JP2001356378A - 光源装置 - Google Patents

光源装置

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JP2001356378A JP2000178460A JP2000178460A JP2001356378A JP 2001356378 A JP2001356378 A JP 2001356378A JP 2000178460 A JP2000178460 A JP 2000178460A JP 2000178460 A JP2000178460 A JP 2000178460A JP 2001356378 A JP2001356378 A JP 2001356378A
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秀世 平松
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朋子 大槻
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型でメンテナンスが容易であり、かつ、露
光光源として十分な出力を得られる安価な光源装置を提
供する。 【解決手段】 赤外域から可視域までの波長範囲内の単
一波長の信号光を出力する1つの信号光光源1と、該信
号光光源1から出力する信号光を複数に分岐する信号光
分岐手段2と、該信号光分岐手段2によって分岐したそ
れぞれの信号光を互いに偏波面の向きが等しい直線偏光
にする偏波コントローラ4a1〜4anと該直線偏波の
向きを揃えた状態で配列保持する偏波保持部5とを備え
た偏波調整出力手段10を設け、信号光光源1と信号光
分岐手段2の各出力端には光増幅器a,3b1〜3bn
を設ける。偏波調整出力手段10によって信号光を偏波
面の向きが等しい直線偏光として整列させて波長変換ユ
ニット6に入力し、これらの直線偏光を波長変換ユニッ
ト6により一括波長変換して紫外光とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体素子
やCCD等の撮影素子、結晶表示素子、プラズマディス
プレイ素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスを製
造するためのフォトリソグラフィー工程で使用される露
光装置の露光光源や計測用光源に用いられる光源装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体集積回路を製造するための
フォトリソグラフィー工程で使用される露光装置は、マ
スクとしてのレチクル(フォトマスク)上に精密に書か
れた回路パターンを、基板としてフォトレジストを塗布
したウエハ上に光学的に縮小して投影露光する装置であ
る。
【0003】上記露光装置において、露光時におけるウ
エハ上で最小のパターン寸法(解像度)を小さくするた
めに最も単純で有効な方法の1つは、露光光の波長(露
光波長)を短くすることである。したがって、露光装置
の解像度を小さくする(向上する)ために、露光装置に
適用される光源装置(露光光源装置)には光出力波長の
短波長化が求められる。
【0004】また、上記露光装置に適用される光源装置
には、以下の3つの特性も要求される。すなわち、第1
に、集積回路の露光、転写に要する時間を短くして、ス
ループットを高めるために、例えば数ワットの光出力を
有すること求められる。第2に、露光波長が300nm
以下の紫外光を照射する露光光源の場合には、投影光学
系の屈折部材(レンズ)として使用できる光学材料が限
られ、色収差の補正が難しくなってくるため、露光光の
単色性が求められる。そして、露光光のスペクトル線幅
を1pm以下にすることが求められている。
【0005】第3に、このスペクトル線幅の狭帯域化に
伴い、時間的コヒーレンス(可干渉性)が高くなるた
め、狭い線幅の光をそのまま照射すると、スペックルと
呼ばれる不要な干渉縞が生じてしまうため、このスペッ
クルの発生を抑制するために、露光光源には空間的にコ
ヒーレンスが低いことが求められる。
【0006】これらの3つの特性を有し、光出力の短波
長化を実現できる光源の1つとして、レーザの発振波長
自体が短波長であるエキシマレーザ等のレーザを用いた
光源がある。
【0007】具体的には、上記露光光源装置用のエキシ
マレーザとして、例えば発振波長が248nmのKrF
エキシマレーザが使用されており、最近では、露光光源
装置として発振波長がさらに短波長(193nm)のA
rFエキシマレーザを使用する露光装置の開発が進めら
れている。また、エキシマレーザに変えて、レーザの発
振波長自体がさらに短波長(157nm)のFレーザ
を使用した露光光源装置も提案されている。
【0008】しかしながら、エキシマレーザやFレー
ザは大型であり、発振周波数が数キロHz程度であるた
め、単位時間当たりの照射エネルギーを高めるためには
1パルス当たりのエネルギーを大きくする必要がある。
このため、いわゆるコンパクション等によって光学部品
の透過率変動などが生じ易いこと、メンテナンスが煩雑
で費用が高額となることなどの種々の問題があった。
【0009】そこで、上記3つの特性を有し、光出力の
短波長化を実現できる光源の別の例として、赤外又は可
視域のレーザの高調波発生を利用した光源が提案され
た。この種の光源は、非線形光学結晶の2次の非線形光
学効果を利用して、紫外光よりも長波長の光(赤外光、
可視光)を紫外光に変換する方法を用いた光源である。
【0010】この種の光源の具体例として、特開平8―
334803号公報には、半導体レーザを備えた信号光
発生部と、この信号光発生部からの光を非線形光学結晶
により紫外光に波長変換する波長変換部とから構成され
るレーザ要素を複数個マトリックス上に(例えば10×
10)束ねたアレイレーザが提案されている。このアイ
レーザは、個々のレーザ要素の光出力を低く押えつつ装
置全体の光出力を高出力とすることができ、各非線形光
学結晶への負担を軽減することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平8―334803号公報に提案されたアイレーザ
は、個々のレーザ要素が独立しているために、露光光源
装置への適用を考慮した場合には、全てのレーザ要素の
発振スペクトルを全幅で1pm以下まで一致させる必要
が生じ、その調整が大変だったり、装置の複雑化を招く
おそれがあった。
【0012】すなわち、全てのレーザ要素の発振スペク
トルを全幅で1pm以下まで一致させるためには、例え
ば各レーザ要素で自立的に同一波長の単一モードを発振
させる必要があり、そのためには、各々のレーザ要素の
共振波長を調整するか、あるいは共振器中に波長選択素
子を挿入することが必要となる。そして、前者のように
各々のレーザ要素の共振波長を調整する場合は、その調
整が微妙であり、また、後者のように波長選択素子を挿
入する場合には、構成要素が多くなるために全てのレー
ザ要素を同一波長で発振させるために複雑な構成が必要
となるのである。
【0013】そこで、複数のレーザを能動的に単一波長
化する方法として、発振スペクトル線幅の狭い単一の信
号光源から複数のレーザ要素に分岐し、この信号光を誘
導波として用いることにより、各レーザ要素の発振波長
を同調させ、かつ、スペクトル線幅を狭幅帯域化すると
いう、いわゆるインジェクションシード法を用いた装置
構成が提案された。なお、このインジェクションシード
法は、例えば「WalterKoechner; Solid-State Laser E
ngineering, 3rd Edition, Springer Seriesin Optica
l Science, vol.1,Springer Verlag, ISBN 0-387-5375
6,p.246-249」に参照される。
【0014】しかしながら、この方法を用いた場合、シ
ード光を各レーザ要素に分岐する光学系が必要となるの
はもちろんのこと、その他に発振波長の同調制御部を必
要とし、構造が複雑になるという問題がある。
【0015】さらに、上記のような装置構成はいずれも
各レーザ要素がそれぞれ波長変換部を有する構成であ
り、前者の場合には信号光発生部の数に対応させて波長
変換部を設け、後者の場合にはシード光の分岐数に対応
させて波長変換部を設ける構成となる。
【0016】このように、信号光発生部数又はシード光
の分岐数に対応させて波長変換部を設ける構成において
は、その分だけ装置コストが高価となり、また、信号光
発生部数ごと又はシード光分岐数ごとに個別に設けられ
た波長変換部と該波長変換部に入力される信号光との光
接続を行ない、その後、レーザ要素アレイを組み立てる
必要があり、光源装置の製造が容易でないといった問題
があった。しかも、レーザ要素の一部にアライメントず
れが生じた場合や構成する光学素子に損傷が生じた場合
には、このレーザ要素を取り出して調整したうえで、再
度、レーザ要素アレイを組み立て直さなければならない
ため、非常に手間がかかる。
【0017】また、上記各装置構成は、従来のエキシマ
レーザに比べて装置全体を格段に小さくすることは可能
だが、それでも、レーザ要素アレイ全体の出力ビーム系
を数cm以下に押えるパッケージングは困難であった。
【0018】さらに、上記各装置構成において、それぞ
れのレーザ要素を構成する波長変換部の非線形光学結晶
は、該結晶に入射する信号光の偏波が直線偏波で、か
つ、信号光の偏波の向きが揃っていないと、波長変換結
晶中での波長変換効率が悪く、露光光源として十分な出
力が得られないが、上記装置構成において、波長変換効
率を向上させる構成は示されておらず、十分な波長変換
効率が得られる保証がなかった。
【0019】本発明は、上記従来の課題を解決するため
になされたものであり、その目的は、小型でメンテナン
スが容易であり、かつ、露光光源として十分な出力を得
られる安価な光源装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次のような構成をもって課題を解決するた
めの手段としている。すなわち、第1の発明は、互いに
等しい波長の信号光を出力する複数の信号光光源と、こ
れらの各信号光光源から出力される複数の信号光を互い
に偏波面の向きが等しい直線偏光に揃えて出力する偏波
調整出力手段と、該偏波調整出力手段からの出力光の波
長を予め定めた設定波長に一括変換する波長変換ユニッ
トとを有する構成をもって課題を解決する手段としてい
る。
【0021】また、第2の発明は、単一波長の信号光を
出力する1つ以上の信号光光源と、該信号光光源から出
力される信号光を複数に分岐する信号光分岐手段と、該
信号光分岐手段により分岐した複数の信号光を互いに偏
波面の向きが等しい直線偏光に揃えて出力する偏波調整
出力手段と、該偏波調整出力手段からの出力光の波長を
予め定めた設定波長に一括変換する波長変換ユニットと
を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0022】さらに、第3の発明は上記第2の発明の構
成に加え、前記信号光分岐手段は該信号光分岐手段に入
力される光の偏波状態を保持した状態で光分岐を行なう
偏波保持分岐手段により形成した構成をもって課題を解
決する手段としている。
【0023】さらに、第4の発明は、上記第1又は第2
又は第3の発明の構成に加え、前記信号光光源と偏波調
整出力手段との間の光通路に1つ以上の光増幅器を設け
た構成をもって課題を解決する手段としている。
【0024】さらに、第5の発明は、上記第4の発明の
構成に加え、前記光増幅器は該光増幅器に入力される信
号光の偏波状態を保持した状態で信号光を増幅する偏波
保持光増幅器により形成した構成をもって課題を解決す
る手段としている。
【0025】さらに、第6の発明は、上記第1乃至第5
のいずれか一つの発明の構成に加え、前記偏波調整出力
手段は該偏波調整出力手段に入力される複数の信号光の
偏波状態を互いに偏波面の向きが等しい直線偏光にする
偏波コントローラと、該直線偏波の向きを揃えた状態で
配列保持する偏波保持部を有する構成をもって課題を解
決する手段としている。
【0026】さらに、第7の発明は、上記第6の発明の
構成に加え、前記偏波コントローラによる偏波制御状態
を検出する偏波状態検出手段を有し、前記偏波コントロ
ーラは偏波状態検出手段の検出結果に基づいて光の偏波
状態をフィードバック制御する構成とした構成をもって
課題を解決する手段としている。
【0027】さらに、第8の発明は、上記第7の発明の
構成に加え、前記偏波状態検出手段は偏波コントローラ
内を通過する信号光または偏波コントローラの出力端か
ら出力する信号光をモニタすることによって偏波コント
ローラによる偏波状態を検出する手段とした構成をもっ
て課題を解決する手段としている。
【0028】さらに、第9の発明は、上記第7の発明の
構成に加え、前記偏波状態検出手段は偏波調整出力手段
の出力側に設けられた波長変換ユニット内を通過する信
号光または波長変換ユニット出力端から出力する信号光
をモニタすることによって偏波コントローラによる偏波
状態を検出する手段とした構成をもって課題を解決する
手段としている。
【0029】さらに、第10の発明は、上記第1乃至第
5のいずれか一つの発明の構成に加え、前記信号光光源
は信号光を直線偏波状態で出力する直線偏波光源により
形成し、偏波調整出力手段は該偏波調整出力手段に入力
される複数の信号光の直線偏波の向きを揃えた状態で配
列保持する偏波保持部により形成した構成をもって課題
を解決する手段としている。
【0030】さらに、第11の発明は、上記第1乃至第
10のいずれか一つの発明の構成に加え、前記偏波保持
部は光通路上に設けられた複数の偏波保持ファイバと、
該偏波保持ファイバを配列固定する偏波保持ファイバ配
列具とを備えている構成をもって課題を解決する手段と
している。
【0031】さらに、第12の発明は、上記第11の発
明の構成に加え、前記偏波保持ファイバ配列具は偏波保
持ファイバを1次元アレイ状に配列する1次元アレイ配
列具とした構成をもって課題を解決する手段としてい
る。
【0032】さらに、第13の発明は、上記第11の発
明の構成に加え、前記偏波保持ファイバ配列具は偏波保
持ファイバを2次元アレイ状に配列する2次元アレイ配
列具とした構成をもって課題を解決する手段としてい
る。
【0033】さらに、第14の発明は、上記第6乃至第
13のいずれか一つの発明の構成に加え、前記偏波保持
部の温度を調整する温度調整手段を設けた構成をもって
課題を解決する手段としている。
【0034】さらに、第15の発明は、上記第1乃至第
14のいずれか一つの発明の構成に加え、前記信号光光
源は赤外域から可視域までの波長範囲内の単一波長の信
号光を出力する光源とし、波長変換ユニットは前記信号
光光源の出力波長を紫外域の波長に変換する非線形光学
結晶とした構成をもって課題を解決する手段としてい
る。
【0035】上記構成の本発明において、互いに等しい
波長の信号光を出力する複数の信号光光源から出力され
る複数の信号光や、単一波長の信号光を出力する1つ以
上の信号光光源からの信号光の分岐光は、偏波調整出力
手段によって、互いに偏波面の向きが等しい直線偏光に
揃えて出力され、この出力光の波長が波長変換ユニット
によって予め定めた設定波長に一括変換される。
【0036】このように、本発明においては、複数の信
号光の波長を波長変換ユニットによって設定波長に一括
変換する構成と成しており、従来のアイレーザ等の光源
装置と異なり、複数の信号光ごとに波長変換部(本発明
の波長変換ユニットに対応)を設けていないために、そ
の分だけ装置コストを安くすることが可能となり、光源
装置の製造も容易となる。
【0037】しかも、本発明においては、偏波調整出力
手段等の光学素子の一部にアライメントずれが生じた場
合や光学素子に損傷が生じた場合にも、ずれや損傷が生
じた部分のみ調整し、偏波調整出力手段からの出力光が
適切に波長変換ユニットに光接続されるようにすればよ
く、各レーザ要素ごとに調整を行ない、さらに、複数の
レーザ要素を配列し直すといった作業が不要となる。
【0038】また、本発明においては、偏波調整出力手
段を、例えば偏波コントローラと、偏波保持ファイバを
配列した偏波保持ファイバ配列具を有する偏波保持部に
より構成できるために、偏波調整出力手段の出力部のサ
イズを非常に小さくすることが可能となり、この出力部
を非線形光学結晶などにより形成される波長変換ユニッ
トに接続し、光源装置の出力部とすればよいために、出
力ビーム系を数cm以下に押えるパッケージングも可能
となる。
【0039】さらに、本発明においては、偏波調整出力
手段によって、複数の信号光は互いに偏波面の向きが等
しい直線偏光に揃えて出力され、この出力光の波長が波
長変換ユニットによって予め定めた設定波長に一括変換
されるため、非線形光学結晶などにより形成される波長
変換ユニットによる波長変換効率を高くすることが可能
となり、露光光源として十分な出力を得ることが可能と
なる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1には、本発明に係る光源装置
の第1実施形態例が示されている。同図に示すように、
本実施形態例の露光光源装置は、赤外域から可視域まで
の波長範囲内の単一波長の信号光を出力する1つの信号
光光源1と、該信号光光源1から出力する信号光を複数
に分岐する信号光分岐手段2と、該信号光分岐手段2に
よって分岐したそれぞれの信号光を互いに偏波面の向き
が等しい直線偏光にして出力する偏波調整出力手段10
と、該偏波調整出力手段10からの出力光の波長を予め
定めた設定波長に一括変換する波長変換ユニット6とを
有している。
【0041】また、本実施形態例において、信号光光源
1と偏波調整出力手段10との間の光通路には光ファイ
バアンプにより形成された光増幅器3a,3b1〜3b
nが設けられている。光増幅器3aは信号光光源1と信
号光分岐手段2との間に設けられ、光増幅器3b1〜3
bnは信号光分岐手段2の出力端にそれぞれ設けられて
いる。
【0042】信号光光源1は、例えばDFB(Distribu
ted Feedback)レーザやファイバーレーザ等の小型で発
振スペクトルの狭い光源を適用するとよい。本実施形態
例では、信号光光源1は、単一波長発振レーザ11と、
アイソレータ21と、光変調素子12を有している。単
一波長発振レーザ11はスペクトル線幅の狭い単一波長
の連続波(CW)よりなる波長1.544μmの信号光
LBを発振する。なお、この発振波長は赤外域の波長
である。アイソレータ21は信号光の伝搬方向と逆向き
の反射戻り光を阻止する機能を有しており、前記信号光
LBはアイソレータ21を介して光変調素子12に入
射する。
【0043】光変調素子12は外部変調器等によって、
連続波の信号光LBを適切なパルス信号光LBに変
換(切り出し)する。そして、信号光光源1からパルス
信号光LBが出力される。
【0044】信号光LBはアイソレータ22を介して
光増幅器3aに入射し、増幅されて信号光LBとな
り、アイソレータ23を介して信号光分岐手段2に入射
し、n本(nは2以上の整数)のほぼ同一強度の信号光
LBに分岐される。そして、この分岐光は、光増幅器
3b1〜3bnにより増幅され、信号光LBとなる。
【0045】なお、本実施形態例では、各光増幅器3
a、3b1〜3bnにより前記信号光光源1の出力波長
と同一波長域(1.544μm付近)の光を増幅するた
めに、各光増幅器3a、3b1〜3bnを図示されてい
ないErドープ光ファイバ(EDF)と励起光光源を設
けて構成した。この励起光光源の励起光波長は980n
m帯と1480nm帯のいずれかが適用されるが、非線
形効果による波長の広がりを抑制するためには、励起光
の波長を980nmとすることが望ましい。
【0046】また、図2には、信号光分岐手段2の構成
例が示されている。同図の(a)に示す信号光分岐手段
2は、1つの信号光をN個(Nは2以上の整数であり、
同図ではN=2)に分岐する第1段の(1×N)光分岐
器(光カプラ)7の各出力部にそれぞれ、該第1段の
(1×N)光分岐器7の1つの分岐光をさらにN個に分
岐する第2段の(1×N)光分岐器7を接続するという
如く、(1×N)光分岐器7を複数段(同図では7段)
接続して形成されている。このようにすると、2 (同
図では2=128)分岐が達成される。
【0047】また、同図の(b)に示す信号光分岐手段
2は、1つの信号光をN個(Nは2以上の整数であり、
同図ではN=8)に分岐する第1段の(1×N)光分岐
器(光カプラ)27の各出力部にそれぞれ、第1段の
(1×N)光分岐器27の1つの分岐光をさらにM個
(Mは2以上の整数であり、かつ、N≠Mであり、同図
ではM=16)に分岐する第2段の(1×M)光分岐器
28を接続して形成されている。このようにすると、N
×M(同図では8×16)分岐が達成される。
【0048】また、図3の(a)には、図2の(a)の
信号光分岐手段2において、各段の光カプラ7の出力光
ファイバ8の長さを互いに異なる長さに形成した例が示
されており、図3の(b)には、図2の(a)の信号光
分岐手段2において、最終段の光カプラ7の出力光ファ
イバ8の長さのみを互いに異なる長さに形成した例が示
されている。
【0049】また、図3の(c)には、図2の(b)の
信号光分岐手段2において、第1段の光カプラ27の出
力光ファイバ8の長さを互いに異なる長さに形成し、ま
た、第2段の光カプラの出力ファイバ8も互いに異なる
長さに形成した例が示されている。なお、上記出力ファ
イバ8の長さの差は、信号光光源1の特性や信号光分岐
手段2による信号光分岐数等に対応させて適宜設定され
る。
【0050】信号光分岐手段2を構成するにあたり、例
えば図3に示すように、光カプラ7,27,28の出力
光ファイバ8の長さを互いに異なる長さとすると、信号
光分岐手段2に入射して分岐され、信号光分岐手段2の
出力端から出力するそれぞれの信号光の光路長を互いに
異なる長さにすることができ、信号光分岐手段2の出力
端からスペックルがない信号光を出力することができ
る。
【0051】なお、信号光分岐手段2の構成を図2に示
したような構成とした場合も、信号光光源1において信
号光パルスの発生タイミングを調整することによって、
信号光分岐手段2の出力端において、信号光の空間的コ
ヒーレンスを得てもよい。
【0052】図1に示したように、偏波調整出力手段1
0は偏波コントローラ4a1〜4anと偏波保持部5を
有しており、偏波コントローラ4a1〜4anは偏波調
整出力手段10に入力される複数の信号光(LB)の
偏波状態を互いに偏波面の向きが等しい直線偏光LB
にする。
【0053】また、本実施形態例では、偏波コントロー
ラ4a1〜4anによる偏波制御状態を検出する偏波状
態検出手段(図示せず)が設けられており、偏波コント
ローラ偏波コントローラ4a1〜4anは偏波状態検出
手段の検出結果に基づいて光の偏波状態をフィードバッ
ク制御する構成と成している。
【0054】偏波状態検出手段は偏波コントローラ4a
1〜4an内を通過する信号光または偏波コントローラ
4a1〜4anの出力端から出力する信号光をモニタし
てもよいし、波長変換ユニット内を通過する信号光また
は波長変換ユニット出力端から出力する信号光をモニタ
してもよい。偏波状態検出手段は、これらのモニタ結果
に基づいて偏波コントローラによる偏波状態を検出す
る。
【0055】なお、偏波状態検出手段はそれぞれの偏波
コントローラ4a1〜4anに備えられていてもよい
し、偏波コントローラ4a1〜4anとは個別に設けら
れ、光スイッチなどを用いて、順次、それぞれの偏波コ
ントローラ4a1〜4anの出力端や波長変換ユニット
6の内部や出力端と着脱自在に接続する構成としてもよ
い。
【0056】偏波保持部5は、該直線偏波の向きを揃え
た状態で配列保持するものであり、偏波保持部5は、例
えば図4の(a)、(b)、(c)に示すように、光通
路上に設けられた複数の偏波保持ファイバ15と、該偏
波保持ファイバ15を配列固定する偏波保持ファイバ配
列具16とを備えている。なお、偏波保持ファイバ15
の構成は周知であるので、その詳細説明は省略するが、
その代表例として、同図の(a)に示すように、コアC
を挟む両側に応力付与部Pを設けたパンダファイバなど
が適用される。
【0057】偏波保持ファイバ配列具16は、例えば同
図の(a)、(b)に示すように、基板17の表面又は
裏面側に複数のV溝9を配列したものや、同図の(c)
に示すような、複数の光ファイバ挿通孔19を配列した
周知のフェルール(MTフェルール)18を適用するこ
とができる。なお、フェルール18において、光ファイ
バ挿通孔19を挟む両側に設けられているピン嵌合穴2
0は、省略することもできる。
【0058】また、図4の(a)に示す偏波保持ファイ
バ配列具16は、偏波保持ファイバ15を1次元アレイ
状に配列する(本明細書では、この図に示すように、偏
波保持ファイバ15の端面を1次元アレイ状に配列する
ことを意味する)1次元アレイ配列具としている。ま
た、同図の(b)、(c)に示す偏波保持ファイバ配列
具16は偏波保持ファイバを2次元アレイ状に配列する
(本明細書では、これらの図に示すように、偏波保持フ
ァイバ15の端面を2次元アレイ状に配列することを意
味する)2次元アレイ配列具としている。
【0059】なお、偏波保持ファイバ配列具16を、同
図の(c)に示すように、フェルール18を用いて構成
すると、信号光出力端幅を高密度に集積化することが可
能となり、しかも、フェルール18は光通信用として一
般的に用いられているものであるため、フェルール18
に配列する偏波保持ファイバ15の配列を高精度に行な
うことができるし、偏波保持部5を安価にできる。
【0060】また、同図の(b)に示すような基板17
を有する光ファイバ配列具16は、各基板17がフェル
ール18よりも図の縦方向の厚みが小さいので、基板1
7を例えば銅、アルミニウム、ステンレス等の金属やA
lN(チッ化アルミ)等の絶縁体により形成し、重ね合
わせて配列すると、より一層偏波保持ファイバ15の配
列を高密度に集積化することができる。
【0061】偏波保持部5によって偏波方向を揃えた状
態で配列保持された信号光LBは、そのままの状態で
(偏波方向が互いに等しい直線偏波の状態で整列して)
波長変換ユニット6に入射する。
【0062】本実施形態例において、波長変換ユニット
6は、非線形光学結晶により形成されており、上記のよ
うな偏波保持ファイバ15の端面の配列形態は、波長変
換ユニット6を形成する非線形光学結晶の形状等に対応
させて決定されるものである。
【0063】すなわち、非線形光学結晶は、結晶の種類
によって非線形光学効果を発揮するに十分な形状や波長
変換に適した光入力方向などがある。それに対応させ
て、例えば図6の(a)に示すように、非線形光学結晶
が立方体形状の場合は、偏波保持ファイバ15の配列形
態を図4の(b)、(c)に示すような形態とし、例え
ば図6の(b)に示すように、非線形光学結晶が平板形
状であり、この平板形状の面方向に光を入射した場合に
非線形光学効果を発揮することができる場合は、偏波保
持ファイバ15の配列形態を図4の(a)に示すような
形態とする。
【0064】波長変換ユニット6は、信号光光源1の出
力波長を紫外域の波長に一括変換するものであり、本実
施形態例において、波長変換ユニット6は、複数の非線
形光学結晶の2次高調波発生(SHG)および和周波
(SFG)の組合わせによって、基本波に対して任意の
整数倍の周波数(波長の整数分の1)の高調波よりなる
紫外光を出力する(紫外光に波長変換する)。
【0065】本実施形態例に適用されている非線形光学
結晶の波長変換ユニット6は、波長変換ユニット6に入
射する信号光LBを8倍高調波(波長は1/8)又は
10倍高調波(波長は1/10)の設定波長の信号光L
に変換するものである。波長変換ユニット6から出
力される紫外域波長の光LBが、本実施形態例の光源
装置の出力光となる。
【0066】本実施形態例において、信号光光源1から
出力する信号光LBの波長は1.544μmであるた
め、8倍高調波の波長はArFエキシマレーザの出力波
長と同じ193nmとなり、10倍高調波の波長はF
レーザの出力波長に近い154nmとなる。なお、信号
光LBの波長をFレーザの出力波長により一層近づ
けるためには、信号光光源1から出力する信号光LB
の出力波長を1.57μmとし、10倍高調波の波長を
発生させるとよい。
【0067】また、LiNb(リチウムナイオベイト)
の非線形光学結晶は、入力される光の波長を7倍高調波
か8倍高調波に変換する非線形光学結晶として知られて
いるが、この非線形光学結晶は、図6の(b)に示すよ
うに、結晶の成長が平板状に成長しやすい特徴がある。
【0068】そのため、この非線形光学結晶を波長変換
ユニット6として実用しにくかったが、本実施形態例に
おいて、偏波保持部5を図4の(a)に示すような偏波
保持ファイバ配列具16を用いて形成すると、この偏波
保持部5からの出力光をLiNbの非線形光学結晶から
成る波長変換ユニット6に入力し、適切に波長変換を行
なうことができる。
【0069】また、上記のように、波長変換ユニット6
として機能する非線形光学結晶は入射する直線偏光の向
きによって波長変換効率が異なるものであり、例えば図
5の(a)に示すように、図のC方向と平行な方向(同
図のA方向)の直線偏波の波長変換のみを行なって直線
偏波A’とし、それ以外の方向(例えば同図のB方向)
の偏波の波長変換は行なわない性質がある。したがっ
て、同図の(b)に示すように、非線形光学結晶に、偏
波方向の不揃いの信号光が入射したときの波長変換効率
に比べ、同図の(c)に示すように、偏波方向の揃った
信号光が入射したときの波長変換効率は高くなる。
【0070】本実施形態例は以上のように構成されてお
り、本実施形態例において、図1に示したように、信号
光光源1から出力された赤外域の波長の信号光LB
光増幅器3aによって増幅されて信号光LBとなり、
その後、信号光分岐手段2によってn個に分岐されて信
号光LBとなり、これらn個の信号光LBは、それ
ぞれ、対応する光増幅器3b1〜3bnにより増幅され
て信号光LBになる。
【0071】そして、これらの各信号光LBは、それ
ぞれ対応する偏波コントローラ4a1〜4anによって
偏波面の向きが等しい直線偏波に揃えられて信号光LB
となり、さらに、偏波保持部5によって直線偏波の向
きが揃えられた状態で配列保持され、信号光LBとし
て整列した状態で出力され、波長変換ユニット6により
波長変換されて紫外域の信号光LBとなり、出力され
る。
【0072】このように、本実施形態例においては、信
号光発生部数又はシード光の分岐数に対応させて、可視
域又は赤外域の波長を紫外域の波長に変換する波長変換
部を設ける従来提案の露光光源装置と異なり、複数の信
号光の波長を1つの波長変換ユニット6によって設定波
長に一括変換するために、その分だけ装置コストを安く
することができ、光源装置の製造も容易にすることがで
きる。
【0073】しかも、本実施形態例においては、光増幅
器3a,3b1〜3bnや偏波コントローラ4a1〜4
an等の光学要素にアライメントずれが生じた場合や構
成する光学素子に損傷が生じた場合にも、ずれや損傷が
生じた部分のみ調整し、偏波調整出力手段からの出力光
が適切に波長変換ユニットに光接続されるようにすれば
よく、それぞれの光学要素とそれぞれの波長変換部との
調整を個別に行なって各レーザ要素の調整を行ない、さ
らに複数のレーザ要素を配列し直して光源装置を組み立
て直すといった手間を省くことができる。
【0074】さらに、本実施形態例によれば、偏波コン
トローラ4a1〜4anによって信号光を偏波面の向き
が等しい直線偏波にして揃えた後、図4に示したような
偏波保持ファイバ配列具16により前記直線偏波の向き
を揃えた状態で配列保持して出力できるために、非線形
光学結晶の波長変換ユニット6に入力する信号光を非常
にコンパクトに配列することができ、これらの信号光の
波長変換ユニット6による波長変換光の出力ビーム系を
数cm以下に押えることができる。
【0075】さらに、本実施形態例によれば、偏波調整
出力手段10によって、複数の信号光は互いに偏波面の
向きが等しい直線偏光に揃えて出力され、この出力光の
波長が波長変換ユニット6によって予め定めた設定波長
に一括変換されるため、非線形光学結晶により形成した
波長変換ユニット6の波長変換効率を高くすることがで
き、露光光源として十分な出力を得ることができる。
【0076】図7には、本発明に係る光源装置の第2実
施形態例の要部構成が示されている。なお、本第2実施
形態例において上記第1実施形態例と同一名称部分には
同一符号が付してあり、その重複説明は省略する。
【0077】本第2実施形態例は上記第1実施形態例と
同様に、信号光光源1、信号光分岐手段2、光増幅器3
a,3b1〜3bn、偏波調整出力手段10、波長変換
ユニット6を有して構成されているが、本第2実施形態
例において、信号光光源1は信号光を直線偏波状態で出
力する直線偏波光源により形成している。
【0078】また、信号光分岐手段2は該信号光分岐手
段2に入力される光の偏波状態を保持した状態で光分岐
を行なう偏波保持分岐手段により形成し、さらに、光増
幅器3a,3b1〜3bnは該光増幅器3a,3b1〜
3bnに入力される信号光の偏波状態を保持した状態で
信号光を増幅する偏波保持光増幅器により形成してい
る。
【0079】具体的には、信号光分岐手段2を形成する
光カプラ7,27,28の光ファイバを偏波保持ファイ
バにより構成し、光増幅器3a,3b1〜3bnは偏波
保持ファイバにより構成した光ファイバ型光増幅器とし
ている。
【0080】本第2実施形態例においては、このように
構成することにより、信号光光源1で出力した直線偏波
を、そのままの偏波状態で、偏波調整出力手段10とし
て機能する偏波保持部5に入力することができる。その
ため、本第2実施形態例では、上記第1実施形態例にお
いて設けた偏波コントローラを省略し、偏波保持部5に
より偏波調整出力手段10を形成し、偏波保持部5が偏
波調整出力手段10に入力される複数の信号光の直線偏
波の向きを揃えた状態で配列保持する構成とした。
【0081】本第2実施形態例は以上のように構成され
ており、本第2実施形態例においては、信号光光源1か
ら出力される信号光は全て直線偏波であり、この信号光
が光増幅器3aによって、偏波状態を保持したまま(直
線偏波で)増幅され、信号光分岐手段2によって、偏波
状態を保持したまま複数(n個)に分岐される。その
後、光増幅器3b1〜3bnによって、偏波状態を保持
したまま増幅され、この直線偏波の偏波面方向が偏波保
持部5によって揃えられて配列保持され、出力され、波
長変換ユニット6により一括して波長変換される。
【0082】一般に、偏波コントローラを設けると、偏
波コントローラの制御回路が必要になり、装置構成が煩
雑化、大型化しやすくなるが、本第2実施形態例におい
ては、偏波コントローラを設けずに、上記第1実施形態
例と同様の波長変換動作を行ない、同様の効果を奏する
ことができる光源装置を形成できる。そのため、本第2
実施形態例は上記第1実施形態例よりもさらに小型で安
価な光源装置とすることができ、より一層優れた露光光
源装置を構成することができる。
【0083】なお、本発明は上記実施形態例に限定され
ることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば上
記各実施形態例では、1つの信号光光源1を設けて光源
装置を構成したが、2つ以上の信号光光源1を設けて光
源装置を構成してもよい。
【0084】例えば図8の(a)には、上記第2実施形
態例のように、直線偏波を出力する信号光光源1を2つ
設け、偏波保持分岐手段の信号光分岐手段2と、偏波保
持光増幅器の光増幅器3a,3b1〜3bnと、偏波コ
ントローラを設けずに形成した偏波調整出力手段10を
設けた光源装置の構成例が示されている。光源装置をこ
のように構成した場合も、上記第2実施形態例と同様の
効果を奏することができる。
【0085】また、同図の(b)には、互いに等しい波
長の信号光を出力する複数の信号光光源1と、これらの
各信号光光源1から出力される複数の信号光を増幅する
光増幅器3a1〜3anと、これらの増幅された複数の
信号光を互いに偏波面の向きが等しい直線偏光に揃えて
出力する偏波調整出力手段10と、該偏波調整出力手段
10からの出力光の波長を予め定めた設定波長に一括変
換する波長変換ユニット6とを設けて形成した光源装置
の構成例が示されている。
【0086】なお、この図においては、偏波調整出力手
段10は偏波コントローラ4a1〜4anと偏波保持部
5を有する構成としたが、信号光光源1、光増幅器3a
1〜3anを上記第2実施形態例と同様の構成とすれ
ば、偏波コントローラ4a1〜4anを省略することも
できる。
【0087】これらのように、複数の信号光光源1から
の出力光を分岐せずに増幅した場合も、複数の信号光光
源1から出力された信号光を、偏波調整出力手段10に
よって互いに偏波面の向きが等しい直線偏光に揃えて出
力し、偏波調整出力手段10からの出力光の波長を波長
変換ユニット6により予め定めた設定波長に一括変換す
ることで、装置の小型化および装置構成の簡略化を図る
ことができ、上記各実施形態例とほぼ同様の効果を奏す
ることができる。
【0088】さらに、上記各実施形態例および図8に示
した各構成において、偏波保持部5の温度を調整する温
度調整手段を設けることもできる。温度調整手段は、例
えば図9の(a)に示すような、ヒータ29を有する温
度調整機能付きのパッケージとしてもよいし、同図の
(b)に示すように、ペルチェ素子30やヒートシンク
31を設けて偏波保持部5の熱を放熱する手段としても
よい。
【0089】このようにすると、偏波保持部5に集積化
されている偏波保持ファイバ15の端面が、偏波保持フ
ァイバ15の端面の出力光および、この出力端側に設け
られるレンズなどの光学系からの戻り光によって発熱化
するおそれを回避できる。したがって、上記温度調整手
段を設けると、上記発熱に伴って埃などの汚れの偏波保
持ファイバ端面への付着や、光源装置を構成する光学系
の熱揺らぎを抑制でき、光源装置の耐久性を向上させ、
寿命を長くすることができる。
【0090】さらに、上記各実施形態例では、光増幅器
3a、3a1〜3an、3b1〜3bn等の光増幅器を
Erドープ光ファイバを有する構成としたが、光増幅器
の構成は特に限定されるものでなく適宜設定されるもの
であり、例えば増幅する信号光の波長に対応させて、Y
b、Pr、Tm等を単独又は複数ドープした光ファイバ
を有する構成としてもよい。
【0091】さらに、上記各実施形態例では、信号光光
源1は、波長1.54μmの信号光を出力する構成とし
たが、信号光光源1の出力波長は特に限定されるもので
はなく適宜設定されるものであり、信号光光源1の出力
波長を赤外域又は可視域の光とすることにより、信号光
光源1のメンテナンス等を簡略化し、かつ、この信号光
光源1の出力波長を波長変換ユニットによって紫外域の
波長に変換して出力することにより、露光光源装置に適
した優れた光源装置を構成することができる。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、複数の信号光の波長を
波長変換ユニットによって設定波長に一括変換する構成
としたものであるから、従来のアイレーザ等の光源装置
と異なり、複数の信号光ごとに波長変換部(本発明の波
長変換ユニットに対応)を設けていないために、その分
だけ装置コストを安くすることができるし、光源装置の
製造も容易とすることができる。
【0093】また、本発明によれば、偏波調整出力手段
によって、複数の信号光を互いに偏波面の向きが等しい
直線偏光に揃えて出力し、この出力光の波長が波長変換
ユニットによって予め定めた設定波長に一括変換するた
め、非線形光学結晶などにより形成される波長変換ユニ
ットによる波長変換効率を高くすることができ、露光光
源として十分な出力を得ることができる。
【0094】さらに、本発明によれば、偏波調整出力手
段等の光学素子の一部にアライメントずれが生じた場合
や光学素子に損傷が生じた場合にも、ずれや損傷が生じ
た部分のみ調整し、偏波調整出力手段からの出力光が適
切に波長変換ユニットに光接続されるようにすればよ
く、各レーザ要素ごとに調整を行ない、さらに、複数の
レーザ要素を配列し直すといった作業が不要となり、メ
ンテナンスを簡略化できる。
【0095】特に、1つ以上の信号光光源から出力され
る信号光を複数に分岐する信号光分岐手段を設けた構成
によれば、少ない数の信号光光源を用いて光源装置を形
成でき、より一層装置の小型化を図ることができる。
【0096】さらに、信号光光源と偏波調整出力手段と
の間の光通路に1つ以上の光増幅器を設けた構成におい
ては、光増幅器によって信号光を増幅することにより、
光源装置の高出力を確実に得ることができる。
【0097】さらに、偏波調整出力手段は該偏波調整出
力手段に入力される複数の信号光の偏波状態を互いに偏
波面の向きが等しい直線偏光にする偏波コントローラ
と、該直線偏波の向きを揃えた状態で配列保持する偏波
保持部を有する構成によれば、偏波コントローラと偏波
保持部を設けて的確に偏波調整出力手段を形成し、上記
優れた効果を奏することができる。
【0098】さらに、偏波コントローラによる偏波制御
状態を検出する偏波状態検出手段を有し、前記偏波コン
トローラは偏波状態検出手段の検出結果に基づいて光の
偏波状態をフィードバック制御する構成によれば、偏波
コントローラによる偏波制御動作を非常に的確に行なう
ことができる。
【0099】さらに、偏波状態検出手段は偏波コントロ
ーラ内を通過する信号光または偏波コントローラの出力
端から出力する信号光をモニタすることによって偏波コ
ントローラによる偏波状態を検出する手段としたり、偏
波状態検出手段は偏波調整出力手段の出力側に設けられ
た波長変換ユニット内を通過する信号光または波長変換
ユニット出力端から出力する信号光をモニタすることに
よって偏波コントローラによる偏波状態を検出する手段
としたりすることにより、例えば光源装置の仕様などに
応じて適宜の偏波状態検出手段を構成し、偏波コントロ
ーラの的確な動作を促すことができる。
【0100】さらに、信号光光源は信号光を直線偏波状
態で出力する直線偏波光源により形成し、偏波調整出力
手段は該偏波調整出力手段に入力される複数の信号光の
直線偏波の向きを揃えた状態で配列保持する偏波保持部
により形成した構成によれば、偏波コントローラを設け
ずに偏波調整出力手段を形成できるために、光源装置の
構成をより一層簡略化し、低コスト化を図ることができ
る。
【0101】なお、このように、偏波保持ファイバを設
けずに偏波調整出力手段を形成する構成は、本発明にお
いて、信号光分岐手段を設ける際に、信号光分岐手段に
入力される光の偏波状態を保持した状態で光分岐を行な
う偏波保持分岐手段により信号光分岐手段を形成し、光
増幅器を設ける際に、光増幅器に入力される信号光の偏
波状態を保持した状態で信号光を増幅する偏波保持光増
幅器により光増幅器を形成することにより確実に達成で
きる。
【0102】さらに、偏波保持部は光通路上に設けられ
た複数の偏波保持ファイバと、該偏波保持ファイバを配
列固定する偏波保持ファイバ配列具とを備えている構成
によれば、偏波保持部を非常に簡単で小型の構成で、か
つ、偏波保持部に入力される直線偏波の向きを揃えた状
態で配列保持することができる。
【0103】さらに、偏波保持ファイバ配列具は偏波保
持ファイバを1次元アレイ状に配列する1次元アレイ配
列具としたり、偏波保持ファイバ配列具は偏波保持ファ
イバを2次元アレイ状に配列する2次元アレイ配列具と
したりすることにより、偏波保持ファイバの配列形態
を、偏波保持部の出力側に設けられる波長変換ユニット
に対応させた適宜の配列形態にすることができる。
【0104】さらに、偏波保持部の温度を調整する温度
調整手段を設けた構成によれば、偏波保持部に高密度に
偏波保持ファイバを配列した場合でも、偏波保持部の発
熱等を確実に抑制でき、光源装置を長期信頼性の高い寿
命の長い装置とすることができる。
【0105】さらに、信号光光源は赤外域から可視域ま
での波長範囲内の単一波長の信号光を出力する光源と
し、波長変換ユニットは前記信号光光源の出力波長を紫
外域の波長に変換する非線形光学結晶とした構成によれ
ば、赤外域から可視域までの波長範囲内の単一波長の信
号光を出力する信号光光源は1パルス当たりのエネルギ
ーが紫外域の波長の信号光を出力する光源に比べて小さ
く、光源装置を構成する光学部品の透過率変動などが生
じにくく、さらに、メンテナンスが容易であるために、
この種の信号光光源を用いて所望の紫外域の波長の光を
出力することができ、非常に優れた露光光源装置として
適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光源装置の第1実施形態例を示す
要部構成図である。
【図2】上記光源装置に適用される信号光分岐手段の構
成例を模式的に示す構成図である。
【図3】上記光源装置に適用される信号光分岐手段の別
の構成例を模式的に示す構成図である。
【図4】上記光源装置に適用される偏波保持部の光ファ
イバ配列具の配列構成例を示す説明図である。
【図5】非線形光学結晶による波長変換動作例を模式的
に示す説明図である。
【図6】非線形光学結晶の形状と、この形状に対応して
形成される偏波保持部の出力端部を示す説明図である。
【図7】本発明に係る光源装置の第2実施形態例を示す
要部構成図である。
【図8】本発明に係る光源装置の他の実施形態例を示す
要部構成図である。
【図9】本発明に係る光源装置の他の実施形態例におけ
る偏波保持部周辺構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 信号光光源 2 信号光分岐手段 3a,3a1〜3an,3b1〜3bn 光増幅器 4a1〜4an 偏波コントローラ 5 偏波保持部 6 波長変換ユニット 7,27,28 光カプラ 10 偏波調整出力手段 15 偏波保持ファイバ 16 偏波保持ファイバ配列具
フロントページの続き (72)発明者 三浦 寿太郎 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 平松 秀世 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 大槻 朋子 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 大和 壮一 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 2H046 AA05 AD00 AZ01 AZ11 2K002 AA04 AB12 BA01 CA03 EB15 GA10 HA20 HA31 5F046 CA04 CA05 CB01 CB04 CB22

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに等しい波長の信号光を出力する複
    数の信号光光源と、これらの各信号光光源から出力され
    る複数の信号光を互いに偏波面の向きが等しい直線偏光
    に揃えて出力する偏波調整出力手段と、該偏波調整出力
    手段からの出力光の波長を予め定めた設定波長に一括変
    換する波長変換ユニットとを有することを特徴とする光
    源装置。
  2. 【請求項2】 単一波長の信号光を出力する1つ以上の
    信号光光源と、該信号光光源から出力される信号光を複
    数に分岐する信号光分岐手段と、該信号光分岐手段によ
    り分岐した複数の信号光を互いに偏波面の向きが等しい
    直線偏光に揃えて出力する偏波調整出力手段と、該偏波
    調整出力手段からの出力光の波長を予め定めた設定波長
    に一括変換する波長変換ユニットとを有することを特徴
    とする光源装置。
  3. 【請求項3】 信号光分岐手段は該信号光分岐手段に入
    力される光の偏波状態を保持した状態で光分岐を行なう
    偏波保持分岐手段により形成したことを特徴とする請求
    項2記載の光源装置。
  4. 【請求項4】 信号光光源と偏波調整出力手段との間の
    光通路に1つ以上の光増幅器を設けたことを特徴とする
    請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の光源装置。
  5. 【請求項5】 光増幅器は該光増幅器に入力される信号
    光の偏波状態を保持した状態で信号光を増幅する偏波保
    持光増幅器により形成したことを特徴とする請求項4記
    載の光源装置。
  6. 【請求項6】 偏波調整出力手段は該偏波調整出力手段
    に入力される複数の信号光の偏波状態を互いに偏波面の
    向きが等しい直線偏光にする偏波コントローラと、該直
    線偏波の向きを揃えた状態で配列保持する偏波保持部を
    有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれ
    か一つに記載の光源装置。
  7. 【請求項7】 偏波コントローラによる偏波制御状態を
    検出する偏波状態検出手段を有し、前記偏波コントロー
    ラは偏波状態検出手段の検出結果に基づいて光の偏波状
    態をフィードバック制御する構成としたことを特徴とす
    る請求項6記載の光源装置。
  8. 【請求項8】 偏波状態検出手段は偏波コントローラ内
    を通過する信号光または偏波コントローラの出力端から
    出力する信号光をモニタすることによって偏波コントロ
    ーラによる偏波状態を検出する手段としたことを特徴と
    する請求項7記載の光源装置。
  9. 【請求項9】 偏波状態検出手段は偏波調整出力手段の
    出力側に設けられた波長変換ユニット内を通過する信号
    光または波長変換ユニット出力端から出力する信号光を
    モニタすることによって偏波コントローラによる偏波状
    態を検出する手段としたことを特徴とする請求項7記載
    の光源装置。
  10. 【請求項10】 信号光光源は信号光を直線偏波状態で
    出力する直線偏波光源により形成し、偏波調整出力手段
    は該偏波調整出力手段に入力される複数の信号光の直線
    偏波の向きを揃えた状態で配列保持する偏波保持部によ
    り形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のい
    ずれか一つに記載の光源装置。
  11. 【請求項11】 偏波保持部は光通路上に設けられた複
    数の偏波保持ファイバと、該偏波保持ファイバを配列固
    定する偏波保持ファイバ配列具とを備えていることを特
    徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか一つに記載
    の光源装置。
  12. 【請求項12】 偏波保持ファイバ配列具は偏波保持フ
    ァイバを1次元アレイ状に配列する1次元アレイ配列具
    としたことを特徴とする請求項11記載の光源装置。
  13. 【請求項13】 偏波保持ファイバ配列具は偏波保持フ
    ァイバを2次元アレイ状に配列する2次元アレイ配列具
    としたことを特徴とする請求項11記載の光源装置。
  14. 【請求項14】 偏波保持部の温度を調整する温度調整
    手段を設けたことを特徴とする請求項6乃至請求項13
    のいずれか一つに記載の光源装置。
  15. 【請求項15】 信号光光源は赤外域から可視域までの
    波長範囲内の単一波長の信号光を出力する光源とし、波
    長変換ユニットは前記信号光光源の出力波長を紫外域の
    波長に変換する非線形光学結晶としたことを特徴とする
    請求項1乃至請求項14のいずれか一つに記載の光源装
    置。
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