JP2001335919A - αタンタル膜の製造方法、αタンタル膜及びそれを用いた素子 - Google Patents

αタンタル膜の製造方法、αタンタル膜及びそれを用いた素子

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JP2001335919A
JP2001335919A JP2000375765A JP2000375765A JP2001335919A JP 2001335919 A JP2001335919 A JP 2001335919A JP 2000375765 A JP2000375765 A JP 2000375765A JP 2000375765 A JP2000375765 A JP 2000375765A JP 2001335919 A JP2001335919 A JP 2001335919A
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tantalum
tantalum film
nitrogen
forming
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JP2000375765A
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Masatoshi Nakagawa
賢俊 中川
Kazuhiro Inoue
和裕 井上
Masato Tose
誠人 戸瀬
Yoshihiro Koshido
義弘 越戸
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低比抵抗のαタンタル膜を、製造コストの増
大を抑制しつつ、効率よく製造することが可能なαタン
タル膜の製造方法及び該製造方法により製造されるタン
タル膜及び該タンタル膜を用いてなる素子を提供する。 【解決手段】 窒素雰囲気中で、基材上にαタンタル又
は窒化タンタルからなる下地膜を成膜した後、(a)窒素
を含有しない雰囲気中で、前記下地膜上にタンタル膜を
成膜する方法、(b)前記下地膜形成工程とは窒素含有率
の異なる窒素雰囲気中でタンタル膜を成膜する方法、
(c)窒素とタンタルの比を変化させてタンタル膜を成膜
する方法、(d)基板に到達する窒素とタンタルの比を変
化させてタンタル膜を成膜する方法、のいずれかの方法
により、下地膜上にαタンタル膜を成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、タンタル膜に関
し、詳しくは、低比抵抗で安定なαタンタル膜(立方晶
構造(α相)のタンタル膜)の製造方法、αタンタル膜
及びそれを用いた素子に関する。
【0002】
【従来の技術】タンタル金属は機械的強度に優れてお
り、その酸化膜であるTa25は誘電ロスが極めて少な
く、かつ、比較的高い比誘電率を有しているとともに、
優れた耐酸、耐アルカリ性を備えていることから、各種
プロセスに耐える薄膜材料として利用価値が高く、種々
の用途に広く用いられている。
【0003】一方タンタルには、2つ(2相)の結晶構
造があり、低い比抵抗(13μΩ・cm)を示す立方晶構
造(α相)の他に、著しく高い比抵抗(200μΩ・c
m)を示す正方晶構造(β相)が準安定にあることが知
られている。この2つの相のタンタルのうち、β相のタ
ンタルは比抵抗が高く、温度変化率が小さいため、主と
して精密抵抗器の分野に応用され、一方、低比抵抗のα
相のタンタルは、薄膜配線材料として、広く用いられる
に至っている。
【0004】ところで、タンタル薄膜を形成する場合、
薄膜の状態では、準安定な高比抵抗のβ相が形成されす
い傾向がある。そのため、β相が形成されることを防止
して、低比抵抗のα単一相を製造するための方法が種々
提案されており、それらは概略、以下の3種類に大別で
きる。
【0005】窒素ガスを導入して真空中でスパッタ蒸
着する方法。 二元ターゲットのスパッタ装置を用い、タングステン
やニオブなどの体心立方構造の金属からなり、タンタル
膜のαタンタル化を促進する下地金属膜をタンタル膜の
下地膜として採用する方法(特開平11−120525
号公報)。 タンタルターゲットにニオブなどの金属を混入させた
ターゲットを用いるか、あるいは、タンタルターゲット
とニオブなどの金属ターゲットを用いて、タンタルとニ
オブなどの金属を同時にスパッタ蒸着する方法(特許公
報第2741814号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の窒素
ガスを導入して真空中でスパッタ蒸着することによりタ
ンタル薄膜を製造する方法では、低比抵抗のα相と高比
抵抗のβ相の両相の出現率(α/β)が成膜条件、例え
ば窒素分圧、スパッタ電力、基板温度などに大きく依存
するため、安定したα単一相のタンタル膜を得ることが
非常に困難であるばかりでなく、窒素雰囲気中でαタン
タル膜を製造すると、格子間に窒素が浸入型で入り込む
ため結晶構造が悪くなり、比抵抗を70μΩ・cm程度ま
でしか下げることができないという問題点がある。
【0007】また、上記のニオブやタングステンなど
の体心立方構造の金属を下地膜に採用する方法では、そ
の上に形成されるタンタル膜をαタンタル化し、比抵抗
を20μΩ・cm程度まで下げることが可能になるが、下
地膜とタンタル膜を真空中で連続成膜する必要があるた
め、2元ターゲットを装着できる装置が必要となり、設
備コストの増大を招くという問題がある。
【0008】また、上記のタンタルターゲットにニオ
ブなどを混入したターゲットを用いるか、あるいはタン
タルターゲットとニオブなどの金属ターゲットを用い
て、タンタルとニオブなどの金属を同時にスパッタ蒸着
する方法においては、ターゲットが高価になったり、設
備が高価になったりして、製造コストの増大を招くとい
う問題点がある。
【0009】また、通常のプロセスでは、αタンタル成
膜後に、所望の形状に加工する目的で、エッチングなど
の処理が行われるが、下地膜としてニオブやタングステ
ンなどからなる金属膜を採用した場合、下地膜であるニ
オブやタングステンなどからなる金属膜と、その上に形
成されるαタンタル膜とではエッチング条件が異なるた
め、エッチングプロセスが複雑になったり、断面形状が
悪化したりして、所望の形状に加工することが容易では
ないという問題点がある。
【0010】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、低比抵抗のαタンタル膜を、製造コストの増大を
抑制しつつ、効率よく製造することが可能なαタンタル
膜の製造方法及び該製造方法により製造されるタンタル
膜及び該タンタル膜を用いてなる、伝送線路、薄膜回路
基板、容量素子、インダクター、フォトマスク、フィル
タ、共振器又は表面弾性波素子などの素子を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、発明者等は、種々の実験、検討を行い、窒素雰囲気
中でタンタル膜を成膜して、下地膜としてαタンタル膜
又は窒化タンタル膜を形成し、その上にさらにタンタル
膜(上部タンタル膜)を成膜するようにした場合、他の
金属を用いることなく、上部膜(上部タンタル膜)とし
て、低比抵抗のαタンタル膜を形成できることを知り、
さらに、実験、検討を重ねて本願発明を完成した。
【0012】すなわち、本願発明(請求項1)のαタン
タル膜の製造方法は、所定の窒素雰囲気中で、基材上に
αタンタル又は窒化タンタルからなる下地膜を成膜する
下地膜形成工程と、前記下地膜形成工程の後に、(a)窒
素を含有しない雰囲気中で、前記下地膜上にタンタル膜
を成膜する方法、(b)前記下地膜形成工程とは窒素含有
率の異なる窒素雰囲気中でタンタル膜を成膜する方法、
(c)窒素とタンタルの比を変化させてタンタル膜を成膜
する方法、(d)基板に到達する窒素とタンタルの比を変
化させてタンタル膜を成膜する方法、のいずれかの方法
により、前記下地膜上にαタンタル膜を成長させること
により、αタンタル膜からなる上部膜(上部αタンタル
膜)を形成する上部膜形成工程とを具備することを特徴
としている。
【0013】本願請求項1の発明のαタンタル膜の製造
方法においては、窒素雰囲気中で、基材上にαタンタル
下地膜又は窒化タンタル下地膜を形成した後、これらの
下地膜上にタンタル膜を成膜することにより、αタンタ
ル膜を成長させるようにしているが、上記の下地膜上へ
のαタンタル膜の成長は、面間エネルギーが小さい(1
10)などの高次ミラー面を介した異種原子ヘテロエピ
タキシャル成長が支配しており、一旦α相が形成される
と、下地膜上のαタンタル膜はβ相の生成を抑制する形
で成長するため、下地膜上に形成される上部膜(上部α
タンタル膜)の成膜時には窒素雰囲気にしなくても、α
タンタル膜を成長させることが可能になる。なお、本願
発明において下地膜及び上部膜を成膜する方法として
は、スパッタ、蒸着、イオンプレーティングなど公知の
種々の薄膜形成方法を用いることが可能である。また、
これらの薄膜形成方法のうち、スパッタ、イオンプレー
ティングなどの方法を用いることが望ましい。
【0014】なお、下地膜としては、αタンタル膜の他
に、同じタンタルターゲットを用い、窒素分圧をさらに
高くして成膜した場合に形成される窒化タンタル膜を採
用することも可能であり、この窒化タンタル膜(下地
膜)上に上部膜としてタンタル膜を形成するようにした
場合にも、窒素雰囲気中で成膜を行わなくてもαタンタ
ル膜を成長させることが可能であることが確認されてい
る。
【0015】また、請求項1のαタンタル膜の製造方法
においては、窒素雰囲気中で下地膜としてαタンタル膜
を成膜し、この下地膜上に窒素を含有しない雰囲気中で
タンタル膜を成膜し、あるいは雰囲気中に供給する窒素
の流量を変化させつつタンタル膜を成膜することによ
り、αタンタル膜を製造するようにしているため、下地
膜と上部膜とを1つのタンタルターゲット用いて形成す
ることが可能で、コストの増大を防止することが可能に
なる
【0016】また、下地膜と上部膜からなる膜(電極
膜)全体としての比抵抗は下地膜(比抵抗70μΩ・cm
程度 at25℃)と上部膜(比抵抗20μΩ・cm at2
5℃)の並列と見なすことが可能であり、電極膜全体と
しての比抵抗は上部膜の比抵抗に支配されることになる
ため、上部膜の膜厚が電極膜全体の膜厚に占める割合を
高くすることにより、下地膜の比抵抗に多少ばらつきが
ある場合にも、安定した比抵抗の電極膜を得ることが可
能になる。
【0017】また、請求項1のαタンタル膜の製造方法
においては、ターゲットにニオブなどの金属を混ぜる必
要がないため、ターゲットのコストの上昇を招くことが
なく、さらに、下地膜も上部膜と同じくαタンタル膜で
あるため、電極膜のエッチング工程において、下地膜・
上部膜ともに同一条件でエッチングすることが可能であ
り、複雑なエッチングプロセスを必要とすることなく、
所望の形状の電極膜を形成することが可能になる。
【0018】また、下地膜にクロムなど、タンタル以外
の金属を使用した場合、成膜工程やエッチングなどの加
工工程における温度上昇により、クロムなどの金属の拡
散が発生するが、下地膜、上部膜とも高融点金属である
αタンタル膜とすることにより、拡散は発生せず、耐熱
性や、膜の比抵抗の安定性などの特性を良好に保つこと
が可能になる。
【0019】また、本願発明において、下地膜上に上部
膜(上部αタンタル膜)を成膜するにあたっては、窒素
雰囲気にしなくても、αタンタル膜を成長させることが
可能であるが、下地膜形成工程とは窒素含有率の異なる
窒素雰囲気中でタンタル膜を成膜することによってもα
タンタル膜を成長させることが可能である。さらに、窒
素とタンタルの比を変化させてタンタル膜を成膜した
り、あるいは、基板に到達する窒素とタンタルの比を変
化させてタンタル膜を成膜したりすることによっても下
地膜上にαタンタル膜を成長させることが可能である。
なお、本願発明において、「窒素とタンタルの比を変化
させてタンタル膜を成膜する」とは、窒素流量を変化さ
せる、スパッタ電力を変化させることを意味する概念で
あり、また、「基板に到達する窒素とタンタルの比を変
化させてタンタル膜を成膜する」とは、ターゲットと基
板の間の距離を変化させる、成膜圧力を変化させること
を意味する概念である。
【0020】また、請求項2のαタンタル膜の製造方法
は、前記下地膜の膜厚が1nm以上であることを特徴とし
ている。
【0021】下地膜の膜厚を1nm以上とすることによ
り、その上に形成されるタンタル膜を、効率よくαタン
タル膜として成長させることが可能になり、本願発明を
実効あらしめることが可能になる。なお、下地膜の膜厚
を75μm以上とすることにより、下地膜上にさらに確
実にαタンタル膜を成膜することが可能になる。
【0022】また、請求項3のαタンタル膜の製造方法
は、前記下地膜及び前記下地膜上のタンタル膜を、真空
中で連続して成膜することを特徴としている。
【0023】前記下地膜及び前記下地膜上のタンタル膜
を、真空中で連続して成膜することにより、結晶性の良
いαタンタル膜を、短時間で製造することが可能にな
り、本願発明をより実効あらしめることが可能になる。
【0024】また、本願発明(請求項4)のαタンタル
膜は、請求項1〜3のいずれかの製造方法により製造さ
れたαタンタル膜であって、基材上のαタンタル下地膜
又は窒化タンタル下地膜上に、αタンタル膜を成長させ
ることにより形成されていることを特徴としている。
【0025】本願発明のαタンタル膜は、基材上のαタ
ンタル下地膜又は窒化タンタル下地膜の上にαタンタル
膜を成長させることにより形成されており、低比抵抗
で、エッチングなどの加工の容易なタンタル電極膜とし
て、種々の用途に広く用いることが可能である。
【0026】また、本願発明(請求項5)の素子は、請
求項1〜3のいずれかの製造方法により製造されたαタ
ンタル膜を用いてなる素子であって、伝送線路、薄膜回
路基板、容量素子、インダクター、フォトマスク、フィ
ルタ、共振器又は表面弾性波素子からなる群より選ばれ
るものであることを特徴としている。
【0027】上記請求項1〜3のいずれかに記載の製造
方法により製造されたαタンタル膜(電極膜)は、伝送
線路、薄膜回路基板、容量素子、インダクター、フォト
マスク、フィルタ、共振器又は表面弾性波素子などの電
極や配線などに好適に用いることが可能であり、このα
タンタル膜を用いることにより、製造コストの増大を招
くことなく、信頼性の高い素子を確実に得ることが可能
になる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を示して
本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、窒素雰囲気中でαタンタルを成膜する方法として
は、スパッタや蒸着などの方法が挙げられるが、ここで
は、スパッタにより、αタンタル膜を形成する場合を例
にとって説明する。
【0029】[下地膜(αタンタル膜)の成膜]窒素雰
囲気中において、以下の条件で、下地膜(αタンタル
膜)を成膜した。 ターゲット タンタル スパッタリングガス 窒素を含むアルゴン スパッタリング成膜室内のガス圧 0.23Pa スパッタ電力 3kW 基板温度 室温〜250℃ チャンバー到達真空度 1×10-4Pa
【0030】なお、基板(基材)として水晶基板を用
い、基板温度を100℃、成膜室内のガス圧を0.23
Pa、スパッタ電力を3kWとし、スパッタリングガス
中の窒素分圧を種々異ならせてタンタル膜を成膜した場
合におけるタンタル膜の比抵抗の変化を図1に示す。こ
の図1では、窒素分圧が0.003Pa付近で比抵抗が
最も小さくなっている。
【0031】また、上記のように窒素分圧を種々異なら
せてタンタル膜を成膜した場合の、各タンタル膜の結晶
性を示すXRDスペクトルデータを図2に示す。なお、
図2において、(110)を付したピークはαタンタル
のピークであり、(002)を付したピークはβタンタ
ルのピークである。
【0032】図2から明らかなように、スパッタリング
ガスに窒素(N2)ガスを添加していない場合には、β
タンタルが成膜されるのに対し、窒素ガスを添加して窒
素含有雰囲気中でスパッタして成膜を行った場合には、
αタンタルが成膜されるようになり、さらに窒素分圧を
高くして、N2分圧を1.4×10-2Paにまで高める
と、αタンタル膜やβタンタル膜は形成されないで、窒
化タンタル膜が成膜されるようになることがわかる。
【0033】[上部膜としてのαタンタル膜の成膜]上
述のようにして形成した下地膜(αタンタル膜)上に、
以下の条件で、上部膜(上部αタンタル膜)を成膜し
た。なお、上部膜の成膜は、下層膜の成膜に引き続いて
真空中で行った。 ターゲット タンタル (下地膜の成膜に使用したものと同じターゲットを使用) スパッタリングガス アルゴン スパッタリング成膜室内のガス圧 0.23Pa スパッタ電力 3kW 基板温度 150℃ チャンバー到達真空度 1×10-4Pa 上部膜の膜厚 500nm
【0034】そして、上部膜を形成後、下地膜であるα
タンタル膜の膜厚と、上部膜(上部タンタル膜)の比抵
抗の関係を調べた。その結果を図3に示す。ただし、上
部タンタル膜の比抵抗は、比抵抗測定用パターンをフォ
トリソエッチングにより作製し、下地膜と上部膜からな
る膜全体の抵抗値と、下地膜の比抵抗、膜厚、線幅、及
び線の長さから計算した値である。
【0035】図3に示すように、下地膜としてαタンタ
ル膜を採用したことに基づく、上部タンタル膜のαタン
タル化による比抵抗低減の効果は、下地膜の膜厚が1nm
程度でも確認され、さらに、膜厚が75nm程度になれば
充分な比抵抗低減の効果が得られることが確認された。
また、図3から、下地膜の膜厚を75nm以上に厚くして
も、上部タンタル膜の比抵抗はほとんど変化しないこと
がわかる。
【0036】また、以下の条件で成膜したタンタル膜の
結晶性をXRDで調べた。 窒素雰囲気中で下地膜(αタンタル膜)のみを形成し
た場合。 下地膜(αタンタル膜)が形成されていない状態で、
窒素を含有しない雰囲気中においてタンタルをスパッタ
成膜した場合。 下地膜(αタンタル膜)が形成されている状態で、窒
素を含有しない雰囲気中においてタンタルをスパッタ成
膜した場合。 その結果を図4に示す。
【0037】図4において、(110)を付したピーク
はαタンタルのピークであり、(002)を付したピー
クはβタンタルのピークである。図4から、下地膜(α
タンタル膜)が形成されていない状態でスパッタ成膜し
た場合には、タンタル膜として高比抵抗のβタンタル膜
が形成されるが、下地膜(αタンタル膜)上にスパッタ
成膜した場合には、タンタル膜として低比抵抗のαタン
タル膜が形成されることがわかる。
【0038】次に、窒素分圧を変化させることにより、
比抵抗・結晶性の異なる下地膜(αタンタル膜及び窒化
タンタル膜)を作製し、その上に上部タンタル膜を成膜
して上部タンタル膜の比抵抗の変化を調べた。その結果
を図5に示す。ただし、下地膜の膜厚を75nm、上部タ
ンタル膜の膜厚を300nmとした。
【0039】図5より、下地膜の比抵抗・結晶性がある
程度変化しても、上部タンタル膜の比抵抗にそれほど大
きな変化が現れないことがわかり、このことから、下地
膜が窒化タンタル膜である場合にも、上部タンタル膜の
αタンタル化の効果が得られることがわかる。
【0040】次に、下地膜(αタンタル膜)の膜厚を7
5nm、上部膜(上部αタンタル膜)の比抵抗を20μΩ
・cmとしたときに、上部αタンタル膜の膜厚を75nm、
200nm、500nmと変化させた場合における、下地膜
(αタンタル膜)の比抵抗の変化と膜全体の比抵抗の変
化を計算から求めた。その結果を図6に示す。図6よ
り、下地膜(αタンタル膜)の比抵抗が60μΩ・cmか
ら300μΩ・cmの範囲で変化しても、膜全体としての
比抵抗の変化は非常に小さく抑えられていることがわか
る。
【0041】なお、上部タンタル膜の成膜後(αタンタ
ル膜の成膜後)においては、所望の形状を得るために、
ドライエッチングが行われることになるが、αタンタル
膜のドライエッチングを行う際のエッチング条件として
は、次のような条件が例示される。 エッチングガス CF4+O2ガス エッチングガス圧 2Pa エッチング温度 60℃ エッチング電力 500W
【0042】また、通常ドライエッチング時に用いられ
るエッチングガスとしては、主に塩素系とフッ素系の2
種類が挙げられるが、タンタル膜はそのいずれエッチン
グガスを用いた場合にもエッチングが可能である。な
お、所望の形状のαタンタル膜を得る方法としては、ド
ライエッチングの他にも、メタルマスクを使用する方法
やリフトオフ工法などが例示されるが、いずれの方法も
本願発明のαタンタル膜に適用が可能である。
【0043】また、本願発明のαタンタル膜の製造方法
においては、基板(基材)として、下地膜(αタンタル
膜)を保持できる種々の材料を用いることが可能である
ため、種々のデバイスへの利用が可能である。なお、本
願発明のαタンタル膜は、その安定性の高さや比抵抗の
低さ、X線の高遮断性や様々なプロセスヘの良好な適応
性などから、種々のデバイスに広く用いることが可能で
あり、その代表的なデバイスとしては、伝送線路、薄膜
回路基板、容量素子、インダクター、フォトマスク、帯
域フィルタ、共振器及び表面弾性波素子などが挙げられ
る。
【0044】なお、上記実施形態では、上部膜(上部タ
ンタル膜)を形成するにあたって、窒素を含有しない雰
囲気中でスパッタを行って成膜するようにしたが、下地
膜形成工程とは窒素含有率の異なる窒素雰囲気中でタン
タル膜を成膜したり、あるいは、窒素とタンタルの比を
変化させてタンタル膜を成膜したり、さらには、基板に
到達する窒素とタンタルの比を変化させてタンタル膜を
成膜したりすることも可能であり、その場合にも、下地
膜上にαタンタル膜を効率よく形成することが可能であ
る。
【0045】本願発明は、さらにその他の点において
も、上記実施形態に限定されるものではなく、下地膜及
び上部膜の膜圧、下地膜及び上部膜の成膜条件などに関
し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を
加えることが可能である。
【0046】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1)の
αタンタル膜の製造方法は、窒素雰囲気中で、基材上に
αタンタル下地膜又は窒化タンタル下地膜を形成した
後、これらの下地膜上にタンタル膜を形成するようにし
ており、下地膜上へのαタンタル膜の成長は、面間エネ
ルギーが小さい(110)などの高次ミラー面を介した
異種原子ヘテロエピタキシャル成長が支配しており、一
旦α相が形成されると、下地膜上のαタンタル膜はβ相
の生成を抑制する形で成長するため、下地膜上に形成さ
れる上部膜(上部αタンタル膜)の成膜時には窒素雰囲
気にしなくても、αタンタル膜を成長させることが可能
になる。
【0047】その結果、低比抵抗(例えば、約20μΩ
・cm)のαタンタル膜を一元ターゲットの装置で安定し
て製造することが可能になり、設備コスト及びターゲッ
トなどに要する材料コストの低減を図ることが可能にな
る。さらに、αタンタル成膜後の形状加工性に優れてお
り、断面形状が悪化することを防止して、所望の形状の
αタンタル膜を形成することが可能になる。
【0048】請求項2のように、下地膜の膜厚を1nm以
上とすることにより、その上に形成されるタンタル膜
を、効率よくαタンタル膜として成長させることが可能
になり、本願発明を実効あらしめることが可能になる。
【0049】さらに、請求項3のように、下地膜及び下
地膜上のタンタル膜を、真空中で連続して成膜すること
により、結晶性の良いαタンタル膜を、短時間で製造す
ることが可能になり、本願発明をより実効あらしめるこ
とが可能になる。
【0050】また、本願発明(請求項4)のαタンタル
膜は、基材上のαタンタル下地膜又は窒化タンタル下地
膜の上にαタンタル膜を成長させることにより形成され
ており、低比抵抗で、エッチングなどの加工の容易なタ
ンタル電極膜として、種々の用途に広く用いることが可
能である。
【0051】また、本願発明(請求項5)の、伝送線
路、薄膜回路基板、容量素子、インダクター、フォトマ
スク、フィルタ、共振器又は表面弾性波素子などの素子
は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によ
り製造されたαタンタル膜(電極膜)を利用したもので
あり、本願発明のαタンタル膜は、電極や配線などに好
適に用いることが可能であり、このαタンタル膜を用い
ることにより、製造コストの増大を招くことなく、信頼
性の高い素子を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかるαタンタル膜の
製造方法の一工程において、下地膜をスパッタ成膜する
際の、不活性ガス中に添加される窒素ガスの分圧と、成
膜されたタンタル膜(下地膜)の比抵抗の関係を示す図
である。
【図2】不活性ガス中に種々の割合で窒素ガスを混入し
た場合に得られるタンタル膜の結晶性を示すXRDスペ
クトルデータを示す図である。
【図3】本願発明の一実施形態にかかるαタンタル膜の
製造方法の一工程において、スパッタにより上部タンタ
ル膜を成膜したときの、下地膜(αタンタル膜)の膜厚
と、上部タンタル膜の比抵抗の関係を示す図である。
【図4】窒素を含まない雰囲気中でスパッタ成膜した場
合の、下地膜(αタンタル膜)の有無と上部タンタル膜
の結晶性の関係を示すXRDスペクトルデータを示す図
である。
【図5】窒素分圧を変化させることにより、下地膜(α
タンタル膜及び窒化タンタル膜)の比抵抗・結晶性を異
ならせた場合における、上部タンタル膜の比抵抗の変化
を示す図である。
【図6】下地膜(αタンタル膜)の膜厚を所定の厚みと
し、上部膜(上部αタンタル膜)の比抵抗を20μΩ・
cmとしたときにおいて、上部タンタル膜の膜厚を変化さ
せた場合における、下地膜(αタンタル膜)の比抵抗
と、膜全体の比抵抗の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸瀬 誠人 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 越戸 義弘 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 4K029 BA16 BA58 BB02 BB07 BD01 CA03 CA04 CA05 DC03 EA01 EA03 EA05 4M104 BB17 BB32 BB37 DD34 DD37 DD41 FF13 HH16 5F103 AA08 DD28 DD30 NN06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の窒素雰囲気中で、基材上にαタンタ
    ル又は窒化タンタルからなる下地膜を成膜する下地膜形
    成工程と、 前記下地膜形成工程の後に、 (a)窒素を含有しない雰囲気中で、前記下地膜上にタン
    タル膜を成膜する方法、 (b)前記下地膜形成工程とは窒素含有率の異なる窒素雰
    囲気中でタンタル膜を成膜する方法、 (c)窒素とタンタルの比を変化させてタンタル膜を成膜
    する方法、 (d)基板に到達する窒素とタンタルの比を変化させてタ
    ンタル膜を成膜する方法、 のいずれかの方法により、前記下地膜上にαタンタル膜
    を成長させることにより、αタンタル膜からなる上部膜
    (上部αタンタル膜)を形成する上部膜形成工程とを具
    備することを特徴とするαタンタル膜の製造方法。
  2. 【請求項2】前記下地膜の膜厚が1nm以上であることを
    特徴とする請求項1記載のαタンタル膜の製造方法。
  3. 【請求項3】前記下地膜及び前記下地膜上のタンタル膜
    を、真空中で連続して成膜することを特徴とする請求1
    又は2記載のαタンタル膜の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかの製造方法により
    製造されたαタンタル膜であって、 基材上のαタンタル下地膜又は窒化タンタル下地膜上
    に、αタンタル膜を成長させることにより形成されてい
    ることを特徴とするαタンタル膜。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれかの製造方法により
    製造されたαタンタル膜を用いてなる素子であって、伝
    送線路、薄膜回路基板、容量素子、インダクター、フォ
    トマスク、フィルタ、共振器又は表面弾性波素子からな
    る群より選ばれるものであることを特徴とする素子。
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