JP2001357887A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP2001357887A JP2000177874A JP2000177874A JP2001357887A JP 2001357887 A JP2001357887 A JP 2001357887A JP 2000177874 A JP2000177874 A JP 2000177874A JP 2000177874 A JP2000177874 A JP 2000177874A JP 2001357887 A JP2001357887 A JP 2001357887A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用部品数を増加させることなく組立作業性
が向上し、安全性の高い非水電解液電池を提供する。 【解決手段】 上蓋ケース22の下面に円環状の上蓋ケ
ース突出部25が上蓋ケース22と一体に形成されてい
る。上蓋ケース突出部25には、正極集電リング5の立
ち上がり部26に螺設された雌ネジ部26Aに螺合する
雄ネジ部25Aが螺設されており、雄ネジ部25Aの上
方にはガスを外部に排出するための複数の開口25bが
形成されている。立ち上がり部26と上蓋ケース突出部
25とは立ち上がり部26の全面と上蓋ケース突出部2
5の全面とが重なり合わないように部分的に螺合してお
り、開口25bの閉塞が防止されている。封口電池蓋群
20は、螺合によりカシメ部以外でも固定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解液二次電池
に係り、特に、正極板と負極板とをセパレータを介して
捲回した捲回電極群と捲回電極群を収容する円筒状の電
池容器とを有する非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、再充電可能な二次電池の分野で
は、鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム電池等の水溶液系
二次電池が主流であった。しかし、これら水溶液系二次
電池では、水の分解電位を越える電池電圧が得られない
ので、エネルギー密度が低いという欠点を有していた。
そこで最近では、リチウム二次電池に代表される非水電
解液二次電池(以下、非水電解液電池という。)の研究
開発が盛んに行われている。この非水電解液電池は、電
池電圧が高く、高エネルギー密度を有し、サイクル特性
にも優れているので、電気容量が1.5Ah程度の民生
用小型電池のみならず、省エネルギー、環境保全の観点
から、電力貯蔵用や電気自動車用の高容量、高エネルギ
ー密度、高出力の大型電池への展開が期待されている。
【0003】一方、大型電池では、電池容量が大きくな
るため出力電流値も大きくなるので、外部出力端子を兼
ねた封口電池蓋群(電池蓋)と電池容器とを民生用小型
電池と同様にカシメにより密閉する機構を採用する場合
に、捲回電極群、封口電池蓋群間の接続部材に高い導電
性を有することが必要となる。
【0004】このため、大型電池では、例えば、本出願
人が出願した特願平第11−119359号の技術のよ
うに接続部材のリード線を太く厚くすることによって、
又は、リード板を複数枚重ねることによって、電気抵抗
を低減させ出力電流値を増加させる工夫がなされてい
る。すなわち、上記出願の技術では、図6に示すよう
に、正極板1と負極板2とをセパレータ3を介して捲回
した捲回電極群15の上部に円環状の正極集電リング5
5を配置して、正極集電リング55の上面に正極リード
板32を溶接し、外部出力端子となる封口電池蓋群60
(を構成する上蓋ケース56)の下面にも正極リード板
31を溶接し、これら正極リード板32及び正極リード
板31の自由端同士を溶接することにより、捲回電極群
15、封口電池蓋群60間の接続部材の電気抵抗を低減
させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に
示す集電構造では、接続部材として正極リード板31、
32の2種類を作製し、それらを予め正極集電リング5
5と封口電池蓋群60とにそれぞれに溶接しなければな
らず、更に、それら正極リード31、32の自由端同士
を再溶接しなければならないので、部品数が増加すると
共に、溶接回数の増加により組立作業性が極めて悪い、
という問題がある。
【0006】また、上記集電構造では、電池側面からの
外部応力により電池が圧壊されるような電池異常時に、
捲回電極群15の中心部の軸芯4が外部応力により電池
容器10の底方向及び封口電池蓋群60方向に伸びるよ
うに変形する。しかし、電池容器10の底方向には障害
があるので、軸芯4は専ら封口電池蓋群60方向に伸び
る。この結果、正極集電リング55の中央部が封口電池
蓋群60側に凸状に変形し、正極集電リング支え7が押
し上げられ、更に、正極集電リング支え7の上側に配置
された正極リード板32、正極リード板31及び封口電
池蓋群60を構成する上蓋ケース56が押し上げられる
ので、封口電池蓋群60に内蔵された安全弁23が連鎖
的に押し上げられ、安全弁23を機能させる開口55a
が上蓋ケース56により閉塞されてしまう。このため、
圧壊に伴い捲回電極群15内の電極短絡により発生した
ガスが電池外へスムーズに放出できず電池内の圧力が極
めて上昇する。
【0007】特に、電池容量が3Ahを上回るような大
型電池では、民生用小型電池の数倍から数十倍の電解液
量が充填される。このため、電極短絡等の電池異常時に
は、充填した電解液が気化又は分解し、急激かつ大量に
ガス化するので、発生ガスによる内圧上昇の際に安全弁
23が速やかに作動し、発生ガスを電池外部に放出する
ため構造が必要である。上記出願の技術では、正極リー
ド板31、32を封口電池蓋群60に溶接する場合に、
正極集電リング55の内側に正極リード板31、32を
配置・溶接しているので、捲回電極群15の固定やカシ
メ部を確保するために正極リード板31、32の配置・
溶接位置も上蓋ケース56の中央部となる。従って、少
なくとも正極リード板31、32の幅に対する溶接面積
を上蓋ケース56の中央部に確保する必要がある。高容
量の大型電池では、大電流を流すために正極リード板3
1、32の断面積を増加する必要があるが、正極リード
板31、32を自由に湾曲させて収納するために、厚さ
により断面積を増加するには制限があるので、正極リー
ド板31、32の幅を増やす方向となって、上蓋ケース
56に形成された排気用の開口面積は益々小さくなる。
従って、集電構造を改良することは、電池のより高い安
全性を確保する上で大きな課題である。
【0008】本発明の上記事案に鑑み、使用部品数を増
加させることなく組立作業性が向上し、安全性の高い非
水電解液電池を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、正極板と負極板とをセパレータを介して
捲回した捲回電極群と前記捲回電極群を収容する円筒状
の電池容器とを有する非水電解液二次電池において、前
記捲回電極群の上部に配置され、周縁に上部方向へ立ち
上がる立ち上がり部を有する集電リングと、前記集電リ
ングの上部に配置され、下面に前記立ち上がり部に螺合
する突出部を有すると共に前記電池容器を封口し外部出
力端子となる電池蓋と、を備えたことを特徴とする。
【0010】本発明では、集電リングは周縁に上部方向
へ立ち上がる立ち上がり部を有しており、捲回電極群の
上部に配置されている。また、円筒状の電池容器を封口
し外部出力端子となる電池蓋が集電リングの上部に配置
されている。電池蓋は下面に突出部を有しており、この
突出部が集電リングの立ち上がり部に螺合し、集電リン
グと電池蓋とが電気的に接続される。本発明によれば、
突出部と立ち上がり部とが螺合して電気的に接続され、
集電リングと電池蓋とを接続する接続部材が不要となる
ので、使用部品数を減少させることができると共に組立
作業性を向上させることができる。また、電池異常時
に、電池蓋を閉塞させる接続部材が存在せず、かつ、突
出部と立ち上がり部との螺合により電池蓋が電池内部で
も固定されているため電池内圧の上昇に対して電池蓋が
電池容器から外れずらいので、高い安全性を確保するこ
とができる。
【0011】この場合において、突出部に排気用の開口
を形成するようにすれば、電池異常時に電池内で発生し
たガスをこの開口を経由しても外部へ排気することがで
きるので、電池内圧を確実に低減させることができる。
このとき、立ち上がり部と突出部とを立ち上がり部の立
ち上がり長さ方向の一部で螺合させるようにすれば、突
出部の、立ち上がり部に螺合していない部分に排気用の
開口を形成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を適
用した円筒型非水電解液電池の実施の形態について説明
する。
【0013】(構成)図1に示すように、本実施形態の
円筒型非水電解液電池50は、円筒状でステンレス製の
有底電池容器10内に、正極板1と負極板2とをリチウ
ムイオンが通過可能な微多孔を有する厚さ40μm程度
のセパレータ3を介して中空円筒状の軸芯4を捲回中心
として渦巻き状に捲回した捲回電極群(以下、電極群と
いう。)15を備えている。
【0014】図2に示すように、正極板1は、正極活物
質のマンガン酸リチウム(LiMn )に導電剤及
び結着剤を加えて混練し、これに有機分散溶媒を添加、
混練したスラリを厚さ20μm程度のアルミニウム箔の
両面に所定幅で塗布し、乾燥、プレスして合剤層1Bを
形成した後、アルミニウム箔の一部を切り欠き正極リー
ド片1Aを形成したものである。一方、負極板2は、負
極活物質の非晶質炭素に結着剤を加えて混練し、これに
有機分散溶媒を添加、混練したスラリを厚さ10μm程
度の圧延銅箔に所定幅で塗布し、乾燥、プレスして合剤
層2Bを形成した後、銅箔の一部を切り欠き負極リード
片2Aを形成したものである。
【0015】図1に示すように、電極群15の上部に
は、周縁に円環状に上部方向に立ち上がる立ち上がり部
26を有する正極集電リング5が配置されている。立ち
上がり部26の周縁外周には、正極板1から導出された
正極リード片1Aが変形・集合されており、超音波溶接
により接続・固定されている。立ち上がり部26の周縁
内周には、立ち上がり部26の上端部から2/3程度ま
で雌ネジ部26Aが螺設されている。正極集電リング5
は、正極集電リング5を支える正極集電リング支え7を
介して軸芯4の上端部に固定されている。
【0016】また、円筒型非水電解液電池50は、電池
容器10の上部開口に、絶縁性のガスケット12を介し
てカシメ封口された電池蓋としての封口電池蓋群20を
備えている。封口電池蓋群20は、正極集電リング5に
対向する側に配置されアルミニウム合金製の上蓋ケース
22、電池内圧が所定圧となると彫り込み等の脆弱部2
3Aが開裂して内圧を外部に開放する安全弁23、安全
弁23を挟んで周縁部を上蓋ケース22の周縁部でカシ
メられ外部出力端子として電池外部へ露出する上蓋キャ
ップ21及び上蓋ケース22にリング状に当接して安全
弁23を下側から押さえる弁押さえ24で一体に構成さ
れている。
【0017】上蓋ケース22の下面には円環状で下部方
向へ立ち下がる突出部としての上蓋ケース突出部25が
上蓋ケース22と一体に形成されている。図1及び図3
に示すように、この上蓋ケース突出部25には、正極集
電リング5の立ち上がり部26に螺設された雌ネジ部2
6Aに螺合する雄ネジ部25Aが螺設されており、雄ネ
ジ部25Aの上方には電池内部で発生したガスを外部に
排出するための複数の開口25bが形成されている。図
1に示すように、立ち上がり部26と上蓋ケース突出部
25とは立ち上がり部26の全面と上蓋ケース突出部2
5の全面とが重なり合わないように立ち上がり部26の
立ち上がり長さ方向の一部で螺合しており、開口25b
の閉塞が防止されている。
【0018】また、電池内部で発生したガスを外部に排
出するために、安全弁23の脆弱部23Aの中央部直下
となる上蓋ケース22の中央部には大きな中央開口22
aが、正極集電リング5には複数のリング開口5aが、
上蓋キャップ21には複数のキャップ開口21aがそれ
ぞれ形成されている。
【0019】一方、電極群15の下部には、周縁に電池
容器10の底部方向へ立ち下がる立ち下がり部を有する
円環状の負極集電リング6が配置されている。立ち下が
り部の周縁外周には、負極板2から導出された負極リー
ド片2Aが変形・集合されており、超音波溶接により接
続・固定されている。負極集電リング6は、負極集電リ
ング6を支える負極集電リング支え8を介して軸芯4の
下端部に固定されている。また、負極集電リング6の立
ち下がり部は電池容器10の底部に固定された円環状の
負極集電リングスペーサ11に係合して固定されてい
る。負極集電リング6は断面逆ハット状の負極リード板
9の逆ハットフランジ部に溶接されており、負極リード
板9の逆ハット先端部は電池容器10の底部に溶接され
ている。
【0020】なお、円筒型非水電解液電池50内には、
図示しない非水電解液が注液されており、電極群15は
この図示しない非水電解液に浸潤されている。非水電解
液には、例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメ
チルカーボネート(DEC)との混合有機溶媒中に6フ
ッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル
の割合で溶解したものを用いることができる。
【0021】(組立手順)次に、本実施形態の円筒型非
水電解液電池50の組立手順について説明する。
【0022】まず、セパレータ3の捲回開始端部を軸芯
4に接着剤で固定した後、正極板1と負極板2とを、こ
れら両極板が直接接触しないようにセパレータ3を介し
て渦巻き状に捲回して電極群15を作製する。このと
き、正極リード片1A及び負極リード片2Aが、それぞ
れ電極群15の互いに反対側の両端面に位置するように
する。その後、正極集電リング5及び負極集電リング6
をそれぞれ正極集電リング支え7、負極集電リング支え
8を介して軸芯4の両端部に固定し、正極リード片1A
及び負極リード片2Aを変形させて、立ち上がり部2
6、負極集電リングの立ち下がり部の周縁外周に集合し
て超音波溶接する。
【0023】次に、電極群15と電池容器10とが直接
接触しないように、例えば、基材がポリイミドでその片
面にヘキサメタアクリレートからなる粘着剤を塗布した
図示しない粘着テープを用いて、電極群15の外周を少
なくとも1周以上に亘って巻いた後、集電リング付き電
極群15を負極集電リング6側が底部側となるように電
池容器10に挿入し、予め負極集電リング6に溶接して
おいた負極リード板9を電池容器10に溶接する。その
際、負極集電リング6と電池容器10との間に負極集電
リングスペーサ11を配置する。
【0024】次いで、非水電解液を電池容器10内に所
定量注液した後、封口電池蓋群20(の上蓋ケース突出
部25に螺設された雄ネジ部25A)と正極集電リング
5(の立ち上がり部26に螺設された雌ネジ部26A)
とを螺合させる。その後、ガスケット12を介して封口
電池蓋群20と電池容器10とをカシメ固定することに
よって、円筒型非水電解液電池50が組み立てられる。
そして、円筒型非水電解液電池50に初充電を行い電池
としての機能を付与することによって、円筒型非水電解
液電池50が完成する。
【0025】従って、本実施形態の円筒形非水電解液電
池50では、封口電池蓋群20と正極集電リング5との
電気的接続を、リード板を使用することなく、上蓋ケー
ス突出部25に螺設された雄ネジ部25Aと立ち上がり
部26に螺設された雌ネジ部26Aとを螺合することよ
って電気的導通が確保されている。また、正極集電リン
グ5に螺設された雌ネジ部26Aの長さにより、正極集
電リング5に封口電池蓋群20をねじ込む深さが決定さ
れ、カシメ位置が決定されている。
【0026】(作用)次に、本実施形態の円筒型非水電
解液電池50に外部応力が作用する場合や、当該外部応
力が大きく電池が圧壊したり充電器等の故障で過充電状
態等の電池異常に至った場合の作用について説明する。
【0027】まず、円筒型非水電解液電池50は電気自
動車やハイブリッド電気自動車に搭載される場合を想定
して、外部応力が円筒型非水電解液電池50に作用して
も、電極群15が封口電池蓋群20方向へ移動できない
構造が採られている。すなわち、軸心4は、電池容器1
0の底部側で負極集電リング支え8、負極集電リング
6、負極リード板9、電池容器10に当接・固定されて
おり、封口電池蓋群20側で正極集電リング支え7、正
極集電リング5に当接し封口電池蓋群20と電池容器1
0がカシメ固定されているので、軸芯4は封口電池蓋群
20と電池容器10で固定され封口電池蓋群20方向へ
移動することができない。また、電極群15は捲回時の
張力と、正極板1及びセパレータ3、並びに、セパレー
タ3及び負極板2間に存在する非水電解液の張力(非水
電解液による正極板1、負極板2、セパレータ3の膨潤
による張力)により固定され、これら発電要素と軸芯4
とは捲回開始端部を接着剤で固定されている。このた
め、電極群15は上記構造や接着力以上の応力が加わら
ない限り、封口電池蓋群20方向へは移動できないの
で、容易に短絡は起こらない。
【0028】次に、電池異常状態での作用について説明
する。電池異常時に円筒型非水電解液電池50の内部で
は、非水電解液が気化又は分解し、急激かつ大量にガス
が発生する。円筒型非水電解液電池50内には、安全弁
23の脆弱部23Aの真下に、リード板等に閉塞される
ことなく、上蓋ケース22の中央部に中央開口22aが
形成されており、上蓋ケース突出部25には開口25b
が形成されている。このため、安全弁23は電池内のガ
ス圧を敏感に感知することができ、電池内のガス圧が予
め設定されたガス圧に至ると安全弁23の脆弱部23A
が開裂する。図5に示すように、電池内で発生したガス
は、リング開口5a及び開口25bを経由して、中央開
口22a、安全弁23の開裂箇所(脆弱部23Aが存在
していた箇所)を経て、キャップ開口21aから電池外
部へ速やかに排出される。また、封口電池蓋群20はカ
シメ部のみならず、螺合した正極集電リング5にも固定
されているので、電池内圧が急激に増加しても電池容器
10から外れずらい。
【0029】(効果等)以上のように、本実施形態で
は、上蓋ケース突出部25に螺設された雄ネジ部25A
と立ち上がり部26に螺設された雌ネジ部26Aとを螺
合することによって電気的導通が確保されるので、正極
集電リング5と封口電池蓋群20とを接続するリード板
が不要なことから、使用部品数を削減することができ
る。また、従来技術のようにリード板の溶接作業がない
ので、電池の組立作業性を向上させることができる。
【0030】また、本実施形態では、上蓋ケース22の
中央に大きな中央開口22aを形成し、中央開口22a
が従来技術のようにリード板で閉塞されることもなく、
上蓋ケース突出部25にも開口25bを形成し、排気通
路を複数確保するようにしたので、安全弁23を本来の
(設計値の)設定圧で開裂させることができることか
ら、電池内圧の上昇に対する安全性を向上させることが
できる。
【0031】更に、本実施形態では、上蓋ケース22に
アルミニウム合金を使用したので、電池電圧が4V以上
に上昇し、かつ、非水電解液と接触しても、電池内部で
の腐蝕を防止することができる。このため、電池の信頼
性を高めることができる。
【0032】また、本実施形態では、正極集電リング5
に螺設された雌ネジ部26Aの長さでカシメ位置が決定
されるようにしたので、電池容器10の上部開口で封口
電池蓋群20の位置決めが容易となり、カシメ作業性を
向上することができる。
【0033】更にまた、円筒型非水電解液電池50に外
部応力が作用しても容易に電極群15が封口電池蓋群2
0方向へ移動できない構造を採用したので、電極群15
内での電極短絡を防止することができることから、安全
性を向上させることができ、また、不用意に安全弁23
が開裂することもない。従って、本実施形態の円筒型非
水電解液電池50は、振動が加わり、衝突等で外部応力
が加わることのある電気自動車やハイブリッド電気自動
車用の電源にも適している。
【0034】更に、本実施形態では、封口電池蓋群20
と正極集電リング5とが螺合しているので、封口電池蓋
群20は電池容器10にカシメ機構と螺合との2つで固
定され、電池内部の圧力上昇に対する封口電池蓋群20
の固定機能を向上させることができる。
【0035】なお、本実施形態では、連続円環状の上蓋
ケース突出部25について例示したが、上蓋ケース突出
部25の雄ねじ部25Aと立ち上がり部26の雌ねじ部
26Aのうち少なくとも一方が円環状の形状を有して両
者が螺合すればよく、例えば、図4に示すように、雄ネ
ジ部25A’は連続してなくてもよく、開口25b’も
長孔や種々の開口形状を採ることができる。また、上蓋
ケース突出部25、立ち上がり部16間で雄ねじ部や雌
ねじ部を逆に形成するようにしてもよい。
【0036】従って、本発明は上記実施形態に限らず、
上述した特許請求の範囲において種々の態様を採ること
ができる。
【0037】
【実施例】次に、上記実施形態に従って作製した実施例
の円筒型非水電解液電池について説明する。なお、比較
のために作製した比較例の円筒型非水電解液電池につい
ても併記する。
【0038】(実施例)図1乃至図3及び上記実施形態
に従って、放電容量7.4Ahの円筒型非水電解液電池
20を作製した。
【0039】(比較例)図6に示すように、比較例の電
池では、封口電池蓋群60に正極リード板31を溶接
し、正極集電リング55に正極リード板32を溶接し、
正極リード板31、32をそれぞれ溶接することにより
集電機構を作製した。上蓋ケース56と正極集電リング
55との形状変更により(上蓋ケース突出部25を有し
ないため)、封口電池蓋群60と正極集電リング55と
が螺合しない点、開口25bが存在しない点、電極群1
5を固定するための正極集電リングスペーサ53が正極
集電リング55と上蓋ケース56との間に配置されてい
る点、正極集電リング55に形成された開口55aが正
極リード板31、32を避けるように形成されている点
を除き、放電容量を含め上記実施例の電池と同様に作製
した。
【0040】<試験>以上のように作製した実施例及び
比較例の電池について、充電容量7.4Ahの満充電状
態にした後で、直径40mmの丸棒を用い、円筒型非水
電解液電池の中央部を電池直径の半分まで圧壊する試験
を実施したときの挙動を調べた。この圧壊試験は、電極
群15内の正負極が短絡するほど変形するので、内部短
絡により電解液の気化・分解により急激な内圧上昇と温
度上昇が起こり、更に圧壊時の外部応力によりカシメ部
にも外部応力が加えられる過酷な試験である。
【0041】<試験結果及び評価>圧壊試験の結果、実
施例の電池は、電池を圧壊し始めて間もなく安全弁23
が開裂し発煙が見られたものの、封口電池蓋群20はカ
シメ部で固定されていた。これに対し、比較例の電池で
は、圧壊し始めて間もなく発煙が見られ、同時に封口電
池蓋群60がカシメ部から外れて飛び出した。
【0042】飛び出した封口電池蓋群60を観察する
と、正極リード板31が溶接されている上蓋ケース56
の中央部が大きく安全弁23側へ湾曲していた。これ
は、圧壊部分の体積変化により電極群15中央の軸芯4
が正極集電リング支え7、正極集電リング55、正極リ
ード板32、31、上蓋ケース56と順に押し上げるこ
とによりアルミニウム合金製で比較的変形しやすい上蓋
ケース56の中央部を湾曲させたものと思われる。
【0043】よって、封口電池蓋群と正極集電リングを
螺合することにより、電池内部が異常状態になり内圧上
昇や温度上昇を引き起こし、更に内部応力や外部応力が
加わるなど複合的に電池の異常状態が起きた場合であっ
ても、電池の安全性が確保されることを確認することが
できた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
突出部と立ち上がり部とが螺合して電気的に接続され、
集電リングと電池蓋とを接続する接続部材が不要となる
ので、使用部品数を減少させることができ、組立作業性
を向上させることができると共に、電池異常時に、電池
蓋を閉塞させる接続部材が存在せず、かつ、突出部と立
ち上がり部との螺合により電池蓋が電池内部でも固定さ
れているため電池内圧の上昇に対して電池蓋が電池容器
から外れずらいので、高い安全性を確保することができ
る、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の円筒型非水電解
液電池の断面図である。
【図2】実施形態の円筒型非水電解液電池に使用される
正極板及び負極板の平面図である。
【図3】実施形態の円筒型非水電解液電池に使用される
上蓋ケースの側面を模式的に示す概略側面図である。
【図4】実施形態の円筒型非水電解液電池に使用可能な
他の上蓋ケースの側面を模式的に示す概略側面図であ
る。
【図5】実施形態の円筒型非水電解液電池の電池異常時
のガスの排出経路を模式的に示す作用説明図である。
【図6】比較例の円筒型非水電解液電池の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 正極板 2 負極板 3 セパレータ 5 正極集電リング(集電リング) 10 電池容器 15 捲回電極群 20 封口電池蓋群(電池蓋) 21 上蓋キャップ(外部出力端子) 25 上蓋ケース突出部(突出部) 25b 開口 26 立ち上がり部 50 円筒型非水電解液電池(非水電解液二次電池)
フロントページの続き Fターム(参考) 5H011 AA09 AA13 CC06 DD11 DD15 EE04 FF03 GG02 HH02 5H012 AA01 BB02 CC01 DD05 EE04 FF01 GG01 5H022 AA09 BB03 CC08 CC12 CC13 CC20 CC24 EE01 EE04 5H029 AJ12 AJ14 AK03 AL06 AM03 AM05 AM07 BJ02 BJ14 BJ27 CJ01 DJ02 DJ05 EJ01 HJ12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極板と負極板とをセパレータを介して
    捲回した捲回電極群と前記捲回電極群を収容する円筒状
    の電池容器とを有する非水電解液二次電池において、前
    記捲回電極群の上部に配置され、周縁に上部方向へ立ち
    上がる立ち上がり部を有する集電リングと、前記集電リ
    ングの上部に配置され、下面に前記立ち上がり部に螺合
    する突出部を有すると共に前記電池容器を封口し外部出
    力端子となる電池蓋と、を備えたことを特徴とする非水
    電解液二次電池。
  2. 【請求項2】 前記突出部に排気用の開口が形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電
    池。
  3. 【請求項3】 前記立ち上がり部と前記突出部とは、前
    記立ち上がり部の立ち上がり長さ方向の一部で螺合して
    いることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液二次
    電池。
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