JPH09314276A - 高強度ステンレスボルトの製造方法 - Google Patents
高強度ステンレスボルトの製造方法Info
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- JPH09314276A JPH09314276A JP12815596A JP12815596A JPH09314276A JP H09314276 A JPH09314276 A JP H09314276A JP 12815596 A JP12815596 A JP 12815596A JP 12815596 A JP12815596 A JP 12815596A JP H09314276 A JPH09314276 A JP H09314276A
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Abstract
析出硬化型ステンレス鋼を、冷間鍛造または温間鍛造に
よってボルト成形するときに発生するボルト頭部の内部
割れを防止して、安価な高強度ステンレスボルトを製造
する方法を提供する。 【解決手段】固溶化熱処理して、マルテンサイト相90
体積%以上としたマルテンサイト系析出硬化型ステンレ
ス鋼を、冷間鍛造によりボルト素形材に成形した後、該
ボルト素形材の表面温度が150℃以下となるまで徐冷
却し、その後450〜650℃の温度で析出硬化熱処理
する。または、冷間鍛造後、該ボルト素形材の表面温度
が100℃より低い温度に達する以前に加熱して析出硬
化熱処理する。冷間鍛造後のボルトの冷却を制御するこ
とによってボルト頭部の内部割れを防止することができ
る。
Description
強度ボルトの製造方法に関する。
トとして、高強度で、かつ、耐食性を有するボルトに対
する要求が高まっている。このような用途には、比較的
低廉であり、また、太径ボルトも製造可能なJIS S
US630のようなマルテンサイト系析出硬化型ステン
レス鋼からなるボルトが使用されている。
施して所定のボルト頭部形状を有するボルト素形材に成
形加工する工程が含まれている。前記の鍛造加工方法と
しては、熱間鍛造加工と冷間鍛造加工とある。熱間加工
法による場合、成形加工は容易であるが、寸法精度、表
面品質の維持が困難であるという問題がある。他方、冷
間鍛造加工は、寸法精度、表面品質の優れた製品を大量
生産するのに適するが、冷間加工性のよい素材に限られ
る。
テンレス鋼は固溶化熱処理状態ではマルテンサイト組織
を呈し、一般に硬さが高く、例えば、SUS630では
固溶化熱処理後の硬さがHRC35程度となり、冷間加
工性が劣る。SUS630では、鋼を620〜800℃
の温度で焼鈍し、オーステナイト相を多量に含んだ金属
組織状態とすれば、冷間鍛造によってボルト頭部等の成
形を行うことができる。この場合には、高強度ボルトと
するために、ボルト成形後に固溶化熱処理を施し、しか
る後析出硬化熱処理して高強度化する必要がある。製品
の表面品質を維持するには、前記固溶化熱処理を保護雰
囲気中で行う必要があり、そのためコストが高くなるき
らいがあった。
低く押える等の鋼成分調整によって冷間加工性を高める
ことが考えられる。このように成分調整した鋼を用いる
ことにより、ボルト形状の成形は可能となった。しか
し、これによっても、なお、ボルト頭部に内部割れが生
じるものがあり、この内部われを完全に防止することが
できなかった。
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、マ
ルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼をボルト形状に
成形したときにボルト頭部の内部に生じる割れの発生を
防止することによって、表面品質の優れた高強度ステン
レスボルトを安価に供給できる製造方法を提供すること
にある。
に、本発明の高強度ステンレスボルトの製造方法は、 (1)900〜1100℃で固溶化熱処理して、体積百
分率で、マルテンサイト相90%以上としたマルテンサ
イト系析出硬化型ステンレス鋼を、冷間鍛造または20
0℃以下の温度で加熱して行う温間鍛造によってボルト
素形材に成形した後、該ボルト素形材の表面温度が15
0℃以下となるまで徐冷却し、その後450〜650℃
の温度で析出硬化熱処理することを特徴とする。 (2)900〜1100℃で固溶化熱処理して、体積百
分率で、マルテンサイト相90%以上としたマルテンサ
イト系析出硬化型ステンレス鋼を、冷間鍛造または20
0℃以下の温度で加熱して行う温間鍛造によってボルト
素形材に成形した後、該ボルト素形材の表面温度が10
0℃より低い温度に達する以前に加熱し、450〜65
0℃の温度で析出硬化熱処理することを特徴とする。 (3)上記(1)および(2)の何れか1項記載の高強
度ステンレスボルトの製造方法において、マルテンサイ
ト系析出硬化型ステンレス鋼が、以下の化学組成を有す
ることを特徴とする。
:0.015〜0.050%、Si:1.0%以下、
Mn:1.0%以下、P :0.040%以下、S :
0.030%以下、Cu:1.5〜5.0%、Ni:
3.0〜8.0%、Cr:13.0〜16.5%、M
o:1.5%以下、Nb:0.1〜0.5%、残余Fe
および不可避的不純物元素。
の製造方法では、予め固溶化熱処理を施したマルテンサ
イト系析出硬化型ステンレス鋼を冷間鍛造してボルト素
形材に成形する。そのため、従来のようにボルト成形後
に固溶化熱処理を行う必要がないという大きな効果があ
る。
ンレス鋼としては、固溶化熱処理によって、鋼マトリッ
クスがマルテンサイト化して高強度となるとともに、析
出硬化元素を固溶し、その後に行われる析出硬化熱処理
によって、さらに強度が上昇する鋼であって、好ましい
鋼としては、JIS SUS630が挙げられる。さら
に好ましくは、質量%で、C:0.015%以下、N:
0.015〜0.050%、Si:1.0%以下、M
n:1.0%以下、P:0.040%以下、S:0.0
30%以下、Cu:1.5〜5.0%、Ni:3.0〜
8.0%、Cr:13.0〜16.5%、Mo:1.5
%以下、Nb:0.1〜0.5%を含み残余Feおよび
不可避的不純物元素からなる鋼とする。
学組成を限定した理由について述べる。 C:0.015%以下 Cは、固溶化熱処理時の硬さ、変形能に大きく影響する
元素で、その含有率が低いほど硬さは低く、変形能は増
加する。本発明の鋼においては、C含有率は低いほど好
ましいが、製造コストを考慮して上限を0.015%と
する。好ましくは、C含有率は0.008%以下とす
る。
はCと同様の傾向を示すが、その影響の程度はCに比べ
て遥かに少ない。ピーク時効時の靭延性および過時効時
の強度保持効果を有するので0.015%以上含有させ
る。好ましくは0.030%以上とする。しかし、過剰
にNを含有すると固溶化熱処理状態の鋼の硬さを高め、
また、必要以上にγ相を安定として固溶化熱処理時に多
量の不安定γ相が残留するほか、過時効時に多量の逆変
態γ相を生じて強度の低下をきたすので、N含有率の上
限を0.050%とする。
大となると固溶化熱処理後の硬さが高くなる。また、δ
−フェライトの形成量が過大となり、鋼の熱間加工性を
損うので含有率の上限を1.0%とする。 Mn:1.0%以下 Mnは、鋼の脱酸剤として作用するほか、高価なNiの
代替元素としても有効なので添加する。しかし、Mn含
有率が過大となると鋼のMs 点を低下し、また、過時効
時の強度を低下するので含有率の上限を1.0%とす
る。
る。また、冷間加工性をも害するのでP含有率は低いほ
ど好ましいが、製造コストを考慮して許容し得るP含有
率の上限を0.040%とする。 S:0.030%以下 Sは、耐食性を著しく損い、また冷間加工性をも害する
ので含有率を低くすることが必要である。許容限を0.
030%とするが、好ましくは含有率を0.010%以
下とする。
に添加する。前記効果を発揮するためには1.5%の含
有を必要とするが、過大に含有すれば、鋼の熱間加工性
を損うので、含有率の上限を5.0%とする。 Ni:3.0〜8.0% Niは、強力なオーステナイト形成元素で、δ−フェラ
イトの生成を抑制し、鋼の耐食性を向上するので3.0
%以上を含有させる。しかし、過大に含有すれば、鋼の
Ms 点を低下して残留オーステナイト量を増し、析出硬
化熱処理後の強度を損うので含有率の上限を8.0%と
する。
る。しかし過大に含有すれば、δ−フェライトを多量に
生成し、熱間加工性を害するとともに、鋼の強度を著し
く低下するので含有率の上限を16.5%とする。 Mo:1.5%以下 Moは耐食性を向上するために添加してもよい。しか
し、フェライト安定化元素であって、多量に含有すると
δ−フェライトを生成し、鋼の熱間加工性を損うので含
有率の上限を1.5%とする。
化熱処理後の鋼の硬さを低め、冷間加工性を向上する。
また、析出硬化処理後の靭延性、特にピーク時効処理後
の靭延性を高めるために添加する。前記効果を得るため
には、0.1%以上のNb含有率が必要である。しかし
Nbを多量に含有するとδ−フェライト量を増し鋼の熱
間加工性を損うので含有率の上限を0.5%とする。
法において、固溶化熱処理は、鋼組織を強度の高いマル
テンサイトとするとともに、析出硬化元素Cuを鋼マト
リックスに固溶するために行う。固溶化熱処理の温度が
900℃未満では、析出硬化元素の固溶が十分に行われ
ないか、または析出硬化元素は固溶するが炭化物、窒化
物、炭窒化物等の固溶が十分に行われないため、強度の
高いマルテンサイトが得られない。また、固溶化熱処理
の温度が1100℃を超えると、炭化物、窒化物、炭窒
化物等の固溶が進みすぎて、鋼の結晶粒が粗大化した
り、固溶化熱処理後の鋼組織がフェライト相の多いもの
となって、鋼強度が低下したりする。それゆえ、固溶化
熱処理の温度は、900〜1100℃とする。
法においては、前述のマルテンサイト系析出硬化型ステ
ンレス鋼に固溶化熱処理を施して、体積率で90%以上
のマルテンサイト相を含む金属組織とする。前記固溶化
熱処理の後に該鋼に含まれる主な金属組織はオーステナ
イトとフェライトであるが、このオーステナイトとフェ
ライトはマルテンサイトに比べて強度が低い。それゆ
え、鋼の強度を維持するために、マルテンサイトが90
体積%以上とすることが必要である。
法においては、前記鋼を冷間鍛造してボルト素形材に成
形する。鋼の再結晶温度以下の温度に加熱して冷間加工
する温間鍛造によれば、鍛造加工の際の変形抵抗を減ず
ることができるが、この鋼の場合、200℃を超える温
度に加熱して鍛造するとボルト頭部に割れを生じるの
で、温間鍛造の際の加熱温度は200℃以下とする必要
がある。
ではひずみエネルギーによって、また、表層部では被加
工材とダイス、パンチなどの加工工具との摩擦によって
発熱し、昇温する。本発明の高強度ステンレスボルトの
製造方法の第1の実施態様においては、前記の鍛造加工
によって昇温したボルト素形材を、該鍛造加工後少なく
とも該ボルト素形材の表面温度が150℃以下となるま
で徐冷却する。その後、450〜650℃の温度に加熱
して析出硬化熱処理する。
または断熱材、保温媒体によって鍛造加工後の前記ボル
ト素形材を覆う等の方法によって、積極的に該ボルト素
形材の冷却を遅延する手段を講じて、放冷よりは遅い冷
却速度で冷却することである。該ボルト素形材を、適度
に加熱した空気、油等の浴槽に浸漬して冷却するのは好
ましい方法である。
ト素形材を150℃以下の温度まで徐冷却することによ
り、ボルト素形材の頭部に発生する内部割れを防止する
ことができる。上記本発明の第1の実施態様による場合
には、鍛造加工後のボルト素形材を、いったん室温まで
冷却した後、ねじ切り加工等の後加工を行うことができ
る利点がある。
法の第2の実施態様においては、前記の鍛造加工によっ
て昇温したボルト素形材を、100℃より低い温度に達
する以前に加熱して、450〜650℃の析出硬化熱処
理温度に持ちきたす。鍛造加工後のボルト素形材の冷却
の下限温度を100℃としたのは、100℃よりも低い
温度まで冷却するとボルト素形材の頭部に内部割れが発
生するからである。
は、100℃以上の温度における冷却速度には制限がな
いので、鍛造加工後のボルト素形材を短時間で冷却でき
る利点がある。本発明の高強度ステンレスボルトの製造
方法に用いるマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼
では、析出硬化熱処理の温度が、450℃以下では析出
硬化に長時間を要し、また650℃以上では過時効とな
って軟化してしまう。450〜650℃の温度で析出硬
化熱処理することによって高い強度を得ることができ
る。
し、熱間圧延により直径10mmの線材コイルに加工
後、1040℃、または950℃で固溶化熱処理し、直
径9.8mmに引抜き加工して素材とした。該素材を鍛
造加工によって図1に示す4工程でM10六角ボルト素
形材に成形した。鍛造加工としては、冷間鍛造、または
素材を150℃に加熱し温間鍛造によって行った。
バックまたはオイルバスに投入して徐冷却した。徐冷バ
ッックは鉄箱に断熱材を内張りされたものであり、ボル
ト素材を装入する前に熱風にてあらかじめ加熱した。ま
た、オイルバスは120℃に保持した焼入油の油槽であ
る。徐冷却開始後適当な時間保持してから徐冷装置から
取り出し、ボルト素形材の頭部表面の温度を接触温度計
によって測定し、そのまま空冷して室温まで冷却した。
比較のために、鍛造加工後そのまま空冷したボルト素形
材を作製した。これらのボルト素形材に所定の析出硬化
熱処理を施して供試材とした。
るボルト素形材の頭部の内部割れの有無、ボルト素形材
の頭部のロックウエル硬さを調べた。また、ボルト素形
材状態での引張強さを調べた。その結果を表2に示す。
する鋼を、熱間圧延して直径17.5mmの線材コイル
とした。これを1040℃で固溶化熱処理後、切断して
長さ81mmのスラグとし、冷間鍛造によって、図2に
示す4工程でM16高力ボルト素形材に加工した。
1の場合と同様の徐冷バックに投入して徐冷却した。冷
間鍛造による成形終了後の時間経過に伴うボルト素形材
頭部の表面温度を測定した。成形終了後15分経過した
ときのボルト素形材頭部の表面温度を表3に示す。徐冷
却終了時のボルト素形材頭部表面の温度を測定した後、
室温まで空冷した。比較のために鍛造加工後そのまま空
冷したボルト素形材を作製した。転造によってM16、
ピッチ2mmのねじを切り、その後595℃で析出硬化
熱処理を行ってM16高力ボルトを製作し、供試材とし
た。
るボルト素形材の頭部の内部割れの有無、ボルト素形材
の頭部のロックウエル硬さを調べた。また、ボルト素形
材状態での引張強さを調べた。その結果を表3に示す。
する鋼を、熱間圧延して直径16.5mmの線材コイル
とした。これを1040℃または950℃で固溶化熱処
理後、引抜き加工して直径16.2mmの素材とした。
該素材を、鍛造加工によって、図3に示す4工程でM1
6ボルト素形材に加工した。鍛造加工としては、冷間鍛
造、または素材を150℃に加熱して温間鍛造によって
行った。
1の場合と同様の徐冷バックまたはオイルバスに投入し
て徐冷却した。鍛造加工による成形終了後の時間経過に
伴うボルト素形材頭部の表面温度を測定した。成形終了
後15分経過したときのボルト素形材頭部の表面温度を
表4に示す。徐冷却終了時のボルト素形材頭部表面の温
度を測定した後、室温まで空冷した。比較のために鍛造
加工後そのまま空冷したボルト素形材を作成した。転造
によってM16、ピッチ2mmのねじを切り、その後5
95℃で析出硬化熱処理を行ってM16ボルトを製作
し、供試材とした。
るボルト素形材の頭部の内部割れの有無、ボルト素形材
の頭部のロックウエル硬さを調べた。また、供試材から
の削り出し試験片によって引張強さを調べた。その結果
を表4に示す。
して行う温間鍛造の鍛造加工によってボルト素形材に成
形し、その終了後15分経過したときのボルト素形材頭
部の表面温度を測定した結果を表3および表4に示す。
この結果によれば、本実施例における徐冷バックまたは
オイルバスを使用した場合は、前記鍛造加工終了後空冷
した場合に比べて、冷却速度が遅くなっていることが明
らかである。
温間鍛造後に空冷するか、あるいは冷間鍛造後に徐冷却
しても、徐冷却の終了温度が150℃よりも高い温度か
ら放冷した比較例1のような場合には、ボルト素形材頭
部に内部割れが検出されるものがあった。これに対し
て、本発明の実施例においては、析出硬化熱処理後のボ
ルト素形材の頭部の内部割れは全く検出されない。ま
た、本発明の実施例においては、高強度ステンレスボル
トとして十分な硬さと引張強さとを示している。 (実験4)表1に示す鋼1および鋼2の化学組成を有す
る鋼を、熱間圧延して直径10mmの線材コイルとし
た。これを1040℃または950℃で固溶化熱処理
後、引抜き加工して直径9.8mmの素材とした。該素
材を、鍛造加工によって、図1に示す4工程でM10ボ
ルト素形材に加工した。鍛造加工としては、冷間鍛造、
または前記素材を150℃に加熱して温間鍛造によって
行った。
所定の温度に達したら、予め所定の析出硬化熱処理温度
に調整した熱処理炉に装入して析出硬化熱処理を施し、
供試材とした。前記供試材について、超音波探傷試験に
よるボルト素形材の頭部の内部割れの有無、ボルト素形
材の頭部のロックウエル硬さを調べた。また、供試材か
らの削り出し試験片によって引張強さを調べた。その結
果を表5に示す。
する鋼を、熱間圧延して直径17.5mmの線材コイル
とした。これを1040℃で固溶化熱処理後、切断して
長さ81mmのスラグとし、冷間鍛造によって、図2に
示す4工程でM16高力ボルト素形材に加工した。
し、所定の温度に達したら、予め所定の析出硬化熱処理
温度に調整した熱処理炉に装入して析出硬化熱処理を施
して供試材とした。前記供試材について、超音波探傷試
験によるボルト素形材の頭部の内部割れの有無、ボルト
素形材の頭部のロックウエル硬さを調べた。また、供試
材からの削り出し試験片によって引張強さを調べた。そ
の結果を表6に示す。
または温間鍛造後に100℃よりも低い温度まで冷却し
た比較例においては、ボルト素形材頭部に内部割れが検
出されるものがあった。これに対して、鍛造加工後10
0℃以上の温度から析出硬化熱処理温度に移した本発明
の実施例においては、析出硬化熱処理後のボルト素形材
には頭部の内部割れは全く検出されない。また、本発明
の実施例においては、高強度ステンレスボルトとして十
分な硬さと引張強さとを示している。
溶化熱処理を施したマルテンサイト系析出硬化型ステン
レス鋼を冷間鍛造または温間鍛造によってボルト成形す
るとき、ボルト頭部の内部に生じる割れの発生を防止す
ることができ、表面品質の優れた高強度ステンレスボル
トを安価製造する方法を提供することができる。
程を示す工程図である。
程を示す第2の工程図である。
程を示す第3の工程図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 900〜1100℃で固溶化熱処理し
て、体積百分率で、マルテンサイト相90%以上とした
マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼を、冷間鍛造
または200℃以下の温度で加熱して行う温間鍛造によ
ってボルト素形材に成形した後、該ボルト素形材の表面
温度が150℃以下となるまで徐冷却し、その後450
〜650℃の温度で析出硬化熱処理することを特徴とす
る高強度ステンレスボルトの製造方法。 - 【請求項2】 900〜1100℃で固溶化熱処理し
て、体積百分率で、マルテンサイト相90%以上とした
マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼を、冷間鍛造
または200℃以下の温度で加熱して行う温間鍛造によ
ってボルト素形材に成形した後、該ボルト素形材の表面
温度が100℃より低い温度に達する以前に加熱し、4
50〜650℃の温度で析出硬化熱処理することを特徴
とする高強度ステンレスボルトの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1および請求項2の何れか1項記
載の高強度ステンレスボルトの製造方法において、マル
テンサイト系析出硬化型ステンレス鋼が、以下の化学組
成を有することを特徴とする。質量%で、 C :0.015%以下、 N :0.015〜0.050%、 Si:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、 P :0.040%以下、 S :0.030%以下、 Cu:1.5〜5.0%、 Ni:3.0〜8.0%、 Cr:13.0〜16.5%、 Mo:1.5%以下、 Nb:0.1〜0.5%、 残余Feおよび不可避的不純物元素。
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JP12815596A JP3776507B2 (ja) | 1996-05-23 | 1996-05-23 | 高強度ステンレスボルトの製造方法 |
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