【発明の詳細な説明】
ヘテロ環式メタロセン類および重合触媒
発明の分野
この発明は、新規なヘテロ環式メタロセン類ならびに、線状低密度、高密
度、アタクチック、アイソタクチックおよびシンジオタクチックポリマーを含む
、広範な特性を有するホモポリマーおよびコポリマーの製造用の触媒系に関する
。
より詳しくは、この発明は、遷移金属に直接配位している6π電子中心基
と結合した環系内に少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、付加重合可能なモ
ノマーを重合させることが可能な、新種のメタロセン類に関する。
発明の背景
チーグラーおよびナッタの研究以来、モノ-オレフィンおよび共役ジエン
の両方のビニルモノマーの重合は、遷移金属触媒に集中している。これらの触媒
は、一連の配位しているリガンドに取り巻かれ、様々な助触媒により修飾された
、中心の遷移金属イオンまたは原子をベースにしている。リガンド系、中心の遷
移金属イオンまたは原子、および助触媒の性質をコントロールすることにより、
高度に活性な触媒剤を作ることができる。加えて、高い度合いの付加規則性を有
するポリマーを生じさせる触媒を作ることができる。非エチレン型モノマーの場
合には、立体規則性またはタクチオ選択的(tactioselective)なかつ/またはタ
クチオ特異的(tactiospecific)なポリマーを作ることができる。
米国特許第3,051,690号には、IVB、VB、VIBおよびVIII族化合
物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、土類金属(earth metal)または
希土類金属有機金属化合物との炭化水素不溶性な反応生成物を含有する重合系へ
、水素の添加をコントロールすることにより、オレフィンをコントロールされた
高分子量ポリマーへ重合する方法が開示されている。ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムまたはジルコニウムジアルキルのようなあるメタロセン類はアル
ミニウムアルキル/水助触媒と組み合わさって、エチレン重合用の均一触媒系を
形成することが知られている。
ドイツ特許出願第2,608,863号には、ビス(シクロペンタジエニル)チタ
ニウムジアルキル、アルミミニウムトリアルキルおよび水かならるエチレン重合
用の触媒系の使用が開示されている。さらに、ドイツ特許出願第2,608,933号に
は、一般式(Cp)nZrY4-n[式中、nは1〜4の数であり、Yは炭化水素基または
メタロアルキルである]の触媒を、アルミニウムトリアルキル助触媒および水と
組みあわせて(Cpはシクロペンタジエニルを示す)含有するエチレン重合触媒系
が開示されている。
欧州特許出願第0035242号には、アルモキサンと組みあわせた、一般式(Cp
)nMeY4-n[式中、nは1〜4の整数であり、Meは遷移金属、特にジルコニウムで
あり、Yは水素、C1〜C5アルキル、メタロアルキル基または他の基のいずれか
である]のハロゲンを含有しないチーグラー触媒系の存在下に、エチレンおよび
アタクチックプロピレンポリマーを製造する方法が開示されている。
米国特許第5,324,800号には、一般式(C5R'm)pR"s(C5R'm)MeQ3-pまたはR"s
(C5R'm)2MeQ'[式中、(C5R'm)は置換されたCp基である]のメタロセン触媒お
よびアルモキサンを含有するオレフィン重合用触媒系が開示されている。
ポリオレフィンは、各新しいモノマー単位が生長しているポリオ
レフィン鎖に付加される方法に対応した様々な立体配置で製造される。非エチレ
ンポリオレフィンには、4つの基本的な立体配置、すなわちアタクチック、ヘミ
-アイソタクチック、アイソタクチックおよびシンジオタクチックが一般に認め
られている。
所定のポリマーは、各立体配置タイプの領域を組み込み、純粋またはほど
んど純粋な立体配置を示めさない。
反対に、相対的にエチレンと同等なモノマー(すなわち、1,1置換基が同
一であり、2,2置換基が同一である、ときに「エチレン様モノマー」と呼ばれる
)のポリマーは、タクチシティを有し得ない。
アタクチックポリマーは、ポリマー鎖中に規則的な順序の繰り返し単位の
配向を示さない。すなわち、置換基はポリマー主鎖を含有する仮想面(その面は
、擬似不斉炭素原子上の置換基が平面の下方または上方にあるように配向される
)に関して、規則正しく配向していない。代わりとして、アタクチックポリマー
は置換基配向についてランダム分布を示す。
そのうえ、メタロセン触媒の一族に属している他の型の触媒は、シクロペ
ンタジエニル基の1つがアミノまたはホスフィノアニオンのようなヘテロ原子リ
ガンドで置き換えられた、いわゆる「束縛された幾何構造(constrained geomet
ry)の触媒」である。そのような触媒は、米国特許第5,453,410号、第5,399,635
号および第5,350,723号に記載されている。
ポリエチレンおよびアタクチックポリオレフィン類を産生するメタロセン
触媒に加えて、あるメタロセン類もまた、アイソタクチック、シンジオタクチッ
クおよびヘミ-アイソタクチックポリマーのような様々な度合いの立体規則性ま
たはタクチオ特異性を有するポリマーを製造することが知られている。そのメタ
ロセン類は、ポリマー主鎖を含有
する面に関してユニークで規則的な繰り返し立体化学または置換基配向を有する
。
アイソタクチックポリマー類は、ポリマー主鎖に関して同じ側に配向して
いる、不斉炭素原子に結合した置換基を有している。すなわち、置換基はすべて
ポリマー主鎖を含有する面の上方または下方のいずれかに配置されている。アイ
ソタクチシティは、NMRを使用して測定される。慣習的なNMR命名法において、ア
イソタクチックペンタッドは「mmmm」[ここで各「m」は、「メソ」ダイア
ドまたはポリマー主鎖に関して同じ側に配向された置換基を有する連続したモノ
マー単位を表わす]で表わされる。その分野でよく知られているように、鎖内の
擬似不斉炭素の反転により、ポリマーのアイソタクチシティおよび結晶性の度合
いが低下する。
対照的に、一般的には、シンジオタクチック構造は、配置された擬似鏡像
異性体的に配置された、不斉炭素原子に結合した置換基を有するものとされる。
すなわち、置換基はポリマー主鎖を含有している面の上方または下方に交互に規
則正しく配列している。シンジオタクチシティもまた、NMRを使用して測定され
る。NMR命名法において、シンジオタクチックペンタッドは「rrrr」[ここで各
「r」は「ラセミ」ダイアドを表わす、すなわち連続した置換基が平面の交互の
側にある]で表わされる。鎖内の「r」ダイアドの割合は、ポリマーのシンジオ
タクチシティの度合いを決定する。
そのうえ、ポリマー構造には他の変形がある。例えば、ヘミ-アイソタク
チックポリマーとは、あらゆる他の擬似不斉炭素原子がポリマー主鎖を含有する
面に関して同じ側に配向した置換基を有しているものである。一方、他の擬似不
斉炭素原子はその面の上方または下方のいずれかに、ランダムに配向した置換基
を有している。あらゆる他の擬似不
斉炭素がアイソタクチック立体配置であるため、用語「ヘミ」を適用している。
アイソタクチックおよびシンジオタクチックポリマー類は結晶ポリマーで
あり、冷キシレン中には不溶性である。結晶性により、冷キシレンに溶解性で非
結晶性であるヘミ-アイソタクチックおよびアタクチックポリマーから、シンジ
オタクチックおよびアイソタクチックポリマーの両方を区別できる。ある触媒に
よっては、4つの種類のポリマー(アタクチック、ヘミ-アイソタクチック、ア
イソタクチックおよびシンジオタクチック)全てを製造するのは可能であるが、
ほとんどアタクチック含量のない、立体化学的な欠陥をほとんど有さないアイソ
タクチックまたはシンジオタクチックポリマーを優勢にまたは完全に製造する触
媒が望ましい。
アイソタクチックポリオレフィン類を製造する触媒の幾つかが、米国特許
第4,794,096号および第4,975,403号、同様に欧州特許出願第0,537,130号に開示
されている。シンジオタクチックポリオレフィンを製造する触媒の幾つかは、米
国特許第3,258,455号、第3,305,538号、第3,364,190号、第4,852,851号、第5,15
5,080号、第5,225,500号および第5,459,117号に開示されている。
中性のメタロセン類の他にも、カチオン性メタロセン類が多様な度合いの
タクチオ特異性を有するポリマーを与えることが知られている。カチオン性メタ
ロセン触媒類は欧州特許出願第277,003号および第277,004号に開示されている。
ヘミ-アイソタクチックポリオレフィン類を製造する触媒は米国特許第5,036,034
号に開示されている。
モノオレフィンのホモポリマー類に加えて、メタロセン触媒を含む配位し
た金属触媒を使用して、モノオレフィンのコポリマー類、二官能価のオレフィン
のポリマーまたは二官能価のオレフィンとモノオレフ
ィンのコポリマー類製造用の重合触媒を製造することができる。
多くのメタロセン触媒類が今や入手可能であるが、新規なリガンド系およ
び新規なメタロセン触媒またはオレフィン重合用の触媒前駆体に対する要求は依
然重要であり、その分野で著しい進歩を示すであろう。そのような新規なリガン
ド系およびそこから誘導される触媒は、本質的に欠陥のない高度に立体規則的ま
たはタクチオ特異的ポリマー類、欠陥がコントロールされた統計量を有するポリ
マー類およびコントロールされた特性を有するコポリマー類を形成するための新
規な企画のアプローチまたは、分子量コントロールや他のポリマー特性のコント
ロールのための新規なアプローチを提供することができる。
発明の要旨
この発明は、所定の分子量、分子量分布、密度、タクシシティおよび/ま
たは末端不飽和のような望ましい特性を備えたポリマー製品を製造するのに有用
な、新種のオレフィン重合用ヘテロ環式メタロセン類を提供する。
この発明によるメタロセン類は、元素の周期表(IUPAC版)の3、4、5
、6族またはランタニドもしくはアクチニド系に属する遷移金属に直接配位して
いる6π電子中心基と結合した環系内に、少なくとも1つのヘテロ原子を含有す
る。
該メタロセン類は、α−オレフィンのような付加重合可能なモノマーを、
ホモポリマーおよび/またはコポリマーへ重合させるのに有用である。
この発明のメタロセン類は、有機金属コンプレックス、好ましくは元素の
周期表の3、4もしくは5族の元素またはランタニド系の元素のコンプレックス
に配位した、一、二または三官能基価のリガンド系の
有機金属配位化合物からなる。ここで、リガンド系は、少なくとも1つのヘテロ
原子を含有する1またはそれ以上の基と結合した、少なくとも1つの6π電子中
心基を含有している。
この発明のメタロセン類は、式(I):
[式中、
(1)Yは、直接Meに配位している6π電子中心基を含有する配位基であり、B、
N、O、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、SbおよびTeから選択される
少なくとも1つの非炭素原子を含有する1またはそれ以上の基がそれに結合して
いる;
(2)R”は、YとZ基の間の2価の橋かけであり;
(3)Zは、Yと同じ意味を有する配位基または開放(open)ペンタジエニル含有
基、シクロペンタジエニル含有基、ヘテロ環式シクロペンタジエニル含有基、窒
素含有基、リン含有基、酸素含有基もしくは硫黄含有基であり;
(4)Meは、元素の周期表の3、4、5、6族またはランタニドもしくはアクチニ
ド系に属する元素であり;
(5)Qは、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和アルキル基、アリール基
、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはハロゲン原子であり;
(6)Pは、安定な非配位または擬似的非配位している対イオンであり;
(7)iは、0または1の値を有する整数であり;
(8)jは、1〜3の値を有する整数であり;
(9)jjは、0〜2の値を有する整数であり;
(10)kは、1〜3の値を有する整数であり;
(11)lは0〜2の値を有する整数である]
に相当する。
さらに、式(I)はカチオン性メタロセン類[式中、1=1または2]も表
わしている。該カチオン性メタロセン類は、中性なメタロセンをモノマーと接触
させる前または同時に、イオン対または強力なルイス酸化合物を中性なメタロセ
ン(すなわち、1=0)と反応させることによりカチオン性メタロセンを作ること
により製造することができる。カチオン性メタロセン類は、中性なものと類似し
て使用されて付加重合可能なモノマーを重合させるのに使用される。
この発明の別の目的は、式(II):
[式中、Y、R"、Z、j、iおよびjjは上記の意味を有する]の一種のリガンドであ
る。該リガンドはこの発明のヘテロ環式メタロセン類の製造における中間体とし
て有用である。
この発明の別の目的は、
−式(I)のヘテロ環式メタロセンおよび
−適当な助触媒
との反応生成物からなる、付加重合可能なモノマーの重合用触媒系である。
この発明はさらに、上記触媒系の少なくとも1つを少なくとも1つの付加
重合可能なモノマーと接触させることからなる、付加重合可能なモノマーを重合
する方法を提供する。好ましくは、メタロセンおよびモノマーを反応領域内で一
緒に接触させる。代わりに、式(I)のメタロセン類を、式(I)のメタロセン
をモノマーと接触させる前か後に、アルキルアルミニウムまたはアルモキサンの
ような助触媒と合わせることもできる。
さらに、式(I)のメタロセン類を、大量なモノマーと重合する
前および/または反応条件を安定化する前に予備重合するのに使用してもよい。
この発明はまた、各々異なったポリマーのタイプ用にデザインされた式(I)の
メタロセンを1またはそれ以上のモノマーと接触させることにより、異なるタイ
プのポリマーの均質ブレンドを作るのに実施することもできる。
この発明を実施するのに好ましい応用としては、他の付加重合可能なモノ
マーのポリマーおよびコポリマーはもちろん、ポリエチレン、ポリエチレンコポ
リマー、アイソタクチック、シンジオタクチック、ヘミ-アイソタクチックもし
くはアタクチックポリプロピレン、またはそれらの混合物、ポリプロピレンコポ
リマーの製造にある。
この発明はさらに式(I)のメタロセン類およびそれらのリガンドの製造
方法ならびに式(I)のメタロセン類[式中1=0]を触媒的に活性な重合試薬へ
活性化する方法を含む。
発明の詳細な説明
この詳細な説明において、以下の定義を使用する:
「中心基」は、シクロペンタジエン、インデンまたはフルオレン中の5員環のよ
うな、遷移金属に直接配位している6π電子基を意味し;
「HCy」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する結合した基を有する中心の
6π電子基を含有するリガンドを意味し;
「Cp」は、シクロペンタジエニル環を意味し;
「HCp」は、1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するCp環を意味し;
「Op」は、すべてシス配置である5つの原子を有し、かつその5つの原子上で非
局在化した6π電子を有する開放(open)ペンタジエニルリガンドを意味し;
接頭辞「h-」は、中央の5員環とヘテロ環式縮合環を有する芳香環系の
ヘテロ環式類似体を意味するのに使用され、例えばh-Indは縮合環系の6員環内
に少なくとも1つのヘテロ原子を含有するインデンまたはインダン環系を、h-Fl
uは縮合環系の片方または両方の6員環内に少なくとも1つのヘテロ原子を含有
するフルオレンまたはフルオラン環系を、h-Ptaはペンタレン環系の縮合5員環
の1つ内にのみ少なくとも1つのヘテロ原子を含有するペンタレンまたはペンタ
レン環系を意味するのに使用され;および
接頭辞「o-」は、上述の縮合環系の開放ペンタジエニル類似体を意味するのに使
用される。
出願人は、付加重合可能なモノマーのポリマーを製造するのに幅広い適用
を有する新規な種類のヘテロ環式メタロセン類を見出した。そのメタロセン類に
は、2〜3の配位リガンドが存在する。該配位リガンドの少なくとも1つは、少
なくとも1つのヘテロ原子を含有する基が結合している、適当な遷移金属に直接
配位している中心の6π電子基(時には「HCy」基と省略される)を有している
。HCy基内の電子は基全体の上で非局在化しうる。
この発明は、付加重合可能なモノマーを重合するのに有用なメタロセン類
およびそれらを含有する触媒系に向けられている。特に、この発明は、α−オレ
フィン(エチレン、プロピレンおよびブチレンのような)を含む重合可能なビニ
ルモノマーを重合して、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレ
ン(HDPE)およびポリプロピレン(アイソタクチック、シンジオタクチック、ヘ
ミ-アイソタクチック、アタクチックまたはそれらの混合物)のようなポリマー
を製造するためのメタロセン類および触媒系に向けられている。生じたポリマー
は、押出、射出成形、熱成形、回転成形、またはその分野で公知な他の技術によ
り、製品への加工を意図される。
この発明のメタロセンを使用して製造できるポリマーは、2〜20の炭素
原子、好ましくは2〜12の炭素原子を有するビニルモノマーのホモポリマーお
よびコポリマーを含む。そのビニルモノマーは、エチレン、プロピレン、ブチレ
ンおよびスチレンが好ましい。加えて、そのビニルモノマーはまたアクリロニト
リルおよびビニルピリジンのように、様々なヘテロ原子を含有してもよい。
この発明のヘテロ環式メタロセン類は、適当な遷移金属に配位した、コン
プレックス形成した、またはそうでなく結合した、1またはそれ以上の一、二お
よび/または三官能価のリガンドを含有している。ここで、少なくとも1つの該
リガンドは、遷移金属に配位しているHCyリガンドである。
この発明の特に好ましいヘテロ環式メタロセン類は、式(I):
[式中、
(1)Yは、直接Meに配位している6π電子中心基からなる配位基であり、B、N
、O、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、SbおよびTeから選択される少
なくとも1つの非炭素原子を含有する基がそれに結合している;
(2)R”は、YとZ基をつなぐ2価の橋かけであり、直鎖状もしくは分岐状C1〜
C20アルケニル基、C3〜C12二環式基、アリール基またはジアリールアリル基
であってもよく、その基は任意にケイ素、ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素ま
たはアルミニウム原子を含有し;
(3)Zは、Yと同じ意味を有する配位基または開放ペンタジエニル含有基、シク
ロペンタジエニル含有基、ヘテロ環式シクロペンタジエニル含有基、窒素含有基
、リン含有基、酸素含有基もしくは硫黄含有基であり;
(4)Meは、3、4もしくは5族またはランタニド系に属する元素であり、
Lu、La、Nd、SmまたはGdが好ましく;
(5)Qは、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和アルキル基、アリール基
、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはハロゲン原子であり;
(6)Pは、安定な非配位または擬似的非配位している対イオンであり;
(7)iは、0または1の値を有する整数であり;
(8)jは、1〜3の値を有する整数であり;
(9)jjは、0〜2の値を有する整数であり;
(10)kは、1〜3の値を有する整数であり;
(11)lは0〜2の値を有する整数である]
で表わされるものを含む。
この発明のメタロセン類の特に重要な下位分類は、式(III):
[式中、YはHCy基であり、Zは非HCy基であり、R"、Me、Q、P、kおよびlは上記
(式(I)でi=1、j=1およびjj=1)のとおりであり、YR"Zはこの発明のリガンド
である]
で表わされる。
そのメタロセン類の非制限的な例は:
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジチオフェン)
ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジチオフェ
ン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジチ
オフェン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−メチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−エチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジチ
オフェン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−エチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(7−シクロペン
タジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(7−シクロ
ペンタジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペ
ンタジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペ
ンタジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(7−シクロ
ペンタジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(7−シ
クロペンタジチオフェン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジピロール)ジ
ルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジピロール
)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジピ
ロール)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−メチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジピロール)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−エチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジピ
ロール)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−エチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジピロール)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(7−シクロペン
タジピロール)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(7−シクロ
ペンタジピロール)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジピロール)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペ
ンタジピロール)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジホスホル)ジ
ルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジホスホル
)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジホ
スホル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−メチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジホスホル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−エチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタジホ
スホル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−エチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジホスホル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(7−シクロペン
タジホスホル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(7−シクロ
ペンタジホスホル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
ジホスホル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペ
ンタジホスホル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(2−メチルチアペンタレン)(2−メチルインデン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(2−メチルチアペンタレン)(2−メチルインデン)ジ
ルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(2−エチルチアペンタレン)(2−エチルインデン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(2−エチルチアペンタレン)(2−エチルインデン)ジ
ルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(2−i−プロピルチアペンタレン)(2−i−プロピルイン
デン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(2−i−プロピルチアペンタレン)(2−i−プロピル
インデン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(2−t−ブチルチアペンタレン)(2−t−ブチルインデン
)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(2−t−ブチルチアペンタレン)(2−t−ブチルイン
デン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(2−トリメチルシリルチアペンタレン)(2−トリメチルシ
リルインデン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(2−トリメチルシリルチアペンタレン)(2−トリメチ
ルシリルインデン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(チアペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(チアペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
イソプロピリデン(インデニル)(チアペンタレン)ジルコニウムジクロライド
;
ジメチルシランジイル(インデニル)(チアペンタレン)ジルコニウムジクロラ
イド;
イソプロピリデン(フルオレニル)(チアペンタレン)ジルコニウムジクロライ
ド;
ジメチルシランジイル(フルオレニル)(チアペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−メチルチアペンタレン)ジル
コニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルチアペンタレン)
ジルコニウムジクロライド;
フェニルメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルチアペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−エチルチアペンタレン)ジル
コニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−エチルチアペンタレン)
ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチルチアペンタレン)
ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチルチアペンタレ
ン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−i−プロピルチアペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−i−プロピルチアペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−フェニルチアペンタレン)ジ
ルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−フェニルチアペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−ナフチルチアペンタレン)ジ
ルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−ナフチルチアペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−トリメチルシリルチアペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−トリメチルシリルチアペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
1,2−エタンジイルビス(シクロペンタジエニル)(2−メチルチアペンタレ
ン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチルチアペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチルチアペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−エチルシクロペンタジエニル)(2−メチルチアペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−エチルシクロペンタジエニル)(2−メチルチアペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(2−メチルチア
ペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(2−メチル
チアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチルチアペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−n−ブチルイルシクロペンタジエニル)(2−メチ
ルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチルチアペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルイルシクロペンタジエニル)(2−メチ
ルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
[1.2]チオフェン[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジクロライ
ド;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルイルシクロペンタジエニル)(7−シク
ロペンタ[1.2]チオフェン[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジ
クロライド;
ジメチルスタニル(3−t−ブチルイルシクロペンタジエニル)(7−シクロペ
ンタ[1.2]チオフェン[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジクロ
ライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
[1.2]チオフェン[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジクロライ
ド;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルイルシクロペンタジエニル)(7−シク
ロペンタ[1.2]チオフェン[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジ
クロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(アザペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−メチルアザペンタレニル)ジ
ルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルアザペンタレン)
ジルコニウムジクロライド;
フエニルメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルアザペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−エチルアザペンタレン)ジル
コニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−エチルアザペンタレン)
ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチルアザペンタレン)
ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチルアザペンタレ
ン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−i−プロピルアザペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−i−プロピルアザペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−フェニルアザペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−フェニルアザペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−ナフチルアザペンタレン)ジ
ルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−ナフチルアザペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−トリメチルシリルアザペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−トリメチルシリルアザペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
1,2−エタンジイルビス(シクロペンタジエニル)(2−メチルアザペンタレ
ン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチルアザペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチルアザペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−エチルシクロペンタジエニル)(2−メチルアザペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−エチルシクロペンタジエニル)(2−メチルアザペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(2−メチルアザ
ペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)(2−メチル
アザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチ
ルアザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−n−ブチルイルシクロペンタジエニル)(2−メチ
ルアザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチルアザペ
ンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルイルシクロペンタジエニル)(2−メチ
ルアザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7−シクロペンタ
[1.2]ピロール[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジクロライド
;
ジメチルシランジイル(3−t−ブチルイルシクロペンタジエニル)(7−シク
ロペンタ[1.2]ピロール[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジク
ロライド;
ジメチルスタニル(3−t−ブチルイルシクロペンタジエニル)(7−シクロペ
ンタ[1.2]ピロール[1.4]シクロペンタジエン)ジルコニウムジクロラ
イド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(オクタペンタレン)ジルコニウム
ジクロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(オクタペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(ボラペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(ボラペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(ホスファペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド:
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド
である。
この発明のメタロセン類の他に重要な下位分類は、式(IV):
[式中、Y基は同一または互いに異なってHCy基であり、R"、Me、Q、P、kおよび
lは上記(式(I)でi=1、j=2およびjj=0)のとおりであり、YR"Yはこの発明の
リガンドである]
で表わされる。
そのメタロセン類の非制限的な例は:
イソプロピリデン(2−メチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(2−メチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロラ
イド;
イソプロピリデン(2−エチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(2−エチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロラ
イド;
イソプロピリデン(2−i−プロピルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライ
ド;
ジメチルシランジイルビス(2−i−プロピルチアペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
イソプロピリデン(2−t−ブチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド
;
ジメチルシランジイルビス(2−t−ブチルチアペンタレン)ジルコニウムジク
ロライド;
イソプロピリデン(2−トリメチルシリルチアペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ジメチルシランジイルビス(2−トリメチルシリルチアペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
イソプロピリデン(2−i−フェニルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライ
ド;
ジメチルシランジイルビス(2−i−フェニルチアペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン
−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペンタ
レン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジエチル−1−アサペンタレン
−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジエチル−1−アザペンタ
レン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジ−t−ブチル−1−アザペン
タレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−t−ブチル−1−アザ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジ−n−ブチル−1−アザペン
タレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−n−ブチル−1−アザ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジ−トリメチルシリル−1−ア
ザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−トリメチルシリル−1
−アザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジフェニルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペン
タレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
メチルフェニルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
エチルフェニルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
1,2−エタンジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペンタ
レン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−ホスファペンタ
レン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−ホスファペ
ンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジエチル−1−ホスファペンタ
レン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジエチル−1−ホスファペ
ンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジ−t−ブチル−1−ホスファ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−t−ブチル−1−ホス
ファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジ−n−ブチル−1−ホスファ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−n−ブチル−1−ホス
ファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(1−フェニル−2,5−ジ−トリメチルシリル−1−ホ
スファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−トリメチルシリル−1
−ホスファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジフェニルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−ホスファ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
メチルフェニルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−メチル−1−ホ
スファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
エチルフェニルシランジイルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−ホス
ファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
1,2−エタンジイルビス(1−フェニル−2,5−ジ−メチル−1−ホスファ
ペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−1−チオペンタレン
−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−1−チオペンタ
レン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2,6−ジエチル−1−チオペンタレン
−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2,6−ジエチル−1−チオペンタ
レン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2,6−ジ−n−ブチル−1−チオペン
タレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2,6−ジ−n−ブチル−1−チオ
ペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2,6−ジ−i−プロピル−1
−チオペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2,6−ジ−i−プロピル−1−チ
オペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2,6−ジ−(3−ピリジル)−1−チ
オペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2,6−ジ−(3−ピリジル)−1
−チオペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−メチル−6−(3−ピリジル)−1
−チオペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチル−6−(3−ピリジル)
−1−チオペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−メチル−6−(3−キノリル)−1
−チオペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチル−6−(3−キノリル)
−1−チオペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデンビス(4−フェニル−2,6−ジ−トリメチルシリル−1−チ
オペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2,6−ジ−トリメチルシリル−1
−チオペンタレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
1,2−エタンジイルビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−1−チオペンタ
レン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
1,3−プロパンジイルビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−1−チオペン
タレン−3−イル)ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−フェニル−2
,5−ジメチル−1−アザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−フェニル
−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライ
ド;
イソプロピリデン(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−メチル−2,
5−ジメチル−1−アザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド;
ジメチルシランジイル(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−メチル−
2,5−ジメチル−1−アザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド
;
イソプロピリデン(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−t−ブチル−
2,5−ジメチル−1−アザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド
;
ジメチルシランジイル(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−t−ブチ
ル−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロラ
イド;
イソプロピリデン(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−メチル−2,
5−ジメチル−1−ホスファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライド
;
ジメチルシランジイル(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−メチル−
2,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロラ
イド;
イソプロピリデン(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−t−ブチル−
2,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロラ
イド;
ジメチルシランジイル(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−t−ブチ
ル−2,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン−4−イル)
ジルコニウムジクロライド;
イソプロピリデン(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−フェニル−2
,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロライ
ド;
ジメチルシランジイル(3−メチルチオペンタレン−4−イル)(1−フェニル
−2,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン−4−イル)ジルコニウムジクロ
ライド;
である。
この発明のメタロセン類の他の下位分類は、式(III)または(IV)[式
中、i=0で、残りの変数は上記の意味を有する]で表わされる。
これらのメタロセン類の非限定的な例は:
ビス(2−メチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−メチルアザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−メチルホスファペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−エチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−エチルアザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−エチルホスフアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−i−プロピルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−i−プロピルアザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−i−プロピルホスファペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−t−ブチルチアペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−t−ブチルアザペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(2−t−ブチルホスファペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
である。
式(I)、(III)および(IV)のメタロセン類の記載に使用され
るように、少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、「中心の6π電子基に結合し
た」基の文脈中の、用語の中心原子に「結合した」は、該ヘテロ原子がMeに直接
配位している中心の6電子基の環内の一員ではないことを意味する。例えば、ヘ
テロ原子はチアペンタレン、アザペンタレン、ジチアトリシクロウンノナテトラ
エン、ジアザトリシクロウンノナテトラエンもしくはチアアザトリシクロウンノ
ナテトラエンのような中心の6電子基に縮合した環の一部分でもよい。またはヘ
テロ原子は、中心基に結合したヘテロ環式基置換基(例えば、3−ピリジルCp基
)のような中心の6電子基に接続した基の一部分でもよい。
さらに、この発明のメタロセン類の他の重要な下位分類は、多様な度合
いのタクチシティを有するポリマーを製造することが可能なものである。そのよ
うなメタロセンは、重合中にメタロセンヘタクチオ選択性を分け与えることの可
能な特定の置換基パターンを有し、タクチオ選択的なポリマーを形成させること
になる式(III)および/または(IV)(すなわち、橋かけされたリガンドを含
有する)の橋かけされたメタロセン類により一般に表わされる。
式(III)および(IV)のメタロセン内に、Yおよび/またはZ基が、
橋かけ基R”が結合している原子のαおよびβ位のいくつかまたは全てにおいて
、少なくともβ置換基は巨大な置換基であるような、同じまたは異なる置換基を
有するとき(すなわち、水素よりも立体的によりバルキーであり、メチル基また
は芳香族炭素原子より立体的によりバルキーであるのが好ましく、本質的にメチ
ル基と相対的に同じ立体サイズを有する)、一般に、タクチオ選択的触媒、およ
びタクチオ特異的触媒までもが、形成される。該メタロセン類が特定な全体的な
対称性を備えているのが好ましい。バルキーなβ置換基の効果についてのさらな
る情報は、米国特許第5,459,117号中に見いだされる。
ほぼアイソ特異的なポリマー(「アイソ特異的なメタロセン」)を含む
、モノマー単位のアイソタクチックな結合に対し多様な度合の選択性を有するポ
リマーを生じさせることが可能な式(III)のメタロセン類(「アイソ選択的な
メタロセン類」)は、C2または擬似C2対称のいずれかを示さなければならない。
アイソ選択性メタロセン類において、YもZのどちらも左右相称または擬似左右
相称的に対称ではなく、YおよびZの両方はα−置換基の数および種類に関係な
くただ一つのバルキーなβ置換基を有する。代わりに、アイソ選択的メタロセン
類においてYまたはZは、両方ではなく、左右相称的または擬似左右相称的に対
称であり、非左右相称的基はバルキーなβ基のみを有する。類似なアイソ選択的
メタロセン類は、置換基がYリガンドの片方または両方の上にある式(IV)のメ
タロセン類からつくられる。
シンジオ特異的なポリマー(「シンジオ特異的メタロセン」)を含む、
モノマー単位のシンジオタクチックな結合に対し多様な度合の選択性を有するポ
リマーを生じさせることが可能な(「シンジオ選択的」)式(III)のメタロセ
ン類は、Csまたは擬似Cs対称のいずれかを示さなければならない。シンジオ選択
的触媒において、YおよびZの両方は左右相称または擬似左右相称的に対称であ
り、YまたはZのいずれかは、両方ではなく、α−置換基の数および種類に関係
なくただ一つのバルキーなβ置換基を有する。類似なシンジオ選択的メタロセン
類は、すべての置換基が2つのYリガンドの両方の上にある式(IV)のメタロセ
ン類からつくられる。
非Cp型基を有する式(III)および(IV)のメタロセン類(すなわち、
リガンドは、NR-、PR-、O-またはS-のように、全てシス配置または5員環内の、
5つの原子上に非局在化した6π電子を有さない)の場合、非Cp型基上の置換基
およびHCy基上の置換基は、生じたポリマー
がある度合いのタクチシティを有するために、メタロセン類を立体的に束縛する
よう機能しなくてはならない。酸素または硫黄原子がHCyリガンドに二価の橋か
けR"を通じて橋かけられている酸素または硫黄含有メタロセン類の場合、HCyリ
ガンドは1またはそれ以上の置換基の存在により、ポリマー鎖生長反応に対する
コントロールを支配するであろう。
この発明の特に好ましいメタロセン類の分類においては、Yリガンドは
中心の6π電子中心基に縮合したヘテロ環式環である。該分類は式(I)、(II
I)および(IV)[式中、Yは以下の構造:
[式中、基Raは、同一または互いに異なり、水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和
もしくは不飽和C1〜C20アルキル、C3〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリ
ール、C7〜C20アルキルアリールおよびC7〜C20アリールアルキル基からなる
群から選択され、その中で少なくとも2つの隣接したRa基がB、N、O、Al、Si、P
、S、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、SbおよびTeから選択された少なくとも1つの非
炭素原子を含有する縮合ヘテロ環式C5〜C7環を形成してもよく;
Rbは、水素、ハロゲン、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和、C1〜C2 0
アルキル、C1〜C20アルコキシ、C6〜C20アリール、C7〜C20アルキルアリ
ール、C7〜C20アリールアルキル、任意にケイ素原子を含有するC1〜C20アシ
ルオキシ基であり、またはRbは上記で定義された橋かけしている2価の基R”で
ある]
により表わされる置換されたシクロペンタジエニル基である]と認識さ
れる。
好ましいY基は、以下の式で表わされる: [式中、
(i)X原子は、同一または互いに異なり、N、P、NRg、PRg、OまたはSであり得る
;縮合環が2つのヘテロ原子を有するとき、一方のXはOまたはSでありかつ、
他方のXはN、P、NRgまたはPRgであるか、一方がNまたはPでありかつ、他方が
NRgまたはPRgであり、その結果分子種は化学的に存立可能な基を表わす[式中、
Rgは1またはそれ以上のハロゲンで任意に置換された直鎖状もしくは分岐状C1
〜C20炭化水素基、ヒドロキシ、アルコキシ基、C3〜C12シクロ炭化水素基、
1またはそれ以上のハロゲンで任意に置換されたC3〜C12シクロハロ炭化水素
基、C6〜C20アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリール
アルキル基、ケイ素炭化水素基、ゲルマニウム炭化水素基、リン炭化水素基、窒
素炭化水素基、ホウ素炭化水素基、アルミニウム炭化水素基またはハロゲン原子
である];
(ii)R基は、同一または互いに異なり、水素、1またはそれ以上のハロゲンで任
意に置換された直鎖状もしくは分岐状C1〜C20炭化水素基、ヒドロキシ、アル
コキシ、1またはそれ以上のハロゲンで任意に置換されたC3〜C12シクロハロ
炭化水素基、C6〜C20アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20
アリールアルキル基、ケイ素炭化水素基、ゲルマニウム炭化水素基、リン炭化水
素基、窒素炭化水素基、ホウ素炭化水素基、アルミニウム炭化水素基またはハロ
ゲン原子であり、2つの隣接するR基は一緒になって飽和、不飽和または芳香族
縮合環を形成してもよく;(iii)nおよびmは、0から環が収容でき得る置換基
の最大数(例えば、式(a)〜(b)では、nは0、1または2である)を有す
る整数であり;かつ
(iv)それぞれαおよびβ置換基を表わしているRαおよびRβは、同一または互い
に異なり、水素、1またはそれ以上のハロゲンで任意に置換さ
れた直鎖状もしくは分岐状C1〜C20炭化水素基、ヒドロキシもしくはアルコキ
シ、1またはそれ以上のハロゲンで任意に置換されたC3〜C12シクロハロ炭化
水素基、C6〜C20アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリ
ールアルキル基、ケイ素炭化水素基、ゲルマニウム炭化水素基、リン炭化水素基
、窒素炭化水素基、ホウ素炭化水素基、アルミニウム炭化水素基またはハロゲン
原子であり、2つの隣接するRαおよびRβ基は一緒になって飽和、不飽和または
芳香族縮合環を形成してもよく;
(v)RaおよびRbは上記の意味を有する]。
一番広い形で、この発明の方法は、単独または他の付加重合可能なモノ
マーと共に、少なくとも式(I)のメタロセン1つおよびアルモキサンのような
助触媒を含むこの発明の触媒系の存在下に、α−オレフィンのような付加重合可
能なモノマーを重合することを含む。
この発明は、少なくとも1つの重合可能なモノマーを、少なくとも式(
III)および/または(IV)のメタロセン1つを含有するこの発明の触媒系と接
触させることからなる、タクチオ選択的およびタクチオ特異的でさえあるポリマ
ーを製造する方法をさらに提供する。ここに記載のように、そのメタロセンのリ
ガンドはタクチシティをコントロールするαおよびβ置換基を有している。
タクチシティを有するポリマーを形成することが可能なモノマーと接触
させたときに、タクチオ選択的および/またはタクチオ特異的ポリマーを製造可
能な、式(I)、(III)および(IV)の多くのメタロセン類には、しばしば真
のまたは擬似対称性を分け与える、ある特定な置換基必要条件が存在する。タク
チオ選択的ポリマーを生じさせるメタロセン類を記述するのに一般に使用される
「対称」の用語は、以下に記述している。
用語「左右相称的な対称」とは、HCy基、Op基またはCp基のよ
うなリガンドが、リガンドを含有する面に対して垂直な2分鏡面に関して対称で
あり、鏡像関係にある2および5ならびに3および4位でそれぞれリガンドを2
部分に2分している(例えば、3,4-ジメチル-Cpまたは2,5-ジメチル-Cp)ことを
意味する。用語「擬似左右相称的に対称」とは、3,4および2,5置換基が類似して
いるが同一な立体的にバルキーなもの(例えば、メチルおよびエチル、フェニル
およびピリジル、ナフチルおよびキノリン、メチルおよびクロロ、水素およびフ
ルオロ等)ではないことを意味する。
用語「Csまたは擬似Cs対称」とは、メタロセン全体が、橋かけ基を突き
通って2分している鏡面、および橋かけ基に結合している原子に関して対称的で
あることを意味する。すなわち橋かけられたリガンドの配位基それぞれ上の置換
基が、反映的に結合されており、同一または類似している。Csまたは擬似Cs対称
とは、配位基の両方が左右相称的または擬似左右相称的に対称であることも意味
する。シンジオ選択的メタロセン類は、Csまたは擬似Cs対称性を示し、好ましく
は2価の橋かけ(式(I)中i=1およびj+jj=2)によって一緒につながれている
2つの配位基を含有し、一方の配位基上のβ置換基は他方の配位基上のβ置換基
よりも立体的に大きい。例えば、(ジチア−トリシクロ[3.3.1.0.0]ウンノナ
テトラエニル)-R"-(Cp)リガンド、(ジチアトリシクロ[3.3.1.0.0]ウンノナ
テトラエニル)-R"-(Op)リガンド、(ジチア−トリシクロ[3.3.1.0.0]ウンノ
ナテトラエニル)R"-(3,4-ジ-t-ブチルCp)リガンドまたは(ジチア-トリシクロ[
3.3.1.0.0]ウンノナテトラエニル)-R"-(2,5-ジメチル-Cp)リガンドは2つの硫
黄原子の位置に応じてCs対称または擬似Cs対称性を有する。(ジチア−トリシク
ロ[3.3.1.0.0]ウンノナテトラエニル)-R"-(2-クロロ-5-メチル-Cp)リガンド
、(ジチア−トリシクロ[3.3.1.0.0]ウンノナテトラエニル)-
R"-(3-tブチル-4-イソプロピル-Cp)リガンドまたは関連したリガンドは、擬似Cs
対称性を有している。これらのリガンドから適当なメタロセン類を形成すれば、
非常に高い度合いのシンジオ特異性を有するポリマーを含む、多様な度合いのシ
ンジオタクチシティを有するポリマーを生じさせることの可能な触媒系が生じる
であろう。
用語「C2または擬似C2対称」とは、リガンドが橋かけ基を突き通ってC2
対称の軸を有し、もしリガンド系が平面に対し託されていれば、その軸はリガン
ドを含有する面に対し垂直であろうことを意味する。アイソ選択的メタロセン類
は一般にC2または擬似C2対称性を有し、2価の基によって一緒につながっている
2つの配位基(式(I)でi=1およびj+jj=2)を含有するのが好ましい。ここで
、片方の配位基上のβ置換基の少なくとも1つは、他方の配位基上の同じ位置に
あるβ置換基よりもよりバルキーで、かつラセミ体のメタロセン類のみが活性な
アイソ選択的種である。例えば、rac-ビス(N-フェニル-5-メチル-1-アザペンタ
レニル)R"リガンド、rac-ビス(5-メチル-1-チアペンタレニル)R"リガンドおよび
ビス(シクロペンタ[b]キノリン)R"リガンドは、C2対称性を有する。
rac-(N-フェニル-5-メチル-1-アザペンタレニル)-R"-(3-フェニル-イン
デニル)リガンドおよびrac(4-フェニル-1-チアペンタレニル)-R"-(3-フェニル-
インデニル)は、擬似C2対称性を有している。アイソ選択的メタロセン類を製造
するために、リガンドをmeso異性体(アタクチック(atactic)ポリマーを与え
る)およびrac異性体(アイソ選択的ポリマーを与える)の混合物を与える適当
な金属種と接触させる。mesoおよびrac異性体は結晶化またはその分野でよく知
られている他の分離技術によって分離することができる。シクロペンタ[b]キノ
リンの合成は、Eisch,J.J.;Gadek,F.J,J.Org.Chem.,1971,36,2065-2071
に記載されている。
さらに、不活性なmeso型を含まないアイソ選択的なメタロセン類も製造
することができる。そのようなアイソ選択的なメタロセン類は、1つの左右相称
的に対称な配位基および1つの非対称な配位基(左右相称または擬似左右相称的
に対称ではない)から一般になる。
この発明によれば、オレフィンコポリマー、特にエチレンおよび/また
はプロピレン、ならびに他のオレフィンのコポリマーを、式(I)のメタロセン
を適当に選択することにより製造することも可能である。この発明のメタロセン
を選択することは、エチレンまたはエチレン様モノマー以外の他のビニルモノマ
ーのタクチシティのような、ポリマーの他の特性と同様に、コモノマー含量をコ
ントロールするために使用できる。
すでに報告したように、この発明のメタロセン類は、遷移金属に直接配
位している中心の6π電子基と結合した、少なくとも1つのヘテロ原子を含有す
る1またはそれ以上の環からなる。そのような結合した環は、以下の種類の基:
(i)ヘテロ原子は、中心基の原子の1つに結合した環式置換基内に含有され;
(ii)ヘテロ原子は、中心基に縮合した環内に含有され、しかし中心基の環内の
一員ではなく;または
(iii)ヘテロ原子は、中心基につながった環式置換基と中心基に縮合した環の
両方内に含有されている;
を含む。中心基に縮合した環は、芳香族、非芳香族、不飽和および/もしくは不
飽和環もしくは環系でもよい。加えて、中心基は、ホスフィノ-ボラタベンゼン
基(Quan,R.W.ら、J.Am.Chem.Soc.,1994,116,4489に記載の方法に従って製
造される)を含有してもよい。
中心基に結合してもよいヘテロ環式環系の例としては、限界がな
く、いずれのB、N、O、Al、Si、P、S、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、SbもしくはTe
含有基、これらの原子の2もしくはそれ以上を含有する基、好ましくはいずれの
N、O、PもしくはS含有基、または2もしくはそれ以上のこれら好ましい原子を
含有するいずれの基を含む。非限定的な例としては、ピロール、イソピロール、
ピラゾール、イソイミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、イ
ミダゾール、インドリジン、チオフェン、1,3-ジチオール、1,2,3-オキサチオー
ル、1,2-ジチオール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、
1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3,4-オキサトリアゾー
ル、1,2,3,5-オキサトリアゾール、チオナフテン、イソチオナフテン、イソイン
ダゾール、ベンゾオキサゾール、アントラニル、ベンゾチオフェン、ナフトチオ
フェン、フラン、イソベンゾフラン、ベンゾフラン、インドール、インダゾール
、プリン、カルバゾール、カルボリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、オ
キサゾール、フラザン、チエノフラン、ピラジノカルバゾール、フロピラン、ピ
ラゾロ−オキサゾール、セレナゾロ−ベンゾチアゾール、イミダゾチアゾール、
フロシンノリン、ピリドカルバゾール、オキサチオロピロール、イミダゾトリア
ジン、ピリドイミダゾ−キノキサリン、シラ-2,4-シクロペンタジン、チアペン
タレン、アザペンタレンおよびジチアトリシクロウンノナテトラエンが含まれる
。
さらなるHCy基には、限界がなく、ヘテロ環式縮合環系[ここで、ヘテ
ロ原子が先に示した式(a)および(s)で表わされる化合物のように、中心Cp基の一
部ではない]が含まれる。非限定的な例としては、モノヘテロ原子含有フルオレ
ン[ここでヘテロ原子が1〜8位に存在する(IUPAC命名法を使用)];ジヘテ
ロ原子フルオレン[ここでヘテロ原子は1〜8位に存在する]、モノヘテロ原子
インデン[ここでヘテロ原子は4〜7位に存在する(IUPAC命名法を使用)];
ジヘテロ原子インデ
ン[ここでヘテロ原子は4〜7位に存在する]が含まれる。中心5員環が全て炭
素のシクロペンタジエニル環である、3つの縮合5員環を有するチアおよびアザ
ペンタレン型系を含むヘテロ環式化合物、または3つの縮合5員環を有するチア
、ジチア、アザ、ジアザおよびチアジアザ系を含むヘテロ環式化合物。
もちろん、これらの環系のあるものは、ヘテロ原子上に置換基を保持し
ていない。ゆえに、酸素および硫黄含有環は、酸素または硫黄原子に結合した置
換基を有さない。加えて、N、PおよびAsの場合、これらの原子は二重結合の一部
分であり、それらに結合した置換基を有さない。
用語「開放ペンタジエニル(Opと省略)」は、全てシス配置にある5つ
の結合原子上に中心を置く全ての6π電子構造、しかしそこで6π電子を担持し
ている5つの原子は5員環の部分ではない、すなわち5つの原子はシクロペンタ
ジエニル環系を形成しない、ことを指すことを意図している。もちろん、すべて
の5つの原子は、sp2混成されるかまたは5つの中心上で電子の非局在化を支持
できる他の混成の何かであるはずである。この発明のOpリガンドへの可能な前駆
体の1つには、4つの原子が中心原子に結合して分離された2つの非共役二重結
合の一部である系がある。ここで、二重結合はリガンド系にそれぞれ2つの電子
を寄与しており、中心原子は系に直接(NまたはP原子のイオン対として)または
除去可能な基の損失を介して2つの電子を供給し、CまたはSi原子に対しアニオ
ン性中心の形成を生じさせる。もちろん、GeおよびAsを含む他の中心種も同様に
使用することができる。
この発明において使用に適した開放ペンタジエニル基には、式(V):
[式中、Gは、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子またはリン原子であり;
Lは、CR3R3'基、SiR3R3'基、NR3"基、PR3"基、酸素原子または硫黄原子であり、
L'はCR4R4'基、SiR4R4'基、NR4"基、PR4"基、酸素原子または硫黄原子であり;
R2、R3、R3'、R3"、R4、R4'、R4"およびR5は、同一または互いに異なり、水素、
直鎖状もしくは分岐状C1〜C20炭化水素基、直鎖状もしくは分岐状C1〜C20ハロ炭
素基、直鎖状もしくは分岐状C1〜C20ハロ炭化水素基、直鎖状もしくは分岐状C1
〜C20アルコキシ基、C3〜C12シクロ炭化水素基、C3〜C12シクロハロ炭化水素基
、C6〜C20アリール基、C7〜C20アルキルアリール基、C7〜C20アリールアルキル
基、ケイ素炭化水素基、ゲルマニウム炭化水素基、リン炭化水素基、窒素炭化水
素基、ホウ素炭化水素基、アルミニウム炭化水素基またはハロゲン原子であり;
R2およびR3、R3'もしくはR3"ならびに/またはR5およびR4、R4'もしくはR4"は、
4〜6員環または6〜20縮合環系を形成してもよく;
R3、R3'またはR3"およびR4、R4'またはR4"は、5中心の非局在化された6電子
中心リガンドを形成する5員の原子中心が7から20員環系に含まれるように、共
に連結されてもよい]
のOpリガンドが含まれる。
式(V)中の5つの原子に付帯させた数は、この明細書の残り中で、置
換基の位置がどのように位置するかを示すためのものである。ゆ
えに、2価の橋かけを有するこれらのメタロセンでは、該橋かけはシクロペンタ
ジエンにおける番号付けと類似の仕方で位置1と示されている中心原子に結合す
る。加えて、2および5位は、時には連帯的にα位または近縁位(1位に最も近
い)と呼ばれる。一方、3および4位は、時には連帯的にβ位または遠位と呼ば
れる。
この発明はまた、高温での高分子量、タクチオ選択性(タクチオ特異性
を含む)、立体規則性、狭いまたは広い分子量分布等を含む多様でコントロール
可能な特性を有するポリマーおよびコポリマーを製造する方法を提供する。その
方法はこの発明の1またはそれ以上のメタロセンの存在下に1またはそれ以上の
モノマーを重合することからなる。
この出願人は、線状高分子量ポリエチレン、アイソタクチックポリオレ
フィン、シンジオタクチックポリオレフィンおよびヘミ-アイソタクチックポリ
オレフィンのような、立体規則的で立体特異的なポリマー生成物を生じさせるこ
の発明のメタロセン類を製造することもできることを見出した。これらの独特に
設計されたメタロセン類は、重要な特徴として、少なくとも1つのHCy配位基を
含有する、橋かけされ特定に置換されたリガンドを有している。
立体選択的および/またはタクチオ選択的なポリオレフィン類を製造す
るメタロセン類では、この発明のメタロセンを形成するリガンドは、同じメタロ
センが立体的に固定(rigid)され(橋かけられ)、立体的にロックされ、かつ
立体的に向けられるような仕方で置換されてもよい。その結果、(1)各々の連
続したモノマー付加は立体特異的であり、立体選択性がコントロールされるよう
に、リガンド上の置換基はポリマー鎖末端の配向および/またはモノマー接近を
ロックおよび/または指示し;かつ(2)その回転または異性化を防ぐか制限す
るために橋かけ基がリガンドを固定する。これらのメタロセン類は、リガンド上
にモノマ
ー付加の配向をコントロールしているβまたは遠位の置換基を有すること、さら
にメタロセンの立体配置がタクチオ選択性を決定することに特徴がある。
この発明のメタロセン類は、立体的に非固定/立体的に非ロックされ、
立体的に固定/立体的に非ロックされ、立体的に非固定/立体的にロックされ、
立体的に固定/立体的にロックされ、またはそれらの混合のいずれかであっても
よい。立体的な固定性は、式(III)および(IV)のメタロセン類[すなわち、
一般式(I)においてi=1およびj=1]を形成するために2つの配位基を連結する
化学的な橋かけにより、この発明のメタロセン類に分け与えられる。橋かけ基は
2つの配位基が構造的に異性化または回転するのを防ぐかまたは、おおいに制限
している。
出願人は、メタロセン類を相対的な立体的サイズにコントロールするこ
とにより、統計的にコントロール可能な欠点を生じたポリマーに挿入する触媒を
形成させることができることも、また見出している。出願人は、この発明の触媒
はヘミ-アイソタクチックポリマーを製造するように設計されうることも、また
見出している。出願人は、この発明のメタロセンの存在下にモノマーを重合する
ことにより、または先行技術の触媒と組み合わせてこの発明の触媒の存在下にモ
ノマーを重合することにより、異なる特性を有するポリマーの完全な混合物を製
造することができることも、また見出している。
その分野において、用語「メタロセン」は、2つのシクロペンタジエニ
ル含有リガンドが中心の金属原子に配位しているかまたは中心の金属原子を「間
にはさんでいる(サンドイッチされている)」有機金属配位化合物[ここで、Cp
環のすべての5つの中心は金属配位に関係している]を意味する。金属原子は遷
移金属または遷移金属ハライド、アルキルハライドもしくはアルコキシドであっ
てもよい。そのような構造は、
シクロペンタジエニルリガンドが、中心配位金属原子を含有する面[Cp環を含有
する面に対しほとんど平行である]の上方および下方に配向されているために、
時に「分子のサンドイッチ」と呼ばれる。同様に、用語「カチオン性メタロセン
」は、金属種に配位している中心が正電荷を帯びているメタロセンを意味し、す
なわち、メタロセンコンプレックスは、安定な非配位または擬似配位しているア
ニオンと結合しているカチオンである。
しかし、用語「メタロセン」の伝統的な意味に加えて、この発明ではこ
の用語を、中心金属原子またはイオンに配位している基の少なくとも1つが、少
なくとも1つのヘテロ原子を含有する環系であり、中心基と結合している(中心
基は遷移金属に直接配位している)メタロセン類を含むように拡大する。第2の
配位基は第1の配位基の意味を有する環系もしくはヘテロ環式含有基[式中、ヘ
テロ原子は中心の環内に存在する]、Op含有リガンドもしくはCp含有リガンド、
窒素リガンド、リンリガンド、酸素リガンドまたは硫黄リガンドであってもよい
。
その分野の当業者であれば、i、j、kおよびlの許容された値は、実際の
リガンドおよび配位している金属に依ることも理解されるであろう。これらの値
は公知の有機金属の構造および電子的要求に従って理解される。
この発明の使用のために適当なZ基は、限界がなく、以下のように表わ
される基を含む:
(1)ヘテロ原子が中心基に含有されているヘテロ環式含有リガンド;
(2)Op含有リガンド;
(3)シクロペンタジエニルまたは式(C5R'iii)[式中、R'基は同一または互い
に異なってRの意味を有し、2つの隣接するR'基は一緒に結合してC4〜C6環を形
成してもよく;iiiは0〜5の値を有する整数である]
の置換されたシクロペンタジエニル基;
(4)式(JR6 jjj)[式中、Jは窒素またはリン原子であり、R6基は同一または互い
に異なり、R1〜R5基のために上記で記載した意味を有し;jjjは1〜3の値を有
する整数である]で表わされる窒素およびリン含有基;または
(5)式(UR7 kkk)[式中、Uは酸素または硫黄原子であり、R7はR1〜R5基のために
上記で記載した意味を有し、kkkは0〜2の値の整数である]で表わされる酸素
もしくは硫黄含有基。
この発明のメタロセン類に立体的固定性を分け与えうる、適当な構造的
な橋かけ基R"は、限界がなく、直鎖状もしくは分岐状C1〜C20アルケニル基、C3
〜C20ジアルキルメチル基、C3〜C12シクロ炭化水素基、C6〜C20アリール基、ジ
アリールメチレン基、ジアリールアリル基、ケイ素炭化水素基、ジヒドロカーボ
ンシレニル基、ゲルマニウムヒドロカルビル基、リン炭化水素基、窒素炭化水素
基、ホウ素炭化水素基およびアルミニウム炭化水素基を含む。
他の適当な橋かけ基R"には、B(C6F5)2およびAl(C6F5)2のようなイオン
単位、ならびにR2C、R2Si、R4Et、R6Pr[式中、Rは、炭化水素、環式炭化水素、
他の有機金属触媒を有する環式もしくは直鎖状炭化水素またはカルボランであっ
てもよい]を含む。実際、橋かけは、官能基化されたポリスチレン前駆体および
末端もしくは分岐状のホウ素もしくはAl官能基を有する[例えば双性イオン型で
、触媒に結合している]他のすべてのポリマーと同様に、ポリマー性支持体(例
えば、ビニル−インデンおよび9-ビニル−フルオレン等からのアタクチック、シ
ンジオタクチックおよびアイソタクチックポリマー)の主鎖を生成するC2(およ
びC3等)橋かけであってもよい。R2CおよびR2Si橋かけ基は、イソプロピリデン
が好ましく、ジメチルシレニル橋かけ基が特に好ましい。
R、R'、R1〜R5、RαおよびRβに対応する適当な基は、限界がなく、水
素原子、直鎖状もしくは分岐状C1〜C20炭化水素基、直鎖状もしくは分岐状C1〜C20
ハロカルビル基、直鎖状もしくは分岐状C1〜C20ハロ炭化水素基、直鎖状もし
くは分岐状C1〜C20アルコキシ基、C3〜C12シクロ炭化水素基、C3〜C12シクロハ
ロ炭化水素基、アリール基、アリルアルキル基、アリールアルキル基、ケイ素炭
化水素基、ゲルマニウム炭化水素基、リン炭化水素基、窒素炭化水素基、ホウ素
炭化水素基、アルミニウム炭化水素基またはハロゲン原子を含有する。該基は直
鎖状もしくは分岐状C1〜C20アルキル基、トリアルキルシリル基およびアリール
基が好ましく、直鎖状もしくは分岐状C1〜C10基およびアリール基が特に好まし
く、メチル、エチル、イソプロピル、トリアルキルメチル基、トリアルキルシリ
ル基およびフェニル基がとりわけ好ましい。
加えて、R、R'、R1〜R5、RαおよびRβに対応する適当な基は、限界が
なく、Cp-B(C6F5)3 -、Cp-Al(C6F5)3 -、Cp-Al(CF3)3 -、Cp-X-Al(C6F5)3 -およびCp
-X-B(C6F5)3 -[式中、Xはアルケニル基またはアルケノキシ基を意味する]のよ
うな双性イオン基を含む。
配位基のいずれか1つまたはこの発明のリガンドの上に双性イオン基を
含有し、Me=4族の金属を有するこの発明のメタロセン類は、独立している必要
はなく、時には立体化学的に対イオンの干渉を必要としない(すなわち、l=0で
ある)。これらの双性イオン基は、また式(I)[式中、Meはプラス5の酸化状
態(Me(V))にある5族の金属である]のメタロセンのモノおよびジカチオンに
適している。それらは、考えられるところでは、プラス3の酸化状態(Me(III)
)にある通常中性の3族金属とイオン対メタロセンを創作するのに使用され得る
。この場合、向上したポリマー粒子サイズおよび形態的管理のために異種の不溶
性なイオン対系を得ることができる。
Meに相当する好ましい金属は、限界がなく、元素の周期表から3、4も
しくは5族の元素またはランタニド元素を含む。より好ましくは、Meは、4もし
くは5族金属であり、チタニウム、ジルコニウムおよびハフニウムが最も好まし
い。好ましいランタニド元素は、Lu、La、Nd、SmおよびGdである。
Qに相当する適当な炭化水素基またはハロゲンは、限界がなく、直鎖状
もしくは分岐状C1〜C20アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリー
ルアルキル基、F、Cl、BrおよびIを含む。Qはメチルまたはハロゲンが好ましく
、塩素原子がより好ましい。
例示的な炭化水素基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、
イソアミル、ヘキシル、イソブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、セ
チル、2-エチルヘキシルおよびフェニルである。例示的なアルキレン基は、メチ
レン、エチレン、プロピレンおよびイソプロピリデニルである。例示的なハロゲ
ン原子は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含み、塩素が好ましい。アルキリ
デン基の例は、メチリデン、エチリデンおよびプロピリデンである。例示的な窒
素含有基は、アルキルアミン、アリールアミン、アリールアルキルアミンおよび
アルキルアリールアミンのようなアミンを含む。
一般式中のPに相当する適当な非配位しているアニオンは、限界がなく
、[BF4]-、B(PhF5)- 4、[W(PhF5)6]-、[Mo(PhF5)6]-(式中、PhF5はペンタフノレ
オロフェニルである)、[ClO4]-、[SnO6]-、[PF6]-、[SbR6]-および[AlR4]-[こ
こで、各々Rは独立してCl、C1〜C5アルキル基(メチル基が好ましい)、アリー
ル基(例えば、フェニルまたは置換されたフェニル基)またはフッ素化されたア
リールおよびアルキル基である]を含む。
この発明のタクチオ選択的メタロセン類(すなわち、タクチオ選択的な
ポリマーを製造するメタロセン)は、リガンドまたはメタロセン
に関連した対称性または擬似対称性を有していることを通常特徴としている。先
に述べたように、2つのリガンドを含有し、C2もしくは擬似C2対称性を有するか
、または1つの左右相称的に対称的なリガンドと1つの非対称的なリガンドおよ
び少なくとも1つのバルキーなβ置換基もしくは擬似β置換基(束縛された構造
のアミンまたはホスフィンアニオン性リガンドのような非Cp基を有しているメタ
ロセン類の場合)を有しているメタロセン類は、多様な度合いのアイソタクチシ
ティを有するポリマーを製造させる。一方、2つのリガンドを含有しCsまたは擬
似Cs対称性を有するメタロセン類は、多様な度合いのシンジオタクチシティを有
するポリマーを製造させる。リガンドは橋かけられているのが好ましいが、ある
橋かけられていない2つのメタロセンは、多様なタクチオ選択性を有するポリマ
ーまたは、モノマー付加の仕方において多様な度合いの規則性、例えば頭−尾ま
たは尾−頭付加基規則性を有するポリマーを提供することができる。
この発明のメタロセン類の中で、チタノセン類、ジルコノセン類および
ハフニオセン類が最も好ましい。この発明は、また、La、Lu、Sm、NdおよびGdメ
タロセン類を含む。この発明の2、3の例示的なメタロセン類は、
(1)YR"Zリガンド中のYが式(a)〜(s)[式中、Rβがバルキーな置換基であるか
または、R"に結合している炭素に対しβ位の環原子と組みあわせてR置換基がバ
ルキーなβ置換基を形成する]に相当し;または(2)YR"Yリガンド中の2つのY
基が、同一または互いに異なり、式(a)〜(s)[式中、Rβがバルキーな置換基であ
るかまたは、R"に結合している炭素に対しβ位の環原子と組みあわせてR置換基
がバルキーなβ置換基を形成する]に相当する、
メタロセン類である。
この発明の2、3の例示的なメタロセン類は、
(1)YR"Zリガンド中のYが式(a)〜(s)に相当し、zがCp基であり;
YおよびZが左右相称的に対称であり、YまたはZのいずれか1つのみが2つのバル
キーなβ置換基を有し;または
(2)YR"Yリガンド中の2つのY基が、同一または互いに異なっており、左右相称的
に対称であり、式(a)〜(s)[式中、Y基の1つのみが2つのバルキーなβ置換基
を有する]に相当する、
メタロセン類である。
この発明の別の重要な下位分類は、分離工程または連続的重合の必要な
しにプロピレンの重合反応から直接得られることができる、部分的に結晶熱可塑
性エラストマー性プロピレンポリマーを製造することが可能なものである。それ
らは良好な機械的特性を有すると考えられ、エラストマー材料および無定形およ
び結晶ポリオレフィンの混合用の相溶化剤として適当に使用することができる。
該メタロセン類は、特定な置換パターンを有する式(I)[式中、i=0
、j=1、jj=1](すなわち、2つの橋かけしていないリガンドを含有する)に相
当する橋かけしていないメタロセン類であり、ゆえにアイソタクチックおよびア
タクチック単位を単一のポリマー鎖内に有するポリプロピレンまたは、ゴム状弾
性を示すアイソタクチックおよびアタクチックポリマー鎖の混合物を得る。
式(I)で、YおよびZは、同一または互いに異なっており、
式(hh'):
[式中、X、R、nおよびmは上記の意味を有する]
に対応する橋かけしていないリガンドが好ましい。
該メタロセン類は固定されておらず、異性化により触媒の対称性はキラ
ルからアキラルな構造に変わる。この発明のメタロセン類における構造の変化は
、適当な重合条件と同様に、適当なバルキーな橋かけしていないリガンドYおよ
びZを選択することによってコントロールすることができる。
上記のメタロセン類の非限定的な例は:
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジエチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジイソプロピル−チオペンタレン)ジルコニウム
ジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−i−プロピル−チオペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−n−ブチル−チオペンタレン)ジルコニウム
ジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−t−ブチル−チオペンタレン)ジルコニウム
ジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−トリメチルシリル−チオペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−(2−ピリジル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(3−ピリジル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(8−キノリル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(3−キノリル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(5−ピリミジル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−(2−フラニル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(2−ピロリル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジメチルフェニル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジエチルフェニル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジメチルシリルフェニル)−2,6−ジメチル−チオペン
タレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−メチル−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロラ
イド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−(トリフルオロメチルフェニル)−2,6−ジメチル−チオペンタレ
ン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−ナフチル−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−(1−インデニル)−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジエチル−アザペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジプロピル−アザペンタレン)ジルコニウムジク
ロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−i−プロピル−アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−n−ブチル−アザペンタレン)ジルコニウム
ジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−t−ブチル−アザペンタレン)ジルコニウム
ジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−トリメチルシリルアザペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−(2−ピリジル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(3−ピリジル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(8−キノリル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(3−キノリル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(5−ピリミジル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−(2−フラニル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(2−ピロリル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウ
ムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジメチルフェニル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジエチルフェニル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン
)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジメチルシリルフェニル)−2,6−ジメチル−アザペン
タレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−メチル−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウムジクロラ
イド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−(トリフルオロメチルフェニル)−2,6−ジメチル−アザペンタレ
ン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−ナフチル−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライド;
ビス(4−(1−インデニル)−2,6−ジメチル−アザペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジエチル−ホスファペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジイソプロピル−ホスファペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−i−プロピル−ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−n−ブチル−ホスファペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−t−ブチル−ホスファペンタレン)ジルコニ
ウムジクロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジ−トリメチルシリルホスファペンタレン)ジル
コニウムジクロライド;
ビス(4−(2−ピリジル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−(3−ピリジル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−(8−キノリル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−(3−キノリル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−(5−ピリミジル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジル
コニウムジクロライド;
ビス(4−(2−フラニル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−(2−ピロリル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコ
ニウムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジメチルフェニル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジエチルフェニル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタ
レン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−(3,5−ジメチルシリルフェニル)−2,6−ジメチル−ホスファ
ペンタレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−メチル−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコニウムジク
ロライド;
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;
ビス(4−(トリフルオロメチルフェニル)−2,6−ジメチル−ホスファペン
タレン)ジルコニウムジクロライド;
ビス(4−ナフチル−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジルコニウムジ
クロライド;および
ビス(4−(1−インデニル)−2,6−ジメチル−ホスファペンタレン)ジル
コニウムジクロライド
である。
実際、メタロセン類は、数多くの戦略を使用して、相対的な立体選択性
および/または立体特異性、分子量のような特性ならびに他の重要なポリマー特
性をコントロールするように、必要にあわせて作ることができる。一重炭素橋か
けリガンドを有するメタロセン類は、シンジオタクチック特異的触媒としては、
ケイ素橋かけ類似体よりも立体特異的である。炭素橋かけメタロセン類は、アイ
ソ特異的触媒としては、ケイ素橋かけ類似体よりも、通常は立体特異性が低い。
β置換基に対して立体的要求が高い程、メタロセン類の立体特異性は大きくなる
。立体配座的なロックに対する立体的要求を異ならせること、およびβ置換基を
立体的にコントロールすることは、鎖末の配置を最適化するのに使用することが
できる。そして、α位の置換基により、ポリマーの分子量が増大する結果になる
。
この発明は、アニオンPと結合した、0〜2の許容値を有する下付きl
で明らかなように、中性メタロセンおよびカチオン性メタロセンの両方を意図し
ている。すなわちl=0のときメタロセン類は中性であり、
l=1または2のときメタロセン類はカチオン性であり、アニオンを含めることによ
り一般式で明らかである。
この発明のメタロセン類は、所望のタクチシティに対応する非常に高い
タクチシティ指数を有するポリマーを製造するようにデザインされてもよい。こ
の発明のメタロセン類から特定なポリマーを戦術的に製造するためには、橋かけ
られたリガンド上のβ置換基の特性が重要である。それ故、β置換基の「立体的
要求」または「立体的サイズ」は、メタロセン類の立体的な特性をコントロール
するためにデザインされることができる。その結果、β置換基の配置により各々
の連続したモノマー付加の立体化学をコントロールすることができる。
鎖末立体配座的なロックとして働き(リガンドの入り口内に位置するの
が好ましい)、さらに溶解性(より良い触媒活性および立体特異性のためのイオ
ン対分離)および/または不溶性(ポリマー形態をより良くコントロールするた
め)を所望なように与えることも可能な、適当な立体特性を有する置換基を、こ
の発明のメタロセンの適当な炭素上に、戦略的に配置することも可能であろう。
橋かけし、置換されたメタロセン類は、立体的に固定され、鎖末立体配座的なロ
ックとして働き、そのような立体配座的なロックなしのものよりも優れている。
例えば、先行技術に、ビスインデニル触媒のC5環上のα-Cp位にメチル
置換基が位置すると、Et[Ind]2ZrCI2ベース触媒で製造されたアイソタクチック
ポリプロピレンの分子量が増加することが示されている。同様に、位置的な異性
現象により、インデニル環系のC6環上のメチル置換基により、立体的特異性が減
少する。
さらに、リガンドの配位基および橋かけ基R"にメチル、t-Bu、OMeおよ
びPhを添加することにより、シンジオタクチックおよびアイソタクチック特異的
な重合における触媒に立体的、溶解度および電子的
影響を与える。
立体的により大きいβ置換基を異ならせ、かつ/または立体的により小
さいβ置換基を異ならせることにより、この発明のメタロセンのタクチオ選択性
の作り替えが、生じるポリマーにどの程度のタクチシティを与えるかを意図され
ることができる。ゆえに、1つのβ置換基がt-ブチルであり、別のがエチルであ
り、残りの2つがメチルであれば、メタロセン類のタクチオ特異性は、2つのt-
ブチルと2つのメチルを有するものに比べて減少するであろう。
もちろん、カチオン性メタロセン類は、その正味の中性を維持するため
にアニオンPを必要とする。一般式中のアニオンPは、選択的に相溶性(compatib
le)非配位または擬似非配位しているアニオンであり、そのアニオンは、メタロ
センカチオンに配位しないかカチオンに弱くのみ配位しており、十分に不安定で
あり、それでモノマー単位のような中性ルイス塩基により容易に置き換えられう
る。相溶性非配位または擬似非配位しているアニオンは、カチオン性メタロセン
類を安定化するが、1つの電子またはカチオンに等価な電子を運搬して中性のメ
タロセンおよび非配位または擬似非配位しているアニオンの中性の副産物を生じ
させないアニオンと説明される。
対イオンPの有用な大きさは、リガンドのバルキーさ、または立体的要
件に左右される。サイズに加えて、良好なアニオンまたは対イオンにとって、安
定性および結合性のような他の特性が重要である。アニオンはメタロセンカチオ
ンの電子抜き取りのせいで中性になることがないように十分に安定でなければな
らず、カチオンとの結合力はモノマー配位および鎖生長を妨げないよう、十分弱
くなければならない。
この発明のカチオン性メタロセン類(l=1または2)を製造する好まし
い方法には、非配位溶媒中におけるイオン対と式(I)[l=0]の
メタロセンとの反応が含まれる。例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボロネートまたは類似のイオン対は、この発明の中
性メタロセンとトルエンのような溶媒中で反応して対応するカチオン性メタロセ
ンを生じる。この製造方法は、例えば米国特許第5,225,550号に記載されている
ように、当該分野で良く知られている。
この発明の好ましい適用は、アルファオレフィン、好ましくはエチレン
およびプロピレンを重合して、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタク
チック、ヘミアイソタクチックポリプロピレンまたはそれらの混合物はもちろん
、高度に線状で、低、中、および高密度のポリエチレンを製造することにある。
しかし、この発明のメタロセン類は、他のエチレン性不飽和なモノマーから得ら
れるヘミ-アイソタクチック、アイソタクチックまたはシンジオタクチックポリ
マーの製造において使用されてもよい。例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘ
キセンおよびスチレンのシンジオ特異的、アイソ特異的またはヘミ-アイソ特異
的ポリマーは、この発明のメタロセン類を使用して製造されることができる。
この発明における使用に適する付加重合可能なモノマーには、α−オレ
フィン(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1
-ペンテン)、ハロゲン化ビニル(例えば、フッ化ビニル、塩化ビニル)、ビニ
ルアレーン(例えば、スチレン、アルキル化されたスチレン、ハロゲン化された
スチレンおよびハロアルキル化されたスチレン)、ジエン(例えば、1,3-ブタジ
エンおよびイソプレン)のような、エチレン性不飽和なモノマーまたは末端ビニ
ル基(CH2=CH)を有するどのような有機分子も含まれる。ポリエチレンおよびポリ
プロピレンは、おそらく最も実用的に重要であり、この発明はポリエチレンおよ
び/またはポリプロピレンポリマーの製造に関して詳細を述べるが、この発明は
すべての付加重合可能なモノマーに通常適用可能である。これらの触媒は、また
1,2-付加の代わりに1,4-付加を含むことによるジエンのエラストマーへの重合に
おいても有用である。もちろん、これらの触媒は共役ジエンモノマーを含有する
1,4-付加モノマーに対する1,2-付加の相対的な量を変化させるのにも有用である
。
この発明のメタロセンを使用した重合方法は、米国特許第4,892,851号
に記載されているような当該分野の方法に従い行なわれる。
この発明の触媒系において、この発明のメタロセン類は様々な助触媒と
共同して使用される。多くの種類は単独で活性であるが、さまざまな助触媒の添
加により活性化されてもよい。通常、トリアルキルアルミニウム、トリアルキル
オキシアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライドまたはアルキルアルミニ
ウムジハライドのような有機アルミニウム化合物の助触媒が、この発明では使用
されてもよい。特に適当なアルキルアルミニウムはトリメチルアルミニウムとト
リエチルアルミニウム(TEAL)であり、後者が最も好ましい。メチルアルモキサン
(MAO)もこの発明の方法、特に中性メタロセンのためのを行なうのに、過剰な化
学量論的当量の量で使用される。
アルモキサン類は、環状化合物である一般式(R-Al-O)nおよび線状化合
物であるR(R-Al-O--)n-AlR2[式中、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルおよ
びペンチルのようなC1〜C5アルキル基であり、nは1〜20の整数である]で表わ
される高分子アルミニウム化合物である。最も好ましいのは、Rがメチルでありn
が4である。
通常、アルミニウムトリアルキルと水からアルモキサン類を製造すると
、線状および環状化合物が得られる。アルモキサン類は様々な方法で製造するこ
とができる。好ましくは、[例えばアルミニウムトリメチルのような]アルミニ
ウムトリアルキルの[ベンゼンまたは脂肪族炭
化水素のような]適当な有機溶媒中の溶液と水を接触させることにより製造され
る。例えば、アルミニウムアルキルは、湿った溶媒の形で水と処理される。別の
方法では、アルミニウムアルキルは、水和された硫化銅のような水和された塩と
接触させることができる。好ましくは、アルモキサンは水和された硫化銅の存在
下に製造される。アルミニウムトリメチルのトルエン中希薄溶液を、一般式CuSO4・
5H2Oで表わされる硫酸銅で処理する。アルミニウムトリメチルに対する硫酸銅
の比は、4〜5モルのアルミニウムトリメチルに対して約1モルの硫酸銅が望ま
しい。反応は、メタンの発生により明示される。
メタロセン中の全金属に対するアルモキサン中のアルミニウムの比は、
0.5:1〜10,000:1、好ましくは5:1〜1000:1の範囲が可能である。この発明の触媒
系の製造に使用される溶媒は、不活性な炭化水素類、特にメタロセンに関して不
活性な炭化水素類が好ましい。
そのような溶媒はよく知られており、例えば、イソブタン、ブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、トルエンおよびキシレンが含まれる。ポリマーの分子量をさらにコントロー
ルかつ改善するのに、アルモキサン濃度を変化させることが可能である。この発
明の触媒系中のアルモキサンの濃度が高いほど、より高分子量のポリマー生成物
が得られることになる。
この発明に従えば、比較的高温において高粘度ポリマー生成物を製造す
ることができるので、温度は先行技術のメタロセン/アルモキサン触媒における
ような制限的要素とはならない。ゆえに、ここに記載した触媒系は、溶液、スラ
リーまたは気相重合中ならびに広範な温度および圧力でのオレフィン重合に適し
ている。例えば、そのような温度は-60℃〜280℃の範囲、好ましくは50℃〜160
℃の範囲であってもよい。この発明の方法において使用される圧力は、当該分野
で通常使用されるも
のであり、1〜500気圧の範囲およびそれ以上が好ましい。
溶液相重合において、アルモキサンは、適当な溶媒、典型的にはトルエ
ンおよびキシレンのような不活性炭化水素溶媒に約5X10-3Mのモル比で溶解され
るのが好ましい。しかしながら、より多くまたは少ない量を使用してもよい。こ
の発明の溶解可能なメタロセン類は、シリカ、アルミナおよびポリエチレンのよ
うなその分野で知られた触媒支持体の上に該メタロセン類を付着させることによ
り、支持された不均一系触媒系に変換されてもよい。固体触媒系は、アルモキサ
ンと組みあわせて、スラリーおよび気相オレフィン重合において有用に使用され
ることができる。
重合および触媒の不活性化の後、当該分野でよく知られた不活性化され
た触媒および溶液の除去のための方法により、得られたポリマーを回収すること
ができる。溶媒はポリマー溶液から蒸発分離され、得られたポリマーを水中に押
し出し、ペレットまたは他の適当な細分した形に切断する。当該分野で知られた
顔料、抗酸化剤および他の添加剤をポリマーに添加してもよい。
この発明の方法に従い得られたポリマー生成物は、約500〜約1,400,000
、好ましくは約1000〜500,000の範囲の平均分子量の重量を有している。分子量
分布(Mw/Mn)は、1.5〜4の範囲が好ましく、しかしより高い値も得られ得る。
ポリマーは分子あたり1.0鎖末不飽和を含有する。アルモキサンと組みあわせて
2またはそれ以上のこの発明のメタロセン類を使用することにより、広範囲のMW
を得ることができる。この発明の方法により製造されるポリマーは、付加重合可
能なモノマーから誘導されたポリマー生成物に対して知られているような、非常
に多様な物品に加工されることが可能である。
この発明で使用されるメタロセンは、米国特許第4,892,851号に
記載のような、当該分野で知られている方法により製造されてもよい。一方、活
性なカチオン性メタロセン類は、欧州特許第0277003号および第0277004号に開示
されているような以下の公知の方法に従い中性なメタロセン類をカチオン性状態
に単に変換すること、またはトリフェニルカルベニウムボロネートと反応させる
ことにより製造してもよい。同様にして、アルコール−B(PhF5)3コンプレックス
は、この発明の活性なカチオン性メタロセン類を製造するためのアニオン性前駆
体として使用されうる。ここで、アルコール性プロトンは、配位している金属原
子上のアルキル基のアミンと反応してカチオン性メタロセンおよびアルコキシド
−B(PhF5)3アニオンを生成する。
この発明のメタロセン類は、限定なく、シリカ、アルミナ、二塩化マグネ
シウムおよびポリスチレンビーズを含む支持体上に触媒を付着させることにより
、支持された不均一系触媒系に変換することもできる。支持されたメタロセン類
は、米国特許第4,935,474号および第4,530,914号ならびに欧州特許第0427697号
および第0426638号にさらに記載のように、ポリマーの嵩密度を向上させること
ができる。
この発明のメタロセン類は、イオン対を有する官能基またはルイス酸中心
またはルイス塩基中心をリガンドおよび/または支持体上に置くことにより、支
持体に化学的につなげることもできる。支持することは、大きな(オリゴマーま
たは高分子の)不溶性アニオンを対イオンとして使用することによっても達成さ
れうる。
この発明のメタロセンは、プロピレンのだけでなく、1-ブテン、1-ペンテ
ン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンおよびCH2=CH(CH2)pSi(CH3)3[式中、p
は1〜4である]のようなすべてのα−オレフィンの、低、中および高分子量ポ
リマー、低、中位および高密度ポリマー、エラストマー、非特異的、アイソ特異
的、シンジオ特異的お
よび/またはヘミ-アイソ特異的ポリマーを製造するのに使用することができる
。加えて、この発明のメタロセン類は、単独または混合物で、ビニルモノマーお
よびジエンモノマーを含むすべての付加重合可能なモノマーを重合することがで
きる。
通常の技能を有する者には、アイソ選択的触媒を生じさせるこの発明のメ
タロセン類が、非対称なmeso型およびアイソタクチックポリマーに選択的なrac
型に分離されることは、理解できるであろう。立体特異的racメタロセン類は、
結晶化によりmeso型から分離されうる。Bercawら(J.Ann.Cherry Soc.1992,
114,7607 J.E.BercawおよびE.B.Coughlin)により、望ましくない非特異的
なmeso立体異性体のないrac-メタロセン類は、橋頭原子に対してα位のリガンド
原子上に適当なバルキーな置換基を置くことにより、製造することができること
がよく知られている。
この発明のメタロセン類は、単独で、または他のメタロセン触媒、TiCl3/
DEACおよび/もしくはTiCl4/MgCl2/TEAL触媒類[これらは、ジイソブチルフタレ
ートのような内部電子供与体およびジフェニルジメトキシシランおよびメタノー
ルのような外部供与体を有する]との混合物で使用して、混合された立体化学的
組成、分布または調整された分子量分布を有するポリマーを製造することができ
る。最適化された物理的、熱的、機械的および流動学的特性を有するポリマーの
反応体混合物は、単に触媒種を適当な比で一緒に混合することにより、高い溶融
温度、高い透明度、高い衝撃強さおよび結晶化の速い速度を要求する特定な適用
に最適な混合物を製造するように調整されることができる。
この発明のメタロセンは、β−ヒドリド脱離反応による停止速度に影響を
与える可能性がある。ゆえに、このことはポリマー分子量をコントロールするの
に効果的な新規なリガンドを提供する。これらのメタ
ロセン類は、混合した種類の触媒および他の群の触媒を使用して、分子量、ゆえ
に分子量分布を調整するよう開発されることができる。これは、HDPE、LLDPE、i
-PP、s-PP等においてポリマー特性を調整することにおいて有利であろう。同様
に、置換基をロックしている鎖末立体配座は、新規なメタロセン類とプロピレン
、ブテンおよびヘキセンのようなα−オレフィンとの反応性の速度に影響を与え
る。触媒反応性比に対する新規なリガンドの効果は、組成、順序、分布および/
または分子量分布を異ならせた反応体混合物を製造するように開発されうる。こ
の発明のメタロセン類は、流動化され攪拌された気相重合を含んだ反応体混合物
として、または連続して反応体から、改善され調整された品質のポリプロピレン
およびプロピレン−エチレン耐衝撃性のコポリマーを提供する。
この発明のメタロセン類は、多様な度合いのタクチオ特異性を有するオレ
フィンのコポリマーおよびオレフィンとジエンのコポリマーを製造するのに使用
されることもできる。
以下、この発明のメタロセン類の一般的な製造方法を記載する。該方法に
おいて、メタロセンが「純粋」であることが重要である、というのば低分子量、
非晶形ポリマーが不純なメタロセン類により製造され得るからである。
通常、メタロセン類の製造はリガンド(橋かけられたかまたは橋かけられ
ていない)の形成および単離からなる。次いで、それを芳香族化または脱プロト
ン化して非局在化した電子系またはヘテロアニオンを形成し、続いて金属ハライ
ドまたはアルキリドと反応させて最終的なコンプレックスを形成することからな
る。
製造方法は、通常グローブボックスまたはシュレンク技術を使用して不活
性な気体雰囲気下に行なわれる。製造方法は通常、1)ハロゲン化またはアルキ
ル化された金属化合物を製造し、2)リガンドを製造し、
3)コンプレックスを製造し、および4)コンプレックスを精製する工程からなる
。
この発明のβ置換されたCpを有する橋かけられたリガンドの製造は、適当
に置換されたフルベンを、橋かけられた構造を生じさせるのに十分な反応条件下
で、適当に置換されたシクロペンタジエニル含有アニオン環と接触させてC2また
はCsまたは擬似C2または擬似Cs対称性を有するリガンドを与えることにより製造
することができる。フルベンは、シクロペンタジエン環の1位に環外のメチレン
基を有するシクロペンタジエンである。環外メチレン炭素は、フルベンの6位で
ある。この炭素が最終的に式(I)中の橋かけ基になるため、このメタロセン類
の製造法にとって好ましいフルベンは、生じた橋かけ基が第3級炭素原子となる
ような、6,6-ジ置換されたフルベンである。
他の部位が以下:[式中、R'pは生じたCp環上の置換基であり、T、T'および環外炭素(フルベン内
のC6)は構造的な橋かけ基R”の前駆体である]
に示すように置換されていても置換されていなくてもよいが、この発明のリガン
ドを製造するのにおいて有用なフルベンは、3および4位に置換基Qを有して一
般に6,6ジ置換されている。
先に示したように、中性なメタロセンをこの発明において有用なカチオン
性なメタロセンに変換する好ましい方法には、中性なメタロセンとトリフェニル
カルベニウムボロネートとの反応を含む。好ましい反
応剤は、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロ
ネートである。
この発明の触媒は、米国特許第3,893,989号、第4,200,171号、第4,287,32
8号、第4,316,966号および第5,122,583号に記載のもののような当該分野で知ら
れている方法に従い、予備重合された触媒を製造するのにも使用することができ
る。予備重合された触媒は、先に述べたようなもののような助触媒の存在下、任
意に様々な電子供与体の存在下に製造することができる。
この発明の好ましい予備重合されたメタロセン類は、約0.1〜100、特に好
ましくは10より少ないポリマー/メタロセンの重量比を有している。製造は、真
空で容易に蒸発される低沸点溶媒において室温またはそれ以下で都合よく行なわ
れる。
実施例部
PPAとはポリリン酸を意味し、その合成方法はF.D.PoppおよびW.E.McEwen,Che
m,Rev.,58,321(1958);F.UhligおよびH.R.Snyder,Advances in Organic Chemistr
y,1,35(1960)に記載されている。
実施例1
ビス(2−メチルチアペンテニル)ジルコニウムジクロライドの合成
a. 4,5−ジヒドロ−5−メチル−6Hシクロペンタ(b)チフェン−6
−オンの合成
(以下はO.Meth-Cohn,S.Gronowitz,Acta Chemica Scandinavica,20(1966)1577-1
587に元来記載の方法を改良したものである。)
チオフェン(65.7g,781mmol)、メタクリル酸(66.56g,773mmol)および
塩化メチレン(50mL)を含む溶液をPPA溶液(上記にて製造)に1時間にわた
って温度を50℃に保持しながら滴加した。反応混合物をさらに2時間撹拌し、1
リットルの氷(2リットル分液ロート中に製造)に注いでヘキサン中塩化メチレ
ン溶液(30%、100mL)にて有機層を集めた。有機層を水(250mL)、炭酸水素ナ
トリウムの飽和溶液(2x250mL)、次いで水(2x250mL)にて洗浄した。このよ
うにして集められた有機層は硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過および真空中にて
乾燥した結果、93.5gの暗褐色、やや粘性の油を生じた。この物質をさらに蒸留
して52.2g(1ミリバール,92℃〜98℃)の目的化合物を得た。収率=48%。
b.5−メチル−1−チアペンタレニルヒドラジンの合成
(以下はHendrich VolzおよびHenrich Kowarsch,Tet.Lett.,48(1976)4375に元来
記載の手順を改良したものである。)
無水エタノール(300g)を飽和するまで塩酸ガスの激しい気流で処理した
。トルエン−4−スルホノヒドラジン(64g.343mmol)を乾燥粉末で添加し、白
色スラリーを形成した。4,5−ジヒドロ−5−メチル−6H−シクロペンタ(
b)チフェン−6−オン(52.2g,343mmol)を30分かけて滴加した。溶液は透
明麦わら色液体に変化し、次いで白色沈澱物を形成し、ろ過によりその沈澱物を
回収した。沈澱物はTHF(800mL)で洗浄し、その後真空中で乾燥した。収量:100g(
91.5%)。
c.5−メチル−1−チアペンタレンの合成
5−メチル−1−チアペンタレニルヒドラジン(12.8g,40mmol)をジエ
チルエーテル(100mL)中にてスラリーにし、温度を-78℃まで低下させた。メチ
ルリチウム(100mL,ジエチルエーテル中1.6M溶液、62.5mL)を滴加した。温度
を室温まで上昇させて撹拌を16時間行ったところ、色が深紫色に変化した。脱
酸素化した塩化アンモニウム飽和水溶液(2mL)を滴加し、さらに15分間撹拌
したところ、溶液の色は黄色に変化した。スラリーはその後中位の多孔性フリッ
トを用いてろ過され、固形物は新鮮なジエチルエーテル(250mL)で繰り返し洗
浄した。ろ液中のジエチルエーテルを真空中にて除去したのち、暗褐色の油(1.
62g、30%)を回収した。
d.ビス(2−メチルチアペンテニル)ジルコニウムジクロライドの合成
四塩化ジルコニウム(800mg,3.4mmol)を乾燥粉末で5−メチル−1−チ
アペンタレニルリチウム塩(400mg,3.6mmol)に加え、スラリーを形成するため
にペンタン(50mL)およびTHF(5mL)を加えた。スラリーはさらに16時間撹拌
し、その後溶媒を真空中にて除去し、明黄色のさらさらした粉末(1g)を回収
した。サンプルはさらに精製せずに重合反応に用いた。
実施例2
ビス(2−メチルチアペンテニル)ジルコニウムジクロライドでのエ
チレン重合
エチレン重合は500mLガラス製反応器中、間接的に結合した電磁撹拌機を
用いて行った。触媒(20mg)を10mLガラス製バイアルに加え、MAO(2.5mL,トル
エン中10重量%)を加えた。さらなる2.5mLをトルエン溶液に加え、重合溶媒
として使用した。触媒/MAOを含む溶液はカニューラを介してトルエン/MAOを含
む反応器内に加えた。反応器から残留窒素を除去し、エチレンと入れ替えた。エ
チレンを反応器に加え、8分間圧力3バールに保持したのち、反応を5mLの蒸留
水で失活させた。反応器の中身はHCl(4N、120mL)およびメタノール(80mL)を
含む脱灰溶液中に移した。有機層は真空中穏やかな熱下にて(50℃、3時間)乾
燥した。
収量:2.5g;[η]THN=3.47(dl/g)。
実施例3
ビス(2−メチルチアペンテニル)ジルコニウムジクロライドでのプロピレン重
合
プロピレン重合は500mLガラス製反応器中、間接的に結合した電磁撹拌器
を用いて行った。触媒(20mg)を10mLガラス製バイアルに加え、次いでMAO(5.0
mL,トルエン中10重量%)を加えた。
反応器から残留窒素を除去し、プロピレンと入れ替えた。プロピレンを反応器に
加え、60分間圧力を3バールに保持したのち、反応を5mLの蒸留水で失活させ
た。反応器の中身は120mLの4N HClおよび80mLのメタノールを含む脱灰溶液中に
移した。有機層は真空中、穏やかな熱下にて(70℃、1時間)乾燥した。
収量:13.5gの粘性油。[η]THN=0.18(dl/g)。
実施例4
ジメチルシリルビス(2−メチルチアペンテニル)ジルコニウムジクロライドの
合成
a.5−メチル−1−チアペンタレンの製造
合成は上記実施例1cに準じて行った。
b.ジメチルシリルビス(2−メチルチアペンテニル)の合成
5−メチル−1−チペンタレン(1.62g,11.9mmol)をジエチルエーテル30
mL中に溶解させ、温度を-78℃に下げた。メチルリチウム(11.9mmol,1.6Mジエチ
ルエーテル溶液,7.4mL)を滴加した。フラスコと内容物は室温まで温められ、3
時間撹拌された。別のフラスコにてジメチルジクロロシラン(0.77g,5.9mmol,0.
78mL)をTHF20mL中に溶解し、温度を-78℃まで下げた。5−メチル−1−チペン
タレンアニオンを含有するスラリーを撹拌した溶液に滴加した。フラスコと内容
物はその後室温まで温めた。サンプルを分析のため取り出し、塩化アンモニウム
飽和水溶液で失活させ、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して真空中で濃縮し、
その後分析に付した(20549-47C;GCMSによると37.6%の純度)。
c.ジメチルシリルビス(2−メチルチアペンテニル)ジルコニウムジクロライ
ドの合成
ジエチルエーテル中にジメチルシリルビス(2−メチルチアペンテニル)
(1.78g,5.95mmol)(上記にて生成)を含む溶液をメチルリ
チウム(11.9mmol,ジエチルエーテル中1.6M溶液,7.4mL)で-78℃で処理した。
内容物を室温まで温め、16時間撹拌した。溶媒を真空中にて除去し、固形物を新
鮮なペンタン(3x30mL)で繰り返し洗浄した。四塩化ジルコニウムを乾燥粉末
で加え、ペンタンを加えた。ペンタンを次いで蒸発させてトルエンと入れ替え、
溶液を一晩撹拌した。固体をろ過し、ろ液を真空中にて乾燥させた。収量:1.49
g(54%)。
実施例5
ジメチルシリルビス(2−メチルチアペンテニル)ジルコニウムジクロライドで
のプロピレン重合
プロピレン重合は500mLガラス製反応器中にて間接的に結合した電磁撹拌
器を用いて行った。触媒(20mg)を10mLガラス製バイアルに加え、MAO(5.0mL,
トルエン中10重量%)を加えた。反応器から残留窒素を除去し、プロピレンと入
れ替えた。プロピレンを反応器に加え、60分間圧力を3バールに保持したのち、
反応を蒸留水5mLで失活させた。反応器の内容物は4N HCl 120mLおよびメタノ
ール80mLを含む脱灰溶液に移した。有機層は真空中穏やかな熱下(70℃,1時間
)にて乾燥した。
収量:白色さらさらした粉末19.6g、[η]THN=0.49(dl/g)。
実施例6
イソプロピリデン[シクロペンタジエニル−(7−シクロペンタジチオフェン)
]ジルコニウムジクロライドの合成
a.7H−シクロペンタ[1.2−b:4.3−b’]ジチオフェンの合成
7H−シクロペンタ[1.2−b:4.3−b’]ジチオフェン
(以下の実施例中においてはシクロペンタジチオフェンとする)をA.Kraakら,Te
trahedron,1968,24,3381-3398に元来記載の手順に基づいて合成した。
b.イソプロピリデン(7H−シクロペンタジチオフェン)(シクロペンタジエ
ン)
エーテル(15mL)中のシクロペンタジチオフェン(1.0g,5.62mmol)溶液
を-78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(5.75mmol,ヘキサン中2.5M溶液の2.3m
L)で処理した。0℃にて2時間撹拌したのち、エーテル(5mL)中の6,6−ジ
メチルフルベン(0.60g,5.62mmol)溶液を30分かけて加えた。温度を1時間0
℃に保ち、次いで内容物を25℃に温め、16時間撹拌した。反応はNH4Cl飽和溶
液(15mL)を加えることにより停止された。有機層は分離され、飽和食塩水(2
x15mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過したのち、溶媒を油性残留物にまで
回転蒸発することにより除去した。生成物はメタノール/アセトン混合物から白
色固体(700mg,44%)に結晶化した。
c.イソプロピリデン[シクロペンタジエニル−(7−シクロペンタジチオフェ
ン)]ジルコニウムジクロライド
THF(20mL)中のイソプロピリデン(7H−シクロペンタジチオフェン)
(シクロペンタジエン)(540mg,1.9mmol)溶液を-78℃に冷却し、n−ブチルリ
チウム(4.0mmol、ヘキサン中2.5M溶液の
1.6mL)で処理した。反応物は0℃までゆっくりと温められ、4時間撹拌し暗
赤色の溶液を得た。溶媒は真空中0℃にて除去し、残留物を再びエーテル(15mL
)中、-78℃でスラリー化した。ZrCl4(0.443g,1.9mmol)をカニューラでスラリ
ーとしてペンタン(10mL)中に加えた。反応物を16時間撹拌しながらゆっくり
と室温まで温めた。沈澱した粗生成物は目の細かいフリット上で回収し、エーテ
ルおよびペンタンで洗浄して真空中で乾燥した(収量:1.0g)。トルエンを用い
て50℃で抽出し、重合試験で使用した表題の化合物を得た。
実施例7
イソプロピリデン[シクロペンタジエニル−(7−シクロペンタジチオフェン)
]ジルコニウムジクロライドでのエチレン重合
エチレン重合は間接的に結合した電磁撹拌器を用いて500mLガラス製反応
器中で行った。触媒(10mg)を10mLガラス製バイアルに加え、MAO(2.5mL,トル
エン中10重量%)を加えた。さらなる2.5mLをトルエン溶液に加え、重合溶媒
とした。触媒/MAOを含む溶液をカニューラを介してトルエン/MAOを含む反応器
に加えた。反応器から残留窒素を除去し、エチレンと入れ替えた。エチレンを反
応器に加え、8分間圧力を3バールに保持したのち、反応を蒸留水5mLで失活さ
せた。反応器の内容物はHCl(4N,120mL)およびメタノール(80mL)を含む脱灰
溶液に移した。有機層は水洗し、ろ過してポリマー固体を回収し、新鮮なメタノ
ールで洗浄した。ポリマーは真空中、穏やかな熱下(50℃、3時間)にて乾燥し
た。収量:4.3g;I.V.(THN)=3.7(dl/g)。
実施例8
イソプロピリデン[シクロペンタジエニル−(7−シクロペンタジチオフェン)
]ジルコニウムジクロライドでのプロピレン重合
プロピレン重合は間接的に結合された電磁撹拌器を用いて500mLガラス製
反応器にて行った。触媒(20mg)を10mLガラス製バイアルに加え、MAO(5.OmL,
トルエン中10重量%)を加えた。反応器から残留窒素を除去し、プロピレンと
入れ替えた。プロピレンを反応器に加え、60分間圧力を3バールに保持したの
ち、反応を蒸留水5mLで失活させた。反応器の内容物は4N MCl 120mLおよびメ
タノール80mLを含む脱灰溶液に移した。有機層を水洗し、回転蒸発機で溶媒を除
去した。粘性ポリマーは真空中穏やかな熱下(50℃、1時間)で乾燥した。収量
:30gポリマー、I.V.(THN)=0.30(dl/g)。
実施例9
イソプロピリデン[(t−ブチルシクロペンタジエニル)−(7−シクロペンタ
ジチオフェン)]ジルコニウムジクロライドの合成
a.7H−シクロペンタ[1.2−b:4.3−b’]ジチオフェンの合成
7H−シクロペンタ[1.2−b:4.3−b’]ジチオフェン
(以下の実施例ではシクロペンタジチオフェンとよぶ)をA.Kraakら,Tetrahedr
on,1968,24,3381-3398に元来記載の手順に基づいて合成した。
b.3−t−ブチル−6,6−ジメチルフルベンの製造
乾燥アセトン(99.3mmol,5.77g,7.3mL)およびt−ブチルシクロペンタジ
エン(50.6mmol,6.17g)を滴下漏斗中で混合し、窒素下で撹拌しているKOH(10.
3mmol、0.58g)のエタノール溶液(10mL)へ加えた。一晩撹拌したのち、黄金色
の溶液はエーテルで希釈され、2N HClと水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した。粗有機画分のサンプル(7.4g)を取り出し、分析(GCMS)したところ、表
題の化合物への転換は90%であった。生成物は蒸留に付した。
c.イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(7H−シクロ
ペンタジチオフェン)の合成
乾燥エーテル中のシクロペンタジチオフェン(4.9mmol,0.87g)の溶液を
-78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(4.9mmol,ヘキサン中2.5M溶液の1.95mL)
で処理した。反応混合物を0℃まで温め、4時間撹拌した。エーテル(10mL)中
の3−t−ブチル−6,6−ジメチルフルベン(4.9mmol,0.79g)の溶液を滴加
し、0℃にて2時間、その後室温にて16時間撹拌した。反応はNH4Cl飽和溶液
(10mL)をゆっくりと加えることにより失活させた。水性層を分離し、エーテル
で洗浄して除去した。有機画分は合わせてMgSO4で乾燥し、ろ過、蒸発させて油
を得た。この油をメタノール/アセトン混合物に再び溶解させ、生成物をドライ
アイス上で冷却させることにより結晶化させた。収量:800mg、48%。
d.イソプロピリデン[t−ブチルシクロペンタジエニル−(7−シクロペンタ
ジチオフェン)]ジルコニウムジクロライド
イソプロピリデン[t−ブチルシクロペンタジエニル−(7−シクロペン
タジチオフェン)](800mg,2.4mmol)をTHF(20mL)に溶解した。温度を-78℃
に下げてn−ブチルリチウム(4.8mmol,ヘキサン中2.5M溶液の1.92mL)を滴加し
た。溶液は暗褐色に変化し、-78℃にてさらに10分間撹拌し、その後ゆっくりと
室温に戻した。
ガス発生が停止したのち(2時間)、1時間撹拌し、THFを減圧下で除去
した。固形物をペンタンで洗浄し、真空中で乾燥した。
ZrCl4(2.5mmol,0.56g)を加え、固体混合物をペンタン(50mL)中に懸濁し、16
時間撹拌した。その後、ペンタンは移動され、生成物を真空中で乾燥したところ
、明褐色のさらさらした粉末1.21gを得た。生成物(1.2g)はMe2Cl230mL中でス
ラリー化した。ろ過して、真空中で乾燥した後、コンプレックス150mgを分離し
た。
実施例10
イソプロピリデン[t−ブチルシクロペンタジエニル−(7−シクロペンタジチ
オフェン)]ジルコニウムジクロライドでのプロピレン重合
プロピレン重合は、間接的に結合した電磁撹拌機、内部温度プローブおよ
び外部温度漕を用いて250mLガラス製反応器中にて行った。反応器にトルエン(1
00mL)およびMAO(3mL,Witco Corp製のトルエン中10重量%、Al4.7重量%)
を充填した。内容物は撹拌下、50℃に保持した。所望量の検量したメタロセン/
トルエン溶液を加え、5分間撹拌した。プロペンガスを所望の圧力で加えた。モ
ノマー圧力および温度を反応中一定に保持した。反応は圧力を発散させ、酸性化
メタノー
ル5mLを加えることにより、1時間後に停止させた。反応器の内容物は、数分間
激しく撹拌することにより酸性化メタノール溶液に量的に移され、有機画分を分
離した。水洗したのち、溶媒は回転蒸発により除去した。ポリマーは真空中、穏
やかな加熱下で乾燥した。収量:28gポリマー、I.V.0.3dl/g;mp.128℃;mrrm
:2.9モル%。
実施例11
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライドの合成
a.3,4−ビスクロロメチル−2,5−ジメチルチオフェンの製造
100mL滴下漏斗および機械的撹拌器を備えた2リットル丸底フラスコ中に
2,5−ジメチルチオフェン(253.6g,2.26mmol)およびHCl(41.3g,1.13mol,37
重量%溶液の94.5mL)を加えた。(水性)ホルムアルデヒド(69.1g,2.3mol,37
重量%溶液の172mL)の溶液を滴加する前に、HClガスを遅い気流で5分間加えた
。滴加中(1時間20分)、温度は-15℃から0℃の間で保持した。添加終了後
、内容物をさらに1時間撹拌した。反応混合物をH2O(400mL)で失活させたのち
、有機層をジメチルエーテル(400mL)で集めた。有機層をNa2CO3の飽和溶液お
よび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過したのち、溶媒を真空中で除去
し、反応生成物349.0gを得た。さらに190mtorrで分別真空蒸留して精製すること
により所望の生成物60.54gを得た。
b.4−フェニル−2,6−ジメチル−チオペンタレン−4−オールの合成
機械的撹拌器を備えた2L丸底フラスコにマグネシウム粉末(29g,1.2mo
l)を加え、THF(20mL)で覆った。その後鱗片状物をヨウ素の結晶5個とジブロ
モエタン(1.5mL)を用いて活性化した。活性化が終了したのち、THFを除去し、
新鮮なTHFと入れ替えた。THF(1L)中に3,4−ビス−クロロメチルチオフェン(
42.8g,205mmol)を含む溶液を滴加し、さらに18時間撹拌した。THF(220mL)中
にメチルベンゾエート(29g,213mmol)を含む溶液を高速撹拌した溶液に滴加し
、混合物をさらに5時間撹拌した。その後反応混合物をTHF/水混合物を加え
ることにより失活させた。H2O(200mL)を加え、有機画分を乾燥ジエチルエーテ
ルで集めた。有機層はMgSO4で乾燥、ろ過したのち、溶媒を真空下で除去して57
%の所望の生成物を含む明橙色の油61.9gを得た。(71%単離収率)
c.4−フェニル−2,6−ジメチル−チオペンタレンの合成
還流冷却器を備えた2L丸底フラスコ中に、トルエン(100mL)に溶解され
た、脱水されるアルコール(45.9g)を入れた。パラトルエンスルホン酸1水和
物(1.6g)および1gのアンバーライトIR-120を加えた。内容物を4時間還流さ
せながら加熱し、次いでフラスコと内容物を室温に冷却した。有機層を回収し、
H2Oで繰り返し洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過したのち、溶媒を回転蒸発により
除去し、暗褐色の油41.45gを得た。
d.ビス(4−フェニル−2,6−ジメチルチオペンタレン)ジルコニウムジク
ロライドの合成
撹拌棒および側枝を備えた100mL丸底フラスコに4−フェニル−2,6−
ジメチル−3−エン(b)チオフェンを含む80%混合物
(2.8g,10mmol)を加えた。コンプレックスを乾燥ジエチルエーテル(50mL)に
溶解し、次いでn−ブチルリチウム(12.5mmol,2.5M溶液の5mL)を室温にて滴
加した。混合物を1時間撹拌し、明橙色の固体沈澱物を生じ、それを真空で溶媒
を除去することにより集めた。四塩化ジルコニウム(1.16g,5mmol)を加え、固
体をペンタン(50mL)中に懸濁した。反応混合物を18時間撹拌し、次いで固体
をろ過により回収し、新鮮なペンタンで洗浄したのち、真空中で乾燥した。この
方法により回収した固体の一部をトルエンに溶解し、ろ過した。その後トルエン
を真空で除去し、暗赤色のガラス状でさらさらした固体1.38gを集めた。
実施例12
ビス(4−フェニル−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロ
ライドでのプロピレン重合
250mLガラス製反応器をトルエン100mLで充満させた。ビス(4−フェニル
−2,6−ジメチル−チオペンタレン)ジルコニウムジクロライド(5mg)およ
びMAO(5mL,トルエン中10重量%)を加えた。反応器を密閉し圧力をプロピ
レンガスで4バールに上昇させた。温度は重合中40℃に制御した。1時間後、反
応器から窒素を除去し、溶液を30%(v/v)HCl(37重量%)および30%メタノールを
含む水溶液で冷却した。水溶性トルエン物質をろ過したのち、溶媒を真空中で除
去した。収量:300mgポリマー。%m=75.4;η=512(NMRによる)。
実施例13
ジメチルシリルビス(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペン
タレン−4−イル)ジルコニウムジクロライドの製造
a.1−フェニル−2−メチルピロールIの合成
ヘキサン(80mL)に1−フェニルピロール(0.695mol,100g)およびTMEDA
(0.700mol,106mL)を含む混合物にブチルリチウム(0.700mol,ヘキサン中2.5M
溶液の280mL)を室温にてゆっくりと加え、3時間撹拌した。スラリーをTHF300m
Lで希釈し、ヨードメタン(0.771mol,48mL)をゆっくりと温度を35〜40℃に保ち
ながら加えた。室温にて16時間撹拌したのち、水250mLを加え、有機層を分離
した。水層をエーテル(2x100mL)で抽出し、合わせた有機画分をMgSO4で乾燥
した。ろ過したのち、溶媒およびTMEDAを蒸発させ、明褐色の油107gを得た(収
率98%、GCでの純度+95%)。
b.1−フェニル−5−メチル−2−ピロロカルボキアルデヒドIIの合成
DMF37mLにPOCl3(0.375mol,35mL)を滴加し、10分間撹拌した。温度を
0℃にさげてIの混合物(55g,約0.340mol)およびDMF(7mL)を滴加した。粘
性水溶液をゆっくりと50℃まで温め、1時間撹拌した。室温まで冷却したのち、
フラスコを開放して空気をいれ、砕いた氷350gで充填した。NaOHの20重量%溶液
(430mL)を慎重に加え、混合物をただちに90〜95℃まで熱し、10分間撹拌した
。フラスコを氷漕に置き、冷却して生成物を固化した。固体はろ過漏斗にて集め
、水洗し、ジクロロメタン中に再び溶解し、MgSO4で乾
燥した。ろ過した後、溶媒を蒸発させ、薄茶色の固体38g(収率60%)を得た。1H-
NMRでは粗生成物が、1−フェニル−5−メチル−2−ピロールカルボキアルデ
ヒドと1−フェニル−2−メチル−3−ピロールカルボキアルデヒドの約4:1
の混合物であることが示された。分光的に純粋な1−フェニル−5−メチル−2
−ピロールカルボキアルデヒドがエーテルからの再結晶により得られた。
2つのアイソマーの帰属は、NOESY NMR実験により確認した。
c.エチルβ−(1−フェニル−2−メチルピロール−5−イル)メタクリレー
ト(III)の合成
トリエチル2−ホスホノプロピオネート(93.3mmol,20mL)をTHF(15mL)
で希釈し、0℃にてゆっくりと、THF(40mL)中のNaH(130mmol,3.16g)に加え
た。撹拌はガス発生が停止したのち室温にて30分間行った。温度を-10℃にさげ
てTHF50mL中の(II)(86.5mmol,16.0g)の溶液を滴加した。フラスコおよび内
容物を30分間にわたって室温まで温め、電磁撹拌器から分離した濃縮沈澱物を得
た。NH4Cl飽和溶液(50mL)を慎重に加え、沈澱物を溶解した。THFを蒸発させた
のち、粗生成物をエーテル(2x100mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾
燥し、ろ過および蒸発させて褐色の油を得た。
収量:分光的に純粋な生成物22.5g(96.5%)。
d.エチルβ−(1−フェニル−2−メチルピロール−5−イル)イソブチレー
ト(IV)の合成
エタノール(50mL)中の(III)(10g,37mmol)溶液を、300mgの炭素上10
%Pdとともに室温下、水素圧3.5バールにて1時間撹拌した。ろ過した黄金色の
溶液を蒸発させ、黄色シロップ状のエチルβ−(1−フェニル−2−メチルピロ
ール−5−イル)イソブチレート(9.4g,GCでの純度95%)を得た。
e.エチルβ−(1−フェニル−2−メチルピロール−5−イル)イソブチル酸
(V)の合成
(IV)(粗油9.4g,約33mmol)とClaisenの試薬(18mL)の混合物を1時間
90〜95℃で熱した。室温まで冷却したのち、溶液を破いた氷15gで希釈し、6N HC
lでpH1〜2に酸性化した。褐色油性沈澱物をエーテルに溶解し、ブライン溶液で
洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過、蒸発させてワックス状固体を得た。固体をペン
タンで粉砕するこ
とによりVの黄褐色粉末6.6gを得た。(収率84.7%)
f.1−フェニル−5,6−ジヒドロ−2,5−ジメチル−シクロペンタ[b]
アザフェン−4−オン(VI)の合成
ジクロロエタン(45mL)中の(V)(25mmol,6.0g)の溶液を85〜90℃で8
7%PPA 100gにゆっくりと加え、3時間撹拌した。混合物は室温に冷却され、
砕いた氷200gを加え、PPAがすべて溶解するまで撹拌した。低いほうの有機層
を分離し水性層をジクロロエタンで抽出した。合わせた有機画分はK2CO3、ブラ
イン溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過、蒸発させて油を得、それを16時間
放置して固化した。固体はヘキサン/エーテルで粉砕し、真空下で乾燥した。白
色粉末2.85g(51%)を得た。
g.ケトンのヒドラゾン(VII)の合成
ケトン(VI)(31mmol,7.0g)、p−トルエンスルホンヒドラジド(36mmo
l,6.7g)およびp−トルエンスルホン酸1水和物(6.3mmol,1.2g)を無水エタノ
ール50mLに溶解し、65℃で24時間撹
拌した。室温に冷却して数時間放置したのち、沈澱した生成物をろ過漏斗にて集
め、エーテルで洗浄し、真空中で乾燥した。(収量5.0g)。溶媒をろ液から除去
し、さらなる生成物1.2gを油性残留物のエーテル/トルエン溶液から結晶化した
。全収量:6.2g(51%)の薄灰色粉末。
h.1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン(VIII)の合成
ヒドラゾン(VII)(12.7mmol,5.0g)をTHF20mL中でスラリー化し、0℃
に冷却し、ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M BuLi,10.6mL)2.1当量で処理した
。混合物を室温までゆっくりと温め、さらに10mLのTHFを加えると黒っぽい溶液
を得た。2時間後、沈澱物が形成され、さらなる沈澱物にエーテル(約30mL)
を加えた。固体は密閉したろ過漏斗にて集められ、エーテルで洗浄し、真空中で
乾燥した(7.5g)。湿ったCDCl3でプロトン化された粗生成物の1H-NMRは、2つ
のアイソマーを示した。固体をヘキサン(100mL)中に懸濁し、NH4Cl飽和溶液で
処理した。ヘキサン層を分離し、MgSO4で乾燥し、ろ過、蒸発させて油(収量1.0
g、GC/MSによる純度85%)を得た。油のプロトンNMRは1つのアイソマーを示
した。
(i)ジメチルシリルビス(4−フェニル−2,5−ジメチル−4−アザペンタ
レン)(IX)の合成
1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン(7.18mmol,1.5g
)をエーテル(40mL)中に溶解し、-78℃に冷却し、ブチルリチウム7.5mmol(ヘ
キサン中2.5M溶液の3mL)で処理した。溶液を室温まで温め、2時間撹拌した
。沈澱したリチウム塩を密閉した密閉したろ過漏斗で集め、ペンタンで洗浄し、
真空中で乾燥した。塩(700mg)をTHF(40mL)中に再び溶解し、-78℃に冷却し
、ジクロロジメチルシラン0.2mL(1.63mmol)を気密シリンジで注入した。溶液
を55℃に熱し、16時間撹拌した。溶媒は真空中で除去し、粗生成物をさらに精製
せずに使用した(リガンドをアイソマーの混合物として得た)。(ii)ジメチルシリルビス(4−フェニル−2,5−ジメチル−4−アザペン
タレニル)ジルコニウムジクロライド(X)の合成
エーテル(20mL)中に生成物(IX)(1.1g)を溶解し、-78℃に冷却し、
ブチルリチウム4.8mmol(ヘキサン中2.5M溶液の1.9mL)で処理した。溶液を室
温に温め、16時間撹拌した。沈澱したジアニオンを密閉したろ過漏斗にて回収し
、ペンタンで洗浄し、真空中で乾燥して黄褐色粉末を得た(0.7g)。ジアニオン
を0.32gのZrCl4と混合し、-78℃に冷却し、冷ジクロロメタン(-78℃)20mLで処
理した。フラスコと内容物をゆっくりと室温まで温め、4時間撹拌し、ろ過した
。ろ液は蒸発させて褐色のさらさらした粉末を得、さらに精製せずに重合試験に
使用した。
実施例14
ジメチルシリルビス(4−フェニル−2,5−ジメチル−4−アザペンタレン−
4−イル)ジルコニウムジクロライドでのプロピレン重合
プロピレン重合は間接的に結合した電磁撹拌器、内部温度プローブおよび
外部温度漕を用いて250mLガラス製反応器中にて行った。反応器をトルエン100mL
で充填した。トルエン5mL中の10mgのXを3mLのMAO(Witco Corp製トルエン中10
重量%,Al4.7重
量%)と混合し、反応器内に充填して25℃で撹拌した。反応器はプロピレンで4
バールに加圧し、温度を50℃にした。重合反応は圧力を放出し、酸性化メタノー
ル5mLを注入することにより、1時間後に停止させた。反応器の内容物は数分間
激しく撹拌することにより酸性化メタノール溶液へ移した。有機画分を分離して
水洗したのち溶媒を蒸発させ、ポリマーを真空中、穏やかな熱下にて乾燥した。
収量=さらさらした粉末15g(Mw=47,000、DSC融点=153℃、13C-NMRmrrmペンタッ
ド=0.6mol%)。
実施例15
ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレン)(2−メチルインデン)ジ
ルコニウムジクロライドの合成
a.ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレン)クロライドの合成
枝、攪拌棒、および125mLの滴下ロートを備えた丸底500mLフラスコ中に、
THF(70mL)中に溶解された31.9g(100mmol)の非対称なチオペンタヒドラジン
を加えた。N−ブチルリチウム(250mmol、2.5Mヘキサン中溶液の100mL)を滴下
して加えた。滴下が終了した後、反応をさらに5時間攪拌させた。その後反応を
、250mmolの水(50mLのEt2O中の4.5mL H2O)で失活させた。有機層をEt2Oで集め
、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、次いで回転式に蒸発させて暗茶色油を得
た。
結果: 面積%
BTR 7.6%
PM=136 79.6%
ATR 12.8%
枝、攪拌棒、および60mLの滴下ロートを備えた丸底250mLフ
ラスコ中に、THF(15mL)中に溶解された上記で製造されたオレフィン(10g、73
.5mmol)を加えた。N-ブチルリチウム(73.5mmol、2.5Mヘキサン中溶液の29.4mL
)を滴下して加え、反応を16時間攪拌した。次いで溶媒を真空下で除去し、固体
をペンタンで洗浄した。125mLの滴下ロートを備えた別の500mLフラスコ中で、TH
F(30mL)中に溶解させたジメチルジクロロシラン(19.3g、150mmol、18.2mL、1
.5当量)を製造した。上記で製造したアニオンをTHF(125mL)中に溶解させ、滴
下してシラン溶液に添加した。反応混合物は滴下が完了した後、30分間攪拌し、
次いで溶媒を真空下に除去した。橙色固体を有する橙色油が回収された。
b.ジメチルシリル(2−メチルインデニル)(2−メチルチオペンタレン)の
製造
枝、攪拌棒、および60mLの滴下ロートを備えた丸底250mLフラスコ中に、T
HF(70mL)中に溶解された2-メチルインデン(13g、100mmol、Boulderにより製
造された生成物)を加えた。N-ブチルリチウム(100mmol、1.6Mヘキサン中溶液
の40mL)を滴下して室温で加えた。滴下が終了した後、フラスコおよびその内容
物をさらに2時間攪拌させた。ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレン)ク
ロライドを含有するTHF(30mL)溶液を、室温で滴下して加えた。攪拌を1時間
継続し、その後反応を30%水/THF混合物の30mLで失活させ、回転式蒸発により濃
縮し、サンプルを分析用に提出した。
全反応生成物のGCの結果:
BTR 0.7
PM=130 61.9%(2−メチルインデン出発原料)
MTR 1.6%
PM=322 31.7%(目的物)
ATR 4.1%
この物質のさらなる精製は、ジクロロメタン/Me0Hから再結晶することにより行
なった。この方法で回収された固形物質は、次いで回転減圧蒸発器で乾燥した。
結果:
BTR 0.7(面積%)
PM=130 10.2
MTR 27.6
PM=322 48.5
PM=328 6.3
ATR 6.4
c.ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレン)(2−メチルインデン)ジル
コニウムジクロライドの製造
枝および攪拌棒を備えた250mLのフラスコ中に、THF(70mL)中に溶解させ
たジメチルシリル(2−メチルインデニル)(2−メチルチオペンタレン)リガ
ンド(3.1g、9.6mmol)を添加した。温度を-30℃に低下させ、n−ブチルリチウ
ム(20mmol、2.5Mヘキサン中溶液の8mL)を滴下して加えた。反応を2時間攪拌
させ、その後溶媒を真空下に除去し、この仕方で集められたジアニオンを新鮮な
ペンタンで洗浄し、次いで真空で乾燥した。ジアニオンをドライボックス中に入
れ、ZrCl4(2.23g、9.6mmol)を乾燥した粉末として加えた。固体を次いで新鮮
なペンタン(70mL)中に懸濁させ、16時間攪拌した。次いで溶媒を外にこぼし、
次
いで固体を真空下に乾燥した。固体を次いでジクロロメタン中に溶解させ、ろ過
した。ジクロロメタンを次いで真空下に除去して、固体を新鮮なペンタンで洗浄
した。固体を再び真空下で乾燥し、次いでトルエンに溶解させ、ろ過した。トル
エンを真空下に除去して1.6gの暗茶色でさらさらな固体を回収した。
実施例16
ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレン)(2−メチルインデン)ジルコニ
ウムジクロライドでのプロピレン重合
250mLのガラス反応器中にトルエン(100mL)、触媒(40mg)およびMAO(8
mL、トルエン中10重量%)を導入した。反応器を封入し、ついでプロピレンで置
換し、圧力を4バールに上昇させた。重合反応は、60℃で1時間調整された。反
応器は次いで窒素で置換され、酸性メタノール溶液を反応器の含有物を失活させ
るために用いた。有機層を集め、水で洗浄し、次いで真空下に乾燥した。収量:
38g白色非粘着性でさらさらなポリマー。
250mLのガラス反応器中にトルエン(100mL)、触媒(5mg)および5mLのM
AO(トルエン中10重量%)を導入した。反応器を封入し、ついでプロピレンで置
換し、圧力を4バールに上昇させた。重合反応は、60℃で1時間調整された。反
応器は次いで窒素で置換され、酸性メタノール溶液を反応器の含有物を失活させ
るために用いた。有機層を集め、水で洗浄し、次いで真空下に乾燥した。収量:
13g白色非粘着性でさらさらなポリマー:%m=84.6、Mn=1132(NMR末端基分
析による)。
実施例17
ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレニル)(1−フェニル−2,
5−ジメチル−1−アザペンチレニル)ジルコニウムジクロライドの製造
a.チオ(c)ペンタ−4−メチル−5−ジメチルシリルクロライドの製造
枝、攪拌棒、および25mLの滴下ロートを備えた丸底250mLフラスコ中に、3
0mLのジエチルエーテル中に溶解された6.18g(45.4mmol、6mL)の2−メチルチ
オペンタレン(2-MeTp)を加えた。溶液の温度を-78℃に下げ、50mmolのN-ブチ
ルリチウム(20mL、2.5Mヘキサン中溶液)を加えた。溶液を室温まで温め、次い
でさらに2時間攪拌させた。黄色の固形沈殿物(アニオン、2-MeTpのリチウム塩
)が反応フラスコ中で生成し、それを-78℃に冷却した。20mLのジエチルエーテ
ルに溶解させた11.7g(91mmol)のジメチルジクロロシランを攪拌された反応混
合物に滴下して加えた。フラスコおよび内容物を室温にまで温めさせ、さらに18
時間攪拌した。素反応混合物を次いでろ過し、溶媒を真空下に除去して暗橙色油
を製造した。収量:10.45g:
b.ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレン)(1−フェニル−2,5−ジ
メチル−1−アザペンタレン)の製造
枝および攪拌棒を備えた250mL丸底フラスコ中に、30mLジエチルエーテル
中に溶解させた1.86g(6.4mmol)の1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザ
ペンタレンのリチウム塩(先に製造)を添加した。30mLジエチルエーテル中に溶
解された1.46g(6.4mmol)のチ
オ(c)ペンタ−4−メチル−5−ジメチルシリルクロライドの溶液を室温でゆ
っくり添加し、さらに48時間攪拌した。反応を次いで10%水/THF含有溶液で失活
させ、有機層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、次いで溶媒を真空で
除去した。収率:3.23gの暗茶色油:
c.ジメチルシリル(2−メチルチオペンタレニル)(1−フェニル−2,5−
ジメチル−1−アザペンチレニル)ジルコニウムジクロライドの製造
枝および攪拌棒を備えた250mLの丸底フラスコ中に、50mLのジエチルエー
テル中に溶解させた2.8g(7mmol)のジメチルシリル(2−メチルチオペンタレ
ン)(1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン)リガンド(上記
で製造)を添加した。滴下してN-ブチルリチウム(14mmol、2.5Mヘキサン中溶液
の6mL)を加え、粗反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。次いで溶媒を真
空下に除去し、残留した固体をペンタンで洗浄した。ジルコニウムテトラクロラ
イド(1.63g、7mmol)を固体として添加し、次いで固形混合物を70mLの新鮮な
ペンタン中に懸濁させた。反応フラスコ中の内容物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発
させ、この仕方で集めた固体をトルエン中に懸濁させ、ろ過し、トルエンを真空
で除去して660mgの明茶色のさらさらな固体(異性体の混合物、rac/meso)を得
た。
実施例18
ジメチルシリル(2−メチルチオペンタイル)(1−フェニル−2,5−ジメチ
ル−1−アザペンチレン−イル)ジルコニウムジクロライドでのプロピレン重合
:
250mLのガラス反応器中に100mLのトルエン、5mgの触媒および5mLのMAO
(10%)を導入した。反応器を封入し、ついで圧力を4バールに上昇させる前に
プロピレンで置換した。重合反応は、50℃で1時間調整された。反応器は次いで
窒素で置換され、酸性メタノール溶液を反応器の含有物を失活させるために用い
た。有機層を集め、水で洗浄し、次いで真空下に乾燥した。収量:22.8gポリマ
ー。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年11月6日(1998.11.6)
【補正内容】
有機金属配位化合物からなる。ここで、リガンド系は、少なくとも1つのヘテロ
原子を含有する1またはそれ以上の基と結合した、少なくとも1つの6π電子中
心基を含有している。
この発明のメタロセン類は、式(I):
[式中、
(1)Yは、直接Meに配位している6π電子中心基を含有する配位基であり、B、
N、O、Al 、P、S、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、SbおよびTeから選択される少な
くとも1つの非炭素原子を含有する1またはそれ以上の環がそれに縮合している
;
(2)R”は、YとZ基の間の2価の橋かけであり;
(3)Zは、Yと同じ意味を有する配位基または開放(open)ペンタジエニル含有
基、シクロペンタジエニル含有基、ヘテロ環式シクロペンタジエニル含有基、窒
素含有基、リン含有基、酸素含有基もしくは硫黄含有基であり;
(4)Meは、元素の周期表の3、4、5、6族またはランタニドもしくはアクチニ
ド系に属する元素であり;
(5)Qは、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和アルキル基、アリール基
、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはハロゲン原子であり;
(6)Pは、安定な非配位または擬似的非配位している対イオンであり;
(7)iは、0または1の値を有する整数であり;
(8)jは、1〜3の値を有する整数であり;
(9)jjは、0〜2の値を有する整数であり;
(10)kは、1〜3の値を有する整数であり;
(11)lは0〜2の値を有する整数である]
前および/または反応条件を安定化する前に予備重合するのに使用してもよい。
この発明はまた、各々異なったポリマーのタイプ用にデザインされた式(I)の
メタロセンを1またはそれ以上のモノマーと接触させることにより、異なるタイ
プのポリマーの均質ブレンドを作るのに実施することもできる。
この発明を実施するのに好ましい応用としては、他の付加重合可能なモノ
マーのポリマーおよびコポリマーはもちろん、ポリエチレン、ポリエチレンコポ
リマー、アイソタクチック、シンジオタクチック、ヘミ-アイソタクチックもし
くはアタクチックポリプロピレン、またはそれらの混合物、ポリプロピレンコポ
リマーの製造にある。
発明の詳細な説明
この詳細な説明において、以下の定義を使用する:
「中心基」は、シクロペンタジエン、インデンまたはフルオレン中の5員環のよ
うな、遷移金属に直接配位している6π電子基を意味し;
「HCy」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する結合した基を有する中心の
6π電子基を含有するリガンドを意味し;
「Cp」は、シクロペンタジエニル環を意味し;
「HCp」は、1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するCp環を意味し;
「Op」は、すべてシス配置である5つの原子を有し、かつその5つの原子上で非
局在化した6π電子を有する開放(open)ペンタジエニルリガンドを意味し;「p」は、アニオンまたは対イオンを意味し、2つの用語は同意語なので、相互 に交換可能である。
接頭辞「h-」は、中央の5員環とヘテロ環式縮合環を有する芳香環系の
一付加の配向をコントロールしているβまたは遠位の置換基を有すること、さら
にメタロセンの立体配置がタクチオ選択性を決定することに特徴がある。
この発明のメタロセン類は、立体的に非固定/立体的に非ロックされ、立体的
に固定/立体的に非ロックされ、立体的に非固定/立体的にロックされ、立体的
に固定/立体的にロックされ、またはそれらの混合のいずれかであってもよい。
立体的な固定性は、式(III)および(IV)のメタロセン類[すなわち、一般式
(I)においてi=1、jj=1およびj=1]を形成するために2つの配位基を連結する
化学的な橋かけにより、この発明のメタロセン類に分け与えられる。橋かけ基は
2つの配位基が構造的に異性化または回転するのを防ぐかまたは、おおいに制限
している。
出願人は、メタロセン類を相対的な立体的サイズにコントロールすること
により、統計的にコントロール可能な欠点を生じたポリマーに挿入する触媒を形
成させることができることも、また見出している。出願人は、この発明の触媒は
ヘミ-アイソタクチックポリマーを製造するように設計されうることも、また見
出している。出願人は、この発明のメタロセンの存在下にモノマーを重合するこ
とにより、または先行技術の触媒と組み合わせてこの発明の触媒の存在下にモノ
マーを重合することにより、異なる特性を有するポリマーの完全な混合物を製造
することができることも、また見出している。
その分野において、用語「メタロセン」は、2つのシクロペンタジエニル
含有リガンドが中心の金属原子に配位しているかまたは中心の金属原子を「間に
はさんでいる(サンドイッチされている)」有機金属配位化合物[ここで、Cp環
のすべての5つの中心は金属配位に関係している]を意味する。金属原子は遷移
金属または遷移金属ハライド、アルキルハライドもしくはアルコキシドであって
もよい。そのような構造は、
請求の範囲
1.式(I):
[式中、
(1)Yは、直接Meに配位している6π電子中心基を含有する配位基であり、B、
N、O、Al 、P、S、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、SbおよびTeから選択される少な
くとも1つの非炭素原子を含有する1またはそれ以上の環がそれに縮合している
;
(2)R”は、YとZ基の間の2価の橋かけであり;
(3)Zは、Yと同じ意味を有する配位基または開放ペンタジエニル含有基、シク
ロペンタジエニル含有基、ヘテロシクロペンタジエニル含有基、窒素含有基、リ
ン含有基、酸素含有基もしくは硫黄含有基であり;
(4)Meは、元素の周期表の3、4、5、6族またはランタニドもしくはアクチニ
ド系に属する元素であり;
(5)Qは、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和アルキル基、アリール基
、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはハロゲン原子であり;
(6)Pは、安定な非配位または擬似的非配位している対イオンであり
(7)iは、0または1の値を有する整数であり;
(8)jは、1〜3の値を有する整数であり;
(9)jjは、0〜2の値を有する整数であり;
(10)kは、1〜3の値を有する整数であり;
(11)lは0〜2の値を有する整数である]
のメタロセン。
5.iが1であり、jが1であり、ZがYと同じ意味を有する請求項1のメタロ
セン。
6.iが1であり、jが1であり、ZがCp含有基、開放ペンタジエニル含有基、
窒素含有基、リン含有基、酸素含有基または硫黄含有基である請求項1のメタロ
セン。
7.基Zが開放ペンタジエニル含有基であり、それが式(V):
[式中、Gは、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子またはリン原子であり;
Lは、CR3R3'基、SiR3R3'基、NR3”基、PR3”基、酸素原子または硫黄原子であ
り、L'はCR4R4'基、SiR4R4'基、NR4”基、PR4”基、酸素原子または硫黄原子で
あり;
R2、R3、R3'、R3"、R4、R4'、R4"およびR5は、同一または互いに異なり、水素、直鎖状
もしくは分岐状C1〜C20炭化水素基、直鎖状もしくは分岐状C1〜C20ハロ炭素基、
C1〜C20ハロ炭化水素基、C1〜C20アルコキシ基、C3〜C12シクロ炭化水素基、C3
〜C12シクロハロ炭化水素基、C6〜C20アリール基、C7〜C20アルキルアリール基
、C7〜C20アリールアルキル基、ケイ素炭化水素基、ケルマニウム炭化水素基、
リン炭化水素基、窒素炭化水素基、ホウ素炭化水素基、アルミニウム炭化水素基
またはハロゲン原子であり;
R2およびR3、R3'もしくはR3”ならびに/またはR5およびR4、R4'もし
くはR4”は共に、4〜6員環または6〜20縮合環系を形成してもよく;
R3、R3'またはR3”およびR4、R4'またはR4”は共に連結され、6π電子中心基の
5貞の原子中心が7から20員環系の一部であってもよい]
の基からなることを特徴とする請求項1のメタロセン。
8.iが1であり、jが1であり、jj=1 であり、YまたはZのいずれかの上のβ置
換基の少なくとも1つが水素またはフッ素原子より立体的に大きいバルキーな基
である請求項1のメタロセン。
9.iが1であり、jが1であり、YおよびZの両方が左右相称的または擬似左右
相称的に対称であり、YまたはZが水素より大きいβ置換基を少なくとも1つ有す
る請求項1のメタロセン。
10.iが1であり、jが1であり、YおよびZの一方または両方が左右相称的また
は擬似左右相称的に対称ではなく、YまたはZが水素より大きいβ置換基を少なく
とも1つ有する請求項1のメタロセン。
11.Csまたは擬似Cs対称性を有する請求項10のメタロセン。
12.式(II):
[式中、
(1)Yは、直接Me[請求項1で定義したとおり]に配位している6π電子中心基
を含有する配位基であり、B、N、O、Al 、P、S、Ga、Ge、As、Se、In、Sn、
SbおよびTeから選択される少なくとも1つの非炭素原子を含有する1またはそれ
以上の環がそれに縮合している;
(2)R”は、YとZ基の間の2価の橋かけであり;
(3)Zは、Yと同じ意味を有する配位基または開放ペンタジエニル含有基、シク
ロペンタジエニル含有基、ヘテロシクロペンタジエニル含有基、窒素含有基、リ
ン含有基、酸素含有基もしくは硫黄含有基であり;
(4)iは、0または1の値を有する整数であり;
(5)jは、1〜3の値を有する整数であり;
(6)jjは、0〜2の値を有する整数である]
のリガンド。
13.一請求項1から11のいずれか一つに記載のヘテロ環式メタロセンおよび
−トリアルキルアルミニウム、トリアルキルオキシアルミニウム、ジアルキルア ルミニウムハライド、アルキルアルミニウムジハライドおよびアルモキサンから なる群から選択される
適当な助触媒
との反応生成物からなる、付加重合可能なモノマーの重合用触媒系。14 .
請求項13に記載の触媒系の少なくとも一つを、少なくとも一つの付加重合可
能なモノマーと接触させることからなる付加重合可能なモノマーを重合する方法
。15 .
該メタロセンをモノマーと接触させる前または後のいずれかに、該触媒系に
含有されるメタロセンを適当な助触媒と接触させることからなる請求項14の方法
。16 .
以下の工程:
a)該触媒系を少量の該付加重合可能なモノマーと接触させて予備重合さ
れた触媒を形成すること、
b)工程(a)で得られた予備重合された触媒を該付加重合可能なモノマーと接触
させること
からなる請求項14の方法。17 .
ポリエチレン、アイソタクチック、シンジオタクチック、ヘミ-アイソタ
クチックもしくはアタクチックなポリプロピレンまたはそれらのコポリマーの製
造用の請求項14の方法。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07F 7/10 C07F 7/10 Q
19/00 19/00
C08F 4/642 C08F 4/642
10/00 10/00
// C07F 7/00 C07F 7/00 A
(72)発明者 ジョーンズ ロバート エル ジュニア
イタリア、フェラーラ アイ―44100、ヴ
ィア カルロ メイ、110
(72)発明者 ドビツキー ユーリ エー
イタリア、ミラノ アイ―20159、ヴィア
バラッシーナ、45