JP2001503271A - ヒト粘膜アドレシン細胞接着分子―1(MAdCAM―1)およびそのスプライス変異体 - Google Patents

ヒト粘膜アドレシン細胞接着分子―1(MAdCAM―1)およびそのスプライス変異体

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JP2001503271A JP52132098A JP52132098A JP2001503271A JP 2001503271 A JP2001503271 A JP 2001503271A JP 52132098 A JP52132098 A JP 52132098A JP 52132098 A JP52132098 A JP 52132098A JP 2001503271 A JP2001503271 A JP 2001503271A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細胞接着分子であり、MAdCAM-1(a〜e)として本明細書中で命名された新規のMAdCAM-1タンパク質に関する。特に、ヒトMAdCAM-1(a〜e)タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドはまた、ベクター、宿主細胞、およびそれらを生成するための組換え方法として提供される。本発明はさらに、MAdCAM-1(a〜e)活性のアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング法に関する。また、ガンまたは病理学的炎症状態を検出するための診断方法、およびMAdCAM-1(a〜e)のいずれかの活性の低減を必要とする個体を処置するための治療方法が提供される。別の局面において、本発明は、いずれかのMAdCAM-1(a〜e)をコードする遺伝子を含む5エキソン、ならびにこれらの遺伝子のためのプロモーターを含む5'隣接領域を含む単離されたゲノムDNA分子を提供する。別の局面において、本発明は、それらのプロモーターからのMAdCAM-1(a〜e)のいずれかの発現を調節する能力について化合物をスクリーニングする方法に関する。本発明はまた、腸内皮上で遺伝子を選択的に発現する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒト粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)およびそのスプライス変異体 発明の背景 発明の分野 本発明は、新規の細胞表面接着分子に関する。より詳細には、ヒト粘膜血管ア ドレシン細胞接着分子(MAdCAM-1(a))、ならびに4つのそれらのスプライス変異 体(MAdCAM-1(b)、MAdCAM-1(c)、MAdCAM-1(d)、およびMAdCAM-1(e)と称される)を コードする単離された核酸分子が提供される。MAdCAM-(a〜e)ポリペプチドもま た、ベクター、宿主細胞、およびそれらポリペプチドを産生するための組換え方 法と同様に提供される。本発明はさらに、MAdCAM-1(a〜e)活性のアゴニストおよ びアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。ガンまたは病 理学的炎症状態を検出するための診断方法、および任意のMAdCAM-1(a〜e)の活性 を減少させる必要性のある個体を処置する治療方法もまた提供する。 別の局面において、本発明は、任意のMAdCAM-1(a〜e)をコードする遺伝子を含 む5エキソン、ならびにこれらの遺伝予のプロモーターを含む5'隣接領域を含む 、単離されたゲノムDNA分子を提供する。別の局面において、本発明はそれらの プロモーターから任意のMAdCAM-1(a〜e)の発現を調節するための能力について、 化合物をスクリーニングする方法に関する。本発明はまた、腸内皮上で遺伝子を 選択的に発現する方法に関する。 関連技術 MAdCAM-1(粘膜血管アドレシン細胞接着分子-1)は、β7インテグリンLPAM-1( α4β7)と相互作用するマウス内皮細胞表面接着分子であり、そして粘膜血管お よび炎症を起こした血管への、白血球の振り分けの指向に関与する。(BriSkinら 、Nature 363:461-64(1993);Berlinら、Cell 74:185-95(1994);Yiら、Scand. J.Immunol.42:235-47(1995)Springer,T.A.,Cell 76:301-14(1994))。MAdCAM -1 は、腸パイアー斑(PP)の高内皮細静脈(HEV)、および腸間膜の固有層内の細静脈 への、腸を探索するリンパ球のホーミングを媒介する。(Streeterら、Nature 33 1:41-46(1988);Holzmannら、Cell 56:37-46(1989);Hamannら、J.Immunol.15 2:3282-93(1994);Issekutz,T.B.Immunol.147:4178-84(1991))。MAdCAM-1は 、炎症を起こした膵臓(Hanninenら、J.Clin.Invest.92:2509-15(1993))、お よび慢性再発性実験的自己免疫脳炎(EAE)における炎症を起こした血管脳関門((Y ednockら、Nature 356:63-66(1992);Baronら、J.Exp.Med.177:57-68(1993)) の、HEV様血管を通って白血球の増加した振り分けを媒介し得る。MAdCAM-1はま た、抗原非特異的白血球の、このような部位への侵入を媒介することにおいて役 割を果たし得る。なぜなら、MAdCAM-1は、活性化された単球/マクロファージで のVLA-4およびLPAM-1の両方を認識し得るからである(Leungら、Immunol.Cell B iol.(1996);(印刷中))。cDNAクローンから構築された組換えMAdCAM-1-IgFcキ メラは、ある範囲の動物種由来の末梢血および脾臓細胞の接着を支持し、そして その結合はα4インテグリンによって媒介された(Yiら、Scand.J.Immunol.42: 235-47(1995))。マウスMAdCAM-1をコードする転写物は、腸間膜リンパ節(MLN)、 パイアー斑、脾臓、および末梢リンパ節(PLN)を含む(しかし、プレBリンパ種、 肝臓、脳、および腎臓を除く)種々のマウス組織において検出可能である(Briski nら、Nature 363:461-64(1993))。MAdCAM-1の相補的なDNAは、アドレシンVCAM-1 およびICAM-1(これらはそれぞれ、白血球インテグリンVIA-4およびLFA-1の内皮 リガンドである)との強い相同性を有する免疫グロブリン(Ig)様分子をコードす る(BriSkinら、Nature 63:461-64(1993))。マルチドメインMAdCAM-1構造は、ICA M-1(32%)およびVCAM-1(28%)のN末端ドメインに類似したN末端Igドメイン;VCA M-1の第5のドメインに類似した(30%)第2のIgドメイン;ならびにIgAlのCα2 ドメインと類似性(33%)を共有する第3のIgドメインを含む(BriSkinら、Nature 363:461-64(1993))。MAdCAM-1の第1のIgドメインは、LPAM-1を介する細胞結合 を支持し得るが、第2のドメインは、レセプターの完全な結合機能を提供される 必要がある(BriSkinら、J.Immunol.156:719-26(1996))。Igドメイン2とIgド メイン3との間には、L-セレクチンによって認識される炭水化物決定基で修飾さ れる、セリン/スレオニン/プロリンリッチムシンドメインが存在する。 腸間膜リンパ節から精製されたMAdCAM-1は、剪断下のリンパ球のセレクチン依 存性遊走および白血球血管外遊走に先行する好中球のセレクチン依存性遊走と同 様の様式で、剪断下のリンパ球の遊走を支持し得る(Bergら、Nature 366:695-98 (1993))。セレクチン結合炭水化物決定物は、細胞型特異的グリコシルトランス フェラーゼによって生成されるようである。なぜなら、刺激されたbEnd.3内皮腫 (enthothelioma)細胞(Bergら、Narute 366:695-98(1993))も、組換えMAdCAM-1( BriSkinら、J.Immunol.156:719-26(1996))も、L-セレクチンへのリンパ球の結 合を支持し得ないからである。それゆえ、MAdCAM-1は、L-セレクチンおよびLPAM -1を介する最初の接触形成、ならびにLPAM-1を介する接着強化の両方において働 く二重の機能を有する。特定の細胞型において、MAdCAM-1のVLA-4との相互作用 は、寄与する役割を果たし得る。 マウスMAdCAM-1は、第10染色体上に位置し、そして5つのエキソンを含有し、 エキソン4に共にコードされるムチン様領域および第3のIgドメインを有する。 オルタナティブスプライスされたマウスMAdCAM-1 mRNAは、IgA/ムチン相同エキ ソン4コードセグメントを欠除することが同定されている。 MAdCAM-1に等価な、多くのヒトへの潜在的な臨床的用途が存在するので、この ような新規の細胞接着分子の単離および特徴づけの必要が未だにあることは、当 業者に明らかである。 発明の要旨 本発明は、MAdCAM-1(a〜e)と称される任意のMAdCAM-1ポリペプチドをコードす るポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。ここで、MAdCAM-1(a )は図1(配列番号2)に示されるアミノ酸配列を有し、MAdCAM-1(b)は図2(配列 番号4)に示されるアミノ酸配列を有し、MAdCAM-1(c)は図3(配列番号6)に示さ れるアミノ酸配列を有し、MAdCAM-1(d)は図4(配列番号8)に示されるアミノ酸 配列を有し、MAdCAM-1(e)は図5(配列番号10)に示されるアミノ酸配列を有する 。 本発明はまた、5つのエキソン(これらは、様々な組み合わせで、任意のMAdCA M-1スプライス変異体(MAdCAM-1(a〜e))のコード領域を含む)、ならびにMAdCAM-1 スプライス変異体のプロモーターを含む、最初のエキソンの開始コドンの5'側 に位置する配列を含む単離されたゲノムDNA分子に関する。MAdCAM-1タンパク質 をコードする5つのエキソンのゲノムDNA配列、および最初のエキソンの開始コ ドンの5'側に位置する配列のゲノムDNA配列を、図6に示す。任意のMAdCAM-1(a 〜e)をコードする遺伝子のプロモーターを含む5'隣接領域の配列を、配列番号3 3に示す。エキソン1〜5の配列を、それぞれ、配列番号34、35、36、37、およ び38に示す(以下、配列番号34〜38という)。 本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含む組換えベクター、およびこ の組換えベクターを含む宿主細胞、ならびにこのようなベクターおよび宿主細胞 を作製する方法、ならびにそれらを用いて任意のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドま たはペプチド(上記のエキソン1〜5に対応するペプチドを含む)の産物を組換え 技術によって使用する方法、に関する。 本発明はまた、1996年10月10日のATCC受託番号97758として細菌宿主において 寄託されたゲノムクローンによってコードされる任意のMAdCAM-1ポリペプチドを コードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子に関する。寄託された ゲノムDNAの部分の配列により決定されるヌクレオチド配列(これは、図6に示さ れる)は、配列番号33に示される5'隣接領域の配列、ならびにそれぞれ配列番号 34〜38に示されるエキソン1〜5の配列を含む。 本発明は、さらに、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドによってコード されるアミノ酸配列を有する単離されたMAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e)) を提供する。 本発明はまた、任意のMAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e)と称される)によ って誘導される細胞応答を増強または阻害し得る化合物を同定するためのスクリ ーニング方法を提供し、この方法は、所望のMAdCAM-1ポリペプチドを発現する細 胞を、候補化合物と接触させる工程、細胞応答をアッセイする工程、および細胞 応答を標準細胞応答(標準は候補化合物の非存在下で接触される場合にアッセイ される)と比較する工程を包含し;ここで、標準を超えて増加した細胞応答は、 化合物がアゴニストであり、そして標準を超えて減少した細胞応答は化合物がア ンタゴニストであることを示す。 本発明はまた、炎症障害の診断の間に有用な診断方法を提供する。 本発明のさらなる局面は、体内でのMAdCAM-1(a〜e)活性のレベルの減少を必要 とする個体を処置する方法に関し、このような個体に治療有効量のMAdCAM-1(a〜 e)媒介接着のアンタゴニストを含む組成物を投与する工程を包含する。本発明に おける使用に好ましいアンタゴニストは、MAdCAM-1(a〜e)特異的抗体ならびにMA dCAM-1(a〜e)の可溶性形態である。 本発明はまた、MAdCAM-1(a〜e)の5'隣接領域を含む単離されたゲノムDNA分子 (これらの遺伝子のプロモーターを含む)を含み、本発明のなお別の局面は、任意 のMAdCAM-1(a〜e)の発現を増強または阻害し得る化合物を同定する方法に関する 。 MAdCAM-1は、HEVおよび細静脈固有層上で選択的に発現されるので、プロモー ターはまた、腸内皮への治療遺伝子の選択的な標的のために使用され得る。 図面の簡単な説明 図1Aおよび1Bは、MAdCAM-1(a)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定ア ミノ酸配列(配列番号2)を示す。このタンパク質は、約17アミノ酸残基(最初の 下線を付した領域)のリーダー配列、続いて細胞外ドメインを有する。二番目の 下線を付した領域は、膜貫通ドメインに対応し、そして細胞内ドメインが続く。 成熟MAdCAM-1(a)タンパク質(これは、リーダー配列を欠除する)の推定アミノ酸 配列もまた、図1(配列番号2)に示す。 図2Aおよび2Bは、MAdCAM-1(b)のヌクレオチド配列(配列番号3)および推定ア ミノ酸配列(配列番号4)を示す。このタンパク質は、約17アミノ酸残基(最初の 下線を付した領域)のリーダー配列、続いて細胞外ドメインを有する。二番目の 下線を付した領域は、膜貫通ドメインに対応し、そして細胞内ドメインが続く。 成熟MAdCAM-1(b)タンパク質(これは、リーダー配列を欠除する)の推定アミノ酸 配列もまた、図2(配列番号4)に示す。 図3は、MAdCAM-1(c)のヌクレオチド配列(配列番号5)および推定アミノ酸配 列(配列番号6)を示す。このタンパク質は、約17アミノ酸残基(最初の下線を付 した領域)のリーダー配列、続いて細胞外ドメインを有する。二番目の下線を付 した領域は、膜貫通ドメインに対応し、そして細胞内ドメインが続く。成熟MAdC AM-1(c)タンパク質(これは、リーダー配列を欠除する)の推定アミノ酸配列もま た、図3(配列番号6)に示す。 図4Aおよび4Bは、MAdCAM-1(d)のヌクレオチド配列(配列番号7)および推定ア ミノ酸配列(配列番号8)を示す。このタンパク質は、約17アミノ酸残基(最初の 下線を付した領域)のリーダー配列、続いて細胞外ドメインを有する。二番目の 下線を付した領域は、膜貫通ドメインに対応し、そして細胞内ドメインが続く。 成熟MAdCAM-1(d)タンパク質(これは、リーダー配列を欠除する)の推定アミノ酸 配列もまた、図4(配列番号8)に示す。 図5Aおよび5Bは、MAdCAM-1(e)のヌクレオチド配列(配列番号9)および推定ア ミノ酸配列(配列番号10)を示す。このタンパク質は、約17アミノ酸残基(最初の 下線を付した領域)のリーダー配列、続いて細胞外ドメインを有する。二番目下 線を付した領域は、膜貫通ドメインに対応し、そして細胞内ドメインが続く。成 熟MAdCAM-1(e)タンパク質(これは、リーダー配列を欠除する)の推定アミノ酸配 列はもまた、図5(配列番号10)に示す。 図6Aおよび6Bは、MAdCAM-1(配列番号33)をコードする遺伝子の5'領域をコー ドするゲノムDNAのヌクレオチド配列を示す。また、任意のMAdCAM-1(a〜e)をコ ードする遺伝子を含むエキソン1〜5(それぞれ、配列番号34〜38)を示す。これ は、任意のMAdCAM-1(a〜e)をコードする遺伝子を含む。小文字は、イントロン配 列を示す。 図7Aおよび図7Bは、ヒトMAdCAM-1(a〜e)タンパク質の推定アミノ酸配列(それ ぞれ、配列番号2、4、6、8、および10)、マウスMAdCAM-1(配列番号46)、お よびShyjanら、J.Immunol.156(8):2851-2857(1996)(配列番号47)からのヒトMA dCAM-1の推定アミノ酸配列の間の類似領域を示す。 図8は、MAdCAM-1(a)アミノ酸配列の分析を示す。α、β、ターン、およびコ イルの領域;親水性および疎水性;両親媒性領域;可撓性領域;抗原性指数およ び表面確率性を示す。「抗原指数-Jameson-Wolf」グラフにおいて、図1のアミノ 酸残基52〜80、164〜296、および228〜321は、MAdCAM-1(a)タンパク質の高抗原 性領域に対応する。 図9Aは、単離されたMAdCAM-1(a)cDNAを示す。MAdCAM-1(a)cDNAは、発現配列タ グ(EST)として最初に同定され、ESTデータベース中のクローンHEBBC23XおよびHE BBC23Yは、初期段階のヒト脳cDNAライブラリーから作製された。クローンHEBBC2 3Yのインサートを続いて用いて、ヒトコスミドライブラリー由来のクローンMAD- C1を単離した。ヒトMAdCAM-1(a)の5'末端をコードする相補的なDNAを、HEBBC23 XおよびMAD-C1から設計されたPCRプライマーを使用してPCRによって得、PCRクロ ーンPCR1-5'を生じた。上の図は、オーバーラッピング部分クローンに由来する 合成のCDNA配列の部分制限マップを示す。囲った領域は、オープンリーディング フレームを示し;そして制限酵素部位を垂直線で示す。図9Bは、ヒトMAdCAM-1(a )のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列(配列番号1および2)を示す。右 手の余白の数は、それぞれ、ヌクレオチド位置およびアミノ酸位置を示す。開始 メチオニンは、マウスMAdCAM-1(a)配列との比較により、1位に示されている。 推定シグナルペプチドおよび膜貫通ドメインに下線を付す。メジャー(残基226〜 273)ムチンドメインを囲み、そしてマイナームチン(残基278〜311)ドメインをイ タリックで示し、そして2つの免疫グロブリンドメインにおけるジスルフィド結 合を形成すると予測されるシステインを丸で囲む。潜在的なポリアデニル化シグ ナル部位を上線で示す。 図10Aおよび10Bは、ヒトMAdCAM-1(a)のメジャームチンドメインと、腸ムチンM UC-2のムチンドメインの不完全な反復との比較を示す。図10Aにおいて、MAdCAM- 1(a)のメジャームチンドメインを含む6つのオクトマー反復(それぞれ、配列番 号49、50、50、51、51、および52)を整列させ、そして共通残基を太字で示す。 図10Bにおいて、6反復のMAdCAM-1(a)メジャームチンドメイン(配列番号53)およ びMUC-2(配列番号55)を必要に応じて整列させる(比較は配列番号54である)。同 一のアミノ酸を示し、そして保存的置換を(+)で示す。数字はアミノ酸残基であ る。 図11Aおよび11Bは、MAdCAM-1スプライス変異体(配列番号2)の同定を示す。図 11Aにおいて、第2のIgドメインおよびメジャームチンドメインまたはその部分 をコードするMAdCAM-1スプライス変異体の部分配列を整列させている。HEBBC23Y (これは、3ムチン反復を欠除する)を、ESTと同定した。第2のIgドメインおよ び3〜6ムチン反復の主要部分を欠除する配列3、5、および7を、胎児脳RN Aからの増幅後のPCR産物として単離した。図11Bにおいて、MAdCAM-1変異体にお けるアクセプターおよびドナースプライス部位の配列を示す。4つのMAdCAM-1ス プライス変異体において同定される潜在的な5'スプライスドナー配列および3' スプライスアクセプター配列を整列させている(それぞれ、配列番号56〜59)。保 持される配列を強調して示すが、欠失されるこの配列は、正常型において存在す る。3'アクセプター部位の配列は、スプライス結合のコンセンサスと良好に一 致するが、5'スプライスドナー配列は、スプライス結合のコンセンサスと異な る。 図12は、MAdCAM-1のスプライス変異体の推奨された構造を示す。Igドメインを 卵形で示し、そしてメジャームチンドメインを斜線の四角で示し、ここで、マイ ナームチンドメインは小さな斜線の四角である。 図13は、ヒトMAdCAM-1遺伝子(配列番号33)の5'隣接領域のDNA配列と、マウス MAdCAM-1プロモーター(配列番号48)との比較を示す。数字はヌクレオチド位置を 示し、そして翻訳開始コドン(下線を付す)と比較する。ヒトおよびマウス5'隣 接領域において同定される潜在的な翻訳因子結合部位を、下線で示す。ヒトおよ びマウス配列に共通の同一ヌクレオチドを、改変株において垂直線において示す 。 図14A、図14B、および図14Cは、ヒトMAdCAM-1遺伝子の5'隣接領域が、ヒト皮 膚内皮細胞株HMECにおいてプロモーター活性を有することを示す。図14Aは、塩 基性ルシフェラーゼベクターpGL-2/B、ならびにpGL-2/B由来の発現ベクターpGL- 2/B-718+およびpGL-2/B-718-(これらはそれぞれ、センスおよびアンチセンス配 向における700bpの5'隣接領域(翻訳開始と比較して-718〜+20)を含む)の模式図 である。図14Bおよび14Cは、ヒト皮膚内皮細胞株HMECにおける発現ベクターによ って指向される相対的ルシフェラーゼ活性を示す。結果を別々の2つの実験から 得、プロモーター活性は、DNAをトランスフェクトしていない細胞のバックグラ ンドコントロールをこえる相対光子数として示す。図14Bおよび14Cにおいて、細 胞をPMAの存在下または非存在下で培養した。値は、二連の実験の平均である。H MEC細胞からの、MAdCAM-1およびグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ のRT-PCRを、U707およびL1072プライマーを用いて行い、368bpの予想したバンド を生成した。 好ましい実施態様の詳細な説明 本発明は、それぞれ図1〜5(配列番号2、4、6、8、10)に示されるアミノ 酸配列を有するMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれか1つ(これは、クローン 化cDNAを配列決定することによって決定した)をコードするポリヌクレオチドを 含む、単離された核酸分子を提供する。本発明のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質は、 マウスMAdCAM-1(図7Aおよび7B)(配列番号46)と配列相同性を共有する。図1(配 列番号1)に示されるヌクレオチド配列を、HEBBC23クローンを配列決定すること によって得た。図2(配列番号3)に示されるヌクレオチド配列を、HSKCW36クロ ーンを配列決定することによって得、これは、下記の寄託cDNAクローンのスプラ イス変異体、MAdCAM-1(b)をコードした。図3(配列番号5)に示されるヌクレオ チド配列を、MAdCAM-1cクローンを配列決定することによって得、これは、下記 の寄託cDNAクローンのスプライス変異体、MAdCAM-1(c)をコードする。図4(配列 番号7)に示されるヌクレオチド配列を、MAdCAM-1dクローンを配列決定すること によって得、これは、下記の寄託cDNAクローンのスプライス変異体、MAdCAM-1(d )をコードする。図5(配列番号9)に示されるヌクレオチド配列を、MAdCAM-1eク ローンを配列決定することによって得、これは、下記の寄託cDNAクローンのスプ ライス変異体、MAdCAM-1(e)をコードする。 本発明はまた、任意のMAdCAM-1スプライス変異体(MAdCAM-1(a〜e))のコード領 域を含む5エキソン(これらはすべて図6に示される)、ならびにMAdCAM-1スプラ イス変異体のプロモーターを含む最初のエキソンの開始コドンの5'に位置する 配列を含む、単離されたゲノムDNA分子に関する。このゲノムDNAを含むゲノムク ローンは、1996年10月10日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(12301 P ark Lawn Drlve,Rockville,Maryland 20852)に寄託され、受託番号97758が与 えられた。任意のMAdCAM-1(a〜e)をコードする遺伝子のプロモーターを含む5' 隣接領域の配列を、配列番号3に示す。エキソン1〜5の配列を、それぞれ配列 番号34〜38に示す。実施例6により、図6に示される5つのエキソンまたはその 部分が、MAd-CAM-1のスプライス変異体を生成するために組み合わせられ得る方 法のさらなる説明が得られる。 本発明はまた、1996年10月10日のATCC受託番号97759として細菌宿主における 寄託されたcDNAクローンによってコードされるMAdCAM-1(a)ポリペプチドをコー ドするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子に関する。寄託されたクロ ーンはpBluescript SK(-)プラスミド(Stratagene,LaJolla,CA)において含まれ る。 核酸分子 他に示されない限り、本明細書中でDNA分子を配列決定することによって決定 されたすべてのヌクレオチド配列は、自動化DNA配列決定機(例えば、Applied Bi osystems,Inc.からのModel 373)を用いて決定され、そして本明細書中で決定さ れるDNA分子によってコードされるポリペプチドのすべてのアミノ酸配列は、上 記のように決定されるDNA配列の翻訳によって予想された。したがって、この自 動化アプローチによって決定された任意のDNA配列について当該分野において公 知のように、本明細書中で決定される任意のヌクレオチド配列はいくつかの誤り を含み得る。自動化によって決定されるヌクレオチド配列は、配列決定されるDN A分子の実際のヌクレオチド配列に対して、代表的には少なくとも約90%の同一 、より代表的には少なくとも約95%から少なくとも約99.9%の同一である。実際 の配列は、当該分野において周知の手動DNA配列決定方法を含む他のアプローチ によってより正確に決定され得る。当該分野においてまた公知のように、実際の 配列と比較した、決定されるヌクレオチド配列における単一の挿入または欠失は 、ヌクレオチド配列の翻訳におけるフレームシフトを引き起こし、その結果、決 定されるヌクレオチド配列によってコードされる予想されるアミノ酸配列は、挿 入または欠失のような点にて始まる配列決定されるDNA分子によって実際にコー ドされるアミノ酸配列とは完全に異なる。 本明細書中で提供される情報(例えば、図1〜6におけるヌクレオチド配列)を 用いて、任意のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、 標準的なクローニングおよびスクリーニング手順(例えば、開始物質としてmRNA を用いるクローニングcDNAのための手順)を用いて得られ得る。本発明の例とし て、図1〜5(配列番号1、3、5、7、9)に記載される核酸分子は、ヒト胎児 脳細胞由来のcDNAライブラリー中で発見された。これらの遺伝子はまた、以下の 組織(小腸、結腸、脾臓、および膵臓)に由来するcDNAライブラリーにおいて同定 された。図1〜5(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9)のMAdCAM-1(a〜e)cD NAの決定された核酸配列は、それぞれ382、366、263、310、および289アミノ酸 残基の一部をコードするオープンリーディングフレームを含み、ここで、各MAdC AM-1(a〜e)は図1〜5(配列番号1、3、5、7、9)の推定ヌクレオチド配列の 1〜3位の開始コドンを有し、そして各々は約17アミノ酸残基の推定リーダー配 列を有する。成熟MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドは、当然ながら、このリーダー配 列を欠除する。完全なMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドの推定分子量は、それぞれ、 約40、38、27、32、および32.4kDaである。 別の局面において、本発明は、任意のMAdCAM-1スプライス変異体(MAdCAM-1(a 〜e))のコード領域を含む5エキソン、ならびにMAdCAM-1スプライス変異体のプ ロモーターを含む最初のエキソンの開始コドンの5'に位置する配列を含む、単 離されたゲノムDNA分子に関する。任意のMAdCAM-1(a〜e)をコードする遺伝子の プロモーターを含む5'隣接領域の配列を、配列番号33に示す。エキソン1〜5 の配列を、それぞれ配列番号34から38に示す。 別の局面において、本発明は、1996年10月10日にATCC受託番号97758として寄 託されたクローン中に含まれるゲノムDNA配列を含む単離された核酸分子を提供 する。 本発明はまた、1996年10月10日にATCC受託番号97759として細菌宿主に寄託さ れたcDNAクローンによってコードされるMAdCAM-1(a)ポリペプチドをコードする ポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子に関する。寄託されたcDNAクローン MAdCAM-1(a)(これは、図1(配列番号1)に示される)を配列決定することによっ て決定したヌクレオチド配列は、382アミノ酸残基のポリペプチドをコードし、 ヌクレオチドの1〜3位に開始コドンを含み、約17アミノ酸残基のリーダー配列 を有するオープンリーディングフレーム、および約40kDaの推定分子量を含む。 成熟MAdCAM-1(a)タンパク質のアミノ酸配列は、図1(配列番号2)のアミノ酸残 基18〜382に示される。 示されるように、本発明はまた、本発明のMadCAm-1(a〜e)タンパク質の成熟形 態を提供する。一旦粗面小胞体にそって伸長しているタンパク質鎖の輸送が開始 されると、シグナル仮定に従って、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質 は、成熟タンパク質から切断されるシグナルまたは分泌リーダー配列を有する。 ほとんどの哺乳動物細胞、および昆虫細胞さえも、分泌されるタンパク質を同じ 特異性で切断する。しかし、いくつかの場合において、分泌されるタンパク質の 切断は完全に一様ではなく、そのことは、タンパク質に関して2つ以上の成熟し た種を生じる。さらに、分泌されるタンパクの切断特異性は、完全なタンパク質 の一次構造によって最終的に決定される、すなわち、切断特異性はポリペプチド のアミノ酸配列に固有であることは、長く知られている。したがって、本発明は 、表1〜5(配列番号2、4、6、8、10)において示されるcDNAクローンによっ てコードされるアミノ酸配列を有する成熟したMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドをコ ードするヌクレオチド配列を提供する。図1〜5において示される成熟MAdCAM-1 (a〜e)タンパク質によって、哺乳動物細胞(例えば、下記のようなCOS細胞)にお ける、寄託された宿主中のベクターに含まれるcDNAクローンのヒトDNA配列によ ってコードされる完全なオープンリーディングフレームの発現によって生成され る成熟した形態のMAdCAM-1タンパク質を意味する。以下に示すように、実際の成 熟したMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドは、コンピューター解析に基づいて予想され る切断部位の正確さに依存して、図1〜5において示される予想される「成熟し た」MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドと異なっていてもよくか、または異なっていな くてもよい。 タンパク質が、分泌リーダーならびにそのリーダー配列についての切断点を有 するか否かを予想するための方法は利用可能である。例えば、McGeoch(Virus Re s.3:271-286(1985))およびvon Heinje(Nucleic Acids Res.14:4683-4690(198 6))の方法は、使用され得る。これらの方法の各々のための公知の哺乳動物分泌 タンパク質の切断部位を予想する正確さは、75〜80%の範囲内である。von Hein je、前出。しかし、2つの方法は、所定のタンパク質についていつも同じ予想さ れる切断点を生じるとは限らない。 本発明の場合において、本発明の完全なMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドの推定ア ミノ酸配列を、コンピュータプログラム(「PSORT」)(K.NakaiおよびM.Kanehisa , Genomics 14:897-911(1992))(これは、アミノ酸配列に基づくタンパク質の細胞 内の位置を推定するためのエキスパートシステムである)によって分析した。位 置のこの計算的な予測の一部として、McGeochおよびvon Heinjeの方法が組み込 まれる。PSORTプログラムによる分析は、図1〜5(配列番号2、4、6、8、10 )中のアミノ酸17と18との間の切断部位を推定した。その後、完全アミノ酸配列 を、可視的試験(von Heineの(-1,-3)ルールの単純形態を適用する)によってさ らに分析した。von Heinje、前出。したがって、任意の天然のMAdCAM-1(a〜e)タ ンパク質についてのリーダー配列は、図1〜5(配列番号2、4、6、8、10)に おけるアミノ酸残基1〜17からなると推定されるが、推定成熟天然MAdCAM-1(a〜e )タンパク質は残基18で始まる。 当業者が理解するように、上記の配列決定誤差に起因して、本発明のMAdCAM -1(a〜e)タンパク質の推定リーダー配列は、約17アミノ酸長であるが、約14〜22 アミノ酸の範囲の任意の長さであり得ると推定される。 当業者が理解するように、上記の配列決定誤差の可能性、ならびに異なる公知 のタンパク質におけるリーダーの切断部位の可変性に起因して、MAdCAM-1(a)に 対応する推定ポリペプチドは、約382のアミノ酸を含むが、368〜396アミノ酸の 範囲の任意の長さであり得る。MAdCAM-1(b)に対応する推定ポリペプチドは、約3 66のアミノ酸を含むが、348〜382アミノ酸の範囲の任意の長さであり得る。MAdC AM-1(c)に対応する推定ポリペプチドは、約263のアミノ酸を含むが、250〜276ア ミノ酸の範囲の任意の長さであり得る。MAdCAM-1(d)に対応する推定ポリペプチ ドは、約310のアミノ酸を含むが、294〜325アミノ酸の範囲の任意の長さであり 得る。MAdCAM-1(e)に対応する推定ポリペプチドは、約289のアミノ酸を含むが、 275〜304アミノ酸の範囲の任意の長さであり得る。 示されるように、本発明の核酸分子は、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNA の形態(例えば、クローニングによって得られるか、または合成的に生成されるc DNAおよびゲノムDNAを含む)であり得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る 。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、 またはそれは、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。 「単離された」核酸分子によって、天然の環境から取り出された核酸分子(DNAま たはRNA)が意図される。例えば、ベクター中に含まれる組換えDNA分子は、本発 明の目的のために単離されることが意図される。単離されたDNA分子のさらなる 例は、異種の宿主細胞において維持される組換えDNA分子、または溶液中の精製 された(部分的または実質的)DNA分子を含む。単離されたRNA分子は、本発明のDN A分子のインビボまたはインビトロでのRNA転写物を含む。本発明に従って単離さ れた核酸分子は、合成的に生成されるような分子をさらに含む。 本発明の単離された核酸分子は、それぞれ、図1〜5(配列番号1、3、5、 7、9)に示されるオープンリーディングフレーム(ORF)を含むDNA分子;図1(後 部の365アミノ酸)(配列番号2)において示される成熟MAdCAM-1(a)タンパク質に ついてのコード配列を含むDNA分子;図2(後部の349アミノ酸)(配列番号4)に示 される成熟MAdCAM-1(b)タンパク質についてのコード配列を含むDNA分子;図3( 後部の246アミノ酸)(配列番号6)において示される成熟MAdCAM-1(c)タンパク質 についてのコード配列を含むDNA分子;図4(後部の293アミノ酸)(配列番号8)に おいて示される成熟MAdCAM-1(d)タンパク質についてのコード配列を含むDNA分子 ;および図5(後部の272アミノ酸)(配列番号10)において示される成熟MAdCAM-1( e)タンパク質についてのコード配列を含むDNA分子を含む。本発明はまた、上記 のものとは実質的に異なる配列を含むが、遺伝暗号の縮重に起因してなお任意の MAdCAM-1(a〜e)タンパク質をコードするDNA分子を含む。当然のことながら、遺 伝暗号は当該分野において周知である。したがって、このような縮重した変異体 を生成することは、当業者にとって日常的である。 本発明はさらに、図1〜6(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、33、34 、35、36、37、および38)において示されるヌクレオチド配列を有する単離され た核酸分子、または上記の配列の1つに相補的な配列を有する核酸分子を提供す る。そのような単離された分子、特にDNA分子は、染色体とのインサイチュハイ ブリダイゼーションによる遺伝子マッピングのため、および例えばノーザンブロ ット分析によるヒト組織中のMAdCAM-1(a〜e)遺伝子の発現を検出するためのプロ ーブとして有用である。 本発明はさらに、本明細書中に記載される単離した核酸分子のフラグメントに 関する。図1〜6(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、33、34、35、36、3 7、および38)に示されるヌクレオチド配列を有する単離された核酸分子のフラグ メントによって、本明細書中で考察されるように、診断的プローブおよびプライ マーとして有用である、長さが、少なくとも約15nt、そしてより好ましくは少な くとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらにより好ま しくは少なくとも約40ntのフラグメントが意図される。当然のことながら、長さ がより大きなフラグメントの50〜1150ntもまた、図1〜6(それぞれ、配列番号 1、3、5、7、9、33、34、35、36、37、および38)において示されるような ヌクレオチド配列のすべてではなくともほとんどに対応するフラグメントのよう に、本発明に従って有用である。長さが少なくとも20ntのフラグメントによって 、例えば、図1〜6(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、33、34、35、36 、37、および38)に示されるようなヌクレオチド配列からの20以上の隣接した塩 基を含むフラグメントが意図される。 本発明の好ましい核酸フラグメントは、MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のエピトー プ保有部分をコードする核酸分子または膜貫通ドメインまたは細胞外ドメインま たは細胞内ドメインを含む。特に、本発明のそのような核酸フラグメントは、以 下をコードする核酸分子を含む:図1(配列番号2)中の約52〜約80のアミノ酸残 基を含むポリペプチド;図1(配列番号2)中の約164〜約196のアミノ酸残基を含 むポリペプチド;図1(配列番号2)中の約278〜約321のアミノ酸残基を含むポリ ペプチド。(本発明者らは、上記のポリペプチドフラグメントが、MAdCAM-1(a〜e )タンパク質の抗原性領域であることを決定した。MAdCAM-1(a〜e)タンパク質の 他のそのようなエピトープ保有部分を決定するための方法は、以下に詳細に記載 される)。他の好ましい核酸フラグメントは、MAdCAM-1遺伝子に対して5'のゲノ ム領域(配列番号33のヌクレオチド残基1〜718)、ならびにエクソン1(配列番号3 4のヌクレオチド残基1〜52)、エクソン2(配列番号35のヌクレオチド残基11〜2 95)、エクソン3(配列番号36のヌクレオチド残基11〜340)、エクソン4(配列番 号37のヌクレオチド残基11〜343)、およびエクソン5(配列番号38のヌクレオチ ド残基11〜608)に対応するフラグメントとを含む(これらのすべては図6に示さ れる)。分子における機能的ドメインを明らかに標識するエクソン−イントロン 境界の知識(図6および実施例6を参照)は、治療における使用のための変異の形 態のMAdCAM-1を設計する際に役立つ(以下を参照)。 別の局面において、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条 件下で、上記の本発明の核酸分子中のポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズ するポリヌクレオチドを含む単離した核酸分子を提供する。「ストリンジェント なハイブリダイゼーション条件」によって、以下内を含む溶液中42℃での一晩の インキュベーション:50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン 酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫 酸デキストラン、および20g/mlの変性剪断サケ精子DNA、続く約65℃にて0.1×SS Cにおいてフィルターを洗浄することが意図される。 ポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチドによって、 参照のポリヌクレオチドの少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好まし くは少なくとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらに より好ましくは約30〜70ntにハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNAまたはRN Aのいずれか)が意図される。これらは、以上、および以下でより詳細に考察され るような診断用プローブおよびプライマーとして有用である。 例えば、「長さが少なくとも20nt」のポリヌクレオチドの部分によって、参照の ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列(例えば、図1〜6(それぞれ、配列番号1 、3、5、7、9、33、34、35、36、37、および38)に示されるようなヌクレオ チド配列)からの20以上の隣接したヌクレオチドが意図される。 当然のことながら、ポリA配列(例えば、図1〜5(それぞれ、配列番号1、3 、5、7、9)に示されるMAdCAM-1(a〜e)cDNAのいずれかの3'末端ポリ(A)付加 物)にのみ、またはT(またはU)残基の相補的な部分(stretch)にのみハイブリダイ ズするポリヌクレオチドは、本発明の核酸の一部にハイブリダイズするために使 用される本発明のポリヌクレオチドに含まれない。なぜなら、そのようなポリヌ クレオチドは、poly(A)部分またはその相補物を含む任意の核酸分子(例えば、特 に任意の二本鎖cDNAクローン)にハイブリダイズするからである。 示されるように、任意のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドをコードする本発明の核 酸分子は、以下を含むが、それらに限定されない:それ自体によって、成熟ペプ チドのアミノ酸配列をコードする核酸分子;成熟したポリペプチドのコード配列 およびさらなる配列(例えば、約17アミノ酸リーダー配列あるいは分泌配列をコ ードする配列)(例えば、プレタンパク質配列またはプロタンパク質配列またはプ レプロタンパク質配列);成熟ポリペプチドのコード配列で、上記のさらなるコ ード配列を含むかまたは含まず、更なる非コード配列とともに集まっており、こ の配列は、例えばイントロンおよび非コード5'および3'配列(例えば、転写、m RNAプロセシング(スプライシングおよびポリアデニル化シグナル(例えば、mRNA のリボソーム結合および安定性)を含む)において役割を担う転写非翻訳配列)を 含むがこれらに限定されない;さらなる機能性を提供するようなさらなるアミノ 酸をコードするさらなるコード配列。したがって、ポリペプチドをコードする配 列は、マーカー配列(例えば、融合されたポリペプチドの精製を容易にするペプ チドをコードする配列)に融合され得る。本発明のこの局面の特定の好ましい実 施熊様において、マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、ヘキサ-ヒスチジンペプ チド(例えば、pQEベクター(Qiagen,Inc.)において提供されるタグ)であり、そ れらの多くは市販である。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8 21-824(1989)において記載されるように、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質 の簡便な精製を提供する。「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質 由来のエピトープに対応する精製のために有用な別のペプチドであり、それは、 Wilsonら、Cell 37:767(1984)によって記載されている。以下で考察されるよう に、他のそのような融合タンパク質は、NまたはC末端にてFcに融合される任意 のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドを含む。 本発明は、さらに、MAdCAM-1(a〜e)タンパク質の一部、アナログ、または誘導 体をコードする本発明の核酸分子の変異体に関する。変異体は、天然の対立遺伝 子変異体のように、天然に生じ得る。「対立遺伝子変異体」によって、生物の染色 体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの交換可能な形態の1つが意図 される。Genes II,Lewin,B.編、John Wiley & Sons,New York(1985)。天然に 存在しない変異体は、当該分野で公知の変異誘発技術を用いて生成され得る。 このような改変体としては、ヌクレオチドの置換、欠失、または付加によって 産生された改変体が挙げられる。置換、欠失、または付加は、1つ以上のヌクレ オチドを含み得る。改変体は、コード領域、非コード領域、またはその両方にお いて変化され得る。コード領域における変化は、保存的もしくは非保存的なアミ ノ酸の置換、欠失、または付加を生じ得る。これらの中で特に好ましいのは、MA dCAM-1(a〜e)タンパク質、またはその部分の特性および活性を変化させない、サ イレントな置換、付加、および欠失である。また、このことについて特に好まし いのは保存的置換である。 本発明のさらなる実施態様は、以下に少なくとも90%同一、そしてより好まし くは少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一のヌクレオチド配列を 有するポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を含む:(a)推定リーダー配 列を含む、図1〜5(それぞれ、配列番号2、4、6、8、10)中の完全アミノ酸 配列を有する全長MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列; (b)図1(配列番号2)中の18〜382位、図2(配列番号4)中の18〜366位、図3(配 列番号6)中の18〜263位、図4(配列番号8)中の18〜310位、または図5(配列番 号10)中の18〜290位のアミノ酸配列を有する成熟MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチド( リーダーを除去した全長ポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列;(c)MAdC AM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))の膜貫通ドメインのいずれかを含むポリペプ チドコードするヌクレオチド配列;(d)AdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))の いずれかの細胞外ドメインを含むポリペプチドコードするヌクレオチド配列;(e )MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかの細胞内ドメインを含むポ リペプチドコードするヌクレオチド配列;(f)ヌクレオチド配列が配列番号33に 与えられる、MAdCAM-1プロモーターを含むヌクレオチド配列;(g)それぞれ、配 列番号34、35、36、37、および38において与えられる配列を有する、MAdCAM-1の エクソン1、2、3、4、または5をコードするヌクレオチド配列;ならびに上 記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、または(g)におけるヌクレオチド配列のい ずれかに相補的なヌクレオチド配列。 MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかをコードする参照ヌクレオチド配列と 少なくとも、例えば、95%「同一」のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド によって、ポリヌクレオチド配列が、MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかを コードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5つまでの点変異 を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、参照配列と 同一であることが意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列と少なくと も95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参 照配列における5%までのヌクレオチドが欠失され得るかもしくは別のヌクレオ チドで置換され得るか、または参照配列において全ヌクレオチドの5%までの多 数のヌクレオチドが、参照配列中に挿入され得る。参照配列のこれらの変異は、 参照ヌクレオチド配列の5'もしくは3'末端位置でか、または参照配列内のヌク レオチドの中で個々に、もしくは参照配列内の1つ以上の連続した群でのいずれ かで散在されて、これらの末端位置の間のどこかで生じ得る。 実際には、任意の特定の核酸分子が、例えば、図1〜6に示されるヌクレオチ ド配列または寄託されたゲノムクローンもしくは寄託されたcDNAクローンのヌク レオチド配列に少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であ るかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Ver sion 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)のような公知のコンピュータープログラム を用いて従来通りに決定され得る。Bestfitは、SmithおよびWaterman,Advances in Applied Mathematics.2:482-489(1981)の局所的相同性アルゴリズムを用い て、2つの配列間の相同性の最適のセグメントを見出す。Bstfitまたは任意の他 の配列整列プログラムを使用して、特定の配列が、例えば本発明による参照配列 に95%同一であるか否かを決定する場合、パラメーターは、もちろん、同一性の 割合が、参照ヌクレオチド配列の全長にわたって計算されるように、そして参照 配列の総ヌクレオチド数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるよう に、設定される。 本出願は、任意のMAdCAM-1(a〜e)の活性を有するポリペプチドをコードするか 否かに関係なく、図1〜6(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、33、34、3 5、36、37、および38において示される核酸配列または寄託されたゲノムDNAの核 酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸 分子に関する。これは、特定の核酸分子がMAdCAM-1(a〜e)活性を有するポリペプ チドをコードしない場合でさえ、当業者は、核酸分子をどのようにして、例えば 、ハイブリダイゼーションプローブ、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプラ イ マーとして使用するかをなお知るからである。任意のMAdCAM-1(a〜e)の活性を有 するポリペプチドをコードしない本発明の核酸分子の使用としては、とりわけ(1 )cDNAライブラリー中のMAdCAM-1(a〜e)をコードする遺伝子またはその対立遺伝 子変異体を単離すること;(2)Vermaら,Human Chromosomes:A Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New York(1988)に記載の、MAdCAM-1(a〜e)をコー ドする遺伝子の正確な染色体位置を提供するための分裂中期染色体展開物に対す るインサイチュハイブリダイゼーション(例えば、FISH);および特定の組織にお ける任意のMAdCAM-1(a〜e)のmRNA発現を検出するためのノーザンブロット分析が 挙げられる。 しかし、任意のMAdCAM-1(a〜e)のタンパク質活性を有するポリペプチドを実際 にコードする図1〜6(それぞれ、配列番号1、3、5、7、9、33、34、35、3 6、37、および38)において示される核酸配列、あるいは寄託されたゲノムDNAの 核酸配列に少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配 列を有する核酸分子が好ましい。「MAdCAM-1(a〜e)のいずれかのタンパク質活性 を有するポリペプチド」によって、特定の生物学的アッセイにおいて測定される 場合、本発明の任意のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれか(全長タンパク質、 または好ましくは成熟タンパク質のいずれか)の活性と類似する(しかし、必ずし も同一ではない)活性を示すポリペプチドが意図される。例えば、任意のMAdCAM- 1(a〜e)のタンパク質活性は、Stamper-Woodruffインビトロリンパ球−内皮細胞 結合アッセイ(J.Exp.Med.144:828-833(1976))の改変体を用いることによって 測定され得、これは、α4β7を発現するリンパ球細胞の、任意のMAdCAM-1(a〜e) タンパク質の活性を有すると疑われるポリペプチドを発現する脈管内皮細胞に結 合する能力を試験する(Hanninenら、J.Clin.Invest.92:2590-2515(1993))。 手短には、アッセイは、α4β7を発現し(例えばTK-1細胞)、それによって任意の MAdCAM-1(a〜e)を発現する細胞に結合する細胞を、本発明の任意のMAdCAM-1(a〜 e)分子を発現する細胞と接触させる工程、および2つの細胞型間の得られる接着 を測定する工程を包含する。したがって、任意のMAdCAM-1(a〜e)のタンパク質活 性を発現する細胞は、α4β7を発現する細胞に結合するが、α4β7に結合しない タンパク質を発現する細胞は、任意のMAdCAM-1(a〜e)の活性を有さないと考 えられる。 もちろん、遺伝コードの縮重のために、当業者は、図1〜5(それぞれ、配列 番号1、3、5、7、9)に示される核酸配列と少なくとも90%、95%、96%、9 7%、98%、または99%同一である配列を有する多数の核酸分子が「MAdCAM-1(a〜 e)のいずれかのタンパク質活性を有する」ポリペプチドをコードすることを直ち に認識する。実際、これらのヌクレオチド配列の縮重改変体は、全て同じポリペ プチドをコードするので、このことは、上記の比較アッセイを行うことさえなく 当業者に明らかとなる。縮重改変体ではない核酸分子について、合理的な数がま たMAdCAM-1(a〜e)のいずれかのタンパク質活性を有するポリペプチドをコードす ることが、当該分野でさらに認識される。これは、当業者が、タンパク質の機能 に有意に影響する可能性は低いかまたはないかのいずれかであるアミノ酸置換( 例えば、ある脂肪族アミノ酸の第2の脂肪族アミノ酸への置換)を十分に認識し ているからである。 例えば、どのように表現型的にサイレントなアミノ酸置換を行うかに関する指 針は、Bowie,J.U.ら、「Deciphering the Message in Protein Sequences:Tole rance to Amino Acid Subutitutions」、Science 247:1306-1310(1990)に提供さ れる。この論文において、著者らは、タンパク質がアミノ酸配列置換に対して驚 くほど寛容であることを示している。 ベクターおよび宿主細胞 本発明はまた、本発明の単離されたDNA分子を含むベクター、組換えベクター で遺伝子操作された宿主細胞、および組換え技術によるMAdCAM-1(a〜e)ポリペプ チドのいずれかまたはそのフラグメントの産生に関する。 ポリヌクレオチドは、宿主における増殖のための選択マーカーを含むベクター に結合され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のよ うな沈殿物中か、または荷電脂質との複合体中で導入される。ベクターがウイル スである場合、ベクターは、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロで パッケージングされ得、次いで宿主細胞に形質導入され得る。 DNAインサートは、適切なプロモーター(例えば、少し名を挙げると、ファージ λPLプロモーター、E.coli lacプロモーター、trpプロモーター、およびtacプロ モーター、SV40初期プロモーターおよび後期プロモーター、ならびにレトロウイ ルスLTRのプロモーター)に作動可能に連結されるべきである。他の適切なプロモ ーターは当業者に公知である。発現構築物は、さらに、転写開始、転写終結のた めの部位、および、転写領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築 物によって発現される成熟転写物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべき ポリペプチドの始めに翻訳開始部位を含み、そして終わりに適切に位置される終 止コドン(UAA、UGA、またはUAG)を含む。 示されるように、発現ベクターは、好ましくは、少なくとも1つの選択マーカ ーを含む。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養についてはジヒドロ 葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性遺伝子、およびE.coliおよび他の細菌 における培養についてはテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子が挙げ られる。適切な宿主の代表例としては、細菌細胞(例えば、E.coli細胞、Strepto myces細胞、およびSalmonella typhimurium細胞);真菌細胞(例えば酵母細胞); 昆虫細胞(例えば、Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞(例 えば、CHO細胞、COS細胞、およびBowes黒色腫細胞);ならびに植物細胞が挙げら れるが、これらに限定されない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および 条件は当該分野で公知である。 細菌における使用に好ましいベクターの中には、pQE70、pQE60、およびpQE-9 (Qiagenから入手可能);pBSベクター、Phagescrlptベクター、Bluescriptベク ター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratageneから入手可能);ならびにptr c99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRlT5(Pharmaciaから入手可能)が含まれる 。好ましい真核生物ベクターの中には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、および pSG(Stratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Phar maciaから入手可能)がある。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らかであ る。 宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクシ ョン、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によって達成さ れ得る。このような方法は、多くの標準的研究室マニュアル(例えば、Davisら、 Basic Methods in Molecular Biology(1986))に記載されている。 ポリペプチドは、融合タンパク質のような改変された形態で発現され得、そし て分泌シグナルだけでなく、さらなる異種機能領域も含み得る。例えば、さらな るアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域が、宿主細胞内、精製の間、または後の取 り扱いおよび保存の間の、安定性および残存性を改善するために、ポリペプチド のN末端に付加され得る。また、ペプチド部分が、精製を容易にするためにポリ ペプチドへ付加され得る。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製の前に除 去され得る。とりわけ、分泌または排出を生じるため、安定性を改善するため、 および精製を容易にするためのペプチド部分のポリペプチドへの付加は、当該分 野でよく知られた日常的な技術である。好ましい融合タンパク質は、タンパク質 の可溶化に有用な免疫グロブリン由来の異種領域を含む。例えば、EP-A-0 464 5 33(カナダ国対応出願2045869)は、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分 を、別のヒトタンパク質またはその一部とともに含む融合タンパク質を開示する 。多くの場合、融合タンパク質中のFc部分は、治療および診断における使用に十 分に有利であり、したがって、例えば改善された薬物動態特性を生じる(EP-A 02 32262)。他方、いくつかの使用について、融合タンパク質が、記載される有利な 様式で、発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分が削除され得るこ とが望ましい。これは、Fc部分が、治療および診断における使用の妨げになると 判明した場合(例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として使用される場 合)である。薬物探索において、例えば、hIL-5のようなヒトタンパク質は、hIL- 5のアゴニストを同定するための高処理能力スクリーニングアッセイの目的でFc 部分と融合されてきた。D.Bennettら、Journal of Molecular Recognition Vol. 8:52-58(1995)、およびK.Johansonら、The Journal of Biological Chemistry V ol.270 No.16,pp9459-9471(1995)を参照。 MAdCAM-1(a〜e)タンパク質は、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イ オンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフ ィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー 、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィ ーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収され得、そして精製され 得 る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために用い られる。本発明のポリペプチドは、天然の精製産物、化学合成手順の産物、およ び原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細 胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む)から組換え技術によって産生された 産物を含む。組換え産生手順において用いられる宿主に依存して、本発明のポリ ペプチドは、グリコシル化されてもよいしされなくてもよい。さらに、本発明の ポリペプチドはまた、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、開始の 改変メチオニン残基を含み得る。 MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドおよびフラグメント 本発明はさらに、図1〜5(それぞれ、配列番号2、4、6、8、10)に与えら れるアミノ酸配列を有する単離されたMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチド、または上記 ポリペプチドの一部を含有するペプチドもしくはポリペプチド、ならびに図6の エキソン1〜5のヌクレオチド配列(配列番号34〜38)によってコードされる任意の ポリペプチドを提供する。 MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいくつかのアミノ酸配列が、このタンパク質の 構造または機能に有意に影響することなく改変され得ることが、当該分野におい て認識される。配列内のこのような差異が意図される場合、活性を決定するタン パク質の重要な領域が存在することを念頭に置くべきである。 したがって、本発明はさらに、実質的なMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチド活性を示 すか、またはMAdCAM-1(a〜e)タンパク質のうちのいずれかのものの所定の領域( 例えば、下記に考察されるタンパク質部分)を含む、MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチ ドの改変体を含む。このような変異体は、欠失、挿入、逆転、反復、およびタイ プ置換を含む。上記のように、どのアミノ酸の変化が表現型的にサイレントであ りそうであるかに関するさらなる指針は、Bowie,J.U.ら「Deciphering the Mess age in Protein Sequences:Tolerance to Amino Acid Substitutions」、Science 247:1306-1310(1990)に見出され得る。 したがって、図1〜5(配列番号2、4、6、8、10)に示されるポリペプチド のフラグメント、誘導体、もしくはアナログは、(i)1つ以上のアミノ酸残基が 保存的または非保存的アミノ酸残基(好ましくは、保存的アミノ酸残基)で置換さ れているもの(このような置換されたアミノ酸残基は遺伝コードによりコードさ れるものであってもなくてもよい)、または(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換 基を含むもの、または(iii)成熟ポリペプチドが、そのポリペプチドの半減期を 増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物と融合 されるもの、または(iv)さらなるアミノ酸例えば、IgG Fc融合領域ペプチド、ま たはリーダーもしくは分泌配列、または成熟ポリペプチドの精製に使用される配 列、またはプロタンパク質配列)が、成熟ポリペプチドに融合されているもの、 であり得る。このようなフラグメント、誘導体、およびアナログは、本明細書中 の教示から当業者の範囲内であるとみなされる。 特に興味深いものは、荷電アミノ酸の、別の荷電アミノ酸での置換および中性 または負に荷電したアミノ酸での置換である。後者は、減少した正電荷を有する タンパク質を生じ、MAdCAM-1(a〜e)タンパク質の特徴を改良する。凝集を防止す ることが非常に望ましい。タンパク質の凝集は、活性の損失を生じるだけでなく 、薬学的処方物を調製する場合、それらは免疫原性であり得るので、問題となり 得る(Pinckardら、Clin Exp.Immunol.2:331-340(1967);Robbinsら、Diabetes 36:838-845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307-377(1993))。 示されるように、タンパク質の折り畳みまたは活性に有意に影響しない保存的 アミノ酸置換のような、あまり本質的でない変化が好ましい(表1を参照)。 表1.保存的アミノ酸置換体。 機能に必須である、本発明のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチド中のアミノ酸は、部 位特異的変異誘発またはアラニン走査型変異誘発のような当該分野に公知の方法 により同定され得る(CunninghamおよびWells、Science 244:1081-1085(1989))。 後者の手順は、分子中の残基ごとに単一アラニン変異を導入する。次いで得られ る変異体分子は、生物学的活性(レセプター結合またはインビトロ)、またはイン ビトロ増殖活性について試験される。タンパク質活性に重要な部位はまた、結晶 化、核磁気共鳴、または光親和性標識のような構造分析により決定され得る(Smi thら、J.Mol.Blol.224:899-904(1992)、およびde Vosら、Science 255:306-312 (1992))。 本発明のポリペプチドは、好ましくは単離形態で提供され、そして好ましくは 実質的に精製されている。MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかの組換え産生 型は、SmithおよびJohnson、Gene 67:31-40(1988)に記載される一工程方法によ り実質的に精製され得る。 本発明のポリペプチドには、リーダーを含む図1〜5(それぞれ、配列番号2 、4、6、8、10)の任意のポリペプチド、リーダーを含まない図1〜5(それぞ れ、配列番号2、4、6、8、10)の任意の成熟ポリペプチド(すなわち、成熟タ ンパク質)、リーダーを含まない図1〜5(それぞれ、配列番号2、4、6、8、 10)の任意のポリペプチド、図1〜5(それぞれ、配列番号2、4、6、8、10) の任意のポリペプチドの細胞外ドメイン、図1〜5(それぞれ、配列番号2、4 、6、8、10)の任意のポリペプチドの細胞内ドメイン、および図1〜5(それぞ れ、配列番号2、4、6、8、10)の任意のポリペプチドの膜貫通ドメイン、な らびに図6のエキソン1〜5のヌクレオチド配列(配列番号34〜38)によってコー ドされる任意のポリペプチドが挙げられる。もちろん、スプライス改変体MAdCAM -1(a〜e)が、図6(配列番号34〜38)に示される5つのエキソンのオルタナティブ スプライシング(およびこれらのエキソンの内部へのスプライシングによって、 実施例6を参照)によってインビボで産生されるように、MAdCAM-1のポリペプチ ド改変体が、図6に示される配列(配列番号34〜38)のエキソンまたはエキソンの 一部を組み合わせることによって、組換え産生され得ることを当業者は理解する 。このようなポリペプチドもまた本発明に包含される。さらに、上記ポリペプチ ドと少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%または95%同一、なお より好ましくは少なくとも96%、97%、98%、または99%同一であるポリペプチ ドが含まれ、そしてさらに少なくとも30アミノ酸、そしてより好ましくは少なく とも50アミノ酸を有する、そのようなポリペプチドの一部も含まれる。 MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかの参照アミノ酸配列と少なくとも、例 えば、95%「同一」なアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、そのポリペプチド のアミノ酸配列が、MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかの参照アミノ酸配列 の100アミノ酸あたり5つまでのアミノ酸変化を含み得ることを除いて、参照配 列と同一であることを意図する。言い換えれば、参照アミノ酸配列と少なくとも 95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列中の5% までのアミノ酸残基が欠失されているかもしくは別のアミノ酸と置換されていて もよく、または参照配列中の総アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸が参照配 列に挿入されていてもよい。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のア ミノ末端位置もしくはカルボキシ末端位置で、またはこれらの末端位置の間のど こかで、参照配列の残基の間に個別に散在するかもしくは参照配列内に1以上の 連続群で散在するかのいずれかで起こり得る。 実際には、任意の特定のポリペプチドが、例えば、図1〜6(それぞれ、配列 番号2、4、6、8,10)に示されるアミノ酸配列のいずれか、または寄託され たゲノムDNAによりコードされるアミノ酸配列と、少なくとも90%、95%、96% 、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsi n Sequence Analysis Package、Unix用第8版、Genetics Computer Group、Univ ersity Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)のような公知 のコンピュータプログラムを使用して慣習的に決定され得る。特定の配列が、本 発明の参照配列と例えば95%同一であるかどうかを決定するために、Bestfitま たは任意の他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、当然、同一性の 割合が参照アミノ酸配列の全長にわたって計算され、そして参照配列のアミノ酸 残基の総数の5%まで相同性にギャップが許容されるようにパラメータが設定さ れる。 本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSDS-PAGEゲルまたは分 子ふるいゲル濾過カラムでの分子量マーカーとして使用され得る。 別の局面において、本発明は、本明細書に記載される本発明のエピトープ保有 部分を含む、ペプチドまたはポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分の エピトープは、本発明のポリペプチドの免疫原性または抗原性エピトープである 。「免疫原性エピトープ」は、タンパク質全体が免疫原である場合、抗体応答を誘 発するタンパク質の一部として定義される。他方、抗体が結合し得るタンパク質 分子の領域は、「抗原性エピトープ」と定義される。タンパク質の免疫原性エピト ープの数は、一般には、抗原性エピトープの数よりも少ない。例えば、Geysenら 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998-4002(1983)を参照。 抗原性エピトープを保有する(すなわち、抗体が結合し得るタンパク質分子の 領域を含む)ペプチドまたはポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一 部を模倣する比較的短い合成ペプチドが、部分的に模倣されたタンパク質と反応 する抗血清を日常的に誘発し得ることが当該分野で周知である。例えば、Sutcli ffe,J.G.、Shinnick,T.M.、Green,N.およびLearner,R.A.(1983)Antibodies that react with predetermined sites on proteins.Science 219:660-666(1983)を 参照。タンパク質反応性血清を誘発し得るペプチドは、タンパク質の一次配列に 頻繁に存在し、そして単純な化学法則のセットにより特徴付けられ得、そしてイ ンタクトなタンパク質の免疫優勢領域(すなわち、免疫原性エピトープ)にも、ア ミノ末端またはカルボキシル末端にも制限されない。 したがって、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、 本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)を惹 起するに有用である。例えば、Wilsonら、Cell 37:767-778(1984)777ページを参 照。 本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、好ましくは、 本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内に含まれる、少なくとも7アミノ酸、よ り好ましくは少なくとも9アミノ酸、そして最も好ましくはおよそ少なくとも約 15〜約30の間のアミノ酸の配列を含む。 MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかに特異的な抗体を作製するために使用 され得る抗原性ポリペプチドもしくはペプチドの制限的でない例には、図1(配 列番号2)の約52から約80までのアミノ酸残基を含むポリペプチド;図1(配列番 号2)の約164から約196までのアミノ酸残基を含むポリペプチド;および図1(配 列番号2)の約228から約321までのアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる 。上記のように、本発明者らは、上記ポリペプチドフラグメントが、エンドカイ ン(endokine)αタンパク質の抗原性領域であることを決定した。 本発明のエピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、任意の従来手段によ り産生され得る。Houghten,R.A.(1985)General method for the rapid solid-p hase synthesis of large numbers of peptides:Specjficity of antigen-antib ody interaction at the level of individual aminoacids.Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 82:5131-5135。この「Simultaneous Multiple Peptide Synthesis(SMPS)」 プロセスは、さらにHoughtenら(1986)に対する米国特許第4,631,211号に記載さ れる。 MAdCAM-1関連障害の診断 炎症応答を誘導する状況下で、1以上のMAdCAM-1タンパク質(MAdCAM-1(a〜e)) に対するレセプターを発現する循環リンパ球は、粘膜細静脈のMAdCAM-1タンパク 質に結合し、次いで細静脈を通って上皮(ここで急性炎症が生じる)まで移動する と考えられる。それゆえ、本発明はまた、対応する「標準」哺乳動物(すなわち、 病理学的炎症状態を有さない同一種の哺乳動物)と比較して、増強したレベルの 、1以上のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質またはこれらのタンパク質をコードするmR NAの存在を同定することによる、病理学的炎症状態の診断に関する。このような 状態には、移植拒絶、関節炎、慢性関節リウマチ、感染、皮膚病、炎症性腸疾患 、および自己免疫疾患(慢性、再発性、実験的自己免疫脳炎(EAE)を含む)が挙げ られる。 また、ガンを有する哺乳動物の特定組織は、対応する「標準」哺乳動物(すなわ ち、ガンを有さない同一種の哺乳動物)と比較して、有意に増強したレベルの、 1以上のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質およびこれらのタンパク質をコードするmRNA を発現すると考えられる。さらに、ガンを有さない同一種の哺乳動物からの血清 と比較した場合、増強したレベルの任意のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質が、ガンを 有する哺乳動物からの特定の体液(例えば、血清、血漿、尿、および脊髄液)中に 検出され得ると考えられる。したがって、本発明は、腫瘍診断の間に有用な診断 方法を提供する。この方法は、哺乳動物細胞または体液中のMAdCAM-1(a〜e)タン パク質のいずれかをコードする遺伝子の発現レベルをアッセイする工程、および その遺伝子発現レベルと、同じ遺伝子についての標準発現レベルとを比較する工 程であって、標準を超えての遺伝子発現レベルの増大が特定の腫瘍を示す、工程 を含む。 腫瘍診断が従来方法に従って既になされている場合、本発明は予後指標として 有用である。MAdCAM-1(a〜e)遺伝子のいずれかの増強された発現を示す患者は、 より低いレベルで問題の遺伝子を発現する患者と比較して、より悪い臨床的結末 を経験する。 「1以上のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルをアッ セイすること」により、第1の生物学的サンプルにおける1以上のMAdCAM-1(a〜e )タンパク質のレベル、または1以上のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質をコードするm RNAのレベルを、直接的(例えば、絶対タンパク質レベルまたは絶対mRNAレベルを 測定また推定することによる)または相対的(例えば、第2の生物学的サンプルに おける同一のMAdCAM-1(a〜e)のタンパク質レベルまたはmRNAレベルと比較するこ とによる)のいずれかで、定性的または定量的に測定および推定することが意図 される。 好ましくは、第1の生物学的サンプルにおけるMAdCAM-1(a〜e)タンパク質レベ ルまたはmRNAレベルは、測定または推定され、そして同一タンパク質についての 標準的なタンパク質レベルまたはmRNAレベルと比較される。標準は、ガンを有さ ない個体から得られる第2の生物学的サンプルから採取される。当該分野におい て理解されるように、一旦、1以上のMAdCAM-1(a〜e)の標準的なタンパク質レベ ルまたはmRNAレベルが既知になると、それは比較のための標準として繰り返し使 用され得る。 「生物学的サンプル」によって、個体、細胞株、組織培養物、あるいは1以上の MAdCAM-1(a〜e)タンパク質またはそれらをコードするmRNAを含む他の供給源から 得られる任意の生物学的サンプルが意図される。生物学的サンプルとしては、分 泌された成熟タンパク質を含む哺乳動物の体液(例えば、血清、血漿、尿、滑液 、および脊髄液)、および卵巣、前立腺、心臓、胎盤、膵臓、肝臓、脾臓、肺、 乳房ならびに臍組織が挙げられる。 本発明は、哺乳動物においてガンを検出するに有用である。特に、本発明は、 哺乳動物における以下のタイプのガンの診断に有用である:リンパ腫、白血病、 および転移性腫瘍。好ましい哺乳動物として、サル(monkey)、サル(ape)、ネコ 、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、およびヒトが挙げられる。特に好ましいの はヒトである。 総細胞性RNAが、ChomczynskiおよびSacchi,Anal.Biochem.162:156-159(198 7)に記載される単一工程のグアニジン-チオシアネート-フェノール-クロロホル ム法を使用して生物学的サンプルから単離され得る。次いで、MAdCAM-1(a〜e)タ ンパク質のいずれかをコードするmRNAのレベルが、任意の適切な方法を用いてア ッセイされる。これらは、ノーザンブロット分析、S1ヌクレアーゼマッピング、 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT-P CR)、およびリガーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT-LCR)を含む。 生物学的サンプル中の任意のMAdCAM-1(a〜e)のタンパク質レベルをアッセイす ることは、抗体に基づく技術を使用して行われ得る。例えば、組織中での任意の MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドの発現は、古典的な免疫組織学的方法で研究され得 る(Jalkanen,M.ら、J.Cell.Biol.101:976-985(1985);Jalkanen,Mら、J.Cel l.Biol.105:3087-3096(1987))。 MAdCAM-1(a〜e)タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体に基づ く方法は、免疫アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射 免疫アッセイ(RIA))を含む。適切な標識は当該分野で公知であり、そして酵素標 識(例えば、グルコースオキシダーゼ)、および放射性同位元素(例えば、ヨウ素(125 I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In )、およびテクネチウム(99mTc))、ならびに蛍光標識(例えば、フルオレセインお よびローダミン)ならびにビオチンを含む。 染色体アッセイ 本発明の核酸分子はまた、染色体の同定に有用である。配列は、ヒト染色体19 p13.3に特異的に標的化され、そしてこれにハイブリダイズし得る。本発明によ るDNAの染色体へのマッピングは、これらの配列を疾患に関連する遺伝子と相関 付けることにおいて重要な第1工程である。 この点における特定の好ましい実施態様において、本明細書中に開示されるcD NAは、MAdCAM-1(a〜e)タンパク質をコードするいずれかの遺伝子のゲノムDNAを クローニングするために使用される。これは、種々の周知の技術およびライブラ リー(一般に市販されている)を使用して達成され得る。次いで、ゲノムDNAは、 この目的のための周知技術を使用してインサイチュ染色体マッピングのために使 用される。 いくつかの場合において、さらに、配列は、cDNAからPCRプライマー(好ましく は、15〜25bp)を調製することにより染色体にマップされ得る。遺伝子の3'非翻 訳領域のコンピューター解析が、ゲノムDNA内で1より多いエキソンにまたがら ず、したがって増幅プロセスを複雑化しないプライマーを迅速に選択するために 使用される。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハ イブリッドのPCRスクリーニングに使用される。 cDNAクローンの中期染色体スプレッド(spread)への蛍光インサイチュハイブリ ダイゼーション(「FISH」)は、1工程で正確な染色体位置を提供するために使用さ れ得る。この技術は、50bpまたは60bpほどの短いcDNA由来のプローブを用いて使 用され得る。この技術の総説については、Vermaら、Human Chromosomes:A Manua l Of Basic Techniques、Pergamon Press、New York(1988)を参照。 一旦配列が正確な染色体位置にマップされると、染色体上での配列の物理的位 置を遺伝地図のデータと相関させ得る。このようなデータは、例えば、V.McKus lck、Mendelian Inheritance In Man(Johns Hopkins University,Welch Medica l Libraryを通じてオンラインで入手可能)に見出される。次いで、同じ染色体領 域にマップされた遺伝子と疾患との間の関係が、連鎖解析(物理的に隣接する遺 伝子の同時遺伝)により同定される。 次に、罹患個体と非罹患個体との間のcDNA配列またはゲノム配列における相違 を決定する必要がある。変異がいくつかまたは全ての罹患個体に観察されるが、 いずれの正常個体にも観察されない場合、この変異は疾患の原因因子であるよう である。 MAdCAM-1タンパク質および抗体治療 炎症応答を誘導する状況下では、循環リンパ球は、1つ以上のMAdCAM-1タンパ ク質(MAdCAM-1(a〜e))のレセプターを発現し、このレセプターを介して粘膜細静 脈上のMAdCAM-1タンパク質に結合し、次いで細静脈を通って上皮に移動し、ここ で急性炎症が生じると考えられる。それゆえ、MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1( a〜e))を介する白血球の移動をブロックし得る治療的組成物(すなわち、MAdCAM- 1(a〜e)のいずれかの活性のアンタゴニスト)の投与は、多くの異常な炎症状態( 特に、炎症が慢性または急性である場合)において組織損傷を最少にするために 有効な治療的処置であり得る。このような状態は、移植拒絶、関節炎、慢性関節 リウマチ、感染、皮膚病、炎症性腸疾患、および自己免疫疾患(慢性再発性実験 的自己免疫脳炎(EAE))を含む。 したがって、本発明はまた、MAdCAM-1(a〜e)のいずれかの活性を減少させる必 要がある個体に、MAdCAM-1(a〜e)活性のアンタゴニストを含む治療有効量の組成 物を投与することにより、この個体を処置するための治療方法に関する。このよ うな化合物は、抗MAdCAM-1抗体またはそのフラグメント、ならびに可溶化された α4β7のような化合物を含む。このような個体は、異常な炎症性状態(特に炎症 が慢性または急性である場合)を患う個体を含み得る。本発明はまた、炎症の危 険性が高い患者(例えば、移植患者など)における炎症の進展を予防するために、 炎症状態の検出の前に、このような組成物を「予防的」処置として用いることを含 む。 それゆえ、本発明はさらに、1つ以上の上記疾患を処置するために、MAdCAM-1 (a〜e)のいずれかに対する抗体を哺乳動物(好ましくはヒト)患者に投与すること を包含する、抗体に基づく治療に関する。このような抗MAdCAM-1ポリクローナル およびモノクローナル抗体を作製するための方法は、上記で詳細に記載されてい る。このような抗体は、当該分野で公知であるかまたは本明細書中に記載される ような、薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る。 本発明の抗体が治療的に用いられ得る方法のまとめは、身体に局所的または全 身的にMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかと結合することを含む。これらの アプローチのいくつかは、下記でより詳細に記載される。本明細書中に提供され る教示を備えれば、当業者は、過度の実験を要することなく、本発明の抗体を診 断目的、モニタリング目的、または治療目的に使用する方法を知る。 本発明のMAdCAM-1(a〜e)活性のアンタゴニストはまた、MAdCAM-1(a〜e)ポリペ プチドのいずれかの可溶形態を含み得る。MAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれ かの可溶形態の投与は、炎症部位での内皮への白血球の接着をブロックし得る。 当業者は、MAdCAM-1の3次元構造(例えば、図7に与えられる3次元構造)の解析 に基づいて、このような可溶性フラグメントを作製する方法を容易に知る。 投与の形熊 個体におけるMAdCAM-1(a〜e)のいずれかの活性の標準レベルもしくは正常レベ ルの増加により引き起こされる状態が、MAdCAM-1(a〜e)いずれかにより媒介され るリンパ球接着をブロックし得る分子の投与により処置され得ることが理解され る。したがって、本発明はさらに、MAdCAM-1(a〜e)媒介接着の減少したレベルを 必要とする個体を処置する方法を提供する。この方法は、このような個体に、本 発明のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかのアンタゴニストの有効量を含む 薬学的組成物を投与する工程を包含する。このようなアンタゴニストは、このよ うな個体における所望のMAdCAM-1(a〜e)タンパク質の活性レベルを減少させるた めに有効である、抗MAdCAM-1抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体、なら びに可溶化α4β7のような化合物、またはMAdCAM-1(a〜e)のいずれかの可溶性形 態を含む。 一般的提案として、非経口投与される1つ以上のアンタゴニスト(抗体、可溶 性形態のα4β7、および可溶性形態のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドを含む)の用 量あたりの薬学的有効総量は、患者の体重あたり、約1μg/kg/日〜10mg/kg/日 の範囲であるが、上記のように、これは治療的裁量に従う。この用量は、より好 ましくは少なくとも0.01mg/kg/日、そして最も好ましくは、ヒトについては、こ のホルモンに対して約0.01〜1mg/kg/日である。連続的に与えられる場合、MAdC AM-1(a〜e)ポリペプチドの所望のアンタゴニストは、代表的には、約1μg/kg/ 時間〜約50μg/kg/時間の用量速度で、1日あたり1〜4回の注射、または例え ば、ミニポンプを用いる連続皮下注入のいずれかにより投与される。静脈内バッ グ溶液もまた用いられ得る。 本発明のMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドの1つ以上のアンタゴニストを含む薬学 的組成物は、経口、直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所(例えば、粉末、 軟膏、ドロップ、または経皮パッチによる)、頬に、または経口もしくは鼻腔内 スプレーとして投与され得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、任意のタイ プの非毒性の固体、半固体、または液体の賦形剤、希釈剤、カプセル化材料、ま たは処方補助剤を意味する。本明細書中で用いられる用語「非経口」は、静脈内、 筋肉内、腹腔内、胸骨下、皮下、および関節内の注射および注入を含む投与態様 をいう。 用いられるアンタゴニストが抗体、そのフラグメント、またはその誘導体であ る場合、MAdCAM-1免疫アッセイ(本出願の診断剤に関する節を参照)およびエンド カイン関連障害の治療の両方のために、高親和性のおよび/またはインビボで強 力なMAdCAM-1阻害性および/または中和性の抗体、そのフラグメントまたは領域 を使用することが好ましい。このような抗体、フラグメント、または領域は、好 ましくは、ヒトMAdCAM-1(a〜e)のいずれかに対して、少なくとも108M-1、より好 ましくは少なくとも109M-1(例えば、5×108M-1、8×108M-1、2×109M-1、4 ×109M-1、6×109M-1、8×109M-1)の親和性(Kaとして表される)を有する。 ヒトでの治療使用に好ましいのは、例えば、MAdCAM-1媒介性細胞接着活性を、 インビボ、インサイチュ、およびインビトロでブロックする、本発明による、高 親和性のマウス抗体およびマウス/ヒトまたはヒト/ヒトのキメラ抗体、ならびに インビボで強力なMAdCAM-1阻害および/または中和活性を有するフラグメント、 領域、および誘導体である。 MAdCAM-1の発現を調節し得る化合物の選択 本発明はまた、MAdCAM-1(a〜e)の5'隣接領域(これらのスプライス改変体のた めのプロモーターを含む)を含む単離されたゲノムDNA分子を含むので、本発明の なお別の局面は、MAdCAM-1(a〜e)いずれかの発現を増強または阻害し得る化合物 を同定するための方法に関する。このような化合物の効果を決定するために、レ ポータープラスミドが、レポーター遺伝子の前に、MAdCAM-1(a〜e)の任意のもの の転写開始部位に対して5'側に位置するDNAの部分を連結することにより構築さ れる。次いで、このような構築物は、適切な細胞株にトランスフェクトされる。 次いで、MAdCAM-1プロモーターからの発現を増加または減少させる能力について 試験される化合は、レポーター築物を有する細胞に投与され、そしてレポーター 遺伝子発現に対する各化合物の影響は、その発現レベルと、レポーター構築物を 有するコントロール細胞における発現レベルとを比較することにより、決定され る(試験化合物は、コントロール細胞には投与されていない)。 MAdCAM-1遺伝子の5'隣接領域のDNA配列を、図6に示す(配列番号33)。この領 域の完全な説明については、下記の実施例6を参照。もちろん、ヌクレオチド配 列は公知であるので、このような核酸分子を合成的に生成するための日常的な方 法(例えば、Synthesis and Application of DNA and RNA、S.A.Narang編、1987 、Academic Press、San Diego、CAを参照)が利用可能である。あるいは、本発明 のこのような単離された核酸分子は、以下の通りに生成され得る。MAdCAM-1遺伝 子のプロモーター領域は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いる増幅により入手 される。次いで、増幅されたフラグメントは、適切なプラスミド(例えば、pCATM (Promega,Madison,WI)など)に挿入される。次いで、ネスティッド欠失プラス ミドは、Henikoff、Gene 28:351-359(1984)に記載されるように、市販の「Erase- a-Base」System(Promega,Madison,WI)を用いて生成される。したがって、日常 的な実験のみが、遺伝子発現を増強または阻害し得る、本発明の任意の単離され た核酸分子を生成するために必要とされる。 本発明の核酸分子は、遺伝子転写に影響を与え得る、MAdCAM-1プロモーターな らびにシス作用性エンハンサーおよび/またはサイレンサーエレメントを含み得 る。単純化のために、本発明のこれらの単離された核酸分子は、下記で、「MAdCA M-1転写調節エレメント」または「転写エレメント」と呼ばれる。示されるように、 遺伝子発現に対する本発明の転写エレメントの効果を決定するために、クロラム フェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)レポーター遺伝子の前に連結さ れた本発明の転写エレメントを含むネスティッド欠失レポータープラスミドが生 成され得る。本発明者らにより実際に生成された、本発明のこのような組換えDN 490(1987))のXbaI部位に、両方の配向で挿入された転写エレメントを含む。 本発明により、本発明の転写エレメントを含む組換えDNA分子は、適切な細胞 株(例えば、ヒト絨毛ガン細胞株(JEG-3およびJAR)、ヒト前立腺ガン細胞株PC-3 、またはサル腎臓細胞株CV-1など(これらはすべてアメリカンタイプカルチャー コレクションから入手可能である))を一過性にトランスフェクトするために用い られる。レポーター遺伝子分析のためのCAT系を用いることに加えて、hGTの一過 性発現系(Seldenら、Mol.Cell.Biol.6:3173-3179(1986))、またはβ−ガラク トシダーゼ(Anら、Mol.Cell Biol.2:1628−1632(1982))およびキサンチンーグ アニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Chuら、Nucleic Acids Res.13:2921 -2930(1985))の発現に基づく他の系もまた用いられ得る。 本発明の転写エレメントは、連結のための平滑末端化末端または付着末端化末 端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、付着末端の適切なフィルイン、 望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および適切な リガーゼでの連結を含む従来技術に従って、適切なベクターに挿入され得る。こ のような操作のための技術は、Maniatis,T.ら(下記)により開示され、そして当 該分野で周知である。本発明の転写エレメントを含むクローンは、MAdCAM-1エン ハンサーまたはサイレンサー領域DNAを特異的に選択する任意の手段により(例え ば、転写エレメントの全てまたは一部に相補的な配列を含む適切な核酸プローブ とのハイブリダイゼーションなどにより)同定され得る。本発明の転写エレメン トに特異的なオリゴヌクレオチドプローブは、単に配列番号33を参照することに より設計され得る。核酸ハイブリダイゼーションおよびクローン同定の技術は、 Maniatis,T.ら(Molecular Cloning,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbo r Laboratories、Cold Spring Harbor、NY(1982))およびHames,B.D.ら(Nuclei c Acid Hybridization,A Practical Approach、IRL Press、Washington,DC(19 85))により開示される。本発明の転写エレメントを含む所望のクローンの検出を 容易にするために、上記の核酸プローブは、検出可能な基で標識され得る。この ような検出可能な基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質 であり得る。このような物質は、核酸ハイブリダイゼーションの分野において十 分に開発されてきており、そして一般に、このような方法において有用な大部分 の任意の標識が、本発明に適用され得る。特に有用なのは、放射性標識(例えば 、32P、3H、14C、35S、125Iなど)である。適切なシグナルを提供しそして 十分な半減期を有する任意の放射性標識が用いられ得る。例えば、オリゴヌクレ オチドは、例えば、Rigby,P.J.W.ら、J.Mol.Biol.113:237(1977)に記載され るような周知の手段、および例えば、Deen,K.C.ら、Anal.Biochem.135:456(1 983)に記載されるようなT4 DNAポリメラーゼ置換合成による「ニックトランスレ ーション」により、放射性標識され得る。あるいは、ポリヌクレオチドはまた、 ビオチン、酵素、または蛍光基のような非放射性マーカーで標識された場合、核 酸ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。例えば、Leary,J.J.ら 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:4045(1983):Renz,M.ら、Nucl.Acids Res.12 :3 435(1984);およびRenz,M.、EMBO J.6:817(1983)を参照。 本明細書中で使用される「異種タンパク質」は、本発明の転写調節エレメント に対して異種であるペプチド配列をいうことを意図される。所望の場合、本明細 書中の教示はまた、このような転写調節エレメントによる、MAdCAM-1タンパク質 またはそのスプライス改変体をコードする遺伝配列の発現に適用されることを当 業者は認識する。下記のスクリーニングアッセイにおける使用のためのレポータ ー遺伝子は、MAdCAM-1タンパク質もしくはそのスプライス改変体、または異種タ ンパク質のいずれかをコードし得る。あるいは、レポーター遺伝子発現の検出は 、mRNAレベル(例えば、MAdCAM-1mRNAの検出など)であり得る。 本発明の転写調節エレメントの制御下でレポーター遺伝子を発現させるために 、遺伝子は、調節エレメントに「作動可能に連結」されなければならない。作動可 能な連結は、所望の配列の発現(または作動)を、転写または翻訳調節配列の影響 下または制御下に置くような方法で、所望の配列が調節配列に接続される連結で ある。 2つのDNA配列(例えば、レポーター遺伝子およびレポーター遺伝子の5'末端 に連結されたプロモーター領域の配列)は、プロモーター機能の誘導がレポータ ー遺伝子の転写をもたらす場合、および2つのDNA配列間の連結の性質が(1)フレ ームシフト変異の導入をもたらさない場合(レポータータンパク質の活性が、レ ポーター遺伝子発現の検出に必要である場合)、(2)発現調節配列がレポーター遺 伝子発現を導く能力を妨害しない場合、または(3)レポーター遺伝子がプロモー ター領域配列により転写される能力を妨害しない場合、作動可能に連結されてい る、と言われる。したがって、プロモーターは、プロモーターがDNA配列の転写 に影響を与え得る場合、このDNAに作動可能に連結されている。 同様の様式で、遺伝子発現を増強または抑制する本発明の転写調節エレメント は、このようなプロモーターに作動可能に連結され得る。ヌクレオチド鎖におけ るエレメントの正確な配置は、作動可能に連結されたプロモーターに対する所望 の効果が明らかにされ得る位置に、エレメントが配置される限り、重要ではない 。核酸分子(例えば、DNA)は、転写調節情報を含む発現制御配列を含み、そして このような配列がポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結 さ れる場合、そのポリペプチドを「発現し得る」と言われる。遺伝子の発現の完全な 制御のために、異種遺伝子に作動可能に連結される全ての転写および翻訳調節エ レメント(またはシグナル)は、適切な宿主により認識され得るべきである。宿主 中で「認識可能」により、このようなシグナルがこのような宿主において機能的で あることが意味される。 上記の方法により入手され、そして好ましくは二本鎖形態の本発明のMAdCW-1 転写調節エレメントは、好ましくは発現ベクターにおいて、異種遺伝子(例えば 、レポーター遺伝子)に作動可能に連結され得、そして宿主細胞(好ましくは、真 核生物細胞)に導入されてレポーター遺伝子発現がアッセイされ得る。好ましい 真核生物細胞は、絨毛ガン細胞株、乳ガン細胞株、前立腺ガン細胞株、および腎 臓細胞株を含む。 広く知られるように、真核生物mRNAの翻訳は、最初のメチオニンをコードする コドンから開始される。このため、真核生物プロモーターとレポーター遺伝子と の間の連結が、確実に、メチオニンをコードし得る介在コドンを全く含まないよ うにすることが好ましい。このようなコドンの存在は、融合タンパク質(AUGコド ンが異種タンパク質をコードするDNAと同じリーディングフレームに存在する場 合)またはフレームシフト変異(AUGコドンがレポーター遺伝子と同じリーディン グフレームに存在しない場合)のいずれかの形成をもたらす。 所望の場合、レポータータンパク質の融合産物が構築され得る。例えば、レポ ータータンパク質をコードする配列は、特定の宿主からのタンパク質の分泌、ま たは特定の宿主におけるタンパク質の分画化を可能にするシグナル配列に連結さ れ得る。このようなシグナル配列は、シグナルペプチド配列がその後の除去を受 け易いように、特定のプロテアーゼ部位を有するかまたは有さないで設計され得 る。あるいは、このタンパク質のネイティブなシグナル配列が用いられ得る。 本発明の転写調節エレメントは、抑制または活性化を可能にするように選択さ れ得、その結果、作動可能に連結されたレポーター遺伝子の発現が調整され得る 。翻訳シグナルは、アンチセンスRNA配列を発現すること、またはmRNA検出を介 してレポーター遺伝子発現をアッセイすることが所望される場合には、必要でな い。 所望の場合、レポータ一遺伝子に対して3'側の非転写および/または非翻訳領 域は、上記のクローニング方法により入手され得る。3'非転写領域は、転写終 結調節配列エレメントを保持し得;3'非翻訳領域は、翻訳終結調節配列エレメ ント、または真核生物細胞においてポリアデニル化を導くエレメントを保持し得 る。ネイティブな発現制御配列シグナルが、宿主細胞において満足に機能しない ならば、宿主細胞において機能的な配列に置換され得る。 哺乳動物細胞を、本発明のDNA構築物で形質転換するために、レポーター遺伝 子産物を宿主細胞の染色体DNAに挿入することが所望されるか、またはレポータ ー遺伝子産物を染色体外形態で存在させることが所望されるかに依存して、多く のベクター系が利用可能である。レポーター遺伝子および作動可能に連結された プロモーターが、線状分子、または、より好ましくは、自己複製し得ない閉鎖共 有結合環状分子のいずれかであり得る複製しないDNA(またはRNA)分子として、レ シピエント真核生物細胞に導入される場合、レポーター遺伝子発現は、導入され る配列の一過性発現により生じ得る。 遺伝的に安定な形質転換体は、ベクター系または形質転換系を用いて構築され 得、それにより、レポーター遺伝子は、宿主の染色体中に組み込まれる。このよ うな組込みは、細胞内でデノボで生じ得るか、または最も好ましい実施熊様では 、自身を宿主の染色体中に機能的に挿入するベクターでの形質転換により補助さ れ得る。染色体挿入し得るベクターは、例えば、レトロウイルスベクター、トラ ンスポゾン、または染色体へのDNA配列の組込みを促進する他のDNAエレメント( 特に所望の染色体挿入部位に相同なDNA配列)を含む。 導入されたDNAがその染色体に安定に組み込まれた細胞は、その所望の配列を 有する宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーもまた導入することによ って選択される。例えば、マーカーは、生物致死剤耐性(例えば、抗生物質、ま たは銅のような重金属に対する耐性)などを提供し得る。選択マーカー遺伝子は 、レポーター遺伝子に直接連結されるか、または同時トランスフェクションによ り同じ細胞に導入されるかのいずれかであり得る。別の実施態様では、導入され る配列は、レシピエント宿主において自律複製し得るプラスミドまたはウイルス ベクターに組み込まれる。任意の広範な種々のベクターが、下記で概説されるよ うに、この目的のために用いられ得る。特定のプラスミドまたはウイルスベクタ ー を選択する際に重要な因子には、ベクターを含むレシピエント細胞が、認識され 、そしてこのベクターを含まないレシピエント細胞から選択され得る容易さ;特 定の宿主において望ましいベクターのコピー数;およびベクターを異なる種の細 胞間で「シャトル」し得ることが望ましいか否かが挙げられる。 好ましい真核生物プラスミドは、ウシパピローマウイルス、ワクシニアウイル ス、およびSV40由来のプラスミドを含む。このようなプラスミドは、当該分野で 周知であり、そして通常に入手可能かまたは市販されている。例えば、ヘルパー ウイルスと同時トランスフェクトして、プラスミドのコピー数を増幅し、そして プラスミドを宿主細胞の染色体へ組み込むことを可能にする哺乳動物発現ベクタ ー系が記載されている(Perkins,A.S.ら,Mol.Cell Biol.3:1123(1983);Clonte ch,Palo Alto,California)。特に好ましいのは、pCAT-Basic、pCAT-Enhancer 、およびpCAT-Promoterベクター(Promega,Madison,WI)に由来するベクターで ある。 一旦構築物を含むベクターまたはDNA配列が発現のために調製されると、DNA構 築物は、任意の種々の適切な手段(トランスフェクション、エレクトロポレーシ ョン、またはリポソームによる送達を含む)によって適切な宿主細胞に導入され る。DEAEデキストリン、リン酸カルシウム、および好ましくはトランスフエクシ ョン試薬DOTAPが、トランスフェクションプロトコールに有用であり得る。 インビトロでのベクターの導入後、レシピエント細胞が、選択培地、すなわち ベクター含有細胞の増殖を選択する培地において増殖される。レポーター遺伝子 の発現は、mRNA、および所望であればレポータータンパク質の産生を生じる。本 発明によれば、この発現は、形質転換細胞中で、連続的様式、または制御された 様式で生じ得る。所望であれば、インビトロでの培養において、レポータータン パク質は、従来の条件(例えば、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、アフィニテ ィークロマトグラフィー、電気泳動など)に従って、単離および精製される。あ るいは、レポータータンパク質発現のレベルは、従来のタンパク質アッセイ(例 えば、CAT発現系など)に従ってアッセイされ得る。 本発明のMAdCAM-1転写調節エレメント(すなわち、MAdCAM-1プロモーター、な らびに遺伝子発現を増強および/または抑制し得る単離された核酸分子)は、薬物 、 リガンド、および/または他のトランス作用性因子をスクリーニングして、どれ がMAdCAM-1またはその任意のスプライス変異体の発現に影響し得るかを決定する に有用である。本発明によって、トランス作用性因子は、MAdCAM-1発現をアップ レギュレートまたはダウンレギュレートする能力によって同定され得る。本明細 書中で使用される場合、「MAdCAM-1トランス作用性因子」によって、本発明のMAdC AM-1転写調節エレメントと、直接的または間接的のいずれかで相互作用して、遺 伝子発現を増強または抑制する薬物、リガンド、または他の化合物が意図される 。本発明の転写調節エレメントと直接相互作用するMAdCAM-1トランス作用性エレ メントは、例えば、エレメントに直接結合し、そして遺伝子発現を増強するかま たは抑制するエレメントを含む。本発明の転写調節エレメントと間接的に相互作 用するMAdCAM-1トランス作用性因子は、例えば第2のトランス作用性因子(例え ば、レセプター分子)に結合し、そしてその活性を誘導する因子を含む。この第 2のトランス作用性因子自体は、単独にまたは第1のトランス作用性因子と複合 体化してのいずれかで、エレメントに結合し、そして遺伝子発現を増強するかま たは抑制する。トランス作用性因子の1つの型は、三重鎖形成オリゴヌクレオチ ドである。適切なオリゴヌクレオチドの投与は、オリゴヌクレオチドとMAdCAM-1 プロモーターとの間の三重らせん形成を生じ、そのことはそのプロモーターから の転写を阻害する(Ebbinghaus,S.W.ら、Gene Therapy3:287-297(1996);Roy,C .,Eur.J.Biochem.220:493-503(1994))。MAdCAM-1遺伝子の5'領域のゲノム配列 が本明細書中(図6および配列番号37を参照)に提供されるので、当業者は、MAdC AM-1プロモーターからの発現を阻害し得る適切なオリゴヌクレオチド(また「アン チセンス」オリゴヌクレオチドとも呼ばれる)を容易に設計し得る。アンチセンス 設計に特に有用な1つの領域は、5'非翻訳領域(これは、もちろんcDNAには含 まれないが、本明細書中に開示されるゲノム配列には含まれる)である(J.Biol.C hem.266:18162-18171(1991))。 したがって、1つの局面において、本発明は、任意の所定の化合物が、MAdCAM -1プロモーターからの発現をアップレギュレートまたはダウンレギュレートし、 それによってMAdCAM-1産生の増加または減少を導き得るか否かを決定するための スクリーニングアッセイを提供する。 スクリーニングアッセイは、(1)本発明のMAdCAM-1転写調節エレメントおよび レポーター遺伝子を含む組換え核酸分子でトランスフェクトされた宿主細胞を提 供する工程であって、ここで転写調節エレメントは、レポーター遺伝子に作動可 能に連結されている、工程;(2)候補MAdCAM-1トランス作用性因子をトランスフ ェクトされた宿主細胞に投与する工程;および(3)レポーター遺伝子発現に対す る効果を決定する工程、を含む。 好ましい実施態様において、本発明は、以下の工程を含む、MAdCAM-1プロモー ターからの発現を改変し得る物質を同定するためのスクリーニングアッセイを提 供する: (a)試験細胞におけるレポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程であって 、この試験細胞が、MAdCAM-1のプロモーターを含むDNA分子に作動可能に連結さ れたレポーター遺伝子を含む組換えDNA分子で形質転換され、そして候補MAdCAM- 1トランス作用性因子が、この試験細胞に投与される、工程; (b)コントロール細胞におけるこのレポーター遺伝子の発現レベルを測定する 工程であって、このコントロール細胞が、工程(a)の組換えDNA分子で形質転換さ れる、工程;および、 (c)この試験細胞におけるレポーター遺伝子の発現レベルと、このコントロー ル細胞におけるレポーター遺伝子の発現レベルとを比較する工程。 適切かつ好ましい宿主細胞、トランスフェクション法、発現ベクター、プロモ ーター、およびレポーター遺伝子は上に記載され、そして当該分野で公知である 。 本発明を一般的に記載してきたが、本発明は、例示のために提供され、限定と して意図されない以下の実施例を参照してより容易に理解される。 実施例 実施例1:E.coliにおける任意のMAdCAM-1(a〜e)の発現および精製 成熟MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれかをコードするDNA配列を、所望のMAd CAM-1(a〜e)タンパク質のアミノ末端配列および遺伝子の3'側ベクター配列に特 異的なPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する。クローニングを容 易にする制限部位を含むさらなるヌクレオチドを、それぞれ5'および3'配列に 付加する。 MAdCAM-1(a)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドHEBBC23を、以下 に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(b)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドHSKCW36を、以下 に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(c)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1cを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(d)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1dを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(e)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1eを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 5'オリゴヌクレオチドプライマーは、下線を付したNcoI制限部位を含み、そ れぞれ図1〜5(配列番号1、3、5、7、9)示されるMAdCAM-1(a〜e)タンパク 質のいずれかをコードする遺伝子のコード配列(シグナルペプチド直後から始ま る)の17ヌクレオチドをコードする配列5'cgc ccatgg gc cag tcc ctc cag gtg 3'(配列番号11)を有する。 3'プライマーは、下線を付したHindIII制限部位を含む配列5'cgc aagctt tc a ggg cag ctg gtc acc cgc 3'(配列番号12)、続いて図1のヌクレオチド940-9 67(これは、MAdCAM-1(a〜e)のいずれかのコード配列直後に続く)相補的なヌクレ オチドを有する。 制限部位は、細菌発現ベクターpQE60の制限酵素部位に対して都合良く、この ベクターはこれらの実施例において細菌発現のために使用される(Qiagen,Inc.9 259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,91311)。pQE60は、アンピシリン抗生物質耐 性(「Ampr」)をコードし、そして細菌の複製起点(「ori)、IPTG誘導プロモーター、 リボソーム結合部位(「RBS」)、6-Hisタグ、および制限酵素部位を含む。 MAdCAM-1(a〜e)のいずれかをコードする増幅されたDNAおよびベクターpQE60の 両方を、NcoIおよび有HindIIIで消化し、次いで消化されたDNAを一緒に連結した 。MAdCAM-1(a〜e)のいずれかをコードするDNAの、制限されたpQE60ベクターへの 挿入は、MAdCAM-1(a〜e)のコード領域を、ベクターのIPTG誘導プロモーターの下 流に、かつこれに作動可能に連結するように、そして適切なMAdCAM-1(a〜e)タン パク質の翻訳のために適切に位置される開始AUGとインフレームで配置する。 連結混合物を、標準的な手順を用いて、コンピテントなE.coli細胞に形質転換 する。このような手順は、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUA L、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y. (1989)に記載されている。プラスミドpREP4(これは、lacリプレッサーを発現し 、そしてカナマイシン耐性([Kanr」)を付与する)の複数コピーを含有するE.coli 株M15/rep4を、本明細書中に記載の例示的な実施例を行うにあたって使用する。 この株にれは、MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれかを発現するために適切であ る多くの株の内の1つにすぎない)は、Qiagenから市販されている。 形質転換体を、アンピシリンおよびカナマイシンの存在下でLBプレート上で増 殖するそれらの能力により同定する。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し 、そしてクローン化DNAの同一性を制限分析により確認する。 所望の構築物を含むクローンを、アンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシ ン(25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養で一晩(「O/N」)増殖させ る。 O/N培養物を用いて約1:100〜1:250の希釈で大規模培養に接種する。細胞を、0 .4と0.6との間の600nmでの吸光度(「OD600」)にまで増殖させる。次いで、イソプ ロピル-B-D-チオガラクトピラノシド(「IPTG」)を加えて1mMの最終濃度にし、lac Iリプレッサーを不活化することにより、lacリプレッサー感受性プロモーターか らの転写を誘導する。続いて細胞をさらに3〜4時間インキュベートする。次い で、標準的方法によって細胞を遠心分離により採集し、そして破壊する。日常的 な回収技術を用いて破壊した細胞から封入体を精製し、そしてタンパク質を封入 体から8M尿素中へ可溶化する。可溶化したタンパク質を含む8M尿素溶液を、 2×リン酸緩衝化生理食塩水(「PBS」)中でPD-10カラムを通し、それによって尿素 を除去し、緩衝液を交換し、そしてタンパク質を再折り畳みさせる。タンパク質 をクロマトグラフィーのさらなる工程によって精製してエンドトキシンを除去す る。次いで、これを濾過滅菌する。濾過滅菌したタンパク質調製物を、2×PBS 中で95μg/mlの濃度で保存する。 実施例2:バキュロウイルス発現系におけるMAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれ かのクローニングおよび発現 この例示的な実施例において、プラスミドシャトルベクターpA2を使用して、S ummersら、A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Cu lture Procedures,Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No.15 55(1987)に記載の標準的な方法を用いて、その天然に結合する分泌シグナル(リ ーダー)配列を含む完全なタンパク質をコードするクローン化DNAを、バキュロウ イルスに挿入して、成熟タンパク質MAdCAM-1(a〜e)のいずれかを発現させる。こ の発現ベクターは、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcMNPV)の強力 なポリヘドリンプロモーター、それに続く都合のよい制限部位(例えば、BamHIお よびAsp7l8)を含む。シミアンウイルス40(「SV40」)のポリアデニル化部位を、効 率的なポリアデニル化のために用いる。組換えウイルスの容易な選択のために、 弱いDorosophilaプロモーターの制御下にE.coli由来のβガラクトシダーゼ遺伝 子を同方向に含み、そして続いてポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナル を含む。クローン化ポリヌクレオチドを発現する生存可能なウイルスを生成する ための野生型ウイルスDNAとの細胞媒介性相同組換え用に、ウイルス配列を、挿 入された遺伝子の両側に隣接させる。 当業者が容易に理解するように、構築物が転写、翻訳、分泌などのために適切 に位置したシグナル(シグナルペプチドおよび必要ならばインフレームでのAUGを 含む)を提供する限り、多くの他のバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、 pVL941、およびpAcIM1)が、上記のベクターの代わりに用いられ得る。このよう なベクターは、例えば、Luckowら、Virology,170:31-39に記載される。 完全長MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれかをコードするcDNA配列を、遺伝子 の5'および3'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅 する。 MAdCAM-1(a)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドHEBBC23を、以下 に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(b)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドHSKCW36を、以下 に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(c)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1cを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(d)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1dを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(e)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1eを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 5'プライマーは、下線を付したBamHI制限酵素部位を含み、続いてそれぞれ図 1〜5に示される問題とするMAdCAM-1(a〜e)タンパク質の配列の18塩基を含む、 配列5'cgc ggatcc gcc atc atg gat ttc gga ctg gcc 3'(配列番号13)を有す る。下記のように、発現ベクターへ挿入される場合、問題とするMAdCAM-1(a〜e) タンパク質をコードする増幅フラグメントの5'末端は、効率的なシグナルペプ チドを提供する。Kozak,M.,J.Mol.Biol.196:947-950(1987)に記載のように、 真核生物細胞における翻訳開始のために効率的なシグナルは、構築物のベクター 部分に適切に配置される。 3'プライマーは、下線を付したAsp718制限部位を含み、続いて図1のヌクレ オチド1183−1199(これは、MAdCAM-1(a〜e)のいずれかのコード配列の直後に続 く)に相補的なヌクレオチドを含む、配列5'cgc ggtacc tca ctt gaa ggg gtc c aa gc 3'(配列番号14)を有する。 MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれかの細胞外可溶性ドメインをコードするcD NA配列を、遺伝子の5'および3'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライ マーを用いて増幅する。 MAdCAM-1(a)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドHEBBC23を、以下 に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(b)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドHSKCW36を、以下 に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(c)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1cを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(d)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1dを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 MAdCAM-1(e)をコードするDNA配列を得るために、プラスミドMAdCAM-1eを、以 下に示すプライマーと共に使用する。 5'プライマーは、下線を付したBamHI制限酵素部位を含み、続いてそれぞれ図 1〜5に示される問題とするMAdCAM-1(a〜e)タンパク質の配列の18塩基を含む、 配列5'cgc ggatcc gcc atc atg gat ttc gga ctg gcc 3'(配列番号15)を有す る。下記のように、発現ベクターへ挿入される場合、問題とするMAdCAM-1(a〜e) タンパク質をコードする増幅フラグメントの5'末端は、効率的なシグナルペプ チドを提供する。Kozak,M.,J.Mol.Biol.196:947-950(1987)に記載のように、 真核生物細胞における翻訳開始のために効率的なシグナルは、構築物のベクター 部分に適切に配置される。 3'プライマーは、下線を付したAsp718制限部位を含み、続いて図1のヌクレ オチド940-967(これは、MAdCAM-1(a〜e)のいずれかのコード配列の直後に続く) に相補的なヌクレオチドを含む、配列5'cgc ggtacc tca ggg cag ctg gtc acc cgc 3'(配列番号16)を有する。 増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc.,La Jol la,Ca.)を用いて、1%アガロースゲルより単離する。次いで、このフラグメン トをBamHIおよびAsp718で消化し、そして1%アガロースゲルで再び精製する。 このフラグメントを、本明細書中でF2と命名する。 このプラスミドを制限酵素BamHIおよびAsp718で消化し、次いでウシ腸ホスフ ァターゼを用いて、当該分野で公知の日常の手順を用いて脱リン酸化する。次い で、DNAを市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc.,La Jolla,Ca.)を用いて1% アガロースゲルから単離する。このベクターDNAを本明細書中で「V2」と命名する 。 フラグメントF2および脱リン酸化プラスミドV2を、T4 DNAリガーゼで互いに連 結する。E.coli HB 101細胞を連結混合物で形質転換させて、そして培養プレー ト上に塗布する。MAdCAM-1(a〜e)をコードする所望のヒト遺伝子を有するプラス ミドを含む細菌を、個々のコロニーからのDNAをXbaIを用いて消化し、次いでゲ ル電気泳動によって消化産物を分析することによって同定する。クローン化され たフラグメントの配列を、DNA配列決定により確認する。このプラスミドを、本 明細書中においてpBacMAdCAM-1(a〜e)と命名する(すなわち、MAdCAM-1(a)をクロ ーン化した場合、プラスミドはpBacMAdCAM-1(a)であり、MAdCAM-1(b)をクローン 化した場合、プラスミドはpBACMAdCAM-1(b)、など)。 5μgのプラスミドpBacMAdCAM-1(a〜e)を、FelgnerらProc.Natl.Acad.Sci.US A84:7413-7417(1987)に記載されるリポフェクション法を用いて、1.0μgの市販 の直線化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTMバキュロウイルスDNA」Pharmingen, San Diego,CA.)と、同時トランスフェクトした。1μgのBaculoGoldTMウイル スDNAおよび5μgのプラスミドpBacMAdCAM-1(a〜e)を、50μlの無血清グレー ス培地(Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含むマイクロタイタープ レートの滅菌ウェル中で混合する。その後、10μlのLipofectinおよび90μlの グレース培地を添加し、混合し、そして室温で15分間インキュベートする。次い で、トランスフェクション混合物を、1mlの無血清グレース培地を有する35mm組 織培養プレート中に播種したSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下する。プレート を振盪させ、新たに添加された溶液を混合する。次いで、プレートを27℃で5時 間インキュベートする。5時間後、トランスフェクション溶液をプレートから除 去し、そして10%のウシ胎児血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加する 。プレートをインキュベーターに戻し、そして培養を27℃で4日間継続する。 4日後、上清を回収し、そしてプラークアッセイをSummersおよびSmith(前出) に記載のように行う。「Blue Gal」(Life Technologies Inc.,Gaithersburg)を含 むアガロースゲルを使用して、青色に染ったプラークを生成するgal発現クロー ンの容易な同定および単離を可能にする(この型の「プラークアッセイ」の詳細な 説明はまた、Life Technologies Inc.,Gaithersburgにより配布される昆虫細胞 培養およびバキュロウイルス学についての使用者ガイド、9〜10頁に見い出され 得る)。 系列希釈の4日後、ウイルスを細胞に添加する。適切なインキュベーションの 後、青色に染ったプラークは、Eppendorfピペットのチップで拾う。次いで、組 換えウイルスを含むアガーを、200μlのグレース培地を含むEppendorfチューブ 中に再懸濁する。短時間の遠心分離によってアガーを除去し、そして組換えバキ ュロウイルスを含む上清を使用して、35mmディッシュ中に播種したSf9細胞に感 染させる。4日後、これらの培養ディッシュの上清を採取し、次いでこれらを4 ℃に保存する。MAdCAM-1(a〜e)をコードする適切に挿入された遺伝子のいずれか を含むクローンを、制限マッピングおよび配列決定を含むDNA分析によって同定 する。これを、本明細書中でV-MAdCAM-1(a〜e)と称す(すなわち、どのMAdCAM-1 変異体がクローン化されたかに依存して、V-MAdCAM-1(a)、またはV-MAdCAM-1(b) など)。 Sf9細胞を、10%熱不活化FBSを補充したグレース培地中で増殖させる。細胞に 、約2(約1〜約3)の感染多重度(「MOI」)で組換えバキュロウイルスV-MAdCAM-1( a〜e)を感染させる。6時間後、その培地を除去し、そしてメチオニンおよびシ ステインを除いたSF900 II培地(Life Technologies Inc.,Gaithersburgから入 手可能)に置き換える。42時間後、5μCiの35S-メチオニンおよび5μCiの35S -システイン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間インキュ ベートし、次いで細胞を遠心分離により収集し、溶解し、そして標識されたタン パク質をSDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーにより可視化する 実施例3:哺乳動物細胞におけるクローニングおよび発現 哺乳動物細胞における、MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれかをコードする遺 伝子配列の一過性発現に使用されるベクターのほとんどは、SV40の複製起点を有 するべきである。このことは、ウイルスDNA合成の開始に必要なT抗原を発現す る細胞(例えば、COS細胞)において、高コピー数までのベクターの複製を可能に する。任意の他の哺乳動物細胞株もまた、この目的に利用し得る。 代表的な哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーター エレメント、タンパク質コード配列、ならびに転写の終結および転写物のポリア デニル化に必要とされるシグナルを含む。さらなるエレメントには、エンハンサ ー、Kozak配列、ならびにRNAスプライシングのためのドナーおよびアクセプター 部位が隣接する介在配列が含まれる。高度に効率的な転写は、SV40由来の初期お よび後期プロモーター、レトロウイルス由来の長末端反復(LTR)(例えば、RSV、H TLVI、HIVI)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターで達成さ れ得る。しかし、細胞性シグナルもまた使用され得る(例えば、ヒトアクチンプ ロモーター)。本発明の実施に使用するための適切な発現ベクターには、例えば 、pSVLおよびpMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pRSVcat(ATCC37152)、pSV2dh fr(ATCC37146)、ならびにpBC12MI(ATCC67109)のようなベクターが含まれる。使 用され得る哺乳動物宿主細胞には、ヒトHela、283、H9、およびJurkart細胞、マ ウスNIH3T3およびC127細胞、Cos 1、Cos 7、およびCV1アフリカミドリザル細胞 、ウズラQC1-3細胞、マウスL細胞、ならびにチャイニーズハムスター卵巣細胞 が含まれる。 あるいは、遺伝子は、染色体に組み込まれたその遺伝子を含む安定な細胞株に おいて発現され得る。選択マーカー(例えば、dhfr、gpt、ネオマイシン、ハイグ ロマイシン)との同時トランスフエクションは、トランスフェクト細胞の同定お よび単離を可能にする。 トランスフェクトされた遺伝子はまた、増幅されて大量のコードされるタンパ ク質を発現し得る。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)は、目的の遺伝子の数百ま たは数千ものコピーを有する細胞株を開発するのに有用なマーカーである。別の 有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Bioch em J.227:277-279(1991);Bebbingtonら、Bio/Technology 10:169-175(1992)) 。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地において増殖させ、そ して最も高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は染色体に組み込ま れる増幅遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、タンパク質 の産生にしばしば使用される。 発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉肺ウイルスの強力なプロモーター(LTR )(Cullenら、Molecular and Cellular Biolugy,438-447(1985年3月))およびCM V-エンハンサーのフラグメント(Boshartら、Cell 41:521-530(1985))を含む。複 数のクローニング部位(例えば、制限酵素切断部位BamHI、XbaI、およびAsp718) は、目的の遺伝子のクローニングを容易にする。ベクターはさらに、ラットプレ プロインシュリン遺伝子の3'イントロン、ポリアデニル化、および終結シグナ ルを含む。 実施例3(a):COS細胞におけるクローニングおよび発現 発現プラスミドpMAdCAM-1(a〜e)HAを、MAdCAM-1(a〜e)の1つをコードするcDN Aを発現ベクターpcDNAI/Amp(Invitrogen,Inc.から入手し得る)へクローニング することによって作製する。 発現ベクターpcDNAI/ampは、以下:(1)E.coliおよび他の原核生物細胞におけ る増殖に効果的なE.coli複製起点;(2)プラスミド含有原核生物細胞の選択のた めのアンピシリン耐性遺伝子;(3)真核生物細胞における増殖のためのSV40複製 起点;(4)cDNAが、都合良くCMVプロモーターの発現制御下に置かれ、そしてポ リリンカー中の制限部位によりSV40イントロンおよびポリアデニル化シグナルに 作動可能に連結され得るように配置されたCMVプロモーター、ポリリンカー、SV4 0イントロン、およびポリアデニル化シグナルを含む。 問題とするMAdCAM-1(a〜e)タンパク質をコードするDNAフラグメントを、組換 えタンパク質発現がCMVプロモーターによって導かれるように、ベクターのポリ リンカー領域へクローン化する。プラスミド構築ストラテジーは以下のとおりで ある。問題とするMAdCAM-1(a〜e)をコードするcDNAを、上記のE.coliにおける所 望のMAdCAM-1(a〜e)の発現のための発現ベクターの構築についてとほとんど同様 に、都合の良い制限部位を含むプライマーを用いて増幅する。 本実施例において使用される適切なプライマーには、以下が含まれる。 MAdCAM-1(a〜e)のいずれかの全長タンパク質をコードするDNA配列を、遺伝子 の5'および3'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増 幅する。 5'プライマーは、下線を付したBamHI制限酵素部位、続いてそれぞれ図1〜5 (配列番号1、3、5、7、9)に示される問題とするMAdCAM-1(a〜e)遺伝子の配 列の18塩基を含む配列5'cgc ggatcc gcc atc atg gat ttc gga ctg gcc 3'(配 列番号17)を有する。下記のように、発現ベクター中に挿入されると、ヒトMAdCA M-1(a〜e)のいずれかをコードする増幅フラグメントの5'末端は、効率的なシグ ナルペプチドを提供する。真核生物細胞における翻訳開始ための効率的なシグナ ルは、Kozak,M.、J.Mol.Biol.196:947-950(1987)に記載されるように、構築 物のベクター部分に適切に位置する。 3'プライマーは、下線を付したAsp718制限部位、続いて図1に示すMAdCAM-1 (a)コード配列のヌクレオチド1183-1199に相補的なヌクレオチドを含む、配列5 'cgc ggtacc tca ctt gaa ggg gtc caa gc 3'(配列番号18)を有する。 MAdCAM-1(a〜e)の細胞外可溶性ドメインをコードする遺伝子をクローン化する ために、下線を付したBamHI部位、AUG開始コドン、および5'コード領域の18コ ドンを含む5'プライマーは、以下の配列を有する: 5'cgc ggatcc gcc atc atg gat ttc gga ctg gcc 3'(配列番号19)。 XabI部位、終止コドン、および細胞外ドメインについての3'コード配列を含 む3'プライマーは、以下の配列を有する: 5'cgc tctaga tca agc gta gtc tcc gac gtc gta tgg gta 3'(配列番 号20)。 PCR増幅DNAフラグメントおよびベクターpcDNAI/Ampを、HindIIIおよびXhoIで 消化し、次いで連結する。連結混合物を、E.coll株SUREへ形質転換し(Stratagen e Cloning Systems,11099 North Torrey Pines Road,La Jolla,CA 92037から 入手可能)、そして形質転換培養物を、アンピシリン培地プレートへプレーティ ングし、次いでこれをインキュベートしてアンピシリン耐性コロニーの増殖を可 能にする。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、問題とするMAdCAM-1(a〜e )をコードするフラグメントの存在について制限分析およびゲルサイズ決定によ って試験する。 組換えMAdCAM-1(a〜e)の発現のために、COS細胞を、例えば、Sambrookら、MOL ECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Laboratory Press,Cold S pring Harbor,New York(1989)に記載のDEAE-DEXTRANを用いて、上記のように発 現ベクターでトランスフェクトする。細胞をベクターによるMAdCAM-1(a〜e)の発 現のための条件下でインキュベートする。 MAdCAM-1(a〜e)HA融合タンパク質の発現を、例えば、Harlowら、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spri ng Harbor,New York(1988)に記載の方法を用いて放射性標識および免疫沈降法 によって検出する。この目的を達するため、トランスフェクションの2日後に、 細胞を、35S-システインを含む培地で8時間インキュベートすることによって 標識する。細胞および培地を回収し、そして細胞を洗浄し、そして上記に引用さ れ たWilsonらに記載されるように界面活性剤含有RIPA緩衝液:150mM NaCl、1%NP -40、0.1%SDS、1%NP-40、0.5%DOC、50mM TRIS(pH7.5)で溶解する。タンパク 質を、HA特異的モノクローナル抗体を用いて細胞溶解物および培養培地から沈降 させる。次いで、沈降したタンパク質をSDS-PAGEゲルおよびオートラジオグラフ ィーによって分析する。期待されるサイズの発現産物が細胞溶解物において観察 され、これはネガティブコントロールにおいては観察されない。 実施例3(b):CHO細胞におけるクローニングおよび発現 ベクターpC1を、MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれかの発現のために使用す る。プラスミドpC1は、プラスミドpSV2-dhfr[ATCC受託番号37146]の誘導体であ る。この両プラスミドは、SV40初期プロモーターの制御下に、マウスDHFR遺伝子 を含む。これらのプラスミドでトランスフェクトされるジヒドロ葉酸活性を欠如 するチャイニーズハムスター卵巣細胞または他の細胞は、化学療法剤メトトレキ サートを補充した選択培地(αマイナスMEM、Life Technologies)中で細胞を増殖 させることによって選択され得る。メトトレキサート(MTX)に耐性である細胞に おけるDHFR遺伝子の増幅は、よく考証されている(例えば、Alt,F.W.、Kellems ,R.M.、Bertino,J.R.およびSchimke,R.T.、1978,J.Biol.Chem.253:1357- 1370;Hamlin,J.L.およびMa,C.、1990,Biochem.et Biophys.Acta,1097:10 7-143;Page,M.J.およびSydenham,M.A.,Biotechnology vol.9:64-68を参照) 。漸増濃度のMTXにおいて増殖した細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として、標 的酵素DHFRを過剰産生することによって薬物への耐性を発生する。第2の遺伝子 がDHFR遺伝子に連結される場合、通常、同時増幅され、そして過剰発現される。 遺伝子の1,000を越えるコピーを有する細胞株を開発することは現行技術である 。続いて、メトトレキサートが取り除かれる場合、細胞株は、染色体に組み込ま れた増幅遺伝子を含む。 プラスミドpC1は、目的の遺伝子の発現のために、ラウス肉腫ウイルスの長末 端反復(LTR)の強カプロモーター遺伝子(Cullenら、Molecular and Cellular Bio logy,1985年3月:438-4470)、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)の即時遺 伝子のエンハンサー(Boshartら、Cell 41:521-530,1985)から単離されたフラグ メントを含む。プロモーターの下流には、遺伝子の取り込みを可能にするBamHI 制限酵素切断部位がある。このクローニング部位の後ろに、プラスミドは、3つ 全てのリーディングフレーム中の翻訳停止コドン、続いてラットプレプロインシ ュリン遺伝子の3'イントロンおよびポリアデニル化部位を含む。他の高効率プ ロモーターもまた、発現のために使用され得る(例えば、ヒトβアクチンプロモ ーター、SV40初期もしくは後期プロモーター、または他のレトロウイルス(例え ば、HIVおよびHTLVI)からの長末端反復)。mRNAのポリアデニル化のために、他の シグナル(例えば、ヒト成長ホルモンまたはグロビン遺伝子由来)も同様に使用さ れ得る。 染色体に組み込まれた目的の遺伝子を有する安定な細胞株もまた、選択マーカ ー(例えば、gpt、G418、またはハイグロマイシン)との同時トランスフェクトに 基づいて選択され得る。始めに2つ以上の選択マーカー(例えば、G418およびメ トトレキサート)を使用することが有利である。 プラスミドpC1を制限酵素BamHIで消化し、次いでウシ腸ホスファターゼ(phosp hate)を用いて、当該分野で公知の手順によって脱リン酸化する。次いで、ベク ターを、1%アガロースゲルから単離する。 MAdCAM-1(a〜e)のいずれかの全長タンパク質をコードするDNA配列は、遺伝子 の5'配列および3'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて 増幅させる: 5'プライマーは、下線を付したBamHI制限酵素部位、続いてそれぞれ図1〜5 (配列番号1、3、5、7、9)に示す問題とするMAdCAM-1(a〜e)遺伝子の配列の 18塩基を含む、配列5'cgc ggatcc gcc atc atg gat ttc gga ctg gcc 3'(配列 番号17)を有する。下記のように、発現ベクター中に挿入されると、ヒトMAdCAM- 1(a〜e)のいずれかをコードする増幅フラグメントの5'末端は、効率的ななシグ ナルペプチドを提供する。Kozak,M.、J.Mol.Biol.196:947-950(1987)に記載 されるような真核生物細胞における翻訳開始に効率的なシグナルは、構築物のベ クター部分に適切に配置される。 3'プライマーは、Asp718制限、続いて図1に示すMAdCAM-1(a)コード配列のヌ クレオチド1183〜1199に相補的なヌクレオチドを含む、配列5'cgc ggtacc tca ctt gaa ggg gtc caa gc3'(配列番号18)を有する。 MAdCAM-1(a〜e)タンパク質のいずれかの細胞外可溶性ドメインをコードするDN A配列を、遺伝子の5'および3'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマ ーを使用して増幅する。 5'プライマーは、下線を付したBamH1制限酵素部位、続いてそれぞれ図1〜5 (配列番号1、3、5、7、9)に示す問題とするMAdCAM-1(a〜e)遺伝子の配列の 18塩基を含む、配列5'cgc ggatcc gcc atc atg gat ttc gga ctg gcc 3'(配列 番号17)を有する。下記のように、発現ベクター中に挿入されると、ヒトMAdCAM- 1(a〜e)のいずれかをコードする増幅フラグメントの5'末端は、効率的なシグナ ルペプチドを提供する。Kozak,M.、J.Mol.Biol.196:947-950(1987)に記載さ れるような真核生物細胞における翻訳開始に効率的なシグナルは、構築物のベク ター部分に適切に配置される。 3'プライマーは、下線を付したAsp718制限、続いて図1に示すMAdCAM-1(a)コ ード配列のヌクレオチド940〜967に相補的なヌクレオチドを含む、配列5'cgc g gtacc tca ggg cag ctg gtc acc cgc 3'(配列番号21)を有する。 増幅させたフラグメントを、上記のように1%アガロースゲルから単離し、次 いでエンドヌクレアーゼBamHIで消化し、次いで1%アガロースゲルで再び精製 する。 次いで、単離したフラグメントおよび脱リン酸化ベクターをT4 DNAリガーゼで 連結する。次いで、E.coli HB101細胞を形質転換し、そして制限酵素BamHIを用 いて正しい配向に挿入されたプラスミドpC1を含む細菌を同定する。挿入した遺 伝子の配列を、DNA配列決定によって確認する。 CHO-DHFR細胞のトランスフェクション 活性なDHFR酵素を欠くチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トランスフェクシ ョンのために使用する。5μgの発現プラスミドC1を、リポフェクチング方法(F elgnerら、前出)を用いて、0.5μgのプラスミドpSVneoとともに同時トランスフ ェクトする。プラスミドpSV2-neoは優性選択マーカー(G418を含む一群の抗生物 質への耐性を与える酵素をコードするTn5由来の遺伝子neo)を含む。細胞を、1m g/ mlのG418を補充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞をトリプシン処理 し、ハイブリドーマクローニングプレート(Greiner,Germany)に播種し、そして 10〜14日培養する。この期間の後、単一のクローンをトリプシン処理し、次いで 異なる濃度のメトトレキサート(25nM、50nM、100nM、200nM、400nM)を用いて、 6ウェルペトリ皿に播種する。次いで、最高濃度のメトトレキサートで増殖する クローンを、さらに高濃度のメトトレキサート(500nM、1μM、2μM、5μM )を含む新たな6ウェルプレートに移す。同じ手順を、クローンが100μMの濃度 で増殖するまで繰り返す。 所望の遺伝子産物の発現を、ウエスタンブロット分析およびSDS-PAGEによって 分析する。 実施例4:MAdCAM-1(a〜e)タンパク質の発現の組織分布 ノーザンブロット分析を行って、とりわけSambrookら(上記に引用される)によ って記載される方法を用いて、ヒト組織におけるMAdCAM-1(a)遺伝子の発現を調 べた。MAdCAM-1(a)タンパク質(配列番号1)をコードする遺伝子の全ヌクレオチ ド配列を含むcDNAプローブを、rediprimeTMDNA標識システム(Amersham Life Sci ence)を製造者の説明書に従って用いて32Pで標識した。標識後、プローブを、C HROMA SPIN-100TMカラム(Clontech Laboratories,Inc.)を製造者のプロトコル 番号PT1200-1に従って用いて精製した。次いで、精製した標識プローブを用いて 、種々のヒト組織をMAdCAM-1(a)のいずれかに対応するmRNAについて調べた。 種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含む複数組織のノーザン(MTN )ブロットを、Clontechから入手し、そしてExpressHybTMハイブリダイゼーショ ン溶液(Clontech)を製造者のプロトコル番号PT1190-1に従って用いて標識プロー ブを用いて調べた。ハイブリダイゼーションおよび洗浄後、ブロットをマウント し、そして−70℃にて一晩フィルムに曝し、そしてフィルムを標準的な手順に従 って現像した。 ブロットは、MAdCAM-1(a)が、小腸において強力に発現され、結腸および脾臓 においてそれほど強力でなく発現され、そして膵臓および脳において非常に弱く 発現されることを明らかにした。 実施例5:ヒトMAdCAM-1cDNAおよびゲノムクローンの配列分析 材料および方法 ヒトMAdCAM-1 cDNAおよびゲノムクローンの単離 ヒトMAdCAM-1 cDNAを、まずEST cDNAデータベース(Adams,M.D.ら、Nature 37 7:3-17(1995):Adams,M.D.ら、Science 252:1651-1656(1991);Adams,M.D.ら 、Nature 355:632-63444(1992))における相同性についてのスクリーニングの後 に発現された配列タグ(EST)として、National Center for Biotechnology Infor mationによって提供されるBLASTネットワークサービスを使用して同定した。部 分長MAdCAM-1 cDNAクローンHEBBC23XおよびHEBBC23Yを、初期のヒト脳cDNAライ ブラリーからのデータベース中で同定した。ライブラリーを、以前に記載される ように(Adams,M.D.ら、Nature 377:3-17(1995))、GublerおよびHoffmanの方法 に従って合成したcDNAからのLambda ZAP IIベクター(Stratagene,La Jolla,Ca lifornia)を使用して構築した。MAdCAM-1ゲノムクローンを、コスミドベクターp CV007(Choo,K.H.ら、Gene 46:277(1986))において構築したコスミドライブラリ ーをスクリーニングすることによって引き続き単離した。ライブラリーは、Gene -Screen Plusフィルター(DuPont,Boston,MA)上にレプリカでプレートし、以前 に記載のように(Leung,E.ら、Int.Immunol.5:551-558(1993))、ランダムヘキ サヌクレオチドプライミング(実施例6を参照)によって標識されたMAdCAM-1 EST クローンの挿入によりスクリーニングした。 DNA配列決定 DNA配列を、Applied Biosystems自動化DNA配列決定装置(The Centre for Gene Technology,School of Biological Sciences,University of Auckland,Auck land,New Zealand;およびHuman Genome Sciences Inc.,Rockville,Maryland )を使用してサイクル配列決定法によって決定した。ゲノムクローンおよびcDNA クローンから得た完全な複合MAdCAM-1シークエンサーを、ユニバーサルM13プラ イマーおよびヒトMAdCAM-1配列に特異的なプライマーの組み合わせを使用して両 方の鎖上で決定した。MAdCAM-1ゲノムクローンを、コスミドベクターpCV007(Cho o,K.H.ら、Gene 46:277(1986))中に構築されたコスミドライブラリーをスクリ ーニングすることによって引き続いて単離した。ライブラリーは、Gene-Screen Plusフィルター(DuPont,Boston,MA)上にレプリカでプレートし、そして以前に 記載したように(Leung,E.ら、Int.Immunol.5:551-558(1993))、ランダムヘキ サヌクレオチドプライミングにより標識されたMAdCAM-1 ESTクローンの挿入によ ってスクリーニングした。 MAdCAM-1スプライス変異体のPCR増幅および同定 MAdCAM-1変異体を検出するためのPCR増幅のために、逆転写酵素(RT)緩衝液(BR L,Gaithersburg,ML)中の10μgのヒト胎児脳由来の総RNA(Clontech)を70℃で3 分間加熱し、次いで氷上で冷却した。総容量20μl中に、500ngのランダムヘキ サマープライマーおよび400UのSuperscript RT(BRL,Life Technologies Inc.M D,USA)とともに、全ての4つのdNTPを、0.5mMの最終濃度まで添加した。ランダ ムプライミング反応物を、42℃で2時間インキュベートした。このcDNAの2mlを 、100ngのプライマーU166+(配列番号22)(5'-CGC TCT CCT TCT CCC TGC TC−3' )および100ngのプライマーL776-(配列番号23)(5'TGG TGG GTG GGT GTC GTC CTC A-3')により、200μMの最終濃度のdNPTおよび2.6UのExpand(Boehringer Mann heim)を使用して、サーモサイクラーにおける20サイクル(95℃、30秒;63℃、30 秒;72℃、30秒)の増幅に供した。U166+およびL776プライマーは、ヒトMAdCAM-1 の配列435〜454、および1047〜1068に対応した。PCR反応物の2.5μlのアリコー トを、U166+プライマーおよびヌクレオチド1013〜1037に対応するネスティッド プライマーL743-(配列番号24)(5'-CGG CAG CGT TTC CAG AGG TGA TAC-3')を使 用して、同じアニーリング温度で、25サイクルにより再増幅した。PCR産物をエ タノール沈澱し、そしてEcoRV消化されたTaqポリメラーゼ3'dTTPテールpBluesc riptベクターに連結し、そして配列決定した。PCRをまた、上記のように使用し て、ゲノムMAdCAM-1 5'配列およびMAdCAM-1 ESTの間の連続性を実証した。20サ イクル(95℃、30秒;69℃、45秒;72℃、45秒)の増幅を、100ngのプライマーU20 3(配列番号25)(5'-GGGACTGAGCATGGATTTCGACTGGCCCT-3')および100ngのL103プ ライマー(配列番号26)(5'CGTACAGGCCACCTCCGGGTCACCAGGCACCA-3')により、200 μMの最終濃度のdNPTおよび2.6UのExpand(Boehringer Mannhelm)を使用して行っ た。L103プライマーは、ヒトMAdCAM-1の配列347〜405に対応する。PCR反応の2.5 μlのアリコートを、L203プライマー,およびヌクレオチド321-352に対応するネ スティッドプライマーL50(配列番号27)(5'-GCTGGTCCGGGAAGGCGTACACAAGGAGCTGC -3')を使用して、同じアニーリング温度にて、25サイクルで再増幅した。PCR産 物をエタノール沈澱し、そしてEcoRV消化Taqポリメラーゼ3'dTTPテールpBluesc riptベクターに連結し、そして配列決定した。 ノーザンブロット分析 ノーザン分析のために、MTN(Clontech)フィルターを、ランダムヘキサヌクレ オチドプライミングによって標識したMAdCAM-1 ESTクローンの挿入によってスク リーニングした。ハイブリダイゼーションの条件は、50℃での、1%SDS、2×S SC、10%(w/v)デキストラン硫酸、100μg/ml変性サケ精子DNA、および50%(v/ v)脱イオンホルムアミドであった。フィルターを2回、0.1×SSC、0.1%SDSで、 50℃にて30分間洗浄し、そしてXAR-5フィルムおよびCronex Lightning Plusスク リーンを用いてオートラジオグラフした。 結果および考察 ヒトESTのデータベースを、BLASTアルゴリズム(Altschul,S.F.ら、J.Mol. Biol.215:403-410(1990))を用いることによって、マウスMAdCAM-1のホモログに ついて検索した。部分的にオーバーラップするMAdCAM-1 cDNAクローン、HEBBC23 XおよびHEBBC23Yを、初期段階のヒト脳cDNAライブラリーから最初に同定した(図 8A)。これらを両鎖で配列決定し、そして共にマウスMAdCAM-1 cDNAクローンpMAd -7のアミノ酸残基89に対応する位置から3'非翻訳領域の末端までのMAdCAM-1配 列をコードしていた。HEBBC23YおよびHEBBC23Xは、それぞれ、ヒトMAdCAM-1配列 のヌクレオチド273位〜858位、および544位〜1536位をコードしていた。欠失し た5'末端配列を得るために、初期段階脳ライブラリー、ならびに5つの他の脳 、膵臓、ならびに成熟および胎児脾臓cDNAライブラリーを再スクリーニングした が、伸展した配列を有したクローンは得られなかった。別のアプローチとして、 胎児 脳mRNAを、cDNA末端の迅速な増幅(RACE)に供したが、多大の努力にもかかわらず 、MAdCAM-1 5'配列は得られなかった。最終手段として、100,000コロニーのコ スミドベクター、pCV007(Choo,K.H.ら、Gene 46:277(1986))中のゲノムライブ ラリーを、MAdCAM-1 EST cDNAクローンでスクリーニングした(実施例6を参照) 。単離された幾つかのクローンの内の1つの強くハイブリダイズしたクローン、 MAD-C1を特徴付け、そして5kb SacI-SacIフラグメントの欠如配列を含むことが 判明した。コスミドおよびcDNA配列の間の連続性を、推定ゲノムMAdCAM-1 5'非 翻訳ペプチド配列およびシグナルペプチド配列に対するセンスプライマーU203、 ならびにESTクローンの5'末端に対するネスティッドアンチセンスプライマーL5 0およびL103を用いて、胎児脳RNAからRT-PCRによって確立した(方法および実施 例6を参照)。 MAdCAM-1 HEBBC23X cDNAクローン、ゲノムクローンMAD-C1、および5'-PCR産 物の複合ヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列を図8に示す。1546bpのヌクレオ チド配列は、ポリアデニル化シグナルAAATAAA(配列番号28)で終わり、さらにポ リ(A)伸展の15塩基が続く。10bpの5'非翻訳配列を、完全性のために付与してい る。1位でのATGで開始するオープンリーディングフレームは、382アミノ酸残基 のタンパク質をコードする。ATG開始コドンはコンセンサス配列Pur XXAUG Pur( 配列番号29)に隣接し、その後にシグナルペプチドの特性の18アミノ酸残基の優 勢な疎水性セグメントが続く。推定アミノ酸配列の疎水性親水性指標プロット(h ydropathicity)(図7)により、残基320〜339を含む膜貫通ドメインであると推定 される配列が明らかになった。したがって、配列は、優勢な親水性103アミノ酸 細胞外ドメイン、20アミノ酸膜貫通セグメント、および43アミノ酸細胞質ドメイ ンを含む、分子量38,340の膜貫通結合タンパク質と予測される。アミノ酸83位に 、単一の潜在的なN結合グリコシル化部位が存在する。 推定アミノ酸配列は、17のアミノ酸シグナルペプチド、2つの免疫グロブリン (Ig)系統ドメイン、セリン/スレオニン残基リッチの86アミノ酸ムチン様領域、2 0アミノ酸膜貫通ドメイン、および43アミノ酸の荷電した細胞質ドメインを明ら かにした。2つのN末端Ig様ドメインの配列は、マウスMAdCAM-1のレセプター結 合Igドメインに対応して、高度に保存(59〜65%)される。マウスMAdCAM-1の第3 のIgA様ドメインへの対応物は存在せず、そして代わりにセリン/スレオニンリッ チなムチンドメインが2つの区別し得る領域(ここで、メジャームチンドメイン およびマイナームチンドメインと称する)として伸長している。メジャードメイ ンは、コンセンサスDTTSPEP/SP(配列番号30)を有する8つのアミノ酸配列の6つ のタンデム反復から形成され、これは、腸ムチンMUC-2の不完全な反復と類似す る。MAdCAM-1ヒト/マウス種ホモログのムチンドメインは、ムチンドメインが系 統学的に保存されないという概念に一致して、異なる。ヒトMAdCAM-1 mRNA転写 物は小腸、結腸、脾臓、膵臓、および脳に限定され、これは、クローンがMAdCAM -1をコードするというさらなる指標である。あるいは、スプライスされたMAdCAM -1変異体は、全てまたは一部の第二のIgドメイン、および全てまたは一部のメジ ャームチンドメインを欠如することが同定され、これは、この血管アドレシンの 機能が多ドメイン構造に対する広範な改変によって調節されることを示唆する。 細胞外ドメインは、それぞれ、52および69アミノ酸残基の2つのIg様ドメイン を含み、各々は、免疫グロブリンループを安定化する不変のシステイン残基を; 二重の(doublet)システインを有する第一のシステインとともに、所有する。残 基226〜273を含むムチン様の48アミノ酸残基ドメインが存在し、これは、セリン 、スレオニン、およびプロリン残基に富む(71%)。ムチンドメインは、一般的な コンセンサスDTTSPEP/SP(配列番号30)を有する8つのアミノ酸配列の6つのタン デム反復から形成される。この反復は、互いに高度に保存され(75〜100%)、こ のことは、それらが複製によって起こることを示唆する。このドメインはO結合 グリコシル化のための19の潜在的な部位を有する。この領域のムチン様性質は、 セリン/スレオニン/プロリン/含量が依然として非常に高い(43%)ので、膜貫通 ドメインまで、より低い程度まで伸長する。本発明者らは、この後者の領域(278 位〜311位)をマイナームチンドメインと称し、そしてメジャームチンドメインの ように、ムチンタンデム反復はすぐ5'側に反復する。NBRFデータベースの検索 により、ヒトMAdCAM-1がマウスMAdCAM-1に最も類似であることを明らかにしたが 、顕著な相同性がまた、VCAM-1およびICAM−1で同定された。ヒトおよびマウス の配列アライメント(示さず)は、全体的に弱い39%の類似性を明らかにした。し かし、特にIgドメイン1および2は、それぞれ59%および65%で高度に保存され て おり;そして類似性は、保存的置換が含まれる場合、それぞれ69%および81%ま で増加する。このことは、これら2つのIgドメインが相互作用してLPAM-1レセプ ターへの結合を支援し、そして両ドメインが完全な機能に必要とされるので予期 されることである。ヒトおよびマウスMAdCAM-1の細胞外ドメインの膜基部領域は 、Lセレクチンへの提示のための複合O結合炭水化物部分による修飾のために設 計されたペプチド骨格である。そしてそれ自体、セリン/スレオニン/プロリン含 量のみが保存される必要がある。それゆえ、最初のムチン反復の後、ヒトの配列 とマウスの配列との間には、55%同一である膜貫通ドメインを除いて、類似性は ほとんどない。短い荷電細胞質ドメインは、35%の同一性のみを共有し、そして ヒト配列は、マウス配列よりもさらに24アミノ酸残基伸長する。クローンHEBBC2 3Xは、マウスMAdCAM-1の第3のIgドメインの等価物を欠如する。短縮型マウスMA dCAM-1変異体が同定され、ここで、エキソン4はスプライスにより取り除かれ、 両ムチンドメインおよび第3のIgドメインが除去される(Sampaloら、J.Immuno l.155:2477-86(1995))。マウスMAdCAM-1の第3のIgドメインは、ヒトおよびゴ リラIgAlのCα2定常領域免疫グロブリンループにかなり類似性である(Briskinら 、Nature 363:461-64(1993))。これは、Cα2定常領域が、ポリ免疫グロブリンFc レセプターとのIgA相互作用を媒介すると仮定して、IgA特異的Fcαレセプターま たは粘膜T細胞上の関連表面レセプターと相互作用し得ることを示唆した。粘膜 機能を有するIgドメインがヒト脳で必要とされないこと、およびマウスhiMAd-4 脳内皮細胞株からクローン化された3つのIgドメイン形態に対するヒト対応物が 、ヒトPPまたは腸間膜細静脈において発現される可能性が、残っている。MAdCAM -1コスミドクローンの配列分析の完成は、この点を解決する。 LPAM-1への提示のための糖衣の上の2つのN末端リガンド結合ドメインを保持 するために、ヒトMAdCAM-1は2つのムチンドメインを有することによって、第3 のIgドメインの欠如を補償し得る。ヒトMAdCAM-1において膜貫通ドメインからメ ジャームチンドメインを分離する46残基のみと比較して、マウスにおいて、膜貫 通ドメインからムチンドメインを分離する108アミノ酸残基が存在する。距離は 、マウスMAdCAM-1の第3のIgドメインがループ構造である場合、それほど異なり 得ず、その一方、ヒトMAdCAM-1における伸長したムチンドメインはMUC-1のムチ ン 反復のように恐らく棒状(rod-like)である(Fontenotら、Cancer Res.53:5386-9 4(1993))。メジャームチンドメインにおける反復は、恐らくムチン遺伝子を含む 遺伝子変換事象により挿入され得、セリン/スレオニン残基の全体の含量を富化 し(メジャードメイン中40%)、そして糖衣の上のメジャームチン反復を位置決定 することによってLセレクチンへの提示をより良くし得る。 NBRFデータベースのメジャームチンドメインのタンデム反復の配列を用いた検 索により、ヒト腸ムチンMUC-2における不完全な反復領域との最大の類似性を明 らかにした(保存的置換を含んで62%まで)。MUC-2は、高度な内部相同性を有す る2つの異なる領域を含む。(Toribaraら、J.Clin.Invest.88:1005-13(1991) )。16アミノ酸の最も共通の長さを有する7〜40の範囲のアミノ酸の不完全な反 復の領域が存在する。この385アミノ酸配領域は、高度なスレオニン(47.8%)、 プロリン(35.6%)、およびセリン(10.6%)含量を有する。MAdCAM-1が類似性を共 有するのはこの領域である(図2)。メジャーMAdCAM-1タンデム反復ドメインは、 このような残基が豊富ではなく、そして22%の類似でないアミノ酸は、MUC-2の 不完全な反復を全体的に欠如する酸性残基である。MUC-2において、115単位まで のアレイにおいて配置される69bpのタンデム反復からなる3'領域も存在し、こ れは高度なセリン/スレオニン/プロリン含量(87%)を有するにもかかわらず、MA dCAM-1ムチン領域に類似しない。(Zrihan-lichtら、Eur.J.Biochem.224:787- 95(1994))。ヒト腸ムチンMUC-1は、200回まで反復するセリン/スレオニン/プロ リンリッチの20のアミノ酸残基ドメイン(配列番号31)、PDTRPAPGSTAPPAHGVTSA、 (Gumら、J.Biol.Chem.266:22733-38(1991))を有し、そしてラット腸ムチンは 反復配列(配列番号32)TTTPDVを有する(Spicerら、J.Biol.Chem.266.15099-10 9(1991))が、これらの配列のいずれもMAdCAM-1と類似性を有さない。腸ムチン遺 伝子の反復性部分は、系統学的に良好に保存されず、そしてこれはヒトおよびマ ウスMAdCW-1の3'配列の相違を説明し得る。(Vosら、Biochem.Biophys.Res.C ommun.181:121-30(1991);Shimizu & Shaw,Nature 366:630-31(1993))。した がって、MAdCAM-1ムチン反復の主要な機能は、恐らくは、単に、広範なO結合グ リコシル化についてのフレームワークを提供することである。 MAdCAM-1クローンHEBBC23Yは、3つのムチン反復(アミノ酸残基231-254)が欠 失 するスプライス変異体であるようである(図8A、10)。さらなるムチンドメインス プライス変異体が存在するか否かを決定するために、MAdCAM-1転写物を、それぞ れ、Igドメイン2の開始および細胞質ドメインに対して設計したセンスおよびア ンチセンスPCRプライマーを用いて、ヒト胎児脳から増幅した。ほとんど全ての 第二のIgドメインおよび全てのメジャームチン反復を欠如する1つ;およびIgド メイン2の半分および2から3のムチン反復を欠如した他の2つを含む、いくつ かの新規のスプライス変異体を同定した(図10A)。これらの別のスプライス転写 物の幾つかは、ノーザンで見られる幅広いバンドを提供したが、その一方、より 長い欠失を有する転写物は、マウスMAdCAM-1の別のスプライス変異体の場合のよ うに、より弱く発現され、そして薄い先導するスメアとして可視化され得る(Sam paioら、J.Immunol.155:2477-86(1995))。スプライス部位のいずれもマウスMA dCAM-1遺伝子において同定されたエキソン/イントロン境界と相関せず、それゆ え、恐らくそれらは腸スプライスドナー部位およびアクセプター部位を各々のエ キソン中に有する(図10B)。ヒトMAdCAM-1の別のスプライシングは、そのマウス ホモログの別のスプライシングと一致する。Igドメイン1のみを含有する提案さ れた単一Igドメイン形態(図11)は、興味深い。なぜなら、マウスMAdCAM-1リガン ド結合について構造的な必要性の分析により、両N末端Igドメインが完全な機能 に必要であることが示されたからである。しかし、Igドメイン2を欠如するマウ スMAdCAM-1キメラ分子は、LPAM-1に(より少ない程度で)結合し得たが、インテグ リン活性化後のみであった。本明細書中で同定されたMAdCAM-1の推奨の天然に存 在するIgドメイン2欠失形態は、LPAM-1の活性化/不活性化状態に対してより感 受性であることから特に証明され得る。 別のスプライシングによるムチン接着の調節は、良く確立されている(Thomas ,M.L.,Ann Rev.Immunol.7:339-69(1989))。例えば、白血球共通抗原ファミ リーは、ムチン様領域をコードする3つのエキソンの別のスプライシングにより 生成される(Bergら,Cellular and Molecular Mechanisms of Inflammation 2:1 11-29(1991))。この論文中に記載されるMAdCAM-1変異体は、0〜6ムチン反復を 有し(図11)、そしてLセレクチンに対するそれらの親和性が変化することが予期 され得る。細静脈の表面上のMAdCAM-1の別のスプライス形態の空間的/時間的パ ターンまたは確率的発現があるかどうかは決定されるべきままである。 複数のヒト組織mRNAノーザンブロット(MTNおよびMTNII、Clontech)を、cDNAク ローンHEBBC23Xでフローブし、1.6kbの転写物は、小腸で非常に強く、結腸およ び脾臓ではより弱い強さで、そして膵臓および脳では非常に弱く発現されたこと が明らかになった。これらの結果は、PP、MLNにおける発現、PLNにおける低いレ ベルの発現、および脾臓における脾臓の白脾髄節を囲む周縁においていくらか発 現されることを示した、マウスMAdCAM-1のノーザンおよび免疫組織学的研究と一 致する。(Briskinら、Nature 363:461-64(1993);Kraalら、Am.J.Path.147:7 63-771(1995))。 要約すれば、マウスMAdCAM-1の幾つかの特徴が、ヒトにおいて厳密に保存され ていた。これは、ヒトMAdCAM-1の組織分布、および2つのIgリガンド結合ドメイ ンの構造を含むが;3'領域は非常に相違する。他のムチンおよびIgCAMの調節と 一致して、ヒトMAdCAM-1の機能は、本明細書中で記載される種々の形態によって 示されるように別の広範なスプライシングによって調節されるようである。 実施例6:ヒトMAdCAM-1遺伝子のゲノム機構およびマッピング;5'プロモータ ー領域の分析 材料および方法 MAdCAM-1コスミドおよび遺伝子ファージクローンの単離 スクリーニングされた2つのヒトゲノムライブラリーは、MboIで消化されたヒ ト胎盤ゲノムDNAから調製されたStratagene I FIX IIライブラリー、およびMboI で部分的に消化されたDNAからベクターpAVCV007に構築されたコスミドライブラ リーであった。コスミドライブラリーは、Gene-Screen Plusフィルター(Du Pont ,Boston,MA)に複製プレーティングされ、そしてMAdCAM-1 cDNAクローンPCR Y の、XhoI-EcoRI 32P標識500bpインサートでスクリーニングされた。陽性クロー ンHEBBC23591およびGM3を、それぞれ、ファージライブラリーおよびコスミドラ イブラリーから単離した。 制限フラグメントのサブクローニングおよび配列決定 ゲノムクローンの制限酵素フラグメントを、pBluescriptにサブクローニング し、そしてMAdCAM-1 cDNA配列に対して設計されたオリゴヌクレオチドプライマ ーのパネルで配列決定した。DNA配列を、Applied Biosystems 373A自動DNA配列 決定機(School of Biological Science1,University of Auckland,Auckland) を使用するサイクル配列決定によって決定した。以前にMAdCAM-1 cDNAによって 規定されている、MAdCAM-1遺伝子の転写領域全体を同定し、そして配列決定した 。エキソン−イントロン境界を、cDNAとゲノム配列との直接比較により、そして スプライシングについてのGT/AG規則に従って割り当てた。決定されたDNA配列を GenBankデータバンクに提出した。 ヒトMAdCAM-1遺伝子の染色体マッピング ヒト/齧歯類体細胞ハイブリッドのパネルのPCR分析とヒト分裂中期染色体に対 する蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)との組合せを使用して、MA dCAM-1遺伝子の染色体位置を規定した。14個の細胞ハイブリッドは、単一のヒト 染色体を含んでいたが、残りの10個は、2〜3個の染色体、または1〜3個の染 色体フラグメントを含んでいた。2つのプライマーU707およびL1072は、それぞ れ、MAdCAM-1 cDNA配列のヌクレオチド位置978-999(配列番号39)(TGC GGT GCT G GG ACT GCT GCT C、センス)および1344-1364(配列番号40)(TCA GGG AGG GGC TTC AGG TCA、アンチセンス)に対して設計された。それらは、ヒトDNAからの386bp のPCR産物を増幅したが、マウスDNAからもハムスターDNAからも増幅しなかった 。PCR条件は、95℃で5分間、続いて94℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で30秒 間を30サイクル、および72℃で5分間の最終伸長であった。 MAdCAM-1遺伝子の正確な領域局在化は、ヒト雄性分裂中期染色体スプレッド(s pread)に対して単一コピー遺伝子蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FIS H)によって決定された。手短には、1.3kb MAdCAM-1 cDNAを、ジゴキシゲニン11- dUTP(Boehringer Mannheim)を用いてニックトランスレーションし、そしてFISH を実施した。個々の染色体を、4'-6-ジアミジノ-2-フェニルインドール-2HCl(DA PI)で対比染色した。DAPIバンドおよび抗ジゴキシゲニンタグ化ローダミン蛍光 標識で検出された遺伝子シグナルの両方を含むカラーデジタル画像を、三連バン ドパスフィルターセット(Chroma Technology,Inc.,Brattleburo,VT)を電荷結合 素子カメラ(Photometrics,Inc.,Tucson,AZ)および可変励起波長フィルターとと もに用いて記録した。画像をISEEソフトウェアパッケージ(Inovision Corp.,Du rham,N.C.)を用いて分析した。 プロモーター活性のアッセイのためのヒトMAdCAM-1−ルシフェラーゼ融合遺伝子 の構築 MAdCAM-1遺伝子の5'隣接領域をコードし、かつ翻訳開始部位を含む700塩基対 のフラグメントを、コスミドクローンpGM3のSacI−PstIサブクローンから、T7正 方向プライマー(配列番号41)(5'-GTA ATA CGA CTC ACT ATA GG-3';センス)お よびMAdCAM-1特異的アンチセンスプライマーMAD-2(配列番号42)(5'-AGG GCC AG T CCG AAA TCC ATG CTC AGT CCC-3')を用いて、PCR増幅した。PCR産物を、pBlu escriptにおけるEcoRV部位へサブクローニングし、HindIIIで切り出し、そしてp GL-2 Basicベクターへサブクローニングした(Promega,Madison,WI)。このベクタ ーは、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む。作製したクローンのイン サートであるpGL-2/B-718を配列決定し、これによってPCRの誤りが組み込まれて いないことを確証した。 ヒトMAdCAM-1遺伝子のゲノム機構 MAdCAM-1遺伝子を単離するために、コスミドベクターであるpAVCV007中の200, 000コロニーのゲノムライブラリーを、ヌクレオチド位置273〜858位をコードす るMAdCAM-1 cDNAクローンPCR Yを用いてスクリーニングした。得られた2つのク ローンのうち、最も長いGM3は、遺伝子全体および5'非翻訳領域を含んでいたが 、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインならびに3'非翻訳領域をコードするエ キソンは含んでいなかった。MAdCAM-1遺伝子の欠失する部分は、クローンHEBBC2 3592に位置し、FIX IIゲノムライブラリーから1.3kb MAdCAM-1 cDNAプローブを 用いてプラークをスクリーニングすることにより単離した。サザンブロット、PC R、およびDNA配列分析は、クローンHEBBC23592が、MAdCAM-1遺伝子の少なくとも エキソン3〜5を含むことを実証した。 DNA配列決定によって、MAdCAM-1遺伝子のコード部分が、5つのエキソン内に 含まれることが明らかになった。この配列は、MAdCAM-1 cDNA配列と同一であっ た。すべてのイントロン−エキソンスプライス連結配列は、スプライシングにつ いてのGT/AG規則に適合する。イントロンはすべて、中断がコドンの第一ヌクレ オチドの後で生じるタイプIである。第一エキソン(52bp)は、シグナルペプチド および5'非翻訳配列をコードし;エキソン2および3は、N末端Igドメインを コードし;エキソン4は、ムチンドメインをコードし;そしてエキソン5は、膜 貫通ドメイン、および細胞質ドメイン、ならびに3'非翻訳領域をコードする。 ヒトおよびマウスMAdCAM-1遺伝子の比較 ヒトおよびマウスMAdCAM-1遺伝子配列の整列によって、シグナルペプチドおよ びIgドメイン配列を分離する4つのイントロン−エキソン連結のうち3つは、位 置が保存されていることが明らかになった。MAdCAM-1ムチン様ドメインは、種間 で保存されておらず、そしてムチンと膜貫通ドメイン配列を分離するエキソン− イントロンスプライス部位もまた保存されていない。ヒトにおいて、スプライス 部位は、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインの境界に対してN末端側の9アミ ノ酸であるが、マウスにおいては、その境界に対してN末端側の3アミノ酸であ る。 ヒトMAdCAM-1のスプライス改変体は、ムチンドメインをコードするエキソン4を 欠く 改変体形態が2つめのIgドメインの全てまたは部分およびメジャームチンドメ インの全てまたは部分を欠失するヒトMAdCAM-1のスプライス改変体を、上記実施 例5に記載する。MAdCAM-1ゲノム配列との比較は、4つすべてのスプライス改変 体がエキソンの内部スプライシングによって生じることを検証する。これは、ム チン/IgA様Igドメインをコードするエキソン4をスプライスアウトすることによ って形成される、マウスMAdCAM-1について同定される単一スプライス改変体とは 異なる。700bpの全長PCR産物と比較して、サイズが250bp(マイナー)、350bp(主 要)、および500bp(マイナー)のさらなるスプライス改変体を、ヒト胎児脳から増 幅した。ショットガンサブクローニングおよび配列決定によって、340bpのDNAに よりコードされる、マウスエキソン4スプライス改変体の等価物が明らかとなっ た。ゲノム配列との比較は、この新たなMAdCAM-1改変体が、エキソン4(これは 、ムチン様ドメインの全体をコードする)のオルタナティブスプライシングおよ び欠失によって作製されることを明らかにする。 MAdCAM−1遺伝子の5'隣接領域の分析 MAdCAM-1遺伝子の700bp 5'隣接領域を配列決定し、いくつかの潜在的転写調 節エレメントを明らかにした。これらは、翻訳開始コドンに関して-98および-11 0に位置する2つのタンデムNF-kB結合部位;-66,-141,-157,-164,-177,-189,-30 8,-322,-338,-590,-647,-664,-678の13個のSP-1部位;-66,-157,204,-325,-544, -549,-694,-591,-204の9個のAP-2部位;-115、-212のPEA3(etsファミリー);-5 22のNF-E1部位;-95,-187のAdh1(ETF)部位;-176のGCボックス;-582のMyoD部位 ;-85のE2A;-496のENKCRE(配列番号43)部位;および-354のIRS部位を含む。マ ウスプロモーターにおいて同定される、タンデムNF-kB部位、-590のSP-1部位、 および潜在的なTATAボックス(TATTTAA;-38位)(配列番号44)のみ、位置が保存さ れていた(図13)。これにも拘わらず、MAdCAM-1遺伝子に直に隣接する367bpプロ モーター領域は、マウスプロモーターの対応領域について非常に保存されている (79%)(図13)。 ルシフェラーゼレポーター遺伝子と融合されたMAdCAM-1遺伝子5'隣接配列の7 00bpフラグメント(翻訳開始と比較してヌクレオチド-718位〜+20位)を含むpGL- 2/B-718+構築物およびpGL-2/B-718-構築物(図14A)を一過性トランスフェクショ ンアッセイにおいて使用して、プロモーター活性を試験した。プロモーター活性 を、PMA-処理HMEC細胞および未処理HMEC細胞において試験した(図14B)。HMEC細 胞は、MAdCAM-1 RNAを構成的に産生するヒト皮膚内皮細胞株である。レポーター 構築物は、pGL-2/B基本コントロールベクターおよび誤った方向にプロモーター を含むコントロールpGL-2/-718-ベクターと比較する場合、活性化されていない 細胞において低レベルであるが一定レベルのルシフェラーゼ活性を導いた。pGL- 2/B-718+ベクターの活性は、pGL-2/-718-ベクターコントロールと比較して、PM Aでの細胞刺激後に2倍であった(図14C)。 ヒトMAdCAM-1遺伝子の染色体割り当て 24個のヒト−齧歯類体細胞ハイブリッドのパネルからのゲノムDNA(その大部分 が単一染色体であった)を、MAdCAM-1配列に特異的なPCRプライマーを使用するPC Rによって分析した。推定386bp PCRフラグメントがヒトDNAから特異的に増幅さ れたが、マウスDNAからもハムスターDNAからも増幅されず、そしてヒト第19染色 体のみを含むハイブリッド細胞株(GM10612)から特異的に得られた。 MAdCAM-1遺伝子は、MAdCAM-1 cDNAクローンHEBBC23Xの1.3kb DNAインサートと の分裂中期染色体スプレッドのインサイチュハイブリダイゼーションによって第 19染色体に領域的に局在化された(実施例5を参照)。約13個スプレッドが、肉眼 で分析され、そのうちほとんどが、少なくとも1つの第19染色体上に純粋なハイ ブリダイゼーションに特徴的な二重シグナルを有した。二重シグナルは、他の染 色体上では全く検出されなかった。高解像度画像分析を組み合わせた蛍光分染(b anding)を用いる12個の個々の染色体の詳細な分析は、MAdCAM-1遺伝子がバンド 19p13.3内に位置することを示した。 考察 MAdCAM-1遺伝子のゲノム機構は、コードタンパク質のサブドメイン構造と良好 に相関する。5'非翻訳領域およびシグナルペプチドは、エキソン1によってコ ードされ、2つのN末端Igドメインおよびムチン様ドメインは、それぞれ、エキ ソン2、3、および4によってコードされ、そして膜貫通ドメインおよび細胞質 ドメインならびに3'非翻訳領域はエキソン5上で一緒に合わされる。MAdCAM-1 のいくつかの特徴(2つのIgリガンド結合ドメインの構造を含む)は、ヒトとマウ スとの間で保存されているが、3'領域はかなり異なる。ヒト遺伝子配列のマウ ス相同体との比較によって、3'領域の機構における差異は、単に、オルタナテ ィブスプライシングに起因するのではなく、ゲノムDNAにおいて固有であること が明らかになった。したがって、ヒトMAdCAM-1遺伝子は、ムチンドメインの3' 末端に隣接するマウスMAdCAM-1の第三IgA相同ドメインと等価な配列を含まない 。 第三のIgドメインがエキソン4およびエキソン5を分離する大きなイントロンに おいて別個のエキソンとして存在することが可能であるが、全ての利用可能な証 拠および特にRT-PCR分析からのMAdCAM-1スプライス改変体の配列分析を考えると 、こうではないようである。全体の構造におけるこの大きな差異にもかかわらず 、ヒトおよびマウスのMAdCAM-1の他の領域(5つのイントロン−エキソン結合部 のうち4つの位置を含む)は、非常に保存されており、これは、これら分子間の 進化論的関係の近さを浮き彫りにする。 第二のIgドメインの全部または一部、およびメジャームチンドメインの全部ま たは一部をを欠く4つのスプライス改変体を、RT-PCRによって同定した。ゲノム 配列との比較によって、全ての改変体がエキソンの内部スプライシングによって 生じることが明らかになった。MAdCAM-1のエキソン内スプライシングは、さらに 、本発明者らのもとのMAdCAM-1 cDNAクローンHEBBC23Xが6つのメジャームチン 反復のみを有するが、腸間膜リンパ節ライブラリーから単離されたヒトMAdCAM-1 クローンが8つのこのような反復を含んでいたという事実によっても立証される 。6つの反復だけを含むMAdCAM-1改変体もまた、RT-PCRによって独立に単離され ている。それゆえ、メジャームチンドメイン(これは、MAdCAM-1遺伝子のエキソ ン4内に含まれる)における可能性のある反復総数が実は8であると決定するこ とは興味深かった。オルタナティブスプライシングによるムチン接着の調節が充 分に確立され、そしてMAdCAM-1は例外ではないようである。ムチンドメインをコ ードするエキソン4をスプライスアウトすることによって作製されたヒトMAdCAM -1改変体(上記実施例5に記載される)は、エキソン4(これは、ムチンドメイン および第三のIgA様ドメインをコードする)を欠くマウスMAdCAM-1において同定さ れたスプライス改変体の対応物である。PCRによって同定されたスプライス改変 体は目立つが、ノーザンでは豊富ではない。それにもかかわらず、ムチンドメイ ンの非存在または短縮がL−セレクチンへの流れの下でリンパ球を引き留めてお くことを容易にするMAdCAM-1の能力に影響することを考えると、種々のMAdCAM-1 スプライス改変体の局所的分布および組織分布を研究することは重要である。 ヒトMAdCAM-1遺伝子の5'領域の配列分析によって、マウスMAdCAM-1遺伝子プ ロモーターとの近縁な類似性が明らかになった。マウスプロモーターにおける転 写開始部位の100bp上流に位置する2つのタンデムNF-kB部位は、その位置が保存 されている。マウスMAdCAM-1遺伝子のプロモーター変異体を用いて実施された、 マウス内皮細胞株bEnd.3におけるトランスフェクションアッセイによって、両方 のNF-kB部位の占有が、TNF-αに応答する発現を駆動するためのプロモーターに 必須であることが明らかになった。5'NF-kB部位は、マウスの対応物に対して配 列が全体的に保存されているが、3'部位は、ほんのわずか相違する。NF-kBはま た、LPS、TNF-α、およびIL-1βによるVCAM-1およびICAM-1の発現の増加に関与 している。対照的に、TGF-β誘導性転写因子(NF1およびAP1)の結合部位(以前に マウスプロモーターにおいて同定されている)は、存在しなかった。NF-kB部位に 加えて複数のAP-2部位は、PMAに応答するプロモーターの活性の増加を担い得る 。MyoD部位(CACCTG)(配列番号45)の存在(これは、筋肉クレアチンキナーゼエン ハンサー内に見い出される)は、関連VCAM-1が、培養物中の筋芽細胞および筋管 ならびに二次筋形成のインビボ部位において発現されることを考えると、興味深 い。 ヒト−齧歯類体細胞ハイブリッドのパネルのFISHおよびPCR分析を使用して、M AdCAM-1遺伝子を第19染色体のバンドp13.3に位置決めした。ヒトICAM-1およびIC AM-3遺伝子は非常に近隣に位置する(19p13.2-p13.3)ことは重要である。このこ とから、MAdCAM-1、ICAM-1およびICAM-3遺伝子が第19染色体の短アーム上で一緒 にクラスター形成している可能性が浮かび上がる。この領域は、マウス第10染色 体上の領域に相同であり、それゆえ、マウスMAdCAM-1遺伝子が第10染色体に位置 することは興味深い。種々の組織に普遍的に発現するイムノグロブリンスーパー ファミリーのなお別のメンバー(ベーシジンと呼ばれる)もまた、この同一領域に マッピングされる。対照的に、VCAM-1およびICAM-2は、それぞれ、第1染色体お よび第17染色体に位置する。MAdCAM-1ムチン様ドメインが、L-セレクチンによっ て認識される炭水化物部分で修飾されているということを考えると、シアリルLe wis xおよびaの合成を担う5つのクローニングされたフコシルトランスフェラー ゼ遺伝子のうちの3つのクラスター(FUT6-FUT3-FUT5)ならびにセレクチンによっ て認識される関連フコシル化抗原が19p13.3に位置することに注目することは興 味深い。ガンに関して、バンド19p13.3は、しばしば、卵巣ガン、白血病、およ び多発性骨髄肺に関連する第19染色体の構造異常に関与している。これまでに関 与することが示されている19p13.3における遺伝子は、インスリンレセプター、E 2A転写因子、およびMLLTI遺伝子を含む。
【手続補正書】 【提出日】平成11年6月16日(1999.6.16) 【補正内容】 (1)明細書第5頁下から4行の「図3は、」とあるのを「図3Aおよび3Bは、」 に補正する。 (2)明細書第6頁20行の「図7Aおよび図7Bは、」とあるのを「図7A、7B、7C 、および7Dは、」に補正する。 (3)明細書第6頁29行の「図9Aは、」とあるのを「図9A、9B、および9Cは、 」に補正する。 (4)明細書第8頁12行の「図13は、」とあるのを「図13Aおよび13Bは、」に 補正する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 29/00 A61P 43/00 105 43/00 105 C07K 14/705 C07K 14/705 16/28 16/28 C12N 1/21 C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 A C12Q 1/02 C12N 5/00 B 1/68 A61K 37/02 //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 ニ,ジアン アメリカ合衆国 メリーランド 20853, ロックビル,マノーフィールド ロード 5502 (72)発明者 グリーン,ジョン エム. アメリカ合衆国 メリーランド 20878, ガイザースバーグ,ダイヤモンド ドライ ブ 872 (72)発明者 クリサンセン,ジェフリー ダブリュー. ニュージーランド国 オークランド 1001,セント ジョンズ,グランド ドラ イブ 157ビー (72)発明者 レウング,エウファミア イー ファン ニュージーランド国 オークランド 1001,レミュエラ,マーティン アベニュ ー 10 (72)発明者 ルベン,スティーブン エム. アメリカ合衆国 メリーランド 20832, オルニー,ヘリテイジ ヒルズ ドライブ 18528

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.以下からなる群から選択される配列と少なくとも95%同一なヌクレオチド配 列を有するポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子: (a)図1(配列番号2)、図2(配列番号4)、図3(配列番号6)、図4(配列番号 8)、または図5(配列番号10)の完全アミノ酸配列を有するMAdCAM-1ポリペプチ ドをコードするヌクレオチド配列; (b)図1(配列番号2)の18〜382位、図2(配列番号4)の18〜366位、図3(配列 番号6)の18〜263位、図4(配列番号8)の18〜310位、または図5(配列番号10) の18〜289位のアミノ酸配列を有する成熟MAdCAM-1ポリペプチドをコードするヌ クレオチド配列; (c)MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかの細胞外ドメインをコ ードするヌクレオチド配列; (d)MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかの細胞内ドメインをコ ードするヌクレオチド配列; (e)MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかの膜貫通ドメインをコ ードするヌクレオチド配列; (f)MAdCAM-1プロモーターを含むヌクレオチド配列であって、ここで該ヌクレ オチド配列が配列番号33に示される、ヌクレオチド配列; (g)配列番号34、35、36、37、および38にそれぞれ示される配列を有するMAdCA M-1のエキソン1、2、3、4、または5をコードするヌクレオチド配列;およ び (h)上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、または(g)のヌクレオチド配列のいず れかに相補的なヌクレオチド配列。 2.請求項1に記載の核酸分子であって、前記ポリヌクレオチドが、図1(配列 番号1)、図2(配列番号3)、図3(配列番号5)、図4(配列番号7)、図5(配列 番号9)、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、ま たは配列番号38の完全ヌクレオチド配列を有する、核酸分子。 3.請求項1に記載の核酸分子であって、前記ポリヌクレオチドが、図1(配列 番号2)の完全アミノ酸配列を有するMAdCAM-1(a)ポリペプチドをコードする図1 (配列番号1)のヌクレオチド配列、図2(配列番号4)の完全アミノ酸配列を有 するMAdCAM-1(b)ポリペプチドをコードする図2(配列番号3)のヌクレオチド配 列、図3(配列番号6)の完全アミノ酸配列を有するMAdCAM-1(c)ポリペプチドを コードする図3(配列番号5)のヌクレオチド配列、図4(配列番号8)の完全アミ ノ酸配列を有するMAdCAM-1(d)ポリペプチドをコードする図4(配列番号7)のヌ クレオチド配列、または図5(配列番号10)の完全アミノ酸配列を有するMAdCAM-1 (e)ポリペプチドをコードする図5(配列番号9)のヌクレオチド配列を有する、 核酸分子。 4.請求項1に記載の核酸分子であって、前記ポリヌクレオチドが、図1(配列 番号2)のアミノ酸配列を有する成熟MAdCAM-1(a)ポリペプチドをコードする図1 (配列番号1)のヌクレオチド配列、図2(配列番号4)のアミノ酸配列を有する 成熟MAdCAM-1(b)ポリペプチドをコードする図2(配列番号3)のヌクレオチド配 列、図3(配列番号6)のアミノ酸配列を有する成熟MAdCAM-1(c)ポリペプチドを コードする図3(配列番号5)のヌクレオチド配列、図4(配列番号8)のアミノ酸 配列を有する成熟MAdCAM-1(d)ポリペプチドをコードする図4(配列番号7)のヌ クレオチド配列、または図5(配列番号10)のアミノ酸配列を有する成熟MAdCAM-1 (e)ポリペプチドをコードする図5(配列番号9)のヌクレオチド配列を有する、 核酸分子。 5.ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、請求項1に記載の(a )、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、または(g)のヌクレオチド配列に同一なヌクレオ チド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含 む単離された核酸分子であって、ここで該ハイブリダイズするポリヌクレオチド は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、A残基のみ、または T残基のみからなるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダ イズしない、核酸分子。 6.請求項1に記載の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、または(g)のアミノ酸配列を有 するMAdCAM-1(a〜e)ポリペプチドのいずれかのエピトープ保有部分のアミノ酸配 列をコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。 7.請求項6に記載の単離された核酸分子であって、以下からなる群:図1(配 列番号2)の約52〜約80のアミノ酸残基を含むポリペプチド;図1(配列番号2) の約164〜約196のアミノ酸残基を含むポリペプチド;および図1(配列番号2)の 約228〜約321のアミノ酸残基を含むポリペプチド、から選択されるMAdCAM-1(a〜 e)ポリペプチドのいずれかのエピトープ保有部分をコードする、核酸分子。 8.ATCC寄託番号97759に含まれるcDNAクローンによってコードされる完全アミ ノ酸配列を有するMAdCAM-1(a)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含 む、単離された核酸分子。 9.ATCC寄託番号97759に含まれるcDNAクローンによってコードされる完全アミ ノ酸配列を有するMAdCAM-1(a)ポリペプチドのアミノ酸配列に少なくとも95%同 一なアミノ酸配列を有する、単離されたMAdCAM-1(a)ポリペプチド。 10.ATCC寄託番号97758に含まれるゲノムクローンのヌクレオチド配列を有す るMAdCAM-1プロモーターを含むポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。 11.請求項1に記載の単離された核酸分子をベクター中に挿入する工程を包含 する、組換えベクターを作製する、方法。 12.請求項11に記載の方法によって作製される、組換えベクター。 13.請求項12に記載の組換えベクターを宿主細胞中に導入する工程を包含す る組換え宿主細胞を作製する、方法。 14.請求項13に記載の方法によって作製される、組換え宿主細胞。 15.MAdCAM-1(a〜g)ポリペプチドのいずれかを産生するための組換え方法であ って、請求項14に記載の組換え宿主細胞を、該ポリペプチドが発現されるよう な条件下で培養する工程、および該ポリペプチドを回収する工程を包含する、方 法。 16.以下からなる群から選択される配列に少なくとも95%同一なアミノ酸配列 を有する、単離されたMAdCAM-1ポリペプチド: (a)図1(配列番号2)、図2(配列番号4)、図3(配列番号6)、図4(配列番号 8)、または図5(配列番号10)の完全アミノ酸配列を有するMAdCAM-1ポリペプチ ドのアミノ酸配列; (b)図1(配列番号2)の18〜382位、図2(配列番号4)の18〜366位、図3(配列 番号6)の18〜263位、図4(配列番号8)の18〜310位、または図5(配列番号10) の18〜289位のアミノ酸配列を有する成熟MAdCAM-1ポリペプチドのアミノ酸配列 ; (c)MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかの細胞外ドメインのア ミノ酸配列; (d)MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかの細胞内ドメインのア ミノ酸配列; (e)MAdCAM-1ポリペプチド(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかの膜貫通ドメインのア ミノ酸配列; (f)MAdCAM-1のエキソン1、2、3、4、または5によってコードされるアミ ノ酸配列であって、該アミノ酸配列が、配列番号34、35、36、37、38、および39 にそれぞれ示されるヌクレオチド配列によってコードされる、アミノ酸配列;お よび (g)上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、または(f)のポリペプチドのいずれか1つ のエピトープ保有部分のアミノ酸配列。 17.MAdCAM-1タンパク質(MAdCAM-1(a〜e))のいずれかのエピトープ保有部分を 含む単離されたポリペプチドであって、ここで該部分が、以下からなる群:図1 (配列番号2)の約52〜約80のアミノ酸残基を含むポリペプチド;図1(配列番号 2)の約164〜約196のアミノ酸残基を含むポリペプチド;および図1(配列番号2 )の約228〜約321のアミノ酸残基を含むポリペプチド、から選択される、単離さ れたポリペプチド。 18.請求項16に記載のMAdCAM-1ポリペプチドに特異的に結合する、単離され た抗体。 19.MAdCAM-1(a〜e)活性の低減を必要とする個体を処置するための方法であっ て、該個体に、MAdCAM-1(a〜e)活性のアンタゴニストを含む治療有効量の組成物 を投与する工程を包含する、方法。 20.ガンまたは病理学的炎症状態の診断の間に有用な方法であって、以下: (a)哺乳動物細胞または体液におけるMAdCAM-1(a〜e)のいずれかの発現レベル をアッセイする工程;および (b)該MAdCAM-1(a〜e)のいずれかの発現レベルとMAdCAM-1(a〜e)のいずれかの 標準発現レベルとを比較する工程であって、これにより、該標準に対する該MAdC AM-1(a〜e)のいずれかの発現レベルの増大が、ガンまたは病理学的炎症状態の指 標である、工程、 を包含する、方法。 21.MAdCAM-1のプロモータ〜を含む5'隣接領域(配列番号33)およびレポータ ー遺伝子を含む組換え核酸分子を含む組換えベクターであって、ここで該5'隣 接領域が該レポーター遺伝子に作動可能に連結している、組換えベクター。 22.請求項21に記載のベクターを含む、組換え宿主細胞。 23.MAdCAM-1プロモーターからの発現を変更し得る物質を同定するための方法 であって、以下: (a)試験細胞中のレポーター遺伝子の発現のレベルを測定する工程であって、 ここで該試験細胞が、MAdCAM-1プロモーターを含むDNA分子に作動可能に連結し たレポーター遺伝子を含む組換えDNA分子で形質転換され、そしてここで候補MAd CAM-1トランス作用因子が、該試験細胞に投与される、工程; (b)コントロール細胞中の該レポーター遺伝子の発現のレベルを測定する工程 であって、該コントロール細胞は、工程(a)の組換えDNA分子で形質転換される、 工程;および (c)該試験細胞中の該レポーター遺伝子の発現のレベルを、該コントロール細 胞中の該レポーター遺伝子のレベルと比較する工程、 を包含する、方法。
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