【発明の詳細な説明】
パワーMOS−デバイス
本発明は、ソース、ドレイン、ゲート及びゲートにより制御されるチャネルを
有するパワーMOS−デバイスに関する。更に、本発明は、そのようなデバイス
の作製方法にも関する。
大電力のスイッチングに使用されるそのような半導体デバイスは、開放状態で
高い電圧に対して絶縁をし、閉成状態で小さな電圧降下のもとで可及的に大きな
電流密度を許容しなければならない。そのようなパワー半導体の実現のためには
、大きな電流密度と小さな直列抵抗が必要な場合、屡々バイポーラトランジスタ
が使用される。
FETトランジスタは、殊に、小さな制御電圧が必要な場合使用される。FE
Tトランジスタは、一連の種々の実施形態で、パワー半導体として使用される。
而して、例えばMOSパワー半導体の場合V字状の溝が(111)配向の結晶面
を以て、KOHでの異方性エッチングにより露出される。その上には、ゲート酸
化物が成長され、そして、制御ゲートが被着される。DMOSのそれと異なって
、電流がソースから横方向に、次いで縦方向、垂直方向にドレイン−これはサブ
ストレートにより形成されるーへガイドされる。要す
るに、この場合制御ゲートは、n形ドーピングされたウエーハの半導体表面上に
施される。ここでNMOSトランジスタの局所的P形ウエルはソース側の、深く
ドライブインホウ素ドーピングにより形成される。
そのようなパワー半導体において常に生じる問題は、過度にわずかな絶縁耐量
であり、この過度にわずかな絶縁耐量は、デバイスにおける電界フィールド強度
のピークにより生じるものである。更に同時に、損失電力の相応の放出をさせて
高い電流密度を実現することにも問題がある。
本発明の課題とするところは、殊に電界フィールド強度のピークの回避により
高い絶縁耐量を有する冒頭に述べた形式のデバイスを提供することにある。さら
に本発明の課題とするところは、そのようなデバイスの作製方法を提供すること
にある。
前記課題の解決のため本発明によれば、チャネルは、柱状体を有し、該柱状体
の横断面の大きさは少なくとも1つの方向で次のような小さな値である、即ち、
当該柱状体(5)が電荷キャリヤ濃度に関して、完全にデプレッション空乏化さ
れているのである。
完全なデプレッション空乏化により柱状体下縁にて電界フィールド強度のピー
クが生ぜず、その結果絶縁耐量及びブレークオーバ電圧がたんにサブストレート
におけるドーピングプロフィールにより定まるようになる。更に、柱状体のデプ
レッション空乏化における
より、ディケード(Dekade;decade)ごと60mVの著しく大きな
下方限界値急峻度(ドレイン電流による制御電圧)により理想的な制御特性が達
成される。
柱状体及びデバイス全体は、有利にシリコン技術で作製され、ここで、柱状体
の横断面は、完全なデプレッション空乏化を達成するよう、1つの方向でほぼ0
.2μmである。
有利な実施形態では、柱状体は横断面がほぼ正方形である。亦、“壁厚”が完
全なデプレッション空乏化が達成される程の薄さである限り、壁状の構成も可能
である。柱状体の有利な正方形又は円形の横断面の場合柱状体は周期的に、1つ
の面上に配置でき、その結果、対称的3次元の構造が可能になる。それにより、
セルフアラインされた、従って低オームのコンタクトが可能になる。柱状体は、
有利にほぼ1mnの高さである。柱状体は有利に著しく接近して相並んで配置さ
れ、その結果著しく大きな電流密度を達成できる。柱状体の間隔をプロセス技術
上可能な間隔に低減できる。通常は、これは、構造微細度Fである。柱状体の幅
も1Fであるが、付加的なスペーサ技術により更に小さくできる。有利な実施形
態では、ゲートは、柱状体間に配置されたポリシリコンから成り、それに低いゲ
ート抵抗が達成される。ゲートのポリシリコンは、有利にp導形にドーピングさ
れ、その結果ゲート電柱の
仕事関数は、完全にデプレッション空乏化された柱状体のばあいでも十分高い電
圧を保証する。
そのようなパワーMOSデバイスの作製のため、本発明によれば、ドレインを
形成する濃厚にドーピングされた半導体サブストレート上に希薄にドーピングさ
れた層を生成し、前記の希薄にドーピングされた層の上方領域のドーピングを反
転させ、層にて柱状体の作成のため等方性エッチングを実施し、柱状体及びエッ
チングの領域にて生ぜしめられた構造をゲート酸化物の生成のため酸化し、エッ
チングにより形成された構造をポリシリコンで充填し、等方性エッチングをし、
その結果当該の柱状体が上方領域にて露出され、前記の上方領域を窒化物スペー
サで覆い、ポリシリコンを酸化し、又は平坦化作用をする酸化物を被着し、窒化
物を除去し柱状体の上方領域においてn形ドーピングされたソース領域を打ち込
みにより生ぜしめるのである。
次に本発明の1つの有利な実際値を略示図を用いて更に説明する。
各略示図は、次のことを示す。
図1〜図7は、本発明の作製方法の種々の作製段階を示す
図8は、シリコン柱状体を通しての対称軸に沿っての2次元ドーピング材料プ
ロフィールを示す。
図9は、シリコン柱状体を通しての対称軸に沿って
の2次元ドーピング材料プロフィール。
図10は、10Vドレイン電圧のもとでの電位分布の特性図である。
図11は、図10の電位分布の特性図であるセクションの拡大図である。
図12は、50Vドレイン電圧のもとでの電位分布の特性図である。
図13は、阻止電流特性図である。
濃厚に、ないし、高濃度でn形ドーピングされた半導体ウエーハーこれは以下
サブストレート1と称される−上に、数μm厚の低濃度でn形ドーピングされた
層2がエピタキシアル成長される。エピタキシアル層は、事後に形成されるべき
縦形MOS−トランジスタの領域にて打ち込みによりドーピングの反転、ないし
、変化がなされる。
代替選択的にエピタキシアル層を相応にドーピングできる。前記のプロセス状
態段階を図1に示してあり、ここで、矢印は、上方領域にて、チャネル打ち込み
を示す。
エピタキシアル層2上にはCVD(化学蒸着法)手法により、ハードマスクの
形成のため窒化物が被着され、フォト光技術又はスペーサ技術により構造化され
る。このために先ず、マスクが被着され、マスクの側の窒化物がRIE技術(R
eactive Ion Etching)で除去される。それに引き続いてマ
スク材料が除去され、その結果たんに図2中4で示す窒化物マスクだけが残る。
窒化物4は、エピタキシアル層2内に柱状体を生成するために使用される。前記
窒化物の横方向寸法は、少なくとも1つの方向で次のような小さな寸法である、
即ちそれにより構造化されたシリコン柱状体5が完全にデプレッション空乏化さ
れるような小さな寸法である。図3に示すように、前記の窒化物マスク4により
、露出されたエピタキシアル層は、等方性RIEエッチングによりほぼ1μmの
広さだけエッチングされる。
シリコン柱状体5のカバー面を除いて構造全体上にゲート酸化物6が生ぜしめ
られる。その上にポリシリコンがゲート7の形成のため堆積デポジットされ、そ
の結果シリコン柱状体5間の中間空間が完全に充填される。ゲート酸化物6の厚
さをゲート7における最大制御電圧に適合させなければならない。ポリシリコン
は、CVDで堆積デポジットされ、ホウ素でp導電形にドーピングされる。ポリ
シリコンは、反応性イオンエッチング(RIE)により次の程度等方性に再エッ
チングされる、即ち、シリコン柱状体5の上方領域が露出される程度等方性に再
エッチングされる。このプロセス状態段階を図4に示す。
次のステップでシリコン柱状体5の露出している部分が窒化物スペーサ8によ
りカバーされ、その窒化物スペーサは、次のようにして作成される、即ち真空に
よる化学的堆積デポジットにより窒化物が堆積デポジットされ、反応性イオンエ
ッチングにより窒化物スペーサ8を形成するのでる。この窒化物スペーサは、図
5に示してある。
図6に示す次のステップにて、ゲート7を形成するポリシリコンは、次の程度
酸化される、即ち、ソース金属化部への十分なアイソレーションが確保される程
度酸化される。その酸化物は、9で示す、セルフアラインメントされるポリシリ
コン酸化に対して代替選択的に平坦化酸化物(例えばBPSG、即ち燐化硼素珪
酸ガラス;Borphosphor Silicatglas)が被着され、再
エッチングされ得る。
更に図7に示すようにシリコン柱状体5の先端が除去され、当該の領域は十分
高いエネルギ又は側方で斜めの角度をなして砒素がn導電形にドーピングされ得
る。シリコン柱状体5の先端は、ソース領域を形成する。次いで、電気的コンタ
クト接続のため金属層が被着され、該金属層は、面全体に亘って施されており、
低オーム接続部及び良好な熱放出を保証する。サブストレート1は、ドレインを
形成し、ゲート7は、ポリシリコンにより形成され、これは、シリコン柱状体5
の周りに配置されており、チャネルを成し、そしてソース領域はシリコン柱状体
の先端及び金属層10により形成される。
本発明のデバイスの動作をシミュレーショングラフ
ィックを用いて示す。図8には3次元の柱状体−MOS−トランジスタの1セク
ションを示す。ここでY軸上には距離をμmで示し、ここで0−点は上方の柱状
体先端に加えられ、高さ全体は、4μmの距離に相応する。X軸は、同じ尺度で
距離をμmで示す。
図9にはX軸上に0〜4μmの間隔がプロットしてあり、ここで0点は、ソー
ス領域におけるシリコン柱状体の先端のところに位置する。Y軸上にはcm3当
たりのドーピング濃度が対数的にプロットしてある。濃厚にn形ドーピングされ
たサブストレート−これはドレインを形成する−と希薄にドーピングされたエピ
タキシアル層の間にドーピング濃の4つのオーダが存在する。一方では打ち込み
により、ドーピング材料濃度の反転、ないし、変化された柱状体先端は、もう1
度、1つのオーダだけより小さいドーピング材料濃度を有する。小さな横方向寸
法により、前記の領域は、更に完仝にデプレッション空乏化されている。柱状体
先端への砒素打ち込みにより最も上方の柱状体領域内に高いドーピング濃度が存
在し、それにより、ソース領域が形成される。
図10及び図11には10Vのサブストレート電圧のもとでの電位分布がプロ
ットしてある。図11は、図10の上方領域増大を示す。11で表された空乏ゾ
ーンは、下方の柱状体領域内に存在する。上方領域では材料全体の仕事関数によ
り側方の酸化物面にてほぼ
累積が生じる。ここで、P+ドーピングされたゲートが、Pウエル/チャネル領
域に当たる。シリコン柱状体5内に、そして、ゲート下縁に、ほぼ1Vより小さ
い電圧のみが現れる。それにより電界フィールド強度のピークは生ぜずそれによ
り、他のパワ−MOSテクノロディにおいて問題が生じる。
図12には、−図10におけると同様に−電位分布が示してあり、ここで50
Vのサブストレート電圧が生じる。
図13には阻止特性内径が示してあり、ここでX軸上にサブストレート電流が
μAで対数でプロットしてある。このことから明らかなように、50V迄問題の
ない阻止を達成できる。高ドーピングされたサブストレート内までの電位ライン
の拡がりは図10及び12から明らかである。勿論最大の阻止電位はn形ドーピ
ングされたエピタキシアル層2の厚さに依存し、要求に適合されねばならない。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年9月14日(1998.9.14)
【補正内容】
そのようなパワー半導体において常に生じる問題は、過度にわずかな絶縁耐量
であり、この過度にわずかな絶縁耐量は、デバイスにおける電界フィールド強度
のピークにより生じるものである。更に同時に、損失電力の相応の放出をさせて
高い電流密度を実現することにも問題がある。
US5,430,315には荷電キャリアーゲッタ領域を有するトレンチ−M
OSFETが記載されており、前記の荷電キャリアーゲッタ領域は次のようにド
ーピングされている、即ち、外部電圧の印加なしで柱状ベース領域のデプレッシ
ョン空乏化が達成されるようにドーピングされている。垂直のゲート領域及び柱
状のベース領域が逆導電形でドーピングされている。
EP0339936A2には同期−整流器に対するFETが記載されており、
前記同期−整流器は、唯一つの導電形を有する半導体材料からなり、それのゲー
ト電極は溝状にドリフトゾーン内に作り込まれている。FETの阻止特性は、ド
リフトゾーンにおけるデプレッション空乏化により達成され、このため、ゲート
とドリフトゾーンとの間に電圧が加えられる。
US5323040にはシリコンカーバイドFETが記載されており、このシ
リコンカーバイドFETは単に1つの導電形の半導体材料からなり、それの対向
電極は、溝状にドリフトゾーン内に作り込まれており、垂直のチャネルゾーンを
有するドリフトゾーン内の
小数キャリアに関するデプレッション空乏化は、負又はゼロ制御電圧の印加によ
っり達成される。
Electronics Letters,Vol,29 Number 1
8,pp1664〜1666では減少されたチャネル抵抗を有するIGBTが開
示されている。ここでゲートが垂直方向にチャネルゾーンに沿って形成されてい
る。ここでトレンチゲートは、相互に極めて近づいた間隔を以て配置され、チャ
ネルゾーンは投入状態にて伝導度変調される。
本発明の課題とするところは、殊に電界フィールド強度のピークの回避により
高い絶縁耐量を有する冒頭に述べた形式のデバイスを提供することにある。さら
に本発明の課題とするところは、そのようなデバイスの作製方法を提供すること
にある。
前記課題の解決のため本発明によれば、チャネルは、柱状体を有し、該柱状体
の横断面の大きさは少なくとも1つの方向で次のような小さな値である、即ち、
当該柱状体(5)が電荷キャリヤ濃度に関して、完全にデプレッション空乏化さ
れているのである。
完全なデプレッション空乏化により柱状体下縁にて電界フィールド強度のピー
クが生ぜず、その結果絶縁耐量及びブレークオーバ電圧がたんにサブストレート
におけるドーピングプロフィールにより定まるようになる。更に、柱状体のデプ
レッション空乏化におけるより、ディケード(Dekade;decade)ご
と60mVの著しく大きな下方限界値急峻度(ドレイン電流による制御電圧)に
より理想的な制御特性が達成される。
柱状体及びデバイス全体は、有利にシリコン技術で作製され、ここで、柱状体
の横断面は、完全なデプレッション空乏化を達成するよう、1つの方向でほぼ0
.2μmである。
請求の範囲
1. ソース、ドレイン、ゲート及びゲートにより制御されるチャネルを有す
るパワーMOS−デバイスにおいて、
ドレインは、第1導電形の半導体サブストレートからなるパワーMOSデバイ
スの第1の側にて形成されており、ドレイン上に、同じ第1の導電形の低濃度ド
ーピングされた層が被着されており、前記低濃度ドーピングされた層のドレイン
とは離隔したほうの領域が第2の逆の導電形にドーピングが反転、ないし、変化
されており、そしてチャネルとして用いられ、前記チャネルは、柱状体の形態で
形成されており、前記の柱状体の横断面の大きさは少なくとも1つの方向で次の
ような小さな値であり、即ち、当該柱状体(5)が電荷キャリヤ濃度に関して、
完仝にデプレッション空乏化されているような小さな値であり、ここで、ゲート
は柱状体間に配置されたポリシリコンを有し、チャネルと同じ導電形を有し、こ
こで柱状体の上方領域にて、第1導電形のソース領域が設けられており、前記ソ
ース領域はパワーMOSデバイスの第2の側に延び及んでいることを特徴とする
パワーMOSデバイス。
2. 柱状体は、シリコン−柱状体であり、シリコン−柱状体の横断面は、1
つの方向で0.2μmより小であることを特徴とする請求の範囲1記載のデバイ
ス。
3. 柱状体(5)は横断面がほぼ正方形であることを特徴とする請求の範囲
1又は2記載のデバイス。
4. 柱状体(5)は、周期的に1つの面上に配置されていることを特徴とす
る請求の範囲1から3までのうち1項記載のデバイス。
5. 柱状体(5)はほぼ1μmの高さであることを特徴とする請求の範囲1
から4までのうち1項記載のデバイス。
6. 柱状体(5)は次のように相互に直ぐ近寄って相並んでいる即ち、柱状
体(5)間の間隔が少なくとも1つの柱状体幅より大であるように相互に直ぐ近
寄って相並んでいることを特徴とする請求の範囲1から5までのうち1項記載の
デバイス。
7. ゲート(7)は、p導電形にドーピングされていることを特徴とする請
求の範囲1から6までのうち1項記載のデバイス。
8. 請求の範囲1項から7項までのうち何れか1項記載のパワーMOSデバ
イスを作製する方法において、
ドレインを形成する濃厚にn形ドーピングされた半導体サブストレート(1)
上に希薄にn形ドーピングされた層(2)を生成し、前記の希薄にドーピングさ
れた層(2)の上方領域のドーピングを反転、ないし、変化させ、層(2)上に
、ハードマスクを被着し、
構造化し、層(2)にて柱状体(5)の作成のため等方性エッチングを実施し、
柱状体及びエッチングの領域にて生ぜしめられた構造をゲート酸化物(6)の生
成のため酸化し、エッチングにより形成された構造をポリシリコンで充填し、等
方性で再エッチングをし、その結果当該の柱状体が上方領域にて露出され、前記
の上方領域を窒化物スペーサ(8)で覆い、ポリシリコンを酸化し、又は平坦化
作用をする酸化物を被着し、窒化物を除去し柱状体の上方領域においてn形ドー
ピングされたソース領域を打ち込みにより生ぜしめることを特徴とするパワーM
OSデバイスの作成方法。