【発明の詳細な説明】
CRFレセプターアンタゴニストおよびそれらに関連する方法
技術分野
本発明は一般的にCRFレセプターアンタゴニストに関し、およびそれらを必要
としている温血動物に、このようなアンタゴニストを投与することによって、障
害を処置する方法に関する。
発明の背景
最初のコルチコトロピン放出因子(CRF)は、ヒツジ視床下部(hypothalmi)から
単離され、そして41-アミノ酸ペプチドとして同定された(Valeら、Science 213:
1394-1397,1981)。その後、ヒトおよびラットCRFの配列は単離され、同一であ
ることが決定されたが、ヒツジCRFとは41アミノ酸残基のうち7アミノ酸残基で
異なった(Rivierら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:4851,1983;Shibaharaら
、EMBO J.2:775,1983)。
CRFは、内分泌系、神経系、および免疫系の機能に、深在性の改変を産生する
ことが見出されている。CRFは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、β−エンドルフ
ィン、および下垂体前葉からの他のプロオピオメラノコルチン(「POMC」)誘導ペ
プチドの基礎およびストレス放出の主要な生理学的調節因子であると考えられて
いる(Valeら、Science 213:1394-1397,1981)。簡潔には、CRFは、以下の全体に
分布されていることが見出されている、原形質膜レセプターに結合することによ
って、その生物学的効果を開始すると考えられている:脳(DeSouzaら、Science
224:1449-1451,1984)、下垂体(DeSouzaら、Methods Enzymol.124:560,1986;W
ynnら、Biochem.Biophys.Res.Comm.110:602-608,1983)、副腎(Udelsmanら
、Nature 319:147-150,1986)、および脾臓(Webster,E.L.およびE.B.DeSouza
、Endocrinology 122:609-617,1988)。CRFレセプターは、GTP結合タンパク質に
結合され(Perrinら、Endocrinology 118:1171-1179,1986)、このGTP結合タンパ
ク質は、cAMPの細胞内産生のCRF刺激性増加を媒介する(Bilezikjian,L.M.およ
びW.W.
Vale、Endocrinology 113:657-662,1983)。CRFのレセプターは、現在、ラット(
Perrinら、Endo 133(6):3058-3061,1993)、およびヒト脳(Chenら、PNAS 90(19)
:8967-8971,1993;Vitaら、FEBS 335(1):1-5,1993)からクローニングされてい
る。このレセプターは、7回膜貫通ドメイン(membrane spanning domain)を含む
415アミノ酸のタンパク質である。ラット配列とヒト配列との間の同一性の比較
は、アミノ酸レベルで高程度の相同性(97%)を示す。
ACTHおよびPOMCの産生を刺激するその役割に加えて、CRFはまた、多くのスト
レスに対する内分泌応答、自律神経応答、および行動応答を調整し、そして情動
障害の病態生理学に関与し得る。さらに、CRFは、免疫系、中枢神経系、内分泌
系、および心血管系間の情報伝達の重要な媒介物であると考えられている(Croff
ordら、J.Clin.Invest.90:2555-2564,1992;Sapolskyら、Science 238:522-
524,1987;Tildersら、Regul.Peptides 5:77-84,1982)。概して、CRFは、中
枢の中枢神経系神経伝達物質の1つであり、ストレスに対する身体全体の応答を
統合する重大な役割を果たすようである。
CRFの脳への直接投与は、ストレスの多い環境に曝された動物について観察さ
れるものと同一の、行動応答、生理学的応答、および内分泌応答を誘発する。例
えば、CRFの脳室内注入は、以下を結果として生じる:行動活性化(Suttonら、Na
ture 297:331,1982)、脳波の持続的活性化(Ehlersら、Brain Res.278:332,19
83)、交感神経副腎髄質経路の刺激(Brownら、Endocrinology 110:928,1982)、
心拍数および血圧の上昇(Fisherら、Endocrinology 110:2222,1982)、酸素消費
量の増加(Brownら、Llfe Sciences 30:207,1982)、消化管活動の変化(Williams
ら、Am.J.Physiol.253:G582,1987)、食物消費量の抑制(Levineら、Neuropha
rmacology 22:337,1983)、性行動の変更(Sirinathsinghjiら、Nature 305:232,
1983)、および免疫機能妥協(compromise)(Irwinら、Am.J.Physiol.255:R744
,1988)。さらに、臨床データは、CRFが、抑うつ、不安関連障害、および神経性
食欲不振において、脳で過剰分泌され得ることを示唆している。(DeSouza、Ann
.Reports in Med.Chem.25:215-223,1990)。従って、臨床データは、CRFレセ
プターアンタゴニストがCRFの神経精神障害顕在性分泌過多の処置に有用であり
得る、新規の抗うつ薬および/または抗不安薬を代表し得ることを示唆している
。
最初のCRFレセプターアンタゴニストはペプチドであった(例えば、Rivierら、
米国特許第4,605,642号;Rivierら、Science 224:889,1984を参照のこと)。こ
れらのペプチドは、CRFレセプターアンタゴニストがCRFに対する薬理学的応答を
減弱し得ることを証明したが、ペプチドCRFレセプターアンタゴニストは、安定
性の欠損および制限された経口活性を含むペプチド治療法の通常の弱点を被る。
より最近では、小分子CRFレセプターアンタゴニストが報告されている。例えば
、置換4-チオ-5-オキソ-3-ピラゾリン(pyyrazoline)誘導体(Abreuら、米国特許
第5,063,245号)および置換2-アミノチアゾール誘導体(Courtemancheら、豪州特
許第AU-A-41399/93)は、CRFレセプターアンタゴニストとして報告されている。
これら特定の誘導体は、それぞれ、1〜10μMの範囲および0.1〜10μMの範囲で
、CRFのそのレセプターに対する結合を阻害することに有効であることが見出さ
れた。
CRFの生理学的重要性により、有意なCRFレセプター結合活性を有しかつCRFレ
セプターを拮抗し得る生物学的活性小分子の開発が、所望の目標のままである。
このようなCRFレセプターアンタゴニストは、一般に、ストレス関連障害を含む
、内分泌的、精神医学的、および精神性の状態または疾病の処置に有用である。
有意な発展が、CRFレセプターアンタゴニストの投与によって、CRF調節を達成
することに向けて為されたが、この当該分野において、有効な小分子CRFレセプ
ターアンタゴニストが依然として必要とされている。また、このようなCRFレセ
プターアンタゴニストを含有する薬学的組成物、および例えばストレス関連障害
を処置するためのそれらの使用に関する方法の必要性が存在する。本発明はこれ
らの必要性を満たし、そして他の関連した利点を提供する。
発明の要旨
簡潔には、本発明は、一般的に、CRFレセプターアンタゴニストに関し、より
具体的には、以下の一般構造(I)から(VI)を有するCRFレセプターアンタゴニスト
に関する:ここで、A、B、C,Ar、R1およびR2は、以下の詳細な説明において同定さ
れるとおりである。
本発明のCRFレセプターアンタゴニストは、広範な治療用適用にわたる有用性
を有し、そして、ストレス関連障害を含む様々な障害または疾病を治療するのに
用いられ得る。このような方法は、有効量の本発明のCRFレセプターアンタゴニ
ストを、好ましくは薬学的組成物の形態で、それらを必要とする動物に投与する
工程を包含する。従って、別の実施態様では、1種以上の本発明のCRFレセプタ
ーアンタゴニストを、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤と組み
合わせて含む薬学的組成物が開示される。
本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明を参照した場合に明ら
かである。この目的のために、様々な参考文献が本明細書中に記載され、これら
はより詳細な特定の手順、化合物および/または組成物を記載し、そしてこれら
は本明細書中で参考としてその全体が援用される。
発明の詳細な説明
本発明は、一般にコルチコトルピン放出因子(CRF)レセプターアンタゴニスト
として有用な化合物に関する。
第一の実施態様において、本発明のCRFレセプターアンタゴニストは以下の構
造(I)を有する:
これは、その立体異性体および薬学的に受容可能な塩を含み、ここで:
AおよびBは、CRおよびNから選択され;
Rは、水素およびC1-6アルキルから選択され;
R1は、NR3R4であり;
R2は、C1-6アルキルであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、C3-6
シクロアルキル;C3-6アルケニル;ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルカル
ボニルオキシC1-6アルキルおよびC1-6アルキルオキシC1-6アルキルから選択され
;
R4は、C1-8アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、Ar1CH2、C3 -6
アルケニル、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、チ
エニルメチル、フラニルメチル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル、モルホリニル
、モノまたはジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、ジ(C1-6アルキル)アミノ、
C1-6アルキルカルボニルC1-6アルキル、イミダゾリルで置換されたC1-6アルキル
;または式-(C1-6アルカンジイル)-O-CO-Ar1基から選択され;
あるいはR3およびR4はそれらが結合される窒素原子と一緒になって、必要に応
じてC1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシで置換されたピロリジニル、ピペリ
ジニル、ホモピペリジニルまたはモルホリニル基を形成し;
Arは、ハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、C1-6アルキルオキ
シ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、アミノならびにモノおよびジ
(C1-6アルキル)アミノから独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換
されたフェニル、ならびにハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキ
シ、シアノ、C1-6アルキルオキシ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ
、アミノ、モノおよびジ(C1-6アルキル)アミノならびにピペリジニルから独立し
て選択される、1、2または3個の置換基で置換されたピリジニル、から選択され
;そして
Ar1は、フェニル、ピリジニル、ならびにハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル
オキシ、ジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、トリフルオロメチルおよびモル
ホリニルで置換されたC1-6アルキルから独立して選択される、1、2または3個の
置換基で置換されたフェニルから選択される。
従って、この実施態様のCRFレセプターアンタゴニストは以下の構造(Ia)、(Ib
)、(Ic)および(Id)の1つを有する:
第二の実施態様において、本発明のCRFレセプターアンタゴニストは以下の構
造(II)を有する:
これは、その立体異性体および薬学的に受容可能な塩を含み、ここで:
A、BおよびCは、CRおよびNから選択され、ただしBがNの場合AおよびCの両方は
CRであり;
Rは、水素およびC1-6アルキルから選択され;
R1は、NR3R4およびR5から選択され;
R2は、C1-6アルキルであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、C3-6
シクロアルキル;C3-6アルケニル;ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルカル
ボニルオキシC1-6アルキルおよびC1-6アルキルオキシC1-6アルキルから選択され
;
R4およびR5は、C1-8アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、Ar1
CH2、C3-6アルケニル、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アル
キル、チエニルメチル、フラニルメチル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル、モル
ホリニル、モノまたはジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、ジ(C1-6アルキル)
アミノ、C1-6アルキルカルボニルC1-6アルキル、イミダゾリルで置換されたC1-6
アルキル;または式-(C1-6アルカンジイル)-O-CO-Ar1基から独立して選択され;
あるいはR3およびR4はそれらが結合される窒素原子と一緒になって、必要に応
じてC1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシで置換されたピロリジニル、ピペリ
ジニル、ホモピペリジニルまたはモルホリニル基を形成し;
Arは、ハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、C1-6アルキルオキ
シ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、アミノならびにモノおよびジ
(C1-6アルキル)アミノから独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換
されたフェニル;およびハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ
、シアノ、C1-6アルキルオキシ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、
アミノ、
モノおよびジ(C1-6アルキル)アミノならびにピペリジニルから独立して選択され
る、1、2または3個の置換基で置換されたピリジニル、から選択され;そして
Ar1は、フェニル、ピリジニル、ならびにハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル
オキシ、ジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、トリフルオロメチルおよびモル
ホリニルで置換されたC1-6アルキルから独立して選択される、1、2または3個の
置換基で置換されたフェニルから選択される。
従って、この実施態様のCRFレセプターアンタゴニストは、以下の構造(IIa)、
(IIb)、(IIc)、(IId)および(IIe)の1つを有する:
第三の実施態様において、本発明のCRFレセプターアンタゴニストは以下の構
造(III)を有する:
これは、その立体異性体および薬学的に受容可能な塩を含み、ここで:
A、BおよびCは、CRおよびNから選択され、ただしBおよびCのうち1つおよび1
つのみがNであり;
Rは、水素およびC1-6アルキルから選択され;
R1は、NR3R4であり;
R2は、C1-6アルキルであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、C3-6
シクロアルキル;C3-6アルケニル;ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルカル
ボニルオキシC1-6アルキルおよびC1-6アルキルオキシC1-6アルキルから選択され
;
R4は、C1-8アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、Ar1CH2、C3 -6
アルケニル、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、チ
エニルメチル、フラニルメチル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル、モルホリニル
、モノまたはジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、ジ(C1-6アルキル)アミノ、
C1-6アルキルカルボニルC1-6アルキル、イミダゾリルで置換されたC1-6アルキル
;または式-(C1-6アルカンジイル)-O-CO-Ar1基から選択され;
あるいはR3およびR4はそれらが結合される窒素原子と一緒になって、必要に応
じてC1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシで置換されたピロリジニル、ピペリ
ジニル、ホモピペリジニルまたはモルホリニル基を形成し;
Arは、ハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、C1-6アルキルオキ
シ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、アミノならびにモノおよびジ
(C1-6アルキル)アミノから独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換
されたフェニル;およびハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ
、シア
ノ、C1-6アルキルオキシ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、アミノ
、モノおよびジ(C1-6アルキル)アミノならびにピペリジニルから独立して選択さ
れる、1、2または3個の置換基で置換されたピリジニル、から選択され;そして
Ar1は、フェニル、ピリジニル、ならびにハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル
オキシ、ジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、トリフルオロメチルおよびモル
ホリニルで置換されたC1-6アルキルから独立して選択される、1、2または3個の
置換基で置換されたフェニルから選択される。
従って、この実施態様のCRFレセプターアンタゴニストは、以下の構造(IIIa)
および(IIIb)の1つを有する:
第四の実施態様において、本発明のCRFレセプターアンタゴニストは以下の構
造(IV)を有する:
これは、その立体異性体および薬学的に受容可能な塩を含み、ここで:
Aは、CRおよびNから選択され;
Rは、水素およびC1-6アルキルから選択され;
R1は、NR3R4であり;
R2は、C1-6アルキルであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、C3-6
シク
ロアルキル;C3-6アルケニル;ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニ
ルオキシC1-6アルキルおよびC1-6アルキルオキシC1-6アルキルから選択され;
R4は、C1-8アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、Ar1CH2、C3 -6
アルケニル、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、チ
エニルメチル、フラニルメチル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル、モルホリニル
、モノまたはジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、ジ(C1-6アルキル)アミノ、
C1-6アルキルカルボニルC1-6アルキル、イミダゾリルで置換されたC1-6アルキル
;または式-(C1-6アルカンジイル)-O-CO-Ar1基から選択され;
あるいはR3およびR4はそれらが結合される窒素原子と一緒になって、必要に応
じてC1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシで置換されたピロリジニル、ピペリ
ジニル、ホモピペリジニルまたはモルホリニル基を形成し;
Arは、ハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、C1-6アルキルオキ
シ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、アミノならびにモノおよびジ
(C1-6アルキル)アミノから独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換
されたフェニル;およびハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ
、シアノ、C1-6アルキルオキシ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、
アミノ、モノおよびジ(C1-6アルキル)アミノならびにピペリジニルから独立して
選択される、1、2または3個の置換基で置換されたピリジニル、から選択され;
そして
Ar1は、フェニル、ピリジニル、ならびにハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル
オキシ、ジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、トリフルオロメチルおよびモル
ホリニルで置換されたC1-6アルキルから独立して選択される、1、2または3個の
置換基で置換されたフェニルから選択される。
従って、この実施態様のCRFレセプターアンタゴニストは、以下の構造(IVa)お
よび(IVb)の1つを有する:
第五の実施態様において、本発明のCRFレセプターアンタゴニストは以下の構
造(V)を有する:これは、その立体異性体および薬学的に受容可能な塩を含み、ここで:
A、BおよびCはCRおよびNから選択され、ただしA、BおよびCのうち1つおよび
1つのみがNであり;
Rは、水素およびC1-6アルキルから選択され;
R1は、NR3R4であり;
R2は、C1-6アルキルであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、C3-6
シクロアルキル;C3-6アルケニル;ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルカル
ボニルオキシC1-6アルキルおよびC1-6アルキルオキシC1-6アルキルから選択され
;
R4は、C1-8アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、Ar1CH2、C3 -6
アルケニル、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、チ
エニルメチル、フラニルメチル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル、モルホリニル
、モノまたはジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、ジ(C1-6アルキル)アミノ、
C1-6アルキル
カルボニルC1-6アルキル、イミダゾリルで置換されたC1-6アルキル;または式-(
C1-6アルカンジイル)-O-CO-Ar1基から選択され;
あるいはR3およびR4はそれらが結合される窒素原子と一緒になって、必要に応
じてC1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシで置換されたピロリジニル、ピペリ
ジニル、ホモピペリジニルまたはモルホリニル基を形成し;
Arは、ハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、C1-6アルキルオキ
シ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、アミノならびにモノおよびジ
(C1-6アルキル)アミノから独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換
されたフェニル;およびハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ
、シアノ、C1-6アルキルオキシ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、
アミノ、モノおよびジ(C1-6アルキル)アミノならびにピペリジニルから独立して
選択される、1、2または3個の置換基で置換されたピリジニル、から選択され;
そして
Ar1は、フェニル、ピリジニル、ならびにハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル
オキシ、ジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、トリフルオロメチルおよびモル
ホリニルで置換されたC1-6アルキルから独立して選択される、1、2または3個の
置換基で置換されたフェニルから選択される。
従って、この実施態様のCRFレセプターアンタゴニストは、以下の構造(Va)、(
Vb)および(Vc)の1つを有する:
第六の実施態様において、本発明のCRFレセプターアンタゴニストは以下の構
造(VI)を有する:
これは、その立体異性体および薬学的に受容可能な塩を含み、ここで:
R1は、NR3R4およびR5から選択され;
R2は、C1-6アルキルであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、C3-6
シクロアルキル;C3-6アルケニル;ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルカル
ボニルオキシC1-6アルキルおよびC1-6アルキルオキシC1-6アルキルから選択され
;
R4およびR5は、C1-8アルキル、モノまたはジ(C3-6シクロアルキル)メチル、Ar1
CH2、C3-6アルケニル、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アル
キル、チエニルメチル、フラニルメチル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル、モル
ホリニル、モノまたはジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、ジ(C1-6アルキル)
アミノ、C1-6アルキルカルボニルC1-6アルキル、イミダゾリルで置換されたC1-6
アルキル;または式-(C1-6アルカンジイル)-O-CO-Ar1基から独立して選択され;
あるいはR3およびR4はそれらが結合される窒素原子と一緒になって、必要に応
じてC1-6アルキルまたはC1-6アルキルオキシで置換されたピロリジニル、ピペリ
ジニル、ホモピペリジニルまたはモルホリニル基を形成し;
Arは、ハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、C1-6アルキルオキ
シ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、アミノならびにモノおよびジ
(C1-6アルキル)アミノから独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換
されたフェニル;およびハロ、C1-6アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ
、シアノ、C1-6アルキルオキシ、ベンジルオキシ、C1-6アルキルチオ、ニトロ、
アミノ、モノおよびジ(C1-6アルキル)アミノならびにピペリジニルから独立して
選択される、1、2または3個の置換基で置換されたピリジニル、から選択され;
そして
Ar1は、フェニル、ピリジニル、ならびにハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル
オ
キシ、ジ(C1-6アルキル)アミノC1-6アルキル、トリフルオロメチルおよびモルホ
リニルで置換されたC1-6アルキルから独立して選択される、1、2または3個の置
換基で置換されたフェニルから選択される。
本発明の化合物は、実施例でより詳細に記載される方法を含む、公知の有機合
成技術によって調製され得る。
本発明の化合物は、一般的に、遊離塩基として利用され得る。あるいは、本発
明の化合物は、酸付加塩の形態で用いられ得る。本発明の遊離塩基アミノ化合物
の酸付加塩は、当該分野で周知の方法により調製され得、そして有機酸および無
機酸から形成され得る。適切な有機酸には以下が挙げられる:マレイン酸、フマ
ル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、シュウ
酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデ
ル酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸
、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸。適切な無機酸には、塩酸、臭化水
素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。
化合物のCRFレセプターアンタゴニストとしての効果は、様々なアッセイ法に
よって決定され得る。本発明の適切なCRFアンタゴニストは、CRFのそのレセプタ
ーへの特異的結合を阻害し、CRFと関連する活性を拮抗し得る。構造(I)から(VI)
の化合物は、CRFアンタゴニストとしての活性を、1種以上の本目的に一般的に
認められたアッセイにより評価され得、これには、DeSouzaら(J.Neuroscience
7:88,1987)およびBattagliaら(Synapse 1:572,1987)により開示されたアッセイ
が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。上記のように、適切なCRFアン
タゴニストには、CRFレセプター親和性を示す化合物が挙げられる。CRFレセプタ
ー親和性は、放射標識化CRF(例えば、[125I]チロシン-CFR)のそのレセプター(例
えば、ラット大脳皮質膜から調製されるレセプター)との結合を阻害する化合物
の能力を測定する、結合研究によって決定され得る。DeSouzaら(前出、1987)に
より記載された放射性リガンド結合アッセイは、CRFレセプターに対する化合物
の親和性を決定するためのアッセイを提供する。このような活性は、典型的には
、レセプター由来の放射性標識化リガンドの50%を置換するのに必要な化合物の
濃度であるIC50から計算され、そして以下の等式から計算される「Ki」値として
報
告される:
ここで、L=放射性リガンドおよびKD=レセプターに対する放射性リガンドの親
和性である(ChengおよびPrusoff、Biochem.Pharmacol.22:3099,1973)。
CRFレセプター結合の阻害に加えて、化合物のCRFレセプターアンタゴニスト活
性が、CRFに関連する活性を拮抗する化合物の能力により確立され得る。例えば
、CRFはアデニル酸シクラーゼ活性を含む、様々な生化学プロセスを刺激するこ
とが公知である。それゆえ、化合物は、CRFアンタゴニストとして、例えば、cAM
Pレベルを測定することにより、CRF刺激アデニル酸シクラーゼ活性を拮抗するそ
の能力によって、評価され得る。Battagliaら(前出、1987)により記載されたCRF
刺激アデニル酸シクラーゼ活性アッセイは、CRF活性を拮抗する化合物の能力を
決定するためのアッセイを提供する。従って、CRFレセプターアンタゴニスト活
性は、一般的に、初期結合アッセイ(例えば、DeSouza(前出、1987)により開示さ
れる)、続いて、cAMPスクリーニングプロトコル(例えば、Battaglia(前出、1987
)により開示される)を含むアッセイ技術によって決定され得る。
CRFレセプター結合親和性を参照すると、本発明のCRFレセプターアンタゴニス
トは、10μM未満のKiを有する。本発明の好ましい実施態様では、CRFレセプター
アンタゴニストは1μM未満のKi、より好ましくは0.25μM未満(すなわち、250nM
)のKiを有する。
本発明のCRFレセプターアンタゴニストは、CRFレセプター部位で活性を示し、
そして、内分泌的、精神医学的、および神経性障害および疾病を含む、広範な障
害または疾病の処置のための治療薬として使用され得る。より具体的には、本発
明のCRFレセプターアンタゴニストは、CRFの分泌過多から生じる生理学的状態ま
たは障害を処置することに有用であり得る。CRFは、ストレスに対する内分泌応
答、行動応答および自動応答を活性化および統合する中枢の神経伝達物質として
考えられているので、本発明のCRFレセプターアンタゴニストは、神経精神医学
的障害の処置に用いられ得る。本発明のCRFレセプターアンタゴニストにより処
置可能であり得る神経精神医学的障害には、以下が挙げられる:情動障害(例え
ば、抑うつ);不安関連障害(例えば、全般性不安障害、恐慌性障害、強迫性障害
、異常攻撃性、心血管異常(例えば、不安定狭心症)および反応性高血圧);なら
びに摂食障害(例えば、神経性食欲不振、過食症、および過敏性腸症候群)。CRF
アンタゴニストはまた、様々な疾患状態に関連したストレス誘導免疫抑制および
発作の処置に有用であり得る。本発明のCRFアンタゴニストの他の使用には、以
下の処置が挙げられる:炎症性状態(例えば、慢性関節リウマチ、ブドウ膜炎、
喘息、炎症性腸疾患およびG.I.運動(G.I.motility))、クッシング病、点頭痙攣
、てんかん、ならびに乳児および成人の両方での他の発作(seizures)、ならびに
様々な物質乱用および禁断症状(アルコール症を含む)。
本発明の別の実施態様では、1つ以上のCRFレセプターアンタゴニストを含有
する薬学的組成物が開示される。投与のために、本発明の化合物は薬学的組成物
として処方され得る。本発明の薬学的組成物は、本発明のCRFレセプターアンタ
ゴニスト(すなわち、構造(I)から(VI)の化合物)ならびに薬学的に受容可能なキ
ャリアおよび/または希釈物を含有する。CRFレセプターアンタゴニストは、特定
の疾患を処置するのに効果的な量で、つまり、CRFレセプターアンタゴニスト活
性を達成するのに十分な量で組成物中に存在し、そして好ましくは患者に対して
受容可能な毒性である。好ましくは、本発明の薬学的組成物は、投与経路に依存
して、1投薬量当たり0.1mg〜250mgの量の、より好ましくは1mg〜60mgのCRFレ
セプターアンタゴニストを含有する。適切な濃度および投薬量は、当業者によっ
て容易に決定され得る。
薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈物は、当業者によく知られて
いる。液体溶液として処方された組成物の場合、受容可能なキャリアおよび/ま
たは希釈物は生理食塩水および滅菌水を含み、そして必要に応じて、抗酸化剤、
緩衝剤、静菌剤および他の通常の添加物を含む。組成物は、丸剤、カプセル剤、
顆粒剤、または錠剤として処方され得、これらはCRFレセプターアンタゴニスト
に加えて、希釈剤、分散剤および界面活性剤、結合剤、ならびに滑沢剤を含む。
当業者はさらに、適切な様式で、および容認されたやり方(例えば、Remington's
Pharmaceutical Sciences,Gennaro編、Mack Publishing Co.,Easton,PA 1990
に開示されたやり方)に従って、CRFレセプターアンタゴニストを処方し得る。
別の実施態様では、本発明は、内分泌的、精神医学的、および神経性障害また
は疾患を含む、多様な障害または疾患を処置する方法を提供する。これらの方法
は、本発明の化合物を温血動物に、障害または疾患を処置するのに十分な量で投
与する工程を包含する。このような方法には、本発明のCRFレセプターアンタゴ
ニストの、好ましくは薬学的組成物の形態での、全身投与が含まれる。本明細書
で用いられるように、全身投与は、経口および非経口の投与方法を包含する。経
口投与の場合、CRFレセプターアンタゴニストの適切な薬学的組成物には、散剤
、顆粒剤、丸剤、錠剤、およびカプセル剤、ならびに液剤、シロップ剤、懸濁剤
、およびエマルジョンが挙げられる。これらの組成物はまた、香料、保存料、懸
濁化剤、濃厚化剤、および乳化剤、ならびに他の薬学的に受容可能な添加物を含
有し得る。非経口(parental)投与の場合、本発明の化合物は水性注入溶液に調製
され得、これは、CRFレセプターアンタゴニストに加えて、緩衝剤、抗酸化剤、
静菌剤、およびこのような溶液で一般的に用いられる添加物を含み得る。
上記のように、本発明の化合物の投与は、広範な障害または疾病を処置するた
めに用いられ得る。特に、本発明の化合物は、以下の処置のために温血動物に投
与され得る:抑うつ、不安障害、恐慌性障害、強迫性障害、異常攻撃性、不安定
狭心症、反応性高血圧、神経性食欲不振、過食症、過敏性腸症候群、ストレス誘
導免疫抑制、発作、炎症、クッシング病、点頭痙攣、てんかん、および物質乱用
または禁断症状。
以下の実施例は、例示の目的で提供され、制限の目的で提供されない。
実施例
本発明のCRFレセプターアンタゴニストは、実施例1〜19に開示した方法によ
って調製され得る。実施例20は、レセプター結合活性(Ki)を決定するための方法
を提示し、そして実施例21は、本発明の化合物を、CRF刺激アデニル酸シクラー
ゼ活性についてスクリーニングするためのアッセイを開示する。実施例1 構造(I)の代表的化合物の合成 A部、ピロロ[1,2-a]ピリミジン 1,1- ジブロモ-2-(2,4-ジクロロフェニル)エタン(2)
2,4-ジクロロベンズアルデヒド(8.7g、50mmol)および四臭化炭素(18.3g、55
mmol)のジクロロメタン(200ml)溶液に、0℃で、トリフェニルホスフィン(28.8
g、110mmol)を少しずつ添加した。この僅かに黄色の混合物を室温で1時間攪拌
し、そしてヘキサン(800ml)で希釈した。この混合物を、次いで、1:10の酢酸
エチル-ヘキサンを用いて、短シリカゲルカラムで濾過し、その濾液を真空中で
濃縮して、白色の固形物(16.5g、100%)を得た。エーテル-ヘキサンからの再結
晶から、白色結晶生成物(14.2g、収率86%)を得た;1H NMR(TMS/CDCl3):2,4- ジクロロフェニルアセチレン(3)
1,1-ジブロモ-2-(2,4-ジクロロフェニル)エタン(14g、42.4mmol)のTHF(100ml
)溶液を、−78℃で、窒素下にて、ブチルリチウム(ヘキサン中の1.6M溶液、28ml
、44.8mmol)で処理し、−78℃で1時間攪拌した後、その反応混合物を室温まで
暖め、さらに1時間攪拌した。この反応を水でクエンチし、その生成物をヘキサ
ンで抽出した。この抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して
、この生成物を得た。(Corey,E.J.;Fuchs,P.L.Tetrahedron Lett.1972、3
769)2- ジ(トリメチルシリル)アミノ-3-(2,4-ジクロロフェニル)-5-シアノピロール(4 )
200ml反応フラスコに、NiCl2(0.2g、1.5mmol)を入れ、次いで、ヘキサン中の
1N DIBAL-H(3ml、3mmol)を添加した。この触媒の色が黒色に変わった後、この
反応フラスコに、Me3SiCN(30ml、0.225mol.)および2,4-ジクロロフェニルアセチ
レン(6.4g、37.5mmol)を添加した。この混合物を還流下にて20時間攪拌した。
その生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc、5/1)
により単離して、純粋な4(収率60%)を得た。(Chatani,N.;Takeyasu,T.;H
oriuchi,N.;Hanafusa,J.Org.Chem.53:3539、1988)2- アミノ-3-(2,4-ジクロロフェニル)-5-シアノピロール(5)
2-(ジ(トリメチルシリル)アミノ-3-(2,4-ジクロロフェニル)-5-シアノピロー
ル(4、11.8g、30mmol)のメタノール(50ml)溶液を、2N塩酸水溶液(30ml)で処
理する。この混合物を、1時間加熱し還流し、そして真空中で濃縮する。その水
相を、次いで、固体炭酸ナトリウムで塩基化し、その生成物を酢酸エチルで抽出
する。この抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして真空中で濃縮し
て、この生成物を得る。1- シアノ-3-(ジクロロフェニル)-5-メチル-7-ヒドロキシピロロ[1,2-a]ピリミジ ン(6)
2-アミノ-3-(2,4-ジクロロフェニル)-5-シアノピロール(5、5g、20mmol)お
よびアセト酢酸エチル(5.2g、40mmol)のジオキサン(50ml)溶液を、一晩、加熱
還流する。この冷溶液をエーテルおよびヘキサンで処理し、その固体生成物を真
空濾過により集める。1- シアノ-3-(ジクロロフェニル)-5-メチル-7-クロロピロロ[1,2a]ピリミジン(7)
1-シアノ-3-(ジクロロフェニル)-5-メチル-7-ヒドロキシピロロ[1,2-a]ピリミ
ジン(6、0.64g、2mmol)およびPOCl3(3ml)の混合物を、2時間加熱し還流す
る。この反応混合物を氷水で加水分解し、その生成物を酢酸エチルで抽出する。
この抽出物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾
燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、この生成物を得た。1- シアノ-3-(ジクロロフェニル)-5-メチル-7-ジプロピルアミノピロロ[1,2-a]ピ リミジン(8)
1-シアノ-3-(ジクロロフェニル)-5-メチル-7-クロロピロロ[1,2-a]ピリミジン
(7、335mg、1mmol)およびジプロピルアミン(1ml)の混合物を、100℃で、反応
バイアル(reacti-vial)中にて、2時間加熱した。その生成物をシリカゲルのク
ロマトグラフィーにより精製する。3-( ジクロロフェニル)-5-メチル-7-ジプロピルアミノピロロ[1,2-a]ピリミジン( 9) 1-シアノ-3-(ジクロロフェニル)-5-メチル-7-ジプロピルアミノピロロ[1,2-a]
ピリミジン(8、200mg、0.5mmol)のTHF(5ml)溶液を、2N H2SO2水溶液(2ml)で
処理し、そしてこの混合物を6時間加熱し還流する。この混合物をトリエチルア
ミンで中和し、その生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製する。B部、ピロロ[1,2-a]-s-トリアジン N- アセチル-N'-プロピル-N'-シクロプロパンメチル-S-メチル尿素(10)
イソチオシアン酸ナトリウム(8.9g、0.11mol.)をアセトン(200ml)に溶解し、
そして室温でアセチルクロライド(7.8g、0.1mol.)で処理した。この懸濁液を室
温で10分間攪拌し、それから、N-プロピル-N-シクロプロパンメチルアミン(11.3
g、0.1mol.)を添加した。この混合物を室温で15分間攪拌し、そしてMeI(18.5g
、0.13mol.)およびNa2CO3(13.8g、0.11mol.)を導入した。この混合物を、次い
で、室温で一晩攪拌し、そして真空中で濃縮した。その残留物を酢酸エチル-水
中で分配した。その有機相を分離し、そして水相を酢酸エチルで抽出した。合わ
せた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして真空中で濃縮して、黄
色がかったオイルとして、生成物を得た。 1- シアノ-3-(ジクロロフェニル)-5-メチル-7-ジプロピルアミノピロロ[1,2-a]-s -トリアジン(11)
2-アミノ-3-(2,4-ジクロロフェニル)-5-シアノピロール(5、0.5g、2mmol)
およびN,N-ジプロピル-N'-アセチル-S-メチルチオ尿素(10、1.08g、5mmol)を
、180℃で、密封反応バイアル中にて、16時間加熱する。シリカゲルのクロマト
グラフィーにより、指定生成物を得る。
1- シアノ-3-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-7-(1-エチルペンチル)ピロロ[1, 2-a]-s-トリアジン(12)
2-アミノ-1-シアノ-3-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-ピロール(90mg)およびN-ジ
メチル-N'-(2-エチルヘキサノイル)-アセトアミジン(180mg)のジオキサン(5ml)
溶液を、一晩加熱し還流した。1:5酢酸エチル-ヘキサンを用いたシリカゲル
のクロマトグラフィーにより、表題化合物を得た。
実施例2 構造(I)の代表的化合物の合成 2- メチル-4-ジプロピルアミノ-8-フェニル-イミダゾ[1,5-a]-1,3,5-トリアジン( 2)の調製
(1)(225mg、1mmol)およびプロピオンアルデヒド(580mg、10mmol)のアセトニ
トリル(5mL)攪拌溶液に、0℃で、シアノホウ水素化ナトリウムを添加し、次い
で、氷酢酸(0.1mL)を添加する。この反応混合物を室温で2時間攪拌する。この
反応混合物を、EtOAcと飽和NaHCO3水溶液との間で分配する。そのEtOAc層を
ブラインで洗浄し、NaSO4下にて乾燥し、濾過し、濃縮して、暗い残留物を得、
これを、シリンゲル上のフラッシュカラムにより精製して、所望生成物(2)を得
る。
(R.Balicki,R.S.HosmaneおよびN.J.Leonard、J.Org.Chem.48:3、1983
;R.BorchおよびA.Hassid、J.Org.Chem.37:1673、1972)
実施例3 構造(II)の代表的化合物の合成 化合物1の合成
5-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン(1.3gms、7.92mmol)、2,4-ジクロロベンゼ
ンボラン酸(boranic acid)(1.8gms、9.5mmol)、テトラキストリフェニルホスフ
ィン(phospine)パラジウム(0.95mmol)および炭酸カリウム(2.12gms)の混合物を
、トルエン、エタノールおよび水の混合物(それぞれ、35ml、10ml、10ml)中にて
分配した。この混合物を、窒素雰囲気下にて、18時間還流した。還流後、この溶
液を飽和塩化アンモニウム50mlでクエンチし、そして酢酸エチル(2×300ml)で
抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして
濃縮して、オイルを得た。この粗製オイルを、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)で
溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製して、黄色の固形物を得た。収率
40%。
化合物2の合成
化合物1(250mgs,1.0mmol)および3-アミノヘプタン(0.3ml)の混合物を1ml反
応バイアルに入れ、そして一晩で130℃まで加熱した。一晩後、この反応系を冷
却し、そしてシリカの調製用プレート(ヘキサン:エーテル(5:1)で溶出する)
に直接装填した。固形物として、化合物を単離した。
6-(2,4- ジクロロフェニル)-8-メチル-9-(3-ヘプタニル)プリン(3)
化合物2(50mgs、0.14mmol)およびオルト酢酸トリエチル(0.5ml)を反応バイア
ルに入れ、そして110℃で10時間加熱した。還流後、この反応系を、酢酸エチル(
10ml)と水(10ml)との間で分配した。その有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾
燥し、そして全ての溶媒を除去した。化合物を、ヘキサン:エーテル(5:1)を
用いて、シリカの調製用プレート上で精製した。7mgsを単離した。
実施例4 構造(II)の代表的化合物の合成 2- アミノ-6,8-ジクロロビフェニル(1)
2-ブロモアニリン(1.0g、5.8mmol)の30mLトルエン撹拌溶液を、テトラキス(
トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(672mg、0.58mmol、10% mol)および2.0
M炭酸ナトリウム水溶液(8.8mL、17.4mmol)で処理した。この混合物をジクロロベ
ンゼンボロン酸(2.28g、11.0mmol)およびエチルアルコール(8.8mL)で処理した。
得られた褐色の混合物を一晩加熱し還流した。この反応混合物を冷却し、酢酸エ
チルで希釈し、そして飽和塩化アンモニウム水溶液で1回洗浄した。その有機層
を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。その残留物を、シリカゲ
ルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望生成物(1)(1.0g、4.2
0mmol、72%)を得、これを、GC/MSおよび1H NMRにより確認した。GC/
MS:m/z=237,239;300MHz
2- アセトアミド-3-ニトロ-6,8-ジクロロビフェニル(2)
0.5mL AcOHおよび1mL Ac2O中の2-アミノ-6,8-ジクロロビフェニル(1)(0.5g
、2.1mmol)の溶液を、15分間にわたって、100℃まで加熱し、次いで、室温にし
た。この溶液を90%発煙硝酸(0.5mL)で処理し、そして5℃で攪拌し、次いで、
室温まで暖めた。この出発物質が殆ど消費された後、この溶液を水に注ぎ、その
粗生成物を、酢酸エチルを用いた抽出により、単離する。シリカゲルおよび酢酸
エチル/ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、所望の表題化
合物を得る。1- メチル-4-(2',4'-ジクロロフェニル)ベンズイミダゾール(3)
2-アセトアミド-3-ニトロ-6,8-ジクロロビフェニル(2)(2.1mmol)の10mL AcOH
溶液を10% Pd/C(100mg)で処理し、そして水素雰囲気下にて、この出発物質が約
95%消費されるまで、振とうする。この混合物を濾過し、次いで、環化が約90%
完結するまで、100℃まで加熱し、次いで、室温にする。この溶液を水に注ぎ、
濾過により、表題化合物を単離する。この生成物を、次いで、酢酸エチル/ヘキ
サンを用いたシリカのフラッシュクロマトグラフィーにより、精製する。1- メチル-4−(2',4'-ジクロロフェニル)-N-ヘキシルベンズイミダゾール(4)
1-メチル-4-(2',4'-ジクロロフェニル)ベンズイミダゾール(3)(1mmol)の1mL
DMF溶液をヘキシルクロライド300mgおよびセシウムクロライド(2mmole)で処理
し、次いで、窒素下にて攪拌する。16時間後、この溶液を水に注ぎ、その生成物
を、酢酸エチルを用いた抽出により単離する。この表題化合物を、次いで、酢酸
エチル/ヘキサンを用いて、シリカのフラッシュクロマトグラフィーにより、精
製する。実施例5 構造(II)の代表的化合物の合成 3- ブロモ-5-(3,4-ジクロロフェニル)-4-アミノ-ピリジン(2):
3,5-ジブロモ-4-アミノ-ピリジン1(4.0g、15.87mmole)、Pd(PPh3)4(0.91g
、0.78mmol)およびNa2CO3水溶液(23.8ml、2M)のトルエン(80ml)溶液を、ジクロ
ロベンゼンボロン酸(6.23g、46.4mmole)のエタノール(24ml)溶液に添加する。
この混合物を14時間還流し、酢酸エチルで希釈し、そして飽和NH4Cl溶液で洗浄
する。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮する。その残
留物をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけて、2を得る。5-(3,4- ジクロロフェニル)-3-アミノヘプタン-4-アミノ-ピリジン(3):
2(1mmol)、3-アミノヘプタン(1.2mmol)、Pd2(DBA)3(0.02mmol、4mol% Pd
、18mg)、BINP(0.04mmol,25mg)、NaOtBu(1.4mmol、134mg)およびトルエン(3-ブ
ロモピリジンと共に0.11M、9ml)の混合物を、窒素下にて、2が消費さ
れるまで、70℃まで加熱する。この反応系を、次いで、室温まで冷却し、そして
ジエチルエーテル10mlに取り出し、飽和ブライン10mlで3回洗浄し、MgSO4で乾
燥し、そして真空中で濃縮する。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー
により精製して、3を得る。7-(3,4- ジクロロフェニル)-2-メチル-3-(3-アミノヘプタン)-(4,6-c)-イミダゾ ーピリジン(4):
3(0.14mmol)およびオルト酢酸トリエチル(0.5ml)の混合物を、110℃で、反応
バイアル中にて、一晩加熱する。この混合物を酢酸エチル(10ml)に溶解し、水で
洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮する。この粗生成物をフ
ラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4を得る。
実施例6 構造(II)の代表的化合物の合成 4-(2,4- ジクロロフェニル)-1-(4-ヒドロキシル-ブチル)-イミダゾ-(4,5-c)-ピリ ジン(2):
(1)1(1.0g、4.43mmol)、Pd(PPh3)4(0.23g、0.22mmol)およびNa2CO3水溶液(6
.6mM、2M)のトルエン(25ml)溶液を、ジクロロベンゼンボロン酸(1.74g、8.86m
mol)のエタノール(7ml)溶液に添加する。この混合物を14時間還流し、酢酸エチ
ルで希釈し、そして飽和NH4Cl溶液で洗浄する。その有機層を硫酸ナトリウムで
乾燥し、そして真空中で濃縮する。その残留物をシリカゲルのクロマトグ
ラフィーにかけて、2を得る。
(Ronald T.Borchardtら、J.Med.Chem.28:467〜471、1985)
実施例7 構造(II)の代表的化合物の合成 2- ヨード-7-メチル-6-エタノール-(4,5-b)-イミダゾ-ピリジン(2):
(1)1(1.12mmol)の2N HCl(8ml)溶液に、氷浴温度で、水(4ml)中の亜硝酸ナ
トリウム(84mg、1.2mmol)を添加する。この混合物を氷浴温度で15分間攪拌し、
そしてヨウ化カリウム(340mg、2.08mmol)の水(4ml)溶液に滴下する。この反応
系を60℃まで1時間加熱する。この溶液を2M NaOHで塩基化し、そして酢酸エチ
ルで抽出し、ブラインで洗浄し、そして真空中で濃縮する。その残留物をシリカ
ゲルのクロマトグラフィーにより精製して、生成物2を得る。2-(2,4 −ジクロロフェニル)-7-メチル-6-エタノール-(4,5-b)-イミダゾ-ピリジ ン(3):
(2)(4.43mmol)、Pd(PPh3)4(0.22mmol)およびNa2CO3水溶液(6.6mM、2M)のトル
エン(25ml)溶液を、ジクロロベンゼンボロン酸(8.86mmol)のエタノール(7ml)溶
液に添加する。この混合物を14時間還流し、酢酸エチルで希釈し、そして飽和NH4
Cl溶液で洗浄する。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃
縮する。その残留物をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけて、3を得る。
(Ramsden,Christopher A.J.、Chem.Soc.Perkin Trans.21:2789〜2812、19
92)
実施例8 構造(III)の代表的化合物の合成 4- アミノ-5-(3,4-ジクロロフェニル)ピリジン(2)
4-アミノ-5-クロロピリジジン(4-amino-5-choloropyridizine)(1)(3.25g、25
mmol)のトルエン(100mL)溶液に、アルゴン下にて、テトラキス(トリフェニルホ
スフィン)パラジウム(0)(2.9g、2.5mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(35m
L)(脱気した)、およびジクロロベンゼンボロン酸(5.3g、27mmol)のエタノール(
35ml)溶液(脱気した)を添加する。得られた二相混合物を、還流状態で、アルゴ
ン下にて、16時間加熱する。この反応系を酢酸エチル(50mL)で希釈し、その有機
層を飽和塩化アンモニウムで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、そして真空中にて乾燥状
態までエバボレートする。フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、適切な
画分を合わせ、乾燥状態までエバポレートすることにより、所望生成物2を単離
する。2- メチル-4-ヒドロキシ-8-(3,4-ジクロロフェニル)ピリド[2.3-c]ピリダジン(3)
4-アミノ-5-(3,4-ジクロロフェニル)ピリダジン(2)(4.8g、20mmol)、アセト酢
酸エチル(2.7g、20mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(20mg)のベンゼ
ン(100mL)溶液を、30分間還流する。この反応混合物を室温まで冷却し、その中
間生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。この中間体(3.5g、
10mmol)のジフェニルエーテル5mL溶液を、240℃で、ジフェニルエーテル10mLに
添加し、そして5分間還流する。この反応系を冷却し、得られた固形物を濾過に
より集める。この生成物3をエーテルで洗浄し、そして乾燥する。2- メチル-4-クロロ-8-(3,4-ジクロロフェニル)ピリド[2.3-c]ピリダジン(4)
オキシ塩化リン(phosphorous oxychloride)(10mL)中の2-メチル-4-ヒドロキシ
-8-(3,4-ジクロロフェニル)ピリド[2.3-c]ピリダジン(3)(3.0g、10mmol)の混合
物を2時間還流する。この反応混合物を冷却し、砕いた氷に注ぎ、この溶液を1
N NaOHで中和する。この溶液を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機
層をブラインで洗浄する。この溶液を乾燥し(Na2SO4)、そして真空中でエバポレ
ートして、4を得る。2- メチル-4-ジプロピルアミノ-8-(3,4-ジクロロフェニル)ピリド[2.3-c]ピリダ ジン(5)
ジ-n-プロピルアミン5mL中の2-メチル-4-クロロ-8-(3,4-ジクロロフェニル)
ピリド[2.3-c]ピリダジン(4)(1.0g、3.1mmol)およびp-トルエンスルホン酸(1.
6g)の混合物を、密封管にて、180℃で、48時間加熱する。この反応混合物を室
温まで冷却し、そして酢酸エチルと水との間で分配する。その有機層を水で洗浄
し、そしてMgSO4で乾燥する。乾燥した溶液をエバポレートし、そしてフラッシ
ュクロマトグラフィーにより、所望生成物5を精製する。
(T.Kuraishi,R.N.Castle、J.Heterocyclic Chem.1:42、1964)
実施例9 構造(III)の代表的化合物の合成 3-(3,4- ジクロロフェニル)-4-アミノピリジジン(2)
4-アミノ-3-クロロピリジジン(1)(6.5g、50mmol)のトルエン(200mL)溶液に、
アルゴン下にて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.8g、
5mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(75mL)(脱気した)、およびジクロロベンゼン
ボロン酸(10.6g、54mmol)の脱気エタノール(75ml)溶液を添加する。その二相混
合物を、還流状態で、アルゴン下にて、16時間加熱する。この反応系を酢酸エチ
ル(100mL)で希釈し、その有機層を飽和塩化アンモニウムで洗浄し、乾燥し
(Na2SO4)、そして真空中にて乾燥状態までエバポレートする。フラッシュクロマ
トグラフィーにより精製し、適切な画分を合わせ、それらを乾燥状態までエバポ
レートすることにより、所望生成物2を単離する。2- メチル-4-ヒドロキシ-8-(3,4-ジクロロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリダジン(3)
3-(3,4-ジクロロフェニル)-4-アミノピリジジン(aminopyridizine)(2)(7.2g
、30mmol)、アセト酢酸エチル(4.0g、30mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水
和物(30mg)のベンゼン(150mL)溶液を、30分間還流する。この反応混合物を室温
まで冷却し、その中間生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
この中間体(5.25g、15mmol)のジフェニルエーテル10mL溶液を、240℃で、ジフェ
ニルエーテル15mLに添加し、そして5分間還流する。この反応系を冷却し、得ら
れた固形物(3)を濾過により集める。この生成物3をエーテルで洗浄し、そして
乾燥する。2- メチル-4-クロロ-8-(3,4-ジクロロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリダジン(4)
オキシ塩化リン(15mL)中の2-メチル-4-ヒドロキシ-8-(3,4-ジクロロフェニル)
ピリド[2.3-d]ピリダジン(3)(4.5g、15mmol)の混合物を2時間還流する。この反
応混合物を冷却し、砕いた氷に注ぎ、この溶液を1N NaOHで中和する。この溶液
を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄する。こ
の溶液を乾燥し(Na2SO4)、そして真空中でエバポレートして、4を得る。2- メチル-4-ジプロピルアミノ-8-(3,4-ジクロロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリダ ジン(5)
ジ-n-プロピルアミン10mL中の2-メチル-4-クロロ-8-(3,4-ジクロロフェニル)
ピリド[2.3-d]ピリダジン(4)(2.0g、6.2mmol)およびp-トルエンスルホン酸(3.2
g)の混合物を、密封管にて、180℃で、48時間加熱する。この反応混合物を室温
まで冷却し、そしてこの反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配する。その有
機層を水で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥する。乾燥した溶液をエバポレートし、
そしてフラッシュクロマトグラフィーにより、生成物5を精製する。
(D.E.Kiinge,H.C.van der Plas,G.Geurtsen,A.Koudijs、Recl.Trav.C
him.(Pays-Bas)93:236、1974)
実施例10 構造(III)の代表的化合物の合成 化合物2:
化合物2を、窒素下雰囲気にて、トルエン(100ml)中の化合物1(X=Cl、Br)(1
0.0mmol)、シアン化ナトリウム(3.0gms)、酸化アルミニウム(2.8gms)およびテト
ラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.0mmol)の混合物を還流する
ことにより、合成する。一晩還流した後、この混合物を冷却し、そして酢酸エチ
ルと水との間で分配する。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空下
にて除去する。この化合物を、例えば、酢酸エチルおよびヘキサンの混合物で溶
出するフラッシュクロマトグラフィーにより、精製する。化合物3:
化合物3は、パールボンベ(Parr bomb)にて、150℃で、アンモニア溶液中にて
、2(9.0mmol)を加熱することにより、合成する。この溶液をロータリーエバポレ
ーターで濃縮し、その粗固形物を、例えば、再結晶またはヘキサン:酢酸エチル
で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物3を得る。化合物4の合成:
3(8mmol)、および適切なボロン酸(例えば、2,4-ジクロロベンゼンボロン酸(
1.8gms、9.5mmol))、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.95mmol
)および炭酸カリウム(2.12gms)の混合物を、トルエン、エタノールおよび水の混
合物(それぞれ、35ml、10ml、10ml)中にて分配した。この混合物を、窒素雰囲気
下にて、18時間還流した。還流後、この溶液を飽和塩化アンモニウム50mlでクエ
ンチし、そして酢酸エチルで抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで
乾燥し、そして濃縮して、オイルを得た。この粗製オイルを、例えば、ヘキサン
:酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製して、4を得た。化合物6:
化合物5は、無水酢酸(10mmole)および酢酸(20mL)中にて、2時間にわたって
、4(2.38gms、9.0mmol)を加熱することにより、合成する。還流後、得られた5
溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、その粗固形物をリン酸(85%、10ml)
に溶解する。この溶液を0.5時間還流し、そして氷に注ぐ。固形物が沈殿し、濾
過により集めると、化合物6が残る。化合物7:
化合物6(10mmole)およびPOCl3(3mL)を混合し、そして出発物質の殆どが消費
されるまで、100℃まで加熱し、次いで、室温まで冷却し、5% NaHCO3に注ぐ。
これをEtOAcで抽出し、その有機層をブラインで洗浄(ished)し、乾燥し、そして
濃縮する。この生成物を、例えば、酢酸エチル/ヘキサンを用いて、フラッシュ
クロマトグラフィー(SiO2)により精製して、表題化合物を得る。2- メチル-4-(ジプロピルアミノ)-8-(2,4-ジクロロフェニル)ピリダジノ[4,5-d] ピリミジン(8):
化合物7(10mmole)および第二級アミン(例えば、ジプロピルアミン(100mmole)
)およびアセトニトリル75mLを、このクロロ誘導体の殆どが消費されるまで、数
時間還流する。この反応系を水に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。その有機
層を水で洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、そして濃縮する
。得られた残留物を、例えば、酢酸エチル/ヘキサンを用いて、フラッシュクロ
マトグラフィー(SiO2)により精製して、表題化合物を得る。実施例11 構造(IV)の代表的化合物の合成 化合物1の合成
5-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン(1.3gms、7.92mmol)、2,4-ジクロロベンゼ
ンボラン酸(boranic acid)(1.8gms、9.5mmol)、テトラキストリフェニルホスフ
ィンパラジウム(0.95mmol)および炭酸カリウム(2.12gms)の混合物を、トルエン
、エタノールおよび水の混合物(それぞれ、35ml、10ml、10ml)中にて分配した。
この混合物を、窒素雰囲気下にて、-18時間還流した。還流後、この溶液を飽和
塩化アンモニウム50mlでクエンチし、そして酢酸エチル(2×300ml)で抽出した
。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、オイルを得
た。この粗製オイルを、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)で溶出するフラッシュク
ロマトグラフィーで精製して、黄色の固形物を得た。収率40%。
化合物2
化合物2を、窒素雰囲気下にて、トルエン(100ml)中の化合物1(2.73gms、1
0.0mmol)、シアン化ナトリウム(3.0gms)、酸化アルミニウム(2.8gms)およびテト
ラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.0mmol)の混合物を還流することに
より、合成する。一晩還流した後、この混合物を冷却し、そして酢酸エチルと水
との間で分配する。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、全ての溶媒を除去す
る。この化合物を、ヘキサン:酢酸エチルの混合物で溶出するフラッシュクロマ
トグラフィーにより、精製する。化合物3
化合物3を、無水酢酸(20ml)中にて、2時間、2(2.38gms、9.0mmol)を還流す
ることにより、合成する。還流後、この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮
し、その粗固形物をリン酸(85%、10ml)に溶解する。この溶液を0.5時間還流し
、そして氷200mlに注ぐ。この溶液から、白色固形物が出てきて(crash out)、濾
過により集めると、純粋な化合物3が残る。2- メチル-4-(ジプロピルアミノ)-8-(2,4-ジクロロフェニル)ピリミジノ[5,4-d] ピリミジン(4)
化合物3(2.44gms、8.0mmol)のオキシ塩化リン(5ml)懸濁液を1時間還流する
。還流後、この暗色溶液を高真空ポンプで濃縮して、粗暗色固形物を得る。この
粗固形物を、次いで、アセトニトリル20mlに溶解し、そして過剰のジプロピルア
ミンの存在下にて、還流する。2時間後、この反応を停止し、そしてこの溶液を
、酢酸エチルと重炭酸ナトリウム溶液との間で分配する。その有機層を分離し、
そして硫酸ナトリウムで乾燥する。全ての溶媒を除去し、そしてこの化合物を、
ヘキサン:エーテルで溶出することによるフラッシュクロマトグラフィーにより
精製する。実施例12 構造(IV)の代表的化合物の合成 化合物1の合成
5-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン(1.3gms、7.92mmol)、2,4-ジクロロベンゼ
ンボラン酸(boranic acid)(1.8gms、9.5mmol)、テトラキストリフェニルホスフ
ィンパラジウム(0.95mmol)および炭酸カリウム(2.12gms)の混合物を、トルエン
、エタノールおよび水の混合物(それぞれ、35ml、10ml、10ml)中にて分配した。
この混合物を、窒素雰囲気下にて、18時間還流した。還流後、この溶液を飽和塩
化アンモニウム50mlでクエンチし、そして酢酸エチル(2×300ml)で抽出した。
その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、オイルを得た
。この粗製オイルを、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)で溶出するフラッシュクロ
マトグラフィーで精製して、黄色の固形物を得た。収率40%。
化合物2
化合物2を、化合物1(2.73gms、10.0mmol)、およびテトラキストリフェニル
ホスフィンパラジウム(1.0mmol)の混合物を、メタノールおよびDMF混合物中にて
、一酸化炭素雰囲気(50psi)下で、パールボンベ(Parr bomb)にて、100℃で12時
間加熱することにより、合成する。この混合物を冷却し、そして酢酸エチルと水
との間で分配する。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、全ての溶媒を除去す
る。この化合物を、ヘキサン:酢酸エチル混合物で溶出するフラッシュクロマト
グラフィーにより、精製する。化合物3
2(1gm、3.36mmol)およびエトキシクロトネート(1.5g、5.2mmole)およびp-
トルエンスルホン酸一水和物75mgの50mLキシレン溶液を攪拌し、そしてN2下にて
加熱し還流する。1時間にわたる緩慢な蒸留により、溶媒(25mL)を除去する。こ
の溶液を室温まで冷却し、そしてこの混合物に、カリウムt-ブトキシド(570mg、
5.1mmole)の12mL無水エタノール溶液を添加する。この混合物を、2時間、80℃
まで加熱する。これを室温まで冷却し、そして0.6mL AcOHで処理し、次いで濃縮
乾固する。その残渣をEtOAcに懸濁し、攪拌し、濾過し、そして洗浄して、全て
の生成物をKOAcから除去する。その濾液を小容量まで濃縮し、そして粗製状態で
使用する。この粗製混合物、エチルエーテル(1.7g、4.8mmole)および1M LiOH(
17.5mL)の10mLエタノール溶液を攪拌し、そしてN2下にて、16時間加熱し還流す
る。この溶液を、次いで、室温まで冷却し、そして水100mL中の1M塩酸15mLの混
合物に注ぐ。この溶液をEtOAcで抽出し、その有機相をブラインで洗浄し、乾燥
し、そして濃縮して、表題化合物3を得る。化合物4
3(400mg、1.2mmole)の0.4mLジフェニルエーテル溶液を攪拌し、そして1.5時
間、230℃まで加熱する。この溶液を、次いで、室温まで冷却し、そしてPOCl3(0
.8mL)を添加する。この混合物を、2時間、100℃まで加熱し、次いで、室温まで
冷却し、そして5%NaHCO3に注ぐ。これをEtOAcで抽出し、その有機相
をブラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮する。この生成物を、0〜10%エーテ
ル/ヘキサンを用いて、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)により精製して、
化合物4を得る。2- メチル-4-(ジプロピルアミノ)-8-(2,4−ジクロロフェニル)ピリド[3,2-d]ピリ
ミジン(5、R1=R2=nPr)
4(10mg)、p-トルエンスルホン酸(20mg)およびジプロピルアミン(50ml)の混合
物を攪拌し、そして密封管中にて、1.5時間、195℃まで加熱する。この溶液を、
次いで、室温まで冷却し、そして水およびEtOAcの混合物に溶解する。これをEtO
Acで抽出し、その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮する。この生
成物を、酢酸エチル/ヘキサンを用いた調製用TLC(SiO2)により、精製する。実施例13 構造(V)の代表的化合物の合成 2,7- ジメチル-3,6-ジカルボキシ-4-ヒドロキシ-8-(2'-ブロモフェニル)-1,5-ナ フチリジン、エチルエステル(A1):
2,6-カルボキシ-3-アミノ-4-(2'-ブロモフェニル)-5-メチルピリジン、エチル
エステル1(2.11g、5.2mmole)、エトキシクロトネート(1.0当量)およびp-トルエ
ンスルホン酸一水和物(75mg)のキシレン(50ml)溶液を攪拌し、そしてN2下にて、
加熱し還流する。1時間にわたる緩慢な蒸留により、溶媒(25mL)を除去する。こ
の溶液を室温まで冷却し、そしてカリウムt-ブトキシド(570mg、5.1mmole)の無
水エタノール(12mL)溶液を添加する。この混合物を、2時間、80℃まで加熱する
。これを室温まで冷却し、AcOH(0.6ml)で処理し、次いで、濃縮乾固する。その
残渣をEtOAcに懸濁し、攪拌し、濾過し、そして洗浄して、全ての生成物をKOAc
から除去する。その濾液を小容量まで濃縮し、そしてエチルエーテル
で処理して、生成物A1を沈殿させる。2,7- ジメチル-3,6-ジカルボキシ-6-ヒドロキシ-8-(2'-ブロモフェニル)-1,5-ナ フチリジン(A2):
2,7-ジメチル-3,6-ジカルボキシ-4-ヒドロキシ-8-(2'-ブロモフェニル)-1,5-
ナフチリジン、エチルエステル(2.21g、4.8mmole)およびLiOH(17.5ml,1M)のエ
タノール(10ml)溶液を攪拌し、そしてN2下にて、16時間加熱し還流する。この溶
液を室温まで冷却し、次いで、水(100ml)中の塩酸(15ml、1M)の混合物に注ぐ。
これをEtOAcで抽出し、その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮し
て、表題化合物を得る。これを、次の工程で直接使用する。2,7- ジメチル-4-クロロ-8-(2'-ブロモフェニル)-1,5-ナフチリジン(A3):
2,7-ジメチル-3,6-カルボキシ-6-ヒドロキシ-8-(2'-ブロモフェニル)-1,5-ナ
フチリジン(0.5g、1.2mmole)のジフェニルエーテル(0.4ml)溶液を攪拌し、そし
て1.5時間、230℃まで加熱する。この溶液を室温まで冷却し、そしてPOCl3(0.8m
l)を添加する。この混合物を、2時間、100℃まで加熱し、次いで、室温まで冷
却し、そして5% NaHCO3に注ぐ。これをEtOAcで抽出し、その有機相をブライン
で洗浄し、乾燥し、そして濃縮する。この生成物を、シリカゲルのフラッシュク
ロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得る。2,7- ジメチル-4-ジプロピルアミノ-8-(2'-ブロモフェニル)-1,5-ナフチリジン(A 4):
2,7-メチル-4-クロロ-8-(2'-ブロモフェニル)-1,5-ナフチリジン(10mg、0.02m
mole)、p-トルエンスルホン酸(20mg)およびジプロピルアミン(50μl)の混合物を
攪拌し、そして1.5時間、195℃まで加熱する。この溶液を室温まで冷却し、次い
で、水およびEtOAcの混合物に溶解する。これをEtOAcで抽出し、その有機相をブ
ラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮する。この生成物を、酢酸エチル/ヘキサ
ンを用いた調製用TLC(SiO2)により精製して、この生成物を得る。
(Dale L.Boger,Steven R.Duff,James S.Panek,Masami Yasuda、J.Org.
C
hem.50:5782〜5789、1985)
実施例14 構造(V)の代表的化合物の合成 4- アミノ-3-(2',4'-ジクロロフェニル)-ピリジン(B1):
3-ヨード4-アミノ-ピリジン1(2.55g、11.6mmole)、Pd(PPh3)4(0.67g、0.58m
mole)およびNa2CO3水溶液(17.4ml、2M)のトルエン(60ml)溶液を、ジクロロベン
ゼンボロン酸(4.56g、23.2mmole)のエタノール(17.6ml)溶液に添加する。この
混合物を、還流状態で14時間加熱し、酢酸エチルで希釈し、そして飽和NH4Cl溶
液で洗浄する。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧濃縮する。そ
の残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけて、B1を得る。2- メチル4-ヒドロキシ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)1,6-ナフチリジン(B2): B1(2.41g、10.1mmole)、酢酸エチル(1.31g,10.1mmole)およびp-トルエンス
ルホン酸(70mg)のベンゼン(50ml)溶液を、還流状態で2時間加熱し、この間、
蒸留により、溶媒10mlを除去する。エバポレート後、その残渣を沸騰ジフェニル
エーテル(10ml)に添加し、そして加熱を1時間継続する;次いで、この溶液を冷
却し、そして激しく攪拌しながら、高沸点石油エーテルに注ぐ。得られる形成さ
れた固形物を濾過して除き、そしてジエチルエーテルで洗浄して、生成物B2を得
る。2- メチル4-ジプロピルアミノ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)-1,6-ナフチリジン(B 3): B2(0.10mg、0.32mmole)およびオキシ塩化リン(0.5ml)の混合物を、還流状態で
6時間加熱する。過剰の試薬を減圧除去し、その残留化合物を、キシレン(2ml)
中のジプロピルアミン(100mg)およびトリエチルアミン(100mg)で処理し、そして
この混合物を14時間還流する。この溶液を酢酸エチルに注ぎ、そして希重炭酸塩
溶液で洗浄し、その有機層を乾燥し、そして、溶媒を減圧除去する。その残渣を
シリカゲルのクロマトグラフィーにかけて、B3を得る。
(L.Estel,F.Marsais,G.Queguiner、J.Org.Chem.53:2740〜2744、1988
)実施例15 構造(V)の代表的化合物の合成 2-(2',4'- ジクロロフェニル)-3-ニトロ-4-メチルピリジン(D1):
2-クロロ-3-ニトロ-4-メチルピリジン(4.0g、23.2mmole)、Pd(PPh3)4(1.34g
、1.16mmole)およびNa2CO3水溶液(34.8ml、2M)のトルエン(120ml)溶液を、ジク
ロロベンゼンボロン酸(9.12g、46.4mmole)のエタノール(34ml)溶液に添加する。
この混合物を、14時間還流し、酢酸エチルで希釈し、そして飽和NH4Cl溶液で洗
浄する。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧濃縮する。その残渣
をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけて、D1を得る。2-(2',4'- ジクロロフェニル)-3-ニトロ-4-カルボキシピリジン(D2):
ピリジン中の2-(2',4'-ジクロロフェニル)-3-ニトロ-4-メチルピリジン(2.5g
、8.82mmole)およびSeO2(0.97、8.82mmole)の混合物を、117℃で6時間加熱する
。この反応系を室温まで冷却し、濾過し、そして高減圧下で溶媒をエバポレート
する。化合物D2を、次の工程で直接使用する。2-(2',4'- ジクロロフェニル)-3-ニトロ-4-カルボキシピリジン、エチルエステル (D3):
2-(2',4'-ジクロロフェニル)-3-ニトロ-4-カルボキシピリジン(2.0g、6.38mm
ole)および(COCl)2(0.75g、7.65mmole)のCH2Cl2(10ml)懸濁液に、DMF一滴を添
加し、この混合物を室温で1時間攪拌する。溶媒および過剰の試薬のエバポレー
ト後、その固形物をCH2Cl2(10ml)に溶解し、そしてEtOH(5ml)およびNaHCO3(1.0
g)で処理する。この混合物を室温で1時間攪拌し、濾過し、そして減圧濃縮して
、化合物D3を得る。2-(2',4'- ジクロロフェニル)-3-アミノ-4-カルボキシピリジン、エチルエステル (D4):
EtOH中の2-(2',4'-ジクロロフェニル)-3-ニトロ-4-カルボキシピリジン、エチ
ルエステル(1.8g、5.27mmole)および10% Pd/Cの混合物を、40psiの水素下にて
、室温で3時間振とうする。触媒を、セライトに通す濾過によって除去し、この
溶液を減圧濃縮して、化合物D4を得る。2- メチル-3-カルボキシ-4-ヒドロキシ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)-1,7-ナフチ リジン、エチルエステル(D5):
2-(2',4'-ジクロロフェニル)-3-アミノ-4-カルボキシピリジン、エチルエステ
ル(1.61g、5.2mmole)、エトキシクロトネート(g、5.2mmole)およびp-トルエン
スルホン酸一水和物(75mg)のキシレン(50ml)溶液を攪拌し、そしてN2下にて、加
熱し還流する。1時間にわたる緩慢な蒸留により、溶媒(25ml)を除去す
る。この溶液を室温まで冷却し、そして、カリウムt-ブトキシド(570mg、5.1mmo
le)の無水エタノール(12ml)溶液を添加する。この混合物を、2時間、80℃まで
加熱する。これを室温まで冷却し、AcOH(0.6ml)で処理し、次いで、濃縮乾固す
る。その残渣をEtOAcに懸濁し、攪拌し、濾過し、そして洗浄して、全ての生成
物をKOAcから除去する。この濾液を小容量まで濃縮し、そしてエチルエーテルで
処理して、生成物D5を沈殿させる。2- メチル-3-カルボキシ-4-ヒドロキシ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)-1,7-ナフチ リジン(D6):
エタノール(10ml)中、2-メチル-3-カルボキシ-4-ヒドロキシ-8-(2',4'-ジクロ
ロフェニル)-1,7-ナフチリジン、エチルエステル(1.80g、4.8mmole)およびLiOH
(17.5ml、1M)を攪拌し、そしてN2下にて、16時間加熱し還流する。この溶液を
室温まで冷却し、次いで、水(100ml)中の塩酸(15ml、1M)の混合物に注ぐ。これ
をEtOAcで抽出し、その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮して、
表題化合物を得る。これを、次の工程で直接使用する。2- メチル-4-クロロ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)-1,7-ナフチリジン(D7):
2-メチル-3-カルボキシ-4-ヒドロキシ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)-1,7-ナフ
チリジン(0.41g、1.2mmole)のジフェニルエーテル(0.4ml)溶液を攪拌し、そし
て1.5時間、230℃まで加熱する。この溶液を室温まで冷却し、そしてPOCl3(0.8m
l)を添加する。この混合物を、2時間、100℃まで加熱し、次いで、室温まで冷
却し、そして5% NaHCO3に注ぐ。これをEtOAcで抽出し、その有機相をブライン
で洗浄し、乾燥し、そして濃縮する。この生成物を、シリカゲルのフラッシュク
ロマトグラフィーにより精製して、表題化合物D7を得る。2- ジメチル-4-ジプロピルアミノ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)-1,7-ナフチリジ ン(D8):
2-メチル-4-クロロ-8-(2',4'-ジクロロフェニル)-1,7-ナフチリジン(6.47mg、
0.02mmole)、p-トルエンスルホン酸(20mg)およびジプロピルアミン(50μl)の
混合物を攪拌し、そして1.5時間、195℃まで加熱する。この溶液を室温まで冷却
し、次いで、水およびEtOAcの混合物に溶解する。これをEtOAcで抽出し、その有
機相をブラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮する。この生成物を、酢酸エチル
/ヘキサンを用いた調製用TLC(SiO2)により精製して、生成物D8を得る。
実施例16 構造(VI)の代表的化合物の合成 2,3- ジメチル-8-(2,4-ジクロロフェニル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリジ ン(3)
シクロプロピル2,4-ジクロロフェニルケトン(1)(54g、0.25mol)および4,5-ジ
メチルイミダゾール(2)(90g、1mol)を合わせ、そして窒素下にて、200〜210℃
で、20時間加熱する。この反応系を冷却し、そして酢酸エチル(700ml)で希釈す
る。この酢酸エチル溶液を飽和炭酸カリウム水溶液(300ml)および水(4×200ml
)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥する。この乾燥剤を濾過により除去し
、溶媒を減圧除去して、3を得る。2,3- ジメチル-8-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン(4)
2,3-ジメチル-8-(2,4-ジクロロフェニル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリ
ジン(3)(29.3g、0.1mol)を塩化メチレン(1L)に溶解し、活性化二酸化マンガン
(120g)を添加する。この混合物を、攪拌しながら、還流状態で、16時間加熱す
る。触媒を、セライトパッドに通す反応系の濾過により除去し、この濾液をエバ
ポレートして、固形物(4)を得る。
実施例17 CRF レセプター結合活性を有する代表的化合物
本発明の化合物を、DeSouzaら(J.Neurosci.7:88〜100、1987)により一般
的に記述されているような標準的な放射性リガンド結合アッセイにより、CRFレ
セプターに対する結合活性について、評価し得る。種々の放射性標識化CRFリガ
ンドを利用することにより、このアッセイを、本発明の化合物の任意のCRFレセ
プターサブタイプとの結合活性を評価するために使用し得る。簡潔には、この結
合アッセイは、放射性標識化CRFリガンドのCRFレセプターからの置換を包含する
。
より具体的には、この結合アッセイは、1.5ml Eppendorf管にて、ヒトCRFレセ
プターで安定に形質転換したおよそ1×106個の細胞(管1個あたり)を用いて、
行われる。各管は、非特異的結合を決定するための未標識ソーバジン(sauvagine
)、ウロテンシンI(urotensin I)またはCRF(最終濃度、1μM)と共にまたはそれ
なしで、約0.1mlのアッセイ緩衝液(例えば、Dulbeccoリン酸緩衝化生理食塩水、
10mM塩化マグネシウム、20μMバシトラシン)、0.1mlの[125I]チロシン-ヒツジCR
F(最終濃度、約200pMまたはScatchard分析により測定したものとほぼ同じKD)お
よび0.1mlのCRFレセプター含有細胞の膜懸濁液を受容する。この混合物を22℃で
2時間インキュベートし、続いて、遠心分離により、結合した放射性リガンドと
遊離の放射性リガンドとを分離する。これらのペレットの2回の洗浄に続いて、
これらの管をペレットのすぐ上で切断し、そしてガンマカウンターにて、およそ
80%の効率で、放射活性についてモニターする。全ての放射性リガンド結合デー
タを、非線形最小二乗曲線適合プログラムLIGAND OF Munson and Rodbard(Anal
.Biochem.107:220、1990)を用いて、分析し得る。実施例18 CRF 刺激アデニル酸シクラーゼ活性
また、本発明の化合物を種々の機能試験により評価し得る。例えば、本発明の
化合物を、CRF刺激アデニル酸シクラーゼ活性についてスクリーニングし得る。C
RF刺激アデニル酸シクラーゼ活性の測定のためのアッセイを、Battagliaら(Syna
pse1:572、1987)により一般的に記述されているようにして、全細胞調製物に
アッセイを適合するように改良して、実施し得る。
より具体的には、標準的なアッセイ混合物は、0.5mlの最終容量で、以下を含
有し得る:2mMのL−グルタミン、20mMのHEPES、および1mMのIMBX(DMEM緩衝液
中)。刺激研究では、形質転換したCRFレセプターを有する全細胞を、24ウェルプ
レートに置き、そして特定のレセプターサブタイプの薬理学的な序列プロフィー
ルを確立するために、種々の濃度のCRF関連および無関連ペプチドを用いて、37
℃で1時間、インキュベートする。このインキュベーションに続いて、培地を吸
引し、ウェルを新鮮な培地で穏やかに1回リンスし、そして培地を吸引する。細
胞内cAMPの量を決定するために、各ウェルに、95%エタノールおよび20mM塩酸水
溶液の溶液300μlを添加し、そして得られた懸濁液を、−20℃で16〜18時間イン
キュベートする。この溶液を1.5ml Eppendorf管内に取り出し、そしてウェルを
さらなるエタノール/塩酸水溶液200μlで洗浄し、そして第一画分にプールする
。これらの試料を凍結乾燥し、次いで、酢酸ナトリウム緩衝液500μlで再懸濁す
る。これらの試料中のcAMPの測定は、Biomedical Technologies Inc.(Stoughton
,MA)の単一抗体キットを用いて、行う。これらの化合物の機能評価のためには
、cAMP産生の80%刺激を引き起こす単一濃度のCRFまたは関連ペプチドを、種々
の濃度の競合化合物(10-12〜10-6M)と共に、インキュベートする。
本発明の特定の実施態様は、例示の目的上、本明細書中で記述されているが、
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の改変を行われ得ることが
理解され得る。従って、本発明は、添付の請求の範囲による以外は、限定されな
い。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61K 31/519 A61K 31/519
31/53 31/53
A61P 1/04 A61P 1/04
1/14 1/14
3/04 3/04
9/08 9/08
9/12 9/12
25/22 25/22
25/24 25/24
27/02 27/02
29/00 29/00
101 101
C07D 235/08 C07D 235/08
471/04 107 471/04 107Z
108 108A
113 113
117 117Z
487/04 140 487/04 140
144 144
147 147
(31)優先権主張番号 60/036,416
(32)優先日 平成9年2月18日(1997.2.18)
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 60/036,421
(32)優先日 平成9年2月18日(1997.2.18)
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 60/036,422
(32)優先日 平成9年2月18日(1997.2.18)
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 60/036,423
(32)優先日 平成9年2月18日(1997.2.18)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM
,AT,AU,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU