JP2001514238A - フッ素含有化合物、特にフルオロベンズアルデヒドおよびフルオロベンゾニトリルの製造方法 - Google Patents

フッ素含有化合物、特にフルオロベンズアルデヒドおよびフルオロベンゾニトリルの製造方法

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JP2001514238A
JP2001514238A JP2000508632A JP2000508632A JP2001514238A JP 2001514238 A JP2001514238 A JP 2001514238A JP 2000508632 A JP2000508632 A JP 2000508632A JP 2000508632 A JP2000508632 A JP 2000508632A JP 2001514238 A JP2001514238 A JP 2001514238A
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アペル,ヴォルフガング
パセノク,セルゲイ
ヴェッセル,トーマス
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アヴェンティス・リサーチ・ウント・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
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    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
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    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/61Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reactions not involving the formation of >C = O groups
    • C07C45/63Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reactions not involving the formation of >C = O groups by introduction of halogen; by substitution of halogen atoms by other halogen atoms

Abstract

(57)【要約】 本発明は、フッ素含有化合物の製造方法であって、フッ素で交換できるハロゲン原子1個または数個を含む化合物と、一般式(I):KAT+-に対応するフッ化物(式中、KAT+はアルカリ金属イオン、NH4、アルカリ土類金属イオン、または一般式(II):A1234+に対応する残基であり、ここでA1、A2、A3、A4は明細書中に示した定義に対応する)を、一般式(III): 【化1】 に対応する化合物またはその混合物(式中、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12は明細書中に示した定義に対応し、B-は1価酸残基または当量の多価酸残基である)の存在下に、かつ一般式IVa:X−NO2および/またはIVb:X−SO−X′に対応する化合物1種または数種(式中、XおよびX′は互いに独立して、同一または異なり、明細書中に示した定義に対応する)の存在下に、溶媒の存在下または不存在下に、40〜260℃の温度で反応させることを特徴とする方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、フッ素含有化合物、好ましくはフッ素含有芳香族化合物、特にフル
オロベンズアルデヒドおよびフルオロベンゾニトリルを高純度で製造する方法に
関する。
【0002】 特に本発明は、先行技術と比較して改良され、フッ素化がハロゲン−フッ素交
換(ハレックス(halex)法)によって高い選択率および高い純度で達成さ
れる方法に関する。
【0003】 フッ素含有化合物は、特に液晶混合物に用いられる(欧州特許出願公開第A−
0 602 596号)。
【0004】 芳香環に結合した水素をフッ素で交換することは、生物活性物質の合成または
そのような化合物の前駆物質の製造にもきわめて重要である。
【0005】 さらに、フッ素が化学物質の生物活性に対し、強い、しばしば予想外の影響を
与えることは一般に知られている。生物活性分子中の水素をフッ素で交換すると
、生物学的作用が増大または改変した類似化合物が生成することはしばしばある
【0006】 直接フッ素化とは別に、ハロゲン(Cl、Br)をフッ素で交換することによ
るフッ素化合物の製造(“ハレックス法”として知られている)は、工業的に重
要なきわめて有用な反応である。
【0007】 芳香族化合物、特に活性化した芳香族化合物の場合、ハロゲン−フッ素交換は
求核置換の形で進行する。
【0008】 この反応を実施するには、しばしば200〜300℃の比較的高い温度が必要
であり、その結果かなりの量の分解生成物が形成されることがある。一般に溶媒
なしでは実施できず、したがって空間−時間収率が無溶媒法と比較して著しく低
い。
【0009】 ハレックス反応にはしばしば他の二次反応が伴い、これによって著しい量の副
生物、特に還元脱ハロゲン化された芳香族化合物が生成する。沸点が類似するた
め、それを生成物から除去するのはきわめて困難であり、著しい経費がかかる。
これらの二次反応のため、ハレックス反応の利用は比較的限定されている。
【0010】 具体的な公表された先行技術は下記のものである: D1=米国特許第4,287,374号 D2=国際特許出願公開第WO87/04194号 D3=Clarkら,Tetrahedron Letters 28[1987],111以下 D4=C.A.109:92451t=JP 63 39,824 D5=JP 05194303 A2 D6=JP 08092148 A2。
【0011】 相間移動触媒の使用は、前記の問題のうち幾つかを克服するために設計された
先行技術に属する。しかし、無溶媒法の場合には反応懸濁液の撹拌性に乏しいな
ど、他の問題が残っている。
【0012】 D1は、相間移動触媒として第四級アンモニウムまたはアルキルホスホニウム
塩類を用いることを教示する。D2によればピリジニウム塩類を相間移動触媒と
して用い、D3ではクラウンエーテルまたはテトラフェニルホスホニウム塩類を
相間移動触媒として用いる。これらの相間移動触媒のうち幾つかは活性が比較的
低く、反応の実施に必要な温度での安定性は中程度であるにすぎない。
【0013】 D4は、塩素−フッ素交換を重合阻止剤、たとえばジニトロベンゼンの存在下
で実施する。しかしジニトロベンゼンの使用は残念ながら幾つかの重大な欠点を
もつ。最近知られたように、ジニトロベンゼンはKFと反応してNO2置換し、 ナイトレートアニオンを形成し、これがフェノール誘導体を形成し、追加量のフ
ッ素化試薬を消費する。
【0014】 D5によれば、塩素−フッ素交換反応は溶媒としてのニトロベンゼン中で実施
され、したがって空間−時間収率は無溶媒法と比較してかなり低い。さらに、類
似する沸点をもつ化合物の場合は特に、生成物をニトロベンゼンから分離するの
が困難な可能性がある。
【0015】 D6には、ハレックス反応中のモノ塩素化ベンズアルデヒドの脱ハロゲン化を
少なくする方法が開示されている。4−クロロベンズアルデヒドを、ニトロベン
ゼンまたはニトロナフタレンの存在下で、スルホラン、KFおよびテトラフェニ
ルホスホニウムブロミドと反応させる。これにより副生物ベンズアルデヒドの形
成速度は低下するが、形成量は3時間後に0.72%で、なお高すぎる。さらに
、希望するフッ素化された目標生成物から脱ハロゲン化生成物を除去するのは、
沸点がきわめて類似するので一般に困難である。
【0016】 前記に考察した先行技術からみて本発明の目的は、特定の目標化合物を良好な
収率、高い選択率および高い純度で製造できる、冒頭に述べた種類の方法を提供
することである。新規方法は、工業的に利用でき、低い経費で、環境汚染がほと
んどなく、比較的簡単な手段で、実施できなければならない。特にその方法は、
先行技術が従来もっていた前記の欠点がきわめて大幅に解決されるものでなけれ
ばならない。
【0017】 本発明の他の目的は、脱ハロゲン化がきわめて実質的に抑えられるようにハレ
ックス反応を改良することである。
【0018】 これらの目的、および詳述しないが前記の先行技術の考察から誘導または推定
できる他の目的は、請求項1記載の特徴をもつ冒頭に述べた種類の方法により達
成できる。本発明の有利な改変は、請求項1に従属する後続の請求項に記載され
ている。
【0019】 フッ素含有化合物の製造方法において、フッ素で交換できるハロゲン原子1個
以上を含む化合物と、式Iのフッ化物または式Iのフッ化物の混合物: KAT+- (I) (式中、KAT+はアルカリ金属イオン、NH4、アルカリ土類金属イオン、また
は式IIのカチオン: A1234+ (II) であり、ここでA1、A2、A3、A4は互いに独立して、同一または異なり、それ
ぞれ、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルケ
ニル、4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキル、6〜12個の炭素原子をもつ
アリール、または7〜12個の炭素原子をもつアラルキルである)を、式III
の化合物またはその混合物:
【0020】
【化3】
【0021】 (式中、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12は互いに独立して、同一 または異なり、それぞれ、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アル
キルもしくはアルケニル、4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキル、6〜12
個の炭素原子をもつアリール、または7〜12個の炭素原子をもつアラルキルで
あるか、あるいはA5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12は互いに独立し て、同一または異なり、互いに直接にまたはOもしくはN−A13を介して結合し
て3〜7個の環原子をもつ環を形成し、A13は1〜4個の炭素原子をもつアルキ
ルであり、B-は1価酸アニオンまたは当量の多価酸アニオンである)の存在下 に、かつ式IVaおよび/またはIVbを含めた式VIの化合物1種以上: X−NO2 (IVa) X−SO−X′ (IVb) (式中、XおよびX′は互いに独立して、同一または異なり、それぞれ置換もし
くは非置換(C6〜C18)−アリール、置換もしくは非置換(C5〜C18)−アリ
ールオキシ、置換もしくは非置換(C5〜C18)−アリールチオ、置換もしくは 非置換(C7〜C12)−アラルキル、または式Vの基:
【0022】
【化4】
【0023】 であり、ここでR1、R2、R3は互いに独立して、同一または異なり、それぞれ 、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルケニル
、または4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキルである)の存在下に、溶媒の
存在下または不存在下に、40〜260℃の温度で反応させることにより、選択
性および得られる生成物に関して、容易に予想できないほど既知の方法を改良す
る方法を提供できる。
【0024】 アルカリ金属イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよび
/またはセシウム、特にナトリウムおよび/またはカリウム、殊にカリウムであ
る。
【0025】 アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよび/ま
たはバリウム、特にカルシウムである。
【0026】 1〜4個の炭素原子をもつアルキルには、直鎖または分枝鎖の基、たとえばメ
チル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびt−ブチルが含
まれる。
【0027】 1〜12個の炭素原子をもつ直鎖アルキルまたはアルケニルには、特に非分枝
鎖、飽和炭化水素基、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシル、
ならびに非分枝鎖不飽和炭化水素基、たとえばビニル、アリル、2−ブテニル、
2−ペンテニルおよび2−デセニルが含まれる。
【0028】 1〜12個の炭素原子をもつ直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルケニルには
、特に前記の直鎖アルキルまたはアルケニルおよび分枝鎖基、たとえばイソプロ
ピル、2−ブチル、2−メチルプロピル、t−ブチル、2−メチルブチル、1,
1−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−デシル
が含まれる。
【0029】 4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキルは、シクロブチル、シクロペンチル
、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル、好ましくはシクロヘ
キシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル、特に好ましくはシクロヘキシル
である。
【0030】 本発明の目的に関して、“アリール”という表現は、6〜18個、特に6〜1
4個の炭素原子、特に好ましくは6〜12個の炭素原子をもつ環式芳香族基、た
とえばフェニル、ナフチルまたはビフェニル、好ましくはフェニルを意味する。
【0031】 非置換または置換(C6〜C18)−アリールには、まず前記の非置換アリール が含まれる;これらは最高3個の置換基でモノ置換またはポリ置換されていても
よい;可能な置換基は、本質的にF、NO2(式I、II、IIIの化合物の場 合はそうでない)、CF3、CN、CHO、COF、SO2F、OCF3、SOC F3、SO2CF3、COOR、CONRR′、SO2R、CORもしくはOR、ま
たは2つのオルト位を連結する−OC−NR−CO−もしくは−OC−O−CO
−基であり、これらにおいてRおよびR′は互いに独立して、同一または異なり
、それぞれ、水素、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、
6〜12個の炭素原子をもつアリール基、または7〜12個の炭素原子をもつア
ラルキル基であり、フッ素原子でモノ置換ないしトリ置換され、またRおよびR
′は結合して3〜7員環を形成していてもよい。
【0032】 置換もしくは非置換(C6〜C18)−アリールオキシには、まず6〜18個の 炭素原子をもつアリールオキシ、好ましくは同素環式化合物が含まれる;非置換
アリールオキシ基は、たとえばフェノキシまたは1−もしくは2−ナフチルオキ
シである;これらは置換アリールと同様に適切な基を置換基として含むことがで
きる。
【0033】 置換もしくは非置換(C6〜C18)−アリールチオには、まず6〜18個の炭 素原子をもつチオアリール、特に好ましくは同素環式化合物が含まれる;置換ア
リールチオ基は、たとえばフェニルチオまたは1−もしくは2−ナフチルチオで
ある;これらは置換アリールと同様に適切な基を置換基として含むことができる
【0034】 置換もしくは非置換(C7〜C12)−アラルキルには、7〜12個の炭素原子 をもつアラルキルが含まれる;これらには特にベンジル、2−フェニルエチル、
1−フェニルエチル、1−メチル−1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル
、4−フェニルブチル、2−メチル−2−フェニルエチルまたは1−メチルナフ
チルもしくは2−メチルナフチルが含まれる。可能な置換基については、これら
の基は環および/または側鎖基上に置換基をもつことができる;環上の可能な置
換基は、特に最高3個の下記の基である:F、NO2(式I、II、IIIの化 合物の場合はそうでない)、CF3、CN、CHO、COF、SO2F、OCF3 、SOCF3、SO2CF3、COOR、CONRR′、SO2R、CORもしくは
OR、または2つのオルト位を連結する−OC−NR−CO−もしくは−OC−
O−CO−基であり、これらにおいてRおよびR′は互いに独立して、同一また
は異なり、それぞれ、水素、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アル
キル基、6〜12個の炭素原子をもつアリール基、または7〜12個の炭素原子
をもつアラルキルであり、フッ素原子でモノ置換ないしトリ置換され、またRお
よびR′は結合して3〜7員環を形成していてもよい。
【0035】 特に本発明は多数の格別の利点を兼ね備えている: −式IVの化合物を(塩素−フッ素交換反応のための反応混合物に添加剤として
)式IIIの相間移動触媒と共に用いると、望ましくない副生物(特に還元脱ハ
ロゲン化された芳香族化合物)の形成を抑制または完全に回避できることは意外
である。 −特に式IVの化合物を式IIIの化合物と組み合わせて塩素−フッ素交換反応
のための添加剤として添加することは、全体的にみて環境に優しい化学的方法で
ある。 −式IVおよび式IIIの化合物は、固体または液体として広範な融点または沸
点をもつことができる。したがって実質的にすべての場合、予想される目標生成
物の沸点の関数として適切な化合物を適宜選択することにより、フッ素化後の反
応混合物の仕上げを反応混合物の蒸留による分画により行うことが可能になる。
−これにより、式IVおよび/またはIIIの化合物を単離して再循環すること
も可能になる。 −式IVのニトロおよびチオキソ化合物は、本発明に関連してそれらが反応混合
物中に存在すると、すなわちそれらをハロゲン交換によるフッ素化反応混合物に
添加すると、これらの利点が得られる。式IVの化合物の割合は変更できる。そ
れらは、少量添加してもハレックス反応に全体としてプラスの影響を与えること
ができるからである。 −本発明に従って添加剤として使用できる式IVおよびIIIの化合物は、きわ
めて安価な場合が多く、それらの大部分は市販されており、したがって容易に入
手できる。市販されていない式IVまたはIIIの化合物は当業者に周知の簡単
な方法で合成できる。
【0036】 本発明により達成できる有利な効果は、式IVaおよび/またはIVbの化合
物あるいは式IV(式IVaおよび/またはIVbを含む)の複数の化合物の混
合物を(それぞれの場合、少なくとも1種の式IIIの触媒と共に)ハレックス
反応に添加した場合に得られる。
【0037】 本発明に従って使用する式IVの化合物の量は広範囲に変更できる。一般に、
交換されるハロゲンを含有する化合物に対し約0.1〜20重量%の量で使用す
ると、きわめて良好な結果を達成できる。この量が0.1%未満であれば、脱ハ
ロゲン化生成物形成の低下が十分には認められない。式IVの化合物の量が20
重量%より多くても、一般にはより少量を用いた場合より良好な効果は測定され
ない。0.5〜10重量%の添加が好ましい。本発明方法は、出発物質(交換で
きるハロゲンを含有する化合物)の重量に対し好ましくは1〜5重量%の少なく
とも1種の式IVaおよび/またはIVbの化合物の存在下で、特に有利に実施
される。
【0038】 2個以上のニトロ基、2個以上のチオキソ基、1個のニトロ基および1個のチ
オキソ基、1個のニトロ基および複数個のチオキソ基、1個のチオキソ基および
複数個のニトロ基を含有する式IVの化合物は、モノニトロ添加剤またはモノチ
オキソ化合物と比較して少量添加できる。この場合、用いる出発物質に対し0.
1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、特に1〜5重量%の割合が有利
である。
【0039】 式IVaのニトロ化合物および式IVbのチオキソ化合物には、本質的に芳香
族化合物および脂肪族化合物が含まれる。芳香族化合物は、環上においてニトロ
および/またはチオキソ基で置換されていてもよい;ニトロおよび/またはチオ
キソ基が芳香族化合物の側鎖中にあってもよい。
【0040】 本発明に用いる芳香族化合物には、式IVaのニトロ化合物および式IVbの
チオキソ化合物であって、Xが非置換もしくは置換(C6〜C18)−アリール、 置換もしくは非置換(C6〜C18)−アリールオキシ、置換もしくは非置換(C6 〜C18)−アリールチオ、または置換もしくは非置換(C7〜C12)−アラルキ ルであるものが含まれる。
【0041】 これらのうち、6〜8個の炭素原子をもつ非置換もしくは置換アリール基、6
〜8個の炭素原子をもつ非置換もしくは置換アリールオキシ基、6〜8個の炭素
原子をもつ非置換もしくは置換アリールチオ基、および8〜10個の炭素原子を
もつ非置換もしくは置換アラルキルが好ましい。
【0042】 特に重要なものは、6〜8個の炭素原子をもつ非置換もしくは置換ニトロアリ
ール、および6〜8個の炭素原子をもつ非置換もしくは置換ニトロアリールオキ
シ化合物である。
【0043】 脂肪族ニトロ化合物および/またはチオキソ化合物のうち、本発明に関連して
特に式IV中の基Xが式Vの基であるものが挙げられる:
【0044】
【化5】
【0045】 ここでR1、R2、R3は互いに独立して、同一または異なり、それぞれ、水素、 1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルケニル、
または4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキルである。
【0046】 式IVにおいて、Xは、R1、R2、R3が互いに独立して、同一または異なり 、それぞれ、水素、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキル、ま
たは5〜7個の炭素原子をもつシクロアルキル、好ましくはシクロヘキシルであ
る式Vの基である化合物が、特に有利である。
【0047】 本発明に従って用いられる好ましい化合物には、特にニトロベンゼン、2−フ
ルオロニトロベンゼン、3−フルオロニトロベンゼン、4−フルオロニトロベン
ゼン、2,4−ジフルオロニトロベンゼン、3−クロロニトロベンゼン、2−ニ
トロトルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、2−ニトロアニソー
ル、3−ニトロアニソール、4−ニトロアニソール、2−ニトロチオフェン、4
−ニトロ−2−プロピルベンゼン、1−ニトロナフタレン、2−ニトロナフタレ
ン、2,4−ジニトロビフェニル、4,4′−ジニトロビフェニル、ビス(4−
ニトロフェニル)エーテル、ビス(ニトロフェニル)ジスルフィド、ニトロメタ
ン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロアントラセン、1−ニトロピレン、
ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、フェニルメチルスルホキシド
、ジエチルスルホキシドおよび/またはメチルトリフルオロメチルスルホキシド
が含まれる。
【0048】 好ましい価格および入手しやすさのため、ニトロベンゼンおよび/またはジメ
チルスルホキシド(DMSO)が特に好ましい。
【0049】 本発明の大きな利点は、フッ素で交換できるハロゲン原子を1個以上含有する
多くの物質に広く利用できることである。
【0050】 本明細書において“フッ素で交換できるハロゲン”とは、フッ化物を用いて求
核置換により交換できる塩素、臭素またはヨウ素、特に塩素または臭素、好まし
くは塩素を意味する。
【0051】 式IIIならびにIVaおよび/またはIVbの化合物の存在下で本発明に従
って反応させることができる物質の範囲はきわめて広く、包括的である。
【0052】 フッ素で交換できるハロゲンを含有する化合物として、環中に0〜3個の窒素
原子をもち、フッ素で交換できる塩素または臭素置換基(特に塩素置換基)で環
上において置換されており、かつ芳香族化合物の求核置換を促進する他の置換基
少なくとも1個で環上において置換されていてもよい芳香族化合物を用いるのが
好ましい。
【0053】 本発明方法は、芳香族化合物にもヘテロ芳香族化合物にも同様に容易に利用で
きる。1個の環のみをもつ環式化合物または縮合環式化合物および複素環式化合
物のフッ素化も可能である。いずれかの請求項を限定するものではないが、好ま
しい出発化合物はフッ素で交換できるハロゲンを1個以上含有する化合物、ベン
ゼン、ナフタレン、ピリジン、アントラセン、フェナントレン、ピリミジンもし
くはピラジン型のもの、またはベンゾ縮合環系であって、ピリジンに基づくもの
(キノリン、イソキノリン、アクリジン、アクリドン型)、ピリミジン、ピラジ
ンおよびピペラジンに基づくもの(シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノ
キサリン、フェナジン、フェノキサジン型のベンゾジアジン類)である。誘導体
を用いることもでき、これらは芳香族化合物の求核置換を促進する他の置換基少
なくとも1個を含んでいてもよい。この、芳香族化合物の求核置換を促進する他
の置換基は、通常は芳香族化合物を活性化し、これがハロゲン−フッ素交換反応
を助ける。
【0054】 芳香族化合物の求核置換を促進する他の置換基は、芳香族化合物の電子密度ま
たは求核性を低下させ、これにより求電子置換を阻止するIおよびM置換基であ
る。ところが芳香族化合物は、これにより求核置換に関して活性化される。これ
らの置換基の活性化効果は、フッ素で交換されるハロゲンに対しそれらがオルト
またはパラの位置にある場合に特に大きい。
【0055】 有用な態様においては、フッ素で交換できるハロゲン原子を環上にもち、かつ
下記よりなる群から選択される他の置換基を少なくとも1個もつ芳香族化合物を
用いて、反応を実施する:F、Cl、Br、I、CF3、CN、CHO、COF 、COCl、SO2F、SO2Cl、OCF3、SOCF3、SO2CF3、COOR
、CONRR′、SO2R、CORもしくはOR、または2つのオルト位を連結 する−OC−NR−CO−もしくは−OC−O−CO−基;これらにおいてRお
よびR′は互いに独立して、同一または異なり、それぞれ、水素、1〜4個の炭
素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、6〜12個の炭素原子をもつアリ
ール基、または7〜12個の炭素原子をもつアラルキル基であり、アルキル基お
よびアラルキル基は1〜3個のハロゲン置換基をもつことができ、RおよびR′
は結合して3〜7員環を形成していてもよい。
【0056】 フッ素で交換できるハロゲン原子を環上にもち、かつ下記よりなる群から選択
される他の置換基を少なくとも1個もつ芳香族化合物も使用できる:F、Cl、
Br、I、CF3、CN、CHO、COF、COCl、SO2F、SO2Cl、O CF3、SOCF3、SO2CF3、COOR、CONRR′、SO2R、CORも しくはOR、または2つのオルト位を連結する−OC−NR−CO−もしくは−
OC−O−CO−基;これらにおいてRおよびR′は互いに独立して、同一また
は異なり、それぞれ、水素、1〜6個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アル
キル基、6〜12個の炭素原子をもつアリール基、または7〜12個の炭素原子
をもつアラルキル基であり、アルキル基およびアラルキル基は1〜3個のハロゲ
ン置換基をもつことができる。
【0057】 前記の芳香族化合物は、他の置換基、たとえばアルキル基、アミノ基、アルキ
ルアミノ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基を含むこともできる。
【0058】 用いる出発物質は、フッ素で交換できるハロゲン置換基により環上において置
換され、かつフッ素で交換できる他のハロゲン置換基少なくとも1個をもち、か
つ所望により下記よりなる群から選択される他の置換基をもつ、芳香族化合物で
あってもよい:F、CF3、CN、CHO、COF、COCl、SO2F、SO2 Cl、OCF3、SOCF3、SO2CF3、COOR、CONRR′、SO2R、 CORもしくはOR、または2つのオルト位を連結する−OC−NR−CO−も
しくは−OC−O−CO−基。したがって、これらの出発化合物は、フッ素で交
換できるハロゲン原子を少なくとも2個含む。これらの基質は、通常は前記の群
から選択される他の置換基をもつ必要なしに、1または2回のハロゲン−フッ素
交換を行うことができる。ただし、それらは芳香族化合物の求核置換に好ましい
前記置換基の群からの他の置換基をもつこともできる。置換基の存在はハロゲン
−フッ素交換反応に関して芳香族化合物の反応性を高める。
【0059】 芳香環中に少なくとも1個の窒素原子が含まれると、芳香族化合物の求核置換
を促進する他の置換基が存在しなくても、芳香族化合物の反応性が高まり、した
がってハロゲン−フッ素交換が起きうる。
【0060】 式VIの化合物を用いた場合も良好な結果が得られる:
【0061】
【化6】
【0062】 式中、WはNまたはC−R3であり、基R1、R2、R4、R5、R6、および場合に
よりR3のうちの1つはF、Cl、CF3、CN、CHO、COF、COCl、S
2F、SO2Cl、OCF3、SO2CF3、COOR、CONRR′、SO2R、
CORもしくはOR、または2つのオルト位を連結する−OC−NR−CO−も
しくは−OC−O−CO−であり、これらにおいてRおよびR′は互いに独立し
て、同一または異なり、それぞれ、水素、1〜6個の炭素原子をもつ直鎖もしく
は分枝鎖アルキル基、6〜12個の炭素原子をもつアリール基、または7〜12
個の炭素原子をもつアラルキル基であり;R1、R2、R4、R5、R6、および場 合によりR3のうち他の1つの基はハロゲンであり;その他の基は水素、Fまた はClである。
【0063】 基−OC−NR−CO−および−OC−O−CO−は一般に、基R1〜R6のう
ち互いにオルト位にある2つであり、特にWがNである場合は基R1、R2、R4 、R5、R6のうち互いにオルト位にある2つの基、あるいはWがC−R3である 場合は基R2、R3、R4のうち互いにオルト位にある2つの基である。
【0064】 式VIの化合物において、R1、R2、R4、R5、R6、および場合によりR3
うちの1つ、または基R3は、特にF、Cl、CF3、CN、CHO、COF、C
OCl、OCF3、COOR、CONRR′、COR、OR、−OC−O−CO −または−OC−NR−CO−、好ましくはCl、F、CF3、CN、CHO、 COORまたはCOClであり、RおよびR′は特に水素、1〜4個の炭素原子
をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキル、6〜12個の炭素原子をもつアリール、好
ましくは水素、または1〜3個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキル、
特に好ましくはメチルまたはエチルであり;R1、R2、R4、R5、R6、および 場合によりR3のうちの1つまたは2つはハロゲンであり;残りの基は同一また は異なり、HまたはFである。
【0065】 本発明方法においてきわめて良好な結果を与える特に好ましい基質群は、置換
されたベンズアルデヒドおよびベンゾニトリルよりなる群である。これらのうち
基質として殊に好ましいものは、2−クロロベンズアルデヒド、3−クロロベン
ズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、2−ブロモベンズアルデヒド、3
−ブロモベンズアルデヒド、4−ブロモベンズアルデヒド、2,3−ジクロロベ
ンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズ
アルデヒド、3,5−ジクロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベン
ズアルデヒド、2−クロロベンゾニトリル、3−クロロベンゾニトリル、4−ク
ロロベンゾニトリル、2−ブロモベンゾニトリル、3−ブロモベンゾニトリル、
4−ブロモベンゾニトリル、2,3−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロ
ロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、3,5−ジクロロベンゾ
ニトリルおよび2,4,6−トリクロロベンゾニトリルである。
【0066】 本発明による反応を実施するために、式Iのフッ化物または式Iのフッ化物の
混合物を用いる: KAT+- (I) 式中、KAT+はアルカリ金属イオン、NH4 +、アルカリ土類金属イオン、また は式IIのカチオン: A1234+ (II) であり、ここでA1、A2、A3、A4は互いに独立して、同一または異なり、それ
ぞれ、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルケ
ニル、4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキル、6〜12個の炭素原子をもつ
アリール、または7〜12個の炭素原子をもつアラルキルである。
【0067】 これに関して、フッ化カルシウム、フッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フ
ッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、または
その混合物、特にフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化
ルビジウム、フッ化セシウム、またはその混合物、有利にはフッ化ナトリウム、
フッ化カリウム、フッ化セシウムまたはその混合物、特に好ましくはフッ化カリ
ウムおよび/またはフッ化セシウムを用いるのが好ましい。フッ化カリウムを唯
一のフッ化物として用いるので十分な場合が多い。
【0068】 式IIのカチオンのうち、下記よりなる群から選択される1種以上の化合物を
用いるハレックス反応によるフッ素化を可能にするものを用いるのが特に有利で
ある:フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フ
ッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化水素テトラ(n−ブチル)アンモニウ
ム、および/またはフッ化テトラフェニルアンモニウム。フッ化テトラメチルア
ンモニウムおよび/またはフッ化テトラフェニルアンモニウムが特に有用である
【0069】 本発明の目的に関して式Iのフッ素化剤は、目的とするハロゲン交換度を達成
するのに十分な量で用いられる。それらを出発化合物に対し化学量論的量で用い
るのが好ましい。それらを出発化合物(1種以上)中の交換すべきハロゲン原子
のモル数に対し過剰に、特に好ましくは1.1〜2.0倍モル量で用いるのも好
ましい。
【0070】 ただし量比に関しては、過剰のフッ化物が望ましくない副生物を生成する場合
もありうることを考慮する必要がある。これらの場合、不足量の式Iのフッ化物
を用いることも推奨できる。
【0071】 式Iのフッ化物:交換されるハロゲン原子の当量の比率は、通常は(0.5〜
10):1、特に(0.8〜5):1、特に好ましくは(1〜1.5):1であ
る。
【0072】 冒頭に既に述べたように、本反応は触媒として機能する式IIIの化合物の存
在下で実施される。式IIIの化合物は、たとえば五塩化リンとジアルキルアミ
ンの反応により製造できる。しかし、非対称置換された式IIIの化合物を得る
ために、五塩化リンを種々の第二級アミン、たとえばジアルキルアミンと段階的
に反応させることもできる。式IIIの化合物を合成することができる他の方法
は、R. Schwesingerら,Angew. Chemie, 103 (1991) 1376およびR. Schwesinger
ら,Chem. Ber., 127 (1994) 2435-2454に記載されている。したがって、これら
の化合物は当業者に既知の方法で容易に得られる。
【0073】 式IIIにおいてA5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12が互いに独立 して、同一または異なり、1〜12個の炭素原子、特に1〜8個の炭素原子、好
ましくは1〜4個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルケ
ニル、特にアルキル、または4〜8個の炭素原子、特に5もしくは6個の炭素原
子をもつシクロアルキルである化合物を用いるのが有用である。これらの化合物
は、対応するジアルキルアミン、ジアルキレンアミン、ジシクロアルキルアミン
、または1個のアルキル基と1個のアルケニル基、1個のアルキル基と1個のシ
クロアルキル基、もしくは1個のアルケニル基と1個のシクロアルキル基を含む
第二級アミンから出発する簡単な方法で製造できるので、特に重要である。
【0074】 アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル
、イソブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘ
キシル、特にメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルであり、一方アルケニ
ルの例は、アリル、プロプ−2−エニル、n−ブツ−2−エニルであり、シクロ
アルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル
および4−t−ブチルシクロヘキシルである。
【0075】 式IIIにおいてA56=A78またはA56=A78=A910またはA5 6 =A78=A910=A1112である化合物を用いるのも有利である。A56
78、A910およびA1112のうち2以上が互いに等しいこれらの化合物は 、比較的容易に得られる。
【0076】 式IIIにおいてA5=A6、A7=A8、A9=A10および/またはA11=A12 である化合物を用いることもできる。これらの化合物は比較的容易に得られるの
で幾分重要である。
【0077】 他の好ましい態様において本発明は、式IIIにおいてA5=A6=A7=A8
たはA5=A6=A7=A8=A9=A10またはA5=A6=A7=A8=A9=A10=A 11 =A12である化合物を用いて実施される。基A5〜A12のうち4、6または8 個が等しい前記化合物も、入手しやすいので重要である。
【0078】 本発明方法の他の変法では、式IIIにおいてA56またはA56およびA78またはA56およびA78およびA910またはA56およびA78およびA 910およびA1112が互いに直接にまたはOもしくはN−A13を介して結合し て5または6個の環原子をもつ飽和環または不飽和環を形成している化合物を使
用する。したがって、これらの化合物は前記の環を1、2、3または4個含む。
【0079】 さらに本方法には、式IIIにおいてA56またはA78およびA910また はA56およびA78およびA910またはA56およびA78およびA910
よびA1112が結合して、各基A5〜A12がその上に位置するN原子、および場 合によりOまたはN−A13、およびCH2基を環員子として含む環を形成してい る化合物を用いることが有利である。この物質群において、N原子はそれぞれの
場合それらの上にある基A1〜A8と一緒に、たとえばヘキサヒドロピリジン環、
テトラヒドロピロール環、ヘキサヒドロピラジン環またはモルホリン環を形成し
ている。したがって、これらの化合物は前記の環を1、2、3または4個含む。
【0080】 式IIIにおいてB-は冒頭に述べたように、1価酸アニオンまたは当量の多 価酸アニオン、特に無機鉱酸、有機カルボン酸、脂肪族または芳香族のスルホン
酸のアニオンである。
【0081】 一般に、式IIIにおいてB-がF-、Cl-、Br-、I-、HF2 -、BF4 -、 C65SO3 -、p−CH3−C65SO3 -、HSO4 -、PF6 -、CF3SO3 -、特
にF-、Cl-、Br-、I-、HF2 -、BF4 -である化合物を用いる。
【0082】 式IIIの化合物は、フッ素で交換できるハロゲンを含有する化合物に対し0
.5〜35重量%、特に1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%の量で用い
るのが有利である。
【0083】 これらの重量%にのみ限定されず、多くの場合式IIIの化合物は、フッ素で
交換できるハロゲンを含有する化合物に対し約0.1〜5重量%、特に0.4〜
2重量%、好ましくは0.5〜1重量%の量で用いることができる。これらの量
で大部分の場合は十分であることが認められた。
【0084】 本発明方法に特に有効に使用できる式IIIの化合物には、特に下記のものが
含まれる: テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド、 テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムブロミド、 テトラキス(ジブチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 テトラキス(ジブチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 テトラキス(ピロリジノ)ホスホニウムクロリド、 テトラキス(ピロリジノ)ホスホニウムブロミド、 テトラキス(ピペリジノ)ホスホニウムクロリド、 テトラキス(ピペリジノ)ホスホニウムブロミド、 テトラキス(モルホリノ)ホスホニウムクロリド、 テトラキス(モルホリノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジエチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジプロピルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジブチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジブチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジヘキシルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジヘキシルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジヘプチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジヘプチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(シクロペンチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(シクロペンチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(シクロヘキシルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(シクロヘキシルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジアリルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジメチルアミノ)(ジアリルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジエチルアミノ)(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジエチルアミノ)(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジエチルアミノ)(ジヘキシルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジエチルアミノ)(ジヘキシルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ジエチルアミノ)(ジヘプチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ジエチルアミノ)(ジヘプチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ピペリジノ)(ジアリルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ピペリジノ)(ジアリルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ピロリジノ)(エチルメチルアミノ)ホスホニウムクロリド、 トリス(ピロリジノ)(エチルメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、 トリス(ピロリジノ)(ジエチルアミノ)ホスホニウムクロリドおよび/または
トリス(ピロリジノ)(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド。
【0085】 用いる触媒は、式IIIの化合物または2種以上の式IIIの化合物の混合物
であってよい。合成で得られる式IIIの化合物の混合物を用いるのが特に好都
合である。
【0086】 本発明方法は、溶媒の存在下または不存在下で実施できる。溶媒を用いる場合
、双極性非プロトン溶媒および非プロトン溶媒ならびにプロトン溶媒のいずれも
適している。
【0087】 適切な双極性非プロトン溶媒は、たとえばジメチルスルホキシド(DMSO)
、ジメチルスルホン、スルホラン(TMS)、ジメチルホルムアミド(DMF)
、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリン−2−オン、N−メチ
ルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、アセトニトリルおよび/またはベ
ンゾニトリルである。これらの溶媒を単独で、またはそれら2種以上の混合物と
して用いる。
【0088】 顕著な双極性をもたない適切な非プロトン溶媒には、特に炭化水素または塩素
化炭化水素、たとえばベンゼン、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン
、パラ−キシレン、工業用異性体キシレン混合物、エチルベンゼン、メシチレン
、オルト−クロロトルエン、メタ−クロロトルエン、パラ−クロロトルエン、オ
ルト−ジクロロベンゼン、メタ−ジクロロベンゼン、パラ−ジクロロベンゼン、
またはこれらの溶媒1種以上の混合物が含まれる。
【0089】 非プロトン溶媒または双極性非プロトン溶媒は、任意量で、たとえば基質に対
し5〜500重量%の量で使用できる。しかし、フッ素で交換できるハロゲンを
含有する化合物に対し5〜30重量%の少量が好ましい。プロトン溶媒を用いる
場合の使用量は、フッ素で交換できるハロゲンを含有する化合物に対し0.1〜
5重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
【0090】 本発明方法においては、ハロゲン交換によるフッ素化を、ほぼ室温から反応媒
質(したがって多くの場合は溶媒)または反応させる出発物質の沸点まで(低い
方の沸点による)の範囲の温度で実施することも好ましい。
【0091】 多くの場合、本発明方法を60〜250℃、特に90〜220℃、好ましくは
120〜200℃の温度で実施するので十分である。
【0092】 反応温度は、フッ素で交換できるハロゲンを含有する化合物の種類にも依存す
る。たとえば比較的非反応性である化合物ほど一般に高い反応温度を必要とし、
一方、比較的反応性である化合物は比較的低い温度でも有効に反応させることが
できる。
【0093】 反応時間についても同じことが言える。比較的非反応性である出発物質は、通
常、より反応性の高い出発物質より長い反応時間を必要とする。
【0094】 ここで、1個のハロゲン原子のみの交換の方が2個以上のハロゲン原子をフッ
素で交換するより一般に容易に実施されるという事実も注目される。2重または
多重ハロゲン−フッ素交換が可能であるとすれば、これには一般に単一ハロゲン
−フッ素交換よりかなり苛酷な反応条件(より高い反応温度およびより長い反応
時間)が必要である。
【0095】 本発明方法は、減圧下または大気圧下もしくは加圧下で実施できる。これは、
水と共沸混合物を形成する低沸点非プロトン溶媒、たとえばベンゼン、キシレン
、メシチレン、シクロヘキサンまたはトルエンを反応開始前に反応懸濁液に少量
添加することにより採用できる。次いで減圧にすることにより反応懸濁液から水
と共に溶媒の一部を再び除去する。この操作で反応速度および収率を高めること
ができ、かつ副生物の生成を最小限にすることができる。
【0096】 式IIIの化合物は、大気酸素の不存在下または存在下で使用できる。保護ガ
ス、たとえばアルゴンまたは窒素下で作業することが好ましい。
【0097】 本発明方法の実施に際しては、反応期間全体を通して、反応混合物を確実に十
分に混合しなければならない。最後に、連続法または非連続法の可能性も注目す
べきである。工業的規模では連続法が好ましい。
【0098】 フッ素化後、既に前記に述べたように、反応混合物を分蒸により仕上げ処理す
ることが有利であり、これにより溶媒を単離および再循環することができる。水
性仕上げ処理については、混合物を過剰の水に注入し、得られた生成物を濾別す
るか、または有機溶媒で抽出する。
【0099】 本発明により使用する式IIIおよびIVの化合物の反応性は本来特に高いが
、所望により触媒活性化合物の添加によりさらに改善することができる。一般に
前記参考文献から当業者にこの目的で知られている触媒はすべて使用できる。使
用できる触媒には、特に第四級アンモニウム、ホスホニウムおよびアミドホスホ
ニウム塩類、クラウンエーテル、ポリエチレングリコールなどが含まれる。
【0100】 本発明方法は、触媒として有効な量のテトラメチルアンモニウムクロリド、テ
トラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラ
フェニルホスホニウムブロミド、テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブ
ロミド、18−クラウン−6、PEG 500ジメチルエーテルを添加すると、
特に有利に実施される。
【0101】 以下の実施例および比較例は本発明を説明するためのものであり、本発明はこ
れらの例に限定されない。
【0102】 実施例1 4−クロロベンズアルデヒドから4−フルオロベンズアルデヒドの製造 140g(1mol)の4−クロロベンズアルデヒド、58g(1mol)の
フッ化カリウム、5gのニトロベンゼンおよび7.98gのテトラキス(ジエチ
ルアミノ)ホスホニウムブロミド(相間移動触媒)を、温度計、アンカー撹拌機
(anchor stirrer)および還流冷却器を備えたバブルカウンター付きの500ml
四つ口フラスコに入れる。次いで撹拌しながら混合物を190℃に加熱し、20
時間反応させる。反応終了後、反応混合物を放冷し、クロロベンゼンに溶解し、
不溶性成分を濾別し、生成物(4−フルオロベンズアルデヒド)を減圧下での分
留により精製する。 収率:77% 選択率:93% ベンズアルデヒド含量:0.01% 比較例2 4−クロロベンズアルデヒドから4−フルオロベンズアルデヒドの製造 ニトロベンゼンを添加せずに実施例1の操作を繰り返す。 収率:75% 選択率:90% ベンズアルデヒド含量:0.15% 実施例3 2−クロロベンゾニトリルから2−フルオロベンゾニトリルの製造 137.5g(1mol)の2−クロロベンゾニトリル、58g(1mol)
のフッ化カリウム、5gのニトロベンゼン、7.98gのテトラキス(ジエチル
アミノ)ホスホニウムブロミド(相間移動触媒)および30mlのスルホランを
、温度計、アンカー撹拌機および還流冷却器を備えたバブルカウンター付きの5
00ml四つ口フラスコに入れる。次いで撹拌しながら混合物を190℃に加熱
し、20時間反応させる。反応終了後、反応混合物を放冷し、クロロベンゼンに
溶解し、不溶性成分を濾別し、生成物(2−フルオロベンゾニトリル)を減圧下
での分留により精製する。 収率:94% 選択率:96% ベンゾニトリル含量:0.1% 比較例4 2−クロロベンゾニトリルから2−フルオロベンゾニトリルの製造 ニトロベンゼンを添加せずに実施例3の操作を繰り返す。 収率:92% 選択率:94% ベンゾニトリル含量:0.35% 実施例5 2−クロロベンゾニトリルから2−フルオロベンゾニトリルの製造 ニトロベンゼンの代わりにビス(4−ニトロフェニル)エーテルを用いて実施
例3の操作を繰り返す。 収率:91% ベンゾニトリル含量:0.01% 実施例6 2,6−ジクロロベンゾニトリルから2,6−ジフルオロベンゾニトリルの製造
172g(1mol)の2,6−ジクロロベンゾニトリル、116g(2mo
l)のフッ化カリウム、3gの4−フルオロニトロベンゼン、7.98gのテト
ラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド(相間移動触媒)および90m
lのスルホランを、温度計、アンカー撹拌機および還流冷却器を備えたバブルカ
ウンター付きの500ml四つ口フラスコに入れる。次いで撹拌しながら混合物
を190℃に加熱し、15時間反応させる。反応終了後、反応混合物を放冷し、
クロロベンゼンに溶解し、不溶性成分を濾別し、生成物(2,6−ジフルオロベ
ンゾニトリル)を減圧下での分留により精製する。 収率:91% 選択率:96% 2−フルオロベンゾニトリル含量:0.04% 比較例7 2,6−ジクロロベンゾニトリルから2,6−ジフルオロベンゾニトリルの製造
4−フルオロニトロベンゼンを添加せずに実施例6の操作を繰り返す。 2−フルオロベンゾニトリル含量:0.7% 比較例8(JP 08092148 A2に記載) 4−クロロベンズアルデヒドから4−フルオロベンズアルデヒドの製造 操作はJP 08092148 A2に記載のとおりである。 収率:38.4% ベンズアルデヒド含量:0.72% 実施例9 4−クロロベンズアルデヒドから4−フルオロベンズアルデヒドの製造 比較例8の操作を繰り返す。ただしTPPB=テトラフェニルホスホニウムブ
ロミドの代わりにTPB=テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド
を使用する。 収率:48% 選択率:85% ベンズアルデヒド含量:0.18% 実施例10 4−クロロベンズアルデヒドから4−フルオロベンズアルデヒドの製造 140g(1mol)の4−クロロベンズアルデヒド、58g(1mol)の
フッ化カリウム、5gのジメチルスルホキシドおよび7.98gのテトラキス(
ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド(相間移動触媒)を、温度計、アンカー
撹拌機および還流冷却器を備えたバブルカウンター付きの500ml四つ口フラ
スコに入れる。次いで撹拌しながら混合物を190℃に加熱し、20時間反応さ
せる。反応終了後、反応混合物を放冷し、クロロベンゼンに溶解し、不溶性成分
を濾別し、生成物(4−フルオロベンズアルデヒド)を減圧下での分留により精
製する。 収率:74% 選択率:90% ベンズアルデヒド含量:0.013% 実施例11 2−クロロベンゾニトリルから2−フルオロベンゾニトリルの製造 137.5g(1mol)の2−クロロベンゾニトリル、58g(1mol)
のフッ化カリウム、5gのフェニルメチルスルホキシド、7.98gのテトラキ
ス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド(相間移動触媒)および30mlの
スルホランを、温度計、アンカー撹拌機および還流冷却器を備えたバブルカウン
ター付きの500ml四つ口フラスコに入れる。次いで撹拌しながら混合物を1
90℃に加熱し、20時間反応させる。反応終了後、反応混合物を放冷し、クロ
ロベンゼンに溶解し、不溶性成分を濾別し、生成物(2−フルオロベンゾニトリ
ル)を減圧下での分留により精製する。 収率:90% 選択率:93% ベンゾニトリル含量:0.08% 実施例12 2,6−ジクロロベンゾニトリルから2,6−ジフルオロベンゾニトリルの製造
172g(1mol)の2,6−ジクロロベンゾニトリル、116g(2mo
l)のフッ化カリウム、3gのジメチルスルホキシド、7.98gのテトラキス
(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド(相間移動触媒)および90mlのス
ルホランを、温度計、アンカー撹拌機および還流冷却器を備えたバブルカウンタ
ー付きの500ml四つ口フラスコに入れる。次いで撹拌しながら混合物を19
0℃に加熱し、20時間反応させる。反応終了後、反応混合物を放冷し、クロロ
ベンゼンに溶解し、不溶性成分を濾別し、生成物(2,6−ジフルオロベンゾニ
トリル)を減圧下での分留により精製する。 収率:93% 選択率:95% 2−フルオロベンゾニトリル含量:0.01%
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 255/50 C07C 255/50 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 ヴェッセル,トーマス ドイツ連邦共和国デー−60386 フランク フルト・アム・マイン,ヴェッヒタースバ ッヒャー・シュトラーセ 11 Fターム(参考) 4G069 AA06 BA21A BA21B BE20A BE20B BE21A BE21B BE28A BE28B BE34A BE34B BE37A BE37B BE45A BE45B CB25 CB69 4H006 AA02 AC30 BA51 BA52 BA53 BA65 BB11 BB12 BB17 BB21 BB22 BB23 BB24 BB26 BB40 BB41 BB42 BC10 BC34 BE61 QN30 4H039 CA51 CD20

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素含有化合物の製造方法であって、フッ素で交換できるハ
    ロゲン原子1個以上を含む化合物と、式Iのフッ化物または式Iのフッ化物の混
    合物: KAT+- (I) (式中、KAT+はアルカリ金属イオン、NH4 +、アルカリ土類金属イオン、ま たは式IIのカチオン: A1234+ (II) であり、ここでA1、A2、A3、A4は互いに独立して、同一または異なり、それ
    ぞれ、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルケ
    ニル、4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキル、6〜12個の炭素原子をもつ
    アリール、または7〜12個の炭素原子をもつアラルキルである)を、式III
    の化合物またはその混合物: 【化1】 (式中、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12は互いに独立して、同一 または異なり、それぞれ、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アル
    キルもしくはアルケニル、4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキル、6〜12
    個の炭素原子をもつアリール、または7〜12個の炭素原子をもつアラルキルで
    あるか、あるいはA5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12は互いに独立し て、同一または異なり、互いに直接にまたはOもしくはN−A13を介して結合し
    て3〜7個の環原子をもつ環を形成し、A13は1〜4個の炭素原子をもつアルキ
    ルであり、B-は1価酸アニオンまたは当量の多価酸アニオンである)の存在下 に、かつ式IVaおよび/またはIVbを含めた式VIの化合物1種以上: X−NO2 (IVa) X−SO−X′ (IVb) (式中、XおよびX′は互いに独立して、同一または異なり、それぞれ置換もし
    くは非置換(C6〜C18)−アリール、置換もしくは非置換(C5〜C18)−アリ
    ールオキシ、置換もしくは非置換(C5〜C18)−アリールチオ、置換もしくは 非置換(C7〜C12)−アラルキル、または式Vの基: 【化2】 であり、ここでR1、R2、R3は互いに独立して、同一または異なり、それぞれ 、水素、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアル
    ケニル、または4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキルである)の存在下に、
    溶媒の存在下または不存在下に、40〜260℃の温度で反応させることを含む
    方法。
  2. 【請求項2】 ハロゲン交換によるフッ素化がニトロベンゼン、2−フルオロ
    ニトロベンゼン、3−フルオロニトロベンゼン、4−フルオロニトロベンゼン、
    2,4−ジフルオロニトロベンゼン、3−クロロニトロベンゼン、2−ニトロト
    ルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、2−ニトロアニソール、3
    −ニトロアニソール、4−ニトロアニソール、2−ニトロチオフェン、4−ニト
    ロ−2−プロピルベンゼン、1−ニトロナフタレン、2−ニトロナフタレン、2
    ,4−ジニトロビフェニル、4,4′−ジニトロビフェニル、ビス(4−ニトロ
    フェニル)エーテル、ビス(ニトロフェニル)ジスルフィド、ニトロメタン、ニ
    トロエタン、ニトロプロパン、ニトロアントラセン、1−ニトロピレン、ジメチ
    ルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、フェニルメチルスルホキシド、ジエ
    チルスルホキシドおよび/またはメチルトリフルオロメチルスルホキシドの存在
    下で実施される、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ハロゲン交換によるフッ素化がニトロベンゼンおよび/または
    DMSOの存在下で実施される、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 式IVaおよび/またはIVbの化合物を、交換されるハロゲ
    ンを含有する化合物に対し約0.1〜20重量%の量で使用する、請求項1〜3
    のいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 式IVaおよび/またはIVbの化合物を、交換されるハロゲ
    ンを含有する化合物に対し(それぞれの場合)約0.5〜10重量%、好ましく
    は1〜5重量%の量で使用する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 フッ素で交換できるハロゲンを含有する化合物が、環中に0〜
    3個の窒素原子をもち、フッ素で交換できる塩素または臭素置換基で環上におい
    て置換されており、かつ芳香族化合物の求核置換を促進する他の置換基少なくと
    も1個で環上において置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか1項記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 フッ素で交換できるハロゲン原子を1個以上含有する出発化合
    物が、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、アントラセン、フェナントレン、ピリ
    ミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、アクリドン、シンノ
    リン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、フェナジンおよび/またはフェ
    ノキサジン型の化合物である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 【請求項8】 フッ素で交換できるハロゲン原子を1個以上含有する化合物が
    、置換ベンズアルデヒドまたはベンゾニトリルである、請求項1〜7のいずれか
    1項記載の方法。
  9. 【請求項9】 使用する式Iの化合物が、フッ化カリウムおよび/またはフッ
    化セシウムである、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 【請求項10】 使用する式Iの化合物が、フッ化テトラメチルアンモニウム
    および/またはフッ化テトラフェニルアンモニウムである、請求項1〜9のいず
    れか1項記載の方法。
  11. 【請求項11】 交換されるハロゲン原子1モル当量当たり0.5〜10モル
    当量の式Iの化合物を使用する、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 【請求項12】 交換されるハロゲン原子1モル当量当たり1〜2モル当量の
    式Iの化合物を使用する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 【請求項13】 ハロゲン交換によるフッ素化を、式IIIにおいてA5、A6 、A7、A8、A9、A10、A11、A12が互いに独立して、同一または異なり、そ れぞれ、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアル
    ケニル、または4〜8個の炭素原子をもつシクロアルキルである化合物の存在下
    で実施する、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 【請求項14】 ハロゲン交換によるフッ素化を、式IIIにおいてA5、A6 、A7、A8、A9、A10、A11、A12が互いに独立して、同一または異なり、そ れぞれ、1〜8個の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルケ
    ニル、または5または6個の炭素原子をもつシクロアルキルである化合物の存在
    下で実施する、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 【請求項15】 ハロゲン交換によるフッ素化を、式IIIにおいてA5、A6 、A7、A8、A9、A10、A11、A12が互いに独立して、同一または異なり、そ れぞれ、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖または分枝鎖アルキルである化合物の存
    在下で実施する、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 【請求項16】 式IIIにおいてA56=A78またはA56=A78=A 910またはA56=A78=A910=A1112である化合物を使用する、請求
    項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 【請求項17】 式IIIにおいてA5=A6=A7=A8またはA5=A6=A7 =A8=A9=A10またはA5=A6=A7=A8=A9=A10=A11=A12である化 合物を使用する、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
  18. 【請求項18】 式IIIにおいてA56、またはA56およびA78、また
    はA56およびA78およびA910、またはA56およびA78およびA910 およびA1112が互いに直接にまたはOもしくはN−A13を介して結合して、5
    または6個の環原子をもつ飽和環または不飽和環を形成している化合物を使用す
    る、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 【請求項19】 式IIIにおいてA56、またはA78およびA910、ま たはA56およびA78およびA910、またはA56およびA78およびA9 10 およびA1112が結合して、各基A5〜A12がその上に位置するN原子、およ び場合によりOまたはN−A13、およびCH2基を環員子として含む環を形成し ている化合物を使用する、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 【請求項20】 式IIIにおいてB-がF-、Cl-、Br-、I-、HF2 -、 BF4 -、C65SO3 -、p−CH3−C65SO3 -、HSO4 -、PF6 -またはC F3SO3 -である化合物を使用する、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法 。
  21. 【請求項21】 式IIIにおいてB-がF-、Cl-、Br-、I-、HF2 -ま たはBF4 -である化合物を使用する、請求項1〜20のいずれか1項記載の方法
  22. 【請求項22】 式IIIの化合物を、フッ素で交換できるハロゲンを含有す
    る化合物に対し0.5〜35重量%の量で使用する、請求項1〜21のいずれか
    1項記載の方法。
  23. 【請求項23】 双極性非プロトン溶媒、非プロトン溶媒またはプロトン溶媒
    を使用する、請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
  24. 【請求項24】 ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、ジ
    メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリン−
    2−オン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、アセトニトリ
    ル、ベンゾニトリル、またはこれらの混合物を双極性非プロトン溶媒として使用
    する、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
  25. 【請求項25】 芳香族炭化水素、塩素化芳香族炭化水素、またはこれらの混
    合物を非プロトン溶媒として使用する、請求項1〜23のいずれか1項記載の方
    法。
  26. 【請求項26】 ベンゼン、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、
    パラ−キシレン、工業用異性体キシレン混合物、エチルベンゼン、メシチレン、
    オルト−クロロトルエン、メタ−クロロトルエン、パラ−クロロトルエン、オル
    ト−ジクロロベンゼン、メタ−ジクロロベンゼン、パラ−ジクロロベンゼン、ま
    たはこれらの混合物を非プロトン溶媒として使用する、請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 反応を60〜250℃で実施する、請求項1〜26のいずれ
    か1項記載の方法。
  28. 【請求項28】 反応を90〜220℃で実施する、請求項1〜27のいずれ
    か1項記載の方法。
  29. 【請求項29】 反応を120〜200℃で実施する、請求項1〜28のいず
    れか1項記載の方法。
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