JP2001323318A - 板部材の成形方法 - Google Patents

板部材の成形方法

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JP2001323318A
JP2001323318A JP2000141305A JP2000141305A JP2001323318A JP 2001323318 A JP2001323318 A JP 2001323318A JP 2000141305 A JP2000141305 A JP 2000141305A JP 2000141305 A JP2000141305 A JP 2000141305A JP 2001323318 A JP2001323318 A JP 2001323318A
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induction heating
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Yoshitaka Misaka
佳孝 三阪
Yutaka Kiyozawa
裕 清澤
Kiyoshi Fukui
清 福井
Shinichiro Taniguchi
真一郎 谷口
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Neturen Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Neturen Co Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間加工性の悪い薄板材に簡易に筒状突起を
成形する成形方法。 【解決手段】 板材Sに所定径の孔d1 を穿孔し、該孔
1 の内周近辺を誘導加熱により焼なましした後、該孔
周辺の肉を孔拡げ成形して内径d2 の筒状突起を形成さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板材に筒状突起を
形成させたり、あるいは例えば自動車部品のキャリアー
などに使用される底無しキャップ形部材の製造などの冷
間成形方法に関するものであり、とくに成形性の小さい
薄板材料から孔拡げ成形する板部材の成形方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】通常、図1に示すような底無しキャップ
形部材を薄板材から製造する場合には、深絞り加工して
上底を打ち抜くか、あるいは刊行物(プレス成形難易ハ
ンドブック、日刊工業新聞社刊1997年423頁)の
孔拡げ成形に記載されるように、板材に穿孔した後、成
形加工される。とりわけ、加工工程の短い後者の加工方
法が一般に多く用いられている(前掲423頁)。この
孔拡げ特性を高めるためには伸びの大きな鋼板が適して
いる。
【0003】一方、孔拡げ加工の上、熱処理を施して壁
部に高い強度を付与するような部材では、炭素量が高い
鋼板(高炭素鋼板)の適用が避けられない。しかし、こ
のような引張強度の高い鋼板では、穿孔部の加工硬化が
顕著になり、この部位の延性が大きく減少する。そのた
め、孔拡げ加工の加工度の目安となる壁高さを小さく限
定せざるを得なかった。
【0004】そこで従来は、このような孔拡げ成形が困
難な高強度鋼板を用いて、例えば図1の形状の底無しキ
ャップ形部材を成形する場合には、図3の(a)〜
(c)に示すように薄板円板の材料を複数の段階の工程
で順次キャップ形に深絞りを行った後、図3の(d)に
鎖線で示すキャップの頭部を切断し、(e)の形状に成
形する方法がとられている。しかし、この方法では、プ
レス加工と切断加工の双方が必要であり、加工工数が増
して工程が煩雑になる。
【0005】また、この加工方法を用いても、引張強度
が高く加工性が低い鋼板で加工度の大きい部材を製造す
る場合には、加工部を軟化処理することが必要であっ
た。そこで、従来は、高炭素鋼のような成形性の低い薄
鋼板で孔拡げ加工度の大きい部材を製作する場合には、
被成形材全体を光輝焼なましをする場合が多かった。こ
のため、光輝焼なましや箱焼なましの設備などが必要で
あり、設備費が増し、コスト高になった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、冷間加工の途中
段階で成形材を加熱して、回復または再結晶、さらには
炭化物の球状化組織の確保を図りながら加工することに
より、加工度の高い冷間加工を行う技術として、特開平
8−253809号などが開示されており、その加熱に
誘導加熱を採用することも記載されている。しかしなが
ら、特開平8−253809号記載の発明は、線材全体
を加熱するもので、本発明のように加工部の局部を加熱
することにより加工度の向上を目的とするものではな
い。また、特開平8−253809号記載の炭素量の高
い材料では、加熱後の冷却速度に制約を生じ、焼なまし
の処理時間が長いという工程上の欠点があった。また、
局部を軟化する技術は特開平9−143554号に開示
されているが、この発明は軟質の低炭素鋼板を前提とし
ており、高強度鋼板、高炭素鋼板に適合する条件を開示
した発明にはなっていない。
【0007】これに対し本発明は、高強度薄鋼板などに
より、前記した底無しキャップ形の部材などを加工する
成形方法に関するものである。ここで本発明の成形方法
は、効率的な孔拡げ成形を前提とし、工程が煩雑で経済
性の低い光輝焼なましや、箱焼なましなどにより部材全
体に中間焼なましを施すことなく成形度の大きな(孔拡
げ成形における壁高さの大きな)部材の成形を可能とす
るものである。
【0008】すなわち本発明は、高強度の鋼板により前
記の部材を孔拡げ成形する場合においても、孔周辺を誘
導加熱することにより、部材全体を焼なましする光輝焼
なましや箱焼なましの設備など要せずに、孔拡げ突起部
の成形度の大きい(孔拡げ成形における壁高さの大き
い)部材の成形を可能とするものである。これにより、
例えば板材に筒状突起を成形したり、底無しキャップ形
部材の成形加工が容易になり、コストが低減できる加工
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の板部材の成形方法は、板材に所定径の孔を
穿孔し、該孔の内周近辺を誘導加熱により焼なましした
後、該孔周辺の肉を孔拡げ成形して板材に筒状突起を形
成させ、あるいは該孔周辺の肉を孔拡げ成形してキャッ
プ胴部を形成させて底無しキャップ形部材を成形するこ
とを特徴とするものである。
【0010】すなわち本発明は、加工途中に孔の内周近
辺のみを誘導加熱して軟化させることにより、光輝焼な
ましや箱焼なましの設備など要せずに、従来困難とされ
ていた高強度鋼板から、底無しの筒状またはキャップ状
の成形部を有する部材を効率的に加工する方法を見出だ
したものである。
【0011】このような誘導加熱による焼なましは、加
工硬化した孔周辺のみを容易に局部加熱できるので、雰
囲気炉による全体の焼なましよりもエネルギが少なくて
すむ。また、このように孔拡げ加工により筒状突起を一
体成形すれば、板部材に筒状突起あるいは底無しキャッ
プ形部材を溶接して成形する工法に比して、上記部材が
効率的に加工できる。
【0012】前記板材は質量%でC:0.10〜1.0
0、Mn+Cr+Mo:0.40〜2.0及びB:0.
0001〜0.0050を含み、残部がFe及び不可避
的合金元素からなり、フェライトと平均粒径が0.3μ
m以上の球状化した炭化物(セメンタイト)を有する金
属組織からなる薄鋼板であることが望ましい。
【0013】または、前記板材は質量%でC:0.01
〜0.30、Mn+Cr+Mo:0.40〜2.0及び
B:0.0001〜0.0050を含み、残部がFe及
び不可避的合金元素からなり、フェライトとベイナイト
あるいはパーライトを有する金属組織からなる薄鋼板で
あることが望ましい。
【0014】上記板材の成分及び金属組織を限定した理
由について以下に述べる。 (成分の条件) (a)C:C量は熱処理後の鋼製品に対する耐摩耗性、
疲労強度の向上を目的として、特定量含有する必要があ
る。本発明においては、冷間成形後、あるいは焼入れ、
焼戻しなどの熱処理により、孔拡げなどで成形した部材
の壁部に400MPa以上の引張強度が必要となる。こ
のためC量は0.01%が必要になる。一方、過度のC
量の増加は強度を上昇するが加工性を低下する。そこ
で、鋼板に焼なましを施さない場合の素材のC量の下限
は0.01%とした。また、C量が0.10%を超える
と加工性が低下するために、予めセメンタイトを球状化
する球状化焼なましを施すことが望ましい。さらにC量
が1.00%を超えると、焼なましを施してセメンタイ
トを球状化しても十分な加工性が確保できないので、C
量の上限を1.00%とした。
【0015】(b) Mn+Cr+Mo:Mn,Cr,
Moは、素材強度の向上、あるいは熱処理時の焼入性の
確保、靭性向上のために適量添加することが有効であ
る。この有効性を確保するためには、Mn+Cr+Mo
を0.40%以上添加することが必要である。しかし、
2.0%を超える添加は素材を過度に硬化し、本発明の
中間焼なましを施しても冷間成形が困難になる。このた
め、Mn+Cr+Moの添加量の範囲を0.40〜2.
0%とした。
【0016】(c)B:Bは、素材強度の上昇、あるい
は熱処理時の焼入性の確保、靭性向上のために適量添加
することが有効である。この有効性を確保するために
は、Bは0.0001%以上の添加が必要である。しか
し、0.0050%以上添加すると、かえって焼入性の
低下が生ずる。このため、Bの添加量の範囲を0.00
01〜0.0050%とした。
【0017】(金属組織条件)C量が0.10〜1.0
0%の場合、フェライト中にベイナイトまたはパーライ
トが析出すると引張強度が過度に上昇し、加工性が劣化
する。このために、金属組織において、フェライト中に
球状化したセメンタイトが分散することを前提とし、軟
質化を目的として焼なましを施す。この際、良好な加工
性を確保するためにセメンタイトの平均粒径を0.3μ
m以上と規定する。一方、C量が0.01〜0.10%
の場合には、フェライト中にベイナイトまたはパーライ
トが析出しても過度に引張強度が上昇することはない。
このことから、C量が0.01〜0.10%の場合に
は、フェライト中にベイナイトまたはパーライトを有す
る組織でも良いこととした。
【0018】(誘導加熱条件)前記誘導加熱による焼な
ましは、最高温度がAc1 −200℃〜Ac1 +50℃
になるように加熱した後、5℃/sec以上の冷却速度
で放冷して行うことが望ましい。
【0019】本発明は、孔拡げ加工に関するものであ
り、成形部材にまず穿孔が施されるが、穿孔された孔の
内周部は加工硬化しており、この状態で孔拡げ加工する
と、小さい加工度で割れが生ずる。
【0020】そこで孔の内周周辺を上記条件で焼なまし
して軟化させた後孔拡げ加工する。ここで、最高温度を
規定した理由は、誘導加熱であるために温度測定が光学
的に行われること、および加工部の端面近傍が最高温度
になる温度勾配を有することから、機械的性質を支配す
る最高点の温度を規定したものである。
【0021】最高温度がAc1 −200℃以下である
と、加工されたフェライトと炭化物を中心とした金属組
織が十分回復しないために、伸びが不足して加工時に割
れが生じ易くなる。一方、Ac1 +50℃を超えると、
とくにC量が0.1%以上でセメンタイトを予め球状化
した場合には、セメンタイトがパーライトに変化し、伸
びが低下して加工性が劣化する。また、C量が0.1%
を下回った場合でも伸びが低下して加工性が劣化するこ
とから加熱温度の上限をAc1 +50℃とする。通常、
この場合の箱焼なましなどの焼なまし温度は、710℃
程度が適用されている。しかし、誘導加熱においては加
熱時間が短いため、Ac1 以上の温度に加熱しても炭化
物が分解固溶せず、パーライトへの変化が抑制される。
このAc1以上の加熱温度の適用は、短時間の軟質化に
極めて有効であり、本発明の大きな特徴である。
【0022】誘導加熱後の冷却については、前述の特開
平8−253809号にに示されるように、従来技術で
は冷却速度を小さくして徐冷する必要があった。しか
し、本発明の孔拡げ加工では、穿孔による塑性加工を受
ける領域が孔内周端面に限定されるために、大気中の放
冷程度の5℃/sec以上の冷却速度が許容される。し
かし、水冷などの過度の急冷は加熱部を硬化するので適
切でない。
【0023】(加工条件)孔拡げ成形には、一般に円筒
形パンチと円錐型パンチの2種のパンチが用いられる。
円筒形パンチはフランジのような形状の加工には適当で
あるが、大きな孔拡げ率が得られ難い。一方、円錐型パ
ンチは、円筒型孔拡げ加工に形状が限定されるが大きな
孔拡げ率が得られ易い。そこで、本発明の成型加工には
円錐形パンチを使用することが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の板材に筒状突起を
成形する方法について図示の一実施形態について具体的
に説明する。図1は本発明実施形態の筒状突起の形状を
示す断面図、図2は本発明実施形態の筒状突起の成形工
程を示す図である。
【0025】本発明の成形工程は、図2において、まず
(a)の板材Sに(b)の工程で孔径d1 の孔を穿孔す
る。次に(c)の工程で、孔内周近辺を誘導加熱コイル
1を用いて所定温度に加熱、冷却して焼なましする。そ
の後、(d)の工程で所定のパンチとダイスを用いて孔
径d2 に孔拡げ加工を行い、高さTの筒状突起を成形す
る。これによって、板材に筒状突起を成形した部材や、
あるいは図1に示すような底無しキャップ形部材を成形
する。
【0026】[実施例1]まず、請求項3に記載する
C:0.10〜1.00質量%の鋼板の成分と組織の影
響を調査するために、表1に示す試料を実験室的に溶解
し、板厚0.5mmの板材を作成し以下の試験を行っ
た。表1の試料No.1〜10は本発明の材料、No.
11〜17は比較材である。金属組織をフェライト+球
状セメンタイト組織にし、機械的性質を表1の数値に設
定した。
【0027】
【表1】
【0028】この試料鋼板にd1 =12mmφのポンチ
孔をクリアランス20%で穿孔した後、誘導加熱コイル
1を用いて孔周辺を下記の条件により加熱、冷却した。 周波数:10kHz 最高到達温度×保持時間:750℃×20sec. 冷却条件:室温放冷(10℃/sec)
【0029】この鋼板に円錐パンチを用いて、ダイス径
24〜50mmで破断面側を外にして孔拡げ加工し、割
れが発生する限界孔拡げ高さを比較した。さらにその
後、800℃×20min均熱し、60℃の油中焼入れ
した。そして表面硬さをビッカーススケールで測定し
た。
【0030】試験結果は表1に示すように、比較材N
o.11,14はC量が低く、孔拡げ高さは大きいが焼
入硬さが低い。また、No.12はC量が高く、No.
13はMn+Cr+Mo量が高いため孔拡げ高さが低
い。No.15はB量が本発明範囲外で焼入硬さが低
い。No.16はセメンタイトの平均粒径が0.1μm
と本発明外に小さく孔拡げ高さが低い。また、No.1
7は組織がパーライトであり、孔拡げ高さが低い。この
ように比較材はいずれも、孔拡げ加工性が低いことが判
った。
【0031】これに対し、本発明範囲のNo.1〜10
の試料は、焼入硬さの高いNo.5の孔拡げ高さがやや
低いものの、いずれも十分な焼入硬さと孔拡げ高さを示
し、本発明の成分範囲と組織の有効性が示された。
【0032】[実施例2]次に、請求項4に記載する
C:0.01〜0.30質量%の鋼板の成分と金属組織
の影響を調査するために、表2に示す試料を前記実施例
1と同様に実験室的に溶解し、板厚0.5mmの板材を
作成し以下の試験を行った。表2の試料No.18〜2
2は本発明の材料、No.23〜27は比較材である。
金属組織をフェライト+パーライト組織にし、機械的性
質を表2の数値に設定した。
【0033】
【表2】
【0034】この試料鋼板に、実施例1と同様の条件
で、穿孔、高周波誘導加熱、冷却、孔拡げ加工した。
【0035】試験結果は表2に示すように、比較材N
o.23は孔拡げ高さは大きいが、Mn+Cr+Mo量
が低く、十分な引張強度が得られず部材としての強度が
不足した。No.24、26はMn+Cr+Mo量が、
No.23はC量が本発明の範囲を超え、いずれも孔拡
げ高さが低い。No.27はB量が本発明の範囲を超え
るために孔拡げ高さが低い。このように比較材はいずれ
も、孔拡げ加工性が低いことが判った。
【0036】これに対し、本発明範囲のNo.18〜2
2の試料は、いずれも良好な孔拡げ高さを示し、本発明
の成分範囲と組織の有効性が示された。
【0037】[実施例3]次に、前記実施例1及び2に
示した試料No.2及びNo.19を用いて、請求項5
に記載する誘導加熱による焼なましの条件について試験
した。その条件と孔拡げ試験の結果を表3に示す。孔拡
げの条件は実施例1と同様である。
【0038】
【表3】
【0039】表3の条件A,B,Cは表1の試料No.
2について、D,Eは表2の試料No.19についての
本発明範囲の加熱条件の場合を示す。また、条件F,
G,Hは前記A,B,Cに対応する試料No.2につい
ての本発明範囲外の比較条件、I,Jは、前記D,Eに
対応する試料No.19についての本発明範囲外の比較
条件の場合である。
【0040】表3の試料No.2の比較条件F,G,H
について見ると、Fは加熱温度が本発明範囲外に低くす
ぎ、Hは加熱温度が高すぎ、Gは冷却速度が極端に大き
く急冷されたために、いずれも孔拡げ高さが低い。これ
に対し、本発明条件範囲の条件A,B,Cは、いずれも
良好な孔拡げ高さを示す。
【0041】また、表3の試料No.19についても同
様に、比較条件I,Jについて、Iは加熱温度が低くす
ぎ、Jは加熱温度が高すぎて孔拡げ高さが低く、いずれ
も孔拡げ加工性が悪い。これに対し、本発明条件範囲の
条件D,Eは、いずれも良好な孔拡げ高さを示す。上記
結果から本発明の焼なまし条件が適正であることが判っ
た。
【0042】[実施例4]本実施例4では、加工中の焼
なましの効果とパンチ形状の効果の確認の試験をした。
【0043】試験には、下記仕様の薄板を用いて評価に
供した。 薄板材質:S35C材(質量%で0.35C−0.2S
i−0.8Mn−0.05Cr) 薄板板厚:0.5mm 製造履歴:冷間圧延−球状化焼なまし材 金属組織:フェライト+球状化セメンタイト(平均粒径
0.5μm) 機械的性質:降伏強さ=320MPa,引張強度=42
0MPa,伸び=32%
【0044】上記の薄板に、d1 =12mmφのポンチ
孔をクリアランス20%で穿孔した後、誘導加熱コイル
1を用いて孔周辺を下記の条件により加熱した。 周波数:10kHz 最高到達温度×保持時間:760℃×20sec. 冷却条件:室温放冷(8℃/sec)
【0045】その後、孔拡げ加工を行った。孔拡げ加工
は16〜30mmφの円錐パンチと孔径24〜38mm
φのダイスを用いて、パンチ径とダイス孔径を適宜調整
して行った。このときダイスと被加工材とのクリアラン
スは0.4mmにした。
【0046】本発明の効果を確認するために、パンチ穿
孔した下記3条件の部材について、円筒形パンチを用い
た場合と円錐形パンチを用いた場合について、孔拡げ加
工条件を変えて加工性を比較した。その結果を表4に示
す。 上記条件で誘導加熱により焼なましした部材 従来用いられる非酸化性雰囲気(窒素)中で710℃
×4hr箱焼なましした部材 パンチ穿孔のままの部材
【0047】
【表4】
【0048】表4の円錐形パンチを用いた試験結果につ
いてみると、パンチ穿孔ままの場合には、孔拡げの孔径
20mmφ、突起部の高さ4.0mmまでの孔拡げ成形
が可能であり、従来方法の箱焼なましを行った場合は、
孔径24mmφ、突起部の高さ6.0mmまでの孔拡げ
成形は可能であったが、孔径をそれ以上にすると突起部
に割れなどの欠陥が生じた。これに対し、本発明方法の
誘導加熱焼なましを行った場合には、孔径30mmφ、
突起部の高さ9.0mmにすると欠陥が生じたが、孔径
28mmφ、突起部の高さ7.0mmまでは欠陥がなく
孔拡げ加工ができた。
【0049】また、表4の円筒形パンチを用いた試験結
果についてみると、パンチ穿孔のままでは円錐形パンチ
と同様に孔径20mmφ、突起部の高さ4.0mmまで
の孔拡げ成形が可能であるが、箱焼なましを行った場合
は孔径20mmφ、突起部の高さ4.0mmまで、本発
明の方法でも、孔径24mmφ、突起部の高さ6.0m
mまでと前記円錐形パンチの場合に比して1ランク下の
孔拡げ加工で欠陥が発生した。
【0050】上記の結果から、本発明の誘導加熱による
焼なましの有効性と円錐型パンチの効果が認められた。
【0051】[実施例5]実施例5は底無しキャップの
成形について試験した。実施例5は実施例1と同一仕様
の薄板を使用し、下記寸法の底無しキャップ形部材を成
形した。 円板外径: D= 50mmφ キャップ胴部内径: d2 =25mmφ 板厚: t=0.5mm
【0052】製造条件は実施例1と同様である。この試
験結果、本発明の方法ではすべて欠陥の無い底無しキャ
ップ部材を得ることができた。なお、比較のために同工
程で焼なましを行わなかった試料は、すべて突起部先端
に割れが生じて正常な加工ができなかった。
【0053】これにより、底無しキャップ部材の製造に
おいて図3に示す従来工程のような複数回の絞り加工や
切断加工などが不要になりコストを低減できることが判
った。この焼なましも前述のように通常の光輝焼なまし
炉によることも可能であるが、誘導加熱による短時間加
熱焼なましによれば、通常炉による焼なましより材料の
延性が高くなり、孔拡げ成形の孔拡げ率を大きくでき、
これが本発明の特徴である。
【0054】以上述べたように、本発明の板材の加工方
法によれば、加工性が悪く冷間加工で割れが生じやすい
材料でも、穿孔後の冷間孔拡げ成形が容易になり、従来
方法に比し加工工数を減しコストを低減することができ
る。
【0055】なお、前記の焼なまし工程は通常の炉加熱
によっても可能であるが、本発明の誘導加熱による部分
加熱によれば、部材全体を加熱する従来方法に比して短
時間で処理することができ、省エネルギが可能になると
ともに、高周波加熱による短時間加熱の特性として通常
炉加熱よりも焼なまし部の延性が向上するので、孔拡げ
成形の際の孔拡げ率を大きくとることができる。
【0056】以上、本発明で見出だした知見は、1個の
穿孔部を有する薄鋼板部品のみならず、複数の穿孔部を
有する比較的厚肉の大型部材においても、加工の効率化
を図ることができる。例えば、ボイラの鏡板など複数の
円筒状突起を有する部材の成形にも利用できる。また、
筒状突起あるいはキャップの形状も丸形のみでなく角形
など種々の異形部材の孔拡げ成形にも有効性が発揮され
る。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の加工方法
によれば、板材に筒状突起を設けた部材や、底無しキャ
ップ形部材などが安価に製造できる。対象となる部材
は、1個の突起部を有する部材から、複数の突起部を有
する部材まで、適用が可能で、自動車部品などの複雑な
形状部材の加工における経済性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の筒状突起と底無しキャップ形部
材の形状を示す図である。
【図2】本発明実施例における筒状突起の成形方法の工
程を説明する図である。
【図3】従来の底無しキャップ形部材の成形方法の工程
を説明する図である。
【符号の説明】
S 薄板材、1 誘導加熱コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清澤 裕 神奈川県平塚市田村5893高周波熱錬株式会 社内 (72)発明者 福井 清 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 (72)発明者 谷口 真一郎 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板材に所定径の孔を穿孔し、該孔の内周
    近辺を誘導加熱により焼なましした後、該孔周辺の肉を
    孔拡げ成形して板材に筒状突起を形成させることを特徴
    とする板部材の成形方法。
  2. 【請求項2】 板材に所定径の孔を穿孔し、該孔の内周
    近辺を誘導加熱により焼なましした後、該孔周辺の肉を
    孔拡げ成形してキャップ胴部を形成させることを特徴と
    する底無しキャップ形部材の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記板材は質量%でC:0.10〜1.
    00、Mn+Cr+Mo:0.40〜2.0及びB:
    0.0001〜0.0050を含み、フェライトと平均
    粒径が0.3μm以上の球状化した炭化物を有する金属
    組織からなる薄鋼板であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の板部材の成形方法。
  4. 【請求項4】 前記板材は質量%でC:0.01〜0.
    30、Mn+Cr+Mo:0.40〜2.0及びB:
    0.0001〜0.0050を含み、フェライトとベイ
    ナイトあるいはパーライトを有する金属組織からなる薄
    鋼板であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    板部材の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記の誘導加熱による焼なましは、最高
    温度がAc1 −200℃〜Ac1 +50℃になるように
    加熱した後、5℃/sec以上の冷却速度で放冷して行
    うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の
    板部材の成形方法。
  6. 【請求項6】 前記孔拡げ成形は円錐型パンチで行うこ
    とを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の板部
    材の成形方法。
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