JP2001342441A - リサイクル対応粘着テープ - Google Patents

リサイクル対応粘着テープ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の樹脂成型部品に対しては貼着したまま
溶融リサイクルが可能で、それ以外の樹脂成型部品に対
しては、容易に再剥離可能な粘着テープを提供する。 【解決手段】 流れ方向および幅方向にそれぞれ20N
/20mm以上の引張強度を有する支持体フィルムの少
なくとも片面に、ポリスチレン樹脂および/またはアク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂と相溶性を有
するスチレン系ブロックコポリマー、および架橋させた
粘着付与樹脂を含有する粘着剤層を設けたことを特徴と
する粘着テープ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融リサイクル可
能な樹脂成型部品を固定する粘着テープに関する。詳し
くは、ポリスチレン(以下、PStと略す)およびアク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン(以下、ABSと
略す)系樹脂成型部品に対してはテープを剥がさずに溶
融リサイクルでき、被着体が上記以外の樹脂成型部品の
場合は、加熱処理あるいは溶剤処理などの特別な剥離処
理をしなくても、該被着体から糊残りやチギレがなく剥
離できる粘着テープに関する。(以下、糊残りやチギレ
なく剥離することを再剥離、再剥離できる性能のことを
再剥離性という。)
【0002】
【従来の技術】近年環境対策の一環として、電子機器等
の樹脂成型部品には、溶融リサイクル可能なPSt、A
BS、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン(以下、PC/ABSと略す)等の熱可塑
性樹脂が採用されている。これらの熱可塑性樹脂成型部
品を固定する場合、接着剤を使用する方法やウェルダリ
ング法もあるが、加工性や作業性が良好であることか
ら、粘着テープが多用されている。特に両面粘着テープ
による固定は、固定される部品の形状が複雑な場合や、
自動化ラインでの生産性を要求される場合等に有利であ
る。
【0003】従来、これらの粘着テープで固定された樹
脂成型部品をリサイクルする場合、貼着された粘着テー
プを剥離した後に溶融リサイクルされるのが一般的であ
ったが、剥離に際して加熱や溶剤を使用して粘着剤を軟
化させたり、物理的に切り取る、あるいは削り取るとい
った手間のかかる工程を必要とした。特開平8−209
086号公報には、樹脂成型部品の固定時には強い接着
力を発揮し、剥離する際には糊残りやチギレのない粘着
テープが開示されている。
【0004】一方、粘着テープを貼着したまま樹脂成型
部品を溶融リサイクルする方法が、特開平4−1360
82号公報や特開平7−3218号公報に開示されてい
る。この方法は、被着体と粘着テープが互いに相溶性を
有する組合せの場合には使用できるが、必ずしもこのよ
うな特定の組合せでのみ使用されるとは限らない。互い
に相溶性をもたない組合せの場合は、従来通り剥離しな
ければならないこととなるが、これまで、貼着したまま
溶融リサイクルできる粘着テープで、同時に再剥離性を
有するものは知られていない。
【0005】特開平8−34088号公報にも、シート
状部材を貼着したまま溶融リサイクル可能な電子機器の
部品が開示されているが、被着体とシート状部材の接着
剤として、被着体およびシート状部材との相溶性を有す
るPMMAのみが例示されているにすぎず、粘着テープ
としての具体的な構成や、その再剥離性等については何
ら記載も示唆もされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みてなされたもので、その課題とするところは、特定
の樹脂成型部品に対しては貼着したまま溶融リサイクル
が可能で、それ以外の樹脂成型部品に対しては、固定時
には長期間にわたって強い接着力を発揮し、剥離する際
にはチギレや糊残りのない、いわゆる再剥離可能な粘着
テープを提供することにある。樹脂成形部品に粘着テー
プを貼着したまま溶融リサイクルする場合、単に被着体
樹脂と粘着テープが相溶するというだけでは不十分であ
る。溶融リサイクルされた再生樹脂成形部品の機械的特
性と、純正樹脂成形部品の機械的特性との変動をできる
限り小さく抑えることも課題となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させる
に至った。すなわち、本発明の粘着テープは、樹脂成型
部品用熱可塑性樹脂として多用されているPStおよび
/またはABSとの相溶性を有し、該樹脂成型部品に貼
着したまま溶融リサイクル可能であり、かつ該熱可塑性
樹脂以外の樹脂成型部品に対しては、良好な再剥離性を
有する粘着テープである。その構成は、PSt、AB
S、PC/ABSと相溶性を有し、かつ流れ方向(以
下、MDと略す)および幅方向(以下、TDと略す)に
それぞれ20N/20mm以上の引張強度を有する支持
体フィルムの少なくとも片面に、スチレン系ブロックコ
ポリマーおよび粘着付与樹脂を含有する粘着剤層を設け
たものである。なお、本発明の粘着テープは、PStや
ABS以外の被着体樹脂であっても、相溶性を有し、か
つ再生樹脂成型品の機械的特性が純正樹脂成形部品の機
械的特性と比較して大きく変動しない場合は、貼着した
まま溶融リサイクルすることができる。
【0008】前記課題を解決するために、本発明では粘
着剤の主成分として、PStやABSとの相溶性を有す
るスチレン系ブロックコポリマーを使用する。中でも、
スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー
(以下、SISと略す)が好適である。また、十分な接
着力を付与するために粘着剤に添加する粘着付与樹脂と
しては公知慣用のものを使用することができるが、特に
水酸基価が15以上100以下のロジン系樹脂が、ミク
ロ相分離させやすく好ましい。
【0009】しかしながら、ロジン系樹脂は空気中の酸
素によってフリーラジカルを発生しやすく、このフリー
ラジカルが粘着剤を分解劣化させることが下記文献1に
記載されている。 文献1:遠山ら,日本接着協会誌,Vol.9,No.
3,120(1973) 本発明者等は、本発明のSIS−ロジン系樹脂の系にお
いても、SISの主鎖の二重結合が切断されて分解劣化
が起こっており、しかもロジン系樹脂の水酸基価が高い
ほど分解劣化しやすいことを見出した。SISが分解劣
化すると、粘着剤の凝集力が低下する結果、接着強度が
低下するとともに、剥離時に糊残りの原因となる。その
ため、上記架橋剤としては、分解劣化の誘因となるロジ
ン系樹脂の水酸基量を適宜制御できるものが望ましい。
この目的のためには、水酸基と架橋反応するイソシアネ
ート系架橋剤が好適である。
【0010】また、本発明者等は、上記文献1に記載さ
れた樹脂溶液の一定条件下、一定時間内の酸素吸収量
を、粘着付与樹脂による粘着剤の分解劣化しやすさの指
標として使用し得ることを見出した。その結果、本発明
の粘着剤に使用する粘着付与樹脂の酸素吸収量は、1m
l以下であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の支持体フィルムは、溶融時にPStおよ
び/またはABSに相溶することと、再剥離時にチギレ
を起こさせないために、MDおよびTD方向にそれぞれ
20N/20mm以上の引張強度を有すること以外は特
に限定されるものではない。具体的には、例えばPSt
フィルム、ハイインパクトポリスチレン(以下、HIP
Stと略す)フィルム、二軸延伸ポリスチレン(以下、
OPStと略す)フィルム、ABSフィルム等が挙げら
れる。フィルムの厚みとしては、5〜200μmのもの
が好ましい。また粘着剤との密着性を改善するために、
支持体フィルム表面にコロナ処理やプライマー処理を行
ってもよい。
【0012】本発明では、支持体フィルムの引張強度
は、標線長さ100mm、幅20mmのダンベル状に打
ち抜いたサンプルを用い、テンシロン引張試験機を用
い、23℃で引張速度300mm/minの条件で測定
した。
【0013】本発明のスチレン系ブロックコポリマーと
しては、SIS、スチレン−ブタジエン−スチレン(以
下、SBSと略す)、スチレン−エチレンプロピレン−
スチレン等のブロックコポリマーが挙げられる。分子量
は1万〜80万であることが好ましい。1万未満では粘
着剤の凝集力が低く、80万を越えると充分な接着力が
得られない。またジブロック量は30〜80質量%以下
であることが好ましい。30質量%未満では充分な接着
力が得られず、80質量%を越えると充分な保持力が得
られない。
【0014】本発明の粘着付与樹脂としては、C5系石
油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂環族/芳香族系石油樹
脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系
樹脂、テルペン−フェノール樹脂、アルキルフェノール
樹脂等が挙げられる。添加量は、スチレン系ブロックコ
ポリマーに対し60〜200質量%が好ましい。60質
量%未満の場合は、充分な接着力が得られず、200質
量%を越える場合は、耐熱保持力が低下する。ロジン系
樹脂の場合、水酸基価の好ましい範囲は15〜100で
ある。SISとの系においては、ロジン系樹脂の水酸基
価が高いほどミクロ相分離させやすいが、100を超え
ると前述したSISの分解劣化が促進され、逆に15未
満では架橋剤による高分子量化が不十分となり、粘着剤
の粘度が上がらないため、十分な曲面接着力が得られな
い。
【0015】前述のように、粘着付与樹脂の酸素吸収量
は、少ないほど粘着剤の分解劣化が抑制される。酸素吸
収量は0であるのが最も好ましいが、通常好ましい範囲
は0.01〜1mlである。なお、粘着付与樹脂の酸素
吸収量の測定は、前記文献1に記載された方法に従い、
Bollandの高圧酸素吸収測定装置を用い、粘着付
与樹脂10gをo−ジクロルベンゼン10mlに溶解
し、70℃15分間放置したときの酸素吸収量を、酸素
圧760mmHg、25℃の容積として求めた。
【0016】本発明の架橋剤としては、公知慣用のポリ
イソシアネート、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹
脂、金属キレート、金属酸化物、金属塩、金属水酸化
物、酸無水物、ポリアミン等が使用できる。中でも特
に、水酸基との反応性を有するイソシアネート系架橋剤
を使用するのが好ましい。その添加量は、粘着剤の粘度
と架橋反応後の残存水酸基量との良好なバランスを得る
ためには、粘着付与樹脂の水酸基に対するイソシアネー
ト基のモル当量を0.1〜10とするのが好ましい。
【0017】粘着剤層には、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、充填剤、顔料、増粘剤等、公知慣用の各種添加剤
を、接着力を損なわない範囲で添加することができる。
【0018】上記スチレン系ブロックコポリマー、粘着
付与樹脂、架橋剤、および各種添加剤を、公知慣用の溶
剤、例えばトルエン、酢酸エチル、n−ヘキサン、ヘプ
タン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケト
ン、テトラヒドロフランなどの単独、あるいは混合溶剤
に溶解または分散させ、固形分濃度10〜80質量%の
粘着剤組成物を調製する。
【0019】粘着剤層は、粘着テープの塗工に一般的に
使用されている方法で支持体フィルム上に形成すること
ができる。粘着剤組成物を支持体フィルムに直接塗工し
乾燥してもよいが、いったんセパレータに塗工し、乾燥
後、支持体フィルムに貼り合わせるのが好ましい。
【0020】本発明の粘着剤層の厚みは特に限定される
ものではないが、一般の粘着テープと同程度の5〜40
0μmが好ましい。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の実施例と比較例を記載し
て、本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明は
これに限定されるものではない。また、「部」および
「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」および
「質量%」を意味する。
【0022】<粘着剤組成物>スチレン系ブロックコポ
リマー、アクリル系ポリマー、表1に記載した粘着付与
樹脂、酸化防止剤、および架橋剤を、表2に掲げる割合
で配合し、トルエンに溶解して、固形物濃度50%の粘
着剤組成物 I〜VI を調製した。表2中、イルガノック
スNC−4は酸化防止剤、バーノックスNC−40はイ
ソシアネート系架橋剤である。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】<粘着テープ>アプリケーターを用い、粘
着剤組成物を、乾燥後の厚さが30μmとなるようにセ
パレータ上に塗布し、80℃で3分間乾燥した後、表3
に記載の基材A〜Dの両面に貼り合わせ、実施例1〜
6、および比較例1〜3の両面粘着テープを作製した。
【0026】
【表3】
【0027】<粘着テープの試験および結果の評価>実
施例1〜6、および比較例1〜3の粘着テープについ
て、接着力、再剥離性、および溶融リサイクル適性を、
下記の方法で試験し、評価した。
【0028】〔接着力〕20mm幅×100mm長さの
23μmのPETフィルムで片面をバッキングした粘着
テープを23℃にてポリスチレン板に貼付し、2kgロ
ーラーで1往復加圧した。30分間放置後、23℃にて
180°方向に300mm/minで剥離し、接着力を
測定した。結果を表5に示す。
【0029】〔再剥離性〕23℃にて25mm幅×10
0mm長さの粘着フィルムをポリスチレン板およびステ
ンレス板に貼付し、60℃90%RHで5日間の条件で
放置後、135°方向に5〜10m/minの速度で引
き剥がしたときのテープのチギレおよび粘着剤の糊残り
を観察し、両面粘着テープのMD方向とTD方向で評価
した。評価結果を表5に示す。再剥離性の評価基準は以
下の通り。 ◎:糊残り、および粘着テープのチギレがなく、ポリス
チレン板およびステンレス板とも再剥離可能。 ○:剥離きっかけ部に一部糊残りするが、ポリスチレン
板およびステンレス板とも再剥離可能。 ×:ポリスチレン板あるいはステンレス板に対し、全面
糊残りまたは粘着テープのチギレがあり、再剥離不可
能。
【0030】〔溶融リサイクル適性〕HIPSt樹脂
(大日本インキ化学工業製「GH−8300−1」)
に、実施例1〜6、および比較例1〜3の粘着テープを
5質量%の割合で混合し、再ペレット化したものを射出
成型器で成型し、試験サンプルとした。「GH−830
0−1」のみの成型品を標準サンプルとし、各試験サン
プルの機械的特性(引張強度、引張伸び)を測定した。
引張強度[MPa]、および引張伸び[伸び%]は、い
ずれもJIS K6871に従い、引張速度5mm/m
inで測定した。測定結果を表4に、評価結果を表5に
示す。溶融リサイクル適性の評価基準は以下の通り。標
準サンプルの測定値を100としたとき、標準サンプル
と各試験サンプルの測定値の差(ΔV)が、 ◎:両項目とも 0≦ΔV<5の場合。 △:どちらか1項目が 0≦ΔV<5、他項目が5≦Δ
V<10 、または両項目とも 5≦ΔV<10の場合。 ×:少なくともどちらか1項目が 10≦ΔV の場合。
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】表5に記載した結果から明らかなように、
実施例はいずれも高い接着力を示しており、かつ再剥離
性、溶融リサイクル適性の両面に優れている。
【発明の効果】本発明の粘着テープは、構成する支持体
フィルムおよび粘着剤がともにPStおよび/またはA
BSに相溶する。被着体がPStまたはABSの樹脂成
型部品である場合は、該粘着テープを貼着したまま、機
械的特性を損なうことなく溶融リサイクルすることがで
きる。被着体が上記樹脂以外の場合は、リサイクルに際
して剥離する必要があるが、本発明の粘着テープに使用
する支持体フィルムは、MD方向とTD方向に強い引張
強度を有しており、また粘着剤は分解劣化しにくい特徴
を有するので、高い接着力を持ちながら、糊残りやチギ
レを起こすことなく容易に剥離することができ、加熱処
理あるいは溶剤処理等の、従来剥離のために必要とされ
た特殊な工程が不要であるという、顕著な効果を発現す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 193/04 C09J 193/04 (72)発明者 山田 昭洋 愛知県小牧市中央3−226 メリー501 Fターム(参考) 4J004 AA02 AA04 AA05 AA12 AA13 AA14 AB01 CA04 CC02 CD07 CD08 DB01 DB02 FA08 GA03 4J040 BA201 BA202 DM011 DM012 DN031 DN032 EB041 EB042 EB111 EB112 EB131 EB132 EC001 EC002 EF281 EF282 GA05 HA136 HB22 HC01 HD41 JA12 JA13 JB09 KA16 KA23 KA26 LA11 MA10 MB03 NA19 PA42 PA44

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスチレン樹脂および/またはアクリ
    ロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂成型部品を被着
    体とし、該樹脂と相溶性を有し、該被着体に貼着したま
    ま溶融リサイクル可能な粘着テープであって、流れ方向
    および幅方向にそれぞれ20N/20mm以上の引張強
    度を有する支持体フィルムの少なくとも片面に、スチレ
    ン系ブロックコポリマーおよび粘着付与樹脂を含有する
    粘着剤層を設けたことを特徴とする粘着テープ。
  2. 【請求項2】 スチレン系ブロックコポリマーがスチレ
    ン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーである請
    求項1に記載の粘着テープ。
  3. 【請求項3】 粘着付与樹脂が、水酸基価15以上10
    0以下のロジン系樹脂である請求項2または3に記載の
    粘着テープ。
  4. 【請求項4】 粘着剤層がイソシアネート系架橋剤を含
    有する請求項3に記載の粘着テープ
  5. 【請求項5】 粘着付与樹脂の酸素吸収量が1ml以下
    である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着テー
    プ。
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