JP3492999B2 - 脂肪細胞特異的タンパク質の同族体 - Google Patents

脂肪細胞特異的タンパク質の同族体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 エネルギー均衡(エネルギー代謝、栄養状態、脂質貯蔵
などを含む)は、健康状態を判断するのに重要な基準で
ある。このエネルギーホメオスタシスには、自発的機能
および非自発的機能を発揮するのに必要なエネルギーを
生成するための食物摂取および炭水化物と脂質の代謝が
含まれている。タンパク質の代謝によって、エネルギー
を生成させることができるが、筋肉の形成または修復を
行わせる方が好ましい。とりわけ、エネルギーホメオス
タシスが不充分であると、脂肪組織の形成が過剰になっ
たりまたは不足するようになる。
【0002】脂肪の生成と貯蔵は、インスリンによって
調節される。例えば、インスリンは、グルコースの細胞
内への輸送を刺激し、グルコースはその細胞内で代謝さ
れてα−グリセロリン酸になり、そのα−グリセロリン
酸は、脂肪酸類のエステル化反応に用いられて、脂肪酸
をトリグリセリドとして貯蔵できる。その上、脂肪細胞
は、その中への遊離脂肪酸の輸送を促進する特異的な輸
送タンパク質を発現する。
【0003】また、脂肪細胞は、グルコースおよび脂質
の代謝のホメオスタシスの制御を調節すると考えられて
いるいくつものタンパク質も分泌する。これら追加の脂
肪細胞分泌タンパク質としては、アジプシン、補体因子
のC3とB、腫瘍壊死因子α、ob遺伝子の産物および
Acrp30がある。脂肪細胞内に、インスリン調節分泌経路
が存在していることを示唆する証拠もある(Scherer
ら、J. Biol. Chem., 270 (45)巻 26746-26749頁1995
年)。脂肪組織の生成の過剰または不足によって一部、
影響を受けて、前記部分の分泌が過剰になったりまたは
不足すると、肥満または食欲不振と直接または間接的に
関連する病的状態になることがある。
【0004】Acrp30は、脂肪細胞が独占的に発現する、
247 個のアミノ酸からなるポリペプチドである。このAc
rp30ポリペプチドは、アミノ末端のシグナル配列、相同
性が分かっていない27個のアミノ酸のストレッチ、2
2個の完全なGly-Xaa-Pro または不完全なGly-Xaa-Xaa
のコラーゲンリピートおよびカルボキシ末端の球状ドメ
インで構成されている(前記Scherer らの文献および国
際特許願公開第WO96/39429号参照)。Acrp30は、インス
リンによって調節される豊富なヒト血清タンパク質であ
るが、特に、そのカルボキシ末端の球状ドメインが、補
体因子Clq および冬眠中のシベリアシマリスの夏季血清
タンパク質(summer serum protein) (Mib27)と構造が
類似している。Acrp30の発現は、脂肪細胞が分化する間
に 100倍以上誘発される。Acrp30は、エネルギー均衡を
調節したり、試験試料中に脂肪細胞を確認するのに使用
することが示唆されている。
【0005】脂肪細胞内で独占的に産生されると思われ
る他の分泌されるタンパク質はapM1である。これは、例
えば、Maeda ら、Biochem. Biophys. Res. Comm., 221
巻 286-289頁1996年に記載されている。4517bpのクロー
ンは、244 個のアミノ酸のオープンリーディングフレー
ムと長い3’非翻訳領域をもっていた。このタンパク質
は、シグナル配列、アミノ末端の非コラーゲン配列、2
2個のコラーゲンリピート(Gly-Xaa-Pro またはGly-Xa
a-Xaa)、およびコラーゲンX、コラーゲンVIIIおよび補
体タンパク質Clq と相同のカルボキシ末端領域を含有し
ていた。
【0006】補体因子Clq は、3種の類縁ポリペプチド
(A,BおよびC鎖)の6コピーからなり、そのポリペ
プチドは各々、約 225個のアミノ酸の長さを有し、類似
のアミノ末端コラーゲンドメインとカルボキシ末端球状
領域をもっている。6個の三重らせん領域が、6個のA
鎖、6個のB鎖および6個のC鎖のコラーゲンドメイン
によって形成されて、中央領域と6個の軸(stalk )部
分を形成している。球状のヘッド部分が、A鎖、B鎖お
よびC鎖の球状カルボキシ末端ドメインが会合して形成
されている。したがってClq は、6個のコラーゲン様軸
部分を通じて、中央のフィブリル領域に連結された6個
の球状ヘッドで構成されている(Sellarら、Biochem,
J., 274巻 481-490頁1991年)。この立体配置は、花束
(bouquetof flowers) と呼ばれることが多い。Acrp30
は、単一型のポリペプチド鎖で形成された類似の花束構
造を有している。
【0007】エネルギーホメオスタシスを調節できる分
子が、この現象を研究しかつ平衡異常を予防または治療
するために探究されている。また、脂肪細胞の分泌経路
を調節できる分子も、間接的なエネルギーホメオスタシ
ス調節剤としておよび試験剤として探究されている。本
発明は、これらの用途、および本明細書の教示によって
当業技術者には分かるはずである他の用途に用いるポリ
ペプチドを提供するものである。
【0008】本発明の要約 本発明の一つの側面で以下の単離されたポリペプチドが
提供される。すなわち、配列番号:2と少なくとも80
%同一であるアミノ酸残基の配列を有する単離されたポ
リペプチドであって;前記配列が配列番号:2のアミノ
酸残基の 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 1
64〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 および 226〜
231 に相当しかつ少なくとも二つのアミノ酸残基で分離
されているβストランド、ならびに配列番号:2のアミ
ノ酸残基 111〜135 および 170〜174 を含有する受容体
結合ドメインを有する単離されたポリペプチドが提供さ
れる。
【0009】一つの実施態様で、上記ポリペプチドは、
配列番号:2と少なくとも90%同一である。他の実施
態様で、上記ポリペプチドは、少なくとも22個のコラ
ーゲンリピートを有するコラーゲン様ドメインを含有し
ている。他の実施態様で、上記ポリペプチドは、配列番
号:2の残基19〜243 を含有している。さらに他の実施
態様で、上記ポリペプチドは、アミノ末端またはカルボ
キシ末端に、アフィニティータグ類、毒素類、放射性ヌ
クレオチド類、酵素類および発蛍光団類から成る群から
選択される成分が共有結合されている。
【0010】他の側面で、a)配列番号:2のアミノ酸
残基30からアミノ酸残基95までのアミノ酸残基の配
列を有するポリペプチド;b)配列番号:2のアミノ酸
残基30からアミノ酸残基96までのアミノ酸残基の配
列を有するポリペプチド;c)配列番号:2のアミノ酸
残基30から97までのアミノ酸残基の配列を有するポ
リペプチド;d)配列番号:2のアミノ酸残基30から
アミノ酸残基98までのアミノ酸残基の配列を有するポ
リペプチド;e)配列番号:2のアミノ酸残基98から
アミノ酸残基243までのアミノ酸残基の配列を有する
ポリペプチド;f)配列番号:2のアミノ酸残基99か
らアミノ酸残基243 までのアミノ酸残基の配列を有する
ポリペプチド;g)配列番号:2のアミノ酸残基30か
らアミノ酸残基243 までのアミノ酸残基の配列を有する
ポリペプチド;ならびにh)アミノ酸配列が、上記
a),b),c),d),e),f),g)またはh)
と90%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペ
プチドからなる群から選択される、単離されたポリペプ
チドが提供される。
【0011】他の側面で、特に、ペプチド結合によって
結合された第一部分と第二部分から本質上なる融合タン
パク質であって;第一部分が、a)配列番号:2と少な
くとも80%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポ
リペプチドであって;前記配列が、配列番号:2のアミ
ノ酸残基の 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146,
164〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 および 226
〜231 に相当しかつ少なくとも二つのアミノ酸残基で分
離されているβストランド、ならびに配列番号:2のア
ミノ酸残基 111〜135 および 170〜174 を含有する受容
体結合ドメインを有するポリペプチド;b)アミノ酸残
基16からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示す
アミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;c)アミノ
酸残基1からアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示
すアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;d)コラ
ーゲン様ドメインまたは二量体化もしくはオリゴマー化
が可能なコラーゲン様ドメインの部分を含有する、配列
番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分;e)球状様
ドメインまたはその球状様ドメインの受容体結合部分を
含有する配列番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部
分;並びにf)コラーゲン様ドメインと球状ドメインを
含有する配列番号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分
からなる群から選択されるポリペプチドを含有し、そし
て第二部分が他のポリペプチドを含有している融合タン
パク質が提供される。
【0012】一つの実施態様で、前記第一部分は、a)
配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基95
までの配列を有するポリペプチド;b)配列番号:2の
アミノ酸残基30からアミノ酸残基96までの配列を有
するポリペプチド;c)配列番号:2のアミノ酸残基3
0からアミノ酸残基97までの配列を有するポリペプチ
ド;d)配列番号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸
残基98までの配列を有するポリペプチド;e)配列番
号:2のアミノ酸残基30からアミノ酸残基243 までの
配列を有するポリペプチド;f)配列番号:2のアミノ
酸残基98からアミノ酸残基243 までの配列を有するポ
リペプチド;およびg)配列番号:2のアミノ酸残基9
9からアミノ酸残基243までの配列を有するポリペプ
チドからなる群から選択される。
【0013】他の側面で、配列番号:2のアミノ酸残基
1〜15または1〜18のアミノ酸配列を有し、追加の
ポリペプチドに作用可能に連結されている分泌シグナル
配列を有する融合タンパク質が提供される。さらに他の
実施態様で、上記ポリペプチドを、医薬として許容でき
る賦形剤と組み合わせて含有する医薬組成物が提供され
る。上記ポリペプチドのエピトープに特異的に結合する
抗体も提供される。
【0014】さらに、以下の単離されたポリヌクレオチ
ドが提供される。すなわち、配列番号:2と少なくとも
80%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプ
チドをコードする単離されたポリヌクレオチドであっ
て、前記配列が、配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜
109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜
182, 187〜200, 204〜210 および 226〜231 に相当しか
つ少なくとも二つのアミノ酸残基で分離されているβス
トランド、ならびに配列番号:2のアミノ酸残基111〜1
35 および 170〜174 を含有する受容体結合ドメインを
有する単離されたポリヌクレオチドが提供される。一実
施態様で、上記ポリペプチドは、配列番号:2と少なく
とも90%同一である。他の実施態様で、上記ポリペプ
チドは、少なくとも22個のコラーゲンリピートを含有
するコラーゲン様ドメインを有している。他の実施態様
で、そのポリヌクレオチドはDNA である。
【0015】他の側面で、a)配列番号:1のヌクレオ
チド243 からヌクレオチド962 までのヌクレオチドの配
列;b)配列番号:1のヌクレオチド252 からヌクレオ
チド962 までのヌクレオチドの配列;c)配列番号:1
のヌクレオチド285 からヌクレオチド482 までのヌクレ
オチドの配列;d)配列番号:1のヌクレオチド285か
らヌクレオチド485 までのヌクレオチドの配列;e)配
列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド488 ま
でのヌクレオチドの配列;f)配列番号:1のヌクレオ
チド285 からヌクレオチド491 までのヌクレオチドの配
列;g)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオ
チド926 までのヌクレオチドの配列;h)配列番号:1
のヌクレオチド491 からヌクレオチド926 までのヌクレ
オチドの配列;i)ヌクレオチド配列が上記a),
b),c),d),e),f),g)およびh)と少な
くとも80%同一のヌクレオチドの配列を有する、ポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチド;j)上記
a),b),c),d),e),f),g),h)また
はi)に相補的なヌクレオチド配列;ならびにk)上記
a),b),c),d),e),f),g),h),
i)またはj)の縮重ポリヌクレオチド配列からなる群
から選択される単離されたポリヌクレオチドが提供され
る。
【0016】他の側面で、特に、ペプチド結合によって
結合された第一部分と第二部分から本質上なる融合タン
パク質をコードする単離されたポリヌクレオチドであっ
て;第一部分が、a)配列番号:2と少なくとも80%
同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチドで
あって;前記配列が、配列番号:2のアミノ酸残基の10
5〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 164〜171, 17
6〜182, 187〜200, 204〜210 および 226〜231 に相当
しかつ少なくとも二つのアミノ酸残基で分離されている
βストランド、ならびに配列番号:2のアミノ酸残基 1
11〜135 および170〜174 を含有する受容体結合ドメイ
ンを有するポリペプチド;b)アミノ酸残基16からア
ミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸残基
の配列を有するポリペプチド;c)アミノ酸残基1から
アミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸残
基の配列を有するポリペプチド;d)コラーゲン様ドメ
インまたは二量体化もしくはオリゴマー化が可能なコラ
ーゲン様ドメインの部分を含有する、配列番号:2に示
すzsig39ポリペプチドの部分;e)球状様ドメインまた
は球状様ドメインの活性部分を含有する、配列番号:2
に示すzsig39ポリペプチドの部分;およびf)コラーゲ
ン様ドメインおよび球状ドメインを有する、配列番号:
2に示すzsig39ポリペプチドの部分、からなる群から選
択され、そして第二部分が他のポリペプチドを含有して
いる融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレ
オチドが提供される。
【0017】他の側面で、配列番号:2のアミノ酸残基
1〜15または1〜18のアミノ酸配列を有しかつ追加
のポリヌクレオチドに作用可能に連結されている分泌シ
グナル配列を有する融合タンパク質をコードする単離さ
れたポリヌクレオチドが提供される。さらに他の側面
で、配列番号:10のヌクレオチド1からヌクレオチド
729 までの配列を有する単離されたポリヌクレオチドが
提供される。
【0018】また、以下の作用可能に連結された要素、
すなわち転写プロモーター、上記ポリペプチドをコード
するDNA セグメント、および転写ターミネーターを含有
する発現ベクターが提供される。一実施態様で、そのDN
A セグメントは、配列番号:2と少なくとも90%同一
のポリペプチドをコードする。他の実施態様で、そのDN
A セグメントは、さらに、少なくとも22個のコラーゲ
ンリピートを含有するコラーゲン様ドメインを有するポ
リペプチドをコードしている。さらに他の実施態様で、
そのDNA セグメントは、アミノ末端またはカルボキシ末
端にアフィニティータグが共有結合されたポリペプチド
をコードしている。さらに他の実施態様で、そのDNA セ
グメントは、さらに、前記ポリペプチドに作用可能に連
結された分泌シグナル配列をコードしている。さらに他
の実施態様で、前記分泌シグナル配列は、配列番号:2
の残基1〜15または1〜18を含有している。
【0019】また、以下の作用可能に連結された要素、
すなわち転写プロモーター、上記ポリペプチドをコード
するDNA セグメントおよび転写のターミネーターを含有
する発現ベクターを導入された培養細胞であって、その
細胞が前記DNA セグメントがコードするポリペプチドを
発現する培養細胞が提供される。他の側面で、以下の作
用可能に連結された要素すなわ転写プロモーター、上記
ポリペプチドをコードするDNA セグメントおよび転写タ
ーミネーターを含有する発現ベクターを導入された細胞
を培養と、その結果その細胞が前記DNA セグメントがコ
ードするポリペプチドを発現し;次に、発現されたポリ
ペプチドを回収することを含んでなるポリペプチドの製
造方法が提供される。
【0020】他の側面で、配列番号:10のポリヌクレ
オチドまたは配列番号:10に相補的な配列の少なくと
も14個の隣接ヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオ
チドのプローブまたはプライマーが提供される。さらに
他の側面で、上記ポリペプチドの医薬して有効な投与量
を投与することによる、遊離脂肪酸の代謝の調節方法が
提供される。
【0021】発明の詳細な説明 本発明を詳細に説明する前に、以下の用語を定義するこ
とは、本発明を理解するのに役立つであろう。用語“ア
フィニティータグ”は、本明細書で使用する場合、第二
ポリペプチドを精製もしくは検出するため、または第二
ポリペプチドを基体に連結するための部位を提供するた
めに、第二ポリペプチドに連結できるポリペプチドセグ
メントを意味する。原則として、抗体などの特異的結合
体を利用できるいずれのペプチドまたはタンパク質もア
フィニティータグとして使用できる。
【0022】アフィニティータグとしては、ポリヒスチ
ジントラクト(poly-histidine tract)、プロテインA
(Nilsson ら、EMBO J., 4巻1075頁1985年;Nilsson
ら、 Methods Enzymol., 198巻3頁1991年)、グルタチ
オンSトランスフェラーゼ(Smith および Johnson, Ge
ne, 67巻31頁1988年)、サブスタンスP,Flag(登録商
標)ペプチド(Hoppら、Biotechnology, 6巻 1204-1210
頁1988年;米国コネティカット州ニューヘブン所在のEa
stman Kodak Co. から入手できる)、Glu-Glu アフィニ
ティータグ(Grussenmeyerら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 82巻7925-4頁1995年)、ストレプタビジン結合ペ
プチド、またはその外の抗原エピトープもしくは結合ド
メインがある(一般に、Fordら、Protein Expression a
nd Purification, 2巻95-107頁1991年参照)。アフィニ
ティータグをコードするDNA は、商業供給業者(例えば
米国ニュージャージー州ピスカタウェイ所在のPharmaci
a Biotech)から入手できる。
【0023】用語“対立遺伝子変異体”は、同じ染色体
遺伝子座を占める2種以上の別の形態の遺伝子を意味す
る。対立遺伝子の変化は、突然変異によって自然に起こ
って、生物集団内に表現型多型性をもたらす。遺伝子の
突然変異は沈黙突然変異(コードされるポリペプチドに
全く変化がない)の場合があり、または変化したアミノ
酸配列を有するポリペプチドをコードすることがある。
用語“対立遺伝子変異体”は、本明細書で使用する場
合、対立遺伝子変異体がコードするタンパク質を意味す
ることもある。
【0024】用語“アミノ末端”および“カルボキシル
末端”は、本明細書で使用する場合、ポリペプチドおよ
びタンパク質内の位置を意味する。場合によって、これ
らの用語は、ポリペプチドまたタンパク質の特定の配列
または部分に対して用いられ、近位位置または相対位置
を意味する。例えば、タンパク質内の基準配列に対して
カルボキシル末端側に位置する特定の配列はその基準配
列のカルボキシ末端に対し近位に位置しているが、完全
タンパク質のカルボキシル末端に必ずしも位置していな
い。
【0025】用語“コラーゲンドメインまたはコラーゲ
ン様ドメイン”は、一連のトリプレットリピーティング
アミノ酸配列、すなわち“リピート”もしくは“コラー
ゲンリピート”、Gly-Xaa-Pro もしくはGly-Xaa-Xaa (X
aaはいずれかのアミノ酸残基である)を意味する。かよ
うなドメインは、22個以上もの多数のコラーゲンリピ
ートを含有している。かようなコラーゲン様ドメインを
含有するフラグメントまたはタンパク質は、ホモマー構
造体(homomeric construct)(同じフラグメントまたは
タンパク質の二量体またはオリゴマー)を形成す るこ
とができる。さらに、かようなコラーゲン様ドメインを
含有するかようなフラグメントまたはタンパク質は、ヘ
テロマー構造体(heteromeric construct)(異なるフラ
グメントまたはタンパク質の二量体またはオリゴマー)
を形成することができる。
【0026】用語“相補/抗相補対”は、適当な条件下
で共有結合ではない結合で安定な対を形成する同一でな
い部分を意味する。例えばビオチンとアビジン(または
ストレプタビジン)は、相補/抗相補対の表現型のメン
バーである。他の代表的な相補/抗相補対としては、受
容体/リガンド対、抗体/抗原(またはハプテンもしく
はエピトープ)対、センス/アンチセンスポリヌクレオ
チド対などがある。上記相補/抗相補対が続いて解離す
ることが望ましい場合は、その相補/抗相補対の結合ア
フィニティーが<109 -1であることが好ましい。
【0027】用語“ポリヌクレオチド分子の相補体”
は、基準配列に対して、相補的な延期配列を有しかつ配
向が逆のポリヌクレオチド分子を意味する。例えば、配
列5'ATGCACGGG3' は5'CCCGTGCAT3' に対し相補的であ
る。用語“コンティグ(contig) ”は、他のポリヌクレ
オチドと同一または相補的な配列の隣接ストレッチを有
するポリヌクレオチドを意味する。隣接配列は、与えら
れたストレッチのポリヌクレオチド配列のストレッチの
全体または一部にそって“オーバーラップ”するといわ
れている。例えば、ポリヌクレオチド配列5'-ATGGCTTAG
CTT-3'に対する代表的なコーティングは、5'-TAGCTTgag
tct-3'および3'-gtcgacTACCGA-5'である。
【0028】用語“縮重ヌクレオチド配列”は、一つ以
上の縮重コドン(一つのポリペプチドをコードする基準
ポリヌクレオチド分子と比べて)を含有するヌクレオチ
ドの配列を意味する。縮重コドンは、ヌクレオチドの異
なるトリプレットを含有しているが、同じアミノ酸残基
をコードする(すなわち、GAU およびGAC のトリプレッ
トは各々Asp をコードする)。
【0029】用語“発現ベクター”は、線形または円形
のDNA 分子であって;そのDNA を転写する追加のセグメ
ントに作用可能に連結された、注目されているポリペプ
チドをコードするセグメントを含有するDNA 分子を意味
する。かような追加のセグメントとしては、プロモータ
ーとターミネーターの配列があり、任意に、一つ以上の
複製起点、一つ以上の選択マーカー、エンハンサーポリ
アデニル化シグナルなどがある。発現ベクターは一般に
プラスミドまたはウイルスDNA から誘導されるかまたは
両者の要素を含有していてもよい。
【0030】用語“単離された”は、ポリヌクレオチド
に適用される場合、そのポリヌクレオチドが、その自然
の遺伝環境から取り出されて他の異質のまたは不要のコ
ード配列を含有せず、遺伝子工学によってつくられたタ
ンパク質産生システムで使用するのに適した形態である
ことを意味する。このような単離された分子は、その自
然環境から分離され、これら分子としてはcDNAとゲノム
クローンがある。本発明の単離されたDNA 分子は、通
常、結合している他の遺伝子を含有していないが、プロ
モーターやターミネーターなどの天然に存在している
5’と3’の非翻訳領域を含有していてもよい。結合さ
れている領域を確認する方法は、当業技術者にとって明
らかである(例えば、Dyman とTijan, Nature, 316巻 7
74-778頁1985年参照)。
【0031】“単離された”ポリペプチドまたはタンパ
ク質は、その自然環境以外の条件、例えば血液や動物の
組織から隔離された条件内にあるポリペプチドまたはタ
ンパク質である。好ましい形態の単離されたポリペプチ
ドは、他のポリペプチド特に動物起原の他のポリペプチ
ドを実質的に含有していない。高度に精製された形態、
すなわち95%を超える純度、より好ましくは99%を
超える純度のポリペプチドを提供することが好ましい。
この意味で用いる場合、用語“単離された”は、二量体
あるいはグリコシル化もしくは誘導体化された形態など
の別の物理的形態の同じポリペプチドが存在しているこ
とも含んでいる。
【0032】用語“作用可能に連結された”は、DNA セ
グメントに用いた場合、それらのセグメントが、その意
図する目的と呼応して機能するように、例えば転写がプ
ロモーターで開始し、コードセグメントを通じてターミ
ネーターまで進行するように配列されていることを意味
している。用語“オーソログ(ortholog) ”は、異なる
種由来のポリペプチドまたはタンパク質の機能上の対応
物である、一つの種から得たポリペプチドまたはタンパ
ク質を意味する。オーソログ間の配列の差は種の分化に
よる差である。“パラログ(paralog )”は、生物がつ
くる、異なっているが構造が同類のタンパク質である。
パラログは、遺伝子重複によって生じると考えられてい
る。例えば、α−グロブリン、β−グロブリンおよびミ
オグロブリンは互いにパラログである。
【0033】用語“ポリヌクレオチド”は、5’末端か
ら3’末端へと読み取られる。デオキシリボヌクレオチ
ドまたはリボヌクレオチドの塩基の一本鎖または二本鎖
の重合体を意味する。ポリヌクレオチドとしてはRNA と
DNA があり、天然の起源から単離したり、生体外で合成
したり、または天然の分子と合成分子を組み合わせてつ
くることができる。ポリヌクレオチドの大きさは、塩基
対(短縮して“bp”)、ヌクレオチド(“nt”)または
“キロ塩基”(“kb”)で表わす。場合によっては、後
者の二つの用語は、一本鎖または二本鎖のポリヌクレオ
チドを示すことができる。
【0034】前記用語は、二本鎖分子に適用する場合、
全長を意味するために使用されるので用語“塩基対”が
相当していると解される。二本鎖ポリヌクレオチドの二
つのストランドは長さがわずかに異なり、その末端は、
酵素による開裂のため食いちがっているので、二本鎖ポ
リヌクレオチド分子内の全ヌクレオチドが対になってい
るわけではないことは、当業技術者には分かっている。
このような対になっていない末端は一般に2ntの長さを
超えない。“ポリペプチド”は、天然または合成で産生
されるかにかかわらず、ペプチド結合で結合されたアミ
ノ酸残基の重合体を意味する。アミノ酸残基の数が約1
0個より少ないポリペプチドは、通常、“ペプチド”と
呼称される。
【0035】用語“プローブおよび/またはプライマ
ー”は、本明細書で使用する場合、RNA またはDNA を意
味する。DNA はcDNAまたはゲノムDNA を意味する。ポリ
ヌクレオチドのプローブとプライマーは一本鎖または二
本鎖のDNA またはRNA であって一般に合成のオリゴヌク
レオチドであるが、クローン化cDNAもしくはゲノム配列
またはその相補体でつくることができる。分析用プロー
ブは、一般に少なくとも20個のヌクレオチドの長さで
あるが、いくらか短いプローブ(14〜17個のヌクレ
オチド)を使用できる。
【0036】PCR 用のプライマーは、少なくとも5個の
ヌクレオチドの長さであり、好ましくは15以上のntで
あり、より好ましくは20〜30ntである。遺伝子の小
領域を分析の標的にしている場合は、短いポリヌクレオ
チドを使用できる。遺伝子の全分析を行うには、ポリヌ
クレオチドプローブは全エキソン以上を含有している。
プローブは、検出シグナルを提供するため、例えば、酵
素、ビオチン、放射性核種、発蛍光団、化学発光体、常
磁性粒子などで、当該技術分野で公知の方法を用いて標
識してもよい。なおこれらの標識は、米国オレゴン州ユ
ージーン所在のMolecular Probes, Inc.および米国イリ
ノイ州アーリントンハイツ所在のAmersham Corp.など多
数の製造元が市販している。
【0037】用語“プロモーター”は、RNA ポリメラー
ゼに結合して転写を開始させるDNA配列を含有する遺伝
子の部分を意味する。プロモーターの配列は、常にそう
であるわけではないが、通常、遺伝子の5’非コード領
域に見られる。“タンパク質”は一つ以上のポリペプチ
ド連鎖を含有する巨大分子を意味する。タンパク質は、
炭水化物の基などの非ペプチドの成分を含有しているこ
ともある。炭水化物などの非ペプチドの置換体は、その
タンパク質が産生される細胞によってタンパク質に付加
することができ、細胞の種類によって変化する。本明細
書で、タンパク質はそのアミノ酸のバックボーン構造に
よって定義され、炭水化物の基などの置換基は一般に記
載されないが存在していることがある。
【0038】用語“受容体”は、生物活性分子(すなわ
ちリガンド)に結合して、細胞に対するリガンドの作用
を仲介する細胞関連タンパク質を意味する。膜結合受容
体は、細胞外のリガンド結合ドメインと、一般にシグナ
ル伝達に関与している細胞内エフェクタードメインとを
含有するマルチドメイン構造を特徴としている。リガン
ドが受容体に結合すると、その受容体の立体配座が変化
して、細胞内のエフェクタードメインと他の分子との相
互作用を起こさせる。続いて、この相互作用によって、
細胞の代謝が変化する。
【0039】受容体−リガンドの相互作用に関連する代
謝事象としては、遺伝子の転写、リン酸化、脱リン酸
化、サイクリックAMP 産生の増大、細胞カルシウムの可
動化、膜脂質の可動化、細胞接着、イノシトール脂質の
加水分解およびリン脂質の加水分解がある。また、大部
分の核内受容体もマルチドメイン構造を示し、アミノ末
端のトランス活性化ドメイン、DNA 結合ドメインおよび
リガンド結合ドメインが含まれている。一般に、受容体
は、膜に結合しているか、細胞質内かまたは核内の受容
体であり、また単量体(例えば甲状腺刺激ホルモン受容
体、βアドレナリン受容体)、または多量体(例えばPD
GF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容体、GM-CSF受
容体、G-CSF 受容体、エリトロポエチン受容体およびIL
-6受容体)である。
【0040】用語“分泌シグナル配列”は、大きいポリ
ペプチドの成分として、その大きなポリペプチドを、こ
のペプチドが合成される細胞の分泌経路を通じて導びく
ポリペプチド(“分泌ペプチド”)をコードするDNA 配
列を意味する。その大きいペプチドは、その分泌経路を
通過中に、通常、切断されて分泌ペプチドを放出する。
【0041】“可溶性受容体”は、細胞膜に結合されて
いない受容体ペプチドを意味する。可溶性受容体は、膜
貫通ドメインと細胞質ドメインを欠いていることが最も
一般的である。可溶性受容体は、ポリペプチドの精製を
行うため、またはポリペプチドを基体もしくは免疫グロ
ブリンの定常部の配列に結合させる部位を提供するため
のアフィニティータグなどの追加のアミノ酸残基を含有
させることができる。多くの細胞表面受容体は、タンパ
ク質分解反応によって産生されるか、または選択的にス
プライスされたmRNAから翻訳される、天然に存在する可
溶性の対応物をもっている。受容体ポリペプチドは、膜
の固体またはシグナルの伝達それぞれを行うのに十分な
膜貫通および細胞内のポリペプチドセグメントの部分を
欠いている場合、これらのセグメントを実質的に含有し
ていないといわれている。
【0042】用語“スプライス変異体”は、本明細書で
使用する場合、遺伝子から転写されるRNA の別の形態を
意味する。スプライス変異は、転写されたRNA 分子内の
別のスプライシング部位を利用して自然に起こるか、ま
たは余り一般的ではないが別個に転写されたRNA 分子間
で起こって、同じ遺伝子からいくつものmRNAが転写され
る。スプライス変異体は変化したアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードする。また、用語スプライス変異
体は、本明細書で使用する場合、遺伝子から転写された
mRNAのスプライス変異体がコードするタンパク質を意味
することもある。
【0043】不正確な分析法(例えばゲル電気泳動法)
で測定された重合体の分子量と長さは、おおよその値で
あるとする。このような値は、“約”Xまたは“おおよ
そ”Xであると表現された場合、Xについて述べられた
値は、精度が±10%であるとする。本明細書に引用さ
れた文献はすべて、その全体を本明細書に援用するもの
である。
【0044】本発明は、脂肪細胞補体関連タンパク質
(adiposite complement related protein)(Acrp30)
に相同のポリペプチドをコードする新規なDNA 配列の発
見に、一部基づいている(例えば、Scherer ら、J. Bio
l. Chem., 270 (45)巻 26746-26749頁1995年参照)。ポ
リペプチドAcrp30は配列番号:8に示してある。Acrp30
は、ヒトapM1(図1と2のHUMUPST2 1、配列番号:3)
に高度に類似しているようであり、その分泌配列に最も
有意な差が見られる。
【0045】この新規なDNA 配列は、アミノ末端のシグ
ナル配列、非相同の隣接するN−末端領域、Gly-Xaa-Xa
a もしくはGly-Xaa-Pro のリピートからなる端を切り取
られたコラーゲンドメイン、およびカルボキシル末端の
球状部分を有するポリペプチドをコードする。またこの
新規なポリヌクレオチド配列は、長い3’非翻訳領域も
含有している。上記の一般的なポリペプチド構造は、Ac
rp30(配列番号:8)とHUMUPST2 1(配列番号:3)が
共有している。またHUMUPST2 1 DNA配列(配列番号:
9)は、長い3’非翻訳領域を特徴としている。
【0046】さらに、Acrp30と、図1に列挙されている
すべての配列は、CERL RAT(配列番号:7)を除いて、
図1と配列番号:2に示すようにzsig39ポリペプチドの
144位に保存システイン残基を共有している。前記列挙
されたタンパク質のカルボキシ末端の球状部分に見られ
る他の相同領域は、他のファミリーメンバーを探究する
のに有用なプライマーとして、本明細書で確認されてい
る。Acrp30は、例えば、これらプライマーを用いる探索
で確認できるであろう。また、本発明のzsig39ポリペプ
チドは、推定の細胞結合部位、すなわち配列番号:2の
アミノ酸残基77〜79におけるRGD モチーフを有して
いる(前記REG ペプチドモチーフと接着におけるその役
割に関する考察については、例えばRuoslahti と Piers
chbacher, Cell, 44巻517-518 頁1986年とd'Souza ら、
Trends Biochem. Sci., 16巻246-250 頁1991年参照)。
【0047】この新規なDNA に対応するmRNAの組織内分
布の分析を、本明細書の実施例2に記載したようにして
実施した。一つの転写産物の大きさは約 1.2kbと測定さ
れた。シグナルの強度は、小腸と心臓で最大であり、膵
臓、骨格筋、腎臓および甲状腺では比較的小さく、そし
て胎盤、肺臓、肝臓、脾臓、前立腺、卵巣、結腸、胃、
脊髄、リンパ節、気管、副腎および骨髄ではシグナルの
強度は低かった。そのポリペプチドはzsig39ポリペプチ
ドと命名されている。ドットブロット試験は、zsig39ポ
リペプチドが視床下核、海馬、延髄および視床で発現さ
れることを示した。ヒトの腸のブロットは、ヒトの結腸
の腺癌細胞系SW480 、小腸組織、胃組織正常なヒト結腸
細胞系、FHC 、および正常な胎児の小腸細胞系FHs74Int
内での発現を示した。
【0048】本発明の新規なzsig39ポリペプチドは、分
泌シグナル配列のEST データベースに問い合わせること
によって、初めて確認されたのであり、分泌されたタン
パク質を選択できるように、上流のメチオニン出発部
位、約13個のアミノ酸の疎水性領域および開裂部位を
特徴としている。それらの探索基準に合致するEST に対
応するポリペプチドを、既知の配列と比べて、既知のリ
ガンドに相同の分泌されたタンパク質を確認した。単一
のEST 配列を発見して、分泌されたタンパク質であると
予想した。全長のcDNAがコードする新規なポリペプチド
によって、脂肪細胞補体関連タンパク質Acrp30(配列番
号:8)と脂肪細胞分泌タンパク質apM1(図1と2のHU
MUPST2 1、配列番号:3)の相同関係(homolog relati
onship) を確認することができる。
【0049】また、いくぶん低い相同性が、図1と2に
示されているように、補体成分のClq 連鎖、冬眠中のシ
ベリアウッドチャックの活性状態で観察される二つの因
子〔HP25 TAMAS(配列番号:5)とHP27 TAMAS(配列番
号:6)〕、およびラットの脳タンパク質(CERL RAT、
配列番号:7)でも確認された。zsig39ポリペプチドの
全配列は、それを含有していると考えられる単一クロー
ンから得た。なおそのクローンは肺組織のライブラリー
から得た。かようなクローンを探索できる他のライブラ
リーとしては、心臓、小腸、膵臓、骨格筋、腎臓、甲状
腺、視床下核、海馬、延髄および視床などのライブラリ
ーがある。
【0050】N末端EST のヌクレオチド配列は配列番
号:1に記載されており、そしてその推定アミノ酸配列
は配列番号:2に記載されている。先に一般的に述べた
ように、zsig39ポリペプチドは、アミノ酸1(Met)から
アミノ酸残基15 (Gly)までの範囲内のシグナル配列をも
っている。別のシグナル配列は、アミノ酸1(Met)から
アミノ酸18 (Pro)までの範囲内にある。したがってその
成熟ポリペプチドは、アミノ酸16 (Ser)または19 (Leu)
からアミノ酸243 (Ala)までの範囲内にある。成熟ポリ
ペプチド内に、限定された相同性を有するN末端領域
が、アミノ酸残基20(Asp)と29 (Pro)の範囲内に見られ
る。
【0051】すなわち、28位のシステインは、HUMUPS
T2 1の36位およびHP25 TAMASとHP27 TAMASのN末端領
域に見られるシステインと類似の構造/機能を提供す
る。さらに、コラーゲンドメインが、アミノ酸30 (Gly)
と、95 (Ala)、96 (Gly)、97 (Glu)または98 (Cys)との
間に見られる。このコラーゲンドメインにおいて、9個
の完全なGly-Xaa-Pro リピートと13個または14個の
不完全なGly-Xaa-Xaa リピートが観察される。Acrp30は
22個の完全なまたは不完全なリピートを含有してい
る。
【0052】また、zsig39ポリペプチドは、ほぼアミノ
酸98 (Cys)または99 (Ser)から243(Ala)までの範囲内
のカルボキシ末端球状ドメインを有している。Acrp30の
球状ドメインは10βストランド“ゼリーロール(jell
y roll)形態であることが確認されており(Shapiro と
Scherer, Curr. Biol., 8巻 335-338頁1998年)、そし
て配列番号:2で表されるzsig39の配列は、この構造の
すべての10個のβストランド(配列番号:2のアミノ
酸残基 105〜109, 128〜130, 136〜139, 143〜146, 164
〜171, 176〜182, 187〜200, 204〜210 および 226〜23
1)を含有している。これらのストランドはそれぞれ、
“A”,“A′”,“B”,“B′”,“C”,
“D”,“E”,“F”,“G”および“H”と命名さ
れている。
【0053】また、二つの受容体結合ループ、すなわち
配列番号:2に示すアミノ酸残基 111〜139 と 170〜18
2 がある。コア受容体結合領域は、配列番号:2のアミ
ノ酸残基 111〜135 と 170〜174 を含有していると予想
される。当業技術者には、これらの境界がおおよそのも
のであり、既知のタンパク質の配置(alignment) とタン
パク質の折りたたみの予測に基づいていることが分かっ
ている。アミノ酸残基149 (Glu)、151 (Tyr)、199 (L
eu)および227 (Phe) は、CD40, TNFα,Acrp30とzsig
39を含むスーパーファミリー全体にわたって保存されて
いるようである。本発明のタンパク質は、配列番号:2
と少なくとも80%同一のアミノ酸残基の配列を有して
いる。本発明の特定の実施態様で、上記配列は、配列番
号:2と少なくとも90%または95%同一である。
【0054】本発明の他の側面として、zsig39ポリペプ
チドのフラグメントがある。好ましいフラグメントとし
ては、配列番号:2のアミノ酸30 (Gly)からアミノ酸95
(Ala)、96 (Gly)、97 (Glu)または98 (Cys)までの範囲
内の、zsig39ポリペプチドのコラーゲン様ドメイン、前
記コラーゲン様ドメインを含有するzsig39ポリペプチド
の部分、または二量体化またはオリゴマー化することが
できる前記コラーゲン様ドメインの部分がある。これら
のフラグメントは、コラーゲンの二量体化またはオリゴ
マー化の研究を行うのにまたは融合タンパク質を製造す
るのに(以下に詳細に述べる)特に有用である。
【0055】このようなフラグメントをコードするポリ
ヌクレオチドも、本発明に含まれるが、これらポリヌク
レオチドとしては、(a)ヌクレオチド1,198, 242,
251または285 からヌクレオチド482, 485, 488 または4
91 までの配列番号:1に示すヌクレオチドの配列を有
するポリヌクレオチド分子;(b)アミノ酸残基30 (Gl
y)からアミノ酸残基96 (Gly)、97 (Glu)、98 (Cys)まで
の配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも80%同一
であるzsig39ポリペプチドフラグメントをコードするポ
リヌクレオチド分子;(c)(a)または(b)に相補
的な分子;および(f)zsig39ポリペプチドのコラーゲ
ン様ドメインのフラグメントをコードする縮重ヌクレオ
チド配列からなる群がある。
【0056】かようなコラーゲン様ドメインを含有する
かようなフラグメントまたはタンパク質は、ホモマー構
造体(同じフラグメントまたはタンパク質の二量体また
はオリゴマー)を形成することができる。さらに、かよ
うなコラーゲン様ドメインを含有するかようなフラグメ
ントまたはタンパク質は、ヘテロマーの構造体(異なる
フラグメントまたはタンパク質の二量体またはオリゴマ
ー)を形成することができる。ヘテロマー構造体の他の
成分としては、Acrp30および本明細書に記載されている
かまたは当該技術分野で知られているコラーゲン様ドメ
インを特徴とする他のポリペプチドがある。これらのホ
モマーおよびヘテロマーの構造体を、本発明は目的とし
ている。
【0057】他の好ましいフラグメントとしては、配列
番号:2のアミノ酸98 (Cys)または99 (Ser)から243 (A
la) まで、特に配列番号:2のアミノ酸残基105 から23
1 までの範囲内の、zsig39ポリペプチドの球状ドメイ
ン、すなわち球状様ドメインまたは球状様ドメインの活
性部分を含有するzsig39ポリペプチドの部分がある。こ
れらのフラグメントは、エネルギー均衡または神経伝
達、特に食事もしくはストレス関連の神経伝達の研究も
しくは調節を行うのに特に有用である。また、かような
フラグメントには、抗微生物活性もある。Acrp30タンパ
ク質の球状ドメインは、三量体の多量体と類似している
ことが報告されている。これら三量体はホモマーまたは
ヘテロマーである(Shapiro とScherer ibid)。また、
かようなフラグメントは、zsig39、ならびにAcrp30およ
び TNFαなどの他の類縁タンパク質の多量体化および受
容体との結合を研究するのに有用であろう。
【0058】かようなフラグメントをコードするポリヌ
クレオチドも本発明に含まれ、これらポリヌクレオチド
としては、(a)ヌクレオチド489 または492 からヌク
レオチド926 または1347までの配列番号:1に示すヌク
レオチドの配列を含有するポリヌクレオチド分子;
(b)アミノ酸残基98 (Cys)または99 (Ser)からアミノ
酸残基243 (Ala)までの配列番号:2のアミノ酸配列に
少なくとも80%同一であるzsig39ポリペプチドフラグ
メントをコードするポリヌクレオチド分子;(c)
(a)または(b)に相補的な分子;および(f)zsig
39ポリペプチドの球状ドメインのフラグメントをコード
する縮重ヌクレオチド配列からなる群がある。
【0059】本発明の他のzsig39ポリペプチドのフラグ
メントは、配列番号:2のアミノ酸残基30 (Gly)から24
3 (Ala)までにわたるコラーゲン様ドメインおよび球状
ドメインの両者を含む。かようなフラグメントをコード
するポリヌクレオチドも本発明に含まれ、これらポリヌ
クレオチドとしては、(a)ヌクレオチド285 からヌク
レオチド926 または1347までの配列番号:1に示すヌク
レオチドの配列を含有するポリヌクレオチド分子;
(b)アミノ酸残基30 (Gly)からアミノ酸残基243(Al
a)までの配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも8
0%同一であるzsig39ポリペプチドフラグメントをコー
ドするポリヌクレオチド分子;(c)上記(a)または
(b)に相補的な分子;および(f)zsig39ポリペプチ
ドのコラーゲン様ドメイン−球状ドメインのフラグメン
トをコードする縮重ヌクレオチド配列からなる群があ
る。
【0060】zsig39フラグメントは、当該技術分野で公
知の方法にしたがって、このフラグメントの抗微生物特
性について評価できる〔例えば、Barsumら、Eur. Respi
r. J., 8 (5)巻 709-714頁1995年;Sandovsky-Losica
ら、J. Med. Vet. Mycol. (England), 28 (4) 巻 279-2
87頁1990年;Mehenteeら、J. Gen. Microbiol (Englan
d), 135 (Pt.8) 巻 2181-2188頁1989年;Segal およびS
avage, Journal of Medical and Veterinary Mycology,
24巻 477-479頁1986年など参照〕。
【0061】所望の場合、上記の点について、zsig39ポ
リペプチドフラグメントの性能を、この点について機能
しうることが知られているタンパク質、例えば、プロリ
ンが豊富なタンパク質、リゾチーム、ヒスタチン類、ラ
クトペルオキシダーゼなどと比較することができる。さ
らに、zsig39ポリペプチドフラグメントは、一種以上の
抗微生物剤と組み合わせて評価し、相乗効果を確認する
ことができる。当業技術者には、zsig39ポリペプチド
類、融合タンパク質類、アゴニスト類、アンタゴニスト
類および抗体類の抗微生物特性を同様に評価できること
が分かる。
【0062】また、本発明のzsig39ポリペプチドフラグ
メント類とzsig39ポリペプチド類、融合タンパク質類、
アゴニスト類、アンタゴニスト類または抗体類は、神経
伝達物質または神経伝達モジュレーターとして、カルシ
ウムイオンの濃度、筋収縮、ホルモン分泌、DNA の合成
もしくは細胞成長、イノシトールリン酸の代謝、アラキ
ドン酸の放出、ホスホリパーゼ−Cの活性化、胃内容排
出、ヒト好中球の活性化もしくはADCCの性能、スーパー
オキシドアニオンの産生などを調節する。これら特性の
評価は、本明細書で述べるような公知の方法で実施でき
る。
【0063】zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合
体、アゴニストまたはアンタゴニストの、細胞内カルシ
ウム濃度に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、
例えば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides, 45巻 3
41-352頁1993年などに記載されている方法で評価でき
る。zsig39ポリペプチドフラグメント、融合体、アゴニ
ストまたはアンタゴニストの、筋収縮に対する影響は、
当該技術分野で公知の方法、例えば、Smits とLebebvr
e, J. Auton, Pharmacol., 14巻 383-392頁1994年;Bel
lol;ら、J. Vet. Pharmacol. Therap., 17巻 379-383
頁1994年;Maggi ら、 Regulatory Peptides, 53巻 259
-274頁1994年などに記載されている方法によって評価で
きる。
【0064】zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合
体、アゴニストまたはアンタゴニストの、ホルモン分泌
に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例えば、
Henriksen ら、J. of Receptor & Signal Transduction
Research, 15 (1-4) 巻 529-541頁1995年などに記載さ
れているプロラクチン放出に関する方法で評価できる。
zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニス
トまたはアンタゴニストの、DNA 合成または細胞成長に
対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例えば、Do
brzanskiら、 Regulatory Peptides, 45巻 341-352頁19
93年などに記載の方法で評価できる。zsig39ポリペプチ
ド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴ
ニストの、イノシトールリン酸の代謝に対する影響は、
当該技術分野で公知の方法、例えば、Dobrzanskiら、 R
egulatory Peptides, 45巻 341-352頁1993年などに記載
されている方法で評価することができる。
【0065】また、zsig39ポリペプチド、フラグメン
ト、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストの、アラ
キドン酸放出に対する影響は、当該技術分野で公知の方
法、例えば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides, 45
巻 341-352頁1993年などに記載されている方法で評価で
きる。zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、ア
ゴニストまたはアンタゴニストの、ホスホリパーゼ−C
の活性化に対する影響は、当該技術分野で公知の方法、
例えば、Dobrzanskiら、 Regulatory Peptides,45巻 34
1-352頁1993年などに記載の方法で評価することができ
る。
【0066】zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合
体、アゴニストまたはアンタゴニストの、胃内容排出に
対する影響は、当該技術分野で公知の方法、例えばVarg
a ら、 Eur. J. Pharmacol., 286巻 109-112頁1995年な
どに記載されている方法で評価できる。zsig39ポリペプ
チド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタ
ゴニストの、ヒト好中球の活性化およびADCCの性能に対
する影響は、当該技術分野で公知の方法、例えばWoznia
k ら、Immunology, 78巻 629-634頁1993年などに記載の
方法で評価できる。zsig39ポリペプチド、フラグメン
ト、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストの、スー
パーオキシドアニオン産生に対する影響は、当該技術分
野で公知の方法、例えば、Wozniak ら、Immunology, 78
巻 629-634頁1993年などに記載の方法で評価することが
できる。
【0067】本発明は、zsig39融合タンパク質も提供す
るものである。例えば、本発明の融合タンパク質は、
(1)下記のポリペプチドすなわちa)アミノ酸配列
が、配列番号:2のアミノ酸残基19からアミノ酸残基
243 までと少なくとも80%同一であるアミノ酸残基の
配列を有するポリペプチド;b)アミノ酸残基16から
アミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸残
基の配列を有するポリペプチド;c)アミノ酸残基1か
らアミノ酸残基243 までの配列番号:2に示すアミノ酸
残基の配列を有するポリペプチド;d)二量体化または
オリゴマー化することができるコラーゲン様ドメインの
部分またはコラーゲン様ドメインを含有する、配列番
号:2に示すzsig39ポリペプチドの部分;e)球状棒ド
メイン(globular-like domain) または球状棒ドメイン
の活性部分を含有する、配列番号:2に示すzsig39ポリ
ペプチドの部分;またはf)コラーゲン様ドメインと球
状ドメイン(globular domain)を含有する、配列番号:
2に示すzsig39ポリペプチドの部分;から選択されるポ
リペプチド、ならびに(2)他のポリペプチドを含有し
ている。
【0068】前記他のポリペプチドは、別のまたは追加
の球状ドメイン、別のまたは追加のコラーゲン様ドメイ
ン、融合タンパク質を分泌しやすくするシグナルペプチ
ドなどでもよい。補体の球状ドメインはIgG に結合する
ので、zsig39ポリペプチド、フラグメントまたは融合体
の球状ドメインは類似の役割をもっているかもしれな
い。
【0069】アミノ酸1(Met)からアミノ酸243 (Ala)
までの範囲内のzsig39ポリペプチド;アミノ酸16 (Ser)
またはアミノ酸19 (Leu)からアミノ酸243 (Ala)までの
範囲内の別の成熟zsig39ポリペプチド;またはその別の
分泌リーダーフラグメント〔アミノ酸1(Met)からアミ
ノ酸15 (Gly)またはアミノ酸18 (Pro)までの範囲のフラ
グメント〕は、細胞からのタンパク質の分泌を研究する
のに使用できる。本発明のこの側面の好ましい実施態様
で、前記成熟ポリペプチドが推定の分泌シグナル配列を
有する融合タンパク質として形成され;その融合タンパ
ク質を発現させることができる調節領域を有するプラス
ミドが試験細胞に導入され;そして成熟タンパク質の分
泌が監視される。
【0070】本発明のこの側面の他の好ましい実施態様
で、別の分泌リーダーフラグメントが、分泌のために選
択される別のタンパク質との融合タンパク質として形成
され;その融合タンパク質を発現させることができる調
節領域を有するプラスミドが試験細胞に導入され;そし
てそのタンパク質の分泌が監視される。この監視は、当
該技術分野で知られている方法、例えばHPLCなどで行わ
れる。
【0071】高度に保存されているアミノ酸、特に、zs
ig39ポリペプチドのカルボキシ末端の球状ドメインのア
ミノ酸は、新しいファミリーのメンバーを確認する手段
として利用できる。例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反
応(RT-PCR)を使用して、各種の組織の起源から得たRN
A 由来の保存モチーフをコードする配列を増幅すること
ができる。特に、保存配列から設計した高度縮重プライ
マー(highly degenerate primer) は上記目的のために
有用である。特に以下のプライマーがこの目的のために
有用である。すなわち、
【0072】(1)配列番号:2のアミノ酸 121〜126
(配列番号:1のヌクレオチド 558〜575 に対応してい
る); (2)配列番号:2のアミノ酸 131〜136 (配列番号:
1のヌクレオチド 588〜605 に対応している); (3)配列番号:2のアミノ酸 149〜154 (配列番号:
1のヌクレオチド 642〜659 に対応している); (4)配列番号:2のアミノ酸 202〜207 (配列番号:
1のヌクレオチド 801〜818 に対応している);および (5)配列番号:2のアミノ酸 226〜231 (配列番号:
1のヌクレオチド 873〜890 に対応している); また、本発明は、上記ポリヌクレオチド類に基づいた縮
重プローブも目的としている。上記ポリヌクレオチドの
相補体に相当するプローブも含まれる。
【0073】本発明の好ましい実施態様で、前記単離さ
れたポリヌクレオチドは、ストリンジェント条件下で、
配列番号:2、配列番号:7、配列番号:8、配列番
号:9、本明細書で特に引用した他のプローブまたはこ
れに相補的な配列の類似の大きさの領域とハイブリッド
を形成する。一般に、規定のイオン強度とpHにおける指
定の配列の熱溶融点(Tm )より約5℃低いストリンジ
ェント条件が選択される。このTm は、標的配列の50
%が完全にマッチしたプローブ(perfectly matched pr
obe)とハイブリッドを形成する温度(規定のイオン強度
とpHにおける)である。一般的なストリンジェント条件
は、塩の濃度がpH7において約0.03Mまでであり、そし
て温度が少なくとも約60℃の条件である。
【0074】当業技術者には、遺伝暗号の縮重にかんが
みて、かなりの配列の変化がこれらのポリヌクレオチド
分子間に可能であることが容易に分かる。配列番号:1
0は、配列番号:2のzsig39ポリペプチド(アミノ酸1
〜243)をコードできるすべてのポリヌクレオチドを含む
縮重ポリヌクレオチド配列である。また、当業技術者に
は、配列番号:10の縮重配列が、TをUで置換するこ
とによって、配列番号:2をコードするすべてのRNA 配
列を提供することも分かる。
【0075】したがって、配列番号:10のヌクレオチ
ド1,46または55からヌクレオチド729 までの範囲
内の、zsig39ポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドは、本発明が目的とするものである。また、本発明
は、配列番号:10の類似領域で形成される、さきに配
列番号:1について述べたフラグメントと融合体も目的
とするものであり、配列番号:1のヌクレオチド 198〜
926 が配列番号:10のヌクレオチド1〜729 に対応し
ている。配列番号:10の記号は下記表1に要約してあ
る。
【0076】
【表1】
【0077】与えられたアミノ酸に対して可能性がある
すべてのコドンを含む、配列番号:10に使用した縮重
コドンを以下の表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】当業技術者には、各アミノ酸をコードする
可能性があるすべてのコドンを表す縮重コドンを決定す
る際にある種の不明瞭性(ambiguity) が導入されること
が分かる。例えば、セリンの縮重コドン(WSN)は、場合
によっては、アルギニン(AGR)をコードすることがあ
り、そしてアルギニンの縮重コドン(MGN)は、場合によ
っては、セリン(AGY)をコードすることがある。同様の
関係が、フェニルアラニンとロイシンをコードするコド
ン間に存在する。したがって、縮重配列に含まれている
いくつかのポリヌクレオチドは、いくつかの正しくない
アミノ酸をもっていることがあるが、当業技術者は、配
列番号:2のアミノ酸配列を参照することによって、こ
のような誤まった配列を容易に確認できる。
【0080】本発明の他の側面で、精製されたzsig39ポ
リペプチドを、医薬として許容される賦形剤と組み合わ
せて含有する医薬組成物が提供される。この医薬組成物
は、哺乳類のエネルギー均衡と調節するかまたは内皮細
胞を損傷から保護するのに使用される。
【0081】zsig39ポリペプチドの発現パターンは、内
皮細胞組織内で発現される。内皮細胞の保護について
は、zsig39ポリペプチドは、臓器保存の際の凍結保存、
虚血および/または炎症が原因の損傷を防止するための
外科的前処理または類似の処置に利用できる。小腸にお
ける発現のレベルが高いことは、zsig39ポリペプチド
が、胃腸組織を、虚血性再灌流損傷(ishemic reperfus
ion injury)から保護する内因性因子であるかもしれな
いことを示唆している。
【0082】虚血性再灌流損傷のラット、ウサギおよび
ブタのモデルは当該技術分野で知られており、zsig39、
そのアゴニストまたはアンタゴニスト抗体、融合タンパ
ク質およびフラグメントを評価するのに使用できる。例
えば、Golinoら、Nature Medicine, 2 (1)巻 35-40年19
96年には、ニュージーランド白ウサギを利用する虚血性
再灌流損傷の心筋モデルが記載されている。ニュージー
ランド白ウサギは、(1)耳の中心静脈の虚血性再灌流
モデルおよび(2)血流がバルーン血管形成術によって
復元されるアテローム硬化性大腿動脈損傷モデルにも利
用されている(例えば、Winnら、J. Clin. Invest., 92
巻 2042-2047頁1993年およびJangら、Circulation, 92
(10)巻 3041-3050頁1995年参照)。
【0083】ラットの腸虚血モデルも利用できる。例え
ば雄のSprague Dawleyラット(体重225〜400 g)は、
拘束ケージ内に静かに座るように三回の訓練課業を受け
る。次にこれらのラットは、生存手術(survival surge
ry) を受け、その間に頚静脈カテーテルが移植される。
生存手術を行うため、ラットは麻酔をかけられ、次に開
存性を維持するために選択した条件下で、右頚静脈にカ
テーテルを移植する。次いでこれらのラットは拘束ケー
ジ中に入れられ、下記のようにして、試験組成物または
賦形剤を投与される。これらのラットを48hr回復させ
た後、賦形剤または試験組成物を、1日当り1回、4日
間にわたって静脈内ボーラス注射(0.5ml) を行った。
【0084】これらラットは、第四の注射を行う前に、
好ましくは16〜24hr絶食させ、麻酔をかけ、次に鎮
痛薬を投与する。第四の注射を行ってから30分後、各
ラットの腹部を小さく切開し、次に上腸間膜動脈を取り
出して1hrクランプする。腹部は、上記クランプ期間
中、粗く縫合して閉じ、次に再び切開してクランプを取
り出し、次いで再び粗く縫合して閉じる。これらのラッ
トは、2hrの再灌流の期間中、37℃の加熱パッド上に
のせた保持ケージ内に入れる。この再灌流期間の後、こ
れらラットを殺して、空腸セグメントを切り取る。いく
つかの切り取った腸セグメントの組織学的評価を行い、
そして残りの腸セグメントは、ミエロペルオキシダーゼ
(MPO) とマルターゼの活性を分析した。
【0085】MPO は好中球の組織内へ浸潤した量の尺度
であり、一方、マルターゼの活性は腸粘膜の完全性の尺
度である。虚血性再灌流損傷は、MPO のレベルの増大と
マルターゼ活性のレベルの低下と関連がある。したがっ
て、虚血性再灌流損傷が改善すると、MPO が減少しかつ
マルターゼの活性が増大すると予想される。
【0086】また、zsig39ポリペプチドは、視床下核で
発現されるが、このことは、zsig39ポリペプチドまたは
そのアゴニストが、長期にわたって活性の細胞に対し阻
止刺激を送達することによる、バリスム運動(ballisti
c movement) の内因性サプレッサーであることを示唆し
ている。このようなバリスム運動は視床下核の病変が原
因で起こる。zsig39ポリペプチド、そのアゴニストまた
はアンタゴニスト、抗体、融合タンパク質およびフラグ
メントの、バリスム運動を抑圧する効力についての評価
は当該技術分野で公知の方法を用いて実施することがで
きる。例えば、定位固定装置を用いて視床下核に損傷を
与えることができるが、バリスム運動がみられた場合、
zsig39ポリペプチド、そのアゴニストもしくはアンタゴ
ニスト、抗体、融合タンパク質またはフラグメントを投
与すると、バリスム運動が調整されるのが分かる。
【0087】エネルギー均衡の調節については、zsig39
ポリペプチドは細胞の代謝反応を調節する。このような
代謝反応としては、脂肪生成、糖新生、糖原分解、脂質
生合成、グルコースの摂取、タンパク質の合成、熱産
生、酸素利用などがある。とりわけ、当該技術分野で知
られているかまたは本明細書に記載の方法で、哺乳類の
エネルギー均衡は、上記代謝機能の一つ以上を監視する
ことによって評価することができる。
【0088】これらの代謝機能は、以下に十分述べるよ
うに、当業技術者に知られている方法(検定法または動
物モデル)で監視される。例えば、インスリンの糖質調
節作用は、肝臓、骨格筋および脂肪組織で主として発揮
される。インスリンは、これらの三つの組織のインスリ
ン細胞受容体に結合して、組織特異的作用を開放させ、
その結果、例えば、グルコースの産生とグルコース利用
の刺激が抑制される。肝臓にて、インスリンは、グルコ
ースの摂取を刺激し、糖新生と糖原分解を抑制する。骨
格筋と脂肪組織において、インスリンは、グルコースの
摂取、貯蔵および利用を刺激する働きをする。
【0089】上記代謝機能をすべて監視する、当該技術
分野で認められている方法がある。したがって、当業技
術者は、代謝を調節する機能について、zsig39ポリペプ
チド、フラグメント、融合タンパク質、抗体、アゴニス
トおよびアンタゴニストを評価することができる。代表
的な調節方法を以下に述べる。
【0090】脂肪生成、糖新生および糖原分解は哺乳類
のエネルギー均衡の相互に関連する要素であり、例えば
ob/obマウスまたはdb/dbマウスを使用する公
知の方法で評価できる。ob/obマウスは、ob(肥
満)遺伝子座における失活化変異に対し同型接合性であ
る近交マウスである。このようなob/obマウスは過
食性でかつ代謝低下性であるので循環OBタンパク質の
産生が欠乏していると考えられている。db/dbマウ
スは、db(糖尿病)遺伝子座における失活化変異に対
し同型接合性である近交マウスである。db/dbマウ
スは、糖尿病表現型も示すことを除いて、ob/obマ
ウスと類似の表現型を示す。このようなdb/dbマウ
スは、循環OBタンパク質の作用に対し耐性であると考
えられている。また、これらのパラメーターを評価する
各種の生体外での方法が、当該技術分野で知られてい
る。
【0091】インスリンで刺激される脂質生成は、例え
14C−アセテートのトリグリセリド中への取込み(Ma
ckall ら、J. Biol. Chem., 251 巻 6462-6464頁1976
年)またはトリグリセリドの蓄積(Kletzienら、Mol. P
harmacol., 41 巻 393-398頁1992年)を測定することに
よって監視できる。
【0092】グルコースの摂取は、例えば、インスリン
で刺激されるグルコースの輸送の検定法で評価できる。
トランスフェクトされておらず分化したL6筋管(G418
なしで保持されている)を、1g/lのグルコース、0.
5 もしくは 1.0%の BSA, 20mMのHepes および2mMの
グルタミンを含有するDMEM内にいれる。2〜5hr培養し
た後、培地を、0.5 もしくは 1.0%の BSA, 20mMの H
epes,1mMのピルベートおよび2mMのグルタミンを含有
し、グルコースを含有しない新鮮なDMEMで取り替える。
適当な濃度のインスリンもしくはIGF-1 、または試験物
質の希釈シリーズを添加し、次いで前記細胞を20〜3
0分間インキュベートする。
【0093】3Hもしくは14Cで標識されたデオキシグ
ルコースを、最終濃度約 501Mまで添加し、次いで細胞
を約10〜30分間インキュベートする。次に、細胞
を、冷緩衝液(例えばPBS)で迅速にすすぎ次いで適切な
溶解剤(例えば1% SDSまたは1N NaOH)で溶解する。
その細胞溶解液をシンチレーションカウンターでカウン
トして評価する。細胞に付随している放射能を、グルコ
ース輸送の阻害剤であるシトコラシンb(cytocholasin
b) の存在下で細胞を培養することによって測定した非
特異的結合を差引いた後、グルコース輸送の尺度とす
る。他の方法としては、例えば、Manchesterら、Am. J.
Physiol., 266 (Endocrinol. Metab. 29) :E326-E333,
1994(インスリンによって刺激されるグルコース輸
送)に記載されている方法がある。
【0094】脂肪酸の代謝も当該技術分野で公知の方法
で監視できる。特に、心臓による脂肪酸の摂取と代謝が
監視される。適切な動物モデルや組織を利用できる。培
養細胞としては心臓の線維芽細胞と心臓の筋細胞があ
る。樹立細胞系としては、NIH3T3 線維芽細胞(ATCC N
o. CRL-1658)、CHH-1 チャム心臓細胞(chum heart cel
l) (ATCC No. CRL-1680)およびH9c2ラット心臓筋芽細胞
(ATCC No. CRL-1446)がある。心臓細胞は老化するにつ
れて、脂肪酸代謝からグルコース代謝へシフトすること
が例証されている(Sackら、Circulation, 94 巻 2837-
2842頁1996年)。タンパク質の代謝は、例えば、試験細
胞を、35S−メチオニンおよびタンパク質合成の推定モ
ジュレーターとともにインキュベートすることによって
35S−メチオニンで標識したタンパク質の沈降を比較す
ることによって評価できる。
【0095】熱産生性は、W. ColmersおよびC. Wahlest
edt 編「The Biology of Neuropeptide Y and Related
Peptides」 457-509頁、1993年オッタワ所在のHumana P
ressのB. Stanleyの報告;C. Billington ら、Am. J. P
hysiol., 260巻R321頁1991年;N. Zarjevskiら、Endocr
inology, 133巻1753頁1993年;C. Billington ら、Am.
J. Physiol., 266巻 R1765頁1994年;Hellerら、Am. J.
Physiol., 252 (4 PI2) : R661-7, 1987 年;およびHe
llerら、Am. J. Physiol., 245 (3)巻R321-328頁1983年
に記載されているようにして評価することができる。ま
た代謝率は、各種の方法で測定されるが、熱産生性の間
接的な測定値である。
【0096】酸素の利用は、Hellerら、Pflugers Arch,
369 (1)巻 55-59頁1977年に記載されているようにして
評価できる。また、この方法は、視床下部の温度と代謝
性熱産生の分析も行う。また、ヒトの酸素利用と体温調
節は、HasKell ら、J. Appl.Physiol. 51 (4)巻 948-95
4頁1981年に記載されているようにして評価されてい
る。
【0097】心臓および脳組織におけるzsig39ポリペプ
チドの発現が不随意機能(すなわち延髄)に関与してい
ることは、このタンパク質が、アセチルコリンおよび/
またはノルエピネフリンの放出を調節することを示唆し
ている。哺乳類の内皮細胞組織の保護は、とりわけ、当
該技術分野で知られているかまたは本明細書に記載の方
法で、内皮組織の機能を監視することによって評価でき
る。例えば、心臓(大動脈)の機能は、アセチルコリン
の放出、ノルエピネフリンの放出などのパラメーターを
監視することによって評価できる。これらのパラメータ
ーは、以下に詳細に述べるように、当業技術者に知られ
ている方法(検定法または動物モデル)によって監視さ
れる。
【0098】アセチルコリンとノルエピネフリンの放出
はHPLCで監視できる。Levy, Electrophysiology of the
Sinoatrial and Atrioventricular Nodes, Alan R. Li
ss,Inc., 187-197 頁1998年には、冠状静脈洞流出液中
のノルエピネフリンの測定が記載されている。さらに、
動物の心臓を、電気的に刺激して、Elsner, EuropeanHe
art Journal 16 (Supplement N) 52-58頁1995年およびR
eiffel とKuehnert,PACE, 17 (Part 1) : 349-365, 199
4 年に記載されているようにして結果を監視することが
できる。
【0099】また、zsig39ポリペプチドは、交感神経系
または副交感神経系に関連する組織におけるこのポリペ
プチドの発現で示されているように、神経伝達物質また
は神経伝達のモジュレーターとして使用できる。この点
について、zsig39ポリペプチドは、例えば、脳などにお
ける2−デオキシグルコースの摂取などによって示され
ているように、栄養摂取を調節するのに利用できる。
【0100】神経伝達の機能は、とりわけ、当該技術分
野で知られているかまたは本明細書に記載の方法で、脳
における2−デオキシ−グルコースの摂取を監視するこ
とによって評価することができる。このパラメーター
は、当業技術者に知られている方法(検定法または動物
モデル)、例えばオートラジオグラフィーで監視され
る。有用な監視方法は、例えば、Kilduff ら、J. Neuro
sci., 10巻 2463-2475頁1990年に記載されており、関連
する方法として、Gerberら、Circulation, 94 (4)巻 65
1-658頁1996年およびFallavollitaら、Circulation, 95
(7) 巻 1900-1909頁1997年に記載されているような
“冬眠心臓”を評価するのに使用する方法がある。
【0101】さらに、zsig39ポリペプチド、そのフラグ
メント、融合体、アゴニスト又はアンタゴニストは、抗
微生物の用途または神経伝達物質で調節される用途に、
治療上、有用である。例えば、補体成分Clq は、感染因
子、例えば細菌やウイルスなどに対して宿主を防御する
役割を演じている。Clq は、いくつもの特殊な機能を示
すことが知られている。例えば、Clq は、結合した抗体
またはC反応性タンパク質(CRP) と相互に作用して、補
体カスケードをトリガーする。また、Clq は特定の細
菌、RNA ウイルス、マイコプラズマ、尿酸の結晶、細菌
内毒素の脂質A成分および特定の細胞内小器官の膜と直
接、相互作用を行う。Clq 受容体に結合するClq は食作
用を促進すると考えられている。またClq は、宿主防御
系が抗体を形成するのを促進するようである(例えば、
Johnston, Pediatr. Infect. Dis.J., 12 (11) 巻 933-
941頁1993年参照)。したがって、可溶性のClq 様分子
は、抗微生物剤として有用であり、感染因子の溶解と食
作用を促進する。
【0102】また、本発明のzsig39ポリペプチドは、神
経伝達を調節すると考えられる部分に相同性を示す。図
1に示すように、zsig39ポリペプチドは、以下のタンパ
ク質と相同である。すなわち、HP25 TAMAS(配列番号:
5)(Takamatsu ら、Mol. Cell. Biol., 13巻 1516-15
21頁1993年およびKondo & Kondo, J. Biol. Chem., 267
巻 473-478頁1992年);HP27 TAMAS(配列番号:6)
(さきに引用したTakamatsu らとKondo & Kondo の報
告)およびCERL RAT(配列番号:7)(Wada & Ohtani,
Brain Res. Mol. Brain Res., 9巻 71-77頁1991年)と
相同である。
【0103】HP25とHP27は、冬眠性シベリアウッドチャ
ックの活性(夏期)血清中に見られるポリペプチドであ
る。CERLはラットの小脳中に存在している。したがっ
て、zsig39ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴ
ニストまたはアンタゴニストは、例えば、神経伝達物質
または神経伝達のための受容体に結合することによっ
て、神経伝達を調節するのに有用である。
【0104】放射線ハイブリッドマッピング(radiatio
n hybrid mapping) は、哺乳類染色体の高分離度の連続
マップをつくるために開発された体細胞遺伝学的方法で
ある(Cox ら、Science, 250巻 245-250頁1990年)。遺
伝子配列の一部または全体を知っていることによって、
染色体の放射線ハイブリッドマッピングパネルで使用す
るのに適したPCR プライマーを設計できる。全ヒトゲノ
ムをカバーする市販の放射線ハイブリッドマッピングパ
ネル、例えばthe Stanford G3 RH Panelおよびthe Gene
Bridge 4 RH Panel (Research Genetics, Inc. 米国ア
ラバマ州ハンツビル)を利用できる。
【0105】迅速なPCR に基づいた染色体の位置決定
(localization) 、ならびに、遺伝子、配列標識部位(S
TS) および注目されている領域内の非多型マーカーと多
型マーカーのオーダリング(ordering) を行うことがで
きる。これには、新しく発見された注目されている遺伝
子とすでにマッピングされたマーカーとの間の比例する
物理的距離の確認が含まれている。遺伝子の位置の性格
な知識は、以下のいくつもの方法すなわち1)配列が既
存のコンティグの一部であるかどうかを確認して、YAC,
BACまたはcDNAのクローンなどの各種形態の追加のまわ
りの遺伝子配列を得る方法;2)同じ染色体領域に関連
を示す遺伝性疾患に対して可能性がある候補遺伝子を提
供する方法;および3)特定の遺伝子がどんな機能をも
っているかを確認するのに有利に役立つマウスなどの相
互参照用モデル生物を得る方法で有用である。
【0106】その結果、zsig39ポリペプチドをコードす
る遺伝子は、WICGR 放射線ハイブリッドマップ上のヒト
染色体11の関連群のトップから549.99cR 3000 に位置し
ていることが分かった。近位および遠位の枠組み構造マ
ーカーは、それぞれ、AFMB0482A9とFB17D4であった。ま
わりのマーカーを使用して、組込みLDB (integratedLD
B)染色体11マップ上の11q23.3 領域に、zsig39遺伝子の
位置を決定する(TheGenetic Location Database 、サ
ザンプトン大学、www server:http://cedar.genetics.s
oton.ac.uk/public html/)。
【0107】また、本発明は、診断用途に利用される薬
剤を提供するものである。例えば、zsig39遺伝子、zsig
39のDNA もしくはRNA を含有するプローブ、またはその
サブシーケンス(subsequemce) は、zsig39の遺伝子が染
色体11に存在しているかどうか、または突然変異が起こ
っているのかどうかを確認するのに使用できる。zsig39
遺伝子配座における検出可能な染色体異常としては、限
定されないが、非正倍数性、遺伝子コピー数の変化、挿
入、欠失、制限部位の変化および再配列がある。
【0108】一般に、これらの診断方法は、以下のステ
ップ、すなわち(a)患者から遺伝子試料を入手し;
(b)その遺伝子試料を、先に開示したポリヌクレオチ
ドのプローブまたはプライマーとともに、そのポリヌク
レオチドが相補的ポリヌクレオチド配列とハイブリッド
を形成する条件下でインキュベートして、第一反応産物
を産生させ;次いで(c)その第一反応産物を対照の反
応産物と比較するステップで構成されている。第一反応
産物と対照の反応産物に差があることは、患者に遺伝子
異常があることを示す。本発明内で使用する遺伝子試料
としてはゲノムDNA, cDNA およびRNA がある。
【0109】ポリヌクレオチドのプローブまたはプライ
マーは、RNA またはDNA であればよく、そして配列番
号:1の一部、配列番号:1の相補体またはそのRNA 相
当物で構成されている。これに関する適切な検定法とし
ては、当業技術者に知られている分子遺伝学的方法、例
えば、制限フラグメント長多型(RFLP)分析法、PCR 法
を利用するショートタンデムリピート(short tandem r
epeat) (STR)分析法、連結連鎖反応(ligation chain r
eaction) (Barany, PCR Methods and Applications, 1
巻5-16頁1991年)、リポヌクレアーゼプロテクション検
定法、および当該技術分野で公知の他の遺伝子関連分析
法(Sambrook S. ibid. ; Ausubel ら、ibid. ; Maria
n, Chest, 108巻 255-265頁1995年)がある。
【0110】リポヌクレアーゼプロテクション検定法
(例えばAusubel ら、ibid. の4章参照)は、RNA プロ
ーブを、患者のRNA 試料とハイブリッドを形成させた
後、その反応生成物(RNA-RNA ハイブリッド)をRNアー
ゼに暴露することを含んでなる方法である。上記RNA の
ハイブリッドを形成した領域は、消化されないように保
護される。PCR 検定法では、患者の遺伝子試料が一対の
ポリヌクレオチドプライマーとともにインキュベートさ
れ、次に、両プライマーの間の領域が増幅されて回収さ
れる。回収された産物の大きさまたは量が変化している
ことは、患者に突然変異があったことを示している。利
用できる他のPCR ベースの方法は、一本鎖高次構造多型
(SSCP)分析法(Hayashi, PCR Methods and Applicati
ons, 1巻 34-38頁1991年)である。
【0111】zsig39ポリペプチドは、哺乳類のエネルギ
ー効率を分析するのに使用できる。血清または組織の試
料中にzsig39ポリペプチドが見られるということは、哺
乳類が食物を貯蔵することができ、より高度に効率的な
哺乳類は肥満になる傾向があることを示している。より
具体的に述べると、本発明は、zsig39ポリペプチドの以
下の検出方法を目的とするものである。
【0112】すなわちzsig39ポリペプチドを含有してい
る可能性のある試料を、固体支持体に結合させた、zsig
39ポリペプチドのエピソープに結合する抗体に暴露し;
前記固定化された抗体−ポリペプチドを洗浄して未結合
の混入物を除き;前記固定化された抗体−ポリペプチド
を、検出可能な標識が結合している、zsig39ポリペプチ
ドの第二エピソープに対する第二抗体に暴露し;次いで
前記検出可能な標識を検出する;ことを含んでなるzsig
39ポリペプチドの検出方法である。試験試料中のzsig39
ポリペプチドの濃度は、哺乳類のエネルギー効率を示し
ているようである。この情報は、哺乳類の栄養分析の助
けになる。この情報は、エネルギー欠乏組織を確認しお
よび/または標的とするのに有用になる可能性がある。
【0113】以下に、一層詳細に述べるように、zsig39
を受容するマウスは血清中の遊離脂肪酸のレベルが低下
しかつ骨脂が増大していることが見出された。脂肪酸は
トリグリセリド中に組み入れられ、脂肪として貯蔵され
る。その貯蔵された脂肪は、身体を断熱して熱を損失し
ないようにし、かつ内部の器官を保護する作用をする。
また、脂肪は、貯蔵エネルギーの貯蔵場所としての働き
をする。脂肪酸は、エネルギー代謝に使用するため、ホ
ルモン調節性リパーゼ(hormone-regulated lipase) に
よって、トリグリセリドから放出される。遊離脂肪酸の
レベルが低下することは、zsig39が、遊離脂肪酸の摂取
と代謝に対して効果があることを示唆している。
【0114】zsig39には、例えば、ホルモン性リパーゼ
類の作用を阻害することによって、脂肪酸が貯蔵脂肪か
ら放出するのを阻害する作用がある。また、zsig39に
は、脂肪酸の摂取、代謝および貯蔵を促進する働きもあ
る。zsig39は、独立してまたはインスリンなどの他の分
子と協動して作用し、脂肪分解を阻害し、脂肪酸の摂取
および/または代謝を促進する。したがって、zsig39は
エネルギー代謝を調節するのにきっと有用であろう。し
たがって、本発明は、医薬として有効な投与量のzsig39
ポリペプチドを個体に投与することによって、このよう
な治療を必要とする個体の遊離脂肪酸の代謝を調節する
方法を提供するものである。
【0115】zsig39ポリペプチドの“医薬として有効な
量”は、所望の生物学的結果を誘発するのに十分な量で
ある。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の改
善、または生物学的系の他の望ましい変化である。例え
ば、zsig39ポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニ
ストの有効量は、症状の自覚的軽減または臨床医もしく
は他の資格のある観察者が認める客観的に確認可能な改
善をもたらす量である。特に、zsig39ポリペプチドのこ
のような有効量によって、遊離脂肪酸の血清中レベルが
減少するなどの有利な効果がもたらされる。
【0116】zsig39ポリペプチドの有効量は、治療すべ
き疾患または症状に応じて広く変えることができる。該
ポリペプチドの投与すべき量およびその配合物中の濃度
は、選択される賦形剤、投与経路、特定のポリペプチド
の効力、患者の臨床症状、配合物中の化合物の副作用と
安定性によって決まる。したがって、臨床医は、問題の
患者または類似の患者による臨床実験に応じて、配合物
中に適当な濃度のポリペプチドを含有する適当な製剤
と、投与される配合物の量とを採用する。かような量
は、一部、患者の治療すべき特定の症状、年齢、体重お
よび一般健康状態ならびに当業技術者には分かっている
他の因子によって決まる。
【0117】本発明の追加の側面で、前zsig39ポリペプ
チドに特異的に結合する抗体または合成の結合タンパク
質〔例えば、ファージディスプレイ(phage display)に
よって製造されるタンパク質、イー・コリ(E.coli) Fa
b など〕が提供される。かような抗体は、とりわけ、本
明細書に記載の用途、すなわち抗イディオタイプ抗体を
調製する用途に有用である。合成の結合タンパク質は、
市販のキット、例えばPh. D (登録商標)Phage Displa
y Peptide Library Kit (米国マサチューセッツ州ビバ
リー所在のNew England Biolabs, Inc. から入手でき
る)などを用いてファージディスプレイで製造できる。
ファージディスプレイ法は、例えば米国特許第 5,223,4
09号、同第 5,403,484号および同第 5,571,698号に記載
されている。
【0118】本発明の追加の側面で、前記zsig39ポリペ
プチドのアゴニストまたはアンタゴニストを確認する方
法が提供される。なおこのアゴニストまたはアンタゴニ
ストは、本明細書でさらに考察するように価値のある特
性をもっている。本発明の一実施態様で、zsig39ポリペ
プチドのアゴニストを確認する方法が提供される。すな
わち、zsig39ポリペプチドに対し応答性の細胞を準備
し、その細胞を試験化合物の存在下で培養して、その細
胞の応答を、zsig39ポリペプチドの存在下で培養した細
胞と比較し、次いでその細胞応答が同じタイプである試
験化合物を選択することを含んでなる、zsig39ポリペプ
チドのアゴニストを確認する方法が提供される。
【0119】別の実施態様で、zsig39ポリペプチドのア
ゴニストを確認する方法が提供される。すなわち、zsig
39ポリペプチドに対し応答性の細胞を準備し、その細胞
の第一部分をzsig39ポリペプチドの存在下で培養し、そ
の細胞の第二部分をzsig39ポリペプチドと試験化合物の
存在下で培養し、次いで前記細胞の第二部分の細胞応答
の、前記細胞の第一部分に対する減少率を検出すること
を含んでなるzsig39ポリペプチドのアンタゴニストを確
認する方法が提供される。
【0120】本明細書に開示されているこれらの検定法
に加えて、試料は、受容体結合性またはzsig39依存性細
胞応答の刺激/阻害を測定するように設計された各種検
定法で、zsig39の活性の阻害について試験できる。例え
ば、zsig39応答性細胞系は、zsig39で刺激される細胞経
路に対し応答性のレポーター遺伝子構造体でトランスフ
ェクトすることができる。この種のレポーター遺伝子構
造体は当該技術分野で公知であり、そして一般に、ルシ
フェラーゼなどの検出可能なタンパク質をコードする遺
伝子に作用可能に連結されたzsig39 DNA応答配列を含有
している。
【0121】DNA 応答配列としては、限定されないが、
サイクリックAMP 応答配列(CRE) 、ホルモン応答配列(H
RE) 、インスリン応答配列 (IRE)(Nasrinら、Proc. Na
tl.Acad. Sci. USA, 87巻 5273-5277頁1990年)および
血清応答配列 (SRE) (Shawら、Cell, 56巻 563-572頁19
89年)がある。サイクリックAMP 応答配列についての総
説は、Roestlerら、J. Biol. Chem., 263 (19)巻 9063-
9066頁1988年およびHabener, Molec. Endocrinol., 4
(8)巻、1087-1094 頁1990年に記載されている。
【0122】ホルモン応答配列の総説はBeato, Cell, 5
6 巻 335-344頁1989年に記載されている。候補の化合
物、溶液、混合物または抽出物は、標的細胞に対するzs
ig39の活性を阻害する性能について試験され、この性能
は、レポーター遺伝子の発現のzsig39による刺激の低下
によって証明される。この種の検定法は、zsig39が細胞
表面受容体に結合するのを、直接、遮断する化合物、お
よび受容体−リガンドの結合の後の細胞経路のプロセス
を遮断する化合物を検出する。
【0123】あるいは、化合物などの試料は、zsig39が
受容体に結合するのを、直接、遮断する性能について、
検出可能な標識(例えば 125I、ビオチン、西洋ワサビ
ペルオキシダーゼ、FITCなど)で標識したzsig39を使っ
て試験することができる。この種の検定法の範囲内で、
試験試料が、標識されたzsig39が受容体に結合するのを
阻害できるということは、阻害活性を示しており、この
阻害活性は二次検定法で確認できる。結合検定法で使用
される受容体は、細胞受容体、または単離されて固定化
された受容体でもよい。
【0124】本発明の別の側面で、インスリンを試験す
る方法が提供される。本発明のこの方法は、zsig39ポリ
ペプチド、モノクローナル抗体、該ポリペプチドのアゴ
ニストもしくはアンタゴニストを含有し、かつインスリ
ンを含有しているかまたは含有していない培養培地内で
脂肪細胞をインキュベートし、次いで脂肪細胞タンパク
質の分泌または分化の変化を観察することを含んでなる
方法である。
【0125】抗微生物保護剤は、直接にまたは間接的に
作用することができる。膜に結合する機序または細孔を
生成する機序の作用で作動するかような薬剤は、有害微
生物に直接、結合する。また、抗微生物剤は、酵素機序
を通じて作用して、微生物を保護する物質すなわちその
細胞壁/細胞膜を分解する。上記機序のいずれかによっ
て、微生物の増殖または作用を阻害できるかまたは微生
物の統合性を破壊することができる抗微生物剤は、その
抗微生物活性に対して感受性の微生物による細胞培養物
の汚染を防止するのに有用である。このような方法で
は、細胞を、有効量の前記zsig39ポリペプチドまたはそ
のアゴニストまたはアンタゴニストの存在下で培養す
る。
【0126】また、zsig39ポリペプチドまたはそのアゴ
ニストは、外因性微生物の感染、例えば細菌、ウイルス
または真菌の感染を生体外で試験する際の細胞培養剤と
して使用できる。また、かような物質は、感染の生体内
動物モデルにも使用できる。また、本発明は、哺乳類の
細胞代謝を試験する方法も提供するものである。本発明
のこの方法は、被検細胞、例えばヒトの血管内皮細胞
を、zsig39ポリペプチド、該ポリペプチドのモノクロー
ナル抗体、アゴニストもしくはアンタゴニストのありな
しでインキュベートして、脂肪生成、糖新生、糖原分
解、脂質生成、グルコース摂取などの変化を観察するこ
とを含んでなる方法である。
【0127】本発明の追加の側面で、二量体化またはオ
リゴマー化の試験方法が提供される。本発明のこのよう
な方法は、コラーゲン様ドメインだけを含有しているか
またはコラーゲン様ドメインを有する他のポリペプチド
と組み合わせた、zsig39ポリペプチドまたはそのフラグ
メントもしくは融合タンパク質をインキュベートし、次
にコラーゲン様ドメイン間に形成された関連を観察する
ことを含んでなる方法である。したがって、ホモマーと
ヘテロマーの構造体の両者をこの方法で試験できる。こ
のような関連は、HPLC、円二色性などによって表示され
る。
【0128】先に述べたように、本発明の単離されたポ
リヌクレオチドとしてはDNA とRNAがある。DNA およびR
NA の単離方法は、当該技術分野で公知である。RNA
は、脳腫瘍、心臓、胎盤、脂肪組織などから単離するこ
とが一般に好ましいが、DNA は、他の組織由来のRNA を
用いて調製するか、またはゲノムDNA として単離するこ
とができる。全RNA は、塩酸グアニジン抽出法を使用
し、次にCsCl勾配液で遠心分離することによって単離し
て調製することができる(Chirgwinら、Biochemistry,
18巻 52-94頁1979年)。ポリ(A)+ RNA は、AvivとLe
der の方法(Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 69巻 1408-1
412頁1972年)を使用して全RNA から製造される。相補
的 DNA(cDNA) は、公知の方法を使用してポリ(A)+
RNA から製造される。次に、zsig39ポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドを確認し、次いで例えばハイブ
リッド形成法またはPCR 法によって単離される。
【0129】さらに、本発明は、他の種由来の対応物の
ポリペプチド類およびポリヌクレオチド類(オーソログ
類)を提供するものである。これらの種としては、限定
されないが、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、昆
虫類およびその外の脊椎動物と非脊椎動物の種がある。
特に注目されるのは、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ、
ウシ、イヌ、ネコ、ウマおよび他の霊長類のタンパク質
を含む、他の哺乳類の種由来のzsig39ポリペプチドであ
る。
【0130】上記ヒトタンパク質のオーソログは、従来
のクローン化技術を組み合わせて、本発明が提供する情
報と組成物を使用してクローン化することができる。例
えば、cDNAは、該タンパク質を発現する組織または細胞
型から得たmRNAを用いてクローン化できる。適切なmRNA
源は、本明細書に開示された配列から設計されたプロー
ブで、ノーザンブロットをプローブすることによって確
認することができる。次に、ライブラリーを、細胞系の
陽性の組織のmRNAからつくる。
【0131】次に、zsig39ポリペプチドをコードするcD
NAを、各種の方法、例えば、完全なまたは部分的なヒト
cDNAでまたは開示された配列は基づいた一組以上の縮重
プローブでプローブすることによって単離することがで
きる。また、cDNAは、本明細書に開示された配列から設
計されたプライマーを使用し、ポリメラーゼ連鎖反応す
なわちPCR (Mullis の米国特許第 4,683,202号)を利用
してクローン化することもできる。追加の方法で、上記
cDNAライブラリーを使用して宿主細胞を形質転換または
トランスフェクトすることができるので、注目されてい
るcDNAの発現は、zsig39ポリペプチドに対する抗体で検
出できる。類似の方法も、ゲノムクローンを単離するの
に適用できる。
【0132】配列番号:1および配列番号:2に開示さ
れている配列は、ヒトzsig39 DNAの単一の対立遺伝子と
タンパク質を表し、そして対立遺伝子の変異と選択的ス
プライシングが起こると予想されることは、当業技術者
には分かる。この配列の対立遺伝子の変異体は、標準の
手順にしたがって、異なる個体からのcDNAまたはゲノム
ライブラリーをプローブすることによってクローン化す
ることができる。配列番号:1に示すDNA 配列の対立遺
伝子変異体は、沈黙突然変異を含むものおよび突然変異
がアミノ酸配列の変化をもたらしているものを含めて、
配列番号:2の対立変異体であるタンパク質と同様に、
本発明の範囲内にある。
【0133】選択的にスプライスされたmRNAからつくら
れたcDNAは、zsig39ポリペプチドの特性を保持している
が、かようなcDNAとmRNAがコードするポリペプチドと同
様に、本発明の範囲内に含まれている。これらの配列の
対立遺伝子変異体とスプライス変異体は、当該技術分野
で公知の標準の手順にしたがって、異なる個体または組
織由来のcDNAまたはゲノムライブラリーをプローブする
ことによってクローン化することができる。
【0134】また、本発明は、配列番号:2のポリペプ
チドおよびそれらの種のオーソログに実質的に相同の単
離されたzsig39ポリペプチドを提供するものである。用
語“実質的に相同の”は、本明細書で使用する場合、配
列番号:2に示す配列またはそれらのオーソログに、配
列が、50%、好ましくは60%、より好ましくは少な
くとも80%同一であることを意味する。かようなポリ
ペプチドは、配列番号:2またはそのオーソログと、好
ましくは少なくとも90%同一であり、最も好ましくは
95%以上同一である。
【0135】配列同一性の百分率は通常の方法で求めら
れる(例えば、Altschulら、Bull.Math. Bio., 48巻 60
3-616頁1986年およびHenikoffとHenikoff, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 89巻 10915-10919頁1992年参照)。
簡単に述べると、表3(アミノ酸は標準の一文字コード
で示してある)に示すように、二つのアミノ酸配列を並
べて、ギャップオープニングペナルティー(gap openin
g penalty) 10 、ギャップエキステンションペナルティ
ー(gap extension penalty)1、およびHenikoffとHeni
koff (ibid.)の“ブロサム62”(“blosum62”)スコ
アリングマトリックスを使って、アラインメントスコア
(alignment score)が最適化される。次に同一性の百分
率を下記式で算出する。
【0136】
【数1】
【0137】
【表3】
【0138】ポリヌクレオチド分子の配列同一性は、先
に開示したのと類似の、比率を用いる方法で求められ
る。実質的に相同のタンパク質とポリペプチドは、一つ
以上のアミノ酸の置換、欠失または付加があることを特
徴としている。
【0139】これらの変化は好ましくは重要でない性質
の変化であり、すなわち保存アミノ酸の置換(表4参
照)などの、タンパク質またはポリペプチドの折りたた
みまたは活性に対して有意には影響しない置換;一般に
1〜約30個のアミノ酸の小さな欠失;ならびに小さな
アミノ末端もしくはカルボキシル末端の伸長、例えばア
ミノ末端のメチオニン残基、約20〜25個までの残基
の小さいリンカーペプチドまたは精製を容易にする小さ
な伸長(extension) すなわちアフィニティータグなどで
ある。アフィニティータグを有するポリペプチドは、zs
ig39ポリペプチドとアフィニティータグとの間に、さら
に、タンパク質分解開裂部位をもっていてもよい。好ま
しいこのような部位としては、トロンビン開裂部位とX
a因子開裂部位がある。
【0140】
【表4】
【0141】また、本発明のタンパク質類は天然には存
在しないアミノ酸残基を含有していてもよい。天然には
存在しないアミノ酸としては、限定されないが、 trans
−3−メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、 cis
−4−ヒドロキシ−プロリン、 trans−4−ヒドロキシ
プロリン、N−メチル−グリシン、allo−トレオニン、
メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒド
ロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモ
グルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、
デヒドロプロリン、3−および4−メチルプロリン、
3,3−ジメチルプロリン、tert−ロイシン、ノルバリ
ン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラ
ニン、4−アザフェニルアラニンおよび4−フルオロ−
フェニルアラニンがある。
【0142】天然には存在しないアミノ酸残基を、タン
パク質に組み入れるいくつもの方法が、当該技術分野で
公知である。例えば、ナンセンス変異が、化学的にアミ
ノアシル化されたサプレッサーtRNAを用いて抑圧される
生体外の系を用いることができる。アミノ酸を合成しtR
NAをアミノアシル化する方法は当該技術分野で公知であ
る。ナンセンス変異を有するプラスミドの転写と翻訳
は、イー・コリS30 の抽出物および市販の酵素などの因
子を含有する細胞なしの系で実施される。タンパク質は
クロマトグラフィーで精製される(例えば、Robertson
ら、J. Am. Chem.Soc., 113巻2722頁1991年;Ellman
ら、Methods Enzymol., 202 巻 301頁、1991年;Chung
ら、Science, 259巻 806-809頁1993年;およびChung
ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90巻 10145-10149頁
1993年参照)。
【0143】第二の方法では、翻訳が変異させたmRNAお
よび化学的にアミノアシル化させたサプレッサーtRNAを
顕微注射することによって、キセノプス・オーシーテス
(Xenopus pocytes)内で実施される(Turcattiら、J. B
iol. Chem., 271 巻, 19991-19998 頁1996年)。第三の
方法では、置換すべき天然のアミノ酸(例えばフェニル
アラニン)が存在せず、所望の天然に存在しない単一も
しくは複数のアミノ酸(例えば、2−アザフェニルアラ
ニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルア
ラニンまたは4−フルオロフェニルアラニン)の存在下
で、イー・コリ細胞が培養される。
【0144】天然に存在しないアミノ酸が、その天然に
存在する対応物の代わりに、タンパク質中に組み入れら
れる(Koide ら、Biochem., 33巻 7470-7476頁1994年参
照)。天然に存在するアミノ酸残基は、生体外での化学
的修飾法で、天然に存在しない種に変換できる。化学的
修飾法は、部位特異的突然変異誘発を組み合わせて、置
換の範囲を一層拡大できる(WynnとRichards, Protein
Sci. 2巻 395-403頁1993年)。限定された数の、非保存
アミノ酸、遺伝暗号でコードされていないアミノ酸、天
然に存在しないアミノ酸、および異常なアミノ酸で、zs
ig39のアミノ酸残基を置換できる。
【0145】本発明のポリペプチド類の必須アミノ酸
は、当該技術分野で公知の方法、例えば、部位特異的突
然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発などで確認
できる(CunninghamとWells, Science, 244 巻 1081-10
85頁1989年;Bassら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88
巻 4498-4502頁1991年)。上記の後者の方法では、単一
のアラニン変異が、分子中の残基ごとに導入され、得ら
れた突然変異分子を、以下に開示するようにして、生物
活性(例えばエネルギー均衡を調節する性能)について
試験して、その分子の活性に対して不可欠のアミノ酸残
基を確認する(Hiltonら、J. Biol. Chem., 271 巻 469
9-4708頁1996年参照)。
【0146】また、リガンド−受容体の相互作用などの
生物学的相互作用の部位は、構造の物理的分析によって
確認され、例えば推定接触部位のアミノ酸の突然変異と
組み合わせて、核磁気共鳴、結晶解析、電子回析、また
は光アフィニティーラベリングなどの方法で確認できる
(例えば、de Vosら、Science, 255巻 306-312頁1992
年;Smith ら、J. Mol. Biol., 224巻 899-904頁1992
年;Wlodaverら、FEBS Lett., 309 巻 59-64頁1992年参
照)。また、必須アミノ酸のアイデンティティーも、類
縁ポリペプチドとの相同性を分析することによって推測
できる。
【0147】複数のアミノ酸の置換を行い、次に、その
置換は、突然変異誘発やスクリーニングの公知の方法、
例えばReidhaar-OlsonとSauer, Science, 241 巻 53-57
頁1988年またはBowie とSauer, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 86 巻 2152-2156頁1989年に開示されている方
法を用いて試験することができる。簡単に述べると、こ
れらの筆者は、ポリペプチド内の二つ以上の位置を同時
に無作為に選び、機能的ポリペプチドを選択し、次にそ
の突然変異誘発が行われたポリペプチドの配列を決定し
て、各位置において許容可能な置換のスペクトルを決定
する方法を開示している。利用できる他の方法として
は、ファージディスプレイ法(例えば、Lowmanら、Bioc
hem., 30巻 10832-10837頁1991年;Ladnerらの米国特許
第 5,223,409号;Huseの国際特許願公開第WO92/06204
号)および領域特異的突然変異誘発法(Derbyshireら、
Gene, 46巻 145頁1986年;Ner ら、DNA, 7巻 127頁1988
年)がある。
【0148】開示されたzsig39のDNA とポリペプチドの
配列の変異体は、Stemmer, Nature,370巻 389-391頁199
4年;Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91 巻 10
747-10751頁1994年および国際特許願公開第WO97/20078
号に開示されているDNA シャッフリング(DNA Shufflin
g)によってつくることができる。要約すると、変異体の
DNA は、親DNA のランダムフラグメンテーション(rand
om fragmentation) によって生体外相同的組換えを行
い、続いてPCR を使って再構成を行ってランダムに点変
異をもたらすことによってつくられる。
【0149】この方法は、対立遺伝子の変異体などの親
DNA のファミリーまたは異なる種由来のDNA を用いて改
変して、そのプロセスに追加の変化を導入することがで
きる。所望の活性の選択またはスクリーニングを行い続
いて突然変異誘発と検定を追加して行って、望ましい突
然変異を選択し、同時に有害な変化を選択しないことに
よって、配列の迅速な“進化”(“cvolution ”)を行
う。
【0150】上記突然変異誘発法は、高処理量の自動化
スクリーニング法と組み合わせて、宿主細胞内でクロー
ン化された突然変異誘発ポリペプチドの活性を検出でき
る。活性ポリペプチド(例えばエネルギー均衡を調節す
る性能)をコードする、突然変異誘発がなされたDNA 分
子は、宿主細胞から回収し、最新の装置で迅速に配列を
決定できる。これらの方法は、注目されているポリペプ
チドの個々のアミノ酸残基の重要性を迅速に確認して、
構造が未知のポリペプチドに適用できる。
【0151】上記方法を用いて、当業技術者は、配列番
号:2の残基19〜243 と実質的に相同の各種のポリペ
プチドまたはその対立遺伝子変異体を確認および/また
は製造して、エネルギー均衡の調節などの野生型タンパ
ク質の特性を保持することができる。かようなポリペプ
チドは、Gly-Xaa-Pro またはGly-Xaa-Xaa タイプの追加
のコラーゲンリピートのような追加のアミノ酸を含有し
ていてもよい。また、かようなポリペプチドは、先に一
般的に述べたような追加のポリペプチドセグメントを含
有していてもよい。
【0152】本発明のポリペプチドは、全長のタンパク
質、そのフラグメントおよび融合タンパク質を含めて、
通常の方法にしたがって、遺伝子工学的に加工した宿主
細胞内で製造することができる。適切な宿主細胞は、外
因性DNA で形質転換もしくはトランスフェクトし次いで
培養して増殖させることができる細胞型であり、細菌、
真菌細胞および培養された高等真核細胞がある。真核細
胞、特に、多細胞生物の培養細胞が好ましい。
【0153】クローン化DNA 分子を操作して、外因性DN
A を各種の宿主細胞に導入する方法は、Sambrookら、Mo
lecular Cloning : A Laboratory Manual 第2版、1989
年、Cold Spring Harbor Laboratory Press 、米国ニュ
ーヨーク州コールドスプリングハーバー、およびAusube
l ら編Current Protocols in Molecular Biology, 1987
年、John Wiley and Sons, Inc. 米国ニューヨークに開
示されている。
【0154】一般に、本発明のzsig39ポリペプチドをコ
ードするDNA 配列は、その発現を行うのに必要な他の遺
伝子配列(一般、発現ベクター内の転写プロモーターと
転写ターミネーターを含む)に作用可能に連結されてい
る。また、そのベクターは、通常、一つ以上の選択マー
カーと一つ以上の複製起点を含有しているが、当業技術
者には、特定の系内で、選択マーカーは別のベクターに
設けることができ、かつ外因性DNA の複製は、宿主細胞
ゲノムへの組込みによって行えることが分かる。プロモ
ーター、ターミネーター、選択マーカー、ベクターなど
の要素の選択は、当該技術分野の通常の技倆のレベルの
範囲内にある日常的な設計の問題である。多くのかよう
な要素は、文献に記載されており、そして商業的供給業
者を通じて入手できる。
【0155】zsig39ポリペプチドを、宿主細胞の分泌経
路中に導くため、分泌シグナル配列(リーダー配列、プ
レプロ配列またはプレ配列としても知られている)を、
発現ベクター中に設ける。この分泌シグナル配列は、zs
ig39ポリペプチドの分泌シグナル配列でもよく、または
他の分泌されるタンパク質(例えばt-PA)由来のもので
もよく、または新たに合成してもよい。
【0156】この分泌シグナル配列は、zsig39ポリペプ
チドDNA 配列に、その正しい読み枠内に連結され、新し
く合成されたポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に導く
ように配置される。分泌シグナル配列は、通常、注目さ
れているポリペプチドをコードするDNA 配列に対し5’
側に配置されるが、特定のシグナル配列は、注目されて
いるDNA 配列中の別の位置に配置されることがある(例
えば、Welch らの米国特許第 5,037,743号;Holland ら
の米国特許第 5,143,830号参照)。
【0157】あるいは、本発明のポリペプチドが含有し
ている分泌シグナル配列を用いて、他のポリペプチドを
分泌経路に導くことができる。本発明はかような融合ポ
リペプチドを提供するものである。シグナル融合ポリペ
プチドは、配列番号:2のアミノ酸残基1〜15または
1〜19由来の分泌シグナル配列を、当該技術分野で知
られかつ本明細書に開示された方法を用いて他のポリペ
プチドに作用可能に連結することによって製造できる。
【0158】本発明の融合ポリペプチドに含有されてい
る分泌シグナル配列は、追加のペプチドを分泌経路に導
くために、追加のペプチドのアミノ末端に融合させるこ
とが好ましい。このような構造体は、当該技術分野で知
られている多くの用途がある。例えば、これらの新規な
分泌シグナル配列の融合構造体は、通常は分泌されるタ
ンパク質、例えば受容体の活性成分を分泌させることが
できる。かような融合体は、生体内または生体外で使用
して、ペプチド類を分泌経路を通じて導くことができ
る。
【0159】培養された哺乳類の細胞も、本発明に含ま
れる適切な宿主である。外因性DNAを哺乳類の宿主細胞
に導入する方法としては、リン酸カルシウムによるトラ
ンスフェクション(Wiglerら、Cell, 14巻 725頁1978
年;Corsaro とPearson, Somatic Cell Genetics, 7 巻
603頁1981年;GrahamとVander Eb, Virology, 52 巻 4
56頁1973年)、エレクトロポレーション(Neumann ら、
EMBO J., 1巻 841-845頁1982年)、DEAE−デキストラン
によるトランスフェクション(Ausubel ら編、Current
Protocols in Molecular Biology, 1987年、John Wiley
and Sons, Inc.,米国ニューヨーク)、リポソームによ
るトランスフェクション(Hawley-Nelsonら、Focus, 15
巻73頁1993年;Ciccarone ら、Focus, 15 巻80頁1993
年)およびウイルスベクター(MillerとRosman, BioTec
hniques, 7巻 980-990頁1989年;WangとFiner, Nature
Med., 2 巻 714-716頁1996年)がある。
【0160】哺乳類の培養細胞内での組換えポリペプチ
ドの製造は、例えば、Levinsonらの米国特許第 4,713,3
39号;Hagen らの米国特許第 4,784,950号、Palmiterら
の米国特許第 4,579,821号およびRingold の米国特許第
4,656,134号に開示されている。好ましい哺乳類の培養
細胞としては、COS-1 (ATCC No. CRL 1650), COS-7 (AT
CC No. CRL 1651), BHK 570 (ATCC No. CRL 10314), 29
3 (ATCC No. CRL 1573; Graham ら、J. Gen. Virol., 3
6巻 59-72頁1977年)およびチャイニーズハムスター卵
巣(例えば、CHO-K1 ; ATCC No. CCL 61) の細胞系があ
る。
【0161】追加の適切な細胞系が当該技術分野で知ら
れており、例えば、米国メリランド州ロックビルに所在
のthe American Type Culture Collectionなどの公的な
寄託機関から入手できる。一般に、強力な転写プロモー
ター、例えばSV-40 またはサイトメガロウイルス由来の
プロモーターが好ましい(例えば、米国特許第 4,956,2
88号参照)。他の適切なプロモーターとしては、メタロ
チオネイン遺伝子由来のプロモーター(米国特許第 4,5
79,821号および同第 4,601,978号)およびアデノウイル
スの主要後期プロモーター(adeno virus major late p
romoter)がある。
【0162】薬剤選択法が、外来DNA が挿入された哺乳
類の細胞を選択するのに広く使われている。かような細
胞を通常“トランスフェクタント”と呼称している。選
択剤の存在下で培養されて、注目されている遺伝子を子
孫に伝えることができる細胞は、“安定なトランスフェ
クタントと呼称される。好ましい選択マーカーは、抗生
物質のネオマイシンに対する耐性をコードする遺伝子で
ある。選択は、ネオマイシンタイプの薬剤、例えばG-41
8 などの存在下で実施する。選択系は、注目されている
遺伝子の発現レベルを増大するのにも使用することがで
き、そのプロセスは“増幅”と呼ばれている。増幅は、
トランスフェクタントを、低レベルの選択薬剤の存在下
で培養し、次に選択薬剤の量を増やして、導入された遺
伝子の産物を高レベルで産生する細胞を選択することに
よって実施される。
【0163】好ましい増幅可能な選択マーカーは、ジヒ
ドロ葉酸レダクターゼであり、これはメトトリキセート
に対する耐性を付与する。他の薬剤耐性遺伝子(例え
ば、ハイグロマイシン耐性、多剤耐性、ピューロマイシ
ンアセチルトランスフェラーゼ)も使用できる。変化し
た表現型を導入する別のマーカー、例えばグリーン蛍光
タンパク質、または細胞表面タンパク質類、例えばCD4
、CD8 、クラスIMHC、胎盤アルカリ性ホスファターゼ
は、FACS選別法または磁気ビーズ分離法などの方法で、
トランスフェクトされた細胞をトランスフェクトされて
いない細胞から選別するのに使用できる。
【0164】植物細胞、昆虫細胞および鳥類の細胞を含
む他の高等真核細胞も宿主として使用できる。植物細胞
内で遺伝子を発現するためのベクターとして、アグロバ
クテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)
を使用することは、Sinkarら、J. Biosci. (Bangalor
e)、11巻 47-58頁1987年に総説が記載されている。昆虫
細胞の形質転換と、その細胞内での外来ポリペプチドの
産生は、Guarino らの米国特許第 5,162,222号および国
際特許願公開第WO92/06463号に開示されている。
【0165】昆虫細胞は、オートグラファ・カリフォル
ニカ(Autographa californica) の核多角体病ウイルス
(AcNPV) から通常、誘導される組換えバキュロウイルス
に感染させることができる(KingとPossee, The Baculo
virus Expression Systems :A Laboratory Guide 、英
国ロンドン、Chapman & Hall ; O'Reilly ら、Baculovi
rus Expression vectors : A Laboratory Manual、米国
ニューヨーク、OxfordUniversity Press, 1994 年;お
よびRichardson, C.D.編、Baculovirus Expression Pro
tocols. Methods in Molecular Biology、米国ニュージ
ャージー州トトワ、Humana Press, 1995年参照)。
【0166】組換えzsig39バキュロウイルスの第二の製
造方法では、Luckowら、J. Virol.,67 巻 4566-4579頁1
993年に記載されているトランスポゾンベースの系が使
用される。この系は、輸送ベクターを利用するが、Bac-
to-Bac (登録商標)キット(米国メリーランド州ロック
ビル所在のLife Technologies)で販売されている。この
系は、Tn7 トランスポゾンを含有する輸送ベクターのpF
astBac1(登録商標)(Life Technologies) を利用し
て、zsig39ポリペプチドをコードするDNA を、“bacmi
d”と呼ばれる大きなプラスミドとしてイー・コリ中に
維持されているバキュロウイルスゲノム中に移動させる
(Hill-PerkinsとPossee, J. Gen. Virol.,71巻 971-97
6頁1990年;Bonning ら、J. Gen. Virol., 75巻 1551-1
556頁1994年;およびChazenbalkとRapoport, J. Biol.
Chem., 270 巻 1543-1549頁1995年参照)。
【0167】さらに、輸送ベクターは、発現されるzsig
39ポリペプチドのC末端またはN末端のエピトープタ
グ、例えばGlu-Glu エピトープタグをコードするDNA と
のin-frame融合体を含有していてもよい(Grussenmeyer
ら、Proc. Natl. Acad. Sci.,82巻 7952-7954頁1985
年)。当該技術分野で公知の方法を用いて、zsig39を含
有する輸送ベクターでイー・コリを形質転換し、次いで
組換えバキュロウイルスを示す切断されたlacZ遺伝子を
含有するbacmidについて選別する。組換えバキュロウイ
ルスゲノムを含有するbacmid DNAを通常の方法を用いて
単離し、そのbacmidDNAを用いて、スポドプテラ・フル
ギペルダ(Spodoptera frugiperda)の細胞、例えばSf9
細胞をトランスフェクトする。その結果、zsig39を発現
する組換えウイルスが産生される。当該技術分野で通常
使用されている方法によって組換ウイルスのストックを
製造する。
【0168】上記組換えウイルスを使用して、宿主細
胞、一般にヤトウガのスポドプテラ・フルギペルダ由来
の細胞系に感染させる(一般に、Glick とPasternak, M
olecular Biotechnology : Principles and Applicatio
ns of Recombinant DNA, ASM Press、米国ワシントン
D.C. 1994年参照)。他の適切な細胞系は、トリコプル
シア・ニー(Trichoplusia ni)由来のHigh FiveO(登録
商標)細胞系(Invitrogen) (米国特許第 5,300,435
号)である。これらの細胞を増殖させ維持するのに、市
販の無血清培地を使用する。
【0169】適切な培地は、Sf9 細胞用にはSf900 II
(登録商標)(Life Technologies)またはESF 921 (登
録商標)(Expression Systems) であり、そしてティ・
ニー細胞用には、Ex-Cello 405(登録商標)(JRH Bios
ciences 、米国カンサス州レネクサ)またはExpress Fi
veO (登録商標)(Life Technologies)である。これら
の細胞は、組換えウイルスのストックを、感染多重度
(MOI) 0.1〜10で、より一般的には3近傍で添加する
と、約2〜5×105 細胞の接種密度から1〜2×10
6 細胞の密度まで増殖する。使用される方法は、入手で
きる実験室マニュアル(KingとPossee, ibid. ; O'Reil
lyら、ibid. ; Richardson, ibid.)に広く記載されてい
る。続いて行われる、上澄み液からのzsig39ポリペプチ
ドの精製は、本明細書に記載の方法を用いて達成するこ
とができる。
【0170】酵母細胞を含めて真菌の細胞も、本発明で
使用できる。この点について特に注目される酵母の種と
しては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces
cerevisiae) 、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)
およびピキア・メタノリカ(Pichia methanolica) があ
る。エス・セレビシエの細胞を外因性DNA で形質転換
し、その細胞から組換えポリペプチドを産生させる方法
は、例えば、Kawasakiの米国特許第 4,599,311号;Kawa
sakiらの米国特許第 4,931,373号;Brake の米国特許第
4,870,008号;Welch らの米国特許第 5,037,743号およ
びMurrayらの米国特許第 4,845,075号に開示されてい
る。
【0171】形質転換された細胞は、選択マーカーすな
わち、通常は、薬剤耐性または特定の栄養素(例えばロ
イシン)なしで増殖する性能によって確認される表現型
によって選択される。サッカロミセス・セレビシエ内で
使用するのに好ましいベクターは、Kawasakiらの米国特
許第 4,931,373号に開示されているPOT1ベクター系であ
る。このベクター系によれば、形質転換された細胞を、
グルコース含有培地内で増殖させることによって選別す
ることができる。
【0172】酵母に使用するのに適切なプロモーターと
ターミネーターとしては、解糖酵素の遺伝子(例えば、
Kawasakiの米国特許第 4,599,311号;Kingsmanらの米国
特許第 4,615,974号およびBitterの米国特許第 4,977,0
92号参照)およびアルコールデヒドロゲナーゼの遺伝子
(米国第 4,990,446号;同第 5,063,154号;同第 5,13
9,936号および同第 4,661,454号参照)由来のものがあ
る。
【0173】他の酵母に用いる形質転換系としては、ハ
ンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha) 、シ
ゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pomb
e)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces la
ctis) 、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromy
ces fragilis) 、ウスチラゴ・マイディス(Ustilagoma
ydis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキ
ア・メタノリカ(Pichia methanolica) 、ピキア・ギリ
エルモンディ(Pichia guilliermondii)およびカンジダ
・マルトーサ(candida maltosa)があり、これらは当該
技術分野で公知である(例えば、Gleeson ら、J. Gen.
Microbiol., 132 巻 3459-3465頁1986年およびCregg の
米国特許第 4,882,279号参照)。
【0174】アスペルギルス(Aspergillus) 属の細胞
は、McKnightらの米国特許第 4,935,349号の方法にした
がって利用できる。アクレモニウム・クリソゲナム(Ac
yemonium chrysogenum) を形質転換する方法は、Sumino
らの米国特許第 5,162,228号に開示されている。ノイロ
スポラ(Neurospora) 属の真菌を形質転換する方法は、
Lambowitz の米国特許第 4,486,533号に開示されてい
る。
【0175】組換えタンパク質を産生させるために宿主
としてピキア・メタノリカを使うことは、国際特許願公
開第WO97/17450号、同第WO97/17451号、同第WO98/02536
号および同第WO98/02565号に開示されている。ピー・メ
タノリカを形質転換するのに使用するDNA 分子は、通
常、二本鎖の環状プラスミドとして調製され、このプラ
スミドは形質転換を行う前に線形にすることが好まし
い。ピー・メタノリカ内でポリペプチドを産生させるに
は、プラスミド中のプロモーターとターミネーターは、
ピー・メタノリカのもの、例えばピー・メタノリカのア
ルコール利用遺伝子(AUG1またはAUG2)などが好まし
い。他の有用なプロモーターとしては、ジヒドロキシア
セトンシンターゼ(DHAS)、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FM
D) およびカタラーゼ(CAT)の遺伝子のプロモーターが
ある。
【0176】前記DNA を宿主染色体に組み込みやすくす
るために、プラスミドの全発現セグメントは、その両端
が、宿主DNA の配列に隣接していることが好ましい。ピ
キア・メタノリカに使用するのに好ましい選択マーカー
は、ピー・メタノリカのADE2遺伝子であり、この遺伝子
はホスホリボシル5−アミノイミダゾールカルボキシラ
ーゼ(AIRC ; EC 4.1.1.21) をコードし、この酵素は、
ade2宿主細胞をアデニンなしで増殖させることができ
る。メタノールの使用量を最少限にすることが望ましい
大規模の工業工程の場合、メタノール利用遺伝子(AUG1
とAUG2)の両方が欠失している宿主細胞を使用する方が
好ましい。
【0177】分泌されるタンパク質を産生させるには、
液胞型プロテアーゼの遺伝子(PEP4とPRB1)を欠いてい
る宿主細胞が好ましい。注目されているポリペプチドを
コードするDNA を含有するプラスミドを、ピー・メタノ
リカ細胞中に導入しやすくするためエレクトロポレーシ
ョンが使用される。電界強度が 2.5〜4.5 kV/cm、好ま
しくは約3.75kV/cmで、時定数(τ)が1〜40ミリ
秒、最も好ましくは約20ミリ秒である指数関数的に減
衰するパルス電界を使用するエレクトロポレーション法
で、ピー・メタノリカ細胞を形質転換することが好まし
い。
【0178】原核宿主細胞も、細菌のエシュリキア・コ
リ(Escherichia coli) 、バシラス(Bacillus) 属など
の属の細菌を含めて、本発明の範囲内の有用な宿主細胞
である。これらの宿主を形質転換し、その中にクローン
化された外来DNA 配列を発現する方法は当該技術分野で
周知の方法である(例えばSambrookら、ibid. 参照)。
zsig39ポリペプチドを、イー・コリなどの細菌内で発現
させると、そのポリペプチドが、一般的に不溶性顆粒と
して細胞質に保持されるか、または細菌の分泌配列によ
って細胞周辺腔に導かれる。
【0179】前者の場合、細胞を溶解し、前記顆粒を回
収して、例えばグアニジンイソチオシアネートまたは尿
素を用いて変性する。その変性されたポリペプチドは、
例えば、尿素の溶液および還元型グルタチオンと酸化型
グルタチオンの混合物に対して透析し続いて緩衝食塩溶
液に対し透析することによって、変性剤を希釈して、再
生させ二量体化することができる。後者の場合、ポリペ
プチドは、細胞を破壊して(例えば音波処理または浸透
圧ショックによって)細胞周辺腔の内容物を放出させ、
タンパク質を回収することによって、可溶性で機能性の
形態で、細胞周辺腔から回収することができ、したがっ
て変性や再生を行う必要がない。
【0180】形質転換またはトランスフェクトされた宿
主細胞は、その選ばれた宿主細胞が増殖するのに必要な
栄養素などの成分を含有する培養培地で、通常の方法に
したがって培養される。規定培地および複合培地を含め
て、各種の適切な培地は当該技術分野で知られており、
一般に炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミンおよび
無機質を含有している。また、培地は、必要に応じて、
成長因子または血清などの成分を含有していてもよい。
増殖培地は、一般に、例えば薬剤選択法によって、また
は発現ベクターに保持されているかもしくは宿主細胞に
同時にトランスフェクトされた選択マーカーによって補
充される必須栄養素の欠落によって、外因的に加えられ
たDNA を含有する細胞を選択する。
【0181】発現された組換えzsig39ポリペプチド(ま
たはキメラzsig39ポリペプチド)は、分画法および/ま
たは通常の精製法と培地を用いて精製できる。硫酸アン
モニウムによる沈澱法および酸もしくはカオトロープ(c
haotrope) による抽出法は、試料の分画に使用できる。
代表的な精製法としては、ヒドロキシアパタイトクロマ
トグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、FPLCお
よび逆相高速液体クロマトグラフィーがある。適切なア
ニオン交換媒体としては、誘導体化されたデキストラン
類、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特
殊シリカ類(specialty silica) などがある。
【0182】PEI, DEAE, QAEおよびQの誘導体が好まし
く、DEAE Fast-Flow Sepharose (Pharmacia ,米国ニュ
ージャージー州ピスカタウェイ)が特に好ましい。適切
なクロマトグラフィー用媒体としては、フェニル、ブチ
ルもしくはオクチルの基で誘導体化された媒体、例えば
Phenyl-Sepharose FF (Pharmacia) 、Toyopearl butyl
65 (Toso Haas ,米国ペンシルベニア州モンゴメリービ
ル)、Octyl-Sepharose (Pharmacia) など;またはポリ
アクリル系樹脂。例えば、Amberchrom CG71 (Toso Haa
s) などがある。適切な固体支持体としては、ガラスビ
ーズ、シリカベースの樹脂、セルロース樹脂、アガロー
スのビーズ、架橋アガロースのビーズ、ポリスチレンの
ビーズ、架橋ポリアクリルアミド樹脂など、使用される
条件下で不溶性のものがある。
【0183】これらの支持体は、タンパク質を、アミノ
基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル
基および/または炭水化物の部分によって結合させるこ
とができる反応性基で修飾することができる。カップリ
ング化学反応の例としては、臭化シアン活性化、N−ヒ
ドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、ス
ルフヒドリル活性化、ヒドラジド活性化、およびカルボ
ジイミドのカップリング化学反応のためのカルボキシル
誘導体とアミノ誘導体がある。
【0184】これらなどの固体媒体は、当該技術分野で
公知でありかつ広く使用されており、商業的供給業者か
ら入手できる。受容体ポリペプチドを支持媒体に結合す
る方法は当該技術分野で公知である。特定の方法を選ぶ
ことは、日常的な計画の問題であり、一部、選択された
支持体の特性によって決定される(例えば、AffinityCh
romatography : Principles & Methods, Pharmacia LKS
Biotechnology, 1988 年スエーデンアプサラ参照)。
【0185】本発明のポリペプチド類は、その構造の特
性または結合特性を利用することによって単離できる。
例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフ
ィーを利用して、ヒスチジンが豊富なタンパク質または
His タグを有するタンパク質を精製することができる。
簡単に述べると、まず、ゲルを、二価の金属イオンで帯
電させてキレートをつくる(Sulkowski, Trends in Bio
chem., 3巻 1-7頁1985年)。ヒスチジンの豊富なタンパ
ク質は、使用される金属イオンに対応して、異なるアフ
ィニティーを有するこのマトリックスに吸着され、次
に、競合溶出、pHを下げること、または強力なキレート
剤を用いることによって溶出される。
【0186】他の精製法としては、レクチンアフィニテ
ィークロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラ
フィーによるグリコシル化タンパク質類の精製法がある
(M.Deutscher編、“Methods in Enzymol. ”,Vol.18
2,“Guide to Protein Purification ”1990年、 529-5
39頁、米国サンディエゴ、Acad. Press)。本発明の追加
の実施態様で、注目されているポリペプチドおよびアフ
ィニティータグ(例えば、Glu-Glu アフィニティータ
グ、FLAG tag、マルトース結合タンパク質、免疫グロブ
リンのドメイン)の融合体が、精製を容易にするために
構築される。これらの精製法は、以下の実施例の項に詳
細に開示する。
【0187】タンパク質再生(および任意に再酸化)の
方法を用いると有利である。タンパク質を、>80%の
純度まで、より好ましくは>90%の純度まで、さらに
好ましくは>95%まで精製することが好ましく、特に
好ましいのは医薬として純品の状態であり、この状態
は、汚染高分子物、特に他のタンパク質や核酸について
は純度が99.9%を超え、かつ感染性および発熱性の因子
を含有しない状態である。精製されたタンパク質は、他
のタンパク質、特に動物起源の他のタンパク質を実質的
に含有しないことが好ましい。
【0188】また、zsig39ポリペプチドまたはそのフラ
グメントは、化学合成によって製造できる。かようなzs
ig39ポリペプチドは、単量体または多量体でもよく;グ
リコシル化されていてもまたはグリコシル化されていな
くてもよく;ペジレート(pegylate) されていてもまた
はペジレートされていなくてもよく、そして最初のメチ
オニン残基を含有もしくは含有していなくてもよい。
【0189】本発明のタンパク質を検定する生体内での
方法としては、ウイルス送達システムがある。この目的
のための代表的なウイルスとしては、アデノウイルス、
ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルスおよびアデノ随
伴ウイルス(AAV)がある。二本鎖DNA ウイルスであるア
デノウイルスは、現在、非相同の核酸を送達するのに用
いる、最もよく研究された遺伝子輸送ベクターである
(総説については、Beckerら、Meth. Cell Biol., 43巻
161-189頁1994年;およびDouglas とCuriel, Science
& Medicine, 4 巻 44-53頁1997年参照)。このアデノウ
イルス系は以下のいくつもの利点がある。すなわち、ア
デノウイルスは、(i)比較的大きなDNA挿入体を収容
できる;(ii)高いウイルス力価まで増殖できる;(ii
i )高範囲の哺乳類細胞型に感染できる;および(iv)
異なるプロモーターを含有する多数の入手可能なベクタ
ーとともに使用できる。また、アデノウイルスは血流中
で安定であるから静脈注射で投与することができる。
【0190】アデノウイルスゲノムの一部分を欠失させ
ることによって、非相同DNA のより大きな挿入体(7kb
まで)を収容できる。これらの挿入体は、直接連結法、
または同時にトランスフェクトされたプラスミドによる
相同的組換えによって、ウイルスDNA に組み入れること
ができる。代表的な系では、必須のE1遺伝がウイルス
ベクターから欠失しているので、そのウイルスは、E1
遺伝子を宿主細胞(ヒト293 細胞系が代表的な細胞系で
ある)が提供しない限り複製しない。
【0191】アデノウイルスは、無傷の動物に静脈注射
されると、主として肝臓を標的とする。アデノウイルス
送達系がE1遺伝子を欠失していると、そのウイルスは
宿主細胞内で複製できない。しかし、宿主の組織(例え
ば肝臓)は、非相同のタンパク質を発現しプロセシング
を行う(そして分泌シグナル配列が存在していると、分
泌する)。分泌されたタンパク質は、高度に血管化され
た肝臓内の循環系に入るので、感染した動物に対する効
果を確認することができる。
【0192】また、アデノウイルス系は、生体外でのタ
ンパク質製造にも使用できる。アデノウイルスを感染さ
れた非293 細胞は、その細胞が迅速には分裂しない条件
下で培養することによって、延長した期間にわたってタ
ンパク質を産生できる。例えばBHK 細胞は、細胞ファク
トリー内で集密状態まで増殖させ、次いで注目されてい
る、分泌されるタンパク質をコードするアデノウイルス
ベクターに暴露する。
【0193】次いでその細胞を無血清条件下で増殖させ
ると、感染した細胞は、有意な細胞分裂を行うことな
く、数週間にわたって生存することができる。あるい
は、アデノウイルスベクターを感染させた293S細胞は、
懸濁培養で、比較的高い細胞密度で増殖して、有意な量
のタンパク質を産生することができる(Garnier ら、Cy
totechnol., 15巻 145-155頁1994年参照)。いずれのプ
ロトコルでも、発現され分泌された非相同タンパク質
は、細胞培養液の上澄み液から繰返し単離することがで
きる。感染させた293S細胞の産生プロトコルで、分泌さ
れないタンパク質も効率的に得ることができる。
【0194】また、リガンド結合性ポリペプチド、例え
ばzsig39ポリペプチド結合性ポリペプチドは、リガンド
を精製するのに使用できる。そのポリペプチドは、使用
条件下で安定な、アガロース、架橋アガロース、ガラ
ス、セルロース樹脂、シリカベースの樹脂、ポリスチレ
ン、架橋ポリアクリルアミドなどの材料製のビーズなど
の固体支持体に固定化される。ポリペプチドを固体支持
体に結合する方法は、当該技術分野で公知であり、アミ
ン化学反応、臭化シアン活性化、N−ヒドロキシスクシ
ンイミドの活性化、エポキシドの活性化、スルフヒドリ
ルの活性化およびヒドラジドの活性化の方法がある。
【0195】得られた媒体は、一般に、カラムの形態に
形成され、次に、リガンドを含有する流体に、そのカラ
ムを1回以上通過させて、リガンドを、リガンド結合性
ポリペプチドに結合させる。次に、塩の濃度、カオトロ
ピック剤(chaotropic agent) (塩酸グアニジン)また
はpHを変えて、リガンド−受容体の結合を切断し、リガ
ンドを溶出させる。
【0196】リガンド結合性受容体(もしくは抗体すな
わち相補体/抗相補体の対の一方のメンバー)またはそ
の結合性フラグメント、および市販のバイオセンサー装
置〔BIAcore (登録商標)、Pharmacia Biosensor ,米
国ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用する検定
システムは有利に利用できる。かような受容体、抗体、
相補体/抗相補体の対のメンバーまたはフラグメント
は、受容体チップの表面に固定化される。上記装置の使
用方法は、Karlsson, J. Immunol. Methods, 145巻 229
-240頁1991年およびCunninghamとWells, J. Mol. Bio
l., 234 巻 554-563頁1993年に開示されている。
【0197】受容体、抗体、メンバーまたはフラグメン
トは、アミンまたはスルフヒドリルの化学反応を利用し
て、フローセル内の全製フィルムに結合されているデキ
ストラン繊維に共有結合されている。試験試料に、その
セルを通過させる。リガンド、エピトープ、または相補
体/抗相補体の対の反対側のメンバーは、試料中に存在
していると、それぞれ、固定化された受容体、抗体また
はメンバーと結合して、媒体の屈折率を変化させ、その
変化が、前記全製フィルムの表面プラズモン共鳴の変化
として検出される。このシステムは、オンレート(on-r
ate)とオフレート(off-rate) を測定することができ
(これらレートから結合アフィニティーを算出すること
ができる)かつ結合の化学量論的法則を評価できる。
【0198】また、リガンド結合性ポリペプチドは、当
該技術分野で知られている他の検定システムにも使用で
きる。かようなシステムとしては、結合アフィニティー
を測定するScatchard 分析法(Scatchard, Ann. NY Aca
d. Sci., 51 巻 660-672頁1947年参照)および熱量検定
法(Cunninghamら、Science, 253巻 545-548頁1991年;
Cunninghamら、Science, 245巻 821-825頁1991年)があ
る。
【0199】当業技術者にとっては明らかなように、ウ
マ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、イワトリ、ウサギ、マ
ウス、ハムスター、モルモットおよびラット、ならびに
トランスジェニックヒツジ、ウシ、ヤギまたはブタなど
のトランスジェニック動物などの各種温血動物に接種す
ることによってポリクローナル抗体を生成させることが
できる。また、抗体は、哺乳類と昆虫の細胞内のみなら
ず、改変された形態で酵母と真菌内で発現させることが
できる。
【0200】zsig39ポリペプチドまたはそのフラグメン
トは、動物に接種しすなわち免疫応答を引き出すための
抗原(免疫原)として働く。適切な抗原としては、配列
番号:2のアミノ酸残基16〜2243、配列番号:2のア
ミノ酸残基19〜243 、またはその隣接する9〜243 の
アミノ酸残基のフラグメントである配列番号:2が示す
zsig39ポリペプチドがある。zsig39ポリペプチドの免疫
原性は、アジュバント、例えばalum(水酸化アルミニウ
ム)またはフロイントの完全もしくは不完全アジュバン
トを使用することによって増大させることができる。
【0201】また、免疫化を行うのに有用なポリペプチ
ドとしては、zsig39もしくはその一部と、免疫グロブリ
ンのポリペプチドもしくはアフィニティタグとの融合体
などの融合ポリペプチドがある。ポリペプチドの免疫原
は、全長の分子またはその一部でもよい。ポリペプチド
の一部が“ハプテン様”であれば、かような部分は、免
疫化のための巨大分子のキャリヤー(例えばキーホール
リンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(B
SA) または破傷風毒素など)に有利に結合または連結す
ることができる。
【0202】用語“抗体”には、本明細書で使用される
場合、ポリクローナル抗体、アフィニティーで精製され
たポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および抗原
結合性フラグメント例えばF(ab')2とFab のタンパク質
分解フラグメントが含まれる。遺伝工学で加工された無
傷の抗体またはフラグメント、例えばキメラ抗体、Fv
フラグメント、一本鎖抗体など、ならびに合成の抗原結
合性ペプチドとポリペプチドも含まれる。ヒト以外の抗
体は、ヒト以外のCDR だけを、ヒトのフレームワークと
定常領域にグラフトするか、またはヒト以外の可変領域
全体と組み込むことによってヒト化することができる
〔任意に、暴露された残基を置換することによってヒト
様表面で抗体を“覆う(cloak) ”。
【0203】この場合、“上張りされた(Veneered)”
抗体になる〕。場合によっては、ヒト化された抗体は、
ヒトの可変領域のフレームワークドメイン内にヒト以外
の残基を保持して、適正な結合特性を促進する。抗体を
ヒト化することによって、生物学的半減期が増大して、
ヒトに投与したときに有害な免疫反応が起こる可能性が
低くなる。本発明で有用な抗体を生成させるかまたは選
別する別の方法としては、zsig39タンパク質またはペプ
チドにリンパ球を生体外で暴露して、ファージまたは類
似のベクター内の抗体ディスプレイライブラリーを選別
する方法(例えば固定化されているかまたは標識されて
いるzsig39タンパク質またはペプチドを使用して行う)
がある。
【0204】(1)抗体が結合活性のしきいレベルを示
しおよび/または(2)抗体が類縁のポリペプチド分子
と有意には交差反応しないならば、抗体は特異的に結合
性であると定義される。第一に、この抗体は、zsig39ポ
リペプチド、ペプチドもしくはエピトープと結合する場
合、結合アフィニティー(Ka)が166mol-1以上で、好
ましくは107mol-1以上、より好ましくは108mol-1以上そ
して最も好ましくは109mol-1以上で、特異的に結合す
る。抗体の結合アフィニティーを、当業技術者は、例え
ば、Scatchard 分析法(Scatchard, Ann. NY Acad. Sc
i., 51 巻 660-672頁1949年)によって容易に求めるこ
とができる。
【0205】第二に、抗体は、類縁のポリペプチドと有
意には交差反応しない場合、特異的に結合する。抗体
は、例えば、標準のウェスタンブロット分析法(Ausube
l ら、ibid. )を利用してzsig39ポリペプチドを検出す
るが、既知の類縁ポリペプチドを検出しない場合、類縁
のポリペプチド分子と、有意には交差反応しない。公知
の類縁ポリペプチドの例は、オーソログ;Acrp30(配列
番号:8)などのタンパク質ファミリーのメンバーであ
る同じ種由来のタンパク質;配列番号:1(alignment
Fig.1)に示されるポリペプチド;変異ヒトzsig39ポリペ
プチドなどである。
【0206】さらに、抗体は、公知の類縁ポリペプチド
“から選別され、本発明のポリペプチドと特異的に結合
する集団を単離することができる。例えば、ヒトzsig39
ポリペプチドに対する抗体は不溶性マトリックスに接着
された類縁ポリペプチドに吸着され、ヒトのzsig39ポリ
ペプチドに特異的な抗体は適正な緩衝条件下で前記マト
リックスを通過する。このような選別法によって、密接
に関連している類縁ポリペプチドと交差反応性でないポ
リクローナル抗体とモノクローナル抗体を単離すること
ができる(Harlow and Lane 編、Antibodies : A Labor
atory Mannual,1988 年、Cold Spring Harbor Laborato
ry Press ; Cooliganら編、Current Protocols in Immu
nology, National Institues of Health, John Wiley a
nd Sons, Inc. 1995 年)。
【0207】特異的抗体の選別法と単離法は当該技術分
野で公知である(Paul編、Fundamental Immunology, Ra
ven Press, 1993 年;Getzoff ら、Adv. in Immunol.,
43巻1-98頁1988年;Goding, J.W.編、Monoclonal Antib
odies : Principles and Practice, Academic Press Lt
d. 1996 年;Benjaminら、Ann. Rev. Immunol., 2 巻67
-101頁1984年参照)。このような検定法の代表的な例と
しては、コンカレント(concurrent) 免疫電気泳動法、
放射性免疫検定法、放射性免疫沈澱法、酵素免疫測定法
(ELISA) 、ドットブロット検定法またはウェスタンブロ
ット検定法、阻害検定法または競合検定法およびサンド
イッチ検定法がある。
【0208】zsig39ポリペプチド結合性ドメインを有し
ている可能性があるポリペプチドすなわち“結合性タン
パク質”をコードする遺伝子は、ファージ(ファージデ
ィスプレイ)またはイー・コリなどの細菌に対しディス
プレイされたランダムなもしくは指示されたペプチドラ
イブラリーを選別することによって得ることができる。
前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、例
えば、ランダム突然変異誘発法およびランダムポリヌク
レオチド合成法などによって、いくつもの方法で得るこ
とができる。あるいは、拘束(constrained) ファージデ
ィスプレイライブラリーもつくることができる。
【0209】これらのペプチドディスプレイライブラリ
ーを使用して、リガンドもしくは受容体などのタンパク
質もしくはポリペプチド、生物学的もしくは合成の巨大
分子、または有機もしくは無機の物質でもよい既知の標
的と相互に作用するペプチドを選別することができる。
このようなペプチドディスプレイライブラリーをつくっ
て選別する方法は当該技術分野で公知であり(Ladnerら
の米国特許第 5,223,409号、Ladnerらの米国特許第 4,9
46,778号;Ladnerらの米国特許第 5,403,484号およびLa
dnerらの米国特許第 5,571,698号)、そしてこのような
ライブラリーを選別するためのペプチドディスプレイラ
イブラリーとキットは、例えば、Clontech (米国カリフ
ォルニア州パロアルト)、Invitrogen Inc. (米国カリ
フォルニア州サンディエゴ)、New England Biolabs, I
nc. (米国マサチューセッツ州ビバリー)およびPharma
cia LKB Biotechnology Inc.(米国ニュージャージー州
ピスカタウェイ)から市販されている。
【0210】ペプチドディスプレイライブラリーは、本
明細書に開示されているzsig39の配列を使用して選別
し、zsig39に結合するタンパク質を確認することができ
る。zsig39ポリペプチドと相互に作用するこれらの“結
合性タンパク質”は、抗体とほぼ同様に、細胞にタグを
つけたり;薬剤、毒素、放射性核種などと直接または間
接的に複合された同族ポリペプチドを、アフィニティー
精製法で単離するのに使用できる。
【0211】また、これらの結合性タンパク質は、発現
ライブラリーを選別したり、活性を中和するなどの分析
法にも使用できる。また、これら結合性タンパク質は、
ポリペプチドの循環レベルを測定したり、内在している
病変もしくは疾患のマーカーとして可溶性のポリペプチ
ドを検出もしくは定量する診断検定法にも使用できる。
これら結合性タンパク質の半減期を長くするため、複合
させてもよい。それらの生物学的特性は、アゴニストま
たはアンタゴニストとして使用するため二量体化または
多量体化することによって改変することができる。結合
性ペプチドは、上記のように、既知の類縁ポリペプチド
から選別することができる。
【0212】zsig39に対する抗体とzsig39に結合するタ
ンパク質は、zsig39を発現する細胞へのタグ付け;アフ
ィニティー精製法によるzsig39の単離;zsig39ポリペプ
チドの循環レベルを測定する診断検定法;内在している
病変または疾患のマーカーとしての可溶性zsig39の検出
または定量;FACSを利用する分析法;発現ライブラリー
の選別;抗イディオタイプの抗体の製造;およびzsig39
ポリペプチドの生体外と生体内でのエネルギー均衡を調
節する活性などの活性を遮断する中和抗体またはアンタ
ゴニストに用いることができる。
【0213】適切な直接のタグまたは標識としては、放
射性核種、酵素、基質、補助因子、阻害剤、蛍光マーカ
ー、化学発光マーカー、磁気粒子などがあり、間接的な
タグまたは標識は、中間体として、ビオチン−アビジン
などの相補体/抗相補体の対を使用することが特徴であ
る。さらに、zsig39またはそのフラグメントに対する抗
体を、生体外で使用して、変性されたzsig39またはその
フラグメントを、例えばウェスタンブロット法などの当
該技術分野で公知の検定法で検出することができる。
【0214】また、上記抗体または結合性タンパク質
は、薬物、毒素、放射性核種などに、直接または間接的
に複合させることができ、これらの複合体は、生体内の
診断または治療に用いられる。例えば、本発明のポリペ
プチドまたは抗体は、それぞれ、対応する抗相補性分子
(例えば受容体または抗原)を発現する組織または器官
を確認または治療するのに使用できる。さらに具体的に
述べると、zsig39ポリペプチドもしくは抗zsig39抗体、
またはその生物活性を有するフラグメント、もしくは部
分は、検出可能かまたは細胞障害性の分子と結合させ
て、抗相補的分子を発現する細胞、組織または器官を有
する哺乳類に投与できる。
【0215】適切な検出可能な分子は、前記ポリペプチ
ドまたは抗体に直接または間接的に結合させることがで
き、放射性核種、酵素、基質、補助因子、阻害剤、蛍光
マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子などがある。適
切な細胞障害性分子は、前記ポリペプチドまたは抗体に
直接または間接的に結合させることができ、細菌または
植物の毒素〔例えば、ジフテリア毒素、シュードモナス
(Pseudomonas) 属細菌の外毒素、リシン(ricin) 、アブ
リンなど〕、ならびに、治療用放射性核種、例えばヨウ
素−131 、レニウム−188 またはイットリウム−90が
ある(例えば、前記ポリペプチドまたは抗体に直接、結
合させるかまたはキレート形成部分を通じて間接的に結
合させる)。
【0216】また、前記ポリペプチドまたは抗体は、ア
ドリアマイシンなどの細胞障害性薬物と複合させること
もできる。検出可能のまたは細胞障害性の分子を間接的
に結合させる場合は、これらの分子を、相補体/抗相補
体の対の一方のメンバーに複合させ、そして他方のメン
バーを前記ポリペプチドまたは抗体の部分に結合させ
る。これらの目的のためのビオチン/ストレプタビジン
は代表的な相補体/抗相補体の対である。
【0217】他の実施態様で、ポリペプチド−毒素の融
合タンパク質または抗体−毒素の融合タンパク質は、標
的の細胞または組織を阻害しまたは衰弱させる(例えば
癌の細胞または組織を治療するため)のに使用できる。
あるいは、前記ポリペプチドが複数の機能ドメイン(す
なわち、活性ドメインまたはリガンド結合性ドメイン+
標的指向ドメイン)をもっている場合、標的指向ドメイ
ンだけを含有する融合タンパク質が、検出可能な分子、
細胞障害性分子または相補的分子を、注目されている細
胞型または組織型に導くの適切である。
【0218】標的指向ドメインだけの融合タンパク質が
相補的分子を含有している場合、その抗相補的分子は、
検出可能のまたは細胞障害性の分子に複合させることが
できる。したがって、かようなドメイン相補的分子の融
合タンパク質は、一般的な、抗相補的で検出可能な分子
/細胞障害性分子の複合体を、細胞/組織に特異的に送
達するための一般的な標的指向媒体である。本明細書に
記載の生物学的に活性のポリペプチドまたは抗体の複合
体は、静脈内、動脈内、腺管内(DMSOとともに)、筋肉
内、皮下、腹腔内、経皮法、エレクトロトランスファー
(electrotransfer) 、経口または吸入で送達できる。
【0219】zsig39ポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドは、zsig39の活性を増大または阻害したい遺伝
子治療の用途に有用である。哺乳類のzsig39遺伝子が突
然変異を起こしているかまたは哺乳類がzsig39遺伝子を
欠いている場合、zsig39遺伝子を、その哺乳類の細胞に
導入することができる。一実施態様で、zsig39ポリペプ
チドをコードする遺伝子は、ウイルスのベクター内に入
れて、生体内で導入される。このようなベクターとして
は、弱毒化されているかまたは欠陥のあるDNAウイル
ス、例えば、限定されなが、単純ヘルペスウイルス(HS
V) 、乳頭腫ウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス
(EBV) 、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV) な
どがある。欠陥ウイルスは、ウイルスの遺伝子の全体ま
たはほとんど全体を欠いているものが好ましい。
【0220】欠陥ウイルスは細胞に導入された後、感染
性ではない。欠陥ウイルスのベクターを使用すると、そ
のベクターが他の細胞に感染するかもしれないという懸
念なしで、細胞の特異的な局在領域に投与できる。特定
のベクターの例としては、限定されないが、欠陥のある
単純ヘルペスウイルス1(HSV1) のベクター(Kaplitt
ら、Molec. Cell. Neurosci., 2 巻 320-330頁1991
年);弱毒化されたアデノウイルスベクター、例えばSt
ratford-Perricaudet ら、J. Clin. Invest., 90巻626-
630頁1992年に記載されているもの;および欠陥のある
アデノ随伴ウイルスのベクター(Samulskiら、J. Viro
l., 61 巻 3096-3101頁1987年;Samulskiら、J. Viro
l., 63 巻 3822-3828頁1989年)がある。
【0221】他の実施態様で、zsig39遺伝子はレトロウ
イルスに導入することができる。これについては、例え
ば、Andersonらの米国特許第 5,399,346号;Mannら、Ce
ll,33巻 153頁1983年;Temin らの米国特許第 4,650,76
4号;Teminsの米国特許第 4,980,289号;Markowitz
号、J. Virol., 62 巻1120頁1988年;Temin らの米国特
許第 5,124,263号;国際特許願公開第WO95/07358号;お
よびKuo ら、Blood, 82巻 845頁1993年に記載されてい
る。あるいは、このベクターは、リポソームを使って、
生体内でリポフェクトすることによって導入することが
できる。
【0222】合成のカチオン性脂質を使用して、マーカ
ーをコードする遺伝子を生体内でトランスフェクトする
のに用いるリポソームを製造することができる(Felgne
r ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84巻 7413-7417頁
1987年;Mackeyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85巻
8027-8031頁1988年)。特定の器官に、外因性遺伝子を
生体内で導入するためにリポフェクションを使用する
と、特定の実用上の利点がある。特定の細胞を標的とし
て、リポソームに分子指向させることは有利な分野であ
る。
【0223】より詳しく述べると、特定の細胞にトラン
スフェクションを行うことは有利な分野である。例え
ば、細胞が不均一な組織、例えば膵臓、肝臓、腎臓およ
び脳などの特定の細胞型にトランスフェクションを行う
ことは特に有利であろう。脂質は、標的指向をさせるた
めに他の分子に化学的に結合させることができる。標的
に向けられるペプチド(例えば、ホルモンまたは神経伝
達物質)、抗体などのタンパク質、または非ペプチドの
分子は、リポソームに化学に結合させることができる。
【0224】標的細胞を身体から取り出し、裸のDNA プ
ラスミドのようなベクターを導入し、次にその形質転換
された細胞を身体内に再び移植することができる。遺伝
子治療用の裸のDNA ベクターは、当該技術分野で知られ
ている方法、例えばトランスフェクション、エレクトロ
ポレーション、顕微注射、トランスダクション、細胞融
合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈澱法、遺伝
子ガンの使用またはDNA ベクタートランスポーターの使
用によって、所望の宿主細胞に導入できる(例えば、Wu
ら、J. Biol. Chem., 267 巻 963-967頁1992年;Wuら、
J. Biol. Chem., 263 巻 14621-14624頁1988年参照)。
【0225】アンチセンス法を用いて、zsig39遺伝子の
転写を阻害し、例えば生体内での細胞の増殖を阻害でき
る。zsig39をコードするポリヌクレオチド(配列番号:
1に記載されているポリヌクレオチド)のセグメントに
相補的なポリヌクレオチドは、zsig39をコードするmRNA
に結合してかようなmRNAの翻訳を阻害するように設計さ
れる。このようなアンチセンスポリヌクレオチドは、細
胞培養物内または被検者内でzsig39ポリペプチドをコー
ドする遺伝子が発現するのを阻害するために使用され
る。
【0226】zsig39遺伝子を発現するように加工された
トランスジェニックマウス、およびzsig39遺伝子の機能
が完全に欠けていることを示すマウス〔“ノックアウト
マウス”と呼称される(Snouwaert ら、Science, 257巻
1083頁1992年)〕もつくることができる(Lowellら、Na
ture, 366 巻 740-742頁1993年)。これらのマウスは、
生体内の系における、zsig39遺伝子およびこの遺伝子が
コードするタンパク質を研究するのに利用できる。
【0227】医薬として使用する場合、本発明のタンパ
ク質は、非経口で、特に静脈内もしくは皮下で送達する
ために、通常の方法によって配合される。静脈内投与
は、一般に1〜数hrにわたるボーラス注射または注入に
よる投与である。一般に、医薬配合物は、医薬として許
容される賦形剤、例えば食塩水、緩衝食塩水、5%デキ
ストロース水溶液などと組み合わせて、zsig39タンパク
質を含有している。配合物は、さらに、一種以上の添加
剤、保存剤、可溶化剤、緩衝剤、ウイルス表面のタンパ
ク質の損失を防ぐためのアルブミンなどを含有していて
もよい。
【0228】配合方法は当該技術分野で周知であり、例
えば、Gennaro 編、Remington : The Science and Prac
tice of Pharmacy, 19版、1995年、Mack publishing C
o.,米国ペンシルベニア州イーストンに開示されてい
る。治療投与量は、一般に、治療すべき症状の性質と重
篤度、患者の形質などを考慮し、承認されている基準に
したがって臨床医が決定する。投与量の決定は、当該技
術分野の通常の技倆のレベルの範囲内にある。本発明を
以下の実施例でさらに説明するが、これら実施例は本発
明を限定するものではない。
【0229】実施例1EST 配列の伸長(extension) 本発明の新規なzsig39ポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドは、最初、EST データベースからEST を選択
し、そのEST に基づいてタンパク質配列を予測し、次い
でEST に基づいて予測されたタンパク質に最も相同の分
泌されるタンパク質について、既知の配列データベース
をサーチすることによって確認された。既知の分泌され
るタンパク質に対して生物学的に注目すべき相同性を有
するタンパク質をコードしている可能性があるEST を、
さらに研究するために確認した。
【0230】単一のEST 配列が、発見されて、脂肪細胞
特異的タンパク質に相同であると予測された(例えば、
Scherer ら、J. Biol. Chem., 270 (45)巻 26746-26749
頁1995年参照)。対応するcDNAを確認するため、全コー
ド配列を含有している可能性があると考えられるクロー
ンを用いて配列を決定した。製造業者の説明書にしたが
って、Invistrogen S.N.A.P.(登録商標)Miniprep Kit
(Invistrogen, Corp., 米国カリフォルニア州サンディ
エゴ)を使用して、LB+50μg/mlアンピシリン中の一
夜培養物5mlを調製した。
【0231】製造業者の説明書にしたがって、ABI PRIS
M (登録商標)Dye Terminator Cycle Sequencing Read
y Reaction Kit (Perkin-Elmer Corp.) を使用し、ABIP
RISM(登録商標)model 377 DNA sequencer (Perkin-El
mer Cetus ,米国コネティカット州ノーウォーク)で、
鋳型の配列を決定した。クローンを含有するベクターの
M13 とlac2のプロモーターに対し、オリゴヌクレオチド
のZC447 (配列番号:11)、ZC976 (配列番号:1
2)を配列決定プライマーとして使用した。
【0232】オリゴヌクレオチドのZC14707 (配列番
号:13)、ZC14708 (配列番号:14)、ZC14760
(配列番号:15)、ZC14758 (配列番号:16)およ
びZC14759 (配列番号:17)を用いて、前記クローン
由来の配列を完成させた。配列決定反応を、Hybaid Omn
iGene Temperature Cycling System (National Labnet
Co.,米国ニューヨーク州ウッドブリッジ)で実施した。
SEQUENCHER(登録商標)3.1 sequence analysis softwa
re (Gene Codes Corporation,米国ミシガン州アンアー
バー)を使用してデータ分析を行った。得られた1347bp
の配列を配列番号:1に開示した。
【0233】最初に得られたEST 配列を、配列番号:1
に示した配列と比較したところ、27個の塩基対が異な
り、その結果、両者の推定アミノ酸配列は、11個のア
ミノ酸が異なっていることが分かった。22個の塩基対
の差が、EST 配列の未知の“N”残基から配列番号:1
の既知の残基までの差であったことに注目すべきであ
り、その結果、“想定された”アミノ酸の変化になって
いる。
【0234】実施例2組織の分布 ノーザン法を、Clontech(米国カリフォルニア州パロア
ルト)から入手したHuman Multiple Tissue Blots を使
用して実施した。全長のzsig39ポリペプチドをコードす
るヌクレオチドを含有する配列に対応する約1347bpのプ
ローブを、プラスミドDNA をEcoR1-NotIで消化すること
によって調製した。得られたフラグメントは、プローブ
として使用するためゲルで精製した。製造業者の説明書
にしたがって、REDIPRIME (登録商標)DNA labeling s
ystem (Amersham ,米国イリノイ州アーリントンハイ
ツ)を使用し、前記DNA プローブを32Pで放射能標識を
した。得られたプローブを、NUCTRAP push column (Str
atagene Cloning Systems ,米国カリフォルニア州ラ・
ホーヤ)を使って精製した。
【0235】EXPRESSHYB (Clontech,米国カリフォルニ
ア州パロアルト)溶液を、プレハイブリッド形成のた
め、およびノーザンブロットのハイブリッド形成溶液と
して使用した。ハイブリッド形成は65℃で一夜行い、
次にそのブロットを、室温にて、2×SSC と 0.1%のSD
S で洗浄し、続いて65℃にて 0.1×SSC と 0.1%のSD
S で洗浄した。一つの転写物の大きさが、測定した結
果、約 1.2kbであった。シグナル強度(signal intensi
ty) は、小腸と心臓で最高であったが、膵臓、骨格筋、
腎臓および甲状腺ではシグナル強度は比較的低く、そし
て胎盤、肺臓、肝臓、脾臓、前立腺、卵巣、結腸、胃、
脊髄、リンパ筋、気管、副腎および骨髄では、シグナル
強度は低かった。
【0236】追加のノーザンブロット分析を、Gut Nort
hern Tissue Blotを使用して実施した。ブロットは、ヒ
トの結腸直腸腺癌細胞系SW480 (Clontech,米国カリフォ
ルニア州パロアルト)、ヒトの小腸組織(Clontech) 、
ヒトの胃の組織(Clontech)、ヒトの腸平滑筋細胞系(H
ism ; ATCC No. CRL-1692 ; American Type CultureCol
lection ,米国メリーランド州ロックビル パークロー
ン・ドライブ12301)、正常なヒトの結腸細胞系(FHC ;
ATCC No. CRL-1831 ; American Type Culture Collecti
on) およびヒトの正常な胎児の小腸細胞系(FHs74 Int.
; ATCC No.CCL 241 ; American Type Culture Collect
ion) 由来のmRNAを用いて調製した。
【0237】全RNA を、酸性グアニジウム法(Cheomczy
nskiら、Anal, Biochem., 162 巻 156-159頁1987年)に
よって、Hism, FHC およびFHs74 Int.から単離した。ポ
リA+ RNA を保持するカラムを通じて全RNA を流出させ
ることによって、ポリA+ RNA を選別した(Avivら、Pr
oc. Nat. Acad. Sci., 69 巻 1408-1412頁1972年)。各
試料からのポリA+ RNA 2μgを、 2.2Mホルムアルデ
ヒドとリン酸緩衝液を含有する 1.5%アガロースゲルで
分離させた。得られたRNA を、20×SSC 中、一夜かけ
てNytran膜(Schleicher and Schuell, 米国ニューハン
プシャー州キーン)に移行させた。得られたブロット
を、0.12ジュールにて、UV Stratalinker2400 (Stratag
ene, 米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ)で処理した。
次にそのブロットを80℃で1hrベークした。
【0238】上記ノーザンブロットを、成熟zsig39ポリ
ペプチドをコードするzsig39 PCRフラグメント(後記実
施例4で説明する)でプローブした。なおこのPCR フラ
グメントは、Rediprime pelle tkit (Amersham, 米国イ
リノイ州アーリントンハイツ)を用い、製造業者の説明
書にしたがって、32Pで放射能標識を行った。EXPRESSH
YB (Clontech) 中で、56℃にて一夜かけて、前記ブロ
ットにハイブリッドを形成させた。得られたブロット
を、2×SSC と 0.1% SDS中、室温で洗浄し、次に2×
SSC と 0.1% SDS中、65℃で洗浄し、最後に、 0.1×
SSC と 0.1% SDS中、65℃で洗浄した。その結果、zs
ig39が、ヒトの腸平滑筋細胞系HISMを除くすべての組織
とハイブリッドを形成したことが分かった。
【0239】実施例3zsig39遺伝子の染色体マッピン
市販の“Gene Bridge 4 Radiation Hybrid Panel”(Re
search Genetics, Inc. 米国アラバマ州ハンツビル)を
用いて、zsig39ポリペプチドをコードする遺伝子の染色
体11における位置を決定した〔マッピング(mappin
g)〕。上記Gene Bridge 4 Radiation Hybrid Panelは、
93個の放射線ハイブリッドクローン各々由来のPCR 処
置を行えるDNA と、2種の対照DNA (HFLドナーとA23 レ
シピエント)を含有している。公けに利用できるwww サ
ーバー(http://www-genome.wi-mit.edu/cgi-bin/conti
g/rhmapper.p1)は、Whitehead Institute/MIT Center f
or Genome Researchの、Gene Bride 4 Radiation Hybri
d Panel で構築したヒトゲノムの放射線ハイブリッドマ
ップ(“WICGR ”放射線ハイブリッドマップ)について
マッピングを行うことができる。
【0240】“Gene Bridge 4 RH Panel”でzsig39遺伝
子のマッピングを行うため、反応液20μlずつを、PC
R 処置が可能な96ウェルの微量滴定用プレート(Stra
tagene, 米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ)に入れて、
“RoboCycler Gradient 96”thermal cycler (Stratage
ne) で使用した。
【0241】95個のPCR 反応液は各々、2μlの10
×KlenTaq PCR 反応緩衝液(CLONTECH Laboratories, I
nc.,米国カリフォルニア州パロアルト); 1.6μlのdN
TP混合物(各々 2.5mM,PERKINEL Mer,米国カリフォル
ニア州ホスターシティ);1μlのセンスプライマー、
ZC15002 (配列番号:18);1μlのアンチセンスプ
ライマー、ZC15003 (配列番号:19);2μlのRed
; Load (Research Genetics, Inc. 米国アラバマ州ハ
ンツビル); 0.4μlの50×Advantage KlenTag Poly
merase Mix (Clontech Laboratories, Inc.);25ngの
個々のハイブリッドクローンまたは対照由来のDNA ;お
よび全容積を20μlにするためのddH2Oで構成されて
いる。
【0242】これらの反応液と、同量の鉱物油で覆って
シールした。PCR cyclerの条件は以下のとおりであっ
た。すなわち最初の1サイクルは95℃における5分間
の変性であり、次の40サイクルは、95℃における1
分間の変性、65℃で1分間のアニーリングおよび72
℃で 1.5分間の伸長であり、そして最後の1サイクルは
72℃で7分間の伸長であった。得られた反応液を、2
%アガロースゲルで、電気泳動によって分離した(Life
Technologies ,米国メリーランド州ガイサーズバー
グ)。
【0243】その結果、zsig39ポリペプチドをコードす
る遺伝子は、WICGR 放射線ハイブリッドマップ上の、ヒ
ト染色体11連鎖群のトップから549.99cR 3000 に位置
していることが分かった。近位と遠位のフレームワーク
のマーカーはそれぞれ、AFMB0482A9とFB17D4であった。
周辺のマーカーを使用して、組込みLDB 染色体11マッ
プ上の11q23.3 領域のzsig39遺伝子の位置が決定される
(The Genetic Location Database 、サザンプトン大
学、www server:http://cedar.genetics.soton.ac.uk/p
ublic html/)。
【0244】実施例4哺乳類のzsig39発現ベクター:
zsig39CEE/pZP9とzsig39NEE/pZP9の構築 zsig39ポリペプチドの二つの発現ベクター:zsig39CEE/
pZP9とzsig39NEE/pZP9を調製した。なおこれらの構造体
は、C末端とN末端にGlu-Glu タグ(配列番号:20)
を有するzsig39ポリペプチドを発現するように設計され
ている。
【0245】zsig39NEE/pZP9 690bp のzsig39 DNAフラグメントを、PCR プライマーと
してZC15037 (配列番号:21)とZC15038 (配列番
号:22)、および鋳型として前記コロニーを使って、
PCR で製造した。N末端のGlu-Glu タグとBamHI とXbaI
の制限部位を付加する。zsig39フラグメントのPCR によ
る増幅は、94℃で90秒間;5サイクルの94℃の1
0秒間、34℃で20秒間、74℃で40秒間;続いて
25サイクルの94℃で10秒間、サイクル、68℃で
20秒間、72℃で40秒間;続いて72℃で5分間の
伸長であった。予測された大きさ 690bpのバンドを、1
%アガロースゲル電気泳動で視覚化して切り取り、そし
て、QUIAQUICK (登録商標)カラム(Qiagen) を、製造
業者の説明書にしたがって用いて、前記バンドのDNAを
前記ゲルから精製した。得られたDNA を制限酵素BamHI
とXbaIで消化し、続いて抽出して沈澱させた。
【0246】切り取ったDNA を、BamHI とXbaIで切断し
たプラスミドpZP9中にサブクローン化した。zsig39NEE/
pZP9発現ベクターはTPA リーダーを取り込み、そしてGl
u-Glu エピトープ(配列番号:20)が、精製補助剤と
してN末端に連結された。プラスミドpZP9(American T
ype Culture Collection, 米国メリーランド州ロックビ
ルパーク・ローンドライブ12301 にATCC No. 98668で寄
託されている)は、マウスのメタロチオネイン−1プロ
モーターを有する発現カセット、コード配列を挿入する
ための複数の制限部位、終結コドンおよびヒト成長ホル
モンターミネーターを含有する哺乳類の発現ベクターで
ある。また、このプラスミドは、イー・コリの製造起
点;SV40のプロモーター、エンハンサーおよび複製起点
を有する哺乳類の選択マーカー発現ユニット;DHFR遺伝
子;ならびにSV40ターミネーターを有している。
【0247】30ngの制限消化されたN末端の Glu-Glu
→zsig39挿入体と、48ngの消化されたベクターとを1
6℃で一夜連結させた。各連結反応液1μlを、独立し
て、製造業者の指示にしたがって、DH10B コンピテント
細胞(GIBCO BRL, 米国メリーランド州ガイサーズバー
グ) 中にエレクトロポレートし、次に、50mg/mlアン
ピシリンが入っているLBプレート中にプレートし次い
で一夜インキュベートした。コロニーを、プライマーの
ZC13006(配列番号:23)とZC13007(配列番号:24)
を用いて、PCR で選別した。PCR による選別は、94℃
で4分間;25サイクルの94℃で30秒間、64℃で
20秒間、72℃で1分間;続いて72℃で1分間の伸
長で実施した。陽性のクローンを、上記のようなLBAmp
のプレート上にプレートした。陽性クローンの挿入配列
を、配列分析によって確認した。大規模のプラスミド製
造を、QIAGEN (登録商標) Maxi prep kit (Qiagen)を使
用し、製造業者の説明にしたがって実施した。
【0248】zsig39CEE/pZP9 744bp のzsig39DNA フラグメントを、上記の方法によっ
て、PCR を利用して、PCR プライマーとしてZC15609(配
列番号:25)とZC15232(配列番号:26)を使用し、
C末端のGlu-Glu タグとEcoRI とBamHI の制限部位を付
加して製造した。PCR の増幅は、94℃で3分間;5サ
イクルの94℃で30秒間、30℃の20秒間、72℃
の1分間;25サイクルの94℃で30秒間、64℃で
20秒間、72℃で1分間;続いて72℃で5分間の伸
長で実施した。精製したPCR フラグメントを制限酵素Rc
oRI とBamHI で消化し続いて抽出し沈澱させた。
【0249】切り取ったzsig39DNA を、EcoRI とBamHI
で切断したプラスミドpZP9中にサブクローン化した。zs
ig39CEE/pZP9発現ベクターは、生の (native) zsig39シ
グナルペプチドを用いて、Glu-Glu タグ (配列番号:2
0)を、zsig39ポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チド配列のC末端に連結する。
【0250】34ngの制限消化されたC末端のGlu-Glu-
zsig39挿入体と48ngの対応するベクターをDH10B 細胞に
連結し、次に、陽性のコロニーを上記のようにして選別
した。陽性のクローンを上記のようなLBAmp プレート上
にプレートした。陽性クローンの挿入体の配列を、配列
分析によって確認した。大規模なプラスミドの製造を、
QIAGEN (登録商標) Maxi prep kit (Qiagen)を使用し、
製造業者の説明書にしたがって実施した。
【0251】実施例5zsig39NEE ポリペプチドzsig39
CEE ポリペプチドのトランスフェクションと発現 BHK 570 細胞 (ATCC No. CRL-10314) を、10cmの組織
培養皿内にプレートし、次に、DMEM/FBS培地〔DMEM, Gi
bco/BRL High Glucose(Gibco/BRL, 米国メリーランド州
ガイサーズバーグ) 、5%ウシ胎児血清(Hyclone, 米国
ユタ州ローガン) 、2μMのL−グルタミン(JRH Biosc
iences, 米国カンザス州レネクサ) 、1μMのピルビン
酸ナトリウム(Gibco BRL)〕中で、5% CO2雰囲気下、
37℃で一夜、約50〜70%の集密度まで増殖させ
た。
【0252】得られた細胞を、次に、Lipofectamine(登
録商標) (Gibco BRL) を使用し、無血清 (SF)培地配
合物〔DMEM, Gibco/BRL High Glucose(Gibco/BRL, 米国
メリーランド州ガイサーズバーグ) 、2mMのL−グルタ
ミン、2mMのピルビン酸ナトリウム、10μg/mlのト
ランスフェリン、5μg/mlのインスリン、10μg/
mlのフェチュインおよび2ng/mlのセレン〕中で、プラ
スミドのzsig39NEE/pZP9 (N末端にGlu-Glu タグ) また
はzsig39CEE/pZP9(C末端にGlu-Glu タグ) によってト
ランスフェクトした。
【0253】16μgのzsig39NEE/pZP9と16μgのzs
ig39CEE/pZP9を、別個に15mlの試験管内で、SF培地
で合計最終容積 640μlまで希釈した。別の試験管内
で、35μlのLipofectamine(登録商標)(Gibco BRL)
を 605μlのSF培地と混合した。そのLipofectamine
の混合物を前記DNA の混合物に加えて、室温で約30分
間インキュベートした。5mlのSF培地を上記DNA : Li
pofectamine 混合物に添加した。前記細胞を5mlのSF
培地で一回すすぎ、吸引し、次いで前記DNA : Lipofect
amine 混合物を添加した。
【0254】その細胞を37℃で5hrインキュベート
し、次いで、そのプレートに、6.4mlのDMEM/10% F
BS、1% PSN培地を加えた。そのプレートを37℃で一
夜インキュベートし、翌日、DNA : Lipofectamine 混合
物を新鮮なFBS/DMEM培地で取り替えた。トランスフェク
トを行った後2日目に、細胞を、 150mmプレート内の選
択培地(1μM MTXを含有するESTEP#1)に、1:50,
1:100 および1:200 の比率で入れた。これらのプレ
ートに、トランスフェクトした後5日目に再び新鮮な培
地を供給した。
【0255】コロニーの選別 トランスフェクトを行った後、約10〜12日目に、メ
トトレキセート耐性のコロニーの 150ml培養皿一つずつ
を、各トランスフェクト物から選び、培地を吸引し、そ
れらのプレートを、10mlの無血清ESTP2 培地〔 668.7
g/50L DMEM (Gibco), 5.5g/50Lのピルビン酸
ナトリウム塩96%(Mallinckrodt) 、185.0g/50
L NaHCO3 (Mallinkrodt) 、 5.0mg/mlと25ml/50
Lのインスリン、10.0mg/mlと25ml/50Lのトラン
スフェリン〕で洗浄した。
【0256】その洗浄培地を吸引し、次に5mlの無血清
ESTEP2で取り替えた。無血清ESTEP2に予め浸漬した滅菌
テフロンメッシュ(Spectrum Medical Industries, 米国
カリフォルニア州ロサンゼルス) を前記細胞の上に置い
た。無血清ESTEP2に予め浸漬した滅菌ニトロセルロース
フィルターを前記メッシュの上においた。前記ニトロセ
ルロース上のオリエンテーションマーク (orientation
mark) を前記培養皿に移した。
【0257】次に、前記プレートを、37℃で5% CO2
雰囲気のインキュベーター内で5〜6hrインキュベート
した。インキュベーションに続いて、前記フィルターを
取り出し、培地を吸引し、DMEM/5% FBS、1×PSN (G
ibco BRL) 培地で取り替えた。次に、前記フィルター
を、50mlの緩衝液(25mM Tris 、25mMグリシン、5mM
β−メルカプトエタノール)が入っている密閉可能なバ
ッグ中に入れ、65℃の水浴中で10分間インキュベー
トした。これらフィルターを、10%脱脂乾燥乳/PBS
、 0.1% PBS (Sigma)中、室温で15分間、回転シェ
ーカー上でブロックした。
【0258】次に、そのフィルターを、1:1000の希釈
率で、10%脱脂乾燥乳、 0.1% PBS、 0.1% TWEEN
中、回転シェーカー上で4℃にて一夜、抗−Glu-Glu 抗
体−HRP 複合体とともにインキュベートした。次に、そ
のフィルターを、 PBS+ 0.1%Tween 20 で、室温にて
3回(5〜15分間ずつ)洗浄した。そのフィルター
を、ECL 剤 (Amersham Corp., 米国イリノイ州アーリン
トンハイツ) で、製造業者の説明書にしたがって、展開
させ、次いで、フィルム (Hyperfilm ECL, Amersham)に
約35秒間、暴露した。
【0259】そのフィルムと、コロニーが入っているプ
レートに重ね合わせた。このフィルムを目印に使って、
適切なコロニーを選択した。滅菌3mmコロニー皿(PGC
Scientific Corp., 米国メリーランド州フレデリック)
をトリプシンに浸漬し、前記コロニー上に置いた。各構
造体に対し12個のコロニーを、96ウェルプレート内
の 200μlの選択培地に移した。各コロニーについて、
2倍希釈をシリーズで7回実施した。それら細胞を37
℃で1週間増殖させ、その時点で、細胞の希釈度が最低
で最適の密度になっているウェルを選んでトリプシンで
処理し、選択培地が入っている12ウェルのプレートに
移した。また 150mmの培養皿をトリプシンで処理し、残
りの細胞をプールし、ウェスタンブロット分析とマイコ
プラズマ試験を行った。そのプールは凍結させて貯蔵し
た。
【0260】これらクローンを前記12ウェルプレート
から二つのT-75フラスコへ、直接広げた。一方のフラス
コでは細胞の増殖を続けさせ、第二のフラスコは、ウェ
スタンブロット分析用に収穫した無血清ESTEP2の中で増
殖させた。各発現構造体のコロニーを、ウェスタンブロ
ット分析の結果に基づいて、選択し、プールし、次いで
大規模培養に移した。
【0261】実施例6zsig39CEE とzsig39NEE の哺乳
類による大規模な発現 zsig39CEE を発現する密集細胞が入っている一つのT-16
2 フラスコと、上記の発現法で得たzsig39NEE の入って
いる一つのT-162 フラスコを、各々、6個ずつのT-162
フラスコ内に広げた。得られた6個のフラスコの内1個
を使用して、凍結し、4個の凍結バイアルびんをつく
り、残りの5個のフラスコを使って、Nunc細胞のファク
トリーをつくった。
【0262】zsig39CEE とzsig39NEE の上記5個ずつの
T-162 フラスコを使用し、独立して、二つのNunc細胞フ
ァクトリー (10層、VWR が市販している) に接種し
た。簡単に述べると、細胞を、上記T-162 フラスコか
ら、トリプシンを使って剥離させ、プールし次に、予め
37℃まで加熱した 1.5lのESTEP1培地〔 668.7g/5
0L DMEM (Gibco) 、 5.5g/50Lのピルビン酸ナト
リウム塩96%(Mallinkrodt)、 185.0g/50LのNa
HCO3 (Mallinkrodt)、 5.0mg/mlと25ml/50Lのイ
ンスリン(JRH Biosciences)、10.0mg/mlと25ml/5
0Lのトランスフェリン(JRH Biosciences)、 2.5L/
50Lのウシ胎仔血清(特性指定)(Hyclone) 、1μM
MTX、pHを7.05±0.05に調節〕に加えた。細胞を含有す
る前記培地を、次に、濾斗によって、前記Nunc細胞ファ
クトリーに注ぎ入れた。その細胞ファクトリーを、37
℃/ 5.0% CO2のインキュベーター内に入れた。
【0263】80〜100 %の密集度で、視覚による汚染
試験 (フェノールレッドの変色) を、Nunc細胞ファクト
リーの内容物について実施した。汚染がないことが観察
されてから、密集ファクトリー由来の上澄み液を、小収
穫容器に注ぎ入れ、試料を採取して廃棄した。次に、付
着している細胞を 400mlのPBS で1回洗浄した。その細
胞をファクトリーから剥離させるため、各ファクトリー
に 100mlのトリプシンを添加して取り出し、得られた細
胞を残留トリプシンとともに2分間または5分間インキ
ュベートした。これらの細胞を、ESTEP1培地の二つの 2
00mlずつの洗浄液で集めた。ESTEP1培地が入っている1
0本のびん(各々 1.5l、37℃)各々に、収集した細
胞を40mlずつ添加した。1本の 1.5lびんを使って、
一つのNuncファクトリーに充填した。各細胞ファクトリ
ーを、37℃/ 5.0% CO2のインキュベーター内に入れ
た。
【0264】80〜90%の密集度で、視覚による汚染
試験(フェノールレッドの変色)を、Nunc細胞ファクト
リーで実施した。汚染がないことが観察された後、密集
ファクトリー由来の上澄み液を、小収穫容器に注ぎ入
れ、試料を採取し次いで廃棄した。次に細胞を 400mlの
PBS で一回洗浄した。 1.5lのESTEP2培地〔 668.7g/
50LのDMEM (Gibco)、 5.5g/50Lのピルビン酸ナ
トリウム塩96%(Mallinckrodt) 、 185.0g/50L
のNaHCO3 (Mallinkrodt)、 5.0mg/mlと25ml/50L
のインスリン、10.0mg/mlと25ml/50Lのトランス
フェリン〕を、各Nunc細胞ファクトリーに添加した。こ
れらの細胞ファクトリーを、37℃/ 5.0% CO2にてイ
ンキュベートした。
【0265】約48hr後の時点で、Nunc細胞のファクト
リーについて視覚による汚染試験(フェニールレッドの
変色)を実施した。各ファクトリー由来の上澄み液を小
集積容器に注ぎ入れた。新鮮な無血清培地(1.5l)を各
Nunc細胞ファクトリーに注ぎ入れ、そのファクトリーを
37℃/ 5.0% CO2にてインキュベートした。各構造体
の上澄み液収穫物1mlを顕微鏡のスライドガラスに移し
て、汚染について顕微鏡分析を行った。各構造体の小収
穫容器の内容物をプールして直ちに濾過した。
【0266】次に、第二の収穫を、48hrの時点で、先
に述べたのと実質的に同様に実施し、その後、その細胞
ファクトリーを廃棄した。無菌で組み立てられたフィル
タートレイン (filter train) 装置を使って、収穫上澄
み液 (ならし培地) の無菌濾過を行った。組立ては次の
とおりであった。すなわち配管を、Opticap フィルター
(Millipore Corp. 米国マサチューセッツ州ベッドフォ
ード) とGelman Supercap 50フィルター(Gelman Scienc
es, 米国ミシガン州アンアーバー) にワイヤーでしばり
つけた。また、そのSupercap 50 フィルターは、フード
内に配置された滅菌キャップ付き容器に連結され、Mill
ipore Opti-capフィルターの上流に配置された配管が蠕
動ポンプに挿入され、そして前記配管の自由端を大収穫
容器内に入れた。
【0267】前記蠕動ポンプは、前記ならし培地がすべ
て、0.22μmの最終フィルターを通過して、滅菌収集容
器に入るまで、 200〜300rpmで作動させた。濾液は、精
製中、4℃の低温室内においた。各種の時点で採取して
保管してきた培地の試料を、Millipore 5 KDA カットオ
フ濃縮器(Millipore Corp., 米国マサチューセッツ州ベ
ッドフォード) で、製造業者の指示にしたがって、10
倍濃縮し、次いでウェスタンブロット分析を行った。標
準物の移動度が変化するのは、その二つの製剤間の見掛
けの大きさの差が原因のようである。
【0268】zsig39CEE : 5 T-162フラスコ=> 0.125mg/L、28kDa ; 1ファクトリー、 FBS=> 0.125mg/L、28kDa ; 10ファクトリー、 FBS=> 0.125mg/L、28kDa ; 10ファクトリー(#1)、SF=> 0.125mg/L、28
kDa ;および 10ファクトリー(#2)、SF=> 0.125mg/L、28
kDazsig39NEE : 5 T-162フラスコ=0.14mg/L、38kDa ; 1ファクトリー、 FBS=1.39mg/L、38kDa ; 10ファクトリー、 FBS=0.14mg/L、38kDa ; 10ファクトリー(#1)、SF=1.39mg/L、38kDa
;および 10ファクトリー(#2)、SF=1.39mg/L、38kDa
【0269】実施例7zsig39NEE とzsig39CEE の精製
条件 特にことわらない限り、すべての操作は4℃で実施し
た。以下の方法を使用して、先に述べたN−末端または
C−末端にGlu-Glu (EE)を有するzsig39を精製した。ベ
ビーハムスター腎臓 (BHK)細胞から得たならし培地25
l全部を、4インチの 0.2mM Millipore (米国マサチュ
ーセッツ州ベッドフォード) Opticap フィルターと0.2m
M Gelman (米国ミシガン州アンアーバー) Supercap 50
によって逐次、滅菌濾過を行った。得られた物質を、次
に、3000kDa カットオフAmicon (米国マサチューセッツ
州ベッドフォード) S10Y3 膜を取り付けたMillipore Pr
oFlux A30 tangential flow concentratorを使って、約
1.3lまで濃縮した。
【0270】その濃縮された物質を、上記のようなGelm
anフィルターで、再び滅菌濾過を行った。プロテアーゼ
阻害剤の混合物を、前記濃縮されたならし培地に、最終
濃度が、 2.5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA, Sigma
Chemical. Co., 米国ミズーリ州セントルイス) 、 0.0
01mMのロイペプチン(Boehringer-Mannheim, 米国インデ
ィアナ州インディアナポリス) 、 0.001mMのペプスタチ
ン (Boehringer-Mannheim)および 0.4mMのPefabloc (Bo
ehringer-Mannheim)になるように添加した。以下に述べ
るようにして製造した抗EE Sepharoseの試料25.0mlを試
料に添加してバッチ吸着を行い、そしてその混合物を、
4℃にて18.0hr, Wheaton(米国ニュージャージー州ミル
ビル) 上でおだやかに撹拌した。
【0271】次に、その混合物を、 5.0×20.0cmのEcon
o-Column (Bio-Rad Laboratories,米国カリフォルニア
州バーキュレス) に注ぎ入れ、次にそのゲルを30カラ
ムの容積のリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。保持さ
れなかった通過画分は廃棄した。流出液の 280nMの吸光
度が0.05より小さくなったとき、前記カラムの通過流量
をゼロにして、抗−EE Sepharoseゲルと、 0.4mg/mlの
EEペプチド(AnaSpec, 米国カリフォルニア州サンホ
セ) を含有するPBS の 2.0カラム容積によって、バッチ
式で洗浄した。
【0272】使用したペプチドの配列はGlu-Tyr-Met-Pr
o-Val-Asp(配列番号:27)であった。4℃で 1.0hr経
過した後、流動を再開して溶出されるタンパク質を集め
た。この画分を、ペプチド溶出液と呼称した。次に抗−
EE Sepharoseゲルを、 2.0カラムの容積の 0.1Mグリシ
ン(pH2.5)で洗浄し、そのグリシン洗浄液を別個に集め
た。前記グリシン溶出画分のpHを、小容積の10×PBS
を添加することによって7.0 に調節し、4℃で保管し
て、必要に応じて将来の分析に使用した。
【0273】15,000分子量カットオフ膜濃縮器(Millipo
re, 米国マサチューセッツ州ベッドフォード) を使い、
製造業者の説明書にしたがって、前記ペプチド溶出液
を、 5.0mlまで濃縮した。その濃縮されたペプチド溶出
液を、BioCad Sprint HPLC(PerSeptive BioSystems, 米
国マサチューセッツ州フラミンガム) を使用し、PBS 中
で平衡化させた 1.5×50cmのSephadex G-50 (Pharmac
ia, 米国ニュージャージー州ピスカタウェイ) のカラム
のクロマトグラフィーによって、流量 1.0ml/min に
て、遊離ペプチドから分離した。
【0274】2mlずつの画分を集めて、 280nMの吸光度
を監視した。 280nMで吸光しかつカラムのボイド容積の
近傍で溶出する物質の最初のピークを集めた。この画分
は純品のzsig39NEE またはzsig39CEE であった。その純
品の物質を先に述べたようにして濃縮し、SDS-PAGEで分
析して抗−Glu-Glu 抗体でウェスタンブロッティングを
行い、試料を採取してアミノ酸の分析とN末端の配列決
定を行った。試料の残りは等分して、我々の標準手順に
したがって−80℃で保管した。精製されたzsig39NEE
のタンパク質濃度は0.65mg/mlであった。zsig39CEE の
タンパク質濃度は 0.3mg/mlであった。
【0275】還元剤なしのSDS-PAGEゲルにおけるzsig39
NEE の電気泳動は、見掛けの分子量が約50,000と約29,0
00の二つのバンドが、クーマシーブルーで染色したゲル
上にほゞ等モル量で存在していることを示した。ウェス
タンブロットが、これらのバンドは、抗−EE抗体と交
差反応することを示した。見掛けの分子量が約150,000
、約80,000および約60,000の他の三つのバンドも、こ
れらの条件下でウェスタンブロットに観察された。還元
剤の存在下ではクーマシーブルーで染色されたゲルで観
察された唯一のバンドは、見掛けの分子量30,000で泳動
した。
【0276】このバンドの強度は、非還元性ゲルで観察
されたどのバンドと比べても増大していた。この30,000
kDa のバンドも、ウェスタンブロットで、抗−EE抗体
との交差反応性を示し、存在している唯一の交差反応性
タンパク質であった。さらに、このバンドの強度は、非
還元性条件下のバンドの強度に比べて増加していた。zs
ig39CEE については、SDS-PAGEおよび抗−EE抗体によ
るウェスタンブロッティングによって、事実上同一の結
果が得られた。
【0277】抗−EE Sepharoseの製造 100mlのベッド容積のプロテインG−セファロース(Phar
macia, 米国ニュージャージー州ピスカタウェイ) を、5
00ml Nalgene 0.45ミクロンフィルターユニットを使っ
て、0.02%のアジ化ナトリウムを含有するPBS 100ml で
3回洗浄した。そのゲルと、 6.0容積の 200mMトリエタ
ノールアミンpH8.2 (TEA, Sigma Co.)で洗浄し、次いで
900mgの抗体を含有する同容積のEE抗体溶液を添加し
た。4℃で一夜インキュベートした後、前記樹脂を、上
記2mM TEAの5容積で洗浄することによって未結合の抗
体を除去した。
【0278】その樹脂を2容積のTEA 中に再び懸濁さ
せ、適切な容器に移し、次いで、TEAに溶解したジメチ
ルピミリミデート−2HCl (Pierce)を、最終濃度 (ゲル
1ml当り36mg)まで添加した。そのゲルを室温で45
分間、振盪させ、次いで先に述べたようなフィルターユ
ニットを使用して液体を除いた。次に、 200mM TEA中20
mMのエタノールアミンの5容積とともに、室温で10分
間インキュベートすることによって、前記ゲルの非特異
的部位を遮断した。そのゲルを、0.02%のアジ化ナトリ
ウムを含有するPBS 5容積で洗浄し、この溶液中に、4
℃で貯蔵した。
【0279】実施例8アミノ末端にGlu-Glu タグを有
するzsig39およびカルボキシ末端にGlu-Glu タグを有す
zsig39を発現する酵母ベクターの構築 ピキア・メタノリカ内でzsig39を発現させるには、本発
明と権利者が同じ国際特許願公開第WO97/17450号に記載
されている発現系を利用する。zsig39をコードするポリ
ヌクレオチドのすべてまたは一部を含有する発現プラス
ミドは相同的組換えによって構築される。C末端にGlu-
Glu のタグを有する (CEE)zsig39ポリペプチドを発現す
る発現ベクターをpCZR204 から構築した。そのpCZR204
ベクターは、AUG1プロモーターを含有し、αFpp リーダ
ー配列が続き、平滑末端のSmaI制限部位、カルボキシ末
端のペプチドタグ (Glu-Glu)、翻訳終結コドンが続き、
AUG1ターミネーター、ADE2選択マーカーおよび最後にAU
G1 3′非翻訳領域が続く。
【0280】また、このベクターには、エス・セレビシ
エの選択と複製のために必要なURA3とCEN-ARS の配列、
およびイー・コリの選択と複製のために必要なcolE1 or
i 配列が含まれている。N−末端にGlu-Glu タグを有す
る (NEE)zsig39ポリペプチドを発現する第二の発現ベク
ターとzCZR204 から構築した。zCZR204 発現ベクター
は、先に述べたように、アミノ末端にGlu-Glu タグを有
している。これらのベクター中に挿入されたzsig39の配
列は、zsig39のアミノ酸配列 (配列番号:2)の残基1
9(Leu)で始まる。
【0281】各構造体について、二つのリンカーをつく
り、それらリンカーとzsig39とともに、上記酵母発現ベ
クター中に相同的組換えを行った。タグなしN末端のリ
ンカー(配列番号:28)は、一方の末端の10個の塩
基対のα皿子プレプロ(αFpp)コード配列をスパンして
(span) 、そのコード配列を他方の末端の成熟zsig39配
列由来の70塩基対のアミノ末端のコード配列に連結す
る。NEE タグ付きリンカー(配列番号:29)は、前記
αFpp コード配列と前記zsig39配列の間にGlu-Glu タグ
(配列番号:20)を連結する。タグなしC末端のリン
カー(配列番号:30)は、一方の末端のほゞ70個の
塩基対のzsig39のカルボキシ末端コード配列と、70個
の塩基対のAUG1ターミネーターの配列でスパンする。CE
E タグ付きリンカー(配列番号:31)は、Glu-Glu タ
グ(配列番号:20)を、zsig39のC末端とAUG1のター
ミネーター領域の間に挿入する。
【0282】NEE タグ付きzsig39プラスミドの構築 NEE タグ付きzsigプラスミドを、 100ngのSmaI消化pCZR
204 受容ベクター、1μgのEcoRI-BamHI zsig39cDNAド
ナーフラグメント、1μgのNEE タグ付きzsigリンカー
(配列番号:29)および1μgのC末端タグなしリン
カー(配列番号:30)を、エス・セレビシエ内で相同
的に組換えることによってつくった。
【0283】NEE-zsig39リンカーをPCR 反応で合成し
た。最終反応容積が 100μlになるまで、各々1pmolの
リンカー、ze13731(配列番号:32)とZC15268(配列番
号:33)および各々 100pmolのプライマー、ZC13497
(配列番号:34)とZC15274(配列番号:35);10
μlの10×PCR 緩衝液 (Boehringer Mannheim);1μ
lのPwo Polymerase (Boehringer Mannheim);10μl
の0.25mMヌクレオチド三リン酸の混合物(Perkin Elme
r) ;ならびにdH2Oを添加した。PCR 反応は、94℃で
30秒間、50℃で1分間および72℃で1分間の10
サイクルを行い、72℃で6分間の伸長で終結させた。
得られた 144bp二本鎖のNEE タグ付きリンカーは配列番
号:29に開示してある。
【0284】C末端タグなしzsig39リンカーを、オリゴ
ヌクレオチドのZC15273(配列番号:36)、ZC15724(配
列番号:37)、ZC15223(配列番号:38)およびZC13
734(配列番号:39)を使用し、記載されているように
して、PCR 反応で製造した。得られた 147bp二本鎖のC
末端タグなしリンカーは配列番号:30に開示してあ
る。
【0285】CEE-zsig39プラスミドの構造 CEE-zsig39プラスミドを、 100ngのSmaIで消化したpCZR
204 受容ベクター、1μgのEcoRI-BamHI zsig39cDNAド
ナーフラグメント、1μgのN末端タグなしzsig39リン
カー (配列番号:28)および1μgのCEE −タグ付き
リンカー(配列番号:31)を、エス・セレビシエ内で
相同的に組み換えることによってつくった。
【0286】N末端タグなしzsig39リンカーを、オリゴ
ヌクレオチドのZC14822(配列番号:40)、ZC14821(配
列番号:41)、ZC15269(配列番号:42)およびZC15
274(配列番号:43)を使って上記のようなPCR 反応で
つくった。得られた 144bp二本鎖のN末端タグなしリン
カーは配列番号:28に開示してある。CEE タグ付きリ
ンカーを、ZC15273(配列番号:44)、ZC15267(配列番
号:45)、ZC14819(配列番号:49)およびZC14820
(配列番号:47)を使い上記のようなPCR 反応でつく
った。得られた約 144bpの二本鎖CEE タグ付きリンカー
は配列番号:31に開示してある。
【0287】100μlのコンピテント酵母細胞 (エス・
セレビシエ) を、独立して、上記の各種DNA 混合物10
μlと混合し、次いで 0.2cmのエレクトロポレーション
キュベットに移した。その酵母/DNA 混合物を0.75kV
(5kV/cm)、∞オーム、25μFでエレクトロパルス
(electropulse) した。各キュベットに 600μlの 1.2
Mソルビトールを加え、その酵母の 300μlずつ二つを
二つのVRADプレートにプレートして30℃でインキュベ
ートした。
【0288】約48hr後、一つの皿からの Ura+ 酵母形
質転換体を 2.5mlの水中に再懸濁させ、単時間撹拌し
て、この酵母細胞をペレットにした。得られた細胞のペ
レットを、1mlの溶解緩衝液(2%のTriton X-100、1
%のSDS 、 100mMのNaCl、10mMのTris (pH8.0)、1mMの
EDTA) 中に再び懸濁させた。その溶解混合物 500μl
を、酸で洗浄したガラスビーズ 300μlとフェノールク
ロロホルム 200μlが入っているエッペンドルフ管に加
え、1分間間隔で2,3回撹拌し、続いてエッペンドル
フ遠心分離器で最高速度で5分間遠心分離した。 300μ
lの水性相を新しい試験管に移し、DNA を 600μlのエ
タノール (EtOH) で沈澱させ、続いて4℃で10分間、
遠心分離を行った。得られたDNA ペレットを 100μlの
H2O 中に再懸濁させた。
【0289】エレクトロコンピテント (electrocompete
nt) イー・コリ細胞 (DH10B, GibcoBRL) の形質転換
を、酵母DNA プレプ (prep) 1μlとDH10B 細胞50μ
lで実施した。その細胞を 2.0kV、25μFおよび 400
オームでエレクトロパルスした。エレクトロポレーショ
ンを行った後、1mlのSoc 〔2%のBacto(登録商標)Try
ptone (Difco, 米国ミシガン州デトロイト) 、 0.5%の
酵母エキス (Difco)、10mMのNaCl、 2.5mMのKCl 、1
0mMのMgCl2 、10mMのMgSO4 、20mMのグルコース〕
を 250μlずつ、四つのLBAMP プレート〔LBブロス
(Lennox) 、 1.8%のBacto(登録商標) Agar (Difco)、
100mg/Lのアンピシリン〕上にプレートした。
【0290】NEE タグ付きおよびCEE タグ付きzsig39構
造体として正しい発現構造体を有している個々のクロー
ンを、配列分析によって同定して、zsig39挿入体の存在
を実証し、かつ各種のDNA 配列が互いに正しく連結され
ていることを確認した。陽性クローンの挿入体の配列分
析を行った。より大きなスケールのプラスミドDNA を、
製造業者の説明書にしたがって、Qiagen Maxi Kit (Qia
gen)を使って単離し、次にそのDNA をNotIで消化して、
ベクターバックボーンからPichia-zsig39 発現カセット
を放出させた。
【0291】次に、NotIで制限消化したONA フラグメン
トで、ピキア・メタノリカの発現宿主PMAD16を形質転換
した。これは、調製したコンピテントPMAD16細胞 100μ
lとNotIで制限消化した zsig39 10μgを混合し、
0.2cmのエレクトロポレーションキュベットに移して行
った。その酵母/DNA 混合物を0.75kV、25μF、無限
オームでエレクトロパルスした。前記キュベットに、1
mlの1×Yeast NitrogenBase を加え、 500μlずつ
を、二つのADE DS〔 0.056%の-Ade-Trp-Thr粉末、0.67
%のyeast nitrogen base(アミノ酸なし) 、2%のD−
グルコース、 0.5%の 200×トリプトファン、トレオニ
ン溶液および 18.22%D−ソルビトール〕の選別用プレ
ートにプレートし、30℃でインキュベートした。
【0292】クローンを採取し、ウェスタンブロットに
よって、高レベルのzsig39の発現で選別した。得られ
た、酵母細胞を含有するNEE タグ付きzsig39プラスミド
をPMAD16::pCZR206.14.51 および14.61 と命名し、そし
て得られた、酵母細胞を含有するCEE タグ付き−zsig39
プラスミドを PMAD16::pCZR209#1および#2と命名し
た。次にこれらクローンを発酵させた。
【0293】実施例9ピキア・メタノリカのならし培
地からのzsig39CEE の精製 特にことわらない限り、すべての操作を4℃で実施し
た。プロテアーゼ阻害剤の混合物を、ピキア培養物由来
のならし培地の試料3000mlに加えて、最終濃度を、 2.5
mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA, Sigma Chemical C
o.) 、0.001mM のロイペプチン (Boehringer-Mannhei
m)、0.001mM のペプスタチン (Boehringer-Mannheim)お
よび 0.4mMのPefabloc (Boehinger-Mannheim) にした。
その培地のpHを、濃NaOH溶液 (Sigma Chemical Co.) で
7.2 に調節し、続いてリン酸カリウム(Sigma Chemical
Co.) を加えて最終濃度を0.05Mにした。
【0294】その試料を、Beckman JLA-10.5ローター
(Beckman Instruments)に入れ、Beckman Avant; J25I
遠心分離機 (Beckman Instruments)で、4℃にて30分
間、18,000×gで遠心分離して、細胞の破片を除去し
た。その上澄み液画分に、先に述べたようにして調製し
た抗−EE Sepharoseの試料50.0mlを加え、その混合物
を、Wheaton(米国ニュージャージー州ミルビル) ローラ
ー培養装置上で、4℃にて18.0hrゆるやかに撹拌した。
得られた混合物を、次に、BHK 細胞由来のzsig39CEEに
ついて先に述べたのと同様にして処理した。得られた純
品の物質を、先に述べたようにして濃縮し、SDS-PAG お
よび抗−EE抗体によるウェスタンブロッティングによ
って分析し、そして試料をアミノ酸分析とN−末端の配
列決定のために採取した。残りの試料は等分し、我々の
標準の方法で−80℃で貯蔵した。
【0295】クーマシーブルーで染色したSDS-PAGEゲル
上の製剤は、見掛けの分子量が23,000と28,000の二つの
主要バンドと見掛けの分子量が21,000と45,000の二つの
少量成分を含有していた。これらバンドの移動度は、還
元剤の存在下および非存在下で同じであった。還元剤な
しで、抗−EE抗体によるウェスタンブロットに見える
唯一のバンドは、見掛け分子量が150,000 のタンパク質
であった (恐らく、抗EEセファロースカラムから溶出
したIgG である) 。対照的に、還元剤存在下での抗−E
E抗体によるウェスタンブロッティングは、見掛けの分
子量が28,000、24,000および23,000の三つのバンドを示
した。ピキア・メタノリカ由来のzsig39CEE の濃度は0.
35mg/mlであった。
【0296】実施例10zsig39の抗体 2頭の雌のニュージーランド白ウサギを、全長のzsig39
ポリペプチド(配列番号:2)で免疫化することによっ
て、ポリクローナル抗体を調製した。上記ポリペプチド
は、前記の精製BHK 発現物質から得たものである。その
ポリペプチドを、担体タンパク質のキーホールリンペッ
トヘモシアニン (KLH)に、グルタルアルデヒドで複合さ
せた。前記ウサギに、最初、 200μgのペプチド含有の
完全フロイントアジュバントを腹腔内 (ip)注射し、
続いて3週間毎に、 100μgのペプチド含有の不完全フ
ロイントアジュバントを腹腔内にブースター注射した。
第三のブースター注射の投与をしてから7〜10日後
に、これら動物から採血し、血清を集めた。次に、これ
ら動物には3週間毎にブースター注射を行い採血した。
【0297】zsig39特異的抗体を、プロテインAセファ
ロースを使用して前記血清から精製した。得られたzsig
39の抗体は、配列番号:2のポリペプチドを抗体の標的
として使い、ELISA 滴定法で検査して特性を決定でき
る。
【0298】実施例11アデノウィルスによる送達で
のzsig39の生体内投与 24頭の雄と24頭の雌のC57B16/Jマウス (約2週齢)
(Jackson Labs, 米国メイン州バーハーバー) を、注射
の前4日間(4日前〜1日前)、毎日、体重を測定し、
体温を測定しそして飼料摂取量を監視した。ゼロ日目
に、マウスを3群に分けて、 0.1mlのウィルス(AdV−中
空(empty)− 1.8×10″ウィルス粒子/ 0.1mlもしく
はAdV-zsig39-CEE5×10″ウィルス粒子/0.1ml)を尾
の静脈内注射を行うか、または全く注射を行わなかっ
た。
【0299】注射によって、宿主の肝臓が感染するはず
であり、そしてウィルスによって送達された遺伝子の発
現が24hr以内に始まり、1〜4週間続くはずである。
3群のマウスを試験した。グループ1未処置は雄と雌各
々n=8であった。グループ2 AdV−中空(中空ウィル
ス)は雄と雌各々n=8であった。グループ3 AdV-zsi
g39CEEは雄と雌各々n=8であった。zsig39CEE を含有
するアデノウィルスの製造は、市販のベクターを使用し
て、Beckerら、Meth. Cell Biol., 43巻 161〜189 頁19
94年の方法にしたがって行った。
【0300】これら動物の体温、体重および摂取された
飼料の重量を、3週間にわたる試験中、監視した。これ
らのグループ間に差が全く見られなかった。21日目
に、雌のマウスを頸椎脱臼法で安楽死させそして22日
目に雄のマウスを同様に安楽死させた。これらの動物の
放血を行い、剖検を行うために組織を採取した。
【0301】標準血清化学パネル(standard serum che
mistry panel) を死亡時に行った。肝臓、腎臓および代
謝パラメーターはすべて正常範囲内にあった。全遊離脂
肪酸を、各動物の残りの血清について検定した。雌と雄
のマウスの両者の中空ウィルスを投与された群とzsig39
をコードするウィルスを投与された群の間で、ダンの多
重比較検定法 (Dunn's Multiple Comparisons Test) に
よって、血清中の遊離脂肪酸濃度に統計的に有意な差が
みとめられた (p<0.05%)。zsig39マウスは上記濃度
が低かった。
【0302】肝臓、脾臓、腎臓、胸腺、心臓および脳を
取り出して重量を測定した。これらの組織と大腿骨は組
織検査を行うために保管した。大腿骨の骨幹端の骨髄の
組織病理学的分析を行ったところ、処置群の間に差があ
ることが明らかになった。雌のzsig39マウスの骨幹端の
骨髄の脂肪スコアの平均%は、中空アデノウィルスを投
与されている雌のマウスより有意に大きかった(ダンの
多重比較検定法によって、p<0.05%) 。その外の検査
された組織については有意な観察結果は得られなかっ
た。
【0303】上記のことから、本発明の特定の実施態様
を、例示を目的として本明細書に記載してきたが、本発
明の精神と範囲を逸脱することなく各種の変形を行える
ことが分かる。したがって、本発明は前記特許請求の範
囲によってのみ限定されるものである。 [図面の簡単な説明]
【図1】本発明の多重アラインメント(multiple align
ment) ;ならびに本発明のzsig39ポリペプチドおよびHU
MUPST2.1 (配列番号:3)(Maedaら、Biochem. Biophy
s. Res. Comm., 221(2)巻 286〜289 頁1996年); CIQA
HUMAN(配列番号:4)(Sellar ら、Biochem. J., 274
巻 481〜490 頁1991年、Reid, Biochem. J., 179巻367
〜371 頁1979年およびReidら、Biochem. J., 203巻 559
〜569 頁1982年);HP25 TAMAS(配列番号:5)(Takamat
suら、Mol. Cell. Biol., 13巻1516〜1521頁1993年およ
びKondo & Kondo, J. Biol. Chem., 267巻 473〜478 頁
1992年);HP27 TAMAS(配列番号:6)(Takamatsuらおよ
びKondo & Kondo の前掲報告);およびCERL RAT(配列
番号:7)(Wada とOhtani, Brain Res. Mol. Brain Re
s., 9巻71〜77頁1991年) を示す。
【図2】多重アラインメントの図1に示す6種のタンパ
ク質を比較してアミノ酸のアイデンティティの%を示す
マトリックスである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 29/00 C07K 14/47 43/00 111 16/18 C07K 14/47 C12N 1/21 16/18 C12P 21/02 C C12N 1/21 21/08 C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 A61K 37/12 (72)発明者 ヒュームス,ジャクリーン エム. アメリカ合衆国,ワシントン 98105, シアトル,ノース イースト フィフテ ィーセカンド 309 (56)参考文献 国際公開96/039429(WO,A1) J. Biol. Chem.,1995 年,Vol.270, No.45,p. 24746−26749 Biochem. Biophys. Res. Com.,1996年,Vo l.221,p.286−289 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C07K 14/00 - 14/825 SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:2のアミノ酸残基19〜243
    少なくとも95%同一であるアミノ酸残基の配列を含んで
    成るポリペプチドであって;前記配列が、 配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜109, 128〜130, 1
    36〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 2
    04〜210 および 226〜231 に相当しかつ少なくとも二つ
    のアミノ酸残基で分離されているβ−ストランド;なら
    びに 配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 と 170〜174 を
    含有する受容体結合ドメイン; を含んで成り、生体内で遊離脂肪酸のレベルを低下せし
    める、ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 前記ポリペプチドが配列番号:2のアミ
    ノ酸残基16〜243を含んで成る請求項1に記載のポリペ
    プチド。
  3. 【請求項3】 前記少なくとも95%同一であるポリペプ
    チドのアミノ酸配列と配列番号:2に記載のアミノ酸配
    列との相違が、保存的アミノ酸置換によるものである、
    請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 アフィニティータグ類、毒素類、放射性
    ヌクレオチド類、酵素類および発蛍光団類からなる群か
    ら選択される部分が、アミノ末端またはカルボキシ末端
    に共有結合されている請求項1に記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】 a)配列番号:2のアミノ酸残基19から
    アミノ酸残基243までのアミノ酸残基を含んで成るポリ
    ペプチド; b)配列番号:2のアミノ酸残基16からアミノ酸残基24
    3までのアミノ酸残基を含んで成るポリペプチド;及び c)配列番号:2のアミノ酸残基からアミノ酸残基24
    3までのアミノ酸残基を含んで成るポリペプチド; から成る群から選択される生体内で遊離脂肪酸のレベル
    を低下せしめるポリペプチド。
  6. 【請求項6】 ペプチド結合によって結合された第一部
    分と第二部分から本質上なる融合タンパク質であって; 前記第一部分が、 a)配列番号:2のアミノ酸残基19からアミノ酸残基24
    3までのアミノ酸残基を含んで成るポリペプチド; b)配列番号:2のアミノ酸残基16からアミノ酸残基24
    3までのアミノ酸残基を含んで成るポリペプチド;及び c)配列番号:2のアミノ酸残基からアミノ酸残基24
    3までのアミノ酸残基を含んで成るポリペプチド; から成る群から選択されるポリペプチドであり、そして 前記第二部分が他のポリペプチドを含んで成る、融合タ
    ンパク質。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のポリペプチドを、医薬
    として許容できる賦形剤と組み合わせて含有する医薬組
    成物。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のポリペプチドのエピト
    ープに特異的に結合する抗体。
  9. 【請求項9】 配列番号:2のアミノ酸残基19〜243
    少なくとも95%同一であるアミノ酸残基の配列を含んで
    成るポリペプチドであって;前記配列が、 配列番号:2のアミノ酸残基の 105〜109, 128〜130, 1
    36〜139, 143〜146, 164〜171, 176〜182, 187〜200, 2
    04〜210 および 226〜231 に相当しかつ少なくとも二つ
    のアミノ酸残基で分離されているβ−ストランド;なら
    びに 配列番号:2のアミノ酸残基 111〜135 と 170〜174 を
    含有する受容体結合ドメイン; を含んで成り、生体内で遊離脂肪酸のレベルを低下せし
    めるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 前記ポリペプチドが配列番号:2のア
    ミノ酸残基16〜243をを含んで成る、請求項に記載の
    ポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 前記少なくとも95%同一であるポリペ
    プチドのアミノ酸配列と配列番号:2に記載のアミノ酸
    配列との相違が、保存的アミノ酸置換によるものであ
    る、請求項に記載のポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 前記ポリヌクレオチドがDNA である請
    求項に記載のポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 a)配列番号:1のヌクレオチド243
    からヌクレオチド962 までのヌクレオチドの配列: b)配列番号:1のヌクレオチド252 からヌクレオチド
    962 までのヌクレオチドの配列;又は c)配列番号:1のヌクレオチド198 からヌクレオチド
    962 までのヌクレオチドの配列;あるいはd) 上記a),b)又はc)に相補的なヌクレオチド配
    列;を含んで成る ポリヌクレオチド。
  14. 【請求項14】 ペプチド結合によって結合された第一
    部分と第二部分から本質的に成る融合タンパク質をコー
    ドするポリヌクレオチドであって; 前記第一部分が、a)配列番号:2のアミノ酸残基19
    らアミノ酸残基243までのアミノ酸残基を含んで成る
    リペプチド; b)配列番号:2のアミノ酸残基16からアミノ酸残基24
    3までのアミノ酸残基を含んで成るポリペプチド;及び c)配列番号:2のアミノ酸残基からアミノ酸残基24
    3までのアミノ酸残基を含んで成るポリペプチド; から成る群から選択され、そして 前記第二部分が他のポリペプチドを含んで成る、前記の
    ポリヌクレオチド。
  15. 【請求項15】 配列番号:10のヌクレオチド1からヌ
    クレオチド729 までの配列を含んで成るポリヌクレオチ
    ド。
  16. 【請求項16】 以下の作用可能に連結された要素、す
    なわち転写プロモーター; 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA セグメ
    ント;および 転写ターミネーター; を含有する発現ベクター。
  17. 【請求項17】 前記DNA セグメントが、配列番号:2
    ポリペプチドをコードする、請求項16に記載の発現ベ
    クター。
  18. 【請求項18】 前記DNA セグメントが、アミノ末端ま
    たはカルボキ末端にアフィニティタグが共有結合されて
    いるポリペプチドをコードする請求項16に記載の発現ベ
    クター。
  19. 【請求項19】 前記DNA セグメントが、さらに、前記
    ポリペプチドに作用可能に連結された分泌シグナル配列
    をコードする請求項16に記載の発現ベクター。
  20. 【請求項20】 前記分泌シグナル配列が、配列番号:
    2の残基1〜15または1〜18を含有している請求項17
    記載の発現ベクター。
  21. 【請求項21】 以下の作用可能に連結された要素、す
    なわち、 転写プロモーター; 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA セグメ
    ント;および 転写ターミネーター; を含有する発現ベクターを導入された培養細胞であっ
    て;その細胞が前記DNAセグメントがコードする前記ポ
    リペプチドを発現する培養細胞。
  22. 【請求項22】 以下の作用可能に連結された要素、す
    なわち、 転写プロモーター; 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA セグメ
    ント;および 転写ターミネーター; を含有する発現ベクターを導入された細胞を培養し、そ
    の結果、前記細胞が、前記DNA セグメントがコードする
    ポリペプチドを発現し;次いで 前記発現されたポリペプチドを回収する; ことを含んでなるポリペプチドの製造方法。
  23. 【請求項23】 配列番号:10に記載のポリヌクレオチ
    ドまたは配列番号:10に記載のポリヌクレオチドに相補
    的な配列の少なくとも14個の隣接ヌクレオチドを含有す
    るオリゴヌクレオチドのプローブまたはプライマー。
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