JP2001345675A - 弾性表面波フィルタ - Google Patents
弾性表面波フィルタInfo
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Abstract
に、急峻な肩特性を有するラダー型弾性表面波フィルタ
の電極構造を提供すること。 【解決手段】 圧電基板1上にIDT電極3の複数をラ
ダー型回路またはラティス型回路に接続した弾性表面波
フィルタであって、少なくとも1つのIDT電極に周波
数特性制御用のIDT電極2を並列接続したことを特徴
とする。
Description
体通信機器に用いられる弾性表面波フィルタの電極構造
に関する。
のフィルタ,遅延線,発振器等の構成素子として多くの
弾性表面波装置が用いられている。特に小型・軽量でか
つフィルタとしての急峻遮断性能が高い弾性表面波フィ
ルタは、移動体通信分野において、携帯端末装置のRF
段及びIF段のフィルタとして多用されるようになって
来ており、低損失かつ通過帯域外の遮断特性が優れた、
高い減衰特性と、広い帯域幅を有する弾性表面波フィル
タが要求されている。
は、電極構成の観点から、ラダー型(梯子型),トラン
スバーサル型,縦モード結合共振器型等種々のものが実
用化されているが、中でもラダー型弾性表面波フィルタ
は低損失でかつ良好な通過帯域近傍の遮断特性を有し、
高周波化による電極微細化に伴う耐電力面での信頼性も
高く、非常に有望視されている弾性表面波フィルタであ
る。
帯域幅BW/fo(BW;通過帯域幅、fo;中心周波
数)は、フィルタを構成する弾性表面波共振子の共振周
波数frと反共振周波数faの差であるΔf(=fa−
fr)を共振周波数で規格化したものでほぼ決定され
る。
に伴って、システム側の要求スペックもより厳しいもの
になり、従来よりも、広帯域でより矩形に近く、急峻性
に優れた通過帯域特性を持つ弾性表面波フィルタが切望
されている。
は、やはりΔf(=fa−fr)で決定され、Δfの小
さい弾性表面波共振子を用いることにより、急峻性に優
れた通過帯域特性が得られることが分かっている。上記
の比帯域幅および通過帯域の急峻性を決定するΔfは、
圧電基板の材料定数である電気機械結合係数と電極パタ
ーンの膜厚に大きく依存し、所望の比帯域幅を得るため
に最適な電気機械結合係数を有する圧電基板と電極膜厚
の組み合わせを選択してフィルタを作製する必要があ
る。
に最適な電気機械結合係数を有し、フィルタ急峻度に反
映される材料Q値(電気機械変換に伴う損失係数の逆
数)の高い基板材料を見出すことが難しく問題であっ
た。
一般的な基板・方位のものを採用し、電極構造で改善す
る方法が検討されていた。
は、Inter DigitalTransducer
の略であり、相対向する櫛歯状電極を組み合わせた電極
構造である。そのIDT電極の接続構造は、前述の通
り、ラダー型電極が有望視されている。従来のラダー型
接続の弾性表面波装置は図4に示すとおり、直列腕を構
成する弾性表面波共振子R1と、並列腕を構成する弾性
表面波共振子R2とが、交互に信号線上に接続され、い
わゆる梯子状に接続された構造が一般的に用いられてい
る。
る電気特性の改善方法は、一般に各共振子のIDT電極
対数、電極周期、交差幅、反射器本数などを変更する程
度であり、若干の改善は見られるものの、フィルタの要
求仕様を満たすような改善は見られず、品質的に問題の
あるSAW装置になってしまうという問題があった。
ト方位は従来の一般的な基板を使用した状態で、急峻性
に優れた通過帯域特性を有する、品質的に良好なラダー
型弾性表面波フィルタの電極構造を提供することとす
る。
め、本発明は、圧電基板上にIDT電極の複数を直列お
よび並列に接続したラダー型回路を構成した弾性表面波
フィルタであって、少なくとも1つのIDT電極に周波
数特性制御用のIDT電極を並列接続し、また、前記周
波数特性制御用のIDT電極の共振周波数は通過帯域外
にあることとし、さらに、前記周波数特性制御用のID
T電極を、ラダ−型回路を構成する弾性表面波共振子の
弾性表面波伝搬路の延長線上に配置することとした。
面に基づき詳細に説明する。
す図である。図中の1は圧電基板であり、この表面に薄
膜の2〜6で示す金属でできた電極を配置する。2は周
波数特性制御用のIDT電極である。3は通常のラダ−
型弾性表面波フィルタを構成するIDT電極である。ま
た、4は反射器で、IDT電極の両側に配置する。反射
器4は、IDT電極2および3の共振状態を変化させる
ためであり、無い場合もあり得る。また、5はフィルタ
の接地端子、6aはフィルタの入力端子、6bはフィル
タの出力端子である。本発明の特徴は、図1に示すよう
に、直列共振子R1に並列に周波数特性制御用のIDT
電極2を接続した構造を持っていることである。
ィルタで、3個の直列共振子R1の中央に本発明の弾性
表面波共振子2を用いた容量を付加した場合の弾性表面
波フィルタの例である。図2は、5個のIDT電極3を
接続したフィルタで、3個ある直列共振子R1の1段目
と3段目の直列共振子R1に、本発明の弾性表面波共振
子2を用いた容量を付加した場合の弾性表面波フィルタ
の例である。図3は、5個のIDT電極3を接続したフ
ィルタで、並列共振子R2に本発明の弾性表面波共振子
2を用いた容量を付加した場合の弾性表面波フィルタの
例である。なお、5はパッケージのグランドパッドにワ
イヤーボンディングによって接続されるグランドの電極
である。6a、6bはパッケージの入出力パッドにワイ
ヤーボンディングによって接続される入出力電極であ
る。
を、このように接続する理由について説明する。
するために、本発明の弾性表面波装置では、弾性表面波
の伝搬特性を変えずに、並列に付加したIDT電極の持
つ静電容量によって、各弾性表面波共振子のΔfを任意
に制御することができる。これによりフィルタの通過帯
域特性をより急峻にできる。図12は、弾性表面波共振
子に並列に弾性表面波共振子で構成された付加容量Cp
を接続した場合の電気的等価回路図である。ここで、共
振周波数fr=1/√(L1・C1)、反共振周波数f
a=fr/√(1+C1・(Co+Cp))で表すこと
ができる。付加容量Cpを増加させることによって、f
aは低下するが、frは変化しない。これを図で示した
ものが、図8である。Cpによって、共振周波数8は変
化しないが、反共振周波数7のみ変化していることがわ
かる。
Cpを増加させること、つまり周波数調整用IDT電極
2の容量を増加させることにより、インピーダンス特性
の共振周波数と反共振周波数との差Δfは小さくなる。
この構成の弾性表面波共振子2を、直列側もしくは並列
側の共振子R1,R2に少なくとも一箇所以上に接続し
たラダ−型フィルタを形成すれば、Δfが小さく、この
ため、通過帯域特性の両側もしくは、どちらか片方の急
峻性は向上する。
示す。図5では直列共振子R1の一部に本発明の弾性表
面波共振子を用いた場合を示しており、高周波側の通過
帯域と減衰の傾度が改善できることが判る。また、図6
では並列共振子の一部に本発明の弾性表面波共振子を用
いた場合であり、低周波側の通過帯域と減衰の傾度が改
善できることが判る。また、図7は直列共振子と並列共
振子の両方に本発明の弾性表面波共振子を用いた場合で
ある。この場合は、高周波側の帯域と減衰の傾度と低周
波側の通過帯域と減衰の傾度がともに改善できることが
判る。
極は、梯子状に接続した共振子すべてに付加しても構わ
ないが、図1、2のように、少なくとも1個の共振子に
のみ付加容量をつけることで、弾性表面波共振子によっ
て発生する減衰極の周波数を異なる設定にすることで
き、効率良く減衰帯域を大きくとることができる。
に反射器電極を設けることで、周波数特性制御用IDT
電極で発生した弾性表面波が、ラダ−型フィルタ本来の
弾性表面波共振子(直列共振子もしくは並列共振子)に
対して悪影響を与えるような不要波をほぼカットするこ
とができる。
振子を格子状に接続した構造のフィルタ)についても、
上記同様に適応可能である。すなわち、ラダー型フィル
タおよびラティス型フィルタのように、弾性表面波共振
子の電気インピーダンスの周波数特性を任意の特性にす
ることで、フィルタ特性を得ることができる構造であれ
ば、本発明のように通過帯域や帯域外減衰量の改善が図
れる。
3単結晶36°及び42°YカットX伝搬の圧電基板上
においては、H/λ=0.07〜0.11(H;電極膜
厚、λ;弾性表面波の波長)の範囲では、図13に示す
ように、0〜10本の間で90%近く弾性表面波が反射
されるので10本以上が好ましい。このような反射器を
使用すれば、請求項3で示したように、ラダ−型フィル
タ本来の弾性表面波共振子の弾性表面波伝搬路の延長線
上に、10本以上の反射器電極を持った周波数特性制御
用IDT電極を近接して配置することができ、余分なス
ペースを必要としないため、圧電基板の小型化ができ
る。
に弾性表面波共振子が付加されていることで、印加電力
が分散され、付加容量を接続しない場合のIDT電極に
比べて、1本当たりにかかる電力は低減される。結果と
して耐電力特性に優れた弾性表面波フィルタを作製する
ことができる。
グ時に焦電効果等によって発生する静電気による電極破
壊も、電力が分散されるため発生しにくくなる。また、
SAW装置用の圧電基板として、36°±3°Yカット
X伝搬タンタル酸リチウム単結晶、42°±3°Yカッ
トX伝搬タンタル酸リチウム単結晶、64°±3°Yカ
ットX伝搬ニオブ酸リチウム単結晶、41°±3°Yカ
ットX伝搬リチウム単結晶、45°±3°XカットZ伝
搬四ホウ酸リチウム単結晶は電気機械結合係数が大き
く、かつ、周波数温度係数が小さいため圧電基板として
好ましい。圧電基板の厚みは0.1mm〜0.5mm程
度がよく、0.1mm未満では圧電基板がもろくなり、
0.5mm超では材料コストと部品寸法が大きくなり、
使用できない。
もしくはAl合金(Al−Cu系、Al−Ti系)から
なり、蒸着法、スパッタ法、またはCVD法などの薄膜
形成法により形成する。電極厚みは0.1μm〜0.5
μm程度とすることがSAW装置としての特性を得るう
えで好適である。
び圧電基板上のSAW伝搬部にSi、SiO2、Si
N、Al2O3を保護膜として150μm以上の膜厚を
形成し、導電性異物による通電防止や耐電力向上を行っ
てもかまわない。
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々
の変更は何ら差し支えない。
ルタを試作した実施例を説明する。42°YカットLi
TaO3単結晶基板上にAl(98wt%)−Cu(2
wt%)による微細電極パターンを形成した。パターン
作製には、縮小投影露光機(ステッパー)、およびRI
E(Reactive Ion Etching)装置
によりフォトリソグラフィを行なった。まず、基板材料
をアセトン・IPA等によって超音波洗浄し、有機成分
を落とした。
乾燥を行なった後、電極の成膜を行なった。電極成膜に
は、スパッタリング装置を使用し、Al−Cuの材料を
成膜した。電極膜厚は約0.2μmとした。
コートし、縮小投影露光装置(ステッパー)により、所
望のパターニングを行なった。ステッパーには、パター
ニングの原版となるレチクルが必要であるが、これは、
ステッパー自身の光学系にて像を1/5に縮小投影する
ため、実際のパターンの5倍のサイズでかまわない。こ
のため、逆に従来のコンタクトアライナーに比べると、
5倍の解像度が得られる。
アルカリ現像液で溶解させ、所望パターンを表出した
後、RIE装置により、Al−Cu電極のエッチングを
行ない、パターンニングを終了した。
パッタリング装置にて成膜し、その後、フォトリソグラ
フィによってレジストのパターニングを行ない、RIE
装置等でワイヤーボンディング用窓開け部のエッチング
を行ない、保護膜パターンを完成した。
グし、チップごとに分割した。そして、各チップをダイ
ボンド装置にてピックアップし、Si樹脂を主成分とす
る樹脂でSMDパッケージ内に接着した。この後約16
0℃の温度をかけ、乾燥・硬化した。SMDパッケージ
は3mm角の積層構造のものを用いた。
ッケージのパッド部とチップ上のAlパッド上にボール
ボンディングした後、リッドをパッケージにかぶせ、封
止機にて溶接封止して完成した。なお、チップ上の接地
用電極パターンは各々分離して配線し、Auボールボン
ディングにてパッケージ上のグランドパッドにボンディ
ングした。
性表面波共振子は、くし状電極の対数(本数の1/2)
が40〜120対、交差幅が10〜30λ(λは弾性表
面波の波長)で、弾性表面波の波長λは直列と並列で違
えてあるが、概略2μmとした。ここで、反射電極本数
は直列共振子、並列共振子とも20本である。
りである。図1は直列共振子が3個、並列共振子が2個
で構成される2.5段T型で、3段の中央の直列共振子
に本発明の容量を付加したIDTを用いた例である。図
2は2.5段T型で、3段の直列共振子の1段目と3段
目に本発明の容量を付加したIDT電極を用いた例であ
る。また、図3は並列共振子に容量を付加したくし状電
極を用いた例である。
を作製した場合の、周波数特性の例である。図5は直列
共振子の一部に本発明の弾性表面波共振子を用いた場合
で、図6は並列共振子の一部に本発明の弾性表面波共振
子を用いた場合である。図7は直列共振子と並列共振子
の一部に本発明の弾性表面波共振子を用いた場合であ
る。図10,11は実際の測定結果であり、図10は1
680MHz〜2080MHzの周波数特性測定範囲の
グラフであり、図11は0MHz〜6GHzの周波数特
性測定範囲のグラフである。測定はネットワークアナラ
イザを用いて、通過特性であるS21パラメータの測定
を行った。
面波共振子に並列に弾性表面波共振子で構成される付加
容量を追加することで、比較的容易に共振子特性のΔf
を変えることができる。
て、付加容量を変えた場合の共振子特性をプロットした
グラフである。また、横軸は周波数、縦軸はインピーダ
ンスの絶対値を示している。付加容量の大きさを増やす
と、反共振周波数7は低下し、共振周波数8と反共振周
波数7との差Δfは小さく、急峻になっている。図9は
付加容量のくし状電極対数による変化を示したグラフで
ある。
し、通過帯域内に付加した弾性表面波共振子の共振周波
数による不要スプリアスが現れないようにした。この場
合は通過帯域内に影響を及ぼさない1600MHz付近
にスプリアスが出ている。なお、ラダー型弾性表面波フ
ィルタを構成するIDT電極の線幅は、概略0.5μm
とした。
=10λ(λは弾性表面波の波長:概略2μm)とし
た。図9のグラフのように、付加した弾性表面波共振子
のIDT電極対数Ntによって付加容量Cpの値はほぼ
直線的に増加している。
の付加容量が必要であれば、Nt=25対、W=10
λ、反射器本数10本以上の周波数特性制御用IDT
を、本来のラダ−型弾性表面波フィルタを構成する弾性
表面波共振子に並列に配設すればよい。
表面波フィルタを用いて作製したフィルタ特性を示す。
この場合、図1に示すように、2段目の直列共振子に付
加容量を並列に入れ、配線どうしが交差しないように配
慮して設計すると、図10、11の周波数特性のように
通過域の高域側の肩部が急峻になる。
波フィルタによれば、圧電基板・カット方位及び電極膜
厚を変えずに、急峻性に優れた通過帯域特性を有するラ
ダ−型またはラティス型の弾性表面波フィルタを提供す
ることができる。
付加したことで、印加電力が分散され、結果として耐電
力特性に優れ、その上、電極のパターニング時に焦電効
果等によって発生する静電気による電極破壊も、印加電
力が分散されるため、極力防止することが可能な信頼性
に優れた弾性表面波フィルタを提供できる。
振周波数が通過帯域外にあることで帯域外減衰量の改善
ができる。
を、主回路を構成する弾性表面波共振子の弾性表面波伝
搬路の延長線上に配置することにより、基板上の電極面
積を小さく抑えることが可能であり、大量生産に好適な
弾性表面波フィルタを提供できる。
の電極構造の実施形態を模式的に示す平面図である。
の電極構造の実施形態を模式的に示す平面図である。
の電極構造の実施形態を模式的に示す平面図である。
に示す平面図である。
直列共振子側に用いた場合の特性を説明する線図であ
る。
並列共振子側に用いた場合の特性を説明する線図であ
る。
直列共振子側と並列共振子側の両方に用いた場合の特性
を説明する線図である。
付加した場合のインピーダンスの周波数特性図である。
付加した場合の、IDT対数による付加容量値の変化を
示したグラフである。
に付加した場合の、弾性表面波フィルタの周波数特性を
示す線図である(1680MHz〜2080MHz)。
に付加した場合の、弾性表面波フィルタの周波数特性を
示す線図である(0MHz〜6000MHz)。
に付加した場合の電気的等価回路図である。
反射器本数と弾性表面波の漏れ量を説明するグラフであ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 圧電基板上にIDT電極の複数をラダー
型回路またはラティス型回路に接続した弾性表面波フィ
ルタであって、少なくとも1つのIDT電極に周波数特
性制御用のIDT電極を並列接続したことを特徴とする
弾性表面波フィルタ。 - 【請求項2】 前記周波数特性制御用のIDT電極の共
振周波数は通過帯域外にあることを特徴とする請求項1
に記載の弾性表面波フィルタ。 - 【請求項3】 前記周波数特性制御用のIDT電極を、
弾性表面波の伝搬路の延長線上に配置することを特徴と
する請求項1に記載の弾性表面波フィルタ。
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