JP2001502157A - マルチチャネル無線装置、無線通信システム及び分数分周比型周波数シンセサイザ - Google Patents
マルチチャネル無線装置、無線通信システム及び分数分周比型周波数シンセサイザInfo
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Abstract
(57)【要約】
従来、マルチチャネル無線装置用の分数分周比型シンセサイザは知られている。このようなタイプのシンセサイザに対し、従来のシンセサイザの欠点が解決され、通常の整数N分周比型シンセサイザと同じ位相ノイズ特性を有する新しいアーキテクチャが提案される。新規のアーキテクチャは、帰還路に第1の整数分周比型分周器を備えた主PLLと、帰還路に第2の整数分周比型分周器を備えた補助PLLとを含む。
Description
【発明の詳細な説明】
マルチチャネル無線装置、無線通信システム及び
分数分周比型周波数シンセサイザ
本発明はマルチチャネル無線装置に関する。このマルチチャネル無線装置は、
セルラ若しくはコードレス電話機、ページャー、又は、他の適当なマルチチャネ
ル無線装置のような無線通信システムでもよい。
本発明は、無線通信システム及び分周シンセサイザに関する。
RF(無線周波)周波数シンセサイザは、例えば、無線通信システムで使用さ
れるマルチチャネル無線装置内で使用される。かかるシステムでは、RF周波数
シンセサイザを含むマルチチャネル受信器又は送信器が使用され、多数の周波数
チャネルに同調させることが可能である。無線装置は一つの無線チャネルから別
の無線チャネルに高速に切り換えられるべきであるため、同調は高速に行える必
要がある。また、無線装置はできる限り隣接チャネルの干渉が少ない方がよい。
これらの理由から、無線装置に使用される周波数シンセサイザには、出力信号の
スペクトル純度並びに整定時間に関し高い要求が課される。周波数シンセサイザ
は、P.Horowitz他著のハンドブック“The Art of Electronics”,Cambridge,U
niversity Press,page 432,1980に記載されているような周波数乗算器の構造
を有することが知られている。このようなシンセサイザの場合に、VCO(電圧
制御形発振器)からの出力信号は、例えば、水晶発振器によって発生された安定
な基準周波数の倍数である。整数分割比の分周器は出力信号を分周し、分周器の
出力は位相検波器に帰還され、位相検波器には基準信号が供給される。ループフ
ィルタは位相検波器の出力を除波し、低域濾波された信号はVCOを制御する。
このようなループは、基本的には帰還路に整数分周比型分周器を備えたPLLで
ある。通信装置の場合に、基準周波数はチャネル間隔に一致するように選択され
る。一般的にループフィルタの帯域幅は狭いために、シンセサイザの整定時間は
かなり長くなるので、シンセサイザの速度は遅い。この問題点を解決するため、
分数分周比型周波数シンセサイザが提案されている。U.L.Rohdeによるハンドブ
ック“Digital PLL Frequency Synthesizers”,pp,124-141,Prentice-Hall,1
983には、Nが分数であるとき、分数N分周比型周波数シンセサイザが記載され
ている。これにより、原則としてより高い基準周波数を使用できるので、通常の
整数分周比型の周波数シンセサイザよりも優れた性能を獲得することができるよ
うになるが、かかる分数N分周比型の周波数シンセサイザには依然として著しい
欠点がある。分数比の分割を行うため、パルス除去器は、位相検波器の出力が所
与の値に達したとき、規則的な間隔でVCOから分周器に帰還されたパルスを除
去する。その結果として、Nによる分周と、N+1による分周が交互に行われる
。このような交互の分割は、シンセサイザの出力信号に望ましくない側波帯を生
じさせる。構造が非常に複雑化されるにも係わらず、アキュムレータに接続され
たディジタル・アナログ変換器を用いることにより信号が発生され、望ましくな
い側波帯を打ち消すため位相検波器の出力信号から減算される。このような分数
N分周型の周波数シンセサイザのより詳細な説明については、アプリケーション
ノートAN1891,“SA8025 Fractional-N Synthesizer for 2GHz bandapplication
s”,Philips Semiconductors 18 Sep1994を参照のこと。T.A.D.Riley他による
論文“Delta-Sigma Modulation in fractional-N Frequency Synthesis”,IEEE
Journal of Solid State Circuits,Vol.28,No..5,pp.553-559によれば、シ
グマ・デルタ変調が分数N分周比型の周波数シンセサイザにおける位相ジッタを
ノイズ成形するため使用される。この構造は複雑である。引用文献に記載された
両方の分数N分
周比型の周波数シンセサイザには未だ問題点がある。望ましくない位相ノイズは
通常の整数分周比型の周波数シンセサイザの場合よりも遙かに大きい。また、通
常、外部からの調節が残留効果を補償するために必要とされる。両方のタイプの
分数N分周比型のシンセサイザにおいて高速回路が必要とされるので、特に、デ
ィジタル・アナログ変換器及びシグマ・デルタ変調器のようなディジタル回路で
かなりの量の電力消費が行われる。このような大電力消費は、バッテリーが消耗
されるまでの間にできるだけ長い期間のスタンバイ時間と通話時間とが望まれる
携帯電話機の場合に特に好ましくない。複雑さが高まることにより、コストの点
で望ましくないチップ面積の増加が生じ、高度の集積化が望まれる。
本発明の目的は、従来の分数N分周比型周波数シンセサイザの欠点が解決され
、簡単な構造を備えた高性能の分数分周比型周波数シンセサイザを含む無線通信
システムを提供することである。
本発明の目的を達成するため、特に、マルチチャネル無線装置に収容される場
合に、基準周波数発生器によって発生された基準周波数が分数比倍された出力信
号を出力に発生させる分数分周比型周波数シンセサイザが提供される。このシン
セサイザは、基準周波数に接続された第1の入力を有する第1の位相検波器と、
第1のループフィルタと、第1の電圧制御形発振器との縦続を含む順方向路が上
記基準周波数発生器と上記出力との間に設けられる。また、このシンセサイザは
、第1の分周器と、第2の位相検波器と、第2のループフィルタと、第2の電圧
制御形発振器との縦続を含む帰還路が上記出力と上記第1の位相検波器の第2の
入力との間に設けられ、第2の電圧制御形発振器の出力は第1の位相検波器の第
2の入力に接続され、第1の分周器の出力は第2の位相検波器の第1の入力に接
続される。また、このシンセサイザは、上記第1の位相検波器の上記第2の入力
に接続された入力と、上記第2の位相検波器の第2の入力に接続された出力とを
有する第2の分周器を更に含み、上記第
1及び第2の分周器の分周比は整数である。本発明は、非常に簡単な構成を採用
するにも係わらず、整数分周比型の分周器だけ用いて分数N分周比型シンセサイ
ザを実現することができるという考えに依拠している。このように従来とは全く
異なる分数N分周比型周波数シンセサイザの考え方は、位相ノイズが通常の整数
N分周比型シンセサイザと同程度に低く抑えられるという利点がある。また、M
が第1の分周器の整数型除数を表し、Nが第2の分周器の整数型除数を表すとき
、補助PLLは正確にM/Nによる分周を行うので、望ましくないスプリアス周
波数が発生されることがない。さらに、第2の電圧制御形発振器の位相ノイズは
主PLLの第1のループフィルタによって除かれるので、第2の電圧制御形発振
器はIC(集積回路)に容易に集積化することができる。非常に簡単な構成であ
るため、低電力消費が実現され、さらなる小チップ面積及び低コスト設計並びに
開発がなされる。BiCMOS又はショートチャネルCMOS技術を使用する場
合、完全なシンセサイザは集積回路に容易に集積化することができる。
請求項2乃至4には、マルチチャネル無線装置における分数分周比型周波数シ
ンセサイザの種々の実施例が記載されている。請求項2では、分周器がプレスケ
ーラであることが記載されている。プレスケーラは、好ましくは、従来技術で周
知の2重係数プレスケーラであり、2個のプログラマブルなパラメータを有する
。請求項3では、このような調節可能性について記載されている。これにより、
入力基準周波数の分数比倍である任意の出力周波数を合成することが可能である
。
以下、一例として、添付図面を参照して本発明を説明する。図面中、
図1は、本発明によるマルチチャネル無線装置を備えた無線通信システムを概
略的に示す図であり、
図2は、本発明による分数分周比型周波数シンセサイザのブロッ
ク図である。
全ての図面を通じて同じ参照番号は同じ特徴要素を示すために使用されている
。
図1には、本発明によるマルチチャネル無線装置2及び3を備えた無線通信シ
ステム1が示されている。かかるシステムは、例えば、GSM(FD/TDMA
システム)、コード分割と関連した周波数チャネルを備えたCDMAシステム、
DECTシステムのようなコードレス電話システム、FLEXTMシステムのよう
なページングシステム、或いは、他の適当なマルチチャネル無線システムを含む
セルラ無線システムである。この無線通信システムは、無線装置2及び3と通信
することができる無線基地局4を更に含む。無線基地局4は、例えば、GSMネ
ットワーク内の無線基地局でも構わない。無線装置2は、デマルチプレクサ又は
送信・受信スイッチ8を介してアンテナ7に接続されたRF受信部5及びRF送
信部6を含む。受信部5は、ミキサ9の形の周波数ダウンコンバージョン手段と
周波数シンセサイザ10とを含み、この周波数シンセサイザ10は本発明による
分数分周比型周波数シンセサイザでもよい。受信側パス5は、受信フィルタ12
に接続された低ノイズRF増幅器11を含む。シンセサイザ10は、局発周波数
fLOをミキサ9の入力に供給する。ミキサ9の出力は更なるミキサ段又は変調器
(ここでは詳細な説明を行わない)に供給される。送信側パス6は、RF電力増
幅器14の入力に接続された出力を有するミキサ13を含み、RF電力増幅器1
4は送信フィルタ15を介してデマルチプレクサ8に接続される。周波数シンセ
サイザ16はミキサ16に搬送周波数fCを与える。送信されるべきデータはミ
キサ13の入力に供給される。無線装置2は、調節データをシンセサイザ10及
び16に送出し、シンセサイザ10及び16の周波数を調整するようにプログラ
ムされたマイクロコントローラ17を含む。同様に、無線装置3は、ミキサ20
と、電力増幅器21と、送信フィルタ22と、デュプレク
サ23と、アンテナ24と、低ノイズ増幅器25と、受信フィルタ26と、ミキ
サ27と、シンセサイザ28とを含む。
図2は、本発明による分数分周比型周波数シンセサイザ10のブロック図であ
る。シンセサイザ10は、出力周波数f0を有する出力信号が発生する出力30
と、基準周波数frefを有する基準信号が供給される入力31とを含む。基準周
波数frefは、水晶又はクォーツ発振器のような基準発生器(詳細に図示されて
いない)によって発生される。出力周波数f0は基準周波数frefの分数比倍であ
る。分数分周比型周波数シンセサイザ10は、第1の位相検波器PD1と、一般
的に低域フィルタである第1のループフィルタLF1と、第1の電圧制御型発振
器VCO1とからなる縦続を含む順方向路が入力31と出力32との間に設けら
れる。第1の位相検波器PD1の第1の入力32は入力31に接続される。シン
セサイザ10は、整数型分周比Mを有する第1の分周器34と、第2の位相検波
器PD2と、一般的に低域フィルタである第2のループフィルタLF2と、第2の
電圧制御形発振器VCO2とからなる縦続を含む帰還路が出力30と第1の位相
検波器PD1の第2の入力33との間に設けられている。出力側で、発振器VC
O2は第1の位相検波器PD1の第2の入力33に接続される。第1の分周器34
の出力35は、第2の位相検波器PD2の第1の入力に接続される。シンセサイ
ザ10は、整数型分周比Nを有する第2の分周器37を有し、第2の分周器37
の入力38は第1の位相検波器PD1の入力33と接続され、第2の分周器37
の出力39は第2の位相検波器PD2の第2の入力30に接続される。一実施例
の場合、分周器34及び37は、従来技術において周知の2重係数プレスケーラ
である。本実施例の場合、分周器34は、分周比が制御信号ct1を用いてPか
らP+1へ、或いは、逆にP+1からPへ切換可能であるカウンタP/P+1と
、プログラマブルダウンカウンタQと、プログラマブルダウンカウンタRとを含
む。プログラマブルダウンカウ
ンタQ及びRは規則的である。ダウンカウンタがプリセット値からゼロまでカウ
ントダウンした場合、カウンタの出力はある論理値から別の論理値へ、例えば、
論理ハイから論理ローへに変化し、同時に、カウンタにプリセット値が与えられ
る。マイクロコントローラ17は、Q及びRに対する任意の値が設定され得るよ
うにプリセット値を変更することができる。このようなプレスケーラは、全体的
な分周比
M=Q・P+R
を有する。同様に、プレスケーラ37の分周器は、カウンタS/S+1と、プロ
グラマブルダウンカウンタTと、プログラマブルダウンカウンタUとを有する。
分周器37は、全体的な分周比
N=T・S+U
を有する。かかる2重係数プレスケーラの原理は、R.E.Bestによるハンドブッ
ク、“Phase-Locked Loops”,McGraw-Hill,pp139と143乃至145,1993,第2
版に記載されている。引用文献の139ページの図3.22(d)には、かかる
2重係数プレスケーラのようなブロック図が示されている。本発明による分数分
周比型分周器において、分周器は、4係数プレスケーラのような分周器、或いは
、他の適当なタイプの分周器により構成することが可能である。本実施例の場合
、分数分周比型シンセサイザ10の入出力関係に従って、以下の関係
f0=(Q・P+R)/(T・S+U)・fref
か成立する。
上記の説明に関して、請求の範囲の欄に記載された本発明の精神及び範囲を逸
脱することなく種々の変形をなし得ること、並びに、本発明は上記例に限定され
ないことが当業者には明白である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. アンテナに接続され、受信無線信号をダウンコンバート処理する周波数ダ ウンコンバージョン手段と、上記周波数ダウンコンバージョン手段に収容された 分数分周比型周波数シンセサイザとを有し、無線信号を受信する少なくとも一つ のRF受信部を具備したマルチチャネル無線装置において、 上記シンセサイザの出力には、基準周波数発生器によって発生された基準周波 数が分数比倍された周波数を有し、上記受信無線信号をダウンコンバート処理す るため使用される出力信号が現れ、 上記シンセサイザは、上記基準周波数に接続された第1の入力を有する第1の 位相検波器と、第1のループフィルタと、第1の電圧制御形発振器との縦続を含 む順方向路が上記基準周波数発生器と上記出力との間に設けられ、 上記シンセサイザは、第1の分周器と、第2の位相検波器と、第2のループフ ィルタと、第2の電圧制御形発振器との縦続を含む帰還路が上記出力と上記第1 の位相検波器の第2の入力との間に設けられ、上記第2の電圧制御形発振器の出 力は上記第1の位相検波器の第2の入力に接続され、上記第1の分周器の出力は 上記第2の位相検波器の第1の入力に接続され、 上記シンセサイザは、上記第1の位相検波器の上記第2の入力に接続された入 力と、上記第2の位相検波器の第2の入力に接続された出力とを有する第2の分 周器を更に含み、 上記第1の分周器及び上記第2の分周器の分周比は整数であることを特徴とす る無線装置。 2. 上記分周器の中の少なくとも一方の分周器はプレスケーラである請求項1 記載の無線装置。 3. 上記分周比は調節可能である請求項1又は2記載の無線装置。 4. 上記アンテナに接続されたRF送信部を更に有する請求項1 乃至3のうち何れか一項記載の無線装置。 5. アンテナに接続され、受信無線信号をダウンコンバート処理する周波数ダ ウンコンバージョン手段と、上記周波数ダウンコンバージョン手段に収容された 分数分周比型周波数シンセサイザとを有し、無線信号を受信する少なくとも一つ のRF受信部を具備した少なくとも一台のマルチチャネル無線装置を含む無線通 信システムにおいて、 上記シンセサイザの出力には、基準周波数発生器によって発生された基準周波 数が分数比倍された周波数を有し、上記受信無線信号をダウンコンバート処理す るため使用される出力信号が現れ、 上記シンセサイザは、上記基準周波数に接続された第1の入力を有する第1の 位相検波器と、第1のループフィルタと、第1の電圧制御形発振器との縦続を含 む順方向路が上記基準周波数発生器と上記出力との間に設けられ、 上記シンセサイザは、第1の分周器と、第2の位相検波器と、第2のループフ ィルタと、第2の電圧制御形発振器との縦続を含む帰還路が上記出力と上記第1 の位相検波器の第2の入力との間に設けられ、上記第2の電圧制御形発振器の出 力は上記第1の位相検波器の第2の入力に接続され、上記第1の分周器の出力は 上記第2の位相検波器の第1の入力に接続され、 上記シンセサイザは、上記第1の位相検波器の上記第2の入力に接続された入 力と、上記第2の位相検波器の第2の入力に接続された出力とを有する第2の分 周器を更に含み、 上記第1の分周器及び上記第2の分周器の分周比は整数であることを特徴とす る無線通信システム。 6. 基準周波数発生器によって発生された基準周波数が分数比倍された周波数 を有する出力信号が現れる出力を具備した分数分周比型周波数シンセサイザにお いて、 上記シンセサイザは、上記基準周波数に接続された第1の入力を 有する第1の位相検波器と、第1のループフィルタと、第1の電圧制御形発振器 との縦続を含む順方向路が上記基準周波数発生器と上記出力との間に設けられ、 上記シンセサイザは、第1の分周器と、第2の位相検波器と、第2のループフ ィルタと、第2の電圧制御形発振器との縦続を含む帰還路が上記出力と上記第1 の位相検波器の第2の入力との間に設けられ、上記第2の電圧制御形発振器の出 力は上記第1の位相検波器の第2の入力に接続され、上記第1の分周器の出力は 上記第2の位相検波器の第1の入力に接続され、 上記シンセサイザは、上記第1の位相検波器の上記第2の入力に接続された入 力と、上記第2の位相検波器の第2の入力に接続された出力とを有する第2の分 周器を更に含み、 上記第1の分周器及び上記第2の分周器の分周比は整数であることを特徴とす る周波数シンセサイザ。
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