JP2001321473A

JP2001321473A - アイアンゴルフクラブ

Info

Publication number: JP2001321473A
Application number: JP2000145081A
Authority: JP
Inventors: Mototaka Iwata; 元孝岩田; Naoyuki Masuda; 直幸益田
Original assignee: Mizuno Corp
Current assignee: Mizuno Corp
Priority date: 2000-05-17
Filing date: 2000-05-17
Publication date: 2001-11-20
Also published as: CN1366463A; CA2362843A1; EP1184051B1; US20010055996A1; WO2001087428A1; DE60101189D1; EP1184051A4; CN1283333C; DE60101189T2; EP1184051A1; TW589208B

Abstract

(57)【要約】【課題】製造の手間や時間や費用をかけずにフェース
の剛性を下げることにより反発性能を高め、ボールの飛
距離を大きくする。【解決手段】本発明のアイアンゴルフクラブは、フェ
ース面を有するヘッド部を備え、当該フェース面におけ
るスイートスポットに４４ｍ／ｓでボールを衝突させた
場合の反発係数が０．８１以上０．９５以下の範囲に存
在する。上記クラブにおいて、ヘッド部の有効フェース
面積が２５００ｍｍ²以上５０００ｍｍ²以下であり、有
効たわみ長さが３６ｍｍ以上７２ｍｍ以下であり、スイ
ートスポットにおけるフェース厚さが１．０ｍｍ以上
２．５ｍｍ以下である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はアイアンゴルフク
ラブに関し、特に打球時にフェース面を撓み易くするこ
とにより飛距離を向上させることが可能となるアイアン
ゴルフクラブに関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフクラブのヘッド部に関する第１の
従来例として、U.S.P.５８６３２６１号に記載されたも
のがある。この文献には、フェース板を２枚持ち、その
間を流体で固着させて、重ね板構造によって弾性変形を
起こすことによってゴルフクラブのエネルギーをボール
のエネルギーに有効に与える事により、飛距離を向上さ
せるゴルフクラブのヘッド部が開示されている。

【０００３】さらに、第２の従来例として、U.S.P.５６
０５５１１号には、フェース後方周辺壁部に中央部を囲
むように環状の溝部を設けたゴルフクラブのヘッド部が
開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ゴルフクラブに要求さ
れる項目として飛距離がある。特に、飛距離が大きく伸
びれば次のショットが楽になり、スコアの善し悪しにひ
びく。この飛距離に大きく関与する要因として、クラブ
フェースの反発性能がある。したがって、そのクラブフ
ェースの反発性能を高めることが重要となる。

【０００５】上述の第１の従来例に開示のゴルフクラブ
のヘッド部によれば、反発性能をある程度向上すること
はできるものと考えられる。しかしながら、第１の従来
例のようにフェース板を２枚を有する構造を製造するに
は、多大な接合の手間や費用がかかる。

【０００６】また、第２の従来例では、環状の溝部を設
けることで、耳に聞こえる振動を減少させるが、ボール
の飛距離を伸ばすものではない。また、環状の溝部を設
けることが必要となり、製造の手間や時間や費用もかか
る。

【０００７】それゆえに、この発明の主たる目的は、製
造の手間や時間や費用をかけずにフェースの剛性を下げ
ることにより反発性能を高め、ボールの飛距離を大きく
することができるヘッド部を有するアイアンゴルフクラ
ブを提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係るアイアンゴ
ルフクラブは、フェース面を有するヘッド部を備え、当
該フェース面におけるスイートスポットに４４ｍ／ｓで
ボールを衝突させた場合の反発係数が０．８１以上０．
９５以下の範囲に存在する。

【０００９】このようにフェース面のスイートスポット
における反発係数が高いので、スイートスポットで打球
した場合のみならずスイートスポット近傍で打球した場
合においても、ボールの飛距離を大きくすることができ
る。なお、反発係数を向上するには、たとえばフェース
部の肉厚を薄くすることで対応できるので、製造の手間
や時間や費用もかからない。

【００１０】上記アイアンゴルフクラブのヘッド部にお
いて、好ましくは、有効フェース面積が２５００ｍｍ²
以上５０００ｍｍ²以下である。ここで、「有効フェー
ス面積」とは、本願明細書では、フェース部において打
球時に実質的に撓み得る部分の表面積をいい、たとえば
中空構造のクラブヘッドにおいてはフェース部周辺の壁
部を除いたフェース中央部の表面積をいう。

【００１１】また、上記アイアンゴルフクラブのヘッド
部において、好ましくは、有効たわみ長さが３６ｍｍ以
上７２ｍｍ以下である。ここで、「有効たわみ長さ」と
は、フェース部において打球時に実質的に撓み得る部分
であって、スイートスポットを通り地面に対して垂直な
長さをいい、たとえば中空構造のクラブヘッドにおいて
はフェース部周辺の壁部間であってスイートスポットを
通り地面に対して垂直な長さをいう。

【００１２】本発明のアイアンゴルフクラブのヘッド部
では、好ましくは、スイートスポットにおけるフェース
厚さが１．０ｍｍ以上２．５ｍｍ以下である。また、フ
ェース部の弾性率は、３０ＧＰａ以上２１０ＧＰａ以下
であることが好ましい。

【００１３】なお、上記の各要件を適宜組合せてもよ
い。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明では、たとえばヘッド部に
おけるフェース厚を薄くすることにより、所定の速度で
フェース面に所定のボールを衝突させた際の反発係数を
向上させている。具体的には、スイートスポットに４４
±０．５ｍ／ｓでボールを衝突させた場合の反発係数
（後述する試験方法による反発係数）を０．８１以上
０．９５以下の範囲としている。

【００１５】上記のようにフェース厚を薄くすることに
より、フェース部は撓み易くなり、すなわち、弾性変形
がしやすくなり、ばね効果を発揮し、フェースの反発性
能を高めることができる。具体的には、フェース厚さ
を、１．０ｍｍ以上２．５ｍｍ以下とする。

【００１６】ここで、「フェース厚」とは、スイートス
ポットにおけるフェース面に対して垂直方向のフェース
部の板厚をいう。また、フェース部の弾性率は、３０Ｇ
Ｐａ以上２１０ＧＰａ以下であることが好ましい。

【００１７】ついで、有効フェース面積を大きくするこ
と、すなわち、フェースの中央部の変形領域を増やすこ
とによって、よりフェースの反発性能を高めることが可
能となる。具体的には、有効フェース面積が２５００ｍ
ｍ²以上５０００ｍｍ²以下である。

【００１８】ここで、「有効フェース面積」とは、本発
明では、フェース部において打球時に実質的に撓み得る
部分の表面積をいう。たとえば中空構造のヘッド部を有
するアイアンゴルフクラブの場合、本発明の有効フェー
ス面積は、フェース周辺壁部を除いたフェース中央部の
面積をいい、図１に示す例において斜線を施した部分の
面積をいう。

【００１９】また、有効たわみ長さを大きくすること、
すなわち、フェースの中央部におけるソール部からトッ
プエッジ部にかけての長さを増やすことによって、フェ
ースの反発性能を高めることが可能となる。具体的に
は、有効たわみ長さは、３６ｍｍ以上７２ｍｍ以下であ
る。

【００２０】ここで、「有効たわみ長さ」とは、本発明
では、フェース部において打球時に実質的に撓み得る部
分の長さであって、フェースにおけるスイートスポット
を通り、地面に対して垂直な長さをいう。たとえば中空
構造のヘッド部を有するアイアンゴルフクラブの場合、
本発明の有効たわみ長さは、フェース周辺壁部間の中
で、スイートスポット（フェーススコアライン中央）を
通り、地面に対して垂直な長さをいい、図１および図２
に示す例では、長さＬが有効たわみ長さに相当する。

【００２１】中空構造のヘッド部を有するアイアンゴル
フクラブの場合、フェース周囲の壁部がボール打撃時に
フェースが変形する支持部と考えられるので、その支持
間長さを大きくすることにより、壁部で囲まれた領域を
弾性変形し易くなる。その結果、上述のように反発性能
が高まる。

【００２２】さらには、同じ有効フェース面積でも、ボ
ールが衝突する位置での支持間長さが小さいと弾性変形
量は小さくなるため、支持間長さを大きくする工夫が必
要である。そこで、上記の有効たわみ長さを長くするこ
とによって、さらに、フェースの反発性能を高めること
ができる。

【００２３】次に、反発係数を測定する方法について説
明する。まず、アイアンゴルフクラブヘッドのフェース
面を地面および衝突させるゴルフボールに対して垂直に
たて、ゴルフボールをそのクラブヘッドのスコアライン
の中央、または、スイートスポット位置に衝突させて、
その衝突前のボールスピードＶin（本試験方法ではＶin
＝４４±０．５ｍ／ｓ）と衝突後のボールスピードＶou
tとを光学式センサーを有す速度測定器で計測する。

【００２４】その測定したＶinとＶoutと下記の数式１
から反発係数CORを算出する。Ｖｏｕｔ／Ｖin＝（COR×M−ｍ）／（M+m）・・・（１）ここで、Ｍはアイアンヘッドの質量であり、ｍはゴルフ
ボールの質量である。ゴルフボールとしては、ACUSHINE
T COMPANYより販売のピナクル・ゴールド（Pinnacle Go
ld LS）を使用する。ゴルフボールの平均重量は４５．
４±０．４グラムであり、テスト中、ゴルフボールは２
３±１℃に保った室内に保管する。

【００２５】以下、図１〜図３を用いて本発明の具体例
について説明する。図１は、この発明に係るアイアンゴ
ルフクラブのヘッド部１の分解斜視図である。図２は、
図１の前面部部品１０と後面部部品１１とを組付けた後
のＡ−Ａ線断面図である。なお、ゴルフクラブのシャフ
トおよびグリップの図示は省略している。

【００２６】図１に示すように、ヘッド部１は、前面部
部品１０と後面部部品１１とを一体に組付けることで構
成される。前面部部品１０は、中央部に凹部１３ｂと、
周縁部に接合部（壁部）６と、ホーゼル５とを備える。
後面部部品１１は、中央部に凹部１３ａと、周縁部に接
合部６とを備える。前面部部品１０と後面部部品１１
は、接合部６の周縁を溶接することにより一体化され
る。溶接しろは、たとえば２ｍｍである。

【００２７】図１において、凹部１３ｂの底面の面積、
つまり斜線を施した領域の面積が、上述の有効フェース
面積に相当する。本例では、有効フェース面積は２９３
０ｍｍ²である。

【００２８】また、図１において矢印で示す長さＬが、
上述の有効たわみ長さに相当し、本例では、有効たわみ
長さは３６．５ｍｍである。

【００２９】図２に示すように、本例におけるヘッド部
１は、ソール部２がトップエッジ部３よりも厚肉である
キャビティーバック構造で、かつ前面部部品１０と後面
部部品１１との間に空間１２が設けられる中空構造を有
する。

【００３０】そして、打球面であるフェース面４を有す
るフェース部の肉厚（フェース厚）ｔは、２．３ｍｍで
ある。なお、この肉厚は、スイートスポットにおける値
である。

【００３１】前面部部品１０および後面部部品１１は、
たとえばステンレス材料であるＳＵＳ６３０の鍛造製で
ある。

【００３２】しかし、フェース素材としては、上記ステ
ンレス材のみならず、ステンレス系では、オーステナイト系
のSUS３０１、３０３、３０４、３０４N1、３０４N2、
３０５、３０９S、３１０S、３１６、３１７、３２１、
３４７、XM7、マルテンサイト系のSUS４１０、４２０、
４３１、４４０、析出硬化系のSUS６３０、フェライト
系 SUS ４０５、４３０、４４４でも可能であり、軟鉄
では、S15C、S20C、S25C,S30C、S35C、特殊鋼では、高
張力鋼、超高張力鋼、オースフォーミング鋼、マルエー
ジング鋼、ばね鋼でもかまわない。また、チタン合金で
は、純チタン1種、２種、３種、４種、α合金５ALー２．５
V、αーβ合金３AL−２．５V、６Alー４V,４．５Al-3V-
2Fe-2Mo、β合金１５Vー３Cr-３Snー３AL、１０V-２Fe
ー３Al、１３Vー１１Cr-３Al、１５Mo−５Zr、１５V-6C
r-4Al、１５Mo−５Zrー３Al、２０Vー４ALー１Sn、２２
V-４AL、３Al−８V-６Cr−４Mo−３Zr、アルミニウム系
では、純アルミ、２０１７、２０２４、７０７５、３０
０３、５０５２、５０５６、６１５１、６０５３、６０
６１、マグネシウム系では、AZ63A、AZ81A、AZ９１A、A
Z９１C、WE５４、EZ３３A、更には、あわせ板として
は、上記組み合わせの任意のあわせ板も使用可能であ
る。

【００３３】また、フェース素材以外では、一般にクラ
ブヘッドを作る際によく用いられる素材である鉄，ステ
ンレス，アルミニウム，チタン，マグネシウム，タング
ステン，銅，ニッケル，ジルコニウム，コバルト，マン
ガン，亜鉛，シリコン，錫，クロム，ＦＲＰ，合成樹
脂，セラミックス，ゴムなどが挙げられ、これらの単一
素材で製造することでもよく、さらにこれらの材料２種
類以上の組合せによって製作することも構わない。

【００３４】また、フェースやそれ以外の部分の製造方
法としては、精密鋳造方法がコストも安くつき、寸法精
度も高いので利用可能である。その他、ヘッド本体はダ
イキャストやプレスや鍛造でも製造できる。一方、プレ
スや鍛造や精密鋳造やメタルインジェクション，ダイキ
ャスト，切断加工，粉末治金などによって各パーツを製
造し、それらを溶接や接着や圧入，嵌合，圧接，ビス止
め，ろう付けなどによって接着させてクラブヘッドを作
製する方法も可能である。

【００３５】次に、上記の本発明き係るヘッド部と従来
例のヘッド部の特性を対比したので、その結果について
表１および図３を用いて説明する。

【００３６】下記の表１に、上述の本発明品と従来品Ａ
からＤまでの反発係数、各種寸法および面積を示す。表
１において、たとえば従来品Ｄは、いわゆるキャビティ
バックのアイアンクラブヘッドを有するもので、このヘ
ッド構成材料はＳ２５Ｃ軟鉄材である。

【００３７】

【表１】

【００３８】特に上記の従来品Ｄと本発明品とを比較す
ると、フェース厚で２３％減、有効フェース面積で６１
％増、有効たわみ長さで２３％大である。その反発係数
を測定すると、本発明品の反発係数は０．８１５、従来
品Ｄでは０．７８４であり、４％の反発性能の向上が見
られる。

【００３９】また、その他の従来品と比較しても、表１
に示すように本発明品の反発係数は非常に高い。

【００４０】さらに、本発明品と従来品Ｄで飛距離を比
較した結果を図３に示す。ロフト２６度の５番アイアン
で、ヘッドスピード３５ｍ／ｓで飛距離をロボットテス
トにて比較したものである。データは６回のショットの
平均値である。これより、本発明品はキャリーで、１４
６．７ｍ、ランを含めたトータル飛距離は１５１．７
ｍ、従来品ではキャリーは１３５．２ｍ、ランを含めた
トータル飛距離は１３７．１ｍである。この事より、キ
ャリーで８．５％、トータル飛距離で１０．６％飛距離
が向上している。

【００４１】このように本発明の実施の形態について説
明したが、上述の実施の形態は全ての点で例示であっ
て、制限的なものではないと考えられるべきである。本
発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求
の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含ま
れる。

【００４２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
製造の手間や時間や費用をかけずにフェースの剛性を下
げてクラブフェースの反発性能を高めることができ、ボ
ールの飛距離を大きくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るアイアンゴルフクラブのヘッ
ド部の分解斜視図である。

【図２】図１の前面部部品と後面部部品とを組付けた
後のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】本発明品と従来品の飛距離テスト結果を示す
図である。

【符号の説明】

１ヘッド部、２ソール部、３トップエッジ部、４
フェース面、５ホーゼル、６接合部、１０前面
部部品、１１後面部部品、１２空間、１３ａ，１３
ｂ凹部。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】フェース面を有するヘッド部を備えたア
イアンゴルフクラブにおいて、前記フェース面におけるスイートスポットに４４ｍ／ｓ
でボールを衝突させた場合の反発係数が０．８１以上
０．９５以下の範囲に存在するアイアンゴルフクラブ。