JP2016533900A - 酸化状態ホウ素化合物含有鋳型材料混合物、並びに鋳型及び中子を製造する方法 - Google Patents

酸化状態ホウ素化合物含有鋳型材料混合物、並びに鋳型及び中子を製造する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、鋳型ベース材料、水ガラス、非晶質二酸化ケイ素、酸化状態ホウ素化合物を含む鋳型材料混合物、および特に金属鋳造用の鋳型及び中子の製造に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、金属鋳造用の鋳型材料混合物に関する。鋳型材料混合物は、耐熱性鋳型基材に配合された1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物と、水ガラス系のバインダ系と、粒子状非晶質二酸化ケイ素と、を備える。本発明は、特にアルミニウム鋳物を製造するためのものであり、金属を鋳造した後で容易に破壊できる鋳型材料混合物を用いて鋳造用鋳型および中子を製造する方法に関する。
鋳造用鋳型は、本質的に、製造される鋳物のネガ形状を表す鋳型と中子との組み合わせから作られる。これらの中子及び鋳型は、例えば石英などの耐熱性材料と、鋳造用鋳型を成形用金型(Formwerkzeug)から取り外した後において鋳造用鋳型に十分な機械的強度を与える適切なバインダと、からなる。従って、鋳造用鋳型として、適切なバインダで覆われた耐熱性鋳型基材が用いられる。耐熱性鋳型基材は、適当な型に充填されてそこで圧縮され得るように、好ましくは自由流動形態で存在する。バインダは、鋳造用鋳型が所望の機械的安定性を実現するように、鋳型基材の粒子間の堅固な密着をもたらす。
鋳造用鋳型は、種々の要求を満たさなければならない。まず、実際の鋳造工程において、鋳造用鋳型は、1つ以上の(部分的な)鋳造用鋳型によって形成される空洞内に液体金属を受けることができるように、十分な強度と温度耐性とを示さなければならない。固化工程が始まった後、鋳型の機械的安定性は、鋳造用鋳型の壁に沿って形成される固化金属層によって保証される。鋳造用鋳型の材料は、金属から放出される熱の影響下で、鋳造用鋳型の機械的強度を失い、従って耐熱性鋳型基材の個々の粒子間の凝集力を排除するように、割れ落ちなければならない。理想的な鋳造用鋳型は、細かい砂に再び割れ落ちて、鋳造品から容易に取り除くことができる。
さらに、最近、可能な限り、環境を保護するために製造中および鋳物の冷却時に生成されるCOまたは炭化水素の形で排出しないこと、および炭化水素、主に芳香族炭化水素による閉鎖領域の有害臭を制限することが、頻度を増して要求されている。これらの要求に適合するために、これまでに無機バインダ系が開発され、また更に改良されている。無機バインダの使用は、鋳物金型の製造の際、COおよび炭化水素の放出が避けられるか、少なくとも明らかに削減されることを意味する。しかしながら、無機バインダ系の使用は、しばしば他の欠点を伴う。その詳細は以下に示す。
有機バインダと比較すると、無機バインダは、それで作製された鋳造用鋳型が相対的に低い強度を有するという欠点を持っている。これは、特にその後の成形用金型から鋳造用鋳型を取り出す点で明らかである。しかしながら、この時点での優れた強度は、より複雑な製品および/またはより薄い内壁の鋳型の製造とその安全な取り扱いのために特に重要である。また、耐湿性も有機バインダと比べて特に劣る。
特許文献1には、耐熱性鋳型材料と、水ガラス系のバインダと、粉末非晶質二酸化ケイ素と、の使用でより高い取り出し直後の強度とより高い大気中の湿気への抵抗を実現することが開示されている。これを用いると複雑な鋳造鋳型でも安全な取り扱いが保証される。
無機バインダ系は、また有機バインダ系と比較して、型抜き特性、すなわち、純粋な無機材料(例えば、バインダとして水ガラスを用いたもの)の鋳造金型の場合では、鋳物成形のあとで(機械的ストレス下で)自由流動形態になることで鋳造金型を即座に破壊できる性能は、有機バインダを用いて作製された鋳造金型の場合よりしばしば劣るという欠点を有する。
無機バインダ系の最後に挙げた特徴(より劣る型抜き特性)は、注湯完了後に理論的に除去しにくい、薄壁の又は壊れやすい又は複雑な鋳造用鋳型が用いられる場合に、特に不利益となる。例えば、内燃機関のある領域を製造するために必要ないわゆる水ジャケット中子が挙げられる。
熱い金属の影響下で分解/反応する有機成分を鋳型材料混合物に添加することで、鋳造後に形成された細孔により鋳造用鋳型の崩壊を容易にする試みはすでに為されている。この一つの例は、引用文献2である。しかしながら、ここで加えられるブドウ糖果糖液糖の量はかなり多く、従ってこれに関連して、COおよび熱分解物質の放出量も多量である。
欧州特許第1802409号明細書 独国特許出願公開第2059538号明細書
鋳物工場で使用される既知の無機バインダシステムは、まだ改良の余地がある。とりわけ、以下の無機バインダシステムを開発することが望ましい:
a)鋳造工程でCOおよび有機分解物質(ガスおよび/またはエアロゾル形態、例えば芳香族炭化水素、煙)を放出しないまたは量を際だって削減する構成を可能にする。
b)自動製造工程で必要な適切な強度レベルを達成する(特に熱間強度および保管後の強度)。
c)必要とされる後処理を少なくする、またはなくすことができるように、問題になっている鋳物の良好な表面品質を可能にする。
d)問題なく鋳物が鋳型から容易に且つ屑が残らないように離れ、鋳造後に良好な鋳造用鋳型の崩壊に導く。
それゆえ、本発明は、とりわけ、鋳造後に鋳造用鋳型の崩壊特性を効果的に改善し、同時に自動製造工程で必要な強度レベルを達成するする金属鋳造用の鋳造用鋳型を製造するための鋳型材料混合物を提供することを目的とする。
加えて、複雑な形状(例えば、薄い壁の部分が含まれる)の鋳造用鋳型の製造が可能とされるべきである。鋳造容鋳型は、高い強度安定性と、高い温度および湿度下での安定性も示すべきである。
この問題は、独立項の特徴を有する鋳型材料混合物、多成分系および/または方法によって解決される。本発明の従属項の主題に関する鋳型材料混合物のさらに有利な実施の形態は、下記に示される。
驚くことに、1以上の酸化状態の粉末ホウ素化合物を鋳型材料混合物に添加することで、作製直後および長い期間保管した後で高い強度を有する、無機バインダ系の鋳造容鋳型を製造することが可能であることが発見された。
明白な利点は、粉末ホウ酸塩の添加により、鋳造後に鋳造容鋳型の崩壊特性を明確に改善するという事実である。この利点は、鋳物、特に複雑な形状を有し空洞が非常に小さい鋳物の場合には、そこから鋳造用鋳型を取り出す必要があるので、製造のコストを明確に削減することに関連する。
本発明の実施の形態では、鋳型材料混合物は、有機成分を最大0.49重量%、特に最大0.19重量%含むだけなので、COおよび熱分解物質の放出量はかなり小さい。
これにより、作業場所にいる雇用された作業者およびその周辺の住人を、健康に有害な放出物にさらすことを削減することが可能である。本発明に係る鋳型材料混合物の使用は、気候に有害なCOおよび他の有機分解物質の放出の削減にも寄与する。
金属加工に用いる鋳造用鋳型の製造用の鋳型材料混合物は、少なくとも
・耐熱性鋳型基材、
・水ガラス系の(水ガラスを基材とする)バインダ、
・粒子状非晶質二酸化ケイ素、および
・1以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物、
を含む。
一般に公知の材料が、鋳造用鋳型を作製するための耐熱性鋳型基材として用いることができる。例えば、石英砂、ジルコニア砂又はクロミア砂、かんらん石、バーミキュライト、ボーキサイト、耐火粘土及び、合成鋳型基材が好ましく、耐熱性鋳型基材に基づいて50重量%超の石英砂が特に好ましい。全く新しい砂だけを専ら使用する必要はない。資源を節約し廃棄コストを避けるために、再生された古い砂の量をできるだけ多く使用することが有利である。
耐火性鋳型基材は、高い融点(溶融温度)を有する物質である。耐火性鋳型基材の融点は、600℃超が有利であり、好ましくは、900℃超であり、より好ましくは、1200℃超であり、特に好ましくは1500℃超である。
耐火性鋳型基材は、鋳型材料混合物の80重量%超占めると有利であり、特に90重量%超、より好ましくは、95重量%超占めるとよい。
例えば、好適な砂は、国際公開第2008/101668号明細書(米国特許出願公開第2010/173767号明細書)に記載されている。その他で好適に使用されるものは、粉砕された使用済鋳型を洗浄し及びその後に乾燥することにより得られる再生材料である。通例、再生材料は、少なくとも耐熱性鋳型材料の70重量%を構成することができ、好ましくは少なくとも約80重量%であり、特に好ましくは約90重量%超である。
耐熱性鋳型基材の平均直径は概して100μmと600μmとの間である。好ましくは120μmと550μmとの間であり、特に好ましくは150μmと500μmとの間である。粒径は、例えば、DIN ISO 3310によるふるい法により決定することができる。(互いに垂直な任意の空間方向での)最大線寸法対最小線寸法(の割合)で表される粒子の形状が、1:1〜1:5または1:1〜1:3であることが特に好ましく、すなわち、例えば、繊維状でない。
耐火性鋳型基材は、好ましくは自由流動状態であり、特に従来の中子射出機での処理を可能にするものである。
水ガラスは、溶解アルカリケイ酸塩を含み、ガラス質のリチウム、ナトリウムおよびカリウムケイ酸塩を水に溶かして作製される。水ガラスは、SiO/MO(異なるMを用いる場合累積する、すなわち合計である)で表されるモル比(molares Modul)で1.6〜4.0の範囲であることが好ましく、特に2.0〜3.5未満である。ここで、Mは、リチウム、ナトリウムおよび/またはカリウムを示す。バインダは、例えば、独国特許出願公開第2652421号明細書(=英国特許出願公開第1532847A)に開示されたリチウム変性水ガラスなどに代表される複数のアルカリイオンを含む水ガラスに基づいてもよい。さらに、水ガラスは、例えば、欧州特許出願公開第2305603号明細書(国際公開第2011/042132号明細書)に開示されたアルミニウム変性水ガラスなどの多価のイオンを含んでもよい。特定の実施の形態によれば、リチウムイオンのある割合、特に非晶質リチウムケイ酸塩、酸化リチウムおよび水酸化リチウムのある割合、または(LiO)/(MO)若しくは(Liactive)/(MO)のある割合が用いられることが、独国特許出願公開第102013106276号明細書に開示されている。
水ガラスは、25〜65重量%の範囲の固体成分、好ましくは30〜55重量%、特に30〜50重量%、最も特に好ましくは30〜45重量%の固体成分を有する。
固体成分は、水ガラス中に存在するSiOとMOの量に基づく。用途および所望の流動性レベルによって決まり、鋳型材料に基づいて、0.5重量%と5重量%との間の水ガラス系のバインダが用いられ、0.75重量%と4重量%との間が有利であり、1重量%と3.5重量%との間がより好ましく、1〜3重量%が特に好ましい。これらの値は、水ガラスバインダの全量に基づいて、溶媒(特に水性)または希釈剤および(可能であれば)固体成分(全体=100重量%)を含む。水ガラスの好ましい全量を計算する目的で、上述した値について、固体含量は、実際に用いられる固体含量に関わらず(実施例参照)35重量%と仮定される。
粉末または粒子状は、それぞれ、固体粉末(微細粉末を含む)および粒状物質を示す用語として適用される。これらは自由流動し、それ故ふるいわけまたは分級され得る。
本発明に係る固体混合物は、1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物を含む。酸化状態ホウ素化合物の平均粒径は、1mm未満が有利であり、0.5mm未満が好ましく、0.25mm未満が特に好ましい。酸化状態ホウ素化合物の粒径は、0.1μm超が有利であり、1μm超が好ましく、5μm超が特に好ましい。
平均粒径は、ふるい分析によって決定される。1.00mmの網目サイズのふるいの上のふるい残留物は5重量%未満が好ましく、2.0重量%未満がより好ましく、1.0重量%未満が特に好ましい。より好ましくは、上述にもかかわらず、0.5mmの網目サイズのふるいの上のふるい残留物は20重量%未満が有利であり、15重量%未満が好ましく、10重量%未満がより好ましく、5重量%未満が特に好ましい。上述にもかかわらず、0.25mmの網目サイズのふるいの上のふるい残留物が50重量%未満であり、好ましくは25重量%未満であり、より好ましくは15重量%未満である。ふるい残留物の測定は、DIN 66165 (Teil 2)に開示された機械ふるい法を用いて実施される。ここでふるい補助として付加的にチェーンリングが用いられる。
酸化状態ホウ素化合物(oxidischen Bor-Verbindun)は、化合物中にホウ素が酸化段階+3で存在する化合物として定義される。加えて、ホウ素は、3つ又は4つの酸素原子(第1配位圏における、すなわち最も近い原子として)と配位結合している。
好ましくは、酸化状態ホウ素化合物は、ホウ酸塩、ホウ酸、無水ホウ酸、ホウ素ケイ酸塩、ホウ素リン酸塩、ホウ素リンケイ酸塩、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる。ここで、酸化状態ホウ素化合物は、好ましくは、有機基を含まない。
ホウ酸は、オルトホウ酸(一般式HBO)、メタ又はポリホウ酸(一般式(HBO)として定義される。オルトホウ酸は、例えば温泉で鉱物の硼酸石(サッソライト)として生成される。それは、酸加水分解により、ホウ酸塩(例えば、ホウ砂)からも生成される。メタ又はポリホウ酸は、例えば熱誘導分子間縮合により、オルトホウ酸から生成される。
無水ホウ酸(一般式B)は、ホウ酸の焼成により得られる。この場合、無水ホウ酸は、一般にガラス状、吸湿性の塊として得られ、その後、挽いて粉末にされる。
ホウ酸塩は、理論的に、ホウ酸から生成される。それらは、天然または合成由来である。ホウ酸塩は、とりわけ、ホウ酸塩構造単位から構成される。ここで、ホウ素原子は、最も近い原子として3または4の酸素原子に囲まれている。個々の構造単位は、一般にアニオンであり、物質中に単離した状態で存在、たとえば、オルトホウ酸塩(BO3−の形で存在しているか、または個々の構造単位は、互いに結合した状態で存在、例えばメタホウ酸塩(BOn− の形で存在しており、これらの単位は、直鎖または環状を形成するように結合している。このような結合した構造がB−O−B結合に対応すると考えられる場合、この構造単位は、全体でアニオンである。
好ましくは、結合したB−O−B単位を含むホウ酸塩が用いられる。オルトホウ酸塩は、適切である、しかし好ましくない。アニオンのホウ酸塩単位に対する対イオンは、例えばアルカリまたはアルカリ土類カチオンであり、例えば亜鉛カチオンも該当する。
一価または二価のカチオンの場合、ホウ素に対するカチオンのモル比を以下に述べる。Mはカチオンを示し、xが1の場合二価のカチオン、xが2の場合一価のカチオンを示す。MO:Bのモル比(x=2の場合M=アルカリ金属およびx=1の場合M=アルカリ土類金属)は、かなり広い範囲で変動し得る。しかし、10:1未満であることが有利であり、好ましくは、2:1未満である。下限は、1:20超が有利であり、好ましくは1:10超であり、特に好ましくは1/5超である。
ホウ酸塩中で、アニオンのホウ酸塩単位に対する対イオンとして三価のカチオンが役割を果たすものもまた適切である。例えば、アルミニウムホウ酸塩の場合、アルミニウムカチオンである。
天然のホウ酸塩は、一般に水和物、すなわち、構造水(OH基として)および/または結晶体の水(HO分子)として水を含む。例えば、ホウ砂またはホウ砂十水和物(二ナトリウム四ホウ酸塩十水和物)が言及される。それの一般式は、[Na(H2O)4]2[B4O5(OH)4]または平易にNa2B4O7 *10H2Oとして文献に開示されている。水和および無水ホウ酸塩の両方が用いられる。しかし、水和ホウ酸塩が好ましく用いられる。
非晶質および結晶質のホウ酸塩の両方が用いられる。非晶質ホウ酸塩は、例えばアルカリ又はアルカリ土類ホウ酸塩として定義される。
過ホウ酸塩は、酸化的性質を有するため好ましくない。フッ化ホウ酸塩の使用もまた、理論的には可能である。しかし、フッ化物を含有しているため好ましくなく、アルミニウム鋳造では特に好ましくない。アンモニウムホウ酸塩がアルカリ水ガラス溶液とともに用いられると、多量のアンモニアが放出され、鋳物工場の労働者の健康に危険がおよぶため、そのような物質は好ましくない。
ホウ素ケイ酸塩、ホウ素リン酸塩およびホウ素リンケイ酸塩は、主に非晶質/ガラス質である化合物を含む。
これらの化合物の構造は、中性および/またはアニオンのホウ素−酸素配位性イオン(例えば、中性のBO単位またはアニオンのBO 単位)だけでなく中性および/またはアニオンのシリコン−酸素および/またはリン−酸素配位性イオンを含む。このケイ素は酸化段階+4であり、リンは酸化段階+5である。これらの配位性イオンは、酸素原子の架橋を介して互いに結合する。例えば、Si−O−B又はP−O−Bである。金属酸化物、特にアルカリおよびアルカリ土類金属酸化物は、ホウ素ケイ酸塩の構造中に取り込まれ、いわゆるネットワーク調整剤の役割を果たす。ホウ素ケイ酸塩、ホウ素リン酸塩およびホウ素リンケイ酸塩中で、好ましいホウ素(B換算)の割合は、対応するホウケイ酸塩、ホウ素リン酸塩およびホウ素リンケイ酸塩の全重量に基づいて、15重量%超であり、好ましくは30重量%超であり、特に好ましくは40重量%である。
しかしながら、ホウ酸塩、ホウ酸、無水ホウ酸(Borsaureanhydrid)、ホウ素ケイ酸塩、ホウ素リン酸塩および/またはホウ素リンケイ酸塩の群の中では、アルカリおよびアルカリ土類ホウ酸塩は、明らかに好ましい。この選択の一つの理由は、ホウ素無水物の高い吸湿性により、長期保管した場合、ホウ素無水物を粉末添加物として使用する可能性を妨げる。加えて、ホウ酸塩は、ホウ酸より特によい鋳物表面に導くことが、アルミニウム溶融物の鋳造実験で発見され、従って、ホウ酸はあまり好ましくない。ホウ酸塩は特に好ましく用いられる。特に好ましくは、アルカリおよび/またはアルカリ土類ホウ酸塩が用いられる。これらの中で、ナトリウムホウ酸塩および/またはカルシウムホウ酸塩が好ましい。
驚くほどに、鋳型材料混合物に極めて少量の添加でも、熱応力後、すなわち、金属鋳造後、特にアルミニウム鋳造後の鋳造用鋳型の崩壊の著しい改善が発見された。耐熱性鋳型基材に対して、酸化状態ホウ素化合物の割合は、1.0重量%未満が有利であり、好ましくは0.4重量%未満であり、より好ましくは、0.2重量%未満であり、さらに好ましくは0.1重量%未満であり、特に好ましくは0.075重量%未満である。それらの下限値は、0.002重量%超が有利であり、好ましくは0.005重量%超であり、より好ましくは0.01重量%超であり、特に好ましくは、0.02重量%超である。
アルカリ土類ホウ酸塩、特にカルシウムメタホウ酸塩は、COなどの酸性ガスを用いて硬化した鋳型および/または中子の強度を向上させることも、驚くことに発見された。鋳型および/または中子の耐湿性が、本発明に係る酸化状態ホウ素化合物の添加によって改善されることも、予想外に観察された。
本発明に係る鋳型材料混合物は、このタイプの鋳型材料混合物で作製される鋳造用鋳型の強度レベルを向上させるために、少量の粒子状非晶質二酸化ケイ素を含む。鋳造用鋳型の強度の増加、特に熱間強度の増加は、自動製造工程で有利である。合成された非晶質二酸化ケイ素は、特に好ましい。
非晶質二酸化ケイ素の粒径は、300μm未満が有利であり、200μm未満が好ましく、100μm未満が特により好ましい。また、非晶質二酸化ケイ素は、例えば、0.05μmと10μmとの間の平均一次粒径を有する。125μm(120メッシュ)の網目サイズのふるいを通り抜けた粒子状非晶質SiOのふるい残留物は、10重量%未満が有利であり、5重量%未満が特に好ましく、2重量%未満が極めて特に好ましい。これとは別に、63μmの網目サイズのふるい上のふるい残留物は、10重量%未満であり、8重量%未満が有利である。ふるい残留物の測定は、DIN 66165 (Teil 2)に開示された機械ふるい法を用いて実施されることが好ましい。ここでふるい補助として付加的にチェーンリングが用いられる。
本発明では、粒子状非晶質二酸化ケイ素は、15重量%未満の水を含むものを用いられるのが有利であり、特に5重量%未満であり、1重量%未満が特に好ましい。
粒子状非晶質SiOは粉末(微細粉末を含む)として用いられる。
合成したものでも天然のシリカでも、非晶質SiOとして用いることができる。天然のシリカは、例えば独国特許出願公開第102007045649号明細書に開示されている。しかし、天然のシリカは、多数の結晶片を含み、それは発がん性物質に分類されており好ましくない。非晶質SiOに適用する「合成」の用語は、自然由来のものでなく、すなわち、人工的に実施された化学反応で合成された物質に適用され、例えば、アルカリケイ酸塩溶液からイオン交換処理によるシリカゾルの製造、アルカリケイ酸塩溶液からの沈殿、四塩化ケイ素の火炎加水分解、ケイ素鉄およびケイ素の製造で用いられる電気アーク炉中でコークスを用いた石英砂の還元である。最後に述べた二つの方法により製造された非晶質SiOは、焼成SiOとして知られている。
時折、「合成非晶質二酸化ケイ素」の用語は沈殿シリカ(CAS No. 112926-00-8)および火炎加水分解(焼成シリカ、ヒュームドシリカ、CAS No. 112945-52-5)で製造されたSiOのみを含むと解釈される。一方、ケイ素鉄およびケイ素において生成された生成物は、ただ非晶質二酸化ケイ素(シリカヒューム、マイクロシリカ、CAS No. 69012-64-12)と呼ばれる。本発明の目的では、ケイ素鉄およびケイ素の製造の過程で生成された生成物は、非晶質SiOとも呼ばれる。
好ましくは、沈殿シリカおよび焼成シリカ、すなわち、火炎加水分解によりまたは電気アーク中で生成した二酸化ケイ素が用いられる。特に好ましくは、ZrSiOの熱分解により生成された非晶質二酸化ケイ素(独国特許出願公開第10201202509号明細書に開示)、および酸素を含むガスで金属Siの酸化により生成されたSiO(独国特許出願公開第102012020510号明細書に開示)が用いられる。結晶石英を溶融させた後急冷して作製される粉末石英ガラス(主に非晶質二酸化ケイ素)もまた好ましい。そうすることで、粒子はシャープというよりむしろ球状で存在する(独国特許出願公開第102012020511号明細書に開示)。粒子状非晶質二酸化ケイ素の平均一次粒径は、0.05μmと10μmとの間であり、特に0.1μmと2μmとの間である。一次粒径は、動的光散乱法(例えば、Horiba LA 950)を用いて決定され、走査型電子顕微鏡(REM-Aufnahmen、例えばFEI社のNova NanoSEM 230)により確認される。加えて、SEM写真を用いることで0.01μmの大きさのオーダまでサイズダウンされた一次粒径の細部が可視化される。SEM観察では、ケイ素サンプルは蒸留水に分散され、蒸留水が蒸発する前に、銅テープでラミネートされたアルミニウムホルダーに適用された。
さらに粒子状非晶質二酸化ケイ素の比表面積は、DIN 66131で定められた気体吸着測定(BET法)により決定される。粒子状非晶質SiOの比表面積は、1と200m/gとの間であり、特に1と50m/gとの間であり、特に好ましくは1と30m/gとの間である。所望により、例えば特定の粒径分布を有する混合物を体系的に得るために、製品が混合され得る。
製造方法および生産者によって、非晶質SiOの純度はかなり変化する。好ましいタイプは、85重量%以上二酸化ケイ素を含むものであり、好ましくは、90重量%以上であり、特に好ましくは95重量%以上である。使用方法および所望の固体レベルにより、鋳型基材に基づいて、0.1重量%と2重量%との間の粒子状非晶質SiOが用いられ、0.1重量%と1.8重量%との間が有利であり、特に好ましくは、0.1重量%と1.5重量%との間である。
粒子状非晶質二酸化ケイ素に対する水ガラスバインダの割合は、広い範囲の中で変動し得る。これは、中子の初期強度、すなわち成形用金型から取り出した直後の強度が、最終的な強度に実質的に影響させずに非常に改善できるという有利さを示す。これは、特に軽金属鋳物の場合にかなり興味深い。一方、高い初期強度は、中子が製作された後、困難なく中子を移動させるために、またはそれらを完全なコアパケットに組み合わせるために求められる。これに対して他方、最終的な強度は、レプリカ鋳造後に中子を破壊する問題を避けるために高すぎなくすべきである。すなわち、鋳造後に、鋳造用鋳型の穴から問題なく鋳型基材を取り除くことが可能であるべきである。
バインダ水ガラス(希釈剤および溶媒を含む)の全量に基づいて、非晶質SiOは、1〜80重量%の割合で存在することが有利であり、2〜60重量%が有利であり、より好ましくは3〜55重量%であり、特に好ましくは4と50重量%との間である。または、これと独立して、水ガラスの固体成分(酸化物に基づく、すなわちアルカリ金属酸化物および二酸化ケイ素の全重量)対非晶質SiOの割合は、10:1から1:1.2(重量部)である。
欧州特許第1802409号明細書によれば、非晶質二酸化ケイ素の添加は、バインダの添加の前または後の両方に耐熱性原料に直接行われる。しかし、欧州特許出願公開第1884300号明細書(米国特許出願公開第2008/029240号明細書)の開示では、まずSiOに少なくともバインダまたは水酸化ナトリウムの一部を前もって混ぜた物が作製され、これを耐熱性鋳型基材に添加する。バインダ、つまり、前もって混ぜた物に使用しないで残っているバインダは、前もって混ぜた物を添加する前または後、またはそれと同時に耐熱性鋳型基材に添加することができる。非晶質SiOは、バインダの添加前に耐熱性固体に添加された方が有利である。
追加の実施の形態では、硫酸バリウムは、鋳物、特にアルミニウム製、の表面をさらに改善するために鋳型材料混合物に添加され得る。
硫酸バリウムは、合成されたものまたは天然の硫酸バリウムである。天然の硫酸バリウムは、重晶石またはバライトなどの硫酸バリウムを含む鉱物の形態で添加される。好適な硫酸バリウムのこのおよび他の特徴も鋳型材料混合物と同様に独国特許出願公開第102012104934号明細書に開示に詳細に開示され、この開示された内容は、従って、本特許出願の開示に参照され組み込まれる。硫酸バリウムは、鋳型材料混合物の全体に基づいて、好ましくは0.02〜5.0重量%の量で添加され、より好ましくは、0.05〜3.0重量%、特に好ましくは、0.1〜2.0重量%または0.3〜0.99重量%の量で添加される。
追加の実施の形態では、さらに、少なくとも粒子状形態のアルミニウム酸化物および/またはアルミニウム/ケイ素混合酸化物、または粒子状形態のアルミニウムとジルコニウムの金属酸化物が、鋳型基材に基づいて、0.05重量%と4.0重量%との間の濃度で本発明に係る鋳型材料に添加され、0.1重量%と2.0重量%との間が有利であり、より好ましくは0.1重量%と1.5重量%とのあいだであり、特に好ましくは0.2重量%と1.2重量%との間であり、特に、添加成分(A)として添加されることが、独国特許出願公開第102012113073号明細書に開示または独国特許出願公開第102012113074号明細書に開示に更に詳細に開示されている。
したがって、これらの明細書も、本発明の開示として、参照により含む。そのような添加物によって、以下の金属鋳物、特により高い表面品質を有する鉄製または鋼製の鋳物が得られる。そのため、鋳造用鋳型の除去の後、鋳物表面の後処理を殆ど、または全く不要にすることができる。
追加の実施の形態では、本発明に係る鋳型材料混合物は、リン含有化合物を含み得る。この添加物は、鋳造用鋳型がかなり薄い壁部分を含む場合に好ましい。これらの添加物は、好ましくは無機リン化合物である。リンは、無機リン化合物中で酸化段階+5で存在することが好ましい。
リン含有化合物は、リン酸塩またはリン酸化物の形態で存在することが好ましい。リン酸塩は、アルカリまたはアルカリ土類金属リン酸塩として存在し得る。アルカリ金属リン酸塩、および特にそのナトリウム塩は、より好ましい。
ポリリン酸塩、ピロリン酸塩またはメタリン酸塩と同様にオルトリン酸塩は、リン酸塩として用いられ得る。例えば、リン酸塩は、適切な塩基、例えばNaOHのようなアルカリ金属塩基、または可能であればアルカリ土類金属塩基と対応する酸で中和して作製される。なお、リン酸塩の全ての負電荷が飽和状態にされることは必ずしも必要でない。金属リン酸塩および金属水素リン酸塩の両方と同様に、金属二水素リン酸塩も用いられ得る。例えばNaPO、NaHPOおよびNaHPOである。無水リン酸塩およびリン酸塩水和物も用いられ得る。リン酸塩は、結晶質または非晶質の形態で鋳型材料混合物に導入され得る。
ポリリン酸塩は、特に、複数のリン原子を有する、直鎖状のリン酸塩として知られており、リン原子は酸素原子の架橋を介して互いに結合する。
ポリリン酸塩は、水の分離を伴うオルトリン酸塩イオンの縮合により得られ、そうすることで、PO−4面体の直鎖のものがえられ、PO−4面体は、それらの対応する端で結合する。ポリリン酸塩は、一般式(O(PO(n+2)−、ここで、nは鎖長に対応する。ポリリン酸塩は、数百のPO−4面体を含む。しかしながら、短い鎖長のポリリン酸塩は、好適に用いられる。好ましくは、nは、2〜100の値であり、特に好ましくは5〜50の値である。さらに高縮合されたポリリン酸塩も用いられ、すなわち、ポリリン酸塩中でPO−4面体は互いに2より多い端で結合し、従って、ポリリン酸塩は、2または3次元での重合を示す。
メタリン酸塩は、PO−4面体から構成される環構造として定義され、それらは、互いにそれらの端で結合する。メタリン酸は、一般式((POn−で表され、nは、少なくとも3である。好ましくは、nは3〜10の値である。
個々のリン酸塩は、異なるリン酸塩および/またはリン酸化物のいくつかの混合物として用いられ得る。
耐熱性鋳型基材に基づいて、リン含有化合物の好ましい割合は、0.05と1.0重量%との間の量である。好ましくは、リン含有化合物の割合は0.1と0.5重量%の間から選ばれる。リン含有有機化合物は、P換算で、好ましくは、40と90重量%の間で含有し、特に好ましくは50と80重量%の間である。リン含有化合物そのものは、鋳型材料混合物に固体または溶解した形態で添加される。リン含有化合物は、好ましくは、固体として鋳型材料混合物に添加される。
有利な実施の形態では、本発明に係る鋳型材料混合物は、フレーク状の潤滑剤を含み、特にグラファイトまたはMoSを含む。フレーク状の潤滑剤の添加量は、特にグラファイトでは、鋳型基材に基づいて、0.05〜1重量%が有利であり、特に好ましくは、0.05〜0.5重量%である。
追加の有利な実施の形態では、界面活性剤物質、特に界面活性剤も用いられる。界面活性剤物質は、鋳型材料混合物の流動特性を改善するものである。これらの化合物の好適な例は、例えば、国際公開第2009/056320号明細書(米国特許出願公開第2010/0326620号明細書)に開示されている。好ましくは、本発明に関しては、アニオン性の界面活性剤が鋳型材料混合物に用いられる。ここでは、特に硫酸またはスルホン酸基を含む界面活性剤が言及されている。本発明に係る固体混合物では、純粋な界面活性物質、特に界面活性剤は、耐熱性鋳型基材の重量に基づいて、好ましくは0.001〜1重量%の割合で含まれ、特に好ましくは0.01〜0.2重量%で含まれる。
本発明に係る鋳型材料混合物は、少なくとも言及された組成がよく混合された混合物を表す。耐熱性鋳型基材の粒子は、バインダ層でコートされることが有利である。バインダ中に含まれる水(バインダの重量に基づいて、約40〜70重量%)の蒸発によって、耐熱性鋳型基材の粒子間の強い凝集が達成される。
本発明に係るバインダシステムで達成される高い強度にもかかわらず、本発明に係る固体混合物で作製された鋳造用鋳型は、鋳造後、特にアルミニウム鋳造において、驚くほど容易に崩壊する。上述したように、鉄の鋳造でも容易な崩壊を示す鋳造用鋳型が、本発明に係る鋳型材料混合物で作製されることもまた見いだされる。そのため、鋳造後、鋳型材料混合物は、鋳造用鋳型の狭いまたは角張った部分からでさえ再び即座に取り出されることができる。従って、本発明に係る鋳型材料混合物から作製された成形体の使用は、単に軽金属または非鉄金属の鋳造に限定されない。鋳造用鋳型は、一般に金属、例えば非鉄金属または鉄金属、の鋳造に適している。しかしながら、本発明に係る固体混合物は、特に好ましくは、アルミニウムの鋳造に適している。
本発明は、本発明に係る鋳型材料混合物を用いる、金属加工用の鋳造用鋳型を製造する方法にも関する。本発明に係る方法は、
− 少なくとも上記の必須の成分を配合および混合することで、上述の鋳型材料混合物を提供する工程、
− 鋳型材料混合物を成形する工程、
− 形成した鋳型材料混合物を硬化させ、硬化した鋳造用鋳型を得る工程、
を備える。
本発明に係る鋳型材料混合物の作製では、一般に、調製は以下のように実施される。まず、耐熱性鋳型基材(成分(F))が供給され、攪拌されながら、バインダまたは成分(B)、および添加物または成分(A)、が加えられる。それらは、個々にまたは混合物として計量される。好適な実施の形態では、バインダは、二つの成分系として提供される。ここで、第1流体成分は水ガラスおよび任意に界面活性剤(前述参照)(成分(B))を含み、第2固体成分は1つ以上の酸化状態ホウ素化合物および特に二酸化ケイ素(成分(A))、並びに鋳型基材を除く他の上述された固体添加物、特に粒子状非晶質二酸化ケイ素、任意にリン酸塩、及び任意に好ましくはフレーク状の潤滑剤、及び任意に硫酸バリウムまたは任意に上述した他の成分を含む。
鋳型材料混合物の製造では、耐熱性鋳型基材は、混合器に入れられ、好ましくはバインダの固体成分は、耐熱性鋳型基材に添加され混合される。混合の継続時間は、耐熱性鋳型基材と固体バインダ成分とを徹底的に混合されるように選択される。混合の継続時間は、作製される鋳型材料混合物の品質だけでなく用いる混合器によっても決定される。混合時間は、好ましくは1〜5分の間で選択される。
そして、このましくは、さらに混合物を混合している間にバインダの流体成分が添加され、そして混合物は、耐熱性鋳型基材の細粒上に均一なバインダ層が形成されるまでさらに混合される。
ここでもまた、混合の継続時間は、用いられる鋳型材料混合物の品質および用いられる混合器によって決定される。好ましくは、混合工程の継続時間は、1〜5分の間で選択される。流体成分は、様々な流体成分の混合物と、個々の流体成分の総和と、の両方で定義される。ここで、後者は、個々に添加される。同様に、固体成分は、個々の成分または上述の固体成分の全ての混合物と、全ての個々の固体成分の総和と、の両方で定義される。ここで、後者は、鋳型材料混合物に同時または連続して添加され得る。他の実施の形態では、まずバインダの流体成分が耐熱性鋳型基材に添加され、そのときはじめて、混合物の固体成分が添加される。他の実施の形態では、まず、鋳型基材の重量に基づいて、0.05〜0.3重量%の水が耐熱性鋳型基材に添加され、そのときはじめて、固体および液体成分のバインダが添加される。
この実施の形態では、固体混合物の処理時間に対する驚くべき好ましい効果が達成できる。発明者は、バインダの固体成分の脱水効果がこの方法では削減され、このため硬化処理が遅延すると推定する。鋳型材料混合物は、そのとき、所望の鋳型に設置される。この工程では、一般の成形方法が用いられる。例えば、鋳型材料混合物は、吹き込み式中子製造機を用いて圧縮空気で成形用金型に吹き込まれる。その後、鋳型材料混合物は硬化させられる。ここでは、水ガラス系のバインダ用に知られている全ての方法を用いることができ、例えば熱硬化、COまたは空気を用いたガス処理、またはこれらの2つの組み合せはもちろん、液体または固体触媒を用いた硬化も同様に用いることができる。熱硬化が、好ましい。
熱硬化では、水が鋳型材料混合物から取り出される。このように、シラノール基間で縮合反応もまた開始し、そのため、水ガラスの架橋が生じることが想定される。
加熱が実施されると、例えば、成形用金型内で、鋳型材料混合物が100〜300℃の温度を有することが有利であり、特に好ましくは、120〜250℃である。成形用金型内で鋳造用鋳型を早くも完全に硬化させることが可能である。しかしながら、成形用金型から取り出すことができる十分な強度を有する程度に、鋳造用鋳型の周辺部分だけを硬化させることも可能である。この鋳造用鋳型は、それからさらに脱水することにより完全に硬化する。これは、例えば加熱炉内で実施できる。脱水は、例えば減圧下で水の蒸発によっても実施される。
鋳造用鋳型の硬化は、成形用金型内に熱風を吹き込むことで加速される。この方法の実施の形態では、素早くバインダ内に含まれる水の除去が達成される。そのため、工業用に適した期間内で鋳造用鋳型が固化する。吹き込まれる空気の温度は100℃〜180℃が有利であり、特に好ましくは120℃〜150℃である。熱風の風速は、工業用に適した期間内で鋳造用鋳型の硬化が実施されるように調整されることが好ましい。この期間は、作製される鋳造用鋳型のサイズにより決定される。5分未満の期間内での硬化が有利であり、2分未満が好ましい。しかしながら、大型の鋳造用鋳型では、より長い期間が必要とされ得る。
鋳型材料混合物からの脱水は、マイクロ波放射により鋳型材料混合物を加熱することでも実施または補助され得る。例えば、固体粉末成分(1又は複数)と鋳型材料とを混合し、表面にこの混合物を層状に適用し、液体バインダ成分、特に水ガラス、を用いてそれぞれの層にプリントすることもあり得る。ここで固体混合物の層ごとの適用の後に、液体バインダを用いた印刷工程が続く。
工程の最後、すなわち、最後の印刷工程の最後で、全ての混合物は、マイクロ波オーブンの中で加熱され得る。
本発明に係る方法は、それ自体金属鋳造用に一般に用いられる全ての鋳造用鋳型、例えば中子および鋳型、の作製に適合する。また、この方法をかなり薄い壁部を有する鋳造用鋳型の作製に用いることも特に有利である。
本発明に係る鋳型材料混合物によって、または本発明に係る方法により作製された鋳造用鋳型は、作製直後に高い強度を有し、鋳造が完了した後、鋳造用鋳型は、硬化後の鋳造用鋳型の除去で問題が生じる程度にまで高い強度を持たない。加えて、これらの鋳造用鋳型は、大気の高湿度下で高い安定性を有する。すなわち、鋳造用鋳型は、驚くほどに問題なく長期間の保管も可能である。有利な点として、この鋳造用鋳型は、機械的ストレス下で非常に高い安定性を有し、そのため、鋳造用鋳型の薄い壁部は、鋳造工程の間溶湯静圧により変形することなく実施される。本発明の追加の目的は、さらに上述の本発明の方法により得られた鋳造用鋳型である。
本発明は、以下の実施例に基づいてより詳細に説明されるが、これらに限定されない。硬化方法として熱硬化だけが記載されているが、これに限定されない。
1)様々な粉末状酸化状態ホウ素化合物の曲げ強度に与える効果
いわゆるゲオルク・フィッシャー(Georg Fischer)試験棒は、鋳型材料混合物を試験するために作製された。ゲオルク・フィッシャー試験棒は、150mm×22.36mm×22.36mmの寸法の矩形試験棒である。鋳型材料混合物の組成は、表1に示される。以下の手順は、ゲオルク・フィッシャー試験棒の作製に使用された。
・表1に示された成分は、実験用櫂型ミキサ(独国HagenのVogel & Schemmann AG製)内で混合された。この目的では、まず石英砂が容器内に設置され、攪拌中に水ガラスが添加された。水ガラスは、少量のカリウムを含むナトリウム水ガラスが用いられた。そのため、モル式は、下記の表にSiO/MOとして与えられる。ここで、Mはナトリウムおよびカリウムの合計である。混合物が1分間攪拌された後、非晶質SiOおよび任意に粉末状酸化状態ホウ素化合物が更に攪拌されながら添加された。混合物は、その後さらに1分間撹拌された。
・鋳型材料混合物は、独国ViersenのRoperwerk-Giesereimaschinen GmbH製のH 2.5 Hot Box吹込み式中子製造機の貯槽へ移された。中子製造機の成形用金型は180℃に加熱された。
・鋳型材料混合物は、圧縮空気(5bar)を用いて成形用金型内に導入され、成形用金型内の滞留時間は、35秒であった。
・混合物の硬化処理を促進させるため、最後の20秒間に熱風(2bar、型への入口で100℃)を成形用金型に通過させた。
・成形用金型を開き、試験棒が取り外された。
曲げ強さを決定するため、試験棒は、3点曲げ手段を備えるゲオルク・フィッシャー強度試験装置(スイスSchaffhausenのDISA Industrie AG製)に設置され、試験棒を破壊させる力が測定された。曲げ強度は、以下の計画に従って測定された。
・ 取り出し後10秒(熱間強度)
・ 取り出し後1時間(冷間強度)
・ 30℃、相対湿度60%の気候試験用キャビネット内で24時間、中子を保管した後(中子だけが、冷却後(取り出し後1時間)気候試験用キャビネット内に設置された。)
Figure 2016533900
表1中の上付き文字は、それぞれ以下の意味を有する。
a)アルカリ水ガラスのモル比SiO2/M2Oは、全水ガラスに基づいて、約2.2である。固体含量は約35%である。
b)マイクロシリカPOS B-W 90 LD(ZrSiO4を熱分解して形成された非晶質SiO2、Possehl Erzkontor製)
c)ホウ酸、工業品質(99.9% H3BO3, Cofermin Chemicals GmbH & Co. KG製)
d)Etibor 48(ホウ砂五水和物、Na2B4O7*5 H2O、Eti Maden Isletmeleri製)
e)メタホウ酸ナトリウム8 mol(Na2OB2O3*8H2O、ホウ砂、Europe Limited製)
f)ホウ砂十水和物SP(Na2B4O7*10H2O−粉末、ホウ砂、Europe Limited製)
g)ホウ砂十水和物(Na2B4O7*10H2O−粒状、ホウ砂、Europe Limited、Eti Maden Isletmeleri製)
h)ホウ酸リチウム(99.998% Li2B4O7、Alfa Aesar製)
i)メタホウ酸カルシウム(Sigma Aldrich製)
k)全水ガラスに基づいて、アルカリ水ガラスのモル比SiO2/M2Oは約2.2である。固体含量は約35%である。−−0.5重量部のホウ砂十水和物g) は、透明な溶液にするため、使用前に水ガラスに溶解される。
測定した曲げ強度を表2に示す。
例1.01および1.02は、非晶質SiO(欧州特許第1802409号明細書および独国特許出願公開第10201202509号明細書に関する)の添加により明らかな強度水準の改善が達成されたという事実を示す。例1.02〜1.14の比較は、強度水準は、粉末状酸化状態ホウ素化合物の添加によって顕著な影響は受けていないことを示す。
例1.06および例1.11〜1.14は、本発明に係る添加物の割合の増加により強度水準の僅かな劣化を実証することができる。しかしながら、影響はかなり僅かである。
例1.01、1.15および1.16の比較は、本発明に係るホウ素化合物の添加だけ、すなわち非晶質二酸化ケイ素を添加しない場合は、強度、特に熱間強度および冷間強度に対する負の影響を有することを示す。熱間強度は、自動大量生産用には低すぎる。
例1.02、1.06および1.09の比較は、粉末添加物として非晶質二酸化ケイ素を含む鋳型材料混合物の場合、本発明に係るホウ素化合物の添加が、熱間および冷間強度に対する影響をほとんど有しないことを示す。驚くことに、しかしながら、本発明に係るホウ素化合物を鋳型材料混合物に添加することは、当該ホウ素化合物を用いて製造された中子製品の安定性を向上させる。
Figure 2016533900
2)崩壊特性の改善
中子の除去特性に対する、異なる粉末状酸化状態ホウ素化合物の影響が評価された。以下の手順が用いられた。
・表1の鋳型混合物1.01〜1.14から作製されたゲオルク・フィッシャー試験棒は、曲げ強度に関して試験された(例1と同様、表2にまとめられた値から違いは見られなかった)。
・つぎに、長辺に対する垂直面で約半分のピースに割られた二つのゲオルク・フィッシャー試験棒は、45分間650℃のマッフル加熱炉(Naber Industrieofenbau製)内での熱ストレスにさらされた。
・マッフル加熱炉から棒を取り出し、それに続く室温に冷却する工程の後、棒は、1.25mmのメッシュ幅を有するいわゆる振動ふるい(Retsch GmbH製のAS 200デジタル振動性のふるいシェイカーに設置したふるい)に設置した。
・その後、棒は、固定された振幅(可能な最大設定値の70%(100単位))で60秒間振盪させられた。
・ふるいの上の残留物および収集トレイ内の破砕された物質の量(破壊された中子(entkernter Anteil)の成分)のそれぞれは、はかりを用いて測定された。破壊された中子の成分が百分率で、表3に表される。
繰り返して得られた値の平均値を示すそれぞれの値は、表3にまとめられている。
例1.01および1.02の比較は、このように作製された鋳型の崩壊特性が、鋳型材料混合物に粒子状非晶質二酸化ケイ素を添加することで明確に悪化することを示す。これに対して、例1.02〜1.09の比較は、粉末状酸化状態ホウ素化合物の使用が、水ガラスと結合した鋳型の崩壊特性を明確に改善に導くことを明らかに示す。例1.07および1.10の比較は、ホウ酸塩(この場合)が鋳型材料混合物に用いられる前にバインダに溶解されるか、またはホウ酸塩が鋳型材料混合物に固体粉末として添加されるかの違いを生ずることを示す。この効果は、意外である。
例1.06および1.11〜1.14は、崩壊挙動が、本発明に係る添加物の割合を増加させると著しく改善されることを明らかに示す。少量の添加物でも、熱負荷後の硬化した鋳型材料混合物の崩壊能力を向上させるのに十分であることもまた明らかである。
Figure 2016533900
(付記1)
金属加工用の鋳造用鋳型または中子を製造するための鋳型材料混合物であって、少なくとも、
−耐熱性鋳型基材、
−バインダとしての水ガラス、
−粒子状非晶質二酸化ケイ素、および、
−1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物(oxidische Bor-Verbindungen)、
を含む鋳型材料混合物。
(付記2)
前記鋳型材料混合物は、少なくとも以下の成分(A)、(B)、および(F)、
(A)−粒子状非晶質SiOと、
−1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物と、を含み、
−水ガラスを含まない、粉末添加成分(A)、
(B)−水ガラスおよび当該水ガラスの構成成分としての水を含み、
−粒子状非晶質SiOを含まない、バインダ成分(B)、および、
(F)−耐熱性鋳型基材を含み、
−水ガラスを含まない、自由流動性耐火成分(F)、
から構成され、互いに空間的に離れて存在する多成分系を一つにまとめることで製造される、
付記1に記載の鋳型材料混合物。
(付記3)
鋳型及び中子を製造するための多成分系であって、互いに空間的に離れて存在する、少なくとも以下の成分(A)、(B)、および(F)、
(A)少なくとも、
−1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物(oxidische Bor-Verbindungen)と、
−粒子状非晶質SiOと、を含み、
−水ガラスを含まない、粉末添加成分(A)、
(B)少なくとも、
−水を含有する水ガラスを含む、液体バインダ成分(B)、および、
(F)−耐熱性鋳型基材を含み、
−水ガラスを含まない、自由流動性耐火成分(F)、
を含む、鋳型及び中子を製造するための多成分系。
(付記4)
前記酸化状態ホウ素化合物は、ホウ酸塩、ホウ素リン酸塩、ホウ素リンケイ酸塩、およびそれらの混合物、特にホウ酸塩、好ましくは、ナトリウムホウ酸塩および/またはカルシウムホウ酸塩などのアルカリおよび/またはアルカリ土類ホウ酸塩、からなる群より選ばれ、更に好ましくは、前記酸化状態ホウ素化合物は有機基を含有しない、
付記1〜3の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記5)
前記酸化状態ホウ素化合物は、B−O−B構造要素から構成される、
付記1〜4の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記6)
前記酸化状態ホウ素化合物は、0.1μm超1mm未満の平均粒径を有し、好ましくは1μm超0.5mm未満であり、特に好ましくは5μm超0.25mm未満である、
付記1〜5の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記7)
前記酸化状態ホウ素化合物は、前記耐熱性鋳型基材に基づいて、0.002重量%超1.0重量%未満の量を、好ましくは0.005重量%超0.4重量%未満の量を、特に好ましくは0.01重量%超0.1重量%未満の量を、特に好ましくは0.02重量%超0.075重量%未満の量で添加されまたは含有される、
付記1〜6の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記8)
前記耐熱性鋳型基材は、石英砂、ジルコニア砂またはクロマイト砂、かんらん石、バーミキュライト、ボーキサイト、耐火粘土、ガラス玉、粒状ガラス、アルミニウムケイ酸塩ミクロスフィア、およびそれらの混合物を含み、好ましくは前記耐熱鋳型基材に基づいて、50%超の石英砂からなる、
付記1〜7の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記9)
前記鋳型材料混合物または前記多成分系の80重量%超、好ましくは90重量%超、特に好ましくは95重量%超は、耐熱性鋳型基材である、
付記1〜8の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記10)
前記耐熱性鋳型基材は、ふるい分析で決定された100μmから600μmの平均粒径を有し、好ましくは120μmと550μmとの間の平均粒径を有する、
付記1〜9の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記11)
前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、1〜200m/g、好ましくは、1m/g以上30m/g以下、特に好ましくは、15m/g以下の、BETで決定される表面積を有する、
付記1〜10の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記12)
前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、バインダの全重量に基づいて、1〜80重量%の量で用いられ、好ましくは2〜60重量%の間である、
付記1〜11の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記13)
前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、動的光散乱で決定される0.05μmと10μmとの間の平均一次粒径を有し、特に0.1μmと5μmとの間であり、特に好ましくは0.1μmと2μmとの間である、
付記1〜12の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記14)
前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、沈殿シリカ、電気アーク中または火炎加水分解で生成した焼成シリカ、ZrSiOの熱分解により生成したシリカ、酸素を含むガスで金属ケイ素の酸化により生成した二酸化ケイ素、溶融およびその後の急冷により結晶石英から生成された球状粒子の石英ガラス粉末、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる、
付記1〜13の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記15)
前記鋳型材料混合物および前記多成分系は、粒子状非晶質SiOに加えて、他の粒子状酸化金属、好ましくはアルミニウム酸化物、特に以下のa)からd)、
a)二酸化ジルコニウムを添加したコランダム、
b)ジルコニウムムライト、
c)ジルコニウムコランダム、および、
d)二酸化ジルコニウムを添加したアルミニウムケイ酸塩、
のグループの1つ以上のメンバーから選択されるアルミニウム酸化物を、
好ましくは、成分(A)の部分として含有する、
付記1〜14の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記16)
前記鋳型材料混合物および多成分系は、前記粒子状非晶質二酸化ケイ素を、
・鋳型基材に基づいて、0.1〜2重量%、好ましくは、0.1〜1.5重量%の量で含有し、
これとは独立して、
・前記バインダ(水を含む)または成分(B)の重量に基づいて、2〜60重量%、特に好ましくは4〜50重量%含有し、前記バインダの固体の割合は、20〜55重量%であり、好ましくは25〜50重量%である、
付記1〜15の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記17)
前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、5重量%未満の含水量を有し、特に好ましくは1重量%未満の含水量を有する、
付記1〜16の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記18)
前記水ガラス(水を含む)は、前記鋳型材料混合物中の前記鋳型基材に対して、鋳型基材中に0.75重量%〜4重量%、特に好ましくは、1重量%〜3.5重量%の量の可溶性アルカリケイ酸塩を含有し、より好ましくは独立して、但し上記の値と組み合わせてもよく、鋳型材料混合物中の鋳型基材に対して、固形分中の水ガラスの割合は0.2625〜1.4重量%、好ましくは0.35〜1.225重量%である、
付記1〜17の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記19)
M=リチウム、ナトリウムおよび/またはカリウムとし、前記水ガラスは、モル比(molares Modul)でSiO/MOの値が1.6〜4.0の範囲であり、特に2.0〜3.5未満である、
付記1〜18の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記20)
前記鋳型材料混合物は、また、好ましくは成分(A)の部分として、および成分(A)と独立して、前記耐熱性鋳型基材の重量に基づいて、好ましくは、0.05〜1.0重量%、特に好ましくは、0.1〜0.5重量%の、1つ以上のリン含有化合物を含有し、前記リン含有化合物は、好ましくは、溶解した状態でなく固体として添加される、
付記1〜19の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記21)
硬化剤(特に少なくとも1つのエステル化合物またはリン酸化合物)が、好ましくは成分(A)の部分として、または追加成分として鋳型材料混合物に添加される、
付記1〜20の何れか1つに記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
(付記22)
・付記1〜21の何れか1つに記載の物質または成分を配合および混合により固体の混合物を提供することと、
・前記鋳型材料混合物を型に入れるとともに、前記鋳型材料混合物を加熱および脱水を伴う加熱硬化により、好ましくは、前記鋳型材料混合物を100〜300℃の温度にさらすことにより硬化させることと、
を含む、鋳型及び中子を製造する方法。
(付記23)
前記鋳型材料混合物は、圧縮空気を用いた吹き込み式中子製造機を用いて型に入れられ、前記型は、成形用金型(Formwerkzeug)であり、前記成形用金型には、CO若しくはCOを含むガスのような1種以上のガス、好ましくは、60℃より高く加熱されたCOおよび/または60℃より高く加熱された空気、が流される、
付記22に記載の方法。
(付記24)
硬化のために、前記鋳型材料混合物は、100〜300℃の温度、好ましくは120〜250℃の温度に、好ましくは5分間未満さらされ、より好ましくは、温度は、加熱した空気を成形用金型に吹き込むことにより少なくとも部分的に生じる、
付記22または23に記載の方法。
(付記25)
付記22または24に記載の方法で製造された、金属鋳物用、特にアルミニウム鋳物用の鋳型または中子。
(付記26)
− 混合物を生成するために、少なくとも、付記2〜21の何れか1つに記載の粉末添加成分(A)および自由流動固体成分(F)、他の成分中で、可能であればこれらの付記に記載の他の任意の成分とともに混合すること、
− 前記混合物を層の形状の表面に層ごとに適用すること、および、
− 前記液体バインダ成分(B)による前記層の印刷であって、前記混合物の層ごとの適用の後に、前記液体バインダ成分(B)を用いた印刷工程が続き、硬化は、好ましくはマイクロ波を用いて実施されるように、印刷すること、
を含む、本体を積層して成形する方法。

Claims (26)

  1. 金属加工用の鋳造用鋳型または中子を製造するための鋳型材料混合物であって、少なくとも、
    −耐熱性鋳型基材、
    −バインダとしての水ガラス、
    −粒子状非晶質二酸化ケイ素、および、
    −1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物(oxidische Bor-Verbindungen)、
    を含む鋳型材料混合物。
  2. 前記鋳型材料混合物は、少なくとも以下の成分(A)、(B)、および(F)、
    (A)−粒子状非晶質SiOと、
    −1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物と、を含み、
    −水ガラスを含まない、粉末添加成分(A)、
    (B)−水ガラスおよび当該水ガラスの構成成分としての水を含み、
    −粒子状非晶質SiOを含まない、バインダ成分(B)、および、
    (F)−耐熱性鋳型基材を含み、
    −水ガラスを含まない、自由流動性耐火成分(F)、
    から構成され、互いに空間的に離れて存在する多成分系を一つにまとめることで製造される、
    請求項1に記載の鋳型材料混合物。
  3. 鋳型及び中子を製造するための多成分系であって、互いに空間的に離れて存在する、少なくとも以下の成分(A)、(B)、および(F)、
    (A)少なくとも、
    −1つ以上の粉末状酸化状態ホウ素化合物(oxidische Bor-Verbindungen)と、
    −粒子状非晶質SiOと、を含み、
    −水ガラスを含まない、粉末添加成分(A)、
    (B)少なくとも、
    −水を含有する水ガラスを含む、液体バインダ成分(B)、および、
    (F)−耐熱性鋳型基材を含み、
    −水ガラスを含まない、自由流動性耐火成分(F)、
    を含む、鋳型及び中子を製造するための多成分系。
  4. 前記酸化状態ホウ素化合物は、ホウ酸塩、ホウ素リン酸塩、ホウ素リンケイ酸塩、およびそれらの混合物、特にホウ酸塩、好ましくは、ナトリウムホウ酸塩および/またはカルシウムホウ酸塩などのアルカリおよび/またはアルカリ土類ホウ酸塩、からなる群より選ばれ、更に好ましくは、前記酸化状態ホウ素化合物は有機基を含有しない、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  5. 前記酸化状態ホウ素化合物は、B−O−B構造要素から構成される、
    請求項1〜4の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  6. 前記酸化状態ホウ素化合物は、0.1μm超1mm未満の平均粒径を有し、好ましくは1μm超0.5mm未満であり、特に好ましくは5μm超0.25mm未満である、
    請求項1〜5の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  7. 前記酸化状態ホウ素化合物は、前記耐熱性鋳型基材に基づいて、0.002重量%超1.0重量%未満の量を、好ましくは0.005重量%超0.4重量%未満の量を、特に好ましくは0.01重量%超0.1重量%未満の量を、特に好ましくは0.02重量%超0.075重量%未満の量で添加されまたは含有される、
    請求項1〜6の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  8. 前記耐熱性鋳型基材は、石英砂、ジルコニア砂またはクロマイト砂、かんらん石、バーミキュライト、ボーキサイト、耐火粘土、ガラス玉、粒状ガラス、アルミニウムケイ酸塩ミクロスフィア、およびそれらの混合物を含み、好ましくは前記耐熱鋳型基材に基づいて、50質量%超の石英砂からなる、
    請求項1〜7の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  9. 前記鋳型材料混合物または前記多成分系の80重量%超、好ましくは90重量%超、特に好ましくは95重量%超は、耐熱性鋳型基材である、
    請求項1〜8の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  10. 前記耐熱性鋳型基材は、ふるい分析で決定された100μmから600μmの平均粒径を有し、好ましくは120μmと550μmとの間の平均粒径を有する、
    請求項1〜9の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  11. 前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、1〜200m/g、好ましくは、1m/g以上30m/g以下、特に好ましくは、15m/g以下の、BETで決定される表面積を有する、
    請求項1〜10の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  12. 前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、バインダの全重量に基づいて、1〜80重量%の量で用いられ、好ましくは2〜60重量%の間である、
    請求項1〜11の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  13. 前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、動的光散乱で決定される0.05μmと10μmとの間の平均一次粒径を有し、特に0.1μmと5μmとの間であり、特に好ましくは0.1μmと2μmとの間である、
    請求項1〜12の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  14. 前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、沈殿シリカ、電気アーク中または火炎加水分解で生成した焼成シリカ、ZrSiOの熱分解により生成したシリカ、酸素を含むガスで金属ケイ素の酸化により生成した二酸化ケイ素、溶融およびその後の急冷により結晶石英から生成された球状粒子の石英ガラス粉末、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる、
    請求項1〜13の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  15. 前記鋳型材料混合物および前記多成分系は、粒子状非晶質SiOに加えて、他の粒子状酸化金属、好ましくはアルミニウム酸化物、特に以下のa)からd)、
    a)二酸化ジルコニウムを添加したコランダム、
    b)ジルコニウムムライト、
    c)ジルコニウムコランダム、および、
    d)二酸化ジルコニウムを添加したアルミニウムケイ酸塩、
    のグループの1つ以上のメンバーから選択されるアルミニウム酸化物を、
    好ましくは、成分(A)の部分として含有する、
    請求項1〜14の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  16. 前記鋳型材料混合物および多成分系は、前記粒子状非晶質二酸化ケイ素を、
    ・鋳型基材に基づいて、0.1〜2重量%、好ましくは、0.1〜1.5重量%の量で含有し、
    これとは独立して、
    ・前記バインダ(水を含む)または成分(B)の重量に基づいて、2〜60重量%、特に好ましくは4〜50重量%含有し、前記バインダの固体の割合は、20〜55重量%であり、好ましくは25〜50重量%である、
    請求項1〜15の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  17. 前記粒子状非晶質二酸化ケイ素は、5重量%未満の含水量を有し、特に好ましくは1重量%未満の含水量を有する、
    請求項1〜16の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  18. 前記水ガラス(水を含む)は、前記鋳型材料混合物中の前記鋳型基材に対して、鋳型基材中に0.75重量%〜4重量%、特に好ましくは、1重量%〜3.5重量%の量の可溶性アルカリケイ酸塩を含有し、より好ましくは独立して、但し上記の値と組み合わせてもよく、鋳型材料混合物中の鋳型基材に対して、固形分中の水ガラスの割合は0.2625〜1.4重量%、好ましくは0.35〜1.225重量%である、
    請求項1〜17の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  19. M=リチウム、ナトリウムおよび/またはカリウムとし、前記水ガラスは、モル比(molares Modul)でSiO/MOの値が1.6〜4.0の範囲であり、特に2.0〜3.5未満である、
    請求項1〜18の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  20. 前記鋳型材料混合物は、また、好ましくは成分(A)の部分として、および成分(A)と独立して、前記耐熱性鋳型基材の重量に基づいて、好ましくは、0.05〜1.0重量%、特に好ましくは、0.1〜0.5重量%の、1つ以上のリン含有化合物を含有し、前記リン含有化合物は、好ましくは、溶解した状態でなく固体として添加される、
    請求項1〜19の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  21. 硬化剤(特に少なくとも1つのエステル化合物またはリン酸化合物)が、好ましくは成分(A)の部分として、または追加成分として鋳型材料混合物に添加される、
    請求項1〜20の何れか1項に記載の鋳型材料混合物および/または多成分系。
  22. ・請求項1〜21の何れか1項に記載の物質または成分を配合および混合により固体の混合物を提供することと、
    ・前記鋳型材料混合物を型に入れるとともに、前記鋳型材料混合物を加熱および脱水を伴う加熱硬化により、好ましくは、前記鋳型材料混合物を100〜300℃の温度にさらすことにより硬化させることと、
    を含む、鋳型及び中子を製造する方法。
  23. 前記鋳型材料混合物は、圧縮空気を用いた吹き込み式中子製造機を用いて型に入れられ、前記型は、成形用金型(Formwerkzeug)であり、前記成形用金型には、CO若しくはCOを含むガスのような1種以上のガス、好ましくは、60℃より高く加熱されたCOおよび/または60℃より高く加熱された空気、が流される、
    請求項22に記載の方法。
  24. 硬化のために、前記鋳型材料混合物は、100〜300℃の温度、好ましくは120〜250℃の温度に、好ましくは5分間未満さらされ、より好ましくは、温度は、加熱した空気を成形用金型に吹き込むことにより少なくとも部分的に生じる、
    請求項22または23に記載の方法。
  25. 請求項22または24に記載の方法で製造された、金属鋳物用、特にアルミニウム鋳物用の鋳型または中子。
  26. − 混合物を生成するために、少なくとも、請求項2〜21の何れか1項に記載の粉末添加成分(A)および自由流動固体成分(F)、他の成分中で、可能であればこれらの請求項に記載の他の任意の成分とともに混合すること、
    − 前記混合物を層の形状の表面に層ごとに適用すること、および、
    − 前記液体バインダ成分(B)による前記層の印刷であって、前記混合物の層ごとの適用の後に、前記液体バインダ成分(B)を用いた印刷工程が続き、硬化は、好ましくはマイクロ波を用いて実施されるように、印刷すること、
    を含む、本体を積層して成形する方法。
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