JP2001354572A - 肝疾患処置剤 - Google Patents
肝疾患処置剤Info
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Abstract
い肝疾患処置剤を提供する。 【解決手段】 重量平均分子量70万〜110万のヒア
ルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分と
する、肝疾患処置剤。
Description
0万〜110万のヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩を有効成分とする、肝疾患処置剤に関する。ま
た本発明は、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容され
る塩を有効成分とする、経口投与用の肝疾患処置剤に関
する。
は、ヒアルロン酸を肝臓の虚血再灌流障害に適用する旨
が記載されている。
酸を有効成分とし、より効果が高い肝疾患処置剤を提供
することを目的とする。特に肝炎、なかでも劇症肝炎や
自己免疫性肝炎の処置に有効な肝疾患処置剤を提供する
ことを目的とする。
決するために鋭意検討を行った結果、特定の重量平均分
子量のヒアルロン酸が、肝疾患、特に劇症肝炎や自己免
疫性肝炎のような肝炎に対して極めて顕著な効果を有
し、これを使用することにより上記課題を解決し得る処
置剤を提供し得ることを見出した。また本発明者は、ヒ
アルロン酸を経口投与することによっても上記効果を得
られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき
完成されたものである。
〜110万のヒアルロン酸またはその薬学的に許容され
る塩を有効成分とする、肝疾患処置剤(以下、本発明処
置剤という)を提供する。
たはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は好ま
しくは75万〜105万、より好ましくは80万〜10
0万、さらに好ましくは85万〜95万であり、約90
万であることが特に好ましい。なお、上述の先行技術に
おいてはこのような特定の分子量範囲のヒアルロン酸ま
たはその薬学的に許容される塩が肝疾患に対して顕著な
効果を有することは何等開示されていない。
または自己免疫性肝炎の処置に好ましく用いられる。ま
た、本発明処置剤中のヒアルロン酸またはその薬学的に
許容される塩の濃度は0.05〜1%(w/v)であること
が好ましい。
剤として投与することができる。また本発明は、ヒアル
ロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とす
る、経口投与用の肝疾患処置剤を提供する。
学的に許容される塩 本発明において用いるヒアルロン酸またはその薬学的に
許容される塩の由来は特に限定されず、鶏冠、臍帯、ヒ
アルロン酸を産生する微生物等から分離、精製されたヒ
アルロン酸を用いることができる。特に、高純度に精製
され、医薬として混入が許されない物質を実質的に含ま
ないものが好ましい。
ては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウ
ム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニ
ウム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン
塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基
との塩のうち、薬学的に許容される塩を用いることがで
きる。なかでもヒアルロン酸ナトリウムであることが好
ましい。
またはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、
70万以上、110万以下である限りにおいて特に限定
されない。後述の実施例に示すように、ヒアルロン酸ま
たはその薬学的に許容される塩は重量平均分子量90万
付近において肝疾患に対して最も顕著な効果、すなわち
最も顕著な薬理作用を示し、上記のような特定の重量平
均分子量の範囲において有意な効果を示すものである。
本発明に使用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許
容される塩の重量平均分子量の下限は、好ましくは75
万、より好ましくは80万、さらに好ましくは85万で
あり、その上限は好ましくは105万、より好ましくは
100万、さらに好ましくは95万である。本発明に使
用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩
の重量平均分子量は特に好ましくは約90万程度であ
る。なお、本発明に使用されるヒアルロン酸またはその
薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、第十三改正
日本薬局方:一般試験法・第36項粘度測定法に従って
極限粘度を測定し、Laurentらの式(Biochim. Biophys.
Acta, 42, 476(1960))によって算出できる。
に許容される塩は、約13〜18.5dl/g、より好
ましくは約13.5〜18dl/g、さらに好ましくは
約14.5〜17.0dl/g、特に好ましくは15.
0〜16.5dl/g、極めて好ましくは16dl/g
程度の極限粘度を有するものである。
的に許容される塩を用いることにより、極めて優れた薬
理作用を有する肝疾患処置剤とすることができる。
たはその薬学的に許容される塩中のエンドトキシン濃度
は、溶液形態の剤とした場合において0.3EU/mL
以下であることが好ましい。エンドトキシン濃度は、当
業者に周知慣用のエンドトキシンの測定法を用いて測定
することができるが、カブトガニ・アメボサイト・ライ
セート成分を用いるリムルス試験法が好ましい。なおE
U(エンドトキシン単位)は、日本工業規格生化学試薬
通則(JIS K8008)に従って測定・算出でき
る。また、鉄含量は20ppm以下であることが好まし
い。
に対する効果が発揮される限りにおいて特に限定されな
いが、例えば注射(静脈内等)等による非経口投与、経
口投与等の投与方法が挙げられる。投与方法に応じてヒ
アルロン酸またはその薬学的に許容される塩を適宜製剤
化して、本発明処置剤とすることができる。剤形として
は、注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤
等)、錠剤、カプセル剤、液剤等が挙げられる。
薬学的に許容される塩の濃度も特に限定されないが、
0.05〜1%(w/v)とするのが好ましい。特に本発明
処置剤を注射剤として提供する場合には、0.05〜
0.5%(w/v)程度とするのが好ましく、0.05〜
0.4%(w/v)程度とするのがより好ましく、0.1〜
0.4%(w/v)程度とするのがさらに好ましい。また本
発明処置剤を経口投与用の製剤、例えば液剤とする場合
には、0.1%(w/v)以上とすることが好ましく、0.
2〜1%(w/v)程度とすることがより好ましい。
合、その形態は、溶液状、凍結状、または凍結乾燥状の
いずれであっても良い。これをアンプル、バイアル、注
射用シリンジ等の適当な容器に充填・密封し、そのまま
流通させあるいは保存して、注射剤として投与できる。
いることができる。また製剤化にあたり、ヒアルロン酸
またはその薬学的に許容される塩に悪影響を与えず、か
つ本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、他の医
薬活性成分や、慣用の安定化剤、乳化剤、浸透圧調整
剤、緩衝剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤、賦
形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられ
る成分を使用できる。
動物が好ましく、とりわけヒトが好ましい。本発明処置
剤は、これらの動物の肝疾患の予防薬、進行抑制(悪化
防止)薬、または治療薬として投与することができる。
肝機能の障害を有意に抑制し得るので、本発明処置剤は
肝機能の障害を示す肝疾患に広く適用でき、特に限定さ
れないが、特にコンカナバリンA惹起肝障害を顕著に抑
制したことから、肝炎、特に劇症肝炎や、自己免疫性肝
炎に対して好ましく適用することができる。
その薬学的に許容される塩の配合量、1回あたりの投与
量、投与間隔等は、本発明処置剤の投与方法、投与形
態、使用目的等、患者の具体的症状、年齢、性別、体重
等に応じて個別に決定されるべき事項であり特に限定さ
れないが、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される
塩の臨床量として、注射による非経口投与の場合、成人
1人1回当り100〜500mg、1日当り200〜10
00mg、経口投与の場合、成人1人1回当り500〜2
500mg、1日当り1000〜5000mg程度の投与量
が例示される。
程度でもよく、1日2〜3回に分けて投与することもで
きる。また1日〜3日に1回程度投与してもよい。
る。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲が
限定されるものではない。
粘度 9.5 dl/g) ・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量78万;極限
粘度 14 dl/g) ・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量90万;極限
粘度 16 dl/g) ・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量125万;極
限粘度 20.5 dl/g)
う)は、以下の薬効薬理試験に応じて所定の濃度となる
ように生理食塩水に溶解して用いた。生理食塩水に溶解
した後のエンドトキシン濃度はいずれも0.3EU/m
L以下であり、また鉄含量はいずれも20ppm以下で
あった。
害モデルに対する効果の検討 本発明処置剤の肝障害に対する効果を調べるため、Con
Aで肝障害を惹起したモデルを用いた。この肝障害モデ
ルは、Con Aの投与によりT細胞が活性化され、過剰生
産されたサイトカイン(インターフェロン(INF)-γ、腫
瘍壊死因子(TNF)-αなど)によって肝臓に特異的な壊死
炎症が生じるモデルであり、ヒトの自己免疫性肝炎や劇
症肝炎などの研究に有用なモデルと考えられている。
性に好発する(Beeson PB, Am. J.Med. 1994; 96: P457
-462)ことから、本モデルについて性差を調べた。その
結果、組織学的変化及び血清GPT値(グルタミン酸-
ピルビン酸トランスアミナーゼ活性単位)の上昇の程度
から、雌マウスでは、ヒトと同様に、より重度の肝細胞
障害が生じることが明らかとなった。また本モデルは、
例えばエンドトキシン(LPS)モデルのような他の肝
障害モデルに比して肝類洞に強い炎症が認められること
からも、よりヒトの劇症肝炎、自己免疫性肝炎に近いモ
デルであるといえることから、本実施例では本モデルを
用いることとした。
効果の相違) 実験動物を、被験物質ごとに以下の通り群分けし、下記
の被験物質のそれぞれの生理食塩水中の0.25%(w/v)濃
度の溶液0.5 mlを、それぞれの実験動物の尾静脈に注射
した。
V;シグマ社) を20 mg/kg体重となるように生理食塩水
0.3 mlに溶解して、それぞれの実験動物の尾静脈から1
回注射して肝炎を惹起させた。8時間後に血清中のGP
T値を酵素法(トランスアミナーゼCII−テストワコー
(和光純薬工業株式会社))により測定した。結果を図
1に示す。なお統計処理は、ANOVA(Fisher LSD)検定
により行った。
ール群に比してそれぞれ危険率p<0.05及び危険率p<0.00
1で統計学的有意差があることを示す。図1から、重量
平均分子量78万のHAを投与した群及び重量平均分子
量90万のHAを投与した群において、コントロール群
及び他の重量平均分子量のヒアルロン酸ナトリウムを投
与した群に比して、顕著に血清中のGPT値が低下して
おり、肝障害が顕著に抑制されていることが示された。
ングによる効果の相違) 実験動物を、Con Aによる肝炎惹起前のHA投与のタイ
ミングについて以下の通り群分けし、生理食塩水中のH
A(重量平均分子量90万)の0.35%(w/v)濃度の溶液0.5 m
lをそれぞれの実験動物の尾静脈に注射した。
ントロール群) 各4匹(ただし、Con A投与の1時間
前投与群に対応するコントロール群については3匹)
薬理試験1と同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させ
た。8時間後に血清中のGPT値を、薬効薬理試験1と
同様に酵素法により測定した。結果を図2に示す。なお
統計処理は、Student’ t検定により行った。図2中、
*** は、コントロール群に対して危険率p<0.001で有
意差があることを示す。
までにHAを投与した群は、顕著に血清中のGPT値が
低下しており、肝障害が顕著に抑制されていることが示
唆された。特に、Con Aによる肝炎惹起の8時間以上前
にHAを投与した群では血清中のGPT値は極めて顕著
に低下していたことから、このようなタイミングでHA
を投与することにより、肝障害に対してより高い効果を
示すことが示唆された。
果の相違) 実験動物を、投与するHAの濃度について以下の通り群
分けし、生理食塩水中所定の濃度としたHA(重量平均
分子量90万)溶液0.5 mlをそれぞれの実験動物の尾静脈
に注射した。
験1と同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させた。8時
間後に血清中のGPT値を、薬効薬理試験1と同様に酵
素法により測定した。結果を図3に示す。なお統計処理
は、ANOVA検定により行った。図3中、 *** は、コン
トロール群に対して危険率p<0.001で有意差があること
を示す。
GPT値の低下が見られた。またこの効果はHA濃度に
依存して増大し、0.1%(w/v)、0.25%(w/v)及び0.35%
(w/v)投与群において血清GPT値の有意な低下が見ら
れた。
果) INF-γ(肝障害を引き起こす原因となるサイトカインの
1つ)の産生に対するHの効果を調べた。実験動物を、
血中INF-γ測定のタイミングについて以下の通り群分け
し、生理食塩水中の0.35%(w/v)濃度のHA(重量平均分
子量90万)溶液0.5 mlをそれぞれの実験動物の尾静脈に
注射した。
ロール群) 各5匹
験1と同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させた。上記
各群所定の時間後に血中のINF-γ濃度をELISAキット(Ge
nzyme社)で測定した。結果を図4に示す。なお統計処理
は、ANOVA検定により行った。図4中、 **、及び ***
は、コントロール群に対してそれぞれ危険率p<0.01、危
険率p<0.001で有意差があることを示す。
より血中INF-γ濃度が低下していることが示された。特
に、Con A投与後2時間目、4時間目に血中INF-γ濃度
の顕著な低下が見られた。この結果から、HAが肝障害
に対して効果を発揮する一因として、INF-γ産生の抑制
が関係していることが示唆された。
る効果) 実験動物を、経口投与するHAの濃度について以下の通
り群分けし、所定の濃度としたHA(重量平均分子量90
万)の生理食塩水溶液0.5mlをそれぞれの実験動物に経口
投与した。
同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させた。8時間後に
血清中のGPT値を、薬効薬理試験1と同様に酵素法に
より測定した。結果を図5に示す。
GPT値の低下が見られた。またこの効果は、HA濃度
に依存して増大した。
発明処置剤は、肝障害、特に肝炎(なかでも劇症肝炎や
自己免疫性肝炎)に対して極めて有効であることが示さ
れた。また本発明処置剤は、肝障害のおそれがある投与
対象に対して予め投与することにより、さらに優れた効
果を発揮することが示されたことから、予防剤として特
に有効であることが示された。またHAは、経口投与によ
っても肝障害に対する効果を発揮することが示された。
とする本発明処置剤は、前記薬効薬理試験の結果からも
明らかな通り、肝障害に対して、他の重量平均分子量の
HAには見られない顕著な効果を発揮することから、肝
障害の処置に極めて有用である。特に本発明処置剤は、
肝障害のおそれがある投与対象に対して予め投与するこ
とによってさらに優れた効果を発揮することが示された
ことから、予防剤として有用である。
肝障害に対する効果(血清GPT値の低下)を示す図で
ある。
する効果(血清GPT値の低下)の相違を示す図であ
る。
清GPT値の低下)の相違を示す図である。
の低下)を示す図である。
(血清GPT値の低下)を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 重量平均分子量70万〜110万のヒア
ルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分と
する、肝疾患処置剤。 - 【請求項2】 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容さ
れる塩の重量平均分子量が75万〜105万の範囲にあ
る、請求項1に記載の処置剤。 - 【請求項3】 肝疾患が肝炎である、請求項1または2
に記載の処置剤。 - 【請求項4】 肝炎が、劇症肝炎または自己免疫性肝炎
である、請求項3に記載の処置剤。 - 【請求項5】 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容さ
れる塩を、0.05〜1%(w/v)の濃度で含有すること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の処
置剤。 - 【請求項6】 肝疾患の予防剤である、請求項1〜5の
いずれか1項に記載の処置剤。 - 【請求項7】 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容さ
れる塩を有効成分とする、経口投与用の肝疾患処置剤。
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JP2002003384A (ja) * | 2000-06-22 | 2002-01-09 | Seikagaku Kogyo Co Ltd | 成長因子誘導剤 |
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2000
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