【発明の詳細な説明】
ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤としての
3−メルカプトピロリジン
本発明は酵素ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPTase)の
阻害によって突然変異体ras遺伝子産物のファルネシル化を阻害する化合物に
関する。本発明はまた、この化合物の製造方法、疾患、特にrasのファルネシ
ル化によって媒介される癌の治療用組成物及び治療法に関する。
癌は細胞増殖と分化を制御する遺伝子の発現又は機能の変化に関与すると信じ
られている。理論的考察に拘束されることを望むものではないが、以下において
癌におけるrasの科学的背景を記載する。ras遺伝子は腫瘍の中で頻繁に突
然変異を起こす。ras遺伝子は、シグナル伝達、増殖及び悪性トランスホーメ
ーションに関与すると信じられているグアノシン三リン酸(GTP)結合タンパ
ク質をコードする。今までにH−、K−及びN−ras遺伝子がrasの突然変
異形として同定されている(Barbacid M,Ann.Rev.Biochem.1987,56:779-827
)。生物活性をもつためにはrasタンパク質の翻訳後修飾が必要である。ra
sのプロセシングにおいてはFPTaseによって触媒されるrasのファルネ
シル化が必須であると信じられている。これは、ファルネシルピロホスフェート
(FPP)のファルネシル基が、CAAXボックスと呼ばれる構造モチーフ中の
rasのC−末端テトラペプチドにあるシステインに転移することによって起こ
る。CAAXボックスのシステイン残基でのタンパク質分解とシステインカルボ
キシルのメチル化を含むさらなる翻訳後修飾の後に、rasは細胞膜に付着して
増殖シグナルを細胞内部に伝達することができる。正常細胞では、活性化したr
asが増殖因子と結合して細胞増殖を刺激すると信じられている。腫瘍細胞では
rasの突然変異によって、増殖因子がなくても細胞分裂を刺激すると信じられ
ており(Travis J,Science 1993,260:1877-1878)、これはGDPの不活性型に
循環しないでむしろGTPの活性型のままで永久的に存在するためであろう。突
然変異ras遺伝子産物のファルネシル化の阻害は活性化を停止又は減少する
であろう。
公知のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤のうちの1つのクラスはファル
ネシルピロホスフェート類似体に基づいている(例えば、Merck社によるヨーロッ
パ特許出願EP534546を参照のこと)。CAAXボックスの模倣に基づく
ファルネシルトランスフェラーゼの阻害剤が報告されている。Reiss(1990),Cell
:62,81-8は、CVIM(Cys-Val-Ile-Met)のようなテトラペプチドを開示する
。James(1993),Science 260:1937-1942は、ベンゾジアゼピンに基づくペプチド
模倣性化合物を開示する。Lerner(1995),Biol.Chem.270:26802及びEisai社に
よる国際特許出願WO95/25086は、第1残基がCysである別のペプチド
模倣性化合物を開示する。Bristol-Myers Squibb社によるヨーロッパ特許出願E
P696593は第1位に4−スルファニルピロリジン残基をもつファルネシル
トランスフェラーゼ阻害剤を最初に開示する。第1位に3−スルファニルピロリ
ジン部分をもつこのような化合物は今までに報告されていない。
本発明の一面に従うと、式Iのrasファルネシル化阻害剤が提供される:
[式中、
R1はH;−C1-4アルキル;−CO−C1-4アルキル;−CO−O−C1-4アルキ
ル;−CO−O−C2-4アルケニル;−C1-4アルキレン−CONR4R5(ここで
R4及びR5は独立にH及びC1-4アルキルから選択される);−C1-4アルキレン
−COOR6(ここでR6はH及びC1-4アルキルから選択される);−C1-3アルキ
レン−Ph及び−CO−O(CH2)nPh(ここで−C1-3アルキレン−Ph及
び−CO−O(CH2)nPh中のフェニル基はRa及び/又はRbで置換されてい
てもよく、そしてRa及びRbは独立にC1-4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、
C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキ
シ、アミノ、C1-4アルキルアミノ、ジ(C1-4アルキル)アミノ、C1-4アルカ
ノイルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバモイル、C1-4アルコキシ
カルボニル、チオール、C1-4アルキルスルファニル、C1-4アルキルスルフィニ
ル、C1-4アルキルスルフォニル及びスルホンアミドから選択され;そしてn=
0−4である)から選択され;
R2はH;−C1-4アルキル;−COC1-4アルキル;及び−COOC1-4アルキル
;及びRa及び/又はRbでフェニル環が置換されていてもよい−C1-3アルキレ
ン−Phから選択され;
R3はH;OH;CN;CF3;NO2;−C1-4アルキル;−C1-4アルキレン−
R7;−C2-4アルケニレン−R7;−C2-4アルキニレン−R7;R7;OR7(ここ
でR7はフェニル;ナフチル;O、N及びSから選択される5個までのヘテロ原
子を含む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環から選択され、R7中の
全てのアリール環はRa及び/又はRbで置換されていてもよい);C2-4アルケニ
ル;ハロゲン;−(CH2)nCOOR8(ここでn1=0−3であり、R8はH、C1-4
アルキル又はC2-4アルケニルを表す);−CONR9R10(ここでR9及びR10
は独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、−O−C1-4アルキル、−O−
C2-4アルケニル又は−C1-3アルキレン−Ph(ここでPhは上で定義したRa
及びRbによって置換されていてもよい)を表す);−CON(R11)OR12(こ
こでR11及びR12は独立にH、C1-4アルキル又はC2-4アルケニルを表す);式
IIの基:−CONR13−CR13aR14−COOR17(ここでR13及びR13aは独
立にH又はC1-4アルキルであり、R17はH又はC1-6アルキルであり、R14は親
油性アミノ酸の側鎖、カルバモイルC1-4アルキル、N−(モノC1-4アルキル)
カルバモイルC1-4アルキル及びN−(ジC1-4アルキル)カルバモイルC1-4ア
ルキルから選択される)であって、ここで式IIの基は対応する遊離アミノ酸中
のキラルα炭素にL又はD配置をもつ;以下の式のラクトン:
=N−OHで炭素が一置換されているC1-4アルキル;式−X−R15の基(ここ
でXはO、CO、CH2、S、SO、SO2から選択され、R15はC1-6アルキル
;フェニル;ナフチル;O、N及びSから選択される5個までのヘテロ原子を含
む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環から選択され、R15中の全ての
アリール環はRa及び/又はRbで置換されていてもよい)から選択され;pは0
−3であり、ここでR3は同一又は異なっていてよく;
Lは式Iにおいて左から右に向かって記載される以下の基から選択される連結部
分であり:
(ここでピペラジン及びペルヒドロ−1,4−ジアゼピン環は置換されていても
よい);−CO−NR16−;−CH2NR16−;−CH2S−;−CH2O−;−C
H2−CHR16;−CH=CR16−;−CH2NR16−T−;−CH2NR16−S
O2−;−CH2NR16−CO−T1−;−CO−NR16−T−;−CH2S−T−
;−CH2O−T−(ここでR16はH、C1-4アルキル、C1-4アルキレン−Z、−
CO−C1-4アルキレン−Z、−CO−C1-6アルキル、−COZ、Zから選択さ
れ、Zは−O−C1-4アルキル;フェニル;ナフチル;O、N及びSから選択さ
れる5個までのヘテロ原子を含む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環
から選択され、R16中の全てのアリール環は上で定義したRa及び/又はRbで置
換されていてもよく;Tは−(CH2)m−を表し、ここでmは1−4であり、そ
してTはH以外のいずれかのR16で一置換されていてもよい;そしてT1は−(
CH2)m 1−を表し、ここでm1は0−4であり、そしてTはH以外のいずれかの
R16で一置換されていてもよい);
Aはフェニル;ナフチル;O、N及びSから独立に選択される5個までのヘテロ
原子を含む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環から選択される]
又はR2=Hであるときはその−S−S−ダイマー;又はそのN−オキシド;又
はその薬剤的に受容できる塩、プロドラッグ又は溶媒和物。
本発明は、別の面では、式Iのrasファルネシル化阻害剤を提供する:
[式中、
R1はH;−C1-4アルキル;C1-4アルキル、ハロゲン、OH、C1-4アルコキシ
、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、アミノ、C1-4アルキルアミ
ノ、ジ(C1-4アルキル)アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、ニトロ、シアノ、
カルボキシ、カルバモイル、C1-4アルコキシカルボニル、チオール、C1-4アル
キルスルファニル、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルフォニル及
びスルホンアミドから選択される置換基でPhが一又は二置換されていてもよい
−C1-3アルキレン−Ph;−CO−C1-4アルキル;−CO−O−C1-4アルキ
ル;−CO−O−C2-4アルケニル;R1=−C1-3アルキレン−Phの場合に上
で定義した置換基でPhが置換されていでもよい−CO−O(CH2)nPhであ
ってn=0−4;−C1-4アルキレン−CONR4R5(ここでR4及びR5は独立に
H及びC1-4アルキルから選択される);及び−C1-4アルキレン−COOR6(こ
こでR6はH及びC1-4アルキルから選択される)から選択され;
R2はH;−C1-4アルキル;R1=−C1-3アルキレン−Phの場合に上で定義し
た置換基でPhが置換されていてもよい−C1-3アルキレン−Ph;−COC1-4
アルキル;及び−COOC1-4アルキルから選択され;
R3はH;OH;CN;CF3;NO2;−C1-4アルキル;−C1-4アルキレン−
R7(ここでR7はフェニル;ナフチル;O、N及びSから選択される5個までの
ヘテロ原子を含む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環から選択され、
R7中の全てのアリール環はR1=−C1-3アルキレン−Phの場合に上で定義し
た置換基でPhが置換されていてもよい);R7;C2-4アルケニル;ハロゲン;
−(CH2)nCOOR8(ここでn=0−3であり、R8はH、C1-4アルキル又は
C2-4アルケニルを表す);−CONR9R10(ここでR9及びR10は独立にH、C1-4
アルキル、C2-4アルケニル、−O−C1-4アルキル、−O−C2-4アルケニル
又はR1でこの基について上で定義した置換基でPhが置換されていてもよい−
C1-3アルキレン−Ph;−CON(R11)OR12(ここでR11及びR12は独立に
H、C1-4アルキル又はC2-4アルケニルを表す);式IIの
基:−CONR13−CHR14−COOR17(ここでR13はH又はC1-4アルキル
であり、R17はH又はC1-6アルキルであり、R14は親油性アミノ酸の側鎖、カ
ルバモイルC1-4アルキル、N−(モノC1-4アルキル)カルバモィルC1-4アル
キル及びN−(ジC1-4アルキル)カルバモイルC1-4アルキルから選択される)
であって、ここで式IIの基は対応する遊離アミノ酸中のキラルα炭素にL又は
D配置をもつ;以下の式のラクトン:
=N−OHで炭素が一置換されているC1-4アルキル;式−X−R15の基(ここ
でXはO、CO、CH2、S、SO、SO2から選択され、R15はC1-6アルキル
;フェニル;ナフチル;O、N及びSから選択される5個までのヘテロ原子を含
む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環から選択され、R15中の全ての
アリール環はR1=−C1-3アルキレン−PhのPh基について定義した置換基で
置換されていてもよい)であり;
pは0−3であり、ここでR3は同一又は異なっていてよく;
Lは式Iにおいて左から右に向かって記載される以下の基から選択される連結部
分であり:
−CO−NR16−(ここでR16はH、C1-4アルキル、C1-4アルキレン−Z、−
CO−C1-4アルキレン−Z、−CO−C1-6アルキル、−COZ、Zから選択さ
れ、Zは−O−C1-4アルキル;フェニル;ナフチル;O、N及びSから選択さ
れる5個までのヘテロ原子を含む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環
から選択され、R16中の全てのアリール環はR1=−C1-3アルキレン−PhのP
h基について定義した置換基で置換されていてもよい);−CH2NR18−(ここ
でR18はR16で定義した全ての基を表す);−CH2S−;−CH2O−;−CH2
−CHR19(ここでR19はR16で定義した全ての基を表す);−CH=CR20−(
ここでR20はR16で定義した全ての基を表す);−CH2NR21−T−(ここでR2 1
はR16で定義した全ての基を表し、Tは−(CH2)n−を表し、nは1−4で
あり、そしてTはR22で一置換されていてもよく、R22は
R16で定義したH以外の全ての基を表す);−CH2NR23−SO2−(ここでR23
はR16で定義した全ての基を表す);−CH2NR24−CO−T−(ここでR24は
R16で定義した全ての基を表し、Tは−(CH2)n−を表し、nは0−4であり
、そしてTはR29で一置換されていてもよく、R29はR16で定義したH以外の全
ての基を表す);−CO−NR25−T−(ここでR25はR16で定義した全ての基を
表し、Tは−(CH2)n−を表し、nは1−4であり、そしてTはR26で一置換
されていてもよく、R26はR16で定義したH以外の全ての基を表す);−CH2S
−T−(ここでTは−(CH2)n−を表し、nは1−4であり、そしてTはR27
で一置換されていてもよく、R27はR16で定義したH以外の全ての基を表す);
−CH2O−T−(ここでTは−(CH2)n−を表し、nは1−4であり、そして
TはR28で一置換されていてもよく、R28はR16で定義したH以外の全ての基を
表す);
Aはフェニル;ナフチル;O、N及びSから独立に選択される5個までのヘテロ
原子を含む5−10員の単環又は二環のヘテロアリール環から選択される]
又はR2=Hであるときはその−S−S−ダイマー;又はそのN−オキシド;又
はその鏡像異性体、ジアステレオマー異性体、薬剤的に受容できる塩、プロドラ
ッグ又は溶媒和物。
本発明の別の面では、式IIの基はα炭素(これにR14が結合している)の位
置でHがC1-4アルキルで置換されていてもよく、これによって式IIIは−C
ONR13−CR13aR14−COOR17(ここでR13aはH又はC1-4アルキルであ
り、その他の基はここで定義する全ての基(式Iの範囲において一般的又は特定
的に定義した)でありうる)になる。
本明細書では、”アルキル”の一般的用語は直鎖及び分枝鎖アルキル基を含む
。しかし、”プロピル”のような個々のアルキル基をいう場合には直鎖のみであ
り、”イソプロピル”のような個々の分枝鎖アルキル基をいう場合には分枝鎖の
みをいう。類似の約束がその他の一般的用語にも適用される。
”ハロゲン”の用語はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素をいう。”カルバモイル
”の用語は−C(O)NH2をいう。”BOC”の用語はtert−ブチル−O
−C(O)−をいう。”アリル”の用語はCH2=CH−CH2をいう。二環性ア
リ
ール及び二環性ヘテロアリール環とは二環系の両方の環が芳香族である環系をい
う。
C1-6アルキルの例にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−
ブチル、tert−ブチル及びペンチルを含み;C1-4アルキルの例にはメチル
、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル及びtert−ブチルを含
み;C1-3アルキルの例にはメチル、エチル、プロピル及びイソプロピルを含み
;C1-3アルキレンPhの例にはベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル
を含み;C1-4アルコキシ(−O−C1-4アルキルともいう)の例にはメトキシ、
エトキシ及びプロポキシを含み;C1-4アルカノイルの例にはホルミル、アセチ
ル及びプロピオニルを含み;C1-4アルカノイルオキシの例にはアセチルオキシ
及びプロピオニルオキシを含み;C1-4アルキルアミノの例にはメチルアミノ、
エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、sec−ブチルアミノ及
びtert−ブチルアミノを含み;ジ−(C1-4アルキル)アミノの例にはジ−
メチルアミノ、ジ−エチルアミノ及びN−エチル−N−メチルアミノを含み;C1-4
アルカノイルアミノの例にはアセトアミド及びプロピオニルアミドを含み;
C1-4アルコキシカルボニルの例にはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル
及びプロポキシカルボニルを含み;C1-4アルキルスルファニルの例にはメチル
スルファニル、エチルスルファニル、プロピルスルファニル、イソプロピルスル
ファニル、sec−ブチルスルファニル及びtert−ブチルスルファニルを含
み;C1-4アルキルスルフィニルの例にはメチルスルフィニル、エチルスルフィ
ニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、sec−ブチルスル
フィニル及びtert−ブチルスルフィニルを含み;C1-4アルキルスルフォニ
ルの例にはメチルスルフォニル、エチルスルフォニル、プロピルスルフォニル、
イソプロピルスルフォニル、sec−ブチルスルフォニル及びtert−ブチル
スルフォニルを含み:−CO−C1-4アルキルの例にはホルミル、アセチル、プ
ロピオニル、ブチリル及びバレリルを含み;−CO−O−C1-4アルキルの例に
はエチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル及びtert−ブチルオ
キシカルボニル(BOC)を含み;−CO−O−C2-4アルケニルの例にはアリ
ルオキシカルボニル及びビニルオキシカルボニルを含み;−CO−O−(CH2
)n
Ph(n=0−4)の例にはフェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカル
ボニル、フェニルエチルオキシカルボニル及びフェニルプロピルオキシカルボニ
ルを含み;−C1-4アルキレン−CONR4R5の例にはカルバモイルメチル、カ
ルバモイルエチル,N−メチルカルバモイルエチル、N−メチル−N−エチルカ
ルバモイルエチルを含み;−C1-4アルキレン−COOR6の例にはカルボキシメ
チル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、プロピオン酸メチルエステル、
酢酸エチルエステルを含み;C2-4アルケニルの例にはアリル及びビニルを含み;
−O−C2-4アルケニルの例にはアリルオキシ及びビニルオキシを含み;親油性
アミノ酸の例にはバリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラ
ニン、セリン、スレオニン及びチロシンを含み::カルバモイルC1-4アルキル
の例にはカルバモイルメチル、カルバモイルエチル及びカルバモイルプロピルを
含み;N−(モノC1-4アルキル)カルバモイルC1-4アルキルの例にはN−メチ
ル−カルバモイルメチル及びN−エチル−カルバモイルエチルを含み;N−(ジ
C1-4アルキル)カルバモイルC1-4アルキルの例にはN,N−ジメチル−カルバ
モイルエチル及びN−メチル−N−エチルカルバモイルエチルを含み;=N−O
Hで炭素が一置換されているC1-4アルキルの例にはブチルアルデヒドオキシム
及びプロピオンアルデヒドオキシムを含み;ヒドロキシC1-6アルキルの例には
ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプ
ロピル、2−(ヒドロキシメチル)プロピル及びヒドロキシペンチルを含み;C1-6
アルコキシC1-6アルキルの例にはメトキシエチル、エトキシエチル及びメト
キシブチルを含み;C1-6アルキルカルボニルの例にはメチルカルボニル、エチ
ルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、sec−ブチル
カルボニル、tert−ブチルカルボニル及びペンチルカルボニルを含み;ヒド
ロキシC1-6アルキルカルボニルの例にはヒドロキシアセチル、ヒドロキシプロ
ピオニル、ヒドロキシブチリル、3−ヒドロキシブチリル及びヒドロキシペンタ
ノイルを含み;C1-6アルコキシC1-6アルキルカルボニルの例にはメトキシアセ
チル、メトキシプロピオニル、エトキシブチリル及びブトキシアセチルを含み;
フェニルC1-6アルキルの例にはベンジル、フェニルエチル及びフェニルプロピ
ルを含み;−CO−C1-4アルキル−Phの例にはフェニルアセチ
ル及びフェニルプロピオニルを含み;−CO−C1-4アルキル−ヘテロアリール
の例には2−(3−ピリジル)−アセチル及び2−(3−チエニル)−アセチル
を含み;N−(C1-6アルキル)カルバモイルの例にはN−メチル−カルバモイ
ル及びN−エチル−カルバモイルを含み;N−(ジC1-6アルキル)カルバモィ
ルの例にはN,N−ジメチルカルバモイル及びN−メチル−N−エチルカルバモ
イルを含む。
O、N及びSから選択される5個までのヘテロ原子を含む5−10員の単環又
は二環のヘテロアリール環の例には以下のモノを含む:5−又は6−員環ヘテロ
アリール環系の例にはイミダゾール、チアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリ
ダジン、ピリジン、イソオキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾ
ール及びチオフェンを含む。9又は10員環の二環性ヘテロアリール環系とは、
5員環又は別の6員環のいずれかと縮合した6員環を含む芳香族二環系をいう。
5/6及び6/6の二環系の例にはベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンズ
チオフェン、ベンズチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズオキサゾール、
ベンズイソキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリミドイミダゾール、キノリン
、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン及びナフ
チリジンを含む。
好ましくは単環性ヘテロアリール環には3個までのヘテロ原子を含み、二環性
ヘテロアリール環には5個までのヘテロ原子を含む。好ましいヘテロ原子はN及
びS、特にNである。一般に、ヘテロ環のその他の基への結合は炭素原子を介す
る。ヘテロ原子としてNのみを含むヘテロ環として適しているのはピロール、ピ
リジン、インドール、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、ピラジン、ピリ
ミジン、プリン及びプテリジンである。
本明細書で使用する”親油性アミノ酸”の用語は天然及び非天然のアミノ酸の
両方を含む。
側鎖(R3の定義中でR14で表される)に寄与する親油性アミノ酸の例にはメ
チオニン、フェニルグリシン、フェニルアラニン、セリン、ロイシン、イソロイ
シン又はバリンを含む。対応する遊離アミノ酸のL配置が好ましい。アミノ酸側
鎖の例を以下に示す。R14の好ましいものは−CH2−CH2−S−CH3である
。
更に好ましいR14は−CH2−OMe及び−CH2−CH2−OMeである。いく
つかのアミノ酸及びその側鎖を以下に示す:
アミノ酸 側鎖
メチオニン −CH2−CH2−S−CH3
フェニルグリシン Ph
フェニルアラニン −CH2−Ph
セリン −CH2OH又はそのC1-4アルキル(好ましくはメチル
)エーテル
ロイシン −CH2−CHMe2
ホモセリン −CH2−CH2−OH又はそのC1-4アルキル(好まし
くはメチル)エーテル
R17がHであって式II中でCOOH基を与え、R14が−CH2−CH2−OH
であるときには、ラクトンが形成され、ここでR17とR14が一緒になってジヒド
ロフラン−2−オンヘテロ環の一部を形成する。以下に示す式IIIの化合物で
も同じラクトンが形成され、ここではX4がOHであり、X3がHである。
好ましくはR1はH;フェニルが上で定義したように置換されていてもよい−
CO−O−(CH2)nPh;−CO−O−C2-4アルケニル;−CO−C1-4アル
キル;−C1-4アルキレン−CONR4R5(ここでR4及びR5は独立にH及びC1 -4
アルキルから選択される)から選択される。
最も好ましいR1は水素である。
好ましいR2はH及び−COC1-4アルキルから選択される。
最も好ましいR2は水素である。
好ましいLは−CH2NR16−及び−CH2NR16−T−である。
好ましいAはフェニル、ナフチル、ピリジル及びチエニルから選択される。
最も好ましいAはフェニル又はナフチルである。
R3とpの好ましい組み合わせは以下のものから選択される:
i)R3は式IIの基、−C1-4アルキルR7;−O−R7及びR7から選択され;
p=1−3であり、ただしR3のうちの少なくとも1つは式IIの基である;
ii)p=0であり、ただしAはナフチルであり、Lは−CH2NR16−T−で
ある;そして
iii)p=1であり、ただしR3=式IIの基であり、Aはフェニル又はナフ
チルである。
p=2であるときのR3基の適切な対は、−COOMe、−CO.N(Me).O
Me;NO2、−CO.N(Me).OMe;−COOMe、アリルオキシカルボ
ニル;−CO.N(Me).OMe、アリルオキジカルボニル;アリルオキシカル
ボニル、−CO.N(Me).O.CH2CH=CH2;OH、COOH;−COO
Me、COOMe;Ph、−CO.N−メチオニンメチルエステル;Ph、−C
O.N−メチオニン;ベンジル、−CO.N−メチオニンメチルエステル;ベン
ジル、−CO.N−メチオニン;ベンジル、−CO.N−メチオニンイソプロピ
ルエステル;Ph、−CO.Nα−グルタミンメチルエステル;及びPh、−C
O.Nα−グルタミンである。
L=CH2NR16Tについての適切な基は、CH2.N(CO.CH2.CHMe2
).CH2.CH2;CH2.N(CH2CH2CH2OMe).CH2.CH2;CH2
.N(CH2.pPh.OMe).CH2.CH2;CH2.N(CO.CH2.CHM
e2).CH2;CH2N(CO.CH2.CH2.CH2.Me).CH2;CH2N(C
O.CH2.CHMe.CH2Me).CH2;CH2N(CO.CH2.CH2.O
Me)CH2;CH2N(CO.CH2.ピリジン−3−イル)CH2;CH2N(
4−メトキシベンジル)CH2;CH2N(CO.CH2.CHMe2)CH2.C
H2.CH(Ph);CH2N(CO.CH3)CH2.CH2.CH(Ph);C
H2N(CO.CH2.CHMe2)CH2;CH2N(CO.CH3)CH2;CH2
N(CO.CH2.CHMe2)CH2.CH(Ph);CH2N(CO.CH2.
CMe3)CH2.CH(Ph);CH2N(CO.CH2.ピリジン−3−イル)
CH2.CH(Ph);CH2N(CO.1−ヒドロキシ−6−メトキシ−ピリジ
ン−3−イル)CH2.CH(Ph);CH2N(CO.CH2.ピリド−3−イ
ル)CH2CH(Ph);CH2N(CO.CH2.CHMe2)CH2.CH2;C
H2N(CO.CH2.CMe3)CH2.CH2;CH2N(COチアゾール−2−
イル)CH2CH2;CH2N(CO.1−オキシド−6−ヒドロ
キシピリジン−3−イル)CH2CH2;CH2N(CO.CH2ピリジン−3−イ
ル)CH2.CH2及びCH2N(CO.4−メトキシベンジル)CH2.CH2を
含む。
CH2NR16Tについての好ましい基は、CH2N(CO.CH2.CHMe2)
CH2.CH(Ph);CH2N(CO.CH2ピリジン−3−イル)CH2.CH
(Ph);CH2N(CO.1−ヒドロキシ−6−ヒドロキシピリジン−3−イル
)CH2.CH(Ph);CH2N(COチアゾール−2−イル)CH2CH2;及
びCH2N(CO.1−オキシド−6−ヒドロキシピリジン−3−イル)CH2C
H2を含む。
L=CH2NR16についての適切な基は、CH2NH;CH2NMe;CH2N(
CO.CH2.CHMe2)及びCH2N(CO.CH2.CH2.OMe)を含む
。好ましい−CH2NR16−の基は−CH2NH2−である。
Lが−CH2NR16−T−であるときのmの適切な値は1である。Lが−CH2
NR16−CO−T1−であるときのm1の適切な値は1である。Lが−CH2NR1 6
−T−であるときのmの適切な値は1である。Lが−CH2−S−T−であると
きのmの適切な値は1である。Lが−CH2−O−T−であるときのmの適切な
値は1である。Lは特に−CONH−、−CH2NH−、−CH2NHSO2−、
−CH2NHCO−である。
別の面では、Lは以下の式である:
(式中、ピペラジン環はC1-4アルコキシC1-4アルキル、フェノキシC1-4アルキ
ル又はヘテロアリールオキシC1-4アルキルで置換されていてもよい)。好ましく
は、Lは以下の式である:
Aはナフチルである。
本発明の好ましい化合物は式III.IV及びVのいずれか、又はそのN−オ
キシド、薬剤的に受容できる塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である:
[式中、
X1はH;C1-6アルキル;ヒドロキシC1-6アルキル;C1-6アルコキシC1-6ア
ルキル;C1-6アルキルカルボニル;ヒドロキシC1-6アルキルカルボニル;C1- 6
アルコキシC1-6アルキルカルボニルから選択され;
Aはフェニル、ナフチル又はO、N及びSから選択される5個までのヘテロ原子
を含む5−10員のヘテロ環から選択され;
X2はH;フェニル;フェニルC1-6アルキル;C1-6アルキルによってAと結合
していてもよいO、N及びSから選択される3個までのヘテロ原子を含む5−6
員のヘテロアリール環から選択され;そしてX2は先に定義したRa及び/又はRb
によっていずれの環が置換されていてもよく;
X3はH;C1-6アルキルから選択され;
X4はC1-6アルキルスルファニル;C1-6アルキルスルフィニル;C1-6アルキル
スルフォニル;カルバモイル;N−(C1-6アルキル)カルバモイル;N−(ジ
C1-6アルキル)カルバモイル;及びヒドロキシ又はそのC1-4アルキルエーテル
から選択される];[式中、
X5はC1-4アルコキシC1-4アルキル;−C1-4アルキルPh;−CO−C1-4ア
ルキルPh;−CO−C1-6アルキル;CO−C1-4アルキルヘテロアリール(こ
こでヘテロアリールはO、N及びSから選択される5個までのヘテロ原子を含む
5−10員のヘテロアリール環であり、そしてPhあるいはヘテロアリールは先
に定義したRa及び/又はRbによって置換されていてもよい);C1-4アルキルオ
キシC1-4アルキルから選択され;
Aはナフチル又はO、N及びSから選択される5個までのヘテロ原子を含む10
員のヘテロアリール環であり;
R3及びpは先に定義した通りである];
[式中、
X6は先にii)で定義したX5のいずれであってもよく;
X7は先に定義したRa及び/又はRbによって置換されていてもよいPhであり
;
AはPh又はナフチル又はO、N及びSから選択される5個までのヘテロ原子を
含む5−10員のヘテロアリール環であり;
R3及びpは先に定義した通りである]。
式IIIの化合物の好ましい意義には以下のものを含む:
X1はH及びC1-6アルコキシC1-6アルキルから選択され;
X2はH;フェニル及びフェニルC1-6アルキルから選択され;
X4はC1-6アルキルスルファニルであり;そして
Aはフェニル及びナフチルから選択される。
X4のその他の好ましい基は−OMe、及びX4がOHでありX3がHであるとき
に形成されるラクトンである。
式IVの化合物についての好ましい意義ではpは0である。
式Vの化合物の好ましい意義には以下のものを含む:
X7はフェニルであり;
Aはフェニルであり;そして
pは0である。
本発明の別の態様では好ましい意義は以下のものである:
式IIIの化合物では、X1はH又はメトキシC1-4アルキル(特にH);X2は
H、フェニル、ベンジル、フェネチル、4−メチルフェネチル又は4−メチルフ
ェニルアセチレン(特にベンジル);X3はH又はC1-4アルキル(特にH);X4は
C1-4アルキルスルファニル(特にメチルスルファニル);そしてAはフェニルで
ある。Aが6−員環アリール又はヘテロアリール環であるときには、基−NX1
−
とX4を含む置換基は互いにメタ配置にあるのが好ましく;X2が存在する場合に
は、−NX1−に対してパラに位置するのが好ましい.−COOX3が結合するキ
ラル炭素はS配置であるのが好ましい。ピロリジン環の2−及び3−位にあるキ
ラル炭素はR配置であるのが好ましい。
式IVの化合物では、X5はピリジルメチルカルボニル、チアゾリルカルボニ
ル、1−オキソイドピリジルカルボニル、−CO−C1-4アルキル(特に−CO
−CH2−CHMe2)又は−CH2−Ph−O−C1-4アルキル(特に−CH2−
Ph−OMe)であり;そしてAはフェニル又はナフチルであり;そしてpは0
である。ピロリジン環の2−及び3−位にあるキラル炭素はR配置であるのが好
ましい。−(CH2)1,2−に対してAが結合する位置はナフタレンの1−位及び
Aについてのヘテロ環の均等な位置(ヘテロ環の環番号付け慣行にかかわらず)
であるのが好ましい。−(CH2)1,2−の好ましい意義は−(CH2)2−である
。
式Vの化合物では、X6はピリジルメチルカルボニル、チアゾリルカルボニル
、1−オキソイドピリジルカルボニル、−CO−C1-5アルキル(より好ましく
は−CO−CH2−CHMe2又は−CO−CH2−t−ブチル、特に−CO−C
H2
−CHMe2)又は−CH2−Ph−O−C1-4アルキル(特に−CH2−Ph−
OMe)であり;X7はフェニルであり;そしてAはフェニル又はナフチル(特
にフェニル)であり;そしてpは0である。ピロリジン環の2−及び3−位にあ
るキラル炭素はR配置であるのが好ましい。−(CH2)1,2−の好ましい意義は
−(CH2)2−である。
先に定義した式Iの化合物のいくつかは1以上の不整炭素を有するために光学
活性形又はラセミ形で存在しうるので、本発明はFTPase阻害活性をもつ全
てのこのような光学活性形又はラセミ形を含むものと理解すべきである。光学活
性形の合成は当業界で公知の標準的有機化学により実施でき、例えば光学活性な
出発物質から合成するか、あるいはラセミ形の分割による。同様に、FTPas
eの阻害活性を後述する標準的実験法により評価する。
式Iの化合物のピロリジン環の2及び3位にある置換基はシス配置であること
が好ましい。
別の適切な配置はトランス配置である。 本発明の別の面によると、以下の個々の化合物又はその薬剤的に受容できる塩
のいずれかを提供する:
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルアミノ
]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルアミノ
]-ベ
ンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-({2-フェニル-5-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-({2-フェニル-5-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)アミノ]-ナフタレン-
1-カルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-({3-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)アミノ]-ナフタ
レン-1-カルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-({-3-フェニル-5[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-({-3-フェニル-5[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸
(シス)-2-[{N-(4-メトキシベンジル)-N-(ナフタレン-1-イルメチルアミノ}-メチ
ル]-ピロリジン-3-チオール;
N-(ナフタレン-1-イルメチル)-N-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメ
チル)-ペンタンアミド;
N-(ナフタレン-1-イルメチル)-N-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメ
チル)-2-(ピリジン-3-イル)-アセトアミド;
N-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-3-メチル-N-(2-ナフタレ
ン-1-イル-エチル)ブチルアミド;
N-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-N-(2-ナフタレン-1-イル
-エチル)-2-ピリジン-3-イル-アセトアミド;
(シス)-2-{[(3-メトキシプロピル)-(2-ナフタレン-1-イルエチル)アミノ]メチル
}-ピロリジン-3-チオール;
N-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-2-(4-メトキシ-フェニル
)-N-(2-ナフタレン-2-イル-エチル)-アセトアミド;
(シス)-2-{[(2-(4-メトキシフェニル)エチル)-(2-ナフタレン-1-イルエチル)ア
ミノ]メチル}-ピロリジン-3-チオール;
N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチ
ル)-3-メチル-ブチルアミド;
N-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-3,3-ジメチル-N-(2-ナフ
タレン-2-イル-エチル)ブチルアミド;
N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチ
ル)-3,3-ジメチル-ブチルアミド;
(2S)-2-{3-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-(3-メトキシ-プ
ロピル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
N-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-3,3-ジメチル-N-(2-ナフ
タレン-1-イル-エチル)-ブチルアミド;
(2S)-4-カルバモイル-2-({2-フェニル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2
-イルメチル)アミノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-酪酸;
(2S)-4-カルバモイル-2-({2-フェニル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2
-イルメチル)アミノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-酪酸メチルエステル;
2-(3-ピリジル)-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-(シス)-3-スルファニル-ピロリ
ジン-2-イルメチル)-アセトアミド;
6-メトキシ-1-オキシド-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-(シス)-3-スルファニル-
ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-(ナフチル-1-イル-エチル)-N-[(シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチ
ル)-チアゾール-5-カルボキサミド;
6-メトキシ-1-オキシド-N-(ナフチル-1-イル-エチル)-N-(シス)-3-スルファニル
-ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カルボキサミド;
(2S)-2-{2-ベンジル-4-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)アミ
ノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル-酪酸;
(2S)-2-(2-メトキシ-エチル)-1-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメ
チル)-4-ナフトイル-ピペラジン;及び
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)アミ
ノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-ベンジル-4-[(シス-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)アミ
ノ]-
ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-フェネチル-5-[(トランス)-3-スルファニル−ピロリジン-2-イルメチ
ルアミノベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-フェネチル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチルア
ミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(トランス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル
アミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-フェネチル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチルア
ミノ]-ベンゾイルアミノ)-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-(4-メチルフェニルエチニル)-4-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン
-2-イルメチルアミノ]-ベンゾイルアミノ)-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸イソプロピルエステル;
(2S)-2-{2-ベンジル-4-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-ベンジル-4-[(トランス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル
アミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(トランス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル
アミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-フェニル-5-[(トランス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル
アミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-フェニル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチルアミ
ノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-(4-メチルフェネチル)-4-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イ
ルメチルアミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル
;
(2S)-2-{2-(4-メチルフェニルエチニル)-4-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン
-2-イルメチルアミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸メチルエ
ステ
ル;
(2S)-2-(2-メトキシエチル)-1-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチ
ル)-4-(ナフト-1-オイル)ピペラジン;
(シス)-2-[N-イソバレリル-N-(2-(ナフト-1-イル)エチル)アミニオメチル]-3-ス
ルファニルピロリジン;
(シス)-2-[N-(3-ピリジルアセチル)-N-(2-(ナフト-1-イル)エチル)アミニオメチ
ル]-3-スルファニルピロリジン;
(シス)-2-[N-(1-オキシド-6-メトキシピリジン-3-イルカルボニル;
(シス)-2-[N-(チアゾール-5-イルカルボニル)-N-(ナフト-1-イル)エチル)アミニ
オメチル]-3-スルファニルピロリジン;
(2S)-2-[2-(4-フルオロフェニチル)-4-[(シス)-3-スルファニル)-ピロリジン-2-
イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸;
メチル(2S)-2-[2-(4-フルオロフェニチル)-4-[(シス)-3-スルファニルピロリジ
ン-2-イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸;及び
(2S)-2-[2-(4-フルオロフェニチル)-5-((2R,3R)-3-スルファニルピロリジン-2-
イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸。
本発明のさらに別の面によると、以下の個々の化合物又はその薬剤的に受容で
きる塩のいずれかを提供する:
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-ア
ミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-{2-ベンジル-5-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-ア
ミノ)ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-{2-フェニル-5-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-ア
ミノ)フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル
;
(2S)-2-{2-フェニル-5-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-ア
ミノ)フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-({3-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-アミノ]-ナフ
タレン-1-カルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステル;
(2S)-2-({3-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-アミノ]-ナフ
タレ
ン-1-カルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸;
(2S)-2-({3-フェニル-5-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-
アミノ)フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸メチルエステ
ル;
(2S)-2-({3-フェニル-5-[([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチル)-
アミノ)フェニルカルボニル}-アミノ)-4-メチルスルファニル酪酸;
(2R,3R)-2-[{N-(4-メトキシベンジル)-N-(ナフタレン-1-イルメチルアミノ}-メ
チル]-ピロリジン-3-チオール;
N-(ナフタレン-1-イルメチル)-N-([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメ
チル)-ペンタンアミド;
N-(ナフタレン-1-イルメチル)-N-([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメ
チル)-2-(ピリジン-3-イル)-アセトアミド;
N-((2R,3R)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-3-メチル-N-(2-ナフタ
レン-1-イル-エチル)ブチルアミド;
N-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-N-(2-ナフタレン-1-イ
ル-エチル)-2-ピリジン-3-イル-アセトアミド;
(2R,3R)-2-{[(3-メトキシプロピル)-(2-ナフタレン-1-イルエチル)アミノ]メチ
ル}-ピロリジン-3-チオール;
N-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-2-(4-メトキシ-フェニ
ル)-N-(2-ナフタレン-2-イル-エチル)-アセトアミド;
(2R,3R)-2-{[(2-(4-メトキシフェニル)エチル)-(2-ナフタレン-1-イルエチル)ア
ミノ]メチル}-ピロリジン-3-チオール;
N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメ
チル)-3-メチル-ブチルアミド;
N-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-3,3-ジメチル-N-(2-ナ
フタレン-2-イル-エチル)ブチルアミド;
N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメ
チル)-3,3-ジメチル-ブチルアミド;
(2S)-2-{3-[([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-(3-メトキシ-
プロピル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸;
N-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-3,3-ジメチル-N-(2-ナ
フタレン-2-イル-エチル)-ブチルアミド;
(2S)-4-カルバモイル-2-({2-フェニル-5-[([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン
-2-イルメチル)アミノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-酪酸;
(2S)-4-カルバモイル-2-({2-フェニル-5-[([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン
-2-イルメチル)アミノ]-フェニルカルボニル}-アミノ)-酪酸メチルエステル;
2-(3-ピリジル)-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-((2R,3R)-3-スルファニル-ピロ
リジン-2-イルメチル)-アセトアミド;
6-メトキシ-1-オキシド-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-((2R,3R)-3-スルファニ
ル-ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-(ナフチル-1-イル-エチル)-N-([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イルメ
チル)-チアゾール-5-カルボキサミド;
6-メトキシ-1-オキシド-N-(ナフチル-1-イル-エチル)-N-((2R,3R)-3-スルファニ
ル-ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カルボキサミド;
(2S)-2-{2-ベンジル-4-[([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)ア
ミノ]-ベンゾイルアミノ)-4-メチルスルファニル-酪酸;及び
(2S)-2-(2-メトキシ-エチル)-1-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメ
チル)-4-ナフトイル-ピペラジン。
本発明のさらに別の面では、以下の式Aのファルネシルタンパク質トランスフ
ェラーゼを阻害する化合物、又はその光学異性体、ジスルフィドもしくは薬剤的
に受容できる塩を提供する:
[式中、
XはO又はH2であり;
nは0又は1であり;
tは1から4であり;
R2'、R3'、R4'及びR5'は独立にH;C1-8アルキル、アルケニル、アルキニ
ル、アリール、ヘテロ環、−CO−NR6'R7'又は−CO−OR6'から選択され
、これらの基は非置換又は1以上の以下の基で置換されており:
1)非置換又は以下の基で置換されているアリール又はヘテロ環:
a.C1-4アルキル
b.(CH2)tOR6'
c.(CH2)tNR6'R7'
d.ハロゲン
2)C3-6シクロアルキル
3)OR6'
4)SR6'、S(O)R6'、SO2R6'
5)−NR6'R7'
6)−NR6'−CO−R7'
7)−NR6'−CO−R7'R8'
8)−O−CO−NR6'R7'
9)−O−CO−OR6'
10)−O−NR6'R7'
11)−SO2NR6'R7'
12)−NR6'−SO2R7'
13)−CO−R6'又は
14)−CO−OR6'
そして、R2'、R3'、R4'及びR5'のいずれの2つも同じ炭素原子に結合してい
てもよく;
Yはアリール又はヘテロ環であり、これらの基は非置換又は1以上の以下の基で
置換されており:
1)非置換又は以下の基で置換されているC1-4アルキル:
a.C1-4アルコキシ
b.NR6'R7'
c.C3-6シクロアルキル
d.アリール又はヘテロ環
e.HO
2)アリール又はヘテロ環
3)ハロゲン
4)OR6'
5)NR6'R7'
6)CN
7)NO2又は
8)CF3;
R6'、R7'及びR8'は独立にH;C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、ヘテロ
環、アリール、アロイル、ヘテロアロイル、アリールスルフォニル、ヘテロアリ
ールスルフォニルから選択され、これらの基は非置換又は以下の基で置換されて
おり:
a)C1-4アルコキシ
b)アリール又はヘテロ環
c)ハロゲン
d)HO
e)−CO−R9'
f)−SO2R9'又は
g)NRR1;
ここでR6'とR7'とは環中で結合していてもよく、そして
R7'とR8'とは環中で結合していてもよく;
R9'はC1-4アルキル又はアラルキルである]。
式Aの好ましいサブクラスは以下のものである:
[式中、R2'及びR4'は独立にハロゲンであり、YはC1-4アルキル、フェニル又
はO、N及びSから選択される3個までのヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘ
テロアリール環又は式−C1-4アルキルOR10'(式中、R10'はC1-4アルキル、
フェニル又はO、N及びSから選択される3個までのヘテロ原子を含む5もしく
は6員のヘテロアリール環である)である]。好ましいR10'はC1-4アルキルで
ある。
好ましいYはナフチルである。
式Aに関する本発明の面は、PCT特許出願WO95/00497(Graham e
t al.)に記載されている化合物を含む(全明細書及び特に請求項1を参照のこと
)。上記の式AはWO95/00497(Graham et al.)の式Aに基づいている
が、WO95/00497(Graham et al.)の式Aの左側にあるシステイン−
様部分が本発明では3−スルフィニルピロリジン部分で置換されている。式Aの
ピロリジン部分中の窒素及び/又はチオール原子は本明細書で記載する式IのR1
及びR2の基で置換されていてもよい。式Aの範囲にある化合物はWO95/0
0497(Graham et al.)に記載の合成法と本明細書の記載を組み合わせて当
業者によって製造できる。本発明のこの面における好ましい化合物はWO95/
00497(Graham et al.)の請求項6に記載されたものと対応するが、請求
項に記載のピペラジン環に結合した関連化合物の左側にあるHS−CH2−CH
(NH2)−CH−部分を、本発明では3−スルファニルピロリジン−2−イル
−メチル部分で置換している。好ましい化合物は(2S)-2-(2-メトキシ-エチル)-1
-([2R,3R]-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-4-ナフトイル-ピペラジ
ンであり、実施例7を参照されたい。
式I及びIII−Vの化合物は本発明の範囲内にある塩を形成することができ
る。薬剤的に受容できる塩が好ましいが、その他の塩も例えば化合物の単離又は
精製に有用である。
化合物が塩基性部分を含むときには、種々の無機酸又は有機酸、例えば塩酸、
臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸又はマレイン酸と薬剤
的に受容できる塩を形成する。化合物が酸性部分を含むときには、本発明の適切
な薬剤的に受容できる塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウ
ム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムもしくはマグネシウム塩、アンモ
ニウム塩又は薬剤的に受容できるカチオンを与える有機塩基との塩、例えばメチ
ルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン又はト
リス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。
溶媒和物、例えば水和物も本発明の範囲内のものであり、一般に知られた方法
で製造できる。
種々のプロドラッグが当業界で公知である。このようなプロドラッグの例とし
ては、以下の文献を参照されたい:
及び
プロドラッグの例には式Iの化合物のin vivoで加水分解しうるエステルを含
む。カルボキシ基を含む式Iの化合物のin vivoで加水分解しうるエステルは、
例えばヒト又は動物体内で加水分解されて親の酸(parent acid)を生じるよう
な薬剤的に受容できるエステルである。適切なカルボキシの薬剤的に受容できる
エステルには、メトキシメチルなどのC1-6アルコキシメチルエステル、ピバロ
イルオキシメチルなどのC1-6アルカノイルオキシメチルエステル、フタリジル
エステル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチルなどのC3-8シクロアル
コキシカルボニルオキシC1-6アルキルエステル;5−メチル−1,3−ジオキ
ソレン−2−オニルメチルなどの1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエス
テルを含み、本発明の化合物の全てのカルボキシ基で形成できる。
本発明の別の観点によれば、式Iに定義したような化合物又は上記した各々の
化合物を含み、薬剤的に受容できる希釈剤又はキャリアとともになる薬剤的組成
物が提供される。好ましい薬剤的組成物の剤型は、錠剤である。
本発明の組成物は、剤型において、経口使用に[例えば、錠剤、トローチ剤(lo
zenges)、硬質又は軟質カプセル剤、水性又は油性の懸濁剤、乳剤、分散可能な
粉剤又は顆粒剤、シロップ剤もしくはエリキシル剤として]、局所使用に(例えば
、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤もしくは水性又は油性の液剤又は懸濁剤として)
、吸引投与に(例えば、散剤又は液体エアゾール剤として)、吸入投与に(例えば
、微粉剤として)、もしくは非経口投与に(例えば、静脈内、筋肉内又は皮下投与
のための無菌の水性又は油性液剤として、もしくは直腸投与のための坐剤として
)、適するものとすることができる。
本発明の組成物は、本技術分野でよく知られた従来の薬剤的な賦形剤を用いる
ことにより得ることができる。それ故、経口使用を意図した組成物は、例えば、
着色剤、甘味剤、芳香剤、及び/又は保存剤の1又は2以上を含んでもよい。
好ましくは、錠剤の製するために薬剤的に受容できる賦形剤は、例えば、不活
性な希釈剤(ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウ
ム等)、造粒剤又は崩壊剤(コーンスターチ又はアルギン酸等)、結合(デンプン等
)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク等)、保存剤(p
−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピル等)、及び抗酸化剤(アスコルビン酸
等)を含む。錠剤製剤はコートされずに又はコートされて、胃腸管内におけるそ
れらの崩壊、及び続く有効成分の吸収を変化させ、もしくはそれらの安定性及び
/又は外観を改善する。いずれの場合においても、従来技術のコーティング剤及
び本技術分野で周知の手法が用いられる。
経口使用のための組成物は、不活性な固形希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、
リン酸カルシウム又はカオリン)とともに有効成分が混合されて成る硬質ゼラチ
ンカプセルの剤型において、もしくは水又は油(ピーナッツ油、液体パラフィン
又はオリーブ油等)とともに混合されて成る軟質ゼラチンカプセルである。
水性懸濁剤は、通常は、微細粉末の剤型において有効成分を含み、懸濁化剤(
カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガントゴ
ム及びアラビアゴム等);分散剤又は湿潤剤[レシチン、脂肪酸類とアルキレン
オキシドとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル)、エチ
レンオキシドと長鎖脂肪族アルコール類との縮合物(例えば、ヘプタデカエチレ
ンオキセタノール)、脂肪酸とヘキシトールとから得られる部分エステル類とエ
チレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレ
イン酸エステル)、脂肪酸と無水ヘキシトールとから得られる部分エステル類と
エチレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリエチレンソルビトールモノオレイン
酸エステル)等]の1又は2以上とともになる。水性懸濁剤はまた、1又は2以
上の保存剤(p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピル等)、抗酸化剤(アスコ
ルビン酸等)、着色剤、芳香剤及び/又は甘味剤(ショ糖、サッカリン又はアス
パルテーム等)を含む。
油性懸濁剤は、有効成分を植物油(落花生油、オリーブ油、ごま油又はココナ
ッツ油等)中又は鉱質油(液体パラフィン等)中に懸濁することにより製しても
よい。油性懸濁剤はまた、濃化剤(蜜ろう、硬質パラフィン又はセチルアルコー
ル等)を含んでもよい。好ましい経口製剤を供すべく、上に並べたような甘味剤
、及び芳香剤が添加されてもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗
酸化剤を添加することにより、保存してもよい。
水を加えることにより水性懸濁剤を調製するのに適当な散剤及び顆粒剤は、通
常は有効成分とともに、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1又は2以上の保存剤
を含む。好ましい分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、すでに上述したもので例示
される。甘味剤、芳香剤及び着色剤のようなさらなる賦形剤もまた、存在しても
よい。
本発明の薬剤的組成物はまた、水中油滴型(oil-in-water)乳剤の形状でもよ
い。油相は植物油(オリーブ油又は落花生油等)又は鉱質油(液体パラフィン等
)又はそれらのいずれかの混合物でもよい。好ましい乳化剤は、例えば、天然ゴ
ム(アラビアゴム、トラガントゴム等)、天然リン脂質(大豆、レシチン等)、脂肪
酸と無水の六糖類とから得られるエステル類又は部分エステル類(例えば、ソル
ビタンモノオレイン酸エステル)、及びエチレンオキシドと前記部分エステル類
の縮合物(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル等)でもよい
。また、乳剤は甘味剤、芳香剤及び保存剤を含んでもよい。
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤(グリセロール、プロピレングリコー
ル、ソルビトール、アスパルテーム又はショ糖等)とともに製してもよく、また
粘稠剤、保存剤、芳香剤及び/又は着色剤を含んでもよい。
薬剤的組成物は、無菌の注射用の水性又は油性懸濁剤の剤型でもよく、それら
は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤(これらは上述している)のうち、1
又は2以上を用いる既知の方法に従って製することができる。無菌注射の製剤は
また、無毒性の非経口投与用として受容できる希釈剤又は溶媒を用いた無菌注射
用液剤又は懸濁剤(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)とすることもできる
。
坐剤は、有効成分を適当な非刺激性の賦形剤(常温では固体であるが直腸温度
では液体であり、それ故、直腸内で溶解し、薬剤を放出する)と混合することに
より調製することができる。好ましい賦形剤は、例えば、ココアバター及びポリ
エチレングリコールを含む。
局所用製剤(クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤もしくは水性は又は油性の液剤又は
懸濁剤等)は、一般的には、当業者によく知られた従来の調剤法を用い、従来の
局所用として受容できる基剤又は希釈剤を有効成分と製することにより得ること
ができる。
吸入により投与するための組成物は、平均直径が、例えば、30μm又はそれ以
下の粒子を含む微細な散剤の剤型でもよい。散剤自体は、単独か、もしくは1又
は2以上の生理学的に受容できるキャリア(ラクトース等)により希釈されてい
るかの、いずれかの有効成分より成る。吸引用散剤は、次いで、有効成分[例え
ば、既知薬クロモグリコ酸ナトリウム(sodium cromoglycate)の吸引に用いら
れるようなターボ吸引装置(turbo-inhaler device)での使用には、1-50mg]を
含むカプセル中に保持するのが便宜である。
吸入による投与のための組成物は、有効成分を微細な固体を含むエアゾール又
は液滴のいずれかとして投与すべく調整された、従来の加圧エアゾール剤の剤型
でもよい。従来のエアゾール用加圧ガス(揮発性フッ化炭化水素又は炭化水素等
)を用いることができ、噴霧装置は従来技術により調整され、有効成分の計量さ
れた量を投与することができる。
調剤についてのさらなる情報を得るためには、Comprehensive Medical Chemis
tryの第5巻、第25.5章[コーウィン・ハンシュ(Corwin Hansch)編]、ペル
ガモン出版(Pergamon Press)1990年を参照すること。
単回投与剤となるよう1又は2以上の賦形剤と組み合わされた有効成分量は、
治療される宿主と特定の投与経路とに対応し、必然的に多様となるであろう。例
えば、ヒトへの経口投与を意図した製剤は、一般的には、適切かつ都合のよい量
の賦形剤(総組成物重量に対し、約5から約98パーセントで変化させることがで
きる)とともに製し、例えば、0.5mgから2gの有効成分を含むであろう。一回分
の投与量の形では、一般的には、約1mgから約500mgの有効成分を含むであろう。
投与経路及び投与剤型についてのさらなる情報を得るためには、Comprehensive
Medical Chemistryの第5巻、第25.3章[コーウィン・ハンシュ(Corwin Hans
ch)]、ペルガモン出版(Pergamon Press)1990年を参照すること。
治療又は予防の目的に応じた式Iの化合物の投与量は、症状の性質及び重症度
、動物又はヒトの年齢、性別ならびに投与経路により、当然に多様となるであろ
う。上述したとおり、式Iの化合物は、単独で又は部分的に、rasのファルネ
シル化によって生じる疾患又は医学的な状態の治療において有用である。
治療又は予防目的のための式Iの化合物の使用においては、分割して投与する
としても、例えば、体重kg当たり0.5mgから75mgの範囲内の日容量を受け取るよ
うに、一般的に投与されるであろう。非経口経路が用いられる場合は、一般的に
はより少ない容量が投与されるであろう。すなわち、例えば、静脈内投与のため
には、容量は、一般的には、例えば、体重kg当たり0.5mgから30mgの範囲で用い
られるであろう。同様に、吸入による投与においては、容量は、例えば、体重kg
当たり0.5mgから25mgの範囲で用いられるであろう。しかしながら経口投与が好
ましい。
本発明の化合物は、既知の制癌作用及び細胞傷害作用のある薬剤と組み合わせ
ることにおいて有用である場合がある。そのような組み合わせ産物の定められた
容量として製する場合は、本発明の化合物をここに示した容量範囲内で用い、ま
た、他の薬剤的に活性のある薬剤をその許容容量範囲内で用いる。組み合わせ製
剤が適切でない場合は、特定の順序での使用が検討される。
本発明の別の観点によれば、医薬として使用するための、式Iの化合物又はそ
の薬剤的に許容できる塩が供給される。
本発明の別の観点によれば、rasのファルネシル化を通じ媒介される疾患の
治療用医薬の製造に使用するための、式Iの化合物又はその薬剤的に許容できる
塩が供給される。
本発明の別の観点によれば、rasによって媒介される疾患、特に癌の治療方
法(そのような治療を必要とするほ乳類へ、式Iの化合物又はその薬剤的に許容
できる塩の効果的な量を投与することによる)が提供される。
疾患又は医学的な状態は、ファルネシル化されたrasにより、単独で又は部
分的に媒介される場合がある。興味の持たれる特別な癌は次のものを含む。:癌
腫(膀胱癌、乳癌、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子
宮頸部癌、甲状腺癌及び皮膚癌を含む);リンパ系の造血組織の癌(白血球増多症
性白血病、B細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫を含む);骨髄系の造血組織
の癌(慢性骨髄性白血病及び前骨髄性白血病を含む);間葉性源の腫瘍(繊維肉腫
及び横紋筋肉腫を含む);ならびに他の腫瘍(黒色腫、精上皮腫、tetrato上皮腫
、神経芽腫及び神経膠腫を含む)。
式Iの化合物は、特に、rasの変異が高い率で発生している腫瘍、例えば、
大腸癌、肺癌及び膵臓癌の治療において有効である。本発明の化合物の一つ(又
は組み合わせ)を含む組成物を投与することにより、ほ乳類宿主における腫瘍の
発生を低減する。
式Iの化合物はまた、癌以外のrasを通じてはたらくシグナル伝達と関連す
る疾患、例えば、神経性繊維腫の治療においても有用である。
式Iの化合物はまた、ras以外のCAAXを含むタンパク質(それらも又は
ルネシルタンパク質トランスフェラーゼ酵素により翻訳後修飾される。例えば、
核ラミン及びトランスデューシン。)と関連する疾患の治療においても有用であ
る。
式Iの化合物は、温血動物(ヒトを含む)に用いる治療薬として、主として有
用であるが、それらは又はルネシル化によるras活性化効果を抑制することが
望まれるいかなる場合にも役立つ。それ故、本発明の化合物はまた、新規な生物
学的試験の開発において、及び新規な薬理学的な薬剤の研究において使用するた
めの薬理学的な標準物質としても役立つ。
本発明の別の観点によれば、上で定義した式Iの化合物の製造方法であって、
式VIの化合物:
[式中、X8は、式Iの右側を表し、Pr1はH又はアミノ保護基であり、Pr2
はH又はチオ保護基であり、X8中のすべての官能基は保護されていてもよい(た
だし、少なくとも一つの保護基が存在する)]を脱保護し、そして所望する場合
にはこのようにして得られた生成物を薬剤的に受容できる塩に転換することを含
む上記方法を提供する。
式Iの範囲外の、4−スルファニルピロリジン部分(本発明の3−スルファニ
ルピロリジン部分と比較される)を有する化合物は、カルバペナム側鎖合成にお
ける中間体として知られている。この点について、化合物製造における手助けと
なる基礎的な合成の細部に関し、次の刊行物が参照できる。マツムラ、Heterocy
cles(1995)41、147-59;欧州特許出願 EP590885(ゼネカ(Zeneca);ベッツ(Betts
)他);欧州特許出願 EP592167(ゼネカ;シレット(Siret));欧州特許出願 EP5
62855(ゼネカ;ユング(Jung)他);国際特許出願 WO92/17480(インペリアル
ケミカル インダストリーズ(Imperial Chemical Industries);ベッツ他);
欧州特許出願 EP508682(インペリアル ケミカル インダストリーズ;ベッツ
他);欧州特許出願 EP280771(藤沢薬品;ムラタ他);及び国際特許出願 WO92/
17479(インペリアル ケミカル インダストリーズ;ベッツ他)。
本発明の化合物又はその塩は、そのような化合物又は構造的に関連のある化合
物の製造へ応用できるいかなるプロセスによっても、製造することができる。そ
のようなプロセスは、次に示すスキームによって説明される。そこでは、種々の
基は、別な方法で示した場合を除き、式Iのために定義した意のいずれかである
。官能基は慣用法で保護及び脱保護することができる。アミノ等の保護基及びカ
ルボン酸の保護基(同様に、調整及び脱保護の手段)の例は、グリーン(T.W.G
reene)、ウーツ(P.G.M.Wuts)、Protective Groups in Organic Synthesis,第2
版,、John Wiley & Sons,New York、1991を見よ。下記の実施例直前に示した、
用いられている省略表記に注意せよ。
問題の保護基を除去するために適切であるとして、刊行物に記載された、又は
熟練した化学者に知られた従来の方法のいずれかによって、保護基が除去され得
る。そのような方法は、分子内の他の基への傷害を最小にするような保護基除去
を達成するため、選択される。
便宜上、下に特定の保護基の例を掲げるが、それらの中で、「低級」とは、適
用される基が好ましくは1−4炭素を有することをいう。それらの例は網羅的で
はないことは理解されよう。保護基除去のための特定の例が下に与えられている
が、それらも同様に網羅的ではない。特には言及されていない保護基の使用及び
脱保護の方法は、もちろん本発明の範囲内にある。
カルボキシル基の保護基は、エステルを生成する脂肪族もしくはアル脂肪族(
araliphatic)アルコール、又はエステルを生成するシラノール(前記アルコー
ル又はシラノールは、好ましくは1−20炭素原子を含む)の基でよい。
カルボキシル基の保護基の例としては、直鎖又は分枝鎖の(1−12C)アル
キルグループ(例えば、イソプロピル、t−ブチル);低級アルコキシ低級アルキ
ル基(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、イソブトキシメチル);低級脂
肪族アシロキシ低級アルキル基(例えば、アセトキシメチル、プロピオニルオキ
シメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル);低級アルコキシ
カルボニルオキシ低級アルキル基(例えば、1−メトキシカルボニルオキシエチ
ル、1−エトキシカルボニルオキシエチル);アリール低級アルキル基(例えば、
p−メトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、ベン
ズヒドリル及びフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(例えば、トリメチ
ルシリル及びt−ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル低級ア
ルキル基(例えば、トリメチルシリルエチル);及び(2−6C)アルケニル基(
例えば、アリル及びビニルエチル)が挙げられる。
カルボキシル基の保護基の除去のために特に適切な方法は、例えば、酸、金属
又は酵素で触媒された加水分解を含む。
ヒドロキシ基の保護基の例としては、低級アルケニル基(例えば、アリル);低
級アルカノイル基(例えば、アセチル);低級アルコキシカルボニル基(例えば、
t−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル基(例えば、アリル
オキシカルボニル);アリール低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンゾイル
オキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリ低級アルキ
ル/アリールシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル
、t−ブチルジフェニルシリル);低級アルキル基(例えば、ベンジル);及びト
リアリール低級アルキルグループ(例えば、トリフェニルメチル)が挙げられる
。
アミノ基の保護基の例としては、ホルミル、アルアルキル基[例えば、ベンジ
ル及び置換ベンジル(例えば、p−メトキシベンジル、ニトロベンジル及び2,
4−ジメトキシベンジル)、並びにトリフェニルメチル];ジ−p−アニシルメチ
ル及びフリルメチル基;低級アルコキシカルボニル基(例えば、t−ブトキシカ
ルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル(例えば、アリルオキシカルボニル
);アリール低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル
、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリアルキルシリル(例えば、トリ
メチルシリル及びt−ブチルジメチルシリル);アルキリデン(例えば、メチリデ
ン);ベンジリデン及び置換ベンジリデン基が挙げられる。
ヒドロキシ基及びアミノ基の保護基除去のため特に適切な方法は、例えば、酸
、金属又は酵素で触媒された加水分解、又はo−ニトロベンジルオキシカルボニ
ルのような基に対しては光分解、又はシリル基に対してはフルオリドイオンを用
い
る分解を含む。
チオ基の保護基の例としては、アリール低級アルキル(例えば、ベンジル、p
−メトキシベンジル及びp−ニトロベンジル);ジフェニルメチル;トリフェニ
ルメチル;低級アルカノイル(例えば、アセチル);ベンゾイル低級アルコキシカ
ルボニル(例えば、tert−ブトキシカルボニル);ベンジルオキシカルボニル
;及びtert−ブチルが挙げられる。
アミド基の保護基の例としては、アルアルコキシメチル(例えば、ベンジルオ
キシメチル及び置換されたベンジルオキシメチル);アルコキシメチル(例えば、
メトキシメチル及びトリメチルシリルエトキシメチル);トリアルキル/アリー
ルシリル(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチル
ジフェニルシリル);トリアルキル/アリールシリルオキシメチル(例えば、t−
ブチルジメチルシリルオキシメチル、t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル
);4−アルコキシフェニル(例えば、4−メトキシフェニル);2,4−ジ(ア
ルコキシ)フェニル(例えば、2,4−ジメトキシフェニル);4−アルコキシベ
ンジル(例えば、4−メトキシベンジル);2,4−ジ(アルコキシ)ベンジル(
例えば、2,4−ジ(メトキシ)ベンジル);及びアルク−1−エニル(alk-1-en
yl)[例えば、アリル、ブト−1−エニル(but-1-enyl)及び置換されたビニル(
例えば、2−フェニルビニル)]が挙げられる。
アルアルコキシメチル基は、アミド基と適切なアルアルコキシメチルクロリド
との反応により、アミド基上に導入でき、触媒的水素化により除去できる。アル
コキシメチル、トリアルキル/アリールシリル、及びトリアルキル/シリルオキ
シメチル基は、アミドと適切な塩化物との反応により導入でき、酸;又はシリル
を含んだ基の場合はフルオリドイオンにより除去できる。アルコキシフェニル及
びアルコキシベンジル基は、簡便には、適当なハロゲン化物を用いたアリル化た
はアルキル化によって導入でき、硝酸セリウムアンモニウムを用いた酸化により
除去できる。
Lが、−CO−NR16−である式Iの化合物は、スキーム1中に概説されてい
るように、化合物1と2との間のアミド結合の形成により得ることができる。L
が−CO−NR16−T−である式Iの化合物は類似の手順により得ることができ
る。好ましいカップリング条件は以下を含む。
i)有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、メタノール)中、環境温度で、EF
DQを用いること。
ii)0.5−16時間、0℃から環境温度で、有機塩基(例えば、NMM、トリ
エチルアミン、DMAP)の存在下、触媒量のDMF、有機溶媒(例えば、CH2
Cl2)中での、オキサリルクロリドを用いること。
iii)有機溶媒(例えば、DMF、CH2Cl2)中での、EDC/HOBT
を用いること。
iv)有機塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、有機溶媒(例えば、
DMF、CH2Cl2)中での、EDC/HOBTを用いること。
v)標準条件下で混合無水反応を行うこと;例えば、有機塩基(例えば、NM
M、DMAP、トリエチルアミン)の存在下、有機溶媒(例えば、DMF、DM
A、ジクロロメタン)中でのイソプロピルクロロホルメート。
vi)標準条件下での活性エステルの経由;例えば、有機塩基(例えば、トリ
エチルアミン)の存在下、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での、ペンタ
フルオロフェニルエステル。
vii)標準条件下での酸クロリドの経由;例えば、チオニルクロリドを用い
、150分加熱後、有機溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下、有機塩基(例
えば、トリエチルアミン)で処理する。
Lが、−CH2−NR16−、−CH2O−又はCH2S−である式Iの化合物は
、スキーム2中の概説に従って得ることができる。LGは、脱離基(leaving gr
oup)(例えば、メシロキシ、トシロキシ、ハロゲン)であり、Xは、S、O、
NR16である。好ましいカップリング条件は以下を含む。
i)約65−150℃で、有機溶媒(例えば、THF、DMF、DMSO)中、無
機塩基(例えば、NaHCO3、NaH、K2CO3、ブチルリチウム)を用いる
こと。
ii)室温−150℃の範囲の温度で、有機溶媒(例えば、THF、ジクロロメ
タン、DMA、DMF)中、有機塩基(例えば、トリエチルアミン、DMAP)
を用いること。
iii)所望により相間移動触媒(例えば、テトラブチルアンモニウムブロミ
ド)の存在下、2相システムにおいて、水相(例えば、水)及び有機溶媒相(例
えば、ジクロロメタン)中、無機塩基(例えば、KOH、NaOH、K2CO3)
を用いること。
Lが、−CH=CR16−である式Iの化合物は、スキーム3中に概説されるウ
ィティッヒ(Wittig)反応を用いて得ることができる。好ましい反応条件は以下
を含む。
i)有機溶媒(例えば、THF、トルエン、DMSO)の存在下、所望により
水性溶媒を存在させ(2−相システム)、所望により、触媒錯体試薬[アルカリ金
属イオンを非極性溶媒、例えば、1,4,7,10,13−ペンタオキサシクロ
ペンタデカン(15−クラウン−5ともいう)又は1,4,7,10,13,1
6−ヘキサオキサシクロオクタデカン(18−クラウン−6ともいう)に可溶化
する]の存在下、塩基(例えば、炭酸カリウム、金属ヒドリド、金属アルコキシ
ド)を用いること。
Lが、−CH2−NR16−である式Iの化合物は、スキーム4中に概説される
ようにアルデヒド(2)と化合物4とのカップリング反応により得ることができ
る。好ましいカップリング条件は以下を含む。
i)適当な溶媒(例えば、エタノール及び酢酸)の存在下、還元剤(例えば、
NaCNBH3、BH3、水素加触媒、LiHBEt3、ジイソブチルアルミニウ
ムヒドリド、リチウムアルミニウムヒドリド、水素化ホウ素ナトリウム)を用い
ること。
アルデヒド(2)は、対応するアルコール(1)から、適当な条件下[室温で
、有機溶媒(例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン)の存在下、酸化剤(例
えば、TPAP,NMM−O)を使用する等]で得られる。他の好ましい酸化剤
は、酸化クロム、塩化クロム酸ピリジニウム、ニクロム酸ピリジニウム、ニクロ
ム酸ナトリウム、ピリジン三酸化硫黄複合物及び次亜塩素酸ナトリウムである。
アルデヒド(2)はまた、対応するエステル(1)から、適当な条件下、例え
ば、水素化ジイソブチル−アルミニウムで得られる。代替として、アルデヒド(
2)は、強還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウム)を用い適切なN−メ
トキ
シ−N−メチルカルボキサミドを還元することにより得ることもできる。
Lが、−CH2−NR16−T−、−CH2−O−T−又はCH2−S−T−であ
る式Iの化合物は、スキーム5中の概説[式中、LGは脱離基(例えば、メシル
オキシ、トシルオキシ、ハロゲン)であり、XはO、S、またはNR16を表す]
に従って得ることができる。適当はカップリング条件はスキーム2に関して上記
した通りである。所望により、スキーム5の化合物1及び2中のLG及びXHの
位置は、逆であってもよく、同じ最終生成物を与える。
Lが、−CH2−NR16−SO2−である式Iの化合物は、スキーム6中の概説
に従って得ることができる。化合物1及び2は下記の条件下でカップリングでき
る。
i)0−40℃の温度範囲で、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下、
有機塩基(例えば、ジ−イソプロピル−エチルアミン、トリエチルアミン、4−
メチルモルホリン)を用いること。
ii)0−150℃の温度範囲で、有機溶媒(例えば、DMF)の存在下、無機塩基
(炭酸カリウム)を用いること。
Lが、−CH2−NR16−CO−T−である式Iの化合物は、スキーム7中の
概説に従って得ることができる。化合物1及び2は、Lが−CH2−NR16−で
あるときとして上に示したような条件下でカップリングできる。
Lが、−CH2−CHR16−である式Iの化合物は、スキーム3中の化合物3
として表されるタイプの化合物の還元により、得ることができる。還元は、標準
の反応試薬を用いて、例えば、環境温度において、木炭上のパラジウムのような
触媒の存在下、水素化反応を用いることにより行う。
Lが、−CH2−NR16−、−CONR16−、−CH2N(R16)−T−又はC
H2N(R16)COT−(ここで、R16は、水素ではない)である式Iの化合物
は、R16が水素でである適切な式Iの化合物から、アシル化、アルキル化等によ
り適切なR16を導入することにより得ることができる。例えば、特定の実施例中
に開示したものと同様の方法を用いることによる。
スキーム1
スキーム2スキーム3スキーム4スキーム5
スキーム6
スキーム7
生物学的な試験は、以下による。ファルネシル化タンパク質転移酵素(FPT
)は、レイ(Ray)とロペス−ベルモント(Lopez-Belmonte)の方法(Ray KP an
d Lopez-Belmonte J(1992)Biochemical Society Transations 20 494-497)と
本質的に同様に、ヒトの胎盤から、硫酸アンモニウム分画の後、単式Q−セファ
ロース(登録商標)(ファルマシア)陰イオン交換クロマトグラフィにより、部分
精製した。FPTの基質はKras(CVIMのC−末端配列)とした。ヒトc
−Ki−ras−2 4Bの発癌性va112変異体のcDNAは、プラスミド
pSW11−1(ACTT)から得た。これは、次いで、適当な表現ベクター(
例えば、pIC147)のポリリンカー領域へクローニングされた。Krasは
、大腸菌株BL21中に発現された後、得られた。大腸菌におけるc−Ki−r
as−2 4B及びva112変異体の発現及び精製もまた、ロウェ(Lowe)ら
によって報告(Lowe PN et al.,J.Biol.Chem.(1991)266 1672-1678)されてい
る。
300nMのトリチウム標識ファルネシル化ピロホスフェート[デュポン/ニュー
イングランド ヌクレア(DuPont/New England Nuclear)]、120nMのras−C
VIM、50mMのトリスHCl pH8.0、5mMのMgCl2、10μMのZnCl2
、5mMのジチオセイトール(dithiotheitol)と化合物とを含む酵素と化合物との
反応物を、適切な濃度でDMSO(試験及びビヒクルコントロールにおける最終
濃度は、3%)に加えた。インキュベーションは、ポンプリアノ(Pompliano)
らが示した(Pompliano D Letal(1992)31 3800-3807)ように、37℃で20分行い
、酸エタノールによって停止した。沈殿したタンパク質を、次いでトムテック(
Tomtec)(登録商標)セル ハーベスタを用いグラスフィルターマット(B)上
に集め、ワラック(登録商標)1240 ベータプレート シンチレーション
カウンター中でトリチウム標識を測定した。
式Iの化合物の薬剤的特性は、予想されたとおり、構造の変化により様々であ
ったが、概して、式Iの化合物は上記の試験において、例えば、0.001-200μM
の範囲のIC50を有する。例を挙げると、ここでの実施例2の化合物のIC50は
約0.42μMである。生理学的に受容できない毒性は、試験した本発明の化合物の
有効投与量においては見られなかった。
本発明は、まさに、以下の非制限的な実施例中に明らかにされるであろう。実
施例中では、特に示さない限り、以下の通り。
(i)蒸発濃縮は、減圧下、ロータリーエバポレーションにより行い、処理操
作は、ろ過により固形残滓を除いた後に行った。
(ii)反応は環境温度、すなわち18−25℃の範囲内及びアルゴンのような不
活性ガス雰囲気下で行った。
(iii)カラムクロマトグラフィ(フラッシュ操作による)及び中圧液体ク
ロマトグラフィ(MPLC)は、メルク(E.Merck,Darmstadt,Germany)から
得られるメルク キーゼルゲル シリカ(Merck Kieselgel silica)(Art.9385)
、又はメルク リヒロプレップ(Merck Lichroprep)RP−18(Art.9303)
逆相シリカを用いて行った。
(iv)収率は、実例としてのみ与えられるものであり、必ずしも最大到達可
能値ではない。
(v)式Iの化合物の最終生産物は、ミクロ解析を十分に行い、それらの構造
は、核磁気共鳴(NMR)及びマススペクトル技術によって確認した。ケミカル
シフト値はδスケールで測定した。次の略語が用いられている。S、シングレッ
ト;d、ダブレット;t又はtr、トリプレット;m、マルチプレット;br、
ブロード。
(vi)中間体は、概して完全に特定されているわげではなく、薄層クロマト
グラフィ、赤外線(IR)又はNMR解析によって純度を評価した。
(vii)次の略語が用いられている。
BOC tert−ブトキシカルボニル
DCCI 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
DMAP 4−ジメチル−アミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイ
ミド
EEDQ 2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノ
リン
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
NMM N−メチルモルホリン
NMM−O 4−メチルモルホリン−N−オキシド
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMSI ヨウ化トリメチルシリル
TPAP テトラプロピルアンモニウムペルルテネート
スキーム中、分かり易くすると考えられる水素原子のみ示されていることに注
意せよ(すなわち、すべての水素原子が示されているのではない)。
実施例1:3-メチル-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-(シス)-3-スルファニルピロ
リジン-2-イルメチル)ブチルアミド(化合物14a)
1.ジクロロメタン(2ml)中の出発物質3-メチル-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-
N-(シス)-1-BOC-3-トリチルスルファニルピロリジン-2-イルメチル)ブチルア
ミド(化合物12a;0.265g)、トリエチルシラン(0.25ml)溶液をトリフルオロ
酢酸(16ml)で処理して、混合物をアルゴン雰囲気下に周囲温度で30分攪拌し
、減圧蒸留して溶媒の大半を除去した。残渣を酢酸エチル(2ml)中に取り、
1.0Mのエーテル性HClで処理した。酢酸エチルを留去し、ジエチルエーテル
(5ml)とイソヘキサン(20ml)を加えた。得られたゴム状固体は徐々に固化し
、これを遠心で単離し、さらにエーテル(5ml)/イソヘキサン(20ml)で洗浄
し、高真空下で乾燥すると標題化合物力泊色固体として得られた(0.125g)。
微量分析(1.0HCl,0.5H2O,0.14エチルエーテル)
理論値(%): C65.2,H7.89,N6.19
実測値(%): C65.2,H8.00,N6.0
出発物質は以下のようにして製造した。
2.Liebigs Ann.Chem.1981,1073-1088に記載の経路によって、メチル3-ブロ
モ-1-ピロリン-2-カルボキシレート(化合物1)から3-トリチルスルファニル-
ピロリジン-2-カルボン酸(化合物4)を製造した。簡単に述べると、化合物1
の2-カルボキシレート基のメチルエステルを水酸化ナトリウム水溶液を用いて0
−5℃でカルボン酸のナトリウム塩に変換し;次に3-ブロモジヒドロピロールナ
トリウムを、DMEと水酸化ナトリウム水溶液の存在下、0−5℃でトリフ
ェニルメチルメルカプタンを用いて3-トリチルスルファニル-1-ピロリン-2-カル
ボン酸ナトリウムに変換し;次いで化合物(4)を水素化硼素ナトリウムを用い
て形成し、1M HClでpHを5−6に調整した。
ジクロロメタン(3ml)中に化合物(4)(0.39g)とトリエチルアミン(0.3
1ml)を入れ、0℃に冷却した攪拌混合物にアルゴン雰囲気下で、ジ-tert-ブチ
ルジカルボネート(0.24g)を加えた。混合物を周囲温度まで温め、60時間攪拌
した。次いでこれを1.0Mクエン酸水溶液、ブラインで洗浄して乾燥した。溶
媒を減圧で留去すると1-BOC-3-トリチルスルファニル-ピロリジン-2-カルボ
ン酸(化合物5)が泡状固体として得られた(0.446g)。
3.ジクロロメタン(10ml)中の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.142g)、E
DC(0.192g)、4-メチルモルホリン(0.24ml)及び化合物5(0.446g)の混合物
を5℃で20分攪拌し、次いで周囲温度で16時間攪拌した。混合物を1.0M
クエン酸水溶液、ブラインで洗浄して乾燥し、溶媒を減圧で留去した。生成物を
酢酸エチル/イソヘキサン(15:85)で溶離するカラムクロマトグラフィー
で精製すると1-(1-BOC-3-トリチルスルファニル-ピロリジン-2-カルボニル)
ベンゾトリアゾール(化合物6)が泡状固体として得られた(0.193g)。
4.ジクロロメタン(2ml)中の化合物6(0.087g)、N,O-ジメチルヒドロキシル
アミンHCl(0.028g)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.039g)の混合物を周囲
温度で16時間攪拌した。さらにN,O-ジメチルヒドロキシルアミン(0.056g)及
びDMAP(0.078g)を加えて攪拌をさらに16時間続けた。反応物を濾過し、
濾液を直接クロマトグラフィーカラムに適用し、酢酸エチル/イソヘキサン(1
5:85)で溶離すると、(シス)-1-BOC-3-トリチルスルファニル-N-メトキ
シ-N-メチルピロリジン-2-カルボキサミド(化合物8)が白色固体として得られ
(0.06g)(トランス立体異性体である化合物7も形成されることに注意)、カラ
ムクロマトグラフィーで単離した。トランス異性体はシス体の後からカラムから
溶出した。
5.ジエチルエーテル(1.0M)中のリチウムアルミニウムヒドリド(7.0ml)溶
液を−10℃に冷却したTHF(35ml)中の化合物8(3.35g)の攪拌溶液にア
ルゴン雰囲気下に加えた。添加終了後に反応物を+5℃まで10分温め、次いで
−35℃に冷却した。硫酸水素カリウム(水6ml中に1.72g)溶液を注意深く加え
て混合物を周囲温度まで温め、さらに1時間攪拌した。次いで珪藻土(CeliteTM
)で濾過し、濾液をジエチルエーテル(50ml)で希釈した。有機溶液を10%ク
エン酸水溶液で洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄、乾燥
し、減圧で溶媒を除去すると(シス)-1-BOC-3-トリチルスルファニル-ピロリ
ジン-2-カルボアルデヒド(化合物9)が泡状固体として得られた(3.04g)。
6.ジクロロメタン(5ml)中の化合物9(0.5g)を、−20℃に冷却したジク
ロロメタン(20ml)中の2,2-ジフェニルエチルアミン(0.25g)、粉末4Aモレキ
ュラーシーブ(1.0g)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.27g
)の撹拌混合物にアルゴン雰囲気下に加えた。反応混合物を周囲温度まで温め、
さらに18時間撹拌した。混合物を珪藻土で濾過し、濾液を飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液、ブラインで洗浄した。有機溶液を乾燥し、溶媒を減圧で留去した。残
渣を酢酸エチル/イソヘキサン(20:80)、次に(30:70)で溶離するシ
リカのカラムクロマトグラフィーで精製すると(シス)-1-BOC-N-(2,2-ジフェ
ニルエチル)-3-トリチルスルファニル-ピロリジン-2-イル-メチルアミン(化合
物10)が泡状固体として得られた(0.547g)。
7.ジクロロメタン(10ml)中の塩化イソバレリル(0.05ml)、化合物10(0.25g)
及びトリエチルアミン(0.11ml)の混合物を周囲温度、アルゴン雰囲気下に3時
間撹拌した。反応物を直接シリカクロマトグラフィーカラムにかけて、酢酸エチ
ル/イソヘキサン(15:85)、次に(17:83)及び(20:80)で溶離
すると所望の出発物質(化合物12a)が白色固体として得られた(0.292g)。
実施例2:2-(3-ピリジル)-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-(シス)-3-スルファニ
ルピロリジン-2-イルメチル)アセトアミド(化合物14(b))
化合物14(b)を実施例1の化合物14(a)の製造で記載したのと同様の
方法で製造した。微量分析(2.0HCl,1.5H2O)
理論値(%): C58.8,H6.45,N7.91
実測値(%): C58.6,H6.10,N7.70
出発物質である2-(3-ピリジル)-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-(シス)-1-BO
C-3-トリチルスルファニルピロリジン-2-イルメチル)アセトアミド(化合物1
2(b))は以下のようにして製造した:
ジクロロメタン(12ml)中のHOBT(0.076g)、EDC(0.103g)、4-メチルモ
ルホリン(0.23ml)及び化合物10(実施例1を参照のこと;0.269g)及び3-ピ
リジル酢酸(0.093g)の混合物を5℃で15分撹拌し、次いで周囲温度で20時
間撹拌した。溶液をシリカクロマトグラフィーカラムにかけて、酢酸エチル/イ
ソヘキサン(30:70)、次に(60:40)、(90:10)、次に酢酸エチルで
溶離すると化合物12bが白色固体として得られた(0.217g)。
実施例3:6-メトキシ-1-オキシド-N-(2,2-ジフェニル-エチル)-N-((シス)-3-ス
ルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カルボキサミド(化合物1
4(c))
化合物14(c)を実施例1の化合物14(a)の製造で記載したのと同様の
方法で製造した。
微量分析(1.0HCl,1.0H2O)
理論値(%): C60.0,H6.59,N8.08
実測値(%): C59.6,H6.00,N7.80
出発物質である6-メトキシ-1-オキシド-N-(2,2-ジフェニル-エテル)-N-((シス
)-1-BOC-3-トリチルスルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カ
ルボキサミド(化合物12(c))は、化合物10(実施例1参照)から、適当な
中間体を用いて化合物12(b)(実施例2)で記載した方法によって製造した
。
実施例4:
a)N-(ナフト-1-イル-エチル)-N-((シス)-3-スルファニルピロリジン-2-イル
メチル)-チアゾール-5-カルボキサミド(化合物15(a));及び
b)6-メトキシ-1-オキシド-N-(ナフト-1-イル-エチル)-N-((シス)-3-スルファ
ニル-ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カルボキサミド(化合物15(b)
)
化合物15(a)と化合物15(b)を実施例1の化合物14(a)の製造で
記載したのと同様の方法で製造した。化合物15(a)と15(b)の出発物質
は、化合物9(実施例1)から、適当な中間体を用いて実施例2及び3において
化合物12(b)と12(c)の合成で記載した方法によって製造した。簡単に
述べると、実施例1で番号をつけた工程について以下の試薬を用いた。
工程6:1-ナフチルアミン/トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム/モレキュ
ラーシーブ/−20℃
工程7:チアゾール-5-カルボン酸(15(a)について)又は6-メトキシニコチ
ン酸N-オキシド(15(b)について)/EDC/HOBT/4-メチルモルホリ
ン
性状データ:
化合物15(a):
微量分析(2.0HCl,0.5H2O)
理論値(%): C52.6,H5.47,N8.76
実測値(%): C52.7,H5.3, N8.5
化合物15(b):
微量分析(1.0HCl,1.5H2O,0.12エチルエーテル)
理論値(%): C57.7,H6.36,N8.24
実測値(%): C57.8,H6.0, N8.2
工程6(実施例1)と均等な反応の生成物(化合物11)である(シス)-1-BO
C-N-(ナフト-1-エチル)-3-トリチルスルファニルピロリジン-2-イルメチルアミ
ン:
化合物15(a)の合成について実施例1の工程7と均等な反応の生成物である
N-(ナフト-1-イル-エチル)-N-((シス)-1-BOC-3-トリチルスルファニルピロリ
ジン-2-イルメチル)-チアゾール-5-カルボキサミド(化合物13(a)):
化合物15(b)の合成について実施例1の工程7と均等な反応の生成物である
6-メトキシ-1-オキシド-N-(ナフチル-1-イル-エチル)-N-((シス)-1-BOC-3-ト
リチルスルファニル-ピロリジン-2-イルメチル)-ピリジン-3-カルボキサミド(
化合物13(b)):
実施例5:(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イル
メチルアミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸
化合物20を化合物19から標準法で製造した。簡単に述べると、メタノール
中の化合物19の撹拌溶液に室温でアルゴン下に2N水酸化ナトリウム水溶液を
加えた。18時間後に反応混合物を濃縮してメタノールを除去した。得られる残
渣を蒸留水(2.0ml)に溶解し、2N HClでpH3に酸性化した。得られる
溶液を0−40%のメタノール/蒸留水のグラジエントで溶離する逆相HPLC
(Dynamax C18,8μ prepcolumn)で精製した。生成物の分画を濃縮し、所望の生
成物を標準法で精製した。 出発物質は以下のようにして製造した:
イソプロピル(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-
イルメチルアミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニルブチレート(化合
物19)を実施例1,工程1と同様の方法を用いて化合物18から製造した。
イソプロピル(2S)-2-{2-ベンジル-5-[(シス)-3-トリチルスルファニル-ピロリ
ジン-2-イルメチルアミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニルブチレー
ト(化合物18)は、標準法により化合物9(実施例1)をイソプロピル(2S)-2-(
5-アミノ-2-ベンジルベンゾイルアミノ)-4-メチルスルファニルブチレート(化
合物17)と反応させて製造した。簡単に述べると、イソプロピルアルコール中
に化合物9と17を含む溶液を粉末4Åのモレキュラーシーブで処理し、得られ
る懸濁物を室温で1時間撹拌した。次いで酢酸と水素化シアノホウ素ナトリウム
を加えて反応混合物を室温で18時間撹拌した。次いで反応混合物を酢酸エチル
(50ml)と飽和硫酸水素ナトリウム(水溶液)(50ml)に分配した。水相を酢酸エ
チル(50ml)で洗浄し、集めた有機相をMgSO4で乾燥、濾過して濃縮すると
無色ゴム状物が得られた。これをシリカのフラッシュクロマトグラフィー(Varia
n Mega Bond Elut Column)にかけて、25−40%の酢酸エチル/イソヘキサン
のグラジエントで溶離すると化合物18が得られた。
化合物17は以下のようにして製造した:
メタノール(500ml)中のメチル(2S)-2-(2-ベンジル-5-ニトロ-ベンゾイルアミ
ノ)-4-メチルスルファニルブチレート(化合物34(d))(25.24g,62.78mmol)
溶液を2N水酸化ナトリウム水溶液(35ml,70mmol)で処理した。得られる溶液
を次に蒸発乾燥し、固形物をエチルエーテル(200ml)と水(500ml)に分配した
。次いで水性物質を2N HClでpH2に酸性化し、酢酸エチルで抽出した(2
x250ml)。有機相を集めて水(2x100ml)、ブライン(100ml)で洗浄、相分離紙(p
hase separating paper)で濾過、留去すると(2S)-2-(2-ベンジル-5-ニトロ-ベ
ンゾイルアミノ)-4-メチルスルファニル酪酸(化合物36(a))が白色固体とし
て得られた:23.57g(96.8%)。
IPA(500ml)中の化合物36a(19.2g,50mmol)の撹拌懸濁液に塩化スル
フリル(5.0ml,62mmol)を加えた。得られる混合物を18時間加熱還流した。次に
反応混合物を1/5容量まで留去し、酢酸エチル(1L)と飽和硫酸水素ナトリウ
ム水溶液(500ml)に分配した。有機相を水(200ml)、ブライン(200ml)で洗浄
、相分離紙で濾過、留去するとイソプロピル(2S)-2-(2-ベンジル-5-ニトロ-ベン
ゾイルアミノ)-4-メチルスルファニルブチレート(化合物36(b))が白色固体
として得られた:21.25g(100%)。
酢酸エチル(50ml)中の化合物36(b)(2.24mmol)の撹拌溶液にSnCl2
.2H2O(2.5g,11.08mmol)を加えて、得られる混合物を18時間加熱還流
した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、0.880 SG NH3(水性)
を滴下してpH8にした。得られる沈殿を珪藻土で濾過して除去した。濾液を留
去し、クロマトグラフィー(Mega Bond Elut,Silica)にかけ、ジクロロメタンと
次いで50%酢酸エチル/イソヘキサンで溶離すると所望のアニリン化合物(1
7)が得られた。
実施例6:(2S)-2-{2-ベンジル-4-[(シス)-3-スルファニル-ピロリジン-2-イル
メチルアミノ]-ベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニル酪酸 化合物24は実施例5に記載の方法により、化合物9(実施例1)とメチル(2
S)-2-(4-アミノ-2-ベンジル-ベンゾイルアミノ)-4-メチルスルファニル-ブチレ
ート(化合物21)から製造した。
微量分析(C24H31N3S203.1.55TFAとして)
理論値(%): C50.0,H5.04,N6.46
実測値(%): C49.9,H5.1, N6.4
化合物24の製造に用いた化合物21は以下のようにして製造した。
重クロム酸ナトリウム・二水和物(151g)を氷酢酸(575ml)に加えて、次いで2
-ブロモ-4-ニトロ-トルエン(49.7g)を加えた。この溶液に、硫酸(175ml)を
75−85℃の温度が維持できる速度で滴下して加えた。混合物を100−11
0℃で3時間加熱し、50℃に冷却して氷(1リットル)中に注いだ。水相を酢
酸エチルで抽出し、有機相を水酸化ナトリウム水溶液で再度抽出し、得られる
塩基性水相を濃塩酸で酸性にした。沈殿する固体を濾取して水で洗浄し、風乾す
ると2-ブロモ-4-ニトロ-安息香酸(化合物26)15.72g(28%)を白色固体として
得た。
メタノール中の化合物26をSO2Cl2で処理して得られる溶液を18時間加
熱還流した。反応混合物を留去しシリカ(Merck,9385)に予め吸着させ、10
%酢酸エチル/イソヘキサンで溶離するクロマトグラフィーで精製した。適当な
分画を集めて蒸発させるとメチル2-ブロモ-4-ニトロ-ベンゾエート(化合物27
)が得られた。
THF(10ml)中の臭化ベンジル(2.0ml,17.3mmol)溶液を、Knochel(J.O.C.
53,2392,1988)に記載の方法で予め活性化しておいたTHF(10ml)中の亜鉛末
(1.7g,26mmol)の撹拌懸濁液中に0℃で滴下した。混合物を放置して周囲温度
まで温め、3時間撹拌した。ベンジル亜鉛試薬を含む上清のアリコート(6.5mmo
l)を、THF(10ml)中の化合物27(3.85mmol)とPd(dba)3(0.0385
mmol)の撹拌溶液に周囲温度でアルゴン下に加えた。1時間後にベンジル亜鉛試
薬の2回目のアリコート(6.5mmol)を加えた。得られる黒色の反応混合物を2
N HCl(250ml)で反応停止し、酢酸エチル(2x100ml)で抽出した。有機相
を集めて水(50ml)とブライン(50ml)で洗浄し、相分離紙で濾過して留去する
ことによりオレンジ色のゴム状物を得た。これをシリカ(Merck,9385)のクロマト
グラフィーにかけて、10%酢酸エチル/イソヘキサンで溶離することによって
精製するとメチル2-ベンジル-4-ニトロ-安息香酸(化合物28)が得られた。
2N水酸化ナトリウム水溶液(2.0ml,4mmol)を、メタノール(10ml)中の化
合物28(2.06mmol)溶液に周囲温度で加えた。2時間後に反応混合物を蒸発さ
せてメタノールを除去し、エチルエーテル(20ml)と2N水酸化ナトリウム水溶
液(20ml)に分配した。水相を2N HClでpH2−3に酸性化し、酢酸エチ
ル(3x20ml)で抽出した。有機相を集めて水(20ml)とブライン(20ml)で洗浄
、相分離紙で濾過、留去することにより2-ベンジル-4-ニトロ-安息香酸(化
合物29)を得た。
化合物29(2.45mmol)をL-メチオニンメチルエステル塩酸塩(540mg,2.7mmo
l)とカップリングすると、メチル2-[(2-ベンジル-4-ニトロ-ベンゾイル)アミノ
]-4-メチルスルファニル-ブチレート(化合物30)が得られた。
酢酸エチル(50ml)中の化合物30(2.24mmol)の撹拌溶液にSnCl2.2H2
O(2.5g,11.08mmol)を加えて、得られる混合物を18時間加熱還流した。反
応混合物を周囲温度まで冷却し、0.880SG NH3(水性)を滴下してp
H8とした。得られる沈殿を珪藻土(CeliteTM)(545)で濾過して除いた。次いで
濾液を蒸発させ、クロマトグラフィー(Mega Bond Elut,Silica)にかけて、ジ
クロロメタンと次に50%酢酸エチル/イソヘキサンで溶離して精製すると所望
の化合物21が得られた。
実施例7:(2S)-2-(2-メトキシ-エチル)-1-((シス)-3-スルファニル-ピロリジン
-2-イルメチル)-4-ナフトイル-ピペラジン
化合物32は実施例1、工程1と同様な方法を用いて、出発物質である(2S)-2
-(2-メトキシ-エチル)-1-[シス]-1-BOC-3-トリチルスルファニル-ピロリジン-2-
イルメチル)-4-ナフトイル-ピペラジン(化合物31)から合成した。
微量分析(2.0HCl,5H2O,0.15エチルエーテル)
理論値(%): C54.0,H7.20,N8.01
実測値(%): C54.3,H7.00,N8.00
出発物質は以下のようにして製造した。化合物31を化合物10の製造につい
て実施例1、工程6で記載した方法により、化合物9(実施例1参照)と(3S)-3
-(2-メトキシ-エチル)-1-ナフトイル-ピペラジン(化合物16)から製造した。
化合物16は国際特許出願WO95/00497(Merck;Graham et al.)に記
載の方法と類似の方法を用いて製造した。該出願の化合物VIII、反応式2及
び実施例7、工程Eに記載の2,3-ジメチル安息香酸をナフトイル酸に置き換えて
実施した。
実施例8
以下の表に記載の化合物を実施例1、パラグラフ1に記載したのと同様の方法
を用いて適当なトリチルスルファニル化合物から製造した。
化合物番号 R
15c イソバレリル
15d 3-ピリジルアセチル
15e 1-オキシド-6-メトキシピリジン-3-イルカルボニル
15f チアゾール-5-イルカルボニル
性状データ:
化合物15c:
微量分析(1.0HCl)
理論値(%): C64.90,H7.68,N6.88,S7.88
実測値(%): C65.20,H7.50,N6.90,S7.90
化合物15d:
微量分析(2.0HCl,2.0H2O)
理論値(%): C56.00,H6.46,N8.17,S6.23
実測値(%): C55.70,H6.30,N8.20,S6.00
化合物15e:
微量分析(1.0HCl,1.20H2O)
理論値(%): C58.20,H6.18,N8.48,S6.47
実測値(%): C57.80,H5.80,N8.50,S6.50
化合物15f:
微量分析(2.0HCl)
理論値(%): C53.60,H5.36,N8.93,S13.60
実測値(%): C54.00,H5.50,N9.00,S13.30
出発物質は以下のようにして製造した:
化合物12aの製造で記載したのと同様の方法を用いて、ただしパラグラフ6の
2,2-ジフェニルエチルアミンの代わりに1-ナフチルエチルアミンを用いて、化合
物7からトランス-1-BOC-3-トリチルスルファニルピロリジン-2.カルボアルデヒ
ド(化合物9a)とトランス-N-(ナフト-1-イルエチル)-1-BOC-3-トリチルスル
ファニルピロリジン-2-イルメチルアミド(化合物11a)を経由して化合物1
3cを製造した。
性状データ:
化合物7:化合物9a:
化合物11a:
化合物13c:
化合物13dから13fは適当な“酸”を用いて、化合物15a(実施例4)の
製造で記載した方法により化合物11aから製造した。
性状データ:
化合物13d:
化合物13e:
化合物13f:
実施例9:メチル(2S)-2-[2-フェニル-5-(トランス-3-スルファニル-ピロリジン
-2-イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニルブチレート(化
合物37)メチル(2S)-2-[2-フェニル-5-(トランス-3-スルファニル-ピロリジン-2-イルメ
チルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニルブチレート(化合物37
)を、実施例1、工程1と同様の方法により、メチル(2S)-2-[2-フェニル-5-(ト
ランス-3-トリチルスルファニル-ピロリジン-2-イルメチルアミノ)ベンゾイルア
ミノ]-4-メチルスルファニルブチレート(化合物33)から製造した。
化合物37:
微量分析(2.0HCl,0.6H2O)
理論値(%): C51.70,H6.18,N7.54,S11.50
実測値(%): C51.80,H5.90,N7.90,S11.60
化合物33は、適当な”アニリソ”、溶媒としてはメタノール、そして3Åの粉
末シーブを用いて、化合物18(実施例5)の製造で記載した方法により化合物
9aから製造した。
化合物33:
実施例10:メチル(2S)-2-[2-ベンジル-4-((トランス)-3-スルファニルピロリ
ジン-2-イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニルブチレート
(化合物38)
メチル(2S)-2-[2-ベンジル-4-((トランス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメ
チルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニルブチレート(化合物38
)を実施例1、工程1と同様の方法により、メチル(2S)-2-[2-ベンジル-4-(トラ
ンス-1-tert-ブトキシカルボニル-3-トリチルスルファニルピロリジン-2-イルメ
チルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニルブチレートから製造した
。
化合物38:
微量分析(2.0HCl)
理論値(%): C53.60,H6.29,N7.50,S11.44
実測値(%): C53.40,H6.70,N7.60,S11.40
化合物34は、適当なアニリンを用いて、化合物18(実施例5)の製造で記載
した方法により化合物9aから製造した。
化合物34:
実施例11:(2S)-2-[2-ベンジル-5-((トランス)-3-スルファニルピロリジン-2-
イルメチルアミノ)-ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸(化合物41
)及び(2S)-2-[2-フェネチル-5-((トランス)-3-スルファニルピロリジン-2-イル
メチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸(化合物42)
(2S)-2-[2-ベンジル-5-((トランス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルア
ミノ)-ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸(化合物41)及び(2S)-2
-[2-フェネチル-5-((トランス)-3-スルファニルピロリジン-2-イルメチルアミノ
)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪酸(化合物42)は適当なメチル
エステル(それぞれ化合物39及び40)から、化合物27(実施例6)の製造
に用いたのと同様な方法で製造した。
化合物41:
微量分析(2.00HCl,1.00NaCl)
理論値(%): C47.60,H5.50,N6.95
実測値(%): C47.3, H5.10,N6.70
化合物42:
微量分析(2.00HCl,0.25NaCl)
理論値(%): C52.20,H6.13,N7.31
実測値(%): C52.20,H6.00,N7.10
化合物39及び40は化合物37(実施例10)の製造に用いたのと同様の方法
によって、化合物9aからトリチル保護されたスルファニル化合物(それぞれ化
合物35及び36)を経由して製造した。
化合物35:
化合物39:
微量分析(2.00HCl,0.75H2O)
理論値(%): C52.30,H6.41,N7.32,S11.17
実測値(%): C52.40,H6.40,N7.50,S11.10
化合物36:
化合物40:
微量分析(2.00HCl,0.50H2O)
理論値(%): C53.5,H6.56,N7.20,S10.99
実測値(%): C53.5,H6.30,N7.20,S10.90
化合物36の製造に用いたメチル(2S)-2-(2-フェネチル-5-アミノベンゾイル
ア
ミノ)-4-メチルスルファニルブチレート(化合物79)は以下のようにして製造
した:
メチル2-ブロモ-5-ニトロベンゾエート(10g)、フェニルアセチレン(4.2ml)、ト
リエチルアミン(100ml)、ヨウ化銅(0.4g)、ジメチルホルムアミド(200ml)及び塩
化ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)(1.35g)の混合物を周囲温
度でアルゴン雰囲気下に1時間撹拌した。溶媒を減圧で除去して残渣を1N塩酸
(2L)で処理し、酢酸エチル(2x300ml)で抽出した。有機抽出物を集めて飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)、水(3x100ml)及びブライン(100ml)で洗浄し
、相分離紙で濾過し、蒸発乾固した。残渣をシリカのフラッシュカラムクロマト
グラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサン(グラジエント:0−10%)で溶
離するとメチル2-(2-フェニルエチニル)-5-ニトロベンゾエート(化合物76)
が黄色固体として得られた(9.98g)。
化合物76:
化合物76(9.4g)、10%Pd(0.94g)及び酢酸エチル(1L)の混合物を水素
雰囲気下、1バールの圧力で16時間撹拌した。混合物をセライトパッドで濾過
し、濾液を減圧留去するとメチル2-フェネチル-5-アミノベンゾエート(化合物
77)がオイルとして得られた(8.5g)。
化合物77:
化合物77(8.5g)、2N水酸化ナトリウム水溶液(50ml)及びメタノール(100m
l)の混合物を周囲温度で18時間撹拌し、さらに2時間加熱還流した。混合物
を冷却し減圧で留去した。生成物を水(1L)に再溶解しジエチルエーテル(250m
l)で洗浄した。水相を氷酢酸でpH5−6に酸性化した。得られる沈殿を濾過
によって単離し、60℃、真空で乾燥すると粉末が得られ、これをトルエン(3x
50ml)と共沸して高真空下で乾燥すると5-アミノ-2-フェネチル安息香酸(化合
物78)(8.0g)が得られた。
化合物78:
ジクロロメタン(250ml)中のL-メチオニンメチルエステルHCl(12.41g)、化
合物78(5g)、EDC(4.77g)及びDMAP(13.61g)の混合物を周囲温度で
3時間撹拌した。ジクロロメタンを減圧で留去し、残渣を1Mクエン酸水溶液(
200ml)で処理し、酢酸エチル(2x100ml)で抽出した。有機抽出物を集めて飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)で洗浄、乾燥、蒸発乾固した。生成物をシ
リカフラッシュカラムにかけて酢酸エチル/イソヘキサン(50:50)で溶離
して精製すると化合物79が固体で得られた(6.73g)。
化合物79:
実施例12;化合物51及び52は、化合物27(実施例6)の製造に用いたのと同様の方法
によって、それぞれ化合物40及び50から製造した。化合物47、48、49
及び50は実施例1、工程1と同様の方法を用いて、適当なトリチルスルファニ
ル化合物(それぞれ化合物43、44、45及び46)を脱保護することによっ
て製造した。
化合物47:
微量分析(2.00HCl,0.60H2O)
理論値(%): C51.70 H6.18,N7.54,S11.50
実測値(%): C51.90,H6.10,N7.80,S11.60
化合物48:微量分析(2.00HCl,1.00H2O)
理論値(%): C51.89 H6.45,N7.26
実測値(%): C51.60,H6.40,N7.20
化合物49:
微量分析(2.00HCl,0.5H2O)
理論値(%): C53.50 H6.56,N7.20,S10.99
実測値(%): C53.30,H6.20,N7.20,S10.90
化合物50:
微量分析(2HCl,0.45H2O)
理論値(%): C51.98 H6.19,N7.00,S10.68
実測値(%): C51.60,H5.90,N7.40,S10.60
化合物51:
微量分析(2.00HCl)
理論値(%): C53.60 H6.30,N7.50
実測値(%): C53.50,H6.10,N7.40
化合物52:
微量分析(2HCl,0.65H2O)
理論値(%): C50.86 H6.03,N7.12,S10.86
実測値(%): C50.50,H5.70,N7.30,S10.80
出発物質は以下のようにして製造した:
化合物43、44、45及び46は実施例5の化合物18の製造に用いたのと
同様な方法によって、化合物9を適当なアニリンと反応させることによって製造
した。
化合物43:
化合物44:
化合物45:
化合物46:
化合物46の製造に用いた”アニリソ”(化合物62)は、メチル2-(2-(4-フル
オロフェニル)エチニル)-4-ニトロベンゾエートから標準の水素添加によりメチ
ル2-(4-フルオロフェネチル)-4-アミノベンゾエート(化合物60)を合成する
ことにより得た。化合物60を加水分解して対応の安息香酸(化合物61)を得
た。化合物61を、化合物79(実施例11)の製造で記載したのと同様の条件
を用いてL-メチオニンメチルエステル塩酸塩とカップリングして化合物62を得
た。
化合物60:
化合物61:
化合物62:
実施例13:(2S)-2-[2-(4-フルオロフェニル)エチニル)-4-(シス-3-スルファ
ニルピロリジン-2-イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニ
ル酪酸(化合物59)化合物59を、実施例5の化合物20の製造で記載したのと同様の方法を用いて
、対応のメチルエステル(化合物58)から製造した。
化合物59:
微量分析(2.00HCl,0.75H2O)
理論値(%): C51.06 H5.40,N7.15,S10.91
実測値(%): C51.20,H5.40,N7.00,S10.60
出発物質は以下のようにして製造した:
化合物53(実施例12から)(2.5g)、2N水酸化ナトリウム水溶液(15ml)及
びメタノール(150ml)の混合物を2時間加熱還流した。混合物を冷却してメタ
ノールを留去した。残渣を2N HCl(20ml)で処理し、混合物を酢酸エチル(2
x100ml)で抽出した。有機相を集めて乾燥、蒸発乾燥すると2-[2-(4-フルオロフ
ェニル)エチニル]-4-ニトロ安息香酸(化合物54)が得られた(2.3g)。化合物
54を、化合物79(実施例11)の製造で記載したカップリング法を用いて、
メチル(2S)-{2-[2-(4-フルオロフェニル)エチニル]-4-ニトロベンゾイルアミノ
}-4-メチルスルファニルブチレート(化合物55)に変換した。
化合物55:
化合物55(2g)、塩化第一錫二水和物(4.4g)及び酢酸エチル(150ml)の混合
物を撹拌し、2時間加熱還流した。これを冷却してアンモニア水溶液(0.880)
を滴下してpH9にした。生成する白色沈殿を濾過、酢酸エチル(150ml)で洗
浄した。濾液と洗浄液を併せて乾燥、蒸発乾燥するとオイルが得られ、これをシ
リカのフラッシュクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/イソヘキサンで溶
離して精製するとメチル(2S)-2-{2-[2-(4-フルオロフェニル)エチニル]-4-アミ
ノベンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニルブチレート(化合物56)が黄色固
体として得られた(1.1g)。
化合物56:
化合物56を、化合物33の製造に用いたのと同様の方法によって、化合物9と
反応させてメチル(2S)-2-{2-[2-(4-フルオロフェニル)エチニル]-4-(1-tert-ブ
トキシカルボニル-3-トリチルスルファニルピロリジン-2-イルメチルアミノ)ベ
ンゾイルアミノ}-4-メチルスルファニルブチレート(化合物57)を得た。
化合物57:
化合物57を実施例1、工程1で記載したのと同様の方法を用いて化合物58に
変換した。
化合物58:
微量分析(2HCl)
理論値(%): C53.05 H5.48,N7.14,S10.90
実測値(%): C53.00,H5.60,N7.40,S11.00
実施例14:(2S)-2-[2-(4-フルオロフェネチル)-5-([2R、3R]-3-スルファニル
ピロリジン-2-イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニル酪
酸(化合物73)
化合物73を実施例5と同様の方法を用いて対応のイソプロピルエステル(化合
物72)から製造した。
化合物73:
微量分析(2.5HCl,0.5H2O)
理論値(%): C49.56 H5.91,N6.94,S10.59
実測値(%): C49.90,H5.70,N6.90,S10.90
出発物質は以下のようにして製造した:
トランス-3-ヒドロキシ-L-プロリン(5g)、ジ-tert-ブチルジカルボネート(9.15g
)、水酸化ナトリウム(1.52g)、水(78ml)及びジオキサン(80ml)の混合物を5
℃で30分撹拌し、次に周囲温度で16時間撹拌した。混合物を少容量(30ml)
まで蒸発させ、水(150ml)で希釈した。炭酸水素ナトリウム水溶液でpHを2
−3に調整し、塩化ナトリウムで飽和した。これを酢酸エチル(3x100ml)で抽
出し、抽出物を乾燥し、溶液を蒸発乾燥すると(2S,3S)-1-(tert-ブトキシカルボ
ニル)-2-カルボキシ-3-ヒドロキシピロリジン(化合物64)が白色固体として
得られた(8.42g)。
化合物64:
ジクロロメタン(500ml)中の化合物64(8.42g)、N,O-ジメチルヒドロキシルア
ミンHCl(10.66g)、DMAP(26.69g)及びEDC(10.47g)の混合物を周囲
温度で16時間撹拌した。反応混合物を直接シリカフラッシュカラムにかけて酢
酸エチルで溶離すると(2S,3S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-3-ヒドロキシ-2-(
N-メトキシ-N-メチルカルバモイル)ピロリジン(化合物65)が透明ゴム状物と
して得られた(7.6g)。
化合物65:
ジクロロメタン(350ml)中の化合物65(7.6g)とトリエチルアミン(7.7ml)
の混合物に塩化メタンスルホニル(3.49g)を10分かけて滴下して加え、アル
ゴン雰囲気下に0℃まで冷却した。これを0℃でさらに1時間撹拌した。反応混
合物を直接シリカフラッシュカラムにかけて酢酸エチルで溶離すると(2S,3S)-1-
(tert-ブトキシカルボニル)-2-(N-メトキシ-N-メチルカルバモイル)-3-メタンス
ルホニルオキシピロリジン(化合物66)がゴム状物として得られた(9.7g)。
化合物66:
5℃に冷却しアルゴン雰囲気下に撹拌しているDMF(100ml)中の水素化ナト
リウム(鉱物油中に60%で分散、1.62g)の懸濁液に、DMF(150ml)中のト
リフェニルメチルメルカプタン(11.22g)溶液を15分かけて滴下して加えた。
これをさらに30分撹拌した。DMF(50ml)中の化合物66(9.7g)の溶液を
加え、反応混合物を放置して周囲温度まで温め、さらに2時間撹拌した。次いで
これを50℃で4時間加熱し、周囲温度まで冷却し、DMFを減圧で留去した。
残渣を1Mクエン酸水溶液(200ml)で処理し、酢酸エチル(3x100ml)で抽出し
た。抽出物を合わせてブライン(100ml)で洗浄、乾燥し減圧で留去した。生
成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて酢酸エチル/イソヘキサン
(50:50)で溶離して精製すると(2R,3R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-
(N-メトキシ-N-メチルカルボニル)-3−トリチルスルファニルピロリジン(化合
物67)が泡状固体として得られた(1.3g)。
化合物67:
化合物67を実施例1の化合物9の製造で記載したのと同様の方法を用いて、水
素化リチウムアルミニウムで(2R,3R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-ホルミル
-3-トリチルスルファニルピロリジン(化合物68)に還元した。
化合物68:
実施例5の化合物17の製造で記載したのと同様に、ただしイソプロパノールの
代わりにメタノールを用いて、化合物68をメチル5-アミノ-2-(4-フロオロフェ
ネチル)ベンゾエート(化合物75)と反応させることによってメチル2-(4-フル
オロフェニチル)-5-([2R,3R]-1-(tert-ブトキシカルボニル-3-トリチルスルファ
ニルピロリジン-2-イル)ベンゾエート(化合物69)を製造した。
化合物69:
化合物69を水酸化ナトリウムによる標準的塩基性加水分解に付すと対応の安息
香酸(化合物70)が得られた。
化合物70:化合物70をEDCとDMAPの存在下にジクロロメタン中でL-メチオニンイソ
プロピルエステルとカップリングしてイソプロピル(2S)-2-[2-(4-フルオロフェ
ネチル)-5-([2R,3R]-1-(tert-ブトキシカルボニル)-3-トリチルスルファニルピ
ロリ
ジン-2-イルメチルアミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニルブチレート
(化合物71)を得た。
化合物71:
化合物71をTFAとトリエチルシランで脱保護するとイソプロピル(2S)-2-[2-
(4-フル才ロフエネチル)-5-([2R,3R]-3-スルファニルピロリジン-2-イル)メチル
アミノ)ベンゾイルアミノ]-4-メチルスルファニルブチレート(化合物72)が
得られた。
化合物72:
化合物75は以下のようにして合成した:
メチル2-ブロモ-5-ニトロベンゾエート(5g)、4-フルオロスチレン(3.5g)、トリ
ブチルアミン(0.39g)、塩化ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)(0.
3g)、炭酸水素ナトリウム(2.65g)及び水(30ml)の混合物を撹拌し、アルゴン
雰囲気下に1.5時間加熱還流した。反応物を冷却し、ジクロロメタン(200ml
)に懸濁してシリカパッド(クロマトグラフィーグレード)を通してさらにジク
ロロメタンで溶離した。ジクロロメタンを蒸発させて残渣をイソヘキサン(200m
l)で処理するとメチル2-[2-(4-フルオロフェニル)エチニル]-5-ニトロベンゾエ
ート(化合物74)が黄色沈殿として得られ、これを濾取、乾燥した(5.05g)。
化合物74:
化合物74(29g)、10%Pd/C(3g)及び酢酸エチル(400ml)の混合物を水
素雰囲気下に6時間撹拌した。触媒を濾過によって除き、新しい触媒(3g)を入
れた。水素添加をさらに16時間続け、触媒を再度濾過して除き、濾液を蒸発乾
燥し、残渣をイソヘキサンで処理すると白色固体が得られ、これを濾過によって
単離し乾燥すると化合物75(23.5g)が得られた。
化合物75:
実施例15:薬剤組成物
以下に記載するのは、ヒトの治療又は予防に使用するための本発明の代表的医
薬製剤形の例示である(活性成分は”化合物X”で示す)。
(a)錠剤I mg/錠剤
化合物X 100
ラクトース(Ph.Eur) 182.75
クロスカルメロースナトリウム 12.0
トウモロコシ澱粉ペースト(5%w/vペースト) 2.25
ステアリン酸マグネシウム 3.0
(b)錠剤II mg/錠剤
化合物X 50
ラクトース(Ph.Eur) 223.75
クロスカルメロースナトリウム 6.0
トウモロコシ澱粉 15.0
ポリビニルピロリドン(5%w/vペースト) 2.25
ステアリン酸マグネシウム 3.0
(c)錠剤III mg/錠剤
化合物X 1.0
ラクトース(Ph.Eur) 93.25
クロスカルメロースナトリウム 4.0
トウモロコシ澱粉ペースト(5%w/vペースト) 0.75
ステアリン酸マグネシウム 1.0
(d)カプセル mg/カプセル
化合物X 10
ラクトース(Ph.Eur) 488.5
マグネシウム 1.5
(e)注射剤I (50mg/ml)
化合物X 5.0%w/v
1M水酸化ナトリウム水溶液 15.0%v/v
0.1M塩酸(pH7.6に調整)
ポリエチレングリコール400 4.5%w/v
注射用水にて100%とする
(f)注射剤II (10mg/ml)
化合物X 1.0%w/v
リン酸ナトリウムBP 3.6%w/v
0.1M水酸化ナトリウム水溶液 15.0%v/v
注射用水にて100%とする
(g)注射剤III (1mg/ml,pH6 に緩衝化)
化合物X 0.1%w/v
リン酸ナトリウムBP 2.26%w/v
クエン酸 0.38%w/v
ポリエチレングリコール400 3.5%w/v
注射用水にて100%とする
(h)エアロゾルI mg/ml
化合物X 10.0
トリオレイン酸ソルビタン 13.5
トリクロロフルオロメタン 910.0
ジクロロジフルオロメタン 490.0
(i)エアロゾルII mg/ml
化合物X 0.2
トリオレイン酸ソルビタン 0.27
トリクロロフルオロメタン 70.0
ジクロロジフルオロメタン 280.0
ジクロロテトラフルオロエタン 1094.0
(j)エアロゾルIII mg/ml
化合物X 2.5
トリオレイン酸ソルビタン 3.38
トリクロロフルオロメタン 67.5
ジクロロジフルオロメタン 1086.0
ジクロロテトラフルオロエタン 191.6
(k)エアロゾルIV mg/ml
化合物X 2.5
ダイズレシチン 2.7
トリクロロフルオロメタン 67.5
ジクロロジフルオロメタン 1086.0
ジクロロテトラフルオロエタン 191.6
(1)軟膏 ml
化合物X 40mg
エタノール 300μl
水 300μl
1-デドルアザシクロヘプタン-2-オン 50μl
プロピレングリコール 1mlとする注記
上記の製剤は医薬業界で公知の慣用法で得られる。錠剤(a)−(c)は慣用
手段で腸溶皮としてもよく、例えば酢酸セルロースフタレートのコーティングが
施されていてもよい。エアロゾル製剤(h)−(k)は標準の計量エアロゾルデ
ィスペンサーと組み合わせてもよく、懸濁剤であるトリオレイン酸ソルビタン及
びダイズレシチンはモノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、
ポリソルベート80、オレイン酸ポリグリセロール又はオレイン酸などの代替の
懸濁剤で置き換えてもよい。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年10月9日(1998.10.9)
【補正内容】
実施例12;
化合物51及び52は、化合物27(実施例6)の製造に用いたのと同様の方法
によって、それぞれ化合物49及び50から製造した。化合物47、48、49
及び50は実施例1、工程1と同様の方法を用いて、適当なトリチルスルファニ
ル化合物(それぞれ化合物43、44、45及び46)を脱保護することによっ
て製造した。
化合物47:
微量分析(2.00HCl,0.60H2O)
理論値(%): C51.70 H6.18,N7.54,S11.50
実測値(%): C51.90,H6.10,N7.80,S11.60
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 25/00 A61P 25/00
35/00 35/00
43/00 111 43/00 111
C07D 401/12 C07D 401/12
403/12 403/12
417/12 417/12
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,
UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ワードルワース,ジェイムズ・マイケル
イギリス国チェシャー エスケイ10 4テ
ィージー,マックレスフィールド,オルダ
リー・パーク,ゼネカ・ファーマシューテ
ィカルズ(番地なし)