JP2001338767A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JP2001338767A
JP2001338767A JP2000156838A JP2000156838A JP2001338767A JP 2001338767 A JP2001338767 A JP 2001338767A JP 2000156838 A JP2000156838 A JP 2000156838A JP 2000156838 A JP2000156838 A JP 2000156838A JP 2001338767 A JP2001338767 A JP 2001338767A
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alkali metal
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organic electroluminescent
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Masamichi Fujihira
正道 藤平
Ganzorikku Chimiddo
ガンゾリック チミッド
Yoshiharu Sato
佳晴 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低電圧、高発光効率で駆動させることがで
き、かつ長期間に亙って安定な発光特性を維持できる有
機電界発光素子を提供する。 【解決手段】 基板1上に、陽極2及び陰極5により挟
持された発光層3を有する有機電界発光素子。陰極5と
発光層3との間に、陰極5に接して、電子輸送材料と、
芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩、8−ヒドロキシキ
ノリン誘導体のアルカリ金属錯体、及び10−ヒドロキシ
ベンゾ[h]キノリン誘導体のアルカリ金属錯体から選
ばれるアルカリ金属含有化合物とを含有する陰極界面層
4が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機電界発光素子に
関するものであり、詳しくは、有機化合物から成る発光
層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイスに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜型の電界発光(EL)素子と
しては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZn
S、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類
元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが
一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子
は、 1)交流駆動が必要(50〜1000Hz)、 2)駆動電圧が高い(〜200V)、 3)フルカラー化が困難(特に青色)、 4)周辺駆動回路のコストが高い、 という問題点を有している。
【0003】しかし、近年、上記問題点の改良のため、
有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになっ
た。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリア
ー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行
い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキ
シキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設け
た有機電界発光素子の開発(Appl. Phys. Lett., 51巻,
913頁,1987年)により、従来のアントラセン等の単結
晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善が
なされ、実用特性に近づいている。
【0004】上記の様な低分子材料を用いた電界発光素
子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p−フェニレ
ンビニレン)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシル
オキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ(3-アルキル
チオフェン)等の高分子材料を用いた電界発光素子の開
発や、ポリビニルカルバゾール等の高分子に低分子の発
光材料と電子移動材料を混合した素子の開発も行われて
いる。
【0005】このような状況において、有機電界発光素
子の課題としては、駆動安定性の向上と低駆動電圧化の
二点が挙げられる。
【0006】即ち、有機電界発光素子の駆動時における
電圧が高く、即ち、発光効率が低く、耐熱性を含めた駆
動安定性が低いことは、ファクシミリ、複写機、液晶デ
ィスプレイのバックライト等の光源としては大きな問題
であり、特にフルカラーフラットパネル・ディスプレイ
等の表示素子としても望ましくない。
【0007】有機電界発光素子の駆動時の不安定性とし
ては、発光輝度の低下、定電流駆動時の電圧上昇、非発
光部分(ダークスポット)の発生等が挙げられる。これ
らの不安定性の原因はいくつか存在するが、主として、
陰極材料、特に、陰極の発光層側の界面の劣化が大きな
要因となっていると考えられる。即ち、有機電界発光素
子の場合、陰極から有機層側への電子注入を容易に行う
ために、通常、陰極材料としてはマグネシウム合金やカ
ルシウム等の低仕事関数金属が用いられるが、これらの
金属は空気中の水分により酸化されやすく、駆動時の不
安定性の大きな要因となっている。低仕事関数金属を用
いた陰極は、素子の駆動電圧を低くするためには有効で
あるが、上述の不安定性のために改善が望まれている。
【0008】一方、アルミニウムにリチウム金属を0.01
〜0.1 重量部含有させた合金よりなる陰極が開示されて
いる(特開平5−121172号公報)。この陰極の形成のた
めには、リチウム金属の含有量を厳密に制御する必要が
あるが、真空蒸着法においてアルミニウムとリチウム金
属をそれぞれ独立に蒸着源として用いる2元蒸着によ
り、所望の組成比のアルミニウム・リチウム合金の陰極
層を形成するのはプロセス上困難である。アルミニウム
とリチウムの所望の組成比の合金を予めペレットやター
ゲットの形で作製しておき、電子ビーム蒸着法やスパッ
タ法で陰極を形成することも考えられてはいるが、この
方法では、リチウムとアルミニウムの蒸気圧及びスパッ
タ効率の違いにより、成膜を重ねると蒸着源であるアル
ミニウム・リチウム合金の組成比の変動を起こすとい
う、実用上の問題が存在する。また、金属リチウム原子
は拡散しやすく、隣接する有機層に拡散して発光を消光
すること、更には、水分には非常に敏感であるため、リ
チウム原子を含む陰極が形成された素子では、封止精度
に対する要求が甚だ厳しいものとなるといった不具合も
ある。
【0009】一方、リチウムを6モル%以上含むアルミ
ニウム合金よりなる陰極も開示されているが(特開平4
−212287号公報)、このような素子でも既述したリチウ
ム金属原子の不安定性のために厳重な保護膜を必要と
し、また、リチウム原子に由来する拡散不安定性を回避
することはできない。
【0010】陰極の有機発光層側に接する界面に、フッ
化リチウム、酸化リチウム等の極薄膜無機絶縁層(0.3
〜10nm)を挿入することも検討されているが(Appl. Ph
ys.Lett., 70巻,152頁,1997年;IEEE Trans. Electro
n. Devices,44巻,1245頁,1997年)、有機層との付着
力に難があり、陰極の剥離等によるダークスポット発生
の問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来、有
機電界発光素子の陰極材料としては、アルミニウム金属
にリチウムを合金化させたものやリチウム化合物を混合
したものなどが提案されているが、駆動安定性の向上と
低駆動電圧化に有効なものは提供されておらず、更には
製造プロセスにおいても実用上の問題を有するものであ
った。
【0012】本発明は上記従来の問題点を解決し、低電
圧、高発光効率で駆動させることができ、かつ長期間に
亙って安定な発光特性を維持できる有機電界発光素子を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の有機電界発光素
子は、基板上に陽極及び陰極を有し、両極間に、電子輸
送材料、及び芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩、8−
ヒドロキシキノリン誘導体のアルカリ金属錯体、及び10
−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン誘導体のアルカリ金
属錯体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のアル
カリ金属含有化合物を含有する層が設けられていること
を特徴とする。
【0014】即ち、本発明者は、低電圧で高輝度に発光
し、かつ、駆動時においても安定な発光特性を維持で
き、更には、素子作製時に選択し得るプロセス条件の範
囲が広い有機電界発光素子を提供すべく鋭意検討した結
果、基板上の陽極と陰極との間に電子輸送材料と特定の
アルカリ金属含有化合物とを含有する層を設けることに
より、上記課題を解決することができることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0015】本発明においては、特に、陽極と陰極との
間に発光層を有し、電子輸送材料と上記特定のアルカリ
金属含有化合物とを含有する層は、陰極と発光層との間
に、好ましくは陰極と接する陰極界面層として設けられ
ていることが以下の理由から効果的である。
【0016】即ち、この場合には、陰極金属と陰極界面
層中のアルカリ金属含有化合物との間で蒸着時に反応が
起こり、結果として電子注入が容易になる反応生成物が
陰極界面層内に形成される。この反応生成物の詳細につ
いては明らかではないが、アルカリ金属含有化合物に含
まれるアルカリ金属が部分的に遊離することが想定され
る。
【0017】また、本発明に係るアルカリ金属含有化合
物は、陰極界面層の真空準位を下げる効果を有し、結果
として電子注入障壁を下げて駆動電圧を下げる働きを有
する。
【0018】更に、本発明では、陰極界面層のホスト材
料として、高い電子移動度を有する電子輸送材料を用い
ているために、膜厚を従来の陰極界面層材料より厚くし
て、素子の信頼性を向上させることができる。
【0019】即ち、従来の有機電界発光素子で通常使用
されてきた陰極界面層材料は、陰極からの電子注入は容
易であるが、電子のモビリティが低いため、非常に膜厚
を薄くする必要があり、これが素子の安定性に大きく影
響していた。
【0020】しかし、本発明の電子輸送材料と上記特定
のアルカリ金属含有化合物を含有する層は、上述した理
由から、電子注入性にも優れ、かつ高いモビリティを有
することから、層を厚くすることかできるため、非常に
駆動安定性の高い有機電界発光素子を得ることができ
る。
【0021】なお、この電子輸送材料とアルカリ金属含
有化合物とを含有する層は、必ずしも陰極界面層として
陰極に接するように設ける必要はなく、陽極と陰極との
間に設けることで、電子注入効率、駆動安定性の向上効
果を得ることができる。
【0022】本発明において、電子輸送材料としては、
特に、8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体(ただ
し、中心金属がアルカリ金属である錯体を除く)、10−
ヒドロキシベンゾ[h]キノリン誘導体の金属錯体(た
だし、中心金属がアルカリ金属である錯体を除く)、ベ
ンゾオキサゾール誘導体の金属錯体(ただし、中心金属
がアルカリ金属である錯体を除く)、ベンゾチアゾール
誘導体の金属錯体(ただし、中心金属がアルカリ金属で
ある錯体を除く)、ベンズイミダゾール誘導体の金属錯
体(ただし、中心金属がアルカリ金属である錯体を除
く)、ヒドロキシフラボンの誘導体の金属錯体(ただ
し、中心金属がアルカリ金属である錯体を除く)、ベン
ズイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体及びオ
キサジアゾール誘導体よりなる群から選ばれる1種又は
2種以上が好適である。
【0023】また、本発明において、上記電子輸送材料
及びアルカリ金属含有化合物を含有する層の膜厚は0.5
〜50nmの範囲内にあることが好ましく、陰極を形成する
金属は、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カ
ルシウム、亜鉛、バナジウム、クロム及びスズよりなる
群から選ばれる1種又は2種以上であることが好まし
い。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0025】図1〜3は本発明の有機電界発光素子の構
造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽
極、3は有機発光層、3aは陽極バッファ層、3bは正
孔輸送層、3cは電子輸送層、4は陰極界面層、5は陰
極を各々表す。
【0026】基板1は有機電界発光素子の支持体となる
ものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラ
スチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラ
ス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカー
ボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好
ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性
に留意する必要がある。基板のガスバリヤ性が低すぎる
と、基板を通過する外気により有機電界発光素子が劣化
することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂
基板を用いる場合には、いずれか一方の面又は両面に緻
密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する
のが好ましい。
【0027】基板1上には陽極2が設けられる。陽極2
は有機発光層3への正孔注入の役割を果たすものであ
る。この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッ
ケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又
はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロ
ゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3-メ
チルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導
電性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通
常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われる
ことが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅など
の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒
子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバイン
ダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより
陽極2を形成することもできる。更に、導電性高分子の
場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形成した
り、基板1上に導電性高分子を塗布したりすることによ
り、陽極2を形成することもできる(Appl. Phys. Let
t., 60巻,2711頁,1992年)。陽極2は異なる物質で積
層して形成することも可能である。陽極2の厚みは、必
要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場
合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80
%以上とすることが望ましく、この場合、厚みは、通常
5〜1000nm、好ましくは10〜500nm程度である。不透明で
よい場合は陽極2は基板1と同一でもよい。また、更に
は上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも
可能である。
【0028】図1の有機電界発光素子では、陽極2の上
には有機発光層3が設けられている。有機発光層3は、
電界を与えられた電極間において、陽極2から注入され
た正孔と陰極4から注入された電子を効率良く輸送して
再結合させ、かつ、再結合により効率良く発光する材料
から形成される。通常、この有機発光層3は発光効率の
向上のために、図2に示す様に、正孔輸送層3bと電子
輸送層3cに分割して機能分離型にすることが行われる
(Appl.Phys.Lett.,51巻,913頁,1987年)。
【0029】上記の機能分離型素子において、正孔輸送
層3bの材料としては、陽極2からの正孔注入効率が高
く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することがで
きる材料であることが必要である。そのためには、イオ
ン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大き
く、更に安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時
や使用時に発生しにくいことが要求される。
【0030】このような正孔輸送材料としては、例え
ば、4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]
ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み、
2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジ
アミン(特開平5−234681号公報)、4,4',4"-トリス(1-
ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスタ
ーバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J. Lumi
n.,72-74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの
四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,217
5頁、1996年)、2,2',7,7'-テトラキス-(ジフェニルア
ミノ)-9,9'-スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Syn
th.Metals,91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。こ
れらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて
2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】正孔輸送層3bの材料としては、上記の化
合物以外に、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリ
フェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェ
ニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサル
ホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等の高分
子材料も挙げられる。
【0032】正孔輸送層3bは、上記の正孔輸送材料を
塗布法あるいは真空蒸着法により、前記陽極2上に積層
することにより形成される。
【0033】塗布法の場合は、正孔輸送材料の1種又は
2種以上に、必要により正孔のトラップにならないバイ
ンダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、溶解
して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法によ
り陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層3bを形成す
る。この場合、バインダー樹脂としては、ポリカーボネ
ート、ポリアリレート、ポリエステル等を用いることが
できる。バインダー樹脂はその添加量が多いと正孔移動
度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50
重量%以下が好ましい。
【0034】真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真
空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当
な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、ルツボ
を加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合
って置かれた基板1上の陽極2上に正孔輸送層3bを形
成させる。
【0035】正孔輸送層3bの膜厚は、通常10〜300n
m、好ましくは30〜100nmである。この様に薄い膜を一様
に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられ
る。
【0036】なお、正孔注入の効率を更に向上させ、か
つ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、
図3に示す如く、正孔輸送層3bと陽極2との間に陽極
バッファ層3aを形成することも行われている。このよ
うな陽極バッファ層3aを形成することにより、初期の
素子の駆動電圧が下がると同時に、素子を定電流で連続
駆動した時の電圧上昇も抑制できる効果がある。陽極バ
ッファ層に用いられる材料に要求される条件としては、
陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的
に安定であること、即ち、融点及びガラス転移温度が高
く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては
100℃以上が要求される。更に、イオン化ポテンシャル
が低く、陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度
が大きいことが要求される。
【0037】このような材料としては、従来、銅フタロ
シアニン等のフタロシアニン化合物(特開昭63−295695
号公報)、ポリアニリン(Appl.Phys.Lett.,64巻、1245
頁,1994年)、ポリチオフェン(Optical Materials,9
巻、125頁、1998年)等の有機化合物や、スパッタ・カ
ーボン膜(Synth.Met.,91巻、73頁、1997年)や、バナ
ジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等
の金属酸化物(J.Phys.D,29巻、2750頁、1996年)が報
告されている。
【0038】陽極バッファ層3aも、正孔輸送層3bと
同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、
更に、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD
法を用いることができる。
【0039】この様にして形成される陽極バッファ層3
aの膜厚は、通常3〜100nm、好ましくは10〜50nmであ
る。
【0040】正孔輸送層3bの上には電子輸送層3cが
設けられる。電子輸送層3cは、電界を与えられた電極
間において陰極からの電子を効率よく正孔輸送層3bの
方向に輸送するために形成され、従って、電子輸送層3
cに用いられる電子輸送性化合物としては、陰極4から
の電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率よ
く輸送することができる化合物であることが必要であ
る。そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移
動度が大きく、更に安定性に優れ、トラップとなる不純
物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが
要求される。
【0041】このような条件を満たす材料としては、8
−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯
体(特開昭59−194393号公報)、10-ヒドロキシベンゾ
[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、ビ
ススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、
同2−222484号公報)などが挙げられる。
【0042】これらの化合物を用いた電子輸送層3c
は、一般に、電子を輸送する役割と、正孔と電子の再結
合の際に発光をもたらす役割を同時に果たすことができ
る。ただし、正孔輸送層3bが発光機能を有する場合
は、電子輸送層3cは電子を輸送する役割だけを果たす
場合もある。
【0043】電子輸送層3cの膜厚は、通常10〜200n
m、好ましくは30〜100nmである。
【0044】電子輸送層3cも正孔輸送層3bと同様の
方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用
いられる。
【0045】なお、素子の発光効率を向上させるととも
に発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノ
リンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン
等のレーザ用蛍光色素をドープすること(J.Appl.Phy
s.,65巻,3610頁,1989年)等が行われている。この方法
の利点は、 1)高効率の蛍光色素により発光効率が向上、 2)蛍光色素の選択により発光波長が可変、 3)濃度消光を起こす蛍光色素も使用可能、 4)薄膜性のわるい蛍光色素も使用可能、 等が挙げられる。
【0046】素子の駆動寿命を改善する目的において
も、前記発光層材料をホスト材料として、蛍光色素をド
ープすることは有効である。例えば、8−ヒドロキシキ
ノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体をホスト材料
として、ルブレンに代表されるナフタセン誘導体(Jpn.
J.Appl.Phys.,7A巻、L824頁、1995年)、キナクリドン
誘導体(Appl.Phys.Lett.,70巻、1665頁、1997年)をホ
スト材料に対して 0.1〜10重量%ドープすることによ
り、素子の発光特性、特に駆動安定性を大きく向上させ
ることができる。発光層ホスト材料に上記ナフタセン誘
導体、キナクリドン誘導体等の蛍光色素をドープする方
法としては、共蒸着による方法と蒸着源を予め所定の濃
度で混合しておく方法がある。
【0047】機能分離を行わない単層型の有機発光層3
としては、先に挙げたポリ(p-フェニレンビニレン)
(Nature,347巻,539頁,1990年他)、ポリ[2-メトキ
シ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニ
レン](Appl.Phys.Lett.,58巻,1982頁,1991年
他)、ポリ(3-アルキルチオフェン)(Jpn.J.Appl.
Phys.,30巻,L1938頁,1991年他)等の高分子材料や、
ポリビニルカルバゾール等の高分子に発光材料と電子移
動材料を混合した系(応用物理,61巻,1044頁,1992
年)等が挙げられる。
【0048】有機電界発光素子の発光効率を更に向上さ
せる方法として、このような有機発光層3の上に更に電
子注入層を積層することもできる。この電子注入層に用
いられる化合物には、陰極からの電子注入が容易で、電
子の輸送能力が更に大きいことが要求される。この様な
電子輸送材料としては、既に発光層材料として挙げた8
−ヒドロキシキノリンのアルミ錯体、オキサジアゾール
誘導体(Appl.Phys.Lett.,55巻,1489頁,1989年他)やそ
れらをポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の樹脂に
分散した系(Appl.Phys.Lett.,61巻,2793頁, 1992
年)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公
報)等が挙げられる。この場合、電子注入層の膜厚は、
通常5〜200nm、好ましくは10〜100nmである。
【0049】陰極界面層4は有機発光層3、電子輸送層
3c、又は電子注入層の上に積層される。
【0050】図1〜3の実施の形態においては、陰極界
面層4の形成材料として、少なくとも電子輸送材料及び
前述の特定のアルカリ金属含有化合物が用いられてい
る。
【0051】この陰極界面層4に用いられる電子輸送材
料としては、電子の移動度が0.01cm 2/V・秒以上の値を
有するものであれば使用可能であるが、好ましくは、8
−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体(ただし、中心
金属がアルカリ金属である錯体を除く)、10−ヒドロキ
シベンゾ[h]キノリン誘導体の金属錯体(ただし、中
心金属がアルカリ金属である錯体を除く)、ベンゾオキ
サゾール誘導体の金属錯体(ただし、中心金属がアルカ
リ金属である錯体を除く)、ベンゾチアゾール誘導体の
金属錯体(ただし、中心金属がアルカリ金属である錯体
を除く)、ベンズイミダゾール誘導体の金属錯体(ただ
し、中心金属がアルカリ金属である錯体を除く)、ヒド
ロキシフラボンの誘導体の金属錯体(ただし、中心金属
がアルカリ金属である錯体を除く)、ベンズイミダゾー
ル誘導体、フェナントロリン誘導体及びオキサジアゾー
ル誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙
げられ、このうち、金属錯体としてはより好ましくは、
以下の一般式(I)〜(IV)に示す金属錯体が挙げられ
る。
【0052】
【化1】
【0053】一般式(I)〜(IV)において、R〜R
16は好ましくは、各々、独立して水素原子;塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル
基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル
基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基等のアル
ケニル基;シアノ基;アミノ基;ジェメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニル
アミノ基;アセチル基等のアシル基;メトキシカルボニ
ル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコ
キシカルボニル基;カルボキシル基;メトキシ基、エト
キシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;トリフルオロ
メチル基等のハロアルキル基;水酸基;フェニル基、ナ
フチル基、アセナフチル基、アントリル基等の芳香族炭
化水素基;ピリジル基、キノリル基、チエニル基、カル
バゾリル基、インドリル基、フリル基等の芳香族複素環
基等が挙げられ、特に好ましくは、水素原子、炭素数1
〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェ
ニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。ま
た、R〜R16は隣合う置換基同士で芳香属環、芳香
族複素環、脂肪族環を形成してもよい。
【0054】これらの錯体の中心金属Mとしては、アル
カリ金属以外の金属、例えば、2属、12属、13属の
金属が挙げられ、特に好ましくは、ベリリウム、マグネ
シウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウムが
挙げられる。nは中心金属Mの可価数に応じて2から3
の整数をとる。
【0055】一般式(III)において、Xは酸素原子、
硫黄原子、置換基を有する窒素原子を表し、窒素原子に
置換する基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1
〜6のアルキル基やフェニル基等のアリール基が挙げら
れる。
【0056】一般式(IV)においてArは、置換基を有
していてもよい芳香族環または芳香族複素環を示し、好
ましくは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チ
エニル基等が挙げられ、これらに置換する基としては、
好ましくはメチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアル
キル基;シアノ基;アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミ
ノ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアル
コキシ基が挙げられる。
【0057】上記金属錯体以外の電子輸送材料として
は、フェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導
体、ベンズイミダゾール誘導体が挙げられる。これらの
誘導体の好ましい具体例を以下の構造式に示すが、これ
らに限定されるものではない。
【0058】
【化2】
【0059】
【化3】
【0060】
【化4】
【0061】また、上記電子輸送材料と共に陰極界面層
4に含有されるアルカリ金属含有化合物としては、芳香
族カルボン酸のアルカリ金属塩、8−ヒドロキシキノリ
ン誘導体のアルカリ金属錯体、10−ヒドロキシベンゾ
[h]キノリン誘導体のアルカリ金属錯体が用いられ
る。これらのアルカリ金属含有化合物の好ましい具体例
を以下の構造式に示すが、これらに限定されるものでは
ない。
【0062】
【化5】
【0063】
【化6】
【0064】上記アルカリ金属含有化合物の陰極界面層
4中の含有割合は、前記電子輸送材料に対して1〜50重
量%の範囲にあるのが好ましく、この割合が1重量%未
満ではアルカリ金属含有化合物から遊離するアルカリ金
属量が不十分であり、50重量%を超えると電子輸送性が
低下する。
【0065】なお、アルカリ金属含有化合物が陰極界面
層4に含まれる領域は、膜厚方向で均一であっても不均
一であってもよい。
【0066】このような電子輸送材料及びアルカリ金属
含有化合物を含有する陰極界面層4の膜厚は、好ましく
は 0.5〜50nm、特に好ましくは1〜20nm である。このよ
うな薄い薄膜を形成するには、一般的には、真空蒸着法
が用いられる。
【0067】なお、この陰極界面層4は、その効果を損
なわない範囲で上記電子輸送材料及びアルカリ金属含有
化合物以外の成分を含んでいても良い。
【0068】陰極5は、陰極界面層4を介して、有機発
光層3に電子を注入する役割を果たす。本発明におい
て、陰極を形成する金属としては、アルミニウム、イン
ジウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バナジウ
ム、クロム、スズ、銅が挙げられ、特に好ましくはアル
ミニウムが挙げられる。
【0069】図1〜3に示す有機電界発光素子では、前
述の如く、これらの陰極金属と陰極界面層を構成するア
ルカリ金属含有化合物とで蒸着時に反応が起こり、結果
として電子注入が容易になる反応生成物が陰極界面に形
成される。
【0070】陰極5の膜厚は通常、陽極2と同様であ
る。
【0071】陰極5を保護する目的で、この上にさら
に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属材料からな
る、保護層を積層することは素子の安定性を増すため好
ましい。この目的のために、アルミニウム、銅、クロ
ム、金、銀の金属が使われる。保護層に使用される金属
材料は、陰極4に使用される金属材料と同じものであっ
ても異なるものであってもよい。
【0072】なお、図1〜3は、本発明の有機電界発光
素子の実施の形態の一例を示すものであって、何ら本発
明の有機電界発光素子の構成を限定するものではない。
例えば、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極5、
陰極界面層4、有機発光層3、陽極2の順に積層するこ
とも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明
性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を
設けることも可能である。同様に、図2及び図3に示し
た有機電界発光素子についても、前記各層構成とは逆の
構造に積層することも可能である。
【0073】また、図1〜3では、前記電子輸送材料及
びアルカリ金属含有化合物を含む層が陰極界面層4とし
て陰極5に接して設けられているが、この電子輸送材料
及びアルカリ金属含有化合物を含む層は陰極と陽極との
間に設けられていれば良く、必ずしも陰極に接している
必要はない。ただし、陰極界面層として陰極に接して設
けた場合には、前述の如く、陰極金属とアルカリ金属含
有化合物との反応で電子注入が容易となることから、こ
の電子輸送材料及びアルカリ金属含有化合物を含む層
は、陰極と接するように設けるのが好ましい。
【0074】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例により限定されるものではない。
【0075】実施例1 図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法
で作製した。
【0076】ガラス基板1上にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(三容真空
社製;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技
術と塩酸エッチングを用いて3mm幅のストライプにパタ
ーニングして陽極2を形成した。パターン形成したIT
O基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水
洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗
浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄
を行って、真空蒸着装置内に設置した。
【0077】上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行
った後、装置内の真空度が2×10 Torr(約2.7×10
−4Pa)以下になるまで液体窒素トラップを備えた油拡
散ポンプを用いて排気し、その後、この装置内に配置さ
れたタンタルボートに入れた以下に示す銅フタロシアニ
ン(結晶形はβ型)を加熱して蒸着を行った。蒸着時の
真空度は3×10−6Torr(約4×10−4Pa)で、蒸着速度
0.15nm/秒で膜厚15nmの陽極バッファ層3aを形成し
た。
【0078】
【化7】
【0079】次に、真空蒸着装置内に配置されたタンタ
ルボートに入れた、以下に示す4,4'-ビス[N-(m-トリ
ル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルをタンタルボート
に通電加熱して蒸着を行った。蒸着時の真空度は4.5×1
0−6Torr(約6×10−4Pa)で、蒸着速度0.2nm/秒
で膜厚60nmの正孔輸送層3bを形成した。
【0080】
【化8】
【0081】引き続き、発光機能を有する電子輸送層3
cの材料として、以下の構造式に示すアルミニウムの8
−ヒドロキシキノリン錯体、Al(CHNO)を正孔輸送
層3bと同様にして蒸着した。蒸着時の真空度は3×10
−6Torr(約4.0×10−4Pa)で、蒸着速度0.25nm/秒
で、膜厚65nmの電子輸送層3cを形成した。
【0082】
【化9】
【0083】続いて、電子輸送層3cの上に、電子輸送
材料として前記化合物(E−1;8−ヒドロキシキノリ
ンのアルミニウム錯体)を、アルカリ金属含有化合物と
して前記化合物(A−1)を、同様にして蒸着速度0.05
nm/秒で蒸着して膜厚10nmの陰極界面層4を形成した。
蒸着時の真空度は3.5×10−6Torr(約4.7×10−4Pa)
であった。化合物(A−1)の化合物(E−1)に対す
る含有量は10重量%であった。
【0084】上記の陽極バッファ層3a、正孔輸送層3
b、電子輸送層3c及び陰極界面層4を真空蒸着する時
の基板温度は室温に保持した。
【0085】ここで、陰極界面層4までの蒸着を行った
素子に、陰極蒸着用のマスクとして3mm幅のストライプ
状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直
交するように素子に密着させた。このマスク交換作業は
真空をやぶらずに行った。
【0086】続いて、陰極5として、アルミニウムを蒸
着速度1nm/秒で陰極界面層4上に膜厚90nmで形成した。
蒸着時の真空度は1.0×10−5Torr(約1.3×10−4Pa)
であった。陰極蒸着時の基板温度は室温に保持した。
【0087】以上の様にして、3mm×3mmのサイズの有機
電界発光素子が得られた。
【0088】この素子を陰極蒸着装置から取り出した
後、大気中において陽極と陰極間とに順方向の電圧を印
加して発光特性を測定した。この素子の輝度−電圧特性
を図4のグラフに示す。グラフから明らかなように、低
電圧で高輝度が得られた。
【0089】比較例1 陰極界面層の構成材料として化合物(E−1)に金属リ
チウムを10重量%ドープしたものを用いた他は、実施
例1と同様にして素子を作製し、得られた素子の発光特
性を測定した。この素子の輝度−電圧特性を図4のグラ
フに示す。グラフから明らかなように、低輝度かつ高電
圧の素子であった。
【0090】比較例2 陰極界面層を設けずに、陰極としてリチウムを10重量
%含有するアルミニウム合金を用いた他は実施例1と同
様にして素子を作製し、得られた素子の発光特性を測定
した。この素子の輝度−電圧特性を図4のグラフに示
す。グラフから明らかなように、発光効果の劣るもので
あった。
【0091】実施例1及び比較例1,2にて作製した各
素子の輝光−電圧特性から明らかなように、本発明の有
機電界発光素子は、従来公知の素子に比べて、発光効率
が優れることがわかる。
【0092】
【発明の効果】以上詳述した通り、基板上の陽極と陰極
との間に電子輸送材料と特定のアルカリ金属含有化合物
とを含有する層を設けた本発明の有機電界発光素子によ
れば、低電圧において高輝度、高効率で発光させること
が可能となり、更には高電流密度の駆動においても安定
であり、保存時の劣化の少ない素子が提供される。
【0093】従って、本発明による有機電界発光素子は
フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュー
タ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や
面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機
の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光
源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的
価値は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子の実施の形態を示す
模式断面図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の他の実施の形態を
示す模式断面図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の別の実施の形態を
示す模式断面図である。
【図4】実施例1及び比較例1,2における輝度−電圧
特性を表すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3 有機発光層 3a 陽極バッファ層 3b 正孔輸送層 3c 電子輸送層 4 陰極界面層 5 陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB02 AB03 AB06 AB11 BA06 CA01 CB01 DA01 DB03 EA02 EB00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に陽極及び陰極を有し、両極間
    に、 電子輸送材料、及び芳香族カルボン酸のアルカリ金属
    塩、8−ヒドロキシキノリン誘導体のアルカリ金属錯
    体、及び10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン誘導体の
    アルカリ金属錯体よりなる群から選ばれる1種又は2種
    以上のアルカリ金属含有化合物を含有する層が設けられ
    ていることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 【請求項2】 陽極と陰極との間に発光層を有し、前記
    電子輸送材料及びアルカリ金属含有化合物を含む層が、
    陰極と発光層との間に設けられていることを特徴とする
    請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 【請求項3】 前記電子輸送材料及びアルカリ金属含有
    化合物を含む層が、陰極に接して設けられていることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 【請求項4】 前記電子輸送材料が、8−ヒドロキシキ
    ノリン誘導体の金属錯体(ただし、中心金属がアルカリ
    金属である錯体を除く)、10−ヒドロキシベンゾ[h]
    キノリン誘導体の金属錯体(ただし、中心金属がアルカ
    リ金属である錯体を除く)、ベンゾオキサゾール誘導体
    の金属錯体(ただし、中心金属がアルカリ金属である錯
    体を除く)、ベンゾチアゾール誘導体の金属錯体(ただ
    し、中心金属がアルカリ金属である錯体を除く)、ベン
    ズイミダゾール誘導体の金属錯体(ただし、中心金属が
    アルカリ金属である錯体を除く)、ヒドロキシフラボン
    の誘導体の金属錯体(ただし、中心金属がアルカリ金属
    である錯体を除く)、ベンズイミダゾール誘導体、フェ
    ナントロリン誘導体及びオキサジアゾール誘導体よりな
    る群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれかに記載の有機電界発光
    素子。
  5. 【請求項5】 前記電子輸送材料及びアルカリ金属含有
    化合物を含む層の膜厚が 0.5〜50nmの範囲内にあること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の有機
    電界発光素子。
  6. 【請求項6】 前記陰極を形成する金属がアルミニウ
    ム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バ
    ナジウム、クロム、及びスズよりなる群から選ばれる1
    種又は2種以上であることを特徴とする請求項1ないし
    5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004005280A1 (en) * 2002-07-09 2004-01-15 Dongwoo Fine-Chem Co., Ltd. Novel quinolinic compounds showing a feature of excited-state intramolecular proton transfer (esipt)
KR100474891B1 (ko) * 2001-12-20 2005-03-08 엘지전자 주식회사 유기 el 디스플레이 소자
JP2007088015A (ja) * 2005-09-20 2007-04-05 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、および有機レクトロルミネッセンス素子の製造方法

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WO2004005280A1 (en) * 2002-07-09 2004-01-15 Dongwoo Fine-Chem Co., Ltd. Novel quinolinic compounds showing a feature of excited-state intramolecular proton transfer (esipt)
JP2007088015A (ja) * 2005-09-20 2007-04-05 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、および有機レクトロルミネッセンス素子の製造方法

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