタンパ ク質を変性させることなくIGF-Iを溶液中に溶解させたまま確実に維持するのに 必要な範囲内に水系成分のpHを維持するための緩衝剤として20mMクエン酸二アン
モニウム(pH4.5〜5.5)を含む第一水系成分を用いることにより、得られる。こ
れに対応する第1水系成分の容量オスモル濃度は、約130〜約290mOsmの範囲内で
ある。他の実施形態において、pHが約1〜約5の範囲では、IGF-Iの濃度が約1m
g/mL〜約33mg/mLである場合、第1水系成分は、その容量オスモル濃度を約160mO
sm〜約320mOsmの範囲内とするのに十分な量の浸透圧賦形剤を含む。全ての場合 において、容量オスモル濃度範囲の下限は薬物濃度範囲の上限に対応する。
のIGF-I、pHを約2〜4.8の範囲内に維持するのに十分なpH調整剤、および容量オ
スモル濃度を約5〜150mOsmの範囲内とするのに十分な浸透圧賦形剤を含む第一 水系成分を製造中に用い、容量オスモル濃度範囲の下限を薬物濃度範囲の上限に
対応させることにより、得られる。1つの実施形態において、浸透圧賦形剤は、
0〜約2.5%w/vのスクロースであり、25mMクエン酸をpH調整剤として使用する。
質成分は、その炭素鎖中に約13〜約28個(例えば約18〜22個の)の炭素を有する
1以上の両親媒性脂質を含む。
、および親水性ヘッド基を持たない中性脂質とを含む。この製剤は、水性懸濁液
中に2%w/v未満のIGF-Iを含むことができる。
って、懸濁媒体が生理学的に許容可能な担体をさらに含み、該組成物中のIFG-I の総量が治療上有効な用量であるような該組成物も提供される。
るためには、製造方法における高い封入効率も使用中の最終製品からの薬物の望
ましい制御放出も犠牲にせずに行うことができる。MVLへの薬物封入量は、MVL製
造中に使用される第1水系成分の容量オスモル濃度を制御することにより調節す
る。容量オスモル濃度は、水系溶液中の溶質のモル濃度の合計である。溶質が解
離状態、イオン化状態、または凝集状態で存在する場合、容量オスモル濃度は、
これらの解離状態物、イオン化状態物、または凝集状態物の濃度の合計として定
義される。水系溶液の容量オスモル濃度の要因となる溶質には、IGF-I、およびM
VLの製造中に封入される浸透圧賦形剤が含まれる。溶液中の任意の溶質の、溶液
の容量オスモル濃度に対する寄与率は、溶液中の溶質の質量濃度(例えばmg/mL )をその分子量で割った値とほぼ同じである。従って、一般原則として、所与の
重量濃度では、溶質の分子量が大きければその溶質の容量オスモル濃度は低く、
溶液の全体的な容量オスモル濃度に対するその溶質の寄与率が小さくなる。また
、活性剤の濃度を低くすることにより、第1水系成分の容量オスモル濃度を低く
させることも可能である。この方法により、第1水系成分中の他の溶質の濃度が
一定に保たれればIGF-の封入量が少なくなる。
ができるIGF-Iの量との間には反比例関係があることがわかった。従って、リポ ソームの製造中に使用される第1水系溶液中に存在するIGF-I以外の溶質は、リ ポソーム中に封入することができるIGF-Iの量を減らす傾向にある。この知見に 従って、本発明において、ヘルパー浸透圧賦形剤(例えば製造中およびMVL製品 中におけるIGF-Iの溶解度を維持するために使用される緩衝剤など)の有益な効 果は、浸透圧賦形剤によってもたらされ得る薬物封入量に対するマイナスの効果
に対して均衡させねばならない。この問題は、特に高封入量製剤を製造するとき
に特に深刻である。
果(即ち、単位封入体積あたりの薬物の封入量)および、封入の前に薬物含有水
系溶液の容量オスモル濃度を調節することによる薬物封入量の調節方法は、IGF-
Iの高封入量MVL製剤および低封入量MVL製剤の両方について説明した。これらの 研究の結果は、広範囲のIGF-I封入量のMVL製剤が製造できることを示している。
封入量を得るように調整される。少なくとも1つの両親媒性脂質と、1以上の有
機溶剤中に溶解させた1つの中性脂質とを含む脂質成分を、不混和性第1水系成
分と混合する。第1水系成分は、IGF-I、場合により浸透圧賦形剤、およびpH調 整量の酸もしくは緩衝剤を含む。1つの実施形態において、高封入量製剤におい
て、緩衝剤はクエン酸(一般的には25mMクエン酸)であり、低封入量製剤におい
ては、緩衝剤は、クエン酸でpHが約5に調整されたクエン酸二アンモニウム(一
般的には20mMクエン酸二アンモニウム)である。最終的な製剤における活性剤の
封入量は、溶解した薬物の濃度ならびにこの第1水系成分(IGF-I、浸透圧賦形 剤およびpH調整剤を含む)の全体的な容量オスモル濃度(第1水系成分中に溶解
した各溶質がもたらす容量オスモル濃度の合計)に依存する。
封入量を達成するように調整したら、上記の2つの不混和性の成分を混合するこ
とにより油中水滴型エマルジョンを形成する。次に、この油中水滴型エマルジョ
ンを第2の不混和性の水系成分に混合して、溶剤小球体(solvent spherules)を 形成する。有機溶剤は最終的には溶剤小球体から(例えばエバポレーションによ
り)除去して、該溶剤小球体を凝集させてMVLとする。このプロセスの最終工程 において、MVLを水系媒体(例えば、生理食塩水)に懸濁する。MVLを懸濁した媒
体の容量を増やすか減らすことにより、製剤中の活性な薬剤の全量(重量/製剤
の容量をベースとする)をどのような所望レベルにも調整できる。
をとおして用いられる「多胞状リポソーム(multivesicular liposomes)(MVL )」という用語は、複数の非同心円状の水系チャンバーを包囲する脂質膜からな
り、該膜が全体的に網目構造として分布している、人工の微小な脂質小胞体を意
味する(Kimら, Biochem. Biophys. Acta, 728:339-348, 1983を参照)。
pherule)」という用語は、有機溶剤の微小な回転楕円面状(spheroid)の液滴を
意味するものであり、その内部には複数のより小さな水系溶液の液滴が存在する
。溶剤小球体は第2の水系溶液中に懸濁し完全に浸ける。
基とを有し、かつ膜形成能がある分子を意味する。
脂質および1つの中性脂質が含まれることが必要である。両親媒性脂質は、両性
イオン性、アニオン性またはカチオン性の脂質であり得る。両性イオン性の両親
媒性脂質の例は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ス
フィンゴミエリンなどである。アニオン性の両親媒性脂質の例は、ホスファチジ
ルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスフ
ァチジン酸などである。カチオン性の両親媒性脂質の例は、ジアシルトリメチル
アンモニウムプロパンおよびエチルホスファチジルコリンである。中性脂質の例
としては、ジグリセライド(例えばジオレイン、ジパルミトレイン)および混合
カプリリン-カプリンジグリセライド、トリグリセライド(例えば、トリオレイ ン、トリパルミトレイン、トリリノレイン、トリカプリリンおよびトリラウリン
)、植物油(例えば大豆油)、スクアレン、トコフェロール、およびそれらの混
合物が挙げられる。さらに、コレステロールまたは植物性ステロールが多胞状リ
ポソームの製造に用いることができる。
チャンバー内に存在するIGF-Iまたは他の薬剤を説明するために用いる場合には 、特定の疾患状態の治療において標的とされる生物学的活性を有する薬剤を含み
、これはMVL小胞体から放出される形態、または小胞体チャンバーから放出され た後で活性になる形態のいずれかであり、例えば、酵素と相互作用すると治療活
性を有する活性成分に変換されるプロドラッグが挙げられる。
電解質および非電解質の両方とも浸透圧賦形剤として機能する。ある特定の分子
が浸透圧賦形剤として機能するか否かを調べる上で、あるいは多胞状リポソーム
に封入される浸透圧賦形剤の濃度を測定する上で、その分子が多胞状リポソーム
内の条件下(例えばpH)で全体的にイオン化されるのか、それとも部分的にイオ
ン化されるのか、および、そのようなイオンが脂質膜を透過するか否かも考慮す
べきである(The Bimolecular Lipid Bilayer Membrane, Mahendra K. Jain, va
n Nostrand Reinhold Co., 1972, 470pp)。当業者であれば、本発明の使用のた
めには、浸透圧賦形剤が、本発明のMVLを用いて治療を受けている被験者にとっ て毒性または有害であることがわかっている薬剤を避けるように選択されねばな
らないことがわかるであろう。当業者であれば、過度の実験に頼らずとも、本発
明における使用のために所与の浸透圧賦形剤の安定性を容易に評価できる。
な薬剤の生物学的活性を促進する。例えば、対イオンとしてカルシウムイオンを
共に封入して、薬物の貯蔵寿命を長くしたり、生物活性を促進することが可能で
あるが、しかし、MVL製剤の治療上または他の実用性を達成するには不十分であ る。さらに、種々の安定化剤が存在してもよい。一般に賦形剤として分類される
特定の薬剤は、実際には、非常に僅かな程度から極めて有意な程度の直接的な生
物学的活性を有していることがある。例えば、一般的な賦形剤であるマンニトー
ルは、利尿剤としても生物学的に作用し得る。水でさえも、生物学的に作用して
脱水症を直すことがあるが、これらの化合物が浸透圧賦形剤として用いられる場
合、それらは同じヘルパー機能を示す他のものと比較的交換可能である。
ース、トレハロース、コハク酸塩、シクロデキストリン、アルギニン、ガラクト
ース、マンノース、マルトース、マンニトール、グリシン、リシン、クエン酸塩
、ソルビトール、デキストラン、およびそれらの適切な組合せが挙げられ、多胞
状リポソームの形成および多胞状リポソームからの封入薬剤の薬物封入量の調節
のために用い得る。下記の表1は、異なる濃度におけるスクロース溶液とグリシ
ルグリシン溶液の容量オスモル濃度を比較するものである。
クロン酸、コハク酸およびリン酸のような有機酸が挙げられるが、それらに限定
されない。
の薬理学的効果を引き起こすのに必要な生物学的に活性な薬剤の量を意味する。
この量は、特定の活性な薬剤の有効度、個々の宿主の年齢、体重および応答性、
ならびに宿主の症状の性質および重篤度に応じて大きく変えることができる。し
たがって、活性な薬剤の量には厳密な上限も下限もない。本発明で用いる治療上
有効な量は、当業者であれば容易に決定できる。
いて、同様の製剤と比較した場合の、製品であるリポソーム懸濁液の中に封入さ
れる生物学的に活性な薬剤の量を意味する。したがって、それは、使用の際に患
者に送達しようとする、MVL製剤の単位容量において使用可能な活性な薬剤の量 の尺度である。さらに詳細に言えば、「薬物封入量」とは、リポソーム懸濁液の
単位容量当たりの薬物の、リポソーム自体における封入容量の割合に対する比率
を意味する。それは、遊離薬物の割合が低い場合には、MVL懸濁液中の活性な薬 剤の濃度を懸濁液のリポクリットで除算したものにほぼ等しい。
製造プロセスの最終懸濁液において封入しようとする化合物の量の、該プロセス
の第1の水系溶液において用いられる封入しようとする化合物の全量に対する割
合を100倍したものを意味する。
同様にして求められるものであり、リポソームが占める容量の、全懸濁液容量に
対する割合を100倍したものを意味する。
いてリポソームの外側に存在する薬物の量の、最終懸濁液(最終製品)中の薬物
の全量に対する割合を100倍したものを意味する。
る。
が浸透圧賦形剤を用いずに封入される場合のように、ゼロに近いものであっても
よい。このことは、活性な薬剤が高分子量のタンパク質または他の巨大分子であ
る場合に特に当てはまる。一方、第1の水系成分の容量オスモル濃度は、毒性の
効果をもたらことなく、約1000mOsm以上と高いものであり得る。この理由は、賦
形剤の多くが、製造プロセスの間にリポソームから出ていくことができるからで
ある。しかし、通常は、第1の水系成分の容量オスモル濃度は約5mOsmから約32
0mOsmの範囲である。
懸濁媒体、すなわちMVLが貯蔵されるかMVLが(in vitroおよびin vivoで)導入 される生理学的に関連のある水系環境(例えば、0.9wt%の生理食塩水)の容量オ
スモル濃度と等張である。しかし、最終MVL製品における水系成分の容量オスモ ル濃度はまた、リポソームからの生物学的に活性な薬剤の放出速度の最適な低下
をもたらすために、生理学的に関連のある水系環境に対して高張であってもよい
。したがって、本発明の範囲内では、MVL製品における水系成分は、貯蔵媒体ま たは生物学的に活性な薬剤が放出される水系環境について低張、等張または高張
であり得ると考えられる。
であるので、そのような環境におけるMVL薬物放出の予測モデルとして生理食塩 水を用いることができる。本発明のMVLの好ましい使用は、(例えば、薬物デポ ー剤として)組織または体腔へのin vivo注射または埋め込み用であるので、そ れらは通常、媒体(例えば、生理食塩水、リン酸緩衝化食塩水または他の浸透圧
が同様の媒体)中に保存される。
分は、約13〜約28個の炭素(例えば、約18〜約22個の炭素)を有する両親媒性脂
質を1つ以上を含み得る。この一般法則は、その両親媒性脂質の炭素鎖が飽和し
ていてもいなくても、またはそれが1つ以上の二重結合を含んでいてもいなくて
も成立する。しかし、一般に、多胞状リポソームの製剤化において用いる脂質を
選択する上で念頭におくべきことは、炭素鎖中にある所定の炭素数を有する脂質
を用いる場合、もしもその脂質が炭素鎖中に少なくとも1つの二重結合を含むな
らば、低沸点の有機溶剤を使用できることである。MVLの製造の際にそのような 長鎖の両親媒性脂質を用いることによってもたらされる、生物学的に活性な薬剤
の封入効率および持続性放出に対する有益な効果は、「Method for Producing L
iposomes With Increased Percent of Compound Encapsulated」という表題であ
る同時係属出願中の米国特許出願第08/723,583号(1996年10月1日出願)に開示
されており、これは引用によりその全体を本明細書に組み入れる。
である。この一覧は説明のためであり、どのような意味においても本発明の範囲
を制限しようとするものではない。また、本出願および科学文献において、これ
らのリン脂質を指すのに用いる略語も挙げてある。
DEPCならびに天然の脂質である。
に)投与しなければならないリポソーム製剤の量を低下させる場合に特に有用で
ある。それらはまた、患者において薬物の治療のための持続性放出レベルに達す
るためにIGF-Iを投与しなければならない回数を低減するのにも有用である。あ る所定容量のリポソーム懸濁液に封入される薬物の量の有用な上限は、その懸濁
液のリポクリットによっても決まり得る。当業者であれば理解するように、リポ
ソームを含有する懸濁液のリポクリットが非常に高い場合には、その懸濁液を注
射することは困難な場合がある。全身投与の場合、本発明のヒトにおけるin viv
o使用に適する多胞状リポソーム中のIGF-Iの投薬範囲は、治療適用に応じて除脂
肪体重で約0.01mg/kgから約100mg/kgの範囲、またはそれ以上を含む。例えば、 糖尿病またはALSの治療では、投薬範囲の上限を選ぶだろう。しかし、局所的注 射および送達の場合には、全身投薬の下限を選ぶだろう。
得る担体を添加することによりさらに希釈して、任意の治療上有効な全投与量を
有する注射可能な徐放性デポー型製剤を得ることができる。通常用いられる好適
な担体としては、水系または非水系溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げら
れる。非水系溶液の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植
物油(例えば、オリーブ油)および注射可能な有機エステル(例えば、エチルオ
レエート)である。水系担体としては、水、アルコール-水系溶液、エマルジョ ンまたは懸濁液が挙げられ、食塩水および緩衝化媒体を含む。非経口用ビヒクル
としては、塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース、デキストロース、
および乳酸加リンガー液が挙げられる。静脈内用ビヒクルとしては、液体または
栄養補給物(replenishers)、電解質補給物(例えば、リンガーのデキストロー
スをベースとするもの)などが挙げられる。防腐剤および他の添加剤が存在して
もよく、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性気体が挙げられ
る(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第16版、A. Oslo編, Mack, Easto
n, PA.1980)。
所望の経路で投与してもよく、例えば、腫瘍内、関節内(関節へ)、眼内、筋肉
内、鞘内、腹腔内、皮下、静脈内、リンパ内、経口および粘膜下が挙げられる。
多胞状リポソームは、当業界で周知の方法を用いて、例えば賦形剤分子またはペ
プチドなどにより、標的特異的リガンド(例えば、抗体および他の受容体特異的
タンパク質リガンド)を直接的または間接的に結合させて改変して、器官または
細胞標的特異性を付与してもよい(Maloneら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,
86:6077, 1989; Gregoriadis, Immunology, Today, 11(3):89, 1990; これらの
両方は引用により本明細書に組み入れる)。
、製造プロセスの間に用いられる他のパラメーター(例えば、エマルジョンの形
成の際に用いられる混合装置のタイプ)とは無関係であることを示した。25mMク
エン酸を含む、または含まない20〜80mg/mLの濃度範囲のIGF-Iを含有する第1の 水系成分を用いて、高封入量の製剤を得た。さらに、浸透圧賦形剤として糖(ス
クロース)または非糖(グリシルグリシン)を用いて、IGF-I製剤を、薬物封入 量に対する効果について比較した。表2〜6のこれらの試験の結果の比較から、
容量オスモル濃度と薬物封入量との逆の関係が第1の水系成分を構成するいずれ
の成分の化学的特性にも依存しないこと、および、それがたった1つのパラメー
ター、すなわちMVLの製造の際に用いられる第1の水系成分の全容量オスモル濃 度にだけ依存すること、が示された。幾つかの製剤において、容量オスモル濃度
を変化させることによる薬物封入量の調節傾向を有意に変化させることなしに、
該製剤の徐放特性を付与するために用いる長鎖両親媒性脂質をDEPCからDOPCへと
変えた。さらに、本発明の方法がプロセスの間に用いられるそのような変数に依
存しないことを実証するために、異なるタイプの混合装置を用いて異なるバッチ
サイズでMVL製剤を製造した。
実施例は説明のためのものであり、本発明はそこにおける具体的な材料または条
件のいずれかによっても限定されないことを理解すべきである。
た。脂質成分は、0.5〜4mLの13.20mM DOPCまたはDEPC、19.88mMのコレステロー
ル、2.79mMのDPPGおよび2.44mMのトリオレイン(Avant Polar Lipids Inc., Ala
baster, AL)を溶剤としてのクロロホルム(Spectrum Chemical Manufacturing
Corp., Gardena, CA)中に含有するものとした。
v%のスクロースとを含むものとした。シタラビン(Upjohn Co., Kalamazoo, MI )を20mMクエン酸(Sigma Chemical)に溶解させたものと浸透圧賦形剤(excipi
ent osmotic agent)として0、2、5または8w/v%のスクロースとを含有する
もの]を調製した。0.5mLの第1の水系成分と0.5mLの脂質成分とをBaxterボルテ
クサー(vortexer)を用いて最大速度(10に設定)にて6分間混合することにより
、脂質と第1の水系成分とのエマルジョンを形成した。得られた第1のエマルジ
ョンに、4wt%グルコースおよび40mMリシン(Spectrum Chemicals)を含有する溶 液2.5mLをそれぞれ添加した。得られた混合物をBaxterボルテクサーを用いて最 大速度にて4秒間乳化して、第2のエマルジョンを形成した。得られた第2のエ
マルジョン[すなわち、水中油中水滴型(water-in-oil-in-water:W/O/W型)ダブ
ルエマルジョン)を、4wt%のグルコースおよび40mMのリシンを含む溶液10mLが 入っている250mL容エーレンマイヤーフラスコに移して、穏やかに渦をまくよう に攪拌した。有機溶剤(クロロホルム)を粒子から蒸発させるために、第2のエ
マルジョンに窒素ガスを37℃で20分間、ゆっくり攪拌しながら通した。得られた
多胞状リポソームは50mLの通常の生理食塩水でベンチトップ遠心分離機で600× gにて遠心分離することにより2回洗浄し、次いで0.5〜4mLの通常の生理食塩 水に再懸濁した。推定容量オスモル濃度(mOsm)、歩留まり(%)および薬物。
実施例1に記載の工程の残りの工程を行って、通常の生理食塩水中に懸濁された
IGF-Iを含むMVLを得た。これらの製剤の推定容量オスモル濃度(mOsm)、歩留ま
り(%)および薬物封入量を下記の表2に示す。
ら、クエン酸を使用することにより、封入されたIGF-Iの生物学的活性にたいし てより好ましい化学的条件がもたらされることが示される。
1の水系成分は、20mg/mLのIGF-I(Chiron Corp., Emeryville, CA)を100mMの 塩酸に溶解させたものと、浸透圧賦形剤として2.5または5.0w/v%のスクロースと
を含有するものか、あるいは50mg/mLのIGF-Iを100mMの塩酸に溶解させたものと 、浸透圧賦形剤として0または2.5w/v%のスクロースとを含むものとした。IGF-I
を含有するMVLを得るために、実施例1の手法をたどって行った。但し、この場 合、4mLの第1の水系成分と4mLの脂質成分とを、TKオートホモジナイザーKを 用いて9,000rpmの速度で8分間混合して第1のエマルジョンを得た。第1のエマ
ルジョンに、4wt%のグルコースおよび40mMのリシン(Spectrum Chemicals)を 含有する溶液1mLをそれぞれ添加した。得られた混合物をTKオートホモジナイザ
ーKを用いて4,000rpmの速度で1分間乳化して、第2のエマルジョンを形成した 。ボルテクサーミキサーおよびDEPC(炭素数22の炭素鎖を有する脂質)を用いた
これらの製剤の推定容量オスモル濃度(mOsm)、歩留まり(%)および薬物封入
量を下記の表3に示す。
果が、ボルテクサーミキサーを用いた場合に得られる結果とほぼ同等であること
を示している。本明細書の実施例3のようにして封入タンパク質を得て特性決定
したところ、表4の製剤(第1の水系成分中に25mMのクエン酸が含まれていた)
と比べて、増大した量のIGF-Iオリゴマーが見られた。
1の水系成分は、30mg/mLのIGF-Iを25mMのクエン酸に溶解させたものと、浸透圧
賦形剤として0または2.5w/v%のスクロースとを含有するもの;50mg/mLのIGF-I を25mMのクエン酸に溶解させたものと、2.5、1.0、0.5または0w/v%のスクロー スとを含有するもの;またはクエン酸を用いない50mg/mLのIGF-Iと、0または0.
5w/v%のスクロースとを含有するものとした。IGF-Iを含有するMVLを得るために 、実施例1の手法をたどって行った。但し、この場合、3mLの第1の水系成分と
3mLの脂質成分とを、OmniミキサーESを用いて10,000rpmの速度で12分間混合し て第1のエマルジョンを得た。第1のエマルジョンに、4wt%のグルコースおよ び40mMのリシン(Spectrum Chemicals)を含有する溶液20mLをそれぞれ添加した
。得られた混合物をOmniミキサーESを用いて4,500rpmの速度で2分間乳化して、
第2のエマルジョンを形成した。これらの製剤の推定容量オスモル濃度(mOsm)
、歩留まり(%)および薬物封入量を下記の表4に示す。
よる薬物封入量の調節がほぼ同等であることが示される。
1の水系成分は、10mg/mLのIGF-Iを25mMクエン酸中に溶解させたものと、浸透圧
賦形剤として0、1.0または2.0w/v%のグリシルグリシンとを含有するものとした
。実施例1に記載した工程の残りの工程を行って、生理食塩水中に懸濁されたIG
F-Iを含有するMVLを得た。これらの製剤の推定容量オスモル濃度(mOsm)、歩留
まり(%)および薬物封入量を下記の表5に示す。
剤についても、ほぼ同様の浸透圧による薬物封入量の調節が示される。したがっ
て、薬物封入量に及ぼす容量オスモル濃度の影響は、表5のデータにより、用い
る浸透圧賦形剤の化学的構造に依存しないことが示される。
w/v%のグリシルグリシンのいずれか一方と共に封入されるIGF-Iを含有するMVL を実施例1Aの方法で作製した。比較のために、浸透圧賦形剤として2.5w/v%の スクロースまたは1.0w/v%のグリシルグリシンを、80mg/mLのIGF-Iおよび25mMの クエン酸を含有する第1の水系成分に加えた。
場合、3mLの第1の水系成分と3mLの脂質成分とをOmniミキサーESを用いて10,0
00rpmの速度で12分間混合して第1のエマルジョンを得た。第1のエマルジョン に、4wt%のグルコースおよび40mMのリシン(Spectrum Chemicals)を含有する 溶液20mLをそれぞれ添加した。得られた混合物をOmniミキサーESを用いて4,500r
pmの速度で2分間乳化して、第2のエマルジョンを得た。
ものなのか否かを調べるために、上記のようにして第3の製剤を作製した。但し
、この場合、浸透圧賦形剤およびIGF-Iの濃度は(80mg/mLのIGF-Iおよび2.5%の スクロースから、50mg/mLのIGF-Iおよび1.0%のスクロースへと)比例して低下さ
せた。これらの製剤において、第2の水系成分は、実施例1で用いた4%のグル
コースおよび40mMのリシンの代わりに、1.5%のグリシンおよび40mMのリシンを用
いた。下記の表6は、これら3種の製剤の最終リポソーム懸濁液における推定容
量オスモル濃度(mOsm)、歩留まり(%)および薬物封入量を比較したものであ
る。
入量を下記表6に示す。
の異なる浸透圧スペーサーが、薬物封入量に対して同等の影響をもたらすことか
ら、所与の薬物濃度について、浸透圧賦形剤の容量オスモル濃度が結果に影響を
及ぼす変数であることが示される。一方、第1の水系成分の薬物濃度も薬物封入
量に影響を及ぼし得る。
化させることにより調節でき、容量オスモル濃度が低下すると薬物封入量は増大
することが示される。
の推定容量オスモル濃度(mOsm)、歩留まり(%)および薬物封入量(mg/mL) を示すものである。薬物の封入率(または歩留まり)は、第1の水系溶液中で用
いられる薬物の全量に対する最終リポソーム懸濁液中の薬物の量の百分率として
算出した。したがって、薬物の歩留まりは、第1の水系溶液中の薬物濃度に第1
の水系溶液の容量を掛けたものに対する、最終懸濁液中の薬物濃度に最終懸濁液
の容量を掛けたものの割合として算出した。リポクリットは、ヘマトクリットと
同様に、懸濁液容量に対するペレット容量の百分率として算出した(ペレット容
量を得るためには下記の条件を参照されたい)。
分率として算出した。遊離薬物の割合はまた、懸濁液中の薬物濃度に対する上清
中の薬物濃度の百分率に(1−リポクリット)を掛けたものとして算出できる。
薬物封入量は、封入容量の各単位容量中に封入された薬物の量を測定したもので
あり、これは、(遊離薬物の割合が低いと仮定した場合)リポクリットに対する
最終リポソーム懸濁液の薬物濃度の割合とほぼ等しく、その値として推定できる
。これらの変数は、以下にさらに詳細に説明するようにして求めた。
濁液を遠心分離機で600×gで10分間遠心して、ペレット層および上清層を得た 。懸濁液が占める管の長さに対する、ペレットが占める管の長さの百分率がリポ
クリットとなる。
:2Nクエン酸(Sigma Chemical)を含むガラス管にピペット操作により入れ、 激しく混合して、透明な溶液を得た。分光光度計(Hitachi U-2000)で275nmで の吸光度を測定した。同じ溶解溶液中の既知濃度の薬物溶液に基づいて設定した
参照吸光度標準を用いて、懸濁液および上清中の薬物の濃度を算出した。この高
封入製剤における遊離薬物の範囲は概ね2%(w/v)未満であった。
-910型粒径アナライザー(Horiba Inc., Irvine, CA)を用いて求めた。検討し た製剤の全部について、容量についての荷重平均粒径(volume-weighted mean p
article diameter)は概ね約6〜18μmの範囲であった。
-PAGEアッセイ、およびC18対称カラムを用いたRP-HPLCアッセイにより確認した 。IPA:2Nクエン酸(75:25)を用いて封入タンパク質を抽出した。封入IGF-I の生物活性は、MG-63細胞およびMTT株を用いてW. Lopaczynskiら(Regulatory P
eptides, 48:207-216, 1993)の方法に従うマイトジェンバイオアッセイにより 確認した。MG-63ヒト骨肉腫細胞系は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレ クションから入手し(ATCC# CRL 1427)、添加したIGF-Iに対する静止期のMG-6
3細胞の用量依存性マイトジェン応答を調べた。抽出したIGF-Iの生物活性は、封
入されていない標準的なものの生物活性とほぼ同等であることが確認された。
施した:約50mg/mLのIGF-Iを含有するMVL懸濁液を、0.01%NaN3を含有するヒト
血漿で20倍に希釈し、各時点についてスクリューキャップ付きエッペンドルフ管
内に入れた0.5mLのサンプルを用い、サンプルを動的/回転条件下で37℃でイン キュベートした。時点サンプル(time-point samples)を各種時点で採取し、0.9m
Lの通常の生理食塩水で洗浄した。次に、微量遠心分離機で14k rpmにて約16,000
×gで4分間遠心分離して粒子ペレットを得、C18対称カラムを用いたRP-HPLCに
よりアッセイするまで−20℃で保存した。図2は、表5に示す3種の代表的なIG
F-I製剤について得たいくつかのin vitro血漿中放出データを示す。これらのデ ータから、高薬物封入量で高歩留まりのIGF-I製剤について、試験した3種全て の製剤においてIGF-Iの持続性放出が数日間にわたって達成されたことが示され る。
o放出特性についての情報を得た。各ラットには10mg用量のIGF-Iが投与されてお
り、試験した製剤の各々を3匹のラットに注射した。ゼロ時点ならびに注射後1
、3、5および7日後にラットの尾部静脈から血液サンプル(0.2mL)を採取し 、凝固させた。次に、遠心分離により血清を得、IGF-I濃度についてIGF-I ELISA
キットDSL-10-5600(Diagnostic Systems Laboratories Inc., Webster, TX)を
用いて製造業者の説明書に従ってアッセイする前に−70℃で保存した。
I濃度の経時的変化を示す。これらのデータから、本発明の高薬物封入量で高歩 留まりのIGF-I製剤を用いると、IGF-Iの持続的血清レベルが何日間にもわたって
達成できることが示される。
るMVLを調製した:水系成分は、7%スクロース(w/v)20mMクエン酸アンモニウ
ム(pH5)中に9〜16mg/mLの範囲の濃度のIGF-Iを含む水系溶液とした。この水
系成分の3.5mLのアリコートと、13mMのジオレオイルホスファチジルコリン、2.8
mMジパルミトイルホスファチジルグリセロール、19.9mMコレステロールおよび2.
4mMトリパルミトレインを水飽和コレステロール中に溶解させたものを含有する 等容量の脂質成分と、周囲温度(23〜28℃)で9分間にわたって9,000rpmで乳化
した。混合した後、20mMリシン中に4%グルコースを溶解させたもの28mLを、有
機/水界面の1cm上部にて混合ブレードを用いて油中水滴型エマルジョンに添加
し、内容物を6,000rpmで1分間混合した。得られた第2のエマルジョンを、20mM
リシン中に42mLの4%グルコースを含有する1L容のバッフル(baffled)フラスコ
に添加した。このフラスコ中の混合物に50標準立方フィート/時の窒素を37℃で
15分間散布して、クロロホルムを除去した。次いで、噴霧後容量(post-sparge v
olume)の122mMクエン酸二ナトリウム(pH5)を4回添加し、627gで10分間遠心
分離することにより、この多胞状リポソームを回収した。洗浄後、ペレットを等
容量の122mMクエン酸二ナトリウム中に約40〜50%のリポクリットにて再懸濁し た。MVLにおけるIGF-Iの封入効率を算出したところ、60%より高かった。20mMク
エン酸二ナトリウム中の7%スクロース中における9〜16mg/mLのIGF-Iに対応す
る容量オスモル濃度の範囲は、約30mOmsから約290mOsmである。
iba Instruments, Inc. Irvine, CA.)を用いて測定した。Horiba LA-500ソフト
ウエア(Horiba Instuments, Inc. Irvine, CA.)を用いて生データを集めた。 粒径決定は、10〜15μLのMVL懸濁液を10mLの0.9%NaClに添加し、容量について の荷重粒径分布(volume-weighted distribution of size)を測定することによ
って行った。メジアン粒径は12〜18ミクロンの範囲であった。
に入れ、該ミクロヘマトクリット管(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)を6
30gで10分間スピンすることにより測定した。スピン後、上清およびペレットの
長さを測定した。リポクリットは、懸濁液が占める管の長さに対する、ペレット
が占める管の長さの百分率として算出した。
、封入水系成分をMVLから放出させた。放出された水系成分のpHは、HPLC水中で 測定し、HPLC水による希釈率について補正して、封入水系成分の推定pHを得た 。
した。第1の水系成分は、15mg/mLのIGF-Iを5%スクロース/20mMクエン酸アンモ
ニウム溶液または8%スクロース/20mMクエン酸アンモニウム溶液のいずれか一方
に溶解させたものとした。125mLの第1の水系溶液と125mLの脂質成分とを、高剪
断二槽式混合槽システムを用いて混合して、第1のエマルジョンを得た。この混
合システムは製造スケールプロセスに合わせて設計されたものであり、封入薬物
製剤のスケールアップに用いられる。第1の乳化槽において、水系成分と有機成
分とを8000rpmの速度で30分間混合した。次に、この第1のエマルジョンを167mL
/分の速度でポンプ汲み上げして、2400mL/分で流れる0.04Nの水酸化アンモニ
ウムを1.5%グリシン溶液中に含む液体流にし、インライン型静的混合装置(in-l
ine static mixer)を用いてブレンドして、第2のエマルジョンを得た。静止混
合装置を流れる全体の流速は2567mL/分であった。この速度において、第1のエ
マルジョンは90秒でなくなった。第2のエマルジョンを、受槽に入る際にリシン
溶液と混合し、次いで直ちに窒素を噴霧して有機溶剤を除去した。これらの製剤
の推定容量オスモル濃度(mOsm)、歩留まり(%)、薬物封入量および遊離薬物
の割合(%)を下記の表7に示す。
試験した他の薬物製剤と同様に増大したことが示される。
0分間遠心分離した。粒子画分から上清をアスピレートし、分析用のために保存 した。そして各粒子画分は87%イソプロパノール/13%2N塩酸溶液を用いて抽
出した。抽出したサンプルを氷浴中で45分間インキュベートし、次いで1M濃度 のTris/塩酸溶液(pH9)で中和した。
UK)で275nmにてタンパク質濃度を測定した。1mg/mLのIGF-Iを含有するタンパ ク質溶液についての吸光係数0.62を用いて、タンパク質濃度を算出した。遊離の
IGF-I濃度は、ストックIGF-I溶液の希釈物(100mM酢酸中)の吸光度により測定 した。
ewlett-Packard GmbH, Waldborn, Germany)で行った。用いたカラムは、150×3
.9nm(内径)のWaters Symmetry C18(Millipore, Milford, MA)であった。H
ewlett-Packard 3DChemstationソフトウエア(Hewlett-Packard GmbH, Waldbo
rn, Germany)を用いて生データを集めた。IGF-Iは、214nmおよび275nmの両方に
て検出した。
ルオロ酢酸(TFA)とした。分離の後、100%溶剤Bを用いて4分間アイソクラチ
ック溶出を行い、続いて初期の条件下で9分間平衡させた。分離は45℃で行った 。
造業者の説明書に従ってIGF-IのMVLから分離されたIGF-IのSDS-PAGE解析を行っ た。IGF-Iを内包しているMVLのSDS-PAGEゲル分析から、オリゴマー化が起こって
いないことが示され、封入タンパク質の完全性が維持されたことが示された。
paczynskiら, Regulatory Peptides, 48:207-216, 1993の方法によるマイトジェ
ンバイオアッセイにより確認した。MG-63細胞系は、アメリカン・タイプ・カル チャー・コレクションより入手し(ATCC# CRL1427)、添加したIGF-Iに対する静
止期のMG-63細胞の用量依存的マイトジェン応答を測定した。図4に、1.3×103 国際単位(IU)/mLの生物活性を有する組換えヒトIGF-I(Chiron Corporation)
の標準に対して計算した場合の、製剤のml当たり5mgのIGF-Iを含有するIGF-Iの
低封入MVL製剤の生物学的活性を示す。マイトジェンアッセイにおける回収率は 、対照IGF-Iの90〜110%の範囲であった。
トリウムでスパイクしてある)を、高封入製剤の研究における20倍希釈物を用い
た場合と比較して、5mg/mLのMVLの5倍希釈物を含有するMVL懸濁液と共にイン キュベートした。500μLのアリコートを1.5mL容のスクリューキャップ付試験管 にピペット操作により移し、それぞれの試験管が1つの時点に該当し、穏やかな
動的条件下で37℃にてインキュベートした。全てのin vitro放出研究はそれぞれ
2回づつ行った。インキュベーション開始の1、3、5および7日後の時点で、
0.9mLの0.9%塩化ナトリウムを試験管のうちの1本に添加した。この試験管を微
量遠心分離機で14,269gで3分間スピンし、上清とペレットを分離した。ペレッ
トを上記のようにして抽出手法で1mLの酸性化イソプロパノールおよび0.2mLのT
risで抽出した。抽出したペレットをRP-HPLCによりIGF-I含量について分析した 。MVL粒子から放出されるIGF-Iの生物活性を求めるために、懸濁液を食塩水中で
37℃でインキュベートし、上記のようにして上清およびペレット画分の両方にお
いてIGF-I生物活性を測定した。in vitroでの放出プロフィールのグラフ(図5 )から、7日間で、封入IGF-Iの75〜80%が持続性の零次的に放出されることが 示される。
の遊離IGF-I、MVL製剤または5mg/mL IGF-Iのストック溶液から調製したIGF-Iの
いずれかのを各ラットに注射した(1群は3匹)。注射後8日目までの各種の時
点で血清を回収し、IGF-I ELISAキット(DSL-10-5600)(Diagnositc Systems L
aboratories (DSL), Webster, Texas)を用いて製造業者の説明書に従ってIGF-I
についてアッセイした。薬物動態学的パラメーターは、WinNonlinプログラム(S
cientific Consulting Inc.)および仕切りのないモデルを用いて算出した。こ の研究の結果を示すグラフ(図6)から、低封入MVL製剤が5〜7日間にわたっ て治療レベルのIGF-Iを放出し、遊離のIGF-Iは約1日後に一掃されることが示さ
れる。
添付の請求の範囲の範囲によって規定される本発明の精神の範囲内で改変を行う
ことが可能である。
の関数で表わしたグラフを示す。対象のバルク製剤に対応するIGF-Iの溶解度( ▲)も示す。
高封入量MVL内に保持されたIGF-Iの割合(放出速度)を表わしたグラフを示す。
様々な濃度のIGF-Iおよび浸透圧賦形剤を、製造中に使用する第1水系成分中に 使用して、薬物封入量を制御した。◇=25mMクエン酸中に溶解させた80mg/mL IG
F-Iおよび2.5w/v%スクロース(113.5mOsm);▽=25mmクエン酸中に溶解させた8
0mg/mL IGF-I、1w/v%グリシルグリシン(113.5mOsm);+=25mmクエン酸中に溶
解させたの50mg/mL IGF-Iおよび1w/v%スクロース(63.5mOsm)。誤差バーは標
準偏差を示す。
トにおける、8日間にわたる血清中のIGF-Iの濃度(ng/mL)を表わすグラフを示
す。データは、3匹のラットの平均を示す。
を含む低封入量MVL製剤10バッチから抽出したIGF-Iの国際単位(IU)中における
生物活性を表わすグラフを示す。この生物活性は、約1.3×103国際単位(IU)/m
Lの活性を有する標準rhIGF-I対照を用いた細胞培養物マイトジェンアッセイを用
いて測定する。
血漿中のin vitro放出プロファイルを表わすグラフを示す。縦座標は、粒子画分
中に保持されるIGF-Iの割合(%)を、そして横座標は血漿中で37℃にてインキ ュベートした日数を表わす。
れた血清中におけるin vivoでの放出を表わすグラフを示す。このグラフはまた 、同じ用量の遊離IGF-Iから得られた血清レベルも示す。縦座標は血清中のIGF-I
濃度(ng/ml)を示し、横軸は注射後の日数を示す。-●-=MVL中のIGF-I、用量2
0mg/kg;-▲-=遊離IGF-I、用量20mg/kg。
Claims (60)
- 【請求項1】 インスリン様成長因子I(IGF-I)を含み、且つ全体的に連続
的な網目状構造として分布する膜を有する多数の非同心円状チャンバーを有する
多胞状リポソームであって、 (a)2つの不混和性成分から油中水滴型エマルジョンを形成し、そこにおいて 、該2つの不混和性成分が、(1)少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つ
の両親媒性脂質、および親水性ヘッド基を持たない中性脂質を含む脂質成分、な
らびに(2)約1mg/mL〜約33mg/mLの濃度範囲のIGF-Iを含む第1水系成分であ り、 該第1水系成分が、約160mOsm〜約320mOsmの範囲の容量オスモル濃度と、約1
〜約5の範囲のpHとを有し、 (b)IGF-Iを含む該油中水滴型エマルジョンを第2水系成分に分散させて溶剤小
球体を作製し、その後で、 (c)該溶剤小球体から有機溶剤を除去して、該第2水系成分中に懸濁させた多 胞状リポソームを作製する、 工程を含む方法により製造される、前記多胞状リポソーム。 - 【請求項2】 前記第1水系成分がさらに浸透圧賦形剤を含む、請求項1に
記載のリポソーム。 - 【請求項3】 前記浸透圧賦形剤がスクロースである、請求項2に記載のリ
ポソーム。 - 【請求項4】 前記浸透圧賦形剤がグリシルグリシンである、請求項2に記
載のリポソーム。 - 【請求項5】 前記両親媒性脂質が約13〜約28個の炭素をその炭素鎖中に有
する、請求項1に記載のリポソーム。 - 【請求項6】 前記両親媒性脂質が約18〜約22個の炭素をその炭素鎖中に有
する、請求項1に記載のリポソーム。 - 【請求項7】 前記両親媒性脂質が、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホ スホコリンである、請求項6に記載のリポソーム。
- 【請求項8】 前記両親媒性脂質が1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホス ホコリンである、請求項6に記載のリポソーム。
- 【請求項9】 前記第1水系成分がさらにpH調整剤を含む、請求項1または
2に記載のリポソーム。 - 【請求項10】 前記pH調整剤がクエン酸である、請求項9に記載のリポソー
ム。 - 【請求項11】 前記pH調整剤がクエン酸二アンモニウムである、請求項9に
記載のリポソーム。 - 【請求項12】 前記中性脂質が、トリオレイン、トリカプリリン、スクアレ
ン、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載のリポソ
ーム。 - 【請求項13】 前記有機溶剤が、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素
、ハロゲン化エーテル、エステル、CO2、NH3、フレオン、およびこれらの組合せ
からなる群より選択される、請求項1に記載のリポソーム。 - 【請求項14】 インスリン様成長因子I(IGF-I)を含み、且つ全体的に連続
的な網目状構造として分布する膜を有する多数の非同心円状チャンバーを有する
多胞状リポソームであって、 (a)2つの不混和性成分から油中水滴型エマルジョンを形成し、そこにおいて 、該2つの不混和性成分が、(1)少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つ
の両親媒性脂質、および親水性ヘッド基を持たない中性脂質を含む脂質成分、な
らびに(2)約40mg/mL〜約300mg/mLの濃度範囲のIGF-Iを含む第1水系成分であ
り、 該第1水系成分が、約5.0mOsm〜約150mOsmの範囲の容量オスモル濃度と、約2
〜約4.8の範囲のpHとを有し、 (b)IGF-Iを含む該油中水滴型エマルジョンを第2水系成分に分散させて溶剤小
球体を作製し、その後で、 (c)該溶剤小球体から有機溶剤を除去して第2水系成分中に懸濁された多胞状 リポソームを作製する 各工程を含む方法により製造される、前記多胞状リポソーム。 - 【請求項15】 前記第1水系成分がさらに浸透圧賦形剤を含む、請求項14に
記載のリポソーム。 - 【請求項16】 前記浸透圧賦形剤がスクロースである、請求項15に記載のリ
ポソーム。 - 【請求項17】 前記浸透圧賦形剤がグリシルグリシンである、請求項15に記
載のリポソーム。 - 【請求項18】 前記両親媒性脂質が約13〜約28個の炭素をその炭素鎖中に有
する、請求項14に記載のリポソーム。 - 【請求項19】 前記両親媒性脂質が約18〜約22個の炭素をその炭素鎖中に有
する、請求項14に記載のリポソーム。 - 【請求項20】 前記両親媒性脂質が、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホ スホコリンである、請求項19に記載のリポソーム。
- 【請求項21】 前記両親媒性脂質が1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホス ホコリンである、請求項19に記載のリポソーム。
- 【請求項22】 前記第1水系成分がさらにpH調整剤を含む、請求項14または
15に記載のリポソーム。 - 【請求項23】 前記pH調整剤がクエン酸である、請求項22に記載のリポソー
ム。 - 【請求項24】 前記中性脂質が、トリオレイン、トリカプリリン、スクアレ
ン、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項14に記載のリポソ
ーム。 - 【請求項25】 前記有機溶剤が、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素
、ハロゲン化エーテル、エステル、CO2、NH3、フレオン、およびこれらの組合せ
からなる群より選択される、請求項13に記載のリポソーム。 - 【請求項26】 全体的に連続的な網目状構造として分布する膜を有する多数
の非同心円状チャンバーを有し且つその中にインスリン様成長因子I(IGF-I)が
封入されている多胞状リポソームを含む組成物を製造する方法であって、 (a)2つの不混和性成分から油中水滴型エマルジョンを形成し、そこにおいて 該2つの不混和性成分が、(1)少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つの
両親媒性脂質、および親水性ヘッド基を持たない中性脂質を含む脂質成分、なら
びに(2)約1mg/mL〜約33mg/mLの濃度範囲のIGF-Iを含み且つ約160mOsm〜約320
mOsmの範囲の容量オスモル濃度と約1〜約5の範囲のpHとを有する第1水系成分
であり、 (b)該生物学的に活性な薬剤を含む油中水滴型エマルジョンを第2水系成分に 分散させて溶剤小球体を作製し、その後で、 (c)該溶剤小球体から有機溶剤を除去して、第2水系成分中に懸濁された多胞 状リポソームを作製する 各工程を含み、該第1水系成分の容量オスモル濃度は、該組成物中へのIGF-Iの 封入量を調節するように選択する、 前記組成物の製造方法。 - 【請求項27】 前記第1水系成分が、容量オスモル濃度を調節するように選
択された濃度の浸透圧賦形剤をさらに含む、請求項26に記載の方法。 - 【請求項28】 前記浸透圧賦形剤がスクロースである、請求項26に記載の方
法。 - 【請求項29】 前記浸透圧賦形剤がグリシルグリシンである、請求項26に記
載の方法。 - 【請求項30】 前記第1水系成分が、IGF-Iを可溶化するのに十分な濃度のp
H調整剤をさらに含む、請求項26に記載の方法。 - 【請求項31】 前記pH調整剤がクエン酸である、請求項30に記載の方法。
- 【請求項32】 前記pH調整剤がクエン酸二アンモニウムである、請求項30に
記載の方法。 - 【請求項33】 前記脂質成分が、約13〜約28個の炭素をその炭素鎖中に有す
る少なくとも1つの両親媒性脂質を含む、請求項26に記載の方法。 - 【請求項34】 前記脂質成分が、約18〜約22個の炭素をその炭素鎖中に有す
る少なくとも1つの両親媒性脂質を含む、請求項26に記載の方法。 - 【請求項35】 前記浸透圧賦形剤が、グリシルグリシン、グルコース、スク
ロース、トレハロース、コハク酸塩、シクロデキストリン、アルギニン、ガラク
トース、マンノース、マルトース、マンニトール、グリシン、リシン、クエン酸
塩、ソルビトール、デキストラン、塩化ナトリウム、およびこれらの組合せから
なる群より選択される、請求項27に記載の方法。 - 【請求項36】 前記浸透圧賦形剤が、スクロースまたはグリシルグリシンで
ある、請求項35に記載の方法。 - 【請求項37】 前記中性脂質がトリオレイン、トリカプリリン、スクアレン
およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項26に記載の方法。 - 【請求項38】 前記有機溶剤が、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素
、ハロゲン化エーテル、エステル、CO2、NH3、フレオン、およびこれらの組合せ
からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。 - 【請求項39】 全体的に連続的な網目状構造として分布する膜を有する多数
の非同心円状チャンバーを有し且つその中にインスリン様成長因子I(IGF-I)が
封入されている多胞状リポソームを含む組成物を製造する方法であって、 (a)2つの不混和性成分から油中水滴型エマルジョンを形成し、そこにおいて 該2つの不混和性成分が、(1)少なくとも1つの有機溶剤、少なくとも1つの
両親媒性脂質、および親水性ヘッド基を持たない中性脂質を含む脂質成分、なら
びに(2)約40mg/mL〜約300mg/mLの濃度範囲のIGF-Iを含み、約5.0mOsm〜約150
mOsmの範囲の容量オスモル濃度と約2〜約4.8の範囲のpHとを有する第1水系成 分であり、 (b)該生物学的に活性な薬剤を含む油中水滴型エマルジョンを第2水系成分に 分散させて溶剤小球体を作製し、その後で、 (c)該溶剤小球体から有機溶剤を除去して第2水系成分中に懸濁された多胞状 リポソームを作製する 各工程を含み、該第1水系成分の容量オスモル濃度が、該リポソーム中のIGF-I 濃度に反比例する、組成物製造方法。 - 【請求項40】 前記第1水系成分がさらに、容量オスモル濃度を調節するよ
うに選択された濃度の浸透圧賦形剤を含む、請求項39に記載の方法。 - 【請求項41】 前記浸透圧賦形剤がスクロースである、請求項40に記載の方
法。 - 【請求項42】 前記浸透圧賦形剤がグリシルグリシンである、請求項40に記
載の方法。 - 【請求項43】 前記第1水系成分がpH調整剤をさらに含む、請求項39に記載
の方法。 - 【請求項44】 前記pH調整剤がクエン酸である、請求項43に記載の方法。
- 【請求項45】 前記pH調整剤がクエン酸二アンモニウムである、請求項43に
記載の方法。 - 【請求項46】 前記脂質成分が、約13〜約28個の炭素をその炭素鎖中に有す
る少なくとも1つの両親媒性脂質を含む、請求項39に記載の方法。 - 【請求項47】 前記脂質成分が、約18〜約22個の炭素をその炭素鎖中に有す
る少なくとも1つの両親媒性脂質を含む、請求項39に記載の方法。 - 【請求項48】 前記浸透圧賦形剤が、グリシルグリシン、グルコース、スク
ロース、トレハロース、コハク酸塩、シクロデキストリン、アルギニン、ガラク
トース、マンノース、マルトース、マンニトール、グリシン、リシン、クエン酸
塩、ソルビトール、デキストラン、塩化ナトリウム、およびこれらの組合せから
なる群より選択される、請求項40に記載の方法。 - 【請求項49】 前記中性脂質が、トリオレイン、トリカプリリン、スクアレ
ンおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項39に記載の方法。 - 【請求項50】 前記有機溶剤が、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素
、ハロゲン化エーテル、エステル、CO2、NH3、フレオン、およびこれらの組合せ
からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。 - 【請求項51】 a. IGF-Iを含む水系成分;約18〜約22個の炭素をその炭 素鎖中に含む両親媒性脂質;および親水性ヘッド基を含まない中性脂質;を含ん
でなる、全体的に連続的な網目状構造として分布する、膜を有する多数の非同心
円状チャンバーを有する多胞状リポソームと、 b.リポソームを懸濁する水性媒体と、 を含む組成物であって、該組成物中のIGF-I濃度が約50mg/mL〜約80mg/mLである 、前記組成物。 - 【請求項52】 約2重量%〜約30重量%以下のIGF-Iが前記懸濁媒体中に懸濁
される、請求項51に記載の組成物。 - 【請求項53】 前記組成物中のIGF-I濃度が約50mg/mLであり、封入された水
性組成物のpHが約4.5である、請求項51に記載の組成物。 - 【請求項54】 IGF-Iの生物活性が約0.8IU/mL×103〜約2.2IU/mL×103の範 囲内である、請求項51に記載の組成物。
- 【請求項55】 前記水性懸濁媒体のpHが約3〜約7の範囲内である、請求項
51に記載の組成物。 - 【請求項56】 前記水性懸濁媒体のpHが約4〜約6の範囲内である、請求項
51に記載の組成物。 - 【請求項57】 前記両親媒性脂質が、1,2-ジエルコイル-sn-ホスホコリンで
ある、請求項51に記載の組成物。 - 【請求項58】 前記両親媒性脂質が1,2-ジオレオイル-sn-ホスホコリンであ
る、請求項51に記載の組成物。 - 【請求項59】 請求項51、52、53、54、55、56または57に記載の組成物を含
む医薬組成物であり、前記懸濁媒体が生理学的に許容可能な担体をさらに含み、
かつ該組成物中のIGF-Iの総量が治療上有効な用量である前記医薬組成物。 - 【請求項60】 多胞状リポソームの調製物中に含まれるIGF-Iの物理的、化 学的および生物学的特性の評価方法であって、約87%のイソプロパノールおよび
約13%の2N塩酸を含む組成物を用いて該調製物からIGF-Iを抽出する工程を含む 前記評価方法。
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