JP4596608B2 - 発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法 - Google Patents

発芽バキュロウィルスを用いた蛋白質の発現と精製法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バキュロウイルスの発現系を利用した小胞体膜又はゴルジ体膜等の膜に存在する蛋白質を発現させる技術に関する。より詳細には、本発明は、膜蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養することにより該蛋白質を発芽バキュロウイルス中に発現させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バキュロウイルス発現系はバキュロウイルスの多角体蛋白質(polyhedrin)遺伝子のプロモーターを利用して、目的遺伝子をSf9細胞で組換えを起こさせて、大量に発現させる系である。多角体蛋白質は、ウイルスが細胞内で越冬する際に使われるタイプの形であるocculusion body としてsf9細胞の核に大量に発現される。多角体遺伝子に組換え蛋白質を導入し、発現した蛋白質を精製する系バキュロの発現系は、大腸菌の発現系に比べ、発現蛋白質が凝集を作りにくく、糖鎖の付加や金属イオンの配位など蛋白質の機能に必要な翻訳後修飾が入るなど利点が多い。
【0003】
バキュロウイルスにはもう一つの生活環があり、ウイルスが増殖して感染するために、発芽型ウイルス(Budded virus:本明細書中では発芽バキュロウイルスとも言う)となってSf9細胞膜を被って細胞外に放出される。この際に上記の多角体蛋白質に組換えた7回膜貫通型受容体が細胞膜に発現され、発芽したバキュロウイルスのエンベロープ上に回収されることがBouvier らによって報告されている(Loisel TP, Ansanay H, St-Onge S, Gay B, Boulanger P, Strosberg AD, Marullo S, Bouvier M., Nat Biotechnol. 1997 Nov;15(12):1300-4., Recovery of homogeneous and functional beta 2-adrenergic receptors from extracellular baculovirus particles:並びに国際公開WO98/46777)。宿主細胞に発現された7回膜貫通型受容体は糖鎖構造など機能的でないものが多いのに比べ、ウイルスエンベロープ上に回収される受容体は機能的な蛋白質のみであることが報告されている。しかし、Bouvier らは受容体蛋白質以外の膜蛋白質については言及していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をバキュロウィルス発現系を用いて活性を有する形態で効率よく発現させる方法を提供することを解決すべき課題とする。本発明はまた、上記方法を利用して上記発現蛋白質に対する抗体を産生する方法、上記方法を利用して医薬品等として有用な化学物質をスクリーニングする方法を提供することを解決すべき課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
SREBP(sterol regulatoru element binding protein)2、HMG-CoA(ヒドロキシメチルクルタリルコエンザイムA)還元酵素、SCAP (SREBP cleavage activating protein)、S1P ( site 1 protease) は小胞体(ER)膜あるいはゴルジ体膜に分布する細胞内コレステロールフィードバック調節に関与する膜蛋白質群である。本発明者らは、これらの蛋白質をバキュロ発現系をもちいてSf9細胞に発現させ、細胞外発芽ウイルスエンベロープに回収することに成功した。また、 Sf9細胞膜により回収される膜蛋白質が分解産物が多いのに較べ、ウイルスエンベロープに回収されるER膜蛋白質は単一バンドで回収され、安定性が高いことが判明した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0006】
即ち、本発明によれば、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養することにより該蛋白質を発現させる方法において、該宿主から放出される発芽バキュロウイルス中に該蛋白質を発現させる方法が提供される。
【0007】
本発明の別の側面によれば、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出される発芽バキュロウイルスを回収し、該発芽バキュロウイルスから発現蛋白質を回収することを含む、蛋白質の調製方法が提供される。
【0008】
好ましくは、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質は、細胞内小器官の膜結合蛋白質である。
好ましくは、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質は、SREBP2、HMG-CoA還元酵素、S1P、又はSREBP cleavage activating proteinである。
好ましくは、宿主は昆虫細胞又は昆虫幼虫である。
【0009】
本発明のさらに別の側面によれば、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主が放出する、発芽バキュロウイルスが提供される。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の発芽バキュロウイルスを用いて、上記蛋白質とその他の化学物質との相互作用を測定すること含む、化学物質のスクリーニング方法が提供される。
本発明のスクリーニング方法では、好ましくは、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質に対する阻害薬または活性化薬物がスクリーニングされる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される2種類以上の蛋白質をコードする遺伝子をそれぞれ含む異なる2種類以上の組換えバキュロウィルスを共感染させることにより、上記2種類以上の蛋白質の機能を同時に発現させ、該機能を活性化又は抑制する化学物質をスクリーニングする方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の発芽バキュロウイルスを免疫原として用いることを特徴とする、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質に対する抗体を作製する方法、並びにこの方法により作製される抗体が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様及び実施方法について詳細に説明する。
本発明の方法は、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養することにより該蛋白質を発現させる方法であって、該宿主から放出される発芽バキュロウイルス中に該蛋白質を発現させる方法である。
【0014】
本明細書で言う「膜結合型」とは、蛋白質が細胞膜並びに細胞内小器官(例えば、小胞体やゴルジ体等)の形質膜に存在することを広く意味し、その蛋白質の種類は特に限定されない。好ましくは、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子又は膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質は、細胞内小器官の膜結合蛋白質であり、例えば、小胞体やゴルジ体の膜に結合した蛋白質である。
【0015】
膜結合型酵素としては,コレステロール代謝に関わるHMG-CoA還元酵素やACAT(acyl-coenzyme A:cholesterol acyltransferase)、7α−hydroxylaseなどがあげられる。また解毒に関わるシトクロームP450系、ミトコンドリアに存在するATP合成酵素やシトクロム酸化酵素および還元酵素、NADH-Q還元酵素などの電子伝達系酵素があげられる。またホルモンや調節因子、栄養因子などのプロセッシングに関わるプロセッシングプロテアーゼ群としてS1P(site 1 protease)、furin、PC(proprotein convertase)、S2P(site 2 protease)、エンドセリン変換酵素(endothelin converting enzyme)、アンギオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme)、neprilysinなど、またnotchシグナルなどのシグナル伝達系に関わるADAMS(a disintegrin and metalloprotease) familyや細胞外基質の分解に関わるmatrix metalloprotease群があげられる。その他diacylglycerol合成酵素、ホスファチジン酸ホスファターゼ、ホスファチジルセリン合成酵素などの膜脂質代謝酵素、adenylate cyclaseなどのシグナル伝達に関与する酵素があげられる。
【0016】
膜結合型の酵素基質蛋白質としては,シグナル伝達,転写調節に関わる蛋白質としてステロール調節蛋白質(SREBP)、Notch、Ire1、ATF6などがあげられ、またその他アミロイド前駆体蛋白質(Amyloid precursor protein)、TNFα(tumor necrosis factor)precursor、Stem cell factor、M-CSF (monocyte colony stimulating factor) precursor、Klothoなどがあげられる。
【0017】
膜結合型酵素活性化因子としては,プレセニリン(presenillin),SCAP(SREBP cleavage activating protein), などがあげられる。
【0018】
膜結合型輸送蛋白質としては,コレステロールなどの脂質を輸送するNPC(Niemann-Pick type c)1、ABC(ATP-binding cassette)トランスポーター、カベオリン(caveolin)、脂肪酸トランスポーター(fatty acid transporter)があげられ、またGLUT1-4などのグルコーストランスポーターを含む糖トランスポーター、glutamate tanspoter、serotonin transporterなどのアミノ酸トランスポーターなどがあげられる。また細胞内ベジクル間の物質輸送に関与する膜蛋白質としてSec12などがあげられる。
【0019】
さらに膜を透過しない分子をある条件のもとに選択的に通過させるチャネル蛋白質があげられる.その中には水の選択的チャネルであるアクアポリンファミリー、またカリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオンなどに対する選択的チャネルであるイオンチャネルなどがあげられる。
【0020】
その他膜の構造蛋白質および接着に関与する蛋白質として、NCAM(Neural cell adhesion molecule)、ICAM(interecellular adhesion molecule)、カドヘリンファミリー、インテグリン、デスモコリン、デスモグレイン、L-selectin、connexin、 グリコプロテインなどがあげられる。また免疫細胞において抗原提示に関わる主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex; MHC),蛋白質の高次構造形成に関わると考えられるcalnexin、PDI(protein disulfide isomerase)、CFTR (cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)、 major prion protein precursor(プリオン)などのシャペロン蛋白質があげられる。
【0021】
本発明では、上記したような発現させるための蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを使用する。
昆虫に感染して病気を起こすウイルスであるバキュロウイルスは、環状の二本鎖DNAを遺伝子としてもつエンベロープウイルスで、鱗翅目、膜翅目および双翅目などの昆虫に感受性を示す。バキュロウイルスの中で、感染細胞の核内に多角体(ポリヒドラ)と呼ばれる封入体を大量につくる一群のウイルスが核多角体病ウイルス(NPV)である。多角体は、分子量31kDaのポリヘドリンタンパクより構成され、感染後期に大量につくられその中に多数のウイルス粒子を埋め込んでいる。多角体はウイルスが自然界で生存するためには必須であるが、ウイルスの増殖そのものには必要ないので、多角体遺伝子の代わりに発現させたい外来遺伝子を挿入してもウイルスは全く支障なく感染し増殖する。
【0022】
本発明で用いられるバキュロウイルスとしては、NPVのキンウワバ亜科のオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPV(AcNPV)やカイコのボンビックス・モリ(Bombyx mori )NPV(BmNPV)などのウイルスがベクターとして用いることができる。
AcNPVの宿主(感染、継代細胞)としてはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda )細胞(Sf細胞)などが挙げられ、BmNPVの宿主(感染、継代細胞)としてはBmN4細胞などが挙げられる。Sf細胞は、BmN4細胞などに比べ増殖速度が速いこと、また、AcNPVはヒト肝細胞およびヒト胎児腎細胞などにも感染する能力を有することから、AcNPV系のベクターが好ましい。
【0023】
宿主としては、Spodoptera Frugiperda細胞系統Sf9およびSf21などがS.frugiperda幼虫の卵巣組織から確立しており、Invitrogen社あるいはPharmingen社(San Diego,CA)、又はATCCなどから入手可能である。さらに、生きている昆虫幼虫を宿主細胞系として使用することもできる。
【0024】
本発明で用いる組換えウイルスを構築する方法は、常法に従って行えばよく、例えば次の手順で行うことができる。
先ず、発現させたい蛋白質の遺伝子をトランスファーベクターに挿入して組換えトランスファーベクターを構築する。
トランスファーベクターの全体の大きさは一般的には数kb〜10kb程度であり、そのうちの約3kbはプラスミド由来の骨格であり、アンピシリン等の抗生物質耐性遺伝子と細菌のDNA複製開始のシグナルを含んでいる。通常のトランスファーベクターではこの骨格以外に、多角体遺伝子の5’領域と3’領域をそれぞれ数kbずつ含み、以下に述べるようなトランスフェクションを行った際に、この配列間で目的遺伝子と多角体遺伝子との間で相同組換えが引き起こる。また、トランスファーベクターには蛋白質遺伝子を発現させるためのプラモーターを含むことが好ましい。プロモーターとしては、多角体遺伝子のプロモーター、p10遺伝子のプロモーター、キャプシド遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。
【0025】
トランスファーベクターの種類は特に限定されない。トランスファーベクターの具体例としては、AcNPV系トランスファーベクターとしては、pEVmXIV2、pAcSG1、pVL1392/1393、pAcMP2/3、pAcJP1、pAcUW21、pAcDZ1、pBlueBacIII、pAcUW51、pAcAB3、pAc360、pBlueBacHis、pVT−Bac33、pAcUW1、pAcUW42/43などが挙げられ、BmNPV系トランスファーベクターとしては、pBK283、pBK5、pBB30、pBE1、pBE2、pBK3、pBK52、pBKblue、pBKblue2、pBFシリーズ(以上、フナコシ株式会社、藤沢薬品工業株式会社等から入手可能)などが挙げられる。
【0026】
次に、組換えウイルスを作製するために、上記の組換えトランスファーベクターをウイルスと混合した後、宿主として用いる培養細胞に移入するか、あるいは予めウイルスで感染させた宿主として用いる培養細胞に上記のトランスファーベクターを移入し、組換えトランスファーベクターとウイルスゲノムDNAとの間に相同組み換えを起こさせ、組み換えウイルスを構築する。
ここで宿主として用いる培養細胞とは、上記した宿主が挙げられ、通常、昆虫培養細胞(Sf9細胞やBmN細胞など)である。培養条件は、当業者により適宜決定されるが、具体的にはSf9細胞を用いた場合は10%ウシ胎児血清を含む培地で、28℃前後で培養することが好ましい。このようにして構築された組み換えウイルスは、常法、例えばプラークアッセイなどによって精製することができる。なお、このようにして作製された組換えウイルスは、核多角体病ウイルスの多角体蛋白質の遺伝子領域に外来のDNAが置換または挿入されており多角体を形成することができないため、非組換えウイルスと容易に区別することが可能である。
【0027】
本発明の方法では、前記の組換えバキュロウイルスを、上記した適当な宿主(Spodoptera Frugiperda細胞系統Sf9およびSf21などの培養細胞、又は昆虫幼虫など)に感染させ、一定時間後(例えば、72時間後等)に培養上清から細胞外発芽ウイルス(budded virus, BV)を遠心などの分離操作によって回収することにより、目的蛋白質を回収することができる。なお、組換えバキュロウイルスは1種類のみ感染させてもよいし、2種類以上の組換えバキュロウイルスを組み合わせて共感染させてもよい。
【0028】
細胞外発芽バキュロウイルスの回収は、例えば、以下のように行うことができる。
先ず感染細胞の培養液を500〜1,000gで遠心分離して、細胞外発芽バキュロウイルスを含む上清を回収する。この上清を約30,000〜50,000gで遠心分離して細胞外発芽バキュロウイルスを含む沈殿物を得る。この沈殿物を適当な緩衝液に懸濁し、再度、適当な濃度勾配(例えば、スクロースの連続勾配等)の上にウイルスの懸濁物を重ね、100,000gで遠心分離して分画する。得られた画分の中から所望の蛋白質を含む画分を選択すればよい。
【0029】
さらに、発現させた蛋白質を可溶化した形態で得る場合には、感染細胞の培養液から例えば40000gで遠心分離することにより細胞外発芽ウイルスを回収する。この回収されたペレットを適当な緩衝液に懸濁し,lyso-phosphatidylcholin 等の溶解剤で処理し、さらに30000rpmで遠心分離を行うことにより上清と沈澱に分離する。可溶化された目的蛋白質は上清中に回収される。
【0030】
上記した本発明の方法により回収される発現蛋白質は、その活性化形態として回収されることを特徴とする。本発明の方法により回収される蛋白質は、好ましくは少なくとも50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が活性化形態で回収される。このような活性化形態の膜蛋白質を高い割合で回収することは従来法では不可能であった。
【0031】
本発明はさらに、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主が放出する発芽バキュロウイルスを用いて、上記蛋白質とその他の化学物質との相互作用を測定すること含む化学物質のスクリーニング方法を提供する。
【0032】
スクリーニングに供される化学物質としては、例えばペプチド、ポリペプチド、合成化合物、微生物発酵物、生物体(植物又は動物の組織、微生物、又は細胞などを含む)からの抽出物、あるいはそれらのライブラリーが挙げられる。ライブラリーとしては、合成化合物ライブラリー(コンビナトリアルライブラリーなど)、ペプチドライブラリー(コンビナトリアルライブラリーなど)などが挙げられる。スクリーニングに供される化学物質は、天然物でも合成物でもよく、また候補となる単一の化学物質を独立に試験しても、いくつかの候補となる化学物質の混合物(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよい。また、細胞抽出物のような混合物を分画したものについてスクリーニングを行い、分画を重ねて、所望の活性を有する物質を単離することも可能である。
【0033】
これらの化学物質は、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質と相互作用することが予想される物質であり、さらに好ましくは、上記蛋白質に対する阻害薬または活性化薬物である。
【0034】
本発明はさらに、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主が放出する発芽バキュロウイルスを免疫原として用いることを特徴とする、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質に対する抗体を作製する方法を提供する。
【0035】
抗体の作成は定法により行うことができる。ポリクローナル抗体を作製する場合には、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主が放出する発芽バキュロウイルスを抗原として哺乳動物を免疫感作し、該哺乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離・精製することにより得ることができる。例えば、マウス、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ラット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の哺乳動物を免疫感作することができる。免疫感作は、通常の免疫感作の方法に従い、例えば抗原を1回以上投与することにより行うことができる。
【0036】
抗原投与は、例えば、7から30日、特に12から16日間隔で2または3回投与することが好ましく、投与量も適宜選択できる。抗原の投与経路も特に限定されず、皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等を適宜選択することができるが、静脈内、腹膜腔内もしくは皮下に注射することにより投与することが好ましい。また、抗原は適当な緩衝液、例えば完全フロイントアジュバント、RAS〔MPL(Monophosphoryl Lipid A)+TDM(Synthetic Trehalose Dicorynomycolate)+CWS(Cell Wall Skeleton) アジュバントシステム〕 、水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して用いることができるが、投与経路や条件等によっては、上記したアジュバントは使用しない場合もある。
【0037】
免疫感作した哺乳動物を、例えば0.5から4ケ月間飼育した後、該哺乳動物の血清を耳静脈等から少量サンプリングし、抗体価を測定する。抗体価が上昇してきたら、状況に応じて抗原の投与を適当回数実施する。例えば100μg〜1000μgの抗原を用いて追加免疫を行なう。最後の投与から1〜2ケ月後に免疫感作した哺乳動物から通常の方法により血液を採取して、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の通常の方法によって分離・精製することにより、ポリクローナル抗血清として、所望のポリクローナル抗体を得ることができる。
【0038】
また、モノクローナル抗体を作製する場合には、例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞株との細胞融合によりハイブリドーマを作製することにより所望のモノクローナル抗体を得ることができる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、以下のような細胞融合法によって得ることができる。
抗体産生細胞としては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等を使用する。抗原としては、細胞外発芽バキュロウイルスを使用する。免疫される動物としてはマウス、ラット等が使用され、これらの動物への抗原の投与は常法に従って行う。例えば完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと抗原である発芽バキュロウイルスとの懸濁液もしくは乳化液を調製し、これを動物の静脈、皮下、皮内、腹腔内等に数回投与することによって動物を免疫化する。免疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取得し、これとミエローマ細胞とをそれ自体公知の方法(G.Kohler et al .,Nature,256 495(1975))により融合することにより、ハイブリドーマを作製することができる。細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際しては、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選抜にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地を常法に従って使用することができる。
【0039】
細胞融合により得られたハイブリドーマは限界希釈法等によりクローニングを行い、さらにスクリーニングを行なうことにより、所望の蛋白質を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する細胞株を得ることができる。
【0040】
このようにして得られたハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【0041】
【実施例】
実施例1:ステロール調節蛋白質(SREBP2)の精製と抗血清の作成
SREBP2はLDL受容体やHMG-CoA還元酵素など細胞内コレステロール調節に関わるキーエンザイムの転写調節をつかさどる転写因子である(Brown MS, Goldstein J., Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A., 1999 Sep 28;96(20):11041-8, A proteolytic pathway that controls the cholesterol content of membranes, cells, and blood)。125kdの前駆体蛋白質が2回膜貫通型蛋白質としてER膜に存在する。細部内コレステロールが欠乏すると、プロテアーゼによる2段階の切断により、膜貫通部位を切りはなされたSREBP2が細胞質に解き放たれ、核へと移行し、コレステロール調節遺伝子のプロモーター上のsre配列に結合することにより、転写を活性化する(Brown MS, Goldstein J., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1999 Sep 28;96(20):11041-8, A proteolytic pathway that controls the cholesterol content of membranes, cells, and blood)。
【0042】
(1)組換えバキュロウイルスの作成と Sf 9細胞培養
ヒトSREBP2全長遺伝子(Hua X, Yokoyama C, Wu J, Briggs MR, Brown MS, Goldstein JL, Wang X., Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1993 Dec 15;90(24):11603-7., SREBP-2, a second basic-helix-loop-helix-leucine zipper protein that stimulates transcription by binding to a sterol regulatory element)をpBlueBacTM ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に組み込んだ。Sf9細胞(Invitrogen)は10%ウシ胎児血清(Sigma)、 ペニシリン(100 units/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を含むGrace's supplemented media (GIBCO BRL)で27℃で10cm径ディッシュに継代培養した。大量培養は1Lのスピナーフラスコ(Wheaton)で0.001%のpluronic F-68(GIBCO BRL)を添加して行った。組換えバキュロウイルスの作成は説明書(Bac-N-BlueTM Transfection Kit, Invitrogen)に従い、Sf9細胞にBac-N-Blue DNA (ApMNPV 由来)と4μgのpBlueBac-SREBP2とを共感染させ組換えウイルスを作成した。
【0043】
(2)発現の SDS-PAGE とウエスタンブロット解析
(1)で作製した組換えウイルスを6 well ディッシュにて0.83×106個/wellのSf9細胞にMOI (multiplicity of infection) 5で感染させ、経時的(24、48時間、72時間)に細胞と培養上清を集めた。一定時間培養後、Sf9細胞をセルスクレイパーをもちいて剥離し、800gで10分間の遠沈による沈澱を細胞画分とし、上清を培養上清画分としサンプル調整までマイナス70℃に保存した。細胞画分は1wellあたり100μlの等張リン酸バッファー(0.1%Triton X-100, aprotinin 0.5μg/ml, leupeptin 0.5μg/ml, pepstatin A 1μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水)に懸濁し、PMSF(phenylmethylsulfonyl fluoride)を100μg/ml加え、4℃30分間ボルテックスしたのち、1000gで10分間の遠沈の上清80μlに20μlの5×SDSサンプルバッファー(0.24MのTris-HCl, pH6.8, 2.25%のβ-メルカプトエタノール, 2.25%のSDS, 50%のグリセロール, 0.0015%のブロモフェノールブルー)を加え、95℃10分間熱処理した。培養上清画分はそのまま80μlに20μlの5×SDSサンプルバッファーを加え熱処理を行った。
【0044】
これらのサンプルを8%SDS-PAGEでゲル電気泳動したのち、50Vで2時間ニトロセルロース膜(Highbond ECL, Amersham)に転写した。転写膜はブロックエースで30分間ブロックした後、SREBP2のカルボキシル末端を認識するモノクローナル抗体1C6(ATCC No CRL-2224)のマウス腹水標品3000倍を室温で1時間反応させ、TBS(20mMのTris-buffered saline, pH7.4)で3回洗浄後、ペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG抗体(Sigma)で1時間反応させ、TBSで洗浄後、Supersignal west dura (Pierce)で化学発光させ、X線フィルムに感光させた。
【0045】
(3) Sf 9大量浮遊培養と発芽ウイルスのスクロース密度勾配遠心
Sf9細胞を1Lのスピナーフラスコ(Wheaton)に5x108個/500ml の濃度でGrace's supplemented mediumに10%FCS、0.001%PluronicF-68 (Gibco)を添加し、MOI5でSREBP2組換えウイルスを感染させ72時間培養した。800g、10分間の遠心により細胞を取り除き、上清を40000g、20分間超遠心して、その沈澱を4mlのTEバッファー(10mMのTris, 1mMのEDTA, pH 7.4)にサスペンドした。ベックマン超遠心器SW28ローターのチューブに25%〜56%の連続スクロース勾配36mlをTEバッファーで作成し、上記ウイルスのsuspension 1.2mlを上に重ね、100,000gで90分間遠心後、遠心チューブ上端より1.5mlずつ分画採取した。
【0046】
(4) SREBP 2の可溶化
Sf9(1 × 10 9)500ml浮遊培養液にSREBP2組換えウイルスをMOI 5 で感染させ、72時間後、細胞外発芽ウイルス(budded virus, BV)を40000gで20分間の超遠心で回収した。超遠心のペレットをTBS4mlに懸濁し、濃度1%になるようにlyso-phosphatidylcholin (Sigma)を加え、室温で2時間処理した。ベックマンローター90Tiで30000rpmで20分間の遠心分離を行い、上清と沈澱を分離回収した。可溶化された蛋白質は上清に回収される。
【0047】
(5)アフィニティークロマトグラフィー
1C6を分泌するハイブリドーマ細胞(ATCC)の培養上清4LからプロテインGカラム(Pharmacia)を用いて40mgのIgGを精製し、CNBr activated-sepharose(Pharmacia)8mlにカップリングして1C6アフィニティークロマトグラフィーを作成した。
上清画分に回収された可溶化蛋白をPD10カラム(Pharmacia)を用いてバッファーA(20mMの 0ctyl-glucoseを含む20mM のHEPESバッファー、pH7.4)にバッファー交換し、その後上記1C6アフィニティークロマトグラフィー2mlにアプライし、0.5MのNaClを含むバッファーAで洗浄した後、10Mの尿素を含むバッファーAで溶出した。容出画分を再度PD10カラムでバッファーAにバッファー交換したのち、MonoSカラム(Pharmacia)にアプライし、ファルマシアSMARTシステムにて、0〜0.5MのNaCl直線グラジエント溶出を行った。
【0048】
(6) SREBP 2の発現
発現量をカルボキシ末端を認識するモノクローナル抗体1C6(ATCC, USA)を用いてウエスタンブロット法により確認した(図1)。その結果、Sf9細胞には24時間後からに発現が確認され、48時間後には培養上清に発現が認められた。この48時間後に培養上清に回収されるSREBP2の由来を確認するため、培養上清を遠心分離したところ、800gでの30分間の遠心では上清に回収され、40000gで20分間の遠心ではペレット画分に回収された(図2)。これは培養上清に存在するSREBP2が死細胞などのdebrisではなく、膜あるいは細胞外ウイルスに由来するものであることを示唆する。さらにこのペレット画分をスクロース密度勾配遠心にて分画したところ、SREBP2タンパク質はSDS?PAGE上クマシー染色で確認されるウイルスエンベロープタンパク質gp64と同じ画分に回収された(図3)。これは、SREBP2が細胞膜の破片ではなくウイルスに発現されていることを示す結果である。
【0049】
さらにこの画分を1%リゾレシチンで処理すると、80%程度が可溶画分に回収され、1c6抗体をCNBrセファロースにカップリングした1C6アフィニティーカラムによって精製可能である(図4)。
【0050】
(7)マウスへの免疫
1x109細胞/500mlのSf9浮遊細胞に5MOIのSREBP2組換えウイルスを感染させ、72時間後超遠心分離により、発芽バキュロウイルス(BV)をリン酸緩衝液(PBS)4mlに懸濁回収した。マウスを二匹づつ3つのグループにわけ、それぞれに0.1μl、1μl、10μl相当のウイルス溶液を免疫して、二回の免疫により抗血清が作成されることを確認した(図5)。
【0051】
実施例2:HMG-CoA還元酵素の発現と精製
HMG-CoA還元酵素は、細胞内のコレステロール合成の律速段階のHMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素で、ERに分布する(Goldstein JL, Brown MS., Nature 1990 Feb 1;343(6257):425-30., Regulation of the mevalonate pathway;及びOlender EH, Simon RD., J.Biol.Chem. 1992 Feb 25;267(6):4223-35., The intracellular targeting and membrane topology of 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase)。この酵素に対する阻害剤は高コレステロール血症の治療薬として用いられており、虚血性心疾患、動脈硬化症などに著効を奏している(Maron DJ, Fazio S, Linton MF., Circulation 2000 Jan 18;101(2):207-13., Current perspectives on statins)が、HMG-CoA還元酵素の活性部位はカルボキシ端にあり細胞質側に向いている(Olender EH, Simon RD., J.Biol.Chem. 1992 Feb 25;267(6):4223-35., The intracellular targeting and membrane topology of 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase)。現在までコレステロール感受性部位といわれる膜貫通部位を保ったままの形態では精製されていない。
【0052】
実施例1と同様に、ヒトHMG-CoA還元酵素の全長cDNA(ATCC, 57043)をEcoRI, BamHIサイトでpBlueBacHis2ATM (Invitrogen) に組み込んだベクターを作成し、バキュロウイルスApMNPV DNA (BAC-N-BLUETM, Invitrogen)と共にSf9細胞に共感染させ、組換えウイルスを得た。このウイルスをSf9細胞に感染させ、発現時系列をモノクローナル抗体A9(ATCC, CRL-1811)のウエスタンブロッティングで調べたところ、実施例1と同様、培養上清40000g20分のペレット画分にHMG-CoA還元酵素が回収され(図6)、密度勾配遠心上ウイルスと同じ画分にHMG-CoA還元酵素の活性が回収された(表1)。
【0053】
【表1】
Figure 0004596608
【0054】
さらにこの画分からリゾレシチン等の界面活性剤をもちいてHMG-CoA還元酵素を可溶化し、ニッケルアフィニティーカラム等をもちいて部分精製することに成功した(図7)。
【0055】
HMG-CoA 還元酵素の活性測定法( J.I.Gershausen et al. BBRC. 158(3) 667-675. 1989
91μlの反応溶液(0.1MのKPO4 (pH7.4), 10mMのDTT, 0.2mMのNADPH, 5mMのglucose-6-phosphate, 1.4U/mlのglucose-6-phosphate dehydrogenase, 1mg/mlのBSA)に5μlの阻害剤(10mMコンパクチン溶液、コンパクチンは遠藤 章博士からの提供)を添加した。阻害剤を添加しないものは、溶媒のみを5μl加えた。ここに蛋白質溶液としてBuffer B(40mMのKPO4(pH7.4), 0.05MのKCl, 0.1Mのsucrose, 0.03MのEDTA, 0.01MのDTT) に懸濁したWister Kyoto Rat肝ミクロソーム(2.21mg/ml)またはHMG-CoA 還元酵素発現発芽ウィルス(2.38mg/ml)のいずれかを2μl加えた後、37℃5分間preincubationした。酵素反応は、基質(17.5 μCi/mlのglutaryl-3-〔14C 〕HMG-CoAを含む1.25mg/mlのHMG-CoA)を2 μl添加することにより開始した。反応時間は37℃6分間で、反応停止は20μlの5NのHClを加え、よく攪拌し、代謝産物であるメバロン酸をラクトン化させることにより終了した。15分間室温に放置し、反応液に3.5mlの50%Biorex-5(陰イオン交換樹脂)懸濁液を加えることにより基質である〔14C 〕HMG-CoAを吸着除去し、攪拌後、3000gで10分間遠心した。得られた上清をデカンテーションにより、シンチレーションバイアルに移した。さらにこのバイアル中に液体シンチレーター(アクアゾール-2)を15ml加えた後、シンチレーションカウンターにて、〔14C〕メバロノラクトンを測定した。
【0056】
HMG-CoA 還元酵素発現発芽ウィルスからのホロ酵素の精製
実施例1と同様にして、HMG-CoA還元酵素組換えウイルスを感染させたSf9細胞2L浮遊培養の培養上清からBVを調製し、6mlの懸濁バッファー(10mMのリン酸カリウム溶液, pH7.4, 50μMの N-acetyl-leucyl-leucyl-norleucinal, 1μg/mlのロイペプチン, 1mMのジチオスレイトール, 10%のグリセロール)にて懸濁した。これに1% リゾレシチンと0.45% Tween20を加え、4℃で2時間スターラーで攪拌した。この溶液を45000g で20分間遠心した結果、得られた上清を回収し、10% のグリセロールを含む10mMのリン酸カリウム溶液(pH7.4)により、4℃で透析を行った。透析後の溶液のうち、2mlをニッケルカラム(Pharmacia)にアプライした。ファルマシアFPLCシステムを使用し、イミダゾール溶液(10, 25, 50, 75, 100, 150, 200, 300, 500mM)のステップワイズ法により、蛋白を溶出した。目的蛋白の検出法はA9抗体(抗HMG-CoA還元酵素抗体, IgG1, ATCC)によるイムノブロッティング法を用いた。
【0057】
実施例3:S1Pの発現
S1Pはステロール調節エレメント結合タンパク質SREBPの前駆体を切断する一回膜貫通型のプロテアーゼである(Sakai J, Rawson RB, Espenshade PJ, Cheng D, Seegmiller AC, Goldstein JL, Brown MS., Mol Cell. 1998 Oct;2(4):505-14., Molecular identification of the sterol-regulated luminal protease that cleaves SREBPs and controls lipid composition of animal cells)。SREBPのER腔内ループ中にあるRSVL配列を認識し、ロイシン残基のカルボキシル端で切断する。1052アミノ酸よりなるプロ体(148kd)としてERに合成された後に、シグナルペプチドが切断されA型S1P(120kd)となる。その後ゴルジ体に輸送され自己分解で活性化し、B型(106kd)もしくはC型S1P(98kd)となる(Espenshade PJ, Cheng D, Goldstein JL, Brown MS., J Biol Chem. 1999 Aug 6;274(32):22795-804., Autocatalytic processing of site-1 protease removes propeptide and permits cleavage of sterol regulatory element-binding proteins)。神経栄養因子BDNF (brain-derived neurotrophic factor) のプロセッシング酵素としても報告されている(Seidah NG, Mowla SJ, Hamelin J, Mamarbachi AM, Benjannet S, Toure BB, Basak A, Munzer JS, Marcinkiewicz J, Zhong M, Barale JC, Lazure C, Murphy RA, Chretien M, Marcinkiewicz M., Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1999 Feb 16;96(4):1321-6. Mammalian subtilisin/kexin isozyme SKI-1: A widely expressed proprotein convertase with a unique cleavage specificity and cellular localization)。
【0058】
実施例1と同様に、ヒトS1P cDNA (KIAA0091,Kazusa DNA Research Institute)をpBlueBachis2TMに組み込んだベクターを作成し、 ApMNPV DNA (BAC-N-BLUETM, Invitrogen) と共にSf9細胞に共感染させ、組換えウイルスを得た。High FiveTM 細胞(Invitrogen)は16.5mMのL-glutamine を添加したExpress Five SFM(Gibco)培地に浮遊継代培養した。
【0059】
この組換えウイルスをHigh FiveTM 細胞(Invitrogen)にMOI 5にて感染させ、実施例1と同様に細胞外発芽ウイルス(BV)を調製した。 ヒトS1Pの部分アミノ酸配列589-604を合成し、Keyhole Limpet Hemocyaninにコンジュゲートしてウサギに免疫し抗血清R03を得た。
【0060】
調製したBVをもちいて、S1PのBVへの発現をR03のイムノブロットにて調べたところ実施例1、2と同様48時間以降の培養上清遠沈画分(BV画分)に回収された(図8)。
【0061】
実施例4:SCAPの発現、並びにSREBP2とSCAPとの共発現
SCAP (SREBP cleavage activating protein)はステロールセンサードメイン(SSD)を持つ8回膜貫通型の膜蛋白質で、ER膜にSREBPとヘテロ二量体を形成して存在する(Loisel TP, Ansanay H, St-Onge S, Gay B, Boulanger P, Strosberg AD, Marullo S, Bouvier M., Nat.Biotechnol. 1997 Nov;15(12):1300-4., Recovery of homogeneous and functional beta 2-adrenergic receptors from extracellular baculovirus particles)。SSDがコレステロールの減少を感知し、未知の機構により、SREBPをS1Pの分布するゴルジ体へとエスコートする(DeBose-Boyd RA, Brown MS, Li WP, Nohturfft A, Goldstein JL, Espenshade PJ., Cell. 1999 Dec 23;99(7):703-12., Transport-dependent proteolysis of SREBP: relocation of site-1 protease from Golgi to ER obviates the need for SREBP transport to Golgi)。このようにSCAPはコレステロール依存性にSREBPを輸送あるいは切断酵素の活性化をおこなう活性化因子として知られている。
【0062】
SCAP の発現
ヒトSCAPcDNA (KIAA 0199, Kazusa DNA Research Institute)をpBlueBachis2TM (Invitrogen)に組み込んだベクターを作成し、ApMNPV DNA (BAC-N-BLUETM, Invitrogen)と共にSf9細胞に共感染させ、組換えウイルスを得た。これを 実施例1と同様にSf9細胞にMOI 5にて感染させ、His-tagに対する抗体(Qiagen)でイムノブロットした結果、Sf9細胞に発現されているSCAPは凝集しているのに比べ、BVに発現しているSCAPは正しい泳動度を示した(図9)。
【0063】
SREBP 2と SCAP の共発現
SREBP2とSCAPはカルボキシル末端で相互作用し、ヘテロ2量体を形成し、この複合体がコレステロール調節に重要であると考えられている(Sakai J, Nohturfft A, Cheng D, Ho YK, Brown MS, Goldstein JL., J.Biol.Chem. 1997 Aug 8;272(32):20213-21., Identification of complexes between the COOH-terminal domains of sterol regulatory element-binding proteins (SREBPs) and SREBP cleavage-activating protein)。
【0064】
実施例1で作成したSREBP2の組換えウイルスとSCAPの組換えウイルスをSf9細胞にそれぞれMOI5で共感染させ、72時間後200mLの培養上清から回収したBVを4mLのTBSに懸濁した。そのうち1mLを実施例1のSREBP2の可溶化と同様に濃度1%のlyso-phosphatidylcholin (Sigma)を加えて室温で2時間処理した。その後、 4℃で10,000 g, 10分間の遠心分離を行い、上清と沈澱を分離回収し、上清を可溶画分、沈澱を可溶化後ペレットとした。可溶画分を500μlずつ2つの1.5mlチューブに分注し、1C6アフィニティーセファロース30μlまたはNi-NTAアガロース (Qiagen) 30μlを添加して、4℃で16時間、回転混和した。それぞれのチューブを300 g、3分間遠心分離し、上清を免沈上清とし、沈澱を免沈ペレットとした。免沈上清200μlをアセトン沈澱(5倍量のアセトン添加、?20℃に30分間置いた後、3000g、20分間遠沈)し、 80μlの溶解バッファー(10 mMのTris-HCl, pH6.8, 100 mMのNaCl, 1%のSDS, 1 mMのsodium EDTA, 1 mMのsodiun EGTA)に懸濁し、20μlの5× SDSサンプルバッファーを加えて95℃5分熱処理してSDS-PAGE用サンプル(図10レーン4、5)とした。
【0065】
免沈ペレットは500μlの0.5%lyso-phosphatidylcholinを含むTBSに懸濁し、4℃で16時間、回転混和し、これを一回目の洗いとした。二回目、三回目の洗いは同量のバッファーを加え1時間回転混和し、300 g、3分の遠心分離により上清を除いた。洗浄後、免沈ペレットを100μlの2 ×SDSサンプルバッファー(60 mMのTris-HCl, pH6.8, 10%のβ-mercaptoethanol, 6%のSDS, 10%のglycerol, 0.008%のbromophenolblue)に懸濁した。 95℃、10分間の熱処理をした後、1000 gで10分間の遠心分離をおこない、上清をSDS-PAGE用サンプル(図10レーン6、7)として回収した。
【0066】
SDS−ゲル電気泳動、イムノブロット染色は実施例1と同様に行った。それぞれのSDS-PAGE用サンプルは7.5%SDS-PAGEでゲル電気泳動したのち、70 Vで2時間ニトロセルロース膜に転写してウェスタンブロットを行った。1C6抗体またはHis-tagに対する抗体によりSREBPとSCAPの検出を行った。Ni-NTA Agarose により、SREBPとSCAPが共沈することが見られ、バキュロ発現系でも複合体を形成していると考えられた(図10)。1C6アフィニティーセファロースでは複合体形成をしていないSREBPのみ沈降するが、これはSCAPとの複合体形成により1C6が抗原部位を認識できなくなったためと考えられる。
【0067】
【発明の効果】
sf9細胞核より回収される膜蛋白質は分解産物が多いのに較べ、本発明による、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される蛋白質を発芽バキュロウイルス中に発現させる方法によれば、ウイルスエンベロープに回収される小胞体膜蛋白質は単一バンドで回収され、安定性が高い。膜蛋白質(特に、小胞体膜蛋白質)は細胞から分離する際にライソゾームなどの分解酵素にさらされるために調製が一般に困難であるが、本発明の方法により細胞外ウイルスエンベロープに発現させた膜蛋白質は調製が容易で安定性に優れている。本発明の方法は、特異抗体の作成、膜タンパクの精製、膜蛋白質相互作用などの測定に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、SREBP2のSf9細胞への発現を示す図である。
【図2】図2は、培養上清に発現したSREBP2の遠心分離の結果を示す図である。
【図3】図3は、40,000gペレットの密度勾配遠心の結果を示す図である。
【図4】図4は、SREBPの発芽ウイルスからの可溶化と精製の結果を示す図である。
【図5】図5は、SREBPのマウス抗血清の作製の結果を示す図である。
【図6】図6は、HMG−CoA還元酵素の発芽ウイルスへの発現の結果を示す図である。
【図7】図7は、HMG−CoA還元酵素の可溶化と精製の結果を示す図である。
【図8】図8は、S1Pの発芽ウイルスへの発現の結果を示す図である。
【図9】図9は、SCAPの発芽ウイルスへの発現の結果を示す図である。
【図10】図10は、SREBP2とSCAPの発芽ウイルスへの共発現の結果を示す図である。

Claims (10)

  1. 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される細胞内小器官の膜結合蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養することにより該蛋白質を発現させる方法において、該宿主から放出される発芽バキュロウイルス中に該蛋白質を発現させる方法。
  2. 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される細胞内小器官の膜結合蛋白質をコードする遺伝子を含む組換えバキュロウィルスを感染させた宿主を培養し、該宿主から放出される発芽バキュロウイルスを回収し、該発芽バキュロウイルスから発現蛋白質を回収することを含む、蛋白質の調製方法。
  3. 細胞内小器官の膜結合蛋白質が、活性を有する膜結合型酵素である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される細胞内小器官の膜結合蛋白質が、SREBP2、HMG-CoA還元酵素、S1P、又はSREBP cleavage activating proteinである、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  5. 宿主が昆虫細胞又は昆虫幼虫である、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
  6. 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される細胞内小器官の膜結合蛋白質をコードする遺伝子を含む少なくとも1種の組換えバキュロウィルスを感染させた宿主が放出する、発芽バキュロウイルス。
  7. 請求項6に記載の発芽バキュロウイルスを用いて、上記蛋白質とその他の化学物質との相互作用を測定すること含む、化学物質のスクリーニング方法。
  8. 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される細胞内小器官の膜結合蛋白質に対する阻害薬または活性化薬物をスクリーニングする、請求項7に記載の方法。
  9. 膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される2種類以上の細胞内小器官の膜結合蛋白質をコードする遺伝子をそれぞれ含む異なる2種類以上の組換えバキュロウィルスを共感染させることにより、発芽バキュロウイルスに上記2種類以上の蛋白質の機能を同時に発現させ、該機能を活性化又は抑制する化学物質をスクリーニングする方法。
  10. 請求項6に記載の発芽バキュロウイルスを免疫原として用いることを特徴とする、膜結合型酵素、該膜結合型酵素の基質、膜結合型酵素活性化因子、膜結合型輸送蛋白質、チャネル蛋白質、膜の構造蛋白質、接着関与蛋白質、抗原提示に関わる蛋白質、又は蛋白質の高次構造形成に関わる蛋白質から選択される細胞内小器官の膜結合蛋白質に対する抗体を作製する方法。
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