JP2001328957A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法

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JP2001328957A JP2001058268A JP2001058268A JP2001328957A JP 2001328957 A JP2001328957 A JP 2001328957A JP 2001058268 A JP2001058268 A JP 2001058268A JP 2001058268 A JP2001058268 A JP 2001058268A JP 2001328957 A JP2001328957 A JP 2001328957A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸留と膜分離を組み合せることにより、蒸留
塔の塔高を低くしても効率よく脂肪族カルボン酸を、反
応に不要な水およびアルコール等の副生物から効率よく
分離して回収することができ、排水処理も容易な芳香族
カルボン酸の製造方法を得る。 【解決手段】 酸化反応器1中で脂肪族カルボン酸を含
む反応溶媒中、酸化触媒の存在下、アルキル芳香族化合
物を酸素含有ガスで液相酸化して高温高圧下で芳香族カ
ルボン酸を生成させる酸化排ガスを蒸留塔2に導入して
蒸留を行い、反応溶媒を含む留分を酸化反応器1に還流
し、蒸留塔2から出る排ガスを凝縮器3で冷却して凝縮
水を生成させ、凝縮水を膜分離装置8で膜分離して水お
よびメタノールを透過液側15に透過させ、脂肪族カル
ボン酸を濃縮液側14に濃縮して回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキル置換基ま
たは一部酸化したアルキル置換基を含有するアルキル芳
香族化合物を酸素含有ガスにより液相酸化して芳香族カ
ルボン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族カルボン酸類は基礎化学品として
重要であり、特に芳香族ジカルボン酸は繊維、樹脂等の
原料として有用である。例えば、テレフタル酸はポリエ
ステル原料として、近年その需要が増大している。芳香
族カルボン酸の製造方法としては、一般に酸化反応器に
おいて、重金属化合物および臭素化合物を触媒とし、酢
酸等の低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、アル
キル置換芳香族化合物を分子状酸素含有ガスと接触させ
て液相酸化する方法が採用されている。このような製造
方法では、酸化反応器に、原料としてパラキシレン等の
アルキル置換芳香族化合物、溶媒の酢酸および触媒の混
合物、ならびに空気等の酸素含有ガスを導入して酸化反
応を行い、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸を生成さ
せている。
【0003】酸化反応器から排出される酸化排ガスには
溶媒や触媒等が同伴するので、これを回収して再使用す
るために、酸化排ガスを酸化排ガス凝縮器で凝縮した凝
縮液を蒸留塔に導入して蒸留を行い、反応溶媒を含む留
分を酸化反応器に還流する方法がある。また反応槽の上
部に連絡する蒸留塔を設け、酸化排ガスの熱を利用して
蒸留を行って溶媒を回収し酸化反応槽に還流させる方法
がある(特公昭54−14098号、特開平6−279
353号)。この方法では蒸留塔から出る排出ガスを凝
縮器において冷却水で冷却して排ガス中の水蒸気を凝縮
させ、凝縮水を蒸留塔に還流して蒸留に使用している。
【0004】このように酸化排ガスまたはその凝縮液を
蒸留する方法においては、酢酸と水またはアルコールの
沸点が近いため、蒸留塔で酢酸等の溶媒を完全に水また
はアルコールから分離して回収するためには蒸留塔の塔
高を高くする必要があり、塔高を低くすると一部の溶媒
が凝縮水側に移行する。上記酸化反応では水が生成する
ため凝縮水の一部は系外に排出する必要があり、排水中
に溶媒その他の成分が流出するため、その処理も困難で
ある。
【0005】また酸化反応で生成する酢酸メチル等の脂
肪族カルボン酸エステルを洗浄水に吸収させて回収し、
これをイオン交換樹脂を触媒として加水分解し、酢酸等
の脂肪族カルボン酸を溶媒として回収することも提案さ
れているが、加水分解による脂肪族カルボン酸とアルコ
ールの分離も困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、蒸留
塔の塔高を低くしても効率よく脂肪族カルボン酸を、反
応に不要な水およびアルコール等の副生物から効率よく
分離して回収することができ、排水処理も容易な芳香族
カルボン酸の製造方法を提案することである。本発明の
他の課題は、反応系に生成する脂肪族カルボン酸エステ
ルを効率よく加水分解して有用物を回収することができ
る芳香族カルボン酸の製造方法を提案することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は次の芳香族カル
ボン酸の製造方法である。 (1) 酸化反応器中で脂肪族カルボン酸を含む反応溶
媒中、酸化触媒の存在下、アルキル芳香族化合物を酸素
含有ガスで液相酸化して高温高圧下で芳香族カルボン酸
を生成させる方法において、酸化反応により生成する水
およびアルコールを膜分離により除去しながら反応を行
う芳香族カルボン酸の製造方法。 (2) 酸化反応器中で脂肪族カルボン酸を含む反応溶
媒中、酸化触媒の存在下、アルキル芳香族化合物を酸素
含有ガスで液相酸化して高温高圧下で芳香族カルボン酸
を生成させる酸化工程、酸化反応器から酸化排ガス、ま
たは酸化排ガスを酸化排ガス凝縮器で凝縮した凝縮液を
蒸留塔に導入して蒸留を行い、反応溶媒を含む留分を酸
化反応器に還流する蒸留工程、蒸留塔から出る塔頂ガス
を凝縮器で冷却して凝縮水を生成させる凝縮工程、なら
びに凝縮水を膜分離して水およびアルコールを透過液側
に透過させ、脂肪族カルボン酸を濃縮液側に濃縮して回
収する膜分離工程を含む上記(1)記載の方法。 (3) 凝縮工程から出る排ガスを洗浄液と接触させて
脂肪族カルボン酸エステルを吸収させ、吸収液を膜分離
工程に供給する吸収工程を含む上記(2)記載の方法。 (4) 酸化排ガス凝縮器から出る排ガスを洗浄液と接
触させて脂肪族カルボン酸エステルを吸収させ、吸収液
を蒸留工程に供給する吸収工程を含む上記(2)記載の
方法。 (5) 凝縮水、吸収液、これらを膜分離した透過液ま
たは濃縮液を加水分解触媒と接触させて脂肪族カルボン
酸エステルを加水分解し、加水分解液を膜分離工程に供
給する加水分解工程を含む上記(2)ないし(4)のい
ずれかに記載の方法。 (6) 膜分離工程は逆浸透膜により膜分離を行う上記
(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。 (7) 加水分解触媒はイオン交換樹脂である上記
(5)または(6)に記載の方法。 (8) 凝縮水の全部または一部を膜分離し、濃縮液を
蒸留工程に還流する上記(1)ないし(7)のいずれか
に記載の方法。 (9) 膜分離工程は複数段行われる上記(1)ないし
(8)のいずれかに記載の方法。
【0008】本発明では酸化反応により生成する水およ
びアルコールを膜分離により除去しながら反応を行う。
この場合、溶媒として用いられる酢酸等の脂肪族カルボ
ン酸を、生成する水およびアルコール等の不要成分から
効率よく分離するために蒸留工程と膜分離工程を組み合
わせるのが好ましい。蒸留のみで上記の分離を行うと、
前述のように塔高を高くする必要があり、また膜分離の
みで分離を行うと、分離効率が悪く、多段の膜分離装置
が必要となるが、塔高の低い蒸留塔で、脂肪族カルボン
酸の大部分を分離し、低濃度の液について膜分離で残部
を分離すると、小規模の装置で効率よく分離を行うこと
が可能になる。
【0009】本発明の方法において芳香族カルボン酸を
製造するための酸化原料としては、アルキル置換基また
は一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物
(以下、単に酸化原料という場合がある)が使用でき
る。このような芳香族化合物は単環であっても、多環で
あってもよい。上記アルキル置換基としては、例えばメ
チル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル
基等の炭素数1〜4のアルキル基をあげることができ
る。また一部酸化したアルキル基としては、例えばアル
デヒド基、アシル基、カルボキシル基およびヒドロキシ
アルキル基等をあげることができる。
【0010】アルキル置換基を有する芳香族化合物、す
なわちアルキル置換芳香族炭化水素の具体的なものとし
ては、例えばm−ジイソプロピルベンゼン、p−ジイソ
プロピルベンゼン、m−シメン、p−シメン、m−キシ
レン、p−キシレン、トリメチルベンゼン類およびテト
ラメチルベンゼン類等の炭素数1〜4のアルキル基を2
〜4個有するジもしくはポリアルキルベンゼン類;ジメ
チルナフタレン類、ジエチルナフタレン類およびジイソ
プロピルナフタレン類等の炭素数1〜4のアルキル基を
2〜4個有するジもしくはポリアルキルナフタレン類;
ジメチルビフェニル類等の炭素数1〜4のアルキル基を
2〜4個有するポリアルキルビフェニル類などをあげる
ことができる。
【0011】また一部酸化したアルキル置換基を有する
芳香族化合物は、複数のアルキル基を有する芳香族化合
物における一部のアルキル基が酸化されて、前記アルデ
ヒド基、アシル基、カルボキシル基またはヒドロキシア
ルキル基等に酸化されている化合物である。具体的なも
のとしては、例えば3−メチルベンズアルデヒド、4−
メチルベンズアルデヒド、m−トルイル酸、p−トルイ
ル酸、3−ホルミル安息香酸、4−ホルミル安息香酸お
よび2−メチル−6−ホルミルナフタレン類等をあげる
ことができる。これらは単独で、または2種以上の混合
物として用いられる。
【0012】本発明の方法においては、重金属化合物お
よび臭素化合物が触媒として用いられるが、それらの化
合物としては次のようなものが例示される。すなわち、
重金属化合物における重金属としては、例えばコバル
ト、マンガン、ニッケル、クロム、ジルコニウム、銅、
鉛、ハフニウムおよびセリウム等をあげることができ
る。これらは単独で、または組み合せて用いることがで
きるが、特にコバルトとマンガンとを組み合せて用いる
のが好ましい。このような重金属の化合物としては、例
えば酢酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート塩、ナフテ
ン酸塩、ステアリン酸塩および臭化物等をあげることが
できるが、特に酢酸塩が好ましい。
【0013】臭素化合物としては、例えば分子状臭素、
臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化コバル
トおよび臭化マンガン等の無機臭素化合物;臭化メチ
ル、臭化メチレン、ブロモホルム、臭化ベンジル、ブロ
モメチルトルエン、ジブロモエタン、トリブロモエタン
およびテトラブロモエタン等の有機臭素化合物などをあ
げることができる。これらの臭素化合物も単独で、また
は2種以上の混合物として用いられる。
【0014】本発明において、上記重金属化合物と臭素
化合物との組合せからなる触媒は、重金属原子1モルに
対して臭素原子0.05〜10モル、好ましくは0.1
〜2モルの範囲からなるものが望ましい。このような触
媒は、反応溶媒中の重金属濃度として通常10〜100
00wt−ppm、好ましくは100〜5000wt−
ppmの範囲で用いられる。
【0015】本発明の方法では酸化工程として酸化反応
器において、前記触媒の存在下に、低級脂肪族カルボン
酸を含む反応溶媒中で、酸化原料となる芳香族化合物を
分子状酸素含有ガスによって液相酸化することにより、
製品としての芳香族カルボン酸を得る。
【0016】上記分子状酸素含有ガスとしては、例えば
酸素や空気等をあげることができるが、実用的には空気
が好ましく用いられる。分子状酸素含有ガスは酸化原料
となる芳香族化合物を芳香族カルボン酸に酸化するのに
必要な量より過剰に供給する。分子状酸素含有ガスとし
て空気を使用する場合、酸化原料となる芳香族化合物1
kgに対して2〜20Nm、好ましくは2.5〜15
Nmの割合で反応系に供給するのが望ましい。
【0017】反応溶媒として使用する低級脂肪族カルボ
ン酸の具体的なものとしては、例えば酢酸、プロピオン
酸および酪酸等をあげることができる。低級脂肪族カル
ボン酸は単独で反応溶媒として使用することもできる
し、水と混合して混合物の状態で反応溶媒として使用す
ることもできる。反応溶媒の具体的なものとしては、例
えば酢酸、プロピオン酸、酪酸およびこれらの混合物、
あるいはこれらの低級脂肪族カルボン酸と水との混合物
等をあげることができる。これらの中では、酢酸と水と
の混合物が好ましく、特に酢酸100重量部に対して水
1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部を混合した
混合物が望ましい。
【0018】酸化反応の温度は通常100〜250℃、
好ましくは150〜220℃の範囲が望ましい。また、
反応圧力は反応系を液相に保つことができる圧力以上で
あればよい。
【0019】このようにして反応させることにより、酸
化原料となる芳香族化合物に対応した芳香族カルボン酸
が得られる。芳香族カルボン酸の具体的なものとして
は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸等
の芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸等の芳香族ポ
リカルボン酸などがあげられる。
【0020】本発明の方法は、芳香族ジカルボン酸、ま
たは反応溶媒に不溶もしくは難溶性の芳香族カルボン酸
の製造に適用するのが好ましく、特にテレフタル酸の製
造に適用するのが好ましい。
【0021】生成するテレフタル酸等の芳香族カルボン
酸は結晶として析出し、スラリーとなるので、このスラ
リーを酸化反応槽から抜き出して固液分離により結晶を
回収することにより粗テレフタル酸等の粗生成物が得ら
れる。こうして得られた粗生成物の結晶中には酸化反応
中間体や不純物が同伴しており、粗生成物を溶解し、酸
化処理、還元処理等の精製工程を経てテレフタル酸等の
結晶を析出させると、結晶を含むスラリーが得られる。
このようなスラリーから結晶を回収すると、精製テレフ
タル酸等の精製物が得られる。
【0022】蒸留工程は酸化反応器の上部に連結した蒸
留塔(高圧蒸留塔)に酸化排ガスを導入し、酸化反応器
の発熱を利用して蒸留を行うのが好ましいが、酸化排ガ
スを酸化排ガス凝縮器で凝縮した凝縮液を蒸留塔(常圧
蒸留塔)に導入して蒸留を行ってもよい。いずれの場合
も反応溶媒を含む留分を塔底から酸化反応器に還流し、
水および非凝縮性のガスを含む塔頂ガスを塔頂から排出
する。蒸留塔としては特公昭54−14098号に示す
ように酸化反応器から独立したものでもよく、特開平6
−279353号に示すように酸化反応器の上部に設置
されるものでもよい。また蒸留塔は棚段塔でもよいが、
充填塔が好ましく、この場合芳香族カルボン酸の結晶の
ような微細固形物を捕集するための手段、例えば固形物
捕集トレイを充填層の下側に設けるものが好ましい。ま
た蒸留塔は複数の塔を連続的に設けて排出ガスを順次次
の塔で蒸留し、後段の留出液を順次前段に還流するよう
に構成し、緊急停止時には各塔の中間から留出液を系外
に抜き出し、酸化反応塔の反応液の濃度、温度が低下す
るのを防止するのが好ましい。
【0023】このような蒸留塔で酸化排ガス、または酸
化排ガスを酸化排ガス凝縮器で凝縮した凝縮液の蒸留を
行うことにより、酸化排ガスに伴って排出される反応溶
媒を含む留分が酸化反応器に還流する。この留分は反応
溶媒のほか未反応のアルキル芳香族化合物、生成した芳
香族カルボン酸、触媒等が濃縮された状態で塔底液とし
て酸化反応器に還流する。このうち芳香族カルボン酸結
晶や触媒等の固形物や沸点の高い成分は蒸留塔下部で捕
捉され、あるいは留出し、沸点の低い脂肪族カルボン酸
等の反応溶媒は比較的上部で留出する。
【0024】このような留分はそのまま酸化反応器に還
流されるが、蒸留塔の下部に液抜出部を設けることによ
り、酢酸濃度の高い留出液を抜き出して脂肪族カルボン
酸エステルの吸収液として利用できるとともに、酸化反
応器から抜き出すスラリーを固液分離した結晶の洗浄液
としても利用できる。反応を緊急停止したときに、系外
に抜き出すことにより還流水が大量に酸化反応器に入り
反応液を薄めるのを防止することができる。
【0025】凝縮工程は蒸留塔から出る塔頂ガスを凝縮
器で冷却水により冷却して塔頂ガス中の水蒸気を凝縮さ
せ、凝縮水を生成させる。凝縮器も蒸留塔に連結したも
のでも、別に設けられたものでもよく、また単一のもの
でも、複数に分割されたものでもよい。凝縮温度は水蒸
気が凝縮する温度でよく、脂肪族カルボン酸エステルは
凝縮しても、しなくてもよい。凝縮水は全量膜分離工程
に送ってもよく、一部を蒸留塔に還流させ一部を膜分離
工程に送ってもよい。
【0026】膜分離工程は凝縮水の一部または全部を膜
分離して水およびアルコール等の副生物を透過液側に透
過させ、脂肪族カルボン酸を濃縮液側に濃縮して分離す
る工程である。このような分離を行う分離膜としては、
逆浸透膜が使用できる。逆浸透膜としては、ポリアミド
系、芳香族ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系、ポ
リプロピレン系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリフッ化
エチレン系、ポリビニルアルコール系、ポリエステル
系、ポリイミド系、ポリスルホン系、ポリエーテルスル
ホン系、酢酸セルロース系、セルロースエステル系、ト
リアセチルセルロース系、尿酸ポリエーテル系、ポリピ
ペリアザミド系、ポリフラン系、ポリエチレンイミン系
があるが、特に架橋した芳香族ポリアミド系の逆浸透膜
が好ましい。
【0027】分離膜の形状は平膜、チューブラ、スパイ
ラル、中空糸など任意の形状のものを使用できる。この
ような分離膜は分子径、イオン性等により分離を行うも
のであり、水およびアルコール等の副生物を透過液側に
透過させ、脂肪族カルボン酸を濃縮液側に濃縮して分離
できるものが使用できる。脂肪族カルボン酸エステルは
約20%が透過し、約80%は濃縮側に残留する。膜分
離工程は単段で行ってもよいが、複数段にわたって行う
のが好ましい。
【0028】凝縮水を膜分離することにより、反応で生
成した不要な水とメタノール等のアルコールその他の副
生物は透過液側に透過して分離される。溶媒として使用
される酢酸等の脂肪族カルボン酸は濃縮液側に残留して
濃縮される。酢酸と水は沸点が近いため、蒸留で分離す
るためには塔高を高くする必要があるが、分子径および
イオン性の違いにより膜分離で容易に分離される。分離
が完全でない場合には膜分離を複数段にわたって行うこ
とができる。
【0029】透過液は蒸留等の分離手段で水とアルコー
ルその他の副生物を分離して系外に排出し、あるいは生
成する芳香族カルボン酸の洗浄水等として利用すること
ができる。濃縮液は酸化工程に還流するが、この際全部
または一部を蒸留塔の上部に戻して蒸留に使用するのが
好ましい。
【0030】凝縮工程の凝縮温度を限定することによ
り、脂肪族カルボン酸エステルを凝縮させることも、排
ガス側に移行させることもできるが、排ガス側に移行す
る場合には吸収工程において排ガスを洗浄液と接触させ
て吸収させる。洗浄液としては水を用いることができる
が、酢酸を用いてもよい。吸収液はそのまま膜分離工程
に送ることができるが、加水分解工程で加水分解して膜
分離工程に送ることもできる。
【0031】加水分解工程は凝縮水、吸収液、これらを
膜分離した透過液または濃縮液を加水分解触媒と接触さ
せて脂肪族カルボン酸エステルを加水分解する。常温蒸
留塔を用いる場合は膜分離した透過液を全量加水分解す
るのが好ましい。加水分解触媒としてはH形のイオン交
換樹脂、好ましくは強酸性陽イオン交換樹脂、特にマク
ロポーラス型のイオン交換樹脂が好ましいが、他の酸ま
たはアルカリ触媒を用いてもよい。
【0032】加水分解により脂肪族カルボン酸エステル
は脂肪族カルボン酸とアルコールに分解されるので、加
水分解液を膜分離することにより、これらは前記の通り
分離される。膜分離工程の透過液または濃縮液を加水分
解した場合は次段の膜分離工程で膜分離されるほか、濃
縮液の場合は酸化工程に還流した後再度凝縮水となって
膜分離工程に循環した段階で分離される場合がある。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、酸化反応により生成す
る水およびアルコールを膜分離により除去しながら反応
を行うことにより、反応に不要な水およびアルコール等
の副生物から効率よく分離して回収することができ、排
水処理も容易である。また蒸留と膜分離を組み合せるこ
とにより、蒸留塔の塔高を低くしても脂肪族カルボン酸
を、反応に不要な水およびアルコール等の副生物から効
率よく分離して回収することができ、排水処理も容易で
ある。
【0034】吸収工程を設けることにより凝縮工程の排
ガスから脂肪族カルボン酸エステルを回収することがで
きる。また脂肪族カルボン酸エステルを加水分解するこ
とにより脂肪族カルボン酸とアルコールを膜分離により
分離して利用効率を高めることができる。このとき加水
分解工程と膜分離工程を組み合せることにより、加水分
解で生成する脂肪族カルボン酸とアルコールの分離は容
易になる。さらに吸収工程、加水分解工程および膜分離
工程を組み合わせることにより、排ガス中の脂肪族カル
ボン酸エステルを回収して有効利用できるとともに、脂
肪族カルボン酸とアルコールの分離効率を高めることが
できる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態をテレフ
タル酸の製造方法について図面により説明する。
【0036】図1ないし図3は高圧蒸留塔を用いる実施
形態、図4および図5は常圧蒸留塔を用いる実施形態の
テレフタル酸の製造方法を示すフロー図である。図1な
いし図3において、1は酸化反応器で、上部に蒸留塔2
として高圧蒸留塔が直接接続している。3は凝縮器、
4、5は冷却器、6は吸収塔、7はポンプである。8、
8aは膜分離装置で、逆浸透膜からなる分離膜9、9a
を有する。10、10aは加水分解槽で、イオン交換樹
脂からなる触媒層11、11aを有する。
【0037】図1ないし図3のテレフタル酸の製造方法
は、酸化反応器1にラインL1から原料のアルキル芳香
族化合物としてパラキシレン、反応溶媒として酢酸、触
媒として重金属化合物および臭素化合物を供給し、ライ
ンL2から酸素含有ガスとして空気を供給し、高温、高
圧下に液相酸化を行い、テレフタル酸を生成させる。生
成するテレフタル酸は結晶として析出してスラリーが形
成され、ラインL3から取り出される。
【0038】図1では、酸化排ガスは高温高圧の状態で
蒸留塔2に入り、充填層12を通過する間に蒸留が行わ
れる。酸化排ガスに含まれる原料パラキシレン、触媒と
ともに溶媒の酢酸の大部分は留出し、これらを含む留分
は酸化反応器に還流する。酢酸の一部およびメタノール
等の低沸点の副生物を含む排ガスは凝縮器3に入って冷
却され、残留する酢酸、水、メタノール、その他の副生
物が凝縮し、凝縮水が生成する。脂肪族カルボン酸エス
テルである酢酸メチルも一部は凝縮する。
【0039】凝縮水の一部はそのまま蒸留塔2に還流
し、一部は受水部13で集められてラインL4から取り
出され冷却器4で冷却される。そしてポンプ7で昇圧さ
れて膜分離装置8の濃縮液室14に送られ、膜分離によ
り水およびメタノール等の低分子量の非イオン性の物質
が分離膜9を通して透過液室15に透過する。透過液は
ラインL5から排出され、濃縮液はラインL6から蒸留
塔2の上部に還流する。
【0040】凝縮器3の上部から出る排ガスはラインL
7から冷却器5に入って冷却されたのち吸収塔6に入
り、充填層16を通過する間にラインL8から供給され
る洗浄液と接触し、ガス中の酢酸メチルは洗浄液に吸収
される。酢酸メチルを除去した排ガスはラインL9から
排出される。酢酸メチルを吸収した吸収液はラインL1
0からラインL4に合流し、凝縮水と混合されて膜分離
装置8に供給される。酢酸メチルは分離膜9の分離性能
により濃縮液側に残留して循環するものと透過液側に透
過するものとがあり、どちらも適当な方法で加水分解す
ることができる。
【0041】図2では、冷却器5の上に加水分解槽10
が設けられ、触媒層11が形成されている。このため冷
却器5で冷却された排ガス中の酢酸メチルは加水分解槽
10を通過する際、加水分解により酢酸とメタノールに
分解される。加水分解槽10を通過した排ガス中に残存
する酢酸および酢酸メチルは吸収塔6でラインL8から
の水と接触することにより回収される。そして加水分解
液がラインL10からL4に合流して凝縮水とともに膜
分離装置8に供給されると、酢酸は濃縮液側に残留し、
メタノールは透過液側に透過して分離される。このため
吸収塔6における洗浄液として酢酸を用いる場合でも酢
酸は回収され蒸留塔2に供給される。他の構成、操作は
図1の場合と同様である。
【0042】図3では、蒸留塔2の排ガスは全量ライン
L7から凝縮器3に入って凝縮される。ここで凝縮水な
らびに吸収塔6で酢酸メチルの吸収を行った吸収液の混
合液はラインL10から膜分離装置8に入って膜分離に
より酢酸とメタノールおよび水に分離する。酢酸メチル
の一部は濃縮液側に残留し、一部は透過液側に透過す
る。
【0043】透過液は、加水分解槽10aに入って触媒
層11aにより酢酸メチルが加水分解されて酢酸とメタ
ノールに分解する。加水分解液を膜分離装置8aで膜分
離することにより酢酸は濃縮液側に残留し、メタノール
と水は透過液側に透過する。膜分離装置8、8aの濃縮
液は合流してラインL6に入り、加水分解槽10で酢酸
メチルが加水分解され、蒸留塔2の上部に還流する。こ
こで酸化反応器1に還流する酢酸とメタノールは酸化排
ガスとして循環した際、膜分離装置8で分離される。
【0044】図4および図5において、酸化反応器1の
上部に酸化排ガス凝縮器3aおよび減圧弁18を介して
蒸留塔2として常圧蒸留塔が接続し、蒸留塔2に凝縮器
3が接続している。酸化排ガス凝縮器3aには冷却器5
および吸収塔6が接続している。
【0045】図4および図5のテレフタル酸の製造方法
は、酸化反応器1にラインL1から原料のアルキル芳香
族化合物としてパラキシレン、反応溶媒として酢酸、触
媒として重金属化合物および臭素化合物を供給し、ライ
ンL2から酸素含有ガスとして空気を供給し、高温、高
圧下に液相酸化を行い、テレフタル酸を生成させる。生
成するテレフタル酸は結晶として析出してスラリーが形
成され、ラインL3から取り出される。
【0046】図4では、酸化排ガスはラインL11から
高温高圧の状態で酸化排ガス凝縮器3aに入って冷却さ
れ、凝縮液の一部はそのまま酸化反応器1に還流し、一
部は減圧弁18を通してラインL12から蒸留塔2に入
り、リボイラ17の加熱により蒸留が行われる。酸化排
ガス凝縮器3aの排出ガスはラインL13から冷却器5
に入って冷却されたのち吸収塔6に入り、充填層16を
通過する間にラインL8から供給される洗浄液と接触
し、ガス中の酢酸メチルは洗浄液に吸収される。酢酸メ
チルを除去した排ガスはラインL9から排出される。酢
酸メチルを吸収した吸収液はラインL10からラインL
12に合流し、凝縮液と混合されて蒸留塔2に供給され
る。
【0047】蒸留塔2では酸化排ガスに含まれる酢酸の
大部分は留出し、酸化反応器1に還流する。酢酸の一部
およびメタノール等の低沸点の副生物を含む蒸留塔塔頂
蒸気はラインL14から凝縮器3に入って冷却され、残
留する酢酸、水、メタノール、その他の副生物が凝縮
し、凝縮水が生成する。脂肪族カルボン酸エステルであ
る酢酸メチルも一部は凝縮する。
【0048】凝縮水はそのままポンプ7で昇圧されて膜
分離装置8の濃縮液室14に送られ、膜分離により水お
よびメタノール等の低分子量の非イオン性の物質が分離
膜9を通して透過液室15に透過する。透過液はライン
L5から排出され、濃縮液はラインL6から蒸留塔2の
上部に還流する。
【0049】図5では、冷却器5は省略され、ラインL
6に加水分解槽10が設けられ、触媒層11が形成され
ている。このため膜分離装置8の透過液中の酢酸メチル
は加水分解槽10を通過する際、加水分解により酢酸と
メタノールに分解されて蒸留塔2の上部に還流する。
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。各例
中、%、ppmは言及しない限り重量基準である。
【0050】参考例1 図1の酸化反応器において190℃、1.2MPaでパ
ラキシレンの酸化を行いテレフタル酸を製造し、酸化排
ガスを蒸留塔2で蒸留し、凝縮器3で160℃で凝縮を
行った。蒸留塔2の排ガスを吸収塔6において洗浄液と
して35℃の水10kg/hrと接触させて酢酸メチル
を吸収させた吸収液50kg/hrを、凝縮器から取り
出される凝縮水55kg/hrと混合した混合液105
kg/hrを系外に排出した。その混合液は酢酸1.5
%、酢酸メチル2650ppm、メタノール1040p
pmであった。また吸収塔からの排ガスは酢酸0.1容
量ppm、酢酸メチル1020容量ppm、メタノール
106ppmであった。
【0051】実施例1 参考例1において、凝縮器3から取り出す凝縮水を20
5kg/hrとして、吸収塔6からの吸収液50kg/
hrと混合した混合液255kg/hrを4.9MPa
に昇圧して膜分離装置8に送って膜分離し、濃縮液15
0kg/hrを蒸留塔2に還流し、透過液105kg/
hrを系外に排出した。分離膜は架橋ポリアミド複合膜
からなる逆浸透膜SU−820(東レ株式会社製、商品
名)であり、透過液は酢酸0.3%、酢酸メチル303
ppm、メタノール1010ppmであった。また排ガ
スは酢酸0.1容量ppm、酢酸メチル1530容量p
pm、メタノール305ppmであった。
【0052】実施例2 図2において、吸収塔6の洗浄水量を50kg/hrと
し、吸収液を加水分解装置10で加水分解した液90k
g/hrを凝縮器3からの凝縮液205kg/hrと混
合した混合液295kg/hrを膜分離装置8で膜分離
し、濃縮液150kg/hrを蒸留塔2に還流し、透過
液145kg/hrを系外に排出した。加水分解触媒は
マクロポーラス型の強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ
株式会社製、アンバーリスト15、商品名)である。他
は実施例1と同様に行った。透過液は酢酸0.5%、酢
酸メチル550ppm、メタノール1700ppmであ
った。また排ガスは酢酸0.5容量ppm、酢酸メチル
103容量ppm、メタノール1100ppmであっ
た。
【0053】実施例3 図3において、吸収塔6における洗浄水を10kg/h
rとし、吸収液900kg/hrをポンプ7で7.8M
Paに昇圧して膜分離装置8、8aおよび加水分解装置
10、10aに供給した。膜分離装置8および8aの濃
縮液650kg/hrおよび145kg/hrを合流し
て加水分解槽10を通して蒸留塔2に還流し、膜分離装
置8aの透過液105kg/hrを系外に排出した。他
は実施例2と同様に行った。透過液は酢酸0.1%、酢
酸メチル50ppm、メタノール2010ppmであっ
た。また排ガスは0.1容量ppm、酢酸メチル212
容量ppm、メタノール1050ppmであった。
【0054】参考例2 図4の酸化反応器において190℃、1.2MPaでパ
ラキシレンの酸化を行いテレフタル酸を製造し、酸化排
ガスを酸化排ガス凝縮器3aで120℃に冷却して凝縮
を行った。酸化排ガス凝縮器3aの排出ガスを冷却器5
で40℃に冷却し、吸収塔6において洗浄液として35
℃の水10kg/hrと接触させて酢酸メチルを吸収さ
せた吸収液210kg/hrを、酸化排ガス凝縮器3a
から取り出される凝縮液465kg/hrと混合した混
合液685kg/hrを常圧の蒸留塔2において還流比
4で蒸留し、塔頂からの留出液105kg/hrを系外
に排出した。その排出液は酢酸1.5%、酢酸メチル
1.6%、メタノール0.1%であった。また吸収塔か
らの排ガスは酢酸0.1容量ppm、酢酸メチル500
容量ppm、メタノール30ppmであった。
【0055】実施例4 参考例2において、凝縮器3から取り出す凝縮水を4.
9MPaに昇圧して膜分離装置8に送って膜分離し、濃
縮液525kg/hrを蒸留塔2に還流し、透過液10
5kg/hrを系外に排出した。分離膜は架橋ポリアミ
ド複合膜からなる逆浸透膜SU−820(東レ株式会社
製、商品名)であり、透過液は酢酸0.3%、酢酸メチ
ル0.3%、メタノール0.08%であった。また排ガ
スは酢酸0.1容量ppm、酢酸メチル700容量pp
m、メタノール50ppmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のテレフタル酸の製造方法を示すフロ
ー図である。
【図2】他の実施形態のテレフタル酸の製造方法を示す
フロー図である。
【図3】さらに他の実施形態のテレフタル酸の製造方法
を示すフロー図である。
【図4】さらに他の実施形態のテレフタル酸の製造方法
を示すフロー図である。
【図5】さらに他の実施形態のテレフタル酸の製造方法
を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 酸化反応器 2 蒸留塔 3 凝縮器 3a 酸化排ガス凝縮器 4、5 冷却器 6 吸収塔 7 ポンプ 8、8a 膜分離装置 9、9a 分離膜 10、10a 加水分解槽 11、11a 触媒層 12、16 充填層 13 受水部 14 濃縮液室 15 透過液室 17 リボイラ 18 減圧弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 弘 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 三 井化学株式会社内 (72)発明者 山根 博 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 AD19 BA16 BA20 BA37 BA72 BB17 BD35 BE30 BE60 BJ50 BS30 4H039 CA65 CC30

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化反応器中で脂肪族カルボン酸を含む
    反応溶媒中、酸化触媒の存在下、アルキル芳香族化合物
    を酸素含有ガスで液相酸化して高温高圧下で芳香族カル
    ボン酸を生成させる方法において、 酸化反応により生成する水およびアルコールを膜分離に
    より除去しながら反応を行う芳香族カルボン酸の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 酸化反応器中で脂肪族カルボン酸を含む
    反応溶媒中、酸化触媒の存在下、アルキル芳香族化合物
    を酸素含有ガスで液相酸化して高温高圧下で芳香族カル
    ボン酸を生成させる酸化工程、 酸化反応器から酸化排ガス、または酸化排ガスを酸化排
    ガス凝縮器で凝縮した凝縮液を蒸留塔に導入して蒸留を
    行い、反応溶媒を含む留分を酸化反応器に還流する蒸留
    工程、 蒸留塔から出る塔頂ガスを凝縮器で冷却して凝縮水を生
    成させる凝縮工程、ならびに凝縮水を膜分離して水およ
    びアルコールを透過液側に透過させ、脂肪族カルボン酸
    を濃縮液側に濃縮して回収する膜分離工程を含む請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 凝縮工程から出る排ガスを洗浄液と接触
    させて脂肪族カルボン酸エステルを吸収させ、吸収液を
    膜分離工程に供給する吸収工程を含む請求項2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 酸化排ガス凝縮器から出る排ガスを洗浄
    液と接触させて脂肪族カルボン酸エステルを吸収させ、
    吸収液を蒸留工程に供給する吸収工程を含む請求項2記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 凝縮水、吸収液、これらを膜分離した透
    過液または濃縮液を加水分解触媒と接触させて脂肪族カ
    ルボン酸エステルを加水分解し、加水分解液を膜分離工
    程に供給する加水分解工程を含む請求項2ないし4のい
    ずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 膜分離工程は逆浸透膜により膜分離を行
    う請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 加水分解触媒はイオン交換樹脂である請
    求項5または6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 凝縮水の全部または一部を膜分離し、濃
    縮液を蒸留工程に還流する請求項1ないし7のいずれか
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 膜分離工程は複数段行われる請求項1な
    いし8のいずれかに記載の方法。
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