JP2003254367A - 電動パーキングブレーキ装置 - Google Patents

電動パーキングブレーキ装置

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JP2003254367A
JP2003254367A JP2002059472A JP2002059472A JP2003254367A JP 2003254367 A JP2003254367 A JP 2003254367A JP 2002059472 A JP2002059472 A JP 2002059472A JP 2002059472 A JP2002059472 A JP 2002059472A JP 2003254367 A JP2003254367 A JP 2003254367A
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Japan
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gear
parking brake
eccentric
concentric
wire
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JP2002059472A
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Ryoichi Tachiiri
良一 立入
Kaoru Tsubouchi
坪内  薫
Keiichi Koga
慶一 古賀
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Advics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両への搭載自由度を向上できるパーキング
ブレーキ装置を提供すること。 【解決手段】 電動モータ11の駆動力が伝達され同駆
動力をインナーワイヤ52aに伝達する駆動力伝達機構
に、同心軸部32cと偏心軸部32dとを有し前記駆動
力により回転する出力軸32と、同心軸部32cにボー
ルベアリングBg3により軸支された同心外歯車41
と、偏心軸部32dにボールベアリングBg4により軸
支された同心外歯車41と噛み合う偏心内歯車42と、
同心外歯車41に一体固設されるとともにインナーワイ
ヤ52aの一端を固定しインナーワイヤ52aを出力軸
32と同心的に環状に巻き取り可能なケーブルガイド5
1とを備え、偏心内歯車42を、ハウジング60に対し
て、相対回転が規制されるとともに偏心軸部32dの偏
心運動に伴い偏心運動可能に支持した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両において採用
されるパーキングブレーキ装置に関し、特に、電動モー
タの駆動力が伝達される駆動力伝達機構にワイヤの一端
を連結し、同ワイヤの他端をパーキングブレーキに連結
した電動パーキングブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の電動パーキングブレーキ装置
は、例えば、米国特許明細書のUS6213259号公
報の先行技術文献に示されていて、この装置は、電動モ
ータの駆動力により回転する雄ねじが回転すると、同雄
ねじと歯合するナットが同雄ねじに対して同雄ねじの軸
方向に直線運動し、同ナットに一端が連結されたワイヤ
が、同ワイヤの他端が接続されたパーキングブレーキに
対して直線的に引かれることにより、同パーキングブレ
ーキが制動状態となるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行技術文献に示されている電動パーキングブレーキ装置
においては、少なくとも前記雄ねじは、前記ワイヤの最
大ストローク長と、前記雄ねじ及び前記ナットとの歯合
長とを加えた長さ以上の軸方向長さを必要とする。この
ため、この装置を車両へ搭載する際、前記雄ねじの軸方
向に大きな搭載空間を確保する必要が生じ、同装置の車
両への搭載自由度が低いという問題があった。
【0004】本発明は、上記した問題に対処するために
なされたものであり、車両への搭載自由度を向上できる
パーキングブレーキ装置を提供することを、その技術的
課題とする。
【0005】
【発明の概略】上記課題を解決するためになされた本発
明の第1の特徴は、電動モータと、同電動モータの駆動
力が伝達されるとともにハウジングに収容された駆動力
伝達機構と、同駆動力伝達機構に一端が連結されたワイ
ヤと、同ワイヤの他端に連結されたパーキングブレーキ
とを備え、同ワイヤのワイヤ張力により同パーキングブ
レーキのブレーキ力を調整可能な電動パーキングブレー
キ装置において、前記駆動力伝達機構は、同心軸部と偏
心軸部とを有するとともに前記ハウジングに相対回転可
能に軸支され前記電動モータの駆動力により回転する回
転軸と、前記同心軸部に相対回転可能に軸支された前記
外歯車及び前記内歯車のいずれか一方である同心歯車
と、前記偏心軸部に相対回転可能に軸支された前記外歯
車及び前記内歯車の他方であって前記同心歯車と噛み合
う偏心歯車と、前記同心歯車に一体固設されるとともに
前記ワイヤの一端を固定し前記ワイヤを前記回転軸と同
心的に環状に巻き取り可能なワイヤ巻き取り部材と、を
有し、前記偏心歯車は、前記ハウジングに対して、相対
回転が規制されるとともに、前記偏心軸部の偏心運動に
伴い偏心運動可能に支持され、前記回転軸が一回転する
と、前記同心歯車が前記内歯車の歯数と前記外歯車の歯
数との歯数差分に対応する角度だけ前記回転軸の回転方
向と逆方向に回転するように構成したことにある。な
お、ここにおいて、「同心歯車」とは、回転軸の軸心と
同一の軸心を中心に有する円形歯車をいい、「偏心歯
車」とは、回転軸の軸心から偏心した軸心を中心に有す
る円形歯車をいう。
【0006】これによれば、駆動力伝達機構のワイヤ巻
き取り部材は、電動モータの駆動力が伝達されると回転
する同心歯車に一体固設され、ワイヤを回転軸と同心的
に環状に巻き取り可能に構成されているので、上記先行
技術文献に示されている電動パーキングブレーキ装置の
ように、特定の方向に大きな搭載空間を確保する必要が
ない。従って、装置の車両への搭載自由度が向上する。
また、パーキングブレーキの仕様により、ワイヤの最大
ストローク長が異なっても、ワイヤ巻き取り部材のワイ
ヤ巻き取り角度を変更する等のみで対応でき、装置全体
の大きさを変更する必要がないので、装置の汎用性が向
上する。
【0007】また、回転軸が一回転すると、同心歯車が
内歯車の歯数と外歯車の歯数との歯数差分に対応する角
度だけ回転軸の回転方向と逆方向に回転するように構成
されているので、内歯車の歯数と外歯車の歯数との歯数
差を少なく(例えば1つ)すれば、大きな減速比を得る
ことができる。さらには、内歯車の歯と外歯車の歯との
噛み合い率が高いので、伝達駆動力に対する内歯車及び
外歯車の一歯分の負担が低減し、内歯車及び外歯車の耐
久性が向上する。
【0008】ところで、ワイヤ巻き取り部材がワイヤを
環状に巻き取り可能に構成され、上記本発明の第1の特
徴を採用した電動パーキングブレーキ装置と類似するも
のとして、前記駆動力伝達機構を、同心軸部と偏心軸部
とを有するとともにハウジングに相対回転可能に軸支さ
れモータの駆動力により回転する回転軸と、前記ハウジ
ングに固定された同心歯車(例えば内歯車)と、前記偏
心軸部に相対回転可能に軸支されるとともに前記同心歯
車と噛み合う偏心歯車(例えば外歯車)と、前記偏心歯
車に一体固設されるとともに前記ワイヤの一端を固定し
前記ワイヤを環状に巻き取り可能なワイヤ巻き取り部材
とを有し、前記回転軸が一回転すると、前記偏心歯車
が、前記回転軸の回転方向と同一方向に偏心運動をしな
がら、前記内歯車の歯数と前記外歯車の歯数との歯数差
分に対応する角度だけ前記回転軸の回転方向と逆方向に
回転するように構成された電動パーキングブレーキ装置
(以下、「変形例」と呼ぶ。)が考えられる。
【0009】この変形例では、電動モータの駆動力が回
転軸に伝達され同回転軸が回転すると、偏心歯車に一体
固設されたワイヤ巻き取り部材は、同偏心歯車と共に偏
心運動しながら回転してワイヤを環状に巻き取る。従っ
て、偏心歯車(回転軸の偏心軸部)の偏心方向が変わる
と、ワイヤ巻き取り部材上のワイヤ張力の作用点と回転
軸の軸心との径方向距離が変化する。また、偏心歯車の
偏心方向が変わると、パーキングブレーキに対する同ワ
イヤ張力の作用点の位置が変化し、これによりワイヤ張
力も変化する。
【0010】従って、この変形例では、偏心歯車の偏心
運動に応じて電動モータが受ける負荷トルクが回転軸一
回転ごとに周期的に大きく変動することになる。よっ
て、ワイヤを巻き取る際に必要な同駆動トルクの最大値
が大きくなり、電動モータを大型化する必要がある。
【0011】一方、上記本発明の第1の特徴を採用した
電動パーキングブレーキ装置では、ワイヤ巻き取り部材
は、同心歯車に一体固設されており、回転軸と同心的に
回転しながらワイヤを回転軸と同心的に環状に巻き取り
可能に構成されている。従って、回転軸の回転角度(偏
心軸部の偏心方向)により、ワイヤ巻き取り部材上のワ
イヤ張力の作用点と回転軸の軸心との径方向距離が変化
することがなく、また、パーキングブレーキに対する同
ワイヤ張力の作用点の位置が変化しない。
【0012】従って、本発明の第1の特徴によれば、上
記理由により電動モータの駆動トルクが周期的に変動し
なくなるので、上記変形例に比して電動モータを小型化
することができる。また、回転軸の回転に対するワイヤ
のストロークが線形的に変化するので、ワイヤ張力を同
ワイヤのストローク量を検出することで推定する必要が
ある場合等、回転軸の回転角度(電動モータの回転角
度)を検出するのみでワイヤ張力を容易に推定すること
ができる。従って、ワイヤ張力の制御性が向上する。
【0013】ところで、上記本発明の第1の特徴を採用
した電動パーキングブレーキ装置においては、ワイヤ巻
き取り部材が同心歯車に一体固設されているので、同心
歯車の軸支部(軸受を介して軸支されている場合には軸
受)には、ワイヤ張力に基づくラジアル力(軸支部に発
生する径方向の力成分をいう。以下同様。)と、偏心歯
車の歯と同心歯車の歯との歯合に基づき発生するラジア
ル力とが共に働く。従って、同心歯車の軸支部の負担が
大きく、同軸支部の耐久性が低下するという問題があ
る。
【0014】上記課題を解決するためになされた本発明
の第2の特徴は、以上の知見に基づいたものであって、
上記本発明の第1の特徴に対して、ワイヤ巻き取り部材
を、前記同心歯車に一体固設せずに、前記回転軸の同心
軸部に相対回転可能に軸支させ、同ワイヤ巻き取り部材
と前記同心歯車とを、互いに一体回転するように、かつ
互いに径方向の力を受けないように連結させた点に特徴
がある。
【0015】これによれば、上記したワイヤ張力に基づ
くラジアル力は全て、回転軸の同心軸部におけるワイヤ
巻き取り部材の軸支部に働き、回転軸の同心軸部におけ
る同心歯車の軸支部には同ラジアル力は働かない。従っ
て、同心歯車の軸支部に働くラジアル力は、上記歯合に
基づき発生するラジアル力のみとなり、同軸支部の耐久
性が向上する。
【0016】ところで、上記した電動パーキングブレー
キ装置においては、偏心歯車を、ハウジングに対して、
回転運動が規制されるとともに偏心軸部の偏心運動に伴
い偏心運動可能に支持する支持機構が必要となる。ここ
で、偏心歯車を外歯車とすると(同心歯車を内歯車とす
る)、前記支持機構を偏心歯車の歯面(外径)に対して
径方向内側に形成する必要が生じる。従って、この場
合、偏心歯車の外径を不必要に大きくする必要が生じる
場合があり、装置が径方向に大きくなるという問題があ
る。
【0017】よって、上記した電動パーキングブレーキ
装置においては、前記同心歯車は外歯車であり、前記偏
心歯車は内歯車であるように構成することが好適であ
る。これによれば、上記支持機構を、偏心歯車の歯面
(外径)に対して径方向外側に形成することが容易とな
る。従って、偏心歯車の外径を不必要に大きくする必要
がなくなり、装置を径方向に小型化することが可能とな
る。
【0018】また、上記した電動パーキングブレーキ装
置においては、電動モータと回転軸との間に、パーキン
グブレーキからのワイヤ張力により同電動モータを回転
させる力を同電動モータに伝達不能にする逆入力遮断機
能を有する逆入力遮断クラッチを介挿することが考えら
れる。これは、パーキングブレーキが制動状態となって
いるとき、電動モータに保持トルクを付与することな
く、パーキングブレーキからのワイヤ張力により電動モ
ータが回転して同ワイヤ張力が低下することを防止する
ためである。
【0019】さらに、上記逆入力遮断クラッチを介挿す
る際には、同逆入力遮断クラッチに、前記逆入力遮断機
能を無効化する逆入力遮断機能無効化手段を設けること
が考えられる。これは、パーキングブレーキを制動状態
から開放状態とする作動が、電気系フェール時等、電動
モータの回転駆動により得られないような状況におい
て、逆入力遮断機能無効化手段により逆入力遮断クラッ
チの逆入力遮断機能を無効化することにより、電動モー
タを駆動することなくパーキングブレーキを制動状態か
ら開放状態とすることを可能とするためである。
【0020】このような、逆入力遮断機能を無効化する
逆入力遮断機能無効化手段を備えた逆入力遮断クラッチ
が電動モータと回転軸との間に介挿された上記電動パー
キングブレーキ装置においては、逆入力遮断機能無効化
手段により逆入力遮断クラッチの逆入力遮断機能を無効
化した場合、パーキングブレーキからのワイヤ張力によ
り回転する回転軸の回転抵抗力が大きいと、回転軸がワ
イヤ張力がゼロ近傍となるまで回転しきらずにワイヤ張
力が残り、パーキングブレーキを完全に開放状態とする
ことが不可能になる場合が発生する。
【0021】ここで、パーキングブレーキからのワイヤ
張力により回転する回転軸の回転抵抗力を小さくするた
めには、同回転抵抗力を直接的に左右する、回転軸をハ
ウジングに回転可能に軸支する軸支部における回転抵抗
力、並びに同心歯車及び偏心歯車を回転軸に回転可能に
軸支する軸支部における回転抵抗力を小さくすることが
必要である。
【0022】従って、このような電動パーキングブレー
キ装置においては、前記回転軸は前記ハウジングに対し
て、前記同心歯車及び前記偏心歯車は前記回転軸に対し
て、それぞれころがり軸受を介して軸支されるように構
成することが好適である。これによれば、上記列挙した
軸支部の全てにおいて、すべり接触を伴わなわず回転抵
抗力が小さいころがり軸受(所謂ボールベアリング、ニ
ードルベアリング等のように、外輪と内輪との間に転動
体をはさみこんだ形の軸受)が介挿されているので、パ
ーキングブレーキからのワイヤ張力により回転する回転
軸の回転抵抗力が小さくなり、上記したワイヤ張力の残
存の問題が発生しにくくなる。
【0023】また、上記した逆入力遮断クラッチが介挿
された電動パーキングブレーキ装置において、前記電動
モータと前記逆入力遮断クラッチとの間に、同電動モー
タから同逆入力遮断クラッチに回転を減速しながら前記
電動モータの駆動力を伝達する複数の構成部材からなる
減速装置を備える場合には、逆入力遮断クラッチの逆入
力遮断機能により、同構成部材に力が働く回数及び延べ
時間が少なくなる。
【0024】従って、この場合、この複数の構成部材の
材質を樹脂にしても、同構成部材同士の当接部位にて所
謂クリープ現象が発生しにくくなるので、この複数の構
成部材の材質を樹脂にすることが好適である。これによ
り、電動パーキングブレーキ装置の軽量化を図ることが
できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施形態を図
面に基づいて説明する。図1〜図6は本発明の第1実施
形態に係る電動パーキングブレーキ装置を示していて、
この電動パーキングブレーキ装置は、自動車用のパーキ
ングブレーキ装置であり、入力源としての電動モータ1
1の回転力が第1減速装置G1と逆入力遮断クラッチC
oと第2減速装置G2を介してケーブルガイド51に伝
達されるようになっている。そして、ケーブルガイド5
1が回転(回動)することにより操作ケーブル52を介
してパーキングブレーキ53が制動状態または解除状態
とされるように構成されている。
【0026】電動モータ11は、電気制御装置(図示省
略)によって作動を制御されるようになっていて、運転
者がパーキングブレーキ53を作動させる操作時(例え
ば、操作レバーを引き上げるとき、または操作ペダルを
踏み込むとき)に正方向に回転駆動され、パーキングブ
レーキ53を解除させる操作時(例えば、操作レバーを
戻すとき、または操作ペダルを戻すとき)に逆方向に回
転駆動されるようになっている。
【0027】第1減速装置G1は、電動モータ11の出
力軸(図示省略)の回転を逆入力遮断クラッチCoの入
力軸31に減速して伝達するものであり、電動モータ1
1の出力軸(図示省略)に同軸的かつ一体回転可能に連
結したウォーム21と、このウォーム21に常時噛合し
てウォーム21によって回転駆動される樹脂製のウォー
ムホイール22と、このウォームホイール22の軸心に
同軸的かつ一体回転可能に嵌合された出力軸23を備え
ている。
【0028】逆入力遮断クラッチCoは、回転力を入力
側(第1減速装置G1側)から出力側(第2減速装置G
2側)には略等速にて伝達可能で出力側から入力側には
伝達不能な逆入力遮断機能を有するクラッチであり、第
1減速装置G1の出力軸23に同軸的かつ一体回転可能
に嵌合された入力軸31と、この入力軸31に対して同
軸的かつ所定量相対回転可能に配置された出力軸32
と、入力軸31および出力軸32の外周にてハウジング
60に回転可能に組付けられた反力部材としての外輪3
3と、入力軸31、出力軸32および外輪33間に介装
した4対8個のころ34と、各対のころ34間に介装さ
れて両ころ34を離間付勢する4個のばね35を備えて
いる。
【0029】逆入力遮断クラッチCoの入力軸31は、
出力軸32に設けた4個の穴32aに中立状態(図4の
状態)にて所定の隙間S1でそれぞれ嵌合する4個のピ
ン31aを有するとともに、出力軸32と外輪33間に
て各ころ34に係合・離間可能に配置されて中立状態に
て所定の隙間S2(S1>S2)でそれぞれころ34に
対向する4個の円弧状押動爪31bを有している。
【0030】逆入力遮断クラッチCoの出力軸32は、
ボールベアリングBg1及びボールベアリングBg2によ
りハウジング60に対して相対回転可能に軸支されてお
り、上記した4個の穴32aと、中立状態にて出力軸3
2が入力軸31および外輪33に対して相対回転すると
きに各ころ34を外輪33に向けて押動する4個の楔状
カム面32bを有している。また、出力軸32は、第2
減速装置G2の同心外歯車41を相対回転可能に軸支す
る同心軸部32cと第2減速装置G2の偏心内歯車43
を相対回転可能に軸支する偏心軸部32d(図1参照)
とを有している。
【0031】逆入力遮断クラッチCoの外輪33は、外
周に4個の係合溝(係合穴でも実施可能)33aを有し
ていて、何れかの係合溝33aに緊急解除用ロック機構
Loのロック部材であるポール(ロックピン)36が嵌
合しているロック状態(図3の係合位置にあるとき)で
はハウジング60に対して回転不能とされ、ポール36
が係合溝33aから退避したアンロック状態(離脱位置
にあるとき)ではハウジング60に対して回転可能とさ
れるようになっている。
【0032】ロック機構Loは、制動状態にあるパーキ
ングブレーキ53を緊急解除する際に手動操作にてロッ
ク状態(逆入力遮断クラッチCoの逆入力遮断機能を有
効とする状態)からアンロック状態(逆入力遮断クラッ
チCoの逆入力遮断機能を無効とする状態)とされるロ
ック機構であり、図3に示したように、外輪33の回転
を係合位置にて規制し離脱位置にて外輪33の回転を許
容する上記したポール36と、このポール36を係合位
置から離脱位置に手動にてプル操作可能な操作ケーブル
37および操作ノブ38と、ポール36、操作ケーブル
37および操作ノブ38を係合位置に向けて付勢するリ
ターンスプリング39を備えている。
【0033】上記した構成によって、逆入力遮断クラッ
チCoでは、図4の中立状態から入力軸31が正逆方向
ともに回転駆動されると、その初期において、例えば、
図5の状態から図6の状態に移行するときに、回入側の
ころ34が入力軸31の円弧状押動爪31bによりばね
35の付勢力に抗して押動されてクラッチ機能(出力軸
32と外輪33の連結機能)が解除される。このため、
その後には、入力軸31が4個のピン31aを介して出
力軸32を回転駆動し、入力軸31と出力軸32が全て
のころ34とばね35を伴って一体的に回転する。
【0034】一方、図4の中立状態から出力軸32が正
逆方向ともに回転駆動されて回転しようとするときに
は、その初期から回入側のころ34が出力軸32の楔状
カム面32bにて押されることで出力軸32と外輪33
間に喰い込んでクラッチ機能を発揮し、外輪33の内周
面ところ34間の外周面での摩擦係合力にて出力軸32
の回転を阻止する。このため、このときには、出力軸3
2から入力軸31に回転は伝達されず、入力軸31と出
力軸32は共に回転しない。
【0035】第2減速装置G2は、逆入力遮断クラッチ
Coの出力軸32の同心軸部32cに相対回転可能にボ
ールベアリングBg3を介して軸支された同心外歯車4
1と、同出力軸32の偏心軸部32dに相対回転可能に
ボールベアリングBg4を介して軸支された同心外歯車
41と歯合する偏心内歯車42と、同偏心内歯車42を
ハウジング60に対して支持するためのハウジング60
に固定された2本の断付ボルト43a,43b(図2参
照)とを備えている。同心外歯車41は、同心外歯車4
1に固定された2本の連結ピン54a,54bによりケ
ーブルガイド51を一体的に支持している。
【0036】断付ボルト43a,43bは、軸に垂直方
向の断面が円形の断付部43aa,43baをそれぞれ
有しており、断付部43aaは、偏心内歯車42に設け
られた径方向に長径を有する楕円形(短径は断付部43
aaの外径と同等であり、長径は断付部43aaの外径
よりも大きい)の穴42a内に挿入され、断付部43b
aは、偏心内歯車42に設けられた円形(外径は断付部
43baの外径よりも大きい)の穴42b内に挿入され
ている。
【0037】従って、偏心内歯車42は、穴42a部に
おいて、ハウジング60に対して径方向には若干相対移
動可能である一方で回転方向には相対移動不可能に支持
されており、穴42b部においては、ハウジング60に
対して径方向にも回転方向にも若干相対移動可能に支持
されている。これにより、偏心内歯車42は、ハウジン
グ60に対して、相対回転が規制されるとともに偏心軸
部32dの偏心運動に伴い偏心運動可能に支持されてい
る。なお、上記した穴42a,42bの形状は、偏心内
歯車42がハウジング60に対して相対回転が規制され
るとともに偏心軸部32dの偏心運動に伴い偏心運動可
能になれば、どのような形状であってもよい。
【0038】以上の構成により、第2減速装置G2は、
出力軸32が一回転すると、同心外歯車41が偏心内歯
車42の歯数と同心外歯車41の歯数との歯数差(例え
ば一歯)分(歯間ピッチ×歯数差)に対応する角度だけ
出力軸32の回転方向と逆方向に回転することで、出力
軸32の回転を同心外歯車41及びケーブルガイド51
に減速して伝達するようになっている。
【0039】ケーブルガイド51は、操作ケーブル52
のインナーワイヤ52aを、逆入力遮断クラッチCoの
出力軸32と同心的に環状に巻き取り・巻き戻しするた
めのものであり、同心外歯車41が正方向に回転すると
きインナーワイヤ52aを巻き取り、同心外歯車41が
逆方向に回転するときインナーワイヤ52aを巻き戻す
(図2参照)。なお、ケーブルガイド51には、インナ
ーワイヤ52aの端部に固着した連結ピン52cが連結
固定されている。
【0040】操作ケーブル52は、特定の車輪の回転を
止めるパーキングブレーキ53を機械的に操作するため
のものであり、ケーブルガイド51に一端を連結固定さ
れるとともに他端をパーキングブレーキ53の作動部
(詳細は図示省略)に連結固定される上記したインナー
ワイヤ52aと、このインナーワイヤ52aを移動可能
に収容し両端を固定部に固定されるアウターチューブ5
2bを備えている。
【0041】上記のように構成した本実施形態において
は、電動モータ11の電気系が正常であるとき、運転者
がパーキングブレーキ53を作動させる操作を行うと、
電動モータ11が正方向に回転駆動されるのに伴って、
第1減速装置G1と逆入力遮断クラッチCoと第2減速
装置G2を介してケーブルガイド51が正方向に回転駆
動される。このため、インナーワイヤ52aがケーブル
ガイド51に巻き取られてワイヤ張力を発生し、パーキ
ングブレーキ53が制動状態とされる。
【0042】このパーキングブレーキ53の制動状態
は、電動モータ11を正方向に回転駆動するための通電
が遮断されても維持される。すなわち、このときには、
インナーワイヤ52aに作用するワイヤ張力により、ケ
ーブルガイド51が逆方向に回転駆動され、逆入力遮断
クラッチCoの出力軸32が逆方向に回転駆動されて回
転しようとするものの、逆入力遮断クラッチCoにて回
入側のころ34が出力軸32の楔状カム面32bにて押
されることで出力軸32と外輪33間に喰い込んでクラ
ッチ機能を発揮し、ロック機構Loによりハウジング6
0に対して回転不能とされている外輪33の内周面とこ
ろ34の外周面間での摩擦係合力にて出力軸32の回転
を阻止するため、ケーブルガイド51の逆方向への回転
が阻止されて、パーキングブレーキ53が制動状態に維
持される。
【0043】また、電動モータ11の電気系が正常であ
るとき、運転者がパーキングブレーキ53を解除させる
操作を行うと、電動モータ11が逆方向に回転駆動され
るのに伴って、第1減速装置G1と逆入力遮断クラッチ
Coと第2減速装置G2を介してケーブルガイド51が
逆方向に回転される。このため、インナーワイヤ52a
がケーブルガイド51から巻き戻されて緩められ、パー
キングブレーキ53が解除状態とされる。
【0044】ところで、パーキングブレーキ53の制動
状態において、電動モータ11の電気系に異常が生じた
とき(電気系フェール時)には、運転者がパーキングブ
レーキ53を解除させる操作を行っても、電動モータ1
1が逆方向に回転駆動されなくて、パーキングブレーキ
53が解除されないものの、このときには、操作ノブ3
8を手動にてプル操作することでパーキングブレーキ5
3を解除することが可能である。
【0045】この操作ノブ38を手動にてプル操作した
ときには、操作ケーブル37を介してポール36がリタ
ーンスプリング39の付勢力に抗して係合位置から離脱
位置に移動し、逆入力遮断クラッチCoの外輪33をハ
ウジング60に対して回転可能とする。このため、この
ときには、インナーワイヤ52aに作用する張力によ
り、ケーブルガイド51が可動外歯車41とともに逆方
向に回転駆動されて、逆入力遮断クラッチCoの出力軸
32が逆方向に回転駆動され、この逆入力遮断クラッチ
Coの出力軸32が逆方向に回転駆動されることで、逆
入力遮断クラッチCoの入力軸31、出力軸32、外輪
33、ころ34およびばね35が一体的で逆方向に回転
する。したがって、ケーブルガイド51が逆方向に回転
して、インナーワイヤ52aがケーブルガイド51から
巻き戻されて緩められ、パーキングブレーキ53が解除
状態とされる。
【0046】また、上記したパーキングブレーキ53の
解除状態にて電動モータ11の電気系異常が修理され
て、電動モータ11の電気系が正常となったときには、
運転者がパーキングブレーキ53を作動させる操作を行
うことで、電動モータ11が正方向に回転駆動して、上
記した制動作動(制動状態とする作動)と同様の作動が
得られて、パーキングブレーキ53が制動状態とされ
る。
【0047】電動モータ11の電気系異常が修理された
状態にて、仮にロック機構Loのポール36と逆入力遮
断クラッチCoの外輪33に設けた係合溝33aが一致
していなくて、ポール36がリターンスプリング39の
付勢力により係合位置に移動していない場合には、パー
キングブレーキ53が制動状態とされることによりイン
ナーワイヤ52aに作用する張力で、逆入力遮断クラッ
チCoの外輪33が逆方向に回転駆動されて、ポール3
6と外輪33の係合溝33aが一致したときにポール3
6がリターンスプリング39の付勢力により係合位置に
自動的に移動されて、外輪33がハウジング60に対し
て回転不能とされ、パーキングブレーキ53が制動状態
に維持される。この際に、インナーワイヤ52aに作用
する張力(制動力)が大きく減少しないように、外輪3
3の外周に4個(複数個)の係合溝33aが形成されて
いる。
【0048】以上の説明から明らかなように、この第1
実施形態においては、ケーブルガイド51は、電動モー
タ11の駆動力が伝達されると回転する同心外歯車41
に一体固設され、インナーワイヤ52aを出力軸32と
同心的に環状に巻き取り可能に構成されているので、上
記先行技術文献に示されている電動パーキングブレーキ
装置のように、特定の方向に大きな搭載空間を確保する
必要がない。従って、装置の車両への搭載自由度が向上
する。また、パーキングブレーキ53の仕様により、イ
ンナーワイヤ52aの最大ストローク長が異なっても、
ケーブルガイド51のワイヤ巻き取り角度を変更する等
のみで対応でき、装置全体の大きさを変更する必要がな
いので、装置の汎用性が向上する。
【0049】また、出力軸32が一回転すると、同心外
歯車41が偏心内歯車42の歯数と同心外歯車41の歯
数との歯数差分に対応する角度だけ出力軸32の回転方
向と逆方向に回転するように構成されているので、偏心
内歯車42の歯数と同心外歯車41の歯数との歯数差を
少なく(例えば1つ)すれば、大きな減速比を得ること
ができる。さらには、同心外歯車41の歯と偏心内歯車
42の歯との噛み合い率が高いので、伝達駆動力に対す
る同心外歯車41及び偏心内歯車42の一歯分の負担が
低減し、同心外歯車41及び偏心内歯車42の耐久性が
向上する。
【0050】また、この第1実施形態においては、ケー
ブルガイド51は、同心外歯車41に一体固設されてお
り、出力軸32と同心的に回転しながらインナーワイヤ
52aを出力軸32と同心的に環状に巻き取り可能に構
成されている。従って、出力軸32の回転角度(偏心軸
部の偏心方向)により、ケーブルガイド51上のワイヤ
張力の作用点(図2においてP点)と出力軸32の軸心
との径方向距離が変化することがなく、また、パーキン
グブレーキ53に対する同ワイヤ張力の作用点の位置が
変化しない。
【0051】従って、前述したように、上記変形例に比
して、電動モータ11の駆動トルクが周期的に変動しに
くいので、上記変形例に比して電動モータ11を小型化
することができる。また、出力軸32の回転に対するイ
ンナーワイヤ52aのストロークが線形的に変化するの
で、ワイヤ張力を同インナーワイヤ52aのストローク
量を検出することで推定する必要がある場合等、出力軸
32の回転角度(電動モータ11の回転角度)を検出す
るのみでワイヤ張力を容易に推定することができる。従
って、ワイヤ張力の制御性が向上する。
【0052】また、この第1実施形態においては、同心
歯車を外歯車である同心外歯車41とし、偏心歯車を内
歯車である偏心内歯車42としている。従って、偏心歯
車をハウジング60に支持させるための断付ボルト43
a,43bを、偏心歯車の歯面(外径)に対して径方向
外側に形成することができ、偏心歯車の外径を不必要に
大きくする必要がなくなり、装置を径方向に小型化する
ことが可能となる。
【0053】また、この第1実施形態においては、逆入
力遮断機能を無効化するロック機構Loを備えた逆入力
遮断クラッチCoが、電動モータ11と出力軸32との
間に介挿されており、出力軸32はハウジング60に対
して、ボールベアリングBg1及びBg2を介して軸支さ
れ、同心外歯車41及び偏心内歯車42は出力軸32に
対して、それぞれボールベアリングBg3及びBg4を介
して軸支されている。従って、パーキングブレーキ53
からのワイヤ張力により回転する出力軸32の回転抵抗
力を直接的に左右する、出力軸32をハウジング60に
相対回転可能に軸支する軸支部における回転抵抗力、並
びに同心外歯車41及び偏心内歯車42を出力軸32に
相対回転可能に軸支する軸支部における回転抵抗力が小
さくなる。従って、パーキングブレーキ53からのワイ
ヤ張力により回転する出力軸32の回転抵抗力が小さく
なり、逆入力遮断クラッチCoの逆入力遮断機能をロッ
ク機構Loにより無効化したときの上記したワイヤ張力
の残存の問題が発生しにくくなる。
【0054】また、この第1実施形態においては、逆入
力遮断クラッチCoが介挿されているので、第1減速装
置G1に力が働く回数及び延べ時間が少なくなる。従っ
て、ウオームホイール22の材質を樹脂にしても、これ
らの歯面にて所謂クリープ現象が発生しにくくなる。よ
って、この第1実施形態においては、ウオームホイール
22の材質を樹脂にして、装置の軽量化が図られてい
る。
【0055】次に、本発明の第2実施形態に係る電動パ
ーキングブレーキ装置について、図7を参照しつつ説明
する。なお、図7において、図1における各構成と同一
の構成については、図1における符号と同一の符号を付
して、その詳細な説明を省略する。以下、第1実施形態
に係る電動パーキングブレーキ装置に対する第2実施形
態に係る電動パーキングブレーキ装置の相違点について
説明する。
【0056】図7に示された本発明の第2実施形態に係
る電動パーキングブレーキ装置は、図1に示された第1
実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置に対して、
ケーブルガイド51を、同心外歯車41に一体固設せず
に、出力軸32の同心軸部32cにボールベアリングB
g5を介して相対回転可能に軸支させ、ケーブルガイド
51と同心外歯車41とを、互いに一体回転するよう
に、かつ互いに径方向の力を受けないように、同心外歯
車41に固定された連結ピン54a,54bにて連結さ
せた点のみが相違する。
【0057】具体的に述べると、同心外歯車41に固定
されている連結ピン54a,54bが挿入されているケ
ーブルガイド51の穴の穴径は、連結ピン54a,54
bの軸径より若干大きく設定されており(前記軸径と略
同径を有する径方向に延びた長穴でもよい)、ボールベ
アリングBg3のラジアルすきま及びボールベアリング
Bg5のラジアルすきま分を合計した分(及び、出力軸
32のたわみを考慮した分)だけケーブルガイド51と
同心外歯車41とが径方向に互いにずれても、連結ピン
54a,54bの軸とケーブルガイド51の上記穴とが
上記径方向にて互いに当接せず、ケーブルガイド51と
同心外歯車41が互いに径方向の力を受けないようにな
っている。また、ケーブルガイド51と同心外歯車41
のどちらか一方が回転しようとすると、連結ピン54
a,54bの軸とケーブルガイド51の上記穴とが回転
方向にて互いに当接し、両者は一体回転するようになっ
ている。
【0058】以上の説明から明らかなように、この第2
実施形態においては、上記第1実施形態の作用効果を全
て奏することに加え、以下の作用効果を奏する。すなわ
ち、この第2実施形態においては、ワイヤ張力に基づく
ラジアル力は全て、ケーブルガイド51を軸支するボー
ルベアリングBg5に働き、同心外歯車41を軸支する
ボールベアリングBg3には同ラジアル力は働かない。
【0059】従って、ボールベアリングBg3に働くラ
ジアル力は、同心外歯車41の歯と偏心内歯車42の歯
との歯合に基づき発生するラジアル力のみとなり、ボー
ルベアリングBg3の負担が低減する。また、第1実施
形態においてボールベアリングBg3に発生する、ワイ
ヤ張力に基づくラジアル力によるモーメント(ボールベ
アリングBg3の外輪を内輪に対して傾かせるモーメン
ト)がボールベアリングBg3に対して働かない。よっ
て、第1実施形態に比して、ボールベアリングBg3の
耐久性が向上する。
【0060】図8は、ワイヤ張力を一定値とし、出力軸
32をインナーワイヤ52aを巻き取る方向に一回転だ
け回転させた場合に、同出力軸32を回転させるのに必
要な回転トルクの推移についてのシミュレーション結果
を示したグラフを、上記変形例に係る電動パーキングブ
レーキ装置(図8(a))と上記第1実施形態に係る電
動パーキングブレーキ装置(図8(b))とで比較した
ものである。なお、これら3つのシミュレーション演算
においては、構成上の相違を除き、全て同一の条件が適
用されている。
【0061】変形例(図8(a))と第1実施形態(図
8(b))とを比較すれば理解できるように、第1実施
形態においては、ケーブルガイド51上のワイヤ張力の
作用点(図2においてP点)と出力軸32の軸心との径
方向距離が変化することがなく、また、パーキングブレ
ーキ53に対する同ワイヤ張力の作用点の位置が変化し
ないことにより、かかる変化が発生する変形例に対し
て、出力軸32の回転トルク変動が大幅に減少してい
る。
【0062】以上、本発明の第1実施形態及び第2実施
形態について説明したが、本発明の実施形態は、これら
に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる
範囲内にて適宜変更されることができる。例えば、上記
実施形態においては、同心歯車を外歯車とし、偏心歯車
を内歯車としているが、同心歯車を内歯車とし、偏心歯
車を外歯車としてもよい。
【0063】なお、上記第1実施形態及び第2実施形態
においては、偏心歯車が、ハウジングに対して、相対回
転が規制されるとともに、偏心軸部の偏心運動に伴い偏
心運動可能に支持される位置(支持位置)は、ワイヤ巻
き取り部材のワイヤ巻き取り径より径方向外側にあるこ
とが好ましく、同ワイヤ巻き取り径より径方向外側にあ
ればあるほどより好ましくなる。この理由は以下に示す
とおりである。
【0064】すなわち、偏心歯車の軸支部に働くラジア
ル力(径方向の力成分)には、偏心歯車の歯と同心歯車
の歯との歯合に基づき発生するラジアル力と、上記支持
位置におけるハウジングからの反力に基づくラジアル力
とが存在する。ここで、前記歯合に基づき発生するラジ
アル力の大きさは、ワイヤ張力が一定であれば、回転軸
の回転角度に関係なく一定となる一方で、同ラジアル力
の方向は、回転軸の回転角度により歯合部の位置が変動
することにより回転軸一回転ごとに周期的に変動する。
また、上記支持位置におけるハウジングからの反力に基
づくラジアル力の方向は、常に一定である。
【0065】従って、偏心歯車の軸支部に働く上記2つ
のラジアル力の合力の大きさは、上記支持位置における
ハウジングからの反力に基づくラジアル力が存在する限
りにおいて、全体として、回転軸一回転ごとに周期的に
変動することになる。しかし、この変動の幅は、上記支
持位置におけるハウジングからの反力に基づくラジアル
力の大きさが小さくなればなるほど小さくなる(同ラジ
アル力がなければ、この変動はなくなる)。
【0066】ここで、上記支持位置におけるハウジング
からの反力に基づくラジアル力の大きさは、上記支持位
置が、上記ワイヤ巻き取り径より径方向外側にあればあ
るほど小さくなる。従って、上記した2つのラジアル力
の合力の大きさの変動幅は、上記支持位置が上記ワイヤ
巻き取り径より径方向外側にあればあるほど小さくな
る。
【0067】ところで、一般に、軸支部に回転可能に軸
支される回転部材の回転方向の抵抗力は、同軸支部に働
くラジアル力の大きさが大きくなるほど大きくなること
が知られている。よって、上記第1実施形態及び第2実
施形態においては、上記支持位置が上記ワイヤ巻き取り
径より径方向外側にあればあるほど、偏心歯車の回転軸
に対する回転方向の抵抗力が回転軸一回転ごとに周期的
に変動しにくくなり、この回転方向の抵抗力の変動に基
づく電動モータの駆動トルクの回転軸一回転ごとの変動
幅も小さくなる。以上が、上記支持位置が、上記ワイヤ
巻き取り径より径方向外側にあればあるほどより好まし
くなる理由である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る電動パーキング
ブレーキ装置を示した主要断面図である。
【図2】 図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】 図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】 図3の要部の中立状態での拡大図である。
【図5】 図4に示した回入側のころが入力軸の円弧状
押動爪により押動され始めた状態での作動説明図であ
る。
【図6】 図4に示した入力軸が出力軸を回転駆動して
いる状態での作動説明図である。
【図7】 本発明の第2実施形態に係る電動パーキング
ブレーキ装置を示した主要断面図である。
【図8】 ワイヤ張力を一定値とし、出力軸をインナー
ワイヤを巻き取る方向に一回転だけ回転させた場合に、
同出力軸を回転させるのに必要な回転トルクの推移につ
いてのシミュレーション結果を示したグラフを、変形例
に係る電動パーキングブレーキ装置(図8(a))と第
1実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置(図8
(b))とで比較したものである。
【符号の説明】
11…電動モータ、G1…第1減速装置、21…ウォー
ム、22…ウォームホイール、23…出力軸、Co…逆
入力遮断クラッチ、31…入力軸、31a…ピン、31
b…円弧状押動爪、32…出力軸、32a…穴、32b
…楔状カム面、32c…偏心軸部、33…外輪、33a
…係合溝、34…ころ、35…ばね、Lo…ロック機
構、36…ポール、37…操作ケーブル、38…操作ノ
ブ、39…リターンスプリング、G2…第2減速装置、
41…同心外歯車、42…偏心内歯車、43a,43b
…断付ボルト、51…ケーブルガイド、52…操作ケー
ブル、52a…インナーワイヤ、53…パーキングブレ
ーキ、54a,54b…連結ピン、60…ハウジング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古賀 慶一 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 株式会 社アドヴィックス内 Fターム(参考) 3J058 BA67 CC15 CC77 CC98 FA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータと、同電動モータの駆動力が
    伝達されるとともにハウジングに収容された駆動力伝達
    機構と、同駆動力伝達機構に一端が連結されたワイヤ
    と、同ワイヤの他端に連結されたパーキングブレーキと
    を備え、同ワイヤのワイヤ張力により同パーキングブレ
    ーキのブレーキ力を調整可能な電動パーキングブレーキ
    装置において、 前記駆動力伝達機構は、同心軸部と偏心軸部とを有する
    とともに前記ハウジングに相対回転可能に軸支され前記
    電動モータの駆動力により回転する回転軸と、前記同心
    軸部に相対回転可能に軸支された外歯車及び内歯車のい
    ずれか一方である同心歯車と、前記偏心軸部に相対回転
    可能に軸支された前記外歯車及び前記内歯車の他方であ
    って前記同心歯車と噛み合う偏心歯車と、前記同心歯車
    に一体固設されるとともに前記ワイヤの一端を固定し前
    記ワイヤを前記回転軸と同心的に環状に巻き取り可能な
    ワイヤ巻き取り部材と、を有し、 前記偏心歯車は、前記ハウジングに対して、相対回転が
    規制されるとともに、前記偏心軸部の偏心運動に伴い偏
    心運動可能に支持され、 前記回転軸が一回転すると、前記同心歯車が前記内歯車
    の歯数と前記外歯車の歯数との歯数差分に対応する角度
    だけ前記回転軸の回転方向と逆方向に回転することを特
    徴とする電動パーキングブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 電動モータと、同電動モータの駆動力が
    伝達されるとともにハウジングに収容された駆動力伝達
    機構と、同駆動力伝達機構に一端が連結されたワイヤ
    と、同ワイヤの他端に連結されたパーキングブレーキと
    を備え、同ワイヤのワイヤ張力により同パーキングブレ
    ーキのブレーキ力を調整可能な電動パーキングブレーキ
    装置において、 前記駆動力伝達機構は、同心軸部と偏心軸部とを有する
    とともに前記ハウジングに相対回転可能に軸支され前記
    電動モータの駆動力により回転する回転軸と、前記同心
    軸部に相対回転可能に軸支された外歯車及び内歯車のい
    ずれか一方である同心歯車と、前記偏心軸部に相対回転
    可能に軸支された前記外歯車及び前記内歯車の他方であ
    って前記同心歯車と噛み合う偏心歯車と、前記同心軸部
    に相対回転可能に軸支されるとともに前記ワイヤの一端
    を固定し前記ワイヤを前記回転軸と同心的に環状に巻き
    取り可能なワイヤ巻き取り部材と、を有し、 前記偏心歯車は、前記ハウジングに対して、相対回転が
    規制されるとともに、前記偏心軸部の偏心運動に伴い偏
    心運動可能に支持され、 前記ワイヤ巻き取り部材と前記同心歯車とは、互いに一
    体回転するように、かつ互いに径方向の力を受けないよ
    うに連結され、 前記回転軸が一回転すると、前記同心歯車が前記内歯車
    の歯数と前記外歯車の歯数との歯数差分に対応する角度
    だけ前記回転軸の回転方向と逆方向に回転することを特
    徴とする電動パーキングブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載された電動
    パーキングブレーキ装置において、前記同心歯車は外歯
    車であり、前記偏心歯車は内歯車であることを特徴とす
    る電動パーキングブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載された電動パーキングブレーキ装置において、 前記電動モータと前記回転軸との間に、前記ワイヤ張力
    により前記電動モータを回転させる力を同電動モータに
    伝達不能にする逆入力遮断機能を有する逆入力遮断クラ
    ッチが介挿され、 前記逆入力遮断クラッチは、前記逆入力遮断機能を無効
    化する逆入力遮断機能無効化手段を備えており、 前記回転軸は前記ハウジングに対して、前記同心歯車及
    び前記偏心歯車は前記回転軸に対して、それぞれころが
    り軸受を介して軸支されていることを特徴とする電動パ
    ーキングブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された電動パーキングブ
    レーキ装置において、 前記電動モータと前記逆入力遮断クラッチとの間に、同
    電動モータから同逆入力遮断クラッチに回転を減速しな
    がら前記電動モータの駆動力を伝達する複数の構成部材
    からなる減速装置を備え、 前記構成部材の材質は、樹脂であることを特徴とする電
    動パーキングブレーキ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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