JP2001357769A - 多極回路遮断器 - Google Patents

多極回路遮断器

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JP2001357769A
JP2001357769A JP2001128931A JP2001128931A JP2001357769A JP 2001357769 A JP2001357769 A JP 2001357769A JP 2001128931 A JP2001128931 A JP 2001128931A JP 2001128931 A JP2001128931 A JP 2001128931A JP 2001357769 A JP2001357769 A JP 2001357769A
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JP2001128931A
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Shunichi Katsube
俊一 勝部
Toshikazu Uemoto
利和 上元
Kenichi Nishina
健一 仁科
Kazunori Fukutani
和則 福谷
Nobuji Yamagata
伸示 山県
Mitsugi Takahashi
貢 高橋
Kazuharu Kato
和晴 加藤
Shoji Yamaguchi
昌二 山口
Takao Mihashi
孝夫 三橋
Hiroshi Adachi
廣士 足達
Itsuo Nishiyama
逸雄 西山
Fumiaki Baba
文明 馬場
Satoru Yamazaki
悟 山崎
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度に優れ、金属腐食する成分が析出
することがなく、難燃性に優れるとともに、アーク発生
後の絶縁低下を防止でき、絶縁性能の優れた多極回路遮
断器を提供する。 【解決手段】 多極回路遮断器は、固定接点に接離する
可動接触子4と、この可動接触子4を開閉する開閉機構
部8と、可動接触子4を共通に支持するクロスバー5
と、消弧板6aと消弧側板6bを有し、可動接触子4と
固定接点間に発生したアークを消弧する消弧装置6と、
隣接する可動接触子4を隔離する相間壁を有するベース
2とこのベース2に被せられるカバー3で構成され、可
動接触子4、クロスバー5、消弧装置6、及び開閉機構
部8を収納する筐体1を備え、樹脂、150°C以上で
脱水反応する無機化合物、及び強化材を含有した成形を
アーク発生時にアーク熱によって絶縁性付与ガスを発生
するように筐体1に用いたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定接点に接離す
る複数の可動接触子を支持するクロスバーを有し、過電
流を検出したとき電路に流れる通電電流を遮断する多極
回路遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば実開平2−125943号
公報には、ポリエステル、ガラス繊維、炭酸カルシウ
ム、水酸化アルミニウム、ハロゲン系難燃剤、酸化アン
チモンを含有させた難燃性材料が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記難燃性材料は十分
な難燃性を有するが、ハロゲン系難燃剤を含有している
ため、構造材料として使用した場合、経時的にハロゲン
系難燃剤が材料中から析出し、金属部品を腐食する問題
が生じた。特に多極回路遮断器等に使用した場合には、
接点腐食や電子部品腐食による導通不良などの問題があ
った。また、難燃性材料として、高価である等の問題点
もあった。
【0004】また、従来、多極回路遮断器のアーク発生
後の絶縁低下原因としては、消弧室を中心とした周辺部
に熱分解した炭素が付着することによるものと考えられ
ていた。
【0005】しかしながら、発明者らが多極回路遮断器
内部の付着物を詳細に分析した結果、上記遊離炭素以外
に多極回路遮断器の電極開閉時に接点および多極回路遮
断器内部構成金属部品より発生する昇華金属、ならびに
飛散する溶融金属液滴よりなる金属層が形成されてお
り、この付着金属層が絶縁抵抗低下に大きく寄与してい
ることが判明した。加えて、消弧室を中心とした周辺部
のみならず、ハンドル、クロスバー、トリップバー、消
弧室から離れた筐体からも遊離炭素が発生していること
が判明した。
【0006】したがって、多極回路遮断器電極開閉後の
絶縁機能として、従来の付着炭素の付着抑制だけでは対
策不十分であり、特に、多極回路遮断器の小型化、高遮
断容量化を図る上では大きな障害となっている。
【0007】また、特開平6−279673号公報、特
開平5−271542号公報、特開平6−234913
号公報、特公平6−57792号公報は、熱可塑性樹脂
と金属水酸化物と強化材を含み、難燃性や抗電流トラッ
キング性等の組成物に関しその成形品を電気機器等に使
用できることを開示している。しかしながら、これらの
刊行物は、単に組成物自体の特性を示すのみで、多極回
路遮断器の筐体に適用して、付着金属層による絶縁抵抗
の低下防止に関する言及はない。
【0008】また、特公昭56−34961号公報は、
メラミンと、熱可塑性樹脂から成るバインダと、メラミ
ンのアーク遮断作用改善剤である水酸化アルミナを添加
剤として含む組成物からなる成形品を回路遮断装置にお
ける発生アークに曝射される面で用いられことを開示し
ています。しかしながら、この刊行物は、成形品をアー
クに曝射される面で用いられるものであり、消弧装置を
有する多極回路遮断器とそのアーク発生時の遮断メカニ
ズムが相違し、付着金属層による絶縁抵抗の低下を防止
する課題自体がない。
【0009】この発明は、上述のような課題を解決する
ためになされたもので、機械的強度に優れ、金属腐食す
る成分が析出することがなく、難燃性に優れるととも
に、アーク発生後の絶縁低下を防止でき、絶縁性能の優
れた多極回路遮断器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係る多極回路
遮断器は、固定接点に接離する可動接触子と、この可動
接触子を開閉する開閉機構部と、上記可動接触子を共通
に支持するクロスバーと、消弧板と消弧側板を有し、上
記可動接触子と上記固定接点間に発生したアークを消弧
する消弧装置と、上記隣接する可動接触子を隔離する相
間壁を有するベースとこのベースに被せられるカバーで
構成され、上記可動接触子、上記クロスバー、上記消弧
装置、及び上記開閉機構部を収納する筐体を備えた多極
回路遮断器において、樹脂、150°C以上で脱水反応
する無機化合物、及び強化材を含有した成形品をアーク
発生時にアーク熱によって絶縁性付与ガスを発生するよ
うに上記筐体に用いたものである。
【0011】また、成形品は、熱硬化性樹脂が15〜6
5wt%、150゜C以上で脱水反応をする1種類以上
の無機化合物が80〜30wt%、かつ1種類以上の強
化材が5〜55wt%である。
【0012】また、熱硬化性樹脂はポリエステルであっ
て、当該ポリエステルが15〜40wt%、150゜C
以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が80〜
35wt%、強化材が5〜50wt%である。また、熱
硬化性樹脂はフェノール樹脂であり、当該フェノール樹
脂が25〜60wt%、150゜C以上で脱水反応をす
る1種類以上の無機化合物が70〜35wt%、強化材
が5〜40wt%である。また、熱硬化性樹脂はユリア
樹脂、メラミン樹脂、メラミンフェノール樹脂、ジアリ
ルフタレート樹脂のいずれかであり、当該熱硬化性樹脂
が30〜65wt%、150゜C以上で脱水反応をする
1種類以上の無機化合物が65〜30wt%、強化材が
5〜40wt%である。
【0013】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の有機無機
複合組成物は、150゜C以上で脱水反応をする1種類
以上の無機化合物と1種類以上の強化材と熱硬化性樹脂
とを含有している。
【0014】前記樹脂が、エポキシ樹脂の場合には、当
該エポキシ樹脂が15〜65wt%であり、前記150
゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が、
80〜30wt%含有され、かつ前記強化材が5〜55
wt%である事が好ましい。前記150゜C以上で脱水
反応をする1種類以上の無機化合物が30wt%未満の
場合、または前記強化材が55wt%を越える場合、難
燃性が不充分となる傾向がある。前記150゜C以上で
脱水反応をする1種類以上の無機化合物が80wt%を
越える場合、または前記強化材が5wt%未満の場合、
耐圧強度が不充分となる傾向がある。
【0015】実施の形態2.前記樹脂が、ポリエステル
の場合には、当該ポリエステルが15〜40wt%であ
り、前記150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の
無機化合物が、80〜35wt%含有され、かつ前記強
化材が5〜50wt%である事が好ましい。前記150
゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が3
5wt%未満の場合、または前記強化材が50wt%を
越える場合、難燃性が不充分となる傾向がある。前記1
50゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物
が80wt%を越える場合、または前記強化材が5wt
%未満の場合、耐圧強度が不充分となる傾向がある。
【0016】実施の形態3.前記樹脂が、フェノール樹
脂の場合には、当該フェノール樹脂が25〜60wt%
であり、前記150゜C以上で脱水反応をする1種類以
上の無機化合物が、70〜35wt%含有され、かつ前
記強化材が5〜40wt%である事が好ましい。前記1
50゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物
が35wt%未満の場合、または前記強化材が40wt
%を越える場合、難燃性が不充分となる傾向がある。前
記150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化
合物が70wt%を越える場合、または前記強化材が5
wt%未満の場合、耐圧強度が不充分となる傾向があ
る。
【0017】実施の形態4.前記樹脂が、ユリア樹脂、
メラミン樹脂、メラミンフェノール樹脂、ジアリルフタ
レート樹脂のいずれかの場合には、当該樹脂が30〜6
5wt%であり、前記150゜C以上で脱水反応をする
1種類以上の無機化合物が、65〜30wt%含有さ
れ、かつ前記強化材が5〜40wt%である事が好まし
い。前記150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の
無機化合物が30wt%未満の場合、または前記強化材
が40wt%を越える場合、難燃性が不充分となる傾向
がある。前記150゜C以上で脱水反応をする1種類以
上の無機化合物が65wt%を越える場合、または前記
強化材が5wt%未満の場合、耐圧強度が不充分となる
傾向がある。
【0018】実施の形態5.本発明の有機無機複合組成
物は、200゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無
機化合物と1種類以上の強化材と熱可塑性樹脂とを含有
している。
【0019】前記樹脂が、ポリアセタール、ポリアセタ
ール系ポリマーアロイのいずれかの場合、樹脂が65〜
80wt%であり、前記200゜C以上で脱水反応をす
る1種類以上の無機化合物が、30〜15wt%含有さ
れ、かつ前記強化材が5〜20wt%である事が好まし
い。前記200゜C以上で脱水反応をする1種類以上の
無機化合物が、15wt%未満の場合、または前記強化
材が20wt%を越える場合、難燃性が不充分となる傾
向がある。前記200゜C以上で脱水反応をする1種類
以上の無機化合物が30wt%を越える場合、または前
記強化材が5wt%未満の場合、耐圧強度が不充分とな
る傾向がある。
【0020】実施の形態6.本発明の有機無機複合組成
物は、250゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無
機化合物と1種類以上の強化材と熱可塑性樹脂とを含有
している。
【0021】前記樹脂が、ポリブチレンテレフタレー
ト、ナイロン6、ナイロンMXD6のいずれかの場合お
よび、これらのポリマーアロイのいずれかの場合、樹脂
が45〜80wt%であり、かつ前記250゜C以上で
脱水反応をする1種類以上の無機化合物が、50〜15
wt%含有され、かつ前記強化材が5〜40wt%であ
る事が好ましい。前記250゜C以上で脱水反応をする
1種類以上の無機化合物が、15wt%未満の場合、ま
たは前記強化材が40wt%を越える場合、難燃性が不
充分となる傾向がある。前記250゜C以上で脱水反応
をする1種類以上の無機化合物が50wt%を越える場
合、または前記強化材が5wt%未満の場合、耐圧強度
が不充分となる傾向がある。
【0022】実施の形態7.本発明の有機無機複合組成
物は、340゜C以上で脱水反応する1種類以上の無機
化合物と1種類以上の強化材と熱可塑性樹脂とを含有し
ている。
【0023】前記樹脂が、ポリエチレンテレフタレー
ト、ナイロン66、ポリフェニレンサルファイド、ナイ
ロン46、ナイロン6Tのいずれかの場合、およびこれ
らのポリマーアロイの場合には樹脂が35〜80wt%
であり、かつ前記340゜C以上で脱水反応する1種類
以上の無機化合物が45〜15wt%含有され、かつ前
記強化材が5〜50wt%である事が好ましい。前記3
40゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物
が15wt%未満の場合、または前記強化材が50wt
%を越える場合、難燃性が不充分となる傾向がある。前
記340゜C以上で脱水反応する1種類以上の無機化合
物が45wt%を越える場合、または前記強化材が5w
t%未満の場合、耐圧強度が不充分となる傾向がある。
【0024】前記各実施の形態1乃至7によれば、有機
無機複合組成物が燃焼にさらされた際に、有機無機複合
組成物中に含有された無機化合物が熱分解で発生する水
蒸気によって燃焼を押さえ、同時に水蒸気が発生する際
の吸熱反応によって、燃焼熱を奪い取るものである。
【0025】すなわち、前記有機無機複合組成物が燃焼
にさらされた場合、当該組成物の温度が徐々に上昇し、
有機ポリマーが分解し、その分解ガスが燃焼に至る温度
約400〜600゜Cに到達するまでの温度、つまり約
150〜380゜Cで、150゜C以上で脱水反応する
無機化合物が熱分解により、不燃性ガスである水蒸気を
発生する。同時に水蒸気が発生する際の吸熱反応によっ
て、燃焼熱を奪い取る。この事により、前記有機無機複
合組成物は優れた難燃性を有するものである。
【0026】また、通常の使用温度においては、前記有
機無機複合組成物は、ハロゲン系難燃剤を含有していな
いため、析出物がなく、金属腐食を発生しない。
【0027】上記各実施の形態において、150゜C以
上で脱水反応する無機化合物の例としては、ホウ酸亜鉛
(2ZnO,3B23,3.5H2O)、ドーソナイト
(NaAl(OH)2CO3)、水酸化アルミニウム(A
l(OH)3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、
カルシウムアルミネート(Ca3Al2(OH)12)、水
酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、ハイドロタルサ
イト類(Mg4Al(OH)12CO3・3H2O)、塩基
性炭酸マグネシウム(Mg4(CO3)3(OH) 2・4
2O)、ポリリン酸アンモニウム((NH4PO3n)な
どがあげられる。これらは、粒子状、繊維状、リン片状
などの形状を有する。
【0028】これらのうち、ドーソナイト、水酸化アル
ミニウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルミネー
ト、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト類、塩基
性炭酸マグネシウムが無毒という点から好ましい。
【0029】また、水酸化アルミニウム(470Cal
/g)、カルシウムアルミネート(340Cal/
g)、水酸化マグネシウム(320Cal/g)、塩基
性炭酸マグネシウム(295Cal/g)が、脱水反応
時の吸熱量が比較的大きいという点から好ましい。
【0030】また、熱硬化性樹脂に含有する場合、水酸
化アルミニウムが成形材料として適度な粘性を有するた
め、好ましい。
【0031】また、熱可塑性樹脂と混練する場合、混練
時に前記無機化合物が脱水反応することを防止するため
に、前記無機化合物の脱水反応する温度は、200゜C
以上であることが望ましい。
【0032】200゜C以上で脱水反応する無機化合物
は、ホウ酸亜鉛、ドーソナイト、水酸化アルミニウム、
水酸化カルシウム、カルシウムアルミネート、水酸化マ
グネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどがあげられ
る。
【0033】250゜C以上で脱水反応する無機化合物
は、ホウ酸亜鉛、水酸化カルシウム、カルシウムアルミ
ネート、水酸化マグネシウムなどがあげられる。
【0034】340゜C以上で脱水反応する無機化合物
は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどがあげ
られる。
【0035】これらのうち、水酸化カルシウム、カルシ
ウムアルミネート、水酸化マグネシウムが無毒という点
から好ましい。
【0036】前記水蒸気を発生する無機化合物は、単独
で用いてもよく、また2種類以上併用してもよい。
【0037】なお、前記水蒸気を発生する無機化合物の
平均粒子径は特に限定はない。
【0038】実施の形態8.本発明の開閉器に用いられ
た有機無機複合組成物からなる成形品は、150゜C以
上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物と1種類以
上の強化材と熱硬化性樹脂とを含有している。
【0039】前記樹脂が、エポキシ樹脂の場合には、当
該エポキシ樹脂が15〜65wt%であり、前記150
゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が、
80〜30wt%含有され、かつ前記強化材が5〜55
wt%である事が好ましい。前記150゜C以上で脱水
反応をする1種類以上の無機化合物が30wt%未満の
場合、または前記強化材が55wt%を越える場合、開
閉器の電極開閉後の絶縁性能が不充分となる傾向があ
る。前記150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の
無機化合物が80wt%を越える場合、または前記強化
材が5wt%未満の場合、耐圧強度が不充分となる傾向
がある。
【0040】実施の形態9.前記樹脂が、ポリエステル
の場合には、当該ポリエステルが15〜40wt%であ
り、前記150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の
無機化合物が、80〜35wt%含有され、かつ前記強
化材が5〜50wt%である事が好ましい。前記150
゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が3
5wt%未満の場合、または前記強化材が50wt%を
越える場合、開閉器の電極開閉後の絶縁性能が不充分と
なる傾向がある。前記150゜C以上で脱水反応をする
1種類以上の無機化合物が80wt%を越える場合、ま
たは前記強化材が5wt%未満の場合、耐圧強度が不充
分となる傾向がある。
【0041】実施の形態10.前記樹脂が、フェノール
樹脂の場合には、当該フェノール樹脂が25〜60wt
%であり、前記150゜C以上で脱水反応をする1種類
以上の無機化合物が、70〜35wt%含有され、かつ
前記強化材が5〜40wt%である事が好ましい。前記
150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合
物が35wt%未満の場合、または前記強化材が40w
t%を越える場合、開閉器の電極開閉後の絶縁性能が不
充分となる傾向がある。前記150゜C以上で脱水反応
をする1種類以上の無機化合物が70wt%を越える場
合、または前記強化材が5wt%未満の場合、耐圧強度
が不充分となる傾向がある。
【0042】実施の形態11.前記樹脂が、ユリア樹
脂、メラミン樹脂、メラミンフェノール樹脂、ジアリル
フタレート樹脂のいずれかの場合には、当該樹脂が30
〜65wt%であり、前記150゜C以上で脱水反応を
する1種類以上の無機化合物が、65〜30wt%含有
され、かつ前記強化材が5〜40wt%である事が好ま
しい。前記150゜C以上で脱水反応をする1種類以上
の無機化合物が30wt%未満の場合、または前記強化
材が40wt%を越える場合、開閉器の電極開閉後の絶
縁性能が不充分となる傾向がある。前記150゜C以上
で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が65wt%
を越える場合、または前記強化材が5wt%未満の場
合、耐圧強度が不充分となる傾向がある。
【0043】実施の形態12.本発明の開閉器に用いら
れた有機無機複合組成物からなる成形品は、200゜C
以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物と1種類
以上の強化材と熱可塑性樹脂とを含有している。
【0044】前記樹脂が、ポリアセタール、ポリアセタ
ール系ポリマーアロイのいずれかの場合、樹脂が65〜
80wt%であり、前記200゜C以上で脱水反応をす
る1種類以上の無機化合物が30〜15wt%含有さ
れ、かつ前記強化材が5〜20wt%である事が好まし
い。前記200゜C以上で脱水反応をする1種類以上の
無機化合物が15wt%未満の場合、または前記強化材
が20wt%を越える場合、開閉器の電極開閉後の絶縁
性能が不充分となる傾向がある。前記200゜C以上で
脱水反応をする1種類以上の無機化合物が30wt%を
越える場合、または前記強化材が5wt%未満の場合、
耐圧強度が不充分となる傾向がある。
【0045】実施の形態13.本発明の開閉器に用いら
れた有機無機複合組成物からなる成形品は、250゜C
以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物と1種類
以上の強化材と熱可塑性樹脂とを含有している。
【0046】前記樹脂が、ポリブチレンテレフタレー
ト、ナイロン6、ナイロンMXD6のいずれかの場合お
よび、これらのポリマーアロイのいずれかの場合、樹脂
が45〜80wt%であり、かつ前記250゜C以上で
脱水反応をする1種類以上の無機化合物が、50〜15
wt%含有され、かつ前記強化材が5〜40wt%であ
る事が好ましい。前記250゜C以上で脱水反応をする
1種類以上の無機化合物が15wt%未満の場合、また
は前記強化材が40wt%を越える場合、開閉器の電極
開閉後の絶縁性能が不充分となる傾向がある。前記25
0゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が
50wt%を越える場合、または前記強化材が5wt%
未満の場合、耐圧強度が不充分となる傾向がある。
【0047】実施の形態14.本発明の開閉器に用いら
れた有機無機複合組成物からなる成形品は、340゜C
以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物と1種類
以上の強化材と熱可塑性樹脂とを含有している。
【0048】前記樹脂が、ポリエチレンテレフタレー
ト、ナイロン66、ポリフェニレンサルファイド、ナイ
ロン46、ナイロン6Tいずれかの場合、およびこれら
のポリマーアロイの場合には、樹脂が35〜80wt%
であり、かつ前記340゜C以上で脱水反応する1種類
以上の無機化合物が45〜15wt%含有され、かつ前
記強化材が5〜50wt%である事が好ましい。前記3
40゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物
が、15wt%未満の場合、または前記強化材が50w
t%を越える場合、開閉器の電極開閉後の絶縁性能が不
充分となる傾向がある。前記340゜C以上で脱水反応
する1種類以上の無機化合物が45wt%を越える場
合、または前記強化材が5wt%未満の場合、耐圧強度
が不充分となる傾向がある。
【0049】前記実施の形態7乃至14によれば、開閉
器の電極開閉時に接点間で発弧する際に、そのアークに
より、開閉器筐体および開閉器内部構成有機材料から発
生する遊離炭素、ならびに接点および開閉器内部構成金
属材料から発生する昇華金属や飛散する溶融金属液滴
を、同じくアークにより脱水反応する無機化合物から発
生する絶縁性付与ガスにより絶縁体化するものである。
【0050】すなわち、開閉器の電極開閉時に、電極の
接点間でアークが発生し、通常4000〜6000゜C
程度の温度になる。この結果、電極、接点および開閉器
内部構成金属材料が加熱され、当該金属から金属蒸気や
溶融金属液滴が発生して飛散する。この時、アークのみ
ならず、これら金属蒸気や溶融金属液滴によって、開閉
器筐体および開閉器内部構成有機材料が分解され、遊離
炭素も発生する。また有機無機複合組成物からなる成形
品中に含有された無機化合物から絶縁性付与ガスが発生
する。
【0051】ここで、前記絶縁性付与ガスとは、遊離炭
素、金属蒸気および溶融金属液滴を絶縁体化させる性質
を有するガスの事である。
【0052】前記遊離炭素、金属蒸気および溶融金属液
滴と反応するガスが発生した場合には、かかるガスと遊
離炭素、金属蒸気および溶融金属液滴とが反応し、当該
ガスと遊離炭素、金属蒸気および溶融金属液滴との反応
生成物が飛翔し、このように絶縁体化されたものや本来
絶縁性のものが開閉器筐体内部表面や開閉器内部構成部
品表面に付着する。
【0053】このように、従来電気抵抗の低下に大きく
寄与していた遊離炭素、金属蒸気および溶融金属液滴が
絶縁体化され、電気抵抗の低下が防止され、アーク発生
後の絶縁低下が抑制される。
【0054】なお、遊離炭素、金属蒸気および溶融金属
液滴が絶縁体化される際には、発生した絶縁性付与ガス
は、アークによって高圧蒸気が発生し膨張するため、接
点付近に近づく事ができず、当該接点部分には遊離炭
素、金属蒸気および溶融金属液滴が絶縁体化した層は形
成されず、通電を妨げることはない。
【0055】前記150゜C以上で脱水反応する無機化
合物の例としては、ホウ酸亜鉛(2ZnO,3B23
3.5H2O)、ドーソナイト(NaAl(OH)2CO
3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化カ
ルシウム(Ca(OH)2)、カルシウムアルミネート
(Ca3Al2(OH)12)、水酸化マグネシウム(Mg
(OH)2)、ハイドロタルサイト類(Mg4Al(O
H)12CO3・3H2O)、塩基性炭酸マグネシウム(M
4(CO3)3(OH)2・4H2O)、ポリリン酸アン
モニウム((NH4PO3n)などがあげられる。これら
は、粒子状、繊維状、リン片状などの形状を有する。
【0056】これらの無機化合物は、150゜C以上で
なければ脱水反応しないため、金型温度が約140゜C
付近で成形される熱硬化性樹脂に含有されても分解せ
ず、成形品が消弧用絶縁材料組成物としての前記機能を
十分発揮できる。
【0057】これらのうち、ドーソナイト、水酸化アル
ミニウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルミネー
ト、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト類、塩基
性炭酸マグネシウムが無毒という点から好ましい。
【0058】また、熱硬化性樹脂と混練する場合、水酸
化アルミニウムが成形材料として適度な粘性を有するた
め、好ましい。
【0059】また、熱可塑性樹脂と混練する場合、混練
時に前記無機化合物が脱水反応することを防止するため
に、前記無機化合物の脱水反応する温度は、200゜C
以上であることが望ましい。さらには、250゜C以上
である事が好ましい。さらには、340゜C以上である
事が好ましい。
【0060】200゜C以上で脱水反応する無機化合物
は、ホウ酸亜鉛、ドーソナイト、水酸化アルミニウム、
水酸化カルシウム、カルシウムアルミネート、水酸化マ
グネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどがあげられ
る。
【0061】250゜C以上で脱水反応する無機化合物
は、ホウ酸亜鉛、水酸化カルシウム、カルシウムアルミ
ネート、水酸化マグネシウムなどがあげられる。
【0062】340゜C以上で脱水反応する無機化合物
は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどがあげ
られる。
【0063】これらのうち、水酸化カルシウム、カルシ
ウムアルミネート、水酸化マグネシウムが無毒という点
から好ましい。
【0064】前記遊離炭素、金属蒸気および溶融金属液
滴と反応する絶縁性付与ガスを発生する無機化合物は、
単独で用いてもよく、また2種類以上併用してもよい。
【0065】なお、前記絶縁性付与ガスを発生する無機
化合物の平均粒子径は特に限定はない。
【0066】次に、上記実施の形態1乃至14において
用いられる強化材について以下説明する。強化材とは、
ガラス繊維、無機鉱物、セラミック繊維からなる群から
選択された1種類以上のものである。
【0067】前記強化材は、耐圧強度および消弧性能向
上のために用いられる。
【0068】前記強化材は、周期律表1A族の金属(L
i、Na、K、Rb、Cs、Fr)の化合物がM2O
(Na2O、Li2Oなど)のかたちになっている金属
の化合物の合計含有量が1%以下である。1%を越えて
含有する場合には、消弧性能が低下する。前記金属の化
合物の合計含有量は0.6%以下、さらには0.15%
以下であるのが消弧性能の点からは好ましい。
【0069】ガラス繊維は、ガラスからなる繊維状物の
ことをいい、前記周期律表1A族の金属の化合物の合計
含有量を満足していれば、特に限定はされない。ガラス
素材としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラ
スまたはシリカガラスなどがあげられる。
【0070】ガラス繊維製品としては、長繊維、短繊維
またはグラスウールなどがあげられる。熱可塑性樹脂の
強化材としては短繊維が好ましい。熱硬化性樹脂の強化
材としては、特に限定はしないが、シート状のポリエス
テル樹脂などに用いる場合は特に長繊維が、材料製造過
程に繊維が切断されにくい点や、成形品の耐圧強度を向
上させる点から好ましい。
【0071】ガラス繊維の直径が6〜13μm、アスペ
クト比が10以上であることが耐圧強度の点から好まし
い。また、ガラス繊維には、シランカップリング剤など
の処理剤が加工されているのが、耐圧強度の点から好ま
しい。
【0072】無機鉱物の具体例としては、炭酸カルシウ
ム、クレー、タルク、マイカ、過酸化バリウム、酸化ア
ルミニウム、ジルコン、コーディエライト、ムライト、
ウォラストナイト、白雲母、炭酸マグネシウム、ドロマ
イト、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリ
ウム、硫酸バリウム、フッ化亜鉛、フッ化マグネシウム
などが、挙げられ、熱変形温度、寸法安定性を向上させ
るという利点を有する。
【0073】なお、前記周期律表1A族の金属の化合物
の合計含有量を満足しているという点からは、炭酸カル
シウム、タルク、ウォラストナイト、過酸化バリウム、
酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、
フッ化亜鉛、フッ化マグネシウムなどが好ましい。
【0074】炭酸カルシウムは、ステアリン酸をはじめ
とする脂肪酸などの表面改質剤により、樹脂中への分散
性を向上させたものが耐圧強度の点から好ましい。
【0075】セラミック繊維は、セラミック繊維状物の
ことをいい、前記周期律表1A族の金属の化合物の合計
含有量を満足していれば、特に限定はされない。セラミ
ック繊維の具体例としては、ケイ酸アルミニウム繊維、
ホウ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィス
カ、アルミナウィスカなどが、消弧性能の向上、耐圧強
度の点から好ましい。
【0076】セラミック繊維の直径が1〜10μm、ア
スペクト比が10以上であることが、耐圧強度の点から
好ましい。
【0077】前記強化材は、1種類または2種類以上が
用いられる。2種類以上が用いられる場合には、前記ガ
ラス繊維と前記無機鉱物、前記ガラス繊維と前記セラミ
ック繊維、前記無機鉱物と前記セラミック繊維、前記ガ
ラス繊維どうし、前記無機鉱物どうし、前記セラミック
ス繊維どうし、前記ガラス繊維と前記無機鉱物と前記セ
ラミック繊維との組合せがあり、特に限定はしないが、
前記ガラス繊維と前記無機鉱物との組合せが、原料コス
トが安価であるという利点がある。
【0078】次に樹脂について説明する。前記樹脂は、
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂である。
【0079】前記熱硬化性樹脂は、ユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、メラミンフェノール樹脂、ジアリルフタレート
樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂からなる群か
ら選択された1種である。
【0080】前記熱硬化性樹脂は、耐圧強度、耐熱形状
保持性、消弧性の向上を図るために用いられる。
【0081】ユリア樹脂、メラミン樹脂は、構造内に芳
香環を有さないため、消弧性の向上が図れ、耐熱形状保
持性を満足するために用いられる。
【0082】メラミンフェノール樹脂は、メラミンを構
造内に有するため、消弧性の向上が図れると同時に耐圧
強度、耐熱形状保持性の向上を図るために用いられる。
【0083】ジアリルフタレート樹脂は、耐圧強度、耐
熱形状保持性の向上を図るために用いられる。強化剤と
して、ガラス繊維を用いると一層の耐圧強度、耐熱形状
保持性の向上が得られる。
【0084】フェノール樹脂は、耐圧強度、耐熱形状保
持性の向上を図るために用いられる。フェノール樹脂内
に木粉や布などを添加する事により、材料コストが安価
になるという利点も有する。
【0085】ポリエステル樹脂は、耐圧強度、耐熱形状
保持性の向上を図るために用いられる。特にシート状の
原材料とした場合は、長繊維のガラス繊維の含有も可能
で耐圧強度、耐熱形状保持性の一層の向上が可能であ
る。
【0086】前記熱硬化性樹脂には、前記の樹脂を主成
分とするものであるが、エラストマーあるいはゴムを、
ブレンドまたは共重合する場合がある。
【0087】当該ブレンドまたは共重合に用いられるエ
ラストマーあるいはゴムは耐衝撃性の向上を図るために
用いられる。
【0088】当該ブレンドまたは共重合に用いられるエ
ラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、
ポリエステル系エラストマーなどがあるが、なかでもポ
リオレフィン系エラストマーが耐圧強度の点から好まし
い。
【0089】当該ブレンドまたは共重合に用いられるゴ
ムとしては、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴ
ム、アクリル酸ゴム、ニトリルブタジエンゴムなどがあ
るが、なかでもニトリルブタジエンゴムが耐圧強度の点
から好ましい。
【0090】前記ブレンドまたは共重合比率は、熱硬化
性樹脂100部(重量部、以下同様)に対して、耐熱
性、耐圧強度の点からエラストマーおよびゴムいずれの
場合も、5〜30部さらには10〜25部が好ましい。
【0091】次に、前記熱可塑性樹脂について説明す
る。
【0092】前記熱可塑性樹脂は、特に限定はしない
が、開閉器の使用環境や使用条件を考慮すると、耐油性
のある材料が好ましい。具体的には、ポリアセタール、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドおよ
び、これらのポリマーアロイ材料が耐熱性、耐圧強度の
点から好ましい。
【0093】前記熱可塑性樹脂の中において、ポリアセ
タール、ポリアミドが芳香環を有さないため、消弧性の
向上の点では特に好ましい。
【0094】前記熱可塑性樹脂は、耐圧強度、消弧性能
の向上を図ると同時に、部品の薄肉化、複雑形状に対応
が可能であり、成形時間の短縮を図るために用いられ
る。
【0095】以下、上記実施の形態8〜14における各
種の有機無機複合組成物からなる成形品として、開閉器
の構成部品である筺体、クロスバー、ハンドル、トリッ
プバーに適用した例について説明する。
【0096】実施の形態15.図1は回路遮断器の外観
を示す概略斜視図、図2はカバーを取り除いた状態を示
す概略斜視図である。図において、1は筺体で、ベース
2とカバー3とで構成されている。4は各極の固定接点
(図示せず)とそれぞれ接離する可動接触子で、いずれ
もクロスバー5に共通に支持されている。6は可動接触
子4の前方に設けられた消弧装置で、消弧板6aと消弧
側板6bとで構成されている。7は筺体1から外部へ突
出されたハンドルで、開閉機構部8を介して可動接触子
4を開閉操作するものである。9は引き外し装置10を
構成するトリップバーである。図3は圧縮2重成形によ
り形成されたベースの一部を切断した状態を示す概略斜
視図である。図において、ベース2は開閉機構部8、両
方の接触子、消弧装置6およびトリップバー9を収容す
る部分が2重成形され、本発明の有機無機複合組成物で
形成されたベース内側2aと、構造用組成物で形成され
たベース外側2bを有している。ここで、構造用組成物
とは、例えば熱硬化性樹脂からなる材料で形成されたも
のであり、有機無機複合組成物に比較し、強度に優れる
とともに廉価である。
【0097】この実施の形態によれば、開閉器の電極開
閉時に、電極の接点間でアークが発生し、内部構成有機
材料から発生する遊離炭素および内部構成金属部品から
発生する金属蒸気や溶融金属液滴が、ベース内側2aを
形成している有機無機複合組成物に含有している150
゜C以上で脱水反応する無機化合物から発生する絶縁性
付与ガスにより絶縁体化される。これにより、ベース内
面の電気抵抗の低下が防止され、開閉器の電極相互間の
電極開閉後の絶縁性能が向上する。また、同時にアーク
によって発生した高圧蒸気による筐体のベースの破損
を、ベース外側2bを形成している構造用組成物により
防止するという利点がある。
【0098】実施の形態16.図4は、本発明のシート
状有機無機複合組成物を用いた筺体のベースの圧縮2重
成形方法を示す概略説明図である。図において、11は
シート状有機無機複合組成物、12はシート状構造用組
成物、13aは下型、13bは上型である。まず、シー
ト状有機無機複合組成物11を下型13aに載置し、そ
の上からシート状有機無機複合組成物11を完全に覆う
ようにシート状構造用組成物12を設置すれば良い。こ
の製造方法により、ベース内側2aが本発明の有機無機
複合組成物、ベース外側2bが構造用組成物からなる筺
体のベース2が容易に得られる。また、カバーも同様な
方法を用いて得ることができる。
【0099】実施の形態17.図5はトランスファー成
形により形成されたクロスバーの一部を切断した状態を
示す概略斜視図である。図において、クロスバー5は本
発明の有機無機複合組成物で形成された表層部5aと構
造用組成物で形成された内層部5bを有している。
【0100】この実施の形態によれば、開閉器の電極開
閉時に電極の接点間でアークが発生する事によって生じ
る遊離炭素、金属蒸気、溶融金属液滴が、クロスバー表
層部5aを形成している有機無機複合組成物に含有して
いる150゜C以上で脱水反応する無機化合物から発生
する絶縁性付与ガスにより絶縁体化される。これによ
り、開閉器相間にかかるクロスバー表面も電気抵抗の低
下が防止され、開閉器相間の絶縁性が向上するという利
点がある。同時にアークによって発生した高圧蒸気によ
るクロスバーの破損をクロスバーの内層部5bを形成し
ている構造用組成物により防止するという利点もある。
【0101】実施の形態18.図6はトランスファー成
形により形成されたトリップバーの一部を切断した状態
を示す概略斜視図である。図において、トリップバー9
は本発明の有機無機複合組成物で形成され表層部9a
と、構造用組成物で形成され内層部9bを有している。
【0102】この実施の形態によれば、開閉器の電極開
閉時に電極の接点間でアークが発生する事によって生じ
る遊離炭素、金属蒸気、溶融金属液滴が、トリップバー
表層部9aを形成している有機無機複合組成物に含有し
ている150゜C以上で脱水反応する無機化合物から発
生する絶縁性付与ガスにより絶縁体化される。これによ
り、開閉器相間にかかるトリップバー表面も電気抵抗の
低下が防止され、開閉器相間の絶縁性が向上するという
利点がある。同時にアークによって発生した高圧蒸気に
よるトリップバーの破損をトリップバーの内層部9bを
形成している構造用組成物により防止するという利点も
ある。
【0103】実施の形態19.図7はトランスファー成
形により形成されたハンドルの一部を切断した状態を示
す概略斜視図である。図において、ハンドル7は、本発
明の有機無機複合組成物で形成され表層部7aと、構造
用組成物で形成された内層部7bを有している。
【0104】この実施の形態によれば、開閉器の電極開
閉時に電極の接点間でアークが発生する事によって生じ
る遊離炭素、金属蒸気、溶融金属液滴が、ハンドル表層
部7aを形成している有機無機複合組成物に含有してい
る150゜C以上で脱水反応する無機化合物から発生す
る絶縁性付与ガスにより絶縁体化される。これにより、
ハンドル7の表面も電気抵抗の低下が防止され、開閉器
の絶縁性が向上するという利点がある。同時にアークに
よって発生した高圧蒸気によるハンドルの破損をハンド
ルの内層部7bを形成している構造用組成物により防止
するという利点もある。
【0105】実施の形態20.図8は射出2色成形によ
り形成されたハンドルの一部を切断した状態を示す概略
斜視図である。図において、ハンドル7は本発明の有機
無機複合組成物で形成された内側部71aと、構造用組
成物で形成された外側部71bを有している。電極の接
点間でアークが発生する事によって生じる遊離炭素、金
属蒸気、溶融金属液滴が付着し、電気抵抗を低下させる
部分は、主に開閉器内部である。開閉器内部に面するハ
ンドル71a以外を構造用組成物で形成する事により、
ハンドルの開閉繰り返し強度を向上させる利点がある。
【0106】実施の形態21.図9はベースの概略斜視
図である。図において、筺体のベース2は、3極開閉器
の筺体のベースの接点周辺部位21aすなわち中央極部
位を、本発明の有機無機複合組成物で形成し、ベースの
その他の部分21bは構造用組成物で形成されている。
【0107】この実施の形態によれば、3極の開閉器の
場合、各極の接点間でアークが発生する事によって生じ
る遊離炭素、金属蒸気、溶融金属液滴が付着することに
起因する電気抵抗の低下のみならず、元来、電気的に導
通する金属材料で構成された開閉器の機構部が中央極に
あるため、左右両極と比較して、中央極の電源側/負荷
側の電気抵抗の低下が著しく悪い傾向にあった。べース
の接点周辺部位21aすなわち中央極部位を本発明の有
機無機複合組成物で形成することにより、中央極の電源
側/負荷側の絶縁抵抗の低下を向上させる利点がある。
同時にアークによって発生した高圧蒸気による筐体の破
損を、筐体のその他の部分21bを形成している構造用
組成物により防止するという利点がある。なお、これは
3極の開閉器に限定されたものではなく、2極や4極の
開閉器でも同様の効果がある。
【0108】なお、本発明の有機無機複合組成物からな
る成形品は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでも
よい。あらかじめ成形していた接点周辺部位の成形品を
射出2色成形する事により、容易に筺体のベースが得ら
れる。あるいは、有機無機複合組成物からなる材料また
は有機無機複合組成物からなる成形品を用いて、圧縮2
重成形する事により容易に筺体のベースが得られる。
【0109】実施の形態22.図10は、接点周辺部位
の有機無機複合組成物からなる成形品または有機無機複
合組成物からなる材料21を圧縮成形用金型の接点周辺
部位相当位置に設置し、熱硬化性樹脂の構造用組成物2
2をその他の位置に設置して成形する圧縮2重成形方法
を示す概略説明図である。この方法により、容易に筺体
のベースが得られる。
【0110】実施の形態23.図11は、接点周辺部位
の有機無機複合組成物からなる成形品または材料211
を、圧縮成形用金型の接点周辺部位相当位置に設置し、
熱硬化性樹脂からなるシート状の材料212即ちシート
状の構造用組成物で接点周辺部位の有機無機複合材料か
らなる成形品または材料211を覆って成形する圧縮2
重成形方法を示す概略説明図である。この方法により、
容易に筺体のベースが得られ、同時に金型の接点周辺部
位相当位置に設置した本発明の有機無機複合組成物が、
筺体のベースの外側に現れることがなく、ベースの外側
を熱硬化性樹脂からなるシート状の材料212即ちシー
ト状の構造用組成物で覆うため、アークによって発生し
た高圧蒸気による筐体の破損を防止する利点がある。
【0111】実施の形態24.図12はベースの概略斜
視図である。図において、筺体のベース2は電源側2C
を本発明の有機無機複合組成物で形成している。
【0112】この実施の形態によれば、ベースの電源側
2Cを本発明の有機無機複合組成物で形成する事によ
り、電極の接点間でアークが発生する事によって生じる
遊離炭素、金属蒸気、溶融金属液滴が付着することに起
因する電気抵抗の低下を防止する利点があると同時に、
開閉器の負荷側を材料単価が安価な構造用組成物で形成
する事による経済性の利点も有する。
【0113】実施の形態25.本発明の有機無機複合組
成物で筺体のベースの電源側を形成する製造方法につい
て説明する。
【0114】本発明の有機無機複合組成物は、熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。あらかじめ成形
していたベースの電源側の成形品を、射出2色成形する
事により容易に筺体のベースが得られる。また、有機無
機複合組成物からなる成形品を、圧縮成形用金型の電源
側に設置し、圧縮成形用金型の負荷側を熱硬化性樹脂か
らなる材料即ちシート状の構造用組成物を設置して成形
する事により、容易に筺体のベースが得られる。また、
本発明の熱硬化性樹脂の有機無機複合組成物からなる材
料を圧縮成形用金型の電源側に設置し、圧縮成形用金型
の負荷側に熱硬化性樹脂からなる材料即ちシート状の構
造用組成物を設置して成形する事により、容易に筺体の
ベースが得られるが、生産性の面からは、この製造方法
が好ましい。
【0115】次に、全体または一部が各種の有機無機複
合組成物からなる筺体、クロスバー、ハンドル、トリッ
プバーの少なくとも一つを有する開閉器について、次の
遮断試験及びメグ測定試験を行った。
【0116】(遮断試験)閉成状態において、3相46
0V/30KAの過剰の電流を流して、可動接点を開離
させ、アーク電流を発生させ、このアーク電流の遮断の
成功、および遮断後に回路遮断器の内部部品、筐体の破
損や亀裂がない事をもって合格とする試験。
【0117】(メグ測定試験)前記遮断試験後に、絶縁
抵抗をJIS C1302に記載の絶縁抵抗計を用いて
測定する試験。結果は絶縁抵抗の最低値を示す。実施試
料が筐体の場合には、各端子間、各電源負荷間の絶縁抵
抗を測定した。実施試料がハンドルの場合には、カバー
とハンドルとの間隙と、主回路間の絶縁抵抗を測定し
た。実施試料がトリップバーまたはクロスバーの場合に
は、当該部品の各端子間の表層の絶縁抵抗を測定した。
【0118】また、得られた有機無機複合組成物からな
る試験片を用いて、次の燃焼性試験を行った。
【0119】(燃焼性試験)UL94に記載の垂直燃焼
試験および水平燃焼試験。垂直試験に基づき、結果をV
−0相当、V−1相当、V−2相当で示す。水平試験結
果に基づき、結果をHB相当で示す。
【0120】まず、試料1〜試料14について説明す
る。表1及び表2に記載した配合の有機無機複合組成物
で図6に示すようなトリップバーを作製した。樹脂は酸
無水物系エポキシ樹脂を用いた。150゜C以上で脱水
反応する無機化合物は水酸化アルミニウムを用いた。強
化材はガラス繊維、炭酸カルシウムを用いた。比較例と
して、樹脂がポリブチレンテレフタレートを70wt%
含有し、強化材としてガラス繊維を30wt%含有した
組成物のトリップバーを用いた。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】次に、試料作製方法について説明する。ま
ず、エポキシ樹脂の主剤および硬化剤、水酸化アルミニ
ウム、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ブラックカーボン
を120゜C恒温槽にて約2時間、予備加熱した。つぎ
に、エポキシ樹脂の主剤、水酸化アルミニウム、炭酸カ
ルシウム、ガラス繊維を恒温槽から取り出し、水酸化ア
ルミニウム、炭酸カルシウムとガラス繊維とが均一にな
るように十分撹拌し、当該混合品を再び120゜C恒温
槽にて30分間再加熱を行った。つづいて、当該混合品
およびエポキシ樹脂の硬化剤を恒温槽から取り出し、エ
ポキシ樹脂の硬化剤を当該混合品に加え、十分撹拌し
た。このあとブラックカーボンを加え十分に撹拌した。
このようにして得られた有機無機複合組成物を真空脱泡
した。つづいて、この有機無機複合組成物を、あらかじ
め120゜C恒温槽で予備加熱していたトリップバーの
金型に注ぎ、真空脱泡した。つぎに120゜C恒温槽で
24時間硬化させた。金型からトリップバーの成形品を
取り出し、更に120゜C恒温槽で24時間加熱し、試
料とした。
【0124】このようにして得られたトリップバーを回
路遮断器に取り付け、前記の遮断試験を実施した。遮断
試験後、トリップバーの外観状態の目視観察、各端子間
のメグ測定を実施した。
【0125】その結果、上記表1及び表2から明らかな
ように試料1〜14で得られた本発明の有機無機複合組
成物からなるトリップバーは、遮断試験後に目視観察し
たところ、損傷がほとんどなく、メグ測定値も0.5M
Ω以上あり、良好であった。
【0126】次に、試料15〜31について説明する。
下記の表3〜4に記載した配合の有機無機複合組成物で
図7に示すようなハンドルを作製した。樹脂はメラミン
樹脂を用いた。150゜C以上で脱水反応する無機化合
物は水酸化アルミニウムを用いた。強化材はガラス繊
維、炭酸カルシウムを用いた。比較例として、樹脂がポ
リブチレンテレフタレートを70wt%含有し、強化材
としてガラス繊維を30wt%含有した組成物のハンド
ルを用いた。
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】次に、試料作製方法について説明する。ま
ず、固体粉末状のメラミン樹脂、酸性触媒、カーボンブ
ラック、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、炭酸カルシ
ウムをポリエチレン袋に入れ、十分に混練した。つぎ
に、当該混練物を100゜Cに保持したロールで5分間
混練し、室温で冷却後、粗粉砕機で5分間、更に微粉砕
機で5分間粉砕し、有機無機複合組成物を得た。
【0130】次に、射出成形にてハンドルを成形した。
このようにして得られたハンドルを回路遮断器に取り付
け、前記遮断試験を実施した。遮断試験後、ハンドルの
外観状態の目視観察、メグ測定を実施した。
【0131】その結果、上記表3及び表4から明らかな
ように試料15〜31で得られた本発明の有機無機複合
組成物からなるハンドルは、遮断試験後に目視観察した
ところ、損傷がほとんどなく、各端子間のメグ測定値も
0.5MΩ以上あり、良好であった。なお、メラミン樹
脂のかわりに、ユリア樹脂、メラミンフェノール樹脂、
ジアリルフタレート樹脂を用いても同様の良好な結果が
得られた。
【0132】次に、試料32〜43について説明する。
下記の表5〜6に記載した配合の有機無機複合組成物で
図12に示す筺体のベースを作製した。樹脂はノボラッ
ク系フェノール樹脂を用いた。150゜C以上で脱水反
応する無機化合物は水酸化アルミニウムを用いた。強化
材はガラス繊維、炭酸カルシウムを用いた。比較例とし
て、樹脂がポリエステルを25wt%、強化材としてガ
ラス繊維を15wt%、同じく炭酸カルシウムを60w
t%含有した組成物からなる筺体のベースを用いた。
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【0135】次に、試料作製方法について説明する。ま
ず、フェノール、ホルマリン、酸性触媒を100リット
ルの反応釜で温度80〜100゜Cで約6時間反応させ
た。その後、前記反応釜の真空脱水を約1時間行い、液
状のフェノールレジンを得た。この液状フェノールレジ
ンを空気中にて冷却し、固化させ粉砕した。粉砕したフ
ェノールレジン、ヘキサメチレンテトラアミン、カーボ
ンブラック、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、炭酸カ
ルシウムを、約40゜Cに保った100リットルのボー
ルミルに入れ、10分間混合した。次に、この混合物を
110゜Cに保ったロール機で5分間混練し、粗粉砕機
で5分間、更に微粉砕機で5分間粉砕し、有機無機複合
組成物を得た。つぎに図12に示す筺体のベースを作製
した。
【0136】このようにして得られた筺体のベースを用
いて前記遮断試験を実施した。遮断試験後、筺体のベー
スの外観状態の目視観察、各端子間のメグ測定実施し
た。
【0137】その結果、上記表5及び表6から明らかな
ように試料32〜43で得られた本発明の有機無機複合
組成物からなる筺体のベースは、遮断試験後に目視観察
したところ、損傷がほとんどなく、各端子間のメグ測定
値も0.5MΩ以上あり、良好であった。
【0138】次に、試料44〜73について説明する。
下記の表7〜9に記載した配合の有機無機複合組成物で
図12に示す筺体のベースを作製した。樹脂はポリエス
テルを用いた。150゜C以上で脱水反応する無機化合
物は水酸化アルミニウム用いた。強化材はガラス繊維、
炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイトを用いた。
比較例として、樹脂がポリエステルを25wt%、強化
材としてガラス繊維を15wt%、同じく炭酸カルシウ
ムを60wt%含有した組成物の筺体のベースを用い
た。
【0139】
【表7】
【0140】
【表8】
【0141】
【表9】
【0142】次に、試料作製方法について説明する。ま
ず、不飽和ポリエステル、スチレンビーズ、スチレンモ
ノマー、有機過酸化物、離型剤、増粘剤、カーボンブラ
ック、炭酸カルシウムまたはタルクまたはウォラストナ
イトを40゜Cに保持したニーダーに入れ、40分間混
練した。その後、当該混練物にガラス繊維を加え、さら
に5分間混練した。つぎに、ニーダーから混練物を取り
出し、室温で冷却した。その後、冷却した混練物をポリ
エチレン袋で密閉し、20゜Cの恒温室で72時間保持
し、これを有機無機複合組成物とした。つぎに圧縮成形
にて図12に示す筺体のベースを作製した。
【0143】このようにして得られた筺体のベースを用
いて前記の遮断試験を実施した。遮断試験後、筐体の外
観状態の目視観察、各端子間のメグ測定を実施した。
【0144】その結果、上記表7〜9から明らかなよう
に試料44〜73で得られた本発明の有機無機複合組成
物からなる筺体のベースは、遮断試験後に目視観察した
ところ、損傷がほとんどなく、各端子間のメグ測定値も
0.5MΩ以上あり、良好であった。
【0145】次に、試料74〜78について説明する。
下記の表10に記載した配合の有機無機複合組成物で図
8に示すようなハンドルを作製した。樹脂はポリアセタ
ールを用いた。200゜C以上で脱水反応する無機化合
物はカルシウムアルミネートを用いた。強化材はガラス
繊維を用いた。比較例として、樹脂としてポリブチレン
テレフタレートを70wt%含有し、強化材としてガラ
ス繊維を30wt%含有した組成物からなるハンドル用
いた。
【0146】
【表10】
【0147】次に、試料作製方法について説明する。ま
ず、ポリアセタールペレット(径2.5mm×長さ2.5
mm)、カルシウムアルミネート、ガラス繊維、離型剤と
してステアリン酸マグネシウム(0.2wt%)、安定
剤(0.4wt%)をビニール袋に入れ、手動にて十分
混合する。当該混合物を2軸3条練り押し出し機に入
れ、195゜Cで30秒間練る。当該混練物を2軸3条
練り押し出し機ノズルから出し、水槽にて冷却させなが
ら、カッティングし、有機無機複合組成物のペレット
(径1.5〜2.5mm×長さ2.5mm)を得た。つぎ
に、当該有機無機複合組成物のペレットからなるハンド
ルを作製した。
【0148】このようにして得られたハンドルを回路遮
断器に取り付け、前記遮断試験を実施した。遮断試験
後、ハンドルの外観状態の目視観察、メグ測定を実施し
た。
【0149】その結果、上記表10から明らかなように
試料74〜78で得られた本発明の有機無機複合組成物
からなるハンドルは、遮断試験後に目視観察したとこ
ろ、損傷がほとんどなく、メグ測定値も0.5MΩ以上
あり、良好であった。なお、ポリアセタールのかわりに
ポリアセタール系ポリマーアロイを用いても同様の良好
な結果が得られた。
【0150】次に、試料79〜85について説明する。
下記の表11に記載した配合の有機無機複合組成物で図
8に示すようなハンドルを作製した。樹脂はナイロン6
を用いた。250゜C以上で脱水反応する無機化合物は
水酸化マグネシウムを用いた。強化材はガラス繊維を用
いた。比較例として、樹脂がポリブチレンテレフタレー
トを70wt%含有し、強化材としてガラス繊維を30
wt%含有した組成物からなるハンドルを用いた。
【0151】
【表11】
【0152】次に、試料作製方法について説明する。ま
ず、ナイロン6ペレット(径2.5mm×長さ2.5m
m)、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、離型剤として
ステアリン酸マグネシウム(0.2wt%)、安定剤
(0.4wt%)をビニール袋に入れ、手動にて十分混
合する。当該混合物を2軸3条練り押し出し機に入れ、
255゜Cで30秒間練る。当該混練物を2軸3条練り
押し出し機ノズルから出し、水槽にて冷却させながら、
カッティングし、有機無機複合組成物のペレット(径
1.5〜2.5mm×長さ2.5mm)を得た。つぎに、当
該有機無機複合組成物のペレットからなるハンドルを作
製した。
【0153】このようにして得られたハンドルを回路遮
断器に取り付け、前記遮断試験を実施した。遮断試験
後、ハンドルの外観状態の目視観察、メグ測定を実施し
た。
【0154】その結果、上記の表11から明らかなよう
に試料79〜85で得られた本発明の有機無機複合組成
物からなるハンドルは、遮断試験後に目視観察したとこ
ろ、損傷がほとんどなく、メグ測定値も0.5MΩ以上
あり、良好であった。なお、ナイロンのかわりにポリブ
チレンテレフタレート、ナイロンMXD6、これらのポ
リマーアロイ、いずれを用いても同様の良好な結果が得
られた。
【0155】次に、試料86〜96について説明する。
下記の表12に記載した配合の有機無機複合組成物で図
8に示すようなハンドルを作製した。樹脂はナイロン4
6を用いた。340゜C以上で脱水反応する無機化合物
はカルシウムアルミネートを用いた。強化材はガラス繊
維を用いた。比較例として、樹脂がポリブチレンテレフ
タレートを70wt%含有し、強化材としてガラス繊維
を30wt%含有した組成物からなるハンドルを用い
た。
【0156】
【表12】
【0157】次に、試料作製方法について説明する。ま
ず、ナイロン46ペレット(径2.5mm×長さ2.5m
m)、カルシウムアルミネート、ガラス繊維、離型剤と
してステアリン酸マグネシウム(0.2wt%)、安定
剤(0.4wt%)をビニール袋に入れ、手動にて十分
混合する。当該混合物を2軸3条練り押し出し機に入
れ、330゜Cで30秒間練る。当該混練物を2軸3条
練り押し出し機ノズルから出し、水槽にて冷却させなが
ら、カッティングし、有機無機複合組成物のペレット
(径1.5〜2.5mm×長さ2.5mm)を得た。つぎ
に、当該有機無機複合組成物のペレットからなるハンド
ルを作製した。
【0158】このようにして得られたハンドルを回路遮
断器に取り付け、前記遮断試験を実施した。遮断試験
後、ハンドルの外観状態の目視観察、メグ測定を実施し
た。
【0159】その結果、上記表12から明らかなように
試料86〜96で得られた本発明の有機無機複合組成物
からなるハンドルは、遮断試験後に目視観察したとこ
ろ、損傷がほとんどなく、メグ測定値も0.5MΩ以上
あり、良好であった。なお、ナイロン46のかわりにポ
リフェニレンサルファイド、ナイロン6T、ナイロン6
6、ポリエチレンテレフタレート、これらのポリマーア
ロイ、いずれを用いても同様の良好な結果が得られた。
【0160】
【発明の効果】この発明に係る多極回路遮断器は、固定
接点に接離する可動接触子と、この可動接触子を開閉す
る開閉機構部と、上記可動接触子を共通に支持するクロ
スバーと、消弧板と消弧側板を有し、上記可動接触子と
上記固定接点間に発生したアークを消弧する消弧装置
と、上記隣接する可動接触子を隔離する相間壁を有する
ベースとこのベースに被せられるカバーで構成され、上
記可動接触子、上記クロスバー、上記消弧装置、及び上
記開閉機構部を収納する筐体を備えた多極回路遮断器に
おいて、樹脂、150°C以上で脱水反応する無機化合
物、及び強化材を含有した成形品をアーク発生時にアー
ク熱によって絶縁性付与ガスを発生するように上記筐体
に用いたので、機械的強度に優れ、金属腐食する成分が
析出することがなく、難燃性に優れるとともに、アーク
発生後の絶縁低下を防止でき、絶縁性能に優れる。
【0161】また、アーク発生時のアークと成形品の間
に消弧装置の消弧側板が介在するように構成したので、
さらにアーク発生後の絶縁低下を防止でき、絶縁性能に
優れる。
【0162】また、成形品は、熱硬化性樹脂が15〜6
5wt%、150゜C以上で脱水反応をする1種類以上
の無機化合物が80〜30wt%、かつ1種類以上の強
化材が5〜55wt%であり、かつ1種類以上の強化材
が5〜55wt%であるので、耐圧強度に優れる。
【0163】また、熱硬化性樹脂はポリエステルであっ
て、当該ポリエステルが15〜40wt%、150゜C
以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が80〜
35wt%、強化材が5〜50wt%であるので、高い
熱変形温度が得られ、耐熱性の向上を図ることができ
る。
【0164】また、熱硬化性樹脂はフェノール樹脂であ
り、当該フェノール樹脂が25〜60wt%、150゜
C以上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が70
〜35wt%、強化材が5〜40wt%であるので、高
い熱変形温度が得られ、耐熱性の向上を図ることができ
る。
【0165】また、熱硬化性樹脂はユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、メラミンフェノール樹脂、ジアリルフタレート
樹脂のいずれかであり、当該熱硬化性樹脂が30〜65
wt%、150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の
無機化合物が65〜30wt%、強化材が5〜40wt
%であるので、高い熱変形温度が得られ、耐熱性の向上
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回路遮断器の外観を示す概略斜視図である。
【図2】カバーを取り除いた状態を示す概略斜視図であ
る。
【図3】圧縮2重成形により形成された筺体のベースを
示す、一部を切断した概略斜視図である。
【図4】シート状有機無機複合組成物を用いた筺体のベ
ースの圧縮2重成形方法を示す概略説明図である。
【図5】トランスファー成形により形成されたクロスバ
ーを示す、一部を切断した概略斜視図である。
【図6】トランスファー成形により形成されたトリップ
バーを示す、一部を切断した概略斜視図である。
【図7】トランスファー成形により形成されたハンドル
を示す、一部を切断した概略斜視図である。
【図8】射出2色成形により形成されたハンドルを示
す、一部を切断した概略斜視図である。
【図9】筺体のベースを示す概略斜視図である。
【図10】筺体のベースの圧縮2重成形方法を示す概略
説明図である。
【図11】筺体のベースの圧縮2重成形方法を示す概略
説明図である。
【図12】筺体のベースを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 筺体 2 ベース 3 カバー 5 クロスバー 7 トリップバー 9 ハンドル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁科 健一 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社福 山製作所内 (72)発明者 福谷 和則 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社福 山製作所内 (72)発明者 山県 伸示 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社福 山製作所内 (72)発明者 高橋 貢 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社福 山製作所内 (72)発明者 加藤 和晴 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内 (72)発明者 山口 昌二 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内 (72)発明者 三橋 孝夫 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内 (72)発明者 足達 廣士 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内 (72)発明者 西山 逸雄 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 馬場 文明 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 山崎 悟 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社福 山製作所内 Fターム(参考) 5G030 BA02 BA05 FA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定接点に接離する可動接触子と、この
    可動接触子を開閉する開閉機構部と、上記可動接触子を
    共通に支持するクロスバーと、消弧板と消弧側板を有
    し、上記可動接触子と上記固定接点間に発生したアーク
    を消弧する消弧装置と、上記隣接する可動接触子を隔離
    する相間壁を有するベースとこのベースに被せられるカ
    バーで構成され、上記可動接触子、上記クロスバー、上
    記消弧装置、及び上記開閉機構部を収納する筐体を備え
    た多極回路遮断器において、 樹脂、150°C以上で脱水反応する無機化合物、及び
    強化材を含有した成形品をアーク発生時にアーク熱によ
    って絶縁性付与ガスを発生するように上記筐体に用いた
    ことを特徴とする多極回路遮断器。
  2. 【請求項2】 アーク発生時のアークと成形品の間に消
    弧装置の消弧側板が介在するように構成したことを特徴
    とする請求項1又は2記載の多極回路遮断器。
  3. 【請求項3】 成形品は、熱硬化性樹脂が15〜65w
    t%、150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無
    機化合物が80〜30wt%、かつ1種類以上の強化材
    が5〜55wt%であることを特徴とする請求項1記載
    の多極回路遮断器。
  4. 【請求項4】 熱硬化性樹脂はポリエステルであって、
    当該ポリエステルが15〜40wt%、150゜C以上
    で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が80〜35
    wt%、強化材が5〜50wt%であることを特徴とす
    る請求項3記載の多極回路遮断器。
  5. 【請求項5】 熱硬化性樹脂はフェノール樹脂であり、
    当該フェノール樹脂が25〜60wt%、150゜C以
    上で脱水反応をする1種類以上の無機化合物が70〜3
    5wt%、強化材が5〜40wt%であることを特徴と
    する請求項3記載の多極回路遮断器。
  6. 【請求項6】 熱硬化性樹脂はユリア樹脂、メラミン樹
    脂、メラミンフェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂
    のいずれかであり、当該熱硬化性樹脂が30〜65wt
    %、150゜C以上で脱水反応をする1種類以上の無機
    化合物が65〜30wt%、強化材が5〜40wt%で
    あることを特徴とする請求項3記載の多極回路遮断器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007042310A (ja) * 2005-08-01 2007-02-15 Fuji Electric Fa Components & Systems Co Ltd 開閉・制御機器
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