【発明の詳細な説明】
横型バイポーラ電界効果モード・ハイブリッド・トランジスタとその方法技術分野
本発明は、半導体デバイスおよびこのデバイスに対する方法に関する。技術の現状
高電圧バイポーラ・トランジスタを製造するために、現在は、エピ層と呼ばれ
るエピタクシャル層の中に配置されそして垂直型モードで動作するトランジスタ
に基づく技術が用いられている。換言すれば、シリコン・オン・インシュレータ
(SOI、Silicon-On-Insulator)と呼ばれる半導体基板からトランジスタを分
離する埋込み層に達するまで垂直方向にトランジスタのコレクタの欠乏状態が生
ずる。この方法は、欧州出願中特許公開番号第EP 0 623 951 A1号の、およ
びトルケル・アーンボーグ(Torkel Arnborg)およびアンドレフ・リットウイン
(Andref Litwin)名の名称「完全欠乏状態のコレクタを有する新規な高電圧バイ
ポーラ・シリコン・オン・インシュレータ・トランジスタの解析(Analysis of
New High-Voltage Bipolar Silicon-On−Insulator Transistor with Fully Dep
leted Collector)」の論文、IEEEトランスアクションズ・オン・エレクト
ロニック・デバイシィズ(IEEE Transactions onElectronic Devices)、第
42巻、第1号、1995年1月、に開示されている。第EP 0 623 951 A1号によ
り、このバイポーラ・トランジスタはまた、直列に接続されそして横の延長方向
に動作するJFETを有する。この方法の1つの大きな利点は、従来のバイポー
ラ・トランジスタに比べて理論的に達成できる面積領域利得である。欠乏状態に
されるべきコレクタの面積領域は、トランジスタのベース・コレクタ接合から埋
込み酸化物にまで広がっている。実際、この欠乏状態は、基板の電位と、エピ層
のドープ量と、特にエピ層の厚さとのような事項に強く依存する、1つの電圧で
起こることが示された。もしトランジスタが十分な安全度の余裕をもって製造さ
れるならば、このことは大きな面積領域利得が失われることを意味する。
米国特許第US 4,642,666号および米国特許第US 5,338,961号は、横方向に
動作し、そして例えば低いオン抵抗値のようなバイポーラ・トランジスタと同様
な性質を有する、MOSFETを開示している。高いブレイクスルー電圧が要求
されるバイポーラ・トランジスタの代わりに、このMOSFETを用いることが
できる。このMOSFETは、共通ゲートとドレイン面積領域とを備えた2個の
ソース領域を有する。適切な電圧がゲートに加えられる時、ゲートの下でソース
面積領域から中央面積領域に2個のチヤンネルが形成される。すると、ソース面
積領域からチヤンネルの1つを通ってドレイン面積領域に電流が流れることがで
きる。
米国特許第US 5,264,719号および米国特許第US 4,823,173号は、バイポー
ラ回路とMOS回路との両方に対し、横型ドリフト領域を改良するための技術を
開示している。この場合には、ブレイクスルー電圧の増加とオン抵抗値の減少と
が望まれている。このことは、横型ドリフト領域にわたって、ドリフト領域と同
じドープ材料でドープされている、ゲートを配置することにより達成される。
米国特許第US 4,409,606号および米国特許第US 4,292,642号は、半導体に
対するブレイクスルー電圧を増加し、そして同時に横方向の電流の集中(カーク
(Kirk)効果)を避けるために、異なる方法を開示している。ドリフト領域を薄
く作成しそして低いドープ濃度にすることにより、ブレイクスルーに対して要求
される電圧に比べて、ドリフト領域を欠乏状態にするのにさらに低い電圧が要求
される。
ベングト・エドホルム(Bengt Edholm)、ユルゲン・オルソン(Jorgen Olsson
)およびアンデルス・シェーデルベルヒ(Anders Soderbarg)(ウプラサ大学)
名の名称「薄いSOIの上の横型バイポーラ・トランジスタの基板バイアスによ
る非常に高い電流利得増強(Very High Current Gain Enhancement by Substrat
e Biasing of Lateral Bipolar Transistors on Thin SOI)」の論文、ジャーナ
ル・マイクロエレクトロニック・エンジニアリング(journal Microelectronic E
ngineering)、第22巻(1993年)379〜382頁には、ベースの中の電荷状態を変
えることに導く基板をバイアスすることにより、横型バイポーラ・トランジスタ
の利得を増加させる方法が開示されている。
ユルゲン・オルソン(Jorgen Olsson)、ベングト・エドホルム(Bengt
Edholm)、アンダース・シェーデルベルヒ(Anders Soderbarg)およびキール・
ボーリン(Kjell Bohlin)名の名称「DMOSトランジスタの高い電流利得のハ
イブリッド横型バイポーラ動作(High Current Gain HybridLateral Bipolar Ope
ration of DMOS Transistors)」の論文、ジャーナルIEEEトランスアクショ
ンズ・オン・エレクトロン・デバイシイズ(journal IEEE Transactions on Ele
ctron Devices)」、第42巻、第9号、1995年9月、1628〜1634頁には、従来
のDMOSに対してハイブリッド機能をどのように達成できるかを特に開示して
いる。発明の説明
高電圧の垂直型トランジスタの問題点は、基板電位に依存することを抑制する
ために、活性エピ層の下に約3μmという比較的に厚い酸化物層が必要であるこ
とである。このことは、エピタクシャル層の中のトランジスタからの熱の発散に
関する問題点が生ずる。エピ層にドープすることに応じて、エピ層の厚さおよび
抵抗率に関して、非常に高い精度がさらに要求される。さらに、製造業者にとっ
ては、精度に関する前記の要求を満たすことは困難である。本発明は、前記の問
題点に関係している。
また別の問題点は、耐電圧度と関連した予め定められた高い利得と、バイポー
ラ・コンポーネントの利得の外部制御と、を達成することである。
前記では説明しなかった新しい1つの問題点は、従来の種類の異なるコンポー
ネントのような、例えば横型バイポーラ・トランジスタからMOSへのような、
2つの異なるモードで動作するように組み立てることができる、半導体デバイス
をどのように製造するかである。
本発明の目的は、簡単に説明された従来の垂直型バイポーラ・トランジスタを
横型バイポーラ・トランジスタで置き換えることである。
また別の目的は、耐電圧度とトランジスタの動作モードの変更の可能性とに関
連して、横型バイポーラ・トランジスタを予め定められた高い利得で動作させる
ことである。
厚い埋込み酸化物を用いないで高電圧トランジスタを製造する際の問題点は、
中間の共通コレクタ領域を完全に欠乏状態にすることができるような相互の距離
に、エピタクシャル層表面により配置される、2個の対向するエミッタ/ベース
領域を用いることにより解決される。
与えられた電圧で欠乏状態が起こるが、しかし垂直型トランジスタとは異なっ
て、このことは横方向に起こり、そしてトランジスタが耐えることができる電圧
は、コンポーネントの中のドープされた領域の間の距離によって、例えばベース
/エミッタ接続体とドレイン接続体との間の距離によって、リソグラフィにより
決定される。
本発明の主要な利点は、欠乏電圧が基板の電位や、エピ層のドープ量、または
エピ層の厚さに依存しないことである。このことは、薄い酸化物を備えた安価な
SOI基板を用いることができることを意味する。
さらに別の利点は、垂直型バイポーラ・トランジスタが理論的に達成すること
ができる領域の利得を横型バイポーラ・トランジスタで実際に実施できることで
ある。
コンポーネントのまた別の利点は、耐電圧度とトランジスタの動作モードの変
更の可能性とに関連して予め定められた高い利得で、横型バイポーラ・トランジ
スタが動作できることである。
なおさらに別の利点は、多数個のセルを並列にしそれにより要求された出力負
荷容量を達成するように実施するのに、コンポーネントが比較的に単純であるこ
とである。
本発明は、下記で好ましい実施例を用いそして添付図面を参照して、さらに説
明される。図面の説明
図1は、技術の現状による1個の垂直型バイポーラ・トランジスタVBIP1
と2個の電界効果トランジスタJFET1、IGFET1の横断面図。
図2は、図1のトランジスタの回路図。
図3は、2個の横型バイポーラ・トランジスタLBIP1、LBIP2と、2
個の横型電界効果トランジスタLJFET1、LJFET2と、1個の垂直型バ
イポーラ・トランジスタVBIP2と2個の電界効果トランジスタVJFET2
、IGFET2とを有する2個の寄生回路とを備えた、本発明によるコンポーネ
ン
ト領域の平面図。
図4は、図3のトランジスタのいくらか単純化された等価回路概要図。
図5は、図3の構造体の横断面図であって、aは線A−Aに沿っての横断面図
、bは線B−Bに沿っての横断面図、cは線C−Cに沿っての横断面図。
図6は、図3の横型バイポーラ・トランジスタのベース領域の間の欠乏領域の
拡張を示した図。
図7は、本発明によるまた別の実施例の図。
図8は、本発明によるまた別の実施例のまた別の図。
図9は、図3のトランジスタ・デバイスの製造段階を示した図であって、aは
初期の段階の図、bはaの次の段階の図、cはbの次の段階の図、dはcの次の
段階の図。
図10は、利得を増しそしてトランジスタの動作モードを変える可能性とを増
すためのデバイスを備えた、図3による横型バイポーラ・トランジスタの横断面
図。
図11は、横方向の延長部で部分的に動作する、バイポーラ・トランジスタの
横断面図。好ましい実施例
図1は、技術の現状に従い、並列に接続された2個の電界効果トランジスタJ
FET1およびIGFET1と共に、直列に接続された垂直型NPNトランジス
タVBIP1の横断面図である。例えばシリコンのような半導体基板1は、二酸
化シリコンの電気的分離層2に酸化された上側表面を有する。層2の上に、単結
晶シリコンの比較的薄いディスク3が取り付けられる。この比較的薄いディスク
3は、トランジスタ・デバイスVBIP1、JFET1およびIGFET1に対
する活性層である。この活性層は比較的低濃度の負キャリアを有する。この負キ
ャリアは、図ではnで示されている。単結晶ディスク3の中で、取り囲む部分4
aおよび4bから分離層5により部品領域4の境界が定められる。分離層5は、
例えば、二酸化シリコンまたは逆バイアスされたPN接合により得ることができ
る。分離層5は、単結晶ディスク3の表面から分離層2にまで延長されており、
そしてトランジスタVBIP1、JFET1およびIGFET1を完全に取り囲
んでいる。したがってコンポーネント領域4は、基板1および単結晶ディスク3
の取り囲む部分4aおよび4bから電気的に完全に分離される。
トランジスタVBIP1は正キャリアがドープされたベース領域Bを有する。
この正キャリアは、図ではpで示されている。ベースBは、外部との電気的接続
のための接続体領域B1を有する。そしてこの接続体領域は、正キャリアが多量
にドープされたP+形の領域である。トランジスタVBIP1はベース領域Bの
中に、エミッタE1を有する。エミッタE1は、負キャリアが多量にドープされ
たN+形領域である。コンポーネント領域4の中で、トランジスタVBIP1は
またコレクタ領域K1を有する。トランジスタJFET1はベース接続体B1と
共通であるゲート接続体G1を有し、そしてそのソース接続体S1はトランジス
タVBIP1のコレクタ領域K1と共通である。多量にドープされたn+形領域
D1は、トランジスタJFET1のドレイン接続体を構成する。トランジスタI
GFET1はドレイン接続体D1とソース接続体S1に接続される。その際、ト
ランジスタJFET1と並列に接続され、そしてこれらの並列接続体が垂直型ト
ランジスタVBIP1とカスケードに接続される。トランジスタIGFET1の
ゲート接続体は半導体基板1である。
コンポーネント領域4は、例えば二酸化シリコンである分離層6で被覆される
。分離層6は、外部との電気的接続のための開口部7を有する。これらの開口部
7はそれぞれ、ベース接続領域B1、エミッタE1、およびドレイン領域D1と
に接続される。半導体基板1はさらに、外部電気接続体8に接続される。これら
の外部電気接続体の設計は周知であり、そして図面を不必要に複雑にしないため
に、これらの接続体は図1には詳細には示されていない。
図2は、並列に接続された電界効果トランジスタJFET1およびIGFET
1と、それらにカスケードに接続された垂直型バイポーラNPNトランジスタと
の概要図である。ベース接続体B1はトランジスタJFET1のゲート接続体G
1に接続され、そしてコレクタK1はソース領域S1に接続され、そしてトラン
ジスタIGFET1のゲート接続体Gsubは半導体基板1に接続される。ベース
接続体B1と、エミッタE1と、ドレイン接続体D1と、半導体基板1とのおの
おのは、それぞれの外部接続体8を有する。前記で説明したコンポーネントは、
本発明に対する接続体A1〜A4を備えた寄生群Tと考えることができる。図4
を見よ。
図1および図2のトランジスタVBIP1は、ベース領域Bの下側表面にPN
接合9を有する。外部接続体8に電圧VD、VE、VB、Vsubを接続することによ
り、このPN接合9を逆バイアスを加えそしてキャリアを欠乏状態にさせること
ができる。PN接合9と分離層2との間の領域DP1は比較的に低いドープ・レ
ベルを有し、そしてこの領域はまた比較的に小さな厚さを有する。したがって、
領域DP1の全体はキャリアが欠乏状態であり、ベース領域Bとドレイン領域D
1との間の電圧の大きな部分は、比較的に長い距離Lにわたって分配される。そ
の結果、欠乏領域DP1の中の電界強度EDは低い値が想定される。リサーフ技
術と比較せよ。この領域の中の電界強度は、約3×105V/cmであるシリコ
ンの臨界電界強度ECR以下に保つことができ、そしてこの領域の中の電流Iの電
流雪崩を防止することができる。
領域DP1は、ほんの数ボルトのドレイン電圧VDでキャリアが欠乏状態にな
る。このコンポーネント領域の中の電界強度の分布は、半導体基板1の電位Vsu b
により影響を受ける。このコンポーネント領域の中の電界強度の分布が原因と
なって、あまりにも低い電位でドレイン接続体で雪崩ブレークスルーを起こすこ
とがあり、またはあまりにも高い電位でエミッタとコレクタとの間で雪崩ブレー
クスルーが起こることがある。
図3は、本発明による半導体デバイスの平面図である。この半導体デバイスは
、並列に接続された2個の横型バイポーラNPNトランジスタLBIP1および
LBIP2と、並列に接続された2個の電界効果トランジスタLJFET1およ
びLJFET2とを有する。このデバイスの中にまた、垂直型バイポーラNPN
トランジスタVBIP2と2個電界効果トランジスタVJFET2およびIGF
ET2を有する2個の寄生回路が生ずる。トランジスタLBIP1、LBIP2
、LJFET1およびLJFET2だけが図3に示されていることに注意された
い。残りのコンポーネントは、下記の図5aに示されている。単結晶ディスク1
2の中にコンポーネント領域11が配置される。ここでコンポーネント領域は、
取り囲む部分から分離層13により境界が定められる。この実施例では、分離層
13
は例えば二酸化シリコン層により得られる。また別の分離層は、逆バイアスされ
たPN接合として得られる。
トランジスタLJFET1およびLJFET2は、負キャリアが多量にドープ
されたドレイン領域D2aを有する。この図では、ドレイン領域D2aはn+形
として示されている。バイポーラ・トランジスタの1つLBIP1はさらに第1
ベース領域14aを有し、および第2バイポーラ・トランジスタLBIP2は第
1ベース領域14aから分離された第1ベース領域14bを有する。ここでベー
ス領域14aおよび14bのおのおのはそれぞれ、外部接続体8に対してベース
接続体領域B2aおよびB2bを有する。これらの接続体領域のおのおのは、正
キャリアが多量にドープされたp+形である。トランジスタLBIP1およびL
BIP2のおのおのはそれぞれ、ベース領域14a、14bの中で、エミッタE
2aおよびE2bを有する。これらのエミッタは、負キャリアが多量にドープさ
れたn+形である。ベース領域14a、14bのおのおのの中で、エミッタE2
a、E2bはベース接続体領域B2a、B2bのところに配置される。ベース接
続体領域B2a、B2bまたはドレイン領域D2aのいずれもがそれぞれのベー
ス領域のエミッタE2a、E2bの間に配置されないように、ベース領域14a
、14bがコンポーネント領域11に並んで配置される。それぞれのベース領域
の中のベース接続体領域B2aおよびB2bがそれぞれ、ベース領域のそれぞれ
のエミッタE2a、E2bとドレイン領域D2aとの間に配置されるように、ド
レイン領域D2aがベース領域14aおよび14bの一方側に配置される。
ベース接続体B2a、B2bおよびエミッタE2a、E2bのおのおのは相互
に接続され、およびそれぞれの外部接続体8に接続される。ドレイン接続体D2
aはまた、外部接続体8に接続される。ベース領域14aと14bとの間の距離
は、少量のN形不純物が添加された共通コレクタ領域15を生ずるのには十分に
大きいが、しかし電圧VD2、VB2、VE2が外部接続体8に加えられる時、この共
通コレクタ領域を完全に欠乏状態にできる程には大きくない。
図4は、並列に接続された横型バイポーラ・トランジスタLBIP1およびL
BIP2と、並列に接続された横型電界効果トランジスタLJFET1およびL
JFET2と、電界効果トランジスタの共通ソース領域S2と一致するバイポー
ラ・トランジスタの共通コレクタ領域K2とを示した概要図である。さらに、す
べてのトランジスタのゲート接続体およびベース接続体が相互に接続される。横
型トランジスタLBIP1、LBIP2、LJFET1およびLJFET2と並
列に、多数個の寄生コンポーネントPが接続される。これらには、図2にしたが
って相互接続された2個の寄生群Tが含まれる。群のおのおののエミッタA1と
、ベース接続体A2およびドレイン接続体A3とが、横型トランジスタのそれぞ
れのエミッタE2a、E2bと、ベース接続体B2a、B2bとドレイン接続体
D2aとに相互に接続されるように、すべての群が接続される。さらに、群のお
のおのの基板接続体A4が半導体基板16に接続される。ベース接続体B2a、
B2b、エミッタE2a、E2b、ドレイン接続体D2aおよび半導体基板16
のおのおのは、外部接続体8を有する。
図5a〜図5cは、半導体基板16と、誘電的分離層17と、単結晶シリコン
の比較的に薄いディスク12とを備えた、半導体本体を示した図3とは異なる3
個の横断面図である。例えばシリコンである半導体基板16は、二酸化シリコン
の電気的分離層17に酸化された上側表面を有する。層17の上に、シリコンの
単結晶ディスク12が取り付けられる。単結晶ディスク12は、トランジスタ・
デバイスLBIP1、LBIP2、LJFET1、LJFET2、VBIP2、
VJFET1およびIGFET2の活性層を構成する。この活性層は、比較的に
低い濃度の負キャリアを有する。この負キャリアは、図ではnで示されている。
単結晶ディスク12の中において、コンポーネント領域11が取り囲む部分11
aおよび11bから分離層13により境界が定められている。分離層13は、単
結晶ディスク12の表面から分離層17まで延長されており、そしてトランジス
タLBIP1、LBIP2、LJFET1、LJFET2、VBIP2、VJF
ET1およびIGFET2を完全に取り囲んでいる。この結果コンポーネント領
域11は、基板16および単結晶ディスク12の取り囲む部分11aおよび11
bから電気的に完全に分離される。
図5aは、図3の線A−Aに沿った、横型トランジスタLBIP1の2個のベ
ース領域14aの1つを通る第1横断面の図である。ベース領域14aは正キャ
リアでドープされ、そしてこの正キャリアは、図ではpで示されている。前記で
説明したように、ベース領域14aは外部電気接続のための接続領域B2aを有
する。この領域は、正キャリアが多量にドープされたP+形である。トランジス
タLBIP1は、ベース領域14aの中に、エミッタE2aを有する。エミッタ
E2aは、負キャリアが多量にドープされたn+形である。コンポーネント領域
11の中において、横型電界効果トランジスタLJFET1はドレイン領域D2
aを有し、および横型バイポーラ・トランジスタのベース接続体B2aは電界効
果トランジスタLJFET1に対しゲート接続体としての役割を果たす。残りの
トランジスタVBIP2、VJFET2およびIGFET2は、図1に従うトラ
ンジスタ回路を構成する。
コンポーネント領域11は、例えば二酸化シリコンにより構成される分離層1
8により被覆される。分離層18は、外部電気接続体8のための開口部19を有
する。これらはそれぞれ、ベース接続体領域B2aおよびB2bと、エミッタE
2aおよびE2bと、ドレイン領域D2aとに接続される。半導体基盤16はさ
らに、外部電気接続体8に接続される。
図5aのトランジスタVBIP2は、ベース領域14aの下側表面にPN接合
20を有する。外部接続体8に電圧VD2、VE2、VB2、Vsubを加えることによ
り、PN接合20を逆バイアスすることができ、そしてキャリアを欠乏状態にす
ることができる。PN接合20と分離層17との間の領域21は比較的に低いド
ープ・レベルを有し、そしてまたこの領域は比較的に小さな厚さを有する。した
がって、領域21の全体はキャリアの欠乏した領域である。図1の先行技術と比
較されたい。
図5bは、図3の線B−Bに沿った、横型トランジスタのベース領域14aと
14bとの間の共通コレクタ領域15の第2横断面の図である。ドレイン接続体
D2aとベース接続体B2aおよびB2bとの間の正の電位差が加わると、ベー
ス領域14aと14bとの間の共通コレクタ領域15は欠乏状態になる。共通コ
レクタ領域の中では、横型バイポーラ・トランジスタLBIP1およびLBIP
2のコレクタK2は、横型電界効果トランジスタLJFET1およびLJFET
2のソースS2と一致する。
図5cは、図3の線C−Cに沿った、2個のベース領域14aと14bとそれ
ぞれのベース領域のエミッタE2aおよびE2bとの間の第3横断面の図である
。ベース領域の間には共通コレクタ領域15が存在し、そしてそれぞれのベース
領域の下には、図5aおよび図5bで説明されたような欠乏領域21が存在する
。外部電気的接続体に電圧が加えられる時、この領域は欠乏状態になる。重要な
ことは、そのエミッタ領域E2aと共にベース領域14aの寸法を定める時、エ
ミッタとベース領域の境界表面22との間の共通コレクタの領域に向かう最短距
離d1の上に集積された電荷が、エミッタとベース領域の下側表面20との間の
最短距離d2の上に集積された電荷よりも小さいことである。この集積された電
荷の値はグンメル(gummel)数?と呼ばれ、そして低いグンメル数はバイポーラ
・コンポーネントの高い利得を意味する。したがって、距離d1にわたる横方向
のグンメル数Glatは、距離d2にわたる垂直方向のグンメル数Gvertよりも小
さいと考えられる。
半導体デバイスの機能を変えないで、ベース領域の下側表面20が分離層17
と一致することができる。このことは、ベース領域14aおよび14bのおのお
のの下の欠乏領域21がなくなることを意味する。また別の実施例は、ベース領
域の下側表面20と分離層17との間の距離が十分に大きく、それらの間の領域
が欠乏状態になることができない、すなわち、欠乏領域21が分離層17の全部
には延長されない。このことが可能であるために、この領域の中の早期の雪崩ブ
レークスルーがコンポーネントの電圧耐久度を劣化させないように、ベースと分
離層との間の領域を十分に少量にドープしなければならない。
図6は横形トランジスタのベース領域14aと14bの間の欠乏領域の横方向
の伸張を示した図である。この伸張は2つの段階で示される。第1段階の伸張2
3は、それぞれのベース領域から共通コレクタ領域15の中への方向に起こる。
第2段階の伸張24は、ドレイン接続体D2aに向って横に横断する方向に起こ
る。
図7は本発明によるまた別の実施例の図であって、また別のベース領域14c
が付加されている。この場合には共通コレクタ領域15は、2つの分離された領
域に分割される。分割されたこれらの共通コレクタ領域は、隣接するベース領域
に共有される。
図1および図2によるまた別の寄生回路がこの新規なベース領域に対して得ら
れるが、半導体デバイスの機能は変わらない。ベース領域を付加する利点は、さ
らに大きな電流が、したがってさらに大きな電力が、この半導体デバイスを通っ
て流れることができ、そして新規なベース領域のおのおのはモジューラ設計にお
いて新規なセルと考えることができることである。
図8は本発明によるまた別の実施例の図であって、図3の半導体デバイスの対
称的配置の半導体デバイスをまた備えている。この場合、ベース領域25aおよ
び25bのおのおのは、2個のそれぞれのベース接続体B3a、B3bおよびB
3c、B3dと、1個のそれぞれのエミッタE3a、E3bと、2個のドレイン
接続体D2aおよびD2bとを有する。ベース領域25a、25bのおのおのに
おいて、ベース接続体領域またはドレイン領域のいずれもがそれぞれのベース領
域のエミッタの間に配置されないように、エミッタE3a、E3bがベース接続
体領域B3a〜B3dの間に配置され、そしてこれらのベース領域がコンポーネ
ント領域11の中に並んで配置される。ベース接続体領域B3a〜B3dの1つ
だけがそれぞれのベース領域のエミッタE3aおよびE3bとドレイン領域D2
a、D2bのおのおのとの間に配置されるように、ドレイン領域D2a、D2b
のおのおのがベース領域25aおよび25bの一方側に配置される。ベース接続
体、エミッタおよびドレイン接続体はおのおの個別に相互接続され、そしてそれ
ぞれの外部接続体8に接続される。ベース領域の間の距離は十分に大きくて、ベ
ース領域25aと25bとの間に共通コレクタ領域26が形成される。外部接続
体8に電圧VD2、VB2、VE2が加えられる時、共通コレクタ領域26は完全に欠
乏状態になることができる。
本発明のこの実施例は非常に小型の構造体を有し、それによりこの実施例は最
も有用な実施例となる。前記で説明したように、デバイスを流れることができる
電流を大きくするために、したがって電力を大きくすることができるために、こ
のデバイスにさらに別のベース領域を接続することができる。
図9a〜図9dは、前記で説明したコンポーネントがどのようにして製造され
るかを簡単に説明した図である。いわゆる「結合されたウエハ(bonded wafer)
」と呼ばれている素材の材料は、図9aに示されているように、シリコ
ンの基板16と、分離用酸化物層17と、単結晶ディスク12とを有する。この
ような結合されたウエハは、例えば、前記で引用した欧州出願中特許第RP 0 6
23 951 A1号に記載されているようにして作成することができ、そして市販も
されている。ディスク12の上側表面がフォトレジスト層31で被覆される。こ
のフォトレジスト層31に対して予め定められたパターンの露光が行われ、そし
て現像されて、層の中に開口部32が作成される。この開口部を通してのプラズ
マ・エッチングにより、分離層17に達するまでの深い凹部33が作成される。
図9bに示されているように、凹部の側壁は二酸化シリコン層34に酸化され、
そして凹部の残りの部分は多結晶シリコン35で充填され、そしてフォトレジス
ト層31が除去される。その結果、コンポーネント領域11の境界が定められる
。ディスク12が、開口部37を有する新しいフォトレジスト・マスク36で被
覆される。これらの開口部を通して正の添加不純物のドープが行われ、それによ
り図9cに示されたベース領域14a〜14cが得られる。マスク36が除去さ
れ、そしてまた別のフォトレジスト・マスク38が取り付けられる。フォトレジ
スト・マスク38は開口部39を有する。この開口部39を通して、それぞれの
ベース領域のエミッタE2a〜E2cとドレイン接触体D2a〜D2bとの負ド
ープが行われる。マスク38が除去され、そして新しいフォトレジスト・マスク
を用いて、ベース接触体B2a〜B2dの多量の正ドープが行われる。この製造
段階は図には示されていない。後のフォトレジスト・マスクが除去され、そして
図9dに示されているように、ディスク12の表面が分離用二酸化シリコン層1
8に酸化される。この層18は開口部41を有するマスク40で被覆される。こ
の開口部を通してのエッチングにより、層18の中に接続体開口部19が作成さ
れる。マスク40が除去され、そして図には示されていない外部接続体と保護層
とを備えたコンポーネントが作成される。
図3に従い付随するトランジスタを備えた横型バイポーラ・トランジスタLB
IPは前記で説明された。付随するエミッタE2およびベース接続体B2を備え
たまた別のベース領域14は、前記で説明したマスク層36、38および40の
中に開口部を付加することにより、付加することができる。
図10は、本発明のまた別の実施例の図である。この実施例はゲート41を有
する。ゲート41は、分離用二酸化シリコン層18の上で、そしてベース領域1
4aと14bとの間に配置される。ゲート41は両方のベース領域の一部分と重
なり、したがって、ゲートの端部42は共通コレクタ領域15に最も近いエミッ
タの境界表面43と整合している。ゲートは外部電気接続体8に接続される、ま
たはそれとは異なって、半導体デバイスのベース接続体B2a、B2bに接続さ
れる。
例えば多結晶シリコンのゲートを付加することにより、2つの機能が達成され
る。第1の機能は、エミッタE2a、E2bと共通コレクタ領域15との間のベ
ースの変調の可能性である。第2の機能は、共通コレクタ領域15の電荷の変調
の可能性である。
第1の機能が原因となって2つの効果が生ずる。第1の効果は、0〜10000の範
囲内の利得の変調である。通常のバイポーラ・トランジスタは約100の利得で動
作する。第2の効果は、バイポーラ特性がMOS特性に変化するといった、半導
体デバイスの動作モードの変化である。この転換は、ゲートに加えられた電圧に
関係したベース電圧閾値により定められる。
第2の機能が原因となって、半導体デバイスは両方の動作モードにおいて低い
オン抵抗値が得られるという効果が生ずる。
図11は、横方向に部分的に動作する、半導体デバイスのさらに別の実施例の
図である。単結晶ディスク12は、半導体デバイスの活性層を構成する。この単
結晶ディスクの中で、前記で説明した分離層13により、コンポーネント領域1
1が取り囲む部分11aおよび11bから境界が定められる。この分離層は、単
結晶ディスクの表面から下側の層まで延長される。この下側の層は、例えば、分
離層または半導体材料を構成することができる。
半導体デバイスは、2個の横型バイポーラ・トランジスタLBIP3およびL
BIP4と、2個の垂直型電界効果トランジスタVJFET3およびVJFET
4とを有する。図面には示されていないけれども、さらに多数個の寄生回路が存
在する。電界効果トランジスタVJFET3およびVJFET4は、埋め込まれ
たドレイン領域45に接続されたドレイン接続体D4を有する。埋め込まれたド
レイン領域45は、多量の負キャリアがドープされた領域n+である。横型トラ
ンジスタのおのおのはベース領域46aおよび46bを有する。ベース領域46
aおよび46bは、正キャリアがドープされた領域pである。ベース領域のおの
おのは、それぞれ、相互に接続された埋込みベース47aおよび47bと共にベ
ース接続体B4aおよびB4bを有する。埋め込まれたベース47aおよび47
bは、正キャリアがドープされた領域p+である。ベース領域のおのおのの中に
は、それぞれ、エミッタE4aおよびE4bが存在する。エミッタE4aおよび
E4bは、多量の負キャリアがドープされた領域n+である。
コンポーネント領域は分離層18により被覆される。分離層18は、外部電気
接続体8のための開口部19を有する。これらは、それぞれのベース接続体B4
aおよびB4bと、エミッタE4aおよびE4bと、ドレイン接続体D4とに接
続される。ベース領域46aおよび46bのおのおのの中には、埋込みベース4
7aおよび47bがそれぞれ、ベース領域の中の凹部のエミッタの下に配置され
る。ベース領域はコンポーネント領域11の中に並んで配置される。ここで、共
通コレクタ領域48が作成されるように、ベース接続体B4aおよびB4bはそ
れぞれの埋込みベースに接続される。横型バイポーラ・トランジスタのコレクタ
K4は、垂直型電界効果トランジスタのソースS4と一致する。ベース領域のベ
ース接続体B4aおよびB4bのいずれもが前記エミッタと共通コレクタ領域4
8との間に配置されないように、エミッタE4aおよびE4bがそれぞれのベー
ス領域の中に配置される。
この半導体デバイスの機能は、原理的には、図5a〜図5cおよび図6で説明
したのと同じである。同様に、共通コレクタ領域の欠乏状態は、ここでは2つの
段階で起こる。第1段階49は、それぞれのベース領域から共通コレクタ領域4
8の中への方向に起こる。これら2つの欠乏領域が出合う時、結合が起こりそし
て方向が変わり、そして第2段階50において、共通コレクタ領域48からドレ
イン領域45への方向に起こる。
ドレイン接続体D4は半導体デバイスが動作するのに必ずしも必要ではないが
、しかし埋込みドレイン領域45は分離層13から全体にわって広がることがで
きる。外部接続体8への接続に対する多量に負にドープされた端部を有して、埋
込みドレイン領域45を設計することができる。
また別の可能性は、外部電気接続体8の接続により、ドレイン領域45をコン
ポーネント領域11の表面に接続できることである。けれども、接続体8と埋込
みドレイン領域45との間の抵抗値が高いことにより、機能はわずかに劣る。同
様にして、ベース接続体B4aおよびB4bを省略することができる。
図11のデバイスは、図10で説明された機能と自然に組み合わせることがで
きる。図10では、ベース領域のエミッタの間の分離層18の上にゲートが配置
されている。第1の機能である利得変調および動作モードの変更は、このことに
関して同様に機能するが、しかし第2の機能の効果である低いオン抵抗値は、第
2段階の欠乏領域の伝搬方向が横断する方向の横方向に起こるためにわずかに小
さい。
説明された横型バイポーラ・トランジスタLBIPはNPNトランジスタであ
るが、しかし本発明の範囲内においてPNPトランジスタもまた可能であること
は明らかである。
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