JP2001330918A - ハロゲン化銀乳剤、熱現像感光材料、その画像記録方法及び画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤、熱現像感光材料、その画像記録方法及び画像形成方法

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JP2001330918A
JP2001330918A JP2001068402A JP2001068402A JP2001330918A JP 2001330918 A JP2001330918 A JP 2001330918A JP 2001068402 A JP2001068402 A JP 2001068402A JP 2001068402 A JP2001068402 A JP 2001068402A JP 2001330918 A JP2001330918 A JP 2001330918A
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silver
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JP2001068402A
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English (en)
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Kanji Kashiwagi
寛司 柏木
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で、生試料の経時保存に於いても、カ
ブリ変動が小さいハロゲン化銀乳剤及び感光材料、現像
銀色調、画像保存性及び膜物性が改良された熱現像感光
材料並びにその熱現像感光材料を使用する画像記録方法
及び画像形成方法を提供すること。 【解決手段】 一般式(1)で表される化合物の少なく
とも1種とヘテロ原子を有する大環状化合物を含有する
ことを特徴とするハロゲン化乳剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀乳剤、
ハロゲン化銀感光材料、熱現像感光材料、その画像記録
方法及び画像形成方法に関し、詳しくは高い感度及び低
いカブリを有し、露光条件の変動による感度変化が小さ
い赤色〜赤外感光性のハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲ
ン化銀感光材料、熱現像感光材料、その画像記録方法及
び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀感光材料は高い感光性、記
憶性、高いS/N特性という優れた特性を持つハロゲン
化銀微粒子を利用して作られている。しかしながら、ハ
ロゲン化銀粒子の感光域は500nm付近が長波端と短
いため、より長波側に感光させるには増感色素を用いた
分光増感が不可欠である。
【0003】特に近年、産業用記録材料に於ては環境保
全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれ
ている。一方で、光源の発達に伴い、産業用記録材料に
於てレーザー光源に対応した感光材料の需要が高まりつ
つあり、特に半導体レーザーを光源とする赤外レーザー
に感光する感光材料の重要性が高い。
【0004】こういった背景のもと、半導体レーザーを
光源とし、溶液系処理化学薬品を全く使用しない医療用
画像記録システムが開発され、登場してきている。これ
らの需要を満足するためには、感光材料に更なる高感度
化が求められ、特に赤外域での分光増感技術開発の要望
が高まっている。更なる高感度化が達成できると、感光
材料への露光量を減少でき、装置の負荷を軽減するだけ
ではなく、ハロゲン化銀の小径化を始めとする他の技術
を併用することにより、CP(カバリングパワー)を高
められる。即ち、省銀或いはカブリの低減に繋がり、環
境保全や高画質を達成することができる。高感度化は材
料開発の基本である。一般に、赤外域に感光性を有する
ほど、高感度化の技術負荷が高い。主な原因は、赤外増
感色素の安定性やハロゲン化銀への吸着性が低いことで
ある。
【0005】例えば、赤外線感光性ハロゲン化銀感光材
料の分光増感技術については米国特許第3,582,3
44号、同第5,013,642号、欧州特許第42
0,012号、ロシア国特許第1,549,027号、
同第1,596,961号、同第1,780,427号
等の明細書、特公平3−10391号、同6−5238
7号、特開平3−138638号、同3−138642
号、同3−235940号、同3−243944号、同
3−244667号、同4−311948号、同4−3
12577号、同5−72660号、同5−45773
号、同5−45774号、同5−45775号、同5−
72660号、同5−72661号、同5−26512
0号、同5−341432号、同6−194781号、
同6−222491号、同6−222492号、同6−
250323号、同6−301141号、同6−317
868号、同6−332103号、同6−324425
号、同7−175158号、同7−306512号、同
8−194282号、同8−201959号、同9−2
81638号、同9−281639号、同9−2883
26号、同9−288327号、同9−292672
号、同9−292673号、特表平9−510022号
等の公報に開示されており、さらにハレーション防止技
術については特開平7−13295号公報、米国特許第
5,380,635号明細書に開示されている。
【0006】これら赤外線による露光を前提とした感光
材料では増感色素、ハレーション防止染料の可視吸収を
大幅に少なくすることができ、実質的に色のない感光材
料を容易に作ることができる利点がある。
【0007】しかし、赤外領域に極大吸収を持ち色増感
する色素は共役鎖が長く、周りの影響を受けて共役鎖部
分が変化を受け易いことから、又、最低空準位と最高被
占準位の間隔が狭く、ハロゲン化銀粒子の伝導帯準位に
対して最低空準位と最高被占準位が近づいていることか
ら、カブリが生成し易くなったり、長期の保存で感度が
低下する問題が起こる。
【0008】これら感度、保存性に対する問題は、湿式
の処理によるコンベンショナルハロゲン化銀感光材料だ
けでなく、熱現像感光材料において更に顕著となる。こ
のような赤外増感の問題を改良するための方法として強
色増感の技術が開示されており、赤外用強色増感剤とし
て、例えば、欧州特許第176,483号、同第20
3,698号、同第465,730号、同第509,2
53号、米国特許第4,946,962号、同第5,0
24,928号等の明細書、特開昭61−69063
号、同62−299838号、同63−159840
号、特開平2−67546号、同2−134630号、
同2−157744号、同4−184332号、同4−
255841号、同5−45833号、同5−4583
4号、同5−66515号、同5−313289号、同
6−289555号、同8−262612号、同9−2
11773号等の公報に多数の技術が開示されている。
熱現像系での赤外用強色増感剤としては特開平2−42
41号公報記載のアミノポリカルボン酸誘導体、特開平
4−182639号、同5−341432号公報記載の
複素芳香族メルカプト化合物または複素芳香族ジスルフ
ィド化合物が開示されているが、アミノポリカルボン酸
誘導体では強色増感効果が弱く低感度であり、また複素
芳香族メルカプト化合物や複素芳香族ジスルフィド化合
物では、未使用のまま高湿条件下で保存すると感度が低
下するといった問題があった。これら保存性能を向上さ
せた技術として特開平7−146527号公報記載の環
状カルボニル化合物や特開平10−90823号、同1
0−90824号、同10−90825号、同10−3
19534号、同11−4489号公報記載の特定の構
造を有するジスルフィド化合物が提案されているが、こ
れとても未だ満足なものではなく、更なる改良が求めら
れていた。
【0009】この感度、カブリ、生保存性に関する改善
要望は、赤外増感系で特に顕著であるが、可視光域に感
光極大を有する増感色素系においても、同様に内在して
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、高感度で、生試料の経時保存に於いても、カブリ変
動が小さいハロゲン化銀乳剤及び感光材料を提供するこ
とである。第2の目的は、現像銀色調、画像保存性及び
膜物性が改良された熱現像感光材料を提供することであ
る。第3の目的は、その熱現像感光材料を使用する画像
記録方法及び画像形成方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この課題は下記手段によ
って達成された。
【0012】1.上記一般式(1)で表される化合物の
少なくとも1種とヘテロ原子を有する大環状化合物を含
有することを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0013】2.支持体上に、ハロゲン化銀乳剤及びバ
インダーを含有する少なくとも一層の感光層を塗設して
なるハロゲン化銀感光材料において、該感光層が一般式
(1)で表される化合物の少なくとも1種とヘテロ原子
を有する大環状化合物を含有することを特徴とするハロ
ゲン化銀感光材料。
【0014】3.支持体上に、有機銀塩、ハロゲン化銀
乳剤及びバインダーを含有する少なくとも一層の感光層
を塗設してなる熱現像感光材料において、該感光層が一
般式(1)で表される化合物の少なくとも1種とヘテロ
原子を有する大環状化合物を含有することを特徴とする
熱現像感光材料。
【0015】4. バインダーのガラス転移温度Tg
が、70〜105℃であることを特徴とする上記3に記
載の熱現像感光材料。
【0016】5. バインダーが、実質的にアセトアセ
タール構造を有するポリビニルアセタールであることを
特徴とする上記3または4に記載の熱現像感光材料。
【0017】6. 感光層が感光極大波長が600nm
以上の増感色素を含有することを特徴とする上記3〜5
のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【0018】7. 感光層が一般式(2)、(3)、
(4)または(5)で表される少なくとも一種の増感色
素を含有することを特徴とする上記6に記載の熱現像感
光材料。
【0019】8. 有機銀塩とは独立に形成されたハロ
ゲン化銀に、一般式(1)で表される化合物の少なくと
も1種、ヘテロ原子を有する大環状化合物、及び上記一
般式(2)、(3)、(4)または(5)で表される少
なくとも一種の増感色素を含有することを特徴とするハ
ロゲン化銀乳剤。
【0020】9. 支持体上に、有機銀塩、請求項8に
記載のハロゲン化銀乳剤及びバインダーを含有すること
を特徴とする熱現像感光材料。
【0021】10. 上記3〜7、9のいずれか1項に
記載の熱現像感光材料に、走査レーザー光が縦マルチで
あるレーザー走査露光機による露光を行うことを特徴と
する画像記録方法。
【0022】11. 上記3〜7、9のいずれか1項に
記載の熱現像感光材料を、有機溶剤を40〜4500p
pm含有している状態において熱現像することを特徴と
する画像形成方法。
【0023】以下、本発明を詳細に説明する。前述のよ
うに、赤外増感の問題を改良するための方法として強色
増感の技術が種々開示されているが未だ満足なものでは
なく、更なる改良が求められている。本発明の一般式
(1)の化合物は優れた強色増感剤である。一般式
(1)で表される化合物について詳細に説明する。
【0024】
【化4】
【0025】T31で表される脂肪族炭化水素基からなる
2価の連結基としては、直鎖、分岐または環状のアルキ
レン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1
〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニル基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更
に好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭
素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましく
は2〜12)であり、置換基を有していてもよく、例え
ば脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐または環状の
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は1〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニル基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜1
6、更に好ましくは2〜12)、アルキニル基(好まし
くは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好
ましくは2〜12)であり、アリール基としては、炭素
数6〜20の単環または縮環のアリール基(例えば、フ
ェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル)
であり、複素環基としては、3〜10員の飽和、不飽和
のヘテロ環基(例えば、2−チアゾリル、1−ピペラジ
ニル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−フリル、2−
チエニル、2−ベンズイミダゾリル、カルバゾリル等)
であり、これらの基中のヘテロ環は単環であっても、他
の環と縮合環を形成してもよい。これらの各基は任意の
個所に置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基
(シクロアルキル基、アラルキル基を含み、好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に
好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t
ert−ブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デ
シル、n−ウンデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロ
ピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フ
ェネチル等が挙げられる)、アルケニル基(好ましくは
炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に
好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、ビニル、アリ
ル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であ
り、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられ
る)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好
ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜1
2であり、例えば、フェニル、p−トリル、O−アミノ
フェニル、ナフチル等が挙げられる)、アミノ基(好ま
しくは炭素数、0〜20、より好ましくは炭素数0〜1
0、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミ
ノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジ
エチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等
が挙げられる)、イミノ基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭
素数1〜12であり、例えば、メチルイミノ、エチルイ
ミノ、プロピルイミノ、フェニルイミノ等が挙げられ
る)アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8
であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙
げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜
20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは
炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−
ナフチルオキシ等が挙げられる)、アシル基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、アセチ
ル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられ
る)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは
炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、
エトキシカルボニル等が挙げられる)、アリールオキシ
カルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好まし
くは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10で
あり、例えば、フェニルオキシカルボニル等が挙げられ
る)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1
〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ
等が挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜10であり、例えば、アセチルアミノ、ベ
ンゾイルアミノ等が挙げられる)、アルコキシカルボニ
ルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましく
は炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であ
り、例えば、メトキシカルボニルアミノ等が挙げられ
る)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは
炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に
好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオ
キシカルボニルアミノ等が挙げられる)、スルホニルア
ミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭
素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、
例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルア
ミノ等が挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは
炭素数0〜20、より好ましくは炭素0〜16、特に好
ましくは炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイ
ル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、
フェニルスルファモイル等が挙げられる)、カルバモイ
ル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素
1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例え
ば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカル
バモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる)、ア
ルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12で
あり、例えば、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられ
る)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、よ
り好ましくは炭素6〜16、特に好ましくは炭素数6〜
12であり、例えば、フェニルチオ等が挙げられる)、
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12で
あり、例えば、メタンスルホニル、トシル等が挙げられ
る)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1
〜12であり、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼン
スルフィニル等が挙げられる)、ウレイド基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ウレイ
ド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられ
る)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1
〜12であり、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニ
ルリン酸アミド等が挙げられる)、ヒドロキシ基、メル
カプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、ス
ルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ
基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘテ
ロ環基(例えば、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、
チアゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、ピリジ
ル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等が挙げられる)
等が挙げられる。
【0026】上記の基のうちヒドロキシ基、メルカプト
基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホ
ノ基、ホスフィノ基等のような塩形成可能な基は塩であ
ってもよい。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なって
もよい。置換基として好ましくは、アルキル基、アラル
キル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、
アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルファモイル
基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、
アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロ環基、アル
コキシカルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルバ
モイル基、カルボキシル基であり、より好ましくはアル
キル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、
アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルホニルアミ
ノ基、ウレイド基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ
基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ
基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基であ
り、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、イミノ基、ウ
レイド基、アミノ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニ
ル基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルバモイル基、カル
ボキシル基である。アミジノ基としては、置換基を有す
るものを含み、置換基としては例えば、アルキル基(メ
チル、エチル、ピリジルメチル、ベンジル、フェネチ
ル、カルボキシベンジル、アミノフェニルメチル等の各
基)、アリール基(フェニル、p−トリル、ナフチル、
o−アミノフェニル、o−メトキシフェニル等の各
基)、複素環基(2−チアゾリル、2−ピリジル、3−
ピリジル、2−フリル、3−フリル、2−チエノ、2−
イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル等の各
基)等が挙げられる。
【0027】J31で表される酸素原子、硫黄原子または
窒素原子を一つ以上含む2価の連結基としては、例え
ば、以下のものが挙げられる。また、これらの組み合わ
せであってもよい。
【0028】
【化5】
【0029】ここで、Re及びRfは各々、前述したR
a〜Rdに定義した内容に同義である。
【0030】H31Arで表される芳香族炭化水素基とし
ては好ましくは炭素数6〜30のものであり、より好ま
しくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基で
あり、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、特に
好ましくはフェニルである。H31Arで表される芳香族
複素環基としてはN、O及びSのうちの少なくとも一つ
の原子を含む5〜10員の不飽和のヘテロ環基であり、
これらの基中のヘテロ環は単環であってもよいし、更に
他の環と縮合環を形成してもよい。このようなヘテロ環
基中のヘテロ環として好ましくは、5〜6員の芳香族ヘ
テロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、より好ましくは
窒素原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベ
ンゾ縮合環であり、更に好ましくは窒素原子を1〜2原
子含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合
環である。
【0031】ヘテロ環基の具体例としては、例えば、チ
オフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾー
ル、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、
トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チア
ジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジ
ン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノ
リン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フ
ェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、
ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチア
ゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テト
ラザインデン、カルバゾール等から誘導される基が挙げ
られる。ヘテロ環基として好ましくは、イミダゾール、
ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、インダ
ゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリ
ン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾ
ール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベン
ゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾー
ル、テトラザインデン、カルバゾールからなる基であ
り、更に好ましくは、イミダゾール、ピリジン、ピラジ
ン、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾー
ル、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾ
チアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、
カルバゾールから誘導される基が挙げられる。
【0032】H31Arで表される芳香族炭化水素基並び
に芳香族複素環基は置換基を有していても良く、置換基
としては、例えば、T31の置換基として挙げた基と同様
のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様であ
る。これらの置換基は更に置換されてもよく、また、置
換基が二つ以上ある場合には各々、同じでも異なっても
よい。H31Arで表される基は好ましくは芳香族複素環
基である。
【0033】Ra、Rb、Rc、Rdで表される脂肪族
炭化水素基、アリール基及び複素環基は、前記T31に於
て脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基の例とし
て挙げたと同様のものを挙げることができ、好ましい範
囲も同様である。Ra、Rb、Rc、Rdで表されるア
シル基としては炭素数1〜12の脂肪族或いは芳香族の
基であり、具体的にはアセチル、ベンゾイル、ホルミ
ル、ピバロイル等の基が挙げられる。RaとRb、Rc
とRd、RaとRc或いはRbとRdの間で結合して形
成する含窒素複素環基としては3〜10員の飽和、不飽
和のヘテロ環基(例えば、ピペリジン環、ピペラジン
環、アクリジン環、ピロリジン環、ピロール環、モルフ
ォリン環等の環基)が挙げられる。
【0034】M31で表される分子内の電荷を相殺するに
必要なイオンとして酸アニオンの具体例としては例え
ば、ハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオ
ン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、
過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、
メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン
酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙
げられる。
【0035】以下に一般式(1)で表される化合物の具
体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】本発明の一般式(1)で表される化合物
は、市販のものを用いても良いし、あるいは既知の方法
で合成しても良い。例えば、日本化学会編、新実験化学
講座14巻(III)1739〜1741頁(1978)
等に記載の方法で合成することができる。
【0044】本発明の一般式(1)で表される化合物
は、熱現像感光材料において、感光層でも非感光層でも
添加することができるが、好ましくは感光層である。
【0045】本発明の一般式(1)で表される化合物の
添加量は所望の目的により異なるが、Ag1モル当たり
10-4〜1モル、好ましくは10-3〜0.3モル、更に
好ましくは10-3〜0.1モル添加することが好まし
い。また一般式(1)の化合物は、一種のみを用いても
二種以上を併用してもよい。
【0046】本発明の一般式(1)の化合物は、水或い
は適当な有機溶媒、例えば、アルコール類(メタノー
ル、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコー
ル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセ
ロソルブ等に溶解して用いることができる。また、既に
よく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレ
ート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリア
セテートあるいはジエチルフタレート等のオイル、酢酸
エチルやシクロヘキサノン等の補助溶媒を用いて溶解
し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができ
る。あるいは固体分散法として知られている方法によっ
て、粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンド
グラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイ
ダイザーあるいは超音波によって分散し用いることがで
きる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いて
もよい。
【0047】本発明に用いられるヘテロ原子を含む大環
状化合物は、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、セレン原子の少なくとも1種を含む9員環以上
の大環状化合物である。更に、12〜24員環が好まし
く、更に好ましいのは15〜21員環である。
【0048】代表的な化合物としては、下記に示すよう
なクラウンエーテルとして知られている化合物でPed
ersonが1967年に合成し、その特異な報告以
来、数多く合成されているものである。これらの化合物
は、C.J.Pederson,Journal of
American Chemical Societ
y vol,86(2495),7017〜7036
(1967)、G.W.Gokel,S.H,Korz
eniowski,“Macrocyclic pol
yethr synthesis”,Springer
−Vergal,(1982)、小田、庄野、田伏編
“クラウンエーテルの化学”化学同人(1978)、田
伏編“ホスト−ゲスト”共立出版(1979)、佐々
木、古賀“有機合成化学”Vol45(6),571〜
582(1987)等に詳細に書かれている。
【0049】以下、本発明に用いられるヘテロ原子を有
する大環状化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに
限定されない。
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】一般式(1)で表される化合物とヘテロ原
子を有する大環状化合物の併用効果の機構は明確ではな
いが、大環状化合物により増感色素の吸着量が多くなり
所望の波長の光吸収が増大し、一般式(1)で表される
化合物の強色増感効果が更に促進されることにより増感
効果が得られると考えられる。
【0059】通常のゼラチンマトリクスを用いたコンベ
ンショナルハロゲン化銀感光材料に対するこれらの化合
物の効果は前述の特許文献に記載されているが、コンベ
ンショナルハロゲン化銀感光材料と構成が大きく異なる
熱現像感光材料においても同様に効果が認められるとい
うことは驚くべきことであった。
【0060】これらの化合物が、熱現像感光材料におい
て特に効果が大きい理由は明らかではないが、熱現像感
光層においてはコンベンショナル感光材料における感光
層と異なり、ハロゲン化銀以外の銀ソース(例えば有機
銀塩や色調剤銀錯体等)が層中に存在していることか
ら、ハロゲン化銀に対する増感色素の吸着がコンベンシ
ョナルハロゲン化銀感光材料よりも劣化しやすく、ヘテ
ロ環を有する大環状化合物はこれらに作用し、増感色素
のハロゲン化銀への吸着を促進するのではないかと推定
している。
【0061】これらヘテロ環を有する大環状化合物は、
ハロゲン化銀調製以後、塗布液作製までのどの段階にお
いて添加してもよく所期の効果を発揮する。しかしなが
ら、増感色素の添加に先立って添加する方法が好まし
い。
【0062】熱現像感光材料において更にその効果を高
からしめるためには後述のように、熱現像感光材料に用
いる感光性ハロゲン化銀の表面に沃素を導入するのが好
ましい。通常のゼラチンを用いた系よりもより吸着を強
める様な工夫が必要である。
【0063】これらのヘテロ環を有する大環状化合物を
熱現像感光材料の感光層に添加するには、メタノール、
エタノール、フッ素化アルコールのような有機溶剤や水
に溶解して添加するのが一般的である。溶解性が悪い場
合には酢酸カリウム、沃化カリウム、フッ化カリウム、
p−トルエンスルホン酸カリウム、KBF4、KPF6
NH4BF4、NH4PF6等の溶解剤を添加し溶解し添加
する。これら溶解剤は上記ヘテロ原子を有する大環状化
合物と包摂化合物を形成するイオン等が用いられる。そ
れにより溶解性を改良でき、添加後に効果が見られるも
のであればいかなるものを使用してもよい。添加量は、
銀1モル当たり10-4〜1.0モル、好ましくは10-3
〜0.2モルである。
【0064】本発明では、感光性層に用いられるバイン
ダーのガラス転移温度Tgが、70〜105℃であるこ
とが特徴である。本発明において、ガラス転移温度Tg
は、ブランドラップらによる“重合体ハンドブック”II
I−139頁からIII−179頁(1966年,ワイリー
アンド サン社版)に記載の方法で求めたものであ
る。バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記
の式で求められる。
【0065】 Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn 式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量
分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の
各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。
上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃である。
【0066】Tgは、示差走査熱量計(DSC)、例え
ば、EXSTAR 6000(セイコー電子社製)、D
SC220C(セイコー電子工業社製)、DSC−7
(パーキンエルマー社製)等を用いて求めることがで
き、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をガラス
転移点、その温度をガラス転移温度Tgとする。
【0067】また、熱転移点温度とは、VICAT軟化
点又は環球法で示した値であり、示差走査熱量計(DS
C)を用いて、熱現像済みの感光性層を単離して測定し
た際の吸熱ピークを指す。一般的に、高分子化合物はガ
ラス転移点を有しているが、感光性層に用いているバイ
ンダー樹脂ではTg値よりも低いところに、大きな吸熱
ピークが出現する。
【0068】このような特性を有するバインダーを用い
ることによって、有機酸による膜の柔軟化を防止し、熱
転移点温度を上昇させ、スリキズ防止に対し顕著な効果
を発揮することができる。これに対し、Tgが70℃未
満のバインダーを用いると、熱転移点温度が低下し、ス
リキズなどの物性値として所望の値を得ることができな
い。逆に、Tgが105℃以上のバインダーを用いる
と、物性の著しい低下を招く結果となり好ましくない。
【0069】本発明のバインダーとしては、従来公知の
高分子化合物を用いることができる。Tgが70℃〜1
05℃、数平均分子量が1,000〜1,000,00
0、好ましくは10,000〜500,000、重合度
が約50〜1000程度のものである。このような例と
しては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、
マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビ
ニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリ
ル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニ
ルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等の
エチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体
または共重合体よりなる化合物、ポリウレタン樹脂、各
種ゴム系樹脂がある。また、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、アルキド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等
が挙げられる。これらの樹脂については、朝倉書店発行
の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されてい
る。これらの高分子化合物に、特に制限はなく、誘導さ
れる重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃〜105
℃の範囲にあれば、単独重合体でも共重合体でもよい。
【0070】このようなエチレン性不飽和モノマーを構
成単位として含む重合体または共重合体としては、アク
リル酸アルキルエステル類、アクリル酸アリールエステ
ル類、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸
アリールエステル類、シアノアクリル酸アルキルエステ
ル類、シアノアクリル酸アリールエステル類などを挙げ
ることができ、それらのアルキル基、アリール基は置換
されていてもされていなくてもよく、具体的には、メチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、クロロ
ベンジル、オクチル、ステアリル、スルホプロピル、N
−エチル−フェニルアミノエチル、2−(3−フェニル
プロピルオキシ)エチル、ジメチルアミノフェノキシエ
チル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、フェニ
ル、クレジル、ナフチル、2−ヒドロキシエチル、4−
ヒドロキシブチル、トリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、2−メトキシエチル、3−メトキシブ
チル、2−アセトキシエチル、2−アセトアセトキシエ
チル、2−エトキシエチル、2−iso−プロポキシエ
チル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキ
シ)エチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、2
−(2−ブトキシエトキシ)エチル、2−ジフェニルホ
スホリルエチル、ω−メトキシポリエチレングリコール
(付加モル数n=6)、アリル、ジメチルアミノエチル
メチルクロライド塩などを挙げることができる。その
他、下記のモノマー等が使用できる。ビニルエステル
類:その具体例としては、ビニルアセテート、ビニルプ
ロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレー
ト、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビ
ニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、
安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルなど;N−置換アク
リルアミド類、N−置換メタクリルアミド類およびアク
リルアミド、メタクリルアミド:N−置換基としては、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチ
ル、シクロヘキシル、ベンジル、ヒドロキシメチル、メ
トキシエチル、ジメチルアミノエチル、フェニル、ジメ
チル、ジエチル、β−シアノエチル、N−(2−アセト
アセトキシエチル)、ジアセトンなど;オレフィン類:
例えば、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,
3−ジメチルブタジエン等;スチレン類:例えば、メチ
ルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、
エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert−ブ
チルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレ
ン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルス
チレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステ
ルなど;ビニルエーテル類:例えば、メチルビニルエー
テル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテ
ル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエ
チルビニルエーテルなど;N−置換マレイミド類:N−
置換基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t
ert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、n−ドデ
シル、フェニル、2−メチルフェニル、2,6−ジエチ
ルフェニル、2−クロルフェニルなどを有するものな
ど;その他として、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキ
シル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレ
イン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブ
チル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸
ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケト
ン、メトキシエチルビニルケトン、グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、N−ビニルオキサゾ
リドン、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メ
タアクリロニトリル、メチレンマロンニトリル、塩化ビ
ニリデンなどを挙げることができる。
【0071】これらのうち、特に好ましい例としては、
メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリー
ルエステル類、スチレン類等が挙げられる。このような
高分子化合物のなかでも、アセタール基を持つ高分子化
合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分
子化合物では、生成する有機酸との相溶性に優れるため
膜の柔軟化を防ぐ効果が大きく好ましい。
【0072】請求項5に係る発明では、バインダーが、
実質的にアセトアセタール構造を有するポリビニルアセ
タールであることが特徴であり、例えば、米国特許第
2,358,836号、同第3,003,879号、同
第2,828,204号、英国特許第771,155号
に示されるポリビニルアセタールを挙げることができ
る。実質的にアセトアセタール構造を有するポリビニル
アセタールとは、アセタール構造部分の内、アセトアセ
タール構造部分が55モル%以上のポリビニルアセター
ルを言う。
【0073】本発明に係るアセタール基を持つ高分子化
合物としては、下記一般式(V)で表される化合物が、
特に好ましい。
【0074】
【化21】
【0075】式中、R1はアルキル基、置換アルキル
基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましく
はアリール基以外の基である。R2は無置換アルキル
基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール
基、−COR3または−CONHR3を表す。R3はR1
同義である。
【0076】R1、R2、R3で表される無置換アルキル
基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に好
ましくは炭素数1〜6である。これらは直鎖であっても
分岐していてもよく、好ましくは直鎖のアルキル基が好
ましい。このような無置換アルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n
−アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘ
キシル基、n−ヘプシル基、n−オクチル基、t−オク
チル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デ
シル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等が挙げ
られるが、特に好ましくはメチル基もしくはプロピル基
である。
【0077】無置換アリール基としては、炭素数6〜2
0のものが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基
等が挙げられる。上記のアルキル基、アリール基に置換
可能な基としては、アルキル基(例えば、メチル基、n
−プロピル基、t−アミル基、t−オクチル基、n−ノ
ニル基、ドデシル基等)、アリール基(例えば、フェニ
ル基等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、スルホ基、ア
ルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、アリールオキシ
基(例えば、フェノキシ基等)、アシルオキシ基(例え
ば、アセトキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセ
チルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えば、メタン
スルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、メ
チルスルファモイル基等)、ハロゲン原子(例えば、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子)、カルボキシ基、カル
バモイル基(例えば、メチルカルバモイル基等)、アル
コキシカルボニル基(例えば、メトキシルボニル基
等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基等)
などが挙げられる。この置換基が2つ以上あるときは、
同じでも異なっていてもよい。置換アルキル基の総炭素
数は、1〜20が好ましく、置換アリール基の総炭素数
は6〜20が好ましい。
【0078】R2としては、−COR3(R3はアルキル
基またはアリール基)、−CONHR3(R3はアリール
基)が好ましい。a、b、cは、各繰り返し単位の質量
をモル(mol)%で示した値であり、aは、40〜8
6モル%、bは0〜30モル%、cは0〜60モル%の
範囲で、a+b+c=100モル%となる数を表し、特
に好ましくは、aが50〜86モル%、bが5〜25モ
ル%、cが0〜40モル%の範囲である。a、b、cの
各組成比をもつ各繰り返し単位は、それぞれ同一のもの
のみで構成されていても、異なるもので構成されていて
もよい。
【0079】本発明で用いることのできるポリウレタン
樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリ
エーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリ
ウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステ
ルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトン
ポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示し
たすべてのポリウレタンについて、必要に応じ、−CO
OM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアル
カリ金属塩基を表す)、−NR2(Rは炭化水素基を表
す)、エポキシ基、−SH、−CNなどから選ばれる少
なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で
導入したものを用いることが好ましい。このような極性
基の量は、10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは
10-2〜10-6モル/gである。これら極性基以外に、
ポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個
以上のOH基を有することが好ましい。OH基は、硬化
剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構
造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特
に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が
高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にOH基
を3個以上有することが好ましく、4個以上有すること
が特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用い
る場合は、ガラス転移温度が70〜105℃、破断伸び
が100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/
mm2が好ましい。
【0080】本発明の上記一般式(V)で表される高分
子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編(高分子化
学刊行会、1962年)等に記載の一般的な合成方法で
合成することができる。以下に、代表的な合成方法の例
を挙げるが、本発明はこれらの代表的な合成例に限定さ
れるものではない。
【0081】合成例1:P−1の合成 日本合成(株)製のポリビニルアルコール(ゴーセノー
ルGH18)20gと純水180gを仕込み、ポリビニ
ルアルコールが10質量%溶液になるように純水に分散
した後、これを95℃に昇温してポリビニルアルコール
を溶解した後、75℃まで冷却して、ポリビニルアルコ
ール水溶液を用意し、さらに、このポリビニルアルコー
ル水溶液に、酸触媒として10質量%の塩酸を1.6g
添加し、これを滴下液Aとした。ついで、ブチルアルデ
ヒド、アセトアルデヒドのmol比1:1の混合物1
1.5gを計量し、これを滴下液Bとした。冷却管と攪
拌装置を取り付けた1000mlの4ツ口フラスコに1
00mlの純水を入れ、85℃に加温し強攪拌した。こ
れに滴下液Aと滴下液Bを75℃に保温した滴下ロート
を用いて、攪拌下で2時間を要して同時滴下した。この
際、攪拌速度に注意をして、析出する粒子の融着を防止
しながら反応を行った。滴下終了後、酸触媒として10
質量%の塩酸を7g追加し、温度85℃で2時間攪拌を
行い、十分に反応を行った。その後、40℃まで冷却
し、重曹を用いて中和し、水洗を5回繰り返した後、濾
別してポリマーを取り出し乾燥し、P−1を得た。得ら
れたP−1を、DSCを用いてTgを測定したところ、
Tgは75℃であった。
【0082】その他、表1に記載のその他の高分子化合
物も同様に合成した。これらの高分子化合物(ポリマ
ー)は単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドし
て用いてもよい。本発明の感光性銀塩含有層(好ましく
は感光性層)には上記ポリマーを主バインダーとして用
いる。ここで言う主バインダーとは「感光性銀塩含有層
の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占め
ている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量
%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよ
い。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可
溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好ましく
はポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂な
どが挙げられる。
【0083】以下に、本発明に係る高分子化合物及び比
較化合物の構成を示す。なお、表中のTgは、セイコー
電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)により測定
した値である。
【0084】
【表1】
【0085】
【化22】
【0086】なお、表1中、比較−1はButvar
B−79(ソルーシア社製)である。
【0087】本発明の熱現像感光材料は600nm以上
に感光極大波長を有する増感色素を感光層に含有する。
感光極大波長とは、ハロゲン化銀が存在する系に添加
し、吸着した増感色素により分光増感が施され、製造さ
れた熱現像感光材料が有する感度分布の最大感度の波長
をいう。本発明においては、上記記載のヘテロ原子を有
する大環状化合物と、600nm以上に感光極大波長を
有する増感色素とが組み合わせて用いられる。更に、本
発明においては、600nm以上に感光極大波長を有す
る増感色素として、上記一般式(2)、(3)、(4)
または(5)で表される少なくとも一種の増感色素が好
ましく用いられる。
【0088】一般式(2)、(3)で表される増感色素
においてR1、R2、R11、R12で各々、示される脂肪族
基としては、例えば、炭素原子数1〜10の分岐或は直
鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、i−ペンチル基、2−エ
チル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、炭素原
子数3〜10のアルケニル基(例えば、2−プロペニル
基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、
3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−
ヘキセニル基等)、炭素原子数7〜10のアラルキル基
(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)が挙げられ
る。上述した基は、更に、低級アルキル基(例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基等)、ハロゲン原子(例
えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル
基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、
p−ブロモフェニル基等)、トリフルオロメチル基、ア
ルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキ
シエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノ
キシ基、p−トリルオキシ基等)、シアノ基、スルホニ
ル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタ
ンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アル
コキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、
ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ
基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アリール基
(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)、複
素環基(例えば、テトラヒドロフルフリル、2−ピロリ
ジノン−1−イル基等)、アシル基(例えば、アセチル
基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド
基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基
等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−
メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、
メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例え
ば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、2−
チエニルチオ基、3−チエニルチオ、2−イミダゾリル
チオ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオ
キシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基
等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベン
ゾイルアミノ基等)、チオアミド基(例えば、チオアセ
トアミド基、チオベンゾイルアミノ基等)等の基、ある
いは、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスフォノ
基、スルファート基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ス
ルフィノ基、カルバモイル基(例えば、カルバモイル
基、N−メチルカルバモイル基、N,N−テトラメチレ
ンカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、ス
ルファモイル基、N,N−3−オキサペンタメチレンア
ミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メ
タンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド基等)、ス
ルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニ
ルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニ
ル基等)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセト
アミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル基
等)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミ
ドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル基
等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタ
ンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニル
アミノカルボニル基等)、等の親水性の基で置換されて
いても良い。これら親水性の基を置換した脂肪族基の具
体的例としては、カルボキシメチル、カルボキシエチ
ル、カルボキシブチル、カルボキシペンチル、3−スル
ファートブチル、3−スルホプロピル、2−ヒドロキシ
−3−スルホプロピル基、4−スルホブチル、5−スル
ホペンチル、3−スルホペンチル、3−スルフィノブチ
ル、3−ホスフォノプロピル、ヒドロキシエチル、N−
メタンスルホニルカルバモイルメチル、2−カルボキシ
−2−プロペニル、o−スルホベンジル、p−スルホフ
ェネチル、p−カルボキシベンジル等の各基が挙げられ
る。
【0089】R3、R4、R13及びR14で各々、表される
アルケニル基としては例えば、2−プロペニル基、3−
ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペン
テニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニ
ル基等が挙げられ、環状アルキル基としては例えば、シ
クロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基
等が挙げられ、複素環基としては例えば、2−チエニル
基、3−チエニル基、1−メチル−2−イミダゾリル基
等の基が挙げられ、これらの各基には低級アルキル基
(例えば、メチル基、エチル基等)、低級アルコキシ基
(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ヒドロキシ
基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子、沃素原子)、アリール基(例えば、フェニル
基、トリル基、クロロフェニル基等)、メルカプト基、
低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチ
オ基等)等の基が置換できる。
【0090】W1〜W4、W11〜W14で各々、示される置
換基は具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エ
チル基、ブチル基、i−ブチル基等)、アリール基(単
環並びに多環のものを含み、例えば、フェニル基、ナフ
チル基等)、複素環基(例えば、チエニル、フリル、ピ
リジル、カルバゾリル、ピロリル、インドリル等の各
基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子等)、ビニル基、アリール基(例えば、フェニ
ル基、p−トリル基、p−ブロモフェニル基等)、トリ
フルオロメチル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ
基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオ
キシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基
等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p
−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基
(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシ
メチルアミノ基等)、アリール基(例えば、フェニル
基、カルボキシフェニル基等)、複素環基(例えば、テ
トラヒドロフルフリル、2−ピロリジノン−1−イル基
等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基
等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウ
レイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド
基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド
基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチル
チオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基
等)、ヒドロキシ基、スチリル基等が挙げられる。
【0091】これらの基にはR1等で示される脂肪族基
の説明で挙げた基が置換でき、置換されたアルキル基の
具体例としては、例えば、2−メトキシエチル、2−ヒ
ドロキシエチル、3−エトキシカルボニルプロピル、2
−カルバモイルエチル、2−メタンスルホニルエチル、
3−メタンスルホニルアミノプロピル、ベンジル、フェ
ネチル、カルボキメチル、カルボキシエチル、アリル、
2−フリルエチル等の各基が挙げられ、置換されたアリ
ール基の具体例としては、例えば、p−カルボキシフェ
ニル、p−N,N−ジメチルアミノフェニル、p−モル
フォリノフェニル、p−メトキシフェニル、3,4−ジ
メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニ
ル、3−クロロフェニル、p−ニトロフェニル等の各基
が挙げられ、置換された複素環基の具体例としては、例
えば、5−クロロ−2−ピリジル、5−エトキシカルボ
ニル−2−ピリジル、5−カルバモイル−2−ピリジル
等の各基が挙げられる。W1とW2、W3とW4、W11とW
12、W13とW14が各々、互いに連結して形成することが
できる縮合環としては、例えば、5員、6員の飽和また
は不飽和の縮合炭素環が挙げられる。これらの縮合環上
には任意の位置に置換することができ、これら置換され
る基としては前述の脂肪族基に置換できる基で説明した
基が挙げられる。
【0092】前記一般式(2)、(3)に於て、L1
9、L11〜L15で示されるメチン基は各々、独立に置
換もしくは未置換メチン基を表す。置換される基の具体
例としては、置換もしくは無置換の、低級アルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ベン
ジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エト
キシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ
基、ナフトキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル
基、ナフチル基、p−トリル基、o−カルボキシフェニ
ル基等)、−N(V1)(V2)、−SRまたは複素環基
(例えば、2−チエニル基、2−フリル基、N,N′−
ビス(メトキシエチル)バルビツール酸基等)を表す。
ここでRは前述したような低級アルキル基、アリール基
または複素環基を表し、V1とV2は各々、置換もしくは
無置換の、低級アルキル基またはアリール基を表し、V
1とV2とは互いに連結して5員または6員の含窒素複素
環を形成することもできる。また、メチン基はお互いに
隣接するメチン基同士、或いは一つ隔たったメチン基と
互いに連結して5員または6員環を形成することができ
る。
【0093】前記一般式(2)、(3)で示される増感
色素に於て、カチオン或いはアニオンの電荷を有する基
が置換されている場合には各々、分子内の電荷が相殺す
るように当量のアニオン或いはカチオンで対イオンが形
成される。例えば、X1、X1 1で各々、示される分子内
の電荷を相殺するに必要なイオンに於いてカチオンの具
体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例
えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモ
ニウム等の各イオン)、無機カチオン(例えば、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム等の各カチオン)が挙げら
れ、酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオ
ン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、
p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フ
ッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エ
チル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオ
ロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0094】以下に、上記一般式(2)、(3)で表さ
れる増感色素の代表的なものを示すが、本発明はこれら
の化合物に限定されるものではない。
【0095】
【化23】
【0096】
【化24】
【0097】
【化25】
【0098】
【化26】
【0099】
【化27】
【0100】
【化28】
【0101】本発明のもう一つの好ましい色素である一
般式(4)、(5)で表される化合物について以下に置
換基を説明する。
【0102】R21、R22、R31、R32で示される脂肪族
基としては、例えば、炭素原子数1〜10の分岐或は直
鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2
−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、炭
素原子数3〜10のアルケニル基(例えば、2−プロペ
ニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル
基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、
4−ヘキセニル基等)、炭素原子数7〜10のアラルキ
ル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)が挙げら
れる。
【0103】上述した基は、更に、低級アルキル基(例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、ハロゲン
原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、
ビニル基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリ
ル基、p−ブロモフェニル基等)、トリフルオロメチル
基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、
メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、
フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、シアノ基、ス
ルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオ
ロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基
等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカル
ボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例え
ば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、ア
リール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基
等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフルフリル基、
2−ピロリジノン−1−イル基等)、アシル基(例え
ば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例え
ば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニル
ウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイ
ド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基
(例えば、メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチ
オ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例
えば、2−チエニルチオ基、3−チエニルチオ、2−イ
ミダゾリルチオ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、
アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイル
オキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミ
ノ、ベンゾイルアミノ基等)、チオアミド基(例えば、
チオアセトアミド基、チオベンゾイルアミノ基等)等の
基、あるいは、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホス
フォノ基、スルファート基、ヒドロキシ基、メルカプト
基、スルフィノ基、カルバモイル基(例えば、カルバモ
イル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−テトラメ
チレンカルバモイル基等)、スルファモイル基(例え
ば、スルファモイル基、N,N−3−オキサペンタメチ
レンアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例え
ば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド基
等)、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタン
スルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノ
カルボニル基等)、アシルアミノスルホニル基(例え
ば、アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドス
ルホニル基等)、アシルアミノカルボニル基(例えば、
アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボ
ニル基等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例え
ば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンス
ルフィニルアミノカルボニル基等)等の親水性の基で置
換されていても良い。
【0104】これら親水性の基を置換した脂肪族基の具
体的例としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチ
ル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、3
−スルファートブチル基、3−スルホプロピル基、2−
ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、4−スルホブチル
基、5−スルホペンチル基、3−スルホペンチル基、3
−スルフィノブチル基、3−ホスフォノプロピル基、ヒ
ドロキシエチル基、N−メタンスルホニルカルバモイル
メチル基、2−カルボキシ−2−プロペニル基、o−ス
ルホベンジル基、p−スルホフェネチル基、p−カルボ
キシベンジル基等の各基が挙げられる。
【0105】Ra、Rbで表される低級アルキル基として
は、炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的に
はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチ
ル基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル
基としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプ
ロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げ
られ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フ
ェネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセ
チルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、低級アルコ
キシ基としては炭素原子数4以下の基であり、具体的に
はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プ
ロポキシ基等の基が挙げられ、アリール基としては置
換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナ
フチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキ
シフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェ
ニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等の基
が挙げられ、これらの基にはフェニル基、ハロゲン原
子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原
子、沃素原子が挙げられる。
【0106】Rc、Rdで表される低級アルキル基として
は炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的には
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基
としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプロ
ピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げら
れ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェ
ネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセチ
ルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、アリール基と
しては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル
基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、
o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−
ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニ
ル基等の基が挙げられ、複素環基としては置換、非置換
のものを含み、例えば、2−フリル基、5−メチル−2
−フリル基、2−チエニル基、2−イミダゾリル基、2
−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェニル−2−チ
アゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾリル
基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等の基が挙げられ
る。
【0107】これらの基には更に前述の説明であげたフ
ェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基
等の基が置換できる。
【0108】W21〜W24、W31〜W34で表される置換基
は具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル
基、ブチル基、iso−ブチル基等)、アリール基(単
環並びに多環のものを含み、例えば、フェニル基、カル
ボキシフェニル基、p−トリル基、p−ブチルフェニル
基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロ
フリル基、2−ピロリジノン−1−イル基、チエニル
基、フリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、ピロリル
基、インドリル基等の各基)、ハロゲン原子(例えば、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、トリ
フルオロメチル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ
基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオ
キシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基
等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p
−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基
(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシ
メチルアミノ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、
ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、
3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、
チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチル
チオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチル
チオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フ
ェニルチオ基等)、ヒドロキシ基、スチリル基等が挙げ
られる。
【0109】これらの基にはR21等で示される脂肪族基
の説明で挙げた基が置換でき、置換されたアルキル基の
具体例としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−
ヒドロキシエチル基、3−エトキシカルボニルプロピル
基、2−カルバモイルエチル基、2−メタンスルホニル
エチル基、3−メタンスルホニルアミノプロピル基、ベ
ンジル基、フェネチル基、カルボキシメチル基、カルボ
キシエチル基、アリル基、2−フリルエチル基等の各基
が挙げられ、置換されたアリール基の具体例としては、
例えば、p−カルボキシフェニル基、p−N,N−ジメ
チルアミノフェニル基、p−モルフォリノフェニル基、
p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル
基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−クロロ
フェニル基、p−ニトロフェニル基等の各基が挙げら
れ、置換された複素環基の具体例としては、例えば、5
−クロロ−2−ピリジル基、5−エトキシカルボニル−
2−ピリジル基、5−カルバモイル−2−ピリジル等の
各基が挙げられる。
【0110】W21とW22、W23とW24、W31とW32、W
33とW34が各々、互いに連結して形成することができる
縮合環としては、例えば、5員、6員の飽和または不飽
和の縮合炭素環が挙げられる。これらの縮合環上には任
意の位置に置換基を有することができ、これらの置換基
としては前述の脂肪族基に置換できる基で説明した基が
挙げられる。
【0111】V21〜V29、V31〜V33で各々、示される
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原
子、沃素原子が挙げられ、アミノ基としては置換、非置
換のものを含み、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ
基、ジフェニルアミノ基、メチル−フェニルアミノ基等
が挙げられ、アルキルチオ基としては例えば、メチルチ
オ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基等が挙げられ、ア
リールチオ基としては置換、非置換のものを含み、例え
ば、フェニルチオ基、m−フルオロフェニルチオ基等の
基が挙げられ、低級アルキル基としては炭素数5以下の
直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル
基等が挙げられる。低級アルコキシ基としては炭素原子
数4以下の基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基等の基が挙げ
られ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、
例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル
基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロ
ロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、
p−エトキシフェニル基等の基が挙げられ、アリールオ
キシ基としては、置換、非置換のものを含み、具体的に
はフェノキシ基、p−トリルオキシ基、m−カルボキシ
フェニルオキシ基等の基があげられ、複素環基としては
置換、非置換のものを含み、例えば、2−フリル基、5
−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、2−イミダ
ゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェ
ニル−2−チアゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンゾ
チアゾリル基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等の基
が挙げられる。
【0112】これらの基にはフェニル基、ハロゲン原
子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。
【0113】又、V21とV23、V22とV24、V23
25、V24とV26、V25とV27、V26とV28、V27とV
29及びV31とV33の間で結合して形成される5員〜7員
の環としては、例えば、シクロペンテン環、シクロヘキ
セン環、シクロヘプテン環、デカリン環等が挙げられ、
これらの環にはRで挙げた低級アルキル基、低級アルコ
キシ基、アリール基が置換できる。
【0114】前記一般式(4)、(5)で示される増感
色素に於て、カチオン或いはアニオンの電荷を有する基
が置換されている場合には各々、分子内の電荷が相殺す
るように当量のアニオン或いはカチオンで対イオンが形
成される。例えば、X21、X 31で各々、示される分子内
の電荷を相殺するに必要なイオンに於いてカチオンの具
体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例
えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモ
ニウム、ピリジニウム等の各イオン)、無機カチオン
(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各カチ
オン)が挙げられ、酸アニオンの具体例としては例え
ば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、
沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩
素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチ
ル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イ
オン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフ
ルオロりん酸イオン、等が挙げられる。
【0115】本発明のこれら赤外分光増感色素、ベンゾ
アゾール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換され
ていることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が何故、
高感度、低カブリであり、又経時保存性に関しても優れ
た性質を有しているのか理由は不明であるが、ベンゾア
ゾール環上にスルフィニル基が置換されているものはチ
オエーテルより親水性で銀とのインタラクションが少な
い硫黄原子を有していること、また電子吸引的に作用す
る結果、色素の基底状態が低くなっているので、かぶら
す等の直接的な影響が出にくいことが有利に働いてカブ
リ生成や安定性に効果があると推定される。又、酸素原
子と硫黄原子間の分極構造が色素分子間の相互作用に有
利に働いて色素凝集体を安定化する効果があるのかもし
れない。
【0116】以下に、上記一般式(4)、(5)で表さ
れる増感色素の代表的な化合物例を示すが、本発明はこ
れらの化合物に限定されるものではない。
【0117】
【化29】
【0118】
【化30】
【0119】
【化31】
【0120】
【化32】
【0121】
【化33】
【0122】
【化34】
【0123】上記の赤外増感色素は、例えばエフ・エム
・ハーマー著、The Chemistry of H
eterocylic Compounds第18巻、
The Cyanine Dyes and Rela
ted Compounds(A.Weissherg
er ed.Interscience社刊、NewY
ork 1964年)、特開平3−138638号、同
10−73900号、特表平9−510022号、米国
特許第2734900号、英国特許第774779号明
細書に記載の方法によって容易に合成することができ
る。
【0124】本発明の増感色素は単独で用いてもよい
が、2種以上の増感色素を組み合わせて用いることもで
きる。本発明の増感色素は単独で用いた場合、及び組み
合わせた場合には合計でハロゲン化銀1モル当たり、1
×10-6〜5×10-3モル、好ましくは1×10-5
2.5×10-3モル、更に好ましくは4×10-5〜1×
10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤中に含有される。
増感色素を2種以上組み合わせて用いるとき、任意の割
合でハロゲン化銀乳剤中に含有できる。
【0125】本発明の増感色素は、直接乳剤中へ分散す
ることができる。また、これらはまず適当な溶媒、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノ
ール、メチルセロソルブ、アセトン、水、ピリジンある
いはこれらの混合溶媒等の中に溶解され、溶液の形で乳
剤へ添加することもできる。溶解に超音波を使用するこ
ともできる。また、この増感色素の添加方法としては米
国特許第3,469,987号等に記載のごとき、増感
色素を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親水性コロ
イド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、
特公昭46−24185等に記載のごとき、水不溶性増
感色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散させ、
この分散物を乳剤へ添加する方法;米国特許第3,82
2,135号に記載のごとき、界面活性剤に増感色素を
溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法;特開昭51−
74624号に記載のごとき、長波長側にシフトさせる
化合物を用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方
法;特開昭50−80826号に記載のごとき、増感色
素を実質的に水を含まない酸に溶解し、該溶液を乳剤中
へ添加する方法等が好ましく用いられる。その他、乳剤
への添加には米国特許第2,912,343号、同第
3,342,605号、同第2,996,287号、同
第3,429,835号等に記載の方法を用いられる。
また上記増感色素は適当な支持体上に塗布される前にハ
ロゲン化銀乳剤中に一様に分散してよいが、勿論ハロゲ
ン化銀乳剤の調製のどの過程においても分散することが
できる。
【0126】本発明の増感色素を2種以上組み合わせる
場合、増感色素はそれぞれ独立して、またはあらかじめ
混合して上記のごとき方法によりハロゲン化銀乳剤中に
分散できる。
【0127】本発明の乳剤に於ては、一般式(2)、
(3)、(4)、(5)で表される増感色素と組み合わ
せ使用される一般式(1)とヘテロ原子を有する大環状
化合物に加えて、本発明外の色素や、それ自身分光増感
作用を持たない色素或いは可視光を実質的に吸収しない
物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでも
よい。
【0128】有用な増感色素、強色増感を示す色素の組
み合わせ及び強色増感を示す物質はリサーチ・ディスク
ロージャ(Research Disclosure)
176巻17643(1978年12月発行)第23頁
5のJ項、或いは特公昭49−25500号、同43−
4933号、特開昭59−19032号、同59−19
2242号、特開平3−15049号、特開昭62−1
23454号に記載されている。
【0129】本発明においてハロゲン化銀乳剤は、リサ
ーチ・ディスクロージャNo.308119(以下RD
308119と略す)に記載されている技術を用いるこ
とができる。
【0130】次に記載箇所を示す。 〔項 目〕 〔RD308119の頁〕 製造方法 993 I−A項及び994 E項 ヨード組成 993 I−A項 晶癖 正常晶、双晶 993 I−A項 エピタキシャル 993 I−A項 ハロゲン組成 993 I−B項 ハロゲンコンバージョン 994 I−C項 金属含有 994 I−D項 単分散 995 I−F項 溶媒添加 995 I−F項 潜像形成位置 表面、内部 995 I−G項 適用感材 ネガ 995 I−H項 乳剤を混合して用いる 995 I−J項 脱塩 995 II−A項 本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成、化学
熟成及び分光増感を行ったものを使用する。このような
工程で使用される添加剤は、リサーチ・ディスクロージ
ャNo.17643,No.18716及びNo.30
8119(それぞれ、以下RD17643,RD187
16及びRD308119と略す)に記載されている。
次に記載箇所を示す。
【0131】
【表2】
【0132】本発明に使用できる公知の写真用添加剤も
下記リサーチ・ディスクロージャに記載されている。
【0133】
【表3】
【0134】本発明に使用する添加剤は、RD3081
19XIVに記載されている分散法等により添加すること
ができる。
【0135】本発明においては、前述RD17643の
28頁、RD18716の647〜8頁及びRD308
119のXVIIに記載されている支持体を使用することが
できる。
【0136】本発明のハロゲン化銀感光材料には、前述
RD308119のVII−K項に記載されているフィル
ター層や中間層等の補助層を設けることができる。
【0137】本発明のハロゲン化銀感光材料は、前述R
D308119VII−K項に記載されている順層、逆
層、ユニット構成等の様々な層構成をとることができ
る。
【0138】本発明は、産業用記録材料、医療用記録材
料、一般用もしくはカラー感光材料に適用することがで
きる。
【0139】本発明のハロゲン化銀感光材料は前述RD
17643の28〜29頁、RD18716の647頁
及びRD308119のXVIIに記載された通常の方法に
よって、現像処理することができる。
【0140】熱現像感光材料に使用されるハロゲン化銀
は、シングルジェットもしくはダブルジェット法等の写
真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモ
ニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法でも調
製できる。この様に予め調製し、次いで本発明に用いら
れる他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入
することができる。この場合にハロゲン化銀と有機銀塩
の接触を充分に行わせるため、例えばハロゲン化銀を調
製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,70
6,564号、同第3,706,565号、同第3,7
13,833号、同第3,748,143号、英国特許
第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニ
ルアセタール類等のゼラチン以外のポリマーを用いる方
法や、英国特許第1,354,186号明細書に記載さ
れているようなハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解
する方法、または米国特許第4,076,539号明細
書に記載されているようにハロゲン化銀粒子を界面活性
剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用
を省略する方法等を適用することができる。
【0141】ハロゲン化銀は、光センサーとして機能す
るものであり、画像形成後の白濁を低く抑えるため又、
良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ま
しい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは
0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが
好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限は
なく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球
状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成
としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化
銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい
が、好ましくは沃臭化銀であり、沃化銀含有率は0.0
1〜10モル%が好ましく、更に好ましくは、0.1〜
5モル%である。粒子内のハロゲン組成の分布は均一で
もステップ状に変化したものでも、或いは連続的に変化
したものでも良い。コア/シエル構造も好ましく用いら
れる。
【0142】本発明に用いられるハロゲン化銀表面近傍
の平均沃素含量は、0.1〜10モル%が好ましい。更
に好ましくは、1〜7モル%である。
【0143】本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料
に使用される感光性ハロゲン化銀は又、英国特許第1,
447,454号明細書に記載されている様に、有機銀
塩を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有
機銀塩形成成分と共存させこれに銀イオンを注入するこ
とで有機銀塩の生成とほぼ同時に生成させることができ
る。
【0144】更に他の方法としては、予め調製された有
機銀塩の溶液もしくは分散液、または有機銀塩を含むシ
ート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀
塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもでき
る。このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩
と有効に接触しており好ましい作用を呈する。ハロゲン
化銀形成成分とは有機銀塩と反応して感光性ハロゲン化
銀を生成しうる化合物であり、どのような化合物がこれ
に該当し有効であるかは次のごとき簡単な試験で判別す
ることができる。即ち、有機銀塩と試験されるべき化合
物を混入し必要ならば加熱した後にX線回折法によりハ
ロゲン化銀に特有のピークがあるかを調べるものであ
る。かかる試験によって有効であることが確かめられた
ハロゲン化銀形成成分としては、無機ハロゲン化物、オ
ニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲ
ン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体
例については米国特許第4,009,039号、同第
3,457,075号、同第4,003,749号、英
国特許第1,498,956号各明細書及び特開昭53
−27027、同53−25420号各公報に詳説され
るが以下にその一例を示す。
【0145】(1)無機ハロゲン化物:例えばMXnで
表されるハロゲン化物(ここでMは、H、NH4、及び
金属原子を表し、nはMがH及びNH4の時は1を、M
が金属原子の時はその原子価を表す。金属原子として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜
鉛、カドミウム、水銀、錫、アンチモン、クロム、マン
ガン、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、セリウム等
がある)。又、臭素水等のハロゲン分子も有効である。
【0146】(2)オニウムハライド類:例えばトリメ
チルフェニルアンモニウムブロマイド、セチルエチルジ
メチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルア
ンモニウムブロマイドの様な第4級アンモニウムハライ
ド、テトラエチルフォスフォニウムブロマイドの様な第
4級フォスフォニウムハライド、トリメチルスルフォニ
ウムアイオダイドの様な第3級スルフォニウムハライド
がある。
【0147】(3)ハロゲン化炭化水素類:例えばヨー
ドフォルム、ブロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロム
−2−メチルプロパン等。
【0148】(4)N−ハロゲン化合物:例えばN−ク
ロロ琥珀酸イミド、N−ブロム琥珀酸イミド、N−ブロ
ムフタルイミド、N−ブロムアセトアミド、N−ヨード
琥珀酸イミド、N−ブロムフタラゾン、N−ブロムオキ
サゾリノン、N−クロロフタラゾン、N−ブロモアセト
アニリド、N,N−ジブロモベンゼンスルホンアミド、
N−ブロモ−N−メチルベンゼンスルホンアミド、1,
3−ジブロモ−4,4−ジメチルヒダントイン、N−ブ
ロモウラゾール等。
【0149】(5)その他のハロゲン含有化合物:例え
ば、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチ
ル、2−ブロム酢酸、2−ブロムエタノール、ジクロロ
ベンゾフェノン等がある。
【0150】これらのハロゲン化銀形成成分は有機銀塩
に対して化学量論的には少量用いられる。通常、その範
囲は有機銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好
ましくは0.03〜0.5モルである。ハロゲン化銀形
成成分は上記の範囲で2種以上併用されてもよい。上記
のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロ
ゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応
圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定すること
ができるが、通常、反応温度は−20〜70℃、その反
応時間は0.1秒〜72時間であり、その反応圧力は大
気圧に設定されるのが好ましい。この反応は又、後述す
る結合剤として使用されるポリマーの存在下に行われる
ことが好ましい。この際のポリマーの使用量は有機銀塩
1部当たり0.01〜100部、好ましくは0.1〜1
0部である。
【0151】上記した各種の方法によって調製される感
光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、
白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、
クロム化合物またはこれらの組み合わせによって化学増
感することができる。この化学増感の方法及び手順につ
いては、例えば米国特許第4,036,650号、英国
特許第1,518,850号各明細書、特開昭51−2
2430号、同51−78319号、同51−8112
4号各公報に記載されている。又ハロゲン化銀形成成分
により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する
際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載さ
れているように、増感を達成するために低分子量のアミ
ド化合物を共存させてもよい。
【0152】又、これらの感光性ハロゲン化銀には、照
度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から1
0族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、O
s、Fe等のイオン、その錯体または錯イオンを含有さ
せることができる。特に錯イオンとして添加するのが好
ましく、例えば照度不軌のために[IrCl62-等の
Ir錯イオンを添加してもよい。
【0153】本発明において有機銀塩は還元可能な銀源
であり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特にこの中で
も長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)
脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ま
しい。配位子が銀イオンに対する総安定度常数として
4.0〜10.0の値をもつような有機または無機の錯
体も好ましい。これら好適な銀塩の例としては、前述の
RD17029及び29963に記載されており、以下
のものが挙げられる。
【0154】有機酸の銀塩、例えば、没食子酸、蓚酸、
ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン
酸、ラウリン酸等の銀塩。銀のカルボキシアルキルチオ
尿素塩、例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ
尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメ
チルチオ尿素等の銀塩、アルデヒドとヒドロキシ置換芳
香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀塩乃至錯
体、例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセト
アルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換酸
類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロ
キシ安息香酸)の反応生成物の銀塩乃至錯体、チオン類
の銀塩または錯体、例えば、3−(2−カルボキシエチ
ル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チ
オン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2
−チオン等の銀塩乃至錯体、イミダゾール、ピラゾー
ル、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テ
トラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,
4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択され
る窒素酸と銀との錯体または塩、サッカリン、5−クロ
ロサリチルアルドキシム等の銀塩、及びメルカプチド類
の銀塩。これらの中、好ましい銀塩としてはベヘン酸
銀、アラキジン酸銀またはステアリン酸銀があげられ
る。
【0155】有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と
錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正
混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−12764
3号に記載されている様なコントロールドダブルジェッ
ト法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカ
リ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベ
ヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム等)を作製
した後に、コントロールドダブルジェット法により、前
記ソープと硝酸銀等を混合して有機銀塩の結晶を作製す
る。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0156】本発明においては有機銀塩は平均粒径が2
μm以下であり、かつ単分散であることが好ましい。有
機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、
棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の
体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は
0.05〜1.5μm、特に好ましくは、0.05〜
1.0μmである。また単分散とは、ハロゲン化銀の場
合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30であ
る。
【0157】また、本発明においては、有機銀塩は平板
状粒子が全有機銀の60%以上有することが好ましい。
本発明において平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、い
わゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が
3以上のものをいう。
【0158】AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm) 有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀塩
の結晶をバインダーや界面活性剤等をボールミル等で分
散粉砕することで得られる。この範囲にすることで濃度
が高く、かつ画像保存性に優れた感光材料が得られる。
【0159】本発明に用いられる有機銀塩は、熱処理や
溶媒による処理を施して有機銀塩粉末またはウェットケ
ーキとして用いて良い。
【0160】本発明においては感光材料の失透を防ぐた
めには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換
算して1m2当たり0.5〜2.2gであることが好ま
しい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。ま
た、銀総量に対するハロゲン化銀の量は質量比で50%
以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜
15%の間である。
【0161】本発明の熱現像感光材料に用いられる還元
剤としては、一般に知られているものが挙げられ、例え
ば、フェノール類、2個以上のフェノール基を有するポ
リフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、2
個以上の水酸基を有するポリヒドロキシベンゼン類、2
個以上の水酸基を有するポリヒドロキシナフタレン類、
アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン−
5−オン類、ピラゾリン類、フェニレンジアミン類、ヒ
ドロキシルアミン類、ハイドロキノンモノエーテル類、
ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム
類、N−ヒドロキシ尿素類等があり、さらに詳しくは例
えば、米国特許第3,615,533号、同第3,67
9,426号、同第3,672,904号、同第3,7
51,252号、同第3,782,949号、同第3,
801,321号、同第3,794,488号、同第
3,893,863号、同第3,887,376号、同
第3,770,448号、同第3,819,382号、
同第3,773,512号、同第3,839,048
号、同第3,887,378号、同第4,009,03
9号、同第4,021,240号、英国特許第1,48
6,148号若しくはベルギー特許第786,086号
各明細書及び特開昭50−36143号、同50−36
110号、同50−116023号、同50−9971
9号、同50−140113号、同51−51933
号、同51−23721号、同52−84727号若し
くは特公昭51−35851号各公報に具体的に例示さ
れた還元剤があり、本発明はこのような公知の還元剤の
中から適宜選択して使用することができる。選択方法と
しては、実際に熱現像ハロゲン化銀写真感光材料をつく
ってみてその写真性能を評価することにより使用した還
元剤の優劣を調べる方法が最も簡便である。
【0162】上記の還元剤の中で、有機銀塩として脂肪
族カルボン酸銀塩を使用する場合に好ましい還元剤とし
ては、2個以上のフェノール基がアルキレン基または硫
黄によって連結されたポリフェノール類、特にフェノー
ル基のヒドロキシ置換位置に隣接した位置の少なくとも
一つにアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)またはアシ
ル基(例えばアセチル基、プロピオニル基等)が置換し
たフェノール基の2個以上がアルキレン基または硫黄に
よって連結されたポリフェノール類(例えば1,1−ビ
ス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−
3,5,5−トリメチルヘキサン、1,1−ビス(2−
ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メ
タン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t
−ブチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−t
−ブチル−5−メチルフェニル)−(2−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)メタン、6,6′−ベンジリデン
−ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)、6,
6′−ベンジリデン−ビス(2−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール)、6,6′−ベンジリデン−ビス(2,
4−ジメチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパ
ン、1,1,5,5−テトラキス(2−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)−2,4−エチルペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロパン等の米国特
許第3,589,903号、同第4,021,249号
若しくは英国特許第1,486,148号各明細書及び
特開昭51−51933号、同50−36110号、同
50−116023号、同52−84727号若しくは
特公昭51−35727号公報に記載されたポリフェノ
ール化合物)、米国特許第3,672,904号明細書
に記載されたビスナフトール類(例えば、2,2′−ジ
ヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロ
モ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、
6,6′−ジニトロ−2,2′−ジヒドロキシ−1,
1′−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチ
ル)メタン、4,4′−ジメトキシ−1,1′−ジヒド
ロキシ−2,2′−ビナフチル等)、更に米国特許第
3,801,321号明細書に記載されているようなス
ルホンアミドフェノールまたはスルホンアミドナフトー
ル類、例えば、4−ベンゼンスルホンアミドフェノー
ル、2−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2,6−
ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、4
−ベンゼンスルホンアミドナフトール等を挙げることが
できる。
【0163】本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料
に使用される還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、
その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀
塩1モル当たり0.05〜10モル、好ましくは0.1
〜3モルが適当である。又この量の範囲内において、上
述した還元剤は2種以上併用されてもよい。本発明にお
いては、前記還元剤を塗布直前に感光溶液に添加混合し
て塗布した方が、感光溶液の停滞時間による写真性能変
動が小さく好ましい場合がある。
【0164】本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料
は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可
能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及
び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を通常(有
機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有し
ている熱現像ハロゲン化銀写真感光材料であることが好
ましい。本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は常
温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜14
0℃)に加熱することで現像される。加熱することで有
機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化
還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露
光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促
進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成し
た銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をな
し、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から
水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0165】本発明に用いられる好適な色調剤の例はR
esearch Disclosure第17029号
に開示されており、次のものがある。
【0166】イミド類(例えば、フタルイミド);環状
イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン
(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾ
リン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン
及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド
類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミ
ド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサアンミ
ントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例え
ば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N
−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例
えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);
ブロックされたピラゾール類(例えば、N,N′−ヘキ
サメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチル
ピラゾール));イソチウロニウム(isothiur
onium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わ
せ、(例えば1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビ
ス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)及び2
−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの
組み合わせ);フタラジノン、フタラジノン誘導体また
はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチ
ル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−
ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−
1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィ
ン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジ
ノンとベンゼンスルフィン酸ナトリウムまたは8−メチ
ルフタラジノンとp−トリスルホン酸ナトリウム);フ
タラジンとフタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラ
ジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル
酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニ
レン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−
メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロ
フタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合
物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサ
ジン、ナフトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,
4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−
2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉トリアジン類
(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテ
トラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカ
プト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,
5,6a−テトラアザペンタレン)。好ましい色調剤と
してはフタラジノンまたはフタラジンである。
【0167】通常の銀塩写真感光材料と比較して、熱現
像感光材料の構成上の最大の相違点は、後者は現像処理
の前後を問わず、カブリやプリントアウト銀(焼出し
銀)の発生の原因となり得る感光性ハロゲン化銀、カル
ボン酸銀及び還元剤が多量含有されていることである。
このため、熱現像感光材料には、現像前のみでなく現像
後の保存安定性を維持するための高度のカブリ防止及び
画像安定化技術が必須であるが、従来は、カブリ核の成
長及び現像を抑制する芳香族性複素環化合物の他に、カ
ブリ核を酸化消滅する機能を有する酢酸水銀の様な水銀
化合物が、特に有効な保存安定化剤として使用されてい
たが、この水銀化合物の使用が作業安全性及び環境保全
性上の問題であった。
【0168】以下に、本発明の熱現像感光材料に用いら
れるカブリ防止剤及び画像安定化剤について説明する。
【0169】本発明では、赤外光または可視光で露光す
ることにより、銀を酸化しうる反応活性種を発生する化
合物及び還元剤を不活性化し、有機銀塩の銀イオンを銀
に還元できないようにする反応活性種を発生する化合物
を含有することが好ましい。
【0170】本発明の熱現像感光材料で用いることので
きる還元剤としては、後述するように、主にビスフェノ
ール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトン
を持った化合物が用いられるので、これらの水素を引き
抜くことができる活性種を発生することにより還元剤を
不活性化できる化合物を含有することが好ましい。無色
の光酸化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応
活性種として生成可能な化合物が好適である。従って、
これらの機能を有する化合物であれば如何なる化合物で
もよいが、複数の原子から成る有機フリーラジカルが好
ましい。かかる機能を有し、かつ熱現像感光材料に格別
の弊害を生じることのない化合物であれば、如何なる構
造を持つ化合物でもよい。これらのフリーラジカルを発
生する化合物としては、発生するフリーラジカルに、こ
れが還元剤と反応し不活性化するに充分な時間接触でき
る位の安定性を持たせるために、炭素環式又は複素環式
の芳香族基を有するものが好ましい。
【0171】これらの化合物の代表的なものとして、以
下のようなビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物
を挙げることができる。
【0172】ビイミダゾリル化合物としては、下記一般
式(6)で表されるものが挙げられる。
【0173】
【化35】
【0174】式中、R1、R2及びR3(同一でも異なっ
てもよい)は各々、アルキル基(メチル、エチル、ヘキ
シル等)、アルケニル基(ビニル、アリル等)、アルコ
キシ基(メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ等)、ア
リール基(フェニル、ナフチル、トリル等)、ヒドロキ
シル基、ハロゲン原子、アリールオキシ基(フェノキシ
等)、アルキルチオ基(メチルチオ、ブチルチオ等)、
アリールチオ基(フェニルチオ等)、アシル基(アセチ
ル、プロピオニル、ブチリル、バレリル等)、スルホニ
ル基(メチルスルホニル、フェニルスルホニル等)、ア
シルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルオキシ基
(アセトキシ、ベンゾキシ等)、カルボキシル基、シア
ノ基、スルホ基又はアミノ基を示す。これらの内、より
好ましくはアリール基、アルケニル基及びシアノ基であ
る。
【0175】上記のビイミダゾリル化合物は、米国特許
第3,734,733号及び英国特許第1,271,1
77号に記載される製造方法及びそれに準じた方法によ
り製造することが出来る。
【0176】又、同様に好適な化合物として、下記一般
式(7)で示されるヨードニウム化合物を挙げることが
できる。
【0177】
【化36】
【0178】式中、Qは5〜7員環を完成するに必要な
原子を包含し、かつ、該必要な原子は炭素原子、窒素原
子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる。
【0179】R1、R2及びR3(同一でも異なってもよ
い)は各々、水素原子、アルキル基(メチル、エチル、
ヘキシル等)、アルケニル基(ビニル、アリル等)、ア
ルコキシ基(メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ
等)、アリール基(フェニル、ナフチル、トリル等)、
ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アリールオキシ基(フ
ェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、ブチルチ
オ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アシル基
(アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル等)、
スルホニル基(メチルスルホニル、フェニルスルホニル
等)、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルオ
キシ基(アセトキシ、ベンゾキシ等)、カルボキシル
基、シアノ基、スルホ基又はアミノ基を示す。これらの
内、より好ましくはアリール基、アルケニル基及びシア
ノ基である。尚、R1、R2及びR3の何れかは、互いに
結合して環を形成してもよい。
【0180】R4はアセテート、ベンゾエート、トリフ
ルオロアセテートのようなカルボキシレート基及びO−
を示す。Wは0又は1を表す。
【0181】X-はアニオン性対イオンであり、好適な
例としては、CH3COO-、CH3SO3 -及びPF6 -
ある。
【0182】R3がスルホ基又はカルボキシル基の時
は、Wは0、かつR4はO−である。これらのうち特に
好ましい化合物は下記一般式(8)で表される。
【0183】
【化37】
【0184】式中、R1、R2、R3、R4、X-及びW
は、それぞれ前記一般式(7)と同じものを表し、Yは
炭素原子(−CH=;ベンゼン環)又は窒素原子(−N
=;ピリジン環)を表す。
【0185】上記のヨードニウム化合物はOrg.Sy
n.,1961及びFieser著;Advanced
Organic Chemistry(Reinho
ld,N.Y.,1961)に記載される製造方法及び
それに準じた方法によって合成できる。
【0186】一般式(6)又は(7)で表される化合物
の添加量は0.001〜0.1モル/m2、好ましくは
0.005〜0.05モル/m2の範囲である。尚、当
該化合物は、本発明の熱現像感光材料の如何なる構成層
中にも含有させることが出来るが、還元剤の近傍に含有
させることが好ましい。
【0187】又、本発明においては、還元剤を不活性化
し還元剤が有機銀塩を銀に還元できないようにする化合
物として、反応活性種がハロゲン原子でないものが好ま
しいが、ハロゲン原子を活性種として放出する化合物
も、本発明のハロゲン原子でない活性種を放出する化合
物と併用することにより使用することが出来る。
【0188】このハロゲン原子を活性種として放出でき
る化合物も多くのものが知られており、併用により良好
な効果が得られる。
【0189】これらの活性ハロゲン原子を生成する化合
物の具体例としては、以下に挙げる一般式(9)で表さ
れる化合物がある。
【0190】
【化38】
【0191】一般式(9)において、Qはアリール基又
は複素環基を表す。X1、X2及びX 3は各々、水素原
子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基又はア
リール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子であ
る。Yは−C(=O)−、−SO−又は−SO2−を表
す。Qで表されるアリール基は、単環でも縮環していて
もよく、好ましくは炭素数6〜30の単環又は2環のア
リール基(フェニル、ナフチル等)であり、より好まし
くはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフ
ェニル基である。
【0192】Qで表される複素環基は、N、O又はSの
少なくとも一つの原子を含む3〜10員の飽和又は不飽
和の複素環基であり、これらは単環でも更に他の環と縮
合環を形成してもよい。複素環基として好ましくは、縮
合環を有してもよい5〜6員の不飽和複素環基であり、
より好ましくは縮合環を有してもよい5〜6員の芳香族
複素環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環
を有してもよい5〜6員の芳香族複素環基であり、特に
好ましくは窒素原子を1〜4原子含む縮合環を有しても
よい5〜6員の芳香族複素環基である。
【0193】Qで表されるアリール基及び複素環基は、
−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有して
もよい。
【0194】Yは−C(=O)−、−SO−、−SO2
−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0195】これらの化合物の添加量は、実質的にハロ
ゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題に
ならない範囲が好ましく、前記活性ハロゲンラジカルを
生成しない化合物に対する質量比で最大150%以下、
更に好ましくは100%以下であることが好ましい。
【0196】尚、上記の化合物の他に、本発明の熱現像
感光材料中には、従来カブリ防止剤として知られている
化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応
活性種を生成することができる化合物であっても、カブ
リ防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米
国特許第3,589,903号、同第4,546,07
5号、同第4,452,885号、特開昭59−572
34号、米国特許第3,874,946号、同第4,7
56,999号、特開平9−288328号、特開平9
−90550号等に記載される化合物が挙げられる。更
に、その他のカブリ防止剤として、米国特許第5,02
8,523号及び欧州特許第600,587号、同第6
05,981号、同第631,176号に開示されてい
る化合物が挙げられる。
【0197】本発明においては前記ハロゲン化カブリ防
止化合物を特開平6−208193号公報に記載された
ようなイソシアネート化合物、米国特許第3,017,
280号明細書、特開平9−5916号公報に記載され
たようなアジリジン化合物、特開平10−186561
号、同9−5916号公報に記載されたエポキシ化合物
等と併用することによりいっそうのカブリ防止効果を実
現できる。又、米国特許第3,100,704号に記載
されたカルボジイミド化合物も併用したときこれらに次
いで効果のあるカブリ防止化合物である。
【0198】一般にイソシアネートやエポキシ化合物等
本発明に係るこれらのカブリ防止化合物は銀1モルに対
して0.002モル以上の量で用いられる。通常は銀1
モルに対して0.002〜2モルの上記化合物、好まし
くは銀1モルに対して0.003〜0.3モルの上記化
合物の範囲で用いられる。
【0199】本発明でいう省銀化剤とは、一定の銀画像
濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物を言
う。この低減化する機能の作用機構は種々考えられる
が、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が
好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当
たりの光学濃度を言う。
【0200】省銀化剤としては、特に制限はないが、下
記一般式〔H〕で表されるヒドラジン誘導体化合物、一
般式(G)で表されるビニル化合物、一般式(P)で表
される4級オニウム化合物等が好ましい例として挙げら
れる。
【0201】
【化39】
【0202】
【化40】
【0203】一般式〔H〕において、A0はそれぞれ置
換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基又は
−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A
2は共に水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル
基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。ここで、G
0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C
(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−
P(O)(G11)−基を表し、G1は単なる結合手、
−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1
脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分
子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっ
ても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。好ま
しいD0としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アミノ基等が挙げられる。
【0204】A0で表される脂肪族基は、好ましくは炭
素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直
鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、例えばメチ
ル、エチル、t−ブチル、オクチル、シクロヘキシル、
ベンジル基等が挙げられ、これらは更に適当な置換基
(アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホン
アミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイ
ド基等)で置換されてもよい。
【0205】A0で表される芳香族基は、単環又は縮合
環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環又はナフ
タレン環が挙げられ、A0で表される複素環基として
は、単環又は縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれ
る少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環基が好まし
く、例えばピロリジン、イミダゾール、テトラヒドロフ
ラン、モルホリン、ピリジン、ピリミジン、キノリン、
チアゾール、ベンゾチアゾール、チオフェン、フラン環
等の残基が挙げられる。
【0206】A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0
基は置換基を有していてもよい。A0として特に好まし
いものはアリール基及び−G0−D0基である。
【0207】又、A0は、耐拡散基又はハロゲン化銀吸
着基を少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基と
しては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用され
るバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的
に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキ
ルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合
計は8以上であることが好ましい。
【0208】B0はブロッキング基を表し、好ましくは
−G0−D0基であり、G0は−CO−基、−COCO−
基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−
基、−SO2−基又は−P(O)(G11)−基を表
す。好ましいG0としては−CO−基、−COCO−基
が挙げられ、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基
又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族
基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1
が存在する場合、それらは同じでも異なってもよい。D
0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては、水
素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げ
られる。
【0209】A1、A2は共に水素原子、又は一方が水素
原子で他方はアシル基(アセチル、トリフルオロアセチ
ル、ベンゾイル等)、スルホニル基(メタンスルホニ
ル、トルエンスルホニル等)又はオキザリル基(エトキ
ザリル等)を表す。
【0210】更に好ましいヒドラジン誘導体は、下記一
般式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)
で表される。
【0211】
【化41】
【0212】一般式(H−1)において、R11、R12
びR13は各々、置換もしくは無置換のアリール基又はヘ
テロアリール基を表すが、アリール基として具体的に
は、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げ
られる。ヘテロアリール基として具体的には、トリアゾ
ール、イミダゾール、ピリジン、フラン、チオフェン等
の残基が挙げられる。R14はヘテロアリールオキシ基、
ヘテロアリールチオ基を表すが、好ましくはピリジルオ
キシ基、チエニルオキシ基である。
【0213】A1、A2は共に水素原子、又は一方が水素
原子で他方はアシル基(アセチル、トリフルオロアセチ
ル、ベンゾイル等)、スルホニル基(メタンスルホニ
ル、トルエンスルホニル等)又はオキザリル基(エトキ
ザリル等)を表す。好ましくはA1、A2共に水素原子の
場合である。
【0214】一般式(H−2)において、R21は置換も
しくは無置換のアルキル基、アリール基又はヘテロアリ
ール基を表すが、好ましくはアリール基又はヘテロアリ
ール基であり、特に好ましくは置換もしくは無置換のフ
ェニル基である。
【0215】R22は水素、アルキルアミノ基、アリール
アミノ基、ヘテロアリールアミノ基を表すが、好ましく
は、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基である。
【0216】A1、A2は一般式(H−1)で記載したA
1、A2と同様である。一般式(H−3)において、
31、R32は1価の置換基を表すが、1価の置換基とし
ては、R11、R12及びR13の置換基として挙げた基が挙
げられるが、好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘ
テロアリール基、アルコキシ基、アミノ基が挙げられ
る。更に好ましくはアリール基又はアルコキシ基であ
る。特に好ましいのは、R31とR32の少なくとも一つが
t−ブトキシ基であるものであり、別の好ましい構造
は、R31がフェニル基の時、R32がt−ブトキシ基であ
る。
【0217】G31、G32は−CO−基、−COCO−
基、−C(=S)−、スルホニル基、スルホキシ基、−
P(=O)R33−基又はイミノメチレン基を表し、R33
はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール
基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオ
キシ基、アリールオキシ基、アミノ基を表す。ただし、
31がスルホニル基の時、G32はカルボニル基ではな
い。A1、A2は一般式(H−1)で記載したA1、A2
同様である。
【0218】一般式(H−4)において、R41、R42
びR43は、一般式(H−1)におけるR11、R12及びR
13と同義である。R41、R42及びR43として好ましく
は、何れもが置換もしくは無置換のフェニル基であり、
より好ましくはR41、R42及びR43の何れもが無置換の
フェニル基である。R44、R45は無置換又は置換アルキ
ル基を表すが、好ましくは互いにエチル基である。
1、A2は一般式(H−1)で記述したA1、A2と同様
である。
【0219】これら一般式(H−1)〜(H−4)で表
される化合物は、公知の方法により容易に合成すること
ができる。例えば、米国特許第5,464,738号、
同第5,496,695号を参考にして合成することが
できる。
【0220】その他に好ましく用いることのできるヒド
ラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラ
ム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特
許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合
物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の
方法で合成することができる。
【0221】一般式(G)において、XとRはシスの形
で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式
(G)に含まれる。
【0222】一般式(G)において、Xは電子吸引性基
を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ア
シル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリ
ル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカル
ボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオカ
ルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ
スルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイル
基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スル
フィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、
N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジ
シアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、
ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基を表
す。
【0223】Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アル
ケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニ
ルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、
アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニ
ルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル基又
はメルカプト基の有機又は無機の塩(ナトリウム塩、カ
リウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキルアミノ基、環
状アミノ基(ピロリジノ等)、アシルアミノ基、オキシ
カルボニルアミノ基、複素環基(5〜6員の含窒素複素
環基、ベンゾトリアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリ
ル、テトラゾリル基等)、ウレイド基、スルホンアミド
基を表す。XとW、XとRは、それぞれ互いに結合して
環状構造を形成してもよい。上記X及びWの置換基の
内、置換基中にチオエーテル結合を有するものが好まし
い。
【0224】一般式(P)において、Qは窒素原子又は
燐原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々水素原子
又は置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、R1〜R
4は互いに連結して環を形成してもよい。
【0225】更に好ましくは、下記一般式(Pa)、
(Pb)又は(Pc)で表される化合物、及び下記一般
式〔T〕で表される化合物である。
【0226】
【化42】
【0227】一般式(Pa)、(Pb)、(Pc)にお
いて、A1、A2、A3、A4及びA5は、含窒素複素環を
完成させるための非金属原子群を表し、酸素原子、窒素
原子、硫黄原子を含んでもよく、ベンゼン環が縮合して
も構わない。A1、A2、A3、A4及びA5で構成される
複素環は、置換基を有してもよく、それぞれ同一でも異
なってもよい。
【0228】A1、A2、A3、A4及びA5の好ましい例
としては、5〜6員環(ピリジン、イミダゾール、チオ
ゾール、オキサゾール、ピラジン、ピリミジン等の各
環)を挙げることができ、更に好ましい例としてピリジ
ン環が挙げられる。
【0229】Bpは2価の連結基を表し、mは0又は1
を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリー
レン基、アルケニレン基、−SO2−、−SO−、−O
−、−S−、−CO−、−N(R6)−(R6はアルキル
基、アリール基、水素原子を表す)を単独又は組み合わ
せて構成されるものを表す。Bpとして好ましくは、ア
ルキレン基、アルケニレン基を挙げることができる。
【0230】R1、R2及びR5は、各々炭素数1〜20
のアルキル基を表す。又、R1及びR 2は同一でも異って
いてもよい。アルキル基とは、置換あるいは無置換のア
ルキル基を表し、置換基としては、A1、A2、A3、A4
及びA5の置換基として挙げた置換基と同様である。
【0231】R1、R2及びR5の好ましい例としては、
それぞれ炭素数4〜10のアルキル基である。更に好ま
しい例としては、置換あるいは無置換のアリール置換ア
ルキル基が挙げられる。
【0232】Xp -は分子全体の電荷を均衡させるのに必
要な対イオンを表し、例えば塩素イオン、臭素イオン、
沃素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、p−トルエンス
ルホナート、オキザラート等を表す。npは分子全体の
電荷を均衡させるのに必要な対イオンの数を表し、分子
内塩の場合にはnpは0である。
【0233】
【化43】
【0234】一般式〔T〕で表されるトリフェニルテト
ラゾリウム化合物のフェニル基の置換基R5、R6、R7
は、水素原子もしくは電子吸引性度を示すハメットのシ
グマ値(σp)が負のものが好ましい。
【0235】フェニル基におけるハメットのシグマ値は
多くの文献、例えばジャーナル・オブ・メディカルケミ
ストリー(Journal of Medical C
hemistry)20巻,304頁,1977年に記
載のC.ハンシュ(C.Hansch)等の報文等に見
ることが出来、特に好ましい負のシグマ値を有する基と
しては、例えばメチル基(σp=−0.17、以下何れ
もσp値)、エチル基(−0.15)、シクロプロピル
基(−0.21)、プロピル基(−0.13)、i−プ
ロピル基(−0.15)、シクロブチル基(−0.1
5)、ブチル基(−0.16)、i−ブチル基(−0.
20)、ペンチル基(−0.15)、シクロヘキシル基
(−0.22)、アミノ基(−0.66)、アセチルア
ミノ基(−0.15)、ヒドロキシル基(−0.3
7)、メトキシ基(−0.27)、エトキシ基(−0.
24)、プロポキシ基(−0.25)、ブトキシ基(−
0.32)、ペントキシ基(−0.34)等が挙げら
れ、これらは何れも一般式〔T〕の化合物の置換基とし
て有用である。
【0236】nは1又は2を表し、XT n-で表されるア
ニオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオ
ン、沃化物イオン等のハロゲンイオン;硝酸、硫酸、過
塩素酸等の無機酸の酸根;スルホン酸、カルボン酸等の
有機酸の酸根;アニオン系の活性剤、具体的にはp−ト
ルエンスルホン酸アニオン等の低級アルキルベンゼンス
ルホン酸アニオン、p−ドデシルベンゼンスルホン酸ア
ニオン等の高級アルキルベンゼンスルホン酸アニオン、
ラウリルスルフェートアニオン等の高級アルキル硫酸エ
ステルアニオン、テトラフェニルボロン等の硼酸系アニ
オン、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートアニ
オン等のジアルキルスルホサクシネートアニオン、セチ
ルポリエテノキシサルフェートアニオン等の高級脂肪酸
アニオン、ポリアクリル酸アニオン等のポリマーに酸根
の付いたもの等を挙げることができる。
【0237】上記4級オニウム化合物は、公知の方法に
従って容易に合成でき、例えば、テトラゾリウム化合物
はChemical Reviews vol.55,
335〜483頁に記載の方法を参考にできる。
【0238】上記省銀化剤の添加量は、有機銀塩1モル
に対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1
モルの範囲である。
【0239】本発明においては、感光性層側にマット剤
を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防
止のために、感光材料の表面にマット剤を配することが
好ましく、そのマット剤を感光層側の全バインダーに対
し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0240】また、支持体をはさみ感光層の反対側に非
感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中
にマット剤を含有することが好ましく、感光材料のすべ
り性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット
剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の
反対側の層の全バインダーに対し、質量比で0.5〜4
0%含有することが好ましい。
【0241】本発明において用いられるマット剤の材質
は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機
物としては、スイス特許第330,158号等に記載の
シリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガ
ラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のア
ルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等
をマット剤として用いることができる。有機物として
は、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、
ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,
198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−36
43号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第
330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメ
タアクリレート、米国特許第3,079,257号等に
記載のポリアクリロニトリル、同第3,022,169
号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤
を用いることができる。
【0242】マット剤の形状は、定形、不定形どちらで
も良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられ
る。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算し
たときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒
径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0243】本発明に用いられるマット剤は、平均粒径
が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好まし
くは1.0〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の
変動係数としては、50%以下であることが好ましく、
更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは3
0%以下となるマット剤である。
【0244】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下
記の式で表される値である。 (粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100 本発明に用いられるマット剤は任意の構成層中に含むこ
とができるが、本発明の目的を達成するためには好まし
くは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支持
体から見て最も外側の層である。本発明に係るマット剤
の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法
であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了す
る以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また
複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を
併用してもよい。
【0245】本発明の熱現像感光材料は支持体上に少な
くとも1層の感光性層を有している。支持体の上に感光
性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくと
も一層の非感光性層を形成するのが好ましい。感光性層
に透過する光の量または波長分布を制御するために感光
性層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成して
もよいし、感光性層に染料または顔料を含有させてもよ
い。
【0246】用いられる染料としては所望の波長範囲で
目的の吸収を有するものであればいかなる化合物でも良
いが、例えば特開昭59−6481号、同59−182
436号、米国特許第4,271,263号、同第4,
594,312号、欧州特許公開第533,008号、
同第652,473号、特開平2−216140号、同
4−348339号、同7−191432号、同7−3
01890号、特開平8−201959号等に記載の化
合物が好ましく用いられる。感光性層は複数層にしても
よく、又階調の調節のために高感度層、低感度層を設
け、これを組み合わせてもよい。各種の添加剤は感光性
層、非感光性層またはその他の形成層のいずれに添加し
てもよい。本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料に
はたとえば界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑
剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。
【0247】本発明の熱現像感光材料に用いる支持体用
素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コ
ットン布、紙、金属(アルミニウム等)等が挙げられる
が、情報記録材料としての取扱い上は、可撓性のあるシ
ート又はロールに加工できるものが好適である。従っ
て、本発明に用いる支持体としては、プラスチックフィ
ルム(セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフ
ィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエ
チレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポ
リイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム
又はポリカーボネートフィルム等)が好ましく、特に2
軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルムが好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μ
m程度、好ましくは70〜180μmである。
【0248】本発明の熱現像感光材料の帯電性を改良す
るために、金属酸化物及び/又は導電性ポリマー等の導
電性化合物を構成層中に含ませることができる。これら
は、何れの層に含有させてもよいが、好ましくは下引
層,バッキング層、感光性層と下引の間の層などに含ま
れる。米国特許第5,244,773号、14〜20カ
ラムに記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
【0249】本発明の熱現像感光材料には、感光性層を
透過する光の量又は波長分布を制御するために、感光性
層と同じ側又は反対の側にフィルター層を形成するか、
感光性層に染料又は顔料を含有させることが好ましい。
用いられる染料としては、熱現像感光材料の感色性に応
じて、種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使
用できる。
【0250】本発明の熱現像感光材料を赤外光による画
像記録材料とする場合には、特願平11−255557
号に開示するようなチオピリリウム核を有するスクアリ
リウム染料(チオピリリウムスクアリリウム染料と呼
ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(ピ
リリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又、スクアリリ
ウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、
あるいはピリリウムクロコニウム染料を使用することが
好ましい。
【0251】尚、スクアリリウム核を有する化合物と
は、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−
4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有す
る化合物とは、分子構造中に1−シクロペンテン−2−
ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。こ
こで、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下、本
明細書では、これらの色素を便宜的に一括してスクアリ
リウム染料と称する。
【0252】尚、染料としては特開平8−201959
号記載の化合物も好ましい。各構成層を塗布する方法に
は特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコ
ート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エ
クストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いること
ができる。これらのうちより好ましくはエクストリュー
ジョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式であ
る。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式
のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有
機溶剤塗布に適している。
【0253】本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料
の露光は、如何なる光源にも適用可能である。近年はレ
ーザー光源の需要が高く、本発明の感光材料は好ましく
適用される。例えば赤光域以上の波長ならば、Krレー
ザ、またハイパワーであることや感光材料を透明にでき
る等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820
nm)も好ましく用いられる。
【0254】本発明において、露光はレーザー走査露光
により行うことが好ましいが、感光材料の露光面と走査
レーザー光のなす角が実質的に垂直になることがないレ
ーザー走査露光機を用いることが好ましい。
【0255】ここで、「実質的に垂直になることがな
い」とはレーザー走査中に最も垂直に近い角度として好
ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、
更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜8
2度であることをいう。
【0256】レーザー光が、感光材料に走査されるとき
の感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましく
は200μm以下、より好ましくは100μm以下であ
り、これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度
の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。な
お、ビームスポット直径の下限は10μmである。
【0257】このようなレーザー走査露光を行うことに
より干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質
劣化を減じることができる。
【0258】また、本発明に用いられる露光は縦マルチ
である走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用
いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザー
光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少す
る。
【0259】縦マルチ化するには、合波による、戻り光
を利用する、高周波重畳をかける、等の方法がよい。な
お、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味
し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10
nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に
制限はないが、通常60nm程度である。
【0260】本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料
は常温で安定であるが、露光後高温に加熱することで現
像される。加熱温度としては80〜200℃が好まし
く、さらに好ましいのは100〜150℃である。加熱
温度が80℃未満では短時間に十分な画像濃度が得られ
ず、又200℃を越えるとバインダーが溶融し、ローラ
ーへの転写等、画像そのものだけでなく搬送性や、現像
機等へも悪影響を及ぼす。
【0261】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0262】 実施例1 《コンベンショナル現像処理のXレイ感光材料》 〈種乳剤−1の調製〉 〔A1〕 オセインゼラチン 24.2g 蒸留水 9657ml ポリプロピレンオキシ−ポリエチレンオキシ−ジサクシネートナトリウム塩 (10%メタノール水溶液) 6.78ml 臭化カリウム 10.8g 10%硝酸 114ml 〔B1〕 2.5mol/L AgNO3水溶液 2825ml 〔C1〕 臭化カリウム 841g 水で2825mlに仕上げる 〔D1〕 1.75mol/L KBr水溶液 下記銀電位制御量 42℃で特公昭58−58288号、同58−5828
9号明細書に示される混合撹拌機を用いて溶液A1に溶
液B1及び溶液C1の各々464.3mlを同時混合法
により1.5分を要して添加し、核形成を行った。
【0263】溶液B1及び溶液C1の添加を停止した
後、40分の時間を要して溶液A1の温度を50℃に上
昇させ、3%KOHでpHを5.0に合わせた後、再び
溶液B1と溶液C1を同時混合法により、各々55.4
ml/minの流量で42分間添加した。この42℃か
ら50℃への昇温及び溶液B1、C1による再同時混合
の間の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀
イオン選択電極で測定)を溶液D1を用いてそれぞれ+
8mV及び+16mVになるよう制御した。
【0264】添加終了後3%KOHによってpHを6に
合わせ直ちに脱塩、水洗を行った。この種乳剤はハロゲ
ン化銀粒子の全投影面積の90%以上が最大隣接辺比が
1.0〜2.0の六角平板状粒子よりなり、六角平板状
粒子の平均厚さは0.045μm、平均粒径(円直径換
算)は0.42μmであることを電子顕微鏡により確認
した。また、厚さの変動係数は42%、双晶面間距離の
変動係数は45%であった。
【0265】〈平板状臭化銀乳剤の調製〉種乳剤−1と
以下に示す3種の溶液を用い、平板状純臭化銀乳剤を調
製した。
【0266】 〔A2〕 オセインゼラチン 34.03g ポリプロピレンオキシ−ポリエチレンオキシ−ジサクシネートナトリウム塩 (10%メタノール水溶液) 2.25ml 種乳剤−1 1.218モル相当 水で3669mlに仕上げる 〔B2〕 臭化カリウム 1747g 水で3669mlに仕上げる 〔C2〕 硝酸銀 2493g 水で4193mlに仕上げる 反応容器内で溶液A2を50℃に保ちながら激しく撹拌
し、そこに溶液B2と溶液C2の全量を100分かけて
同時混合法にて添加した。この間、pHはKOH液によ
り9.0に保ち、pAgは8.6に終始保った。ここで
溶液B2と溶液C2の添加速度は臨界成長速度に見合っ
たように時間に対して関数的に変化させた。則ち、成長
している種粒子以外は小粒子の発生がないように、ま
た、オストワルド熟成により多成分化しないように適切
な添加速度で添加した。
【0267】添加終了時後、この乳剤を40℃に冷却
し、凝集高分子剤としてフェニルカルバモイル基で変性
された(置換率90%)変性ゼラチン13.8%(質
量)の水溶液1800mlを添加し3分間撹拌した。そ
の後、酢酸56%(質量)水溶液を添加して乳剤のpH
を4.6に調整し3分間撹拌した後、20分間静置させ
デカンテーションにより上澄み液を排水し更に蒸留水1
1.25Lを加え、撹拌静置後、上澄み液を排水した。
【0268】続いてゼラチン水溶液と炭酸ナトリウム1
0%(質量)水溶液を加えてpHが5.80になるよう
に調整し、50℃で30分間撹拌し再分散した。再分散
後、40℃にてpHを5.80、pAgを8.06に調
整した。
【0269】得られたハロゲン化銀乳剤を電子顕微鏡に
て観察したところ、平均粒径0.84μm、平均厚さ
0.16μm、平均アスペクト比約5.3、粒径分布の
広さ20%の平板状ハロゲン化銀粒子であった。また物
理熟成終了時のゼラチン量はハロゲン化銀1モル当たり
15.9gであった。
【0270】上記で調製した乳剤を55℃にした後、ハ
ロゲン化銀1モル当たり下記増感色素(A)450m
g、増感色素(B)45mgを添加し、更に4−ヒドロ
キシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデ
ン100mgを添加した。その後10分して、塩化金酸
を3.5mg、チオ硫酸ナトリウムを10mg、チオシ
アン酸アンモニウム100mg添加した。更に40分後
に下記記載の沃化銀微粒子を0.3モル添加し、更に1
0分後にトリフェニルホスフィンセレナイド5mgを添
加し、更に40分後に4−ヒドロキシ−6−メチル−
1,3,3a,7−テトラザインデン500mgを添加
し、5分後にトリメチロールプロパン13g、ゼラチン
30gを添加してから、急速冷却し、乳剤をゲル化して
化学増感を終了した。
【0271】(増感色素) 増感色素(A):5,5′−ジ−クロロ−9−エチル−
3,3′−ジ−(3−スルホプロピル)オキサカルボシ
アニンナトリウム塩の無水物 増感色素(B):5,5′−ジ−(ブトキシカルボニ
ル)−1,1′−ジエチル−3,3′−ジ−(4−スル
ホブチル)ベンゾイミダゾロカルボシアニンナトリウム
塩の無水物 〈下引済み支持体の作製〉厚さが175μmで、濃度
0.17に青色着色したポリエチレンテレフタレート
(PET)ベースの両側に8W/min・m2のコロナ
放電処理をした後、下引きを塗布し、110℃で1分間
乾燥し下引済み支持体を得た。
【0272】〈感光材料の作製〉上記で得られた下引済
み支持体の両面に、支持体に近い方(染料層)から第1
層とし、3層同時塗布した。
【0273】 (第1層:染料層) 片面当たり添加量 石灰処理イナートゼラチン 0.1g/m2 ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒径3μm) 50mg/m2 ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム 8mg/m2817SO3K 0.5mg/m2817SO2N(C37)(CH2CH2O)8H 2mg/m2 2,4−(C919263O(CH2CH2O)12H 1.6mg/m2 ホルマリン 14mg/m2 グリオキザール 1.6mg/m2 (第2層:乳剤層)乳剤に加えた添加剤は次のとおりで
ある。ゼラチン以外の添加量はハロゲン化銀1モル当た
りの量で示す。
【0274】 石灰処理イナートゼラチン(片面当たり) 1.45g/m2 1,1−ジメチロール−1−ブロム−1−ニトロメタン 70mg ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 0.7g スチレン−無水マレイン酸共重合体 2.5g ニトロフェニル−トリフェニルホスホニウムクロリド 50mg C49OCH2CH(OH)CH2N(CH2COOH)2 1.0g 1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 8.5mg コロイダルシリカ(デュポン社製ルドックスAM) 25g t−ブチルカテコール 150mg 化合物Z 1.7g 硝酸タリウム 55mg トリメチロールプロパン 6.5g デキストラン(平均分子量4万) 1.2g 化合物B 150mg ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量30万) 1.3g 一般式(1)の化合物(表4参照) 5mmol 大環状化合物(表4参照) 3mmol 片面当たりの銀量は、1.3g/m2となるように塗布
した。
【0275】(第3層:保護層)次に保護層塗布液とし
て下記を調製し塗布した。片面1m2当たり付き量を以
下に示す。
【0276】 石灰処理イナートゼラチン 0.80g ポリメチルメタクリレート(平均粒径3.0μmのマット剤) 50mg ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 8mg C817SO3K 0.5mg C817SO2N(C37)(CH2CH2O)8H 2mg 2,4−(C919263O(CH2CH2O)12H 1.6mg ホルマリン 14mg グリオキザール 1.6mg
【0277】
【化44】
【0278】〈評価〉得られた試料について下記のよう
に評価した。
【0279】内部が25℃、湿度55%に保たれた密閉
遮光容器中に3枚の塗布試料を入れ7日間経時させた
(比較用経時)後、真ん中の試料を取り出し、この試料
を2枚の蛍光増感紙(コニカ(株)製、KO−250)
で挟み、アルミウェッジを介して管電圧80kVp、管
電流100mA、0.05秒間のX線を照射し露光し
た。次いで現像処理は自動現像機SRX−701(コニ
カ(株)製)のラインスピードをDry to Dry
で25秒処理できるように改造し、各試料を処理した。
なお、現像・定着の補充量は四切(25.4cm×3
0.5cm)1枚当たり、7mlとなるように設定し、
コニカメディカルフィルムSR−G(コニカ(株)製)
四切で1000枚処理した後、本実施例の試料を処理し
た。
【0280】 (現像液処方) Part−A(10L仕上げ用) 水酸化物カリウム 450g 亜硫酸カリウム(50%溶液) 2280g ジエチレンテトラアミン5酢酸 120g 炭酸水素ナトリウム 132g 5−メチルベンゾトリアゾール 1.2g 1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 0.2g 1,4−ジヒドロキシベンゼン 340g 水を加えて5000mlに仕上げる Part−B(10L仕上げ用) 氷酢酸 170g トリエチレングリコール 185g 1−フェニル−3−ピラゾリドン 22g 5−ニトロインダゾール 0.4g スターター液処方(1L仕上げ用) 氷酢酸 120g 臭化カリウム 225g 水を加えて1000mlに仕上げる (定着液処方) Part−A(18L仕上げ用) チオ硫酸アンモニウム(70質量/容量%) 6000g 亜硫酸ナトリウム 110g 酢酸ナトリウム・3水塩 450g クエン酸ナトリウム 50g 1−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル−5−メルカプトテトラゾール 18g 水を加えて8000mlに仕上げる Part−B 硫酸アルミニウム 800g 上記現像液、定着液を仕上げる直前に、1L当たりほう
酸を3.1g添加した。
【0281】(現像液の調製)現像液の調製は、水約1
LにPart−A、Part−Bを同時添加し、撹拌溶
解しながら表4の素材と水を加え、10Lに仕上げ、氷
酢酸でpHを10.5に調整し、現像液とした。この現
像液1L当たり20mlのスターター液を添加し、pH
を10.4に調整して使用液とした。
【0282】(定着液の調製)定着液の調製は水約5L
にPart−A、Part−Bを同時添加し、撹拌溶解
しながら表4の素材と水を加えて18Lに仕上げ、硫酸
と水酸化ナトリウムを用いてpHを4.4に調整しこれ
を定着液の使用液及び定着液補充液とした。
【0283】尚、処理温度はそれぞれ現像35℃、定着
33℃、水洗20℃、乾燥45℃とした。
【0284】得られた画像に以下のセンシトメトリー評
価を行った。(カブリ)現像済み試料の未露光部分の光
学濃度を測定した。値の小さいものほど良い。
【0285】(相対感度)相対感度はカブリ+1.0の
濃度を与える露光量の逆数の相対値であり、試料1の感
度を100とする値で表4に示した。
【0286】(生保存性カブリ)内部が25℃、湿度5
5%に保たれた密閉遮光容器中に3枚の塗布試料を入れ
た後50℃で7日間経時させた(強制経時)。この中の
真ん中の試料を、前記と同じ条件で露光及び現像処理を
施した。カブリと相対感度を評価し、得られた結果を表
4に示す。
【0287】
【表4】
【0288】表4から分かるように、本発明の組み合わ
せは、カブリが高くならず高感度であり、塗布試料の強
制経時条件でも、カブリ変動が軽減されていることが分
かる。
【0289】実施例2 《溶剤系塗布熱現像感光材料》 〈PET下引済み写真用支持体の作製〉市販の2軸延伸
熱固定済みの厚さ175μmの青色着色したPETフィ
ルムの両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、
一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μm
になるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、又反
対側の面に下記帯電防止加工下引塗布液b−1を乾燥膜
厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて帯電防止加
工下引層B−1とした。
【0290】 (下引塗布液a−1) ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2− ヒドロキシエチルアクリレート(質量比30/20/25/25 の共重合体ラテックス液、固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1Lに仕上げる (帯電防止加工下引塗布液b−1) ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルアクリレート (質量比40/20/40の共重合体ラテックス液、固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1Lに仕上げる 引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の表面上に8
W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上に
は下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmにな
る様に下引層A−2として塗設し、又下引層B−1の上
には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmに
なる様に帯電防止機能を持つ下引上層B−2として塗設
した。
【0291】 (下引上層塗布液a−2) ゼラチン 0.4g/m2になる量 (C−1) 0.2g (C−2) 0.2g (C−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で1Lに仕上げる (下引上層塗布液b−2) (C−4) 60g (C−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g 硫酸アンモニウム 0.5g (C−6) 12g ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g 水で1Lに仕上げる
【0292】
【化45】
【0293】
【化46】
【0294】(支持体の熱処理)上記の下引済み支持体
の下引乾燥工程に於いて、支持体を140℃で加熱し、
その後徐々に冷却した。
【0295】〈ハロゲン化銀乳剤の調製〉水900ml
中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10m
gを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、
硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)の
モル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液及び
〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10-6
モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10-6
ルを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブル
ジェット法で添加した後、pH8.7、pAg6.5に
して還元増感を行った。その後4−ヒドロキシ−6−メ
チル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加しN
aOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μ
m、単分散度10%の投影直径面積の変動係数8%、
〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。
この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処
理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.
9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得
た。
【0296】〈ベヘン酸ナトリウム溶液の調製〉945
mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9
g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に高
速で攪拌しながら1.5mol/Lの水酸化ナトリウム
水溶液98mlを添加した。次に濃硝酸0.93mlを
加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。
【0297】〈ベヘン酸銀とハロゲン化銀乳剤のプレフ
ォーム乳剤の調製〉上記のベヘン酸ナトリウム溶液に前
記ハロゲン化銀乳剤を15.1g添加し水酸化ナトリウ
ム溶液でpH8.1に調整した後に1mol/Lの硝酸
銀溶液147mlを7分間かけて加え、更に20分攪拌
し限外濾過により水溶性塩類を除去した。得られたベヘ
ン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒
子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除
き、更に6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させプレ
フォーム乳剤を得た。
【0298】〈感光性乳剤の調製〉得られたプレフォー
ム乳剤にポリビニルブチラール(平均分子量3000)
のメチルエチルケトン溶液(17質量%)544gとト
ルエン107gを徐々に添加して混合した後、28MP
aで分散させた。
【0299】〈熱現像感光材料の製造〉 (バック面側塗布)以下の組成のバック層塗布液を、押
し出しコーターで上記支持体へ下引上層B−2を塗布し
た側にウェット膜厚30μmになるように塗布し、60
℃、3分で乾燥した。
【0300】 (バック層塗布液) セルロースアセテートブチレート(10%メチルエチルケトン溶液) 15ml/m2 赤外染料1 14mg/m2 マット剤(単分散度15%、平均粒子サイズ8μmの単分散シリカ) 30mg/m2919−C64−SO3Na 10mg/m2
【0301】
【化47】
【0302】(感光層面側塗布)上記支持体の下引層A
−2を塗布した側に以下の組成の感光層塗布液と、その
上に保護層塗布液を、押し出しコーターで毎分20mの
速度で重層塗布した。その際、塗布銀量が2.4g/m
2になる様に調整して塗布した。その後、55℃、15
分乾燥を行った。
【0303】 (感光層塗布液) プレフォーム乳剤 240g 増感色素(表5参照) 7.0×10-2mmol/Agmol 一般式(1)の化合物(表5参照) 5.0mmol/Agmol 大環状化合物(表5参照) 3.0mmol/Agmol カブリ防止剤1(6%メタノール溶液) 3ml 臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7ml カブリ防止剤2(10%メタノール溶液) 1.2ml 2−4−クロロベンゾイル安息香酸(12%メタノール溶液) 9.2ml 2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11ml カブリ防止剤3(5%メタノール溶液) 17ml 現像剤(20%メタノール溶液) 29.5ml フタラジン 0.6g 4−メチルフタル酸 0.25g テトラクロロフタル酸 0.2g
【0304】
【化48】
【0305】
【化49】
【0306】 (表面保護層塗布液) アセトン 5ml/m2 メチルエチルケトン 21ml/m2 セルロースアセテートブチレート 2.3g/m2 メタノール 7ml/m2 フタラジン 250mg/m2 マット剤: 単分散度10%、平均粒子サイズ4μmの単分散シリカ 70mg/m2 CH2=CH−SO2−CH2−CH2 −O−CH2−CH2−SO2−CH=CH2 35mg/m2919−C64−SO3Na 10mg/m2 表5に示した一般式(1)の化合物、増感色素、大環状
化合物及びバインダーを各々使用して熱現像感光材料の
試料12〜26を作製した。但し、一般式(1)の化合
物は増感色素の30分後に添加した。
【0307】〈評価〉得られた試料について下記のよう
に評価した。
【0308】(露光及び現像処理)熱現像感光材料の乳
剤面側から、高周波重畳にて波長800〜820nmの
縦マルチモード化された半導体レーザーを露光源とした
露光機によりレーザー走査による露光を与え、熱現像し
た。この際、熱現像感光材料の露光面と露光レーザー光
の角度を75°として画像を形成した。角度を75°と
したときは90°とした場合に比べムラが少なく、かつ
予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。
【0309】(カブリ)現像済み試料の未露光部分の光
学濃度を測定した。値の小さいもの程良い。
【0310】(相対感度)相対感度はカブリ+1.0の
濃度を与える露光量の逆数の相対値であり、試料12の
感度を100とする値で示した。
【0311】(画像保存性)上記カブリ濃度変動率の測
定と同様の方法にて作製した各熱現像処理済み試料を、
25℃及び45℃の環境下に3日間放置した後、最高濃
度の変化を測定し、下記の式により画像濃度変化率を測
定し、それを画像保存性の尺度とした。
【0312】画像濃度変化率=45℃保存試料の最高濃
度/25℃保存試料の最高濃度×100(%) (強制経時の写真性能)内部が25℃、湿度55%に保
たれた密閉容器中に3枚塗布試料を入れた後50℃で7
日間経時させた(強制経時)。この中の2枚目の試料と
比較用経時(室温にて遮光容器中に保存)の試料とを8
30nmのレーザーダイオードを垂直面より13°傾い
たビームで露光した。その後ヒートドラムを用いて12
0℃×15秒間熱現像処理を行い、カブリ部分の濃度を
測定した。評価した結果を表5に示す。
【0313】
【表5】
【0314】表5から明らかなように、本発明により得
られた熱現像感光材料は、カブリ、相対感度、最高濃度
共に優れ、更に強制経時のカブリが低い改良が認められ
た。また、画像保存性が良好であった。最高濃度が高く
なる効果は当初予想できない驚くべき効果であった。
【0315】実施例3 《水系塗布熱現像感光材料》 〈有機銀塩分散物の調製〉ステアリン酸7g、アラキジ
ン酸4g、ベヘン酸36g、蒸留水850mlを90℃
で激しく攪拌しながら1mol/LのNaOH水溶液1
87mlを添加し120分反応させ、1mol/L硝酸
71mlを添加した後50℃に降温した。次いで、より
激しく攪拌しながら硝酸銀21gの水溶液125mlを
100秒かけて添加し、そのまま20分間放置した。そ
の後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導
度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得た
固形分にPVA205(クラレ(株)製ポリビニールア
ルコール)10質量%水溶液100gを添加し、さらに
総質量270gとなるように水を加えた後、自動乳鉢に
て素分散し有機銀塩粗分散物を得た。
【0316】この有機銀塩粗分散物をナノマイザ(ナノ
マイザ(株)製)を用い衝突時の圧力98.07MPa
で分散し、有機銀塩分散物を得た。得られた有機銀塩分
散物に含まれる有機銀塩粒子は平均短径0.04μm、
平均長径0.8μm、変動係数30%の針状粒子であっ
た。
【0317】〈還元剤分散物の調製〉1,1−ビス(2
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,
5−トリメチルヘキサン(還元剤)100gとヒドロキ
シプロピルセルロース50gに水850gを添加し良く
混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコ
ニアビーズ840gをスラリーと一緒にベッセルに入
れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメ
ックス(株)製)にて5時間分散し還元剤分散物を得
た。
【0318】〈有機ポリハロゲン化物分散物の調製〉ト
リブロモメチルフェニルスルホン50g(0.127モ
ル)とヒドロキシプロピルセルロース10gに水940
gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.
5mmのジルコニアビーズ840gと一緒にベッセルに
入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイ
メックス(株)製)にて5時間分散し有機ポリハロゲン
化物分散物を得た。
【0319】〈ハロゲン化銀乳剤の調製〉水1000m
lにフタル化ゼラチン22g及び臭化カリウム30mg
を溶解して温度35℃にてpHを5.0に合わせた後、
硝酸銀18.6g及び硝酸アンモニウム0.9gを含む
水溶液159mlと臭化カリウム及び沃化カリウムを9
2:8のモル比で含む水溶液159mlをpAg7.7
に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間
かけて添加した。ついで、硝酸銀55.4gと硝酸アン
モニウム2gを含む水溶液476ml及び10μmol
/Lの六塩化イリジウム酸二カリウムと1mol/Lの
臭化カリウムを含む水溶液370mlを、pAg7.7
に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分間
かけて添加した後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,
3,3a,7−テトラザインデン1gを添加し、さらに
pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をした。その後、フ
ェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pA
g8.2に調整し、沃臭化銀粒子(沃素含量コア8モル
%、平均2モル%、平均サイズ0.05μm、投影面積
変動係数8%、(100)面比率85%の立方体粒子)
の調製を終えた。
【0320】こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に
昇温して銀1mol当たりチオ硫酸ナトリウム85μm
olと2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルジ
フェニルホスフィンセレニドを11μmol、テルル化
合物15μmol、塩化金酸3μmol、チオシアン酸
270μmolを添加し、120分間熟成した後40℃
に急冷した後、表3記載のように一般式(1)の化合
物、大環状化合物及び増感色素を添加し、30分間撹拌
後、30℃に急冷して8種類のハロゲン化銀乳剤を得
た。
【0321】
【化50】
【0322】〈乳剤層塗布液の調製〉有機銀塩分散物1
350g、PVA205の20質量%水溶液140m
l、フタラジンの10質量%水溶液37ml、還元剤分
散物220g及び上記有機ポリハロゲン化物分散物61
gを添加し、その後、ラックスターLACSTAR33
07B(大日本インキ化学工業(株)製;スチレンとブ
タジエンを主な共重合成分として含有するSBRラテッ
クス;分散粒子の平均粒径0.1〜0.15μm、25
℃、60%RH条件下でのポリマー平衡含水率0.6質
量%)1100gを混合し、その後、上記ハロゲン化銀
乳剤を各々、120g混合して乳剤層塗布液を調製し
た。尚、液pHを1mol/Lの硫酸を用いてpH5.
0に調整した。
【0323】〈乳剤面中間層塗布液の調製〉MP203
(クラレ(株)製変成ポリビニールアルコール)100
gを水900mlに溶解し、さらにスルホコハク酸ジ
(2−エチルヘキシル)エステルナトリウム塩の5質量
%の水溶液2mlを添加した。
【0324】〈乳剤面保護層塗布液の調製〉イナートゼ
ラチン145gを1110mlの温水に溶解したもの
に、20質量%ポリエチルアクリレートラテックス40
0g、1mol/Lの硫酸57ml、スルホコハク酸ジ
(2−エチルヘキシル)エステルナトリウム塩の5質量
%水溶液10ml、フタル酸の10質量%メタノール溶
液280mlを添加し保護層塗布液とした。
【0325】〈乳剤面オーバーコート層塗布液の調製〉
イナートゼラチン129gを1650mlの温水に溶解
したものに、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒
径サイズ2.5μm)を12質量%含有するゼラチン分
散物を130g、1mol/Lの硫酸65ml、スルホ
コハク酸ジ(2−エチルヘキシル)エステルナトリウム
塩の5質量%水溶液20mlを添加した液1に対し、硫
酸カリウムクロム(III)12水和物の2質量%水溶液
(硬膜剤)0.3の流量比となるようにしてオーバーコ
ート層塗布液を連続調製した。
【0326】〈バック層塗布液の調製〉固体塩基である
N,N,N′,N′−テトラエチルグアニジンと4−カ
ルボキシスルフォニル−フェニルスルフォンのモル比
1:2の塩10gをポリビニルアルコール10g及び水
88gに1/16Gサンドグラインダーミル(アイメッ
クス(株)製)で分散し塩基液を得た。塩基性染料前駆
体2.1g、酸性物質7.9g、ハレーション防止染料
0.1g、酢酸エチル10gを混合溶解した有機溶媒相
をポリビニルアルコール10g及び水80gからなる水
溶液相に混合し、常温で乳化分散し染料液を得た(平均
粒径2.5μm)。こうして得た塩基液39g、染料液
26g、ポリビニルアルコール10質量%水溶液36g
を混合しバック層塗布液を得た。
【0327】
【化51】
【0328】〈バック層保護層塗布液〉ゼラチン20
g、ポリメチルメタクリレート(平均粒径7μm)0.
6g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4
g、X−22−2809(信越シリコーン(株)製シリ
コーン化合物)1gを水480gに溶解しバック層保護
層塗布液を得た。
【0329】〈下塗り塗布液Aの調製〉ポリエステル共
重合体分散物ペスレジンA−515GB(30%、高松
油脂(株)製)200mlにポリスチレン微粒子(平均
粒径0.2μm)50g、界面活性剤A(1質量%)2
0mlを添加し、これに蒸留水を加えて1000mlと
して下塗り塗布液Aとした。
【0330】
【化52】
【0331】〈下塗り塗布液Bの調製〉蒸留水680m
lにスチレン−ブタジエン共重合体水分散物(スチレン
/ブタジエン/イタコン酸=47/50/3(質量
比)、濃度30質量%)200ml、ポリスチレン微粒
子(平均粒径2.5μm)0.1gを添加し、さらに蒸
留水を加えて1000mlとして下塗り塗布液Bとし
た。
【0332】〈下塗り塗布液Cの調製〉イナートゼラチ
ン10gを蒸留水500mlに溶解し、そこに特開昭6
1−20033号に記載の酸化スズ−酸化アンチモン複
合物微粒子の水分散物(40質量%)40gを添加し
て、これに蒸留水を加えて1000mlとして下塗り塗
布液Cとした。
【0333】〈下塗り支持体の作製〉下記青色染料で色
味付けした厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレ
フタレート支持体の片面(感光面)にコロナ放電処理を
施した後、上記下塗り塗布液Aをバーコーターを用いて
ウェット塗布量が5ml/m2になるように塗布して1
80℃で5分間乾燥した。乾燥膜厚は約0.3μmであ
った。次いでこの裏面(バック面)にコロナ放電処理を
施した後、上記下塗り塗布液Bをバーコーターを用いて
ウェット塗布量が5ml/m2、乾燥膜厚が約0.3μ
mになるように塗布して180℃で5分間乾燥し、さら
にその上に上記下塗り塗布液Cをバーコーターを用いて
ウェット塗布量が3ml/m2、乾燥膜厚が約0.03
μmになるように塗布して180℃で5分間乾燥して下
塗り支持体を作製した。
【0334】
【化53】
【0335】〈熱現像感光材料の作製〉上記下塗り支持
体の乳剤面とは裏側のバック面に、上記記載のバック層
塗布液を647nmでの光学濃度が0.7となる流量に
調整し、バック層保護層塗布液については50g/m2
になるように調整して、Stephen F.Kist
ler、Petert M.Schweizer著“L
IQUID FILMCOATINg”(CHAPMA
N &HALL社刊、1997年)427頁の
Figure 11b.1と同様のコーターを用いて同
時重層塗布した後、バック面と反対の面に支持体側か
ら、上記記載の乳剤層塗布液を各々、82ml/m2
中間層塗布液6.5ml/m2、保護層塗布液12.5
ml/m2、オーバーコート層塗布液12ml/m2とな
るように同時重層塗布し、10℃(露点0℃以下)のチ
ルドゾーンを通過させた後30℃、40%RH、風速2
0m/秒の風で乾燥し、表3に記載のように熱現像感光
材料を作製した。
【0336】こうして得られた熱現像感光材料の平滑度
(J.TAPPI紙パルプ試験法No.5記載の王研式
平滑度測定を用いベック平滑度を調べた)は乳剤面60
0秒、バック面85秒であった。
【0337】(評価)25℃、55%RH(常温調整)
で24時間保存した試料をキセノンフラッシュで露光し
た後、感光材料をヒートパネルを備えた熱現像処理装置
を用いて、感光層のある面とは反対側から120℃で1
5秒間熱現像した。
【0338】また、55℃、60%RH(高温調整)で
7日間保存した試料も同様の処理を施した。得られた画
像の光学濃度を濃度計で測定して、最低濃度(Dmin
=カブリ)及び感度を求めた。感度はDminより1.
0高い光学濃度を与える露光量を求め、25℃、60%
RH(常温調整)で24時間保存した試料No.27の
感度を100とする相対値で表した。評価の結果を表6
に示した。
【0339】
【表6】
【0340】表6から明らかなように、水系塗布の熱現
像感光材料においても実施例2と同様の効果が見られ
た。
【0341】実施例4 《溶剤含有効果の確認》実施例2で作製した試料25の
塗布後の乾燥時間の変化に伴って溶剤(メチルエチルケ
トン)の含有量を変化させて試料を作製した。その後、
実施例2と同様に露光及び熱現像を施し、カブリと相対
感度を比較した。
【0342】尚、試料中の溶剤含有量の測定は以下のよ
うに行った。46.3cm2の試料を切り出し、これを
5mm程度に細かく刻んで専用バイアル瓶に収納しセプ
タムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレット・パ
ッカード(株)製ヘッドスペースサンプラーHP769
4型にセットした。ガスクロマトグラフィー(GC)は
水素炎イオン化検出器(FID)を装着したヒューレッ
ト・パッカード(株)製5971型であった。測定条件
は、ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、2
0分、GC導入温度:150℃、カラム:JandW
(株)製DB−624、昇温:45℃で3分保持した後
毎分8℃昇温し100℃まで加熱した。
【0343】測定対象溶媒はMEK、メタノールとし、
該溶媒の各々ブタノールにて希釈された一定量を専用バ
イアル瓶に収納した後、得られたクロマトグラムのピー
ク面積を用いて作成した検量線を使用して試料中の溶剤
含有量(ppm)を得た。
【0344】得られた結果を表7に示す。
【0345】
【表7】
【0346】表7から明らかなように残存溶剤量が40
〜4500ppmの状態において加熱現像を施した場合
には、カブリと相対感度共に良好であるが、その範囲よ
りも低ppmでは感度低下が大きく、又高ppmではカ
ブリが著しく高くなってしまうことが認められた。
【0347】
【発明の効果】高感度で、生試料の経時保存に於いて
も、カブリ変動が小さいハロゲン化銀乳剤及び感光材
料、現像銀色調、画像保存性及び膜物性が改良された熱
現像感光材料並びにその熱現像感光材料を使用する画像
記録方法及び画像形成方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/498 G03C 1/498 501 501 502 502 503 503 1/74 351 1/74 351 5/08 351 5/08 351

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表される化合物の少なく
    とも1種とヘテロ原子を有する大環状化合物を含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。 【化1】 (式中、H31Arは芳香族炭化水素基または芳香族複素
    環基を表し、T31は脂肪族炭化水素基からなる2価の連
    結基または連結基を表し、J31は酸素原子、硫黄原子ま
    たは窒素原子を一つ以上含む2価の連結基または連結基
    を表す。Ra、Rb、Rc及びRdは各々、水素原子、
    アシル基、脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環
    基を表し、またはRaとRb、RcとRd、RaとRc
    或いはRbとRdの間で結合して含窒素複素環基を形成
    することができる。M31は分子内の電荷を相殺するに必
    要なイオンを表し、k31は分子内の電荷を相殺するに
    必要なイオンの数を表す。)
  2. 【請求項2】 支持体上に、ハロゲン化銀乳剤及びバイ
    ンダーを含有する少なくとも一層の感光層を塗設してな
    るハロゲン化銀感光材料において、該感光層が一般式
    (1)で表される化合物の少なくとも1種とヘテロ原子
    を有する大環状化合物を含有することを特徴とするハロ
    ゲン化銀感光材料。
  3. 【請求項3】 支持体上に、有機銀塩、ハロゲン化銀乳
    剤及びバインダーを含有する少なくとも一層の感光層を
    塗設してなる熱現像感光材料において、該感光層が一般
    式(1)で表される化合物の少なくとも1種とヘテロ原
    子を有する大環状化合物を含有することを特徴とする熱
    現像感光材料。
  4. 【請求項4】 バインダーのガラス転移温度Tgが、7
    0〜105℃であることを特徴とする請求項3に記載の
    熱現像感光材料。
  5. 【請求項5】 バインダーが、実質的にアセトアセター
    ル構造を有するポリビニルアセタールであることを特徴
    とする請求項3または4に記載の熱現像感光材料。
  6. 【請求項6】 感光層が感光極大波長が600nm以上
    の増感色素を含有することを特徴とする請求項3〜5の
    いずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  7. 【請求項7】 感光層が一般式(2)、(3)、(4)
    または(5)で表される少なくとも一種の増感色素を含
    有することを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材
    料。 【化2】 (一般式(2)及び(3)において、Y1、Y2及びY11
    は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子または−C
    H=CH−基を表し、L1〜L9、L11〜L15は各々、メ
    チン基を表す。R1、R2、R11及びR12は各々、脂肪族
    基を表し、R3、R4、R13及びR14は各々、アルケニル
    基、環状アルキル基または複素環基を表す。W1、W2
    3、W4、W11、W12、W13及びW14は各々、水素原
    子、置換基、或いはW1とW2、W3とW4、W11とW12
    13とW14の間で結合して縮合環を形成するのに必要な
    非金属原子群を表す。X1及びX11は各々、分子内の電
    荷を相殺するに必要なイオンを表し、k1及びk11は
    各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表
    す。m1は0または1を表し、n1、n11及びn12
    は各々、0、1または2を表す。但し、n11とn12
    は同時に0とはならない。) 【化3】 (一般式(4)及び(5)に於て、Y21、Y22及びY31
    は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−C(R
    a)(Rb)−基、または−CH=CH−基を表し、
    21、R22、R31及びR32は各々脂肪族基であり、Rc
    及びRdは各々、低級アルキル基、シクロアルキル基、
    アラルキル基、アリール基、複素環基を表す。W 21、W
    22、W23、W24、W31、W32、W33及びW34は各々、水
    素原子、置換基、或いはW21はW22と、W23はW24と、
    31はW32と、W33はW34との間で結合して縮合環を形
    成するに必要な非金属原子群を表す。V21〜V29、V31
    〜V33は各々、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ア
    ルキルチオ基、アリールチオ基、低級アルキル基、低級
    アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環
    基を表し、或いはV21はV23と、V22はV24と、V23
    25と、V24はV26と、V25はV27と、V26はV28と、
    27はV29と、V31はV33との間で結合して5員〜7員
    の環を形成するに必要な非金属原子群を表し、X21及び
    31は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを
    表し、l21及びl31は各々、分子内の電荷を相殺す
    るに必要なイオンの数を表す。k21及びk22は各
    々、0または1を表す。n21、n22、n31及びn
    32は各々、0〜2の整数を表し、n21とn22及び
    n31とn32が同時に0になることはない。)
  8. 【請求項8】 有機銀塩とは独立に形成されたハロゲン
    化銀に、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1
    種、ヘテロ原子を有する大環状化合物、及び一般式
    (2)、(3)、(4)または(5)で表される少なく
    とも一種の増感色素を含有することを特徴とするハロゲ
    ン化銀乳剤。
  9. 【請求項9】 支持体上に、有機銀塩、請求項8に記載
    のハロゲン化銀乳剤及びバインダーを含有することを特
    徴とする熱現像感光材料。
  10. 【請求項10】 請求項3〜7、9のいずれか1項に記
    載の熱現像感光材料に、走査レーザー光が縦マルチであ
    るレーザー走査露光機による露光を行うことを特徴とす
    る画像記録方法。
  11. 【請求項11】 請求項3〜7、9のいずれか1項に記
    載の熱現像感光材料を、有機溶剤を40〜4500pp
    m含有している状態において熱現像することを特徴とす
    る画像形成方法。
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