JP2001328909A - 防菌防カビ剤および防菌防カビ方法 - Google Patents

防菌防カビ剤および防菌防カビ方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実質的に臭いがなく、安定性が大きく、かつ
揮散性のある防菌防カビ性の化合物を見出し、これを有
効成分とする防菌防カビ剤を提供すること。 【解決手段】 2−ジヒドロターピニルオキシエタノー
ルを有効成分として含有する防菌防カビ剤および2−ジ
ヒドロターピニルオキシエタノールを気体状態で対象物
と接触させる防菌防カビ方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規の防菌防カビ
剤および防菌防カビ方法に関する。さらに詳しくは、実
質的に臭いがなく、安定性が大きく、かつ揮散性がある
新規の防菌防カビ剤およびそれを気体で対象物と接触さ
せる防菌防カビ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】古くから多くの防菌剤や防カビ剤が提供
されているが、例えば家庭内等における微生物の存在に
よる不都合を一度に解消するという意味で、カビと共に
細菌に対しても効果を有する化合物を有効成分とする防
菌防カビ剤を使用することが好ましい。
【0003】従来、このような防菌防カビ剤において、
有効成分として利用される化合物としては、パラクロロ
メタキシレノールなどのフェノール系、3−ヨード−2
−プロピニルブチルカーバメートなどの有機ヨード系、
2−(4−チアゾリル)ベンズイミダソールなどのベン
ズイミダゾール系、2−メルカプトベンゾチアゾールな
どのベンゾチアゾール系、N−(フルオロジクロロメチ
ルチオ)−フタルイミドなどのN−ハロアルキルチオ
系、ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜
鉛塩などのピリチオン系、テトラクロロイソフタロニト
リルなどのニトリル系、α−プロムシンナムアルデヒド
などのアルデヒド系などの化合物が知られていた。
【0004】しかし、これらの防菌防カビ剤は、臭い、
安定性、揮散性などの点で、必ずしも満足すべきもので
はなかった。すなわち、臭いのある防菌防カビ剤は、使
用量や用途が、不快にならない範囲に限定されるという
制約があった。また、安定性が不十分な剤は、穏和な条
件でなければ使用できないという制約があり、更に揮散
性のない剤は、気体で対象物と接触させる方法には使え
ないという制約があった。これらの制約の結果、いずれ
の剤も用途が限定されざるを得なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そのため、実質的に臭
いがなく、安定性が大きく、かつ揮散性のある防菌防カ
ビ性の化合物を見出し、これを有効成分とする防菌防カ
ビ剤の提供が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決するために、数多くの化合物について、その抗菌
性、抗カビ性および臭気等を検索した結果、2−ジヒド
ロターピニルオキシエタノールが、実質的に臭いがな
く、安定性が大きく、かつ揮散性のある防菌防カビ性物
質であることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、2−ジヒドロターピニ
ルオキシエタノールを有効成分として含有する防菌防カ
ビ剤を提供するものである。
【0008】また本発明は、2−ジヒドロターピニルオ
キシエタノールを気体状態で対象物と接触させる防菌防
カビ方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の有効成分である2−ジヒ
ドロターピニルオキシエタノールは、式(I)で示され
る化合物であり、2−(1−メチル−1−(4−メチル
シクロヘキシル)エトキシ)−エタノールと表すことも
できる。
【0010】
【化1】
【0011】この化合物は、無色透明の液体であり、実
質的に臭いがないものである。また、グリコールエーテ
ルのひとつで、炭素、水素および酸素原子のみからな
り、反応性の大きい元素や官能基をもたないため、安定
性が大きく、家庭用あるいは工業用として広く使うこと
ができる。
【0012】この2−ジヒドロターピニルオキシエタノ
ールは、テレビン油などの天然精油に含まれるα−ピネ
ンとエチレングリコールから得られる2−ターピニルオ
キシエタノールを水添する方法などによって、製造でき
る化合物である。
【0013】本発明の防菌防カビ剤は、上記2−ジヒド
ロターピニルオキシエタノールを通常の防菌製剤あるい
は防カビ製剤に使用される担体や成分等と組合せ、製剤
化することにより調製される。
【0014】例えば、本発明の防菌防カビ剤は、2−ジ
ヒドロターピニルオキシエタノールをそのまま、あるい
はこれを溶剤に溶解または可溶化して、液体製剤とする
ことができる。溶剤としては、水、アルコール類、炭化
水素類、グリコールエーテル類などを用いることができ
る。この液体製剤は、そのまま容器に入れた製剤とした
り、吸い上げ芯で吸い上げて揮散させる液芯型製剤とし
たり、浸透透過性フィルムを有する容器に入れフィルム
を通して揮散させる製剤としたり、ゲル化剤を加えてゲ
ル製剤とすることもできる。対象物によっては、液体製
剤を直接対象物に塗布、含浸したり、スプレー製剤とし
て対象物に散布することも可能である。
【0015】また、本発明の防菌防カビ剤は、担体に担
持させて固体製剤とすることもできる。担体としては、
セルロース、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリウレタン、羊毛、タルク、クレ
ー、素焼き、陶磁器粉などからなる粉末、顆粒、錠剤、
シート、マット、フェルト、スポンジ、板、紙、織布、
不織布、フィルム状などの多孔性または非多孔性担体、
トリイソプロピルトリオキサン、シクロドデカンなどの
昇華性担体、フマル酸、安息香酸などの水溶性担体など
を用いることができる。担持の方法としては、滴下、散
布、噴霧などによる含浸、塗布、印刷、練り混みなどを
挙げることができる。これらの固体製剤は、さらに、プ
ラスチックケースや不織布袋などに入れて使用すること
もできる。
【0016】更に、本発明の防菌防カビ剤は、他の薬
剤、例えば、エムペントリンなどの防虫剤、p−メンタ
ン−3,8−ジオールなどの忌避剤、ベンゾトリアゾー
ルなどの防錆剤、塩化カルシウムなどの除湿剤などとと
もに用い、効果の複合化をはかることもできる。更にま
た、他の防菌防カビ剤と併用し、抗菌スペクトルの拡
大、効果のスピードアップなどをはかることもできる。
特に本発明の防菌防カビ剤の有効成分である2−ジヒド
ロターピニルオキシエタノールは、溶剤としての優れた
性質ももっているため、これらの用途に用いるとき、他
の剤と溶解混合しやすいという利点もある。
【0017】以上のようにして得られる本発明の防菌防
カビ剤は、種々の方法により使用することができる。例
えば、その使用法のひとつは、非揮散性の防菌防カビ剤
と同様に、対象物に塗布、散布したり、練り込んで、そ
の防菌防カビをはかるものである。対象物としては、建
材、木材、塗料、化粧品、日用品などを挙げることがで
きる。
【0018】別の使用法の例としては、揮散性の防菌防
カビ製剤として、対象物とともに密閉性の高い容器に入
れたり、対象物の近傍に置いて、その防菌防カビをはか
るものである。対象物としては、繊維製品、皮革製品、
書籍、絵画、カメラなどを挙げることができる。容器と
しては、タンス、引き出し、衣装箱、保存箱、保存袋な
どが適当である。
【0019】更に別の使用方法の例としては、揮散性の
防菌防カビ製剤として、押入、下駄箱、流しの下など菌
やカビの発生しやすい場所に置き、その場所の防菌防カ
ビをはかる使い方を挙げることができる。この場合は、
そこに置かれたものの防菌防カビも、同時にはかること
ができる。
【0020】本発明の防菌防カビ剤において、有効成分
である2−ジヒドロターピニルオキシエタノールが揮散
性を有することは、用途が広がるという点で、大きな意
味をもっている。すなわち、非揮散性の防菌防カビ剤の
使い方は、対象物への塗布、散布、あるいは練り込みな
どに限定されるが、この方法では、対象物が繊維製品や
皮革製品のときには、塗布や散布によって汚染されるこ
とがある。また、対象物への塗布、散布、あるいは練り
込みでは、使用場所や条件によっては、時間とともに、
対象物の表面に菌やカビの栄養源になる物質が付着し、
防菌防カビ剤と菌やカビとの接触が妨げられる結果、効
果が持続しないこともある。
【0021】これに対して、揮散性の防菌防カビ剤を用
い、気体で対象物と接触させる方法には、このような制
約はない。気体で接触するため対象物を汚染することが
少なく、常に対象物の表面を覆うため効果が長時間持続
する。さらに、小さな隙間や手の届かない場所にまで、
有効成分がゆきわたって効果を発揮するという特長があ
る。
【0022】
【発明の効果】本発明において有効成分として使用する
2−ジヒドロターピニルオキシエタノールは、実質的に
臭いがなく、安定性が大きく、かつ揮散性を有する防菌
防カビ成分である。
【0023】そのため、これを含有する防菌防カビ剤
は、家庭用、工業用の広い分野において便利に使用する
ことができるものである。
【0024】
【実施例】次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約される
ものではない。
【0025】実 施 例 1 代表的な細菌およびカビに対する、2−ジヒドロターピ
ニルオキシエタノールの基本的な抗菌活性および抗カビ
活性を次の試験で評価した。
【0026】まず、直径90mm、高さ20mmのシャ
ーレに、2−ジヒドロターピニルオキシエタノール(日
本テルペン化学株式会社製、以下の実施例も同じ)を種
々の濃度で含むポテトデキストロース寒天培地20ml
を注入し、固化させた。次いで、この培地に、約10
個/mlに調製した下記の試験カビの胞子液50μlを
塗布し、25℃で培養した。7日後の成育状況を観察
し、生育の認められなかった最小濃度を最低発育阻止濃
度とした。
【0027】同様の試験において、培地を普通寒天培地
に、カビの胞子液を下記の試験細菌の菌液に、温度、時
間を37℃、24時間に変えて、細菌に対する最低発育
阻止濃度を求めた。これらの結果を表1に示す。
【0028】[ 試験カビ ] アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)IFO
6341 ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)I
FO 6352 クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladsporiu
m cladosporioides) IFO 6348
【0029】[ 試験細菌 ] エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)IFO 33
01 スタフィロコカス・オーレウス(Staphylococcus)IF
O 14462
【0030】[ 結 果 ]
【表1】
【0031】実 施 例 2 代表的な細菌およびカビに対する、気体状態での2−ジ
ヒドロターピニルオキシエタノールの抗菌活性および抗
カビ活性を次の試験で評価した。
【0032】まず、直径50mm、高さ10mmのシャ
ーレに、ポテトデキストローズ寒天培地5mlを入れて
固め、その上に約10個/mlに調製した上記試験カ
ビの胞子懸濁液50μlを塗布した。このシャーレを、
直径75mm、高さ120mmの腰高シャーレ(内容積
500ml)の底部に置いた。一方、腰高シャーレの蓋
部の内側に、種々の量の2−ジヒドロターピニルオキシ
エタノールを含浸した濾紙を固定し、蓋をかぶせて、2
5℃で培養した。4日後の成育状況を観察し、生育の認
められなかった最小量を最低発育阻止量とした。
【0033】同様の試験において、培地を普通寒天培地
に、カビの胞子液を上記試験細菌の菌液に、温度、時間
を37℃、24時間に変えて、細菌に対する最低発育阻
止量を求めた。この結果を表2に示す。
【0034】[ 結 果 ]
【表2】 以 上

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−ジヒドロターピニルオキシエタノー
    ルを有効成分として含有する防菌防カビ剤。
  2. 【請求項2】 揮散性である請求項第1項記載の防菌防
    カビ剤。
  3. 【請求項3】 2−ジヒドロターピニルオキシエタノー
    ルを気体状態で対象物と接触させることを特徴とする防
    菌防カビ方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007097738A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Kobayashi Pharmaceut Co Ltd 空間除菌用組成物
WO2012090977A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 三菱瓦斯化学株式会社 新規脂環式アルコール

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