JP2001502275A - 事故における車両ブレーキ装置の制御法 - Google Patents

事故における車両ブレーキ装置の制御法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、事故における車両ブレーキ装置の制御法に関する。足損傷の危険を減少させるために、本発明はフットブレーキペダル(18)が、事故が起きた場合に踏み込まれるようにすることを提案する。このことは、ブレーキ倍力機能が可変であるブレーキブースタ(16)を介してか、又は再循環ポンプ(38)を接続することによる、及び/又はブレーキフルードをマスタブレーキシリンダ(10)からフルードリザーバ(40)に導入することによる液圧式のブレーキ倍力によって、ブレーキ倍力機能が増大されることにより行われる。

Description

【発明の詳細な説明】 事故における車両ブレーキ装置の制御法 背景技術 本発明は、請求項1の上位概念に記載の、事故における車両ブレーキ装置の制 御法に関する。 本発明の出発点は、自動車のフットブレーキペダルが踏み込まれ得ないか、又 は極端に高い踏力によってしか床板に達するまで踏み込まれ得ない、つまりフッ トブレーキペダルが運転者の足空間に突出しているということである。足空間に 突出しているフットブレーキペダルは、特に大きな怪我の危険を意味する。なぜ ならば、多くの事故の場合、車両ブレーキ装置が操作され、このためにブレーキ 足がフットブレーキペダルに置かれているからである。 足損傷のリスクを減少させるためには、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19 634257号明細書に基づき、フットブレーキペダルをマスタブレーキシリン ダのピストンに結合するブレーキロッドを事故時に短縮することが公知である。 これにより、フットブレーキペダルは床板の近くにまで、又は床板に達するまで 踏み込まれ得る。この短縮は剪断ピンを介して行われ、この剪断ピンは、衝突時 に操作される車両ブレーキ装置において生じ、且つ道路交通におけるブレーキ時 に最大操作力を超えるフットブレーキペダルの高い操作力において切れ、これに よりブレーキロッドの短縮が生ぜしめられる。 発明の利点 請求項1の特徴部に記載の本発明による方法では、規定された操作力における フットブレーキペダルの比較的深い踏込みが、事故の場合にブレーキ倍力機能が 増大されることよって達成される。通常の場合は1:1であってもよい(つまり 通常のブレーキはブレーキ倍力無しで行われる)ブレーキ倍力は、例えば真空式 ブレーキブースタを介して行われるか、又は所定のポンプによって液圧式に行わ れてよい。前者の場合、フットブレーキペダルを介してマスタブレーキシリンダ のピストンに加えられる力は、真空式ブレーキブースタによって、事故時に通常 のブレーキの場合よりも強力に増大される。運転者がフットブレーキペダルを規 定された力で操作すると、ブレーキ倍力機能の増大に基づきピストンに作用する 力が増大して、このピストンはマスタブレーキシリンダに更に押し込まれる。こ れにより、フットブレーキペダルは一定の操作力で踏み込まれ、床板に向かって 運動する。 例えば液圧式のブレーキ倍力の場合には、ポンプがブレーキフルードをマスタ ブレーキシリンダからホイールブレーキシリンダに向かって圧送するので、フッ トブレーキペダルはやはり踏み込まれる。前記の両方 の場合においてブレーキ力は増大され、つまり車両ブレーキ装置は無制限に機能 することができる。事故を確実に検出するためには、例えばエアバッグ又はベル トテンショナシステムをトリガするための公知の事故センサが設けられている。 請求項1に記載の方法は、液圧式の車両ブレーキ装置に制限されるものではなく 、例えばニューマチック式又は電気機械式の車両ブレーキ装置のためにも使用さ れ得る。 請求項2に記載の本発明の形態では、事故時に所定のブレーキフルード量がマ スタブレーキシリンダからフルードリザーバに流入する。このブレーキフルード 量は、マスタブレーキシリンダから直接にフルードリザーバに流入することがで き、又、ブレーキフルードはマスタブレーキシリンダから例えばホイールブレー キシリンダを介して間接的にフルードリザーバに流入してもよい。両方の場合に おいて所定のブレーキフルード量をマスタブレーキシリンダから取り出すことに よって、フットブレーキペダルの所望の踏込みが得られる。フルードリザーバは 、スリップ制御される車両ブレーキ装置においてもともと存在するフルードリザ ーバであってよく、このフルードリザーバは、流出弁を介してホイールブレーキ シリンダに接続可能である。ブレーキフルードをマスタブレーキシリンダから、 事故時に開放される弁を介してマスタブレーキシリンダのブレーキ液リザーバに 導くことも可能である。 請求項2に記載の方法は、この方法だけ独立して、又は請求項1に記載の方法 と一緒に実施することができる(請求項3)。請求項1及び2に記載の2つの方 法を一緒に実施することは、フットブレーキペダルの踏込みを増大させ、且つ踏 込み速度を高めるという利点を有している。 本発明による方法は既に述べた利点の他に、この方法が、既存の車両ブレーキ 装置をせいぜい僅かにしか変更しないで車両ブレーキ装置に適用され得るという 利点を有する。従って、既存の車両ブレーキ装置において本発明による方法を実 施するための手間は僅かである。本発明による方法自体は、スリップ制御される 車両ブレーキ装置に適用するために設定されているが、スリップ制御無しの従来 の車両ブレーキ装置にも同様に適用し得る。本発明の更に別の利点は、例えば剪 断ピンを剪断するために必要とされる事故時のフットブレーキペダルの踏込みを 達成するために、フットブレーキペダルを踏み込む操作力が増大される必要はな いということである。 本発明による方法の有利な改良は、請求項2以下に記載されている。 図面 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。 第1図には、本発明による液圧式の車両ブレーキ装 置の回路構成図が示されており、第2図には、第1図に示した車両ブレーキ装置 を制御及び調整するための制御ユニットが示されている。 実施例の説明 第1図に示した本発明による液圧式の2回路車両ブレーキ装置は、マスタブレ ーキシリンダ10を有しており、このマスタブレーキシリンダ10にはスリップ 制御装置12を介して各ブレーキ回路I,IIにつき2つのホイールブレーキシ リンダが接続されている。マスタブレーキシリンダ10には、真空式ブレーキブ ースタ16がフランジ締結されており、車両ブレーキ装置の操作は、フットブレ ーキペダル18を介して行われる。 真空式ブレーキブースタ16は、有利には制御可能なブレーキ倍力機能を有し ている。このブレーキ倍力機能の制御は、例えば電磁弁を介して行われ、この電 磁弁によってブレーキブースタ16内の負圧が、ブレーキブースタ16の作動と は関係なく周辺圧力にまで高められ、これにより最大のブレーキ倍力機能が得ら れる。前記電磁弁は、負圧、延いてはブレーキブースタ16のブレーキ倍力機能 を調量しつつ高めることができるようにするために、有利には連続弁として形成 されている。このような形式の制御可能なブレーキブースタは、「ATZ アウ トモービルテヒニッシェツァイトシュリフト(Automobiltechni sche Zeitschrift)97」(1995年、第1巻、第36〜3 7頁)の記載に基づき公知である。 第1図に示した車両ブレーキ装置は、図面右側に示したブレーキ回路Iに関し て説明される。図面左側に示したブレーキ回路11は合致して構成され且つ同形 式で機能する。 マスタブレーキシリンダ10からは、分岐するマスタブレーキ管路20,22 がブレーキ回路Iの2つのホイールブレーキシリンダ14に通じている。マスタ ブレーキ管路の共通区分20には、基本位置において開いた2ポート2位置切換 電磁弁が切換弁24として接続されている。この切換弁24には、マスタブレー キシリンダ10の方向で通流可能な差圧弁26が、ホイールブレーキシリンダ側 の圧力制限のために組み込まれている。切換弁24には、ホイールブレーキシリ ンダ14の方向で通流可能な逆止弁28が並列接続されている。 マスタブレーキ管路の、ホイールブレーキシリンダ14に通じる分岐区分22 には、各1つの流入弁30が配置されている。これらの流入弁30は、その基本 位置において開いた2ポート2位置切換電磁弁であり、これらの流入弁30を介 してホイールブレーキシリンダ14がマスタブレーキシリンダ10に接続されて いる。流入弁30には、マスタブレーキシリンダ10 の方向で通流可能な逆止弁32が平行接続されている。 各ホイールブレーキシリンダ14には、それぞれ1つの流出弁34が接続され ており、これらの流出弁34から共通の戻し管路36が、以下再循環ポンプ38 と呼ぶポンプ38の吸込み側に通じている。両ブレーキ回路I,11に設けられ た再循環ポンプ38は、共通の電動ポンプモータ39によって駆動可能である。 流出弁34は、それぞれ基本位置において閉じられた2ポート2位置切換電磁弁 である。戻し管路36には、フルードリザーバ40が接続されている。戻し管路 36には、再循環ポンプ38の方向で通流可能な逆止弁42が配置されている。 再循環ポンプ38の吐出し側は、フルードダンパ44を介してマスタブレーキ管 路の共通区分20に接続されている。吸込み管路46に配置された吸込み弁48 を介して、再循環ポンプ38の吸込み側はマスタブレーキシリンダ10に接続可 能である。吸込み弁48は、基本位置において閉じられた2ポート2位置切換電 磁弁である。 車両ブレーキ装置の電磁弁24,30,34,48は、有利には閉鎖体として の弁球を備えたシート弁として形成されている。流入弁30は、それぞれ閉じら れた接続位置において、マスタブレーキシリンダ10からの圧力により開放方向 へと負荷される。吸込み弁48は、閉じられた基本位置においてマスタブレーキ シリンダ10からの圧力により閉鎖方向へと負荷される。流出弁34は、それぞ れ閉じられた基本位置において、ホイールブレーキシリンダ14からの圧力によ り閉鎖方向へと負荷される。 前記電磁弁をそれぞれ制御及び調整するためには、車両ブレーキ装置は第2図 に象徴的に示した電気的な制御装置50を有している。この制御装置50は、吸 込み弁48、切換弁24、再循環ポンプ38、流入弁30及び流出弁34を制御 する。制御装置50は、車輪回転速度センサ52と事故センサ54とからの信号 を受け取り、この事故センサ54は、障害物に対する車両衝突時、又は当該車両 に対する別の車両の衝突時に信号を送信する。エアバッグ又はベルトテンショナ システムを備えた車両の場合は、事故センサ54が設けられており、この事故セ ンサ54の信号を使用することができる。 第1図に示した車両ブレーキ装置は、以下のように機能する。即ち:従来のブ レーキは、フットブレーキペダル18を踏み込んでマスタブレーキシリンダ10 を操作することにより行われ、この操作によりホイールブレーキシリンダ14内 に、それぞれブレーキ圧が生ぜしめられる。電磁弁24,30,34,48は、 それぞれ図示の基本位置に留まっており、再循環ポンプ38は停止されたままで ある。 車輪の内の1つに、車輪回転速度センサ52によっ て検出可能なブロック傾向が現れた場合、電気的な制御装置50は再循環ポンプ 38を接続して、当該車輪のホイールブレーキシリンダ14において、この車輪 に対応配置された流入弁30と流出弁34とを介して自体公知の形式でブレーキ 圧の調整を行う。この場合、ホイールブレーキシリンダ14から流出するブレー キ液は、フルードリザーバ40に中間貯えされる。再循環ポンプ38の吐出し側 をマスタブレーキシリンダ10から分離するためには、切換弁24は閉じられて よい。付加的に、フルードをマスタブレーキシリンダ10から吸い込めるように するためには、吸込み弁48が開かれてよい。 トラクションコントロール又はビークルダイナミックコントロールは、適当な 形式で、流入弁30と流出弁34とを介して再循環ポンプ38の接続時に、やは りブレーキ圧を調整することにより行われる。この場合、切換弁24は閉じられ ており、吸い込み弁48は開かれているので、自吸式で形成されている再循環ポ ンプ38は、ブレーキ液をマスタブレーキシリンダ10から吸い込む。 事故センサ54によって事故が検出された場合には、車両ブレーキ装置のブレ ーキ倍力機能が急激に最高値へと高められる。このことは、真空式ブレーキブー スタ16を制御することにより行われるので、この真空式ブレーキブースタ16 の負圧は周辺圧力へと高め られる。このブレーキ倍力機能増大の第1の形式は、スリップ制御装置無しの従 来のブレーキ装置においても実現され得る。このための唯一の前提条件は、ブレ ーキ倍力機能がフットブレーキペダル18の操作とは無関係に制御可能であるブ レーキブースタ16が設けられていることである。 ブレーキ倍力機能を液圧式で高める第2の可能性は、切換弁24と流出弁34 とを閉じて、吸込み弁48と流入弁30とを開放し、再循環ポンプ38を接続す ることである。前記第1及び第2の両方の場合において、フットブレーキペダル 18が、規定された操作力によって、ブレーキ倍力機能の増大無しの場合よりも 更に踏み込まれるという、ブレーキ倍力機能の増大が生ぜしめられる。これによ り、運転者が事故時に車両ブレーキ装置を操作すると、フットブレーキペダル1 8が車両の床板のより近くに接近運動することが達成される。ブレーキ倍力機能 の増大は、標準ブレーキ倍力機能において急ブレーキ又はフルブレーキに相当す るフットブレーキペダル18の操作力において、フットブレーキペダル18が床 板に到達するように規定することができる。床板の近くまで、又は床板に完全に 接触するまで接近するフットブレーキペダル18のこの踏込みは、足損傷の危険 を減少させる。フットブレーキペダル18が床板に至るまで踏み込まれるのにも 関わらず、車両ブレーキ装置は完全に機能を果たす能 力を有したままであり、しかも、ブレーキ倍力機能は増大されている。 フットブレーキペダル18が事故時により一層踏み込まれるようにする更に別 の可能性は、流出弁34の少なくとも1つを開放することにある。これにより、 ブレーキ液がマスタブレーキシリンダ10及び/又はホイールブレーキシリンダ 14の内の少なくとも1つからフルードリザーバ40に流入することができる。 それ以外の弁24,30,48は、それぞれ基本位置に留まったままであり、こ の手段において再循環ポンプ38を接続する必要はない。ブレーキフルードをフ ルードリザーバ40に収容することは、マスタブレーキシリンダ10から同量の ブレーキフルードを流出させ、フットブレーキペダル18の適当な踏込みを生ぜ しめる。 流出弁34の内の少なくとも1つを開放することによるフルードリザーバ40 内でのブレーキフルードの収容の可能性を、真空式ブレーキブースタ16の制御 によるブレーキ倍力機能の増大と組み合わせることは特に有利である。このよう にして、規定された操作力においてフットブレーキペダル18が踏み込まれる距 離が増大され、更に、フットブレーキペダル18の踏み込まれる速度が増大する 。事故最中のアンチロックブレーキコントロールは可能ではあるが、規定された 操作力においてフットブレーキペダル18が踏み込ま れる距離を制限する。 フットブレーキペダル18の踏込みのための手段が専ら液圧式の場合には、ブ レーキブースタ16、特に制御可能なブレーキブースタ16としての構成は必要 とされない。 事故センサ54は、エアバッグ又はベルトテンショナが装備された車両に設け られており、この事故センサの信号は、本発明による車両ブレーキ装置を制御す るために利用され得る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ブレーキ倍力装置と事故センサとを有する車両ブレーキ装置を事故時に制 御するための方法であって、事故センサ(54)が事故を検出した場合にブレー キ倍力機能を増大させることを特徴とする、事故における車両ブレーキ装置の制 御法。 2.少なくとも1つのホイールブレーキシリンダが接続されているマスタブレ ーキシリンダと、フルードリザーバと、事故センサとを有する車両ブレーキ装置 を事故時に制御するための方法であって、事故センサ(54)が事故を検出した 場合にブレーキフルードをマスタブレーキシリンダ(10)からフルードリザー バ(40)に導入することを特徴とする、事故における車両ブレーキ装置の制御 法。 3.ブレーキ倍力装置と、少なくとも1つのホイールブレーキシリンダが接続 されているマスタブレーキシリンダと、フルードリザーバと、事故センサとを有 する車両ブレーキ装置を事故時に制御するための方法であって、事故センサ(5 4)が事故を検出した場合にブレーキ倍力機能を増大させ、ブレーキフルードを マスタブレーキシリンダ(10)からフルードリザーバ(40)に導入すること を特徴とする、事故における車両ブレーキ装置の制御法。 4.車両ブレーキ装置に、マスタブレーキシリンダ (10)の下流側に接続された切換弁(24)を備えたスリップ制御装置(12 )を設け、前記切換弁に流入弁(30)を介してホイールブレーキシリンダ(1 4)を接続し、また、ブレーキフルードをホイールブレーキシリンダ(14)か らフルードリザーバ(40)に導入して、ブレーキフルードをホイールブレーキ シリンダ(14)内、若しくはマスタブレーキシリンダ(10)に向かって圧送 可能なポンプ(38)の吸込み側に流出させる流出弁(34)を設け、更に、前 記ポンプ(38)の吸込み側をマスタブレーキシリンダ(10)に接続可能な吸 込み弁(48)を設けて、事故センサ(54)が事故を検出した場合にブレーキ 倍力機能を増大させるために、前記切換弁(24)と流出弁(34)とを閉鎖し 、吸込み弁(48)と流入弁(30)とを開放し、ポンプ(38)を作動させる 、請求項1又は3記載の方法。 5.ホイールブレーキシリンダ(14)とフルードリザーバ(40)との間に 接続された流出弁(34)を車両ブレーキ装置に設け、事故センサ(54)が事 故を検出した場合に前記流出弁(34)を開放する、請求項2又は3記載の方法 。 6.ブレーキ倍力装置に、可変のブレーキ倍力機能を備えたブレーキブースタ (16)を設ける、請求項1又は3記載の方法。 7.ホイールブレーキシリンダ(14)とフルード リザーバ(40)との間に接続された流出弁(34)を車両ブレーキ装置に設け 、事故センサ(54)が事故を検出した場合に前記流出弁(34)を開放する、 請求項6記載の方法。 8.車両ブレーキ装置にスリップ制御装置(12)を設ける、請求項6記載の 方法。 9.弁(24,30,34,48)をシート弁として形成する、請求項4から 6までのいずれか1項記載の方法。
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