JP2001329291A - ポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

ポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法

Info

Publication number
JP2001329291A
JP2001329291A JP2000150781A JP2000150781A JP2001329291A JP 2001329291 A JP2001329291 A JP 2001329291A JP 2000150781 A JP2000150781 A JP 2000150781A JP 2000150781 A JP2000150781 A JP 2000150781A JP 2001329291 A JP2001329291 A JP 2001329291A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
reaction
acid ester
polyalcohol
glycerin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000150781A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuteru Maruyama
一輝 丸山
Tomoaki Oguri
智昭 大栗
Takashi Baba
貴司 馬場
Shigeru Moriyama
茂 森山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maruha Nichiro Corp
Original Assignee
Maruha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maruha Corp filed Critical Maruha Corp
Priority to JP2000150781A priority Critical patent/JP2001329291A/ja
Publication of JP2001329291A publication Critical patent/JP2001329291A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 精製したグリセリン脂肪酸エステル中に酵素
由来のタンパク質不純物等が残存させることなく、保存
中の臭いの戻り、風味の低下等に起因する品質劣化を抑
え、化学触媒が持つ鋭敏な反応性と脂肪酸に対する非選
択的な性質に加え、第3級低級アルコールの有する独特
な溶媒特性を利用し、リパーゼ反応に匹敵する温和な条
件でありながら、極めて速やかなエステル交換を実現で
きる反応系を構築するポリアルコール脂肪酸エステルの
製造方法を得ることを目的とする。 【解決手段】 エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、グリセリンあるいはポリグリセリンより選ばれる
1種のポリアルコールと炭素数2〜22個の飽和あるい
は不飽和脂肪酸から構成されるグリセリドまたは炭素数
1〜4個の低級アルコールとの同脂肪酸エステルからな
る混合物に第3級アルコールの存在下において塩基性触
媒を作用させるポリアルコール脂肪酸エステルの製造方
法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアルコール脂肪酸エ
ステルの製造方法、さらに詳しくはポリアルコールとグ
リセリドまたは低級アルコールとの脂肪酸エステルから
なる混合物に第3級アルコールを加え、さらに塩基性触
媒を用いることにより常温付近の温和な反応条件下で短
時間の反応で品質のよいポリアルコール脂肪酸エステル
を高い合成率で製造する方法(グリセロリシス反応)に
関する。
【0002】
【従来の技術】これまでポリアルコール類の脂肪酸エス
テルの製造方法は、化学的な製法が様々提案されている
が、工業的な製法として実用化されているのはエステル
化またはアルコリシスのいずれかの方法である。エステ
ル化は脂肪酸に対し、アルコリシスは脂肪酸エステルに
対し、ポリアルコールを過剰に加え、化学触媒の存在下
に200〜250℃まで加熱する条件を採用し、ポリア
ルコール脂肪酸エステルが製造されている。また、近
年、常温、常圧下の温和な条件で反応が進行するリパー
ゼによる方法でも多くの製造例が報告されている。
【0003】さらに、ポリアルコール脂肪酸エステルの
なかでもグリセリン脂肪酸エステルの製造法については
グリセリンと脂肪酸および脂肪酸メチルエステルあるい
は油脂(トリグリセリドを主成分とするグリセリド)と
グリセリンを高温、化学触媒の存在下においてエステル
化あるいはエステル交換させる手法が用いられている。
この反応でも200〜250℃の苛酷な条件が採用され
るため、不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂の場合、
酸化的劣化が著しく、とりわけ高度不飽和脂肪酸を含有
する油脂の場合には、この反応はまったく応用できな
い。グリセリン脂肪酸エステルの製造に応用されるリパ
ーゼによる方法は、シュードモナス属のリパーゼを用い
て常温付近の温度帯から段階的に0〜8℃まで冷却する
ことを特徴とする、いわば熱履歴の優れたオレイン酸モ
ノグリセリド(純度93.7%)の製造法が報告されてい
る。
【0004】しかしながら、この方法では酵素使用量が
極めて多く、反応時間も120時間〜12日間と長時間
にわたってしまい、低温ではあるものの、反応基質が固
形物を形成することもあり、反応後の酵素あるいはグリ
セリン除去等の実工程上における製造効率および操作性
が決してよいとはいえず、大量生産に適した製法を構築
しにくいという欠点があった。
【0005】さらに、高度不飽和脂肪酸を多く含む油脂
を用いた場合、リパーゼの持つ脂肪酸特異性が発現して
しまい、モノグリセリドへの変換率が上昇せず、モノグ
リセリド含量が蓄積しないとともに、部分グリセリド画
分に目的とする高度不飽和脂肪酸、なかでもDHAが移
行されにくいという決定的な欠点が確認されていた(特
開平6-253873、特開平9-268299参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これまで、常温付近で
反応できるポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法
は、アクロモバクター属あるいはアルカリゲネス属の微
生物が産生するリパーゼ(粉末)を用い、グリセリンと
グリセリドあるいは脂肪酸エステルに対し、両親和性溶
媒でありながら、それ自体は反応基質として作用しない
第3級アルコールを加え、均一な反応系を作り出し、反
応基質の粘度を低減することにより、エステル交換効率
を高めた製造方法が開発されている(特公平5-5219
1)。
【0007】この方法によれば、30〜40℃の温度条
件で24時間振盪反応することにより、オレイン酸モノ
グリセリドを65〜70%の高純度で製造することに成
功している。しかし、その実施例に記載された方法では
グリセリンと脂肪酸あるいはメチルオレート混液に対
し、5倍量(容量)以上のターシャル-ブチルアルコー
ルを添加し、酵素使用量に至っては10%(重量)に相
当する多量なリパーゼ(粉末)を加えた反応系が例示さ
れている。また、油脂に対して親和性を示すリパーゼ
は、一度添加した油脂から常温付近の温和な除蛋処理で
完全に回収、除去することは不可能であり、その結果、
精製したグリセリン脂肪酸エステル中には酵素由来のタ
ンパク質不純物等が残存してしまい、保存中の臭いの戻
り、風味の低下等に起因する品質劣化が容易に類推され
る。
【0008】そこで本発明者らは、上記の事情に鑑み、
化学触媒が持つ鋭敏な反応性と脂肪酸に対する非選択的
な性質に加え、第3級低級アルコールの有する独特な溶
媒特性を利用し、リパーゼ反応に匹敵する温和な条件で
ありながら、極めて速やかなエステル交換を実現できる
反応系を構築するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1の発明は、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリンあるいはポリグリセリンより選ばれる1
種のポリアルコールと炭素数2〜22個の飽和あるいは
不飽和脂肪酸から構成されるグリセリドまたは炭素数1
〜4個の低級アルコールとの同脂肪酸エステルからなる
混合物に第3級アルコールの存在下において塩基性触媒
を作用させることを特徴とするポリアルコール脂肪酸エ
ステルの製造方法である。
【0010】本発明に用いられるポリアルコールは、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン
あるいはポリグリセリンより選ばれる。本発明に用いら
れる油脂(トリグリセリドを主成分とするグリセリド)
あるいは脂肪酸エステルは、炭素数2〜22の飽和ある
いは不飽和脂肪酸を含有し、天然または非天然の脂肪酸
であり、とくに天然に存在する動植物由来の脂肪酸を含
むものが好ましく使用できる。
【0011】また、置換基を持つ脂肪酸では水酸基、カ
ルボキシル基あるいはフェニル基を有する飽和あるいは
不飽和脂肪酸も使用できるが、とくに水酸基を有する脂
肪酸では例えば、リシノレイン酸、ジヒドロキシステア
リン酸等を含むものが挙げられる。
【0012】また、本発明の方法では、とくに酸化に対
し不安定な高度不飽和脂肪酸を含む油脂を基質とする反
応に利点が発揮されるが、そのような天然油脂として、
n-3系高度不飽和脂肪酸を豊富に含むものでは魚油、
例えばマグロもしくはカツオの頭部もしくは眼窩から抽
出されるもの、またはイワシ、サバ、サンマもしくはア
ジの全魚体から抽出されるもの、またはイカもしくはタ
ラの肝臓から抽出したものを原料としたものが挙げられ
る。n-6系を多く含むものでは、モルティエレラ属糸状
菌が生産する油脂から抽出したもの、また、植物油由来
のものではボラージ油、月見草油を原料とした油脂が挙
げられる。本発明におけるn-3系高度不飽和脂肪酸と
は、少なくとも3〜6個の二重結合を有する脂肪酸であ
って、鎖式構造のメチル基末端から3番目の位置より二
重結合が始まっている脂肪酸をいい、たとえばエイコサ
ペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DH
A)等が挙げられる。これに対して、n-6系高度不飽和
脂肪酸は、少なくとも3〜5個の二重結合を有する脂肪
酸であって、鎖式構造のメチル基末端から6番目の位置
から二重結合が始まっている脂肪酸をいい、たとえば、
γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン
酸、ドコサペンタエン酸等が挙げられる。本発明は上記
の脂肪酸から構成されるグリセリドおよび脂肪酸エステ
ルの選択においてとくに制限されるものではない。
【0013】また、脂肪酸エステルを構成するアルコー
ルについては炭素数1〜4個の低級アルコールが好まし
く、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール、グリセリン等が挙げられ、これらの脂肪酸
エステルの具体例としては例えば、メチルパルミテー
ト、エチルオレート、プロピルエイコサペンタエノエー
ト、ブチルドコサヘキサエノエート等が挙げられる。
【0014】上記の原料油脂はそのまま用いてもよい
が、特定の脂肪酸含量を高めるために、クロマトグラフ
ィーによる方法、液-液分配による方法、低温溶剤分別
結晶化法、尿素付加による方法、二重結合への付加物に
よる方法、分子蒸留による方法、酵素を用いた方法等、
さらにはこれらの方法を組み合わせて所望の濃度に特定
の脂肪酸を濃縮したグリセリドあるいは脂肪酸エステル
を用いてもよい。
【0015】特許を受けようとする第2発明は、第3級
アルコールが、ターシャル-ブチルアルコールである請
求項1に記載のポリアルコール脂肪酸エステルの製造方
法である。
【0016】ポリアルコールとグリセリド、あるいは脂
肪酸エステルの両基質を互いに溶解するため、炭素数4
個までの低級アルコールを融点以上の温度帯で任意な量
を加えることにより、均一な反応系を形成し易くでき
る。この溶媒自身がエステル交換の反応基質とならない
ために3個のメチル基に取り囲まれた特異な位置に水酸
基を有し、水酸基の反応性が立体障害された分子構造を
なす第3級アルコール、なかでもターシャル-ブチルア
ルコールの使用が好ましい。反応基質と等量程度添加し
て使用することにより、グリセロリシス反応を効率化で
き、特公平5-52191の実施例に示されている反応基質の
5倍量(容量)以上に多量な添加を必要としない。
【0017】具体的には0.1倍量(重量)以上あれば反
応を進めることが可能であり、好ましくは0.35倍量
(重量)以上あればよい。0.35倍量(重量)程度以
下のターシャル-ブチルアルコール量の場合、反応開始
直後では不均一系をなすが、時間の経過によりポリアル
コールが消費され、代わってポリアルコール脂肪酸エス
テルが生成するにつれて、次第に均一系が形成されてい
く。その結果、反応効率が急速に高まるという特徴があ
る。このような反応機構によって、本発明では第3級ア
ルコールの使用量を大幅に節約できることを見出した。
【0018】特許を受けようとする第3発明は、塩基性
触媒が、ナトリウムアルコキシドあるいはカリウムアル
コキシドである請求項1及び請求項2に記載のポリアル
コール脂肪酸エステルの製造方法である。
【0019】特許を受けようとする第4発明は、塩基性
触媒であるナトリウムアルコキシドあるいはカリウムア
ルコキシドが、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキ
シド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナ
トリウム-ターシャル-ブトキシド、カリウム-ターシャ
ル-ブトキシドから選ばれる請求項1又は請求項3に記
載のポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法である。
【0020】すなわち、上記の第3発明及び第4発明に
用いられる塩基性触媒では、ナトリウムメトキシド(CH
3ONa)、カリウムメトキシド(CH3OK)、ナトリウムエ
トキシド(C2H5ONa)、カリウムエトキシド(C2H5O
K)、ナトリウム-ターシャル-ブトキシド((CH3)3ON
a)、カリウム-ターシャル-ブトキシド((CH3)3OK)等
のナトリウムあるいはカリウムアルコキシドのから選ば
れる触媒が好ましく、これらは水溶性であることから反
応終了後、水洗により油脂から容易に除去できるという
利点がある。
【0021】また、化学触媒を用いた反応では一般的に
60℃以上の高温下で行なう場合多いが、EPA、DH
A等の高度不飽和脂肪酸を含む油脂あるいは脂肪酸エス
テルの場合、常圧下、50℃以上の条件では反応中に脂
質酸化が迅速に進行してしまい、過酸化物の生成、臭
い、着色等による品質劣化が著しく、そのため、常温付
近で反応できるリパーゼを用いた方法が利用されてい
た。本発明の反応系では高温条件を採用すれば、反応効
率は高まるものの、精製・分画後のポリアルコール脂肪
酸エステルは品質上の観点からは好ましいものを得るこ
とはできない。
【0022】本反応の特徴の一つとして30℃付近の酵
素反応並みの温度条件を採用でき、そのような条件でも
反応性をほとんど低下させることなく、とくに高度不飽
和脂肪酸を含有するポリアルコール脂肪酸エステルにつ
いて、他のどの方法よりも効率よく品質の優れたものを
製造できることが挙げられる。したがって、本発明の反
応温度は30〜40℃程度に留めて置くことが好まし
く、その場合でも合成率あるいは反応効率を何ら損ねる
ものではない。
【0023】本発明の反応はそのまま静置しても進行す
るが、反応をより迅速に促進させるために、反応基質同
士の接触および反応基質と触媒間の接触効率を高めるこ
とが有効な手段である。たとえば、バッチ式による攪拌
あるいは振盪による方法が簡便であり、ヘッドスペース
を不活性ガス置換することも可能であり、最も採用しや
すい方法であるが、その他、接触効率が高められる方法
であれば、何ら制限されるものではない。
【0024】本発明のポリアルコールとグリセリドまた
は脂肪酸エステルとの混合比や第3級アルコールの使用
量、触媒使用量、その他の諸条件は目的とするポリアル
コール脂肪酸エステルの種類によって適宜選択すればよ
く、求められるレベルの品質を考慮し、それにより反応
温度を設定した上で反応効率および操作のしやすい条件
を採用すればよい。
【0025】得られたポリアルコール脂肪酸エステル反
応物から特定の成分を分画精製するためには、通常行わ
れているクロマトグラフィーによる方法、分子蒸留によ
る方法等を用いて行うことができる。
【0026】
【実施例】以下、具体的な実施例を示しながらポリアル
コール脂肪酸エステル、なかでもグリセリン脂肪酸エス
テルを生成する反応について説明する。
【0027】
【実施例1】(第3級アルコールの添加比によるグリセ
ロリシス反応への影響)EPA濃縮魚油(EPA-28;マル
ハ株式会社製)とグリセリンのモル比を1:3に混合し
た反応基質に下記に示したようにターシャル-ブチルア
ルコール(t-BuOH)を加え、全体量が20gになるよう
に調製した反応混液(表1)にナトリウムメチラート試
薬(28%メタノール溶液;和光純薬工業株式会社製)
0.18mlを加えた反応混液を50mlバイアル中で40
℃において4時間まで攪拌反応を行った(500rpm)。反
応終了後、飽和食塩水100mlを加えることにより反応
を停止し、油層の脂質組成についてイアトロスキャン
(TH-10;株式会社ヤトロン)を用いて分析した。その
結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】反応基質に対して等量以下のターシャル−
ブチルアルコールの使用においても4時間の反応でモノ
グリセリド含量56〜71%のグリセリン脂肪酸エステ
ルを製造することができた。
【0031】
【実施例2】(塩基性触媒の添加量によるグリセロリシ
ス反応への影響)EPA濃縮魚油(EPA-28;マルハ株式
会社製)とグリセリンのモル比を1:3に混合した反応
基質12gにターシャル-ブチルアルコール(t-BuOH)
8gを加えた反応混液にナトリウムメチラート試薬(和
光純薬工業株式会社製)を下記に示したように加えた反
応混液(表3)を50mlバイアル中で40℃において4
時間まで攪拌反応を行った(500rpm)。反応終了後、飽
和食塩水100mlを加えることにより反応を停止し、油
層の脂質組成についてイアトロスキャン(TH-10;株式
会社ヤトロン)を用いて分析した。その結果を表4に示
す。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】ナトリウムメチラート使用量を0.045
mlと低減しても4時間の反応でモノグリセリド含量60
%のグリセリン脂肪酸エステルを製造することができ
た。また、ナトリウムメチラート使用量が0.09mlの
とき、モノグリセリド含量を76%まで高めることがで
きたため、最適触媒量を0.09mlと決定した。
【0035】
【実施例3】(塩基性触媒の種類によるグリセロリシス
反応への影響)EPA濃縮魚油(EPA-28;マルハ株式会
社製)とグリセリンのモル比を1:3に混合した反応基
質12gにターシャル-ブチルアルコール(t-BuOH)8
gを加えた反応混液に塩基性試薬(和光純薬工業株式会
社製)を下記(表5)に示したように加えた反応混液を
50mlバイアル中で40℃において4時間まで攪拌反応
を行った(500rpm)。反応終了後、飽和食塩水100ml
を加えることにより反応を停止し、油層の脂質組成につ
いてイアトロスキャン(TH-10;株式会社ヤトロン)を
用いて分析した。その結果を表6に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】塩基性触媒の種類に関わらず4時間の反応
でモノグリセリド含量71〜75%のグリセリン脂肪酸
エステルを製造することができた。
【0039】
【実施例4】(原料油脂の種類によるグリセロリシス反
応への影響)下記に示した大豆油(和光純薬工業株式会
社製)あるいは魚油(マルハ株式会社製)(表7)とグ
リセリンのモル比を1:3に混合した反応基質12gに
ターシャル-ブチルアルコール(t-BuOH)8gを加えた
反応混液にナトリウム-ターシャル-ブチラート(和光純
薬工業株式会社製)89mgを加えた反応混液を50ml
バイアル中で40℃において4時間まで攪拌反応を行った
(500rpm)。反応終了後、飽和食塩水100mlを加えるこ
とにより反応を停止し、油層の脂質組成についてイアト
ロスキャン(TH-10;株式会社ヤトロン)を用いて分析
した。その結果を表8に示す。
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】魚油原料の場合、構成脂肪酸の種類に関わ
らず、4時間の反応でモノグリセリド 含量72〜75
%のグリセリン脂肪酸エステルを製造することができ
た。しかしながら、リノール酸を主成分とする大豆油で
は4時間反応しても65%含量に留まった。このことか
ら、本発明の方法は本来、反応性が劣ると考えられてい
た高度不飽和脂肪酸含有油脂に対して、よりモノグリセ
リド含量を高めることができるという驚くべき事実を突
き止めた。
【0043】実施例5(反応温度によるグリセロリシス
への影響) EPA濃縮魚油(EPA-28;マルハ株式会社製)とグリセ
リンのモル比を1:3に混合した反応基質12gにター
シャル−ブチルアルコール(t-BuOH)8gを加えた反応
混液にナトリウム−ターシャル−ブチラート(和光純薬
工業株式会社製)89mgを加えた反応混液を50mlバイ
アル中で30℃〜40℃の範囲の温度帯(表9)におい
て4時間まで攪拌反応を行った(500rpm)。反応終了後、
飽和食塩水100mlを加えることにより反応を停止し、
油層の脂質組成についてイアトロスキャン(TH‐10;株
式会社ヤトロン)を用いて分析した。その結果を表10
に示す。
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】反応温度が低い場合、初期の変換速度が幾
分遅いが、4時間の反応ですべての温度帯においてもモ
ノグリセリド含量73%以上のグリセリン脂肪酸エステ
ルを製造することができた。
【0047】
【実施例6】(脂肪酸エステルを用いたグリセロリシス
反応)イワシ油より常法に従って調製した脂肪酸エチル
エステル(EPA31.8%およびDHA17.0%含有)とグリセリ
ンのモル比を1:1に混合した反応基質18.4gにター
シャル-ブチルアルコール(t-BuOH)18.4gを加え
た反応混液にナトリウムメチラート(和光純薬工業株式
会社製)0.09mlを加えた反応混液を50mlバイアル
中で40℃において6時間まで攪拌反応を行った(500r
pm)。反応終了後、飽和食塩水100mlを加えることに
より反応を停止し、油層の脂質組成についてイアトロス
キャン(TH-10;株式会社ヤトロン)を用いて分析し
た。その結果を表11に示す。
【0048】
【表11】
【0049】6時間反応後、未反応の脂肪酸エチルエス
テルは29%程度含まれているが、モノグリセリド含量
を66%まで高めることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 貴司 茨城県つくば市和台16―2 マルハ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 森山 茂 茨城県つくば市和台16―2 マルハ株式会 社中央研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 BA02 BA45 BA50 BA69 BB14 BC10 BC19 BC31 BC34 BU10 KA06 4H039 CA66 CL25 4H059 BA12 BA13 BA30 BA33 BA34 BB02 BB03 BC06 BC13 CA36 EA17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレングリコール、プロピレングリコ
    ール、グリセリンあるいはポリグリセリンより選ばれる
    1種のポリアルコールと炭素数2〜22個の飽和あるい
    は不飽和脂肪酸から構成されるグリセリドまたは炭素数
    1〜4個の低級アルコールとの同脂肪酸エステルからな
    る混合物に第3級アルコールの存在下において塩基性触
    媒を作用させることを特徴とするポリアルコール脂肪酸
    エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 第3級アルコールが、ターシャル-ブチ
    ルアルコールである請求項1記載のポリアルコール脂肪
    酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 塩基性触媒が、ナトリウムアルコキシド
    あるいはカリウムアルコキシドである請求項1及び請求
    項2に記載のポリアルコール脂肪酸エステルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 塩基性触媒であるナトリウムアルコキシ
    ドあるいはカリウムアルコキシドが、ナトリウムメトキ
    シド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カ
    リウムエトキシド、ナトリウム-ターシャル-ブトキシ
    ド、カリウム-ターシャル-ブトキシドから選ばれる請求
    項1又は請求項3に記載のポリアルコール脂肪酸エステ
    ルの製造方法。
JP2000150781A 2000-05-23 2000-05-23 ポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法 Pending JP2001329291A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000150781A JP2001329291A (ja) 2000-05-23 2000-05-23 ポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000150781A JP2001329291A (ja) 2000-05-23 2000-05-23 ポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001329291A true JP2001329291A (ja) 2001-11-27

Family

ID=18656427

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000150781A Pending JP2001329291A (ja) 2000-05-23 2000-05-23 ポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001329291A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105294432A (zh) * 2015-09-18 2016-02-03 四川泸天化股份有限公司 一种无溶剂常压合成乙二醇硬脂酸双酯的方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR1102073A (fr) * 1953-09-23 1955-10-17 Heritiers De Eugene Cusinberch Procédé de fabrication d'esters partiels de polyalcools, à haute teneur en monoesters
US2789119A (en) * 1954-02-09 1957-04-16 Boake Roberts & Co Ltd Production of fatty acid monoglycerides
JPS6366151A (ja) * 1986-07-23 1988-03-24 ユニリ−バ− ナ−ムロ−ゼ ベンノ−トシヤ−プ ポリオ−ル脂肪酸ポリエステルの製造方法
JPH01268663A (ja) * 1988-04-21 1989-10-26 Lion Corp モノグリセリドの製造方法
JPH03103499A (ja) * 1989-09-14 1991-04-30 Meito Sangyo Kk 高度不飽和脂肪酸モノグリセリドの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR1102073A (fr) * 1953-09-23 1955-10-17 Heritiers De Eugene Cusinberch Procédé de fabrication d'esters partiels de polyalcools, à haute teneur en monoesters
US2789119A (en) * 1954-02-09 1957-04-16 Boake Roberts & Co Ltd Production of fatty acid monoglycerides
JPS6366151A (ja) * 1986-07-23 1988-03-24 ユニリ−バ− ナ−ムロ−ゼ ベンノ−トシヤ−プ ポリオ−ル脂肪酸ポリエステルの製造方法
JPS63119493A (ja) * 1986-07-23 1988-05-24 ユニリ−バ− ナ−ムロ−ゼ ベンノ−トシヤ−プ ポリオ−ル脂肪酸部分エステルの製造方法
JPH01268663A (ja) * 1988-04-21 1989-10-26 Lion Corp モノグリセリドの製造方法
JPH03103499A (ja) * 1989-09-14 1991-04-30 Meito Sangyo Kk 高度不飽和脂肪酸モノグリセリドの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105294432A (zh) * 2015-09-18 2016-02-03 四川泸天化股份有限公司 一种无溶剂常压合成乙二醇硬脂酸双酯的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5111363B2 (ja) 高度不飽和脂肪酸濃縮油の製造方法
EP1560803B1 (en) Lipase-catalysed esterification of marine oil
JP4530311B2 (ja) リパーゼを用いたグリセライドの製造方法
US9556401B2 (en) Method for producing EPA-enriched oil and DHA-enriched oil
EP2585570B1 (en) Process for separating polyunsaturated fatty acids from long chain unsaturated or less saturated fatty acids
JP4290162B2 (ja) 対称型トリグリセリドの製造方法
CA2609341C (en) Concentration of fatty acid alkyl esters by enzymatic reactions with glycerol
JP3970669B2 (ja) 共役脂肪酸含有モノグリセリドおよびその製造方法
Myrnes et al. Solvent‐free enzymatic glycerolysis of marine oils
JP3840459B2 (ja) グリセリドおよびその製造方法
JP5237627B2 (ja) 高度不飽和脂肪酸の濃縮方法
JP4310387B2 (ja) ω−3系高度不飽和脂肪酸含有部分グリセリド組成物及びその製造方法
JP4335196B2 (ja) 共役脂肪酸含有モノグリセリドおよびその製造方法
JP2001329291A (ja) ポリアルコール脂肪酸エステルの製造方法
Watanabe et al. Production of MAG of CLA in a solvent‐free system at low temperature with Candida rugosa lipase
JPH08214891A (ja) 高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリドを含む油脂の製造方法
JP2000270885A (ja) 高度不飽和脂肪酸を含有する構造油脂の製造方法
JP3861941B2 (ja) 水和性を高めた高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物
JP3880095B2 (ja) 高度不飽和脂肪酸の精製方法
Yamaguchi et al. Modification of fish oil by lipozyme TL IM to produce structured lipid
JP3734905B2 (ja) ω−3系高度不飽和脂肪酸の精製方法
JP2008278781A (ja) 2位よりも1,3位のdha含有率が高いトリアシルグリセロールの製造方法
LIPOZYME et al. Department zyxwvutsrqpon
JP2008220236A (ja) 中鎖および長鎖脂肪酸モノグリセリドの製造方法
JP2002146387A (ja) 高度不飽和脂肪酸高含有グリセリドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20001003

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100427

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100624

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110104

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110524