JP2001513998A - 脂肪細胞特異的タンパク質の同族体 - Google Patents

脂肪細胞特異的タンパク質の同族体

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、コラーゲン様ドメインと球状ドメインを有するタンパク質のファミリーの新規なメンバーであるzsig39のポリヌクレオチドとポリペプチド分子に関する。そのポリペプチド類とそれらをコードするポリヌクレオチドは、二量体化またはオリゴマー化に関与しているので、その研究に使用できる。また、本発明には、前記zsig39ポリペプチド類に対する抗体も含まれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 エネルギー均衡(エネルギー代謝、栄養状態、脂質貯蔵などを含む)は、健康
状態を判断するのに重要な基準である。このエネルギーホメオスタシスには、自
発的機能および非自発的機能を発揮するのに必要なエネルギーを生成するための
食物摂取および炭水化物と脂質の代謝が含まれている。タンパク質の代謝によっ
て、エネルギーを生成させることができるが、筋肉の形成または修復を行わせる
方が好ましい。とりわけ、エネルギーホメオスタシスが不充分であると、脂肪組
織の形成が過剰になったりまたは不足するようになる。
【0002】 脂肪の生成と貯蔵は、インスリンによって調節される。例えば、インスリンは
、グルコースの細胞内への輸送を刺激し、グルコースはその細胞内で代謝されて
α−グリセロリン酸になり、そのα−グリセロリン酸は、脂肪酸類のエステル化
反応に用いられて、脂肪酸をトリグリセリドとして貯蔵できる。その上、脂肪細
胞は、その中への遊離脂肪酸の輸送を促進する特異的な輸送タンパク質を発現す
る。
【0003】 また、脂肪細胞は、グルコースおよび脂質の代謝のホメオスタシスの制御を調
節すると考えられているいくつものタンパク質も分泌する。これら追加の脂肪細
胞分泌タンパク質としては、アジプシン、補体因子のC3とB、腫瘍壊死因子α
、ob遺伝子の産物およびAcrp30がある。脂肪細胞内に、インスリン調節分泌経
路が存在していることを示唆する証拠もある(Scherer ら、J. Biol. Chem., 27
0 (45)巻 26746-26749頁1995年)。脂肪組織の生成の過剰または不足によって一
部、影響を受けて、前記部分の分泌が過剰になったりまたは不足すると、肥満ま
たは食欲不振と直接または間接的に関連する病的状態になることがある。
【0004】 Acrp30は、脂肪細胞が独占的に発現する、247 個のアミノ酸からなるポリペプ
チドである。このAcrp30ポリペプチドは、アミノ末端のシグナル配列、相同性が
分かっていない27個のアミノ酸のストレッチ、22個の完全なGly-Xaa-Pro ま
たは不完全なGly-Xaa-Xaa のコラーゲンリピートおよびカルボキシ末端の球状ド
メインで構成されている(前記Scherer らの文献および国際特許願公開第WO96/3
9429号参照)。Acrp30は、インスリンによって調節される豊富なヒト血清タンパ
ク質であるが、特に、そのカルボキシ末端の球状ドメインが、補体因子Clq およ
び冬眠中のシベリアシマリスの夏季血清タンパク質(summer serum protein) (M
ib27)と構造が類似している。Acrp30の発現は、脂肪細胞が分化する間に 100倍
以上誘発される。Acrp30は、エネルギー均衡を調節したり、試験試料中に脂肪細
胞を確認するのに使用することが示唆されている。
【0005】 脂肪細胞内で独占的に産生されると思われる他の分泌されるタンパク質はapM1
である。これは、例えば、Maeda ら、Biochem. Biophys. Res. Comm., 221 巻 2
86-289頁1996年に記載されている。4517bpのクローンは、244 個のアミノ酸のオ
ープンリーディングフレームと長い3’非翻訳領域をもっていた。このタンパク
質は、シグナル配列、アミノ末端の非コラーゲン配列、22個のコラーゲンリピ
ート(Gly-Xaa-Pro またはGly-Xaa-Xaa)、およびコラーゲンX、コラーゲンVIII
および補体タンパク質Clq と相同のカルボキシ末端領域を含有していた。
【0006】 補体因子Clq は、3種の類縁ポリペプチド(A,BおよびC鎖)の6コピーか
らなり、そのポリペプチドは各々、約 225個のアミノ酸の長さを有し、類似のア
ミノ末端コラーゲンドメインとカルボキシ末端球状領域をもっている。6個の三
重らせん領域が、6個のA鎖、6個のB鎖および6個のC鎖のコラーゲンドメイ
ンによって形成されて、中央領域と6個の軸(stalk )部分を形成している。球
状のヘッド部分が、A鎖、B鎖およびC鎖の球状カルボキシ末端ドメインが会合
して形成されている。したがってClq は、6個のコラーゲン様軸部分を通じて、
中央のフィブリル領域に連結された6個の球状ヘッドで構成されている(Sellar
ら、Biochem, J., 274巻 481-490頁1991年)。この立体配置は、花束(bouquet
of flowers) と呼ばれることが多い。Acrp30は、単一型のポリペプチド鎖で形成
された類似の花束構造を有している。
【0007】 エネルギーホメオスタシスを調節できる分子が、この現象を研究しかつ平衡異
常を予防または治療するために探究されている。また、脂肪細胞の分泌経路を調
節できる分子も、間接的なエネルギーホメオスタシス調節剤としておよび試験剤
として探究されている。 本発明は、これらの用途、および本明細書の教示によって当業技術者には分か
るはずである他の用途に用いるポリペプチドを提供するものである。
【0008】 本発明の要約 本発明の一つの側面で以下の単離されたポリペプチドが提供される。すなわち
、配列番号:2と少なくとも80%同一であるアミノ酸残基の配列を有する単離
されたポリペプチドであって;前記配列が配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜
109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜21
0 および 226〜231 に相当しかつ少なくとも二つのアミノ酸残基で分離されてい
るβストランド、ならびに配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 および 170〜
174 を含有する受容体結合ドメインを有する単離されたポリペプチドが提供され
る。
【0009】 一つの実施態様で、上記ポリペプチドは、配列番号:2と少なくとも90%同
一である。他の実施態様で、上記ポリペプチドは、少なくとも22個のコラーゲ
ンリピートを有するコラーゲン様ドメインを含有している。他の実施態様で、上
記ポリペプチドは、配列番号:2の残基19〜243 を含有している。さらに他の実
施態様で、上記ポリペプチドは、アミノ末端またはカルボキシ末端に、アフィニ
ティータグ類、毒素類、放射性ヌクレオチド類、酵素類および発蛍光団類から成
る群から選択される成分が共有結合されている。
【0010】 他の側面で、a)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基95まで
のアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;b)配列番号:2のアミノ酸残基
30からアミノ酸残基96までのアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;c
)配列番号:2のアミノ酸残基30から97までのアミノ酸残基の配列を有する
ポリペプチド;d)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基98まで
のアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;e)配列番号:2のアミノ酸残基
98からアミノ酸残基243までのアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;
f)配列番号:2のアミノ酸残基99からアミノ酸残基243 までのアミノ酸残基
の配列を有するポリペプチド;g)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ
酸残基243 までのアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;ならびにh)アミ
ノ酸配列が、上記a),b),c),d),e),f),g)またはh)と90
%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチドからなる群から選択され
る、単離されたポリペプチドが提供される。
【0011】 他の側面で、特に、ペプチド結合によって結合された第一部分と第二部分から
本質上なる融合タンパク質であって;第一部分が、a)配列番号:2と少なくと
も80%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチドであって;前記配
列が、配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜14
6, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 および 226〜231 に相当しかつ少
なくとも二つのアミノ酸残基で分離されているβストランド、ならびに配列番号
:2のアミノ酸残基 111〜135 および 170〜174 を含有する受容体結合ドメイン
を有するポリペプチド;b)アミノ酸残基16からアミノ酸残基243 までの配列
番号:2に示すアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;c)アミノ酸残基1
からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸残基の配列を有するポ
リペプチド;d)コラーゲン様ドメインまたは二量体化もしくはオリゴマー化が
可能なコラーゲン様ドメインの部分を含有する、配列番号:2に示すzsig39ポリ
ペプチドの部分;e)球状様ドメインまたはその球状様ドメインの受容体結合部
分を含有する配列番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分;並びにf)コラー
ゲン様ドメインと球状ドメインを含有する配列番号:2に示すzsig39ポリペプチ
ドの部分からなる群から選択されるポリペプチドを含有し、そして第二部分が他
のポリペプチドを含有している融合タンパク質が提供される。
【0012】 一つの実施態様で、前記第一部分は、a)配列番号:2のアミノ酸残基30か
らアミノ酸残基95までの配列を有するポリペプチド;b)配列番号:2のアミ
ノ酸残基30からアミノ酸残基96までの配列を有するポリペプチド;c)配列
番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基97までの配列を有するポリペプ
チド;d)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基98までの配列を
有するポリペプチド;e)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基24
3 までの配列を有するポリペプチド;f)配列番号:2のアミノ酸残基98から
アミノ酸残基243 までの配列を有するポリペプチド;およびg)配列番号:2の
アミノ酸残基99からアミノ酸残基243までの配列を有するポリペプチドから
なる群から選択される。
【0013】 他の側面で、配列番号:2のアミノ酸残基1〜15または1〜18のアミノ酸
配列を有し、追加のポリペプチドに作用可能に連結されている分泌シグナル配列
を有する融合タンパク質が提供される。 さらに他の実施態様で、上記ポリペプチドを、医薬として許容できる賦形剤と
組み合わせて含有する医薬組成物が提供される。 上記ポリペプチドのエピトープに特異的に結合する抗体も提供される。
【0014】 さらに、以下の単離されたポリヌクレオチドが提供される。すなわち、配列番
号:2と少なくとも80%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド
をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、前記配列が、配列番号:2
のアミノ酸残基の 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜
182, 187〜200, 204〜210 および 226〜231 に相当しかつ少なくとも二つのアミ
ノ酸残基で分離されているβストランド、ならびに配列番号:2のアミノ酸残基
111〜135 および 170〜174 を含有する受容体結合ドメインを有する単離された
ポリヌクレオチドが提供される。一実施態様で、上記ポリペプチドは、配列番号
:2と少なくとも90%同一である。他の実施態様で、上記ポリペプチドは、少
なくとも22個のコラーゲンリピートを含有するコラーゲン様ドメインを有して
いる。他の実施態様で、そのポリヌクレオチドはDNA である。
【0015】 他の側面で、a)配列番号:1のヌクレオチド243 からヌクレオチド962 まで
のヌクレオチドの配列;b)配列番号:1のヌクレオチド252 からヌクレオチド
962 までのヌクレオチドの配列;c)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌク
レオチド482 までのヌクレオチドの配列;d)配列番号:1のヌクレオチド285
からヌクレオチド485 までのヌクレオチドの配列;e)配列番号:1のヌクレオ
チド285 からヌクレオチド488 までのヌクレオチドの配列;f)配列番号:1の
ヌクレオチド285 からヌクレオチド491 までのヌクレオチドの配列;g)配列番
号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド926 までのヌクレオチドの配列;h
)配列番号:1のヌクレオチド491 からヌクレオチド926 までのヌクレオチドの
配列;i)ヌクレオチド配列が上記a),b),c),d),e),f),g)
およびh)と少なくとも80%同一のヌクレオチドの配列を有する、ポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド;j)上記a),b),c),d),e),f
),g),h)またはi)に相補的なヌクレオチド配列;ならびにk)上記a)
,b),c),d),e),f),g),h),i)またはj)の縮重ポリヌク
レオチド配列からなる群から選択される単離されたポリヌクレオチドが提供され
る。
【0016】 他の側面で、特に、ペプチド結合によって結合された第一部分と第二部分から
本質上なる融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチドであって;
第一部分が、a)配列番号:2と少なくとも80%同一であるアミノ酸残基の配
列を有するポリペプチドであって;前記配列が、配列番号:2のアミノ酸残基の
105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 2
04〜210 および 226〜231 に相当しかつ少なくとも二つのアミノ酸残基で分離さ
れているβストランド、ならびに配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 および
170〜174 を含有する受容体結合ドメインを有するポリペプチド;b)アミノ酸
残基16からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸残基の配列を
有するポリペプチド;c)アミノ酸残基1からアミノ酸残基243 までの配列番号
:2に示すアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;d)コラーゲン様ドメイ
ンまたは二量体化もしくはオリゴマー化が可能なコラーゲン様ドメインの部分を
含有する、配列番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分;e)球状様ドメイン
または球状様ドメインの活性部分を含有する、配列番号:2に示すzsig39ポリペ
プチドの部分;およびf)コラーゲン様ドメインおよび球状ドメインを有する、
配列番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分、からなる群から選択され、そし
て第二部分が他のポリペプチドを含有している融合タンパク質をコードする単離
されたポリヌクレオチドが提供される。
【0017】 他の側面で、配列番号:2のアミノ酸残基1〜15または1〜18のアミノ酸
配列を有しかつ追加のポリヌクレオチドに作用可能に連結されている分泌シグナ
ル配列を有する融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供
される。 さらに他の側面で、配列番号:10のヌクレオチド1からヌクレオチド729 ま
での配列を有する単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0018】 また、以下の作用可能に連結された要素、すなわち転写プロモーター、上記ポ
リペプチドをコードするDNA セグメント、および転写ターミネーターを含有する
発現ベクターが提供される。一実施態様で、そのDNA セグメントは、配列番号:
2と少なくとも90%同一のポリペプチドをコードする。他の実施態様で、その
DNA セグメントは、さらに、少なくとも22個のコラーゲンリピートを含有する
コラーゲン様ドメインを有するポリペプチドをコードしている。さらに他の実施
態様で、そのDNA セグメントは、アミノ末端またはカルボキシ末端にアフィニテ
ィータグが共有結合されたポリペプチドをコードしている。さらに他の実施態様
で、そのDNA セグメントは、さらに、前記ポリペプチドに作用可能に連結された
分泌シグナル配列をコードしている。さらに他の実施態様で、前記分泌シグナル
配列は、配列番号:2の残基1〜15または1〜18を含有している。
【0019】 また、以下の作用可能に連結された要素、すなわち転写プロモーター、上記ポ
リペプチドをコードするDNA セグメントおよび転写のターミネーターを含有する
発現ベクターを導入された培養細胞であって、その細胞が前記DNA セグメントが
コードするポリペプチドを発現する培養細胞が提供される。 他の側面で、以下の作用可能に連結された要素すなわ転写プロモーター、上記
ポリペプチドをコードするDNA セグメントおよび転写ターミネーターを含有する
発現ベクターを導入された細胞を培養と、その結果その細胞が前記DNA セグメン
トがコードするポリペプチドを発現し;次に、発現されたポリペプチドを回収す
ることを含んでなるポリペプチドの製造方法が提供される。
【0020】 他の側面で、配列番号:10のポリヌクレオチドまたは配列番号:10に相補
的な配列の少なくとも14個の隣接ヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチド
のプローブまたはプライマーが提供される。 さらに他の側面で、上記ポリペプチドの医薬して有効な投与量を投与すること
による、遊離脂肪酸の代謝の調節方法が提供される。
【0021】 発明の詳細な説明 本発明を詳細に説明する前に、以下の用語を定義することは、本発明を理解す
るのに役立つであろう。 用語“アフィニティータグ”は、本明細書で使用する場合、第二ポリペプチド
を精製もしくは検出するため、または第二ポリペプチドを基体に連結するための
部位を提供するために、第二ポリペプチドに連結できるポリペプチドセグメント
を意味する。原則として、抗体などの特異的結合体を利用できるいずれのペプチ
ドまたはタンパク質もアフィニティータグとして使用できる。
【0022】 アフィニティータグとしては、ポリヒスチジントラクト(poly-histidine tra
ct)、プロテインA(Nilsson ら、EMBO J., 4巻1075頁1985年;Nilsson ら、 M
ethods Enzymol., 198巻3頁1991年)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(Sm
ith および Johnson, Gene, 67巻31頁1988年)、サブスタンスP,Flag(登録商
標)ペプチド(Hoppら、Biotechnology, 6巻 1204-1210頁1988年;米国コネティ
カット州ニューヘブン所在のEastman Kodak Co. から入手できる)、Glu-Glu ア
フィニティータグ(Grussenmeyerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82巻7925-4
頁1995年)、ストレプタビジン結合ペプチド、またはその外の抗原エピトープも
しくは結合ドメインがある(一般に、Fordら、Protein Expression and Purific
ation, 2巻95-107頁1991年参照)。アフィニティータグをコードするDNA は、商
業供給業者(例えば米国ニュージャージー州ピスカタウェイ所在のPharmacia Bi
otech)から入手できる。
【0023】 用語“対立遺伝子変異体”は、同じ染色体遺伝子座を占める2種以上の別の形
態の遺伝子を意味する。対立遺伝子の変化は、突然変異によって自然に起こって
、生物集団内に表現型多型性をもたらす。遺伝子の突然変異は沈黙突然変異(コ
ードされるポリペプチドに全く変化がない)の場合があり、または変化したアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることがある。用語“対立遺伝子変異
体”は、本明細書で使用する場合、対立遺伝子変異体がコードするタンパク質を
意味することもある。
【0024】 用語“アミノ末端”および“カルボキシル末端”は、本明細書で使用する場合
、ポリペプチドおよびタンパク質内の位置を意味する。場合によって、これらの
用語は、ポリペプチドまたタンパク質の特定の配列または部分に対して用いられ
、近位位置または相対位置を意味する。例えば、タンパク質内の基準配列に対し
てカルボキシル末端側に位置する特定の配列はその基準配列のカルボキシ末端に
対し近位に位置しているが、完全タンパク質のカルボキシル末端に必ずしも位置
していない。
【0025】 用語“コラーゲンドメインまたはコラーゲン様ドメイン”は、一連のトリプレ
ットリピーティングアミノ酸配列、すなわち“リピート”もしくは“コラーゲン
リピート”、Gly-Xaa-Pro もしくはGly-Xaa-Xaa (Xaaはいずれかのアミノ酸残基
である)を意味する。かようなドメインは、22個以上もの多数のコラーゲンリ
ピートを含有している。かようなコラーゲン様ドメインを含有するフラグメント
またはタンパク質は、ホモマー構造体(homomeric construct)(同じフラグメン
トまたはタンパク質の二量体またはオリゴマー)を形成す ることができる。さ
らに、かようなコラーゲン様ドメインを含有するかようなフラグメントまたはタ
ンパク質は、ヘテロマー構造体(heteromeric construct)(異なるフラグメント
またはタンパク質の二量体またはオリゴマー)を形成することができる。
【0026】 用語“相補/抗相補対”は、適当な条件下で共有結合ではない結合で安定な対
を形成する同一でない部分を意味する。例えばビオチンとアビジン(またはスト
レプタビジン)は、相補/抗相補対の表現型のメンバーである。他の代表的な相
補/抗相補対としては、受容体/リガンド対、抗体/抗原(またはハプテンもし
くはエピトープ)対、センス/アンチセンスポリヌクレオチド対などがある。上
記相補/抗相補対が続いて解離することが望ましい場合は、その相補/抗相補対
の結合アフィニティーが<109 -1であることが好ましい。
【0027】 用語“ポリヌクレオチド分子の相補体”は、基準配列に対して、相補的な延期
配列を有しかつ配向が逆のポリヌクレオチド分子を意味する。例えば、配列5'AT
GCACGGG3' は5'CCCGTGCAT3' に対し相補的である。 用語“コンティグ(contig) ”は、他のポリヌクレオチドと同一または相補的
な配列の隣接ストレッチを有するポリヌクレオチドを意味する。隣接配列は、与
えられたストレッチのポリヌクレオチド配列のストレッチの全体または一部にそ
って“オーバーラップ”するといわれている。例えば、ポリヌクレオチド配列5'
-ATGGCTTAGCTT-3'に対する代表的なコーティングは、5'-TAGCTTgagtct-3'および
3'-gtcgacTACCGA-5'である。
【0028】 用語“縮重ヌクレオチド配列”は、一つ以上の縮重コドン(一つのポリペプチ
ドをコードする基準ポリヌクレオチド分子と比べて)を含有するヌクレオチドの
配列を意味する。縮重コドンは、ヌクレオチドの異なるトリプレットを含有して
いるが、同じアミノ酸残基をコードする(すなわち、GAU およびGAC のトリプレ
ットは各々Asp をコードする)。
【0029】 用語“発現ベクター”は、線形または円形のDNA 分子であって;そのDNA を転
写する追加のセグメントに作用可能に連結された、注目されているポリペプチド
をコードするセグメントを含有するDNA 分子を意味する。かような追加のセグメ
ントとしては、プロモーターとターミネーターの配列があり、任意に、一つ以上
の複製起点、一つ以上の選択マーカー、エンハンサーポリアデニル化シグナルな
どがある。発現ベクターは一般にプラスミドまたはウイルスDNA から誘導される
かまたは両者の要素を含有していてもよい。
【0030】 用語“単離された”は、ポリヌクレオチドに適用される場合、そのポリヌクレ
オチドが、その自然の遺伝環境から取り出されて他の異質のまたは不要のコード
配列を含有せず、遺伝子工学によってつくられたタンパク質産生システムで使用
するのに適した形態であることを意味する。このような単離された分子は、その
自然環境から分離され、これら分子としてはcDNAとゲノムクローンがある。本発
明の単離されたDNA 分子は、通常、結合している他の遺伝子を含有していないが
、プロモーターやターミネーターなどの天然に存在している5’と3’の非翻訳
領域を含有していてもよい。結合されている領域を確認する方法は、当業技術者
にとって明らかである(例えば、Dyman とTijan, Nature, 316巻 774-778頁1985
年参照)。
【0031】 “単離された”ポリペプチドまたはタンパク質は、その自然環境以外の条件、
例えば血液や動物の組織から隔離された条件内にあるポリペプチドまたはタンパ
ク質である。好ましい形態の単離されたポリペプチドは、他のポリペプチド特に
動物起原の他のポリペプチドを実質的に含有していない。高度に精製された形態
、すなわち95%を超える純度、より好ましくは99%を超える純度のポリペプ
チドを提供することが好ましい。この意味で用いる場合、用語“単離された”は
、二量体あるいはグリコシル化もしくは誘導体化された形態などの別の物理的形
態の同じポリペプチドが存在していることも含んでいる。
【0032】 用語“作用可能に連結された”は、DNA セグメントに用いた場合、それらのセ
グメントが、その意図する目的と呼応して機能するように、例えば転写がプロモ
ーターで開始し、コードセグメントを通じてターミネーターまで進行するように
配列されていることを意味している。 用語“オーソログ(ortholog) ”は、異なる種由来のポリペプチドまたはタン
パク質の機能上の対応物である、一つの種から得たポリペプチドまたはタンパク
質を意味する。オーソログ間の配列の差は種の分化による差である。 “パラログ(paralog )”は、生物がつくる、異なっているが構造が同類のタ
ンパク質である。パラログは、遺伝子重複によって生じると考えられている。例
えば、α−グロブリン、β−グロブリンおよびミオグロブリンは互いにパラログ
である。
【0033】 用語“ポリヌクレオチド”は、5’末端から3’末端へと読み取られる。デオ
キシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの塩基の一本鎖または二本鎖の重
合体を意味する。ポリヌクレオチドとしてはRNA とDNA があり、天然の起源から
単離したり、生体外で合成したり、または天然の分子と合成分子を組み合わせて
つくることができる。ポリヌクレオチドの大きさは、塩基対(短縮して“bp”)
、ヌクレオチド(“nt”)または“キロ塩基”(“kb”)で表わす。場合によっ
ては、後者の二つの用語は、一本鎖または二本鎖のポリヌクレオチドを示すこと
ができる。
【0034】 前記用語は、二本鎖分子に適用する場合、全長を意味するために使用されるの
で用語“塩基対”が相当していると解される。二本鎖ポリヌクレオチドの二つの
ストランドは長さがわずかに異なり、その末端は、酵素による開裂のため食いち
がっているので、二本鎖ポリヌクレオチド分子内の全ヌクレオチドが対になって
いるわけではないことは、当業技術者には分かっている。このような対になって
いない末端は一般に2ntの長さを超えない。 “ポリペプチド”は、天然または合成で産生されるかにかかわらず、ペプチド
結合で結合されたアミノ酸残基の重合体を意味する。アミノ酸残基の数が約10
個より少ないポリペプチドは、通常、“ペプチド”と呼称される。
【0035】 用語“プローブおよび/またはプライマー”は、本明細書で使用する場合、RN
A またはDNA を意味する。DNA はcDNAまたはゲノムDNA を意味する。ポリヌクレ
オチドのプローブとプライマーは一本鎖または二本鎖のDNA またはRNA であって
一般に合成のオリゴヌクレオチドであるが、クローン化cDNAもしくはゲノム配列
またはその相補体でつくることができる。分析用プローブは、一般に少なくとも
20個のヌクレオチドの長さであるが、いくらか短いプローブ(14〜17個の
ヌクレオチド)を使用できる。
【0036】 PCR 用のプライマーは、少なくとも5個のヌクレオチドの長さであり、好まし
くは15以上のntであり、より好ましくは20〜30ntである。遺伝子の小領域
を分析の標的にしている場合は、短いポリヌクレオチドを使用できる。遺伝子の
全分析を行うには、ポリヌクレオチドプローブは全エキソン以上を含有している
。プローブは、検出シグナルを提供するため、例えば、酵素、ビオチン、放射性
核種、発蛍光団、化学発光体、常磁性粒子などで、当該技術分野で公知の方法を
用いて標識してもよい。なおこれらの標識は、米国オレゴン州ユージーン所在の
Molecular Probes, Inc.および米国イリノイ州アーリントンハイツ所在のAmersh
am Corp.など多数の製造元が市販している。
【0037】 用語“プロモーター”は、RNA ポリメラーゼに結合して転写を開始させるDNA
配列を含有する遺伝子の部分を意味する。プロモーターの配列は、常にそうであ
るわけではないが、通常、遺伝子の5’非コード領域に見られる。 “タンパク質”は一つ以上のポリペプチド連鎖を含有する巨大分子を意味する
。タンパク質は、炭水化物の基などの非ペプチドの成分を含有していることもあ
る。炭水化物などの非ペプチドの置換体は、そのタンパク質が産生される細胞に
よってタンパク質に付加することができ、細胞の種類によって変化する。本明細
書で、タンパク質はそのアミノ酸のバックボーン構造によって定義され、炭水化
物の基などの置換基は一般に記載されないが存在していることがある。
【0038】 用語“受容体”は、生物活性分子(すなわちリガンド)に結合して、細胞に対
するリガンドの作用を仲介する細胞関連タンパク質を意味する。膜結合受容体は
、細胞外のリガンド結合ドメインと、一般にシグナル伝達に関与している細胞内
エフェクタードメインとを含有するマルチドメイン構造を特徴としている。リガ
ンドが受容体に結合すると、その受容体の立体配座が変化して、細胞内のエフェ
クタードメインと他の分子との相互作用を起こさせる。続いて、この相互作用に
よって、細胞の代謝が変化する。
【0039】 受容体−リガンドの相互作用に関連する代謝事象としては、遺伝子の転写、リ
ン酸化、脱リン酸化、サイクリックAMP 産生の増大、細胞カルシウムの可動化、
膜脂質の可動化、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解およびリン脂質の加水
分解がある。また、大部分の核内受容体もマルチドメイン構造を示し、アミノ末
端のトランス活性化ドメイン、DNA 結合ドメインおよびリガンド結合ドメインが
含まれている。一般に、受容体は、膜に結合しているか、細胞質内かまたは核内
の受容体であり、また単量体(例えば甲状腺刺激ホルモン受容体、βアドレナリ
ン受容体)、または多量体(例えばPDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容
体、GM-CSF受容体、G-CSF 受容体、エリトロポエチン受容体およびIL-6受容体)
である。
【0040】 用語“分泌シグナル配列”は、大きいポリペプチドの成分として、その大きな
ポリペプチドを、このペプチドが合成される細胞の分泌経路を通じて導びくポリ
ペプチド(“分泌ペプチド”)をコードするDNA 配列を意味する。その大きいペ
プチドは、その分泌経路を通過中に、通常、切断されて分泌ペプチドを放出する
【0041】 “可溶性受容体”は、細胞膜に結合されていない受容体ペプチドを意味する。
可溶性受容体は、膜貫通ドメインと細胞質ドメインを欠いていることが最も一般
的である。可溶性受容体は、ポリペプチドの精製を行うため、またはポリペプチ
ドを基体もしくは免疫グロブリンの定常部の配列に結合させる部位を提供するた
めのアフィニティータグなどの追加のアミノ酸残基を含有させることができる。
多くの細胞表面受容体は、タンパク質分解反応によって産生されるか、または選
択的にスプライスされたmRNAから翻訳される、天然に存在する可溶性の対応物を
もっている。受容体ポリペプチドは、膜の固体またはシグナルの伝達それぞれを
行うのに十分な膜貫通および細胞内のポリペプチドセグメントの部分を欠いてい
る場合、これらのセグメントを実質的に含有していないといわれている。
【0042】 用語“スプライス変異体”は、本明細書で使用する場合、遺伝子から転写され
るRNA の別の形態を意味する。スプライス変異は、転写されたRNA 分子内の別の
スプライシング部位を利用して自然に起こるか、または余り一般的ではないが別
個に転写されたRNA 分子間で起こって、同じ遺伝子からいくつものmRNAが転写さ
れる。スプライス変異体は変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード
する。また、用語スプライス変異体は、本明細書で使用する場合、遺伝子から転
写されたmRNAのスプライス変異体がコードするタンパク質を意味することもある
【0043】 不正確な分析法(例えばゲル電気泳動法)で測定された重合体の分子量と長さ
は、おおよその値であるとする。このような値は、“約”Xまたは“おおよそ”
Xであると表現された場合、Xについて述べられた値は、精度が±10%である
とする。 本明細書に引用された文献はすべて、その全体を本明細書に援用するものであ
る。
【0044】 本発明は、脂肪細胞補体関連タンパク質(adiposite complement related pro
tein)(Acrp30)に相同のポリペプチドをコードする新規なDNA 配列の発見に、
一部基づいている(例えば、Scherer ら、J. Biol. Chem., 270 (45)巻 26746-2
6749頁1995年参照)。ポリペプチドAcrp30は配列番号:8に示してある。Acrp30
は、ヒトapM1(図1と2のHUMUPST2 1、配列番号:3)に高度に類似しているよ
うであり、その分泌配列に最も有意な差が見られる。
【0045】 この新規なDNA 配列は、アミノ末端のシグナル配列、非相同の隣接するN−末
端領域、Gly-Xaa-Xaa もしくはGly-Xaa-Pro のリピートからなる端を切り取られ
たコラーゲンドメイン、およびカルボキシル末端の球状部分を有するポリペプチ
ドをコードする。またこの新規なポリヌクレオチド配列は、長い3’非翻訳領域
も含有している。上記の一般的なポリペプチド構造は、Acrp30(配列番号:8)
とHUMUPST2 1(配列番号:3)が共有している。またHUMUPST2 1 DNA配列(配列
番号:9)は、長い3’非翻訳領域を特徴としている。
【0046】 さらに、Acrp30と、図1に列挙されているすべての配列は、CERL RAT(配列番
号:7)を除いて、図1と配列番号:2に示すようにzsig39ポリペプチドの 144
位に保存システイン残基を共有している。前記列挙されたタンパク質のカルボキ
シ末端の球状部分に見られる他の相同領域は、他のファミリーメンバーを探究す
るのに有用なプライマーとして、本明細書で確認されている。Acrp30は、例えば
、これらプライマーを用いる探索で確認できるであろう。また、本発明のzsig39
ポリペプチドは、推定の細胞結合部位、すなわち配列番号:2のアミノ酸残基7
7〜79におけるRGD モチーフを有している(前記REG ペプチドモチーフと接着
におけるその役割に関する考察については、例えばRuoslahti と Pierschbacher
, Cell, 44巻517-518 頁1986年とd'Souza ら、Trends Biochem. Sci., 16巻246-
250 頁1991年参照)。
【0047】 この新規なDNA に対応するmRNAの組織内分布の分析を、本明細書の実施例2に
記載したようにして実施した。一つの転写産物の大きさは約 1.2kbと測定された
。シグナルの強度は、小腸と心臓で最大であり、膵臓、骨格筋、腎臓および甲状
腺では比較的小さく、そして胎盤、肺臓、肝臓、脾臓、前立腺、卵巣、結腸、胃
、脊髄、リンパ節、気管、副腎および骨髄ではシグナルの強度は低かった。その
ポリペプチドはzsig39ポリペプチドと命名されている。ドットブロット試験は、
zsig39ポリペプチドが視床下核、海馬、延髄および視床で発現されることを示し
た。ヒトの腸のブロットは、ヒトの結腸の腺癌細胞系SW480 、小腸組織、胃組織
正常なヒト結腸細胞系、FHC 、および正常な胎児の小腸細胞系FHs74Int内での発
現を示した。
【0048】 本発明の新規なzsig39ポリペプチドは、分泌シグナル配列のEST データベース
に問い合わせることによって、初めて確認されたのであり、分泌されたタンパク
質を選択できるように、上流のメチオニン出発部位、約13個のアミノ酸の疎水
性領域および開裂部位を特徴としている。それらの探索基準に合致するEST に対
応するポリペプチドを、既知の配列と比べて、既知のリガンドに相同の分泌され
たタンパク質を確認した。単一のEST 配列を発見して、分泌されたタンパク質で
あると予想した。全長のcDNAがコードする新規なポリペプチドによって、脂肪細
胞補体関連タンパク質Acrp30(配列番号:8)と脂肪細胞分泌タンパク質apM1(
図1と2のHUMUPST2 1、配列番号:3)の相同関係(homolog relationship) を
確認することができる。
【0049】 また、いくぶん低い相同性が、図1と2に示されているように、補体成分のCl
q 連鎖、冬眠中のシベリアウッドチャックの活性状態で観察される二つの因子〔
HP25 TAMAS(配列番号:5)とHP27 TAMAS(配列番号:6)〕、およびラットの
脳タンパク質(CERL RAT、配列番号:7)でも確認された。 zsig39ポリペプチドの全配列は、それを含有していると考えられる単一クロー
ンから得た。なおそのクローンは肺組織のライブラリーから得た。かようなクロ
ーンを探索できる他のライブラリーとしては、心臓、小腸、膵臓、骨格筋、腎臓
、甲状腺、視床下核、海馬、延髄および視床などのライブラリーがある。
【0050】 N末端EST のヌクレオチド配列は配列番号:1に記載されており、そしてその
推定アミノ酸配列は配列番号:2に記載されている。先に一般的に述べたように
、zsig39ポリペプチドは、アミノ酸1(Met)からアミノ酸残基15 (Gly)までの範
囲内のシグナル配列をもっている。別のシグナル配列は、アミノ酸1(Met)から
アミノ酸18 (Pro)までの範囲内にある。したがってその成熟ポリペプチドは、ア
ミノ酸16 (Ser)または19 (Leu)からアミノ酸243 (Ala)までの範囲内にある。成
熟ポリペプチド内に、限定された相同性を有するN末端領域が、アミノ酸残基20
(Asp)と29 (Pro)の範囲内に見られる。
【0051】 すなわち、28位のシステインは、HUMUPST2 1の36位およびHP25 TAMASとHP
27 TAMASのN末端領域に見られるシステインと類似の構造/機能を提供する。さ
らに、コラーゲンドメインが、アミノ酸30 (Gly)と、95 (Ala)、96 (Gly)、97 (
Glu)または98 (Cys)との間に見られる。このコラーゲンドメインにおいて、9個
の完全なGly-Xaa-Pro リピートと13個または14個の不完全なGly-Xaa-Xaa リ
ピートが観察される。Acrp30は22個の完全なまたは不完全なリピートを含有し
ている。
【0052】 また、zsig39ポリペプチドは、ほぼアミノ酸98 (Cys)または99 (Ser)から243
(Ala)までの範囲内のカルボキシ末端球状ドメインを有している。Acrp30の球状
ドメインは10βストランド“ゼリーロール(jelly roll)形態であることが確
認されており(Shapiro と Scherer, Curr. Biol., 8巻 335-338頁1998年)、そ
して配列番号:2で表されるzsig39の配列は、この構造のすべての10個のβス
トランド(配列番号:2のアミノ酸残基 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜
146, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 および 226〜231)を含有してい
る。これらのストランドはそれぞれ、“A”,“A′”,“B”,“B′”,“
C”,“D”,“E”,“F”,“G”および“H”と命名されている。
【0053】 また、二つの受容体結合ループ、すなわち配列番号:2に示すアミノ酸残基 1
11〜139 と 170〜182 がある。コア受容体結合領域は、配列番号:2のアミノ酸
残基 111〜135 と 170〜174 を含有していると予想される。当業技術者には、こ
れらの境界がおおよそのものであり、既知のタンパク質の配置(alignment) とタ
ンパク質の折りたたみの予測に基づいていることが分かっている。アミノ酸残基
149 (Glu)、151 (Tyr)、199 (Leu)および227 (Phe) は、CD40, TNFα,Acrp
30とzsig39を含むスーパーファミリー全体にわたって保存されているようである
。 本発明のタンパク質は、配列番号:2と少なくとも80%同一のアミノ酸残基
の配列を有している。本発明の特定の実施態様で、上記配列は、配列番号:2と
少なくとも90%または95%同一である。
【0054】 本発明の他の側面として、zsig39ポリペプチドのフラグメントがある。好まし
いフラグメントとしては、配列番号:2のアミノ酸30 (Gly)からアミノ酸95 (Al
a)、96 (Gly)、97 (Glu)または98 (Cys)までの範囲内の、zsig39ポリペプチドの
コラーゲン様ドメイン、前記コラーゲン様ドメインを含有するzsig39ポリペプチ
ドの部分、または二量体化またはオリゴマー化することができる前記コラーゲン
様ドメインの部分がある。これらのフラグメントは、コラーゲンの二量体化また
はオリゴマー化の研究を行うのにまたは融合タンパク質を製造するのに(以下に
詳細に述べる)特に有用である。
【0055】 このようなフラグメントをコードするポリヌクレオチドも、本発明に含まれる
が、これらポリヌクレオチドとしては、(a)ヌクレオチド1,198, 242, 251
または285 からヌクレオチド482, 485, 488 または491 までの配列番号:1に示
すヌクレオチドの配列を有するポリヌクレオチド分子;(b)アミノ酸残基30 (
Gly)からアミノ酸残基96 (Gly)、97 (Glu)、98 (Cys)までの配列番号:2のアミ
ノ酸配列と少なくとも80%同一であるzsig39ポリペプチドフラグメントをコー
ドするポリヌクレオチド分子;(c)(a)または(b)に相補的な分子;およ
び(f)zsig39ポリペプチドのコラーゲン様ドメインのフラグメントをコードす
る縮重ヌクレオチド配列からなる群がある。
【0056】 かようなコラーゲン様ドメインを含有するかようなフラグメントまたはタンパ
ク質は、ホモマー構造体(同じフラグメントまたはタンパク質の二量体またはオ
リゴマー)を形成することができる。さらに、かようなコラーゲン様ドメインを
含有するかようなフラグメントまたはタンパク質は、ヘテロマーの構造体(異な
るフラグメントまたはタンパク質の二量体またはオリゴマー)を形成することが
できる。ヘテロマー構造体の他の成分としては、Acrp30および本明細書に記載さ
れているかまたは当該技術分野で知られているコラーゲン様ドメインを特徴とす
る他のポリペプチドがある。これらのホモマーおよびヘテロマーの構造体を、本
発明は目的としている。
【0057】 他の好ましいフラグメントとしては、配列番号:2のアミノ酸98 (Cys)または
99 (Ser)から243 (Ala) まで、特に配列番号:2のアミノ酸残基105 から231 ま
での範囲内の、zsig39ポリペプチドの球状ドメイン、すなわち球状様ドメインま
たは球状様ドメインの活性部分を含有するzsig39ポリペプチドの部分がある。こ
れらのフラグメントは、エネルギー均衡または神経伝達、特に食事もしくはスト
レス関連の神経伝達の研究もしくは調節を行うのに特に有用である。また、かよ
うなフラグメントには、抗微生物活性もある。Acrp30タンパク質の球状ドメイン
は、三量体の多量体と類似していることが報告されている。これら三量体はホモ
マーまたはヘテロマーである(Shapiro とScherer ibid)。また、かようなフラ
グメントは、zsig39、ならびにAcrp30および TNFαなどの他の類縁タンパク質の
多量体化および受容体との結合を研究するのに有用であろう。
【0058】 かようなフラグメントをコードするポリヌクレオチドも本発明に含まれ、これ
らポリヌクレオチドとしては、(a)ヌクレオチド489 または492 からヌクレオ
チド926 または1347までの配列番号:1に示すヌクレオチドの配列を含有するポ
リヌクレオチド分子;(b)アミノ酸残基98 (Cys)または99 (Ser)からアミノ酸
残基243 (Ala)までの配列番号:2のアミノ酸配列に少なくとも80%同一であ
るzsig39ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド分子;(c)
(a)または(b)に相補的な分子;および(f)zsig39ポリペプチドの球状ド
メインのフラグメントをコードする縮重ヌクレオチド配列からなる群がある。
【0059】 本発明の他のzsig39ポリペプチドのフラグメントは、配列番号:2のアミノ酸
残基30 (Gly)から243 (Ala)までにわたるコラーゲン様ドメインおよび球状ドメ
インの両者を含む。かようなフラグメントをコードするポリヌクレオチドも本発
明に含まれ、これらポリヌクレオチドとしては、(a)ヌクレオチド285 からヌ
クレオチド926 または1347までの配列番号:1に示すヌクレオチドの配列を含有
するポリヌクレオチド分子;(b)アミノ酸残基30 (Gly)からアミノ酸残基243
(Ala)までの配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるzsig39
ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド分子;(c)上記(a
)または(b)に相補的な分子;および(f)zsig39ポリペプチドのコラーゲン
様ドメイン−球状ドメインのフラグメントをコードする縮重ヌクレオチド配列か
らなる群がある。
【0060】 zsig39フラグメントは、当該技術分野で公知の方法にしたがって、このフラグ
メントの抗微生物特性について評価できる〔例えば、Barsumら、Eur. Respir. J
., 8 (5)巻 709-714頁1995年;Sandovsky-Losicaら、J. Med. Vet. Mycol. (Eng
land), 28 (4) 巻 279-287頁1990年;Mehenteeら、J. Gen. Microbiol (England
), 135 (Pt.8) 巻 2181-2188頁1989年;Segal およびSavage, Journal of Medic
al and Veterinary Mycology, 24巻 477-479頁1986年など参照〕。
【0061】 所望の場合、上記の点について、zsig39ポリペプチドフラグメントの性能を、
この点について機能しうることが知られているタンパク質、例えば、プロリンが
豊富なタンパク質、リゾチーム、ヒスタチン類、ラクトペルオキシダーゼなどと
比較することができる。さらに、zsig39ポリペプチドフラグメントは、一種以上
の抗微生物剤と組み合わせて評価し、相乗効果を確認することができる。当業技
術者には、zsig39ポリペプチド類、融合タンパク質類、アゴニスト類、アンタゴ
ニスト類および抗体類の抗微生物特性を同様に評価できることが分かる。
【0062】 また、本発明のzsig39ポリペプチドフラグメント類とzsig39ポリペプチド類、
融合タンパク質類、アゴニスト類、アンタゴニスト類または抗体類は、神経伝達
物質または神経伝達モジュレーターとして、カルシウムイオンの濃度、筋収縮、
ホルモン分泌、DNA の合成もしくは細胞成長、イノシトールリン酸の代謝、アラ
キドン酸の放出、ホスホリパーゼ−Cの活性化、胃内容排出、ヒト好中球の活性
化もしくはADCCの性能、スーパーオキシドアニオンの産生などを調節する。これ
ら特性の評価は、本明細書で述べるような公知の方法で実施できる。
【0063】 zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニス
トの、細胞内カルシウム濃度に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例え
ば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides, 45巻 341-352頁1993年などに記載さ
れている方法で評価できる。zsig39ポリペプチドフラグメント、融合体、アゴニ
ストまたはアンタゴニストの、筋収縮に対する影響は、当該技術分野で公知の方
法、例えば、Smits とLebebvre, J. Auton, Pharmacol., 14巻 383-392頁1994年
;Bellol;ら、J. Vet. Pharmacol. Therap., 17巻 379-383頁1994年;Maggi ら
、 Regulatory Peptides, 53巻 259-274頁1994年などに記載されている方法によ
って評価できる。
【0064】 zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニス
トの、ホルモン分泌に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例えば、Henr
iksen ら、J. of Receptor & Signal Transduction Research, 15 (1-4) 巻 529
-541頁1995年などに記載されているプロラクチン放出に関する方法で評価できる
。zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニス
トの、DNA 合成または細胞成長に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例
えば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides, 45巻 341-352頁1993年などに記載
の方法で評価できる。zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニスト
またはアンタゴニストの、イノシトールリン酸の代謝に対する影響は、当該技術
分野で公知の方法、例えば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides, 45巻 341-3
52頁1993年などに記載されている方法で評価することができる。
【0065】 また、zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタ
ゴニストの、アラキドン酸放出に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例
えば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides, 45巻 341-352頁1993年などに記載
されている方法で評価できる。zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、ア
ゴニストまたはアンタゴニストの、ホスホリパーゼ−Cの活性化に対する影響は
、当該技術分野で公知の方法、例えば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides,
45巻 341-352頁1993年などに記載の方法で評価することができる。
【0066】 zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニス
トの、胃内容排出に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例えばVarga ら
、 Eur. J. Pharmacol., 286巻 109-112頁1995年などに記載されている方法で評
価できる。zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアン
タゴニストの、ヒト好中球の活性化およびADCCの性能に対する影響は、当該技術
分野で公知の方法、例えばWozniak ら、Immunology, 78巻 629-634頁1993年など
に記載の方法で評価できる。zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴ
ニストまたはアンタゴニストの、スーパーオキシドアニオン産生に対する影響は
、当該技術分野で公知の方法、例えば、Wozniak ら、Immunology, 78巻 629-634
頁1993年などに記載の方法で評価することができる。
【0067】 本発明は、zsig39融合タンパク質も提供するものである。例えば、本発明の融
合タンパク質は、(1)下記のポリペプチドすなわちa)アミノ酸配列が、配列
番号:2のアミノ酸残基19からアミノ酸残基243 までと少なくとも80%同一
であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;b)アミノ酸残基16からア
ミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸残基の配列を有するポリペプ
チド;c)アミノ酸残基1からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミ
ノ酸残基の配列を有するポリペプチド;d)二量体化またはオリゴマー化するこ
とができるコラーゲン様ドメインの部分またはコラーゲン様ドメインを含有する
、配列番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分;e)球状棒ドメイン(globul
ar-like domain) または球状棒ドメインの活性部分を含有する、配列番号:2に
示すzsig39ポリペプチドの部分;またはf)コラーゲン様ドメインと球状ドメイ
ン(globular domain)を含有する、配列番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部
分;から選択されるポリペプチド、ならびに(2)他のポリペプチドを含有して
いる。
【0068】 前記他のポリペプチドは、別のまたは追加の球状ドメイン、別のまたは追加の
コラーゲン様ドメイン、融合タンパク質を分泌しやすくするシグナルペプチドな
どでもよい。補体の球状ドメインはIgG に結合するので、zsig39ポリペプチド、
フラグメントまたは融合体の球状ドメインは類似の役割をもっているかもしれな
い。
【0069】 アミノ酸1(Met)からアミノ酸243 (Ala) までの範囲内のzsig39ポリペプチド
;アミノ酸16 (Ser)またはアミノ酸19 (Leu)からアミノ酸243 (Ala)までの範囲
内の別の成熟zsig39ポリペプチド;またはその別の分泌リーダーフラグメント〔
アミノ酸1(Met)からアミノ酸15 (Gly)またはアミノ酸18 (Pro)までの範囲のフ
ラグメント〕は、細胞からのタンパク質の分泌を研究するのに使用できる。本発
明のこの側面の好ましい実施態様で、前記成熟ポリペプチドが推定の分泌シグナ
ル配列を有する融合タンパク質として形成され;その融合タンパク質を発現させ
ることができる調節領域を有するプラスミドが試験細胞に導入され;そして成熟
タンパク質の分泌が監視される。
【0070】 本発明のこの側面の他の好ましい実施態様で、別の分泌リーダーフラグメント
が、分泌のために選択される別のタンパク質との融合タンパク質として形成され
;その融合タンパク質を発現させることができる調節領域を有するプラスミドが
試験細胞に導入され;そしてそのタンパク質の分泌が監視される。この監視は、
当該技術分野で知られている方法、例えばHPLCなどで行われる。
【0071】 高度に保存されているアミノ酸、特に、zsig39ポリペプチドのカルボキシ末端
の球状ドメインのアミノ酸は、新しいファミリーのメンバーを確認する手段とし
て利用できる。例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用して、各
種の組織の起源から得たRNA 由来の保存モチーフをコードする配列を増幅するこ
とができる。特に、保存配列から設計した高度縮重プライマー(highly degener
ate primer) は上記目的のために有用である。特に以下のプライマーがこの目的
のために有用である。すなわち、
【0072】 (1)配列番号:2のアミノ酸 121〜126 (配列番号:1のヌクレオチド 558
〜575 に対応している); (2)配列番号:2のアミノ酸 131〜136 (配列番号:1のヌクレオチド 588
〜605 に対応している); (3)配列番号:2のアミノ酸 149〜154 (配列番号:1のヌクレオチド 642
〜659 に対応している); (4)配列番号:2のアミノ酸 202〜207 (配列番号:1のヌクレオチド 801
〜818 に対応している);および (5)配列番号:2のアミノ酸 226〜231 (配列番号:1のヌクレオチド 873
〜890 に対応している); また、本発明は、上記ポリヌクレオチド類に基づいた縮重プローブも目的とし
ている。上記ポリヌクレオチドの相補体に相当するプローブも含まれる。
【0073】 本発明の好ましい実施態様で、前記単離されたポリヌクレオチドは、ストリン
ジェント条件下で、配列番号:2、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9
、本明細書で特に引用した他のプローブまたはこれに相補的な配列の類似の大き
さの領域とハイブリッドを形成する。一般に、規定のイオン強度とpHにおける指
定の配列の熱溶融点(Tm )より約5℃低いストリンジェント条件が選択される
。このTm は、標的配列の50%が完全にマッチしたプローブ(perfectly matc
hed probe)とハイブリッドを形成する温度(規定のイオン強度とpHにおける)で
ある。一般的なストリンジェント条件は、塩の濃度がpH7において約0.03Mまで
であり、そして温度が少なくとも約60℃の条件である。
【0074】 当業技術者には、遺伝暗号の縮重にかんがみて、かなりの配列の変化がこれら
のポリヌクレオチド分子間に可能であることが容易に分かる。配列番号:10は
、配列番号:2のzsig39ポリペプチド(アミノ酸1〜243)をコードできるすべて
のポリヌクレオチドを含む縮重ポリヌクレオチド配列である。また、当業技術者
には、配列番号:10の縮重配列が、TをUで置換することによって、配列番号
:2をコードするすべてのRNA 配列を提供することも分かる。
【0075】 したがって、配列番号:10のヌクレオチド1,46または55からヌクレオ
チド729 までの範囲内の、zsig39ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは
、本発明が目的とするものである。また、本発明は、配列番号:10の類似領域
で形成される、さきに配列番号:1について述べたフラグメントと融合体も目的
とするものであり、配列番号:1のヌクレオチド 198〜926 が配列番号:10の
ヌクレオチド1〜729 に対応している。配列番号:10の記号は下記表1に要約
してある。
【0076】
【表1】
【0077】 与えられたアミノ酸に対して可能性があるすべてのコドンを含む、配列番号:
10に使用した縮重コドンを以下の表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】 当業技術者には、各アミノ酸をコードする可能性があるすべてのコドンを表す
縮重コドンを決定する際にある種の不明瞭性(ambiguity) が導入されることが分
かる。例えば、セリンの縮重コドン(WSN)は、場合によっては、アルギニン(AGR
)をコードすることがあり、そしてアルギニンの縮重コドン(MGN)は、場合によ
っては、セリン(AGY)をコードすることがある。同様の関係が、フェニルアラニ
ンとロイシンをコードするコドン間に存在する。したがって、縮重配列に含まれ
ているいくつかのポリヌクレオチドは、いくつかの正しくないアミノ酸をもって
いることがあるが、当業技術者は、配列番号:2のアミノ酸配列を参照すること
によって、このような誤まった配列を容易に確認できる。
【0080】 本発明の他の側面で、精製されたzsig39ポリペプチドを、医薬として許容され
る賦形剤と組み合わせて含有する医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、
哺乳類のエネルギー均衡と調節するかまたは内皮細胞を損傷から保護するのに使
用される。
【0081】 zsig39ポリペプチドの発現パターンは、内皮細胞組織内で発現される。内皮細
胞の保護については、zsig39ポリペプチドは、臓器保存の際の凍結保存、虚血お
よび/または炎症が原因の損傷を防止するための外科的前処理または類似の処置
に利用できる。小腸における発現のレベルが高いことは、zsig39ポリペプチドが
、胃腸組織を、虚血性再灌流損傷(ishemic reperfusion injury)から保護する
内因性因子であるかもしれないことを示唆している。
【0082】 虚血性再灌流損傷のラット、ウサギおよびブタのモデルは当該技術分野で知ら
れており、zsig39、そのアゴニストまたはアンタゴニスト抗体、融合タンパク質
およびフラグメントを評価するのに使用できる。例えば、Golinoら、Nature Med
icine, 2 (1)巻 35-40年1996年には、ニュージーランド白ウサギを利用する虚血
性再灌流損傷の心筋モデルが記載されている。ニュージーランド白ウサギは、(
1)耳の中心静脈の虚血性再灌流モデルおよび(2)血流がバルーン血管形成術
によって復元されるアテローム硬化性大腿動脈損傷モデルにも利用されている(
例えば、Winnら、J. Clin. Invest., 92巻 2042-2047頁1993年およびJangら、Ci
rculation, 92 (10)巻 3041-3050頁1995年参照)。
【0083】 ラットの腸虚血モデルも利用できる。例えば雄のSprague Dawleyラット(体重
225〜400 g)は、拘束ケージ内に静かに座るように三回の訓練課業を受ける。
次にこれらのラットは、生存手術(survival surgery) を受け、その間に頚静脈
カテーテルが移植される。生存手術を行うため、ラットは麻酔をかけられ、次に
開存性を維持するために選択した条件下で、右頚静脈にカテーテルを移植する。
次いでこれらのラットは拘束ケージ中に入れられ、下記のようにして、試験組成
物または賦形剤を投与される。これらのラットを48hr回復させた後、賦形剤ま
たは試験組成物を、1日当り1回、4日間にわたって静脈内ボーラス注射(0.5ml
) を行った。
【0084】 これらラットは、第四の注射を行う前に、好ましくは16〜24hr絶食させ、
麻酔をかけ、次に鎮痛薬を投与する。第四の注射を行ってから30分後、各ラッ
トの腹部を小さく切開し、次に上腸間膜動脈を取り出して1hrクランプする。腹
部は、上記クランプ期間中、粗く縫合して閉じ、次に再び切開してクランプを取
り出し、次いで再び粗く縫合して閉じる。これらのラットは、2hrの再灌流の期
間中、37℃の加熱パッド上にのせた保持ケージ内に入れる。この再灌流期間の
後、これらラットを殺して、空腸セグメントを切り取る。いくつかの切り取った
腸セグメントの組織学的評価を行い、そして残りの腸セグメントは、ミエロペル
オキシダーゼ(MPO) とマルターゼの活性を分析した。
【0085】 MPO は好中球の組織内へ浸潤した量の尺度であり、一方、マルターゼの活性は
腸粘膜の完全性の尺度である。虚血性再灌流損傷は、MPO のレベルの増大とマル
ターゼ活性のレベルの低下と関連がある。したがって、虚血性再灌流損傷が改善
すると、MPO が減少しかつマルターゼの活性が増大すると予想される。
【0086】 また、zsig39ポリペプチドは、視床下核で発現されるが、このことは、zsig39
ポリペプチドまたはそのアゴニストが、長期にわたって活性の細胞に対し阻止刺
激を送達することによる、バリスム運動(ballistic movement) の内因性サプレ
ッサーであることを示唆している。このようなバリスム運動は視床下核の病変が
原因で起こる。zsig39ポリペプチド、そのアゴニストまたはアンタゴニスト、抗
体、融合タンパク質およびフラグメントの、バリスム運動を抑圧する効力につい
ての評価は当該技術分野で公知の方法を用いて実施することができる。例えば、
定位固定装置を用いて視床下核に損傷を与えることができるが、バリスム運動が
みられた場合、zsig39ポリペプチド、そのアゴニストもしくはアンタゴニスト、
抗体、融合タンパク質またはフラグメントを投与すると、バリスム運動が調整さ
れるのが分かる。
【0087】 エネルギー均衡の調節については、zsig39ポリペプチドは細胞の代謝反応を調
節する。このような代謝反応としては、脂肪生成、糖新生、糖原分解、脂質生合
成、グルコースの摂取、タンパク質の合成、熱産生、酸素利用などがある。とり
わけ、当該技術分野で知られているかまたは本明細書に記載の方法で、哺乳類の
エネルギー均衡は、上記代謝機能の一つ以上を監視することによって評価するこ
とができる。
【0088】 これらの代謝機能は、以下に十分述べるように、当業技術者に知られている方
法(検定法または動物モデル)で監視される。例えば、インスリンの糖質調節作
用は、肝臓、骨格筋および脂肪組織で主として発揮される。インスリンは、これ
らの三つの組織のインスリン細胞受容体に結合して、組織特異的作用を開放させ
、その結果、例えば、グルコースの産生とグルコース利用の刺激が抑制される。
肝臓にて、インスリンは、グルコースの摂取を刺激し、糖新生と糖原分解を抑制
する。骨格筋と脂肪組織において、インスリンは、グルコースの摂取、貯蔵およ
び利用を刺激する働きをする。
【0089】 上記代謝機能をすべて監視する、当該技術分野で認められている方法がある。
したがって、当業技術者は、代謝を調節する機能について、zsig39ポリペプチド
、フラグメント、融合タンパク質、抗体、アゴニストおよびアンタゴニストを評
価することができる。代表的な調節方法を以下に述べる。
【0090】 脂肪生成、糖新生および糖原分解は哺乳類のエネルギー均衡の相互に関連する
要素であり、例えばob/obマウスまたはdb/dbマウスを使用する公知の
方法で評価できる。ob/obマウスは、ob(肥満)遺伝子座における失活化
変異に対し同型接合性である近交マウスである。このようなob/obマウスは
過食性でかつ代謝低下性であるので循環OBタンパク質の産生が欠乏していると
考えられている。db/dbマウスは、db(糖尿病)遺伝子座における失活化
変異に対し同型接合性である近交マウスである。db/dbマウスは、糖尿病表
現型も示すことを除いて、ob/obマウスと類似の表現型を示す。このような
db/dbマウスは、循環OBタンパク質の作用に対し耐性であると考えられて
いる。また、これらのパラメーターを評価する各種の生体外での方法が、当該技
術分野で知られている。
【0091】 インスリンで刺激される脂質生成は、例えば14C−アセテートのトリグリセリ
ド中への取込み(Mackall ら、J. Biol. Chem., 251 巻 6462-6464頁1976年)ま
たはトリグリセリドの蓄積(Kletzienら、Mol. Pharmacol., 41 巻 393-398頁19
92年)を測定することによって監視できる。
【0092】 グルコースの摂取は、例えば、インスリンで刺激されるグルコースの輸送の検
定法で評価できる。トランスフェクトされておらず分化したL6筋管(G418なし
で保持されている)を、1g/lのグルコース、0.5 もしくは 1.0%の BSA, 2
0mMのHepes および2mMのグルタミンを含有するDMEM内にいれる。2〜5hr培養
した後、培地を、0.5 もしくは 1.0%の BSA, 20mMの Hepes,1mMのピルベー
トおよび2mMのグルタミンを含有し、グルコースを含有しない新鮮なDMEMで取り
替える。適当な濃度のインスリンもしくはIGF-1 、または試験物質の希釈シリー
ズを添加し、次いで前記細胞を20〜30分間インキュベートする。
【0093】 3Hもしくは14Cで標識されたデオキシグルコースを、最終濃度約 501Mまで
添加し、次いで細胞を約10〜30分間インキュベートする。次に、細胞を、冷
緩衝液(例えばPBS)で迅速にすすぎ次いで適切な溶解剤(例えば1% SDSまたは
1N NaOH)で溶解する。その細胞溶解液をシンチレーションカウンターでカウン
トして評価する。細胞に付随している放射能を、グルコース輸送の阻害剤である
シトコラシンb(cytocholasin b) の存在下で細胞を培養することによって測定
した非特異的結合を差引いた後、グルコース輸送の尺度とする。他の方法として
は、例えば、Manchesterら、Am. J. Physiol., 266 (Endocrinol. Metab. 29) :
E326-E333, 1994(インスリンによって刺激されるグルコース輸送)に記載され
ている方法がある。
【0094】 脂肪酸の代謝も当該技術分野で公知の方法で監視できる。特に、心臓による脂
肪酸の摂取と代謝が監視される。適切な動物モデルや組織を利用できる。培養細
胞としては心臓の線維芽細胞と心臓の筋細胞がある。樹立細胞系としては、NIH
3T3 線維芽細胞(ATCC No. CRL-1658)、CHH-1 チャム心臓細胞(chum heart cel
l) (ATCC No. CRL-1680)およびH9c2ラット心臓筋芽細胞(ATCC No. CRL-1446)が
ある。心臓細胞は老化するにつれて、脂肪酸代謝からグルコース代謝へシフトす
ることが例証されている(Sackら、Circulation, 94 巻 2837-2842頁1996年)。
タンパク質の代謝は、例えば、試験細胞を、35S−メチオニンおよびタンパク
質合成の推定モジュレーターとともにインキュベートすることによって35S−メ
チオニンで標識したタンパク質の沈降を比較することによって評価できる。
【0095】 熱産生性は、W. ColmersおよびC. Wahlestedt 編「The Biology of Neuropept
ide Y and Related Peptides」 457-509頁、1993年オッタワ所在のHumana Press
のB. Stanleyの報告;C. Billington ら、Am. J. Physiol., 260巻R321頁1991年
;N. Zarjevskiら、Endocrinology, 133巻1753頁1993年;C. Billington ら、Am
. J. Physiol., 266巻 R1765頁1994年;Hellerら、Am. J. Physiol., 252 (4 PI
2) : R661-7, 1987 年;およびHellerら、Am. J. Physiol., 245 (3)巻R321-328
頁1983年に記載されているようにして評価することができる。また代謝率は、各
種の方法で測定されるが、熱産生性の間接的な測定値である。
【0096】 酸素の利用は、Hellerら、Pflugers Arch, 369 (1)巻 55-59頁1977年に記載さ
れているようにして評価できる。また、この方法は、視床下部の温度と代謝性熱
産生の分析も行う。また、ヒトの酸素利用と体温調節は、HasKell ら、J. Appl.
Physiol. 51 (4)巻 948-954頁1981年に記載されているようにして評価されてい
る。
【0097】 心臓および脳組織におけるzsig39ポリペプチドの発現が不随意機能(すなわち
延髄)に関与していることは、このタンパク質が、アセチルコリンおよび/また
はノルエピネフリンの放出を調節することを示唆している。哺乳類の内皮細胞組
織の保護は、とりわけ、当該技術分野で知られているかまたは本明細書に記載の
方法で、内皮組織の機能を監視することによって評価できる。例えば、心臓(大
動脈)の機能は、アセチルコリンの放出、ノルエピネフリンの放出などのパラメ
ーターを監視することによって評価できる。これらのパラメーターは、以下に詳
細に述べるように、当業技術者に知られている方法(検定法または動物モデル)
によって監視される。
【0098】 アセチルコリンとノルエピネフリンの放出はHPLCで監視できる。Levy, Electr
ophysiology of the Sinoatrial and Atrioventricular Nodes, Alan R. Liss,
Inc., 187-197 頁1998年には、冠状静脈洞流出液中のノルエピネフリンの測定が
記載されている。さらに、動物の心臓を、電気的に刺激して、Elsner, European
Heart Journal 16 (Supplement N) 52-58頁1995年およびReiffel とKuehnert,
PACE, 17 (Part 1) : 349-365, 1994 年に記載されているようにして結果を監視
することができる。
【0099】 また、zsig39ポリペプチドは、交感神経系または副交感神経系に関連する組織
におけるこのポリペプチドの発現で示されているように、神経伝達物質または神
経伝達のモジュレーターとして使用できる。この点について、zsig39ポリペプチ
ドは、例えば、脳などにおける2−デオキシグルコースの摂取などによって示さ
れているように、栄養摂取を調節するのに利用できる。
【0100】 神経伝達の機能は、とりわけ、当該技術分野で知られているかまたは本明細書
に記載の方法で、脳における2−デオキシ−グルコースの摂取を監視することに
よって評価することができる。このパラメーターは、当業技術者に知られている
方法(検定法または動物モデル)、例えばオートラジオグラフィーで監視される
。有用な監視方法は、例えば、Kilduff ら、J. Neurosci., 10巻 2463-2475頁19
90年に記載されており、関連する方法として、Gerberら、Circulation, 94 (4)
巻 651-658頁1996年およびFallavollitaら、Circulation, 95 (7) 巻 1900-1909
頁1997年に記載されているような“冬眠心臓”を評価するのに使用する方法があ
る。
【0101】 さらに、zsig39ポリペプチド、そのフラグメント、融合体、アゴニスト又はア
ンタゴニストは、抗微生物の用途または神経伝達物質で調節される用途に、治療
上、有用である。例えば、補体成分Clq は、感染因子、例えば細菌やウイルスな
どに対して宿主を防御する役割を演じている。Clq は、いくつもの特殊な機能を
示すことが知られている。例えば、Clq は、結合した抗体またはC反応性タンパ
ク質(CRP) と相互に作用して、補体カスケードをトリガーする。また、Clq は特
定の細菌、RNA ウイルス、マイコプラズマ、尿酸の結晶、細菌内毒素の脂質A成
分および特定の細胞内小器官の膜と直接、相互作用を行う。Clq 受容体に結合す
るClq は食作用を促進すると考えられている。またClq は、宿主防御系が抗体を
形成するのを促進するようである(例えば、Johnston, Pediatr. Infect. Dis.
J., 12 (11) 巻 933-941頁1993年参照)。したがって、可溶性のClq 様分子は、
抗微生物剤として有用であり、感染因子の溶解と食作用を促進する。
【0102】 また、本発明のzsig39ポリペプチドは、神経伝達を調節すると考えられる部分
に相同性を示す。図1に示すように、zsig39ポリペプチドは、以下のタンパク質
と相同である。すなわち、HP25 TAMAS(配列番号:5)(Takamatsu ら、Mol. C
ell. Biol., 13巻 1516-1521頁1993年およびKondo & Kondo, J. Biol. Chem., 2
67巻 473-478頁1992年);HP27 TAMAS(配列番号:6)(さきに引用したTakama
tsu らとKondo & Kondo の報告)およびCERL RAT(配列番号:7)(Wada & Oht
ani, Brain Res. Mol. Brain Res., 9巻 71-77頁1991年)と相同である。
【0103】 HP25とHP27は、冬眠性シベリアウッドチャックの活性(夏期)血清中に見られ
るポリペプチドである。CERLはラットの小脳中に存在している。したがって、zs
ig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストは
、例えば、神経伝達物質または神経伝達のための受容体に結合することによって
、神経伝達を調節するのに有用である。
【0104】 放射線ハイブリッドマッピング(radiation hybrid mapping) は、哺乳類染色
体の高分離度の連続マップをつくるために開発された体細胞遺伝学的方法である
(Cox ら、Science, 250巻 245-250頁1990年)。遺伝子配列の一部または全体を
知っていることによって、染色体の放射線ハイブリッドマッピングパネルで使用
するのに適したPCR プライマーを設計できる。全ヒトゲノムをカバーする市販の
放射線ハイブリッドマッピングパネル、例えばthe Stanford G3 RH Panelおよび
the Gene Bridge 4 RH Panel (Research Genetics, Inc. 米国アラバマ州ハンツ
ビル)を利用できる。
【0105】 迅速なPCR に基づいた染色体の位置決定(localization) 、ならびに、遺伝子
、配列標識部位(STS) および注目されている領域内の非多型マーカーと多型マー
カーのオーダリング(ordering) を行うことができる。これには、新しく発見さ
れた注目されている遺伝子とすでにマッピングされたマーカーとの間の比例する
物理的距離の確認が含まれている。遺伝子の位置の性格な知識は、以下のいくつ
もの方法すなわち1)配列が既存のコンティグの一部であるかどうかを確認して
、YAC, BACまたはcDNAのクローンなどの各種形態の追加のまわりの遺伝子配列を
得る方法;2)同じ染色体領域に関連を示す遺伝性疾患に対して可能性がある候
補遺伝子を提供する方法;および3)特定の遺伝子がどんな機能をもっているか
を確認するのに有利に役立つマウスなどの相互参照用モデル生物を得る方法で有
用である。
【0106】 その結果、zsig39ポリペプチドをコードする遺伝子は、WICGR 放射線ハイブリ
ッドマップ上のヒト染色体11の関連群のトップから549.99cR 3000 に位置してい
ることが分かった。近位および遠位の枠組み構造マーカーは、それぞれ、AFMB04
82A9とFB17D4であった。まわりのマーカーを使用して、組込みLDB (integrated
LDB)染色体11マップ上の11q23.3 領域に、zsig39遺伝子の位置を決定する(The
Genetic Location Database 、サザンプトン大学、www server:http://cedar.ge
netics.soton.ac.uk/public html/)。
【0107】 また、本発明は、診断用途に利用される薬剤を提供するものである。例えば、
zsig39遺伝子、zsig39のDNA もしくはRNA を含有するプローブ、またはそのサブ
シーケンス(subsequemce) は、zsig39の遺伝子が染色体11に存在しているかどう
か、または突然変異が起こっているのかどうかを確認するのに使用できる。zsig
39遺伝子配座における検出可能な染色体異常としては、限定されないが、非正倍
数性、遺伝子コピー数の変化、挿入、欠失、制限部位の変化および再配列がある
【0108】 一般に、これらの診断方法は、以下のステップ、すなわち(a)患者から遺伝
子試料を入手し;(b)その遺伝子試料を、先に開示したポリヌクレオチドのプ
ローブまたはプライマーとともに、そのポリヌクレオチドが相補的ポリヌクレオ
チド配列とハイブリッドを形成する条件下でインキュベートして、第一反応産物
を産生させ;次いで(c)その第一反応産物を対照の反応産物と比較するステッ
プで構成されている。第一反応産物と対照の反応産物に差があることは、患者に
遺伝子異常があることを示す。本発明内で使用する遺伝子試料としてはゲノムDN
A, cDNA およびRNA がある。
【0109】 ポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーは、RNA またはDNA であればよ
く、そして配列番号:1の一部、配列番号:1の相補体またはそのRNA 相当物で
構成されている。これに関する適切な検定法としては、当業技術者に知られてい
る分子遺伝学的方法、例えば、制限フラグメント長多型(RFLP)分析法、PCR 法
を利用するショートタンデムリピート(short tandem repeat) (STR)分析法、連
結連鎖反応(ligation chain reaction) (Barany, PCR Methods and Applicatio
ns, 1 巻5-16頁1991年)、リポヌクレアーゼプロテクション検定法、および当該
技術分野で公知の他の遺伝子関連分析法(Sambrook S. ibid. ; Ausubel ら、ib
id. ; Marian, Chest, 108巻 255-265頁1995年)がある。
【0110】 リポヌクレアーゼプロテクション検定法(例えばAusubel ら、ibid. の4章参
照)は、RNA プローブを、患者のRNA 試料とハイブリッドを形成させた後、その
反応生成物(RNA-RNA ハイブリッド)をRNアーゼに暴露することを含んでなる方
法である。上記RNA のハイブリッドを形成した領域は、消化されないように保護
される。PCR 検定法では、患者の遺伝子試料が一対のポリヌクレオチドプライマ
ーとともにインキュベートされ、次に、両プライマーの間の領域が増幅されて回
収される。回収された産物の大きさまたは量が変化していることは、患者に突然
変異があったことを示している。利用できる他のPCR ベースの方法は、一本鎖高
次構造多型(SSCP)分析法(Hayashi, PCR Methods and Applications, 1巻 34-
38頁1991年)である。
【0111】 zsig39ポリペプチドは、哺乳類のエネルギー効率を分析するのに使用できる。
血清または組織の試料中にzsig39ポリペプチドが見られるということは、哺乳類
が食物を貯蔵することができ、より高度に効率的な哺乳類は肥満になる傾向があ
ることを示している。より具体的に述べると、本発明は、zsig39ポリペプチドの
以下の検出方法を目的とするものである。
【0112】 すなわち zsig39ポリペプチドを含有している可能性のある試料を、固体支持体に結合さ
せた、zsig39ポリペプチドのエピソープに結合する抗体に暴露し; 前記固定化された抗体−ポリペプチドを洗浄して未結合の混入物を除き; 前記固定化された抗体−ポリペプチドを、検出可能な標識が結合している、zs
ig39ポリペプチドの第二エピソープに対する第二抗体に暴露し;次いで 前記検出可能な標識を検出する; ことを含んでなるzsig39ポリペプチドの検出方法である。試験試料中のzsig39ポ
リペプチドの濃度は、哺乳類のエネルギー効率を示しているようである。この情
報は、哺乳類の栄養分析の助けになる。この情報は、エネルギー欠乏組織を確認
しおよび/または標的とするのに有用になる可能性がある。
【0113】 以下に、一層詳細に述べるように、zsig39を受容するマウスは血清中の遊離脂
肪酸のレベルが低下しかつ骨脂が増大していることが見出された。脂肪酸はトリ
グリセリド中に組み入れられ、脂肪として貯蔵される。その貯蔵された脂肪は、
身体を断熱して熱を損失しないようにし、かつ内部の器官を保護する作用をする
。また、脂肪は、貯蔵エネルギーの貯蔵場所としての働きをする。脂肪酸は、エ
ネルギー代謝に使用するため、ホルモン調節性リパーゼ(hormone-regulated li
pase) によって、トリグリセリドから放出される。遊離脂肪酸のレベルが低下す
ることは、zsig39が、遊離脂肪酸の摂取と代謝に対して効果があることを示唆し
ている。
【0114】 zsig39には、例えば、ホルモン性リパーゼ類の作用を阻害することによって、
脂肪酸が貯蔵脂肪から放出するのを阻害する作用がある。また、zsig39には、脂
肪酸の摂取、代謝および貯蔵を促進する働きもある。zsig39は、独立してまたは
インスリンなどの他の分子と協動して作用し、脂肪分解を阻害し、脂肪酸の摂取
および/または代謝を促進する。したがって、zsig39はエネルギー代謝を調節す
るのにきっと有用であろう。したがって、本発明は、医薬として有効な投与量の
zsig39ポリペプチドを個体に投与することによって、このような治療を必要とす
る個体の遊離脂肪酸の代謝を調節する方法を提供するものである。
【0115】 zsig39ポリペプチドの“医薬として有効な量”は、所望の生物学的結果を誘発
するのに十分な量である。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の改善、ま
たは生物学的系の他の望ましい変化である。例えば、zsig39ポリペプチド、アゴ
ニストまたはアンタゴニストの有効量は、症状の自覚的軽減または臨床医もしく
は他の資格のある観察者が認める客観的に確認可能な改善をもたらす量である。
特に、zsig39ポリペプチドのこのような有効量によって、遊離脂肪酸の血清中レ
ベルが減少するなどの有利な効果がもたらされる。
【0116】 zsig39ポリペプチドの有効量は、治療すべき疾患または症状に応じて広く変え
ることができる。該ポリペプチドの投与すべき量およびその配合物中の濃度は、
選択される賦形剤、投与経路、特定のポリペプチドの効力、患者の臨床症状、配
合物中の化合物の副作用と安定性によって決まる。したがって、臨床医は、問題
の患者または類似の患者による臨床実験に応じて、配合物中に適当な濃度のポリ
ペプチドを含有する適当な製剤と、投与される配合物の量とを採用する。かよう
な量は、一部、患者の治療すべき特定の症状、年齢、体重および一般健康状態な
らびに当業技術者には分かっている他の因子によって決まる。
【0117】 本発明の追加の側面で、前zsig39ポリペプチドに特異的に結合する抗体または
合成の結合タンパク質〔例えば、ファージディスプレイ(phage display)によっ
て製造されるタンパク質、イー・コリ(E.coli) Fab など〕が提供される。かよ
うな抗体は、とりわけ、本明細書に記載の用途、すなわち抗イディオタイプ抗体
を調製する用途に有用である。合成の結合タンパク質は、市販のキット、例えば
Ph. D (登録商標)Phage Display Peptide Library Kit (米国マサチューセッ
ツ州ビバリー所在のNew England Biolabs, Inc. から入手できる)などを用いて
ファージディスプレイで製造できる。ファージディスプレイ法は、例えば米国特
許第 5,223,409号、同第 5,403,484号および同第 5,571,698号に記載されている
【0118】 本発明の追加の側面で、前記zsig39ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴ
ニストを確認する方法が提供される。なおこのアゴニストまたはアンタゴニスト
は、本明細書でさらに考察するように価値のある特性をもっている。本発明の一
実施態様で、zsig39ポリペプチドのアゴニストを確認する方法が提供される。す
なわち、zsig39ポリペプチドに対し応答性の細胞を準備し、その細胞を試験化合
物の存在下で培養して、その細胞の応答を、zsig39ポリペプチドの存在下で培養
した細胞と比較し、次いでその細胞応答が同じタイプである試験化合物を選択す
ることを含んでなる、zsig39ポリペプチドのアゴニストを確認する方法が提供さ
れる。
【0119】 別の実施態様で、zsig39ポリペプチドのアゴニストを確認する方法が提供され
る。すなわち、zsig39ポリペプチドに対し応答性の細胞を準備し、その細胞の第
一部分をzsig39ポリペプチドの存在下で培養し、その細胞の第二部分をzsig39ポ
リペプチドと試験化合物の存在下で培養し、次いで前記細胞の第二部分の細胞応
答の、前記細胞の第一部分に対する減少率を検出することを含んでなるzsig39ポ
リペプチドのアンタゴニストを確認する方法が提供される。
【0120】 本明細書に開示されているこれらの検定法に加えて、試料は、受容体結合性ま
たはzsig39依存性細胞応答の刺激/阻害を測定するように設計された各種検定法
で、zsig39の活性の阻害について試験できる。例えば、zsig39応答性細胞系は、
zsig39で刺激される細胞経路に対し応答性のレポーター遺伝子構造体でトランス
フェクトすることができる。この種のレポーター遺伝子構造体は当該技術分野で
公知であり、そして一般に、ルシフェラーゼなどの検出可能なタンパク質をコー
ドする遺伝子に作用可能に連結されたzsig39 DNA応答配列を含有している。
【0121】 DNA 応答配列としては、限定されないが、サイクリックAMP 応答配列(CRE) 、
ホルモン応答配列(HRE) 、インスリン応答配列 (IRE)(Nasrinら、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 87巻 5273-5277頁1990年)および血清応答配列 (SRE) (Shawら
、Cell, 56巻 563-572頁1989年)がある。サイクリックAMP 応答配列についての
総説は、Roestlerら、J. Biol. Chem., 263 (19)巻 9063-9066頁1988年およびHa
bener, Molec. Endocrinol., 4 (8)巻、1087-1094 頁1990年に記載されている。
【0122】 ホルモン応答配列の総説はBeato, Cell, 56 巻 335-344頁1989年に記載されて
いる。候補の化合物、溶液、混合物または抽出物は、標的細胞に対するzsig39の
活性を阻害する性能について試験され、この性能は、レポーター遺伝子の発現の
zsig39による刺激の低下によって証明される。この種の検定法は、zsig39が細胞
表面受容体に結合するのを、直接、遮断する化合物、および受容体−リガンドの
結合の後の細胞経路のプロセスを遮断する化合物を検出する。
【0123】 あるいは、化合物などの試料は、zsig39が受容体に結合するのを、直接、遮断
する性能について、検出可能な標識(例えば 125I、ビオチン、西洋ワサビペル
オキシダーゼ、FITCなど)で標識したzsig39を使って試験することができる。こ
の種の検定法の範囲内で、試験試料が、標識されたzsig39が受容体に結合するの
を阻害できるということは、阻害活性を示しており、この阻害活性は二次検定法
で確認できる。結合検定法で使用される受容体は、細胞受容体、または単離され
て固定化された受容体でもよい。
【0124】 本発明の別の側面で、インスリンを試験する方法が提供される。本発明のこの
方法は、zsig39ポリペプチド、モノクローナル抗体、該ポリペプチドのアゴニス
トもしくはアンタゴニストを含有し、かつインスリンを含有しているかまたは含
有していない培養培地内で脂肪細胞をインキュベートし、次いで脂肪細胞タンパ
ク質の分泌または分化の変化を観察することを含んでなる方法である。
【0125】 抗微生物保護剤は、直接にまたは間接的に作用することができる。膜に結合す
る機序または細孔を生成する機序の作用で作動するかような薬剤は、有害微生物
に直接、結合する。また、抗微生物剤は、酵素機序を通じて作用して、微生物を
保護する物質すなわちその細胞壁/細胞膜を分解する。上記機序のいずれかによ
って、微生物の増殖または作用を阻害できるかまたは微生物の統合性を破壊する
ことができる抗微生物剤は、その抗微生物活性に対して感受性の微生物による細
胞培養物の汚染を防止するのに有用である。このような方法では、細胞を、有効
量の前記zsig39ポリペプチドまたはそのアゴニストまたはアンタゴニストの存在
下で培養する。
【0126】 また、zsig39ポリペプチドまたはそのアゴニストは、外因性微生物の感染、例
えば細菌、ウイルスまたは真菌の感染を生体外で試験する際の細胞培養剤として
使用できる。また、かような物質は、感染の生体内動物モデルにも使用できる。 また、本発明は、哺乳類の細胞代謝を試験する方法も提供するものである。本
発明のこの方法は、被検細胞、例えばヒトの血管内皮細胞を、zsig39ポリペプチ
ド、該ポリペプチドのモノクローナル抗体、アゴニストもしくはアンタゴニスト
のありなしでインキュベートして、脂肪生成、糖新生、糖原分解、脂質生成、グ
ルコース摂取などの変化を観察することを含んでなる方法である。
【0127】 本発明の追加の側面で、二量体化またはオリゴマー化の試験方法が提供される
。本発明のこのような方法は、コラーゲン様ドメインだけを含有しているかまた
はコラーゲン様ドメインを有する他のポリペプチドと組み合わせた、zsig39ポリ
ペプチドまたはそのフラグメントもしくは融合タンパク質をインキュベートし、
次にコラーゲン様ドメイン間に形成された関連を観察することを含んでなる方法
である。したがって、ホモマーとヘテロマーの構造体の両者をこの方法で試験で
きる。このような関連は、HPLC、円二色性などによって表示される。
【0128】 先に述べたように、本発明の単離されたポリヌクレオチドとしてはDNA とRNA
がある。DNA およびRNA の単離方法は、当該技術分野で公知である。RNA は、脳
腫瘍、心臓、胎盤、脂肪組織などから単離することが一般に好ましいが、DNA は
、他の組織由来のRNA を用いて調製するか、またはゲノムDNA として単離するこ
とができる。全RNA は、塩酸グアニジン抽出法を使用し、次にCsCl勾配液で遠心
分離することによって単離して調製することができる(Chirgwinら、Biochemist
ry, 18巻 52-94頁1979年)。ポリ(A)+ RNA は、AvivとLeder の方法(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 69巻 1408-1412頁1972年)を使用して全RNA から製造さ
れる。相補的 DNA(cDNA) は、公知の方法を使用してポリ(A)+ RNA から製造
される。次に、zsig39ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを確認し、次
いで例えばハイブリッド形成法またはPCR 法によって単離される。
【0129】 さらに、本発明は、他の種由来の対応物のポリペプチド類およびポリヌクレオ
チド類(オーソログ類)を提供するものである。これらの種としては、限定され
ないが、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、昆虫類およびその外の脊椎動物
と非脊椎動物の種がある。特に注目されるのは、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ
、ウシ、イヌ、ネコ、ウマおよび他の霊長類のタンパク質を含む、他の哺乳類の
種由来のzsig39ポリペプチドである。
【0130】 上記ヒトタンパク質のオーソログは、従来のクローン化技術を組み合わせて、
本発明が提供する情報と組成物を使用してクローン化することができる。例えば
、cDNAは、該タンパク質を発現する組織または細胞型から得たmRNAを用いてクロ
ーン化できる。適切なmRNA源は、本明細書に開示された配列から設計されたプロ
ーブで、ノーザンブロットをプローブすることによって確認することができる。
次に、ライブラリーを、細胞系の陽性の組織のmRNAからつくる。
【0131】 次に、zsig39ポリペプチドをコードするcDNAを、各種の方法、例えば、完全な
または部分的なヒトcDNAでまたは開示された配列は基づいた一組以上の縮重プロ
ーブでプローブすることによって単離することができる。また、cDNAは、本明細
書に開示された配列から設計されたプライマーを使用し、ポリメラーゼ連鎖反応
すなわちPCR (Mullis の米国特許第 4,683,202号)を利用してクローン化するこ
ともできる。追加の方法で、上記cDNAライブラリーを使用して宿主細胞を形質転
換またはトランスフェクトすることができるので、注目されているcDNAの発現は
、zsig39ポリペプチドに対する抗体で検出できる。類似の方法も、ゲノムクロー
ンを単離するのに適用できる。
【0132】 配列番号:1および配列番号:2に開示されている配列は、ヒトzsig39 DNAの
単一の対立遺伝子とタンパク質を表し、そして対立遺伝子の変異と選択的スプラ
イシングが起こると予想されることは、当業技術者には分かる。この配列の対立
遺伝子の変異体は、標準の手順にしたがって、異なる個体からのcDNAまたはゲノ
ムライブラリーをプローブすることによってクローン化することができる。配列
番号:1に示すDNA 配列の対立遺伝子変異体は、沈黙突然変異を含むものおよび
突然変異がアミノ酸配列の変化をもたらしているものを含めて、配列番号:2の
対立変異体であるタンパク質と同様に、本発明の範囲内にある。
【0133】 選択的にスプライスされたmRNAからつくられたcDNAは、zsig39ポリペプチドの
特性を保持しているが、かようなcDNAとmRNAがコードするポリペプチドと同様に
、本発明の範囲内に含まれている。これらの配列の対立遺伝子変異体とスプライ
ス変異体は、当該技術分野で公知の標準の手順にしたがって、異なる個体または
組織由来のcDNAまたはゲノムライブラリーをプローブすることによってクローン
化することができる。
【0134】 また、本発明は、配列番号:2のポリペプチドおよびそれらの種のオーソログ
に実質的に相同の単離されたzsig39ポリペプチドを提供するものである。用語“
実質的に相同の”は、本明細書で使用する場合、配列番号:2に示す配列または
それらのオーソログに、配列が、50%、好ましくは60%、より好ましくは少
なくとも80%同一であることを意味する。かようなポリペプチドは、配列番号
:2またはそのオーソログと、好ましくは少なくとも90%同一であり、最も好
ましくは95%以上同一である。
【0135】 配列同一性の百分率は通常の方法で求められる(例えば、Altschulら、Bull.
Math. Bio., 48巻 603-616頁1986年およびHenikoffとHenikoff, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA, 89巻 10915-10919頁1992年参照)。簡単に述べると、表3(アミ
ノ酸は標準の一文字コードで示してある)に示すように、二つのアミノ酸配列を
並べて、ギャップオープニングペナルティー(gap opening penalty) 10 、ギャ
ップエキステンションペナルティー(gap extension penalty)1、およびHeniko
ffとHenikoff (ibid.)の“ブロサム62”(“blosum62”)スコアリングマトリ
ックスを使って、アラインメントスコア(alignment score)が最適化される。次
に同一性の百分率を下記式で算出する。
【0136】
【数1】
【0137】
【表3】
【0138】 ポリヌクレオチド分子の配列同一性は、先に開示したのと類似の、比率を用い
る方法で求められる。 実質的に相同のタンパク質とポリペプチドは、一つ以上のアミノ酸の置換、欠
失または付加があることを特徴としている。
【0139】 これらの変化は好ましくは重要でない性質の変化であり、すなわち保存アミノ
酸の置換(表4参照)などの、タンパク質またはポリペプチドの折りたたみまた
は活性に対して有意には影響しない置換;一般に1〜約30個のアミノ酸の小さ
な欠失;ならびに小さなアミノ末端もしくはカルボキシル末端の伸長、例えばア
ミノ末端のメチオニン残基、約20〜25個までの残基の小さいリンカーペプチ
ドまたは精製を容易にする小さな伸長(extension) すなわちアフィニティータグ
などである。アフィニティータグを有するポリペプチドは、zsig39ポリペプチド
とアフィニティータグとの間に、さらに、タンパク質分解開裂部位をもっていて
もよい。好ましいこのような部位としては、トロンビン開裂部位とXa因子開裂
部位がある。
【0140】
【表4】
【0141】 また、本発明のタンパク質類は天然には存在しないアミノ酸残基を含有してい
てもよい。天然には存在しないアミノ酸としては、限定されないが、 trans−3
−メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、 cis−4−ヒドロキシ−プロリン
、 trans−4−ヒドロキシプロリン、N−メチル−グリシン、allo−トレオニン
、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシス
テイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカル
ボン酸、デヒドロプロリン、3−および4−メチルプロリン、3,3−ジメチル
プロリン、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザ
フェニルアラニン、4−アザフェニルアラニンおよび4−フルオロ−フェニルア
ラニンがある。
【0142】 天然には存在しないアミノ酸残基を、タンパク質に組み入れるいくつもの方法
が、当該技術分野で公知である。例えば、ナンセンス変異が、化学的にアミノア
シル化されたサプレッサーtRNAを用いて抑圧される生体外の系を用いることがで
きる。アミノ酸を合成しtRNAをアミノアシル化する方法は当該技術分野で公知で
ある。ナンセンス変異を有するプラスミドの転写と翻訳は、イー・コリS30 の抽
出物および市販の酵素などの因子を含有する細胞なしの系で実施される。タンパ
ク質はクロマトグラフィーで精製される(例えば、Robertson ら、J. Am. Chem.
Soc., 113巻2722頁1991年;Ellmanら、Methods Enzymol., 202 巻 301頁、1991
年;Chung ら、Science, 259巻 806-809頁1993年;およびChung ら、Proc. Natl
. Acad. Sci. USA, 90巻 10145-10149頁1993年参照)。
【0143】 第二の方法では、翻訳が変異させたmRNAおよび化学的にアミノアシル化させた
サプレッサーtRNAを顕微注射することによって、キセノプス・オーシーテス(Xe
nopus pocytes)内で実施される(Turcattiら、J. Biol. Chem., 271 巻, 19991-
19998 頁1996年)。第三の方法では、置換すべき天然のアミノ酸(例えばフェニ
ルアラニン)が存在せず、所望の天然に存在しない単一もしくは複数のアミノ酸
(例えば、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフ
ェニルアラニンまたは4−フルオロフェニルアラニン)の存在下で、イー・コリ
細胞が培養される。
【0144】 天然に存在しないアミノ酸が、その天然に存在する対応物の代わりに、タンパ
ク質中に組み入れられる(Koide ら、Biochem., 33巻 7470-7476頁1994年参照)
。天然に存在するアミノ酸残基は、生体外での化学的修飾法で、天然に存在しな
い種に変換できる。化学的修飾法は、部位特異的突然変異誘発を組み合わせて、
置換の範囲を一層拡大できる(WynnとRichards, Protein Sci. 2巻 395-403頁19
93年)。 限定された数の、非保存アミノ酸、遺伝暗号でコードされていないアミノ酸、
天然に存在しないアミノ酸、および異常なアミノ酸で、zsig39のアミノ酸残基を
置換できる。
【0145】 本発明のポリペプチド類の必須アミノ酸は、当該技術分野で公知の方法、例え
ば、部位特異的突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発などで確認できる
(CunninghamとWells, Science, 244 巻 1081-1085頁1989年;Bassら、Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 88巻 4498-4502頁1991年)。上記の後者の方法では、単一
のアラニン変異が、分子中の残基ごとに導入され、得られた突然変異分子を、以
下に開示するようにして、生物活性(例えばエネルギー均衡を調節する性能)に
ついて試験して、その分子の活性に対して不可欠のアミノ酸残基を確認する(Hi
ltonら、J. Biol. Chem., 271 巻 4699-4708頁1996年参照)。
【0146】 また、リガンド−受容体の相互作用などの生物学的相互作用の部位は、構造の
物理的分析によって確認され、例えば推定接触部位のアミノ酸の突然変異と組み
合わせて、核磁気共鳴、結晶解析、電子回析、または光アフィニティーラベリン
グなどの方法で確認できる(例えば、de Vosら、Science, 255巻 306-312頁1992
年;Smith ら、J. Mol. Biol., 224巻 899-904頁1992年;Wlodaverら、FEBS Let
t., 309 巻 59-64頁1992年参照)。また、必須アミノ酸のアイデンティティーも
、類縁ポリペプチドとの相同性を分析することによって推測できる。
【0147】 複数のアミノ酸の置換を行い、次に、その置換は、突然変異誘発やスクリーニ
ングの公知の方法、例えばReidhaar-OlsonとSauer, Science, 241 巻 53-57頁19
88年またはBowie とSauer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86 巻 2152-2156頁19
89年に開示されている方法を用いて試験することができる。簡単に述べると、こ
れらの筆者は、ポリペプチド内の二つ以上の位置を同時に無作為に選び、機能的
ポリペプチドを選択し、次にその突然変異誘発が行われたポリペプチドの配列を
決定して、各位置において許容可能な置換のスペクトルを決定する方法を開示し
ている。利用できる他の方法としては、ファージディスプレイ法(例えば、Lowm
anら、Biochem., 30巻 10832-10837頁1991年;Ladnerらの米国特許第 5,223,409
号;Huseの国際特許願公開第WO92/06204号)および領域特異的突然変異誘発法(
Derbyshireら、Gene, 46巻 145頁1986年;Ner ら、DNA, 7巻 127頁1988年)があ
る。
【0148】 開示されたzsig39のDNA とポリペプチドの配列の変異体は、Stemmer, Nature,
370巻 389-391頁1994年;Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91 巻 10747
-10751頁1994年および国際特許願公開第WO97/20078号に開示されているDNA シャ
ッフリング(DNA Shuffling)によってつくることができる。要約すると、変異体
のDNA は、親DNA のランダムフラグメンテーション(random fragmentation) に
よって生体外相同的組換えを行い、続いてPCR を使って再構成を行ってランダム
に点変異をもたらすことによってつくられる。
【0149】 この方法は、対立遺伝子の変異体などの親DNA のファミリーまたは異なる種由
来のDNA を用いて改変して、そのプロセスに追加の変化を導入することができる
。所望の活性の選択またはスクリーニングを行い続いて突然変異誘発と検定を追
加して行って、望ましい突然変異を選択し、同時に有害な変化を選択しないこと
によって、配列の迅速な“進化”(“cvolution ”)を行う。
【0150】 上記突然変異誘発法は、高処理量の自動化スクリーニング法と組み合わせて、
宿主細胞内でクローン化された突然変異誘発ポリペプチドの活性を検出できる。
活性ポリペプチド(例えばエネルギー均衡を調節する性能)をコードする、突然
変異誘発がなされたDNA 分子は、宿主細胞から回収し、最新の装置で迅速に配列
を決定できる。これらの方法は、注目されているポリペプチドの個々のアミノ酸
残基の重要性を迅速に確認して、構造が未知のポリペプチドに適用できる。
【0151】 上記方法を用いて、当業技術者は、配列番号:2の残基19〜243 と実質的に
相同の各種のポリペプチドまたはその対立遺伝子変異体を確認および/または製
造して、エネルギー均衡の調節などの野生型タンパク質の特性を保持することが
できる。かようなポリペプチドは、Gly-Xaa-Pro またはGly-Xaa-Xaa タイプの追
加のコラーゲンリピートのような追加のアミノ酸を含有していてもよい。また、
かようなポリペプチドは、先に一般的に述べたような追加のポリペプチドセグメ
ントを含有していてもよい。
【0152】 本発明のポリペプチドは、全長のタンパク質、そのフラグメントおよび融合タ
ンパク質を含めて、通常の方法にしたがって、遺伝子工学的に加工した宿主細胞
内で製造することができる。適切な宿主細胞は、外因性DNA で形質転換もしくは
トランスフェクトし次いで培養して増殖させることができる細胞型であり、細菌
、真菌細胞および培養された高等真核細胞がある。真核細胞、特に、多細胞生物
の培養細胞が好ましい。
【0153】 クローン化DNA 分子を操作して、外因性DNA を各種の宿主細胞に導入する方法
は、Sambrookら、Molecular Cloning : A Laboratory Manual 第2版、1989年、
Cold Spring Harbor Laboratory Press 、米国ニューヨーク州コールドスプリン
グハーバー、およびAusubel ら編Current Protocols in Molecular Biology, 19
87年、John Wiley and Sons, Inc. 米国ニューヨークに開示されている。
【0154】 一般に、本発明のzsig39ポリペプチドをコードするDNA 配列は、その発現を行
うのに必要な他の遺伝子配列(一般、発現ベクター内の転写プロモーターと転写
ターミネーターを含む)に作用可能に連結されている。また、そのベクターは、
通常、一つ以上の選択マーカーと一つ以上の複製起点を含有しているが、当業技
術者には、特定の系内で、選択マーカーは別のベクターに設けることができ、か
つ外因性DNA の複製は、宿主細胞ゲノムへの組込みによって行えることが分かる
。プロモーター、ターミネーター、選択マーカー、ベクターなどの要素の選択は
、当該技術分野の通常の技倆のレベルの範囲内にある日常的な設計の問題である
。多くのかような要素は、文献に記載されており、そして商業的供給業者を通じ
て入手できる。
【0155】 zsig39ポリペプチドを、宿主細胞の分泌経路中に導くため、分泌シグナル配列
(リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としても知られている)を、発現
ベクター中に設ける。この分泌シグナル配列は、zsig39ポリペプチドの分泌シグ
ナル配列でもよく、または他の分泌されるタンパク質(例えばt-PA)由来のもの
でもよく、または新たに合成してもよい。
【0156】 この分泌シグナル配列は、zsig39ポリペプチドDNA 配列に、その正しい読み枠
内に連結され、新しく合成されたポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に導くよう
に配置される。分泌シグナル配列は、通常、注目されているポリペプチドをコー
ドするDNA 配列に対し5’側に配置されるが、特定のシグナル配列は、注目され
ているDNA 配列中の別の位置に配置されることがある(例えば、Welch らの米国
特許第 5,037,743号;Holland らの米国特許第 5,143,830号参照)。
【0157】 あるいは、本発明のポリペプチドが含有している分泌シグナル配列を用いて、
他のポリペプチドを分泌経路に導くことができる。本発明はかような融合ポリペ
プチドを提供するものである。シグナル融合ポリペプチドは、配列番号:2のア
ミノ酸残基1〜15または1〜19由来の分泌シグナル配列を、当該技術分野で
知られかつ本明細書に開示された方法を用いて他のポリペプチドに作用可能に連
結することによって製造できる。
【0158】 本発明の融合ポリペプチドに含有されている分泌シグナル配列は、追加のペプ
チドを分泌経路に導くために、追加のペプチドのアミノ末端に融合させることが
好ましい。このような構造体は、当該技術分野で知られている多くの用途がある
。例えば、これらの新規な分泌シグナル配列の融合構造体は、通常は分泌される
タンパク質、例えば受容体の活性成分を分泌させることができる。かような融合
体は、生体内または生体外で使用して、ペプチド類を分泌経路を通じて導くこと
ができる。
【0159】 培養された哺乳類の細胞も、本発明に含まれる適切な宿主である。外因性DNA
を哺乳類の宿主細胞に導入する方法としては、リン酸カルシウムによるトランス
フェクション(Wiglerら、Cell, 14巻 725頁1978年;Corsaro とPearson, Somat
ic Cell Genetics, 7 巻 603頁1981年;GrahamとVander Eb, Virology, 52 巻 4
56頁1973年)、エレクトロポレーション(Neumann ら、EMBO J., 1巻 841-845頁
1982年)、DEAE−デキストランによるトランスフェクション(Ausubel ら編、Cu
rrent Protocols in Molecular Biology, 1987年、John Wiley and Sons, Inc.,
米国ニューヨーク)、リポソームによるトランスフェクション(Hawley-Nelson
ら、Focus, 15 巻73頁1993年;Ciccarone ら、Focus, 15 巻80頁1993年)および
ウイルスベクター(MillerとRosman, BioTechniques, 7巻 980-990頁1989年;Wa
ngとFiner, Nature Med., 2 巻 714-716頁1996年)がある。
【0160】 哺乳類の培養細胞内での組換えポリペプチドの製造は、例えば、Levinsonらの
米国特許第 4,713,339号;Hagen らの米国特許第 4,784,950号、Palmiterらの米
国特許第 4,579,821号およびRingold の米国特許第 4,656,134号に開示されてい
る。好ましい哺乳類の培養細胞としては、COS-1 (ATCC No. CRL 1650), COS-7 (
ATCC No. CRL 1651), BHK 570 (ATCC No. CRL 10314), 293 (ATCC No. CRL 1573
; Graham ら、J. Gen. Virol., 36巻 59-72頁1977年)およびチャイニーズハム
スター卵巣(例えば、CHO-K1 ; ATCC No. CCL 61) の細胞系がある。
【0161】 追加の適切な細胞系が当該技術分野で知られており、例えば、米国メリランド
州ロックビルに所在のthe American Type Culture Collectionなどの公的な寄託
機関から入手できる。一般に、強力な転写プロモーター、例えばSV-40 またはサ
イトメガロウイルス由来のプロモーターが好ましい(例えば、米国特許第 4,956
,288号参照)。他の適切なプロモーターとしては、メタロチオネイン遺伝子由来
のプロモーター(米国特許第 4,579,821号および同第 4,601,978号)およびアデ
ノウイルスの主要後期プロモーター(adeno virus major late promoter)がある
【0162】 薬剤選択法が、外来DNA が挿入された哺乳類の細胞を選択するのに広く使われ
ている。かような細胞を通常“トランスフェクタント”と呼称している。選択剤
の存在下で培養されて、注目されている遺伝子を子孫に伝えることができる細胞
は、“安定なトランスフェクタントと呼称される。好ましい選択マーカーは、抗
生物質のネオマイシンに対する耐性をコードする遺伝子である。選択は、ネオマ
イシンタイプの薬剤、例えばG-418 などの存在下で実施する。選択系は、注目さ
れている遺伝子の発現レベルを増大するのにも使用することができ、そのプロセ
スは“増幅”と呼ばれている。増幅は、トランスフェクタントを、低レベルの選
択薬剤の存在下で培養し、次に選択薬剤の量を増やして、導入された遺伝子の産
物を高レベルで産生する細胞を選択することによって実施される。
【0163】 好ましい増幅可能な選択マーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼであり、これ
はメトトリキセートに対する耐性を付与する。他の薬剤耐性遺伝子(例えば、ハ
イグロマイシン耐性、多剤耐性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ
)も使用できる。変化した表現型を導入する別のマーカー、例えばグリーン蛍光
タンパク質、または細胞表面タンパク質類、例えばCD4 、CD8 、クラスIMHC、胎
盤アルカリ性ホスファターゼは、FACS選別法または磁気ビーズ分離法などの方法
で、トランスフェクトされた細胞をトランスフェクトされていない細胞から選別
するのに使用できる。
【0164】 植物細胞、昆虫細胞および鳥類の細胞を含む他の高等真核細胞も宿主として使
用できる。植物細胞内で遺伝子を発現するためのベクターとして、アグロバクテ
リウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes) を使用することは、Sinkarら
、J. Biosci. (Bangalore)、11巻 47-58頁1987年に総説が記載されている。昆虫
細胞の形質転換と、その細胞内での外来ポリペプチドの産生は、Guarino らの米
国特許第 5,162,222号および国際特許願公開第WO92/06463号に開示されている。
【0165】 昆虫細胞は、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica) の
核多角体病ウイルス(AcNPV) から通常、誘導される組換えバキュロウイルスに感
染させることができる(KingとPossee, The Baculovirus Expression Systems :
A Laboratory Guide 、英国ロンドン、Chapman & Hall ; O'Reilly ら、Baculo
virus Expression vectors : A Laboratory Manual、米国ニューヨーク、Oxford
University Press, 1994 年;およびRichardson, C.D.編、Baculovirus Expres
sion Protocols. Methods in Molecular Biology、米国ニュージャージー州トト
ワ、Humana Press, 1995年参照)。
【0166】 組換えzsig39バキュロウイルスの第二の製造方法では、Luckowら、J. Virol.,
67 巻 4566-4579頁1993年に記載されているトランスポゾンベースの系が使用さ
れる。この系は、輸送ベクターを利用するが、Bac-to-Bac (登録商標)キット(
米国メリーランド州ロックビル所在のLife Technologies)で販売されている。こ
の系は、Tn7 トランスポゾンを含有する輸送ベクターのpFastBac1(登録商標)
(Life Technologies) を利用して、zsig39ポリペプチドをコードするDNA を、“
bacmid”と呼ばれる大きなプラスミドとしてイー・コリ中に維持されているバキ
ュロウイルスゲノム中に移動させる(Hill-PerkinsとPossee, J. Gen. Virol.,
71巻 971-976頁1990年;Bonning ら、J. Gen. Virol., 75巻 1551-1556頁1994年
;およびChazenbalkとRapoport, J. Biol. Chem., 270 巻 1543-1549頁1995年参
照)。
【0167】 さらに、輸送ベクターは、発現されるzsig39ポリペプチドのC末端またはN末
端のエピトープタグ、例えばGlu-Glu エピトープタグをコードするDNA とのin-f
rame融合体を含有していてもよい(Grussenmeyerら、Proc. Natl. Acad. Sci.,
82巻 7952-7954頁1985年)。当該技術分野で公知の方法を用いて、zsig39を含有
する輸送ベクターでイー・コリを形質転換し、次いで組換えバキュロウイルスを
示す切断されたlacZ遺伝子を含有するbacmidについて選別する。組換えバキュロ
ウイルスゲノムを含有するbacmid DNAを通常の方法を用いて単離し、そのbacmid
DNAを用いて、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の細胞、
例えばSf9 細胞をトランスフェクトする。その結果、zsig39を発現する組換えウ
イルスが産生される。当該技術分野で通常使用されている方法によって組換ウイ
ルスのストックを製造する。
【0168】 上記組換えウイルスを使用して、宿主細胞、一般にヤトウガのスポドプテラ・
フルギペルダ由来の細胞系に感染させる(一般に、Glick とPasternak, Molecul
ar Biotechnology : Principles and Applications of Recombinant DNA, ASM P
ress、米国ワシントン D.C. 1994年参照)。他の適切な細胞系は、トリコプルシ
ア・ニー(Trichoplusia ni)由来のHigh FiveO(登録商標)細胞系(Invitrogen
) (米国特許第 5,300,435号)である。これらの細胞を増殖させ維持するのに、
市販の無血清培地を使用する。
【0169】 適切な培地は、Sf9 細胞用にはSf900 II(登録商標)(Life Technologies)ま
たはESF 921 (登録商標)(Expression Systems) であり、そしてティ・ニー細
胞用には、Ex-Cello 405(登録商標)(JRH Biosciences 、米国カンサス州レネ
クサ)またはExpress FiveO (登録商標)(Life Technologies)である。これら
の細胞は、組換えウイルスのストックを、感染多重度(MOI) 0.1〜10で、より
一般的には3近傍で添加すると、約2〜5×105 細胞の接種密度から1〜2×
106 細胞の密度まで増殖する。使用される方法は、入手できる実験室マニュア
ル(KingとPossee, ibid. ; O'Reillyら、ibid. ; Richardson, ibid.)に広く記
載されている。続いて行われる、上澄み液からのzsig39ポリペプチドの精製は、
本明細書に記載の方法を用いて達成することができる。
【0170】 酵母細胞を含めて真菌の細胞も、本発明で使用できる。この点について特に注
目される酵母の種としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cere
visiae) 、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)およびピキア・メタノリカ(
Pichia methanolica) がある。エス・セレビシエの細胞を外因性DNA で形質転換
し、その細胞から組換えポリペプチドを産生させる方法は、例えば、Kawasakiの
米国特許第 4,599,311号;Kawasakiらの米国特許第 4,931,373号;Brake の米国
特許第 4,870,008号;Welch らの米国特許第 5,037,743号およびMurrayらの米国
特許第 4,845,075号に開示されている。
【0171】 形質転換された細胞は、選択マーカーすなわち、通常は、薬剤耐性または特定
の栄養素(例えばロイシン)なしで増殖する性能によって確認される表現型によ
って選択される。サッカロミセス・セレビシエ内で使用するのに好ましいベクタ
ーは、Kawasakiらの米国特許第 4,931,373号に開示されているPOT1ベクター系で
ある。このベクター系によれば、形質転換された細胞を、グルコース含有培地内
で増殖させることによって選別することができる。
【0172】 酵母に使用するのに適切なプロモーターとターミネーターとしては、解糖酵素
の遺伝子(例えば、Kawasakiの米国特許第 4,599,311号;Kingsmanらの米国特許
第 4,615,974号およびBitterの米国特許第 4,977,092号参照)およびアルコール
デヒドロゲナーゼの遺伝子(米国第 4,990,446号;同第 5,063,154号;同第 5,1
39,936号および同第 4,661,454号参照)由来のものがある。
【0173】 他の酵母に用いる形質転換系としては、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenul
a polymorpha) 、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、
クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis) 、クルイベロマイセス
・フラギリス(Kluyveromyces fragilis) 、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago
maydis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pich
ia methanolica) 、ピキア・ギリエルモンディ(Pichia guilliermondii)および
カンジダ・マルトーサ(candida maltosa)があり、これらは当該技術分野で公知
である(例えば、Gleeson ら、J. Gen. Microbiol., 132 巻 3459-3465頁1986年
およびCregg の米国特許第 4,882,279号参照)。
【0174】 アスペルギルス(Aspergillus) 属の細胞は、McKnightらの米国特許第 4,935,3
49号の方法にしたがって利用できる。アクレモニウム・クリソゲナム(Acyemoni
um chrysogenum) を形質転換する方法は、Suminoらの米国特許第 5,162,228号に
開示されている。ノイロスポラ(Neurospora) 属の真菌を形質転換する方法は、
Lambowitz の米国特許第 4,486,533号に開示されている。
【0175】 組換えタンパク質を産生させるために宿主としてピキア・メタノリカを使うこ
とは、国際特許願公開第WO97/17450号、同第WO97/17451号、同第WO98/02536号お
よび同第WO98/02565号に開示されている。ピー・メタノリカを形質転換するのに
使用するDNA 分子は、通常、二本鎖の環状プラスミドとして調製され、このプラ
スミドは形質転換を行う前に線形にすることが好ましい。ピー・メタノリカ内で
ポリペプチドを産生させるには、プラスミド中のプロモーターとターミネーター
は、ピー・メタノリカのもの、例えばピー・メタノリカのアルコール利用遺伝子
(AUG1またはAUG2)などが好ましい。他の有用なプロモーターとしては、ジヒド
ロキシアセトンシンターゼ(DHAS)、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FMD) およびカタラ
ーゼ(CAT)の遺伝子のプロモーターがある。
【0176】 前記DNA を宿主染色体に組み込みやすくするために、プラスミドの全発現セグ
メントは、その両端が、宿主DNA の配列に隣接していることが好ましい。ピキア
・メタノリカに使用するのに好ましい選択マーカーは、ピー・メタノリカのADE2
遺伝子であり、この遺伝子はホスホリボシル5−アミノイミダゾールカルボキシ
ラーゼ(AIRC ; EC 4.1.1.21) をコードし、この酵素は、ade2宿主細胞をアデニ
ンなしで増殖させることができる。メタノールの使用量を最少限にすることが望
ましい大規模の工業工程の場合、メタノール利用遺伝子(AUG1とAUG2)の両方が
欠失している宿主細胞を使用する方が好ましい。
【0177】 分泌されるタンパク質を産生させるには、液胞型プロテアーゼの遺伝子(PEP4
とPRB1)を欠いている宿主細胞が好ましい。注目されているポリペプチドをコー
ドするDNA を含有するプラスミドを、ピー・メタノリカ細胞中に導入しやすくす
るためエレクトロポレーションが使用される。電界強度が 2.5〜4.5 kV/cm、好
ましくは約3.75kV/cmで、時定数(τ)が1〜40ミリ秒、最も好ましくは約2
0ミリ秒である指数関数的に減衰するパルス電界を使用するエレクトロポレーシ
ョン法で、ピー・メタノリカ細胞を形質転換することが好ましい。
【0178】 原核宿主細胞も、細菌のエシュリキア・コリ(Escherichia coli) 、バシラス
(Bacillus) 属などの属の細菌を含めて、本発明の範囲内の有用な宿主細胞であ
る。これらの宿主を形質転換し、その中にクローン化された外来DNA 配列を発現
する方法は当該技術分野で周知の方法である(例えばSambrookら、ibid. 参照)
。zsig39ポリペプチドを、イー・コリなどの細菌内で発現させると、そのポリペ
プチドが、一般的に不溶性顆粒として細胞質に保持されるか、または細菌の分泌
配列によって細胞周辺腔に導かれる。
【0179】 前者の場合、細胞を溶解し、前記顆粒を回収して、例えばグアニジンイソチオ
シアネートまたは尿素を用いて変性する。その変性されたポリペプチドは、例え
ば、尿素の溶液および還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンの混合物に対し
て透析し続いて緩衝食塩溶液に対し透析することによって、変性剤を希釈して、
再生させ二量体化することができる。後者の場合、ポリペプチドは、細胞を破壊
して(例えば音波処理または浸透圧ショックによって)細胞周辺腔の内容物を放
出させ、タンパク質を回収することによって、可溶性で機能性の形態で、細胞周
辺腔から回収することができ、したがって変性や再生を行う必要がない。
【0180】 形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞は、その選ばれた宿主細胞が
増殖するのに必要な栄養素などの成分を含有する培養培地で、通常の方法にした
がって培養される。規定培地および複合培地を含めて、各種の適切な培地は当該
技術分野で知られており、一般に炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミンおよ
び無機質を含有している。また、培地は、必要に応じて、成長因子または血清な
どの成分を含有していてもよい。増殖培地は、一般に、例えば薬剤選択法によっ
て、または発現ベクターに保持されているかもしくは宿主細胞に同時にトランス
フェクトされた選択マーカーによって補充される必須栄養素の欠落によって、外
因的に加えられたDNA を含有する細胞を選択する。
【0181】 発現された組換えzsig39ポリペプチド(またはキメラzsig39ポリペプチド)は
、分画法および/または通常の精製法と培地を用いて精製できる。硫酸アンモニ
ウムによる沈澱法および酸もしくはカオトロープ(chaotrope) による抽出法は、
試料の分画に使用できる。代表的な精製法としては、ヒドロキシアパタイトクロ
マトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、FPLCおよび逆相高速液体クロ
マトグラフィーがある。適切なアニオン交換媒体としては、誘導体化されたデキ
ストラン類、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特殊シリカ類(sp
ecialty silica) などがある。
【0182】 PEI, DEAE, QAEおよびQの誘導体が好ましく、DEAE Fast-Flow Sepharose (Ph
armacia ,米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)が特に好ましい。適切なク
ロマトグラフィー用媒体としては、フェニル、ブチルもしくはオクチルの基で誘
導体化された媒体、例えばPhenyl-Sepharose FF (Pharmacia) 、Toyopearl buty
l 65 (Toso Haas ,米国ペンシルベニア州モンゴメリービル)、Octyl-Sepharos
e (Pharmacia) など;またはポリアクリル系樹脂。例えば、Amberchrom CG71 (T
oso Haas) などがある。適切な固体支持体としては、ガラスビーズ、シリカベー
スの樹脂、セルロース樹脂、アガロースのビーズ、架橋アガロースのビーズ、ポ
リスチレンのビーズ、架橋ポリアクリルアミド樹脂など、使用される条件下で不
溶性のものがある。
【0183】 これらの支持体は、タンパク質を、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリ
ル基、ヒドロキシル基および/または炭水化物の部分によって結合させることが
できる反応性基で修飾することができる。カップリング化学反応の例としては、
臭化シアン活性化、N−ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、
スルフヒドリル活性化、ヒドラジド活性化、およびカルボジイミドのカップリン
グ化学反応のためのカルボキシル誘導体とアミノ誘導体がある。
【0184】 これらなどの固体媒体は、当該技術分野で公知でありかつ広く使用されており
、商業的供給業者から入手できる。受容体ポリペプチドを支持媒体に結合する方
法は当該技術分野で公知である。特定の方法を選ぶことは、日常的な計画の問題
であり、一部、選択された支持体の特性によって決定される(例えば、Affinity
Chromatography : Principles & Methods, Pharmacia LKS Biotechnology, 198
8 年スエーデンアプサラ参照)。
【0185】 本発明のポリペプチド類は、その構造の特性または結合特性を利用することに
よって単離できる。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィー
を利用して、ヒスチジンが豊富なタンパク質またはHis タグを有するタンパク質
を精製することができる。簡単に述べると、まず、ゲルを、二価の金属イオンで
帯電させてキレートをつくる(Sulkowski, Trends in Biochem., 3巻 1-7頁1985
年)。ヒスチジンの豊富なタンパク質は、使用される金属イオンに対応して、異
なるアフィニティーを有するこのマトリックスに吸着され、次に、競合溶出、pH
を下げること、または強力なキレート剤を用いることによって溶出される。
【0186】 他の精製法としては、レクチンアフィニティークロマトグラフィーおよびイオ
ン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質類の精製法がある(M.
Deutscher編、“Methods in Enzymol. ”,Vol.182,“Guide to Protein Purif
ication ”1990年、 529-539頁、米国サンディエゴ、Acad. Press)。本発明の追
加の実施態様で、注目されているポリペプチドおよびアフィニティータグ(例え
ば、Glu-Glu アフィニティータグ、FLAG tag、マルトース結合タンパク質、免疫
グロブリンのドメイン)の融合体が、精製を容易にするために構築される。これ
らの精製法は、以下の実施例の項に詳細に開示する。
【0187】 タンパク質再生(および任意に再酸化)の方法を用いると有利である。タンパ
ク質を、>80%の純度まで、より好ましくは>90%の純度まで、さらに好ま
しくは>95%まで精製することが好ましく、特に好ましいのは医薬として純品
の状態であり、この状態は、汚染高分子物、特に他のタンパク質や核酸について
は純度が99.9%を超え、かつ感染性および発熱性の因子を含有しない状態である
。精製されたタンパク質は、他のタンパク質、特に動物起源の他のタンパク質を
実質的に含有しないことが好ましい。
【0188】 また、zsig39ポリペプチドまたはそのフラグメントは、化学合成によって製造
できる。かようなzsig39ポリペプチドは、単量体または多量体でもよく;グリコ
シル化されていてもまたはグリコシル化されていなくてもよく;ペジレート(pe
gylate) されていてもまたはペジレートされていなくてもよく、そして最初のメ
チオニン残基を含有もしくは含有していなくてもよい。
【0189】 本発明のタンパク質を検定する生体内での方法としては、ウイルス送達システ
ムがある。この目的のための代表的なウイルスとしては、アデノウイルス、ヘル
ペスウイルス、ワクシニアウイルスおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)がある。二
本鎖DNA ウイルスであるアデノウイルスは、現在、非相同の核酸を送達するのに
用いる、最もよく研究された遺伝子輸送ベクターである(総説については、Beck
erら、Meth. Cell Biol., 43巻 161-189頁1994年;およびDouglas とCuriel, Sc
ience & Medicine, 4 巻 44-53頁1997年参照)。このアデノウイルス系は以下の
いくつもの利点がある。すなわち、アデノウイルスは、(i)比較的大きなDNA
挿入体を収容できる;(ii)高いウイルス力価まで増殖できる;(iii )高範囲
の哺乳類細胞型に感染できる;および(iv)異なるプロモーターを含有する多数
の入手可能なベクターとともに使用できる。また、アデノウイルスは血流中で安
定であるから静脈注射で投与することができる。
【0190】 アデノウイルスゲノムの一部分を欠失させることによって、非相同DNA のより
大きな挿入体(7kbまで)を収容できる。これらの挿入体は、直接連結法、また
は同時にトランスフェクトされたプラスミドによる相同的組換えによって、ウイ
ルスDNA に組み入れることができる。代表的な系では、必須のE1遺伝がウイル
スベクターから欠失しているので、そのウイルスは、E1遺伝子を宿主細胞(ヒ
ト293 細胞系が代表的な細胞系である)が提供しない限り複製しない。
【0191】 アデノウイルスは、無傷の動物に静脈注射されると、主として肝臓を標的とす
る。アデノウイルス送達系がE1遺伝子を欠失していると、そのウイルスは宿主
細胞内で複製できない。しかし、宿主の組織(例えば肝臓)は、非相同のタンパ
ク質を発現しプロセシングを行う(そして分泌シグナル配列が存在していると、
分泌する)。分泌されたタンパク質は、高度に血管化された肝臓内の循環系に入
るので、感染した動物に対する効果を確認することができる。
【0192】 また、アデノウイルス系は、生体外でのタンパク質製造にも使用できる。アデ
ノウイルスを感染された非293 細胞は、その細胞が迅速には分裂しない条件下で
培養することによって、延長した期間にわたってタンパク質を産生できる。例え
ばBHK 細胞は、細胞ファクトリー内で集密状態まで増殖させ、次いで注目されて
いる、分泌されるタンパク質をコードするアデノウイルスベクターに暴露する。
【0193】 次いでその細胞を無血清条件下で増殖させると、感染した細胞は、有意な細胞
分裂を行うことなく、数週間にわたって生存することができる。あるいは、アデ
ノウイルスベクターを感染させた293S細胞は、懸濁培養で、比較的高い細胞密度
で増殖して、有意な量のタンパク質を産生することができる(Garnier ら、Cyto
technol., 15巻 145-155頁1994年参照)。いずれのプロトコルでも、発現され分
泌された非相同タンパク質は、細胞培養液の上澄み液から繰返し単離することが
できる。感染させた293S細胞の産生プロトコルで、分泌されないタンパク質も効
率的に得ることができる。
【0194】 また、リガンド結合性ポリペプチド、例えばzsig39ポリペプチド結合性ポリペ
プチドは、リガンドを精製するのに使用できる。そのポリペプチドは、使用条件
下で安定な、アガロース、架橋アガロース、ガラス、セルロース樹脂、シリカベ
ースの樹脂、ポリスチレン、架橋ポリアクリルアミドなどの材料製のビーズなど
の固体支持体に固定化される。ポリペプチドを固体支持体に結合する方法は、当
該技術分野で公知であり、アミン化学反応、臭化シアン活性化、N−ヒドロキシ
スクシンイミドの活性化、エポキシドの活性化、スルフヒドリルの活性化および
ヒドラジドの活性化の方法がある。
【0195】 得られた媒体は、一般に、カラムの形態に形成され、次に、リガンドを含有す
る流体に、そのカラムを1回以上通過させて、リガンドを、リガンド結合性ポリ
ペプチドに結合させる。次に、塩の濃度、カオトロピック剤(chaotropic agent
) (塩酸グアニジン)またはpHを変えて、リガンド−受容体の結合を切断し、リ
ガンドを溶出させる。
【0196】 リガンド結合性受容体(もしくは抗体すなわち相補体/抗相補体の対の一方の
メンバー)またはその結合性フラグメント、および市販のバイオセンサー装置〔
BIAcore (登録商標)、Pharmacia Biosensor ,米国ニュージャージー州ピスカ
タウェイ)を使用する検定システムは有利に利用できる。かような受容体、抗体
、相補体/抗相補体の対のメンバーまたはフラグメントは、受容体チップの表面
に固定化される。上記装置の使用方法は、Karlsson, J. Immunol. Methods, 145
巻 229-240頁1991年およびCunninghamとWells, J. Mol. Biol., 234 巻 554-563
頁1993年に開示されている。
【0197】 受容体、抗体、メンバーまたはフラグメントは、アミンまたはスルフヒドリル
の化学反応を利用して、フローセル内の全製フィルムに結合されているデキスト
ラン繊維に共有結合されている。試験試料に、そのセルを通過させる。リガンド
、エピトープ、または相補体/抗相補体の対の反対側のメンバーは、試料中に存
在していると、それぞれ、固定化された受容体、抗体またはメンバーと結合して
、媒体の屈折率を変化させ、その変化が、前記全製フィルムの表面プラズモン共
鳴の変化として検出される。このシステムは、オンレート(on-rate)とオフレー
ト(off-rate) を測定することができ(これらレートから結合アフィニティーを
算出することができる)かつ結合の化学量論的法則を評価できる。
【0198】 また、リガンド結合性ポリペプチドは、当該技術分野で知られている他の検定
システムにも使用できる。かようなシステムとしては、結合アフィニティーを測
定するScatchard 分析法(Scatchard, Ann. NY Acad. Sci., 51 巻 660-672頁19
47年参照)および熱量検定法(Cunninghamら、Science, 253巻 545-548頁1991年
;Cunninghamら、Science, 245巻 821-825頁1991年)がある。
【0199】 当業技術者にとっては明らかなように、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、イ
ワトリ、ウサギ、マウス、ハムスター、モルモットおよびラット、ならびにトラ
ンスジェニックヒツジ、ウシ、ヤギまたはブタなどのトランスジェニック動物な
どの各種温血動物に接種することによってポリクローナル抗体を生成させること
ができる。また、抗体は、哺乳類と昆虫の細胞内のみならず、改変された形態で
酵母と真菌内で発現させることができる。
【0200】 zsig39ポリペプチドまたはそのフラグメントは、動物に接種しすなわち免疫応
答を引き出すための抗原(免疫原)として働く。適切な抗原としては、配列番号
:2のアミノ酸残基16〜2243、配列番号:2のアミノ酸残基19〜243 、また
はその隣接する9〜243 のアミノ酸残基のフラグメントである配列番号:2が示
すzsig39ポリペプチドがある。zsig39ポリペプチドの免疫原性は、アジュバント
、例えばalum(水酸化アルミニウム)またはフロイントの完全もしくは不完全ア
ジュバントを使用することによって増大させることができる。
【0201】 また、免疫化を行うのに有用なポリペプチドとしては、zsig39もしくはその一
部と、免疫グロブリンのポリペプチドもしくはアフィニティタグとの融合体など
の融合ポリペプチドがある。ポリペプチドの免疫原は、全長の分子またはその一
部でもよい。ポリペプチドの一部が“ハプテン様”であれば、かような部分は、
免疫化のための巨大分子のキャリヤー(例えばキーホールリンペットヘモシアニ
ン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA) または破傷風毒素など)に有利に結合また
は連結することができる。
【0202】 用語“抗体”には、本明細書で使用される場合、ポリクローナル抗体、アフィ
ニティーで精製されたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および抗原結合
性フラグメント例えばF(ab')2とFab のタンパク質分解フラグメントが含まれる
。遺伝工学で加工された無傷の抗体またはフラグメント、例えばキメラ抗体、F
vフラグメント、一本鎖抗体など、ならびに合成の抗原結合性ペプチドとポリペ
プチドも含まれる。ヒト以外の抗体は、ヒト以外のCDR だけを、ヒトのフレーム
ワークと定常領域にグラフトするか、またはヒト以外の可変領域全体と組み込む
ことによってヒト化することができる〔任意に、暴露された残基を置換すること
によってヒト様表面で抗体を“覆う(cloak) ”。
【0203】 この場合、“上張りされた(Veneered)”抗体になる〕。場合によっては、ヒ
ト化された抗体は、ヒトの可変領域のフレームワークドメイン内にヒト以外の残
基を保持して、適正な結合特性を促進する。抗体をヒト化することによって、生
物学的半減期が増大して、ヒトに投与したときに有害な免疫反応が起こる可能性
が低くなる。本発明で有用な抗体を生成させるかまたは選別する別の方法として
は、zsig39タンパク質またはペプチドにリンパ球を生体外で暴露して、ファージ
または類似のベクター内の抗体ディスプレイライブラリーを選別する方法(例え
ば固定化されているかまたは標識されているzsig39タンパク質またはペプチドを
使用して行う)がある。
【0204】 (1)抗体が結合活性のしきいレベルを示しおよび/または(2)抗体が類縁
のポリペプチド分子と有意には交差反応しないならば、抗体は特異的に結合性で
あると定義される。第一に、この抗体は、zsig39ポリペプチド、ペプチドもしく
はエピトープと結合する場合、結合アフィニティー(Ka)が166mol-1以上で、
好ましくは107mol-1以上、より好ましくは108mol-1以上そして最も好ましくは10 9 mol-1以上で、特異的に結合する。抗体の結合アフィニティーを、当業技術者は
、例えば、Scatchard 分析法(Scatchard, Ann. NY Acad. Sci., 51 巻 660-672
頁1949年)によって容易に求めることができる。
【0205】 第二に、抗体は、類縁のポリペプチドと有意には交差反応しない場合、特異的
に結合する。抗体は、例えば、標準のウェスタンブロット分析法(Ausubel ら、
ibid. )を利用してzsig39ポリペプチドを検出するが、既知の類縁ポリペプチド
を検出しない場合、類縁のポリペプチド分子と、有意には交差反応しない。公知
の類縁ポリペプチドの例は、オーソログ;Acrp30(配列番号:8)などのタンパ
ク質ファミリーのメンバーである同じ種由来のタンパク質;配列番号:1(alig
nment Fig.1)に示されるポリペプチド;変異ヒトzsig39ポリペプチドなどである
【0206】 さらに、抗体は、公知の類縁ポリペプチド“から選別され、本発明のポリペプ
チドと特異的に結合する集団を単離することができる。例えば、ヒトzsig39ポリ
ペプチドに対する抗体は不溶性マトリックスに接着された類縁ポリペプチドに吸
着され、ヒトのzsig39ポリペプチドに特異的な抗体は適正な緩衝条件下で前記マ
トリックスを通過する。このような選別法によって、密接に関連している類縁ポ
リペプチドと交差反応性でないポリクローナル抗体とモノクローナル抗体を単離
することができる(Harlow and Lane 編、Antibodies : A Laboratory Mannual,
1988 年、Cold Spring Harbor Laboratory Press ; Cooliganら編、Current Pr
otocols in Immunology, National Institues of Health, John Wiley and Sons
, Inc. 1995 年)。
【0207】 特異的抗体の選別法と単離法は当該技術分野で公知である(Paul編、Fundamen
tal Immunology, Raven Press, 1993 年;Getzoff ら、Adv. in Immunol., 43巻
1-98頁1988年;Goding, J.W.編、Monoclonal Antibodies : Principles and Pra
ctice, Academic Press Ltd. 1996 年;Benjaminら、Ann. Rev. Immunol., 2 巻
67-101頁1984年参照)。このような検定法の代表的な例としては、コンカレント
(concurrent) 免疫電気泳動法、放射性免疫検定法、放射性免疫沈澱法、酵素免
疫測定法(ELISA) 、ドットブロット検定法またはウェスタンブロット検定法、阻
害検定法または競合検定法およびサンドイッチ検定法がある。
【0208】 zsig39ポリペプチド結合性ドメインを有している可能性があるポリペプチドす
なわち“結合性タンパク質”をコードする遺伝子は、ファージ(ファージディス
プレイ)またはイー・コリなどの細菌に対しディスプレイされたランダムなもし
くは指示されたペプチドライブラリーを選別することによって得ることができる
。前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、例えば、ランダム突然変
異誘発法およびランダムポリヌクレオチド合成法などによって、いくつもの方法
で得ることができる。あるいは、拘束(constrained) ファージディスプレイライ
ブラリーもつくることができる。
【0209】 これらのペプチドディスプレイライブラリーを使用して、リガンドもしくは受
容体などのタンパク質もしくはポリペプチド、生物学的もしくは合成の巨大分子
、または有機もしくは無機の物質でもよい既知の標的と相互に作用するペプチド
を選別することができる。このようなペプチドディスプレイライブラリーをつく
って選別する方法は当該技術分野で公知であり(Ladnerらの米国特許第 5,223,4
09号、Ladnerらの米国特許第 4,946,778号;Ladnerらの米国特許第 5,403,484号
およびLadnerらの米国特許第 5,571,698号)、そしてこのようなライブラリーを
選別するためのペプチドディスプレイライブラリーとキットは、例えば、Clonte
ch (米国カリフォルニア州パロアルト)、Invitrogen Inc. (米国カリフォルニ
ア州サンディエゴ)、New England Biolabs, Inc. (米国マサチューセッツ州ビ
バリー)およびPharmacia LKB Biotechnology Inc.(米国ニュージャージー州ピ
スカタウェイ)から市販されている。
【0210】 ペプチドディスプレイライブラリーは、本明細書に開示されているzsig39の配
列を使用して選別し、zsig39に結合するタンパク質を確認することができる。zs
ig39ポリペプチドと相互に作用するこれらの“結合性タンパク質”は、抗体とほ
ぼ同様に、細胞にタグをつけたり;薬剤、毒素、放射性核種などと直接または間
接的に複合された同族ポリペプチドを、アフィニティー精製法で単離するのに使
用できる。
【0211】 また、これらの結合性タンパク質は、発現ライブラリーを選別したり、活性を
中和するなどの分析法にも使用できる。また、これら結合性タンパク質は、ポリ
ペプチドの循環レベルを測定したり、内在している病変もしくは疾患のマーカー
として可溶性のポリペプチドを検出もしくは定量する診断検定法にも使用できる
。これら結合性タンパク質の半減期を長くするため、複合させてもよい。それら
の生物学的特性は、アゴニストまたはアンタゴニストとして使用するため二量体
化または多量体化することによって改変することができる。結合性ペプチドは、
上記のように、既知の類縁ポリペプチドから選別することができる。
【0212】 zsig39に対する抗体とzsig39に結合するタンパク質は、zsig39を発現する細胞
へのタグ付け;アフィニティー精製法によるzsig39の単離;zsig39ポリペプチド
の循環レベルを測定する診断検定法;内在している病変または疾患のマーカーと
しての可溶性zsig39の検出または定量;FACSを利用する分析法;発現ライブラリ
ーの選別;抗イディオタイプの抗体の製造;およびzsig39ポリペプチドの生体外
と生体内でのエネルギー均衡を調節する活性などの活性を遮断する中和抗体また
はアンタゴニストに用いることができる。
【0213】 適切な直接のタグまたは標識としては、放射性核種、酵素、基質、補助因子、
阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子などがあり、間接的なタグ
または標識は、中間体として、ビオチン−アビジンなどの相補体/抗相補体の対
を使用することが特徴である。さらに、zsig39またはそのフラグメントに対する
抗体を、生体外で使用して、変性されたzsig39またはそのフラグメントを、例え
ばウェスタンブロット法などの当該技術分野で公知の検定法で検出することがで
きる。
【0214】 また、上記抗体または結合性タンパク質は、薬物、毒素、放射性核種などに、
直接または間接的に複合させることができ、これらの複合体は、生体内の診断ま
たは治療に用いられる。例えば、本発明のポリペプチドまたは抗体は、それぞれ
、対応する抗相補性分子(例えば受容体または抗原)を発現する組織または器官
を確認または治療するのに使用できる。さらに具体的に述べると、zsig39ポリペ
プチドもしくは抗zsig39抗体、またはその生物活性を有するフラグメント、もし
くは部分は、検出可能かまたは細胞障害性の分子と結合させて、抗相補的分子を
発現する細胞、組織または器官を有する哺乳類に投与できる。
【0215】 適切な検出可能な分子は、前記ポリペプチドまたは抗体に直接または間接的に
結合させることができ、放射性核種、酵素、基質、補助因子、阻害剤、蛍光マー
カー、化学発光マーカー、磁気粒子などがある。適切な細胞障害性分子は、前記
ポリペプチドまたは抗体に直接または間接的に結合させることができ、細菌また
は植物の毒素〔例えば、ジフテリア毒素、シュードモナス(Pseudomonas) 属細菌
の外毒素、リシン(ricin) 、アブリンなど〕、ならびに、治療用放射性核種、例
えばヨウ素−131 、レニウム−188 またはイットリウム−90がある(例えば、
前記ポリペプチドまたは抗体に直接、結合させるかまたはキレート形成部分を通
じて間接的に結合させる)。
【0216】 また、前記ポリペプチドまたは抗体は、アドリアマイシンなどの細胞障害性薬
物と複合させることもできる。検出可能のまたは細胞障害性の分子を間接的に結
合させる場合は、これらの分子を、相補体/抗相補体の対の一方のメンバーに複
合させ、そして他方のメンバーを前記ポリペプチドまたは抗体の部分に結合させ
る。これらの目的のためのビオチン/ストレプタビジンは代表的な相補体/抗相
補体の対である。
【0217】 他の実施態様で、ポリペプチド−毒素の融合タンパク質または抗体−毒素の融
合タンパク質は、標的の細胞または組織を阻害しまたは衰弱させる(例えば癌の
細胞または組織を治療するため)のに使用できる。あるいは、前記ポリペプチド
が複数の機能ドメイン(すなわち、活性ドメインまたはリガンド結合性ドメイン
+標的指向ドメイン)をもっている場合、標的指向ドメインだけを含有する融合
タンパク質が、検出可能な分子、細胞障害性分子または相補的分子を、注目され
ている細胞型または組織型に導くの適切である。
【0218】 標的指向ドメインだけの融合タンパク質が相補的分子を含有している場合、そ
の抗相補的分子は、検出可能のまたは細胞障害性の分子に複合させることができ
る。したがって、かようなドメイン相補的分子の融合タンパク質は、一般的な、
抗相補的で検出可能な分子/細胞障害性分子の複合体を、細胞/組織に特異的に
送達するための一般的な標的指向媒体である。本明細書に記載の生物学的に活性
のポリペプチドまたは抗体の複合体は、静脈内、動脈内、腺管内(DMSOとともに
)、筋肉内、皮下、腹腔内、経皮法、エレクトロトランスファー(electrotransf
er) 、経口または吸入で送達できる。
【0219】 zsig39ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、zsig39の活性を増大ま
たは阻害したい遺伝子治療の用途に有用である。哺乳類のzsig39遺伝子が突然変
異を起こしているかまたは哺乳類がzsig39遺伝子を欠いている場合、zsig39遺伝
子を、その哺乳類の細胞に導入することができる。一実施態様で、zsig39ポリペ
プチドをコードする遺伝子は、ウイルスのベクター内に入れて、生体内で導入さ
れる。このようなベクターとしては、弱毒化されているかまたは欠陥のあるDNA
ウイルス、例えば、限定されなが、単純ヘルペスウイルス(HSV) 、乳頭腫ウイル
ス、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV) 、アデノウイルス、アデノ随伴ウイル
ス(AAV) などがある。欠陥ウイルスは、ウイルスの遺伝子の全体またはほとんど
全体を欠いているものが好ましい。
【0220】 欠陥ウイルスは細胞に導入された後、感染性ではない。欠陥ウイルスのベクタ
ーを使用すると、そのベクターが他の細胞に感染するかもしれないという懸念な
しで、細胞の特異的な局在領域に投与できる。特定のベクターの例としては、限
定されないが、欠陥のある単純ヘルペスウイルス1(HSV1) のベクター(Kaplit
t ら、Molec. Cell. Neurosci., 2 巻 320-330頁1991年);弱毒化されたアデノ
ウイルスベクター、例えばStratford-Perricaudet ら、J. Clin. Invest., 90巻
626-630頁1992年に記載されているもの;および欠陥のあるアデノ随伴ウイルス
のベクター(Samulskiら、J. Virol., 61 巻 3096-3101頁1987年;Samulskiら、
J. Virol., 63 巻 3822-3828頁1989年)がある。
【0221】 他の実施態様で、zsig39遺伝子はレトロウイルスに導入することができる。こ
れについては、例えば、Andersonらの米国特許第 5,399,346号;Mannら、Cell,
33巻 153頁1983年;Temin らの米国特許第 4,650,764号;Teminsの米国特許第 4
,980,289号;Markowitz 号、J. Virol., 62 巻1120頁1988年;Temin らの米国特
許第 5,124,263号;国際特許願公開第WO95/07358号;およびKuo ら、Blood, 82
巻 845頁1993年に記載されている。あるいは、このベクターは、リポソームを使
って、生体内でリポフェクトすることによって導入することができる。
【0222】 合成のカチオン性脂質を使用して、マーカーをコードする遺伝子を生体内でト
ランスフェクトするのに用いるリポソームを製造することができる(Felgner ら
、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84巻 7413-7417頁1987年;Mackeyら、Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 85巻 8027-8031頁1988年)。特定の器官に、外因性遺伝子
を生体内で導入するためにリポフェクションを使用すると、特定の実用上の利点
がある。特定の細胞を標的として、リポソームに分子指向させることは有利な分
野である。
【0223】 より詳しく述べると、特定の細胞にトランスフェクションを行うことは有利な
分野である。例えば、細胞が不均一な組織、例えば膵臓、肝臓、腎臓および脳な
どの特定の細胞型にトランスフェクションを行うことは特に有利であろう。脂質
は、標的指向をさせるために他の分子に化学的に結合させることができる。標的
に向けられるペプチド(例えば、ホルモンまたは神経伝達物質)、抗体などのタ
ンパク質、または非ペプチドの分子は、リポソームに化学に結合させることがで
きる。
【0224】 標的細胞を身体から取り出し、裸のDNA プラスミドのようなベクターを導入し
、次にその形質転換された細胞を身体内に再び移植することができる。遺伝子治
療用の裸のDNA ベクターは、当該技術分野で知られている方法、例えばトランス
フェクション、エレクトロポレーション、顕微注射、トランスダクション、細胞
融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈澱法、遺伝子ガンの使用またはDN
A ベクタートランスポーターの使用によって、所望の宿主細胞に導入できる(例
えば、Wuら、J. Biol. Chem., 267 巻 963-967頁1992年;Wuら、J. Biol. Chem.
, 263 巻 14621-14624頁1988年参照)。
【0225】 アンチセンス法を用いて、zsig39遺伝子の転写を阻害し、例えば生体内での細
胞の増殖を阻害できる。zsig39をコードするポリヌクレオチド(配列番号:1に
記載されているポリヌクレオチド)のセグメントに相補的なポリヌクレオチドは
、zsig39をコードするmRNAに結合してかようなmRNAの翻訳を阻害するように設計
される。このようなアンチセンスポリヌクレオチドは、細胞培養物内または被検
者内でzsig39ポリペプチドをコードする遺伝子が発現するのを阻害するために使
用される。
【0226】 zsig39遺伝子を発現するように加工されたトランスジェニックマウス、および
zsig39遺伝子の機能が完全に欠けていることを示すマウス〔“ノックアウトマウ
ス”と呼称される(Snouwaert ら、Science, 257巻1083頁1992年)〕もつくるこ
とができる(Lowellら、Nature, 366 巻 740-742頁1993年)。これらのマウスは
、生体内の系における、zsig39遺伝子およびこの遺伝子がコードするタンパク質
を研究するのに利用できる。
【0227】 医薬として使用する場合、本発明のタンパク質は、非経口で、特に静脈内もし
くは皮下で送達するために、通常の方法によって配合される。静脈内投与は、一
般に1〜数hrにわたるボーラス注射または注入による投与である。一般に、医薬
配合物は、医薬として許容される賦形剤、例えば食塩水、緩衝食塩水、5%デキ
ストロース水溶液などと組み合わせて、zsig39タンパク質を含有している。配合
物は、さらに、一種以上の添加剤、保存剤、可溶化剤、緩衝剤、ウイルス表面の
タンパク質の損失を防ぐためのアルブミンなどを含有していてもよい。
【0228】 配合方法は当該技術分野で周知であり、例えば、Gennaro 編、Remington : Th
e Science and Practice of Pharmacy, 19版、1995年、Mack publishing Co.,米
国ペンシルベニア州イーストンに開示されている。治療投与量は、一般に、治療
すべき症状の性質と重篤度、患者の形質などを考慮し、承認されている基準にし
たがって臨床医が決定する。投与量の決定は、当該技術分野の通常の技倆のレベ
ルの範囲内にある。 本発明を以下の実施例でさらに説明するが、これら実施例は本発明を限定する
ものではない。
【0229】 実施例1EST 配列の伸長(extension) 本発明の新規なzsig39ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、最初、
EST データベースからEST を選択し、そのEST に基づいてタンパク質配列を予測
し、次いでEST に基づいて予測されたタンパク質に最も相同の分泌されるタンパ
ク質について、既知の配列データベースをサーチすることによって確認された。
既知の分泌されるタンパク質に対して生物学的に注目すべき相同性を有するタン
パク質をコードしている可能性があるEST を、さらに研究するために確認した。
【0230】 単一のEST 配列が、発見されて、脂肪細胞特異的タンパク質に相同であると予
測された(例えば、Scherer ら、J. Biol. Chem., 270 (45)巻 26746-26749頁19
95年参照)。対応するcDNAを確認するため、全コード配列を含有している可能性
があると考えられるクローンを用いて配列を決定した。製造業者の説明書にした
がって、Invistrogen S.N.A.P.(登録商標)Miniprep Kit (Invistrogen, Corp.
, 米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、LB+50μg/mlアンピシリ
ン中の一夜培養物5mlを調製した。
【0231】 製造業者の説明書にしたがって、ABI PRISM (登録商標)Dye Terminator Cyc
le Sequencing Ready Reaction Kit (Perkin-Elmer Corp.) を使用し、ABIPRISM
(登録商標)model 377 DNA sequencer (Perkin-Elmer Cetus ,米国コネティカ
ット州ノーウォーク)で、鋳型の配列を決定した。クローンを含有するベクター
のM13 とlac2のプロモーターに対し、オリゴヌクレオチドのZC447 (配列番号:
11)、ZC976 (配列番号:12)を配列決定プライマーとして使用した。
【0232】 オリゴヌクレオチドのZC14707 (配列番号:13)、ZC14708 (配列番号:1
4)、ZC14760 (配列番号:15)、ZC14758 (配列番号:16)およびZC1475
9 (配列番号:17)を用いて、前記クローン由来の配列を完成させた。配列決
定反応を、Hybaid OmniGene Temperature Cycling System (National Labnet Co
.,米国ニューヨーク州ウッドブリッジ)で実施した。SEQUENCHER(登録商標)3.
1 sequence analysis software (Gene Codes Corporation,米国ミシガン州アン
アーバー)を使用してデータ分析を行った。得られた1347bpの配列を配列番号:
1に開示した。
【0233】 最初に得られたEST 配列を、配列番号:1に示した配列と比較したところ、2
7個の塩基対が異なり、その結果、両者の推定アミノ酸配列は、11個のアミノ
酸が異なっていることが分かった。22個の塩基対の差が、EST 配列の未知の“
N”残基から配列番号:1の既知の残基までの差であったことに注目すべきであ
り、その結果、“想定された”アミノ酸の変化になっている。
【0234】 実施例2組織の分布 ノーザン法を、Clontech(米国カリフォルニア州パロアルト)から入手したHu
man Multiple Tissue Blots を使用して実施した。全長のzsig39ポリペプチドを
コードするヌクレオチドを含有する配列に対応する約1347bpのプローブを、プラ
スミドDNA をEcoR1-NotIで消化することによって調製した。得られたフラグメン
トは、プローブとして使用するためゲルで精製した。製造業者の説明書にしたが
って、REDIPRIME (登録商標)DNA labeling system (Amersham ,米国イリノイ
州アーリントンハイツ)を使用し、前記DNA プローブを32Pで放射能標識をした
。得られたプローブを、NUCTRAP push column (Stratagene Cloning Systems ,
米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を使って精製した。
【0235】 EXPRESSHYB (Clontech,米国カリフォルニア州パロアルト)溶液を、プレハイ
ブリッド形成のため、およびノーザンブロットのハイブリッド形成溶液として使
用した。ハイブリッド形成は65℃で一夜行い、次にそのブロットを、室温にて
、2×SSC と 0.1%のSDS で洗浄し、続いて65℃にて 0.1×SSC と 0.1%のSD
S で洗浄した。一つの転写物の大きさが、測定した結果、約 1.2kbであった。シ
グナル強度(signal intensity) は、小腸と心臓で最高であったが、膵臓、骨格
筋、腎臓および甲状腺ではシグナル強度は比較的低く、そして胎盤、肺臓、肝臓
、脾臓、前立腺、卵巣、結腸、胃、脊髄、リンパ筋、気管、副腎および骨髄では
、シグナル強度は低かった。
【0236】 追加のノーザンブロット分析を、Gut Northern Tissue Blotを使用して実施し
た。ブロットは、ヒトの結腸直腸腺癌細胞系SW480 (Clontech,米国カリフォルニ
ア州パロアルト)、ヒトの小腸組織(Clontech) 、ヒトの胃の組織(Clontech)
、ヒトの腸平滑筋細胞系(Hism ; ATCC No. CRL-1692 ; American Type Culture
Collection ,米国メリーランド州ロックビル パークローン・ドライブ12301)
、正常なヒトの結腸細胞系(FHC ; ATCC No. CRL-1831 ; American Type Cultur
e Collection) およびヒトの正常な胎児の小腸細胞系(FHs74 Int. ; ATCC No.
CCL 241 ; American Type Culture Collection) 由来のmRNAを用いて調製した。
【0237】 全RNA を、酸性グアニジウム法(Cheomczynskiら、Anal, Biochem., 162 巻 1
56-159頁1987年)によって、Hism, FHC およびFHs74 Int.から単離した。ポリA + RNA を保持するカラムを通じて全RNA を流出させることによって、ポリA+ RN
A を選別した(Avivら、Proc. Nat. Acad. Sci., 69 巻 1408-1412頁1972年)。
各試料からのポリA+ RNA 2μgを、 2.2Mホルムアルデヒドとリン酸緩衝液を
含有する 1.5%アガロースゲルで分離させた。得られたRNA を、20×SSC 中、
一夜かけてNytran膜(Schleicher and Schuell, 米国ニューハンプシャー州キー
ン)に移行させた。得られたブロットを、0.12ジュールにて、UV Stratalinker
2400 (Stratagene, 米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ)で処理した。次にそのブ
ロットを80℃で1hrベークした。
【0238】 上記ノーザンブロットを、成熟zsig39ポリペプチドをコードするzsig39 PCRフ
ラグメント(後記実施例4で説明する)でプローブした。なおこのPCR フラグメ
ントは、Rediprime pelle tkit (Amersham, 米国イリノイ州アーリントンハイツ
)を用い、製造業者の説明書にしたがって、32Pで放射能標識を行った。EXPRES
SHYB (Clontech) 中で、56℃にて一夜かけて、前記ブロットにハイブリッドを
形成させた。得られたブロットを、2×SSC と 0.1% SDS中、室温で洗浄し、次
に2×SSC と 0.1% SDS中、65℃で洗浄し、最後に、 0.1×SSC と 0.1% SDS
中、65℃で洗浄した。その結果、zsig39が、ヒトの腸平滑筋細胞系HISMを除く
すべての組織とハイブリッドを形成したことが分かった。
【0239】 実施例3zsig39遺伝子の染色体マッピング 市販の“Gene Bridge 4 Radiation Hybrid Panel”(Research Genetics, Inc
. 米国アラバマ州ハンツビル)を用いて、zsig39ポリペプチドをコードする遺伝
子の染色体11における位置を決定した〔マッピング(mapping)〕。上記Gene B
ridge 4 Radiation Hybrid Panelは、93個の放射線ハイブリッドクローン各々
由来のPCR 処置を行えるDNA と、2種の対照DNA (HFLドナーとA23 レシピエント
)を含有している。公けに利用できるwww サーバー(http://www-genome.wi-mit
.edu/cgi-bin/contig/rhmapper.p1)は、Whitehead Institute/MIT Center for G
enome Researchの、Gene Bride 4 Radiation Hybrid Panel で構築したヒトゲノ
ムの放射線ハイブリッドマップ(“WICGR ”放射線ハイブリッドマップ)につい
てマッピングを行うことができる。
【0240】 “Gene Bridge 4 RH Panel”でzsig39遺伝子のマッピングを行うため、反応液
20μlずつを、PCR 処置が可能な96ウェルの微量滴定用プレート(Stratage
ne, 米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ)に入れて、“RoboCycler Gradient 96”
thermal cycler (Stratagene) で使用した。
【0241】 95個のPCR 反応液は各々、2μlの10×KlenTaq PCR 反応緩衝液(CLONTE
CH Laboratories, Inc.,米国カリフォルニア州パロアルト); 1.6μlのdNTP混
合物(各々 2.5mM,PERKINEL Mer,米国カリフォルニア州ホスターシティ);1
μlのセンスプライマー、ZC15002 (配列番号:18);1μlのアンチセンス
プライマー、ZC15003 (配列番号:19);2μlのRed ; Load (Research Gen
etics, Inc. 米国アラバマ州ハンツビル); 0.4μlの50×Advantage KlenTa
g Polymerase Mix (Clontech Laboratories, Inc.);25ngの個々のハイブリッ
ドクローンまたは対照由来のDNA ;および全容積を20μlにするためのddH2O
で構成されている。
【0242】 これらの反応液と、同量の鉱物油で覆ってシールした。PCR cyclerの条件は以
下のとおりであった。すなわち最初の1サイクルは95℃における5分間の変性
であり、次の40サイクルは、95℃における1分間の変性、65℃で1分間の
アニーリングおよび72℃で 1.5分間の伸長であり、そして最後の1サイクルは
72℃で7分間の伸長であった。得られた反応液を、2%アガロースゲルで、電
気泳動によって分離した(Life Technologies ,米国メリーランド州ガイサーズ
バーグ)。
【0243】 その結果、zsig39ポリペプチドをコードする遺伝子は、WICGR 放射線ハイブリ
ッドマップ上の、ヒト染色体11連鎖群のトップから549.99cR 3000 に位置して
いることが分かった。近位と遠位のフレームワークのマーカーはそれぞれ、AFMB
0482A9とFB17D4であった。周辺のマーカーを使用して、組込みLDB 染色体11マ
ップ上の11q23.3 領域のzsig39遺伝子の位置が決定される(The Genetic Locati
on Database 、サザンプトン大学、www server:http://cedar.genetics.soton.a
c.uk/public html/)。
【0244】 実施例4哺乳類のzsig39発現ベクター:zsig39CEE/pZP9とzsig39NEE/pZP9の 構築 zsig39ポリペプチドの二つの発現ベクター:zsig39CEE/pZP9とzsig39NEE/pZP9
を調製した。なおこれらの構造体は、C末端とN末端にGlu-Glu タグ(配列番号
:20)を有するzsig39ポリペプチドを発現するように設計されている。
【0245】 zsig39NEE/pZP9 690bp のzsig39 DNAフラグメントを、PCR プライマーとしてZC15037 (配列番
号:21)とZC15038 (配列番号:22)、および鋳型として前記コロニーを使
って、PCR で製造した。N末端のGlu-Glu タグとBamHI とXbaIの制限部位を付加
する。zsig39フラグメントのPCR による増幅は、94℃で90秒間;5サイクル
の94℃の10秒間、34℃で20秒間、74℃で40秒間;続いて25サイク
ルの94℃で10秒間、サイクル、68℃で20秒間、72℃で40秒間;続い
て72℃で5分間の伸長であった。予測された大きさ 690bpのバンドを、1%ア
ガロースゲル電気泳動で視覚化して切り取り、そして、QUIAQUICK (登録商標)
カラム(Qiagen) を、製造業者の説明書にしたがって用いて、前記バンドのDNA
を前記ゲルから精製した。得られたDNA を制限酵素BamHI とXbaIで消化し、続い
て抽出して沈澱させた。
【0246】 切り取ったDNA を、BamHI とXbaIで切断したプラスミドpZP9中にサブクローン
化した。zsig39NEE/pZP9発現ベクターはTPA リーダーを取り込み、そしてGlu-Gl
u エピトープ(配列番号:20)が、精製補助剤としてN末端に連結された。プ
ラスミドpZP9(American Type Culture Collection, 米国メリーランド州ロック
ビルパーク・ローンドライブ12301 にATCC No. 98668で寄託されている)は、マ
ウスのメタロチオネイン−1プロモーターを有する発現カセット、コード配列を
挿入するための複数の制限部位、終結コドンおよびヒト成長ホルモンターミネー
ターを含有する哺乳類の発現ベクターである。また、このプラスミドは、イー・
コリの製造起点;SV40のプロモーター、エンハンサーおよび複製起点を有する哺
乳類の選択マーカー発現ユニット;DHFR遺伝子;ならびにSV40ターミネーターを
有している。
【0247】 30ngの制限消化されたN末端の Glu-Glu→zsig39挿入体と、48ngの消化さ
れたベクターとを16℃で一夜連結させた。各連結反応液1μlを、独立して、
製造業者の指示にしたがって、DH10B コンピテント細胞(GIBCO BRL, 米国メリー
ランド州ガイサーズバーグ) 中にエレクトロポレートし、次に、50mg/mlアン
ピシリンが入っているLBプレート中にプレートし次いで一夜インキュベートし
た。コロニーを、プライマーのZC13006(配列番号:23)とZC13007(配列番号:
24)を用いて、PCR で選別した。PCR による選別は、94℃で4分間;25サ
イクルの94℃で30秒間、64℃で20秒間、72℃で1分間;続いて72℃
で1分間の伸長で実施した。陽性のクローンを、上記のようなLBAmp のプレート
上にプレートした。陽性クローンの挿入配列を、配列分析によって確認した。大
規模のプラスミド製造を、QIAGEN (登録商標) Maxi prep kit (Qiagen)を使用し
、製造業者の説明にしたがって実施した。
【0248】 zsig39CEE/pZP9 744bp のzsig39DNA フラグメントを、上記の方法によって、PCR を利用して、
PCR プライマーとしてZC15609(配列番号:25)とZC15232(配列番号:26)を
使用し、C末端のGlu-Glu タグとEcoRI とBamHI の制限部位を付加して製造した
。PCR の増幅は、94℃で3分間;5サイクルの94℃で30秒間、30℃の2
0秒間、72℃の1分間;25サイクルの94℃で30秒間、64℃で20秒間
、72℃で1分間;続いて72℃で5分間の伸長で実施した。精製したPCR フラ
グメントを制限酵素RcoRI とBamHI で消化し続いて抽出し沈澱させた。
【0249】 切り取ったzsig39DNA を、EcoRI とBamHI で切断したプラスミドpZP9中にサブ
クローン化した。zsig39CEE/pZP9発現ベクターは、生の (native) zsig39シグナ
ルペプチドを用いて、Glu-Glu タグ (配列番号:20)を、zsig39ポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド配列のC末端に連結する。
【0250】 34ngの制限消化されたC末端のGlu-Glu-zsig39挿入体と48ngの対応するベク
ターをDH10B 細胞に連結し、次に、陽性のコロニーを上記のようにして選別した
。陽性のクローンを上記のようなLBAmp プレート上にプレートした。陽性クロー
ンの挿入体の配列を、配列分析によって確認した。大規模なプラスミドの製造を
、QIAGEN (登録商標) Maxi prep kit (Qiagen)を使用し、製造業者の説明書にし
たがって実施した。
【0251】 実施例5zsig39NEE ポリペプチドzsig39CEE ポリペプチドのトランスフェク ションと発現 BHK 570 細胞 (ATCC No. CRL-10314) を、10cmの組織培養皿内にプレートし
、次に、DMEM/FBS培地〔DMEM, Gibco/BRL High Glucose(Gibco/BRL, 米国メリー
ランド州ガイサーズバーグ) 、5%ウシ胎児血清(Hyclone, 米国ユタ州ローガン
) 、2μMのL−グルタミン(JRH Biosciences, 米国カンザス州レネクサ) 、1
μMのピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)〕中で、5% CO2雰囲気下、37℃で
一夜、約50〜70%の集密度まで増殖させた。
【0252】 得られた細胞を、次に、Lipofectamine(登録商標) (Gibco BRL) を使用し、無
血清 (SF)培地配合物〔DMEM, Gibco/BRL High Glucose(Gibco/BRL, 米国メリ
ーランド州ガイサーズバーグ) 、2mMのL−グルタミン、2mMのピルビン酸ナト
リウム、10μg/mlのトランスフェリン、5μg/mlのインスリン、10μg
/mlのフェチュインおよび2ng/mlのセレン〕中で、プラスミドのzsig39NEE/pZ
P9 (N末端にGlu-Glu タグ) またはzsig39CEE/pZP9(C末端にGlu-Glu タグ) に
よってトランスフェクトした。
【0253】 16μgのzsig39NEE/pZP9と16μgのzsig39CEE/pZP9を、別個に15mlの試
験管内で、SF培地で合計最終容積 640μlまで希釈した。別の試験管内で、3
5μlのLipofectamine(登録商標)(Gibco BRL) を 605μlのSF培地と混合し
た。そのLipofectamine の混合物を前記DNA の混合物に加えて、室温で約30分
間インキュベートした。5mlのSF培地を上記DNA : Lipofectamine 混合物に添
加した。前記細胞を5mlのSF培地で一回すすぎ、吸引し、次いで前記DNA : Li
pofectamine 混合物を添加した。
【0254】 その細胞を37℃で5hrインキュベートし、次いで、そのプレートに、6.4
mlのDMEM/10% FBS、1% PSN培地を加えた。そのプレートを37℃で一夜イン
キュベートし、翌日、DNA : Lipofectamine 混合物を新鮮なFBS/DMEM培地で取り
替えた。トランスフェクトを行った後2日目に、細胞を、 150mmプレート内の選
択培地(1μM MTXを含有するESTEP#1)に、1:50,1:100 および1:200 の
比率で入れた。これらのプレートに、トランスフェクトした後5日目に再び新鮮
な培地を供給した。
【0255】 コロニーの選別 トランスフェクトを行った後、約10〜12日目に、メトトレキセート耐性の
コロニーの 150ml培養皿一つずつを、各トランスフェクト物から選び、培地を吸
引し、それらのプレートを、10mlの無血清ESTP2 培地〔 668.7g/50L DME
M (Gibco), 5.5g/50Lのピルビン酸ナトリウム塩96%(Mallinckrodt) 、
185.0g/50L NaHCO3 (Mallinkrodt) 、 5.0mg/mlと25ml/50Lのイン
スリン、10.0mg/mlと25ml/50Lのトランスフェリン〕で洗浄した。
【0256】 その洗浄培地を吸引し、次に5mlの無血清ESTEP2で取り替えた。無血清ESTEP2
に予め浸漬した滅菌テフロンメッシュ(Spectrum Medical Industries, 米国カリ
フォルニア州ロサンゼルス) を前記細胞の上に置いた。無血清ESTEP2に予め浸漬
した滅菌ニトロセルロースフィルターを前記メッシュの上においた。前記ニトロ
セルロース上のオリエンテーションマーク (orientation mark) を前記培養皿に
移した。
【0257】 次に、前記プレートを、37℃で5% CO2雰囲気のインキュベーター内で5〜
6hrインキュベートした。インキュベーションに続いて、前記フィルターを取り
出し、培地を吸引し、DMEM/5% FBS、1×PSN (Gibco BRL) 培地で取り替えた
。次に、前記フィルターを、50mlの緩衝液(25mM Tris 、25mMグリシン、5mM
β−メルカプトエタノール)が入っている密閉可能なバッグ中に入れ、65℃の
水浴中で10分間インキュベートした。これらフィルターを、10%脱脂乾燥乳
/PBS 、 0.1% PBS (Sigma)中、室温で15分間、回転シェーカー上でブロック
した。
【0258】 次に、そのフィルターを、1:1000の希釈率で、10%脱脂乾燥乳、 0.1% P
BS、 0.1% TWEEN中、回転シェーカー上で4℃にて一夜、抗−Glu-Glu 抗体−HR
P 複合体とともにインキュベートした。次に、そのフィルターを、 PBS+ 0.1%
Tween 20 で、室温にて3回(5〜15分間ずつ)洗浄した。そのフィルターを
、ECL 剤 (Amersham Corp., 米国イリノイ州アーリントンハイツ) で、製造業者
の説明書にしたがって、展開させ、次いで、フィルム (Hyperfilm ECL, Amersha
m)に約35秒間、暴露した。
【0259】 そのフィルムと、コロニーが入っているプレートに重ね合わせた。このフィル
ムを目印に使って、適切なコロニーを選択した。滅菌3mmコロニー皿(PGC Scie
ntific Corp., 米国メリーランド州フレデリック) をトリプシンに浸漬し、前記
コロニー上に置いた。各構造体に対し12個のコロニーを、96ウェルプレート
内の 200μlの選択培地に移した。各コロニーについて、2倍希釈をシリーズで
7回実施した。それら細胞を37℃で1週間増殖させ、その時点で、細胞の希釈
度が最低で最適の密度になっているウェルを選んでトリプシンで処理し、選択培
地が入っている12ウェルのプレートに移した。また 150mmの培養皿をトリプシ
ンで処理し、残りの細胞をプールし、ウェスタンブロット分析とマイコプラズマ
試験を行った。そのプールは凍結させて貯蔵した。
【0260】 これらクローンを前記12ウェルプレートから二つのT-75フラスコへ、直接広
げた。一方のフラスコでは細胞の増殖を続けさせ、第二のフラスコは、ウェスタ
ンブロット分析用に収穫した無血清ESTEP2の中で増殖させた。各発現構造体のコ
ロニーを、ウェスタンブロット分析の結果に基づいて、選択し、プールし、次い
で大規模培養に移した。
【0261】 実施例6zsig39CEE とzsig39NEE の哺乳類による大規模な発現 zsig39CEE を発現する密集細胞が入っている一つのT-162 フラスコと、上記の
発現法で得たzsig39NEE の入っている一つのT-162 フラスコを、各々、6個ずつ
のT-162 フラスコ内に広げた。得られた6個のフラスコの内1個を使用して、凍
結し、4個の凍結バイアルびんをつくり、残りの5個のフラスコを使って、Nunc
細胞のファクトリーをつくった。
【0262】 zsig39CEE とzsig39NEE の上記5個ずつのT-162 フラスコを使用し、独立して
、二つのNunc細胞ファクトリー (10層、VWR が市販している) に接種した。簡
単に述べると、細胞を、上記T-162 フラスコから、トリプシンを使って剥離させ
、プールし次に、予め37℃まで加熱した 1.5lのESTEP1培地〔 668.7g/50
L DMEM (Gibco) 、 5.5g/50Lのピルビン酸ナトリウム塩96%(Mallinkr
odt)、 185.0g/50LのNaHCO3 (Mallinkrodt)、 5.0mg/mlと25ml/50L
のインスリン(JRH Biosciences)、10.0mg/mlと25ml/50Lのトランスフェ
リン(JRH Biosciences)、 2.5L/50Lのウシ胎仔血清(特性指定)(Hyclone
) 、1μM MTX、pHを7.05±0.05に調節〕に加えた。細胞を含有する前記培地を
、次に、濾斗によって、前記Nunc細胞ファクトリーに注ぎ入れた。その細胞ファ
クトリーを、37℃/ 5.0% CO2のインキュベーター内に入れた。
【0263】 80〜100 %の密集度で、視覚による汚染試験 (フェノールレッドの変色) を
、Nunc細胞ファクトリーの内容物について実施した。汚染がないことが観察され
てから、密集ファクトリー由来の上澄み液を、小収穫容器に注ぎ入れ、試料を採
取して廃棄した。次に、付着している細胞を 400mlのPBS で1回洗浄した。その
細胞をファクトリーから剥離させるため、各ファクトリーに 100mlのトリプシン
を添加して取り出し、得られた細胞を残留トリプシンとともに2分間または5分
間インキュベートした。これらの細胞を、ESTEP1培地の二つの 200mlずつの洗浄
液で集めた。ESTEP1培地が入っている10本のびん(各々 1.5l、37℃)各々
に、収集した細胞を40mlずつ添加した。1本の 1.5lびんを使って、一つのNu
ncファクトリーに充填した。各細胞ファクトリーを、37℃/ 5.0% CO2のイン
キュベーター内に入れた。
【0264】 80〜90%の密集度で、視覚による汚染試験(フェノールレッドの変色)を
、Nunc細胞ファクトリーで実施した。汚染がないことが観察された後、密集ファ
クトリー由来の上澄み液を、小収穫容器に注ぎ入れ、試料を採取し次いで廃棄し
た。次に細胞を 400mlのPBS で一回洗浄した。 1.5lのESTEP2培地〔 668.7g/
50LのDMEM (Gibco)、 5.5g/50Lのピルビン酸ナトリウム塩96%(Mall
inckrodt) 、 185.0g/50LのNaHCO3 (Mallinkrodt)、 5.0mg/mlと25ml/
50Lのインスリン、10.0mg/mlと25ml/50Lのトランスフェリン〕を、各
Nunc細胞ファクトリーに添加した。これらの細胞ファクトリーを、37℃/ 5.0
% CO2にてインキュベートした。
【0265】 約48hr後の時点で、Nunc細胞のファクトリーについて視覚による汚染試験(
フェニールレッドの変色)を実施した。各ファクトリー由来の上澄み液を小集積
容器に注ぎ入れた。新鮮な無血清培地(1.5l)を各Nunc細胞ファクトリーに注ぎ
入れ、そのファクトリーを37℃/ 5.0% CO2にてインキュベートした。各構造
体の上澄み液収穫物1mlを顕微鏡のスライドガラスに移して、汚染について顕微
鏡分析を行った。各構造体の小収穫容器の内容物をプールして直ちに濾過した。
【0266】 次に、第二の収穫を、48hrの時点で、先に述べたのと実質的に同様に実施し
、その後、その細胞ファクトリーを廃棄した。無菌で組み立てられたフィルター
トレイン (filter train) 装置を使って、収穫上澄み液 (ならし培地) の無菌濾
過を行った。組立ては次のとおりであった。すなわち配管を、Opticap フィルタ
ー (Millipore Corp. 米国マサチューセッツ州ベッドフォード) とGelman Super
cap 50フィルター(Gelman Sciences, 米国ミシガン州アンアーバー) にワイヤー
でしばりつけた。また、そのSupercap 50 フィルターは、フード内に配置された
滅菌キャップ付き容器に連結され、Millipore Opti-capフィルターの上流に配置
された配管が蠕動ポンプに挿入され、そして前記配管の自由端を大収穫容器内に
入れた。
【0267】 前記蠕動ポンプは、前記ならし培地がすべて、0.22μmの最終フィルターを通
過して、滅菌収集容器に入るまで、 200〜300rpmで作動させた。濾液は、精製中
、4℃の低温室内においた。各種の時点で採取して保管してきた培地の試料を、
Millipore 5 KDA カットオフ濃縮器(Millipore Corp., 米国マサチューセッツ州
ベッドフォード) で、製造業者の指示にしたがって、10倍濃縮し、次いでウェ
スタンブロット分析を行った。標準物の移動度が変化するのは、その二つの製剤
間の見掛けの大きさの差が原因のようである。
【0268】 zsig39CEE : 5 T-162フラスコ=> 0.125mg/L、28kDa ; 1ファクトリー、 FBS=> 0.125mg/L、28kDa ; 10ファクトリー、 FBS=> 0.125mg/L、28kDa ; 10ファクトリー(#1)、SF=> 0.125mg/L、28kDa ;および 10ファクトリー(#2)、SF=> 0.125mg/L、28kDa zsig39NEE : 5 T-162フラスコ=0.14mg/L、38kDa ; 1ファクトリー、 FBS=1.39mg/L、38kDa ; 10ファクトリー、 FBS=0.14mg/L、38kDa ; 10ファクトリー(#1)、SF=1.39mg/L、38kDa ;および 10ファクトリー(#2)、SF=1.39mg/L、38kDa 。
【0269】 実施例7zsig39NEE とzsig39CEE の精製条件 特にことわらない限り、すべての操作は4℃で実施した。以下の方法を使用し
て、先に述べたN−末端またはC−末端にGlu-Glu (EE)を有するzsig39を精製し
た。ベビーハムスター腎臓 (BHK)細胞から得たならし培地25l全部を、4イン
チの 0.2mM Millipore (米国マサチューセッツ州ベッドフォード) Opticap フィ
ルターと0.2mM Gelman (米国ミシガン州アンアーバー) Supercap 50 によって逐
次、滅菌濾過を行った。得られた物質を、次に、3000kDa カットオフAmicon (米
国マサチューセッツ州ベッドフォード) S10Y3 膜を取り付けたMillipore ProFlu
x A30 tangential flow concentratorを使って、約 1.3lまで濃縮した。
【0270】 その濃縮された物質を、上記のようなGelmanフィルターで、再び滅菌濾過を行
った。プロテアーゼ阻害剤の混合物を、前記濃縮されたならし培地に、最終濃度
が、 2.5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA, Sigma Chemical. Co., 米国ミズー
リ州セントルイス) 、 0.001mMのロイペプチン(Boehringer-Mannheim, 米国イン
ディアナ州インディアナポリス) 、 0.001mMのペプスタチン (Boehringer-Mannh
eim)および 0.4mMのPefabloc (Boehringer-Mannheim)になるように添加した。以
下に述べるようにして製造した抗EE Sepharoseの試料25.0mlを試料に添加してバ
ッチ吸着を行い、そしてその混合物を、4℃にて18.0hr, Wheaton(米国ニュージ
ャージー州ミルビル) 上でおだやかに撹拌した。
【0271】 次に、その混合物を、 5.0×20.0cmのEcono-Column (Bio-Rad Laboratories,
米国カリフォルニア州バーキュレス) に注ぎ入れ、次にそのゲルを30カラムの
容積のリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。保持されなかった通過画分は廃棄し
た。流出液の 280nMの吸光度が0.05より小さくなったとき、前記カラムの通過流
量をゼロにして、抗−EE Sepharoseゲルと、 0.4mg/mlのEEペプチド(AnaSpec
, 米国カリフォルニア州サンホセ) を含有するPBS の 2.0カラム容積によって、
バッチ式で洗浄した。
【0272】 使用したペプチドの配列はGlu-Tyr-Met-Pro-Val-Asp(配列番号:27)であっ
た。4℃で 1.0hr経過した後、流動を再開して溶出されるタンパク質を集めた。
この画分を、ペプチド溶出液と呼称した。次に抗−EE Sepharoseゲルを、 2.0カ
ラムの容積の 0.1Mグリシン(pH2.5)で洗浄し、そのグリシン洗浄液を別個に集
めた。前記グリシン溶出画分のpHを、小容積の10×PBS を添加することによっ
て7.0 に調節し、4℃で保管して、必要に応じて将来の分析に使用した。
【0273】 15,000分子量カットオフ膜濃縮器(Millipore, 米国マサチューセッツ州ベッド
フォード) を使い、製造業者の説明書にしたがって、前記ペプチド溶出液を、 5
.0mlまで濃縮した。その濃縮されたペプチド溶出液を、BioCad Sprint HPLC(Per
Septive BioSystems, 米国マサチューセッツ州フラミンガム) を使用し、PBS 中
で平衡化させた 1.5×50cmのSephadex G-50 (Pharmacia, 米国ニュージャージ
ー州ピスカタウェイ) のカラムのクロマトグラフィーによって、流量 1.0ml/mi
n にて、遊離ペプチドから分離した。
【0274】 2mlずつの画分を集めて、 280nMの吸光度を監視した。 280nMで吸光しかつカ
ラムのボイド容積の近傍で溶出する物質の最初のピークを集めた。この画分は純
品のzsig39NEE またはzsig39CEE であった。その純品の物質を先に述べたように
して濃縮し、SDS-PAGEで分析して抗−Glu-Glu 抗体でウェスタンブロッティング
を行い、試料を採取してアミノ酸の分析とN末端の配列決定を行った。試料の残
りは等分して、我々の標準手順にしたがって−80℃で保管した。精製されたzs
ig39NEE のタンパク質濃度は0.65mg/mlであった。zsig39CEE のタンパク質濃度
は 0.3mg/mlであった。
【0275】 還元剤なしのSDS-PAGEゲルにおけるzsig39NEE の電気泳動は、見掛けの分子量
が約50,000と約29,000の二つのバンドが、クーマシーブルーで染色したゲル上に
ほゞ等モル量で存在していることを示した。ウェスタンブロットが、これらのバ
ンドは、抗−EE抗体と交差反応することを示した。見掛けの分子量が約150,00
0 、約80,000および約60,000の他の三つのバンドも、これらの条件下でウェスタ
ンブロットに観察された。還元剤の存在下ではクーマシーブルーで染色されたゲ
ルで観察された唯一のバンドは、見掛けの分子量30,000で泳動した。
【0276】 このバンドの強度は、非還元性ゲルで観察されたどのバンドと比べても増大し
ていた。この30,000kDa のバンドも、ウェスタンブロットで、抗−EE抗体との
交差反応性を示し、存在している唯一の交差反応性タンパク質であった。さらに
、このバンドの強度は、非還元性条件下のバンドの強度に比べて増加していた。
zsig39CEE については、SDS-PAGEおよび抗−EE抗体によるウェスタンブロッテ
ィングによって、事実上同一の結果が得られた。
【0277】 抗−EE Sepharoseの製造 100mlのベッド容積のプロテインG−セファロース(Pharmacia, 米国ニュージ
ャージー州ピスカタウェイ) を、500ml Nalgene 0.45ミクロンフィルターユニッ
トを使って、0.02%のアジ化ナトリウムを含有するPBS 100ml で3回洗浄した。
そのゲルと、 6.0容積の 200mMトリエタノールアミンpH8.2 (TEA, Sigma Co.)で
洗浄し、次いで 900mgの抗体を含有する同容積のEE抗体溶液を添加した。4℃
で一夜インキュベートした後、前記樹脂を、上記2mM TEAの5容積で洗浄するこ
とによって未結合の抗体を除去した。
【0278】 その樹脂を2容積のTEA 中に再び懸濁させ、適切な容器に移し、次いで、TEA
に溶解したジメチルピミリミデート−2HCl (Pierce)を、最終濃度 (ゲル1ml当
り36mg)まで添加した。そのゲルを室温で45分間、振盪させ、次いで先に述
べたようなフィルターユニットを使用して液体を除いた。次に、 200mM TEA中20
mMのエタノールアミンの5容積とともに、室温で10分間インキュベートするこ
とによって、前記ゲルの非特異的部位を遮断した。そのゲルを、0.02%のアジ化
ナトリウムを含有するPBS 5容積で洗浄し、この溶液中に、4℃で貯蔵した。
【0279】 実施例8アミノ末端にGlu-Glu タグを有するzsig39およびカルボキシ末端に Glu-Glu タグを有すzsig39を発現する酵母ベクターの構築 ピキア・メタノリカ内でzsig39を発現させるには、本発明と権利者が同じ国際
特許願公開第WO97/17450号に記載されている発現系を利用する。zsig39をコード
するポリヌクレオチドのすべてまたは一部を含有する発現プラスミドは相同的組
換えによって構築される。C末端にGlu-Glu のタグを有する (CEE)zsig39ポリペ
プチドを発現する発現ベクターをpCZR204 から構築した。そのpCZR204 ベクター
は、AUG1プロモーターを含有し、αFpp リーダー配列が続き、平滑末端のSmaI制
限部位、カルボキシ末端のペプチドタグ (Glu-Glu)、翻訳終結コドンが続き、AU
G1ターミネーター、ADE2選択マーカーおよび最後にAUG1 3′非翻訳領域が続く。
【0280】 また、このベクターには、エス・セレビシエの選択と複製のために必要なURA3
とCEN-ARS の配列、およびイー・コリの選択と複製のために必要なcolE1 ori 配
列が含まれている。N−末端にGlu-Glu タグを有する (NEE)zsig39ポリペプチド
を発現する第二の発現ベクターとzCZR204 から構築した。zCZR204 発現ベクター
は、先に述べたように、アミノ末端にGlu-Glu タグを有している。これらのベク
ター中に挿入されたzsig39の配列は、zsig39のアミノ酸配列 (配列番号:2)の
残基19(Leu)で始まる。
【0281】 各構造体について、二つのリンカーをつくり、それらリンカーとzsig39ととも
に、上記酵母発現ベクター中に相同的組換えを行った。タグなしN末端のリンカ
ー(配列番号:28)は、一方の末端の10個の塩基対のα皿子プレプロ(αFp
p)コード配列をスパンして (span) 、そのコード配列を他方の末端の成熟zsig39
配列由来の70塩基対のアミノ末端のコード配列に連結する。NEE タグ付きリン
カー(配列番号:29)は、前記αFpp コード配列と前記zsig39配列の間にGlu-
Glu タグ (配列番号:20)を連結する。タグなしC末端のリンカー(配列番号
:30)は、一方の末端のほゞ70個の塩基対のzsig39のカルボキシ末端コード
配列と、70個の塩基対のAUG1ターミネーターの配列でスパンする。CEE タグ付
きリンカー(配列番号:31)は、Glu-Glu タグ(配列番号:20)を、zsig39
のC末端とAUG1のターミネーター領域の間に挿入する。
【0282】 NEE タグ付きzsig39プラスミドの構築 NEE タグ付きzsigプラスミドを、 100ngのSmaI消化pCZR204 受容ベクター、1
μgのEcoRI-BamHI zsig39cDNAドナーフラグメント、1μgのNEE タグ付きzsig
リンカー (配列番号:29)および1μgのC末端タグなしリンカー(配列番号
:30)を、エス・セレビシエ内で相同的に組換えることによってつくった。
【0283】 NEE-zsig39リンカーをPCR 反応で合成した。最終反応容積が 100μlになるま
で、各々1pmolのリンカー、ze13731(配列番号:32)とZC15268(配列番号:3
3)および各々 100pmolのプライマー、ZC13497(配列番号:34)とZC15274(配
列番号:35);10μlの10×PCR 緩衝液 (Boehringer Mannheim);1μl
のPwo Polymerase (Boehringer Mannheim);10μlの0.25mMヌクレオチド三リ
ン酸の混合物(Perkin Elmer) ;ならびにdH2Oを添加した。PCR 反応は、94℃
で30秒間、50℃で1分間および72℃で1分間の10サイクルを行い、72
℃で6分間の伸長で終結させた。得られた 144bp二本鎖のNEE タグ付きリンカー
は配列番号:29に開示してある。
【0284】 C末端タグなしzsig39リンカーを、オリゴヌクレオチドのZC15273(配列番号:
36)、ZC15724(配列番号:37)、ZC15223(配列番号:38)およびZC13734(
配列番号:39)を使用し、記載されているようにして、PCR 反応で製造した。
得られた 147bp二本鎖のC末端タグなしリンカーは配列番号:30に開示してあ
る。
【0285】 CEE-zsig39プラスミドの構造 CEE-zsig39プラスミドを、 100ngのSmaIで消化したpCZR204 受容ベクター、1
μgのEcoRI-BamHI zsig39cDNAドナーフラグメント、1μgのN末端タグなしzs
ig39リンカー (配列番号:28)および1μgのCEE −タグ付きリンカー(配列
番号:31)を、エス・セレビシエ内で相同的に組み換えることによってつくっ
た。
【0286】 N末端タグなしzsig39リンカーを、オリゴヌクレオチドのZC14822(配列番号:
40)、ZC14821(配列番号:41)、ZC15269(配列番号:42)およびZC15274(
配列番号:43)を使って上記のようなPCR 反応でつくった。得られた 144bp二
本鎖のN末端タグなしリンカーは配列番号:28に開示してある。 CEE タグ付きリンカーを、ZC15273(配列番号:44)、ZC15267(配列番号:4
5)、ZC14819(配列番号:49)およびZC14820(配列番号:47)を使い上記の
ようなPCR 反応でつくった。得られた約 144bpの二本鎖CEE タグ付きリンカーは
配列番号:31に開示してある。
【0287】 100μlのコンピテント酵母細胞 (エス・セレビシエ) を、独立して、上記の
各種DNA 混合物10μlと混合し、次いで 0.2cmのエレクトロポレーションキュ
ベットに移した。その酵母/DNA 混合物を0.75kV (5kV/cm)、∞オーム、25
μFでエレクトロパルス(electropulse) した。各キュベットに 600μlの 1.2
Mソルビトールを加え、その酵母の 300μlずつ二つを二つのVRADプレートにプ
レートして30℃でインキュベートした。
【0288】 約48hr後、一つの皿からの Ura+ 酵母形質転換体を 2.5mlの水中に再懸濁さ
せ、単時間撹拌して、この酵母細胞をペレットにした。得られた細胞のペレット
を、1mlの溶解緩衝液(2%のTriton X-100、1%のSDS 、 100mMのNaCl、10mM
のTris (pH8.0)、1mMのEDTA) 中に再び懸濁させた。その溶解混合物 500μlを
、酸で洗浄したガラスビーズ 300μlとフェノールクロロホルム 200μlが入っ
ているエッペンドルフ管に加え、1分間間隔で2,3回撹拌し、続いてエッペン
ドルフ遠心分離器で最高速度で5分間遠心分離した。 300μlの水性相を新しい
試験管に移し、DNA を 600μlのエタノール (EtOH) で沈澱させ、続いて4℃で
10分間、遠心分離を行った。得られたDNA ペレットを 100μlのH2O 中に再懸
濁させた。
【0289】 エレクトロコンピテント (electrocompetent) イー・コリ細胞 (DH10B, Gibco
BRL) の形質転換を、酵母DNA プレプ (prep) 1μlとDH10B 細胞50μlで実
施した。その細胞を 2.0kV、25μFおよび 400オームでエレクトロパルスした
。エレクトロポレーションを行った後、1mlのSoc 〔2%のBacto(登録商標)Try
ptone (Difco, 米国ミシガン州デトロイト) 、 0.5%の酵母エキス (Difco)、1
0mMのNaCl、 2.5mMのKCl 、10mMのMgCl2 、10mMのMgSO4 、20mMのグルコ
ース〕を 250μlずつ、四つのLBAMP プレート〔LBブロス(Lennox) 、 1.8%
のBacto(登録商標) Agar (Difco)、 100mg/Lのアンピシリン〕上にプレートし
た。
【0290】 NEE タグ付きおよびCEE タグ付きzsig39構造体として正しい発現構造体を有し
ている個々のクローンを、配列分析によって同定して、zsig39挿入体の存在を実
証し、かつ各種のDNA 配列が互いに正しく連結されていることを確認した。陽性
クローンの挿入体の配列分析を行った。より大きなスケールのプラスミドDNA を
、製造業者の説明書にしたがって、Qiagen Maxi Kit (Qiagen)を使って単離し、
次にそのDNA をNotIで消化して、ベクターバックボーンからPichia-zsig39 発現
カセットを放出させた。
【0291】 次に、NotIで制限消化したONA フラグメントで、ピキア・メタノリカの発現宿
主PMAD16を形質転換した。これは、調製したコンピテントPMAD16細胞 100μlと
NotIで制限消化した zsig39 10μgを混合し、 0.2cmのエレクトロポレーショ
ンキュベットに移して行った。その酵母/DNA 混合物を0.75kV、25μF、無限
オームでエレクトロパルスした。前記キュベットに、1mlの1×Yeast Nitrogen
Base を加え、 500μlずつを、二つのADE DS〔 0.056%の-Ade-Trp-Thr粉末、
0.67%のyeast nitrogen base(アミノ酸なし) 、2%のD−グルコース、 0.5%
の 200×トリプトファン、トレオニン溶液および 18.22%D−ソルビトール〕の
選別用プレートにプレートし、30℃でインキュベートした。
【0292】 クローンを採取し、ウェスタンブロットによって、高レベルのzsig39の発現で
選別した。得られた、酵母細胞を含有するNEE タグ付きzsig39プラスミドをPMAD
16::pCZR206.14.51 および14.61 と命名し、そして得られた、酵母細胞を含有す
るCEE タグ付き−zsig39プラスミドを PMAD16::pCZR209#1および#2と命名し
た。次にこれらクローンを発酵させた。
【0293】 実施例9ピキア・メタノリカのならし培地からのzsig39CEE の精製 特にことわらない限り、すべての操作を4℃で実施した。プロテアーゼ阻害剤
の混合物を、ピキア培養物由来のならし培地の試料3000mlに加えて、最終濃度を
、 2.5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA, Sigma Chemical Co.) 、0.001mM の
ロイペプチン (Boehringer-Mannheim)、0.001mM のペプスタチン (Boehringer-M
annheim)および 0.4mMのPefabloc (Boehinger-Mannheim) にした。その培地のpH
を、濃NaOH溶液 (Sigma Chemical Co.) で7.2 に調節し、続いてリン酸カリウム
(Sigma Chemical Co.) を加えて最終濃度を0.05Mにした。
【0294】 その試料を、Beckman JLA-10.5ローター (Beckman Instruments)に入れ、Beck
man Avant; J25I 遠心分離機 (Beckman Instruments)で、4℃にて30分間、18
,000×gで遠心分離して、細胞の破片を除去した。その上澄み液画分に、先に述
べたようにして調製した抗−EE Sepharoseの試料50.0mlを加え、その混合物を、
Wheaton(米国ニュージャージー州ミルビル) ローラー培養装置上で、4℃にて18
.0hrゆるやかに撹拌した。得られた混合物を、次に、BHK 細胞由来のzsig39CEE
について先に述べたのと同様にして処理した。得られた純品の物質を、先に述べ
たようにして濃縮し、SDS-PAG および抗−EE抗体によるウェスタンブロッティ
ングによって分析し、そして試料をアミノ酸分析とN−末端の配列決定のために
採取した。残りの試料は等分し、我々の標準の方法で−80℃で貯蔵した。
【0295】 クーマシーブルーで染色したSDS-PAGEゲル上の製剤は、見掛けの分子量が23,0
00と28,000の二つの主要バンドと見掛けの分子量が21,000と45,000の二つの少量
成分を含有していた。これらバンドの移動度は、還元剤の存在下および非存在下
で同じであった。還元剤なしで、抗−EE抗体によるウェスタンブロットに見え
る唯一のバンドは、見掛け分子量が150,000 のタンパク質であった (恐らく、抗
EEセファロースカラムから溶出したIgG である) 。対照的に、還元剤存在下で
の抗−EE抗体によるウェスタンブロッティングは、見掛けの分子量が28,000、
24,000および23,000の三つのバンドを示した。ピキア・メタノリカ由来のzsig39
CEE の濃度は0.35mg/mlであった。
【0296】 実施例10zsig39の抗体 2頭の雌のニュージーランド白ウサギを、全長のzsig39ポリペプチド(配列番
号:2)で免疫化することによって、ポリクローナル抗体を調製した。上記ポリ
ペプチドは、前記の精製BHK 発現物質から得たものである。そのポリペプチドを
、担体タンパク質のキーホールリンペットヘモシアニン (KLH)に、グルタルアル
デヒドで複合させた。前記ウサギに、最初、 200μgのペプチド含有の完全フロ
イントアジュバントを腹腔内 (ip)注射し、続いて3週間毎に、 100μgのペ
プチド含有の不完全フロイントアジュバントを腹腔内にブースター注射した。第
三のブースター注射の投与をしてから7〜10日後に、これら動物から採血し、
血清を集めた。次に、これら動物には3週間毎にブースター注射を行い採血した
【0297】 zsig39特異的抗体を、プロテインAセファロースを使用して前記血清から精製
した。得られたzsig39の抗体は、配列番号:2のポリペプチドを抗体の標的とし
て使い、ELISA 滴定法で検査して特性を決定できる。
【0298】 実施例11アデノウィルスによる送達でのzsig39の生体内投与 24頭の雄と24頭の雌のC57B16/Jマウス (約2週齢)(Jackson Labs, 米国メ
イン州バーハーバー) を、注射の前4日間(4日前〜1日前)、毎日、体重を測
定し、体温を測定しそして飼料摂取量を監視した。ゼロ日目に、マウスを3群に
分けて、 0.1mlのウィルス(AdV−中空(empty)− 1.8×10″ウィルス粒子/ 0
.1mlもしくはAdV-zsig39-CEE5×10″ウィルス粒子/0.1ml)を尾の静脈内注射
を行うか、または全く注射を行わなかった。
【0299】 注射によって、宿主の肝臓が感染するはずであり、そしてウィルスによって送
達された遺伝子の発現が24hr以内に始まり、1〜4週間続くはずである。3群
のマウスを試験した。グループ1未処置は雄と雌各々n=8であった。グループ
2 AdV−中空(中空ウィルス)は雄と雌各々n=8であった。グループ3 AdV-z
sig39CEEは雄と雌各々n=8であった。zsig39CEE を含有するアデノウィルスの
製造は、市販のベクターを使用して、Beckerら、Meth. Cell Biol., 43巻 161〜
189 頁1994年の方法にしたがって行った。
【0300】 これら動物の体温、体重および摂取された飼料の重量を、3週間にわたる試験
中、監視した。これらのグループ間に差が全く見られなかった。 21日目に、雌のマウスを頸椎脱臼法で安楽死させそして22日目に雄のマウ
スを同様に安楽死させた。これらの動物の放血を行い、剖検を行うために組織を
採取した。
【0301】 標準血清化学パネル(standard serum chemistry panel) を死亡時に行った。
肝臓、腎臓および代謝パラメーターはすべて正常範囲内にあった。全遊離脂肪酸
を、各動物の残りの血清について検定した。雌と雄のマウスの両者の中空ウィル
スを投与された群とzsig39をコードするウィルスを投与された群の間で、ダンの
多重比較検定法 (Dunn's Multiple Comparisons Test) によって、血清中の遊離
脂肪酸濃度に統計的に有意な差がみとめられた (p<0.05%)。zsig39マウスは
上記濃度が低かった。
【0302】 肝臓、脾臓、腎臓、胸腺、心臓および脳を取り出して重量を測定した。これら
の組織と大腿骨は組織検査を行うために保管した。大腿骨の骨幹端の骨髄の組織
病理学的分析を行ったところ、処置群の間に差があることが明らかになった。雌
のzsig39マウスの骨幹端の骨髄の脂肪スコアの平均%は、中空アデノウィルスを
投与されている雌のマウスより有意に大きかった(ダンの多重比較検定法によっ
て、p<0.05%) 。その外の検査された組織については有意な観察結果は得られ
なかった。
【0303】 上記のことから、本発明の特定の実施態様を、例示を目的として本明細書に記
載してきたが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく各種の変形を行えること
が分かる。したがって、本発明は前記特許請求の範囲によってのみ限定されるも
のである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の多重アラインメント(multiple alignment) ;ならびに本発明のzsig
39ポリペプチドおよびHUMUPST2.1 (配列番号:3)(Maedaら、Biochem. Biophys
. Res. Comm., 221(2)巻 286〜289 頁1996年); CIQA HUMAN(配列番号:4)(S
ellar ら、Biochem. J., 274巻 481〜490 頁1991年、Reid, Biochem. J., 179巻
367〜371 頁1979年およびReidら、Biochem. J., 203巻 559〜569 頁1982年);
HP25 TAMAS(配列番号:5)(Takamatsuら、Mol. Cell. Biol., 13巻1516〜1521
頁1993年およびKondo & Kondo, J. Biol. Chem., 267巻 473〜478 頁1992年);
HP27 TAMAS(配列番号:6)(TakamatsuらおよびKondo & Kondo の前掲報告);
およびCERL RAT(配列番号:7)(Wada とOhtani, Brain Res. Mol. Brain Res.
, 9巻71〜77頁1991年) を示す。
【図2】 多重アラインメントの図1に示す6種のタンパク質を比較してアミノ酸のアイ
デンティティの%を示すマトリックスである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 29/00 C07K 14/47 4H045 43/00 111 16/18 C07K 14/47 C12P 21/02 C 16/18 C12Q 1/68 A C12P 21/02 C12P 21/08 C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 A61K 37/12 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ヒュームス,ジャクリーン エム. アメリカ合衆国,ワシントン 98105,シ アトル,ノース イースト フィフティー セカンド 309 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 EA04 4B063 QA01 QA13 QA18 QQ02 QQ42 QQ53 QR08 QR55 QR62 QS02 QS25 QS34 4B064 AG01 AG27 CA19 CC24 DA01 DA13 4C084 AA01 AA06 AA07 BA01 BA18 BA20 BA22 BA41 CA53 DA37 DA40 ZC332 4C085 AA13 AA14 BB14 DD61 DD88 4H045 AA10 AA11 AA20 BA10 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:2と少なくとも80%同一であるアミノ酸残基の
    配列を有する単離されたポリペプチドであって;前記配列が、 配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 1
    64〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 および 226〜231 に相当しかつ少なく
    とも二つのアミノ酸残基で分離されているβ−ストランド;ならびに 配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 と 170〜174 を含有する受容体結合ド
    メイン; を有する単離されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 前記ポリペプチドが配列番号:2と少なくとも90%同一で
    ある請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 前記ポリペプチドが、少なくとも22個のコラーゲンリピー
    トを含有するコラーゲン様ドメインを有する請求項2に記載の単離されたポリペ
    プチド。
  4. 【請求項4】 前記ポリペプチドが配列番号:2の残基19〜243 を有する
    請求項2に記載の単離されたポリペプチド。
  5. 【請求項5】 アフィニティータグ類、毒素類、放射性ヌクレオチド類、酵
    素類および発蛍光団類からなる群から選択される部分が、アミノ末端またはカル
    ボキシ末端に共有結合されている請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  6. 【請求項6】 a)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基95
    までのアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド; b)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基96までのアミノ酸残
    基の配列を有するポリペプチド; c)配列番号:2のアミノ酸残基30から97までのアミノ酸残基の配列を有
    するポリペプチド; d)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基98までのアミノ酸残
    基の配列を有するポリペプチド; e)配列番号:2のアミノ酸残基98からアミノ酸残基243 までのアミノ酸残
    基の配列を有するポリペプチド; f)配列番号:2のアミノ酸残基99からアミノ酸残基243 までのアミノ酸残
    基の配列を有するポリペプチド; g)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基243 までのアミノ酸残
    基の配列を有するポリペプチド;ならびに h)アミノ酸配列が上記a),b),c),d),e),f),g)またはh
    )と90%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド; からなる群から選択される単離されたポリペプチド。
  7. 【請求項7】 ペプチド結合によって結合された第一部分と第二部分から本
    質上なる融合タンパク質であって; 前記第一部分が、 a)配列番号:2と少なくとも80%同一であるアミノ酸残基の配列を有する
    ポリペプチドであって;前記配列が、配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜109,
    128〜130, 136〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 お
    よび 226〜231 に相当しかつ少なくとも二つのアミノ酸残基で分離されているβ
    ストランド、ならびに配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 と 170〜174 を含
    有する受容体結合ドメインを有するポリペプチド; b)アミノ酸残基16からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ
    酸残基の配列を有するポリペプチド; c)アミノ酸残基1からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸
    残基の配列を有するポリペプチド; d)コラーゲン様ドメインまたは一量体化もしくはオリゴマー化することがで
    きるコラーゲン様ドメインの部分、を含有する配列番号:2に示すzsigポリペプ
    チドの部分; e)球状様ドメインまたは球状様ドメインの受容体結合部分を含有する配列番
    号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分;ならびに f)コラーゲン様ドメインと球状ドメインを含有する配列番号:2に示すzsig
    39ポリペプチドの部分; からなる群から選択されるポリペプチドを含有し、そして 前記第二部分が他のポリペプチドを含有している、融合タンパク質。
  8. 【請求項8】 前記第一部分が、 a)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基95までの配列を有す
    るポリペプチド; b)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基96までの配列を有す
    るポリペプチド; c)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基97までの配列を有す
    るポリペプチド; d)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基98までの配列を有す
    るポリペプチド; e)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基243 までの配列を有す
    るポリペプチド; f)配列番号:2のアミノ酸残基98からアミノ酸残基243 までの配列を有す
    るポリペプチド;および g)配列番号:2のアミノ酸残基99からアミノ酸残基243 までの配列を有す
    るポリペプチド; からなる群から選択される請求項7に記載の融合タンパク質。
  9. 【請求項9】 配列番号:2のアミノ酸残基1〜15または1〜18のアミ
    ノ酸配列を有し、追加のポリペプチドに作用可能に連結されている分泌シグナル
    配列を有する融合タンパク質。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載のポリペプチドを、医薬として許容できる
    賦形剤と組み合わせて含有する医薬組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載のポリペプチドのエピトープに特異的に結
    合する抗体。
  12. 【請求項12】 配列番号:2と少なくとも80%同一であるアミノ酸残基
    の配列を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって
    ;前記配列が、 配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 1
    64〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 および 226〜231 に相当しかつ少なく
    とも二つのアミノ酸残基で分離されているβ−ストランド;ならびに 配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 および 170〜174 を含有する受容体結
    合ドメイン; を有する単離されたポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 前記ポリペプチドが配列番号:2と少なくとも90%同一
    である請求項12に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  14. 【請求項14】 前記ポリペプチドが少なくとも22個のコラーゲンリピー
    トを含有するコラーゲン様ドメインを有する請求項12に記載の単離されたポリ
    ヌクレオチド。
  15. 【請求項15】 前記ポリヌクレオチドがDNA である請求項12に記載の単
    離されたポリヌクレオチド。
  16. 【請求項16】 a)配列番号:1のヌクレオチド243 からヌクレオチド96
    2 までのヌクレオチドの配列: b)配列番号:1のヌクレオチド252 からヌクレオチド962 までのヌクレオチ
    ドの配列; c)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド482 までのヌクレオチ
    ドの配列; d)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド485 までのヌクレオチ
    ドの配列; e)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド488 までのヌクレオチ
    ドの配列; f)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド491 までのヌクレオチ
    ドの配列; g)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド926 までのヌクレオチ
    ドの配列; h)配列番号:1のヌクレオチド491 からヌクレオチド926 までのヌクレオチ
    ドの配列; i)ヌクレオチド配列が上記a),b),c),d),e),f),g)およ
    びh)と少なくとも80%同一であるヌクレオチドの配列を有する、ポリペプチ
    ドをコードするポリヌクレオチド; j)上記a),b),c),d),e),f),g),h)またはi)に相補
    的なヌクレオチド配列;ならびに k)上記a),b),c),d),e),f),g),h),i)またはj)
    の縮重ヌクレオチド配列; からなる群から選択される単離されたポリヌクレオチド。
  17. 【請求項17】 特にペプチド結合によって結合された第一部分と第二部分
    からなる融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチドであって; 前記第一部分が、 a)配列番号:2と少なくとも80%同一であるアミノ酸残基の配列を有する
    ポリペプチドであって;前記配列が、配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜109,
    128〜130, 136〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 お
    よび 226〜231 に相当しかつ少なくとも二つのアミノ酸残基で分離されているβ
    ストランド、ならびに配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 と 170〜174 を含
    有する受容体結合ドメインを有するポリペプチド; b)アミノ酸残基16からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ
    酸残基の配列を有するポリペプチド; c)アミノ酸残基1からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸
    残基の配列を有するポリペプチド; d)コラーゲン様ドメインまたは二量体化もしくはオリゴマー化することがで
    きるコラーゲン様ドメインの部分、を含有する配列番号:2に示すzsigポリペプ
    チドの部分; e)球状様ドメインまたは球状様ドメインの活性部分を含有する、配列番号:
    2に示すzsig39ポリペプチドの部分;および f)コラーゲン様ドメインおよび球状ドメインを含む、配列番号:2に示すzs
    ig39ポリペプチドの部分 からなる群から選択され;そして 前記第二部分が他のポリペプチドを含有している、単離されたポリヌクレオチ
    ド。
  18. 【請求項18】 配列番号:2のアミノ酸残基1〜15または1〜18のア
    ミノ酸配列を有しかつ追加のポリペプチドに作用可能に連結されている分泌シグ
    ナル配列を有する融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】 配列番号:10のヌクレオチド1からヌクレオチド729 ま
    での配列を有する単離されたポリヌクレオチド。
  20. 【請求項20】 以下の作用可能に連結された要素、すなわち転写プロモー
    ター; 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA セグメント;および 転写ターミネーター; を含有する発現ベクター。
  21. 【請求項21】 前記DNA セグメントが、配列番号:2と少なくとも90%
    同一であるポリペプチドをコードする請求項20に記載の発現ベクター。
  22. 【請求項22】 前記DNA セグメントが、少なくとも22個のコラーゲンリ
    ピートを有するコラーゲン様ドメインとさらに有するポリペプチドをコードする
    請求項20に記載の発現ベクター。
  23. 【請求項23】 前記DNA セグメントが、アミノ末端またはカルボキ末端に
    アフィニティタグが共有結合されているポリペプチドをコードする請求項20に
    記載の発現ベクター。
  24. 【請求項24】 前記DNA セグメントが、さらに、前記ポリペプチドに作用
    可能に連結された分泌シグナル配列をコードする請求項20に記載の発現ベクタ
    ー。
  25. 【請求項25】 前記分泌シグナル配列が、配列番号:2の残基1〜15ま
    たは1〜18を含有している請求項20に記載の発現ベクター。
  26. 【請求項26】 以下の作用可能に連結された要素、すなわち、 転写プロモーター; 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA セグメント;および 転写ターミネーター; を含有する発現ベクターを導入された培養細胞であって;その細胞が前記DNA セ
    グメントがコードする前記ポリペプチドを発現する培養細胞。
  27. 【請求項27】 以下の作用可能に連結された要素、すなわち、 転写プロモーター; 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA セグメント;および 転写ターミネーター; を含有する発現ベクターを導入された細胞を培養し、その結果、前記細胞が、前
    記DNA セグメントがコードするポリペプチドを発現し;次いで 前記発現されたポリペプチドを回収する; ことを含んでなるポリペプチドの製造方法。
  28. 【請求項28】 配列番号:10のポリヌクレオチドまたは配列番号:10
    に相補的な配列の少なくとも14個の隣接ヌクレオチドを含有するオリゴヌクレ
    オチドのプローブまたはプライマー。
  29. 【請求項29】 請求項1に記載のポリペプチドの医薬として有効な投与量
    を投与することによる、遊離脂肪酸の代謝の調節方法。
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