JPH11335321A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法

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JPH11335321A
JPH11335321A JP14177198A JP14177198A JPH11335321A JP H11335321 A JPH11335321 A JP H11335321A JP 14177198 A JP14177198 A JP 14177198A JP 14177198 A JP14177198 A JP 14177198A JP H11335321 A JPH11335321 A JP H11335321A
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carboxylic acid
liquid
slurry
aromatic carboxylic
crystals
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JP14177198A
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Etsuro Okamoto
悦郎 岡本
Hiroshi Fukuhara
浩 福原
Satoru Inoki
哲 猪木
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高圧下に母液分離を行うことにより不純
物の析出を防止して結晶を回収し、このとき高圧蒸留塔
の留分を洗浄液として用いることにより、効率よく洗浄
を行い、不純物含量の少ない生成物を得ることができる
芳香族カルボン酸の製造方法を提案する。 【解決手段】 酸化反応器1にアルキル芳香族化合物、
触媒、反応溶媒、酵素含有ガスを導入して液相酸化を行
って芳香族カルボン酸を生成させ、酸化排ガス8を高圧
蒸留塔2に導入して蒸留を行い、スラリー21を高圧分
離装置3に導入して母液分離を行い、結晶を高圧蒸留塔
2のサイドカット22により洗浄して溶媒交換を行い、
得られるスラリー25を常圧分離装置で固液分離を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキル置換基ま
たは一部酸化したアルキル置換基を含有するアルキル芳
香族化合物を酸素含有ガスにより液相酸化して芳香族カ
ルボン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族カルボン酸類は基礎化学品として
重要であり、特に芳香族ジカルボン酸は繊維、樹脂、可
塑剤等の原料として有用である。例えば、テレフタル酸
はポリエステル原料として、近年その需要が増大してい
る。
【0003】従来、芳香族カルボン酸の製造方法として
は、一般に酸化反応槽において、重金属化合物および臭
素化合物を触媒とし、酢酸等の低級脂肪族カルボン酸を
含む反応溶媒中で、メチル基置換芳香族化合物を分子状
酸素含有ガスと接触させて液相酸化する方法が採用され
ている。このような従来の製造方法では、酸化反応器
に、原料としてパラキシレン等のアルキル置換芳香族化
合物、溶媒の酢酸および触媒の混合物、ならびに空気等
の酸素含有ガスを導入して酸化反応を行い、テレフタル
酸等の芳香族カルボン酸を生成させている。
【0004】生成するテレフタル酸等の芳香族カルボン
酸は結晶として析出し、スラリーとなるので、このスラ
リーを酸化反応槽からスラリー受槽に抜き出して固液分
離により結晶を回収することにより粗テレフタル酸等の
粗生成物が得られる。こうして得られた粗生成物の結晶
中には酸化反応中間体や不純物が同伴しており、粗生成
物を溶解し、酸化処理、あるいは還元処理等の精製工程
を経てテレフタル酸等の結晶を析出させると、結晶を含
むスラリーが得られる。このようなスラリーから結晶を
回収すると、精製テレフタル酸等の精製物が得られる。
【0005】従来酸化反応により生成したスラリーから
結晶を回収するためには、高温高圧の酸化反応器から常
圧のスラリー受槽にスラリーを抜き出し、常圧で遠心分
離機、ロータリフィルタ等の固液分離装置で固液分離を
行っている。ところが高圧の酸化反応器から常圧のスラ
リー受槽にスラリーを抜き出すと、圧力降下に伴ってフ
ラッシュにより温度降下が起こり、母液中の芳香族カル
ボン酸の析出に伴って、4−カルボキシベンズアルデヒ
ド(4−CBA)等の不純物も析出し、結晶中の不純物
含量が多くなる。
【0006】このような点を解決するために、高温高圧
のスラリーを液体サイクロンで新しい溶媒を供給して溶
媒置換する方法が提案されている(特開昭54−324
31号)。しかしこの方法では置換溶媒として酢酸等の
新しい溶媒を加熱加圧して供給する必要があり、運転操
作が複雑になる。
【0007】一方、酸化反応槽から排出される酸化排ガ
スには溶媒や触媒等が同伴するので、これを回収して再
使用するために酸化反応槽の上部に連絡する高圧蒸留塔
を設け、排ガスの熱を利用して蒸留を行って溶媒を回収
し酸化反応槽に還流させる方法がある(特公昭54−1
4098号)。しかしこの方法では回収される溶媒は酸
化反応槽に直接還流し、反応に利用されるにとどまって
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高温
高圧下に芳香族カルボン酸の結晶と反応母液との分離を
行うことにより不純物の析出を防止して結晶を回収し、
このとき高圧蒸留塔の留分を洗浄液として用いることに
より、効率よく洗浄を行い、不純物含量の少ない生成物
を得ることができる芳香族カルボン酸の製造方法を提案
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は次の芳香族カル
ボン酸の製造方法である。 (1) 酸化反応器中で脂肪族カルボン酸を含む反応溶
媒中、酸化触媒の存在下、アルキル芳香族化合物を酸素
含有ガスで液相酸化して高温高圧下で芳香族カルボン酸
を生成させる酸化工程、酸化反応器から酸化排ガスを蒸
留塔に導入して蒸留を行い、反応溶媒を含む留分を酸化
反応器に還流する蒸留工程、および酸化反応器から芳香
族カルボン酸の結晶を含むスラリーを抜き出し、蒸留塔
から抜き出した反応溶媒を含む留分を洗浄液として用い
て高温高圧下に芳香族カルボン酸の結晶と反応母液とを
分離する分離工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法。 (2) 蒸留塔から洗浄液として抜き出す留分が固形分
を含まないサイドカット留分である上記(1)記載の方
法。 (3) 蒸留塔から洗浄液として抜き出す留分が、(酸
化反応器温度−12℃)ないし酸化反応器温度の留分で
ある上記(1)または(2)記載の方法。 (4) 芳香族カルボン酸の結晶と反応母液とを分離す
る分離工程で使用する洗浄液の量がスラリー中に含まれ
る母液の20重量%以上である上記(1)ないし(3)
のいずれかに記載の方法。 (5) 結晶を洗浄した洗浄排液を酸化反応器に循環す
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
【0010】本発明の方法において芳香族カルボン酸を
製造するための酸化原料としては、アルキル置換基また
は一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物
(以下、単に酸化原料という場合がある)が使用でき
る。このような芳香族化合物は単環であっても、多環で
あってもよい。上記アルキル置換基としては、例えばメ
チル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル
基等の炭素数1〜4のアルキル基をあげることができ
る。また一部酸化したアルキル基としては、例えばアル
デヒド基、アシル基、カルボキシル基およびヒドロキシ
アルキル基等をあげることができる。
【0011】アルキル置換基を有する芳香族化合物、す
なわちアルキル置換芳香族炭化水素の具体的なものとし
ては、例えばm−ジイソプロピルベンゼン、p−ジイソ
プロピルベンゼン、m−シメン、p−シメン、m−キシ
レン、p−キシレン、トリメチルベンゼン類およびテト
ラメチルベンゼン類等の炭素数1〜4のアルキル基を2
〜4個有するジもしくはポリアルキルベンゼン類;ジメ
チルナフタレン類、ジエチルナフタレン類およびジイソ
プロピルナフタレン類等の炭素数1〜4のアルキル基を
2〜4個有するジもしくはポリアルキルナフタレン類;
ジメチルビフェニル類等の炭素数1〜4のアルキル基を
2〜4個有するポリアルキルビフェニル類などをあげる
ことができる。
【0012】また一部酸化したアルキル置換基を有する
芳香族化合物は、上記化合物におけるアルキル基が一部
酸化されて、前記アルデヒド基、アシル基、カルボキシ
ル基またはヒドロキシアルキル基等に酸化されている化
合物である。具体的なものとしては、例えば3−メチル
ベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、m−
トルイル酸、p−トルイル酸、3−ホルミル安息香酸、
4−ホルミル安息香酸および2−メチル−6−ホルミル
ナフタレン類等をあげることができる。これらは単独
で、または2種以上の混合物として用いられる。
【0013】本発明の方法においては、重金属化合物お
よび臭素化合物が触媒として用いられるが、それらの化
合物としては次のようなものが例示される。すなわち、
重金属化合物における重金属としては、例えばコバル
ト、マンガン、ニッケル、クロム、ジルコニウム、銅、
鉛、ハフニウムおよびセリウム等をあげることができ
る。これらは単独で、または組合せて用いることができ
るが、特にコバルトとマンガンとを組合せて用いるのが
好ましい。このような重金属の化合物としては、例えば
酢酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート塩、ナフテン酸
塩、ステアリン酸塩および臭化物等をあげることができ
るが、特に酢酸塩、臭化物が好ましい。
【0014】臭素化合物としては、例えば分子状臭素、
臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化コバル
トおよび臭化マンガン等の無機臭素化合物;臭化メチ
ル、臭化メチレン、ブロモホルム、臭化ベンジル、ブロ
モメチルトルエン、ジブロモエタン、トリブロモエタン
およびテトラブロモエタン等の有機臭素化合物などをあ
げることができる。これらの臭素化合物も単独で、また
は2種以上の混合物として用いられる。
【0015】本発明において、上記重金属化合物と臭素
化合物との組合せからなる触媒は、重金属原子1モルに
対して臭素原子0.05〜10モル、好ましくは0.1
〜2モルの範囲からなるものが望ましい。このような触
媒は、反応溶媒中の重金属濃度として通常10〜100
00ppm、好ましくは100〜5000ppmの範囲
で用いられる。
【0016】本発明の方法では酸化工程として酸化反応
器において、前記触媒の存在下に、低級脂肪族カルボン
酸を含む反応溶媒中で、酸化原料となる芳香族化合物を
分子状酸素含有ガスによって液相酸化することにより、
製品としての芳香族カルボン酸を得る。
【0017】上記分子状酸素含有ガスとしては、例えば
酸素や空気等をあげることができるが、実用的には空気
が好ましく用いられる。分子状酸素含有ガスは酸化原料
となる芳香族化合物を芳香族カルボン酸に酸化するのに
必要な量より過剰に供給する。分子状酸素含有ガスとし
て空気を使用する場合、酸化原料となる芳香族化合物1
kgに対して2〜20Nm3、好ましくは2.5〜15
Nm3の割合で反応系に供給するのが望ましい。
【0018】反応溶媒として使用する低級脂肪族カルボ
ン酸の具体的なものとしては、例えば酢酸、プロピオン
酸および酪酸等をあげることができる。低級脂肪族カル
ボン酸は単独で反応溶媒として使用することもできる
し、水と混合して混合物の状態で反応溶媒として使用す
ることもできる。反応溶媒の具体的なものとしては、例
えば酢酸、プロピオン酸、酪酸およびこれらの混合物、
あるいはこれらの低級脂肪族カルボン酸と水との混合物
等をあげることができる。これらの中では、酢酸と水と
の混合物が好ましく、特に酢酸100重量部に対して水
1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部を混合した
混合物が望ましい。
【0019】酸化反応の温度は通常100〜250℃、
好ましくは150〜220℃の範囲が望ましい。また、
反応圧力は反応系を液相に保つことができる圧力以上で
あればよいが、一般的には0.1〜4MPa、好ましく
は0.4〜3MPa(ゲージ圧)とされる。
【0020】このようにして反応させることにより、酸
化原料となる芳香族化合物に対応した芳香族カルボン酸
が得られる。芳香族カルボン酸の具体的なものとして
は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸等
の芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸等の芳香族ポ
リカルボン酸などがあげられる。
【0021】本発明の方法は、芳香族ジカルボン酸、ま
たは反応溶媒に不溶もしくは難溶性の芳香族カルボン酸
の製造に適用するのが好ましく、特にテレフタル酸の製
造に適用するのが好ましい。
【0022】酸化工程で生成する芳香族カルボン酸は結
晶となって母液中に析出しスラリーが形成されるので、
このスラリーを抜き出して結晶と反応母液との分離装置
(高圧母液分離装置)に導入し、高温高圧下に結晶と反
応母液との分離を行う。スラリーを抜き出す際圧力を降
下させるとフラッシュにより温度降下して不純物が析出
するので、高温高圧を維持した状態で母液分離を行う。
この場合酸化反応器内の圧力を利用しスラリーの抜出お
よび母液分離を行うことができ、これに伴う圧力降下、
ならびに放熱等による実質的に無視可能な温度降下は許
容できる。
【0023】母液分離装置としては、母液と結晶を分離
できるものであればよく、洗浄液によりスラリーと固液
分離を繰り返すことにより洗浄を行うことができるが、
連続的に母液をスラリーから分離し、洗浄液で結晶を洗
浄できるものが好ましい。このような分離装置としては
例えば前記特開昭54−32431号に示された液体サ
イクロン、例えば実開昭59−115451号に示され
た遠心分離機、例えば特開平1−299618号、特開
平6−327915号に示されたロータリフィルタ、ベ
ルトフイルタ、その他の濾過機など、公知のものが使用
できる。これらの中では機械部分がなく、高温高圧をか
け易い液体サイクロンが好ましい。
【0024】液体サイクロンの場合は、スラリーを接線
方向に導入して旋回流を生じさせて遠心力により分離
し、結晶の流下部に洗浄液を導入して洗浄を行い、洗浄
液を母液とともに排出するように構成することができ
る。遠心分離機の場合は遠心分離により分離された結晶
の搬出域にフィルタを設け、この部分に洗浄液を吹付け
て洗浄を行うように構成することができる。ロータリフ
ィルタの場合は、回転円簡形フィルタを濾過域、洗浄
域、脱水域を通過するように回転させ、洗浄域において
洗浄液を吹付けることにより洗浄を行うように構成する
ことができる。このほかベルトフィルタのように濾材が
移動する濾過機ではロータリフィルタと同様に構成する
ことができる。母液分離、洗浄工程における圧力は0.
1〜4MPa、好ましくは0.4〜3MPa(ゲージ
圧)とするのが好適である。
【0025】蒸留工程は酸化反応器の上部に連結した蒸
留塔(高圧蒸留塔)に酸化排ガスを導入し、酸化反応器
の発熱を利用して蒸留を行い、反応溶媒を含む留分を塔
底から酸化反応器に還流し、水および非凝縮性のガスを
塔頂から排出する。蒸留塔としては特開昭54−140
98号に示すように酸化反応器から独立したものでもよ
く、特開平6−279353号に示すように酸化反応器
の上部に設置されるものでもよい。また蒸留塔は棚段塔
でもよいが、充填塔が好ましく、この場合芳香族カルボ
ン酸の結晶や触媒のような微細固形物を捕集するための
手段、例えば固形物捕集トレイを充填層の下側に設ける
ものが好ましい。
【0026】このような蒸留塔で蒸留を行うことによ
り、酸化排ガスに伴って排出される反応溶媒を含む留分
が酸化反応器に還流する。この留分は反応溶媒のほか未
反応のアルキル芳香族化合物、生成した芳香族カルボン
酸、触媒等が濃縮された状態で塔底液として酸化反応器
に還流する。このうち芳香族カルボン酸結晶や触媒等の
固形物や沸点の高い成分は蒸留塔下部で捕捉され、ある
いは留出し、沸点の低い脂肪族カルボン酸等の反応溶媒
は比較的上部で留出する。
【0027】蒸留工程において留出する反応溶媒を含む
留分を蒸留塔から抜き出し、これを洗浄液として、前記
母液分離工程において分離する結晶を、洗浄する。洗浄
液として蒸留塔から抜き出す留分は脂肪族カルボン酸等
の反応溶媒を含む留分であり、塔底液でもよいが、固形
物、高沸点留分を含まないサイドカット留分が好まし
く、これにより結晶への不純物の混入を少なくすること
がきる。洗浄に適する留分は酸化反応器温度より12℃
低い温度ないし酸化反応器温度の温度範囲のものが好ま
しく、これにより不純物の析出を防止して洗浄を行うこ
とができる。
【0028】洗浄方法は特に限定されず結晶に付着する
母液、不純物を除去できる方法であればよく、従来から
行われているリスラリーと固液分離の繰り返しでもよい
が、前述のように母液分離と洗浄を連続して行う母液分
離装置を用い、母液分離に引き続いて移動する結晶を洗
浄液で洗浄する方法が好ましい。この場合洗浄液を結晶
の移動方向と向流に接触させて洗浄する方法が好まし
い。洗浄液の量はスラリー中に含まれる母液の20重量
%以上とすることにより、洗浄を効率よく行うことがで
きる。
【0029】このように高温、高圧の状態で母液分離お
よび洗浄を行うと、芳香族カルボン酸および不純物の新
たな結晶化が起こらない状態で母液が除去され、分離し
た結晶が洗浄液で洗浄されて溶媒置換が行われる。これ
により洗浄された結晶は不純物含量が少なくなる。洗浄
排液は母液を含んだ状態で得られるので、分離した母液
とともに酸化反応槽に反送し、酸化反応に供することに
より、原料、触媒、溶媒、および熱等のリサイクル率が
高くなり、効率のよい製造が可能となる。
【0030】洗浄された結晶は洗浄液に分散したスラリ
ーとして得られる場合もあるが、この場合は減圧して常
圧固液分離および水による洗浄を行い、乾燥することに
より芳香族カルボン酸の粗生成物を得る。粗生成物は精
製工程において、酸化処理、水素添加処理等により精製
することにより精製芳香族カルボン酸が得られる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、高温高圧下に母液分離
を行うことにより不純物の析出を防止して結晶を回収
し、このとき高圧蒸留塔の留分を洗浄液として用いるこ
とにより、効率よく洗浄を行うことができ、これにより
得られる芳香族カルボン酸の不純物量を少なくすること
ができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態をテレフ
タル酸の製造について図面により説明する。図1は実施
形態のテレフタル酸の製造方法を示す系統図である。図
1において、1は反応器、2は高圧蒸留塔、3は高圧分
離装置、4はスラリーレシーバ、5は常圧分離装置であ
る。
【0033】テレフタル酸の製造方法は、反応器1に原
料供給路6から原料のアルキル芳香族化合物としてパラ
キシレン、反応溶媒として酢酸、触媒として重金属化合
物および臭素化合物を供給し、空気供給路7から酸素含
有ガスとして空気を供給し、高温、高圧下に液相酸化を
行い、テレフタル酸を生成させる。生成するテレフタル
酸は結晶として析出し、スラリーが形成される。
【0034】酸化排ガス8は高温高圧の状態で高圧蒸留
塔2に入り、充填層2aを通過する間に蒸留を行う。酸
化排ガス8に含まれる固形物は下部の固形物捕捉トレイ
2bで除去され還流する。蒸留塔2では高沸点留分のパ
ラキシレンや副生物が下部で留出し、低沸点留分の酢酸
が比較的上部で留出する。これらの留分は固形物ととも
に塔底液9として反応器1に還流する。排ガス11は凝
縮器12を通過する際水蒸気が凝縮し、気水分離器13
で分離した非凝縮ガス14は系外に排出され、凝縮水1
5は一部16が高圧蒸留塔2に還流し、残部17は副生
水として取出す。
【0035】反応器1からスラリー21を高温高圧の状
態で抜き出して高圧分離装置3に導入し、高温高圧の状
態で固液分離を行うとともに、高圧蒸留塔2からサイド
カット22を洗浄液23として導入し、分離した結晶の
洗浄を高温高圧の状態を行う。高圧分離装置3としては
液体サイクロンを使用しており、スラリー21を接線方
向に回転させることにより遠心力で固液分離を行い、分
離した結晶を下方向に移動させながら洗浄液23と接触
させて洗浄し溶媒置換を行う。分離した母液および洗浄
排液を含む分離液24は反応器1に循環し、酸化反応に
供する。
【0036】高圧分離装置3において分離および洗浄さ
れた結晶が洗浄液に分散したスラリー25は常圧のスラ
リーレシーバ4に導入してフラッシュさせ、温度降下し
たスラリー26を常圧分離装置5において常圧で固液分
離を行い粗テレフタル酸(CTA)27を得、精製工程
へ送る。スラリーレシーバ4で発生する蒸気28は凝縮
器31で凝縮させ、気水分離器32で分離した非凝縮ガ
ス33を系外に排出し、凝縮水34は常圧分離装置5に
導入し、常圧分離装置5で分離した母液および洗浄排液
を含む分離液29は反応器1に循環する。
【0037】上記の工程において高温、高圧を維持する
ために、各ラインに昇圧ポンプ、弁等が設けられている
が、図示は省略されている。また常圧分離装置5におけ
る洗浄水が不足する場合はサイドカット22からその一
部35を分流して凝縮器31に供給することもできる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例について
説明する。
【0039】実施例1 図1の構造を有する装置で、反応器1の上部に充填材を
用いた高圧蒸留塔2を有する0.15m3容量の酸化反
応器にパラキシレン、酢酸/水溶媒、空気および触媒
(酢酸コバルト、酢酸マンガンおよびテトラプロムエタ
ンの酢酸水溶液)を連続的に供給し、酸化反応器の運転
液面を反応器の抜き出しスラリーを基準とする滞留時間
が1時間になるように調整し、酸化反応器の抜き出しス
ラリーの粗テレフタル酸15.1kg/h、母液40k
g/h、反応母液中のコバルト/マンガン/臭素濃度が
950/430/900wt−ppm、母液の酢酸/水
重量比を90/10、反応器から出る蒸気に含まれる酸
素濃度を20℃の飽和ガス基準で3vol%に各原料流
量を調整して運転を実施した。酸化反応器の反応温度は
187℃になるように、蒸留塔塔頂部に連なる蒸気ライ
ンの圧力調整弁で調整した。結果として圧力は1.14
7MPaに調整された。
【0040】酸化反応器から抜き出されたスラリーを、
分離結晶スラリーのスラリー濃度が75wt%になる事
を目標に設計された高圧分離装置3としての高温液体サ
イクロンに導入して高温高圧下に固液分離した。図1の
高圧蒸留塔2の塔底部(温度;186℃)からサイドカ
ットを40kg/hで抜き出し、高温液体サイクロン機
器のスラリーフィードライトと結晶抜き出しラインの鉛
直方向の中間部で、結晶に同伴する母液の80wt%を
置換することを目標に設計されたノズルにフィードし
た。結果、高圧分離装置からスラリーレシーバに抜き出
されたスラリーは54kg/h、そのうち液は40kg
/hで、液中のコバルト触媒濃度は220wt−pp
m、結晶に同伴する母液を洗浄液に置換した割合はコバ
ルト触媒を基準にすると77wt%と計算された。
【0041】高圧分離装置から出た粗テレフタル酸スラ
リー21をスラリーレシーバに導入し、常圧まで降圧し
たのち80℃の酢酸水溶液(酢酸/水重量比=86/1
4)40kg/hを洗浄液として加えながら、常圧の分
離装置(フィルター)にて粗テレフタル酸結晶の分離洗
浄を実施した。得られた粗テレフタル酸結晶14kg/
hに含まれる反応中間体である4カルボキシベンズアル
デヒド(4CBA)濃度は2700ppmであった。反
応器から出る蒸気に含まれる二酸化炭素および一酸化炭
素濃度を20℃の飽和ガス基準で連続的に測定し、酸化
反応器にフィードしたパラキシレンとのモル比に換算し
た値(COx/pX)は0.250であった。
【0042】実施例2 実施例1と同様に装置で、酸化反応温度を184.5℃
で運転し、他の条件は実施例1と同様の条件で運転を行
った。結果、高圧分離装置からスラリーレシーバに抜き
出されたスラリーは53.5kg/h、そのうち液は3
8kg/hで、液中のコバルト触媒濃度は240wt−
ppm、結晶に同伴する母液を洗浄液に置換した割合は
コバルト触媒を基準にすると76wt%と計算された。
得られた粗テレフタル酸結晶14kg/hに含まれる反
応中間体である4カルボキシベンズアルデヒド(4CB
A)濃度は3600ppmであった。反応器から出る蒸
気に含まれる二酸化炭素および一酸化炭素濃度を20℃
の飽和ガス基準で連続的に測定し、酸化反応器にフィー
ドしたパラキシレンとのモル比に換算した値(COx/
pX)は0.205であった。
【0043】比較例1 実施例1と同様に装置で、酸化反応器から抜き出したス
ラリーを高圧分離装置をバイパスして直接図1のスラリ
ーレシーバにフィードして運転を行った。酸化反応器温
度を187℃で運転し、他の条件は実施例1と同様の条
件で運転を行った。得られた粗テレフタル酸結晶14k
g/hに含まれる反応中間体である4カルボキシベンズ
アルデヒド(4CBA)濃度は3600ppmであっ
た。反応器から出る蒸気に含まれる二酸化炭素および一
酸化炭素濃度を20℃の飽和ガス基準で連続的に測定
し、酸化反応器にフィードしたパラキシレンとのモル比
に換算した値(COx/pX)は0.25であった。
【0044】以上の結果より、実施例1と比較例1とを
対比すると、実施例1の方が不純物含量が少ないことが
わかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のテレフタル酸の製造方法を示す系統
図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 高圧蒸留塔 3 高圧分離装置 4 スラリーレシーバ 5 常圧分離装置 6 原料供給路 7 空気供給路 8 酸化排ガス 9 塔底液 11 排ガス 12、31 凝縮器 13、32 気水分離器 14、33 排凝縮ガス 15、34 凝縮水 21、25、26 スラリー 22、35 サイドカット 23 洗浄液 24、29 分離液 27 粗テレフタル酸 28 蒸気

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化反応器中で脂肪族カルボン酸を含む
    反応溶媒中、酸化触媒の存在下、アルキル芳香族化合物
    を酸素含有ガスで液相酸化して高温高圧下で芳香族カル
    ボン酸を生成させる酸化工程、 酸化反応器から酸化排ガスを蒸留塔に導入して蒸留を行
    い、反応溶媒を含む留分を酸化反応器に還流する蒸留工
    程、および 酸化反応器から芳香族カルボン酸の結晶を含むスラリー
    を抜き出し、蒸留塔から抜き出した反応溶媒を含む留分
    を洗浄液として用いて高温高圧下に芳香族カルボン酸の
    結晶と反応母液とを分離する分離工程を含む芳香族カル
    ボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 蒸留塔から洗浄液として抜き出す留分が
    固形分を含まないサイドカット留分である請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 蒸留塔から洗浄液として抜き出す留分
    が、(酸化反応器温度−12℃)ないし酸化反応器温度
    の留分である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 芳香族カルボン酸の結晶と反応母液とを
    分離する分離工程で使用する洗浄液の量がスラリー中に
    含まれる母液の20重量%以上である請求項1ないし3
    のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 結晶を洗浄した洗浄排液を酸化反応器に
    循環する請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
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