JP2001355696A - ベルト式無段変速装置 - Google Patents

ベルト式無段変速装置

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JP2001355696A
JP2001355696A JP2000174776A JP2000174776A JP2001355696A JP 2001355696 A JP2001355696 A JP 2001355696A JP 2000174776 A JP2000174776 A JP 2000174776A JP 2000174776 A JP2000174776 A JP 2000174776A JP 2001355696 A JP2001355696 A JP 2001355696A
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belt
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force
sheave
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JP2000174776A
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Hirobumi Miyata
博文 宮田
Shinichiro Nishikawa
真一郎 西川
Hiroyuki Shimozu
宏之 下津
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Bando Chemical Industries Ltd
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開き方向のベルト推力Pa,Pbから変換さ
れた閉じ方向の押圧力Qa,Qbにより可動シーブ1
2,32を支承するようにしたベルト式無段変速装置に
おいて、低速比化機構70により出力側カム機構40の
回動部材42に第2方向r2 の回動力を常時加えて出力
側シーブ32に閉じ方向の押圧力Sを加える一方、高速
比化機構80により入力側シーブ12に入力回転速度に
応じて閉じ方向の操作力Fを加えることで変速作動を自
動化する際に、押圧力Sがベルト推力Pbよりも大きい
場合でも、出力側シーブ32を開き方向に移動させられ
るようにし、もって、押圧力S及び操作力Fを大きくし
て変速応答性を高められるようにする。 【解決手段】 入力側カム機構20に、操作力Fの一部
を回動部材22に対する第2方向r2 の回動力に変換す
る第2のカム面90を設け、その回動力から変換された
第1方向r1 の回動力により、低速比化機構70の回動
力を打ち消すようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力及び出力プー
リの各一方の可動シーブに加わる開き方向のベルト推力
を他方のプーリの可動シーブに対する閉じ方向の押圧力
に変換することで変速時に各可動シーブに加える閉じ方
向の操作力を軽減するようにしたベルト式無段変速装置
の自動変速化に関し、特に変速応答性を高める対策に関
する。
【0002】
【従来の技術】この種のベルト式無段変速装置として
は、例えば特開平5−99290号公報に記載されたも
のが知られている。
【0003】このものでは、図10に模式的に示すよう
に、入出力プーリa,b間に巻き掛けられたベルトcの
緩み側となるスパンが図外のテンションプーリにより押
圧されており、このことで、各プーリa,bの可動シー
ブdには、それぞれ、固定シーブeから離間する方向
(同図の左方向。以下、「開き方向」という)のベルト
推力Pa,Pbが加えられている。そして、例えばベル
ト推力Paは、入力側カム機構fにおいて、係合ローラ
g及びカム面hにより回動部材iに対する一方向r
1 (同図の上方向)の回動力に変換され、この一方向r
1 の回動力は、連結機構jにより、出力側カム機構fの
回動部材iに対する他方向r2 (同上方向)の回動力に
変換される。さらに、他方向r2 の回動力は、出力側カ
ム機構fの係合ローラg及びカム面hにより、出力側の
可動シーブdに対する固定シーブeに接近する方向(同
図の右方向。以下、「閉じ方向」という)の押圧力Qa
に変換される。つまり、入力側のベルト推力Paから変
換された押圧力Qaにより出力側の可動シーブdをベル
ト推力Pbに抗して支承するようになされており、同様
にして、入力側の可動シーブdについても、出力側のベ
ルト推力Pbから変換された押圧力Qbにより支承する
ようになっており、これらのことで、両プーリa,b間
の変速に要する操作力が小さくて済むようになってい
る。
【0004】その理由を具体的に説明すると、例えば速
比を高速比側(以下、Hi側という)に変化させるべく
入力側の可動シーブdに閉じ方向の操作力Fが加えられ
たときには、入力側の開き方向のベルト推力Paは、そ
の操作力Fの分だけ打ち消されることになる。これに伴
い、出力側では、入力側のベルト推力Paから変換され
て可動シーブdに加わる閉じ方向の押圧力Qaが低下す
ることになり、その結果、図10に仮想線の矢印で示す
ように、その押圧力Qaよりも開き方向のベルト推力P
bの方が相対的に大きく(Pb>Qa)なると、可動シ
ーブdは、そのベルト推力Pbにより開き方向に移動す
ることになり、よって、出力プーリbのピッチ径は小さ
くなる。一方、出力側可動シーブdの移動に伴い、入力
側では、可動シーブdに対する開き方向のベルト推力P
aが低下するので、上記の操作力Fが小さくても、可動
シーブdは、その操作力Fにより閉じ方向に移動するこ
とになる。
【0005】したがって、一般のベルト式無段変速装置
のように、例えば出力側可動シーブにスプリング等によ
り閉じ方向の押圧力を常時加えておき、入力側可動シー
ブに加えられた操作力により出力側可動シーブに対する
ベルト推力を増加させることで該可動シーブを上記の押
圧力に抗して開き方向に移動させるようになっている場
合には、ベルト推力の低下を伴わないために大きい操作
力が必要であるのに比べ、このものでは、小さな操作力
Fで変速することができる。
【0006】また、操作力Fが小さくて済むということ
は、両プーリa,b間に加わる軸荷重が低いということ
であり、この低軸荷重であるということにより、、各プ
ーリa,bに対する支持構造に高い強度が要求されない
ので、装置全体がコンパクトに収まりかつ軽量化が容易
であるというメリットもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のベル
ト式無段変速装置においても、大きな操作力を必要とす
る場合がある。
【0008】具体的には、図11に模式的に示すよう
に、両プーリa,b間の速比が低速比側(以下、Lo側
という)に付勢されるように、例えば出力側カム機構f
の回動部材iを他方向r2 に向かって回動付勢するよう
にした低速比化機構kを設け、この低速比化機構kによ
り、出力側可動シーブdに閉じ方向の押圧力Sを常時加
えておく一方、入力側の可動シーブdに対し、図外の高
速比化機構により、入力回転速度に応じて閉じ方向の操
作力Fを加えることで速比をHi側に変化させるように
して変速作動を自動化する際に、変速応答性を高めるに
は、出力側可動シーブdに対する押圧力Sを大きくする
とともに、その押圧力Sに合わせて操作力Fも大きくす
る必要がある。
【0009】つまり、例えばコンバイン等の車両におけ
るエンジン及び駆動車輪間のトルク伝達経路に搭載され
る場合には、速比がHiである状態で急ブレーキをかけ
てエンジンを停止したときに速比がLoに戻らないでH
iのままであるとエンジンの始動が困難であり、このよ
うなときでも速比をLoに速やかに変化させるには、低
速比化機構kによる押圧力Sを大きくしなければなら
ず、また、高速比化機構の操作力Fも大きくする必要が
ある。
【0010】しかしながら、上記の低速比化機構kによ
る押圧力Sがベルト推力Pbよりも大きく(S>Pb)
なると、出力側の可動シーブは、その押圧力Sにより閉
じ方向に移動した状態のままに維持されることになっ
て、操作力Fを加えても開き方向に移動しなくなる。つ
まり、変速しなくなる。
【0011】そこで、操作力Fを大きくすると、図11
に仮想線で示すように、出力側の可動シーブdが開き方
向に移動しないにも拘わらず、入力側の可動シーブdが
閉じ方向に移動しようとするために、ベルト張力が異常
に上昇してテンションプーリが跳ね上がり、適正な変速
作動は行われなくなる。
【0012】このときに、押圧力Sよりも大きい操作力
Fを加えるようにしたとすると、今度は、出力側の可動
シーブdに対するベルト推力Pbを増大させることによ
ってその可動シーブdを開き方向に移動させることにな
る。つまり、変速作動は行われるようにはなるものの、
一般のベルト式無段変速装置と同じことになって、低軸
荷重であるというメリットが無くなる。
【0013】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、各可動シーブに加わる開き方
向のベルト推力をカム機構及び連動機構により他方の可
動シーブに対する閉じ方向の押圧力に変換して小さい操
作力で変速できるようにしたベルト式無段変速装置の変
速作動を自動化する際に、入力側カム機構に改良を加え
ることで、大きい操作力が加わっても適正な変速作動が
行えるようにし、もって、操作力を大きくして変速応答
性を高められるようにすることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、入力側カム機構に第2のカム面を設
けることで、入力側可動シーブに対する操作力の一部
を、出力側可動シーブに加わる押圧力を打ち消すための
操作力に変換できるようにした。
【0015】具体的には、請求項1の発明では、各々、
固定シーブ及び可動シーブを有する入力及び出力プーリ
と、これら両プーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトと、
各々、固定部材及び回動部材を有していて、一方の部材
には第1接触部が設けられているとともに、他方の部材
には第1接触部に係合して開き方向(固定シーブから離
間する方向)のベルト推力を回動部材の一方向の回動力
に、また他方向の回動力を可動シーブに対する閉じ方向
(固定シーブに接近する方向)の押圧力にそれぞれ変換
する第1カム面が設けられた入力側及び出力側カム機構
と、これら両カム機構の回動部材同士を、各回動部材の
一方向の回動力が他方の回動部材に対する他方向の回動
力にそれぞれ変換されるように連結する連結機構と、出
力側カム機構の回動部材に、出力プーリの可動シーブが
閉じ方向に押圧されるように他方向の回動力を常時加え
る低速比化機構と、入力側可動シーブに閉じ方向の操作
力を入力回転速度に応じて加える高速比化機構とを備え
たベルト式無段変速装置が前提である。
【0016】そして、上記の入力側カム機構における固
定部材及び回動部材のうちの一方の部材には、第2接触
部が設けられており、他方の部材には、入力プーリの可
動シーブに閉じ方向の操作力が加えられたときに、その
操作力の一部を回動部材に対する他方向の回動力に変換
するように上記の第2接触部に係合する第2カム面が設
けられているものとする。その上で、上記の連結機構
は、上述した各回動部材の一方向の回動力を他方の回動
部材に対する他方向の回動力に変換することに加え、入
力側カム機構の回動部材の他方向の回動力を、出力側カ
ム機構の回動部材に対する一方向の回動力に変換するよ
うに構成されているものとする。
【0017】上記の構成において、出力側カム機構の回
動部材には、低速比化機構により他方向の回動力が常に
加わっており、この他方向の回動力は、該カム機構の第
1接触部及び第1カム面により、出力側の可動シーブに
対する閉じ方向の押圧力に変換される。これにより、出
力側の開き方向のベルト推力は、その押圧力の分だけ打
ち消されることになる。これに伴い、入力側では、出力
側ベルト推力から変換されて可動シーブに加わる閉じ方
向の押圧力が低下することになり、その結果、押圧力よ
りも開き方向のベルト推力の方が相対的に大きくなる
と、可動シーブはそのベルト推力により開き方向に移動
することになり、よって、入力プーリのピッチ径は小さ
くなる。一方、入力側可動シーブの移動に伴い、出力側
では、可動シーブに対する開き方向のベルト推力が低下
するので、可動シーブは、入力側ベルト推力から変換さ
れた押圧力と、低速比化機構の押圧力とにより閉じ方向
に移動するようになり、よって、出力プーリのピッチ径
は大きくなる。これらにより、両プーリ間の速比はLo
側(低速比側)に変化する。
【0018】上記の状態で、入力回転速度が上昇する
と、それに応じて、高速比化機構により、入力側の可動
シーブに閉じ方向の操作力が加えられる。これにより、
入力側のベルト推力は、その操作力の分だけ打ち消され
る。これに伴い、出力側では、入力側ベルト推力から変
換された閉じ方向の押圧力が低下することになり、その
結果、可動シーブが開き方向に移動して出力プーリのピ
ッチ径は小さくなる。一方、出力側可動シーブの移動に
伴い、入力側では、可動シーブに加わるベルト推力が低
下するので、その結果、可動シーブは、出力側ベルト推
力から変換された押圧力と、上記の操作力とにより閉じ
方向に移動するようになり、よって、入力プーリのピッ
チ径は大きくなる。これらにより、両プーリ間の速比は
Hi側(高速比側)に変化する。
【0019】上記の作動において、上記の低速比化機構
による押圧力が出力側のベルト推力よりも大きい場合に
は、出力側の可動シーブは、入力側のベルト推力から変
換される押圧力の有無に拘わらず、低速比化機構の押圧
力により閉じ方向に移動したままの状態に維持される。
したがって、高速比化機構の操作力により入力側のベル
ト推力の全部が打ち消されても、出力側の可動シーブは
開き方向に移動せず、出力プーリは小径化しないことに
なる。
【0020】このとき、上記高速比化機構の操作力の一
部は、入力側カム機構において、第2接触部及び第2カ
ム面により、回動部材に対する他方向の回動力に変換さ
れ、この他方向の回動力は、連結機構により、出力側カ
ム機構の回動部材に対する一方向の回動力に変換され
る。すると、出力側では、低速比化機構により出力側カ
ム機構の回動部材に加えられている他方向の回動力は、
操作力の一部から変換された一方向の回動力により打ち
消されることになり、よって、低速比化機構による押圧
力が低下するようになる。そして、低速比化機構による
押圧力と、入力側ベルト推力から変換されて可動シーブ
に加わる押圧力との合力が該可動シーブに対するベルト
推力よりも小さくなると、可動シーブは、そのベルト推
力により開き方向に移動することとなる。よって、低速
比化機構による押圧力が出力側のベルト推力よりも大き
い場合でも、高速比化機構により入力側可動シーブに操
作力が加わったときに、速比はHi側に適正に変化する
ようになる。
【0021】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、第2カム面は、固定部材及び回動部材のうち
の第1カム面が設けられた方の部材に第1接触部を挟ん
で第1カム面に対面するように配置されて設けられてい
るものとする。そして、第2接触部は、上記第1接触部
により兼用されているものとする。
【0022】上記の構成において、第2カム面は、固定
部材及び回動部材のうち、第1カム面の設けられている
方の部材に該第1カム面との間に第1接触部を挟むよう
に配置されて設けられており、その第1接触部により第
2接触部が兼用されるので、第1接触部とは別に第1カ
ム面専用の第2接触部を設けることは不要になる。よっ
て、その分だけ、カム機構の構造の複雑化が抑えられ
る。
【0023】請求項3の発明では、上記請求項1及び2
の発明において、入力プーリの可動シーブは、該入力プ
ーリの固定シーブ及び可動シーブに対し伝動ベルトが非
接触になる軸方向の位置まで固定シーブから離間するよ
うに設けられているものとする。そして、固定シーブ及
び可動シーブ間には、可動シーブが固定シーブから離間
して伝動ベルトが両シーブに対し非接触になったとき
に、該伝動ベルトを走行可能に支承する支承部が設けら
れているものとする。
【0024】上記の構成において、入力プーリの可動シ
ーブが開き方向に移動する際に、それら両シーブに伝動
ベルトが非接触になる軸方向の位置まで移動すると、伝
動ベルトは、両シーブ間に位置する支承部に走行可能に
支承される。つまり、伝動ベルトが支承部に支承される
状態では、入力プーリと伝動ベルトとの間のトルク伝達
は遮断される。この状態から、可動シーブが閉じ方向に
移動すると、やがて、伝動ベルトは両シーブに接触する
ようになり、これにより、入力プーリ及び伝動ベルト間
のトルク伝達が行われるようになる。つまり、高速比化
機構が作動していないときには、入力プーリと伝動ベル
トとの間のトルク伝達が遮断され、入力回転速度の上昇
に応じた高速比化機構の作動に基づいて、入力プーリの
トルクが伝動ベルトを介して出力プーリに伝達されるこ
とになる。よって、入力プーリのトルクが出力プーリに
伝達されない極めて低負荷の状態でエンジンを始動する
ことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0026】図2は、本発明の実施形態に係るベルト式
無段変速装置の全体構成を示しており、この変速装置
は、コンバイン等の農作業用車両におけるエンジンEと
減速装置Rとの間に配置されて用いられる。尚、本実施
形態では、エンジンE及び減速装置Rは、該エンジンE
の出力軸1と減速装置Rの入力軸2とが互いに平行にか
つ同じ方向(図2の右方向)に向かって突出するように
配置されていて、それら出力軸1及び入力軸2間に本変
速装置が配置される場合について説明する。つまり、こ
の場合には、エンジンEの出力軸1が変速装置の入力軸
(以下、入力軸1という)になり、減速装置Rの入力軸
2が変速装置の出力軸(以下、出力軸2という)にな
る。
【0027】上記入力軸1の端部には、図3に示すよう
に、スリーブ状の補助軸3が同軸状に接続される。この
補助軸3は、エンジンE側(同図の左側)の部分におい
て入力軸1に回転一体に外嵌合されるようになってい
て、その開口端は入力軸1の段部に係止される。一方、
補助軸3のエンジンEとは反対側(同図の右側)の開口
端は、例えば入力軸1の先端面に螺着されたボルト4の
頭部によりワッシャ5及び円板状の係止部材6を介して
係止されるようになっており、その開口端側の端部は小
径に形成されている。
【0028】上記補助軸3上には、入力プーリ10が回
転一体に外嵌合されている。この入力プーリ10は、軸
方向に移動不能な固定シーブ11と、この固定シーブ1
1のエンジンE側に配置されていて、軸方向に移動可能
な可動シーブ12とからなっている。固定シーブ11
は、エンジンEとは反対の側に向かって延びる短筒状の
ボス部11aを有している。このボス部11aは、補助
軸3の小径部上に位置していて、上記の係止部材6によ
り補助軸3からの抜止めがなされている。一方、可動シ
ーブ12は、エンジンE側に向かって延びる長筒状のボ
ス部12aを有していて、該ボス部12aの軸方向両端
に配置された2つのスライド材13,13を介して補助
軸3に軸方向に移動可能に支持されている。そして、可
動シーブ12が、固定シーブ11に接近する方向である
閉じ方向(図3の右方向)に移動することによりプーリ
10のピッチ径が大きくなり、逆に、可動シーブ12
が、固定シーブ11から離間する方向である開き方向
(同図の左方向)に移動することによりプーリ10のピ
ッチ径が小さくなるようになっている。
【0029】この入力プーリ10は、軸心に直交する平
面に対する固定シーブ11のベルト接触面の傾斜角と、
可動シーブ12のベルト接触面の同傾斜角とが互いに異
なるように設けられた偏角プーリである。本実施形態で
は、固定シーブ11のベルト接触面の傾斜角は、可動シ
ーブ12のベルト接触面の傾斜角よりも小さくなされて
いる。
【0030】また、上記両シーブ11,12間には、軸
長の短い筒状部材14が配置されている。この筒状部材
14は、補助軸3上に遊嵌されていて、ベアリング15
を介して該補助軸3に相対回転可能に保持されており、
筒状部材14の両開口縁周りには、半径方向外方に向か
って突出する外向きフランジ状をなす1対の鍔部14
a,14aが設けられている。これら両鍔部14a,1
4a間の軸方向寸法は、ベルト内周側におけるベルト幅
寸法と同じないし僅かに大きく設定されている。これら
筒状部材14及びベアリング15は、本発明における支
承部を構成している。可動シーブ12のボス部12aに
おける固定シーブ11側の端部の内径は大きくされてい
て、円環状の収容空間を形成しており、可動シーブ12
が閉じ方向に移動するときに、この収容空間に上記の筒
状部材14が収容されることで、筒状部材14が可動シ
ーブ12の移動の障害とならないようになっている。ま
た、可動シーブ12のボス部12aのエンジンE側の開
口縁周りには、該開口縁から半径方向外方に向かって突
出する外向きフランジ状の受け部12bが周設されてい
る。
【0031】一方、上記出力軸2の端部にも、図4に示
すように、スリーブ状の補助軸7が回転一体に接続され
ている。この補助軸7の減速装置R側(同図の左側)の
開口端は、出力軸2に外嵌合された状態で該出力軸2の
段部に係止されており、減速装置Rの側とは反対側(同
図の右側)の開口端は、出力軸2の先端のねじ軸部2a
に螺着されたナット8によりワッシャ9を介して係止さ
れている。
【0032】上記補助軸7上には、出力プーリ30が回
転一体に外嵌合されている。この出力プーリ30は、入
力プーリ10の場合と同様に、軸方向に移動不能な固定
シーブ31と、この固定シーブ31の減速装置R側に配
置されていて、軸方向に移動可能な可動シーブ32とか
らなっている。つまり、固定シーブ31に対する可動シ
ーブ32の軸方向の位置は、入力プーリ10の場合の固
定シーブ11に対する可動シーブ12の軸方向の位置と
同じにされている。固定シーブ31は、減速装置Rとは
反対の側に向かって延びる短筒状のボス部31aを有し
ていて、このボス部31aにおいて補助軸7に軸方向に
移動不能にかつ軸心回りに回転不能に連結されている。
一方、可動シーブ32は、減速装置Rの側に向かって延
びる長筒状のボス部32aを有していて、該ボス部32
aの軸方向両端に配置された2つのスライド材33,3
3を介して補助軸7に軸方向に移動可能にかつ軸心回り
に回転不能に支持されている。この出力プーリ30も、
入力プーリ10の場合と同じく、軸心に直交する平面に
対する固定シーブ31のベルト接触面の傾斜角と、可動
シーブ32のベルト接触面の傾斜角とが異なるように設
けられた偏角プーリであって、固定シーブ31のベルト
接触面の傾斜角が可動シーブ32のベルト接触面の傾斜
角よりも小さくなされている。
【0033】上記両プーリ10,30間には、図5及び
図6に示すように、該両プーリ10,30間で伝動ベル
ト50を介してのトルク伝達が行われるときに伝動ベル
ト50の緩み側となるスパン(図示する例では下側スパ
ン)をベルト厚さ方向に押圧して該伝動ベルト50に張
力を付与するテンション機構55が設けられている。こ
のテンション機構55は、伝動ベルト50に接触するテ
ンションプーリ56を有する他、図示は省略するが、そ
のテンションプーリ56をベルト押圧方向に沿って移動
可能に案内支持する支持部と、テンションプーリ56を
ベルト押圧方向に向かって付勢する付勢部材とを有す
る。そして、このテンション機構55が伝動ベルト50
に張力を付与することで、該伝動ベルト50を介しての
両プーリ10,30間のトルク伝達が行われるようにな
るとともに、各プーリ10,30の可動シーブ12,3
2に開き方向のベルト推力Pa,Pbを加えるようにな
っている。
【0034】上記入力プーリ10とエンジンEとの間に
は、入力側カム機構20が設けられている。このカム機
構20は、入力プーリ10に対し軸方向に移動不能でか
つ軸心回りに回転不能に設けられた固定部材21と、こ
の固定部材の入力プーリ10側(図3の右側)に配置さ
れていて、該入力プーリ10の可動シーブ12に軸方向
に移動一体にかつ相対回転可能に設けられた回動部材2
2とからなっている。固定部材21は、軸心を挟んで対
向するように配置された1対のL字部材21a,21a
を有しており、これら各L字部材21aは、一端側を回
動部材22に向かって突出させる状態にエンジンEの外
壁面に固定されている。また、各L字部材21aの上記
突出端には、軸心に直交する方向の軸心回りに回転可能
に設けられた、接触部としての係合ローラ23がそれぞ
れ取り付けられている。これら2つの係合ローラ23,
23の各軸心は、互いに同一の直線上に配置されてい
る。一方、回動部材22は、内径が可動シーブ12のボ
ス部12aの外径よりも大きいボス部22aを有する。
このボス部22aと可動シーブ12のボス部12aとの
間にはベアリング24が介装されており、このことで、
回動部材22は可動シーブ12に軸方向に移動一体にか
つ相対回転可能に保持されている。また、回動部材22
のボス部22aにおけるエンジンE側開口縁には、外向
きフランジ状の円板部22bが半径方向外方に向かって
突出するように周設されており、この円板部22bの周
縁上における径方向に対向する2箇所には、それぞれ、
断面円弧状の側壁部22cがエンジンE側に向かって突
出するように設けられている。
【0035】上記各側壁部22bには、それぞれ、固定
部材21の対応する係合ローラ23に入力プーリ10の
側から接触して該係合ローラを転動可能に支承する第1
カム面25が設けられている。これら各第1カム面25
は、エンジンE側から見て、反時計回り方向に向かって
漸次エンジンE側に接近する傾斜面に形成されている。
つまり、これら係合ローラ23及び第1カム面25は、
可動シーブ12に加えられた開き方向のベルト推力Pa
を、回動部材22に対する第1方向r1 (エンジンE側
から見て反時計回り方向)の回動力に変換し、一方、そ
の第1方向r1とは逆の第2方向r2 (エンジンE側か
ら見て時計回り方向)の回動力が回動部材22に加えら
れたときには、その回動力を可動シーブ12に対する閉
じ方向の押圧力に変換するようになっている。
【0036】上記出力プーリ30と減速装置Rとの間に
は、出力側カム機構40が設けられている。このカム機
構40は、入力側カム機構20の場合と同様に、出力プ
ーリ30に対し軸方向に移動不能でかつ軸心回りに回転
不能に設けられた固定部材41と、この固定部材41の
減速装置Rとは反対の側(図4の右側)に配置されてい
て、出力プーリ30の可動シーブ32に軸方向に移動一
体にかつ相対回転可能に設けられた回動部材42とから
なっている。固定部材41は、軸心を挟んで対向するよ
うに配置された1対のL字部材41a,41aを有して
おり、これら各L字部材41aは一端側を回動部材42
に向かって突出させる状態に減速装置Rの外壁面に固定
されている。また、各L字部材41aの突出端には、軸
心に直交する方向の軸心回りに回転可能に設けられた、
接触部としての係合ローラ43がそれぞれ取り付けられ
ている。これら2つの係合ローラ43,43の各軸心
は、互いに一致するようになされている。一方、回動部
材42は、内径が可動シーブ32のボス部32aの外径
よりも大きい筒状のボス部42aを有していて、このボ
ス部42aと可動シーブ32のボス部32aとの間には
ベアリング44が介装されており、このことで、回動部
材42は可動シーブ32に軸方向に移動一体にかつ相対
回転可能に保持されている。また、回動部材42のボス
部42aにおける減速装置R側の開口縁には、外向きフ
ランジ状の円板部42bが半径方向外方に向かって突出
するように周設されており、この円板部42bの周縁に
おける径方向に対向する2箇所には、断面円弧状の側壁
部42cが減速装置R側に向かって突出するように設け
られている。
【0037】上記各側壁部42cには、それぞれ、固定
部材41の対応する係合ローラ43に出力プーリ30の
側から接触して該係合ローラ43を転動可能に支承する
カム面45が設けられている。これら各カム面45は、
減速装置R側から見て、上記入力側カム機構20の第1
カム面25の場合とは逆に、時計回り方向に向かって減
速装置R側に漸次接近する傾斜面に形成されている。そ
して、これら係合ローラ43及びカム面45は、可動シ
ーブ32に加えられた開き方向のベルト推力Pbを回動
部材42に対する第1方向r1 (減速装置R側から見て
時計回り方向)の回動力に変換し、一方、その第1方向
1 とは逆の方向である第2方向r2 (減速装置R側か
ら見て反時計回り方向)の回動力が回動部材42に加え
られたときには、その回動力を可動シーブ32に対する
閉じ方向の押圧力に変換するようになっている。尚、本
実施形態では、各カム機構20,40における第1カム
面25及びカム面45の傾斜の向きが互いに逆であるの
で、外観上(例えばエンジンE側ないし減速装置R側か
ら見た場合)では、出力側カム機構40の回動部材42
の第1方向r1 及び第2方向r2 は、それぞれ入力側カ
ム機構20の回動部材22の第2方向r2 及び第1方向
1 と同じであるが、作用上では、両者は互いに逆の方
向となる。
【0038】上記入力側カム機構20と出力側カム機構
40との間には、各カム機構20,40の回動部材2
2,42同士を、作用上において互いに逆の方向(本実
施形態の場合には、外観上では互いに同じ方向)に回動
するように連結する連結機構60が設けられている。こ
の連結機構60は、入力側カム機構20の回動部材22
に半径方向外方に向かって突出するように設けられた操
作レバー部61と、出力側カム機構40の回動部材42
に半径方向外方に向かって突出するように設けられた操
作レバー部62と、これら操作レバー部61,62同士
を連結する連結ロッド63とからなっている。具体的に
は、各操作レバー部61,62は、入力軸1及び出力軸
2を含む平面に対し互いに同じ側に位置していて互いに
略平行に配置されている。したがって、各操作レバー部
61,62は、外観上、各々の軸心回りに互いに同じ方
向に回動するようになっている。
【0039】つまり、上記の連結機構60は、入力側カ
ム機構20の回動部材22における第1方向r1 の回動
力を出力側カム機構40の回動部材42に対する第2方
向r 2 の回動力に(r1 →r2 )、また入力側カム機構
20の回動部材22における第2方向r2 の回動力を出
力側カム機構40の回動部材42に対する第1方向r 1
の回動力に(r2 →r1 )それぞれ変換する一方、出力
側カム機構40の回動部材42における第1方向r1
回動力を入力側カム機構20の回動部材22に対する第
2方向r2 の回動力に(r1 →r2 )、また出力側カム
機構40の回動部材42における第2方向r2 の回動力
を入力側カム機構20の回動部材22に対する第1方向
1 の回動力に(r2 →r1 )それぞれ変換する。
【0040】以上のことから、入力側のベルト推力は、
入力側カム機構20において回動部材22に対する第1
方向r1 の回動力に変換され、この第1方向r1 の回動
力は連結機構60により出力側カム機構40の回動部材
42に対する第2方向r2 の回動力に変換され、この第
2方向r2 の回動力は出力側カム機構40により出力側
可動シーブ32に対する閉じ方向の押圧力に変換される
ことになる。一方、出力側のベルト推力は、出力側カム
機構40において回動部材42に対する第1方向r1
回動力に変換され、この第1方向r1 の回動力は連結機
構60により入力側カム機構20の回動部材22に対す
る第2方向r2 の回動力に変換され、この第2方向r2
の回動力は入力側カム機構20により入力側可動シーブ
12に対する閉じ方向の押圧力に変換されることにな
る。
【0041】上記連結機構60には、出力側カム機構4
0の回動部材42に第2方向r2 の回動力を常時加える
低速比化機構としての引張コイルばね70が連設されて
いる。具体的には、この引張コイルばね70は、入力軸
1の側において、例えば本変速装置のハウジング等の固
定体と連結機構60の連結ロッド63の入力軸1側の端
部との間に介装されていて、連結ロッド63を入力軸1
側(図2〜図4の各上側,図5及び図6の各左側)に向
かって常時付勢している。また、回動部材42に対する
第2方向r2 の回動力は、出力側カム機構40により可
動シーブ32に対する閉じ方向の押圧力に変換されるの
で、これらにより、出力側カム機構40の可動シーブ3
2には、入力側のベルト推力から変換された押圧力の他
に、引張コイルばね70による閉じ方向の押圧力が常に
加わっている。
【0042】さらに、上記入力側カム機構20の固定部
材21と回動部材22との間には、高速比化機構として
の遠心ウエイト機構80が設けられている。この遠心ウ
エイト機構80は、入力側の補助軸3におけるエンジン
E側(図2の左側)の端部上に軸方向に移動不能にかつ
軸心回りに回転不能に外嵌合された固定部材81を有す
る。この固定部材81の内周側部分は、軸心に直交する
平面形状をなしている。その外周側に位置する部分は、
半径方向外方に向かって可動シーブ12の受け部12b
側に漸次接近するテーパ部81aに形成されており、そ
の周縁は受け部12bの周縁よりも半径方向外方に位置
している。テーパ部81aの外周側に位置する部分であ
る固定部材81の最外周部分は、受け部12bを外周側
から覆いつつエンジンEとは反対の側(同図の右側)に
向かって延びる円筒状に形成されている。この固定部材
81と、可動シーブ12の受け部12bとの間には、複
数個のウエイトローラ82,82,…が半径方向に移動
可能に配置されている。そして、入力軸1の回転に伴う
遠心力により各ウエイトローラ82が固定部材81のテ
ーパ部81aと受け部12bとの間を半径方向外方に移
動するときに、該テーパ部81a及び受け部12bを軸
方向に離間させることで、可動シーブ12に対し閉じ方
向の操作力を加えるようになっている。
【0043】そして、本実施形態では、上記入力側カム
機構20の回動部材22には、図1に模式的に示すよう
に、回動部材22に遠心ウエイト機構80により可動シ
ーブ12に対し閉じ方向(同図の右方向)の操作力Fが
加わったときに、その操作力Fの一部を、上記第1カム
面25の場合とは逆に、回動部材22に対する第2方向
2 の(同図の)回動力に変換するように固定部材21
の係合ローラ23に係合する第2のカム面90が設けら
れている。
【0044】具体的には、図7〜図9に示すように、上
記回動部材22の各側壁部22cには、それぞれ、該側
壁部22cを半径方向に貫通しかつ側壁部22c上で右
ねじの方向に螺旋状に延びるスリット状の溝カム部91
が設けられており、この溝カム部91の入力プーリ10
側(図7の右側,図9の下側)の傾斜面により第1カム
面25が形成されている一方、エンジンE側(図7の左
側,図9の上側)の傾斜面により上記の第2カム面90
が形成されている。これら両カム面25,90間の隙間
寸法、つまり溝カム部91の幅寸法は係合ローラ23の
径よりも大きくなされていて、係合ローラ23は、この
溝カム部91内に転動可能に配置されている。
【0045】また、出力側カム機構40の回動部材42
の各側壁部42cにも、それぞれ該側壁部42cを半径
方向に貫通しかつ側壁部22c上で螺旋状に延びるスリ
ット状の溝カム部92が設けられており、この溝カム部
92の出力プーリ30側の傾斜面により上記のカム面4
5が形成されている。尚、本実施形態では、出力側カム
機構40の各溝カム部92は、入力側カム機構20の各
溝カム部91の場合とは逆に、左ねじの方向に延びるよ
うに設けられている。
【0046】ここで、上記のように構成されたベルト式
無段変速装置の作動について説明する。
【0047】先ず、エンジンEが停止していて入力軸1
の回転が停止している状態では、図5に示すように、入
力側カム機構20の回動部材22は第1方向r1 の側
(同図の左側)に、また出力側カム機構40の回動部材
42は第2方向r2 の側(同図の左側)にそれぞれ引張
コイルばね70により引っ張られて位置付けられてお
り、このときの速比は、入力プーリ10のピッチ径が最
小でありかつ出力プーリ30のピッチ径が最大である最
もLoの状態にある。また、出力側の可動シーブ32に
は、入力側のベルト推力Paから変換された押圧力Qa
の他に、引張コイルばね70による押圧力Sが加わって
おり、一方、入力側の可動シーブ12には、引張コイル
ばね70の押圧力Sの分だけ小さくなった出力側のベル
ト推力Pbから変換された押圧力Qbが加わっている。
【0048】上記の状態で、エンジンEが始動して入力
軸1にトルクが入力されると、そのトルクは、入力プー
リ10,伝動ベルト50及び出力プーリ30を順に経由
して出力軸2に伝達される。そして、入力回転速度が上
昇すると、それに応じて、遠心ウエイト機構80ではウ
エイトローラ82,82,…が遠心力により固定部材8
1のテーパ部81aと可動シーブ12の受け部12bと
の間を半径方向外方に向かって移動するので、可動シー
ブ12に対し閉じ方向の操作力Fが加わるようになる。
この操作力Fは、入力回転速度の上昇に応じて増加す
る。
【0049】すると、入力側のベルト推力Paが上記の
操作力Fによりキャンセルされるので、出力プーリ30
では、そのベルト推力Paから変換されて可動シーブ3
2に加わる閉じ方向の押圧力Qaが低下することにな
る。そして、その押圧力Qaに引張コイルばね70によ
る押圧力Sを加えたものが、出力側のベルト推力Pbよ
りも小さくなると、可動シーブ32は、そのベルト推力
Pbにより可動シーブ32は開き方向に移動する。よっ
て、図6に示すように、出力プーリ30のピッチ径は小
さくなる。一方、出力プーリ30の小径化に伴い、入力
側では、可動シーブ12に対する開き方向のベルト推力
Paが低下するので、入力プーリ10は、引張コイルば
ね70による押圧力Sの分だけ低下した出力側のベルト
推力Pbから変換された押圧力Qbと、上記操作力Fと
により閉じ方向に移動し、よって、入力プーリ10は小
径化する。これらにより、両プーリ10,30間の速比
は、Hi側に変化する。これに伴い、出力側カム機構4
0の回動部材42は第1方向r1 (同図の時計回り方
向)に、また入力側カム機構20の回動部材22は第2
方向r2 (同時計回り方向)にそれぞれ回動する。
【0050】上記の状態において、入力回転数が低下す
ると、遠心ウエイト機構80による可動シーブ12に対
する閉じ方向の操作力Fが小さくなるので、この可動シ
ーブ12はベルト推力Paにより開き方向に移動し、こ
れにより、入力プーリ10は小径化する。一方、遠心ウ
エイト機構80の操作力Fの低下に伴い、出力側カム機
構40では、その操作力Fの低下分だけ引張コイルばね
70による閉じ方向の押圧力Sが復活するので、可動シ
ーブ32は、その押圧力Sと入力側ベルト推力Paから
変換された押圧力Qaとにより閉じ方向に移動し、よっ
て、出力プーリ30は大径化する。これらの結果、両プ
ーリ10,30間の速比は、再びLo側に変化(図5参
照)することになる。
【0051】以上の作動において、変速応答性を高める
ために、引張コイルばね70による押圧力Sを出力側の
ベルト推力Pbよりも大きく(S>Pb)するととも
に、遠心ウエイト機構80の最大操作力Fmax を引張コ
イルばね70による押圧力Sよりも大きく(Fmax >
S)した場合の変速作動について説明する。
【0052】速比がLoである状態でエンジンEを始動
すると、入力回転速度の上昇に応じて、入力プーリ10
の可動シーブ12に遠心ウエイト機構80により加わる
閉じ方向の操作力Fが増加する。このとき、入力側カム
機構20では、上記の操作力Fの一部は、第2カム面9
0が係合ローラ23及び第2カム面90により、回動部
材22に対する第2方向r2 の回動力に変換される。こ
の第2方向r2 の回動力は、連結機構60により出力側
カム機構40の回動部材42に対する第1方向r1 の回
動力に変換される。よって、この回動部材42に加わっ
ている引張コイルばね70による第2方向r2 の回動力
は、その第1方向r1 の回動力により打ち消されるの
で、引張コイルばね70の回動力により出力側の可動シ
ーブ32に加わっている閉じ方向の押圧力Sも、それに
応じて低下することとなり、この閉じ方向の押圧力S
に、操作力Fにより低下した入力側ベルト推力Paから
変換された押圧力Qaを加えたものが出力側のベルト推
力Pbよりも小さく(S+Qa<Pb)なったときに
は、可動シーブ32はそのベルト推力Pbにより開き方
向に移動し、よって、出力プーリ30は小径化するよう
になる。そして、出力プーリ30の小径化に伴い、した
がって、本実施形態によれば、入出力プーリ10,30
の各可動シーブ12,32に加わる開き方向のベルト推
力Pa,Pbを各々のカム機構20,40において係合
ローラ23,43及びカム面25,45により回動部材
22,42に対する第1方向r1 の回動力に変換し、そ
の第1方向r1 の回動力を連結機構60により他方のカ
ム機構40,20の回動部材42,22に対する第2方
向r 2 の回動力に変換し、その第2方向r2 の回動力を
該カム機構40,20の係合ローラ43,23及びカム
面45,25により対応する可動シーブ32,12に対
する閉じ方向の押圧力Qa,Qbに変換して各可動シー
ブ32,12を支承することにより変速時の操作力が小
さくて済むようにした低軸荷重のベルト式無段変速装置
において、引張コイルばね60により出力側カム機構4
0の回動部材43に第2方向r2 の回動力を常時加えて
出力側の可動シーブ32に閉じ方向の押圧力Sを加える
一方、遠心ウエイト機構80により入力側の可動シーブ
12に閉じ方向の操作力Fを入力回転速度に応じて加え
るようにすることで変速作動を自動化する際に、入力側
カム機構20に、第2のカム面90を設け、遠心ウエイ
トローラ機構80の操作力Fの一部を入力側カム機構2
0の回動部材22に対する第2方向r2 の回動力に変換
し、この第2方向r2 の回動力を連結機構60により出
力側カム機構40の回動部材42に対する第1方向r1
の回動力に変換することにより、上記の引張コイルばね
70による第2方向r2 の回動力をキャンセルするよう
にしたので、引張コイルばね70の回動力により出力側
可動シーブ32に加わる押圧力Sが出力側のベルト推力
Pbよりも大きい場合でも、低軸荷重であることを損な
わずに適正な変速作動を行わせることができ、よって、
引張コイルばね70の回動力による出力側可動シーブ3
2に対する押圧力Sと遠心ウエイト機構80による入力
側可動シーブ12に対する操作力Fとを大きくして変速
応答性を高めることができる。
【0053】また、上記入力プーリ10の可動シーブ1
2を、該入力プーリ10が小径化する際に固定シーブ1
1及び可動シーブ12に伝動ベルト50が接触しなくな
る軸方向の位置まで移動できるようにするとともに、入
力プーリ10の溝底に、伝動ベルト50を走行可能に支
承するための受け部材14と、この受け部材14を軸心
回りに回転可能に保持するベアリング15とを設けるよ
うにしたので、入力プーリ10の開閉作動により該入力
プーリ10と伝動ベルト50との間のトルク伝達が断接
される内周クラッチを構成することができ、よって、入
力プーリ10のトルクが出力プーリ30に伝達されない
極めて低負荷の状態でエンジンEを始動することができ
る。
【0054】尚、上記の実施形態では、入力側カム機構
20の固定部材21に係合ローラ23を、また回動部材
22に第1及び第2カム面25,90をそれぞれ設ける
ようにしているが、これとは逆に、固定部材21に第1
及び第2カム面を、回動部材22に係合ローラをそれぞ
れ設けるようにしてもよい。
【0055】また、上記の実施形態では、係合ローラ2
3を第1カム面25及び第2カム面90で共用するよう
にしているが、その係合ローラ23を第1カム面25の
専用の第1係合ローラとし、この第1係合ローラとは別
に第2カム面の専用の係合ローラを第2係合ローラとし
て別に設けるようにしてもよい。その場合には、第2係
合ローラを固定部材21に、また第2カム面を回動部材
22にそれぞれ設けるようにしてもよいし、逆に、第2
係合ローラを回動部材22に、また第2カム面を固定部
材21に設けるようにしてもよい。
【0056】また、上記の実施形態では、低速比化機構
として引張コイルばね70を、また高速比化機構として
遠心ウエイト機構80を用いるようにしているが、これ
ら低速比化機構及び高速比化機構は特に限定されるもの
ではなく、低速比化機構としては、出力側カム機構40
の回動部材42に第2方向r2 の回動力を加えることの
できるものであればよく、また高速比化機構としては、
入力プーリ10の可動シーブ12に入力回転速度に応じ
て閉じ方向の操作力Fを加えることのできるものであれ
ばよい。
【0057】さらに、上記の実施形態では、入力プーリ
10及び出力プーリ30にそれぞれ偏角プーリを用いる
とともに、伝動ベルト50に偏角ベルトを用いるように
しているが、ベルト接触面の傾斜角度が互いに等しいプ
ーリを用いるとともに、ベルト両側面の傾斜角度が互い
に等しいVベルトを用いるようにしてもよい。但し、そ
の場合には、固定シーブ及び可動シーブの軸方向の位置
は、入力側と出力側とで互いに逆になる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、入出力プーリの各可動シーブに加わる開き方向
のベルト推力を対応するカム機構において接触部及びカ
ム面により回動部材に対する一方向の回動力に変換し、
その一方向の回動力を連結機構により他方のカム機構の
回動部材に対する他方向の回動力に変換し、その他方向
の回動力を該カム機構の接触部及びカム面により対応す
る可動シーブに対する閉じ方向の押圧力に変換して各可
動シーブを支承することにより操作力が小さくて済むよ
うにした低軸荷重のベルト式無段変速装置において、低
速比化機構により出力側カム機構の回動部材に他方向の
回動力を常時加えて出力側可動シーブを閉じ方向に押圧
付勢する一方、高速比化機構により入力側可動シーブに
閉じ方向の操作力を入力回転速度に応じて加えるように
することで変速作動を自動化する際に、入力側カム機構
に、第2接触部及び第2カム面を設け、高速比化機構の
操作力の一部を入力側カム機構の回動部材に対する他方
向の回動力に変換し、この他方向の回動力を連結機構に
より出力側カム機構の回動部材に対する一方向の回動力
に変換して上記低速比化機構による他方向の回動力を打
ち消せるようにしたので、低速比化機構の回動力により
出力側可動シーブに加わる閉じ方向の押圧力が出力側ベ
ルト推力よりも大きい場合でも、低軸荷重であることを
損なわずに適正な変速作動を行わせることができ、よっ
て、低速比化機構による押圧力及び高速比化機構の操作
力を大きくして変速応答性を高めることができる。
【0059】請求項2の発明によれば、上記の第2接触
部を第1接触部により兼用するとともに、上記の第2カ
ム面を第1カム面に対向配置するようにしたので、従来
の装置に第2カム面を追加するだけで本発明に係るベル
ト式無段変速装置を得ることができる。
【0060】請求項3の発明によれば、上記入力プーリ
の溝底に、固定シーブ及び可動シーブに非接触になった
伝動ベルトを走行可能に支承する支承部を設けるように
したので、入力プーリの開閉作動により該入力プーリと
伝動ベルトとの間のトルク伝達が断接される内周クラッ
チを構成することができ、よって、速比がLo側に切り
換わっていない状態でも、始動時に入力プーリにトルク
を入力して該入力プーリを容易に回転駆動することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るベルト式無段変速装置
において速比がLo側からHi側に切り換わるときの状
態を模式的に示す縦断面図である。
【図2】ベルト式無段変速装置の全体構成を示す縦断面
図である。
【図3】入力プーリ側の部分を拡大して示す縦断面図で
ある。
【図4】出力プーリ側の部分を拡大して示す縦断面図で
ある。
【図5】速比がLoであるときのベルト式無段変速装置
をエンジン側から見て示す模式図である。
【図6】速比がHiであるときのベルト式無段変速装置
を示す図5相当図である。
【図7】図8のVII−VII線断面図である。
【図8】エンジン側から見た入力側カム機構の回動部材
を示す図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】従来のベルト式無段変速装置において入力側
可動シーブに閉じ方向の操作力が加えられて速比がHi
側に変化するときの状態を模式的に示す図1相当図であ
る。
【図11】従来のベルト式無段変速装置において低速比
化機構により出力側可動シーブにベルト推力よりも大き
い閉じ方向の押圧力を常時加えつつ入力側可動シーブに
操作力が加えられたときの状態を模式的に示す図1相当
図である。
【符号の説明】
10 入力プーリ 11 固定シーブ 12 可動シーブ 14 受け部材(支承部) 15 ベアリング(支承部) 20 入力側カム機構 21 固定部材 22 回動部材 23 係合ローラ(第1接触部,第2接触部) 25 第1カム面 30 出力プーリ 31 固定シーブ 32 可動シーブ 40 出力側カム機構 41 固定部材 42 回動部材 43 係合ローラ(接触部) 45 カム面 50 伝動ベルト 60 連結機構 70 引張コイルばね(低速比化機構) 80 遠心ウエイト機構(高速比化機構) 90 第2カム面 Pa (入力側)ベルト推力 Pb (出力側)ベルト推力 Qa (入力側ベルト推力から変換された出力側の)押
圧力 Qb (出力側ベルト推力から変換された入力側の)押
圧力 r1 第1方向(一方向) r2 第2方向(他方向) F (高速比化機構の)操作力 S (低速比化機構による)押圧力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下津 宏之 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15号 バンドー化学株式会社内 Fターム(参考) 3J050 AA01 AB02 BA03 BB02 BB08 CA02 CC05 CC06 DA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々、固定シーブと、該固定シーブに対
    し軸方向に接離移動可能に設けられた可動シーブとを有
    し、可動シーブが固定シーブに接近することによりピッ
    チ径が大きくなる一方、可動シーブが固定シーブから離
    間することによりピッチ径が小さくなる入力プーリ及び
    出力プーリと、 上記入出力プーリ間に走行可能にかつ各プーリの可動シ
    ーブに固定シーブから離間する方向のベルト推力を加え
    るように巻き掛けられた伝動ベルトと、 各々、上記入出力プーリのうちの対応するプーリに対し
    軸方向に移動不能にかつ軸心回りに回転不能に設けられ
    た固定部材と、上記プーリの可動シーブに軸方向に移動
    一体にかつ軸心回りに相対回転可能に設けられた回動部
    材とを有し、固定部材及び回動部材のうちの一方の部材
    に、接触部が設けられているとともに、他方の部材に、
    可動シーブに加えられたベルト推力を上記回動部材に対
    する一方向の回動力に変換する一方、回動部材に加えら
    れた他方向の回動力を上記可動シーブに対する固定シー
    ブに接近する方向の押圧力に変換するように上記接触部
    に係合するカム面が設けられた入力側カム機構及び出力
    側カム機構と、 上記入力側及び出力側カム機構の回動部材同士を、各回
    動部材に加えられた一方向の回動力がそれぞれ他方の回
    動部材に対する他方向の回動力に変換されるように連結
    する連結機構と、 上記出力側カム機構の回動部材に、上記出力プーリの可
    動シーブが固定シーブに接近する方向に押圧されるよう
    に上記他方向の回動力を常時加える低速比化機構と、 上記入力プーリの可動シーブに固定シーブに接近する方
    向の操作力を入力回転速度に応じて加える高速比化機構
    とを備えたベルト式無段変速装置であって、 上記入力側カム機構の接触部は、第1の接触部であり、 上記入力側カム機構のカム面は、第1のカム面であり、 上記入力側カム機構における固定部材及び回動部材のう
    ちの一方の部材に、第2の接触部が設けられているとと
    もに、他方の部材に、上記高速比化機構により入力プー
    リの可動シーブに操作力が加えられたときに該操作力の
    一部を上記回動部材に対する上記他方向の回動力に変換
    するように上記第2接触部に係合する第2のカム面が設
    けられ、 上記連結機構は、上記入力側及び出力側カム機構の各回
    動部材に加えられた一方向の回動力をそれぞれ他方の回
    動部材に対する他方向の回動力に変換することに加え、
    上記入力側カム機構の回動部材に加えられた上記他方向
    の回動力を上記出力側カム機構の回動部材に対する上記
    一方向の回動力に変換するように構成されていることを
    特徴とするベルト式無段変速装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のベルト式無段変速装置に
    おいて、 第2カム面は、固定部材及び回動部材のうちの第1カム
    面が設けられた方の部材に第1接触部を挟んで上記第1
    カム面に対向するように配置され、 第2接触部は、上記第1接触部により兼用されているこ
    とを特徴とするベルト式無段変速装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のベルト式無段変速
    装置において入力プーリの可動シーブは、該入力プーリ
    の固定シーブ及び可動シーブに対し伝動ベルトが非接触
    になる軸方向の位置まで固定シーブから離間するように
    設けられ、 上記固定シーブ及び可動シーブ間に、可動シーブが固定
    シーブから離間して上記伝動ベルトが両シーブに対し非
    接触になったときに該伝動ベルトを走行可能に支承する
    支承部が設けられていることを特徴とするベルト式無段
    変速装置。
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