JP3490501B2 - 板状消弧材料、その製法および前記板状消弧材料を用いた開閉器 - Google Patents

板状消弧材料、その製法および前記板状消弧材料を用いた開閉器

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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
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    • H01H9/30Means for extinguishing or preventing arc between current-carrying parts
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板状消弧材料、その製
法および前記板状消弧材料を消弧室の側板に用いた開閉
器に関する。さらに詳しくは、すぐれた耐熱性、耐アー
ク性、耐熱衝撃性などを呈し、容易に調製することがで
き、たとえば電磁接触器、回路遮断器、限流器などの電
極の接点の開閉時に消弧室内に発生するアークのエネル
ギーを吸収、冷却して消滅させ、アーク熱から機器を保
護するとともに、電極開閉時に電極、接点およびその近
傍の金属から発生する金属蒸気および溶融金属液滴を絶
縁体化して電気抵抗の低下を防止する効果を有する板状
消弧材料、その製法および該板状消弧材料を消弧側板と
して用いた消弧室を有する開閉器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な消弧室を、図3に示す従来技術
の消弧室の一実施態様を示す概略斜視図によって説明す
る。
【0003】図3において、1は中央部にU字状のに切
込み1aを有する複数個の消弧用の磁性板で、たとえば
鉄板によって形成されている。7は、一対の絶縁物から
なる消弧側板で、磁性板1の両側部をカシメ部3によっ
て固定している。
【0004】また、図4は消弧室の消弧動作を示す従来
技術の開閉器の一実施態様を示すきりかき状部分断面側
面説明図である。図4において1、3、7は前記1、
3、7と同一部分を示す。4は固定接点、5は可動接点
である。
【0005】つぎに動作について説明する。
【0006】磁性板1および消弧側板7により構成され
た消弧室において、固定接点4および可動接点5は接触
状態(閉成状態)で通電されている。通電遮断時には可
動接点5を点線で示した位置方向(開成状態)に移動さ
せて行なわれるが、その際、固定接点4および可動接点
5の間隙にアークが発生し、該アークが矢印方向に伸長
されて消弧される。
【0007】ところで、従来より消弧室を構成する消弧
側板用材料としては、硬質ファイバー、この硬質ファイ
バーの内面にアスベストペーパーを貼付したもの、ある
いはガラス基材メラミン樹脂積層板、ガラスマットポリ
エステル樹脂積層板(特公平2−54609号公報)な
どの有機−無機質併用材料が主に使用されている。ま
た、無機質材料のみからなるものも、たとえばホウ酸−
酸化亜鉛系結合剤を用いたガラス繊維シートの積層板
(特公昭63−9335号公報)、種々焼成したセラミ
ック系材料などが使用されている。
【0008】しかしながら、硬質ファイバーは、消弧時
の熱により分解、またはアーク接触の反復により炭化し
て絶縁抵抗が著しく低下し、さらに熱収縮により変形す
るなどの問題がある。
【0009】また、該ファイバーにアスベストペーパー
を貼付したものは、アーク接触時の圧力によりアスベス
トが飛散し、接点4、5の間隙に入り、通電不良になる
おそれがある。
【0010】さらに、ガラス基材メラミン樹脂積層板に
おいては、消弧時の熱により分解、炭化などするという
問題を有する。
【0011】また、ガラスマットポリエステル樹脂積層
板は、結晶水を含む無機物質などの添加による耐アーク
性向上(つまり、これらに物理化学的に付着した水分の
遮断時の蒸発潜熱による冷却作用、あるいは遊離水分に
よる消弧作用の利用、また放熱、熱伝導向上など)のた
めに、無機質の充填剤としてたとえば水和アルミナ、水
酸化アルミニウムなどが添加されているのが一般的であ
るが、表層に耐アーク性に劣るガラス繊維および樹脂過
剰層が形成されるなど、表層の性質にばらつきが生じ、
所期の目的が達せられず、前記メラミン樹脂積層板と同
様の欠点を有している。
【0012】ところで、開閉器のアーク発生後の絶縁不
良は、有機物が熱分解して生成した炭素が消弧室の壁面
のみならず、開閉器内部の構成部品表面に付着すること
により、電気抵抗の低下を起こすことが原因であると考
えられてきている。かかる電気抵抗の低下を防止する方
法としては、炭素数が多い芳香環を含まず、水素原子を
多く含む有機物を用いる方法(特開昭63−31053
4号公報)、式: Al23・3H2O→Al23+3H2O 有機基(HC)+3H2O→CO(HC) で表わされるように、消弧体に水酸化アルミニウムを含
有させ、該水酸化アルミニウム(Al23・3H2O)
を出発物質とし、これから解離した結晶水と有機基(H
C)との反応による一酸化炭素や揮発性の炭化水素の形
成を利用する方法(特開平2−144844号公報)な
どが提案されている。
【0013】しかしながら、近年、電気機器の小型化や
軽量化に伴う開閉器の小型化および高容量化への要求が
高まるにしたがって、使用される有機物の部品が多くな
るとともに、アークにさらされて遊離炭素を発生する割
合が大きくなる。このため、たとえば特開昭63−31
0534号公報に記載されているように、アクリル酸エ
ステル共重合体や脂肪族炭化水素樹脂にガラス繊維を5
〜30%(重量%、以下同様)含有させ、炭素数が多い
芳香環を含まず、水素原子を多く含む有機物を用いる方
法が提案されているが、かかる方法によれば、電気抵抗
の低下を防止する効果が不充分であることがある。ま
た、特開平2−144844号公報に記載された水酸化
アルミニウムを含有した樹脂から形成された消弧体を用
いる方法では、水酸化アルミニウムから解離した結晶水
と有機系材料の有機基とを反応させた際には、確かに遊
離炭素の発生を抑制する効果がある程度は大きくなる
が、その一方でアークに暴露させた際の結晶水の急激な
気化に伴う膨張作用によって、有機系材料に亀裂が発生
して破損し、使用不可能となるおそれがある。
【0014】一方、無機質材料のみからなる特公昭63
−9335号公報記載のホウ酸−酸化亜鉛系結合剤を使
用したガラス繊維シートの積層板は、炭化・分解せず、
耐損耗性はすぐれるものの、遊離炭素による絶縁抵抗低
下防止効果が不充分で、量産性にも劣るものである。
【0015】また、セラミック系材料は、それ自体は炭
素を発生しないが、アークが発生し、急激に加熱される
と熱衝撃で破損しやすく、大事故につながる危険性があ
るほか、製造工程において、成形品を1300℃以上と
いった高温で焼成する必要があり、エネルギーロスと寸
法収縮を起こすため、複雑な形状の製品ほど歩留まりが
わるいなどの問題がある。
【0016】ところで、本発明者らが、開閉器の内面部
の付着物を詳細に分析したところ、前記遊離炭素以外に
も開閉器の電極開閉、発弧時に電極、接点およびその近
傍の金属から発生する金属蒸気や溶融金属液滴によって
も金属層が形成され、この形成された金属層が電気抵抗
の低下に大きく寄与していることが判明した。
【0017】したがって、従来の遊離炭素の付着の抑制
だけでは、電気抵抗の低下を充分に防止することができ
ない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のごと
き実情に鑑みてなされたものであり、すぐれた耐熱性、
耐アーク性、耐熱衝撃性などを呈し、容易に製造するこ
とができ、開閉器の電極の接点の開閉時に消弧室内に発
生するアークのエネルギーを吸収、冷却して消滅させ、
アーク熱から機器を保護するとともに、電極開閉時に電
極、接点およびその近傍の金属から発生する金属蒸気お
よび溶融金属液滴を絶縁体化して電気抵抗の低下を充分
に防止する効果を有する板状消弧材料、該消弧材料の製
法、さらには前記消弧材料を消弧室の消弧側板に用いた
開閉器を提供するためになされたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、強度
発現用無機質シートおよび無機質結合剤組成物(A)か
らなるシート状物を加圧成形・養生してなる板状消弧材
料であって、前記無機質結合剤組成物(A)が、絶縁性
付与ガス発生源化合物30〜45重量%、耐アーク性無
機質粉末0〜28重量%、第一リン酸金属塩水溶液40
〜65重量%および第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤2
〜10重量%からなり、かつ該第一リン酸金属塩水溶液
の硬化剤がウォラストナイト結晶であって、養生後の組
成が、強度発現用無機質シート35〜50重量%および
無機質結合剤組成物(B)50〜65重量%である板状
消弧材料(I)である。
【0020】請求項2の発明は、請求項1記載の板状消
弧材料(I)において、強度発現用無機質シートが、絶
縁性を有するガラス繊維より構成されたガラスマット、
ガラスクロスまたはセラミックファイバーを抄紙したセ
ラミックペーパーである。
【0021】請求項の発明は、請求項記載の板状消
弧材料(I)において、絶縁性付与ガス発生源化合物
が、水酸化アルミニウムである。
【0022】請求項の発明は、請求項記載の板状消
弧材料(I)において、第一リン酸金属塩が、第一リン
酸アルミニウムまたは第一リン酸マグネシウムである。
【0023】請求項の発明は、請求項記載の板状消
弧材料(I)において、第一リン酸金属塩水溶液が、濃
度25〜55%である。
【0024】請求項の発明は、強度発現用無機質シー
トおよび無機質結合剤組成物(A)からなるシート状物
を加圧成形・養生してなる板状消弧材料であって、前記
無機質結合剤組成物(A)が、絶縁性付与ガス発生源化
合物30〜50重量%、耐アーク性無機質粉末0〜20
重量%および縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50〜7
0重量%からなり、養生後の組成が、強度発現用無機質
シート35〜50重量%および無機質結合剤組成物
(B)50〜65重量%である板状消弧材料(I)であ
る。
【0025】請求項の発明は、請求項記載の板状消
弧材料(I)において、絶縁性付与ガス発生源化合物
が、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸
カルシウムである。
【0026】請求項の発明は、請求項記載の板状消
弧材料(I)において、縮合リン酸アルカリ金属塩が、
メタリン酸ナトリウムまたはメタリン酸カリウムであ
る。
【0027】請求項の発明は、請求項記載の板状消
弧材料(I)において、縮合リン酸アルカリ金属塩水溶
液が、濃度10〜40%である。
【0028】請求項10の発明は、請求項または
載の板状消弧材料(I)において、絶縁性付与ガス発生
源化合物が、縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液の硬化剤
としても作用するものである。
【0029】請求項11の発明は、請求項または
載の板状消弧材料(I)において、耐アーク性無機質粉
末が、酸化アルミニウム粉末、ジルコン粉末またはコー
ディエライト粉末である。
【0030】請求項12の発明は、絶縁性付与ガス発生
源化合物、耐アーク性無機質粉末、第一リン酸金属塩水
溶液および第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤からなり、
かつ該第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤がウォラストナ
イト結晶である無機質結合剤組成物(A)を、絶縁性付
与ガス発生源化合物30〜45重量%、耐アーク性無機
質粉末0〜28重量%および第一リン酸金属塩水溶液の
硬化剤であるウォラストナイト結晶2〜10重量%を混
合し、つぎに第一リン酸金属塩水溶液40〜65重量%
を添加・混練して調製する工程と、これに強度発現用無
機質シートを浸漬して、無機質結合剤組成物(A)を付
着させたシート状物を作製する工程と、80〜120℃
で乾燥させて該シート状物中の第一リン酸金属塩水溶液
の濃度を65〜85重量%に調整する工程と、該シート
状物を加圧成形し、120〜200℃で養生させて水分
を除去し硬化させたのち80℃以下に冷却する工程とか
らなる養生後の組成が強度発現用無機質シート35〜5
0重量%および無機質結合剤組成物(B)50〜65重
量%である板状消弧材料(I)の製法である。
【0031】請求項13の発明は、請求項12記載の製
法において、絶縁性付与ガス発生源化合物が水酸化アル
ミニウムであり、耐アーク性無機質粉末が酸化アルミニ
ウム粉末、ジルコン粉末またはコーディエライト粉末で
あり、第一リン酸金属塩水溶液が第一リン酸アルミニウ
ムまたは第一リン酸マグネシウムの濃度25〜55重量
%の水溶液である。
【0032】請求項14の発明は、絶縁性付与ガス発生
源化合物、耐アーク性無機質粉末および縮合リン酸アル
カリ金属塩水溶液からなる無機質結合剤組成物(A)
を、絶縁性付与ガス発生源化合物30〜50重量%およ
び耐アーク性無機質粉末0〜20重量%を混合し、つぎ
に縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50〜70重量%を
添加・混練して調製する工程と、これに強度発現用無機
質シートを浸漬して、無機質結合剤組成物()を付着
させたシート状物を作製する工程と、80〜120℃で
乾燥させて該シート状物中の縮合リン酸アルカリ金属塩
水溶液の濃度を65〜85重量%に調整する工程と、該
シート状物を加圧成形し、120〜200℃で養生させ
て水分を除去し硬化させたのち80℃以下に冷却する工
程とからなる養生後の組成が強度発現用無機質シート3
5〜50重量%および無機質結合剤組成物(B)50〜
65重量%である板状消弧材料の製法である。
【0033】請求項15の発明は、請求項14記載の製
法において、絶縁性付与ガス発生源化合物が水酸化マグ
ネシウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムであ
り、耐アーク性無機質粉末が酸化アルミニウム粉末、ジ
ルコン粉末またはコーディエライト粉末であり、縮合リ
ン酸アルカリ金属塩水溶液がメタリン酸ナトリウムまた
はメタリン酸カリウムの濃度10〜40%の水溶液であ
る。
【0034】求項12または14記載の製法におい
て、強度発現用無機質シートに無機質結合剤組成物
(I)または無機質結合剤組成物(II)を付着させた
シート状物における無機質結合剤組成物(I)または無
機質結合剤組成物(II)の付着量が、強度発現用無機
質シート100部(重量部、以下同様)に対して200
〜350部であると好ましい
【0035】圧成形する際に、80〜120℃で乾燥
させたシート状物を2枚以上重ね合わせて成形してもよ
【0036】圧成形する際に、無機質結合剤組成物
(A)を含有する強度発現用無機質シートの片面または
両面に、さらに絶縁性付与ガス発生源化合物を散布して
もよい
【0037】縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムで
あると好ましい
【0038】求項記載の無機質結合剤組成物を用い
て調製し、80〜120℃で乾燥させて第一リン酸金属
塩水溶液の濃度が65〜85%になるように調整したシ
ート状物の片面または両面に請求項記載の無機質結合
剤組成物を用いて調製したシート状物を80〜120℃
で乾燥させて該シート状物中の縮合リン酸アルカリ金属
塩水溶液の濃度が65〜85%になるように調整したの
ち重ね合わせ、該重ね合わせた積層材料を要求厚さに応
じて重ね合わせ、加圧成形し、120〜200℃で養生
させて水分の除去と硬化を促進させたのち、80℃以下
に冷却してもよい
【0039】状消弧材料(I)の打抜き加工時の発塵
防止処理として、コート剤を塗布・含浸する工程をさら
に有すると好ましい
【0040】ート剤が有機金属化合物(金属アルコキ
シド)または有機樹脂であると好ましい
【0041】請求項16の発明は、絶縁性付与ガス発生
源化合物40〜55重量%、耐アーク性無機質粉末25
〜40重量%、第一リン酸金属塩8〜18重量%、第一
リン酸金属塩の硬化剤5〜10重量%、水2.6〜12
重量%および強度発現無機質繊維2〜10重量%からな
り、該第一リン酸金属塩の硬化剤がウォラストナイト結
晶である無機質結合剤組成物(C)を加圧成形・養生し
てなる板状消弧材料(II)である。
【0042】請求項17の発明は、請求項16記載の板
状消弧材料(II)において、絶縁性付与ガス発生源化
合物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭
酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムである。
【0043】請求項18の発明は、請求項16記載の板
状消弧材料(II)において、耐アーク性無機質粉末
が、ジルコン粉末、コーディエライト粉末またはムライ
ト粉末である。
【0044】請求項19の発明は、請求項16記載の板
状消弧材料(II)において、第一リン酸金属塩が、第
一リン酸アルミニウム、第一リン酸マグネシウムまたは
第一リン酸ナトリウムである。
【0045】一リン酸金属塩に対する水の添加量が、
第一リン酸金属塩水溶液としたときの濃度が、60〜7
5%になる量であると好ましい
【0046】度発現無機質繊維が、無機質短繊維であ
と好ましい
【0047】機質短繊維が、天然鉱物繊維、セラミッ
クファイバーまたはセラミックウィスカであると好まし
【0048】然鉱物繊維が、第一リン酸金属塩の硬化
剤としても作用するウォラストナイト結晶であると好ま
しい
【0049】請求項20の発明は、絶縁性付与ガス発生
源化合物40〜55%、耐アーク性無機質粉末25〜4
0%、第一リン酸金属塩8〜18%および第一リン酸金
属塩の硬化剤5〜10%、水2.6〜12%および強度
発現無機質繊維2〜10%からなり、前記第一リン酸金
属塩の硬化剤がウォラストナイト結晶である無機質結合
剤組成物(C)を金型中で加圧成形したのち120〜2
00℃で養生させることを特徴とする板状消弧材料(I
I)の製法である。
【0050】縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウムま
たは炭酸カルシウムであると好ましい
【0051】アーク性無機質粉末が、ジルコン粉末、
コーディエライト粉末またはムライト粉末であると好ま
しい
【0052】一リン酸金属塩が、第一リン酸アルミニ
ウム、第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸ナトリ
ウムであると好ましい
【0053】請求項21の発明は、請求項1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、16、17、1
または19記載の板状消弧材料を消弧側板として用い
た消弧室が電極、接点近傍に配置されてなる開閉器であ
る。
【0054】
【作用】本発明の板状消弧材料(I)は、養生後の組成
が強度発現用無機質シート35〜50%および無機質結
合剤組成物(B)50〜65%からなる、無機質結合剤
組成物(B)の含有率の高い材料であるので、すぐれた
耐熱性、耐アーク性、耐熱衝撃性などを呈し、また、強
度発現用無機質シートの含有率が35〜50%であるの
で、すぐれた機械的強度、打抜き加工性などを呈し、し
かも容易に製造することができ、開閉器の電極の接点の
開閉時に消弧室内に発生するアークのエネルギーを吸
収、冷却して消滅させ、アーク熱から機器を保護する効
果を有する。
【0055】本発明の板状消弧材料(I)において、強
度発現用無機質シートが、絶縁性を有するガラス繊維よ
り構成されたガラスマット、ガラスクロスまたはセラミ
ックファイバーを抄紙したセラミックペーパーであるば
あいには、板状消弧材料(I)の機械的強度がすぐれ、
耐熱性が良好となる。
【0056】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)が、絶縁性付与ガス発生源化合
物30〜45%、耐アーク性無機質粉末0〜28%、第
一リン酸金属塩水溶液40〜65%および第一リン酸金
属塩水溶液の硬化剤2〜10%からなる無機質結合剤組
成物(I)であるばあいには、強度発現用無機質シート
を一体化し、機械的強度、耐アーク性、耐熱性などの良
好な板状消弧材料(I)を与えるとともに、電極開閉時
に電極、接点およびその近傍の金属から発生する金属蒸
気および溶融金属液滴を絶縁体化して電気抵抗の低下を
充分に防止する効果を有する。
【0057】本発明の板状消弧材料(I)において、絶
縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化アルミニウムであ
るばあいには、絶縁性付与ガスとして酸素原子・分子
(O、O2)が発生し、電気抵抗の低下防止効果が良好
となる。
【0058】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における第一リン酸金属塩が、
第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸マグネシウム
であるばあいには、水に対する溶解性、水溶液の粘度、
結合性が良好で結合剤として好ましい性状となり、無機
質結合剤組成物(A)を好ましく調製できる。
【0059】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における第一リン酸金属塩水溶
液が、濃度25〜55%であるばあいには、該水溶液の
濃度を65〜85%に調整しやすく、また絶縁性付与ガ
ス発生源化合物、耐アーク性無機質粉末の添加量を所定
の含有量とし、無機質結合剤組成物(A)の強度発現用
無機質シートへの付着が好ましくなされ、シート状物が
容易に作製できる。
【0060】本発明の板状消弧材料(I)において、第
一リン酸金属塩水溶液の硬化剤が、ウォラストナイト結
であり、150℃付近の加熱で第一リン酸金属塩に耐
水性を付与することができ、すぐれた耐水性を有する板
状消弧材料(I)をうることができる。
【0061】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)が、絶縁性付与ガス発生源化合
物30〜50%、耐アーク性無機質粉末0〜20%およ
び縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50〜70%からな
る無機質結合剤組成物(II)であるばあいには、前述
の無機質結合剤組成物(I)を用いるばあいより電気抵
抗の低下防止効果の大きい板状消弧材料(I)となる。
【0062】本発明の板状消弧材料(I)において、絶
縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、炭
酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムであるばあいに
は、水酸化アルミニウムを使用したばあいにくらべ、電
気抵抗の低下防止効果にすぐれた板状消弧材料(I)と
なる。
【0063】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における縮合リン酸アルカリ金
属塩が、メタリン酸ナトリウムまたはメタリン酸カリウ
ムであるばあいには、水に対する溶解性、水溶液の粘
度、結合性が良好で結合剤として好ましい性状となり、
無機質結合剤組成物(A)を好ましく調製できる。
【0064】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における縮合リン酸アルカリ金
属塩水溶液が、濃度10〜40%であるばあいには、該
水溶液の濃度を65〜85%に調整しやすく、また絶縁
性付与ガス発生源化合物、耐アーク性無機質粉末の添加
量を所定の含有量とし、無機質結合剤組成物(A)の強
度発現用無機質シートへの付着が好ましくなされ、シー
ト状物が容易に作製できる。
【0065】本発明の板状消弧材料(I)において、絶
縁性付与ガス発生源化合物が、縮合リン酸アルカリ金属
塩水溶液の硬化剤としても作用するばあいには、縮合リ
ン酸アルカリ金属塩と反応して縮合リン酸アルカリ金属
塩を好ましく耐水化させることができる。
【0066】本発明の板状消弧材料(I)において、耐
アーク性無機質粉末が、酸化アルミニウム粉末であるば
あいには、耐アーク性、電気絶縁性にすぐれ、硬化剤と
しても作用し、またジルコン粉末またはコーディエライ
ト粉末であるばあいには、耐アーク性にすぐれ、低熱膨
張性を有し、えられる板状消弧材料(I)が呈する耐熱
衝撃性を向上させる効果を有し、原料コストも安価であ
るという利点も有する。
【0067】本発明の板状消弧材料(I)は、強度発現
用無機質シートおよび無機質結合剤組成物(A)からな
るシート状物を、80〜120℃で乾燥させたのち加圧
成形し、120〜200℃で養生させて水分を除去し硬
化させたのち80℃以下に冷却することにより製造され
るので、容易に前記すぐれた板状消弧材料(I)をうる
ことができる。
【0068】本発明の前記製法において、加圧成形する
前のシート状物が、絶縁性付与ガス発生源化合物30〜
45%、耐アーク性無機質粉末0〜28%および第一リ
ン酸金属塩水溶液の硬化剤2〜10%を混合し、つぎに
第一リン酸金属塩水溶液40〜65%を添加・混練して
無機質結合剤組成物(I)を調製し、これに強度発現用
無機質シートを浸漬して無機質結合剤組成物(I)を付
着させたシート状物を作製したのち、80〜120℃で
乾燥させて該シート状物中の第一リン酸金属塩水溶液の
濃度を65〜85%に調整したものであるので、加圧成
形したばあいに無機質結合剤組成物(I)が強度発現用
無機質シートからはみ出ることなく強度発現用無機質シ
ートと一体化し、緻密で機械的強度などの良好な板状消
弧材料(I)をうることができる。
【0069】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が水酸化アルミニウムであり、耐アーク
性無機質粉末が酸化アルミニウム粉末、ジルコン粉末ま
たはコーディエライト粉末であり、第一リン酸金属塩水
溶液の硬化剤がウォラストナイト結晶または水酸化アル
ミニウムであり、第一リン酸金属塩水溶液が第一リン酸
アルミニウムまたは第一リン酸マグネシウムの濃度25
〜55%の水溶液であるばあいには耐アーク性、耐熱
性、耐熱衝撃性にすぐれ、電気抵抗の低下防止効果が良
好という効果を有する。
【0070】本発明の前記製法において、加圧成形する
前のシート状物が、絶縁性付与ガス発生源化合物30〜
50%および耐アーク性無機質粉末0〜20%を混合
し、つぎに縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50〜70
%を添加・混練して無機質結合剤組成物(II)を調製
し、これに強度発現用無機質シートを浸漬して無機質結
合剤組成物(II)を付着させたシート状物を作製した
のち、80〜120℃で乾燥させて該シート状物中の第
一リン酸金属塩水溶液の濃度を65〜85%に調整した
ものであるばあいには前述の無機質結合剤組成物(I)
を用いるばあいに比べてより電気抵抗の低下防止効果が
大きいという効果を有する。
【0071】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ムまたは炭酸カルシウムであり、耐アーク性無機質粉末
が酸化アルミニウム粉末、ジルコン粉末またはコーディ
エライト粉末であり、縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液
がメタリン酸ナトリウムまたはメタリン酸カリウムの濃
度10〜40%の水溶液であるばあいには、第一リン酸
金属塩水溶液を使用する前述の製法と比べてとくに電気
抵抗の低下防止効果が大きいという効果を有する。
【0072】本発明の前記製法において、強度発現用無
機質シートに無機質結合剤組成物(I)または無機質結
合剤組成物(II)を付着させたシート状物における無
機質結合剤組成物(I)または無機質結合剤組成物(I
I)の付着量が、強度発現用無機質シート100部に対
して200〜350部であるばあいには耐熱性、耐アー
ク性、耐熱衝撃性にすぐれるという効果を有する。
【0073】本発明の前記製法において、加圧成形する
際に、80〜120℃で乾燥させたシート状物を2枚以
上重ね合わせて成形するばあいには1枚のばあいより寸
法(厚さ)制御が容易で機械的強度が向上するという効
果を有する。
【0074】本発明の前記製法において、加圧成形する
際に、無機質結合剤組成物(A)を含有する強度発現用
無機質シートの片面または両面に、さらに絶縁性付与ガ
ス発生源化合物を散布するばあいには散布しないばあい
にくらべてさらに電気抵抗の低下防止効果が大きくなる
という効果を有する。
【0075】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシ
ウムまたは炭酸カルシウムであるばあいには水酸化アル
ミニウムを用いるばあいにくらべて、さらに電気抵抗の
低下防止効果が大きくなるという効果を有する。
【0076】 本発明の前記製法において、絶縁性付与
ガス発生源化合物30〜45%、耐アーク性無機質粉末
0〜28%、第一リン酸金属塩水溶液40〜65%およ
び第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤2〜10%からなる
無機質結合剤組成物(I)を用いて調製し、80〜12
0℃で乾燥させて第一リン酸金属塩水溶液の濃度が65
〜85%になるように調整したシート状物の片面または
両面に、絶縁性付与ガス発生源化合物30〜50%、耐
アーク性無機質粉末0〜20%および縮合リン酸アルカ
リ金属塩水溶液50〜70%からなる無機質結合剤組成
物(II)を用いて調製したシート状物を80〜120
℃で乾燥させて該シート状物中の縮合リン酸アルカリ金
属塩水溶液の濃度が65〜85%になるように調整した
のち重ね合わせ、該重ね合わせた積層材料を要求厚さに
応じて重ね合わせ、加圧成形し、120〜200℃で養
生させて水分の除去と硬化を促進させたのち、80℃以
下に冷却するばあいには無機質結合剤組成物(I)単独
のばあいにくらべて、より電気抵抗防止効果が大きいと
いう効果を有する。
【0077】本発明の前記製法において、板状消弧材料
(I)の打抜き加工時の発塵防止処理として、コート剤
を塗布・含浸する工程をさらに有するばあいには打抜き
加工時に切断または破断されることによって発生する繊
維粒子を低減するという効果を有する。
【0078】本発明の前記製法において、コート剤が有
機金属化合物(金属アルコキシド)または有機樹脂であ
るばあいには該コート剤と下地(素地)である板状消弧
材料(I)との結合性が良好で発塵防止性が大きいとい
う効果を有する。
【0079】本発明の板状消弧材料(II)は、絶縁性
付与ガス発生源化合物40〜55%、耐アーク性無機質
粉末25〜40%、第一リン酸金属塩8〜18%および
第一リン酸金属塩の硬化剤5〜10%、水2.6〜12
%および強度発現無機質繊維2〜10%からなる無機質
結合剤組成物(C)を加圧成形・養生してなる板状消弧
材料(II)であるので耐熱性、耐アーク性にすぐれる
という効果を有する。
【0080】本発明の板状消弧材料(II)において、
絶縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カル
シウムであるばあいには前述の無機質結合剤組成物(I
I)を用いて作製した板状消弧材料(I)と同様に、電
気抵抗の低下防止効果が大きいという効果を有する。
【0081】本発明の板状消弧材料(II)において、
耐アーク性無機質粉末が、ジルコン粉末、コーディエラ
イト粉末またはムライト粉末であるばあいには耐アーク
性とともに耐熱衝撃性にすぐれるという効果を有する。
【0082】本発明の板状消弧材料(II)において、
第一リン酸金属塩が、第一リン酸アルミニウム、第一リ
ン酸マグネシウムまたは第一リン酸ナトリウムであるば
あいには絶縁性付与ガス発生源化合物が硬化剤としても
作用し、良好な無機質結合剤となるという効果を有す
る。
【0083】本発明の板状消弧材料(II)において、
第一リン酸金属塩に対する水の添加量が、第一リン酸金
属塩水溶液としたときの濃度が60〜75%になる量で
あるばあいには加圧成形時に可塑性が生じ、緻密な成形
体がえられるという効果を有する。
【0084】本発明の板状消弧材料(II)において、
第一リン酸金属塩の硬化剤が、ウォラストナイト結晶、
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネ
シウムまたは炭酸カルシウムであるばあいには200℃
までの加熱処理で耐水性を有する成形体がえられるとい
う効果を有する。
【0085】本発明の板状消弧材料(II)において、
強度発現無機質繊維が、無機質短繊維であるばあいには
耐熱性にすぐれるとともに均質に分散するという効果を
有する。
【0086】本発明の板状消弧材料(II)において、
無機質短繊維が、天然鉱物繊維、セラミックファイバー
またはセラミックウィスカであるばあいにはさらに機械
的強度および耐アーク性にすぐれるという効果を有す
る。
【0087】本発明の板状消弧材料(II)において、
天然鉱物繊維が、第一リン酸金属塩の硬化剤としても作
用するウォラストナイト結晶であるばあいには未反応繊
維成分が機械的強度を向上させ、反応成分が耐水性を付
与するという効果を有する。
【0088】本発明の板状消弧材料(II)は、絶縁性
付与ガス発生源化合物40〜55%、耐アーク性無機質
粉末25〜40%、第一リン酸金属塩8〜18%および
第一リン酸金属塩の硬化剤5〜10%、水2.6〜12
%および強度発現無機質繊維2〜10%からなる無機質
結合剤組成物(C)を金型中で加圧成形したのち120
〜200℃で養生させることにより製造されるので、多
くのばあい外形加工などが不要で、そのまま消弧板など
の最終製品をうることができる。
【0089】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムである
ばあいには絶縁性付与ガスとして酸素原子・分子(O、
2)、炭酸ガス(CO2)、一酸化炭素(CO)が発生
し、電気抵抗の低下防止効果が大きいという効果を有す
る。
【0090】本発明の前記製法において、耐アーク性無
機質粉末が、ジルコン粉末、コーディエライト粉末また
はムライト粉末であるばあいには耐アーク性にすぐれる
ことに加え、耐熱衝撃性もすぐれるという効果を有す
る。
【0091】本発明の前記製法において、第一リン酸金
属塩が、第一リン酸アルミニウム、第一リン酸マグネシ
ウムまたは第一リン酸ナトリウムであるばあいには結合
力の強い無機質結合剤組成物(C)がえられるという効
果を有する。
【0092】本発明の前記製法において、第一リン酸金
属塩の硬化剤が、ウォラストナイト結晶、水酸化マグネ
シウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウムまたは
炭酸カルシウムであるばあいには耐水性が200℃まで
の加熱処理で発現し、機械的強度も向上するという効果
を有する。
【0093】本発明の開閉器は、請求項1〜11のいず
れか、または請求項1619のいずれかに記載の板状
消弧材料(I)または(II)を消弧側板として用いた
消弧室が電極、接点近傍に配置されてなる開閉器である
ので、遮断性能、耐久性能、絶縁抵抗向上性能がすぐれ
たものとなる。
【0094】
【実施例】本発明の板状消弧材料(I)は、強度発現用
無機質シートおよび無機質結合剤組成物(A)からなる
シート状物を加圧成形・養生してなる、養生後の組成が
強度発現用無機質シート35〜50%および無機質結合
剤組成物(B)50〜65%である板状消弧材料であ
る。
【0095】前記強度発現用無機質シートは、えられる
板状消弧材料にすぐれた機械的強度を付与するためのも
のであり、従来から板状消弧材料の製造に使用されてい
る強度発現用無機質シートであるかぎりとくに限定なく
使用しうる。
【0096】前記強度発現用無機質シートの具体例とし
ては、たとえば良好な絶縁性を有するEガラス、Sガラ
ス、Dガラスまたはシリカガラスなどのガラス繊維より
構成されたガラスマットやガラスクロス、アルミナファ
イバー、アルミノシリケートファイバーなどのセラミッ
クファイバーを抄紙してえられる厚さ0.5〜2.0m
m程度のセラミックペーパーなどがあげられ、通常の市
販品を用いることができる。
【0097】前記無機質結合剤組成物(A)は、強度発
現用無機質シートを一体化し、機械的強度、耐熱性、耐
アーク性、耐熱衝撃性などの良好な板状消弧材料を与え
るとともに、開閉器の電極の接点の開閉時に消弧室にア
ークが発生した際のアークのエネルギーを吸収・冷却し
て消滅させ、アーク熱から機器を保護するとともに、電
極開閉時に電極、接点およびその近傍の金属から発生す
る金属蒸気および溶融金属液滴を絶縁体化して電気絶縁
抵抗をよくするための成分である。
【0098】前記シート状物を製造するのに用いる無機
質結合剤組成物(A)としては、前記のごとき作用をは
たすものであるかぎりとくに限定はないが、たとえば絶
縁性付与ガス発生源化合物30〜45%、耐アーク性無
機質粉末0〜28%、第一リン酸金属塩水溶液40〜6
5%および第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤2〜10%
からなる無機質結合剤組成物(I)、絶縁性付与ガス発
生源化合物30〜50%、耐アーク性無機質粉末0〜2
0%および縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50〜70
%からなる無機質結合剤組成物(II)などがあげられ
る。
【0099】前記無機質結合剤組成物(A)のうちの無
機質結合剤組成物(I)について、まず説明する。
【0100】無機質結合剤組成物(I)における絶縁性
付与ガス発生源化合物は、開閉器の電極開閉時に発生す
るアークによってガスを発生し、アークによって発生す
る、電極、接点およびその近傍の金属からの金属蒸気お
よび溶融金属液滴を、絶縁体化するために使用するもの
である。
【0101】前記金属から発生する金属蒸気および溶融
金属液滴をガス発生源化合物から発生した絶縁性付与ガ
スによって絶縁体化させる過程は、つぎのとおりである
と考えられる。
【0102】すなわち、開閉器の消弧室に設置した電極
の開閉時に、電極の接点間でアークが発生し、通常40
00〜6000℃程度の温度になる。この結果、電極、
接点およびその近傍の金属が加熱され、該金属から金属
蒸気や溶融金属液滴が発生して飛散する。このとき、発
生したアークのみならず、金属蒸気や溶融金属液滴によ
って、消弧室の消弧側板内に含有させた絶縁性付与ガス
発生源化合物が加熱され、絶縁性付与ガスが発生する。
【0103】前記絶縁性付与ガスとは、金属蒸気および
溶融金属液滴を絶縁体化させる性質を有するガスのこと
である。
【0104】前記金属蒸気および溶融金属液滴を絶縁体
化させる絶縁性付与ガスは、金属蒸気および溶融金属液
滴と反応するガスである。
【0105】前記金属蒸気および溶融金属液滴と反応す
るガスが発生したばあいには、かかるガスと金属蒸気や
溶融金属液滴とが反応し、該ガスと金属蒸気や溶融金属
液滴との反応生成物が飛翔し、さらには未反応の絶縁性
付与ガス発生源化合物なども飛翔し、このように絶縁体
化されたものや本来絶縁性のものが消弧室の壁面のみな
らず開閉器内部の構成部品表面に付着する。
【0106】このように、従来電気抵抗の低下に大きく
寄与していた金属蒸気や溶融金属液滴が絶縁体化され、
電気抵抗の低下が防止され、アーク発生後の絶縁不良が
抑制される。
【0107】なお、アークによって電極、接点およびそ
の近傍の金属から勢いよく飛翔している金属蒸気や溶融
金属液滴が絶縁体化される際には、発生した絶縁性付与
ガスは、アークによって高圧金属蒸気が発生し膨張する
ため接点部分に近づくことができず、該接点部分には金
属蒸気や溶融金属液滴が絶縁体化した層は形成されず、
通電自体を妨げるようなことはない。
【0108】前記のごとき金属蒸気および溶融金属液滴
と反応するガスを発生する絶縁性付与ガス発生源化合物
の例としては、たとえば金属水酸化物、金属炭酸化物な
どがあげられる。これらは絶縁性付与効果が大きいとい
う点から好ましく用いられる。
【0109】前記金属水酸化物の代表例としては、たと
えば水酸化亜鉛(Zn(OH)2)、水酸化アルミニウ
ム(Al(OH)3)、水酸化カルシウム(Ca(O
H)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などが
あげられる。
【0110】また、前記金属炭酸化物の代表例として
は、たとえば炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグ
ネシウム(MgCO3)、ドロマイト(CaMg(C
32)などがあげられる。
【0111】これらのうちでは水酸化アルミニウムが、
第一リン酸金属塩水溶液との反応が急激でなく、無機質
結合剤組成物(I)としての適度な粘性を保持し、また
絶縁性付与効果が大きい点から好ましい。
【0112】前記金属蒸気および溶融金属液滴と反応す
るガスを発生する絶縁性付与ガス発生源化合物は、単独
で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
【0113】なお、前記絶縁性付与ガス発生源化合物が
粉粒体であるばあい、かかる粉粒体の平均粒子径にはと
くに限定はないが、無機質結合剤組成物(A)中での混
合性、板状消弧材料としての成形性、コストなどを考慮
すれば、たとえば金属水酸化物のばあいには、通常0.
6〜40μm程度、金属炭酸化物のばあいには、通常
0.3〜20μm程度であるのが好ましい。
【0114】無機質結合剤組成物(I)における耐アー
ク性無機質粉末は、えられる板状消弧材料(I)にすぐ
れた耐アーク性を付与する成分である。
【0115】前記耐アーク性無機質粉末としては、たと
えば酸化アルミニウム粉末(アルミナ粉末、Al2O
3)、ジルコン粉末(珪酸ジルコニウム、ZrO2・S
iO2)、コーディエライト粉末(2MgO・2Al2
3・5SiO2)、ムライト粉末(3Al23・2SiO
2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム
(ZrO2)などがあげられる。これらは単独で用いて
もよく、2種以上併用してもよい。
【0116】これらのなかでは、酸化アルミニウム粉
末、ジルコン粉末、コーディエライト粉末およびムライ
ト粉末が下記の点から好ましい。
【0117】すなわち、前記酸化アルミニウム粉末は、
耐アーク性、電気絶縁性にすぐれ、また後述する第一リ
ン酸金属塩水溶液ならびに縮合リン酸アルカリ塩水溶液
の硬化剤としても作用するので、本発明において好適に
用いられる。
【0118】前記ジルコン粉末は、耐アーク性にすぐ
れ、低熱膨張性を有し、えられる板状消弧材料が呈する
耐熱衝撃性を向上させる効果を有するほか、原料コスト
が安価であるという利点も有する。
【0119】前記コーディエライト粉末は、耐アーク性
にすぐれ、低熱膨張性を有し、えられる板状消弧材料が
呈する耐熱衝撃性を向上させる効果を有するほか、原料
コストが安価であるという利点も有する。
【0120】前記ムライト粉末は、耐熱性にすぐれ、低
熱膨張性を有し、えられる板状消弧材料が呈する耐熱衝
撃性を向上させる効果を有するほか、原料コストが安価
であるという利点も有する。
【0121】なお、前記耐アーク性無機質粉末の平均粒
子径にはとくに限定はないが、通常0.3〜40μm程
度であることが、混合性、分散性、コストの点から好ま
しい。
【0122】無機質結合剤組成物(I)における第一リ
ン酸金属塩水溶液は、強度発現用無機質シート、絶縁性
付与ガス発生源化合物、耐アーク性無機質粉末、第一リ
ン酸金属塩水溶液の硬化剤などの結合剤として作用する
成分である。
【0123】前記第一リン酸金属塩の具体例としては、
たとえば第一リン酸アルミニウム、第一リン酸マグネシ
ウム、第一リン酸亜鉛、第一リン酸カルシウムなどがあ
げられる。なかでも第一リン酸アルミニウム、第一リン
酸マグネシウムが水に対する溶解性が大きく、水溶液の
粘度が結合剤として好適な粘性を有している、すなわち
無機質結合剤組成物(I)の他の成分との混合に際して
混合が容易な程度に低く、結合性が強度発現用無機質シ
ートに付着させるに良好であるなど、無機質結合剤組成
物(I)を調製するのに好ましい特性を有するため、好
適に用いられる。
【0124】前記第一リン酸金属塩水溶液の濃度は、低
すぎるばあいには、シート状物を加圧成形するために該
水溶液の濃度を65〜85%に調整して板状消弧材料と
する際に、余剰の水分を除去するのに長時間を要するよ
うになる傾向が生ずるため、25%以上、さらには30
%以上であることが好ましく、また高すぎるばあいに
は、粘度が高くなるとともに絶縁性付与ガス発生源化合
物、耐アーク性無機質粉末の添加量が所定の含有量にで
きないばかりか硬化剤との反応が急速に進行し、板状消
弧材料の製造が困難となる傾向が生ずるため、55%以
下、さらには50%以下であるのが好ましい。
【0125】ところで、前記第一リン酸金属塩である第
一リン酸アルミニウムは、式:Al(H2PO43で表
わされ、該第一リン酸アルミニウムは、500℃未満の
加熱では水溶性であるため、耐水性、電気絶縁性におと
る。したがって、かかる第一リン酸アルミニウムに耐水
性を発現させるためには、500℃以上の加熱が必要で
ある。第一リン酸マグネシウム(Mg(H2PO43
についても同様である。したがって前記第一リン酸金属
塩に耐水性を発現させるためには、以下の硬化剤が必要
である。
【0126】無機質結合剤組成物(I)における第一リ
ン酸金属塩の硬化剤としては、ウォラストナイト結晶
(CaO・SiO2あげられる。
【0127】ォラストナイト結晶は、150℃付近の
加熱で第一リン酸金属塩に耐水性を付与することのでき
る硬化剤であり、本発明者らが、第一リン酸金属塩に適
用しうる水酸化アルミニウム以外の硬化剤について鋭意
研究を重ねた結果、見出したものである。
【0128】前記硬化剤の平均粒子径にはとくに限定は
ないが、通常60μm程度以下、なかんづく2〜40μ
m程度であるのが混合性、分散性、コストの点から好ま
しい。
【0129】無機質結合剤組成物(I)における前記絶
縁性付与ガス発生源化合物の含有量は、少なすぎるばあ
いには、第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤として消費さ
れ、本来の作用である絶縁性付与ガスの発生が起こらな
いことになるので、30%以上、さらには35%以上が
好ましく、また多すぎるばあいには、第一リン酸金属塩
の結合剤としての効果が生じる範囲以上に含まれること
になり、嵩高で強度が小さく、破損しやすくなり、緻密
な板状消弧材料をうることが困難になるので、45%以
下、さらには40%以下が好ましい。
【0130】無機質結合剤組成物(I)における耐アー
ク性無機質粉末の含有量は、多すぎるばあいには、えら
れる板状消弧材料の耐アーク性はすぐれるものの、強度
が低下して破損しやすくなるので、28%以下、さらに
は25%以下が好ましい。耐アーク性無機質粉末を用い
ないばあいには、その分を絶縁性付与ガス発生源化合物
で置換することにより、耐アーク性の低下を抑制するこ
とができるため、下限値の限定はないが、耐アーク性無
機質粉末を用いる効果をうるためには10%程度以上用
いるのが好ましい。
【0131】無機質結合剤組成物(I)における第一リ
ン酸金属塩水溶液の含有量は、少なすぎるばあいには、
緻密な板状消弧材料がえられにくくなるので、40%以
上、さらには45%以上が好ましく、また多すぎるばあ
いには、硬化剤による耐水性の付与が困難になるばかり
か、強度発現用無機質シートへの水溶液付着量が減少
し、えられた板状消弧材料の強度がおとるようになるの
で、65%以下、さらには60%以下が好ましい。
【0132】無機質結合剤組成物(I)における前記第
一リン酸金属塩水溶液の硬化剤の含有量は、少なすぎる
ばあいには、第一リン酸金属塩の耐水性の発現温度が硬
化剤を用いないばあいと大差がなく、500℃付近での
加熱を要するようになるので、無機質結合剤組成物
(I)の2%以上、さらには3%以上が好ましく、また
多すぎるばあいには、第一リン酸金属塩水溶液の硬化が
速くなりすぎるために作業に使える時間が短くなり、た
とえば無機質結合剤組成物(I)の調製時に固化物とな
り、以降の作業を行なうことができなくなるなどの問題
が発生するので、無機質結合剤組成物(I)の10%以
下、さらには5%以下が好ましい。
【0133】前記範囲内で硬化剤を用いたばあいには、
作業時間が充分に確保でき、第一リン酸金属塩水溶液の
耐水性の発現温度も150〜200℃付近となり、板状
消弧材料が調製しやすく、かつ、えられる板状消弧材料
が耐アーク性、機械的強度、耐熱衝撃性にすぐれたもの
となる。
【0134】なお、前記硬化剤としてウオラストナイト
結晶を用いるばあいには前記含有量そのままでよいが、
前記絶縁性付与ガス発生源化合物としても作用する水酸
化アルミニウムを併用するばあいには、硬化剤として使
用する量と絶縁性付与ガス発生源化合物として使用する
量との合計量を使用することが必要である。水酸化アル
ミニウムの硬化剤としての必要量は、無機質結合剤組成
物(A)中の水酸化アルミニウムの量を徐々にふやしな
がら板状消弧材料を製造したばあいに、硬化が不充分で
なくなる最少量が硬化剤としての水酸化アルミニウムの
量になり、それをこえて使用した水酸化アルミニウムの
量が絶縁性付与ガス発生源化合物としての量になる。前
記硬化剤としてウオラストナイト結晶と水酸化アルミニ
ウムとを併用するばあいも、硬化剤としての水酸化アル
ミニウムの量と絶縁性付与ガス発生源化合物としての水
酸化アルミニウムの量を決めることができる。
【0135】本発明においては、硬化剤としてウォラス
トナイト結晶を用い、水酸化アルミニウムは、絶縁性付
与ガス発生源化合物としてアークによる絶縁抵抗の低下
防止のために作用するようにするのが絶縁性および耐水
性付与の点から好ましい。
【0136】つぎに、前記無機質結合剤組成物(II)
について説明する。
【0137】無機質結合剤組成物(II)における絶縁
性付与ガス発生源化合物の使用目的、絶縁性付与ガス発
生源化合物の具体例などは、無機質結合剤組成物(I)
における絶縁性付与ガス発生源化合物と同じなので、こ
こでは説明を省略する。ただし、絶縁性付与ガス発生源
化合物が、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムまた
は炭酸カルシウムであるのが、板状消弧材料製造の乾燥
時に縮合リン酸アルカリ金属塩と一部反応し、さらに加
圧成形し、120〜200℃での養生時に10〜25%
反応して、無機質結合剤組成物(I)のばあいと同様
に、耐水性を付与する硬化剤としても作用するという点
から好ましい。
【0138】なお、前記水酸化マグネシウム、炭酸マグ
ネシウムまたは炭酸カルシウムは、常温では縮合リン酸
アルカリ金属塩水溶液に溶解せず、懸濁状態を呈する。
【0139】また、無機質結合剤組成物(II)におけ
る耐アーク性無機質粉末の使用目的、アーク性無機質粉
末の具体例なども、無機質結合剤組成物(I)における
耐アーク性無機質粉末と同じなので、ここでは説明を省
略する。
【0140】一方、無機質結合剤組成物(II)におけ
る縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液は、無機質結合剤組
成物(I)における第一リン酸金属塩水溶液のばあいと
同様に結合剤として作用する成分である。
【0141】前記縮合リン酸アルカリ金属塩の具体例と
しては、たとえばメタリン酸ナトリウム、メタリン酸カ
リウム、メタリン酸リチウムなどがあげられる。なかで
もメタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウムが水に対
する溶解性が良好で、水溶液の粘度が結合剤として好適
な粘性を有している、すなわち無機質結合剤組成物(I
I)の他の成分との混合に際して混合が容易な程度に低
く、結合性が強度発現用無機質シートに付着させるに良
好であるなど、無機質結合剤組成物(II)を調製する
のに好ましい特性を有し、前述の絶縁性付与ガス発生源
化合物との常温における反応性が低いことから好適に用
いられる。
【0142】前記縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液の濃
度は、低すぎるばあいには、シート状物を加圧成形する
ために該水溶液の濃度を65〜85%に調整して板状消
弧材料とする際に、余剰の水分を除去するのに長時間を
要するようになる傾向が生ずるため、10%以上、さら
には12%以上であることが好ましく、また高すぎるば
あいには、粘度が高くなるとともに絶縁性付与ガス発生
源化合物、耐アーク性無機質粉末の添加量が所定の含有
量にできないばかりか硬化剤との反応が急速に進行し、
板状消弧材料の製造が困難となる傾向が生ずるため、4
0%以下、さらには30%以下であるのが好ましい。
【0143】無機質結合剤組成物(II)中の絶縁性付
与ガス発生源化合物の使用量は、少なすぎるばあいに
は、絶縁性付与ガス発生源化合物としての効果が低下し
てしまうので、無機質結合剤組成物(II)の30%以
上、さらには35%以上が好ましい。また多すぎるばあ
いには、縮合リン酸アルカリ金属塩の結合剤としての効
果が生じる範囲以上に含まれることになり、板状消弧材
料が嵩高で、強度が小さく破損しやすくなるなどし、ば
あいによっては無機質結合剤組成物(II)がままこ状
態となって調製が困難となり、以降の作業を行なうこと
ができなったするので、無機質結合剤組成物(II)の
50%以下、さらには45%以下が好ましい。
【0144】前記範囲内で絶縁性付与ガス発生源化合物
を用いたばあいには、作業時間を充分にとることがで
き、縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液の耐水性の発現温
度も150〜200℃付近となり、板状消弧材料が調製
しやすく、かつえられた板状消弧材料が耐アーク性、強
度、耐熱衝撃性にすぐれたものとなる。
【0145】無機質結合剤組成物(II)における耐ア
ーク性無機質粉末の含有量は、多すぎるばあいには、え
られる板状消弧材料の耐アーク性はすぐれるものの、強
度が低下して破損しやすくなるので、20%以下、さら
には15%以下が好ましい。耐アーク性無機質粉末を用
いないばあいには、その分を絶縁性付与ガス発生源化合
物で置換することにより、耐アーク性の低下を抑制する
ことができるため、下限値の限定はないが、耐アーク性
無機質粉末を用いる効果をうるためには10%程度以上
用いるのが好ましい。
【0146】無機質結合剤組成物(II)における縮合
リン酸アルカリ金属塩の水溶液の含有量は、少なすぎる
ばあいには、緻密な板状消弧材料がえられにくくなるの
で、50%以上、さらには55%以上が好ましく、また
多すぎるばあいには、強度発現用無機質シートへの水溶
液付着量が減少し、えられた消弧材料の強度がおとるよ
うになるので、70%以下、さらには65%以下が好ま
しい。
【0147】本発明の板状消弧材料(I)は、前述のご
とき、強度発現用無機質シートおよび無機質結合剤組成
物(A)からシート状物を調製し、加圧成形・養生した
ものである。加圧成形・養生の内容については、後記の
板状消弧材料(I)の製法の記載と重複するので、該製
法のところで説明する。
【0148】前記シート状物を調製する際に、前記のご
とき原材料のほかに、本発明の目的を阻害しない範囲内
で、必要に応じて、たとえばメチルセルロース、ポリビ
ニルアルコールなどの結合剤、ガラスフリット、セラミ
ックカラーなどの着色剤などを適宜配合してもよい。
【0149】なお、本発明の板状消弧材料(I)を構成
する無機質結合剤組成物(B)は、強度発現用無機質シ
ートを一体化し、機械的強度、耐熱性、耐アーク性、耐
熱衝撃性などの良好な板状消弧材料を与えるとともに、
開閉器の電極の接点の開閉時に消弧室にアークが発生し
た際のアークのエネルギーを吸収・冷却して消滅させ、
アーク熱から機器を保護するとともに、電極開閉時に電
極、接点およびその近傍の金属から発生する金属蒸気お
よび溶融金属液滴を絶縁体化して電気絶縁抵抗をよくす
るための成分である。
【0150】無機質結合剤組成物(B)は、強度発現用
無機質シートに付着した無機質結合剤組成物(A)が乾
燥および加圧成形・養生されたのちのものである。した
がって、無機質結合剤組成物(A)中の第一リン酸金属
塩または縮合リン酸アルカリ金属塩の水溶液由来の水分
がなくなり、他方固形分は硬化反応後も全量付着した状
態となっている。また、えられた板状消弧材料(I)を
200℃に加熱して減量の有無を調べたところ、減量し
なかった。よって、無機質結合剤組成物(B)のおおよ
その組成は、無機質結合剤組成物(A)として無機質結
合剤組成物(I)を用いたばあいにえられる、絶縁性付
与ガス発生源化合物40〜55%、耐アーク性無機質粉
末0〜34%および第一リン酸金属塩反応硬化物26〜
45%のものがあり、また無機質結合剤組成物(A)と
して無機質結合剤組成物(II)を用いたばあいにえら
れる、絶縁性付与ガス発生源化合物42〜65%、耐ア
ーク性無機質粉末0〜28%および縮合リン酸アルカリ
金属塩の硬化物34〜40%のものなどがある。なお、
第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤は、必ずしも100%
反応するとは限らないが、全量反応するとして第一リン
酸金属塩反応硬化物のなかに含めて記載した。
【0151】本発明の板状消弧材料(I)における強度
発現用無機シートの含有量は、少なすぎるばあいには、
無機質結合剤組成物(B)の付着量が多いことになり、
板状消弧材料が呈する耐アーク性、絶縁付与ガス発生効
果にすぐれるものの、消弧側板形状加工性がおとるばか
りか、消弧室に組み込んで遮断動作したばあい、アーク
熱や振動、絶縁性付与ガス発生により剥離・脱落して消
弧特性を保持することができなくなるので、35%以
上、好ましくは37%以上となるように調整され、また
多すぎるばあいには、無機質結合剤組成物(B)の付着
量が少なすぎることになり、板状消弧材料が呈する耐ア
ーク性、絶縁性付与ガス発生効果がおとり、板状消弧材
料としての特性を保持することができなくなるため、5
0%以下、好ましくは45%以下となるように調整され
る。
【0152】本発明の板状消弧材料(I)における無機
質結合剤組成物(B)の含有量の50〜65%という値
は、従来強度発現用無機質シートへ付着させ難く、たと
え付着後養生してもアークにさらされると脱落しやすい
などの理由から使用されていなかった高い含有量であ
る。本発明では、このように多くの無機質結合剤組成物
(B)を含有させているため、耐アーク性、絶縁性付与
ガス発生効果がすぐれるのである。
【0153】本発明の板状消弧材料(I)は、前記シー
ト状物1枚を加圧成形・養生した厚さ0.2〜1.5m
m、好ましくは0.4〜1.2mmの板状消弧材料でも
よく、シート状物を2枚以上、好ましくは2〜5枚積層
したものを加圧成形・養生した厚さ0.5〜3mm、好
ましくは0.8〜2.0mmの板状消弧材料でもよい。
【0154】前記シート状物1枚から板状消弧材料を製
造する際に、その片面または両面に、さらに絶縁性付与
ガス発生源化合物を散布し、それを付着させた板状消弧
材料であってもよい。また、板状消弧材料(I)の打抜
き加工時の発塵防止のためにコート剤を塗布・含浸させ
たものであってもよい。
【0155】前記散布する絶縁性付与ガス発生源化合物
は、すでに説明した絶縁性付与ガス発生源化合物であっ
て平均粒径0.3〜40μm程度のものであるのが好ま
しい。
【0156】絶縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムで
あることが、発生する絶縁性付与効果が大きい点から好
ましい。
【0157】また、散布に際しては、通常結合剤にあた
るものは使用しなくてもよいが、前記コート剤などを結
合剤として使用してもよい。
【0158】前記絶縁性付与ガス発生源化合物の散布量
としては、片面につき通常200〜450g/m2程度
である。
【0159】また、前記コート剤の塗布・含浸量として
は、片面につき通常40〜100g/m2程度である。
【0160】前記コート剤の具体例としては、たとえば
エチルシリケート、メチルシリケート、トリブトキシア
ルミニウムなどの有機金属化合物(金属アルコキシドな
ど)、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル
樹脂などの有機樹脂などがあげられる。
【0161】前記シート状物を2枚以上積層するばあ
い、無機質結合剤組成物(I)を用いて調製したシート
状物の片面または両面に無機質結合剤組成物(II)を
用いて調製したシート状物を重ね合わせた、通常、厚さ
1.1〜3.0mmのものを、要求厚さである0.8〜
2.5mmになるように積層するのが、機械的強度、打
抜き加工性の点から好ましい。
【0162】前記シート状物を2枚以上積層したばあい
も、その片面または両面に絶縁性付与ガス発生源化合物
の散布、さらにはコート剤の塗布・含浸を行なってもよ
い。
【0163】つぎに、本発明の板状消弧材料(I)の製
法について説明する。
【0164】本発明の板状消弧材料(I)は、前述のご
とき強度発現用無機質シートおよび前述のごとき無機質
結合剤組成物(A)からシート状物を調製し、えられた
シート状物を80〜120℃で乾燥させたのち加圧成形
し、加圧成形しながらまたは加圧成形したのち120〜
200℃で養生させて水分を除去し硬化させたのち80
℃以下に冷却することにより製造される。
【0165】前記無機質結合剤組成物(A)の調製は、
該組成物を構成する成分が均一に分散などするかぎりと
くに限定なく各種の方法により行なうことができるが、
たとえば無機質結合剤組成物(A)中の固状成分を撹拌
擂潰機などの混合機を用いて混合したのち、液状成分
(第一リン酸金属塩水溶液または縮合リン酸アルカリ金
属塩水溶液)を添加・混練することにより行なわれる。
このようにして調製すると、無機質結合剤組成物(A)
中の固状成分が均質に混合・分散されるとともに、液状
成分との部分的な反応を回避することができ、液状成分
が均一に混合されるという点から好ましい。
【0166】たとえば無機質結合剤組成物(I)を調製
するばあい、固状成分である絶縁性付与ガス発生源化合
物30〜45%、耐アーク性無機質粉末0〜28%およ
び第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤2〜10%を混合
し、つぎに液状成分である第一リン酸金属塩水溶液40
〜65%を添加・混練して無機質結合剤組成物(I)を
調製することにより、液状成分である第一リン酸金属塩
水溶液中に固状成分が均質に分散した、結合剤として好
適な粘性を有するスラリー(泥漿)のごとき性状を有す
る組成物をうることができる。
【0167】前記のごとき無機質結合剤組成物(I)の
具体例としては、たとえば絶縁性付与ガス発生源化合物
が水酸化アルミニウムであり、耐アーク性無機質粉末が
酸化アルミニウム粉末、ジルコン粉末またはコーディエ
ライト粉末であり、第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤が
ウォラストナイト結晶であり、第一リン酸金属塩水溶液
が第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸マグネシウ
ムの濃度25〜55%の水溶液から調製した組成物があ
げられる。
【0168】また、無機質結合剤組成物(II)を調製
するばあい、固状成分である絶縁性付与ガス発生源化合
物30〜50%および耐アーク性無機質粉末0〜20%
を混合し、つぎに液状成分である縮合リン酸アルカリ金
属塩水溶液50〜70%を添加・混練して無機質結合剤
組成物(II)を調製することにより、液状成分である
縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液中に固状成分が均質に
分散した、結合剤として好適な粘性を有するスラリー
(泥漿)のごとき性状を有する組成物をうることができ
る。
【0169】前記のごとき無機質結合剤組成物(II)
の具体例としては、たとえば絶縁性付与ガス発生源化合
物が水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸
カルシウムであり、耐アーク性無機質粉末が酸化アルミ
ニウム粉末、ジルコン粉末またはコーディエライト粉末
であり、縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液がメタリン酸
ナトリウムまたはメタリン酸カリウムの濃度10〜40
%の水溶液から調製した組成物があげられる。
【0170】なお、このときの無機質結合剤組成物
(I)または(II)中の第一リン酸金属塩水溶液また
は縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液の濃度は混練前の濃
度と同じである。
【0171】前記のごとき性状を有する無機質結合剤組
成物は、ひきつづいて行なわれるシート状物の調製が行
ないやすく、強度発現用無機質シートの空隙部および表
面への付着性が良好なものである。
【0172】前記のごとき無機質結合剤組成物と強度発
現用無機質シートとからシート状物を調製する方法には
とくに限定はなく、たとえば所定の無機質結合剤組成物
に強度発現用無機質シートを浸漬し、引きあげ、所定の
含浸率にする方法、強度発現用無機質シートに所定の無
機質結合剤組成物(A)をロール間より供給するロール
コート法、一定厚みに調整したブレードを通して塗布す
るドクターブレード法などの方法が具体的な方法として
あげられる。
【0173】前記強度発現用無機質シートに無機質結合
剤組成物(I)または無機質結合剤組成物(II)を付
着させたシート状物における無機質結合剤組成物(I)
または無機質結合剤組成物(II)の付着量は、強度発
現用無機質シート100部に対して200〜350部で
あるのがシート調整時の搬送の容易さ、養生後の板状消
弧材料(I)の厚さが好ましいものとなり、養生後の強
度発現用無機質シートと無機質結合剤組成物(B)との
重量比率が適正な範囲となる点から好ましく、250〜
300部であるのが、さらに好ましい。
【0174】このようにして調製されたシート状物は、
無機質結合剤組成物(A)中の水分を保持した柔らかく
変形し易い状態のものであり、えられたシート状物は、
80〜120℃(たとえばオーブン中)で乾燥させて該
シート状物中の第一リン酸金属塩水溶液または縮合リン
酸アルカリ金属塩水溶液の濃度が65〜85%、好まし
くは75〜80%になるように調製される。えられたシ
ート状物をそのまま加圧成形すると含浸させた無機質結
合剤組成物(A)が強度発現用無機質シートからしみ出
し、所望の組成の板状消弧材料(I)がえられなくなる
ためである。
【0175】なお、前記第一リン酸金属塩水溶液または
縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液の濃度が85%をこえ
ると加圧成形しても、変形せず、強度発現用無機質シー
トの間隙に無機質結合剤組成物(A)が密充填しなかっ
たり、シート状物を2枚以上積層した場合にシート状物
間の付着結合が不充分となる。また、後述するように、
第一リン酸金属塩水溶液または縮合リン酸アルカリ金属
塩水溶液の濃度を調整したシート状物を積層するばあい
には、濃度が70〜80%程度にする方が層間の接着性
が良好になるため好ましい。
【0176】本発明の製法においては、かかる第一リン
酸金属塩水溶液または縮合リン酸アルカリ塩水溶液の濃
度の調整がきわめて重要である。
【0177】80〜120℃で乾燥せしめられたシート
状物は、そののち加圧成形される。
【0178】かかる加圧成形時の圧力は、小さすぎるば
あいには、加圧不足で養生前の板状消弧材料のしまりに
バラツキが発生したり、シート状物を積層したばあいに
界面に未接着部が残ったりするおそれがあるので、10
0kg/cm2以上であることが好ましく、また大きす
ぎるばあいには、無機質結合剤組成物(I)または(I
I)が強度発現用無機質シートより流出して強度発現用
無機質シートが露出するなど板状消弧材料としての特性
を低下させるおそれがあるので、200kg/cm2
下であるのが好ましい。
【0179】なお、本発明においては、かかる加圧成形
を常温で行なってもよく、プレスの定盤などを適宜加熱
して行なってもよい。また、加圧成形を行なう時間も適
宜調整すればよい。加圧成形に使用される装置として
は、ハンドプレス、機械プレス、油圧プレスなどの定盤
を備えた加圧プレスがあげられる。
【0180】かくしてえられた養生前の板状消弧材料
は、たとえば1昼夜程度自然放置したのち、たとえばオ
ーブンに入れ、120〜200℃で加熱養生させて硬化
を進行させるとともに水分を除去し硬化させたのち80
℃以下に冷却することにより、板状消弧材料(I)が製
造される。
【0181】なお、かかる加熱養生させる際の温度は、
低すぎるばあいには、硬化の進行に多大な時間を要する
とともに、仮に硬化したとしても第一リン酸金属塩また
は縮合リン酸アルカリ金属塩に耐水性を付与しうる化合
物の生成が不充分となるので、120℃以上、好ましく
は150℃以上必要であり、また高すぎるばあいには、
急激に成形品の表層部のみが硬化し、内部との反応が不
均一となって反りが生じるので、200℃以下、好まし
くは180℃以下であることが必要である。また、かか
る加熱養生を行なったのちは、急激な冷却は成形品であ
る板状消弧材料に反りが発生するので、これを防止する
観点から、80℃以下、好ましくは50℃以下に冷却さ
れる。冷却は自然徐冷でもよいし、プログラム制御によ
る段階的条件下での冷却でもよい。
【0182】80〜120℃で乾燥させたシート状物を
加圧成形する際に、機械的強度の向上、製品寸法の調整
のために前述のごとく、所望の厚さに応じて適当枚数を
重ね合わせて加圧成形してもよい。この際、絶縁性付与
ガス発生量増加のためにシート状物の片面、または両面
にさらに絶縁性付与ガス発生源化合物を散布してもよ
い。散布は、たとえば80〜120℃でシート状物を乾
燥させた状態(指で触れてねばつく程度)で35メッシ
ュのふるいを通してシート状物上に絶縁性付与ガス発生
源化合物を均一の厚さにふるい落とすようにして行なわ
れる。
【0183】また、より絶縁性付与効果の大きいガスの
発生量増加のために無機質結合剤組成物(I)を用いた
シート状物の片面もしくは両面に無機質結合剤組成物
(II)を用いたシート状物を組重ね、これを所望の厚
さに応じて適当組数を重ね合わせて加圧成形してもよ
い。
【0184】これらのばあいも加圧成形後、前述のごと
く120〜200℃で養生し、水分を除去し、硬化させ
たのち80℃以下に冷却することによって、本発明の板
状消弧材料(I)がえられる。
【0185】また、板状消弧材料(I)の打抜き加工時
の発塵防止のためにコート剤を塗布・含浸させてもよ
い。コート剤を塗布するばあいは、ロールコート、スプ
レーコート、はけ塗りなどの方法が用いられる。また、
含浸させるばあいは、板状消弧材料(I)が充分に浸漬
しうる容器にコート剤を満たし、これに該板状消弧材料
(I)を浸漬し、必要に応じては真空引き操作を加える
などして行なわれる。
【0186】かくしてえられた板状消弧材料(I)に外
形形状加工、穴加工など所望の機械加工を施して消弧板
としたのち、かかる消弧板と磁性板とから消弧室をうる
ことができる。
【0187】本発明の板状消弧材料(II)は、絶縁性
付与ガス発生源化合物40〜55%、耐アーク性無機質
粉末25〜40%、第一リン酸金属塩8〜18%および
第一リン酸金属塩の硬化剤5〜10%、水2.6〜12
%および強度発現無機質繊維2〜10%からなる無機質
結合剤組成物(C)を加圧成形・養生してなる板状消弧
材料である。
【0188】無機質結合剤組成物(C)は、無機質結合
剤組成物(A)にくらべて第一リン酸金属塩水溶液の濃
度調整が不要で、成形加工性が良好(成形時に消弧板形
状に加工できる)という利点を有するとともに、機械的
強度にすぐれる板状消弧材料(II)を与えるためのも
のである。
【0189】無機質結合剤組成物(C)中の絶縁性付与
ガス発生源化合物の使用目的、金属蒸気などを該ガス発
生源化合物から発生した絶縁性付与ガスによって絶縁体
化させる過程、該ガス発生源化合物の具体例および該ガ
ス発生源化合物が粉粒体であるばあいの平均粒子径など
は、前記板状消弧材料(I)に用いられるばあいと同じ
なので、ここでは説明を省略する。
【0190】なお、前記絶縁性付与ガス発生源化合物の
なかでも絶縁性付与ガス発生量ならびに、発生した絶縁
性付与ガスの絶縁性付与効果が大きいなどの点から水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウ
ムおよび炭酸カルシウムが好ましい。
【0191】無機質結合剤組成物(C)中の耐アーク性
無機質粉末の使用目的、該無機質粉末の具体例、好まし
い具体例とその理由および平均粒子径などは、前記板状
消弧材料(I)に用いられるばあいと同じなので、ここ
では説明を省略する。ただし、板状消弧材料(I)では
酸化アルミニウム粉末を好ましく使用できたが、板状消
弧材料(II)では、強度発現用無機質シートを用いな
いため、熱衝撃によって作製した板状消弧材料(II)
が破損するおそれがあるので、耐熱衝撃性が充分ではな
い酸化アルミニウム粉末は好ましいものとしてはあげる
ことができない。
【0192】無機質結合剤組成物(C)中の第一リン酸
金属塩は、絶縁性付与ガス発生源化合物、耐アーク性無
機質粉末、第一リン酸金属塩の硬化剤、強度発現無機質
繊維などの結合剤として作用する成分である。
【0193】前記第一リン酸金属塩の具体例、好ましい
具体例とその理由などは前記板状消弧材料(I)に用い
られるばあいと同じなので、ここでは説明を省略する。
【0194】前記第一リン酸金属塩水溶液の濃度が、低
すぎるばあいには、無機質結合剤組成物(C)の結着力
が小さくなり、また可塑性も発現しないため、精密な成
形品がえられず寸法精度もおとるようになるので、60
%以上、さらには65%以上であることが好ましく、ま
た高すぎるばあいには、粘度が高くなるとともに硬化剤
との反応が急激に進行し、無機質結合剤組成物(C)の
調製が困難になるばかりか、よしんば該組成物(C)が
えられたとしても、加圧成形時に該組成物(C)が金型
内に付着しやすく、離型性におとり、寸法精度の高い成
形品がえられにくくなるので、75%以下、さらには7
2%以下が好ましい。
【0195】無機質結合剤組成物(C)中の第一リン酸
金属塩水溶液の硬化剤としては、ウォラストナイト結晶
(CaO・SiO2 )があげられる。ウォラストナイト
結晶は、前述のごとく150℃付近の加熱で第一リン酸
金属塩に耐水性を付与することのできる硬化剤であり、
本発明者らが、第一リン酸金属塩に適用しうる硬化剤に
ついて鋭意研究を重ねた結果見出したものである。該ウ
ォラストナイト結晶は、後述するように、板状消弧材料
(II)の強度発現無機質繊維としても有効に作用す
る。
【0196】また、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが、絶
縁性付与ガス発生源化合物として作用するので好まし
い。
【0197】前記硬化剤の平均粒子径にはとくに限定が
ないが、通常60μm程度以下、さらには2〜40μm
程度であることが混合性、分散性、コストの点から好ま
しい。
【0198】無機質結合剤組成物(C)中の水は、前記
第一リン酸金属塩を適切な濃度の水溶液とし、無機質結
合剤組成物(C)にすぐれた成形加工性を与え、板状消
弧材料(II)に機械的強度を発現させるためのもので
ある。
【0199】また、無機質結合剤組成物(C)中の強度
発現無機質繊維は、えられる板状消弧材料(II)にす
ぐれた機械強度を付与するための成分である。
【0200】前記強度発現無機質繊維としては、耐アー
ク性、電気絶縁性にすぐれて、他の材料と均一混合が容
易な無機質短繊維が好ましい。前記無機質短繊維として
は、前記ウォラストナイト結晶などの天然鉱物繊維、シ
リカアルミナガラス繊維(ケイ酸アルミニウム繊維;非
晶質、Al23:SiO2=47:53、56:44な
ど)、アルミナファイバー(結晶質、Al23:SiO
2=95:5など)などのセラミックファイバー、ホウ
酸アルミニウムウィスカ(9Al23・2B23)、炭
化ケイ素ウィスカ(SiC)、チッ化ケイ素ウィスカ
(Si34)、炭酸カルシウムウィスカなどのセラミッ
クウィスカなどがあげられる。これらは単独で用いても
よく、また2種以上併用してもよい。これらのなかでは
天然鉱物繊維、セラミックファイバーおよびセラミック
ウィスカが、耐アーク性、電気絶縁性にすぐれ、他の無
機質結合剤組成物(C)構成成分と均一混合が容易な点
から好ましい。
【0201】なお、前記強度発現無機質繊維の平均繊維
径、平均繊維長は通常の市販品で入手可能なものであれ
ばとくに限定はないが、ウォラストナイト結晶のばあい
平均繊維径1〜10μm、平均繊維長20〜50μm程
度、シリカアルミナガラス繊維のばあい平均繊維径1〜
15μm、平均繊維長2〜100μm程度、アルミナフ
ァイバーのばあい平均繊維径1〜10μm、平均繊維長
30〜100μm程度、ホウ酸アルミニウムウィスカの
ばあい平均繊維径0.5〜1μm、平均繊維長10〜3
0μm程度、炭化ケイ素ウィスカのばあい平均繊維径
0.05〜10μm、平均繊維長5〜40μm程度、チ
ッ化ケイ素ウィスカのばあい平均繊維径0.2〜1μ
m、平均繊維長5〜200μm程度、炭酸カルシウムウ
ィスカのばあい平均繊維径0.5〜1μm、平均繊維長
20〜30μm程度のものが好適に使用しうる。
【0202】無機質結合剤組成物(C)における絶縁性
付与ガス発生源化合物の含有量は、少なすぎるばあいに
は、前述のごとく第一リン酸金属塩の硬化剤として消費
され、本来の作用である絶縁性付与ガスの発生が起こら
ないことになるので、40%以上、好ましくは45%以
上、さらには50%以上になるように調整し、また多す
ぎるばあいには、第一リン酸金属塩の結合剤としての効
果が生じる範囲以上に含まれることになり、嵩高で強度
が小さく、破損しやすくなり、緻密な消弧材料をうるこ
とが困難になるので、55%以下、好ましくは52%以
下となるように調整する。
【0203】無機質結合剤組成物(C)における耐アー
ク性無機質粉末の含有量は、少なすぎるばあいには、板
状消弧材料(II)が呈する耐アーク性がおとり、板状
消弧材料(II)としての特性を保持することができな
くなるため、25%以上、好ましくは30%以上となる
ように調整し、また、多すぎるばあいには、えられる板
状消弧材料(II)の耐アーク性はすぐれるものの、強
度が低下して破損しやすくなるので、40%以下、好ま
しくは35%以下となるように調整する。
【0204】無機質結合剤組成物(C)における第一リ
ン酸金属塩の含有量は、少なすぎるばあいには、緻密な
板状消弧材料(II)がえられにくくなるので、8%以
上、好ましくは10%以上となるように調整し、また多
すぎるばあいには、硬化剤による耐水性の付与が困難に
なるので、18%以下、好ましくは15%以下となるよ
うに調整する。
【0205】無機質結合剤組成物(C)における第一リ
ン酸金属塩の硬化剤の含有量は、少なすぎるばあいに
は、第一リン酸金属塩の耐水性の発現温度が硬化剤を用
いないばあいと大差がなく、500℃付近での加熱を要
するようになるので、無機質結合剤組成物(C)の5%
以上、好ましくは7%以上になるように調整し、また多
すぎるばあいには、第一リン酸金属塩水溶液の硬化が早
くなりすぎるために作業に使える時間が短くなり、たと
えば無機質結合剤組成物(C)の調整時に固化物とな
り、以降の作業を行なうことができなくなるなどの問題
が発生するので、無機質結合剤組成物(C)の10%以
下、好ましくは9%以下となるように調整する。
【0206】本発明において、前記範囲内で硬化剤を用
いたばあいには、作業時間が充分に確保でき、第一リン
酸金属塩水溶液の耐水性の発現温度も150〜200℃
付近となり、板状消弧材料(II)が調製しやすく、か
つえられる板状消弧材料(II)が耐アーク性、強度、
耐熱衝撃性にすぐれたものとなる。
【0207】なお、前記硬化剤としてウオラストナイト
結晶を用いるばあいには前記含有量そのままでよいが、
前記絶縁性付与ガス発生源化合物としても作用する水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ムまたは炭酸カルシウムを併用するばあいには、硬化剤
として使用する量と絶縁性付与ガス発生源化合物として
使用する量との合計量を使用することが必要である。前
記水酸化アルミニウムなどの硬化剤としての必要量は、
たとえば無機質結合剤組成物(C)中の水酸化アルミニ
ウムの量を徐々にふやしながら板状消弧材料(II)を
製造したばあいに、硬化が不充分でなくなる最少量が硬
化剤としての水酸化アルミニウムの量になり、それをこ
えて使用した水酸化アルミニウムの量が絶縁性付与ガス
発生源化合物としての量になる。前記硬化剤としてウオ
ラストナイト結晶と絶縁性付与ガス発生源化合物として
も作用する水酸化アルミニウムなどとを併用するばあい
も、硬化剤としての水酸化アルミニウムなどの量と絶縁
性付与ガス発生源化合物としての水酸化アルミニウムな
どの量を決めることができる。
【0208】本発明においては、硬化剤としてウォラス
トナイト結晶を用い、絶縁性付与ガス発生源化合物とし
て水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグ
ネシウムおよび炭酸カルシウムを用い、アークによる絶
縁抵抗の低下防止のために作用するようにするのが板状
消弧材料(II)の本来の効果を最大限に発揮させる点
から好ましい。
【0209】無機質結合剤組成物(C)における水の添
加量は、前述のごとく、第一リン酸金属塩水溶液の濃度
を好ましい範囲、とくには60〜75%に調整すると精
密な成形品がえられやすいという点から、少なくとも
2.6%以上、好ましくは5%以上、さらには6%以上
必要であり、また多すぎるばあいには、無機質結合剤組
成物(C)の調製時に泥漿状態となって作業が困難とな
るので、12%以下、好ましくは10%以下、さらには
8%以下にするのが必要である。
【0210】無機質結合剤組成物(C)における強度発
現無機質繊維の含有量は、少なすぎるばあいには、えら
れる板状消弧材料(II)の機械的強度(曲げ強度)が
おとり、板状消弧材料(II)としての特性を保持する
ことができなくなるので、2%以上、好ましくは3%以
上となるように調整し、また多すぎるばあいには、第一
リン酸金属塩の結合剤としての効果が生じる範囲以上に
含まれることになり、嵩高で強度が小さく、破損しやす
くなり、緻密な板状消弧材料(II)をうることが困難
になるので、10%以下、好ましくは8%以下となるよ
うに調整する。
【0211】本発明における無機質結合剤組成物(C)
には、前述のごとき成分のほかにも、本発明の目的を阻
害しない範囲内で、必要に応じて、たとえばメチルセル
ロース、ポリビニルアルコールなどの結合剤、ガラスフ
リット、セラミックカラーなどの着色剤などを適宜配合
してもよい。
【0212】本発明の板状消弧材料(II)は、前述の
ごとき無機質結合剤組成物(C)を加圧成形・養生した
ものである。加圧成形・養生の内容については、後述す
る板状消弧材料(II)の製法のところで説明する。
【0213】えられた板状消弧材料(II)の組成は、
前記無機質結合剤組成物(C)中の水がなくなるので、
おおよそ絶縁性付与ガス発生源化合物46〜55%、耐
アーク性無機質粉末33〜45%、第一リン酸金属塩反
応硬化物18〜35%および強度発現無機質繊維3〜1
2%である。なお、第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤
は、必ずしも100%反応するとは限らないが、全量反
応するとして第一リン酸金属塩反応硬化物のなかに含め
て記載した。また、えられた板状消弧材料(II)を2
00℃に加熱して減量の有無を調べたところ、減量しな
かった。
【0214】本発明の板状消弧材料(II)は、たとえ
ば厚さ0.5〜2.5mm、好ましくは0.8〜2.0
mmである。
【0215】つぎに、本発明の板状消弧材料(II)の
製法について説明する。
【0216】本発明の板状消弧材料(II)は、前述の
ごとき無機質結合剤組成物(C)を調製し、該組成物を
金型中で加圧成形したのち120〜200℃で養生させ
ることにより製造される。
【0217】前記無機質結合剤組成物(C)の調製は、
該組成物を構成する成分が均一に分散などするかぎりと
くに限定はなく、各種の方法により行なうことができる
が、たとえば無機質結合剤組成物(C)の固形分(絶縁
性付与ガス発生源化合物、耐アーク性無機質粉末、第一
リン酸金属塩、硬化剤および強度発現無機質繊維)を、
たとえば撹拌擂潰機などの混合機を用いて混合したの
ち、所定量の水を少量ずつ滴下しながら混練して無機質
結合剤組成物(C)を調製する。このようにして調製す
ると、固形分中に均一に混合分散された第一リン酸金属
塩に水が均等に添加され、均質な板状消弧材料(II)
をうることができる無機質結合剤組成物(C)となると
いう点から好ましい。
【0218】前記無機質結合剤組成物(C)は、金型に
充填が容易な二次粒子を形成した造粒体のごとき性状を
有するものである。
【0219】前記のごとき性状を有する無機質結合剤組
成物(C)は、ひきつづいて行なわれる金型への充填が
行ないやすく、さらには加圧成形時に金型中で塑性変形
して、密充填し緻密な成形品となる性質を有するもので
ある。
【0220】前記のごとき無機質結合剤組成物(C)の
具体例としては、たとえば絶縁性付与ガス発生源化合物
が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグ
ネシウムまたは炭酸カルシウムであり、耐アーク性無機
質粉末がジルコン粉末、コーディエライト粉末またはム
ライト粉末であり、第一リン酸金属塩が第一リン酸アル
ミニウム、第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸ナ
トリウムであり、第一リン酸金属塩の硬化剤がウォラス
トナイト結晶であり、さらに水および強度発現無機質繊
維から調製した組成物があげられる。
【0221】該組成物のばあいには金型への充填、成形
加工性にすぐれ、加熱養生した板状消弧材料(II)
(成形品など)がすぐれた耐アーク性、機械的強度を有
する絶縁性付与ガス発生源となる点が好ましい。
【0222】つぎに、無機質結合剤組成物(C)を、た
とえば所望の消弧板形状を有する金型内に充填し、加圧
成形する。かかる加圧成形時の圧力は、小さすぎるばあ
いには、加圧不足で成形品のしまりにバラツキが発生す
るおそれがあるので、400kg/cm2以上、さらに
は500kg/cm2以上であることが好ましく、また
大きすぎるばあいには、金型の間隙に無機質結合剤組成
物(C)が流入し、金型が嵌合して型開きが困難となる
傾向があるので、800kg/cm2以下、さらには7
50kg/cm2以下であることが好ましい。なお、本
発明においては、かかる加圧成形を常温で行なってもよ
く、プレスの定盤などを適宜加熱して行なってもよい。
また、加圧成形を行なう時間も適宜調整すればよい。加
圧成形に使用される装置としては、均一な厚さに成形で
きる定盤を備えたハンドプレス、機械プレス、油圧プレ
スなどがあげられる。
【0223】かくしてえられた養生前の板状消弧材料
は、たとえば1昼夜程度自然放置したのち、たとえばオ
ーブンなどに入れ、120〜200℃で加熱養生させて
硬化を進行させるとともに水分を除去することにより、
板状消弧材料(II)がえられる。
【0224】なお、かかる加熱養生させる際の温度は、
低すぎるばあいには、硬化の進行に多大な時間を要する
とともに、仮に硬化したとしても第一リン酸金属塩に耐
水性を付与しうる化合物の生成が不充分となるので、1
20℃以上、好ましくは150℃以上必要であり、また
高すぎるばあいには、急激に成形品の表層部のみが硬化
し、内部との反応が不均一となって反りが生じるので、
200℃以下、好ましくは180℃以下以下であること
が必要である。また、かかる加熱養生を行なったのち
は、板状消弧材料を適宜自然徐冷してもよい。
【0225】かくしてえられた板状消弧材料(II)に
は成形時に外形加工、穴加工などが終了できるので機械
加工を施す必要がない、または少ない。したがって、加
熱養生した板状消弧材料(II)が、多くのばあいその
まま消弧板、消弧側板として使用することができ、たと
えばかかる消弧側板2枚と磁性板とから消弧室をうるこ
とができる。
【0226】つぎに本発明の開閉器について説明する。
【0227】本発明の開閉器は前記板状消弧材料(I)
または板状消弧材料(II)を消弧側板として用いた消
弧室が電極、接点近傍に配置されてなるものである。本
発明の開閉器の構造、形状は、従来の開閉器と同様であ
り、消弧側板などの消弧板などが板状消弧材料(I)ま
たは板状消弧材料(II)から形成されていることが本
発明の開閉器の特徴である。本発明の開閉器の種類には
とくに限定はないが、電極の接点の開閉時にその消弧室
内にアークが発生する、たとえば電磁接触機、回路遮断
機、限流器などがあげられる。
【0228】はじめに消弧室について説明する。
【0229】図1は、本発明における消弧室の一実施態
様を示す概略斜視図である。1は中央部にU字状の切込
み1aを有する複数個の消弧用の磁性板で、たとえば鉄
板、クロムメッキ鉄板などによって形成されている。2
は、本発明の板状消弧材料(I)または(II)からな
る消弧側板であり、該消弧側板が2枚一対で使用されて
いる。消弧側板2と、磁性板1とはカシメ部3によって
固定されている。
【0230】前記電極、接点とは、たとえば電磁接触
器、回路遮断器、限流器などの電極、接点のことであ
り、通常、たとえばAg−WC系合金、Ag−CdO系
合金などからなるものなどから形成される。
【0231】電極、接点近傍の近傍とは、従来の開閉器
におけるアーク暴露位置と同様であり、たとえば電磁接
触器では5〜15cm、回路遮断器では5〜15cm、
限流器では5〜30cm程度である。
【0232】図2は、本発明の開閉器の一実施態様を示
すきりかき状部分断面側面説明図である。図2において
1、2、3は図1の1、2、3と同一部分を示す。4は
固定接点、5は可動接点である。
【0233】磁性板1および消弧側板2により構成され
た消弧室において、固定接点4および可動接点5は接触
状態(閉成状態)で通電されている。通電遮断時には可
動接点5を点線で示した位置方向(開成状態)に移動さ
せて行なわれるが、その際、固定接点4および可動接点
5の間隙にアークが発生し、該アークが矢印方向に伸長
して消弧される。
【0234】本発明の板状消弧材料(I)または(I
I)からなる消弧側板は、すぐれた耐熱性、耐アーク
性、耐熱衝撃性などを有し、消弧室内に発生するアーク
のエネルギーを吸収、冷却して消滅させ、アーク熱から
機器を保護するとともに開閉器の電極の接点の開閉時に
電極、接点およびその近傍の金属から発生する金属蒸気
および溶融金属液滴を絶縁体化して電気抵抗の低下など
の問題を解決しうるものであるから、板状消弧材料
(I)または(II)を用いた本発明の開閉器も非常に
すぐれた効果を奏する。
【0235】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに調製が容易で、耐
熱性、耐アーク性、電気抵抗の低下防止効果にすぐれる
という利点がある。
【0236】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらにすぐれた耐水性が
付与されるという利点がある。
【0237】前記板状消弧材料(I)が請求項2の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに電気絶縁性が良好
で、機械的強度にすぐれるという利点がある。
【0238】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに水酸化アルミニウ
ムが第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤としても作用する
ため、さらに耐水性にすぐれるとともに電気抵抗の低下
防止効果を有するという利点がある。
【0239】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに結合剤として好適
な水に対する溶解性、粘度を有するため、強度発現用無
機質シートに均質に付着し板状消弧材料(I)が緻密化
するという利点がある。
【0240】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに無機質結合剤組成
物(I)が調製しやすく、シート状物の作製も容易であ
るという利点がある。
【0241】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに調製が容易で、耐
熱性、耐アーク性、電気抵抗の低下防止効果にすぐれる
という利点がある。
【0242】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに電気抵抗の低下防
止効果にすぐれるという利点がある。
【0243】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに絶縁性付与ガス発
生源化合物が添加し易いという利点がある。
【0244】前記板状消弧材料(I)が請求項の板状
消弧材料(I)のばあいには、さらに無機質結合剤組成
物(II)が調製しやすく、シート状物の作製も容易で
あるという利点がある。
【0245】前記板状消弧材料(I)が請求項10の板
状消弧材料(I)のばあいには、さらに耐水性を付与す
る硬化剤の配合を省略できるという利点がある。
【0246】前記板状消弧材料(I)が請求項11の板
状消弧材料(I)のばあいには、さらに耐熱性、耐アー
ク性にすぐれるという利点がある。
【0247】前記板状消弧材料(II)が請求項16
板状消弧材料(II)のばあいには、さらに調製が容易
で、耐熱性、耐アーク性、電気抵抗の低下防止効果にす
ぐれるという利点がある。
【0248】前記板状消弧材料(II)が請求項17
板状消弧材料(II)のばあいには、さらに前記板状消
弧材料(II)にくらべ電気抵抗の低下防止効果にすぐ
れるという利点がある。
【0249】前記板状消弧材料(II)が請求項18
板状消弧材料(II)のばあいには、さらに耐アーク性
とともに耐熱衝撃性にすぐれるという利点がある。
【0250】前記板状消弧材料(II)が請求項19
板状消弧材料(II)のばあいには、さらに結合剤とし
て好適な水に対する溶解性、粘性を有するためえられる
板状消弧材料(II)が緻密化するという利点がある。
【0251】前記板状消弧材料(II)には、さらに加
圧成形時に可塑性が生じ、緻密な成形体がえられるとい
う利点がある。
【0252】前記板状消弧材料(II)には、さらに耐
水性が付与されるという利点がある。
【0253】前記板状消弧材料(II)には、さらに耐
熱性にすぐれるという利点がある。
【0254】前記板状消弧材料(II)には、さらに耐
アーク性および機械的強度にすぐれるという利点があ
る。
【0255】前記板状消弧材料(II)には、さらに耐
水性が発現するとともに機械的強度も向上するという利
点がある。
【0256】つぎに本発明の板状消弧材料(I)および
(II)、該板状消弧材料(I)および(II)の製法
ならびに該板状消弧材料(I)または(II)を用いた
開閉器を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本
発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0257】[実施例1〜9および比較用の実施例
0] 表1に記載した、無機質結合剤組成物(I)の成分のう
ち、固形分すなわち絶縁性付与ガス発生源化合物、耐ア
ーク性無機質粉末、硬化剤を石川式撹拌擂潰機で30分
間混合したのち、所定の第一リン酸金属塩水溶液を添加
してさらに15分間混練して無機質結合剤組成物(I)
を調製した。
【0258】つぎに、30cm角、厚さ0.2mm(ガ
ラスクロスのばあい)、0.5mm(ガラスマットおよ
びセラミックペーパーのばあい)の強度発現用無機質シ
ートを無機質結合剤組成物(I)に浸漬して無機質結合
剤組成物(I)を表1記載の量付着させた含浸シートを
作製した。含浸シートをバットに入れ、80℃のオーブ
ン中で硬化を進行させながら第一リン酸金属塩水溶液の
濃度が65%になるまで水分を除去し、加圧前シート状
物を製造した。
【0259】つぎに、えられた加圧前シート状物を常温
で150kg/cm2−Gで1分間加圧成形し、成形品
をえた。えられた成形品を1日間自然放置したのちオー
ブンに入れ、室温から200℃まで5℃/分の昇温速度
で昇温し、1時間保持して養生させたのち自然冷却し、
板状消弧材料(I)をえた。えられた板状消弧材料
(I)の組成および厚さを表2に示す。なお、板状消弧
材料(I)に付着した無機質結合剤組成物(I)中、水
分のみが乾燥除去されていることを確認した。また、板
状消弧材料(I)を200℃に加熱して減量の有無を調
べたところ、減量はしなかった。
【0260】そののち、表1記載の発塵防止コート剤を
板状消弧材料(I)の両面に塗布(はけ塗り)し、乾燥
した。コート剤の付着量は、実施例1〜10のすべて、
片面に4.5gづつ計9gであった。なお、コート剤の
付着量の定量方法は、養生後の重量変化を測定して算出
した。
【0261】えられた板状消弧材料(I)を穴明け、外
形加工して消弧側板をえた。えられた消弧側板を2枚用
意し、該消弧側板を組合せて図1に示される消弧室(縦
30mm、横20mm、高さ50mm)を製作した。
【0262】えられた消弧室を用いて図2に示す開閉器
を製作した。消弧室と接点との距離は一番離れた所で2
cmであった。
【0263】なお、表1に記載の略号、化合物および強
度発現用無機質シートとして使用したガラスマット、ガ
ラスクロスおよびセラミックペーパーは下記のものであ
る(以下の表においても同様である)。
【0264】A:水酸化アルミニウム、平均粒径0.8
μm アルミナ粉末:酸化アルミニウム粉末、平均粒径0.3
μm (350メッシュ全通品) ジルコン粉末:珪酸ジルコニウム粉末、平均粒径16μ
m (350メッシュ全通品) コーディエライト粉末:平均粒径7.5μm、マルス釉
薬(株)製、商品名SS−200 第一リン酸アルミニウム:ナカライテスク(株)製、粉
末試薬 第一リン酸マグネシウム:ナカライテスク(株)製、粉
末試薬 B:ウォラストナイト結晶、350メッシュ全通品、キ
ンセイマテック(株)製、商品名FPW−350 ガラスマット:Eガラス製、旭ファイバー(株)製、目
付455g/m2 商品名CM455FA ガラスクロス:シリカガラス製、旭シューベル(株)
製、0.2mm厚 商品名7628スタイル 44×33本/インチ セラミックペーパー:アルミノシリケート製、東芝モノ
クラックス(株)製、0.5mm厚、商品名ファイバー
フラックス NO.300 発塵防止コート剤(a):Si20%含有のエチルシリ
ケート、(有)ティー・エス・ビー製、商品名TSB4
200 発塵防止コート剤(b):アクリル系樹脂、三菱化成
(株)製、商品名MASACO 表1中、略号Aである水酸化アルミニウムは、硬化剤と
して作用する量と絶縁性付与ガス発生源化合物として作
用する量にわけて記載した(以下同じ)。
【0265】また、えられた開閉器について、下記に示
す遮断試験、耐久試験およびメグ測定試験を行なった。
結果を表2に示す。
【0266】(過負荷遮断試験) JIS C8370に記載の配線用遮断器の測定法に準
じ、閉成状態で定格電流の6倍の電流(たとえば100
Aの定格電流のばあいには3相550V/600Aの条
件になる)を通電し、可動接点と固定接点とを開離させ
てアーク電流を発生させ、アーク電流の遮断を規定回数
(50回)成功することをもって合格とする試験。
【0267】(耐久試験) 閉成状態において、3相550V/100Aの電流を流
し、この状態から可動接点を機械的に開離させてアーク
電流を発生させ、アーク電流の遮断を規定回数(600
0回)成功し、消弧側板の耐アーク消耗性(具体的には
穴があかないこと)をもって合格とする試験。
【0268】(メグ測定試験) 閉成状態において、3相460V/25kAの過剰の電
流を流して、可動接点を開離させ、アーク電流を発生さ
せ、このアーク電流の遮断の成功をもって合格とする短
絡試験後に、各端子間の絶縁抵抗をJIS C1302
に記載の絶縁抵抗計を用いて測定する試験。結果は、負
荷側相間絶縁抵抗(MΩ)の最低値を示す。
【0269】
【表1】
【0270】
【表2】 表2から、本実施例の開閉器は、遮断試験で遮断成功回
数50回をクリヤし、耐久試験も6000回をクリヤし
合格で、すぐれた遮断性能を有することがわかる。この
ことは、本実施例でえられた板状消弧材料(I)の優秀
性を示している。試験後、消弧側板のアークに接触した
部分を目視にて観察したところ、損傷がほとんどなく、
良好であることがわかる。
【0271】またメグ測定試験の結果、規定値の0.5
MΩをクリヤするすぐれた絶縁抵抗向上効果を本発明の
板状消弧材料(I)より作製した消弧側板が保有するこ
とがわかる。
【0272】[実施例11〜19および比較用の実施例
20] 含浸シートを120℃で乾燥したことのほかは、実施例
1〜10と同様に製造された加圧前シート状物を2枚重
ね常温で200kg/cm2−Gで1分間加圧成形し、
えられた成形品を180℃で1昼夜養生したことのほか
は、実施例1〜10と同様にしてそれぞれの板状消弧材
料(I)をえ、発塵防止用のコート剤を塗布・乾燥し
た。えられた板状消弧材料(I)を用いて消弧側板を
え、実施例1〜10と同様の消弧室および開閉器を製作
した。なお表3に、用いた無機質結合剤組成物(I)、
強度発現用無機質シート100部に対する無機質結合剤
組成物(I)の付着量、発塵防止コート剤を示し、えら
れた板状消弧材料(I)の組成および厚さを表4に示し
た。
【0273】また、えられた開閉器について実施例1〜
10と同様の評価試験を行ない、それらの結果を表4に
示す。
【0274】
【表3】
【0275】
【表4】 表4からわかるように、実施例11〜19でえられた本
発明の板状消弧材料(I)および開閉器は実施例1〜1
0と同様にすぐれた性能を有する。試験後、消弧側板の
アークに接触した部分を目視にて観察したところ、損傷
がほとんどなく、良好であることがわかる。
【0276】[実施例21〜26] 実施例4および7において、加圧前シート状物の片面ま
たは両面に表5記載の絶縁性付与ガス発生源化合物を散
布したことのほかは、実施例4および7と同様にして板
状消弧材料(I)、消弧側板、消弧室および開閉器を製
作した。なお、絶縁性付与ガス発生源化合物の散布は、
35メッシュのふるいを通して加圧前シート状物の全面
に均一の厚さにふるい落として行なった。また散布量は
散布に使用した量のうちシート状物に付着しなかった量
を測定減算して算出した。
【0277】表5にそれぞれの実施例に対する加圧前シ
ート状物の種類(加圧前シート状物を製造した実施例番
号)、絶縁性付与ガス発生源化合物の種類および散布量
および発塵防止コート剤の種類について示した。
【0278】なお、表5で用いられた化合物は下記のも
のである。
【0279】水酸化マグネシウム:平均粒径0.6μ
m、ナカライテスク(株)製、粉末試薬 炭酸マグネシウム:平均粒径0.4μm、ナカライテス
ク(株)製、試薬粉末 炭酸カルシウム:平均粒径0.3μm、ナカライテスク
(株)製、特級試薬 えられた板状消弧材料(I)の厚さおよび開閉器につい
て実施例1〜10と同様の評価試験を行なってえられた
結果を表6に示す。
【0280】
【表5】
【0281】
【表6】 表6からわかるように、実施例21〜26でえられた本
発明の板状消弧材料(I)および開閉器は実施例1〜1
0と同様にすぐれた性能を有する。試験後、消弧側板の
アークに接触した部分を目視にて観察したところ、損傷
がほとんどなく、良好であることがわかる。
【0282】[実施例27〜32] 実施例21〜26で製造された絶縁性付与ガス発生源化
合物を散布した材料を2枚重ね(実施例27のばあい
は、前記化合物が散布されていない面同士を重ねた)た
ほかは、実施例21〜26と同様にして板状消弧材料
(I)、消弧側板、消弧室および開閉器を製作した。
【0283】表7にそれぞれの実施例に対する加圧前シ
ート状物の種類(加圧前シート状物を製造した実施例番
号)、絶縁性付与ガス発生源化合物の種類および散布量
および発塵防止コート剤の種類について示した。
【0284】えられた板状消弧材料(I)の厚さおよび
開閉器について実施例1〜10と同様の評価試験を行な
っってえられた結果を表8に示す。
【0285】
【表7】
【0286】
【表8】 表8からわかるように、実施例27〜32でえられた本
発明の板状消弧材料(I)および開閉器は実施例1〜1
0と同様にすぐれた性能を有する。試験後、消弧側板の
アークに接触した部分を目視にて観察したところ、損傷
がほとんどなく、良好であることがわかる。
【0287】[実施例33〜42] 表9に記載した、無機質結合剤組成物(II)のうち、
固形分すなわち絶縁性付与ガス発生源化合物、耐アーク
性無機質粉末を石川式撹拌擂瘍機で30分間混合したの
ち、所定の縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液(表中では
縮合リン酸金属塩水溶液と記載する、以下同じ)を添加
してさらに15分間混練して調整してえた無機質結合剤
組成物(II)を用い、また縮合リン酸アルカリ金属塩
水溶液の濃度が65%になるまで水分を除去した加圧前
シート状物を製造したほかは、実施例1〜10と同様に
して、板状消弧材料(I)をえた。さらに該消弧材料を
穴明け、外形加工して消弧側板をえた。ただし、発塵防
止コートは施さなかった。えられた消弧側板を用いて消
弧室および開閉器を製作した。
【0288】なお、表9で用いられた化合物、略号は下
記のものである。
【0289】メタリン酸ナトリウム:ナカライテスク
(株)製、試薬粉末 メタリン酸カリウム:ナカライテスク(株)製、試薬粉
末 C:水酸化マグネシウム(実施例21〜26で用いたも
のと同じ) D:炭酸マグネシウム(実施例21〜26で用いたもの
と同じ) E:炭酸カルシウム(実施例21〜26で用いたものと
同じ) えられた板状消弧材料(I)の組成および厚さ、ならび
に開閉器について実施例1〜10と同様の評価試験を行
なってえられた結果を表10に示す。
【0290】
【表9】
【0291】
【表10】 表10からわかるように、実施例33〜39でえられた
本発明の板状消弧材料(I)および開閉器は実施例1〜
10と同様にすぐれた性能を有する。試験後、消弧側板
のアークに接触した部分を目視にて観察したところ、損
傷がほとんどなく、良好であることがわかる。
【0292】[実施例43〜52] 実施例33〜42で製造された加圧前シート状物を2枚
重ね常温で200kg/cm2−Gで1分間加圧成形し
たことのほかは、実施例33〜42と同様にして板状消
弧材料(I)をえた(表11記載の略号、化合物は表9
と同じである)。さらに該板状消弧材料(I)を用いて
実施例1〜10と同様の消弧側板、消弧室および開閉器
を製作した。
【0293】えられた板状消弧材料(I)の組成および
厚さ、ならびに開閉器について実施例1〜10と同様の
評価試験を行なってえられた結果を表12に示す。
【0294】
【表11】
【0295】
【表12】 表12からわかるように、実施例43〜52でえられた
本発明の板状消弧材料(I)および開閉器は実施例1〜
10と同様にすぐれた性能を有する。試験後、消弧側板
のアークに接触した部分を目視にて観察したところ、損
傷がほとんどなく、良好であることがわかる。
【0296】[実施例53〜60] 実施例4、7、33および39において、第一リン酸金
属塩および縮合リン酸アルカリ金属塩の水溶液の濃度が
それぞれ85%になるまで水分を除去した加圧前シート
状物を製造し、それぞれ加圧前材料(4)、(7)、
(33)、(39)とする。表13記載の加圧前シート
状物(I)および加圧前シート状物(II)の2枚を重
ね合わせて、200℃の加熱下で200kg/cm2
Gで1分間加圧成形したほかは実施例1〜10と同様に
して実施例53〜56の板状消弧材料(I)をえた。ま
た、表13記載の加圧前シート状物(I)の両面に加圧
前シート状物(II)を重ね合わせた(合計3枚重ね)
ほかは、前記実施例53〜56と同様に、実施例57〜
60の板状消弧材料(I)をえた。さらに該板状消弧材
料を用いて実施例1〜10と同様の消弧側板、消弧室お
よび開閉器を製作した。
【0297】えられた板状消弧材料(I)の厚さおよび
開閉器について実施例1〜10と同様の評価試験を行な
ってえられた結果を表13に示す。
【0298】
【表13】 表13からわかるように、実施例53〜60でえられた
本発明の板状消弧材料(I)および開閉器は実施例1〜
10と同様にすぐれた性能を有する。試験後、消弧側板
のアークに接触した部分を目視にて観察したところ、損
傷がほとんどなく、良好であることがわかる。
【0299】[実施例61〜65、70〜74および比
較用の実施例66〜69、75〜77] 表14および表15に記載した、無機質結合剤組成物
(C)のうち、固形分すなわち絶縁性付与ガス発生源化
合物、耐アーク性無機質粉末、第一リン酸金属塩、硬化
剤および強度発現無機質繊維を石川式撹拌擂潰機で30
分間混合したのち、所定の水を注射器で滴下しながらさ
らに15分間混合して加圧前材料を調整した。
【0300】表14、表15で用いられた化合物は下記
のものである。
【0301】F:ジルコン粉末(実施例1〜10で用い
たものと同じ) G:コーディエライト粉末(実施例1〜10で用いたも
のと同じ) H:ムライト粉末、平均粒径4μm(350メッシュ全
通品) I:第一リン酸アルミニウム(実施例1〜10で用いた
ものと同じ) J:第一リン酸マグネシウム(実施例1〜10で用いた
ものと同じ) K:第一リン酸ナトリウム、ナカライテスク(株)製、
試薬粉末 L:ホウ酸アルミニウムウィスカ、平均繊維径0.6μ
m、平均繊維長25μm、四国化成(株)製、商品名ア
ルボレックス M:SiCウィスカ、平均繊維径0.08μm、平均繊
維長7μm、タテホ化学工業(株)製、商品名SCW N:炭酸カルシウムウィスカ、平均繊維径0.6μm、
平均繊維長25μm、四国化成(株)製、商品名ウィス
カル O:シリカアルミナガラス繊維、平均繊維径10μm、
平均繊維長60μm、イソライト工業(株)製、商品名
カオウールミルドファイバー P:Si34ウィスカ、平均繊維径0.5μm、平均繊
維長130μm、タテホ化学工業(株)製、商品名SN
W なお、表14、15中、略号A、Cの化合物(内容は前
記に同じ)は、硬化剤として作用する量と絶縁性付与ガ
ス発生源化合物として作用する量にわけて記載し、また
略号B(ウォラストナイト結晶)は、硬化剤として作用
する量と強度発現無機質繊維として作用する量にわけて
記載した。
【0302】つぎに、えられた加圧前材料を図1に示し
た消弧側板形状のたて40mm、よこ50mm、深さ5
mmの金型に充填し、常温で700kg/cm2−Gで
1分間加圧成形し、消弧側板形状の成形品をえた。この
成形品を1日間自然放置したのちオーブンに入れ、室温
から200℃まで5℃/分の昇温速度で昇温し、3時間
保持して養生させたのち、自然冷却して消弧側板(板状
消弧材料(II))をえた。さらに消弧側板を用いて実
施例1〜10と同様の消弧室および開閉器を製作した。
【0303】えられた開閉器について実施例1〜10と
同様の評価試験を行ない、結果を表16、表17に示
す。
【0304】
【表14】
【0305】
【表15】
【0306】
【表16】
【0307】
【表17】 表16、表17からわかるように、実施例61〜65、
70〜74でえられた本発明の板状消弧材料(II)お
よび開閉器は実施例1〜10と同様にすぐれた性能を有
する。試験後、消弧側板のアークに接触した部分を目視
にて観察したところ、損傷がほとんどなく、良好である
ことがわかる。
【0308】[比較例1] 特開昭63−310534号公報記載に準じてアクリル
酸エステル共重合体(ポリメチルメタクリレート)にガ
ラス繊維を30%含有させた、炭素の多い芳香環を含ま
ず、水素を多く含む有機物を使用して厚さ1mm、大き
さ300mm×300mmの積層板を作製し、実施例1
と同じ大きさ、厚さの消弧側板に加工した。
【0309】えられた消弧側板を用いて実施例1〜10
と同様に消弧室、開閉器を製作し実施例1〜10と同様
に評価試験を行なった。結果を表17に示す。
【0310】[比較例2] ガラスクロス−ポリエステル樹脂複合板の充填剤として
ポリエステル樹脂中に水和アルミナ30%添加し成形し
たもの(日光化成(株)製グラスマー)を実施例1と同
じ大きさ、厚さの消弧側板に加工した。
【0311】えられた消弧側板を用いて実施例1〜10
と同様に消弧室、開閉器を製作し実施例1〜10と同様
に評価試験を行なった。結果を表17に示す。
【0312】表17からわかるように、比較例1、2は
メグ測定試験において、規格値の0.5MΩを大きく下
回っていた。
【0313】
【発明の効果】本発明の板状消弧材料(I)は、養生後
の組成が強度発現用無機質シート35〜50%および無
機質結合剤組成物(B)50〜65%からなる、無機質
結合剤組成物(B)の含有率の高い材料であるので、す
ぐれた耐熱性、耐アーク性、耐熱衝撃性などを呈し、ま
た、強度発現用無機質シートの含有率が35〜50%で
あるので、すぐれた打抜き加工性、機械的強度などを呈
し、しかも容易に製造することができ、開閉器の電極の
接点の開閉時に消弧室内に発生するアークのエネルギー
を吸収、冷却して消滅させ、アーク熱から機器を保護す
る効果を有する。
【0314】本発明の板状消弧材料(I)において、強
度発現用無機質シートが、絶縁性を有するガラス繊維よ
り構成されたガラスマット、ガラスクロスまたはセラミ
ックファイバーを抄紙したセラミックペーパーであるば
あいには、板状消弧材料(I)の機械的強度がすぐれ、
耐熱性が良好となる。
【0315】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)が、絶縁性付与ガス発生源化合
物30〜45%、耐アーク性無機質粉末0〜28%、第
一リン酸金属塩水溶液40〜65%および第一リン酸金
属塩水溶液の硬化剤2〜10%からなる無機質結合剤組
成物(I)であるばあいには、強度発現用無機質シート
を一体化し、機械的強度、耐アーク性、耐熱性などの良
好な板状消弧材料(I)を与えるとともに、電極開閉時
に電極、接点およびその近傍の金属から発生する金属蒸
気および溶融金属液滴を絶縁体化して電気抵抗の低下を
充分に防止する効果を有する。
【0316】本発明の板状消弧材料(I)において、絶
縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化アルミニウムであ
るばあいには、絶縁性付与ガスとして酸素原子・分子
(O、O2)が発生し、電気抵抗の低下防止効果が良好
となる。
【0317】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における第一リン酸金属塩が、
第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸マグネシウム
であるばあいには、水に対する溶解性、水溶液の粘度、
結合性が良好で結合剤として好ましい性状となり、無機
質結合剤組成物(A)を好ましく調製できる。
【0318】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における第一リン酸金属塩水溶
液が、濃度25〜55%であるばあいには、該水溶液の
濃度を65〜85%に調整しやすく、また絶縁性付与ガ
ス発生源化合物、耐アーク性無機質粉末の添加量を所定
の含有量とし、無機質結合剤組成物(A)の強度発現用
無機質シートへの付着が好ましくなされ、シート状物が
容易に作製することができる。
【0319】本発明の板状消弧材料(I)において、第
一リン酸金属塩水溶液の硬化剤が、ウォラストナイト結
晶で、150℃付近の加熱で第一リン酸金属塩に耐
水性を付与することができ、すぐれた耐水性を有する板
状消弧材料(I)をうることができる。
【0320】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)が、絶縁性付与ガス発生源化合
物30〜50%、耐アーク性無機質粉末0〜20%およ
び縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50〜70%からな
る無機質結合剤組成物(II)であるばあいには、前述
の無機質結合剤組成物(I)を用いるばあいより電気抵
抗の低下防止効果の大きい板状消弧材料(I)となる。
【0321】本発明の板状消弧材料(I)において、絶
縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、炭
酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムであるばあいに
は、水酸化アルミニウムを使用したばあいよりも電気抵
抗の低下防止効果にすぐれる。
【0322】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における縮合リン酸アルカリ金
属塩が、メタリン酸ナトリウムまたはメタリン酸カリウ
ムであるばあいには、水に対する溶解性、水溶液の粘
度、結合性が良好で結合剤として好ましい性状となり、
無機質結合剤組成物(A)を好ましく調製できる。
【0323】本発明の板状消弧材料(I)において、無
機質結合剤組成物(A)における縮合リン酸アルカリ金
属塩水溶液が、濃度10〜40%であるばあいには、該
水溶液の濃度を65〜85%に調整しやすく、また絶縁
性付与ガス発生源化合物、耐アーク性無機質粉末の添加
量を所定の含有量とし、無機質結合剤組成物(A)の強
度発現用無機質シートへの付着が好ましくなされ、シー
ト状物が容易に作製できる。
【0324】本発明の板状消弧材料(I)において、絶
縁性付与ガス発生源化合物が、縮合リン酸アルカリ金属
塩水溶液の硬化剤としても作用するばあいには、縮合リ
ン酸アルカリ金属塩と反応して縮合リン酸アルカリ金属
塩を好ましく耐水化させることができる。
【0325】本発明の板状消弧材料(I)において、耐
アーク性無機質粉末が、酸化アルミニウム粉末であるば
あいには、耐アーク性、電気絶縁性にすぐれ、硬化剤と
しても作用し、またジルコン粉末またはコーディエライ
ト粉末であるばあいには、耐アーク性にすぐれ、低熱膨
張性を有し、えられる板状消弧材料(I)が呈する耐熱
衝撃性を向上させる効果を有し、原料コストも安価であ
るという利点も有する。
【0326】本発明の板状消弧材料(I)は、強度発現
用無機質シートおよび無機質結合剤組成物(A)からな
るシート状物を、80〜120℃で乾燥させたのち加圧
成形し、120〜200℃で養生させて水分を除去し硬
化させたのち80℃以下に冷却することにより製造され
るので、容易に前記すぐれた板状消弧材料(I)をうる
ことができる。
【0327】本発明の前記製法において、加圧成形する
前のシート状物が、絶縁性付与ガス発生源化合物30〜
45%、耐アーク性無機質粉末0〜28%および第一リ
ン酸金属塩水溶液の硬化剤2〜10%を混合し、つぎに
第一リン酸金属塩水溶液40〜65%を添加・混練して
無機質結合剤組成物(I)を調製し、これに強度発現用
無機質シートを浸漬して無機質結合剤組成物(I)を付
着させたシート状物を作製したのち、80〜120℃で
乾燥させて該シート状物中の第一リン酸金属塩水溶液の
濃度を65〜85%に調整したものであるので、加圧成
形したばあいに無機質結合剤組成物(I)が強度発現用
無機質シートからはみ出ることなく強度発現用無機質シ
ートと一体化し、緻密で機械的強度などの良好な板状消
弧材料(I)をうることができる。
【0328】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が水酸化アルミニウムであり、耐アーク
性無機質粉末が酸化アルミニウム粉末、ジルコン粉末ま
たはコーディエライト粉末であり、第一リン酸金属塩水
溶液の硬化剤がウォラストナイト結晶であり、第一リン
酸金属塩水溶液が第一リン酸アルミニウムまたは第一リ
ン酸マグネシウムの濃度25〜55%の水溶液であるば
あいには耐アーク性、耐熱性、耐熱衝撃性にすぐれ、電
気抵抗の低下防止効果が良好という効果を有する。
【0329】本発明の前記製法において、加圧成形する
前のシート状物が、絶縁性付与ガス発生源化合物30〜
50%および耐アーク性無機質粉末0〜20%を混合
し、つぎに縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50〜70
%を添加・混練して無機質結合剤組成物(II)を調製
し、これに強度発現用無機質シートを浸漬して無機質結
合剤組成物(II)を付着させたシート状物を作製した
のち、80〜120℃で乾燥させて該シート状物中の第
一リン酸金属塩水溶液の濃度を65〜85%に調整した
ものであるばあいには前述の無機質結合剤組成物(I)
を用いるばあいに比べて電気抵抗の低下防止効果が大き
いという効果を有する。
【0330】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ムまたは炭酸カルシウムであり、耐アーク性無機質粉末
が酸化アルミニウム粉末、ジルコン粉末またはコーディ
エライト粉末であり、縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液
がメタリン酸ナトリウムまたはメタリン酸カリウムの濃
度10〜40%の水溶液であるばあいにはとくに電気抵
抗の低下防止効果が大きいという効果を有する。
【0331】本発明の前記製法において、強度発現用無
機質シートに無機質結合剤組成物(I)または無機質結
合剤組成物(II)を付着させたシート状物における無
機質結合剤組成物(I)または無機質結合剤組成物(I
I)の付着量が、強度発現用無機質シート100部に対
して200〜350部であるばあいには耐熱性、耐アー
ク性、耐熱衝撃性にすぐれるという効果を有する。
【0332】本発明の前記製法において、加圧成形する
際に、80〜120℃で乾燥させたシート状物を2枚以
上重ね合わせて成形するばあいには寸法(厚さ)制御が
容易で、機械的強度が1枚のばあいより向上するという
効果を有する。
【0333】本発明の前記製法において、加圧成形する
際に、無機質結合剤組成物(A)を含有する強度発現用
無機質シートの片面または両面に、さらに絶縁性付与ガ
ス発生源化合物を散布するばあいにはさらに電気抵抗の
低下防止効果が大きくなるという効果を有する。
【0334】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシ
ウムまたは炭酸カルシウムであるばあいには水酸化アル
ミニウムを用いるばあいに比べて、さらに電気抵抗の低
下防止効果が大きくなるという効果を有する。
【0335】 本発明の前記製法において、絶縁性付与
ガス発生源化合物30〜45%、耐アーク性無機質粉末
0〜28%、第一リン酸金属塩水溶液40〜65%およ
び第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤2〜10%からなる
無機質結合剤組成物(I)を用いて調製し、80〜12
0℃で乾燥させて第一リン酸金属塩水溶液の濃度が65
〜85%になるように調整したシート状物の片面または
両面に、絶縁性付与ガス発生源化合物30〜50%、耐
アーク性無機質粉末0〜20%および縮合リン酸アルカ
リ金属塩水溶液50〜70%からなる無機質結合剤組成
物(II)を用いて調製したシート状物を80〜120
℃で乾燥させて該シート状物中の縮合リン酸アルカリ金
属塩水溶液の濃度が65〜85%になるように調整した
のち重ね合わせ、該重ね合わせた積層材料を要求厚さに
応じて重ね合わせ、加圧成形し、120〜200℃で養
生させて水分の除去と硬化を促進させたのち、80℃以
下に冷却するばあいには無機質結合剤組成物(I)単独
のばあいに比べて、より電気抵抗の低下防止効果が大き
いという効果を有する。
【0336】本発明の前記製法において、板状消弧材料
(I)の打抜き加工時の発塵防止処理として、コート剤
を塗布・含浸する工程をさらに有するばあいには打抜き
加工時に切断または破断されることによって発生する繊
維粒子が発生しにくいという効果を有する。
【0337】本発明の前記製法において、コート剤が有
機金属化合物(金属アルコキシド)または有機樹脂であ
るばあいにはコート剤と下地である板状消弧材料(I)
との結合性が良好で発塵防止性が大きいという効果を有
する。
【0338】本発明の板状消弧材料(II)は、絶縁性
付与ガス発生源化合物40〜55%、耐アーク性無機質
粉末25〜40%、第一リン酸金属塩8〜18%および
第一リン酸金属塩の硬化剤5〜10%、水2.6〜12
%および強度発現無機質繊維2〜10%からなる無機質
結合剤組成物(C)を加圧成形・養生してなる板状消弧
材料(II)であるので耐アーク性、耐熱性にすぐれる
という効果を有する。
【0339】本発明の板状消弧材料(II)において、
絶縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カル
シウムであるばあいには前述の無機質結合剤組成物(I
I)を用いて作製した板状消弧材料(I)と同様に電気
抵抗の低下防止効果が大きいという効果を有する。
【0340】本発明の板状消弧材料(II)において、
耐アーク性無機質粉末が、ジルコン粉末、コーディエラ
イト粉末またはムライト粉末であるばあいには耐アーク
性とともに耐熱衝撃性にすぐれるという効果を有する。
【0341】本発明の板状消弧材料(II)において、
第一リン酸金属塩が、第一リン酸アルミニウム、第一リ
ン酸マグネシウムまたは第一リン酸ナトリウムであるば
あいには絶縁性付与ガス発生源化合物が硬化剤としても
作用し、良好な無機質結合剤となるという効果を有す
る。
【0342】本発明の板状消弧材料(II)において、
第一リン酸金属塩に対する水の添加量が、第一リン酸金
属塩水溶液としたときの濃度が60〜75%になる量で
あるばあいには加圧成形時に可塑性が生じ、緻密な成形
体がえられるという効果を有する。
【0343】本発明の板状消弧材料(II)において、
第一リン酸金属塩の硬化剤が、ウォラストナイト結晶で
り、200℃までの加熱処理により耐水性を有する成
形体がえられるという効果を有する。
【0344】本発明の板状消弧材料(II)において、
強度発現無機質繊維が、無機質短繊維であるばあいには
耐熱性にすぐれるとともに均質に分散するという効果を
有する。
【0345】本発明の板状消弧材料(II)において、
無機質短繊維が、天然鉱物繊維、セラミックファイバー
またはセラミックウィスカであるばあいにはさらに機械
的強度および耐アーク性にすぐれるという効果を有す
る。
【0346】本発明の板状消弧材料(II)において、
天然鉱物繊維が、第一リン酸金属塩の硬化剤としても作
用するウォラストナイト結晶であるばあいには未反応繊
維成分が機械的強度(結合強度)を向上させ、反応成分
が耐水性を付与するという効果を有する。
【0347】本発明の板状消弧材料(II)は、絶縁性
付与ガス発生源化合物40〜55%、耐アーク性無機質
粉末25〜40%、第一リン酸金属塩8〜18%および
第一リン酸金属塩の硬化剤5〜10%、水2.6〜12
%および強度発現無機質繊維2〜10%からなる無機質
結合剤組成物(C)を金型中で加圧成形したのち120
〜200℃で養生させることにより製造されるので、多
くのばあい外形加工などが不要で、そのまま消弧板など
の最終製品をうることができる。
【0348】本発明の前記製法において、絶縁性付与ガ
ス発生源化合物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムである
ばあいには電気抵抗の低下防止効果が大きいという効果
を有する。
【0349】本発明の前記製法において、耐アーク性無
機質粉末が、ジルコン粉末、コーディエライト粉末また
はムライト粉末であるばあいには耐アーク性とともに耐
熱衝撃性にすぐれるという効果を有する。
【0350】本発明の前記製法において、第一リン酸金
属塩が、第一リン酸アルミニウム、第一リン酸マグネシ
ウムまたは第一リン酸ナトリウムであるばあいには結合
力の強い無機質結合剤組成物(C)がえられるという効
果を有する。
【0351】本発明の前記製法において、第一リン酸金
属塩の硬化剤が、ウォラストナイト結晶でり、耐水性
が200℃までの加熱処理で発現するとともに機械的強
度(結合強度)も向上するという効果を有する。
【0352】本発明の開閉器は、請求項1〜11のいず
れか、または請求項1619のいずれかに記載の板状
消弧材料(I)または(II)を消弧側板として用いた
消弧室が電極、接点近傍に配置されてなる開閉器である
ので、遮断性能、耐久性能、絶縁抵抗向上性能がすぐれ
たものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の板状消弧材料を用いて製作した消弧
室の一実施態様を示す概略斜視図である。
【図2】 本発明の開閉器の一実施態様を示すきりかき
状部分断面側面説明図である。
【図3】 従来技術の消弧室の一実施態様を示す概略斜
視図である。
【図4】 従来技術の開閉器の一実施態様を示すきりか
き状部分断面側面説明図である。
【符号の説明】
2 本発明の板状消弧材料からなる消弧側板、4 固定
接点、5 可動接点、6 開閉器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足達 廣士 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電 機株式会社 中央研究所内 (72)発明者 仁科 健一 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社 福山製作所内 (72)発明者 福谷 和則 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社 福山製作所内 (72)発明者 山県 伸示 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社 福山製作所内 (72)発明者 勝部 俊一 福山市緑町1番8号 三菱電機株式会社 福山製作所内 (56)参考文献 特開 昭54−72471(JP,A) 特開 昭57−126039(JP,A) 特開 昭56−106323(JP,A) 特開 昭56−106326(JP,A) 特開 平6−12934(JP,A) 特開 平5−43294(JP,A) 特開 平4−298922(JP,A) 特開 昭58−103732(JP,A) 特開 平7−288034(JP,A) 特開 平5−202277(JP,A) 特開 昭56−67363(JP,A) 特開 昭55−127446(JP,A) 実開 昭57−18233(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 9/30 H01H 9/36 H01H 73/18

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強度発現用無機質シートおよび無機質結
    合剤組成物(A)からなるシート状物を加圧成形・養生
    してなる板状消弧材料であって、 前記無機質結合剤組成物(A)が、絶縁性付与ガス発生
    源化合物30〜45重量%、耐アーク性無機質粉末0〜
    28重量%、第一リン酸金属塩水溶液40〜65重量%
    および第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤2〜10重量%
    からなり、かつ該第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤がウ
    ォラストナイト結晶であって、 養生後の組成が、強度発現用無機質シート35〜50重
    量%および無機質結合剤組成物(B)50〜65重量%
    である板状消弧材料(I)。
  2. 【請求項2】 強度発現用無機質シートが、絶縁性を有
    するガラス繊維より構成されたガラスマット、ガラスク
    ロスまたはセラミックファイバーを抄紙したセラミック
    ペーパーである請求項1記載の板状消弧材料(I)。
  3. 【請求項3】 絶縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化
    アルミニウムである請求項記載の板状消弧材料
    (I)。
  4. 【請求項4】 第一リン酸金属塩が、第一リン酸アルミ
    ニウムまたは第一リン酸マグネシウムである請求項
    載の板状消弧材料(I)。
  5. 【請求項5】 第一リン酸金属塩水溶液が、濃度25〜
    55重量%である請求項記載の板状消弧材料(I)。
  6. 【請求項6】 強度発現用無機質シートおよび無機質結
    合剤組成物(A)からなるシート状物を加圧成形・養生
    してなる板状消弧材料であって、 前記 無機質結合剤組成物(A)が、絶縁性付与ガス発生
    源化合物30〜50重量%、耐アーク性無機質粉末0〜
    20重量%および縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液50
    〜70重量%からなり、 養生後の組成が、強度発現用無機質シート35〜50重
    量%および無機質結合剤組成物(B)50〜65重量%
    である板状消弧材料(I)
  7. 【請求項7】 絶縁性付与ガス発生源化合物が、水酸化
    マグネシウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウム
    である請求項記載の板状消弧材料(I)。
  8. 【請求項8】 縮合リン酸アルカリ金属塩が、メタリン
    酸ナトリウムまたはメタリン酸カリウムである請求項
    記載の板状消弧材料(I)。
  9. 【請求項9】 縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液が、濃
    度10〜40重量%である請求項記載の板状消弧材料
    (I)。
  10. 【請求項10】 絶縁性付与ガス発生源化合物が、縮合
    リン酸アルカリ金属塩水溶液の硬化剤としても作用する
    請求項または記載の板状消弧材料(I)。
  11. 【請求項11】 耐アーク性無機質粉末が、酸化アルミ
    ニウム粉末、ジルコン粉末またはコーディエライト粉末
    である請求項または記載の板状消弧材料(I)。
  12. 【請求項12】 絶縁性付与ガス発生源化合物、耐アー
    ク性無機質粉末、第一リン酸金属塩水溶液および第一リ
    ン酸金属塩水溶液の硬化剤からなり、かつ該第一リン酸
    金属塩水溶液の硬化剤がウォラストナイト結晶である無
    機質結合剤組成物(A)を、絶縁性付与ガス発生源化合
    物30〜45重量%、耐アーク性無機質粉末0〜28重
    量%および第一リン酸金属塩水溶液の硬化剤であるウォ
    ラストナイト結晶2〜10重量%を混合し、つぎに第一
    リン酸金属塩水溶液40〜65重量%を添加・混練して
    調製する工程と、 これに強度発現用無機質シートを浸漬して、無機質結合
    剤組成物(A)を付着させたシート状物を作製する工程
    と、 80〜120℃で乾燥させて該シート状物中の第一リン
    酸金属塩水溶液の濃度を65〜85重量%に調整する工
    程と、 該シート状物を 加圧成形し、120〜200℃で養生さ
    せて水分を除去し硬化させたのち80℃以下に冷却する
    工程とからなる養生後の組成が強度発現用無機質シート
    35〜50重量%および無機質結合剤組成物(B)50
    〜65重量%である板状消弧材料(I)の製法。
  13. 【請求項13】 絶縁性付与ガス発生源化合物が水酸化
    アルミニウムであり、耐アーク性無機質粉末が酸化アル
    ミニウム粉末、ジルコン粉末またはコーディエライト粉
    末であり、第一リン酸金属塩水溶液が第一リン酸アルミ
    ニウムまたは第一リン酸マグネシウムの濃度25〜55
    重量%の水溶液である請求項12記載の製法。
  14. 【請求項14】 絶縁性付与ガス発生源化合物、耐アー
    ク性無機質粉末および縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液
    からなる無機質結合剤組成物(A)を、絶縁性付与ガス
    発生源化合物30〜50重量%および耐アーク性無機質
    粉末0〜20重量%を混合し、つぎに縮合リン酸アルカ
    リ金属塩水溶液50〜70重量%を添加・混練して調製
    する工程と、 これに強度発現用無機質シートを浸漬して、無機質結合
    剤組成物()を付着させたシート状物を作製する工程
    と、 80〜120℃で乾燥させて該シート状物中の縮合リン
    酸アルカリ金属塩水溶液の濃度を65〜85重量%に調
    する工程と、 該シート状物を加圧成形し、120〜200℃で養生さ
    せて水分を除去し硬化させたのち80℃以下に冷却する
    工程とからなる養生後の組成が強度発現用無機質シート
    35〜50重量%および無機質結合剤組成物(B)50
    〜65重量%である板状消弧材料の製法
  15. 【請求項15】 絶縁性付与ガス発生源化合物が水酸化
    マグネシウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウム
    であり、耐アーク性無機質粉末が酸化アルミニウム粉
    末、ジルコン粉末またはコーディエライト粉末であり、
    縮合リン酸アルカリ金属塩水溶液がメタリン酸ナトリウ
    ムまたはメタリン酸カリウムの濃度10〜40重量%の
    水溶液である請求項14記載の製法。
  16. 【請求項16】 絶縁性付与ガス発生源化合物40〜5
    5重量%、耐アーク性無機質粉末25〜40重量%、第
    一リン酸金属塩8〜18重量%、第一リン酸金属塩の硬
    化剤5〜10重量%、水2.6〜12重量%および強度
    発現無機質繊維2〜10重量%からなり、該第一リン酸
    金属塩の硬化剤がウォラストナイト結晶である無機質結
    合剤組成物(C)を加圧成形・養生してなる板状消弧材
    料(II)。
  17. 【請求項17】 絶縁性付与ガス発生源化合物が、水酸
    化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウ
    ムまたは炭酸カルシウムである請求項16記載の板状消
    弧材料(II)。
  18. 【請求項18】 耐アーク性無機質粉末が、ジルコン粉
    末、コーディエライト粉末またはムライト粉末である請
    求項16記載の板状消弧材料(II)。
  19. 【請求項19】 第一リン酸金属塩が、第一リン酸アル
    ミニウム、第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸ナ
    トリウムである請求項16記載の板状消弧材料(I
    I)。
  20. 【請求項20】 絶縁性付与ガス発生源化合物40〜5
    5重量%、耐アーク性無機質粉末25〜40重量%、第
    一リン酸金属塩8〜18重量%、第一リン酸金属塩の硬
    化剤5〜10重量%、水2.6〜12重量%および強度
    発現無機質繊維2〜10重量%からなり、前記第一リン
    酸金属塩の硬化剤がウォラストナイト結晶である無機質
    結合剤組成物(C)を金型中で加圧成形したのち120
    〜200℃で養生させることを特徴とする板状消弧材料
    (II)の製法。
  21. 【請求項21】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、16、17、18または19記載
    の板状消弧材料を消弧側板として用いた消弧室が電極、
    接点近傍に配置されてなる開閉器。
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