【発明の詳細な説明】
月経前不快障害の処置
本発明は、月経前不快障害の処置に関する。
月経前不快障害は、American Psychiatric Association,Washington,DC,
1994により公開されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Diso
rders,第4版(DSM−IV)の第715〜718頁に記載されている。その状
態は、著しく憂鬱な気分、著しい不安、著しい情動能力、および活動における興
味の減少の少なくとも1つにより特徴付けられる。これらの症状は、月経周期の
黄体期の最終週の間に発現して、卵胞期(月経)始めの数日以内に緩解し始める。
他の発現し得る症状は、被刺激性、集中力の欠乏、疲労、食欲変化、正常な睡眠
パターンの崩壊、制御を失う感覚、並びに胸部圧痛または腫脹、体重増加、およ
び疼痛といったような身体症状である。月経前不快障害を患っている女性は、一
般的に、対人関係で、および彼女達の仕事または学校教育において、難事を経験
する。時として、その症状は、自殺の思考を伴うことがある。その状態は、月経
がある女性に限らず、黄体期および卵胞期の周期を経る月経のない女性(例えば
、子宮摘出をした女性)においても起こり得る。
DSM−IVによれば、月経前不快障害は、気分障害および不安障害といった
ような、現在の精神障害の月経前悪化とは区別できる。後者の障害は、月経周期
を通じて存続するが、その症状は、月経前期の間に最も激しく現われ得る。
様々な異なった薬物が月経前不快障害の処置に有効であることが示されたが、
これらは各々、その適用性を限定する副作用を付随していた。これらの処置は、
Margaret L.MolineによるTherapy Reviews,Clinical Pharmacy,第12巻,1
993,181−196頁、およびJoseph F.Mortola,Drug Safety,10(2
):160−169,1994に概説されている。
国際特許出願公開番号WO96/04901は、負に共役するcAMPにリン
クする代謝型グルタメート受容体(negatively-coupled cAMP-linked metabotrop
ic glutamate receptors)で作用する化合物が、不安および関係のある障害の
処置に有用であることを開示している。
本発明は、月経前不快障害を処置する方法であって、処置を必要とする女性患
者に、負に共役するcAMPにリンクする代謝型グルタメート受容体で作用する
アゴニストの有効量を投与することを含んでなる方法を提供する。
別の態様によれば、本発明は、月経前不快障害の処置用に関する薬物の製造の
ための、負に共役するcAMPにリンクする代謝型グルタメート受容体で作用す
るアゴニストの使用を提供する。
さらに別の態様によれば、本発明は、月経前不快障害の処置における使用のた
めの医薬組成物であって、負に共役するcAMPにリンクする代謝型グルタメー
ト受容体で作用するアゴニストを含んでなる医薬組成物を提供する。
本発明により投与するアゴニストの個々の用量は、勿論、投与する個々のアゴ
ニストの活性、投与経路、処置すべき個々の状態、および同様の考慮事項を含め
、その症例を取り巻く個々の状況により決定されるであろう。そのアゴニストは
、経口経路、直腸経路、経皮経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、または
鼻腔内経路を含め、様々な経路により投与することができる。あるいはまた、そ
のアゴニストを連続注入により投与してもよい。典型的な一日用量は、約0.0
01mg/kg〜約100mg/kgのアゴニストを含むであろう。好ましくは、一日用
量は、約0.05mg/kg〜約50mg/kg、より好ましくは、約0.1mg/kg〜約2
0mg/kgであろう。
そのアゴニストは、1つまたはそれ以上の医薬的に許容され得る担体、希釈剤
、または賦形剤と組み合わせて、投与前に製剤化するのが好ましい。医薬品製剤
は、周知かつ容易に入手できる成分を使用して、既知の手順により製造する。組
成物を製造する際には、活性成分を、通常、担体と混合するか、または担体で希
釈するか、または担体内に充填して、カプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器
の形態とすることができる。担体が希釈剤として働く場合、それは、固体、半固
体、または液体の物質であり得、これは、活性成分に対してビヒクル、賦形剤、
または媒体としての役割を果たす。その組成物は、錠剤、丸剤、粉末剤、ロゼン
ジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、エマルション剤、溶液剤
、シロップ剤、エアゾール剤、例えば、活性化合物を10重量%まで含む軟膏剤
、軟ゼ
ラチンカプセル剤および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射用溶液剤、皮膚
パッチ剤、皮下インプラント剤、並びに無菌包装粉末剤の形態となり得る。
適当な担体、賦形剤、および希釈剤の幾つかの例には、ラクトース、デキスト
ロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、ゴム、アラビア
ゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カル
シウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、ウォーターシ
ロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香
酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、並びに鉱油が
含まれる。加えて、その製剤には、滑沢剤、湿潤剤(界面活性剤)、乳化剤および
沈殿防止剤、保存剤、甘味料、または香料が含まれ得る。当業界で周知の手順を
使用することにより、組成物を、患者に投与した後、活性成分を迅速に、持続的
に、または遅延して放出するよう製剤化することができる。
その組成物は、単位用量形態で製剤化するのが好ましく、各々の用量は、活性
成分を約1mg〜約500mg、より好ましくは、約5mg〜約200mg含む。「単位
用量形態」という用語は、ヒト患者および他の哺乳動物のための単位的用量とし
て適当な、物理的に独立した単位をいい、各々の単位は、適当な医薬担体、希釈
剤、または賦形剤と共に、所望の治療効果をもたらすよう計算された、予め決定
されている量の活性物質を含む。次の製剤例は、説明するだけのものであって、
本発明の範囲を何ら限定しようと意図するものではない。
製剤例1
アゴニストを各々60mg含む錠剤を次のように製造する。
アゴニスト、デンプン、およびセルロースをNo.45メッシュU.S.の篩にか
けて、完全に混合する。その結果得られた粉末とポリビニルピロリドン溶液とを
混合した後、これをNo.14メッシュU.S.の篩にかける。このようにして製造
した顆粒を50℃で乾燥させて、No.18メッシュU.S.の篩にかける。次いで
、予めNo.60メッシュU.S.の篩にかけておいたカルボキシメチルデンプンナ
トリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびタルクを顆粒に加え、混合した後
、これを打錠機で圧縮して、各々の重量が150mgである錠剤を得る。
製剤例2
アゴニストを各々80mg含むカプセル剤を次のように製造する。
活性成分、セルロース、デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを混合し、
No.45メッシュU.S.の篩にかけて、硬ゼラチンカプセルに200mg量を充填
する。
次の実験を使用して、負に共役するcAMPにリンクする代謝型グルタメート
受容体で作用するアゴニストを同定することができる。まず最初に、代謝型グル
タメート受容体に対する試験化合物の親和性は、ラット脳細胞膜への(1S,3R
)−1−アミノシクロペンタン−1,3−ジカルボン酸感受性の[3H]グルタメー
ト結合の選択的置換により実証することができる。その[3H]グルタメート([3
H]Glu)の結合は、SchoeppおよびTrueにより記載されているように、ラット前脳
の粗膜で行う。SchoeppおよびTrue,Neuroscience Lett.,145,100−1
04(1992);Wright,McDonald,およびSchoepp,J.Neurochem.,63,
938−945(1994)。その受容体に対する試験化合物の親和性は、結合
を50%阻害する試験化合物の濃度(IC50)、または式Iの化合物の10μMま
たは100μM濃度での[3H]Gluの置換%として表すことができる。
次の方法を使用して、負に共役するcAMPにリンクする代謝型受容体でアゴ
ニストとして作用する試験化合物の能力を測定することができる。Schoeppおよ
びJohnsonに記載されている手順を使用して、試験化合物を、ラット海馬および
ラット大脳皮質においてホルスコリンが刺激するcAMP形成を減少させるそれらの
能力に関して試験する。SchoeppおよびJohnson,Neurochem.Int.,22,27
7−283(1993)。
月経前不快障害を処置するための、負に共役する代謝型グルタメート受容体で
作用するアゴニストの有効性を次の臨床試験で実証する。
その臨床試験のために3〜50人の女性達を選択する。その女性達は、定期的
に月経があり、全身の健康状態が良好であって、上述のPMS症状を1つまたは
それ以上患っている。これらの症状は幾分、特異体質性および自覚的性質である
ことから、その試験には、プラセボ対照グループがあり、すなわち、その女性達
を2つのグループに分け、この一方にはアゴニスト(本発明の活性物質)を与えて
、他方にはプラセボを与える。試験グループの女性達には、経口経路により、薬
物を1日あたり10−400mg与える。彼女達は、この療法を1−3ヶ月間続け
る。両方のグループにおける症状の数および重篤度に関して正確な記録を続けて
、これらの結果を試験の終わりに比較する。その結果を、各々のグループのメン
バーの間でも比較して、各々の患者に関する結果をまた、試験を開始する前に各
々の患者により報告された症状とも比較する。
本発明の有効性は、上記のような試験における1つまたはそれ以上の月経前不
快障害の症状で観察される正の影響により説明される。
負に共役するcAMPにリンクする代謝型グルタメート受容体で作用するアゴ
ニストは、式:
[式中、Xは、CH2、O、またはSを表す。]の化合物、またはその医薬的に
許容され得る代謝的に活性な(labile)エステルもしくはアミド、またはその医薬
的に許容され得る塩であり得る。
式Iの好ましい化合物は、
1S,2S,5R,6S−2−アミノビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカ
ルボン酸;
1SR,4SR,5RS,6SR−4−アミノ−2−オキサビシクロ[3.1.0]
ヘキサン−4,6−ジカルボン酸;
1SR,4SR,5RS,6SR−4−アミノ−2−チアビシクロ[3.1.0]ヘ
キサン−4,6−ジカルボン酸;および
1R,4R,5S,6R−4−アミノ−2−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン
−4,6−ジカルボン酸;
である。
XがCH2を表す式Iの化合物、並びにそれらのエステル、アミド、および塩
は、欧州特許出願公開番号EP−A−696577に記載されているように製造
することができる。
XがOまたはSを表す式Iの化合物は、
(a)式:
[式中、
R10は、水素原子またはアシル基を表し;および
R9は、カルボキシル基またはエステル化カルボキシル基を表す。]
の化合物、またはその塩を加水分解し;
(b)式:[式中、
R9は、カルボキシル基またはエステル化カルボキシル基を表し;および
R11およびR12は各々独立して、水素原子、(2−6C)アルカノイル基、(1
−4C)アルキル基、(3−4C)アルケニル基、またはフェニル(1−4C)アル
キル基(ここで、そのフェニル基は、置換されていないか、またはハロゲン、(
1−4C)アルキル、もしくは(1−4C)アルコキシで置換されている)を表す
。]
の化合物、またはその塩を加水分解し;または
(c)式:
[式中、
R15は、水素原子または窒素保護基を表し;および
R13およびR14は各々独立して、水素原子またはカルボキシル保護基を表す。
]
の化合物、またはその塩を脱保護し;
その後、必要および/または所望ならば、
(i)式Iの化合物を分割し;
(ii)式Iの化合物を、その無毒で代謝的に活性なエステルまたはアミドに転換
し;および/または
(iii)式Iの化合物、またはその無毒で代謝的に活性なエステルもしくはアミ
ドを、その医薬的に許容され得る塩に転換する;
ことを含んでなる方法により製造することができる。
カルボン酸およびアミン基の保護は、一般に、McOmie,Protecting Groups in
Organic Chemistry,Plenum Press,NY,1973、およびGreeneおよびWuts
,Protecting Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley & Sons,N
Y,1991に記載されている。カルボキシ保護基の例には、メチル、エチル、
t−ブチル、およびt−アミルといったようなアルキル基;ベンジル、4−ニトロ
ベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメト
キシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンジ
ル、ベンズヒドリル、およびトリチルといったようなアルアルキル基;トリメチ
ルシリルおよびt−ブチルジメチルシリルといったようなシリル基;並びにアリ
ルおよび1−(トリメチルシリルメチル)プロプ−1−エン−3−イルといったよ
うなアリル基が含まれる。アミン保護基の例には、式R11CO[式中、R11は、
(1−6C)アルキル、(3−10C)シクロアルキル、フェニル(1−6C)アルキ
ル、フェニル、(1−6C)アルコキシ、フェニル(1−6C)アルコキシ、または
(3−10C)シクロアルコキシを表す。(ここで、フェニル基は、場合により、
アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲノ、(1−6C)アルキル、(1−6C)アル
コキシ、カルボキシ、(1−6C)アルコキシカルボニル、カルバモイル、(1−
6C)アルカノイルアミノ、(1−6C)アルキルスルホニルアミノ、フェニルス
ルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ、および(1−6C)フルオロアルキ
ルから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよい。)
]の基のようなアシル基が含まれる。
式IIの化合物を、便利には、塩酸もしくは硫酸といったような酸、またはアル
カリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)のような塩基の存在下に加水分
解する。その加水分解は、便利には、水のような水性溶媒中、50〜200℃の
範囲内の温度で行う。
式IIIの化合物を、便利には、塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、もしくは水酸化カリウムといったようなアルカリ金属の水酸化物、または水
酸化バリウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物)の存在下に加水分解する。
適当な反応媒体には、水が含まれる。その温度は、便利には、50〜150℃の
範囲内である。
好ましいR10は、水素、およびアセチルのような(2−6C)アルカノイル基で
ある。
好ましいR9は、それがエステル化カルボキシル基を表す場合、エトキシカル
ボニルのような(1−6C)アルコキシカルボニル基である。
式IVの化合物は、従来の方法により脱保護することができる。従って、アルキ
ルカルボキシル保護基は、加水分解により除去することができる。その加水分解
は、便利には、塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、もしくは水
酸化カリウムといったようなアルカリ金属の水酸化物、または水酸化バリウムの
ようなアルカリ土類金属の水酸化物)、または塩酸のような酸の存在下、式Vの
化合物を加熱することにより行うのがよい。その加水分解は、便利には、10〜
300℃の範囲内の温度で行う。アルアルキルカルボキシル保護基は、便利には
、水素化により除去することができる。その水素化は、便利には、第VIII族金属
触媒(例えば、木炭に担持させたパラジウムのようなパラジウム触媒)の存在下、
式Vの化合物を水素と反応させることにより成し逐げることができる。その反応
に適当な溶媒には、エタノールのようなアルコールが含まれる。その反応は、便
利には、0〜100℃の範囲内の温度で行う。アミン保護基であるアシルもまた
、便利には、例えば、アルキルカルボキシル保護基の除去に関して記載したよう
に、加水分解により除去する。
式IIの化合物は、便利には、超音波の存在下、式V:
の化合物を、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、またはシアン化カリウム
といったようなアルカリ金属のシアン化物、および塩化アンモニウムのようなア
ンモニウムのハロゲン化物と反応させることにより製造することができる。従っ
て、アセトニトリルのような適当な希釈剤の存在下、アンモニウムのハロゲン化
物をクロマトグラフィー用アルミナと混合する。次いで、その混合物を超音波で
照射し、その後、式Vの化合物を加えて、その混合物を再び照射する。次いで、
アルカリ金属のシアン化物を加え、続いて、超音波でさらに照射する。
次いで、適当な塩基(例えば、エチル ジイソプロピルアミンのようなアミン)
の存在下、およびジクロロメタンのような適当な溶媒の存在下、その結果得られ
たジアステレオ異性体のアミノニトリルの混合物を、塩化アセチルのようなアシ
ル化剤と反応させて、ジアステレオマーのアシルアミノニトリルの混合物を得る
。所望のジアステレオ異性体を、便利には、例えば、クロマトグラフィーにより
、この混合物から分離する。
式IIIの化合物は、式Vの化合物を、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム
、またはシアン化カリウムといったようなアルカリ金属のシアン化物、および炭
酸アンモニウムまたはカルバミン酸アンモニウムと反応させることにより製造す
ることができる。便利な溶媒には、メタノール、水性メタノール、および水性エ
タノールといったようなアルコールが含まれる。便利には、その反応を10〜1
50℃の範囲内の温度で行う。所望ならば、次いで、例えば、適当な式R11Clお
よび/またはR12Clの化合物を使用して、式IIIの化合物をアルキル化してもよい
。
式IIIの化合物を、便利には、加水分解前に分割するのがよい。従って、例え
ば、R9がカルボキシル基を表す式IIIの化合物は、(R)−2−フェニルグリシ
ノールのような光学活性アミンでの処理により分割することができる。
XがOを表す式Vの化合物は、式:[式中、Z1は、脱離原子または脱離基(例えば、ヨウ素原子)を表す。]
の化合物を環化することにより製造することができる。その反応は、便利には、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンのような塩基の存在下に
行う。適当な溶媒には、テトラヒドロフランのようなエーテルが含まれる。その
温度は、便利には、0〜100℃の範囲内である。
式VIの化合物は、式:
の化合物を酸化することにより製造することができる。その酸化は、便利には、
適当で便利な酸化方法を使用して(例えば、ジメチルスルホキシド中の塩化オキ
サリルまたは(XがOである場合のみ)硫酸中の三酸化クロム(ジョーンズ試薬)を
使用して)成し遂げる。
式VIaの化合物は、J.Amer.Chem.Soc.,110(14),1988,453
3−4540頁に記載されている方法により製造することができる。
式Vの化合物はまた、式:
の化合物を酸化することにより製造することもできる。その酸化は、便利には、
塩化オキサリルのような活性化剤の存在下、式IIの化合物をジメチルスルホキシ
ドと反応させた後、トリエチルアミンのような塩基で処理することにより成し逐
げることができる。その反応は、便利には、−80〜−20℃の範囲内の温度で
行う。
式VIIの化合物は、式:
の化合物を、ボランまたはテキシルボランといったようなヒドロホウ素化剤と反
応させた後、水酸化ナトリウムのような塩基、または5〜14のpH範囲内での水
性緩衝液の存在下、過酸化水素のような酸化剤と反応させることにより製造する
ことができる。その温度は、便利には、−20〜25℃の範囲内である。その反
応は、一般的には、J.Am.Chem.Soc.1986,108,2049およびJ.A
m.Chem.Soc.1991,113,4037に記載されている方法により行うこ
とができる。
式IXの化合物は、ロジウム触媒または銅触媒といったような遷移金属触媒の存
在下、式:
の化合物を、式R9CN2の化合物と反応させることにより製造することができる
。その反応は、一般的には、J.Chem.Soc.Perkin Tran I,1979,262
4;Tetrahedron,1971,27,2957に記載されている方法により行う
ことができる。Justus Liebigs Ann.Chem.1963,668,19;およびTe
t.Let.1964,2185。
次の実施例は、式Iの化合物の製造を説明する。
実施例1
1SR,4SR,5RS,6SR−4−アミノ−2−
オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン−4,6−ジカルボン酸
(a)2−SR−1,2−O−イソプロピリデン−ブタン−1,2,4−
トリオール
アセトン(1L)中の1,2,4−ブタントリオール(53g,500mmol)の溶液
をp−トルエンスルホン酸一水和物(4.75g,25mmol)で一度に処理して、周
囲温度で一晩攪拌した。トリエチルアミン(2.5g,25mmol)を一度に加え、
その結果得られた反応混合物を減圧下に濃縮して、粗製の生成物を得た。HPL
C(10% EtOAc/ヘキサン〜50% EtOAc/ヘキサン)によって精製することに
より、標記化合物(53.1g,363mmol)73%を得た。
FDMS:M++1=147。
C7H14O3・0.5H2Oに関する分析:
計算値:C 54.18;H 9.74。
実測値:C 54.50;H 9.56。
(b)5SR,E−エチル5,6−O−イソプロピリデン−5,6−
ジヒドロキシ−2−ヘキセノエート
CH2Cl2(1L)中の塩化オキサリル(48.32g,380.7mmol)の−78℃の
溶液に、DMSO(56.65g,725mmol)を滴加して、15分間攪拌した。
その後、CH2Cl2(400ml)中の工程(a)の生成物(53g,362.6mmol)の
溶液を、反応温度2を−60℃で保持する速度で滴加した。N,N−ジイソプロピ
ルエチルアミン(140.6g,1087mmol)を滴加し、その結果得られたスラ
リーを2時間攪拌しながら周囲温度まで温めて、粗製のO−イソプロピリデン−
4−オキソ−(SR)ブタン−1,2−ジオールを得た。その反応混合物を0℃ま
で冷却し、(カルベトキシメチレン)−トリフェニルホスホラン(25
2.5g,725mmol)を一度に加えて、一晩攪拌しながら周囲温度まで温めた。
その反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、H2O、水性NaHSO4、およびブラ
インで連続的に洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下に濃縮して、粗製の生成物を
得た。その生成物をEt2O中でトリチュレートし、Ph3P=Oを濾過によって除去し
、濾液を減圧下に濃縮して、粗製の生成物を得た。HPLC(10% EtOAc/ヘ
キサン〜50% EtOAc/ヘキサン)によって精製することにより、Z異性体(1.
52g,7.1mmol)2%および標記E異性体(56.55g,264mmol)73%
を得た。
Z異性体:FDMS:M++1=215。
C11H18O4・0.25H2Oに関する分析:
計算値:C 60.39;H 8.52。
実測値:C 60.49;H 8.28。
E異性体:FDMS:M++1=215。
C11H18O4に関する分析:
計算値:C 61.66;H 8.47。
実測値:C 61.44;H 8.24。
(c)5SR,E−エチル(SR,E)5,6−ジヒドロキシ−2−
ヘキセノエート
THF(700ml)中の工程(b)の生成物(46.4g,216.6mmol)の溶液
を1N HCl(500ml)で一度に処理して、周囲温度で一晩攪拌した。EtOAcおよ
びNaClを加えて、その結果得られたスラリーを2時間激しく攪拌した。その反応
混合物を分液漏斗中で分配して、生成物をEtOAcで抽出した。有機物を全て合わ
せ、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下に濃縮して、粗製のジオール
を得た。HPLC(25% EtOAc/ヘキサン〜95% EtOAc/ヘキサン)によって
精製することにより、標記化合物(30.52g,175mmol)81%を得た。
FDMS:M++1=175。
C8H14O4・0.25H2Oに関する分析:
計算値:C 53.77;H 8.18。
実測値:C 53.88;H 7.95。
(d)2SR,4RS−エチル2−[(4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−
イル)]−2−ヨードアセテート
周囲温度で、ジエチルエーテル(1.5L)中の工程(c)の生成物(30.41
g,174.6mmol)の溶液を、NaHCO3(44.0g,524mmol)、次いで、I2(
100.8g,788mmol)で連続的に処理して、その結果得られた反応混合物を
TLCにより完了となるまで攪拌した。その反応混合物に水性Na2S2O3を加えて
、生成物をEt2Oで抽出した。有機物を全て合わせ、Na2S2O3、H2O、次いで、ブ
ラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮して、粗製の生成物を得た。
HPLC(5% EtOAc/ヘキサン〜50% EtOAc/ヘキサン)によって精製するこ
とにより、標記化合物(29.05g,97mmol)55%を得た。
FDMS:M++1=301。
C8H13IO4・1.0H2Oに関する分析:
計算値:C 30.21;H 4.75。
実測値:C 30.23;H 4.43。
(e)2SR−エチル2−[(4−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル)]−
ヨードアセテート
3Åの篩にかけた(with 3Å sieves)、CH2Cl2(500ml)中の工程(d)の生
成物(28.5g,95mmol)の溶液をクロロクロム酸ピリジニウム(91.5g,
425mmol)で一度に処理して、周囲温度で一晩攪拌した。その反応混合物をEt2
Oで希釈して、セライト(商標)を通して濾過した。濾液を1N HClで分配して、
生成物をEt2Oで抽出した。有機物を全て合わせ、1N HCl、およびブラインで洗
浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下に濃縮して、粗製の生成物を得た。HPLC(1
0% EtOAc/ヘキサン〜50% EtOAc/ヘキサン)によっ
て精製することにより、標記化合物(17.9g,60.1mmol)63%を得た。
FDMS:M+=298。
C8H11IO4・0.5H2Oに関する分析:
計算値:C 31.29;H 3.94。
実測値:C 31.16;H 3.75。
(f)1SR,5SR,6SR−エチル2−オキサビシクロ[3.1.0]−
ヘキサン−4−オン−6−カルボキシレート
THF(50ml)中の工程(e)の生成物(5.25g,17.6mmol)の溶液を、
THF(10ml)中のDBU(2.82g,18.5mmol)の溶液の滴加により処理し
て、その結果得られた反応混合物を周囲温度で1時間攪拌した。その反応混合物
を減圧下に減少させ、Et2Oと1N HClとの間で分配して、生成物をEt2Oで抽出し
た。有機物を全て合わせ、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下に濃縮
して、粗製の生成物を得た。HPLC(10% EtOAc/ヘキサン〜50% EtOAc
/ヘキサン)によって精製することにより、標記化合物(1.47g,8.63mmol
)49%を得た。
FDMS:M+=170。
C8H10O4・0.1H2Oに関する分析:
計算値:C 55.88;H 5.98。
実測値:C 55.73;H 5.81。
(g)1SR,4SR,5RS,6SR−ジエチル
4−(アミノベンジルオキシカルボニル)−2−
オキサビシクロ[3.1.0]−ヘキサン−4,6−ジカルボキシレート
EtOH:H2Oの1:1の混合物(全体積50ml)中の工程(f)の生成物(3.0
g,17.6mmol)の溶液を、NH2CO2NH4(4.13g,52.9mmol)、次い
で、KCN(1.72g,26.4mmol)で連続的に処理して、55℃で40時間温
めた。その反応物にNaOH(4.0g,100mmol)を一度に加えて、還流下に48
時間温めた。その反応混合物を減圧下に濃縮して、粗製のアミノ二酸をH2
O中で再構築した。水性成分をEt2O(3×)で洗浄し、0℃まで冷却して、濃HCl
でpH=1まで酸性とした。水性成分をEt2O(3×)で洗浄し、NaHCO3でpH=10ま
で塩基性として、乾燥状態となるまで減圧下に濃縮した。固体をTHF:H2O
の1:1の混合物(全体積100ml)中で再構築し、ベンジルクロロホルメート(
4.50g,26.4mmol)を滴加しながら0℃で攪拌して、48時間攪拌しなが
ら周囲温度まで温めた。その反応混合物をEt2Oで希釈して洗浄した。水層を濃HC
lでpH=1まで酸性として、NaClとEtOAcとで分配した。生成物をEtOAcで抽出し
、MgSO4で乾燥させ、減圧下に濃縮して、粗製のN−CBZ二酸を得た。この中
間体をCH3CN中で再構築し、トリエチルアミン(5.6g,56mmol)、次いで
、ヨードエタン(6.5g,42mmol)で連続的に処理して、50℃で48時間温
めた。その反応混合物をEt2Oで希釈して、1N HClで分配した。生成物をEt2Oで
抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下に濃縮して、粗製の生成
物を得、これをHPLC(10% EtOAc/ヘキサン〜50% EtOAc/ヘキサン)に
より精製して、標記化合物(1.18g,3.13mmol)18%を得た。
FDMS:M+=377。
C18H23NO7に関する分析:
計算値:C 60.47;H 6.14;N 3.71。
実測値:C 60.61;H 6.44;N 3.75。
(h)2N NaOH(20ml)中の工程(g)の生成物(0.71g,1.86mmol)の
溶液を還流下に3日間温めた。その反応混合物をEtOAcで分配して洗浄した。そ
の後、その結果得られた水性成分を6N HClで酸性として、EtOAcで洗浄した。
有機物を全て捨てた。水相を乾燥状態となるまで濃縮し、H2O中で再構築して
、そのpHを1N NaOHで14に調節した。その結果得られた固体を濾過により除
去して、濾液を減圧下に減少させた。そのpHを1N HClで2に調節し、Dowex(商
標)50×8−100陽イオン交換樹脂に注ぎ、10%ピリジン/H2Oで溶出し
て、標記化合物(0.25g,1.34mmol)72%を得た。
融点=分解>200℃。
FDMS:M++1=188。
C7H9NO5に関する分析:
計算値:C 44.92;H 4.85;N 7.48。
実測値:C 44.69;H 4.73;N 7.25。
実施例2
1SR,4RS,5RS,6RS−4−アミノ−2−
チアビシクロ[3.1.0]ヘキサン−4,6−ジカルボン酸
(a)(1SR,5RS,6RS)−エチル[2−チアビシクロ[3.1.0]−
ヘキシ−3−エン]カルボキシレート
チオフェン(100ml)中の[Rh(OAc)2]2の70℃の溶液に、チオフェン(20ml
)中のエチルジアゾアセテート(11.4g,100mmol)の溶液を滴加した。添加
が完了したら、その反応混合物を還流下に3時間温め、橙色の油状物質となるま
で濃縮し、分取HPLC(10% EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物
6.51g(38%,38.2mmol)を得た。
FDMS:M+=170。
C8H10O2Sに関する分析:
計算値:C 56.45;H 5.92;S 18.84。
実測値:C 56.72;H 6.21;S 19.11。
(b)(1SR,4RS,5RS,6RS)−エチル4−ヒドロキシ−[2−
チアビシクロ[3.1.0]ヘキサン]カルボキシレート
THF(25ml)中の工程(a)の生成物(0.90g,5.29mmol)の0℃の溶
液に、BH3・THF(1M,5.3mmo1)の溶液を滴加した後、0℃で6時間攪拌
した。3N NaOH(5ml)を滴加した後、30% H2O2(1ml)を滴加した。その結
果得られた反応混合物を一晩攪拌しながら周囲温度まで温めた。その反応物を飽
和NaHCO3で分配して、生成物をEt2Oで抽出した。有機物を全て合わせ、ブライン
で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、PC−TLC(10% EtOA
c/ヘキサン〜50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物0.48g(
48%,2.5mmol)を得た。
FDMS:M+=188。
C8H12O3S・0.4H2Oに関する分析:
計算値:C 49.16;H 6.60;S 16.40。
実測値:C 49.03;H 6.28;S 17.80。
(c)(1SR,5RS,6RS)−エチル4−オキソ−[2−
チアビシクロ[3.1.0]ヘキサン]カルボキシレート
CH2Cl2(400ml)中のDMSO(3.56g,45.6mmol)の−78℃の溶液に
、塩化オキサリル(4.35g,34.3mmol)を、反応温度2を−65℃で保持す
る速度で滴加した。添加が完了したら、その反応を30分間平衡化した後、CH2C
l2(20ml)中の工程(b)の生成物(4.31g,22.8mmol)の溶液を、反応温
度2を−65℃で保持しながら滴加した。その反応物を−40℃まで徐々に温め
て、その反応物をもう一度−78℃まで冷却した後、トリエチルアミン(11.5
4g,114mmol)の滴加によりクエンチした。その反応物を1N HClとNaClと
で分配して、生成物をEt2Oで抽出した。有機相を全て合わせ、H2O、およびブ
ラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、分取HPLC(10% EtOAc/ヘキサン〜5
0% EtOAc/ヘキサン)により精製して、標記化合物3.20g(17.2mmol,7
5%)を得た。
融点=55−57℃。
FDMS:M+=186。
C8H10O3Sに関する分析:
計算値:C 51.60;H 5.41;S 17.23。
実測値:C 51.59;H 5.32;S 17.63。
(d)(1SR,4RS,5RS,6RS)−エチル4−(スピロ−5'−
ヒダントイン)−[2−チアビシクロ[3.1.0]ヘキサン]−
カルボキシレート
周囲温度で、EtOH(25ml)およびH2O(10ml)中の工程(c)から得られた
生成物(3.22g,17.3mmol)の溶液を、(NH4)2CO3(3.37g,43.3
mmol)、およびKCN(1.41g,21.6mmol)で連続的に処理して、反応がT
LCにより完了したと判断されるまで35℃で温めた。その反応混合物を6N H
Clで酸性とし、NaClで分配して、生成物をEtOAcで抽出した。有機物を全て合わ
せ、乾燥させ(MgSO4)、2−プロパノールから再結晶化させて、標記化合物2.2
5g(8.8mmol,51%)を得た。
融点=197−200℃。
FDMS:M+=256。
C10H12N2O4S・0.75IPAに関する分析:
計算値:C 48.83;H 6.02;N 9.30。
実測値:C 48.75;H 6.07;N 8.94。
(e)(1SR,4RS,5RS,6RS)4−アミノ[2−
チアビシクロ[3.1.0]ヘキサン]−4,6−ジカルボキシレート
2N NaOH(20ml)中の工程(d)から得られた生成物(0.85g,3.30mm
ol)の溶液を還流下に4日間温めた。次いで、その反応混合物を6N HClで酸性
として、乾燥状態となるまで濃縮した。固体をpH=11のH2O中で再構築し、B
io−Rad(商標)AG1−X8陰イオン交換樹脂に注ぎ、3N AcOHで溶出して、乾
燥状態となるまで濃縮した。生成物を熱時H2O/2−プロパノール混合物中で
トリチュレートし、濾過して、標記化合物0.31g(46%,1.5mmol)を得た
。
融点>250℃。
FDMS:M+=203。
C7H9NO4S・0.5H2Oに関する分析:
計算値:C 39.62;H 4.75;N 6.60;S 15.11。
実測値:C 39.81;H 4.48;N 6.69;S 14.27。
実施例3
1R,4R,5S,6R−4−アミノ−2−
オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン−4,6−ジカルボン酸
(a)(1SR,5SR,6SR)−エチル−[2−オキサビシクロ[3.1.0]−
ヘキシ−3−エン]カルボキシレート
フラン(250ml)中の[Rh(OAc)2]2の溶液に、10℃で約2〜2.5時間にわた
り攪拌しながらフラン(250ml)中のエチルジアゾアセテート(100g)の溶液
を滴加した。その添加の約3分の2が経過した時点で、[Rh(OAc)2]2をさらに0.
1g加えた。HPLC分析がエチルジアゾアセテートの完全な消費を示した後、
水(400ml)中のNaHSO3(200g)の溶液を加えて、その結果得られた二相混合
物を1〜2時間攪拌しながら周囲温度まで温めた。次いで、その反応混合物をM
TBG(500ml)で抽出して、有機相を水(400ml)および飽和NaCl(300ml)
で洗浄した後、Na2SO4で乾燥させた。次いで、溶媒を蒸発により除去し、その結
果得られた油状物質を減圧蒸留して(0.2mmHgで45℃)、標記化合物(47−5
4g)を油状物質として得た。
(b)(1SR,4RS,5SR,6SR)−エチル−4−ヒドロキシ−[2−
オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン]カルボキシレート
乾燥フラスコ中、窒素下に0℃以下で、THF中の2,3−ジメチル−2−ブ
テン(4M,53.0ml)の溶液を注射器でボランジメチルスルフィド錯体(10M
,21.2ml)に加えることにより、テキシルボランの溶液を調製した。その溶液
を使用する前に0℃未満で2時間攪拌した。
N2下、工程(a)の生成物(32.73g,212.30mmol)をTHF150
mlに溶解した。その結果得られた溶液を攪拌しながら−0.5℃まで冷却した。
その攪拌溶液を冷却しながら、その系を排気して、N2で2回パージした。上で
製造したテキシルボラン溶液を全て、その温度を4.4℃未満に保持しながら、
カニューレで40分間にわたり加えた。0℃で2時間攪拌した後、30% H2O2
87mlを70分間にわたり徐々に加えて、その温度を30℃未満に保持した。
過酸化物を加えた後、pH=7のリン酸緩衝液(1M KH2PO4、およびK2HP
O4中、1M)15mlを加えて、その混合物を周囲温度まで温めながら一晩(14
時間)攪拌した。その混合物を5℃未満に冷却して、飽和水性Na2S2O3 25ml
を徐々に加えた。次いで、EtOAc 75mlを加えた後、飽和水性Na2S2O3 75ml
を徐々に加えた。次いで、飽和水性Na2S2O3をもう40ml徐々に加えた。その
混合物を15分間攪拌した後、EtOAc 75mlと飽和水性Na2S2O3 30mlとの間
で分配した。水層をEtOAc 50mlで3回逆抽出した。合わせた有機層をブライン
30mlで洗浄して、Na2SO4で乾燥させた。溶媒を除去して、油状物質54.4
4gを得た。その油状物質を、3:2のヘキサン:EtOAcで溶出するフラッシュ
クロマトグラフィー(シリカゲル370g、3:2のヘキサン:EtOAcで湿式充填
した)により精製して、標記化合物31.72gを油状物質として得た。
(c)(1SR,5SR,6SR)−エチル4−オキソ−[2−
オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン]カルボキシレート
N2下、DMSO(28.74g,367.8mmol)の溶液に、CH2Cl2(300ml)
中の塩化オキサリル(25.70g,202.44mmol)を、その温度を−65℃未
満に保ちながら35分間にわたり滴加した。その溶液を10分間攪拌し、冷却し
て−70℃まで戻した。CH2Cl2100mlに溶解した工程(b)の生成物31.6
8g(ポテンシー83%に関して補正すると、26.29g,152.71mmol)の
溶液を、その温度を−67℃で保持しながら、40分間にわたり滴加した。その
混合物を5分間攪拌した後、トリエチルアミン62ml(45.01g,444.8
3mmol)を、その温度を−50℃以下で保ちながら、15分間にわたり滴加した
。15分間攪拌した後、TLCが完全な反応を示して、その混合物を約
−40℃まで温めた。その混合物を濾過して、CH2Cl2 300mlで洗浄した。濾
液を1N HCl 150mlで2回抽出した。水層をCH2Cl2 50mlで逆抽出した。合
わせた有機層をブライン75mlで洗浄して、Na2SO4で乾燥させた。溶媒の大部分
を回転蒸発により除去すると、液体44.36gが残った。種晶を幾つか加え、
フラスコをN2でガスシールして、周囲温度で30分間攪拌すると、希薄なスラ
リーが形成された。室温のスラリーにヘキサン20mlを徐々に加えた。そのスラ
リーを周囲温度で90分間攪拌した後、氷/NaCl/水浴中で3時間攪拌した。固
体を濾過し、5:1のヘキサン:EtOAc 25mlで洗浄し、減圧下に乾燥させて、
標記化合物(19.48g)を白色の結晶として得た。結晶の第2収量(2.28g)
を濾液から得た。
(d)(1SR,4SR,5RS,6SR)−エチル4−(スピロ−5'−
ヒダントイン)−2−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン
カルボキシレート
周囲温度で、メタノール25ml中の炭酸アンモニウム(5.65g,58.8mmo
l)、シアン化カリウム(2.01g,30.9mmol)のスラリーに、メタノール25
ml中の工程(c)の生成物(5.0g,29.4mmol)の溶液を加えた。その混合物
を周囲温度で攪拌して、HPLCによりモニターした。23時間後、その反応が
完了した。その混合物を水100mlで希釈し、冷却して、結晶種を入れた。その
pHを6N塩酸で9.6〜7.0に調節して、白色の固体を得た。そのスラリーを0
−5℃で1.5時間攪拌し、濾過して、冷水−メタノール(2:1)75mlで洗浄
した。その白色の固体を減圧下に40℃で乾燥させて、標記化合物(5.55g,
78.6%)を得た。生成物を1H NMRにより同定した。
(e)(1SR,4SR,5RS,6SR)−4−(スピロ−5'−
ヒダントイン)−2−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサンカルボン酸
2N NaOH(63.2ml)中の工程(d)の生成物(7.59g,31.6mmol)の溶
液を周囲温度で30分間攪拌した。次いで、加水分解を12N HCl(5.27ml,
63.2mmol)の添加によりクエンチした。次いで、その反応混合物を0℃
で3時間攪拌した後、減圧濾過した。集めた固体を減圧下に50℃で一晩乾燥さ
せて、標記化合物(6.12g,91.3%)を得た。
C8H8N2O5に関する分析:
計算値:C 45.29;H 3.80;N 13.20。
実測値:C 45.02;H 3.75;N 12.92。
(f)1R,4R,5S,6R−(−)−4−スピロ−5'−ヒダントイン−2−
オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサンカルボン酸,
(R)−(−)−2−フェニルグリシノール塩
工程(e)の生成物(0.80g,3.8mmol)に、エタノール(20ml)および水
(4ml)中の(R)−(−)−フェニルグリシノール(0.52g,3.8mmol)を加えた
。その混合物を還流温度まで加熱し、水1mlをさらに加えて、均一な溶液とした
。還流温度で約30分経過した後、その混合物を周囲温度まで冷却した。周囲温
度で一晩攪拌した後、その反応混合物を濾過し、エタノールと水との25:5の
冷混合物1mlで洗浄し、減圧下に50℃で一晩乾燥させて、標記化合物(0.57
g,43.3%)を白色の固体として得た。鏡像異性体の過剰は98.8%であることがHPLCにより測定された。
(g)1R,4R,5S,6R−(−)−4−アミノ−2−
オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン−4,6−ジカルボン酸
工程(f)の生成物(1.0g,2.86mmol)に、2M水性水酸化ナトリウム1
5ml(30mmol,10当量)を加えた。その溶液を還流温度で43時間加熱した。
その結果得られた混合物を周囲温度まで冷却した後、CH2Cl2(5×30ml)で抽出
した。水層をH2O 10mlで希釈して、3M HClでpH2まで酸性とした。濁った
混合物を濾過し、2M NaOHを使用して、そのpHを8に調節した後、その溶液を
週末の間放置した。この結果、残りのケイ酸からゲルの形成が起こった。そのゲ
ルを、中位の(medium)ガラスフリットを通しての1時間にわたる濾過により除去
して、H2O 50mlで濯いだ。
イオン交換カラムを、Bio−Rad AG 1−X8,100−200メッシュ、ア
セテート型、樹脂25gから準備した。脱イオン化H2Oを使用して、その樹脂を
重力フローカラムに移して、1M NaOH(2×50ml)およびH2O(2×50ml、
または溶離液が中性となるまで)で連続して洗浄した。水性生成物溶液を50ml
ずつ樹脂の上に注いだ。そのカラムを、溶離液が中性となるまでH2O(約100
ml)で洗浄し、1:1のTHF/H2O 70ml、およびH2O 100mlで連続し
て洗浄した。生成物を酢酸とH2Oとの1:3の混合物120mlで溶出した。溶
離液を全て1つのフラスコに集め、蒸発させると、白色の固体0.48gとなっ
た。その固体をH2O 5ml中でスラリー化して、粗な(coarse)ガラスフリット上
に集めた。そのフラスコをH2O(2×5ml)でさらに濯ぎ、これらの洗液を使用
して、集めた固体を洗浄した。減圧下に70℃で18時間乾燥させた後、標記化
合物(0.33g,62%)を白色の固体として得た。その構造を1H NMRおよ
び分析により確認した。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
// C07D 307/93 C07D 307/93
333/78 333/78
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM
,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E
S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID
,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M
G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,
TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V
N,YU,ZW