JP2001316308A - エチレングリコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
ドを得、該エチレンオキシドを水と反応させてエチレン
グリコールを得る複合プロセスにおいて、得られるエチ
レングリコール水溶液の脱水濃縮工程でのエネルギーの
有効利用が可能なエチレングリコールの製造方法を提
供。 【解決手段】 エチレングリコール水溶液を多重効用蒸
発缶による濃縮操作に供給してエチレングリコールを製
造するに際し、該多重効用蒸発缶で発生した蒸気を特定
の工程の少なくとも一工程の加熱源として使用するエチ
レングリコールの製造方法。
Description
ルの製造方法に関する。特に本発明は、エチレンを接触
気相酸化してエチレンオキシドを取得し、このエチレン
オキシドを水と反応させてエチレングリコールを得る複
合プロセスにおいて、得られるエチレングリコール水溶
液の脱水濃縮工程で使用する多重効用蒸発缶で発生する
蒸気を、該複合プロセスに有利に使用してなるエチレン
グリコールの製造方法に関する。
キシドと水との反応により製造される。そしてエチレン
オキシドは、今日ではエチレンを銀触媒の存在下で分子
状酸素含有ガスにより接触気相酸化して製造される。エ
チレンオキシドの製造プロセスは大略以下のとおりであ
る。
上で接触気相酸化して生成するエチレンオキシドを含む
反応生成ガスをエチレンオキシド吸収塔へ導き水を主成
分とする吸収液と接触させエチレンオキシド水溶液とし
て回収し、ついでエチレンオキシド放散塔へ送りエチレ
ンオキシド放散塔底部を加熱蒸気で加熱することによっ
てエチレンオキシドを水溶液から放散させ、エチレンオ
キシド放散塔底部より得られる実質的にエチレンオキシ
ドを含まない水溶液は吸収液として循環使用し、エチレ
ンオキシド放散塔頂部より得られるエチレンオキシド、
水、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタ
ン、エタン等)の他にホルムアルデヒド等の低沸点不純
物およびアセトアルデヒド、酢酸等の高沸点不純物を含
む放散物を脱水工程、軽質分分離工程および重質分分離
工程の各々を経て精製エチレンオキシドが取得される。
なお、この際エチレンオキシド吸収塔塔頂から得られる
未反応エチレン、副生の二酸化炭素や水、さらに不活性
ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン等)を含むガス
の一部はそのままエチレン酸化工程に循環してもよい
が、その一部を抜き出し、二酸化炭素吸収塔に導きアル
カリ性吸収液により二酸化炭素を選択的に吸収させ、こ
の吸収液から二酸化炭素を放散回収することが通常採用
されている。
オキシドを水と反応させ得られるモノエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコールおよびポリエチレングリコー
ルを含む水溶液を多重効用蒸発缶などで水分を蒸発除去
し、得られる濃縮液を高度に脱水し、さらにモノエチレ
ングリコール蒸留塔、ジエチレングリコール蒸留塔、ト
リエチレングリコール蒸留塔で順次精製して各精製エチ
レングリコール類が得られる。なお、エチレンオキシド
の製造工程においてもエチレンオキシド吸収塔におい
て、水とエチレンオキシドとの反応が起りエチレングリ
コールが生成する。
て上記と同様に多重効用蒸発缶や脱水蒸留塔を用いて濃
縮し各種エチレングリコール製品が得られている。
開発まで−」財団法人化学工学会編1998年3月25
日東京化学同人発行第121〜128頁参照。)
らエチレンオキシド経由でエチレングリコールを製造す
るに際しては、二酸化炭素放散操作、エチレンオキシド
放散操作、脱水操作、軽質分分離操作、エチレンオキシ
ド精留操作、副生エチレングリコール脱水濃縮操作、さ
らにはモノ、ジ、トリエチレングリコールなどの精留操
作などの操作が必要とされ、多量の熱源が消費され、そ
の供給を効率的に行なわねばならない課題がある。した
がって、本発明の目的は、エチレンを接触気相酸化して
得られるエチレンオキシドを水と反応させてエチレング
リコールを得る複合プロセスにおいて、得られるエチレ
ングリコール水溶液の脱水工程で使用する多重効用蒸発
缶で発生する蒸気を、該複合プロセスに有利に使用して
なるエチレングリコールの製造方法を提供することにあ
る。
を解決すべく研究を行い、エチレンオキシドと水とを反
応させて得られたエチレングリコール水溶液を蒸発濃縮
させる多重効用蒸発缶より発生する蒸気のエネルギーを
有効に利用することに着眼し、その結果上記課題が容易
に解決しうることを見出し本発明を完成するに至った。
(2)により達成される。
酸素含有ガスにより接触気相酸化して得られるエチレン
オキシドを水と反応させて得られたエチレングリコール
水溶液を、多重効用蒸発缶による濃縮操作に供し、脱水
してエチレングリコールを製造するに際し、該多重効用
蒸発缶で発生した蒸気を以下の(A)〜(H)の少くと
も一つの工程の加熱源として使用することを特徴とする
エチレングリコールの製造方法。
レンオキシド含有ガスをエチレンオキシド吸収塔に導
き、水性媒体吸収液と接触させてエチレンオキシドを含
有する塔底液を得、該塔底液をエチレンオキシド放散塔
へ導き、当該放散塔塔底部を加熱することによりエチレ
ンオキシドを分離する工程、(B)該エチレンオキシド
吸収塔塔頂部からのガスの一部をエチレン酸化工程に循
環し、残部を二酸化炭素吸収塔に導き、アルカリ性吸収
液と接触させて二酸化炭素を含有する塔底液を得、該塔
底液を二酸化炭素放散塔へ導き、該放散塔塔底部を加熱
することにより二酸化炭素を分離する工程、(C)該エ
チレンオキシド放散塔塔頂部からのガスを凝縮させて得
られるエチレンオキシド水溶液をエチレンオキシド脱水
塔に導き、塔底液を加熱してエチレンオキシドなど軽質
分を分離する工程、(D)該脱水塔塔頂からのガスを凝
縮させて得られるエチレンオキシドを含有する留分を軽
質分分離塔に導き、塔底液を加熱して軽質分を分離し、
粗エチレンオキシドを塔底より取得する工程、(E)該
粗エチレンオキシドをエチレンオキシド精留塔に導き、
塔底液を加熱して当該精留塔塔頂より精製エチレンオキ
シドを得る工程、(F)該エチレンオキシド放散塔塔底
から得られる吸収液の一部を抜き出し、副生エチレング
リコール濃縮塔へ導き塔底液を加熱して脱水濃縮する工
程、(G)該多重効用蒸発缶で得られた濃縮エチレング
リコール水溶液をエチレングリコール脱水塔に導き塔底
部を加熱して塔頂から実質的に水分を分離する工程、
(H)実質的に水分を除去されたエチレングリコール脱
水塔塔液をモノエチレングリコール蒸留塔に導き、塔底
液を加熱して塔頂からモノエチレングリコールを分離取
得する工程。
あり、加熱源として利用する水蒸気の圧力は−0.08
〜1.2MPaゲージである前記(1)に記載の方法。
を具体的に説明する。
条件下に実施される。すなわち、エチレンオキシドと水
とのモル比としてエチレンオキシド:水=1:7〜1:
50、好ましくは1:5〜1:30である。反応圧力
は、0.5〜3.0MPaゲージ、好ましくは1.5〜
2.5MPaゲージ、反応温度は120〜250℃、好
ましくは130〜180℃、生成エチレングリコール濃
度は5〜40質量%である。反応はバッチ式、セミバッ
チ式ないし連続式のいずれでも実施される。かくして得
られるエチレングリコールを多重効用蒸発缶に供給して
40〜95質量%ないしそれ以上にまで濃縮脱水させ
る。
工学便覧(改定四版、昭和59年1月20日丸善株式会
社発行)第428〜431頁に詳細に説明されている。
多重効用蒸発缶効用缶数は2以上であり、設備費とエネ
ルギーコストとを考慮して決定されるが、本発明におい
ては3〜5である。第一の蒸発缶にイニシャルエネルギ
ーを供給すれば、第二蒸発缶以降はより操作圧力の高い
前段蒸発缶の頂部からの蒸気により順次濃縮される。イ
ニシャルエネルギー熱源の種類は特に制限されない。好
ましくは、水蒸気、ダウサム(ダウ社の伝熱媒体の商
品)あるいはナイターなどの溶融塩が熱媒として使用さ
れる。イニシャルエネルギーを供給された第一蒸発缶の
圧力は、特に制限されない。次段以降に使用される蒸発
缶加熱に有効に使用されることを考慮して決められる。
通常は0.20〜2.5MPaゲージ、好ましくは0.
5〜1.2MPaゲージである。
るが、いずれでもよい。さらに蒸発缶の型式は重質分の
水蒸気への同伴量を低減するためトレイや充填物を設置
してもよい。
の操作圧力は順次低下させて運転され、そこから得られ
る水蒸気圧力は−0.08〜1.2MPaゲージ好まし
くは−0.05〜0.5MPaゲージの範囲であり、こ
の水蒸気が本発明において有利に使用される。また、各
蒸発缶から発生するドレンは、その持つ熱量は少なく、
熱源としてよりは水蒸気発生用の原料として再利用され
る。
如きエチレンオキシドおよびエチレングリコール製造工
程において、有効に使用される。以下に本発明が規定す
る各工程の操作条件を具体的に示す。
0.03〜0.06MPaゲージ。
0〜100℃、塔底温度は100〜150℃、好ましく
は110〜120℃。
01〜0.02MPaゲージ。塔底温度80〜120
℃、好ましくは100〜110℃。
〜0.05MPaゲージ。
〜20℃、塔底温度は10〜130℃、好ましくは20
〜40℃。
0.7MPaゲージ。
80℃、塔底温度は30〜90℃、好ましくは45〜8
0℃。
2〜0.5MPaゲージ。
65℃、塔底温度は35℃〜85℃、好ましくは45〜
70℃。
0〜0.15MPaゲージ。
〜110℃、塔底温度は70〜200℃、好ましくは8
0〜120℃。塔底エチレングリコール濃度は、10〜
90質量%、好ましくは70〜90質量%。
a。
55℃、塔底温度は80〜120℃、好ましくは90〜
110℃。
0〜120℃、塔底温度は90〜130℃、好ましくは
105〜125℃。
してエチレングリコールが製造される。このエチレング
リコールは、上記のモノエチレングリコールのほか、さ
らにその蒸留塔塔底液を蒸留操作にかけることによりジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコールおよびポリエチレングリコールが、
順次得られる。
塔、精留塔および濃縮塔は、いずれも通常の蒸留塔型式
のものが使用され、トレイまたは充填物を設置されてな
る。トレイとしては、バブルキャップトレイ、シーブト
レイ、バラストトレイ等、充填物としては、ラシヒリン
グ、ボールリング、サドルリング、マクマホンパッキン
グ、インターロックスメタルパッキング(米国ノートン
社製)、メラパック(スイス国スルーザー社製)、スル
ーザーBXパッキング(スイス国スルーザー社製)等が
適宜使用される。
および比較例を記述する。
接触気相酸化して得られるエチレンオキシドを含む反応
生成ガスをエチレンオキシド吸収塔下部へ供給し、吸収
塔上部から吸収液(水)を導入して反応生成ガスと向流
接触させ、反応生成ガス中のエチレンオキシドを吸収液
(水)に吸収させた。吸収塔塔頂よりの未吸収ガスはエ
チレン酸化反応装置に循環した。図1に示すように、吸
収塔塔底液を塔頂圧力0.045MPaゲージ、塔底温
度115℃のエチレンオキシド放散塔1上部へ供給し、
塔底液の一部は、塔頂圧力0.076Mpaゲージ、塔
底温度122℃の副生エチレングリコール濃縮塔2へ送
り、残部をエチレンオキシド吸収塔(図示せず)に循環
し、エチレンオキシド放散塔1塔頂よりのエチレンオキ
シドを含む放散蒸気は凝縮器7で凝縮し、一部はエチレ
ンオキシド放散塔1へ還流し、一部はエチレンオキシド
脱水塔(図示せず)ヘ供給した。脱水塔頂部よりのエチ
レンオキシドを含む蒸気は凝縮器(図示せず)で凝縮さ
せて、一部は脱水塔へ還流し凝縮液の残りは軽質分分離
塔(図示せず)へ供給した。凝縮器の未凝縮蒸気はエチ
レンオキシド再吸収塔(図示せず)へ供給した。軽質分
分離塔の頂部よりの蒸気は凝縮器へ送り、凝縮液は、軽
質分分離塔へ還流し凝縮器の未凝縮蒸気はエチレンオキ
シド再吸収塔へ供給した。軽質分分離塔底液は、エチレ
ンオキシド精留塔へ送り、塔頂よりのエチレンオキシド
蒸気を凝縮器で凝縮させて一部はエチレンオキシド精留
塔(図示せず)へ還流し、他部はエチレンオキシドの製
品として抜き出した。エチレンオキシド精留塔塔底液
は、アルデヒド、酢酸などの高沸点物質を分離するため
に抜き出した。
チレンオキシド脱水塔(図示せず)の塔底部から抜き出
し、これに製品のエチレンオキシドを加えて加水反応装
置へ送り、圧力1.8MPaゲージおよび反応温度15
0℃で反応させ、得られた15.2質量%のエチレング
リコール水溶液を頂部圧力0.41MPaゲージ、缶液
温度153℃で操作する第一蒸発缶3へ送った。
7MPaゲージ、底部温度136℃で操作する第二蒸発
缶4へ送り、第一蒸発缶3の頂部蒸気は第二蒸発缶4の
加熱器の熱源として使用し、第二蒸発缶4の塔底液は、
頂部圧力0.07MPaゲージ、底部温度124℃で操
作する第三蒸発缶5へ送り、第二蒸発缶4の頂部蒸気は
一部を第三蒸発缶5の加熱器の熱源として使用するとと
もに、残りをエチレンオキシド放散塔1の塔底加熱器お
よび副生エチレングリコール濃縮塔底加熱器の熱源とし
て使用し、第三蒸発缶5の塔底液は頂部圧力−0.03
MPaゲージ、底部温度105℃で操作する第四蒸発缶
6へ送り、第三蒸発缶5の頂部蒸気は、第四蒸発缶6の
加熱器の熱源として使用し、第四蒸発缶6の塔底液は、
エチレングリコール脱水塔へ送り、水分を除去したの
ち、モノエチレングリコール蒸留塔(図示せず)へ送
り、塔頂よりモノエチレングリコールを分離した。モノ
エチレングリコール蒸留塔塔底液は、ジエチレングリコ
ール蒸留塔(図示せず)へ送り、塔頂よりジエチレング
リコールを分離し、塔底液はトリエチレングリコール蒸
留塔(図示せず)へ送り塔頂よりトリエチレングリコー
ルを分離した。
転条件、蒸気の性能および使用量を表1に示した。
蒸発缶5の加熱器の熱源とすることにして多重効用蒸発
缶の濃縮操作およびエチレンオキシド放散塔および副生
エチレングリコールの濃縮塔の運転を行った。各工程で
の運転条件、蒸気の性能および使用量は表1に示される
結果を得た。
部取り出して他工程の加熱源に利用することにより、蒸
気が有する熱エネルギーを回収し、エネルギーの有効利
用ができかつ他工程および多重効用缶でのエネルギーの
使用量の和がより少ないエネルギー使用量の和で、他工
程での蒸留および多重効用蒸発缶での蒸発缶での蒸発濃
縮を行うことができることが明らかとなった。
セスフローシートである。
Claims (2)
- 【請求項1】 エチレンを銀触媒の存在下に分子状酸素
含有ガスにより接触気相酸化して得られるエチレンオキ
シドを水と反応させて得られたエチレングリコール水溶
液を、多重効用蒸発缶による濃縮操作に供し、脱水して
エチレングリコールを製造するに際し、該多重効用蒸発
缶で発生した蒸気を以下の(A)〜(H)の少くとも一
つの工程の加熱源として使用することを特徴とするエチ
レングリコールの製造方法。 (A)該接触気相酸化反応で生成したエチレンオキシド
含有ガスをエチレンオキシド吸収塔に導き、水性媒体吸
収液と接触させてエチレンオキシドを含有する塔底液を
得、該塔底液をエチレンオキシド放散塔へ導き、当該放
散塔塔底部を加熱することによりエチレンオキシドを分
離する工程、(B)該エチレンオキシド吸収塔塔頂部か
らのガスの一部をエチレン酸化工程に循環し、残部を二
酸化炭素吸収塔に導き、アルカリ性吸収液と接触させて
二酸化炭素を含有する塔底液を得、該塔底液を二酸化炭
素放散塔へ導き、該放散塔塔底部を加熱することにより
二酸化炭素を分離する工程、(C)該エチレンオキシド
放散塔塔頂部からのガスを凝縮させて得られるエチレン
オキシド水溶液をエチレンオキシド脱水塔に導き、塔底
液を加熱してエチレンオキシドなど軽質分を分離する工
程、(D)該脱水塔塔頂からのガスを凝縮させて得られ
るエチレンオキシドを含有する留分を軽質分分離塔に導
き、塔底液を加熱して軽質分を分離し、粗エチレンオキ
シドを塔底より取得する工程、(E)該粗エチレンオキ
シドをエチレンオキシド精留塔に導き、塔底液を加熱し
て当該精留塔塔頂より精製エチレンオキシドを得る工
程、(F)該エチレンオキシド放散塔塔底から得られる
吸収液の一部を抜き出し、副生エチレングリコール濃縮
塔へ導き塔底液を加熱して脱水濃縮する工程、(G)該
多重効用蒸発缶で得られた濃縮エチレングリコール水溶
液をエチレングリコール脱水塔に導き塔底部を加熱して
塔頂から実質的に水分を分離する工程、(H)実質的に
水分を除去されたエチレングリコール脱水塔塔底液をモ
ノエチレングリコール蒸留塔に導き、塔底液を加熱して
塔頂からモノエチレングリコールを分離取得する工程。 - 【請求項2】 該多重効用蒸発缶は少くとも3重であ
り、加熱源として利用する水蒸気の圧力は−0.08〜
1.2MPaゲージである請求項1に記載の方法。
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