JP4627580B2 - 肝疾患処置剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重量平均分子量70万〜110万のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする、肝疾患処置剤に関する。また本発明は、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする、経口投与用の肝疾患処置剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第5,674,857号明細書には、ヒアルロン酸を肝臓の虚血再灌流障害に適用する旨が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ヒアルロン酸を有効成分とし、より効果が高い肝疾患処置剤を提供することを目的とする。特に肝炎、なかでも劇症肝炎や自己免疫性肝炎の処置に有効な肝疾患処置剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の重量平均分子量のヒアルロン酸が、肝疾患、特に劇症肝炎や自己免疫性肝炎のような肝炎に対して極めて顕著な効果を有し、これを使用することにより上記課題を解決し得る処置剤を提供し得ることを見出した。また本発明者は、ヒアルロン酸を経口投与することによっても上記効果を得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。
【0005】
すなわち本発明は、重量平均分子量70万〜110万のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする、肝疾患処置剤(以下、本発明処置剤という)を提供する。
【0006】
本発明処置剤に用いられるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は好ましくは75万〜105万、より好ましくは80万〜100万、さらに好ましくは85万〜95万であり、約90万であることが特に好ましい。なお、上述の先行技術においてはこのような特定の分子量範囲のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩が肝疾患に対して顕著な効果を有することは何等開示されていない。
【0007】
本発明処置剤は、肝炎、なかでも劇症肝炎または自己免疫性肝炎の処置に好ましく用いられる。
また、本発明処置剤中のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の濃度は0.05〜1%(w/v)であることが好ましい。
【0008】
本発明処置剤は、好ましくは肝疾患の予防剤として投与することができる。
また本発明は、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする、経口投与用の肝疾患処置剤を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
<1>ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩
本発明において用いるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の由来は特に限定されず、鶏冠、臍帯、ヒアルロン酸を産生する微生物等から分離、精製されたヒアルロン酸を用いることができる。特に、高純度に精製され、医薬として混入が許されない物質を実質的に含まないものが好ましい。
【0010】
ヒアルロン酸の薬学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩のうち、薬学的に許容される塩を用いることができる。なかでもヒアルロン酸ナトリウムであることが好ましい。
【0011】
本発明処置剤において用いるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、70万以上、110万以下である限りにおいて特に限定されない。後述の実施例に示すように、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩は重量平均分子量90万付近において肝疾患に対して最も顕著な効果、すなわち最も顕著な薬理作用を示し、上記のような特定の重量平均分子量の範囲において有意な効果を示すものである。本発明に使用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量の下限は、好ましくは75万、より好ましくは80万、さらに好ましくは85万であり、その上限は好ましくは105万、より好ましくは100万、さらに好ましくは95万である。本発明に使用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は特に好ましくは約90万程度である。なお、本発明に使用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、第十三改正日本薬局方:一般試験法・第36項粘度測定法に従って極限粘度を測定し、Laurentらの式(Biochim. Biophys. Acta, 42, 476(1960))によって算出できる。
【0012】
また、前記ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩は、約13〜18.5dl/g、より好ましくは約13.5〜18dl/g、さらに好ましくは約14.5〜17.0dl/g、特に好ましくは15.0〜16.5dl/g、極めて好ましくは16dl/g程度の極限粘度を有するものである。
【0013】
上記のようなヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を用いることにより、極めて優れた薬理作用を有する肝疾患処置剤とすることができる。
【0014】
なお、本発明に使用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩中のエンドトキシン濃度は、溶液形態の剤とした場合において0.3EU/mL以下であることが好ましい。エンドトキシン濃度は、当業者に周知慣用のエンドトキシンの測定法を用いて測定することができるが、カブトガニ・アメボサイト・ライセート成分を用いるリムルス試験法が好ましい。なおEU(エンドトキシン単位)は、日本工業規格生化学試薬通則(JIS K8008)に従って測定・算出できる。また、鉄含量は20ppm以下であることが好ましい。
【0015】
<2>本発明処置剤の剤型等
本発明処置剤の投与方法は、本発明処置剤による肝疾患に対する効果が発揮される限りにおいて特に限定されないが、例えば注射(静脈内等)等による非経口投与、経口投与等の投与方法が挙げられる。投与方法に応じてヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を適宜製剤化して、本発明処置剤とすることができる。剤形としては、注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カプセル剤、液剤等が挙げられる。
【0016】
本発明処置剤中のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の濃度も特に限定されないが、0.05〜1%(w/v)とするのが好ましい。特に本発明処置剤を注射剤として提供する場合には、0.05〜0.5%(w/v)程度とするのが好ましく、0.05〜0.4%(w/v)程度とするのがより好ましく、0.1〜0.4%(w/v)程度とするのがさらに好ましい。また本発明処置剤を経口投与用の製剤、例えば液剤とする場合には、0.1%(w/v)以上とすることが好ましく、0.2〜1%(w/v)程度とすることがより好ましい。
【0017】
本発明処置剤を注射剤として提供する場合、その形態は、溶液状、凍結状、または凍結乾燥状のいずれであっても良い。これをアンプル、バイアル、注射用シリンジ等の適当な容器に充填・密封し、そのまま流通させあるいは保存して、注射剤として投与できる。
【0018】
本発明処置剤の製剤化は、公知の方法を用いることができる。また製剤化にあたり、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩に悪影響を与えず、かつ本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の安定化剤、乳化剤、浸透圧調整剤、緩衝剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成分を使用できる。
【0019】
<3>本発明処置剤の投与対象等
本発明処置剤が投与される動物は、脊椎動物、特に哺乳動物が好ましく、とりわけヒトが好ましい。本発明処置剤は、これらの動物の肝疾患の予防薬、進行抑制(悪化防止)薬、または治療薬として投与することができる。
【0020】
本発明処置剤は後述の実施例に示すように肝機能の障害を有意に抑制し得るので、本発明処置剤は肝機能の障害を示す肝疾患に広く適用でき、特に限定されないが、特にコンカナバリンA惹起肝障害を顕著に抑制したことから、肝炎、特に劇症肝炎や、自己免疫性肝炎に対して好ましく適用することができる。
【0021】
本発明処置剤におけるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の配合量、1回あたりの投与量、投与間隔等は、本発明処置剤の投与方法、投与形態、使用目的等、患者の具体的症状、年齢、性別、体重等に応じて個別に決定されるべき事項であり特に限定されないが、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の臨床量として、注射による非経口投与の場合、成人1人1回当り100〜500mg、1日当り200〜1000mg、経口投与の場合、成人1人1回当り500〜2500mg、1日当り1000〜5000mg程度の投与量が例示される。
【0022】
また本発明処置剤の投与間隔は、1日1回程度でもよく、1日2〜3回に分けて投与することもできる。また1日〜3日に1回程度投与してもよい。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0024】
<1>材料等
まず、本実施例において用いた被験物質等を説明する。
【0025】
(1)被験物質
・生理食塩水
・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量25万)
・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量47万;極限粘度 9.5 dl/g)
・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量78万;極限粘度 14 dl/g)
・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量90万;極限粘度 16 dl/g)
・ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量125万;極限粘度 20.5 dl/g)
【0026】
ヒアルロン酸ナトリウム(以下、HAという)は、以下の薬効薬理試験に応じて所定の濃度となるように生理食塩水に溶解して用いた。生理食塩水に溶解した後のエンドトキシン濃度はいずれも0.3EU/mL以下であり、また鉄含量はいずれも20ppm以下であった。
【0027】
(2)実験動物
Balb/cマウス(雌、7〜8週齢)を使用した。
【0028】
<2>コンカナバリンA(Con A)惹起肝障害モデルに対する効果の検討
本発明処置剤の肝障害に対する効果を調べるため、Con Aで肝障害を惹起したモデルを用いた。この肝障害モデルは、Con Aの投与によりT細胞が活性化され、過剰生産されたサイトカイン(インターフェロン(INF)-γ、腫瘍壊死因子(TNF)-αなど)によって肝臓に特異的な壊死炎症が生じるモデルであり、ヒトの自己免疫性肝炎や劇症肝炎などの研究に有用なモデルと考えられている。
【0029】
自己免疫性肝炎を含めた自己免疫疾患は女性に好発する(Beeson PB, Am. J. Med. 1994; 96: P457-462)ことから、本モデルについて性差を調べた。その結果、組織学的変化及び血清GPT値(グルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ活性単位)の上昇の程度から、雌マウスでは、ヒトと同様に、より重度の肝細胞障害が生じることが明らかとなった。
また本モデルは、例えばエンドトキシン(LPS)モデルのような他の肝障害モデルに比して肝類洞に強い炎症が認められることからも、よりヒトの劇症肝炎、自己免疫性肝炎に近いモデルであるといえることから、本実施例では本モデルを用いることとした。
【0030】
(1) 薬効薬理試験1(HAの分子量による効果の相違)
実験動物を、被験物質ごとに以下の通り群分けし、下記の被験物質のそれぞれの生理食塩水中の0.25%(w/v)濃度の溶液0.5 mlを、それぞれの実験動物の尾静脈に注射した。
【0031】
生理食塩水投与群(コントロール群)10匹
HA(25万)投与群 8匹
HA(47万)投与群 4匹
HA(78万)投与群 4匹
HA(90万)投与群 9匹
HA(125万)投与群 4匹
【0032】
被験物質投与の12時間後、Con A(Type IV;シグマ社) を20 mg/kg体重となるように生理食塩水 0.3 mlに溶解して、それぞれの実験動物の尾静脈から1回注射して肝炎を惹起させた。8時間後に血清中のGPT値を酵素法(トランスアミナーゼCII−テストワコー(和光純薬工業株式会社))により測定した。結果を図1に示す。なお統計処理は、ANOVA(Fisher LSD)検定により行った。
【0033】
図1中のp<0.05及びp<0.001は、コントロール群に比してそれぞれ危険率p<0.05及び危険率p<0.001で統計学的有意差があることを示す。
図1から、重量平均分子量78万のHAを投与した群及び重量平均分子量90万のHAを投与した群において、コントロール群及び他の重量平均分子量のヒアルロン酸ナトリウムを投与した群に比して、顕著に血清中のGPT値が低下しており、肝障害が顕著に抑制されていることが示された。
【0034】
(2) 薬効薬理試験2(HAの投与のタイミングによる効果の相違)
実験動物を、Con Aによる肝炎惹起前のHA投与のタイミングについて以下の通り群分けし、生理食塩水中のHA(重量平均分子量90万)の0.35%(w/v)濃度の溶液0.5 mlをそれぞれの実験動物の尾静脈に注射した。
【0035】
Con A投与の18時間前投与群 5匹
Con A投与の12間前投与群 5匹
Con A投与の8時間前投与群 5匹
Con A投与の4時間前投与群 5匹
Con A投与の2時間前投与群 5匹
Con A投与の1時間前投与群 4匹
上記それぞれの群に対応する生理食塩水溶液投与群(コントロール群) 各4匹(ただし、Con A投与の1時間前投与群に対応するコントロール群については3匹)
【0036】
被験物質投与から上記所定の時間後、薬効薬理試験1と同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させた。8時間後に血清中のGPT値を、薬効薬理試験1と同様に酵素法により測定した。結果を図2に示す。なお統計処理は、Student’ t検定により行った。図2中、 *** は、コントロール群に対して危険率p<0.001で有意差があることを示す。
【0037】
図2から、Con Aによる肝炎惹起前2時間までにHAを投与した群は、顕著に血清中のGPT値が低下しており、肝障害が顕著に抑制されていることが示唆された。特に、Con Aによる肝炎惹起の8時間以上前にHAを投与した群では血清中のGPT値は極めて顕著に低下していたことから、このようなタイミングでHAを投与することにより、肝障害に対してより高い効果を示すことが示唆された。
【0038】
(3) 薬効薬理試験3(HAの濃度による効果の相違)
実験動物を、投与するHAの濃度について以下の通り群分けし、生理食塩水中所定の濃度としたHA(重量平均分子量90万)溶液0.5 mlをそれぞれの実験動物の尾静脈に注射した。
【0039】
生理食塩水投与群(コントロール群) 4匹
0.05%(w/v)濃度投与群 4匹
0.1%(w/v)濃度投与群 4匹
0.25%(w/v)濃度投与群 4匹
0.35%(w/v)濃度投与群 5匹
【0040】
被験物質投与から12時間後、薬効薬理試験1と同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させた。8時間後に血清中のGPT値を、薬効薬理試験1と同様に酵素法により測定した。結果を図3に示す。なお統計処理は、ANOVA検定により行った。図3中、 *** は、コントロール群に対して危険率p<0.001で有意差があることを示す。
【0041】
図3から、全ての投与群において血清中のGPT値の低下が見られた。またこの効果はHA濃度に依存して増大し、0.1%(w/v)、0.25%(w/v)及び0.35%(w/v)投与群において血清GPT値の有意な低下が見られた。
【0042】
(4) 薬効薬理試験4(IFN-γの産生抑制効果)
INF-γ(肝障害を引き起こす原因となるサイトカインの1つ)の産生に対するHの効果を調べた。
実験動物を、血中INF-γ測定のタイミングについて以下の通り群分けし、生理食塩水中の0.35%(w/v)濃度のHA(重量平均分子量90万)溶液0.5 mlをそれぞれの実験動物の尾静脈に注射した。
【0043】
Con A投与直後測定群 4匹
Con A投与後2時間目測定群 5匹
Con A投与後4時間目測定群 6匹
Con A投与後8時間目測定群 5匹
上記それぞれの群に対応する生理食塩水投与群(コントロール群) 各5匹
【0044】
被験物質投与から12時間後、薬効薬理試験1と同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させた。上記各群所定の時間後に血中のINF-γ濃度をELISAキット(Genzyme社)で測定した。結果を図4に示す。なお統計処理は、ANOVA検定により行った。図4中、 **、及び *** は、コントロール群に対してそれぞれ危険率p<0.01、危険率p<0.001で有意差があることを示す。
【0045】
図4から、全て測定群においてHA投与により血中INF-γ濃度が低下していることが示された。特に、Con A投与後2時間目、4時間目に血中INF-γ濃度の顕著な低下が見られた。この結果から、HAが肝障害に対して効果を発揮する一因として、INF-γ産生の抑制が関係していることが示唆された。
【0046】
(5) 薬効薬理試験5(HAの経口投与による効果)
実験動物を、経口投与するHAの濃度について以下の通り群分けし、所定の濃度としたHA(重量平均分子量90万)の生理食塩水溶液0.5mlをそれぞれの実験動物に経口投与した。
【0047】
生理食塩水投与群(コントロール群) 4匹
0.25%(w/v)濃度投与群 5匹
0.5%(w/v)濃度投与群 5匹
1.0%(w/v)濃度投与群 5匹
被験物質の経口投与から12時間後、薬効薬理試験1と同様にCon Aを注射して肝炎を惹起させた。8時間後に血清中のGPT値を、薬効薬理試験1と同様に酵素法により測定した。結果を図5に示す。
【0048】
図5から、全ての投与群において血清中のGPT値の低下が見られた。またこの効果は、HA濃度に依存して増大した。
【0049】
以上の結果から、HAを有効成分とする本発明処置剤は、肝障害、特に肝炎(なかでも劇症肝炎や自己免疫性肝炎)に対して極めて有効であることが示された。また本発明処置剤は、肝障害のおそれがある投与対象に対して予め投与することにより、さらに優れた効果を発揮することが示されたことから、予防剤として特に有効であることが示された。またHAは、経口投与によっても肝障害に対する効果を発揮することが示された。
【0050】
【発明の効果】
特定の重量平均分子量のHAを有効成分とする本発明処置剤は、前記薬効薬理試験の結果からも明らかな通り、肝障害に対して、他の重量平均分子量のHAには見られない顕著な効果を発揮することから、肝障害の処置に極めて有用である。特に本発明処置剤は、肝障害のおそれがある投与対象に対して予め投与することによってさらに優れた効果を発揮することが示されたことから、予防剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 種々の重量平均分子量を有するHAによる、肝障害に対する効果(血清GPT値の低下)を示す図である。
【図2】 HAの投与のタイミングによる、肝障害に対する効果(血清GPT値の低下)の相違を示す図である。
【図3】 HAの濃度による、肝障害に対する効果(血清GPT値の低下)の相違を示す図である。
【図4】 HAの肝障害に対する効果(血中INF-γ濃度の低下)を示す図である。
【図5】 経口投与によるHAの肝障害に対する効果(血清GPT値の低下)を示す図である。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量75万〜105万のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする、肝炎処置剤。
  2. ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量が85万〜95万の範囲にある、請求項1に記載の処置剤。
  3. 肝炎が、劇症肝炎または自己免疫性肝炎である、請求項1または2に記載の処置剤。
  4. ヒアルロン酸又はその薬学的に許容される塩を、0.05〜1%(w/v〉の濃度で含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の処置剤。
  5. 肝炎の予防剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の処置剤。
  6. 重量平均分子量85万〜95万のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする、経口投与用の肝炎処置剤。
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