【発明の詳細な説明】
分散重合によるポリ(ビニル芳香族)の製造
本発明は、メタロセン触媒組成物の存在下において、ビニル芳香族化合物の重
合体を分散状態で製造する方法に関する。
こうして得られる重合体は、繊維、フィルム及び成形体の製造に使用すること
ができる。
メタロセン触媒組成物の存在下にスチレンを重合させると、高い立体規則性を
有する重合体が得られる。この重合は、例えばEP−A0210615に詳細に
記載されている。シンジオタクチックポリスチレンは、その高い結晶化度のため
に、極めて高い融点、高い剛性及び引張強度、寸法安定性、低い誘電率及び高い
化学安定性を有する。機械的性質の特徴は、ガラス転移温度より上であっても維
持される。
スチレンのメタロセン−触媒による重合では、得られるシンジオタクチックポ
リスチレンがわずか約10%の転化率で結晶化は始まることが屡々ある。このた
め、まず壁上に体積物の形成が起こり、次ぎに重合中の粘度が急上昇し、反応の
操作、反応熱の除去が益々困難となる。これは特に工業規模で発生する。
この問題を解決するため、特定の反応器或いは押出機を用いる様々な技術が試
みられてきた。EP−A−0535582には、固体の攪拌床上でのシンジオタ
クチックポリスチレンを製造する方法が記載されている。これにより壁上の体積
物の形成を減少させることはできるが、防止はできない。反応器は、均一な流動
床を製造するために、特定の攪拌機を備える必要がある。温度制御は、複雑な真
空制御システムを用いて、減圧によりスチレンの部分蒸発により行われる。
EP−A0584646及びEP−A0389939には、死空間のない、自
己清浄性の2軸スクリュー押出機又は配合機による、シンジオタクチックポリス
チレンの製造が記載されている。両方の方法において、高いレベルの転化率での
摩擦力の突然の上昇により、及び連続操作に要求されるモータ出力にために、重
合が完全転化まで行われず、単に、モノマーを吸収した重合体粉末が次の処理工
程で凝集しないレベルまで行われる。
アニオン開始の場合では、分散重合の技術が知られている。特に、ポリスチレ
ン小粒子を製造するために使用される。これは、例えばJournal of Polymer Sci
ence,Part A,Polymer Chemistry,第34巻(1966),2633-2649頁に記載されてい
る。極めて重要なことは、分散安定用分散助剤の選択である。
DE−A4330969には、有機液体中で、スチレン−ブタジエン共重合体
及びメタロセン触媒組成物の存在下にスチレンを重合させることによりポリスチ
レン混合物を製造する方法が記載されている。しかしながら、好ましい態様とし
て、5〜20バールの圧力が要求される;そうでなければ、得られる重合体は、
30000g/モルの極めて低い分子量となる。
本発明の目的は、メタロセン触媒を用いてシンジオタクチックビニル芳香族重
合体を製造する方法で、上記の不利が無く、慣用の攪拌反応器で低粘度で行うこ
とができる製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記目的が、ビニル芳香族モノマーのメタロセン触媒による重
合を、分散状態で、分散助剤としてスチレン/ジフェニルエチレン−ジエンブロ
ック共重合体を用いて行うことにより達成されることを見出した。
特に好適なビニル芳香族化合物は、下記の式Iを有するものである:
[但し、R1が水素又はC1〜C4アルキルを表し、
R2〜R6が水素、C1〜C12アルキル、C6〜C18アリール又はハロゲンを表す
か、又は隣接する2個の基が合体して炭素原子数4〜15の環式基、例えばC4
〜C8シクロアルキル又は縮合環系、を形成する。]
R1が水素の式Iで表されるビニル芳香族化合物を使用することが好ましい。
特に、置換基R2〜R6が水素、C1〜C4アルキル、塩素又はフェニル、ビ
フェニル又はアントラセンであることが好適である。隣接する2個の基が合体し
て炭素原子数4〜12の飽和又は不飽和の環式基を形成して、式Iの化合物が、
例えばナフタレン誘導体又はアントラセン誘導体を形成しても良い。
このような好ましい化合物の例としては:
スチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、4−ビニルフェニル、2−ビニルナフタレン又は9−ビニルアントラセン
を挙げることができる。
異種のビニル芳香族化合物の混合物を使用することも可能である。その場合、
1種類の成分は更にフェニル環上に、炭化水素基、例えばビニル、アリル、メタ
リル(methallyl)、ブテニル又はペンテニル基、好ましくはビニル基を有してい
ても良い。しかしながら、1種類のビニル芳香族化合物を用いることが好ましい
。
特に好ましいビニル芳香族化合物は、スチレン及びp−メチルスチレンである
。
式Iのビニル芳香族化合物の製造は、それ自体公知であり、例えばBeilstein
5,367,474,485に記載されている。
好適な分散助剤は、少なくとも1種のジエンブロックBと、式Iのビニル芳香
族モノマー及び1,1−ジフェニルエチレン又はその芳香族環置換誘導体(例え
ばDE−A4420917に記載されているような炭素原子数22までのアルキ
ルで置換されたものを含む)からなる少なくとも1種のブロックSとを有するブ
ロック共重合体である。
ブロックS及びBを有するブロック共重合体の好適な例としては、一般構造(
S−B)n、S−B−S、B−S−B、X[(S−B)n]m、X[(B−S)n]m
、X(S−B−S)m及びX(B−S−B)m{但し、Xがm−官能カップリン
グ剤又はm−官能開始剤の基を表し、nが1〜5の整数、mが2〜20の整数を
表す。}のブロック共重合体を挙げることができる。
全てのジエンはブロックBのジエン成分として概ね適当である。しかしながら
、共役二重結合を有するもの、例えばブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジ
エン及びフェニルブタジエンが好ましい。ジエンブロックは、部分的又は完全
にハロゲン化されていても、或いは水素化又は非水素化されていても良い。ブロ
ックBの分子量Mwは、一般に10000〜500000g/モル、好ましくは
50000〜350000g/モル、特に70000〜250000g/モルで
ある。
ブロックSは、式Iのビニル芳香族モノマーと1,1−ジフェニルエチレン又
はその芳香族環置換誘導体(炭素原子数22までのアルキル、好ましくは炭素原
子数1〜4のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル
及びn−、iso−又はtert−ブチル、で置換されたものを含む)との共重
合体から構成される。しかしながら、特に無置換の1,1−ジフェニルエチレン
自体が好ましい。ブロックS中のジフェニルエチレンの割合は、15〜65重量
%、好ましくは25〜60重量%の範囲である。ビニル芳香族モノマーから誘導
される単位と1,1−ジフェニルエチレンから誘導される単位とのモル比が、1
:1〜1:25の範囲、好ましくは1:1.05〜1:15の範囲、特に1:1
.1〜1:10の範囲である。
共重合ブロックSは、組成物中にランダムにあることが好ましく、その分子量
Mwは一般に20000〜500000の範囲、特に50000〜300000
の範囲にある。特に、スチレンと1,1−ジフェニルエチレンとの共重合体ブロ
ックSが好ましい。
ブロックSとBとの比(S:B)は、一般に90:10〜20:80の範囲、
特に90:15〜65:35の範囲が好ましい。ブロックの変わり目は、明確で
あっても、先細りして(漸減して)いても良い。先細りした変わり目(tapered t
ransition)は、隣接ブロックBとSが、変わり目の領域で、更に他のブロックの
モノマーを含んでいても良い。
ブロック共重合体は、アニオン重合の慣用法により製造することができる。そ
の慣用法は、例えばM.Morton,Anionic Polymerisation,Princeples and Prac
tice,Academic Press,New York 1983に記載されている。アニオン重合は、有
機金属化合物によって開始される。アルカリ金属、特にリチウムの化合物が好ま
しい。開始剤の例としては、アルキルリチウム、例えばメチルリチウム、エチル
リチウム、イソプロピルリチウム及びn−、sec−又はtert−ブチ
ルリチウムを挙げることができる。特に、n−又はsec−ブチルリチウムが好
ましい。適当な溶剤としては、有機金属化合物に対して不活性なものである。脂
肪族または芳香族炭化水素を使用するのが賢明である。適当な溶剤として、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及び
キシレンを挙げることができる。
重合パラメータを変化させるために、少量の非プロトン性の極性物質を溶剤に
加えても良い。好適な例として、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングルコー
ルジブチルエーテル、特にテトラヒドロフラン、及び更に第3級アミン、例えば
テトラメチレンエチレンジアミン又はピリジンを挙げることができる。極性補助
溶剤(cosolvent)を、非プロトン性溶剤に0.01〜5容量%の少量加える。特
に0.1〜0.3容量%のテトラヒドロフランが好ましい。
新規な方法の好ましい態様において、少なくとも1種の分岐性モノマー(枝分
かれするモノマー)として、式IIで表される化合物を使用することができる。
上式において、
Raが水素、ハロゲン、又は炭素原子数20までの不活性有機基を表し、且つ
p≧2の場合に、各Raが同一でも異なっていていも良く、そして2個のRaが、
それらに結合する金属と共に3員〜8員の環を形成しても良く、またRaが、M
が遷移金属の場合に慣用の錯体リガンドであっても良く;
Rbが、水素、C1〜C4アルキル又はフェニルを表し;
Rcが、水素、C1〜C4アルキル、フェニル、塩素又は炭素原子数2〜6の不
飽和炭化水素基を表し;
Mが、C、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、N、P、Sb、Ti、Zr、
Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Os、Co、Rh
、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn又はCdを表し;
nが2〜6を表し;
mが0〜20を表し;
pが0〜4を表し;そして
上記n、pは、n+pの合計がMの原子価に相当する条件で上記規定を満足す
る。
これらのモノマーは、例えばクロロ(アルキル)スチレンと、対応する炭素、
金属又は遷移金属化合物(例えばハロゲン化合物)とのグリニャール化合物を経
由して、得ることができる。Mが珪素、ゲルマニウム又は錫の場合に、例えば、
このような反応は、K.Nakanishi,J.Chem.Soc.Perkin Trans I,1990,336
2頁に記載されている。
特に好ましい分岐性モノマー単位は、Mが炭素、珪素、ゲルマニウム、錫又は
チタンの場合の式IIのものである。なぜなら、これらは得るのが容易なためであ
る。インデックスmは0〜8が好ましく、特に0〜4である。
例えば、式IIaで表されるチタン含有モノマー:
及び式IIbで表されるチタン化合物:
[但し、Ra、Rb、Rc、n、m及びpは、前記と同義である。]
を、分岐性モノマーとして使用することができる。
不活性の単数又は複数の有機基Raは、本発明の方法においてそれほど重要で
はない。むしろ、それらは、Mの自由原子価を単に満足させる役目を担い、入手
が容易な物から選択すればよい。好適な基の例としては、脂肪族及び脂環式基、
アリール、ヘテロアリール及びアリールアルキルを挙げることができる。脂肪族
基としては、アルキル、アルコキシ、アルケニル又はアルキニルであり、これら
は、例えば1〜2または1〜20の炭素原子数を有する。脂環式基としては、炭
素原子数3〜8のシクロアルキル基又はシクロアルカン基を挙げることができる
。アルキル又はシクロアルキル中のメチレンの代わりに、エーテル機能の酸素を
存在させることもできる。アリールの例としては、フェニル又はナフチルであり
、2個のフェニルを酸素で結合させることもできる。アリールアルキルの例とし
ては、フェニルとアルキルの組合せから得られる炭素原子数7〜20のものを挙
げることができる。ヘテロアリールの例としては、ピリジル、ピリミジル及びフ
リルを挙げることができる。これらの基は、例えばアルキル、アルコキシ、ハロ
ゲン(例、弗素、塩素又は臭素)、シアノ、ニトロ、エポキシ、カルボニル、エ
ステル基、アミド等で置換されていても良い。Raの2個が、原子Mと共に3員
〜6員の環を形成しても良く、例えば2個のRaが、1個以上のCH2基がエーテ
ル機能の酸素で置換されていても良いアルキレン鎖を形成しても良い。
Mが遷移金属の場合、Raが、慣用のσ−又はπ−結合の錯体リガンド、例え
ばエチレン、アリル、ブタジエン又はシクロペンタジエン、モノ−又はポリ−置
換シクロペンタジエン、例えばメチルシクロペンタジエン又はペンタメチルシク
ロペンタジエン、ベンゼン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタトリエン、シク
ロヘプタジエン、シクロオクタテトラエン、シクロオクタジエン、カルボニル、
オキサラト、シアノ、イソニトリル、フルミナト(fulminato)−C、フルミナト
−O、シアナト、二窒素(dinitrogen)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラアミン、エチレンジアミンテトラアセテート、ニトロシ
ル(nitrosyl)、ニトロ、イソシアノ、ピリジン、α,α−ビピリジル、トリフル
オロホスファン、ホスファン(phospane)、ジホスファン、アルサン(arsane)、ア
セチルアセトナトを表しても良い。
Rbは、特に好ましくは水素又はメチルである。Rcは、水素、C1〜C4アルキ
ル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル及び異性体ブチ
ル)、フェニル、塩素又は炭素原子数2〜6の不飽和炭化水素基(例、ビニル、
アリル、メタアリル、ブテニル又はペンテニル)である。
分岐性モノマー単位は、ビニル芳香族モノマーと分岐性単位とのモル比が10
000000:1〜10:1で使用するのが賢明である。
本発明に従えば、第II〜VIII副族、好ましくは第III〜VIII副族の遷移金属錯
体を、触媒成分A)として使用される。金属がチタン、ジルコニウム及びハフニ
ウムの錯体が特に好ましい。
式IIの分岐性モノマー単位が既に遷移金属M、特にチタンを有する場合、使用
される濃度にもよるが、それは分岐性単位としての機能に加えて、同時に触媒成
分A)として使用することができる。
特に好ましい触媒成分A)は、メタロセン錯体で、中でも、式III:
[但し、R7〜R12が、水素、C1〜C10アルキル、置換基としてC1〜C6アルキ
ルを有しても良い5員〜7員のシクロアルキル、C6〜C15アリール、又はアリ
ールアルキル基を表し、そして2個の隣接基が、必要により合体して炭素原子数
4〜15の環式基、例えば炭素原子数4〜12の縮合環系を形成しても良く、
又はSi(R12)3{但し、R12がC1〜C10アルキル、C6〜C15アリール又
はC3〜C10シクロルキルを表す}を表し、
Mが、元素周期表の第III〜VI副族の金属又はランタノイド系列の金属を表し
、
Z1〜Z5が水素、ハロゲン、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、C1〜
C10アルコキシ又はC1〜C15アリールオキシを表し、そして
Z1〜Z5が、0、1、2、3、4又は5を表し、且つZ1+Z2+Z3+Z4+Z5
の合計がMの原子価から1を引いた値に対応している。]
が好ましい。
式IIIのメタロセン錯体は、特にMが、元素周期表の第IV副族の金属、例えば
チタン、ジルコニウム又はハフニウム、特にチタンを表し、そして
Z1〜Z5が、C1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシ又はハロゲンを表す場
合が好ましい。
このような好ましいメタロセン錯体の例としては:
ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロリド、ペンタメチルシクロ
ペンタジエニルチタントリメチル及びペンタメチルシクロペンタジエニルチタン
トリメチレートを挙げることができる。
EP−A584646に記載のメタロセン錯体を使用することもできる。
異種のメタロセン錯体の混合物も、使用することができる。
この種の錯体化合物は、それ自体公知の方法、好ましくは対応する置換された
環式水素イオンを、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ジルコニウム、ハロゲン化ハ
フニウム、ハロゲン化バナジウム、ハロゲン化ニオブ又はハロゲン化タンタルと
反応させることにより、合成することができる。
適当な製造技術の例は、特にJournal of Organometallic Chemistry,369(198
9),359-370に記載されている。
カチオン、特にメタロセニウムイオン(metallocenium ion)を形成する化合物
Bとして、その触媒組成物は、開鎖(鎖状)又は環状アルモキサン(alumoxane)
化合物を含むことができる。
好適な例は、式IV又はV:
[但し、R13が、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチルを表し、kが
5〜30、好ましくは10〜25の整数である。]
で表される開鎖又は環状のアルモキサン化合物である。
これらのオリゴマー性アルモキサン化合物の製造は、通常トリアルキルアルミ
ニウム溶液を水と反応させることにより行われ、特にEP−A284708及び
US−A4794096に記載されている。
一般に、得られるオリゴマー性アルモキサン化合物は、長さの異なる、直鎖状
及び環式の両方の分子の混合物の形態であり、このため、kは平均値と見なされ
る。アルモキサンは、アルキル金属、好ましくはアルキルアルミニウムとの混合
物で存在しても良い。
メタロセン錯体と、オリゴマー性アルモキサン化合物とを使用する場合は、オ
リゴマー性アルモキサン化合物からのアルミニウムとメタロセン錯体からの遷移
金属の原子比が、10:1〜106:1の範囲、特に10:1〜104:1の範囲
となるように使用することが有利であることを見出した。
適当なメタロセニウムイオンを形成する化合物B)としては、中性強ルイス酸
、ルイス酸カチオンを含むイオン性化合物、及びカチオンとしてブレンステッド
酸を含むイオン性化合物から選ばれる配位錯体化合物を使用することができる。
好ましい中性強ルイス酸は、下記の式VIで表される化合物である:
M1X1X2X3 VI
式中、M1が周期表の第III主族の元素、好ましくはB、Al又はGa、特に
Bを表し、
X1、X2及びX3が水素、C1〜C10Oアルキル、C6〜C15アリール、又はア
ルキル基の炭素原子数が1〜10で、アリール基の炭素原子数が6〜20である
アルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル若しくはハロアリール、又
は弗素、塩素、臭素又は沃素を表し、好ましくはハロアリール、特にペンタフル
オロフェニルを表す。
特に、X1、X2及びX3が同一で、好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボランである場合の一般式IVで表される化合物が好ましい。これらの化合物
及びこれらの製造法は、それ自体公知であり、例えばWO93/3067に記載
されている。
好適なルイス酸カチオンを有するイオン性化合物は、下記の式VIIで表される
化合物である:
[(Ya+)Q1Q2・・・Qz]d+ VII
式中、Yが第I〜VI主族の元素、又は第I〜VIII副族の遷移元素を表し、
Q1〜Qzが、単一の負荷電された基、例えばC1〜C28アルキル;C6〜C15ア
リール;アリール部分の炭素原子数が6〜20で、アルキル部分の炭素原子数が
1〜28であるアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル若しくはハ
ロアリールを表し;置換基としてC1〜C10アルキルを有していても良いC3〜C10
シクロアルキル;ハロゲン;C1〜C28アルコキシ;C6〜C15アリールオキシ
;シリル又はメルカプチル(例えばトリメチルシリル)を表し、
aが1〜6の整数を表し、
zが0〜5の整数を表し、そして
dが差(a−Z)に対応するが、1を超えるか、1に等しい。
カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン及びスルホニウムカチオン、更
にカチオン性遷移金属錯体が特に適当である。トリフェニルメチルカチオン、銀
カチオン、及び1,1−ジメチルフェロセニルカチオンが、特に注目することが
できる。
これらは、非配位対イオンを有し、特に、例えばWO91/09882に明記
されているような硼素化合物、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸塩である。
カチオンとして、ブレンステッド酸カチオン、更に好ましくは非配位対イオン
(non-coordinating counterions)を有するイオン性化合物がWO93/3067
に明記されており、好ましいカチオンとしてはN,N−ジメチルアニリニウムを
挙げることができる。
メタロセニウムイオンを形成する化合物のホウ素と金属錯体の遷移金属とのモ
ル比は、0.1:1〜10:1の範囲、特に1:1〜5:1の範囲が好ましい。
新規な方法で使用される触媒組成物は、成分C)として、アルミニウム化合物
、例えば式VIIIの化合物を挙げることができる。
AlR14R15R16 VIII
式中、R14〜R16が、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はC1〜C12アル
キル、好ましくはC1〜C8アルキルを表す。
好ましくは、R14及びR15が同一で、C1〜C8アルキル、例えばメチル、エチ
ル、イソブチル又はn−ヘキシルを表し、R16が水素を表す場合である。
触媒組成物中の成分C)の含有量は、1:2000〜1:1、特に1:800
〜1:10(IIIの遷移金属とVIIIのAlとのモル比)の範囲が好ましい。
メタロセン錯体用溶剤として、芳香族炭化水素、好ましくは炭素原子数6〜2
0のもの、特にキシレン、トルエン及びエチルベンゼン並びにこれらの混合物が
通常使用される。
メタロセン錯体は、担体と共に、或いは無しで使用することができる。
好適な担体材料の例としては、シリカゲル、好ましくは式SiO2・bAl2O3
(但し、bが0〜2の数値、好ましくは0〜0.5の数値を表す)のもの、即
ちアルモシリケート又は二酸化珪素を挙げることができる。
担体の粒径は、1〜200μm、特に30〜80μmが好ましい。このような
生成物は、市販されており、例えばGrace社製のシリカゲル332として入手可
能である。
更に、担体としては、微粒子ポリオレフィン、例えば微粒子ポリエチレン又は
微粒子ポリプロピレン、さらにはポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレ
ン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート及び
これらの共重合体を挙げることができる。
遷移金属触媒A)とビニル芳香族モノマーとのモル比は、一般に1:1000
〜1:10000000、好ましくは1:2000〜1:1000000の範囲
にある。
本発明の方法は、分散重合で行われる。分散媒体は、脂肪族炭化水素、特に炭
素原子数4〜10のもの、又はその混合物を使用することが賢明である。例えば
、ブタン、ペンタン、ヘキサン及びヘプタンである。分散媒体で重合されるモノ
マーの濃度は、一般に5〜65容量%、好ましくは10〜50容量%である。
分散助剤は、使用されるビニル芳香族化合物に対して、0.1〜10重量%、
特に1〜8重量%で使用することが好ましい。それは重合するビニル芳香族モノ
マーに溶解させるのが賢明である。
重合条件は臨界的ではない。重合は、0.05〜30バール、特に0.1〜2
0バールの圧力、50〜100℃で行うことが好ましい。重合は、0.5〜10
時間で一般に終了する。重合は、プロトン性化合物、例えばメタノールを添加す
ることにより終了させることができ、そして分散媒体をろ過又は蒸発により除去
し、工程に再循環させることができる。
新規な方法は、製造技術的には簡単であり、高いシンジオタクチック含有量で
、4mPas未満の低粘度のビニル芳香族重合体を、慣用攪拌反応器で製造する
ことを可能にしている。更に、重合体は、微粒子状で得られる。得られる重合体
は、繊維、フィルム及び成形体の製造に好適である。
新規な方法の好ましい手順は、ビニル芳香族化合物に対して、0.1〜10重
量%、好ましくは1〜8重量%の濃度で、ビニル芳香族モノマー中に分散助剤を
溶解させた液を製造し、得られた溶液を、例えばペンタンと共に30℃に加熱す
ることである。それから、計算量の触媒成分を添加し、重合を60〜70℃で行
い、反応の終了まで(約1時間)反応を進め、メタノールで終結させる。
分散媒体を、ろ過又は蒸発により除去することができ、そして得られた固体を
減圧下に乾燥させることができる。必要により、重合体を、プラスチック技術の
慣用法、例えば再結晶により又は酸もしくはアルカリで洗浄することにより精製
することができる。
[実施例]
[1,1−ジフェニルエチレン(DPE)の精製]
粗DPE(Aldrich又はフェニルマグネシウムブロミドをアセトフェノンと反
応させ、無水酢酸でアセチル化し、そして酢酸を加熱除去することにより製造さ
れる)を、少なくとも50理論段を有する蒸留搭(回転バンド蒸留搭(spinning
band column);より大きな量のための、Sulzer充填物を有する蒸留搭)で、99
.8%純度まで蒸留する。通常淡黄色の蒸留物を、20cmのアロックス(alox)
・カラム(無水、クロマトグラフィ用Woelm alumina)を通して、ろ過し、1.
5Nsec−ブチルリチウムで強い赤色に着色するまで滴定し減圧下(1ミリバ
ール)蒸留した。得られた生成物は完全に無色で、アニオン重合に直接使用する
ことができる。
[モノマー及び溶剤の精製]
溶剤として使用するシクロヘキサン(H)を無水アルミナ上で乾燥させ、se
c−ブチルリチウムと1,1−ジフェニルエチレンの付加体で黄色になるまで滴
定した。ブタジエン(Bu)をトリイソブチルアルミニウムから留去し、1,1
−ジフェニルエチレン(DPE)をsec−ブチルリチウム(s−BuLi)か
ら留去した。s−BuLiの0.5モルシクロヘキサン溶液を、開始剤として使
用した。スチレン(S)を使用直前に、アルミナ上で乾燥した。
全ての重合を、精製窒素の存在下、空気及び湿気を精密に除去して行った。反
応器は、1,1−ジフェニルエチレンとsec−ブチルリチウムとのシクロヘキ
サン溶液で、充填前に数時間還流して前処理した。
下記の実施例において、Buは1,3−ブタジエン、Sはスチレン、及びDP
Eは1,1−ジフェニルエチレンを表す。割合は重量に基づく。
[Bu−S/DPEブロック共重合体の製造]
[分散剤D1]
7.1L(リットル)のシクロヘキサン及び数滴(約2ml)のDPEを、1
0Lの攪拌機付き反応器に充填し、0.278モルのsec−ブチルリチウム
溶液で、混合物が赤色に着色し始めるまで滴定した。15.1ml(4.2ミリ
モル)の0.278モルsec−ブチルリチウム溶液を添加した後、1.6L(
19.4モル)の1,3−ブタジエンを100mlずつ、70℃で1時間に亘っ
て添加し、その後混合物を70℃にて更に1時間重合させた。得られたポリブタ
ジエンブロックの分子量を、ポリブタジエン標準によるゲル・パーミエーション
・クロマトグラフィ(GPC)により測定した:Mw=248000g/モル、
Mw/Mn=1.28、M(ピーク極大値)=226000g/モル。得られたポ
リブタジエンに対して、15分間隔で連続して、98.3ml(0.56モル)
の1,1−ジフェニルエチレン及び259ml(2.25モル)のスチレンを加
え、重合を70℃で5時間以上行った。反応が収まった後、反応混合物を、無色
になるまでエタノールで滴定し、CO2/水で酸性化した。無色溶液を、液化押
出機内で、減圧下、溶剤を除去し、生成物を顆粒状にした。
GPC(ポリブタジエン標準):2個のピーク:第1のピーク(20%)M(
ピーク極大値)=32000g/モル;第2のピーク(80%)M(ピーク極大
値)=260000g/モル。
[分散剤D2]
分散剤D1の手順に続いて、1.6Lの1,3−ブタジエン、98.3mlの
1,1−ジフェニルエチレン及び259ml(2.25モル)のスチレンを重合
し、その際重合を10ml(2.78ミリモル)の0.278モルsec−ブチ
ルリチウム溶液で開始した。
GPCポリブタジエンブロック(ポリブタジエン標準):Mw=441000
g/モル、Mw/Mn=1.25、M(ピーク極大値)=352000g/モル。
GPCブロック共重合体(ポリブタジエン標準):2個のピーク:第1のピー
ク(20%)M(ピーク極大値)=61000g/モル;第2のピーク(80%
)M(ピーク極大値)=411000g/モル。
[分散剤D3]
分散剤D1の手順に続いて、1.2L(14.5モル)の1,3−ブタジエン
、73.6ml(0.42モル)の1,1−ジフェニルエチレン及び
194ml(1.69モル)のスチレンを重合し、その際重合を7.5ml(2
.08ミリモル)の0.278モルsec−ブチルリチウム溶液で開始した。
GPCポリブタジエンブロック(ポリブタジエン標準):Mw=379000
g/モル、Mw/Mn=1.30、M(ピーク極大値)=324000g/モル
。
GPCブロック共重合体(ポリブタジエン標準):2個のピーク:第1のピー
ク(30%)M(ピーク極大値)=57000g/モル;第2のピーク(70%
)M(ピーク極大値)=394000g/モル。
[S/DPE−Bu−S/DPEトリブロック共重合体の製造]
[分散剤D4]
分散剤D1の手順に続いて、1.08L(13.1モル)の1,3−ブタジエ
ン、149.5ml(0.85モル)の1,1−ジフェニルエチレン及び252
.4ml(2.2モル)のスチレンを重合し、その際重合を49.1ml(13
.7ミリモル)の0.278モルsec−ブチルリチウム溶液で開始した。重合
はエタノールで停止させず、0.5gの蟻酸エチル(カップリング剤)を10m
lのシクロヘキサンに溶解した液を5分間で添加した。後処理は分散剤D1と同
様に行った。
GPCブロック共重合体(ポリスチレン:ポリブタジエン=40:60を標準
)::2個のピーク:第1のピーク(10%)M(ピーク極大値)=79000
g/モル;第2のピーク(90%)M(ピーク極大値)=160000g/モル
。
[実施例1]
250mlのn−ヘキサン及び2.61gの分散剤D1を104.2g(1モ
ル)のスチレンに加えた混合物を、2Lの攪拌機付き反応器に攪拌しながら導入
し、60℃に加熱した。8.16mlの、メチルアルミノキサン(MAO)の1
.53モルトルエン溶液(Witco社製)、2.08mlの、ジイソブチルアルミ
ニウム水素化物(DIBAH)1.0モルシクロヘキサン溶液(Aldrich社製)
及び9.5mg(0.04ミリモル)のペンタメチルシクロペンタジエニル
チタントリメチルCp*TiMe3を加えた。5分後、ミルク様分散液を形成した
。分散液の粘度は反応の間中に亘って1.4mPas.を下回った。2時間後、
重合を10mlのメタノールを添加することにより停止させ、反応混合物をろ過
した。ろ過残渣をメタノールで洗浄し、減圧下50℃で乾燥した。
分散剤の量は、使用するスチレンの量に対して2.5重量%であった。転化率
は、使用したスチレンの量に対して33%であった。分子量Mwと分子量分布を
高温ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィGPC(135℃、1,2,4
−トリクロロベンゼン、ポリスチレン標準)で測定し、Mw=201200g/
モル、Mw/Mn=1.9を得た。C13−NMR分光法により測定されたシンジオ
タクチック含有率は、96%であった。粒径は2〜10μmの範囲で、浸オイル
中に懸濁され且つ2枚の平滑なスライドガラスの間に挟まれた重合体のサンプル
を、透過顕微鏡(Axiophot、Carl Zeiss社製)で測定した。
[実施例2〜5]
実施例1を、それぞれ、使用したスチレン量に対して、2.5gの分散剤D2
、D3及びD4、又は分散剤D1とD2の1:1混合物を用いて、繰り返した。
結果を、表1にまとめた。
[比較例V1]
実施例1を、分散剤を用いないで繰り返した。得られた重合体は、わずか10
分後に沈殿した。転化率は使用したスチレンに対して、わずか16%であった。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年11月18日(1998.11.18)
【補正内容】
全てのジエンはブロックBのジエン成分として概ね適当である。しかしながら
、共役二重結合を有するもの、例えばブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジ
エン及びフェニルブタジエンが好ましい。ジエンブロックは、部分的又は完全に
ハロゲン化されていても、或いは水素化又は非水素化されていても良い。ブロッ
クBの分子量Mwは、一般に10000〜500000g/モル、好ましくは5
0000〜350000g/モル、特に70000〜250000g/モルであ
る。
ブロックSは、式Iのビニル芳香族モノマーと1,1−ジフェニルエチレン又
はその芳香族環置換誘導体(炭素原子数22までのアルキル、好ましくは炭素原
子数1〜4のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル
及びn−、iso−又はtert−ブチル、で置換されたものを含む)との共重
合体から構成される。しかしながら、特に無置換の1,1−ジフェニルエチレン
自体が好ましい。ブロックS中のジフェニルエチレンの割合は、15〜65重量
%、好ましくは25〜60重量%の範囲である。1,1−ジフェニルエチレンか
ら誘導される単位とビニル芳香族モノマーから誘導される単位とのモル比が、1
:1〜1:25の範囲、好ましくは1:1.05〜1:15の範囲、特に1:1
.1〜1:10の範囲である。
共重合ブロックSは、組成物中にランダムにあることが好ましく、その分子量
Mwは一般に20000〜500000の範囲、特に50000〜300000
の範囲にある。特に、スチレンと1,1−ジフェニルエチレンとの共重合体ブロ
ックSが好ましい。
ブロックSとBとの比(S:B)は、一般に90:10〜20:80の範囲、
特に90:15〜65:35の範囲が好ましい。ブロックの変わり目は、明確で
あっても、先細りして(漸減して)いても良い。先細りした変わり目(tapered t
ransition)は、隣接ブロックBとSが、変わり目の領域で、更に他のブロックの
モノマーを含んでいても良い。
ブロック共重合体は、アニオン重合の慣用法により製造することができる。そ
の慣用法は、例えばM.Morton,Anionic Polymerisation,Princeples and Prac
tice,Academic Press,New York 1983に記載されている。アニオン重合
は、有機金属化合物によって開始される。アルカリ金属、特にリチウムの化合物
が好ましい。開始剤の例としては、アルキルリチウム、例えばメチルリチウム、
エチルリチウム、イソプロピルリチウム及びn−、sec−又はtert−ブチ
ルリチウムを挙げることができる。特に、n−又はsec−ブチルリチウムが好
ましい。適当な溶剤としては、有機金属化合物に対して不活性なものである。脂
肪族または芳香族炭化水素を使用するのが賢明である。
請求の範囲
1.分散助剤と、A)第II〜VIII副族の遷移金属、B)カチオン形成剤及び必要
によりC)アルミニウム化合物から得られる触媒との存在下に、ビニル芳香族化
合物の重合体を分散状態で製造する方法であって、
使用される分散助剤が、少なくとも1種のジエンブロックBと、ビニル芳香族
モノマー及び1,1−ジフェニルエチレン又はその芳香族環置換誘導体(炭素原
子数22までのアルキルにより置換された誘導体を含む)の共重合体を含む少な
くとも1種のブロックSとを有するブロック共重合体を含む製造方法。
2.分散助剤のブロックSにおける、1,1−ジフェニルエチレンから誘導され
る単位と、ビニル芳香族モノマーから誘導される単位とのモル比が、1:1〜1
:25の範囲にある請求項1に記載の方法。
3.ブロック共重合体が、共重合体状のポリブタジエン又はポリイソプレンから
なり、そしてジエンブロックBが部分的又は完全に水素化されているか、或いは
部分的又は完全に水素化されていない請求項1又は2に記載の方法。
4.ブロック共重合体のブロックSが、スチレン及び1,1−ジフェニルエチレ
ンの共重合体から構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
5.分散助剤が、使用されるビニル芳香族化合物の重量に対して0.1〜10重
量%の量で使用される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
6.分散媒体として、脂肪族炭化水素を使用する請求項1〜5のいずれかに記載
の方法。
7.少なくとも2種のビニル芳香族基を有する分岐性モノマー単位が、ビニル芳
香族モノマーと分岐性単位とのモル比が10000000:1〜10:1となる
範囲で使用される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AU
,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,GE,HU,
ID,IL,JP,KR,KZ,LT,LV,MX,N
O,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,SK,TR
,UA,US