JP2001333773A - 発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法 - Google Patents

発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法

Info

Publication number
JP2001333773A
JP2001333773A JP2000158294A JP2000158294A JP2001333773A JP 2001333773 A JP2001333773 A JP 2001333773A JP 2000158294 A JP2000158294 A JP 2000158294A JP 2000158294 A JP2000158294 A JP 2000158294A JP 2001333773 A JP2001333773 A JP 2001333773A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
membrane
bound
bound enzyme
involved
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000158294A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4596608B2 (ja
Inventor
Takao Hamakubo
隆雄 浜窪
Tatsuhiko Kodama
龍彦 児玉
Mineko Yamaguchi
美峰子 山口
Toshifumi Ishihara
豪史 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SENTAN KAGAKU GIJUTSU INCUBATI
Todai TLO Ltd
Original Assignee
SENTAN KAGAKU GIJUTSU INCUBATI
Center for Advanced Science and Technology Incubation Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SENTAN KAGAKU GIJUTSU INCUBATI, Center for Advanced Science and Technology Incubation Ltd filed Critical SENTAN KAGAKU GIJUTSU INCUBATI
Priority to JP2000158294A priority Critical patent/JP4596608B2/ja
Publication of JP2001333773A publication Critical patent/JP2001333773A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4596608B2 publication Critical patent/JP4596608B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結
合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋
白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関
わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質
から選択される蛋白質をバキュロウィルス発現系を用い
て活性を有する形態で効率よく発現させる方法を提供す
ること。 【解決手段】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少
なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿
主を培養することにより該蛋白質を発現させる方法にお
いて、該宿主から放出される発芽バキュロウイルス中に
該蛋白質を発現させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バキュロウイルス
の発現系を利用した小胞体膜又はゴルジ体膜等の膜に存
在する蛋白質を発現させる技術に関する。より詳細に
は、本発明は、膜蛋白質をコードする遺伝子を含む少な
くとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主
を培養することにより該蛋白質を発芽バキュロウイルス
中に発現させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バキュロウイルス発現系はバキュロウイ
ルスの多角体蛋白質(polyhedrin)遺伝子のプロモータ
ーを利用して、目的遺伝子をSf9細胞で組換えを起こさ
せて、大量に発現させる系である。多角体蛋白質は、ウ
イルスが細胞内で越冬する際に使われるタイプの形であ
るocculusion body としてsf9細胞の核に大量に発現さ
れる。多角体遺伝子に組換え蛋白質を導入し、発現した
蛋白質を精製する系バキュロの発現系は、大腸菌の発現
系に比べ、発現蛋白質が凝集を作りにくく、糖鎖の付加
や金属イオンの配位など蛋白質の機能に必要な翻訳後修
飾が入るなど利点が多い。
【0003】バキュロウイルスにはもう一つの生活環が
あり、ウイルスが増殖して感染するために、発芽型ウイ
ルス(Budded virus:本明細書中では発芽バキュロウイ
ルスとも言う)となってSf9細胞膜を被って細胞外に放
出される。この際に上記の多角体蛋白質に組換えた7回
膜貫通型受容体が細胞膜に発現され、発芽したバキュロ
ウイルスのエンベロープ上に回収されることがBouvier
らによって報告されている(Loisel TP, Ansanay H, St
-Onge S, Gay B, Boulanger P, Strosberg AD,Marullo
S, Bouvier M., Nat Biotechnol. 1997 Nov;15(12):130
0-4., Recovery of homogeneous and functional beta
2-adrenergic receptors from extracellular baculovi
rus particles:並びに国際公開WO98/4677
7)。宿主細胞に発現された7回膜貫通型受容体は糖鎖
構造など機能的でないものが多いのに比べ、ウイルスエ
ンベロープ上に回収される受容体は機能的な蛋白質のみ
であることが報告されている。しかし、Bouvier らは受
容体蛋白質以外の膜蛋白質については言及していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、膜結合型酵
素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、
膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白
質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋
白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白
質をバキュロウィルス発現系を用いて活性を有する形態
で効率よく発現させる方法を提供することを解決すべき
課題とする。本発明はまた、上記方法を利用して上記発
現蛋白質に対する抗体を産生する方法、上記方法を利用
して医薬品等として有用な化学物質をスクリーニングす
る方法を提供することを解決すべき課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】SREBP(sterol regulator
u element binding protein)2、HMG-CoA(ヒドロキシ
メチルクルタリルコエンザイムA)還元酵素、SCAP (SRE
BP cleavage activating protein)、S1P ( site 1 prot
ease) は小胞体(ER)膜あるいはゴルジ体膜に分布する
細胞内コレステロールフィードバック調節に関与する膜
蛋白質群である。本発明者らは、これらの蛋白質をバキ
ュロ発現系をもちいてSf9細胞に発現させ、細胞外発芽
ウイルスエンベロープに回収することに成功した。ま
た、 Sf9細胞膜により回収される膜蛋白質が分解産物
が多いのに較べ、ウイルスエンベロープに回収されるER
膜蛋白質は単一バンドで回収され、安定性が高いことが
判明した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したも
のである。
【0006】即ち、本発明によれば、膜結合型酵素、該
膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合
型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着
関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高
次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコー
ドする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウ
ィルスを感染させた宿主を培養することにより該蛋白質
を発現させる方法において、該宿主から放出される発芽
バキュロウイルス中に該蛋白質を発現させる方法が提供
される。
【0007】本発明の別の側面によれば、膜結合型酵
素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、
膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白
質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋
白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白
質をコードする遺伝子を含む組換えバキュロウィルスを
感染させた宿主を培養し、該宿主から放出される発芽バ
キュロウイルスを回収し、該発芽バキュロウイルスから
発現蛋白質を回収することを含む、蛋白質の調製方法が
提供される。
【0008】好ましくは、膜結合型酵素、該膜結合型酵
素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白
質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白
質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形
成に関わる蛋白質から選択される蛋白質は、細胞内小器
官の膜結合蛋白質である。好ましくは、膜結合型酵素、
該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結
合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接
着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の
高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質は、
SREBP2、HMG-CoA還元酵素、S1P、又はSREBP cleavage
activating proteinである。好ましくは、宿主は昆虫
細胞又は昆虫幼虫である。
【0009】本発明のさらに別の側面によれば、膜結合
型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因
子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋
白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は
蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋
白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換え
バキュロウィルスを感染させた宿主が放出する、発芽バ
キュロウイルスが提供される。
【0010】本発明のさらに別の側面によれば、本発明
の発芽バキュロウイルスを用いて、上記蛋白質とその他
の化学物質との相互作用を測定すること含む、化学物質
のスクリーニング方法が提供される。本発明のスクリー
ニング方法では、好ましくは、膜結合型酵素、該膜結合
型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送
蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋
白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造
形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質に対する阻害
薬または活性化薬物がスクリーニングされる。
【0011】本発明のさらに別の側面によれば、膜結合
型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因
子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋
白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は
蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される2
種類以上の蛋白質をコードする遺伝子をそれぞれ含む異
なる2種類以上の組換えバキュロウィルスを共感染させ
ることにより、上記2種類以上の蛋白質の機能を同時に
発現させ、該機能を活性化又は抑制する化学物質をスク
リーニングする方法が提供される。
【0012】本発明のさらに別の側面によれば、本発明
の発芽バキュロウイルスを免疫原として用いることを特
徴とする、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結
合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋
白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関
わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質
から選択される蛋白質に対する抗体を作製する方法、並
びにこの方法により作製される抗体が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様及び実施
方法について詳細に説明する。本発明の方法は、膜結合
型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因
子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋
白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は
蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋
白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換え
バキュロウィルスを感染させた宿主を培養することによ
り該蛋白質を発現させる方法であって、該宿主から放出
される発芽バキュロウイルス中に該蛋白質を発現させる
方法である。
【0014】本明細書で言う「膜結合型」とは、蛋白質
が細胞膜並びに細胞内小器官(例えば、小胞体やゴルジ
体等)の形質膜に存在することを広く意味し、その蛋白
質の種類は特に限定されない。好ましくは、膜結合型酵
素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子又
は膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白
質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋
白質の高次構造形成に関わる蛋白質は、細胞内小器官の
膜結合蛋白質であり、例えば、小胞体やゴルジ体の膜に
結合した蛋白質である。
【0015】膜結合型酵素としては,コレステロール代
謝に関わるHMG-CoA還元酵素やACAT(acyl-coenzyme A:c
holesterol acyltransferase)、7α−hydroxylaseなど
があげられる。また解毒に関わるシトクロームP450
系、ミトコンドリアに存在するATP合成酵素やシトクロ
ム酸化酵素および還元酵素、NADH-Q還元酵素などの電子
伝達系酵素があげられる。またホルモンや調節因子、栄
養因子などのプロセッシングに関わるプロセッシングプ
ロテアーゼ群としてS1P(site 1 protease)、furin、
PC(proprotein convertase)、S2P(site 2 proteas
e)、エンドセリン変換酵素(endothelin converting en
zyme)、アンギオテンシン変換酵素(angiotensin conv
erting enzyme)、neprilysinなど、またnotchシグナル
などのシグナル伝達系に関わるADAMS(a disintegrin an
d metalloprotease) familyや細胞外基質の分解に関わ
るmatrix metalloprotease群があげられる。その他diac
ylglycerol合成酵素、ホスファチジン酸ホスファター
ゼ、ホスファチジルセリン合成酵素などの膜脂質代謝酵
素、adenylate cyclaseなどのシグナル伝達に関与する
酵素があげられる。
【0016】膜結合型の酵素基質蛋白質としては,シグ
ナル伝達,転写調節に関わる蛋白質としてステロール調
節蛋白質(SREBP)、Notch、Ire1、ATF6などがあげら
れ、またその他アミロイド前駆体蛋白質(Amyloid prec
ursor protein)、TNFα(tumor necrosis factor)pre
cursor、Stem cell factor、M-CSF (monocyte colony s
timulating factor) precursor、Klothoなどがあげられ
る。
【0017】膜結合型酵素活性化因子としては,プレセ
ニリン(presenillin),SCAP(SREBPcleavage activating
protein), などがあげられる。
【0018】膜結合型輸送蛋白質としては,コレステロ
ールなどの脂質を輸送するNPC(Niemann-Pick type c)
1、ABC(ATP-binding cassette)トランスポーター、カベ
オリン(caveolin)、脂肪酸トランスポーター(fatty a
cid transporter)があげられ、またGLUT1-4などのグル
コーストランスポーターを含む糖トランスポーター、gl
utamate tanspoter、serotonin transporterなどのアミ
ノ酸トランスポーターなどがあげられる。また細胞内ベ
ジクル間の物質輸送に関与する膜蛋白質としてSec12な
どがあげられる。
【0019】さらに膜を透過しない分子をある条件のも
とに選択的に通過させるチャネル蛋白質があげられる.
その中には水の選択的チャネルであるアクアポリンファ
ミリー、またカリウムイオン、カルシウムイオン、ナト
リウムイオンなどに対する選択的チャネルであるイオン
チャネルなどがあげられる。
【0020】その他膜の構造蛋白質および接着に関与す
る蛋白質として、NCAM(Neural celladhesion molecul
e)、ICAM(interecellular adhesion molecule)、カドヘ
リンファミリー、インテグリン、デスモコリン、デスモ
グレイン、L-selectin、connexin、 グリコプロテイン
などがあげられる。また免疫細胞において抗原提示に関
わる主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibi
lity complex; MHC),蛋白質の高次構造形成に関わる
と考えられるcalnexin、PDI(protein disulfide isomer
ase)、CFTR (cystic fibrosis transmembrane conducta
nce regulator)、 major prion protein precursor(プ
リオン)などのシャペロン蛋白質があげられる。
【0021】本発明では、上記したような発現させるた
めの蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の
組換えバキュロウィルスを使用する。昆虫に感染して病
気を起こすウイルスであるバキュロウイルスは、環状の
二本鎖DNAを遺伝子としてもつエンベロープウイルス
で、鱗翅目、膜翅目および双翅目などの昆虫に感受性を
示す。バキュロウイルスの中で、感染細胞の核内に多角
体(ポリヒドラ)と呼ばれる封入体を大量につくる一群
のウイルスが核多角体病ウイルス(NPV)である。多
角体は、分子量31kDaのポリヘドリンタンパクより
構成され、感染後期に大量につくられその中に多数のウ
イルス粒子を埋め込んでいる。多角体はウイルスが自然
界で生存するためには必須であるが、ウイルスの増殖そ
のものには必要ないので、多角体遺伝子の代わりに発現
させたい外来遺伝子を挿入してもウイルスは全く支障な
く感染し増殖する。
【0022】本発明で用いられるバキュロウイルスとし
ては、NPVのキンウワバ亜科のオートグラファ・カリ
フォルニカ(Autographa californica)NPV(AcN
PV)やカイコのボンビックス・モリ(Bombyx mori )
NPV(BmNPV)などのウイルスがベクターとして
用いることができる。AcNPVの宿主(感染、継代細
胞)としてはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera
frugiperda )細胞(Sf細胞)などが挙げられ、Bm
NPVの宿主(感染、継代細胞)としてはBmN4細胞
などが挙げられる。Sf細胞は、BmN4細胞などに比
べ増殖速度が速いこと、また、AcNPVはヒト肝細胞
およびヒト胎児腎細胞などにも感染する能力を有するこ
とから、AcNPV系のベクターが好ましい。
【0023】宿主としては、Spodoptera Frugiperda細
胞系統Sf9およびSf21などがS.frugiperda幼虫の卵巣組
織から確立しており、Invitrogen社あるいはPharmingen
社(San Diego,CA)、又はATCCなどから入手可能であ
る。さらに、生きている昆虫幼虫を宿主細胞系として使
用することもできる。
【0024】本発明で用いる組換えウイルスを構築する
方法は、常法に従って行えばよく、例えば次の手順で行
うことができる。先ず、発現させたい蛋白質の遺伝子を
トランスファーベクターに挿入して組換えトランスファ
ーベクターを構築する。トランスファーベクターの全体
の大きさは一般的には数kb〜10kb程度であり、そ
のうちの約3kbはプラスミド由来の骨格であり、アン
ピシリン等の抗生物質耐性遺伝子と細菌のDNA複製開
始のシグナルを含んでいる。通常のトランスファーベク
ターではこの骨格以外に、多角体遺伝子の5’領域と
3’領域をそれぞれ数kbずつ含み、以下に述べるよう
なトランスフェクションを行った際に、この配列間で目
的遺伝子と多角体遺伝子との間で相同組換えが引き起こ
る。また、トランスファーベクターには蛋白質遺伝子を
発現させるためのプラモーターを含むことが好ましい。
プロモーターとしては、多角体遺伝子のプロモーター、
p10遺伝子のプロモーター、キャプシド遺伝子のプロ
モーターなどが挙げられる。
【0025】トランスファーベクターの種類は特に限定
されない。トランスファーベクターの具体例としては、
AcNPV系トランスファーベクターとしては、pEV
mXIV2、pAcSG1、pVL1392/139
3、pAcMP2/3、pAcJP1、pAcUW2
1、pAcDZ1、pBlueBacIII、pAcU
W51、pAcAB3、pAc360、pBlueBa
cHis、pVT−Bac33、pAcUW1、pAc
UW42/43などが挙げられ、BmNPV系トランス
ファーベクターとしては、pBK283、pBK5、p
BB30、pBE1、pBE2、pBK3、pBK5
2、pBKblue、pBKblue2、pBFシリー
ズ(以上、フナコシ株式会社、藤沢薬品工業株式会社等
から入手可能)などが挙げられる。
【0026】次に、組換えウイルスを作製するために、
上記の組換えトランスファーベクターをウイルスと混合
した後、宿主として用いる培養細胞に移入するか、ある
いは予めウイルスで感染させた宿主として用いる培養細
胞に上記のトランスファーベクターを移入し、組換えト
ランスファーベクターとウイルスゲノムDNAとの間に
相同組み換えを起こさせ、組み換えウイルスを構築す
る。ここで宿主として用いる培養細胞とは、上記した宿
主が挙げられ、通常、昆虫培養細胞(Sf9細胞やBm
N細胞など)である。培養条件は、当業者により適宜決
定されるが、具体的にはSf9細胞を用いた場合は10
%ウシ胎児血清を含む培地で、28℃前後で培養するこ
とが好ましい。このようにして構築された組み換えウイ
ルスは、常法、例えばプラークアッセイなどによって精
製することができる。なお、このようにして作製された
組換えウイルスは、核多角体病ウイルスの多角体蛋白質
の遺伝子領域に外来のDNAが置換または挿入されてお
り多角体を形成することができないため、非組換えウイ
ルスと容易に区別することが可能である。
【0027】本発明の方法では、前記の組換えバキュロ
ウイルスを、上記した適当な宿主(Spodoptera Frugipe
rda細胞系統Sf9およびSf21などの培養細胞、又は昆虫幼
虫など)に感染させ、一定時間後(例えば、72時間後
等)に培養上清から細胞外発芽ウイルス(budded viru
s, BV)を遠心などの分離操作によって回収することに
より、目的蛋白質を回収することができる。なお、組換
えバキュロウイルスは1種類のみ感染させてもよいし、
2種類以上の組換えバキュロウイルスを組み合わせて共
感染させてもよい。
【0028】細胞外発芽バキュロウイルスの回収は、例
えば、以下のように行うことができる。先ず感染細胞の
培養液を500〜1,000gで遠心分離して、細胞外
発芽バキュロウイルスを含む上清を回収する。この上清
を約30,000〜50,000gで遠心分離して細胞
外発芽バキュロウイルスを含む沈殿物を得る。この沈殿
物を適当な緩衝液に懸濁し、再度、適当な濃度勾配(例
えば、スクロースの連続勾配等)の上にウイルスの懸濁
物を重ね、100,000gで遠心分離して分画する。得られた
画分の中から所望の蛋白質を含む画分を選択すればよ
い。
【0029】さらに、発現させた蛋白質を可溶化した形
態で得る場合には、感染細胞の培養液から例えば400
00gで遠心分離することにより細胞外発芽ウイルスを
回収する。この回収されたペレットを適当な緩衝液に懸
濁し,lyso-phosphatidylcholin 等の溶解剤で処理し、
さらに30000rpmで遠心分離を行うことにより上
清と沈澱に分離する。可溶化された目的蛋白質は上清中
に回収される。
【0030】上記した本発明の方法により回収される発
現蛋白質は、その活性化形態として回収されることを特
徴とする。本発明の方法により回収される蛋白質は、好
ましくは少なくとも50%以上、より好ましくは60%
以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは
80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好まし
くは95%以上が活性化形態で回収される。このような
活性化形態の膜蛋白質を高い割合で回収することは従来
法では不可能であった。
【0031】本発明はさらに、膜結合型酵素、該膜結合
型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送
蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋
白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造
形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする
遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルス
を感染させた宿主が放出する発芽バキュロウイルスを用
いて、上記蛋白質とその他の化学物質との相互作用を測
定すること含む化学物質のスクリーニング方法を提供す
る。
【0032】スクリーニングに供される化学物質として
は、例えばペプチド、ポリペプチド、合成化合物、微生
物発酵物、生物体(植物又は動物の組織、微生物、又は
細胞などを含む)からの抽出物、あるいはそれらのライ
ブラリーが挙げられる。ライブラリーとしては、合成化
合物ライブラリー(コンビナトリアルライブラリーな
ど)、ペプチドライブラリー(コンビナトリアルライブ
ラリーなど)などが挙げられる。スクリーニングに供さ
れる化学物質は、天然物でも合成物でもよく、また候補
となる単一の化学物質を独立に試験しても、いくつかの
候補となる化学物質の混合物(ライブラリーなどを含
む)について試験をしてもよい。また、細胞抽出物のよ
うな混合物を分画したものについてスクリーニングを行
い、分画を重ねて、所望の活性を有する物質を単離する
ことも可能である。
【0033】これらの化学物質は、膜結合型酵素、該膜
結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型
輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関
与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次
構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質と相互作
用することが予想される物質であり、さらに好ましく
は、上記蛋白質に対する阻害薬または活性化薬物であ
る。
【0034】本発明はさらに、膜結合型酵素、該膜結合
型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送
蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋
白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造
形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする
遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルス
を感染させた宿主が放出する発芽バキュロウイルスを免
疫原として用いることを特徴とする、膜結合型酵素、該
膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合
型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着
関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高
次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質に対す
る抗体を作製する方法を提供する。
【0035】抗体の作成は定法により行うことができ
る。ポリクローナル抗体を作製する場合には、膜結合型
酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因
子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋
白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は
蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋
白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換え
バキュロウィルスを感染させた宿主が放出する発芽バキ
ュロウイルスを抗原として哺乳動物を免疫感作し、該哺
乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離
・精製することにより得ることができる。例えば、マウ
ス、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ラット、ウサ
ギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の哺乳動物を免疫感作
することができる。免疫感作は、通常の免疫感作の方法
に従い、例えば抗原を1回以上投与することにより行う
ことができる。
【0036】抗原投与は、例えば、7から30日、特に
12から16日間隔で2または3回投与することが好ま
しく、投与量も適宜選択できる。抗原の投与経路も特に
限定されず、皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈
内投与、筋肉内投与等を適宜選択することができるが、
静脈内、腹膜腔内もしくは皮下に注射することにより投
与することが好ましい。また、抗原は適当な緩衝液、例
えば完全フロイントアジュバント、RAS〔MPL(Monoph
osphoryl Lipid A)+TDM(Synthetic TrehaloseDicorynom
ycolate)+CWS(Cell Wall Skeleton) アジュバントシス
テム〕 、水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジ
ュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して用いること
ができるが、投与経路や条件等によっては、上記したア
ジュバントは使用しない場合もある。
【0037】免疫感作した哺乳動物を、例えば0.5か
ら4ケ月間飼育した後、該哺乳動物の血清を耳静脈等か
ら少量サンプリングし、抗体価を測定する。抗体価が上
昇してきたら、状況に応じて抗原の投与を適当回数実施
する。例えば100μg〜1000μgの抗原を用いて
追加免疫を行なう。最後の投与から1〜2ケ月後に免疫
感作した哺乳動物から通常の方法により血液を採取し
て、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまた
はポリエチレングリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロ
マトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフ
ィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等
の通常の方法によって分離・精製することにより、ポリ
クローナル抗血清として、所望のポリクローナル抗体を
得ることができる。
【0038】また、モノクローナル抗体を作製する場合
には、例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞株との細
胞融合によりハイブリドーマを作製することにより所望
のモノクローナル抗体を得ることができる。モノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマは、以下のような細
胞融合法によって得ることができる。抗体産生細胞とし
ては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、B
リンパ球等を使用する。抗原としては、細胞外発芽バキ
ュロウイルスを使用する。免疫される動物としてはマウ
ス、ラット等が使用され、これらの動物への抗原の投与
は常法に従って行う。例えば完全フロインドアジュバン
ト、不完全フロインドアジュバントなどのアジュバント
と抗原である発芽バキュロウイルスとの懸濁液もしくは
乳化液を調製し、これを動物の静脈、皮下、皮内、腹腔
内等に数回投与することによって動物を免疫化する。免
疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取
得し、これとミエローマ細胞とをそれ自体公知の方法
(G.Kohleret al .,Nature,256 495(1975))により融合
することにより、ハイブリドーマを作製することができ
る。細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例
えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2
/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際して
は、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの
融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選抜
にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HA
T)培地を常法に従って使用することができる。
【0039】細胞融合により得られたハイブリドーマは
限界希釈法等によりクローニングを行い、さらにスクリ
ーニングを行なうことにより、所望の蛋白質を特異的に
認識するモノクローナル抗体を産生する細胞株を得るこ
とができる。
【0040】このようにして得られたハイブリドーマか
ら目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常
の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培
養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体
を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノク
ローナル抗体の精製は、常法により行なうことができ
る。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマト
グラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを
適宜組み合わせて使用できる。以下の実施例により本発
明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定
されることはない。
【0041】
【実施例】実施例1:ステロール調節蛋白質(SREBP
2)の精製と抗血清の作成 SREBP2はLDL受容体やHMG-CoA還元酵素など細胞内コレ
ステロール調節に関わるキーエンザイムの転写調節をつ
かさどる転写因子である(Brown MS, Goldstein J., P
roc.Natl.Acad.Sci. U.S.A., 1999 Sep 28;96(20):1104
1-8, A proteolytic pathway that controls the chole
sterol content of membranes, cells,and blood)。1
25kdの前駆体蛋白質が2回膜貫通型蛋白質としてER膜
に存在する。細部内コレステロールが欠乏すると、プロ
テアーゼによる2段階の切断により、膜貫通部位を切り
はなされたSREBP2が細胞質に解き放たれ、核へと移行
し、コレステロール調節遺伝子のプロモーター上のsre
配列に結合することにより、転写を活性化する(Brown
MS, Goldstein J., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999 S
ep 28;96(20):11041-8, A proteolytic pathway that c
ontrols the cholesterol content of membranes, cell
s, and blood)。
【0042】(1)組換えバキュロウイルスの作成とSf
9細胞培養 ヒトSREBP2全長遺伝子(Hua X, Yokoyama C, Wu J, Br
iggs MR, Brown MS, Goldstein JL, Wang X., Proc. N
atl.Acad.Sci.U.S.A. 1993 Dec 15;90(24):11603-7., S
REBP-2, a second basic-helix-loop-helix-leucine zi
pper protein that stimulates transcription by bind
ing to a sterol regulatory element)をpBlueBacTM
ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に組み込んだ。Sf
9細胞(Invitrogen)は10%ウシ胎児血清(Sigm
a)、 ペニシリン(100 units/ml)及びストレプトマイ
シン(100μg/ml)を含むGrace's supplemented media
(GIBCOBRL)で27℃で10cm径ディッシュに継代培養
した。大量培養は1Lのスピナーフラスコ(Wheaton)
で0.001%のpluronic F-68(GIBCO BRL)を添加して行っ
た。組換えバキュロウイルスの作成は説明書(Bac-N-Bl
ueTM Transfection Kit,Invitrogen)に従い、Sf9細胞
にBac-N-Blue DNA (ApMNPV 由来)と4μgのpBlueBac
-SREBP2とを共感染させ組換えウイルスを作成した。
【0043】(2)発現のSDS-PAGEとウエスタンブロッ
ト解析 (1)で作製した組換えウイルスを6 well ディッシュ
にて0.83×106個/wellのSf9細胞にMOI (multiplicity
of infection) 5で感染させ、経時的(24、48時
間、72時間)に細胞と培養上清を集めた。一定時間培
養後、Sf9細胞をセルスクレイパーをもちいて剥離し、
800gで10分間の遠沈による沈澱を細胞画分とし、上清
を培養上清画分としサンプル調整までマイナス70℃に保
存した。細胞画分は1wellあたり100μlの等張リン
酸バッファー(0.1%Triton X-100,aprotinin 0.5μg/m
l, leupeptin 0.5μg/ml, pepstatin A 1μg/mlを含む
リン酸緩衝生理食塩水)に懸濁し、PMSF(phenylmethyl
sulfonyl fluoride)を100μg/ml加え、4℃30分間ボ
ルテックスしたのち、1000gで10分間の遠沈の上
清80μlに20μlの5×SDSサンプルバッファー
(0.24MのTris-HCl,pH6.8, 2.25%のβ-メルカプト
エタノール, 2.25%のSDS, 50%のグリセロール, 0.0015%
のブロモフェノールブルー)を加え、95℃10分間熱
処理した。培養上清画分はそのまま80μlに20μlの
5×SDSサンプルバッファーを加え熱処理を行った。
【0044】これらのサンプルを8%SDS-PAGEでゲル電
気泳動したのち、50Vで2時間ニトロセルロース膜
(Highbond ECL, Amersham)に転写した。転写膜はブロ
ックエースで30分間ブロックした後、SREBP2のカル
ボキシル末端を認識するモノクローナル抗体1C6(ATC
C No CRL-2224)のマウス腹水標品3000倍を室温で
1時間反応させ、TBS(20mMのTris-buffered saline,
pH7.4)で3回洗浄後、ペルオキシダーゼ結合抗マウス
IgG抗体(Sigma)で1時間反応させ、TBSで洗浄後、Sup
ersignal west dura (Pierce)で化学発光させ、X線フ
ィルムに感光させた。
【0045】(3)Sf9大量浮遊培養と発芽ウイルスの
スクロース密度勾配遠心 Sf9細胞を1Lのスピナーフラスコ(Wheaton)に5x1
8個/500ml の濃度でGrace's supplemented mediu
mに10%FCS、0.001%PluronicF-68 (Gibco)を添
加し、MOI5でSREBP2組換えウイルスを感染させ72時
間培養した。800g、10分間の遠心により細胞を取
り除き、上清を40000g、20分間超遠心して、そ
の沈澱を4mlのTEバッファー(10mMのTris, 1mMのEDT
A, pH 7.4)にサスペンドした。ベックマン超遠心器SW
28ローターのチューブに25%〜56%の連続スクロ
ース勾配36mlをTEバッファーで作成し、上記ウイルス
のsuspension 1.2mlを上に重ね、100,000gで90分間遠
心後、遠心チューブ上端より1.5mlずつ分画採取した。
【0046】(4)SREBP2の可溶化 Sf9(1 × 10 9)500ml浮遊培養液にSREBP2組換え
ウイルスをMOI 5 で感染させ、72時間後、細胞外発芽
ウイルス(budded virus, BV)を40000gで20分
間の超遠心で回収した。超遠心のペレットをTBS4mlに
懸濁し、濃度1%になるようにlyso-phosphatidylcholi
n (Sigma)を加え、室温で2時間処理した。ベックマン
ローター90Tiで30000rpmで20分間の遠心分離
を行い、上清と沈澱を分離回収した。可溶化された蛋白
質は上清に回収される。
【0047】(5)アフィニティークロマトグラフィー 1C6を分泌するハイブリドーマ細胞(ATCC)の培養上清
4LからプロテインGカラム(Pharmacia)を用いて40m
gのIgGを精製し、CNBr activated-sepharose(Pharmaci
a)8mlにカップリングして1C6アフィニティークロマ
トグラフィーを作成した。上清画分に回収された可溶化
蛋白をPD10カラム(Pharmacia)を用いてバッファ
ーA(20mMの 0ctyl-glucoseを含む20mM のHEPESバ
ッファー、pH7.4)にバッファー交換し、その後上記1C
6アフィニティークロマトグラフィー2mlにアプライ
し、0.5MのNaClを含むバッファーAで洗浄した後、1
0Mの尿素を含むバッファーAで溶出した。容出画分を
再度PD10カラムでバッファーAにバッファー交換し
たのち、MonoSカラム(Pharmacia)にアプライし、ファ
ルマシアSMARTシステムにて、0〜0.5MのNaCl直線グラ
ジエント溶出を行った。
【0048】(6)SREBP2の発現 発現量をカルボキシ末端を認識するモノクローナル抗体
1C6(ATCC, USA)を用いてウエスタンブロット法によ
り確認した(図1)。その結果、Sf9細胞には24時間
後からに発現が確認され、48時間後には培養上清に発
現が認められた。この48時間後に培養上清に回収され
るSREBP2の由来を確認するため、培養上清を遠心分離
したところ、800gでの30分間の遠心では上清に回
収され、40000gで20分間の遠心ではペレット画
分に回収された(図2)。これは培養上清に存在するSR
EBP2が死細胞などのdebrisではなく、膜あるいは細胞
外ウイルスに由来するものであることを示唆する。さら
にこのペレット画分をスクロース密度勾配遠心にて分画
したところ、SREBP2タンパク質はSDS?PAGE上クマシー
染色で確認されるウイルスエンベロープタンパク質gp6
4と同じ画分に回収された(図3)。これは、SREBP2
が細胞膜の破片ではなくウイルスに発現されていること
を示す結果である。
【0049】さらにこの画分を1%リゾレシチンで処理
すると、80%程度が可溶画分に回収され、1c6抗体
をCNBrセファロースにカップリングした1C6アフィニ
ティーカラムによって精製可能である(図4)。
【0050】(7)マウスへの免疫 1x109細胞/500mlのSf9浮遊細胞に5MOIのSREBP
2組換えウイルスを感染させ、72時間後超遠心分離に
より、発芽バキュロウイルス(BV)をリン酸緩衝液(PB
S)4mlに懸濁回収した。マウスを二匹づつ3つのグル
ープにわけ、それぞれに0.1μl、1μl、10μl
相当のウイルス溶液を免疫して、二回の免疫により抗血
清が作成されることを確認した(図5)。
【0051】実施例2:HMG-CoA還元酵素の発現と精製 HMG-CoA還元酵素は、細胞内のコレステロール合成の律
速段階のHMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素で、ERに
分布する(Goldstein JL, Brown MS., Nature 1990 Feb
1;343(6257):425-30., Regulation of the mevalonate
pathway;及びOlender EH, Simon RD., J.Biol.Chem.
1992 Feb 25;267(6):4223-35., The intracellular tar
geting and membrane topology of 3-hydroxy-3-methyl
glutaryl-CoA reductase)。この酵素に対する阻害剤は
高コレステロール血症の治療薬として用いられており、
虚血性心疾患、動脈硬化症などに著効を奏している(Ma
ronDJ, Fazio S, Linton MF., Circulation 2000 Jan
18;101(2):207-13., Current perspectives on statin
s)が、HMG-CoA還元酵素の活性部位はカルボキシ端にあ
り細胞質側に向いている(Olender EH, Simon RD., J.B
iol.Chem. 1992 Feb 25;267(6):4223-35., The intrace
llular targeting and membrane topology of3-hydroxy
-3-methylglutaryl-CoA reductase)。現在までコレス
テロール感受性部位といわれる膜貫通部位を保ったまま
の形態では精製されていない。
【0052】実施例1と同様に、ヒトHMG-CoA還元酵素
の全長cDNA(ATCC, 57043)をEcoRI,BamHIサイトでpBlu
eBacHis2ATM (Invitrogen) に組み込んだベクターを作
成し、バキュロウイルスApMNPV DNA (BAC-N-BLUETM, In
vitrogen)と共にSf9細胞に共感染させ、組換えウイル
スを得た。このウイルスをSf9細胞に感染させ、発現時
系列をモノクローナル抗体A9(ATCC, CRL-1811)のウエ
スタンブロッティングで調べたところ、実施例1と同
様、培養上清40000g20分のペレット画分にHMG-C
oA還元酵素が回収され(図6)、密度勾配遠心上ウイル
スと同じ画分にHMG-CoA還元酵素の活性が回収された
(表1)。
【0053】
【表1】
【0054】さらにこの画分からリゾレシチン等の界面
活性剤をもちいてHMG-CoA還元酵素を可溶化し、ニッケ
ルアフィニティーカラム等をもちいて部分精製すること
に成功した(図7)。
【0055】HMG-CoA還元酵素の活性測定法(J.I.Gersh
ausen et al. BBRC. 158(3) 667-675.1989) 91μlの反応溶液(0.1MのKPO4 (pH7.4), 10mMのDTT,
0.2mMのNADPH, 5mMのglucose-6-phosphate, 1.4U/mlのg
lucose-6-phosphate dehydrogenase, 1mg/mlのBSA)に
5μlの阻害剤(10mMコンパクチン溶液、コンパクチン
は遠藤 章博士からの提供)を添加した。阻害剤を添加
しないものは、溶媒のみを5μl加えた。ここに蛋白質
溶液としてBuffer B(40mMのKPO4(pH7.4), 0.05MのK
Cl, 0.1Mのsucrose, 0.03MのEDTA, 0.01MのDTT) に懸
濁したWister Kyoto Rat肝ミクロソーム(2.21mg/ml)
またはHMG-CoA 還元酵素発現発芽ウィルス(2.38mg/m
l)のいずれかを2μl加えた後、37℃5分間preincub
ationした。酵素反応は、基質(17.5 μCi/mlのglutary
l-3-〔14C 〕HMG-CoAを含む1.25mg/mlのHMG-CoA)を2
μl添加することにより開始した。反応時間は37℃6
分間で、反応停止は20μlの5NのHClを加え、よく攪拌
し、代謝産物であるメバロン酸をラクトン化させること
により終了した。15分間室温に放置し、反応液に3.5m
lの50%Biorex-5(陰イオン交換樹脂)懸濁液を加え
ることにより基質である〔14C 〕HMG-CoAを吸着除去
し、攪拌後、3000gで10分間遠心した。得られた上清を
デカンテーションにより、シンチレーションバイアルに
移した。さらにこのバイアル中に液体シンチレーター
(アクアゾール-2)を15ml加えた後、シンチレーショ
ンカウンターにて、〔14C〕メバロノラクトンを測定し
た。
【0056】HMG-CoA還元酵素発現発芽ウィルスからの
ホロ酵素の精製 実施例1と同様にして、HMG-CoA還元酵素組換えウイル
スを感染させたSf9細胞2L浮遊培養の培養上清からBV
を調製し、6mlの懸濁バッファー(10mMのリン酸カリウ
ム溶液, pH7.4, 50μMの N-acetyl-leucyl-leucyl-norl
eucinal, 1μg/mlのロイペプチン, 1mMのジチオスレイ
トール, 10%のグリセロール)にて懸濁した。これに1%
リゾレシチンと0.45% Tween20を加え、4℃で2時間スタ
ーラーで攪拌した。この溶液を45000g で20分間遠心し
た結果、得られた上清を回収し、10%のグリセロールを
含む10mMのリン酸カリウム溶液(pH7.4)により、4℃で透
析を行った。透析後の溶液のうち、2mlをニッケルカラ
ム(Pharmacia)にアプライした。ファルマシアFPLCシ
ステムを使用し、イミダゾール溶液(10, 25, 50, 75,
100, 150, 200, 300, 500mM)のステップワイズ法によ
り、蛋白を溶出した。目的蛋白の検出法はA9抗体(抗HM
G-CoA還元酵素抗体, IgG1, ATCC)によるイムノブロッ
ティング法を用いた。
【0057】実施例3:S1Pの発現 S1Pはステロール調節エレメント結合タンパク質SREBP
の前駆体を切断する一回膜貫通型のプロテアーゼである
(Sakai J, Rawson RB, Espenshade PJ, ChengD, Seegm
iller AC, Goldstein JL, Brown MS., Mol Cell. 1998
Oct;2(4):505-14., Molecular identification of the
sterol-regulated luminal protease that cleaves SRE
BPs and controls lipid composition of animal cell
s)。SREBPのER腔内ループ中にあるRSVL配列を認識し、
ロイシン残基のカルボキシル端で切断する。1052ア
ミノ酸よりなるプロ体(148kd)としてERに合成され
た後に、シグナルペプチドが切断されA型S1P(120k
d)となる。その後ゴルジ体に輸送され自己分解で活性
化し、B型(106kd)もしくはC型S1P(98kd)とな
る(Espenshade PJ, Cheng D, Goldstein JL, Brown M
S., J Biol Chem. 1999 Aug 6;274(32):22795-804., Au
tocatalytic processing of site-1 proteaseremoves p
ropeptide and permits cleavage of sterol regulator
y element-binding proteins)。神経栄養因子BDNF (br
ain-derived neurotrophic factor)のプロセッシング酵
素としても報告されている(Seidah NG, Mowla SJ, Ham
elinJ, Mamarbachi AM, Benjannet S, Toure BB, Basak
A, Munzer JS, Marcinkiewicz J, Zhong M, Barale J
C, Lazure C, Murphy RA, Chretien M, Marcinkiewicz
M., Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1999 Feb 16;96(4):1
321-6. Mammalian subtilisin/kexin isozyme SKI-1: A
widely expressed proprotein convertase with a uni
que cleavage specificity and cellular localizatio
n)。
【0058】実施例1と同様に、ヒトS1P cDNA (KIAA0
091,Kazusa DNA Research Institute)をpBlueBachis2
TMに組み込んだベクターを作成し、 ApMNPV DNA (BAC-N
-BLUE TM, Invitrogen) と共にSf9細胞に共感染させ、
組換えウイルスを得た。High FiveTM 細胞(Invitrogen)
は16.5mMのL-glutamine を添加したExpress Five SFM(G
ibco)培地に浮遊継代培養した。
【0059】この組換えウイルスをHigh FiveTM 細胞(I
nvitrogen)にMOI 5にて感染させ、実施例1と同様に細
胞外発芽ウイルス(BV)を調製した。 ヒトS1Pの部分
アミノ酸配列589-604を合成し、Keyhole Limpet Hemocy
aninにコンジュゲートしてウサギに免疫し抗血清R03
を得た。
【0060】調製したBVをもちいて、S1PのBVへの発現
をR03のイムノブロットにて調べたところ実施例1、
2と同様48時間以降の培養上清遠沈画分(BV画分)に
回収された(図8)。
【0061】実施例4:SCAPの発現、並びにSREBP2とS
CAPとの共発現 SCAP (SREBP cleavage activating protein)はステロー
ルセンサードメイン(SSD)を持つ8回膜貫通型の膜蛋
白質で、ER膜にSREBPとヘテロ二量体を形成して存在す
る(Loisel TP, Ansanay H, St-Onge S, Gay B, Boulan
ger P, StrosbergAD, Marullo S, Bouvier M., Nat.Bio
technol. 1997 Nov;15(12):1300-4., Recovery of homo
geneous and functional beta 2-adrenergic receptors
from extracellular baculovirus particles)。SSDが
コレステロールの減少を感知し、未知の機構により、SR
EBPをS1Pの分布するゴルジ体へとエスコートする(DeB
ose-Boyd RA, Brown MS, Li WP, Nohturfft A, Goldste
in JL, Espenshade PJ., Cell. 1999 Dec 23;99(7):703
-12., Transport-dependent proteolysis of SREBP: re
location of site-1 protease from Golgi to ER obvia
tes the need for SREBP transport to Golgi)。この
ようにSCAPはコレステロール依存性にSREBPを輸送ある
いは切断酵素の活性化をおこなう活性化因子として知ら
れている。
【0062】SCAP の発現 ヒトSCAPcDNA (KIAA 0199, Kazusa DNA Research Insti
tute)をpBlueBachis2TM(Invitrogen)に組み込んだベク
ターを作成し、ApMNPV DNA (BAC-N-BLUETM, Invitroge
n)と共にSf9細胞に共感染させ、組換えウイルスを得
た。これを 実施例1と同様にSf9細胞にMOI 5にて感染
させ、His-tagに対する抗体(Qiagen)でイムノブロッ
トした結果、Sf9細胞に発現されているSCAPは凝集して
いるのに比べ、BVに発現しているSCAPは正しい泳動度を
示した(図9)。
【0063】SREBP2とSCAPの共発現 SREBP2とSCAPはカルボキシル末端で相互作用し、ヘテ
ロ2量体を形成し、この複合体がコレステロール調節に
重要であると考えられている(Sakai J, Nohturfft A,
Cheng D, Ho YK, Brown MS, Goldstein JL., J.Biol.C
hem. 1997 Aug 8;272(32):20213-21., Identification
of complexes between the COOH-terminaldomains of s
terol regulatory element-binding proteins (SREBPs)
and SREBP cleavage-activating protein)。
【0064】実施例1で作成したSREBP2の組換えウイ
ルスとSCAPの組換えウイルスをSf9細胞にそれぞれMOI
5で共感染させ、72時間後200mLの培養上清から回収
したBVを4mLのTBSに懸濁した。そのうち1mLを実施例1
のSREBP2の可溶化と同様に濃度1%のlyso-phosphatidy
lcholin (Sigma)を加えて室温で2時間処理した。その
後、 4℃で10,000 g, 10分間の遠心分離を行い、上清と
沈澱を分離回収し、上清を可溶画分、沈澱を可溶化後ペ
レットとした。可溶画分を500μlずつ2つの1.5mlチ
ューブに分注し、1C6アフィニティーセファロース30
μlまたはNi-NTAアガロース (Qiagen) 30μlを添加し
て、4℃で16時間、回転混和した。それぞれのチューブ
を300 g、3分間遠心分離し、上清を免沈上清とし、沈澱
を免沈ペレットとした。免沈上清200μlをアセトン沈
澱(5倍量のアセトン添加、?20℃に30分間置いた後、3
000g、20分間遠沈)し、 80μlの溶解バッファー(10
mMのTris-HCl, pH6.8, 100 mMのNaCl, 1%のSDS, 1 mMの
sodium EDTA, 1 mMのsodiun EGTA)に懸濁し、20μlの
5× SDSサンプルバッファーを加えて95℃5分熱処理し
てSDS-PAGE用サンプル(図10レーン4、5)とした。
【0065】免沈ペレットは500μlの0.5%lyso-phosp
hatidylcholinを含むTBSに懸濁し、4℃で16時間、回転
混和し、これを一回目の洗いとした。二回目、三回目の
洗いは同量のバッファーを加え1時間回転混和し、300
g、3分の遠心分離により上清を除いた。洗浄後、免沈ペ
レットを100μlの2 ×SDSサンプルバッファー(60 mM
のTris-HCl, pH6.8, 10%のβ-mercaptoethanol, 6%のSD
S, 10%のglycerol, 0.008%のbromophenolblue)に懸濁
した。 95℃、10分間の熱処理をした後、1000 gで10分
間の遠心分離をおこない、上清をSDS-PAGE用サンプル
(図10レーン6、7)として回収した。
【0066】SDS−ゲル電気泳動、イムノブロット染色
は実施例1と同様に行った。それぞれのSDS-PAGE用サン
プルは7.5%SDS-PAGEでゲル電気泳動したのち、70 Vで
2時間ニトロセルロース膜に転写してウェスタンブロッ
トを行った。1C6抗体またはHis-tagに対する抗体により
SREBPとSCAPの検出を行った。Ni-NTA Agarose により、
SREBPとSCAPが共沈することが見られ、バキュロ発現系
でも複合体を形成していると考えられた(図10)。1C
6アフィニティーセファロースでは複合体形成をしてい
ないSREBPのみ沈降するが、これはSCAPとの複合体形成
により1C6が抗原部位を認識できなくなったためと考え
られる。
【0067】
【発明の効果】sf9細胞核より回収される膜蛋白質は分
解産物が多いのに較べ、本発明による、膜結合型酵素、
該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結
合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接
着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の
高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質を発
芽バキュロウイルス中に発現させる方法によれば、ウイ
ルスエンベロープに回収される小胞体膜蛋白質は単一バ
ンドで回収され、安定性が高い。膜蛋白質(特に、小胞
体膜蛋白質)は細胞から分離する際にライソゾームなど
の分解酵素にさらされるために調製が一般に困難である
が、本発明の方法により細胞外ウイルスエンベロープに
発現させた膜蛋白質は調製が容易で安定性に優れてい
る。本発明の方法は、特異抗体の作成、膜タンパクの精
製、膜蛋白質相互作用などの測定に利用することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、SREBP2のSf9細胞への発現を
示す図である。
【図2】図2は、培養上清に発現したSREBP2の遠
心分離の結果を示す図である。
【図3】図3は、40,000gペレットの密度勾配遠
心の結果を示す図である。
【図4】図4は、SREBPの発芽ウイルスからの可溶
化と精製の結果を示す図である。
【図5】図5は、SREBPのマウス抗血清の作製の結
果を示す図である。
【図6】図6は、HMG−CoA還元酵素の発芽ウイル
スへの発現の結果を示す図である。
【図7】図7は、HMG−CoA還元酵素の可溶化と精
製の結果を示す図である。
【図8】図8は、S1Pの発芽ウイルスへの発現の結果
を示す図である。
【図9】図9は、SCAPの発芽ウイルスへの発現の結
果を示す図である。
【図10】図10は、SREBP2とSCAPの発芽ウ
イルスへの共発現の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/08 C12Q 1/70 4H045 C12Q 1/70 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 C12R 1:92) //(C12N 15/09 (C12N 7/00 C12R 1:92) C12R 1:92) (C12N 7/00 (C12N 7/02 C12R 1:92) C12R 1:92) (C12N 7/02 (C12P 21/00 C C12R 1:92) C12R 1:92) (C12P 21/00 (C12P 21/08 C12R 1:92) C12R 1:92) (C12P 21/08 C12N 15/00 A C12R 1:92) C12R 1:92) (72)発明者 山口 美峰子 東京都世田谷区世田谷1丁目41番地15号 コーポコスモス202号 (72)発明者 石原 豪史 東京都世田谷区大蔵1丁目29番地7号 Fターム(参考) 2G045 AA40 BB20 BB60 CB01 CB17 CB21 DA36 FB01 FB03 4B024 AA20 BA07 BA44 BA80 CA03 CA04 DA02 EA02 GA11 HA01 4B063 QA01 QQ08 QQ10 QQ79 QR33 QR39 4B064 AG01 AG27 CA12 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA93Y AA95X AB01 BA02 BA08 CA24 CA25 4H045 AA10 AA11 BA10 CA01 CA40 DA01 DA86 EA50 FA74

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
    膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
    ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
    に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
    白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少
    なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿
    主を培養することにより該蛋白質を発現させる方法にお
    いて、該宿主から放出される発芽バキュロウイルス中に
    該蛋白質を発現させる方法。
  2. 【請求項2】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
    膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
    ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
    に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
    白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む組
    換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿
    主から放出される発芽バキュロウイルスを回収し、該発
    芽バキュロウイルスから発現蛋白質を回収することを含
    む、蛋白質の調製方法。
  3. 【請求項3】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
    膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
    ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
    に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
    白質から選択される蛋白質が、細胞内小器官の膜結合蛋
    白質である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
    膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
    ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
    に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
    白質から選択される蛋白質が、SREBP2、HMG-CoA還元酵
    素、S1P、又はSREBP cleavage activating proteinで
    ある、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 宿主が昆虫細胞又は昆虫幼虫である、請
    求項1から4の何れか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
    膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
    ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
    に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
    白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少
    なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿
    主が放出する、発芽バキュロウイルス。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の発芽バキュロウイルス
    を用いて、上記蛋白質とその他の化学物質との相互作用
    を測定すること含む、化学物質のスクリーニング方法。
  8. 【請求項8】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
    膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
    ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
    に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
    白質から選択される蛋白質に対する阻害薬または活性化
    薬物をスクリーニングする、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、
    膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネ
    ル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示
    に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋
    白質から選択される2種類以上の蛋白質をコードする遺
    伝子をそれぞれ含む異なる2種類以上の組換えバキュロ
    ウィルスを共感染させることにより、上記2種類以上の
    蛋白質の機能を同時に発現させ、該機能を活性化又は抑
    制する化学物質をスクリーニングする方法。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載の発芽バキュロウイル
    スを免疫原として用いることを特徴とする、膜結合型酵
    素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、
    膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白
    質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋
    白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白
    質に対する抗体を作製する方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の方法により作製さ
    れる抗体。
JP2000158294A 2000-05-29 2000-05-29 発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法 Expired - Fee Related JP4596608B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000158294A JP4596608B2 (ja) 2000-05-29 2000-05-29 発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000158294A JP4596608B2 (ja) 2000-05-29 2000-05-29 発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001333773A true JP2001333773A (ja) 2001-12-04
JP4596608B2 JP4596608B2 (ja) 2010-12-08

Family

ID=18662783

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000158294A Expired - Fee Related JP4596608B2 (ja) 2000-05-29 2000-05-29 発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4596608B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005038023A1 (ja) * 2003-10-16 2005-04-28 Toudai Tlo, Ltd. 発芽バキュロウィルスを用いた活性型膜型プロテアーゼ蛋白質複合体の発現方法
US7875705B2 (en) 2007-05-28 2011-01-25 The University Of Tokyo Tumor diagnostic agent used in PET comprising anti-ROBO1 antibody
WO2013051606A1 (ja) 2011-10-03 2013-04-11 国立大学法人 東京大学 アスパラギン合成酵素に特異的に認識するモノクローナル抗体
CN103357072A (zh) * 2012-03-28 2013-10-23 国家纳米科学中心 具有微流通道的水凝胶及其制备方法和应用

Non-Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010017099, The Journal of Biological Chemistry, 1995, Vol.270, No.49, p.29422−29427 *
JPN6010017101, Journal of Bacteriology, 1997, Vol.179, No.11, p.3632−3638 *
JPN6010017102, The Journal of Cell Biology, 1986, Vol.103, p.875−886 *
JPN6010017104, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1985, Vol.82, p.770−774 *
JPN6010017106, Gene, 1993, Vol.134, p.75−81 *
JPN6010017107, BioTechniques, 1997, Vol.22, p.730−735 *
JPN6010017109, Current Opinion in Biotechnology, 1998, Vol.9, p.522−527 *
JPN6010017110, Nature Biotechnology, 1997, Vol.15, p.1300−1304 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005038023A1 (ja) * 2003-10-16 2005-04-28 Toudai Tlo, Ltd. 発芽バキュロウィルスを用いた活性型膜型プロテアーゼ蛋白質複合体の発現方法
US7875705B2 (en) 2007-05-28 2011-01-25 The University Of Tokyo Tumor diagnostic agent used in PET comprising anti-ROBO1 antibody
WO2013051606A1 (ja) 2011-10-03 2013-04-11 国立大学法人 東京大学 アスパラギン合成酵素に特異的に認識するモノクローナル抗体
US9638697B2 (en) 2011-10-03 2017-05-02 The University Of Tokyo Monoclonal antibody specifically recognizing asparagine synthetase
CN103357072A (zh) * 2012-03-28 2013-10-23 国家纳米科学中心 具有微流通道的水凝胶及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4596608B2 (ja) 2010-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2002006305A1 (fr) Procede permettant de recueillir l'enveloppe virale d'un baculovirus
US20040265300A1 (en) Chimeric molecules containing a module able to target specific cells and a module regulating the apoptogenic function of the permeability transition pore complex (PTPC)
EP2011513B1 (en) Therapeutic agents for alzheimer's disease and cancer
JPH02504467A (ja) リン脂質アンカードメインとの新規融合ポリペプチドの合成のための核酸および方法
JP3542784B2 (ja) 抗semp1抗体、その製法及び使用
JP4984160B2 (ja) 抗体の作製方法
Rindisbacher et al. Production of Human Secretory Component with Dimeric IgA Binding Capacity Using Viral Expression Systems∗
WO2001009316A1 (fr) Nouveaux genes codant la proteine kinase / proteine phosphatase
JP4545685B2 (ja) 心臓疾患治療物質のスクリーニング方法および心臓疾患治療医薬組成物
Tanaka et al. The generation of monoclonal antibodies against human peroxisome proliferator-activated receptors (PPARs)
CN105849128B (zh) 用于聚集蛋白聚糖酶相关疾病治疗的针对聚集蛋白聚糖酶型adamts种类的人抗体
JP2001333773A (ja) 発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法
JP4426575B2 (ja) 心機能抑制性/降圧性新規内因性生理活性ペプチド
JP3480941B2 (ja) TGF−β阻害物質のスクリーニング方法
JP2001510165A (ja) タンパク質の核トラフィッキングを調節するための方法および組成物
US20090197317A1 (en) TSG-Like Gene
WO2007037245A1 (ja) 血管新生抑制作用を有するポリペプチド
US7070978B2 (en) Method for expressing and purifying proteins using budded baculovirus
EA023016B1 (ru) Составной белок
JPH11506921A (ja) ヒトg−タンパク質受容体hcegh45
US11028184B2 (en) Long-acting PCSK9-specific binding protein and application thereof
JPH03503721A (ja) 酵素的に活性な組換えグルコセレブロシダーゼ
WO2005030955A1 (ja) Nk細胞に発現するタンパク質
CA3126108A1 (en) Anti-adam28 antibody for treating cancer
JP2019518472A (ja) プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9型の結合タンパク質及びその使用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070524

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100330

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100622

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100818

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100907

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100921

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees