JP5703934B2 - 冷鍛高周波焼入れ用鋼、冷鍛高周波焼入れ用棒鋼、自動車足回り部品および自動車用ハブ - Google Patents
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(e)SiおよびAlはいずれも、含有量が増加するとA3変態点が上昇する。したがって含有量が高くなると、急速加熱である高周波焼入れを実施する際にオーステナイトの単相組織を得にくくなるため、かえって焼入れ性を低下させてしまう。
fn1=Ti−3.4N・・・(1)
上記式(1)中のTiおよびNは、それぞれの元素の質量%での鋼中含有量を表す。
(4)上記(3)に記載の冷鍛高周波焼入れ用棒鋼を用いることを特徴とする自動車足回り部品。
(5)上記(1)または(2)に記載の化学組成を有することを特徴とする自動車用ハブ。
なお、残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものを指す。
Cは、鋼の高周波焼入れ後の表層硬さを高める効果を有する。その効果を十分に確保するには、Cを0.005%以上含有させる必要がある。一方、Cは冷間鍛造素材の硬さを増加させ、その結果、冷間鍛造時の変形抵抗を大きくする原因となる。このため、上限を設け、Cの含有量を0.005%以上で0.10%未満とした。Cの含有量は、0.01%以上とすることが好ましく、また0.09%以下とすることが好ましい。
Siは、A3点を上昇させるため、含有量が高くなると急速加熱である高周波焼入れを実施する際にオーステナイトの単相組織を得にくくなって、焼入れ性を低下させてしまう。このため、上限を設け、Siの含有量を0.30%以下とした。Siの含有量は、0.25%以下とすることが好ましい。Siの含有量は低ければ低いほど望ましいが、過度に低減させることはコスト上昇を招くので、0.01%程度が工業的な量産におけるSi含有量の下限になる。
Mnは、焼入れ性向上により高周波焼入れ後の表層硬さを高める作用がある。この効果を得るためには、Mnの含有量を0.20%以上とする必要がある。一方、Mnはフェライトを固溶強化し、冷間鍛造時の変形抵抗を大きし、変形能を低下させる原因となる。このため、上限を設け、Mnの含有量を0.20〜1.20%とした。Mnの含有量は、0.50%以上とすることが好ましく、また1.10%以下とすることが好ましい。
Pは、鋼中に不純物として含まれる元素である。その含有量が0.040%を超えると、結晶粒界に偏析して母材の靱性を低下させる。したがって、Pの含有量を0.040%以下とした。なお、Pの含有量は0.030%以下とすることが好ましい。不純物であるPの含有量は低ければ低いほど望ましい。
Sは、鋼中に不純物として含まれる元素である。また、積極的に含有させればMnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる効果を有する。しかしながら、Sの含有量が多くなって、特に0.050%を超えると、冷間加工時のクラックの発生原因となり冷間鍛造性を低下させる。したがって、Sの含有量を0.050%以下とした。冷間鍛造性を重視する場合には、Sの含有量は0.020%以下とすることが望ましく、低ければ低いほど望ましい。一方、被削性を重視する場合には、0.020%を超える量のSを積極的に含有させることが望ましい。
Alは、A3点を上昇させるため、含有量が高くなると急速加熱を伴う高周波焼入れでは焼入れ性を低下させてしまう。したがって、上限を設け、Alの含有量を0.050%以下とした。Alの含有量は、0.010%以下とすることが好ましい。Alの含有量は低ければ低いほど望ましいが、過度に低減させることはコスト上昇を招くので、0.001%程度が工業的な量産におけるAl含有量の下限になる。
Bは、本発明において、焼入れ性を高める非常に重要な元素である。この効果を得るには、Bを0.0002%以上含有させる必要がある。一方、Bの含有量が0.0050%を超えると、焼入れ性向上効果が飽和するばかりでなく、コストが高くなる。このため、上限を設け、Bの含有量を0.0002〜0.0050%とした。Bの含有量は、0.0005%以上とすることが好ましく、また0.0030%以下とすることが好ましい。
Tiは、Nと結合してTiNを形成することにより、固溶Nによる冷間加工中の動的ひずみ時効を低下させるとともに、焼入れ性に効くBがNと結合することを防ぐ効果がある。このような効果を得るためには、Tiは0.010%以上含有させる必要がある。本発明においては冷間鍛造時の変形抵抗を低くするために、C含有量を0.10%未満としているが、Tiを過剰に含有させると有効なCがTi炭化物となってしまうため、上限を設け、Tiの含有量を0.010〜0.080%とした。Tiの含有量は、0.020%以上とすることが好ましく、また0.050%以下とすることが好ましい。
Nは、固溶Nとして冷間鍛造時に動的ひずみ時効を生じさせ、変形抵抗を大きくするため、低減するほどよい。そのため、Nの含有量に上限を設けて0.0080%以下とした。Nの含有量は低ければ低いほど望ましいが、過度に低減させることはコスト上昇を招くので、0.0020%程度が工業的な量産におけるN含有量の下限になる。
Tiは、Nと優先的に結合し、BNの生成を抑えてBによる焼入れ性向上効果を発揮させる作用がある。このような効果を得るためには、化学量論的に、鋼中に含まれるN量とTi量について、式(1)、つまり、
fn1=Ti−3.4N・・・(1)
で表されるfn1が0を超える必要がある。ただし、式(1)中のTiおよびNは、それぞれの元素の質量%での鋼中含有量を意味する。
Cuは、鋼の焼入れ性を向上させる効果を有するため、この効果を得るためにCuを含有させてもよい。しかし、その含有量が多くなって、特に0.20%を超えると、曲げ疲労強度の低下を招く。したがって、含有させる場合のCuの含有量を0.20%以下とした。なお、含有させる場合のCuの量は0.15%以下とすることが好ましい。
Niは、鋼の焼入れ性を向上させる効果を有するため、この効果を得るためにNiを含有させてもよい。しかし、その含有量が多くなって、特に0.20%を超えると、高周波焼入れ時に焼き割れを生じる場合がある。したがって、含有させる場合のNiの含有量を0.20%以下とした。なお、含有させる場合のNiの量は0.15%以下とすることが好ましい。
Crも鋼の焼入れ性を向上させる効果を有するため、この効果を得るためにCrを含有させてもよい。しかし、Crは炭化物を形成しやすい元素であるため、その含有量が多くなって、特に0.20%を超えると、高周波焼入れ時にかえって焼入れ性を低下させてしまう。したがって、含有させる場合のCrの含有量を0.20%以下とした。なお、含有させる場合のCrの量は0.15%以下とすることが好ましい。
Moは、鋼の焼入れ性を向上させる効果を有するため、この効果を得るためにMoを含有させてもよい。しかし、Moは炭化物を形成しやすい元素であるため、その含有量が多くなって、特に0.20%を超えると、高周波焼入れ時にかえって焼入れ性を低下させてしまう。したがって、含有させる場合のMoの含有量を0.20%以下とした。なお、含有させる場合のMoの量は0.15%以下とすることが好ましい。
Vも鋼の焼入れ性を向上させる効果を有するため、この効果を得るためにVを含有させてもよい。しかし、Vは炭化物を作りやすい元素であるため、その含有量が多くなって、特に0.20%を超えると、高周波焼入れ時にかえって焼入れ性を低下させてしまう。したがって、含有させる場合のVの含有量を0.20%以下とした。なお、含有させる場合のVの量は0.15%以下とすることが好ましい。
Claims (5)
- 質量%で、C:0.005%以上で0.10%未満、Si:0.30%以下、Mn:0.20〜1.20%、P:0.040%以下、S:0.050%以下、Al:0.050%以下、B:0.0002〜0.0050%、Ti:0.010〜0.080%およびN:0.0080%以下を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、さらに下記の式(1)で表されるfn1が0を超える化学組成を有することを特徴とする冷鍛高周波焼入れ用鋼(ただし、鋼管用鋼を除く)。
fn1=Ti−3.4N・・・(1)
上記式(1)中のTiおよびNは、それぞれの元素の質量%での鋼中含有量を表す。 - Feの一部に代えて、Cu:0.20%以下、Ni:0.20%以下、Cr:0.20%以下、Mo:0.20%以下およびV:0.20%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷鍛高周波焼入れ用鋼。
- 請求項1または2に記載の化学組成を有することを特徴とする冷鍛高周波焼入れ用棒鋼。
- 請求項3に記載の冷鍛高周波焼入れ用棒鋼を用いることを特徴とする自動車足回り部品。
- 請求項1または2に記載の化学組成を有することを特徴とする自動車用ハブ。
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