JP2002013603A - ベルト式無段変速装置 - Google Patents

ベルト式無段変速装置

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JP2002013603A
JP2002013603A JP2000195876A JP2000195876A JP2002013603A JP 2002013603 A JP2002013603 A JP 2002013603A JP 2000195876 A JP2000195876 A JP 2000195876A JP 2000195876 A JP2000195876 A JP 2000195876A JP 2002013603 A JP2002013603 A JP 2002013603A
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pulley
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JP2000195876A
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Hirobumi Miyata
博文 宮田
Shinichiro Nishikawa
真一郎 西川
Hiroyuki Shimozu
宏之 下津
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Bando Chemical Industries Ltd
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 入力軸3及び出力軸7上の入力及び出力プー
リ10,30の各可動シーブ12,32に加わる開き方
向のベルト推力を各シーブ32,12に対する閉じ方向
の押圧力に変換することで各シーブ32,12に加える
閉じ方向の操作力を軽減するようにしたベルト式無段変
速装置において、入出力軸3,7の軸方向における互い
に同じ側の軸端上に固定シーブ11,31が可動シーブ
12,32よりも軸端側に位置するように配置してメン
テナンス時におけるベルト脱着作業の容易化を図る際
に、変速時に両可動シーブ12,32が互いに同じ方向
に移動することにより生じるミスアライメントを小さく
抑えられるようにする。 【解決手段】 各プーリ10,30を、固定シーブ1
1,31のベルト接触面の傾斜角が可動シーブ12,3
2のベルト接触面の傾斜角よりも小さい偏角プーリと
し、Vベルト50を、両ベルト側面の各傾斜角が固定シ
ーブ11,31及び可動シーブ12,32の各接触面の
傾斜角に対応するように設けられた偏角ベルトとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力及び出力プー
リの各一方の可動シーブに加わる開き方向のベルト推力
を他方のプーリの可動シーブに対する閉じ方向の押圧力
に変換することで各可動シーブに加える閉じ方向の操作
力を軽減するようにしたベルト式無段変速装置に関し、
特に両プーリに対するVベルトの脱着作業を容易化する
対策に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、特許第2918878号公報に
は、変速時の操作力が小さくて済むようにしたベルト式
無段変速装置を備える車両が記載されている。
【0003】このものは、図7に模式的に示すように、
互いに平行に配置された入力軸a及び出力軸cが互いに
反対側の軸端側において駆動側及び従動側に連結されて
いて、入力プーリb及び出力プーリdが互いに反対側の
軸端側に配置されている場合に、両プーリb,d間に巻
き掛けられたVベルトeに図外のテンション機構により
張力を付与することで、各プーリb,dの可動シーブf
にそれぞれ固定シーブgから離間する方向(以下、開き
方向という)のベルト推力を加えるようになされてい
る。
【0004】一方、上記各プーリb,dでは、可動シー
ブfの背面側に位置するカム機構hにより、該可動シー
ブfに加わる上記のベルト推力を軸心回りの一方向の回
動力に、また該カム機構hに加えられる他方向の回動力
についてはそれを可動シーブfに対する固定シーブgに
接近する方向(以下、閉じ方向という)の押圧力にそれ
ぞれ変換するようになされており、それらカム機構h,
hの回動部材(図示せず)同士は、互いに逆の方向に回
動するように、連結機構iにより連結されている。つま
り、これら両カム機構h,h及び連結機構iにより、入
力側のベルト推力を出力側の可動シーブfに対する閉じ
方向の押圧力に変換する一方、出力側のベルト推力を入
力側の可動シーブfに対する閉じ方向の押圧力に変換す
るようになされており、その結果、変速時に可動シーブ
fに閉じ方向の操作力を加える際に、その操作力を上記
押圧力の分だけ軽減できるようになっている。
【0005】さらに、上記の入力及び出力プーリb,d
は、固定シーブgに対する可動シーブfの軸方向の各位
置が互いに反対になるように配置されており、これによ
り、変速時に、同図に実線の矢印で示すように、両可動
シーブf,fが互いに同じ方向に移動するので、Vベル
トeに対する各プーリb,dのミスアライメントが生じ
ないようになっている。
【0006】また、上記各プーリb,dは、固定シーブ
gが可動シーブfよりも軸端側に位置するようにそれぞ
れ配置されており、これにより、メンテナンス時の両プ
ーリb,dに対するVベルトeの脱着作業は、同図に仮
想線の矢印で示すように、各固定シーブg側において、
可動シーブfに連なるカム機構hないし連結機構iに邪
魔されることなく行えるようになされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
場合には、Vベルトeの脱着作業を行う際に、各プーリ
b,dに対し互いに反対の軸端側から(図7の場合に
は、入力プーリbに対しては右側から、また出力プーリ
dに対しては左側からに)それぞれ作業しなければなら
ず、このために、作業性がよくないという難点がある。
【0008】これに対しては、図8に模式的に示すよう
に、入力軸a及び入力プーリbと、出力軸c及び出力プ
ーリdとを、軸方向の向きが互いに逆になるように配置
することが考えられる。このようにすれば、各固定シー
ブgが互いに同じ軸端側に位置するようになるので、同
図に仮想線の矢印で示すように、両プーリb,dに対し
同じ軸端側(同図の右側)からベルト脱着作業が行える
ようになる。
【0009】しかしながら、そのようにすると、今度
は、各可動シーブfの軸方向位置が互いに同じになり、
図8に実線の矢印で示すように、変速時に両可動シーブ
f,fが互いに逆の方向に移動することになるために、
ベルト脱着作業は容易化されるようになるものの、それ
と引き替えに、ミスアライメントを招く結果となる。
【0010】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、入力及び出力プーリの各可動
シーブに加わる開き方向のベルト推力を各可動シーブに
対する閉じ方向の押圧力に変換することで各可動シーブ
に加える閉じ方向の操作力を軽減するようにしたベルト
式無段変速装置において、入出力軸及び入出力プーリの
配置を見直すだけでなく、プーリ及びベルト自体にも工
夫を加えることで、プーリのミスアライメントを許容範
囲内に抑えつつ、ベルト脱着作業の容易化が図れるよう
にすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、入力プーリ及び出力プーリとしてそ
れぞれ偏角プーリを、またVベルトとして偏角ベルトを
用いるようにした。そして、各偏角プーリの2つのシー
ブのうち、ベルト接触面の傾斜角の小さいものを固定シ
ーブとすることで、ベルト脱着作業が容易化されるよう
に入力プーリ及び出力プーリを配置する際に、その配置
により変速時に両可動シーブが互いに逆方向に移動する
ことにより生じるミスアライメントを許容範囲に抑えら
れるようにした。
【0012】具体的には、請求項1の発明では、駆動側
に駆動される入力軸と、この入力軸に平行に配置されて
いて、従動側に連結される出力軸と、固定シーブ及び可
動シーブを有してなっていて、入力軸に設けられた入力
プーリと、同じく固定シーブ及び可動シーブを有してな
っていて、出力軸に設けられた出力プーリと、これら両
プーリ間に巻き掛けられたVベルトと、このVベルトに
張力を付与するテンション機構と、入出力プーリの両可
動シーブ間に設けられていて、入力側の可動シーブに加
わる開き方向のベルト推力を出力側の可動シーブに対す
る閉じ方向の押圧力に変換する一方、出力側の可動シー
ブに加わる開き方向のベルト推力を入力側の可動シーブ
に対する閉じ方向の押圧力に変換する変換機構とを備え
たベルト式無段変速装置が前提である。
【0013】そして、上記の入力軸及び出力軸は、互い
に同じ軸端側においてそれぞれ駆動側及び従動側に連結
されており、入力及び出力プーリは、それら入力軸及び
出力軸上の駆動側及び従動側に連結される軸端側とは反
対の軸端側にかつ固定シーブが可動シーブよりも上記反
対の軸端側に位置するようにそれぞれ配置されていて、
軸心に直交する平面に対し固定シーブのベルト接触面の
なす傾斜角が可動シーブのベルト接触面のなす傾斜角よ
りも小さい偏角プーリとされており、Vベルトは、ベル
ト厚さ方向に対する両側面の各傾斜角が固定シーブ及び
可動シーブの各ベルト接触面の傾斜角に対応して互いに
異なる偏角ベルトとされているものとする。
【0014】上記の構成において、例えば入力プーリの
可動シーブには、開き方向のベルト推力が加わってお
り、このベルト推力は、変換機構により出力プーリの可
動シーブに対する閉じ方向の押圧力に変換される。よっ
て、出力側の可動シーブを閉じ方向に移動させるときに
は、その操作力は、上記押圧力の分だけ小さくて済む。
同様にして、出力プーリの可動シーブに加わる開き方向
のベルト推力は、変換機構により出力プーリの可動シー
ブに対する閉じ方向の押圧力に変換されるので、入力側
の可動シーブを閉じ方向に移動させるために必要な操作
力は、出力側のベルト推力から変換された押圧力の分だ
け小さくて済む。尚、出力側の可動シーブに閉じ方向の
操作力が加えられる際にも、同様の作用が営まれる。
【0015】上記のベルト式無段変速装置において、入
力軸及び出力軸は、互いに同じ軸端側においてそれぞれ
駆動側及び従動側に連結されており、また、入力プーリ
及び出力プーリは、入力軸及び出力軸上の上記軸端側と
は反対の軸端側に、駆動シーブが可動シーブよりも上記
反対の軸端側に位置するように配置されているので、
「発明が解決しようとする課題」の項で説明した図8に
示される場合と同様に、両プーリに対するVベルトの脱
着作業は、固定シーブの側において、可動シーブに連な
るカム機構ないし連結機構に邪魔されることなく行え
る。
【0016】一方、上記のように入力及び出力プーリが
配置されることにより、両可動シーブは変速時に互いに
逆の方向に移動することになり、それに伴って生じるミ
スアライメントが懸念される。ところで、両可動シーブ
が逆方向に移動することによるミスアライメントは、可
動シーブの軸方向の移動に応じて各プーリ上でVベルト
が半径方向に変位する際に、軸方向にVベルトが変位す
ることによって生じる。そして、そのミスアライメント
の程度は、軸方向の変位幅により決められ、その変位幅
は、固定シーブにおけるVベルトとの接触面の傾斜角に
より定まる。つまり、傾斜角が大きいと変位幅も大きく
なるのでミスアライメントは大きく、逆に、傾斜角が小
さいと変位幅も小さくなるのでミスアライメントは小さ
い。このとき、各プーリは偏角プーリであって、固定シ
ーブにおけるVベルトとの接触面の傾斜角が可動シーブ
における同傾斜角よりも小さい。よって、両可動シーブ
が互いに逆の方向に移動することにより生じるミスアラ
イメントは、各プーリが固定シーブ及び可動シーブの接
触面の各傾斜角の互いに等しい一般のものである場合に
比べ、小さく抑えられる。
【0017】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、変換機構は、入力側の可動シーブに加わるベ
ルト推力を一方向の回動力に変換する一方、他方向の回
動力を入力側可動シーブに対する閉じ方向の押圧力に変
換するように互いにカム接触する固定部材及び回動部材
を有する入力側カム機構と、出力側の可動シーブに加わ
るベルト推力を一方向の回動力に変換する一方、他方向
の回動力を出力側可動シーブに対する閉じ方向の押圧力
に変換するように互いにカム接触する固定部材及び回動
部材を有する出力側カム機構と、これら両カム機構の回
動部材同士を互いに逆の方向に回動するように連結する
連結機構とを有してなるものとする。
【0018】上記の構成において、入力側プーリの可動
シーブに加わる開き方向のベルト推力は、入力側カム機
構において、回動部材の一方向の回動力に変換され、こ
の回動力は、連結機構により、出力側カム機構の回動部
材に対する他方向の回動力に変換され、この回動力は、
該出力側カム機構により、出力側の可動シーブに対する
閉じ方向の押圧力に変換される。一方、出力側プーリの
可動シーブに加わる開き方向のベルト推力は、出力側カ
ム機構において、回動部材の一方向の回動力に変換さ
れ、この回動力は、連結機構により、入力側カム機構の
回動部材に対する他方向の回動力に変換され、この回動
力は、該入力側カム機構により、入力側の可動シーブに
対する閉じ方向の押圧力に変換される。よって、請求項
1の発明における変換機構の作用は具体的に営まれるこ
ととなる。
【0019】請求項3の発明では、上記請求項1及び2
の発明において、出力プーリの可動シーブに閉じ方向の
操作力を常時加える低速比化機構と、入力プーリの可動
シーブに、入力回転速度に応じて閉じ方向の操作力を加
える高速比化機構とを備えている場合に、それら低速比
化機構及び高速比化機構は、変換機構に連設されている
ものとする。
【0020】上記の構成において、ベルト式無段変速装
置では、低速比化機構により出力プーリの可動シーブに
閉じ方向の操作力が常時加えられているので、速比は、
出力プーリのピッチ径が大きくかつ入力プーリのピッチ
径が小さくて回転速度の減少する低速比側(以下、Lo
側という)に付勢される。一方、入力プーリの可動シー
ブには、高速比化機構により、入力回転速度に応じて閉
じ方向の操作力が加わるので、速比は、入力回転速度に
応じて、入力プーリのピッチ径が大きくかつ出力プーリ
のピッチ径が小さくて回転速度の増加する高速比側(以
下、Hi側という)に変化する。これらにより、速比
は、入力回転速度に応じてLoからHiの間で自動的に
変化することとなる。
【0021】そして、上記低速比化機構及び高速比化機
構は、共に変換機構に連設されたものであるので、ベル
トが固定シーブ側において脱着される際に、それら低速
比化機構及び高速比化機構が存在することによりベルト
の脱着が困難になるという事態は最小限に抑えられるよ
うになる。よって、入力回転速度に応じた自動変速機能
を具備するようにしたベルト式無段変速装置において
も、入力及び出力プーリに対するベルト脱着作業の容易
化が図れるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。
【0023】図2は、本発明の実施形態に係るコンバイ
ン等の農作業用車両の全体構成を模式的に示しており、
この農作業用車両では、エンジンEと、駆動車輪に連結
された減速装置Rとの間のトルク伝達経路にベルト式無
段変速装置Vが配設されている。
【0024】上記エンジンE及び減速装置Rは、エンジ
ンEのクランク軸1と減速装置Rの入力軸2とが互いに
平行にかつ同じ方向(図2の右方向)に向かって突出す
るように配置されている。そして、本ベルト式無段変速
装置Vは、エンジンEのクランク軸1に連結された入力
軸3と、減速装置の入力軸2に連結された出力軸7とを
備えていて、エンジンEが発生したトルクを減速装置R
に伝達するとともに、エンジンEからトルクが入力され
るときの入力回転速度と、減速装置Rにトルクを出力す
るときの出力回転速度との比(出力回転速度/入力回転
速度)である速比を無段階に変速するようになされてい
る。
【0025】上記変速装置Vの入力軸3は、図3に拡大
して示すように、両端が開口されたスリーブ状をなして
おり、エンジンE側(同図の左側)の部分においてクラ
ンク軸1に回転一体に外嵌合されていて、その開口端は
クランク軸1の段部に係止されている。入力軸3のエン
ジンEとは反対側(同図の右側)の開口端は、エンジン
Eのクランク軸1の突出端部に螺着されたボルト4の頭
部によりワッシャ5及び円板状の係止部材6を介して係
止されており、入力軸3の、この開口端側の端部は小径
に形成されている。
【0026】上記の入力プーリ10は、軸方向に移動不
能な固定シーブ11と、この固定シーブ11のエンジン
E側に配置されていて、軸方向に移動可能な、可動部材
としての可動シーブ12とからなっている。固定シーブ
11は、入力軸3のエンジンEとは反対側の端部にボル
ト4により連結されており、一方、可動シーブ12は、
エンジンE側に向かって延びる長筒状のボス部12aを
有していて、該ボス部12aの軸方向両端に配置された
2つのスライド材13,13を介して入力軸3に軸方向
に移動可能に支持されている。そして、可動シーブ12
が、固定シーブ11に接近する方向である閉じ方向(図
2及び図3の各右方向)に移動することによりプーリ1
0のピッチ径が大きくなり、逆に、固定シーブ11から
離間する方向である開き方向(同各図の左方向)に可動
シーブ12が移動することによりプーリ10のピッチ径
が小さくなるようになっている。
【0027】また、上記入力プーリ10の可動シーブ1
2は、開き方向に移動する際に、後述するVベルトが固
定シーブ11及び可動シーブ12に非接触になる軸方向
の位置(図3に実線で示す位置)まで移動できるように
なされている。そして、両シーブ11,12間には、軸
長の短い筒状部材14が配置されており、可動シーブ1
2が上記の位置まで移動してVベルトが両シーブ11,
12に非接触になったときに該Vベルトを回行可能に支
承するようになっている。具体的には、筒状部材14
は、入力軸3上に遊嵌されていて、ベアリング15を介
して該入力軸3に相対回転可能に保持されており、筒状
部材14の両開口縁周りには、半径方向外方に向かって
突出する外向きフランジ状をなす1対の鍔部14a,1
4aが設けられている。これら両鍔部14a,14a間
の軸方向寸法は、ベルト内周側におけるベルト幅寸法と
同じないし僅かに大きく設定されている。可動シーブ1
2のボス部12aにおける固定シーブ11側の端部の内
径は大きくされていて、円環状の収容空間を形成してお
り、可動シーブ12が閉じ方向に移動するときに、この
収容空間に上記の筒状部材14が収容されることで、筒
状部材14が可動シーブ12の移動の障害とならないよ
うになっている。
【0028】一方、上記出力軸7も、入力軸3の場合に
同じく略筒状をなしており、図4に拡大して示すよう
に、減速装置R側(同図の左側)の開口端は、該減速装
置Rの入力軸2上に外嵌合された状態で該入力軸2の段
部に係止されている。減速装置Rとは反対の側(同図の
右側)の開口端は、入力軸2のねじ軸部2aに螺着され
たナット8によりワッシャ9を介して係止されている。
【0029】上記の出力プーリ30は、入力プーリ10
の場合と同様に、軸方向に移動不能な固定シーブ31
と、この固定シーブ31の減速装置R側(図4の左側)
に配置されていて、軸方向に移動可能な可動シーブ32
とからなっている。つまり、固定シーブ31に対する可
動シーブ32の軸方向の位置は、入力プーリ10の場合
の固定シーブ11に対する可動シーブ12の軸方向の位
置と同じにされている。固定シーブ31は、減速装置R
とは反対の側に向かって延びる短筒状のボス部31aを
有していて、このボス部31aにおいて出力軸7の端部
上に軸方向に移動不能に外嵌合されており、一方、可動
シーブ32は、減速装置Rの側に向かって延びる長筒状
のボス部32aを有していて、該ボス部32aの軸方向
両端に配置された2つのスライド材33,33を介して
出力軸7に軸方向に移動可能にかつ軸心回りに回転不能
に支持されている。そして、固定シーブ31に接近する
方向である閉じ方向(図2及び図4の各右方向)に可動
シーブ32が移動することによりプーリ30のピッチ径
が大きくなり、逆に、固定シーブ31から離間する方向
である開き方向(同各図の左方向)に移動することによ
りプーリ30のピッチ径が小さくなるようになってい
る。
【0030】上記両プーリ10,30間には、図5及び
図6にも示すように、Vベルト50が巻き掛けられてお
り、本変速装置Vには、両プーリ10,30間でVベル
ト50を介してのトルク伝達が行われるときにVベルト
50の緩み側となるスパン(図5及び図6に示す例では
下側スパン)をベルト厚さ方向に押圧して該Vベルト5
0に張力を付与するテンション機構55が備えられてい
る。このテンション機構55は、Vベルト50に接触す
るテンションプーリ56を有する他、図示は省略する
が、そのテンションプーリ56をベルト押圧方向に沿っ
て移動可能に案内支持する支持部と、テンションプーリ
56をベルト押圧方向に向かって付勢するばね部材とを
有する。そして、このテンション機構55がVベルト5
0に張力を付与することで、該Vベルト50を介しての
両プーリ10,30間のトルク伝達が行われるようにな
るとともに、各プーリ10,30の可動シーブ12,3
2に開き方向のベルト推力を加えるようになっている。
【0031】上記入力プーリ10とエンジンEとの間に
は、入力側カム機構20(図3参照)が設けられてい
る。このカム機構20は、入力プーリ10に対し軸方向
に移動不能でかつ軸心回りに回転不能に設けられた固定
部材21と、この固定部材21に対し入力プーリ10の
側(図3の右側)に配置されていて、該入力プーリ10
の可動シーブ12に軸方向に移動一体にかつ相対回転可
能に設けられた回動部材22とからなっている。
【0032】上記入力側カム機構20の固定部材21
は、軸心を挟んで対向するように配置されていてエンジ
ンEとは反対の側に向かって突出するように設けられた
1対の突出部21a,21aを有する。各突出部21a
の突出端には、軸心に直交する方向の軸心回りに回転可
能に設けられた係合ローラ23がそれぞれ取り付けられ
ている。これら2つの係合ローラ23,23の各軸心
は、互いに一致している。
【0033】上記入力側カム機構20の回動部材22
は、内径が可動シーブ12のボス部12aの外径よりも
大きいボス部22aを有していて、このボス部22aと
可動シーブ12のボス部12aとの間にはベアリング2
4が介装されており、このことで、回動部材22は可動
シーブ12に軸方向に移動一体にかつ相対回転可能に保
持されている。また、回動部材22のボス部22aにお
けるエンジンE側の開口縁には、外向きフランジ状の円
板部22bが半径方向外方に向かって突出するように周
設されており、この円板部22bの周縁上における径方
向に対向する2箇所には、それぞれ、断面円弧状の側壁
部22cがエンジンE側に向かって突出するように設け
られている。
【0034】上記回動部材22の各側壁部22cには、
それぞれ、該側壁部22cを半径方向に貫通しかつ側壁
部22c上で右ねじの方向に螺旋状に延びるスリット状
の溝カム部91が設けられており、上記の係合ローラ2
3は、この溝カム部91内に配置されている。溝カム部
91の入力プーリ10側(図2及び図3の各右側)の傾
斜面は、入力プーリ10の側から係合ローラ23に接触
して該ローラ23を転動可能に支承する係合ローラに第
1カム面25とされており、一方、エンジンE側(同各
図の左側)の傾斜面は、エンジンEの側から係合ローラ
23に接触して該ローラ23を転動可能に支承する第2
カム面90とされている。これら両カム面25,90間
の隙間寸法、つまり溝カム部91の幅寸法は係合ローラ
23の径よりも大きくなされていて、係合ローラ23
は、この溝カム部91内に転動可能に配置されている。
【0035】上記回動部材22の各第1カム面25は、
エンジンE側から見て、反時計回り方向に向かって漸次
エンジンE側に接近するように傾斜している。これによ
り、係合ローラ23及び第1カム面25は、可動シーブ
12に加えられた開き方向のベルト推力を、回動部材2
2に対する第1方向r1 (エンジンE側から見て反時計
回り方向)の回動力に変換し、一方、その第1方向r1
とは逆の第2方向r2(エンジンE側から見て時計回り
方向)の回動力が回動部材22に加えられたときには、
その回動力を可動シーブ12に対する閉じ方向の押圧力
に変換するようになっている。
【0036】上記回動部材22の各第2カム面90は、
入力プーリ10の側から見て、反時計回り方向に向かっ
て漸次入力プーリ10側に接近するように傾斜してい
る。これにより、係合ローラ23及び第2カム面90
は、可動シーブ12に閉じ方向の押圧力が加えられたと
きに、その押圧力を回動部材22に対する第2方向r2
の回動力に変換し、一方、その第2方向r2 とは逆の第
1方向r1 の回動力が回動部材22に加えられたときに
は、その回動力を可動シーブ12に対する開き方向の移
動力に変換するようになっている。
【0037】上記出力プーリ30と減速装置Rとの間に
は、出力側カム機構40(図4参照)が設けられてい
る。このカム機構40は、出力プーリ30に対し軸方向
に移動不能でかつ軸心回りに回転不能に設けられた固定
部材41と、この固定部材41の減速装置Rとは反対の
側(図4の右側)に配置されていて、出力プーリ30の
可動シーブ32に軸方向に移動一体にかつ相対回転可能
に設けられた回動部材42とからなっている。
【0038】上記出力側カム機構40の固定部材41
は、軸心を挟んで対向するように配置されかつ減速装置
Rとは反対の側に向かって突出するように設けられた1
対の突出部41a,41aを有している。また、各突出
部41aの突出端には、軸心に直交する方向の軸心回り
に回転可能に設けられた係合ローラ43がそれぞれ取り
付けられている。これら2つの係合ローラ43,43の
各軸心は、互いに一致している。
【0039】上記出力側カム機構40の回動部材42
は、内径が可動シーブ32のボス部32aの外径よりも
大きい筒状のボス部42aを有していて、このボス部4
2aと可動シーブ32のボス部32aとの間にはベアリ
ング44が介装されており、このことで、回動部材42
は可動シーブ32に軸方向に移動一体にかつ相対回転可
能に保持されている。また、回動部材42のボス部42
aにおける減速装置R側の開口縁には、外向きフランジ
状の円板部42bが半径方向外方に向かって突出するよ
うに周設されており、この円板部42bの周縁における
径方向に対向する2箇所には、断面円弧状の側壁部42
cが減速装置R側に向かって突出するように設けられて
いる。
【0040】上記回動部材42の各側壁部42cには、
それぞれ、該側壁部42cを半径方向に貫通しかつ側壁
部42c上で、入力側カム機構20の場合とは反対に、
右ねじの方向に螺旋状に延びるスリット状の溝カム部9
2が設けられており、上記の係合ローラ43は、この溝
カム部92内に配置されている。溝カム部92の出力プ
ーリ30側(図2及び図4の各右側)の傾斜面は、出力
プーリ30の側から係合ローラ43に接触して該ローラ
43を転動可能に支承するカム面45とされている。こ
れら各カム面45は、減速装置R側から見て、入力側カ
ム機構20の第1カム面25の場合とは逆に、時計回り
方向に向かって減速装置R側に漸次接近する傾斜面に形
成されている。これにより、係合ローラ43及びカム面
45は、可動シーブ32に加えられた開き方向のベルト
推力を回動部材42に対する第1方向r1 (減速装置R
側から見て時計回り方向)の回動力に変換し、一方、そ
の第1方向r1 とは逆の方向である第2方向r2 (減速
装置R側から見て反時計回り方向)の回動力が回動部材
42に加えられたときには、その回動力を可動シーブ3
2に対する閉じ方向の押圧力に変換するようになってい
る。尚、本実施形態では、各カム機構20,40におけ
る第1カム面25及びカム面45の傾斜の向きが互いに
逆であるので、外観上(例えばエンジンE側ないし減速
装置R側から見た場合)では、出力側カム機構40の回
動部材42にとっての第1方向r1 及び第2方向r
2 は、それぞれ入力側カム機構20の回動部材22にと
っての第2方向r2 及び第1方向r1 と同じであるが、
作用上では、両者は互いに逆の方向となる。
【0041】上記入力側カム機構20と出力側カム機構
40との間には、各カム機構20,40の回動部材2
2,42同士を、作用上において互いに逆の方向(本実
施形態の場合には、外観上では互いに同じ方向)に回動
するように連結する連結機構60が設けられている。こ
の連結機構60は、入力側カム機構20の回動部材22
に半径方向外方に向かって突出するように設けられた回
動レバー部61と、出力側カム機構40の回動部材42
に半径方向外方に向かって突出するように設けられた回
動レバー部62と、これら回動レバー部61,62同士
を連結する連結ロッド63とからなっている。具体的に
は、各回動レバー部61,62は、入力軸3及び出力軸
7を含む平面に対し互いに同じ側に位置していて互いに
略平行に配置されている。したがって、各回動レバー部
61,62は、外観上、各々の軸心回りに互いに同じ方
向に回動するようになっている。
【0042】すなわち、上記の連結機構60は、入力側
カム機構20の回動部材22における第1方向r1 の回
動力を出力側カム機構40の回動部材42に対する第2
方向r2 の回動力に(r1 →r2 )、また入力側カム機
構20の回動部材22における第2方向r2 の回動力を
出力側カム機構40の回動部材42に対する第1方向r
1 の回動力に(r2 →r1 )それぞれ変換する一方、出
力側カム機構40の回動部材42における第1方向r1
の回動力を入力側カム機構20の回動部材22に対する
第2方向r2 の回動力に(r1 →r2 )、また出力側カ
ム機構40の回動部材42における第2方向r2 の回動
力を入力側カム機構20の回動部材22に対する第1方
向r1 の回動力に(r2 →r1 )それぞれ変換する。
【0043】以上のことから、入力側の可動シーブに加
わる開き方向のベルト推力は、入力側カム機構20にお
いて、回動部材22に対する第1方向r1 の回動力に変
換され、この第1方向r1 の回動力は、連結機構60に
より出力側カム機構40の回動部材42に対する第2方
向r2 の回動力に変換され、この第2方向r2 の回動力
は、出力側カム機構40により出力側可動シーブ32に
対する閉じ方向の押圧力に変換されることになる。一
方、出力側のベルト推力は、出力側カム機構40におい
て、回動部材42に対する第1方向r1 の回動力に変換
され、この第1方向r1 の回動力は、連結機構60によ
り入力側カム機構20の回動部材22に対する第2方向
2 の回動力に変換され、この第2方向r2 の回動力
は、入力側カム機構20により入力側可動シーブ12に
対する閉じ方向の押圧力に変換されることになる。そし
て、これら入力側カム機構20,出力側カム機構40及
び連結機構60により、本発明における変換機構が構成
されている。
【0044】上記の連結機構60には、出力側カム機構
40の回動部材42に対し、第2方向r2 の回動力を常
時加える低速比化機構としての引張コイルばね70が連
設されている。具体的には、この引張コイルばね70
は、入力軸3の側において、例えば本変速装置Vを収容
するケーシング等の固定体と連結機構60の連結ロッド
63の入力軸3側の端部との間に介装されていて、連結
ロッド63を入力軸3側(図2〜図4の各上側,図5及
び図6の各左側)に向かって常時付勢している。また、
回動部材42に対する第2方向r2 の回動力は、出力側
カム機構40により可動シーブ32に対する閉じ方向の
押圧力に変換される。つまり、出力側カム機構40の可
動シーブ32には、入力側のベルト推力から変換された
押圧力の他に、引張コイルばね70による閉じ方向の押
圧力が常に加わっている。
【0045】さらに、上記入力側カム機構20の固定部
材21と回動部材22との間には、高速比化機構として
の遠心ウエイト機構80が設けられている。この遠心ウ
エイト機構80は、入力側の入力軸3におけるエンジン
E側の端部上に軸方向に移動不能にかつ軸心回りに回転
不能に外嵌合された固定部材81と、この固定部材81
の入力プーリ10側に配置されていて、該入力プーリ1
0の可動シーブに一体に設けられた可動部材82とを有
する。固定部材81の内周側部分は、軸心に直交する平
面形状をなしている。その外周側に位置する部分は、半
径方向外方に向かって可動部材82の側に漸次接近する
テーパ部81aに形成されており、その周縁は可動部材
82よりも半径方向外方に位置している。テーパ部81
aの外周側に位置する部分である固定部材81の最外周
部分は、可動部材82を外周側から覆いつつ入力プーリ
10の側に向かって延びる円筒状に形成されている。一
方、可動部材82は、円板状の本体と、該本体から入力
プーリ10側に向かって突出するように設けられていて
可動シーブ12のボス部12a上に外嵌合されたボス部
82aとを有する。これら固定部材81と可動部材82
との間には、複数個のウエイトローラ83,83,…が
半径方向に移動可能に配置されている。そして、入力軸
3の回転に伴って発生する遠心力により各ウエイトロー
ラ83が固定部材81のテーパ部81aと可動部材82
の本体との間を半径方向外方に移動するときに、それら
ウエイトローラ83,83,…が固定部材81及び可動
部材82を軸方向に離間させることで、可動シーブ12
に対し閉じ方向の操作力が加えられるようになってい
る。
【0046】そして、本実施形態では、上記の入力プー
リ10及び出力プーリ30は、軸心に直交する平面に対
し固定シーブ11,31のVベルト50との接触面のな
す傾斜角α1 ,β1 がそれぞれ可動シーブ12,32の
Vベルト50との接触面のなす傾斜角α2 ,β2 よりも
小さい(α1 <α2 ,β1 <β2 )偏角プーリとされて
おり、Vベルト50は、ベルト厚さ方向に対する両ベル
ト側面の各傾斜角が固定シーブ11,31及び可動シー
ブ12,32の各接触面の傾斜角α1 ,β1 ,α2 ,β
2 に対応するように設けられた偏角ベルトとされてい
る。
【0047】ここで、上記のように構成された農作業用
車両におけるベルト式無段変速装置Vの作動について説
明する。
【0048】先ず、エンジンEが停止している状態で
は、図5に示すように、入力側カム機構20の回動部材
22は第1方向r1 の側(同図の左側)に、また出力側
カム機構40の回動部材42は第2方向r2 の側(同図
の左側)にそれぞれ引張コイルばね70により引っ張ら
れて位置付けられており、このときの速比は、入力プー
リ10のピッチ径が最小でありかつ出力プーリ30のピ
ッチ径が最大である最もLoの状態にある。また、出力
側の可動シーブ32には、入力側のベルト推力から変換
された押圧力の他に、引張コイルばね70による押圧力
が加わっており、一方、入力側の可動シーブ12には、
引張コイルばね70の押圧力の分だけ小さくなった出力
側のベルト推力から変換された押圧力が加わっている。
【0049】上記の状態で、エンジンEが始動して入力
軸3にトルクが入力されると、そのトルクは、入力プー
リ10,Vベルト50及び出力プーリ30を順に経由し
て出力軸7に伝達される。そして、入力回転速度が上昇
すると、それに応じて、遠心ウエイト機構80ではウエ
イトローラ83,83,…が遠心力により固定部材81
のテーパ部81aと可動部材82の本体との間を半径方
向外方に向かって移動するので、可動シーブ12に対し
閉じ方向の操作力が加わるようになる。この操作力は、
入力回転速度の上昇に応じて増加する。
【0050】すると、入力側のベルト推力が遠心ウエイ
ト機構80の操作力によりキャンセルされるので、出力
プーリ30では、そのベルト推力から変換されて可動シ
ーブ32に加わる閉じ方向の押圧力が低下することにな
る。そして、その押圧力と引張コイルばね70による閉
じ方向の操作力との合力が出力側のベルト推力よりも小
さくなると、可動シーブ32は、そのベルト推力により
可動シーブ32は開き方向に移動する。よって、図6に
示すように、出力プーリ30のピッチ径は小さくなる。
一方、出力プーリ30の小径化に伴い、入力側では、可
動シーブ12に対する開き方向のベルト推力が低下する
ので、入力プーリ10は、引張コイルばね70による操
作力の分だけ低下した出力側のベルト推力から変換され
た押圧力と、遠心ウエイト機構80の操作力との合力に
より閉じ方向に移動し、よって、入力プーリ10は小径
化する。これらにより、両プーリ10,30間の速比
は、Hi側に変化する。つまり、図6に示すように、出
力側カム機構40の回動部材42は第1方向r1 (同図
の時計回り方向)に、また入力側カム機構20の回動部
材22は第2方向r2 (同時計回り方向)にそれぞれ回
動する。
【0051】上記の状態において、入力回転速度が低下
すると、遠心ウエイト機構80による可動シーブ12に
対する閉じ方向の操作力が小さくなるので、この可動シ
ーブ12はベルト推力により開き方向に移動し、これに
より、入力プーリ10は小径化する。一方、遠心ウエイ
ト機構80の操作力の低下に伴い、出力側カム機構40
では、その操作力の低下分だけ引張コイルばね70によ
る閉じ方向の操作力が復活するので、可動シーブ32
は、その操作力と入力側ベルト推力から変換された押圧
力との合力により閉じ方向に移動し、よって、出力プー
リ30は大径化する。これらの結果、両プーリ10,3
0間の速比は、再びLo側に変化(図5参照)すること
になる。
【0052】次に、上記のベルト式無段変速装置におい
て、メンテナンス時に行われる入力プーリ10及び出力
プーリ30に対するVベルト50の脱着作業を、図1に
基づいて説明する。
【0053】本変速装置では、入力軸3及び出力軸7
は、軸方向の互いに同じ側に位置する軸端の側(図1の
左側)においてそれぞれエンジンE及び減速装置Rに連
結されており、また、入力プーリ10及び出力プーリ3
0は、入力軸3及び出力軸7上のエンジンE及び減速装
置Rとは反対側(同図の右側)の軸端上に、固定シーブ
11,31が可動シーブ12,32よりも上記反対側の
軸端側に位置するように配置されているので、両プーリ
10,30に対するVベルト50の脱着作業は、同図に
仮想線の矢印で示すように、固定シーブ11,31の側
(同図の右側)において、可動シーブ12,32に連な
るカム機構20,40ないし連結機構60に邪魔される
ことなく行える。
【0054】一方、上記のように両プーリ10,30が
配置されていることから、図1に実線の矢印で示すよう
に、両可動シーブ12,32は変速時に互いに逆の方向
に移動することになり、それに伴って生じるミスアライ
メントが懸念される。ところで、両可動シーブ12,3
2が逆方向に移動することによるミスアライメントは、
可動シーブ12,32の軸方向の移動に応じて各プーリ
10,30上でVベルト50が半径方向に変位する際
に、軸方向にVベルト50が変位することによって生じ
る。そして、そのミスアライメントの程度は、軸方向の
変位幅により決まり、その変位幅は、固定シーブ11,
31におけるVベルト50との接触面の傾斜角α1 ,β
1 により定まる。つまり、傾斜角α1 ,β1 が大きいと
変位幅も大きくなるのでミスアライメントは大きくな
り、逆に、傾斜角が小さいと変位幅も小さくなるのでミ
スアライメントは小さくなる。このとき、これらのプー
リ10,30は共に偏角プーリであって、固定シーブ1
1,31のベルト接触面の傾斜角α1 ,β1 はそれぞれ
可動シーブ12,32の同傾斜角α2 ,β2 よりも小さ
い。よって、両可動シーブ12,32が互いに逆の方向
に移動することにより生じるミスアライメントは、各プ
ーリが固定シーブ及び可動シーブのベルト接触面の各傾
斜角の互いに等しい一般のものである場合に比べ、小さ
く抑えられる。
【0055】したがって、本実施形態によれば、入力軸
3上の入力プーリ10と、出力軸7上の出力プーリ30
との間に巻き掛けられたVベルト50にテンション機構
55により張力を付与して各プーリ10,30の可動シ
ーブ12,32に開き方向のベルト推力を加え、そのベ
ルト推力を入力側及び出力側カム機構20,40と連結
機構60とにより各可動シーブ32,12に対する閉じ
方向の押圧力に変換し、さらに、引張コイルばね70に
より出力プーリの可動シーブ32に閉じ方向の操作力を
加える一方、遠心ウエイト機構80により、入力回転速
度に応じて入力プーリの可動シーブに閉じ方向の操作力
を加えるようにしたベルト式無段変速装置Vを、農作業
用車両のエンジンEのクランク軸1と減速装置Rの入力
軸2との間に配置するに当り、エンジンE及び減速装置
Rをクランク軸1及び入力軸2が互いに平行にかつ互い
に同じ方向に向かって突出するように配置し、それらク
ランク軸1及び入力軸2の突出端にそれぞれ変速装置V
の入力軸3及び出力軸7を連結し、それら入力軸3及び
出力軸7上のエンジンE及び減速装置Rとは反対の側の
軸端上にそれぞれ固定シーブ11,31が可動シーブ1
2,32よりも軸端側に位置するように入力プーリ10
及び出力プーリ30を配置し、これらのことで、両プー
リ10,30に対するベルト脱着作業の容易化を図れる
ようにする際に、それら各プーリ10,30を、固定シ
ーブ11,31のベルト接触面の傾斜角α1 ,β1 がそ
れぞれ可動シーブ12,32の同傾斜角α2 ,β2 より
も小さい偏角プーリとするとともに、Vベルト50を偏
角ベルトとするようにしたので、各プーリ10,30を
両可動シーブ12,32が変速時に互いに逆の方向に移
動することにより生じるミスアライメントを小さく抑え
ることができる。
【0056】尚、上記の実施形態では、低速比化機構と
しての引張コイルばね70と、高速比化機構としての遠
心ウエイト機構80とを設けて、速比をLo及びHi間
で入力回転速度に応じて自動的に変速させるようにして
いるが、本発明は、低速比化機構及び高速比化機構とし
てはそれらのものに特に限定されるものではない。
【0057】また、上記の実施形態では、自動変速機能
を有するベルト式無段変速装置の場合について説明して
いるが、本発明は、そのような自動変速機能を持たない
ベルト式無段変速装置にも適用することができる。
【0058】また、上記の実施形態では、ベルト式無段
変速装置Vの入力軸3をエンジンEのクランク軸1に直
接に連結するようにしているが、任意の伝動装置を介し
て間接的に連結させるようにしてもよい。
【0059】また、上記の実施形態では、エンジンEと
減速装置Rとの間にベルト式無段変速装置Vが配設され
た場合について説明しているが、本発明に係る変速装置
VのエンジンE及び駆動車輪間のトルク伝達系路上での
配置は特に限定されるものではない。
【0060】また、上記の実施形態では、農作業用車両
にベルト式変速装置Vが搭載されている場合について説
明しているが、本ベルト式無段変速装置Vは、種々の車
両に搭載させることができる。
【0061】さらに、上記の実施形態では、変速装置V
が車両のトルク伝達系路上に配置された場合について説
明しているが、本ベルト式無段変速装置Vは、車両以外
の装置におけるトルク伝達系路上に配設することもでき
る。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、入力軸上の入力プーリと、出力軸上の出力プー
リとの間に巻き掛けられたVベルトに張力を付与して各
プーリの可動シーブに開き方向のベルト推力を加え、変
換機構によりそのベルト推力を各可動シーブに対する閉
じ方向の押圧力に変換し、その押圧力の分だけ各可動シ
ーブに対する閉じ方向の操作力を軽減するようにしたベ
ルト式無段変速装置において、入力軸及び出力軸を軸方
向の互いに同じ側の軸端側においてそれぞれ駆動側及び
従動側に連結するとともに、それら入力軸及び出力軸上
の反対側の軸端側にそれぞれ固定シーブが可動シーブよ
りも該軸端側に位置するように入力及び出力プーリを配
置し、さらに、各プーリを、固定シーブのベルト接触面
の傾斜角が可動シーブの同傾斜角よりも小さい偏角プー
リとするとともに、Vベルトを偏角ベルトとするように
したので、ミスアライメントの発生を抑えつつ、両プー
リに対するベルト脱着作業の容易化を図ることができ
る。
【0063】請求項2の発明によれば、上記の変換機構
を、入力側及び出力側カム機構と、これら両カム機構の
回動部材同士を連結する連結機構とで構成するようにし
たので、請求項1の発明による効果を具体的に得ること
ができる。
【0064】請求項3の発明によれば、出力側の可動シ
ーブに閉じ方向の操作力を常時加える低速比化機構と、
入力回転速度に応じて、入力側の可動シーブに閉じ方向
の操作力を加える高速比化機構とを備えるようにしたの
で、入力回転速度に応じた自動変速機能を有するベルト
式無段変速装置においても、請求項1の発明の場合と同
じ効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るベルト式無段変速装置
の全体構成を示す模式図である。
【図2】ベルト式無段変速装置の全体構成を示す断面図
である。
【図3】ベルト式無段変速装置の入力側部分を拡大して
示す断面図である。
【図4】ベルト式無段変速装置の出力側部分を拡大して
示す図2相当図である。
【図5】速比がLoであるときのベルト式無段変速装置
をエンジン及び減速装置側から見て示す模式図である。
【図6】速比がHiであるときのベルト式無段変速装置
をエンジン及び減速装置側から見て示す図4相当図であ
る。
【図7】従来のベルト式無段変速装置の全体構成を示す
図1相当図である。
【図8】従来のベルト式無段変速装置に対する改良案を
示す図1相当図である。
【符号の説明】
3 入力軸 7 出力軸 10 入力プーリ 11 固定シーブ 12 可動シーブ 20 入力側カム機構(変換機構) 30 出力プーリ 31 固定シーブ 32 可動シーブ 40 出力側カム機構(変換機構) 50 Vベルト 55 テンション機構 60 連結機構(変換機構) 70 引張コイルばね(低速比化機構) α1 (入力プーリの固定シーブのベルト接触面の)傾
斜角 α2 (入力プーリの可動シーブのベルト接触面の)傾
斜角 β1 (出力プーリの固定シーブのベルト接触面の)傾
斜角 β2 (出力プーリの可動シーブのベルト接触面の)傾
斜角 E エンジン(駆動側) R 減速装置(従動側)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下津 宏之 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15号 バンドー化学株式会社内 Fターム(参考) 3J031 AC07 BA04 BB05 CA02 3J050 AA02 BA03 BB02 BB08 CA02 CC06 CC07 CC08 CD08 CE01 DA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動側に連結される入力軸と、 上記入力軸に平行に配置され、従動側に連結される出力
    軸と、 上記入力軸に回転一体にかつ軸方向に移動不能に設けら
    れた固定シーブと、上記入力軸に回転一体にかつ軸方向
    に移動可能に設けられ、固定シーブから離間する開き方
    向に移動することによりピッチ径を小さくする一方、固
    定シーブに接近する閉じ方向に移動することによりピッ
    チ径を大きくする可動シーブとを有してなる入力プーリ
    と、 上記出力軸に回転一体にかつ軸方向に移動不能に設けら
    れた固定シーブと、上記出力軸に回転一体にかつ軸方向
    に移動可能に設けられ、固定シーブから離間する開き方
    向に移動することによりピッチ径を小さくする一方、固
    定シーブに接近する閉じ方向に移動することによりピッ
    チ径を大きくする可動シーブとを有してなる出力プーリ
    と、 上記入力プーリ及び出力プーリ間に巻き掛けられたVベ
    ルトと、 上記Vベルトに上記各プーリの可動シーブにそれぞれ開
    き方向のベルト推力が加わるように張力を付与するテン
    ション機構と、 上記入力プーリ及び出力プーリの両可動シーブ間に設け
    られ、入力プーリの可動シーブに加わるベルト推力を出
    力プーリの可動シーブに対する閉じ方向の押圧力に変換
    する一方、出力プーリの可動シーブに加わるベルト推力
    を入力プーリの可動シーブに対する閉じ方向の押圧力に
    変換する変換機構とを備えたベルト式無段変速装置であ
    って、 上記入力軸及び出力軸は、互いに同じ軸端側においてそ
    れぞれ上記駆動側及び従動側に連結され、 上記入力及び出力プーリは、上記入力軸及び出力軸上の
    上記駆動側及び従動側に連結される軸端側とは反対の軸
    端側にかつ固定シーブが可動シーブよりも上記反対の軸
    端側に位置するようにそれぞれ配置されていて、軸心に
    直交する平面に対し固定シーブのベルト接触面のなす傾
    斜角が可動シーブのベルト接触面のなす傾斜角よりも小
    さい偏角プーリであり、 上記Vベルトは、ベルト厚さ方向に対する両側面の各傾
    斜角が上記固定シーブ及び可動シーブの各ベルト接触面
    の傾斜角に対応して互いに異なる偏角ベルトであること
    を特徴とするベルト式無段変速装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のベルト式無段変速装置に
    おいて、 変換機構は、 入力プーリに対し軸方向に移動不能に設けられた固定部
    材と、該入力プーリの可動シーブに軸方向に移動一体に
    かつ相対回転可能に設けられ、可動シーブが開き方向に
    移動することにより一方向に回動する一方、他方向に回
    動することにより可動シーブを閉じ方向に移動させるよ
    うに上記固定部材にカム接触する回動部材とを有し、上
    記入力プーリの可動シーブの背面側に配置された入力側
    カム機構と、 出力プーリに対し軸方向に移動不能に設けられた固定部
    材と、該出力プーリの可動シーブに軸方向に移動一体に
    かつ相対回転可能に設けられ、可動シーブが開き方向に
    移動することにより一方向に回動する一方、上記一方向
    とは逆の方向である他方向に回動することにより可動シ
    ーブを閉じ方向に移動させるように上記固定部材にカム
    接触する回動部材とを有し、上記出力プーリの可動シー
    ブの背面側に配置された出力側カム機構と、 上記入力側及び出力側カム機構の回動部材同士を、互い
    に逆の方向に回動するように連結する連結機構とを有し
    てなることを特徴とするベルト式無段変速装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のベルト式無段変速
    装置において、 入出力プーリ間の速比が低速比化の方向に変化するよう
    に、出力プーリの可動シーブに閉じ方向の操作力を常時
    加える低速比化機構と、 入力回転速度に応じて上記速比が高速比化の方向に変化
    するように、入力プーリの可動シーブに閉じ方向の操作
    力を加える高速比化機構とを備え、 上記低速比化機構及び高速比化機構は、共に変換機構に
    連設されていることを特徴とするベルト式無段変速装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013210080A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd Vベルト式無段変速機
JP2014055648A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Honda Motor Co Ltd Vベルト式無段変速機
JP2015092095A (ja) * 2013-09-30 2015-05-14 本田技研工業株式会社 Vベルト式無段変速機

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