JP2001311046A - 被覆組成物、その製造方法および複合シート - Google Patents

被覆組成物、その製造方法および複合シート

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JP2001311046A
JP2001311046A JP2000127560A JP2000127560A JP2001311046A JP 2001311046 A JP2001311046 A JP 2001311046A JP 2000127560 A JP2000127560 A JP 2000127560A JP 2000127560 A JP2000127560 A JP 2000127560A JP 2001311046 A JP2001311046 A JP 2001311046A
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strong acid
acid
sheet
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JP2000127560A
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Toshio Nagasaka
俊夫 長坂
Kunio Iwase
国男 岩瀬
Munehisa Yoneda
宗央 米田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸触媒あるいは酸触媒由来の強酸等が残留す
るエステル系化合物を用いても、密着性の低下や金型の
腐食など、強酸に起因する問題の発生が抑えられた被覆
組成物、及びこの被覆組成物を用いて形成された複合シ
ートを提供する。 【解決手段】 エステル基含有化合物を含む被覆組成物
において、強酸(A)及び強酸(A)と水酸基含有化合
物とのエステル化反応物(B)を両者の合計の当量濃度
[a]、並びに水素イオンを除く対イオン(C)を当量
濃度[c]含有させ、強酸(A)とエステル化反応物
(B)との合計当量濃度[a]と対イオン(C)の当量
濃度[c]との比[c]/[a]を0.2以上とし、当
量濃度の差[a]−[c]を1×10-2(グラム等量/
リットル)以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材との密着性に
優れた被覆層を形成でき、金型を腐食させにくい被覆組
成物およびその製造方法、並びに、この被覆組成物を用
いて作製した複合シートに関する。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリレート化合物は、熱や活
性エネルギー線等で重合、硬化することにより、シート
状、板状、溶液状などの様々な形態を持たせることがで
き、その用途は光学シート、レンズ等の成形物や、光磁
気ディスクの保護膜など極めて多岐にわたっている。ま
た、この(メタ)アクリレート化合物は、重合後に溶剤
に溶解したり溶剤中で重合させて溶液状とし、基材膜状
に塗布する塗料としても使用されている。
【0003】一方、エステル系化合物(エステル基含有
化合物)は、上記の(メタ)アクリレート化合物、ビニ
ルエステル系化合物、アリルエステル系化合物等の単量
体としてのみならず、溶剤、可塑剤等の各種化学品とし
て幅広く利用されている。
【0004】これらエステル系化合物は、一般に、エス
テル化反応用触媒としてp−トルエンスルホン酸や硫酸
などの酸触媒の存在下で、アルコールと酸とを反応させ
て製造されている。そして、このようなエステル系化合
物の製造においては、使用した酸触媒を除去するため、
通常、水やアルカリ水溶液による洗浄や蒸留などによる
精製が行われている。また、酸触媒とアルコールとのエ
ステル化反応などの副反応により生成する不純物、例え
ば、硫酸エステルやスルホン酸系エステルについても、
これらを除去するため、一般に上記と同様に、水やアル
カリ水溶液による洗浄や蒸留などによる精製が行われて
いる。
【0005】その他のエステル系化合物の精製方法とし
ては、硫酸又はスルホン酸系触媒の存在下にアルコール
と酸とを反応させて得られるエステル化合物を、アルコ
ールの金属塩と接触させることを特徴とする精製方法が
特開平10−182553公報に開示されている。
【0006】しかし、水やアルカリ水溶液で洗浄する従
来の精製方法は、エステル系化合物の親水性が比較的高
い場合は、洗浄液である水やアルカリ水溶液に酸触媒と
ともにエステル系化合物が溶解してしまう。また、蒸留
による精製方法は、エステル系化合物が高沸点であった
り熱により変性しやすい場合には適用できない。このよ
うにエステル系化合物の精製は困難であり、さらに精製
工程が増えればそのだけ製造コストも上がるため、市販
されているエステル系化合物には除去しきれなかった微
量の酸触媒あるいは酸触媒由来の強酸イオンが残存して
いるものも多い。同様の理由で、不純物である酸触媒と
アルコールとのエステル化反応物も残存していることも
多い。
【0007】また、特開平10−182553公報に記
載のエステル化合物の精製方法は、アルコールの金属塩
の添加後に水による洗浄工程が必要となるため、工程数
が多く操作が煩雑であり、また親水性が比較的高いエス
テル系化合物には適用が困難である。
【0008】このようなエステル系化合物は、各種の複
合シート形成用の被覆組成物の成分として用いられ、特
にエステル基含有単量体を含む被覆組成物は、透明基材
シート上に賦型・硬化させることにより、各種の光学シ
ートが得られる。
【0009】光学シートの製造方法としては、プレス
法、切削法、押し出し法等が一般に用いられ、近年は、
生産性の向上の点から、透明プラスチック等の透明シー
ト状基材の上に活性エネルギー線硬化性組成物によりプ
リズム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等のレ
ンズ層等の光学樹脂層を形成する方法が広く用いられて
いる(特公平1−35737号公報など)。また、特開
平5−169015号公報には、活性エネルギー線硬化
性組成物と連続透明シート(例えば、PETシート、ポ
リカーボネートシート)を用い、これを円筒金型で賦形
し、硬化することにより、連続的に光学シートを生産す
る方法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、エステ
ル系化合物中には、その製造時に用いられた酸触媒ある
いは酸触媒に由来する強酸や、副反応により生成した、
強酸とアルコールとのエステル化反応物が残留しやす
い。
【0011】このような酸触媒あるいは酸触媒由来の強
酸を含有するエステル系化合物を、被覆組成物の構成成
分として用いると、被覆組成物の貯蔵安定性が低下し、
また、成形を行う場合には金型に腐食が発生しやすくな
る。さらに、被覆組成物の硬化物をシート状基材上に有
する光学シート等の複合シートにおいても、湿気等によ
り基材と被覆層との界面が侵されることに起因する密着
性の低下によって、白点等の欠陥が発生する。
【0012】また、強酸とアルコールとのエステル化反
応物は、空気中の湿気等に由来する水分と接触すること
によって容易にアルコールと強酸とに分解し、生成した
強酸イオンにより、上記と同様の問題を引き起こす。
【0013】そこで本発明の目的は、酸触媒あるいは酸
触媒由来の強酸や、強酸と水酸基含有化合物とのエステ
ル化反応物が残留するエステル系化合物(エステル基含
有化合物)を用いても、密着性の低下や金型の腐食な
ど、強酸に起因する上記問題の発生が抑えられた被覆組
成物、その製造方法、及びこの被覆組成物を用いて形成
された複合シートを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記のよ
うな光学シート等の複合シートでの密着性低下による白
点欠陥について解析を行ったところ、この白点の発生度
合いと被覆組成物中のp−トルエンスルホン酸の当量濃
度との間に相関があることを見い出し、被覆組成物中の
p−トルエンスルホン酸の効率よい除去方法を鋭意検討
することによって、本発明に到達したものである。
【0015】本発明は、エステル基含有化合物を含む被
覆組成物であって、少なくとも一種の強酸(A)及び強
酸(A)と水酸基含有化合物とのエステル化反応物
(B)を両者の合計当量濃度[a]、並びに水素イオン
を除く少なくとも一種の対イオン(C)を当量濃度
[c]含有し、強酸(A)と強酸(A)と水酸基含有化
合物とのエステル化反応物(B)との合計当量濃度
[a]と対イオン(C)の当量濃度[c]との比[c]
/[a]が0.2以上であり、当量濃度の差[a]−
[c]が1×10-2(グラム等量/リットル)以下であ
ることを特徴とする被覆組成物に関する。
【0016】また本発明は、上記本発明の被覆組成物の
製造方法であって、エステル基含有化合物を含有し、当
量濃度比[c]/[a]が0から0.2未満の組成物
に、対イオン(C)と弱酸(D)との塩を添加すること
を特徴とする被覆組成物の製造方法に関する。
【0017】また本発明は、上記本発明の被覆組成物を
シート状基材に被覆してなる複合シート、特にシート状
基材の少なくとも一方の表面に多数のレンズ列が賦型さ
れたレンズ層を備える複合シートに関する。
【0018】また本発明は、エステル基含有化合物とと
もに、エステル化反応用酸触媒に由来する強酸(A)を
含有する組成物の製造方法であって、強酸(A)と強酸
(A)と水酸基含有化合物とのエステル化反応物(B)
との合計当量濃度[a]に対する、水素イオンを除く少
なくとも一種の対イオン(C)の当量濃度[c]の当量
濃度比[c]/[a]が0.2以上であり、当量濃度の
差[a]−[c]が1×10-2(グラム等量/リット
ル)以下となるように、対イオン(C)を含有させるこ
とを特徴とする被覆組成物の製造方法に関する。
【0019】以上のように、本発明は、エステル基含有
化合物を用いた被覆組成物に含有される強酸を、対イオ
ンを共存させることにより対イオンと反応させて強酸の
塩を形成し、強酸としての機能が抑制されることによ
り、強酸に起因する被覆層の密着性、耐金型腐食性等の
問題点を解決することができるものである。
【0020】なお、本発明における当量濃度とは、組成
物1リットル中に含まれる成分のグラム当量数である。
強酸(A)、対イオン(C)及び弱酸(D)の当量濃度
は、それぞれ、モル濃度(mol/リットル)にそのイ
オンの電荷数を乗じた値となる。強酸(A)と水酸基含
有化合物とのエステル化合物(B)の当量濃度は、モル
濃度(mol/リットル)にエステル結合が分解して生
成する強酸(A)がイオンになった時の電荷数を乗じた
値となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形
態について詳細に説明する。
【0022】本発明の被覆組成物はエステル基含有化合
物を含有するものであり、このエステル基含有化合物と
しては、例えばエステル基含有単量体、アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステルポリオ
ールを使用したポリウレタン樹脂、セルロースエステル
系樹脂等のエステル基含有樹脂、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n
−ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセ
テート、グリセリントリアセテート、アジピン酸ジメチ
ル、セバシン酸ジメチル等のエステル基含有溶剤、アジ
ピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、フタル酸ジ
2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル等のエステ
ル基含有可塑剤等のエステル基を含有する化合物等が挙
げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用し
てもよい。
【0023】エステル基含有単量体としては、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
プロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタク
リル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エス
テル、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ
(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート
等の(メタ)アクリレート系単量体、酢酸ビニル、酪酸
ビニル、バルサチック酸ビニル、安息香酸ビニル等のビ
ニルエステル系単量体、酢酸アリル、酪酸アリル、n−
カプリン酸アリル等のアリルエステル系単量体等が挙げ
られる。
【0024】エステル基含有化合物の含有量は、用途や
必要に応じて適宜含有量が設定されるが、被覆組成物中
に10質量%以上含有されることが好ましい。
【0025】さらに、用途や必要に応じて、このエステ
ル基含有単量体と共重合可能なビニル系単量体、溶剤、
樹脂、重合開始剤などの他、安定剤、離型剤、酸化防止
剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔
料、沈降防止剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤など、各
種添加剤を配合してもよい。
【0026】本発明における強酸(A)は、一般に強酸
と言われるブレンステッド酸性の強い酸のイオンであ
り、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、
p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類や、硫酸、塩
酸、硝酸などのイオンが挙げられる。これらの強酸は単
独であっても2種以上であってもよい。
【0027】また、強酸(A)と水酸基含有化合物との
エステル化反応物(B)は、強酸(A)と水酸基含有化
合物とのエステル化合物で、空気中の湿気等による水分
により分解し、強酸(A)を生成するものである。
【0028】水酸基含有化合物としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノー
ル、ビニルアルコール、アリルルアルコール等の一価ア
ルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、セルロース等の多価アルコール
類、多価アルコールと多価カルボン酸の縮合物であるポ
リエステルポリオール、2−ヒドロキシ(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水
酸基含有アクリル単量体、それと共重合可能なビニル基
含有単量体との共重合物であるアクリルポリオール等が
挙げられる。
【0029】本発明における対イオン(C)は、強酸
(A)とイオン結合するものであり、例えば、カリウ
ム、ナトリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、鉄、銅、鉛、マ
ンガン、アルミニウム等のイオンが挙げられる。これら
のイオンは単独で使用してもよいし、2種以上を併用し
てもよい。
【0030】本発明の被覆組成物からなる被覆層(樹脂
層)に、耐水性、耐湿性が高度に要求される場合は、強
酸(A)と対イオン(C)とのイオン結合による塩の2
5℃における水に対する溶解度が0.5質量%以下とな
るように対イオン(C)を選択することが好ましく、
0.1質量%以下であることがより好ましい。例えば、
強酸(A)がスルホン酸類または硫酸である場合は、対
イオン(C)は、水に溶解しにくい塩を形成できる、カ
ルシウム、鉄(III)、鉛、ストロンチウム、バリウム
のイオンが望ましい。
【0031】本発明における対イオン(C)は、強酸
(A)と強酸(A)と水酸基含有化合物とのエステル化
反応物(B)との合計当量濃度[a]に対する対イオン
(C)の当量濃度比[c]/[a]が0.2以上であ
り、当量濃度の差[a]−[c]が1×10-2(グラム
等量/リットル)以下となるように被覆組成物中に含有
させることが必要である。当量濃度比[c]/[a]が
0.2未満であったり、当量濃度の差[a]−[c]が
1×10-2(グラム等量/リットル)を超えると、本発
明の充分な効果が得られない。強酸(A)と、対イオン
(C)と弱酸(D)との塩との反応が促進され、より効
果を速く得る点から、この当量濃度比[c]/[a]は
高い方が好ましく、当量濃度比[c]/[a]は0.5
以上がより好ましく、1以上がより好ましい。また、当
量濃度の差[a]−[c]は5×10 -3(グラム等量/
リットル)以下がより好ましい。さらに、他の物性への
影響を抑える点から、当量濃度比[c]/[a]は10
以下が好ましい。
【0032】本発明の被覆組成物における強酸(A)と
強酸(A)と水酸基含有化合物とのエステル化反応物
(B)との合計当量濃度[a]は、他の物性に与える影
響とのバランスの点から、1×10-1(グラム等量/リ
ットル)以下が好ましく、1×10-2(グラム等量/リ
ットル)以下がより好ましい。本発明においては、被覆
組成物中に強酸性イオン(A)が1×10-5(グラム等
量/リットル)以上含有される場合であっても、さらに
1×10-4(グラム等量/リットル)以上含有される場
合であっても充分な効果が得られる。
【0033】本発明における対イオン(C)は、対イオ
ン(C)と弱酸(D)との塩(弱酸塩)を添加すること
により、被覆組成物中に含有させることが好ましい。
【0034】本発明における弱酸(D)は、対イオン
(C)とイオン結合することができ、強酸(A)の対イ
オンとなる水素イオンの一部または全部と結合し、その
強酸性を抑えることができる一般に弱酸と言われるブレ
ンステッド酸性の弱い有機酸である。弱酸(D)として
は、例えば、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、4−
シクロヘキシル酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレ
イン酸、ジメチロールプロピオン酸、安息香酸、サリチ
ル酸等の一価カルボン酸類、アジピン酸、セバシン酸、
マレイン酸、イタコン酸等の二価カルボン酸類、エチレ
ンジアミン四酢酸等の多価カルボン酸類等の有機弱酸、
ホウ酸、ケイ酸等の無機弱酸等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよいし、2種以上を併用していもよい。
【0035】本発明における弱酸(D)の当量濃度
[d]は、強酸(A)と強酸(A)と水酸基含有化合物
とのエステル化反応物(B)との合計当量濃度[a]と
の当量濃度比[d]/[a]が0.2以上であり、当量
濃度差[a]−[d]が1×10 -2(グラム等量/リッ
トル)以下が望ましい。強酸(A)と、対イオン(C)
と弱酸(D)との塩との反応が促進され、より効果を速
く得る点から、この当量濃度比[d]/[a]は高い方
が好ましく、当量濃度比[d]/[a]は0.5以上が
より好ましく、1以上がより好ましい。また、当量濃度
差[a]−[d]は5×10-3(グラム等量/リット
ル)以下がより好ましい。さらに、他の物性への影響を
抑える点から、当量濃度比[d]/[a]は10以下が
好ましい。
【0036】本発明の被覆組成物は、例えば次のように
して作製することができる。
【0037】強酸を含有するエステル基含有化合物、必
要により開始剤、溶剤、その他の添加剤を含む液状組成
物を調製する。その後、この液状組成物に、対イオン
(C)と弱酸(D)との塩(弱酸塩)を添加する。その
際、弱酸塩の添加量は、前述の当量濃度比[c]/
[a]が0.2以上であり、当量濃度差[a]−[c]
が1×10-2(グラム等量/リットル)以下となるよう
に設定する。
【0038】弱酸塩の添加方法は、種々の方法を用いる
ことが可能であり、粉体、溶液、分散液のいずれの状態
でも添加することができる。添加した後に、加熱した
り、攪拌等により十分混合すれば、強酸と、対イオン
(C)と弱酸(D)との塩との反応が促進されるため、
強酸(A)の抑制効果が早くなる。貯蔵安定性を高める
ためには、あらかじめ組成物にする前の単量体に添加し
ておいたり組成物を製造するときに同時に添加する方が
好ましく、被覆物の安定性を高める目的で有れば被覆す
る直前に添加してもよい。
【0039】さらに、本発明の被覆組成物は、弱酸塩の
添加前後に水やアルカリ水溶液による洗浄を行ってもよ
く、蒸留等の精製を行うことも可能である。なお、液状
組成物に弱酸塩を添加した後、水で洗浄を行う場合は、
対イオン(C)は、強酸(A)と水に溶解しやすい塩を
形成できる、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、亜
鉛等のイオンが望ましい。
【0040】このような本発明の被覆組成物を基材に被
覆するには、被覆組成物を微粒子状にして基材に吹き付
ける方法や、ブレードにより基材に塗りつける方法、押
し出し機により吐出して所定形状にして基材上に配する
方法、基材上に組成物を配して所定形状の金型で賦型す
る方法等の公知の方法により、基材上に組成物層を形成
し、乾燥、熱、湿気、活性エネルギー線等を用いた公知
の方法により組成物を硬化することが可能であり、組成
物の特性により最適な組み合わせを選択することが可能
である。
【0041】本発明の複合シートは、本発明の被覆組成
物をシート状基材上に被覆して形成される。例えば、光
学シート、OHPフィルム、レンズや光磁気ディスク等
の成型品、ガラスやプラスチック、金属板等の基材上へ
の被覆物やその賦形物が挙げられる。特に、本発明の複
合シートとしては、シート状基材上に微細なレンズパタ
ーンが形成された光学用レンズシートとして、特に適し
たものである。
【0042】本発明の光学シートは、本発明の被覆組成
物の硬化物により透光性シート状基材の少なくとも一方
の表面に光を屈折、拡散、集光させるような光学層が形
成されたものであり、例えばプリズムシート、フレネル
レンズシート、レンチキュラーレンズシート等のような
微細なレンズ形状を有する樹脂層が形成されたものが挙
げられる。本発明の光学シートは、例えば、液晶表示装
置などに用いられる液晶バックライトシステムの輝度向
上フィルムとして使用されるプリズムシートや拡散シー
ト、プロジェクションテレビ等のスクリーンに用いられ
るフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシー
ト、拡散シート等に好適に使用できる。
【0043】図1は、本発明の光学シートの一例である
プリズムシートを示す模式的断面図である。このプリズ
ムシートは、透光性シート状基材1と、この透光性シー
ト状基材1上に積層形成され、多数の微細なプリズム列
が連続して賦形された光学樹脂層2からなる。この光学
樹脂層2は、本発明の被覆組成物を賦型・硬化して形成
した層である。
【0044】透光性シート状基材としては、プラスチッ
ク、ガラス等の素材を用いたものが用いられるが、透光
性や強度などの点から、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の
ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂などか
らなる透光性プラスチックシートが適している。また、
シート状基材と被覆層(樹脂層)との密着性を向上させ
るために、シート状基材の表面処理を行ったり、図1に
示すようにシート状基材上にアンカーコート層3を設け
てもよい。一般的には、このアンカーコート層は、シー
ト状基材と被覆層の両方に対して密着性の高い樹脂層を
シート状基材上に形成したり、無機微粒子を付着させた
り、またはこれらを組み合わせたりして形成する。
【0045】光学シートの製造方法としては、シート状
基材上で被覆組成物を紫外線、電子線などの活性エネル
ギー線や熱などにより硬化させる方法や、押し出し法、
プレス法、切削法などが挙げられる。生産性の点から、
活性エネルギー線硬化性のエステル基含有単量体組成物
をシート状基材上で活性エネルギー線照射により硬化さ
せる方法が好ましい。
【0046】活性エネルギー線の発光光源としては、化
学反応用ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ラ
ンプ、メタルハライドランプ、可視光ハロゲンランプ、
太陽光などが使用できる。照射エネルギーとしては、2
00〜600nmの波長の積算エネルギーを所望の時間
内に充分に硬化するように被覆組成物の組成に応じて適
宜設定する。200〜600nmの波長の積算エネルギ
ーとしては、例えば0.05〜10J/cm2となるよう
に照射することが好ましい。照射雰囲気は、必要に応じ
て、空気中、あるいは窒素やアルゴン等の不活性ガス中
で行われる。
【0047】次に、本発明の光学シートの製造方法につ
いて説明する。本発明の光学シートは、バッチ生産方式
および連続生産方式のいずれの方法によっても製造する
ことができ、本発明の紫外線硬化性の組成物によって光
学樹脂層2を形成することによって生産性を向上でき
る。
【0048】まず、バッチ生産方式について、図2〜4
を参照して説明する。図2及び図3は、本発明の光学シ
ートの一例であるプリズムシートを製造する際の注型工
程および離型工程を例示する模式図である。まず、図2
に示すように、活性エネルギー線硬化性のエステル基含
有単量体組成物を、所定のレンズパターン(ここではプ
リズムパターン)を形成したレンズ型4に注入し、次い
で透明シート状基材1を重ね合わせ、次に透光性シート
状基材1を通して紫外線や電子線などの活性エネルギー
線を照射し、被覆組成物中の単量体を重合させて被覆組
成物を硬化させる。その後、図3に示すように、形成さ
れた光学シート6(ここではプリズムシート)をレンズ
型4から剥離する。
【0049】図4は、本発明の光学シートの一例である
プリズムシートを作製するために使用するレンズ型(こ
こではプリズム金型)の一例を示す斜視図である。レン
ズ型としては、アルミニウム、黄銅、綱などの金属製の
型、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、AB
S樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の合成
樹脂製の型、これら材料にメッキを施したものや各種金
属粉を混合した材料により作製した型などが挙げられ
る。特に、耐熱性や強度の面から、金属製の型である金
型が好ましい。
【0050】次に、連続生産方式について、図5を参照
して説明する。図中の7は、レンズパターン(プリズム
パターン)を形成した円筒形レンズ型であり、前記レン
ズ型4と同様の材料から製作される。構造的には、円筒
材料に直接レンズパターンを形成したものや、レンズパ
ターンを形成した薄板を芯ロールに巻き付け固定したも
の等が使用される。図中の8は、円筒形レンズ型7に近
接して配置されたニップロールであり、透光性シート状
基材1と円筒形レンズ型7との間に注入される被覆組成
物5の膜厚の均一化を図るものである。ニップロール8
としては、各種金属製ロール、ゴム製ロール等が使用さ
れる。図中の9は、被覆組成物5を貯蔵するタンクであ
り、貯蔵する組成物の温度制御ができるようにタンク内
部あるいは外部にシーズヒータや温水ジャケット等の熱
源設備が配置されている。
【0051】タンク9に貯蔵された被覆組成物5は、配
管を通って供給ノズル10から、透光性シート状基材1
と円筒形レンズ型7との間に供給される。その後、被覆
組成物5が、透光性シート状基材1と円筒形レンズ型7
との間に保持され、被覆組成物5が円筒形レンズ型7に
形成されたレンズパターンに入り込んだ状態で、活性エ
ネルギー線発光光源11により透光性シート状基材1を
通して活性エネルギー線を照射して、被覆組成物5を重
合硬化させ、レンズパターンを転写する。その後、得ら
れた光学シートを円筒形レンズ型7から剥離する。
【0052】本発明において、光学シートの光学樹脂層
2を形成するために使用される被覆組成物として紫外線
硬化性のものを使用する場合には、例えば、ラジカル重
合系としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、エ
ポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリ
レート等の(メタ)アクリレート系のモノマー及びオリ
ゴマーが挙げられる。また、カチオン重合系としては、
エポキシ系モノマー及びオリゴマー、オキセタン系モノ
マー及びオリゴマー等が挙げられる。中でも、(メタ)
アクリレート系モノマー及びオリゴマーがその光学特性
等の観点から特に好ましく、取扱い性や硬化性等の点
で、多価アクリレート及び/又は多価メタクリレート
(以下「多価(メタ)アクリレート」と記載)、モノア
クリレート及び/又はモノメタクリレート(以下「モノ
(メタ)アクリレート」と記載)を主成分とするもの
に、紫外線による光重合開始剤を混合したものが好まし
い。代表的な多価(メタ)アクリレートとしては、ポリ
オールポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ
(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレ
ート、ウレタンポリ(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。これらは、単独あるいは2種以上の混合物として使
用される。また、モノ(メタ)アクリレートとしては、
モノアルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポ
リオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げら
れる。
【0053】
【実施例】以下、実施例と比較例に基づいて本発明をさ
らに詳しく説明する。
【0054】ウレタンジアクリレート(UA1)の合成 5リットルのガラス製反応容器に、キシリレンジイソシ
アネート(武田薬品工業(株)製 タケネート500、
分子量:194.2)を388.4g、触媒としてジラ
ウリン酸ジ−n−ブチル錫を2.0g、2,6−ジ−t
ert−ブチル−4−メチルフェノールを1.0g、さ
らに反応性希釈剤としてフェノキシエチルアクリレート
(大阪有機化学工業(株)製 ビスコート#192、分
子量:192.2)を783.1g入れ、60℃に加温
しながら撹拌して均一溶液にした。
【0055】この系の温度を70℃に保ち、撹拌しなが
ら、2−(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロ
モフェニル)−2−(4−ヒドロキシエトキシ−3,5
−ジブロモフェニル)プロパン(分子量:686)27
44gを5時間かけて徐々に加えた。
【0056】更に、この系の温度を70℃に保ちなが
ら、8時間反応を続行し、高粘性の透明なウレタンジア
クリレート(UA1)のフェノキシエチルアクリレート
希釈品を得た。反応の終了は、IRスペクトルにてイソ
シアネート当量の測定により行った。
【0057】組成物No.1 組成物No.1として以下の組成物を調製した。この組
成物中の残存酸触媒量を液体クロマトグラフィーで分析
したところ、p−トルエンスルホン酸の当量濃度が6×
10-3グラム当量/リットル(約1000mg/kg)
であった。
【0058】UA1:22g フェノキシエチルアクリレート:20g トリブロモフェノキシエチルアクリレート:18g 2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシ−
3,5−ジブロモフェニルプロパン):40g 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−
1−オン:2g
【0059】組成物No.2 組成物No.1を水で洗浄し、組成物No.2とした。
この組成物中の残存酸触媒量を液体クロマトグラフィー
で分析したところ、p−トルエンスルホン酸の当量濃度
が0.5×10-3グラム当量/リットル(約90mg/
kg)であった。
【0060】組成物No.3 組成物No.3として以下の組成物を調製した。この組
成物中の残存酸触媒量を液体クロマトグラフィーで分析
したところ、p−トルエンスルホン酸メチルエステルの
当量濃度が3×10-3グラム当量/リットル(約260
mg/kg)であった。
【0061】アジピン酸ジメチル:80g ポリメタクリル酸メチル:20g
【0062】光学シート(プリズムシート)の作製 被覆組成物を、図2に示すように、所定のレンズパター
ン(ピッチ50μm、頂角α=95度)を形成した図4
に示すようなレンズ型4(プリズム金型)に注入し、厚
さ125μmのPETフィルムからなるシート状基材1
を表面処理層(アンカーコート層)3側から重ね合わせ
た。次いで、基材を通して紫外線を照射し、被覆組成物
を重合硬化した後、図3に示すようにレンズ型4から剥
離して図1に示すような光学シート6を得た。
【0063】密着性試験1 光学シートを耐湿試験したところ光学欠陥として白点が
観察され、この白点を電子顕微鏡で観察すると、基材と
の接着面の微少な剥離が観察された。また、被覆組成物
中のp−トルエンスルホン酸の当量濃度と耐湿試験後の
白点の数との間に相関があった。
【0064】そこで、各被覆組成物を用いて作製された
光学シートを5cm角に切断し、60℃、95%RHの
恒温恒湿槽内に1000時間吊るした後、白点を目視に
て観察し、これを密着性試験1とした。白点がないもの
を○、白点が1〜9個のもを△、白点10個以上のもの
を×とした。
【0065】密着性試験2 各被覆組成物を用いて作製された光学シートを5cm角
に切断し、60℃の超純水に48時間浸漬した後、白点
を目視にて観察した。白点が無いものを○、白点が1〜
9個のものを△、白点が10個以上のものを×とした。
【0066】浸漬試験 リン酸亜鉛処理を施した鉄片を被覆組成物に浸漬し、6
0℃で60日間放置した後、鉄片に変化が見られなかっ
たものを○、鉄片の一部に錆を生じたものを△、全面に
錆を生じて腐食が見られたものを×とした。
【0067】実施例1 組成物No.1に、4−シクロヘキシル酪酸バリウム
を、バリウムイオンの当量濃度がそれぞれ、3×10-3
グラム当量/リットル(当量濃度比[c]/[a]=
0.5、[a]−[c]=3×10-3)、6×10-3
グラム当量/リットル(当量濃度比[c]/[a]=
1、[a]−[c]=0)、12×10-3グラム当量/
リットル(当量濃度比[c]/[a]=2、[a]−
[c]=−6×10-3)になるように添加した後、振と
う機で1時間振とうして混合して被覆組成物を得た。
【0068】実施例2 4−シクロヘキシル酪酸バリウムに代えてアクリル酸バ
リウムを用いた以外は実施例1と同様にして被覆組成物
を得た。
【0069】実施例3 組成物No.1に、バリウム濃度が8質量%の2−エチ
ルヘキサン酸バリウムのトルエン溶液を、バリウムイオ
ンの当量濃度がそれぞれ、3×10-3グラム当量/リッ
トル(当量濃度比[c]/[a]=0.5、[a]−
[c]=3×10 -3) 、6×10-3 グラム当量/リッ
トル(当量濃度比[c]/[a]=1、[a]−[c]
=0)、12×10-3 グラム当量/リットル(当量濃
度比[c]/[a]=2、[a]−[c]=−6×10
-3)になるように添加した後、振とう機で1時間振とう
して混合した。
【0070】実施例4 バリウム濃度が8質量%の2−エチルヘキサン酸バリウ
ムのトルエン溶液に代えて、バリウム濃度が4質量%の
ナフテン酸バリウムのトルエン溶液を用いた以外は実施
例3と同様にして被覆組成物を得た。
【0071】実施例5 組成物No.2に、ナフテン酸ナトリウムを、ナトリウ
ムイオンの当量濃度がそれぞれ、0.1×10-3 グラ
ム当量/リットル(当量濃度比[c]/[a]=0.
2、[a]−[c]=0.4×10-3)、0.5×10
-3 グラム当量/リットル(当量濃度比[c]/[a]
=1、[a]−[c]=0)、1×10-3グラム当量/
リットル(当量濃度比[c]/[a]=2、[a]−
[c]=−0.5×10-3)になるように添加した後、
60℃で1時間攪拌して混合して被覆組成物を得た。
【0072】実施例6 ナフテン酸ナトリウムをナフテン酸亜鉛に代えた以外は
実施例5と同様にして被覆組成物を得た。
【0073】実施例7 ナフテン酸ナトリウムを2−エチルヘキサン酸カルシウ
ムに代えた以外は実施例5と同様にして被覆組成物を得
た。
【0074】実施例8 ナフテン酸ナトリウムを4−シクロヘキシル酪酸ストロ
ンチウムに代えた以外は実施例5と同様にして被覆組成
物を得た。
【0075】実施例9 組成物No.2に、バリウム濃度が4%のナフテン酸バ
リウムのトルエン溶液を、バリウムイオンの当量濃度が
それぞれ、0.1×10-3 グラム当量/リットル(当
量濃度比[c]/[a]=0.2、[a]−[c]=
0.4×10-3)、0.5×10-3 グラム当量/リッ
トル(当量濃度比[c]/[a]=1、[a]−[c]
=0)、1×10-3 グラム当量/リットル(当量濃度
比[c]/[a]=2、[a]−[c]=−0.5×1
-3)になるように添加した後、60℃で1時間攪拌し
て混合して被覆組成物を得た。
【0076】実施例10 組成物No.3に、ナフテン酸亜鉛を、亜鉛イオンの当
量濃度がそれぞれ、0.6×10-3 グラム当量/リッ
トル(当量濃度比[c]/[a]=0.2、[a]−
[c]=2.4×10-3)、3×10-3 グラム当量/
リットル(当量濃度比[c]/[a]=1、[a]−
[c]=0)、6×10-3 グラム当量/リットル(当
量濃度比[c]/[a]=2、[a]−[c]=−3×
10-3)になるように添加した後、室温で数分間攪拌し
て混合して被覆組成物を得た。
【0077】実施例11 ナフテン酸亜鉛を2−エチルヘキサン酸カルシウムに代
えた以外は実施例10と同様にして被覆組成物を得た。
【0078】実施例12 ナフテン酸亜鉛を4−シクロヘキシル酪酸バリウムに代
えた以外は実施例10と同様にして被覆組成物を得た。
【0079】実施例13 ナフテン酸亜鉛を4−シクロヘキシル酪酸ストロンチウ
ムに代えた以外は実施例10と同様にして被覆組成物を
得た。
【0080】比較例1 組成物No.1をそのまま比較例1の被覆組成物として
用いた。
【0081】比較例2 組成物No.2をそのまま比較例2の被覆組成物として
用いた。
【0082】比較例3 組成物No.3をそのまま比較例3の被覆組成物として
用いた。
【0083】表1に実施例1〜4および比較例1の密着
性試験1の結果を示した。表1から明らかなように、実
施例1〜4の弱酸のバリウム塩を添加した被覆組成物を
使用して形成された光学シートは密着性試験後の白点が
全く認められなかった。一方、比較例1の弱酸のナリウ
ム塩を添加していない被覆組成物を使用した光学シート
には白点が多数見られ、光学シートとしての性能の低下
が明らかであった。
【0084】表2に実施例5〜9および比較例2の密着
性試験2の結果を示した。表2から明らかなように、実
施例5〜9の弱酸塩を添加した被覆組成物を使用して形
成された光学シートも密着性試験後の白点が全く認めら
れなかった。一方、比較例2の弱酸塩を添加していない
被覆組成物を使用した光学シートには白点が多数見ら
れ、光学シートとしての性能の低下が明らかであった。
【0085】表3に実施例10〜13および比較例3の
浸漬試験の結果を示した。表3から明らかなように、実
施例10〜13の弱酸塩を添加した被覆組成物では、浸
漬試験後の鉄片の腐食が全く認められなかった。一方、
比較例3の弱酸を添加していない被覆組成物では鉄片の
腐食が著しいものであり、このような被覆組成物を用い
て光学シートを製造した場合、金型の腐食が発生する可
能性が高いことが明らかであった。
【0086】以上の結果から明らかなように、対イオン
を被覆組成物中に含有させることにより、被覆組成物中
に含有するp−トルエンスルホン酸、あるいはp−トル
エンスルホン酸メチルエステルの加水分解によって生じ
るp−トルエンスルホン酸の酸性を抑制でき、基材との
密着性を高め、金型の腐食を抑止できる。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、強酸を含有するエステ
ル基含有化合物を用いた被覆組成物に対イオンを共存さ
せることにより、強酸に起因する問題の発生を抑えるこ
とができ、基材上に形成された被覆層は密着性に優れ、
成形を行う場合は耐金型腐食性に優れるなど、性能の優
れた被覆組成物を得ることができる。そのメカニズム
は、強酸性イオンが対イオンと反応し、強酸の塩を形成
することにより、強酸としての機能が抑制されているも
のと考えられる。
【0091】また、本発明によれば、酸触媒あるいは酸
触媒由来の強酸を含有するエステル基含有化合物を用い
た被覆組成物だけでなく、被覆組成物の作製後に加水分
解等で強酸が発生したものについてもその効果を発揮で
きる。
【0092】本発明の被覆組成物は、エステル基含有化
合物と、重合性単量体や溶剤、樹脂、添加剤などとの広
範な組み合わせによる組成物に適用可能であり、その応
用分野も、工業用途、医療用途と極めて幅広く、その工
業的価値は高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学シートの一実施形態(プリズムシ
ートの一例)を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の光学シートの一例であるプリズムシー
トを製造する際の注型工程を例示する模式図である。
【図3】本発明の光学シートの一例であるプリズムシー
トを製造する際の離型工程を例示する模式図である。
【図4】本発明の光学シートの一例であるプリズムシー
トを作製するために使用するプリズム金型の一例を示す
斜視図である。
【図5】本発明の光学シートの一例であるプリズムシー
トを製造する際の注型工程を例示する模式図である。
【符号の説明】
1 透光性シート状基材 2 光学樹脂層 3 アンカーコート層 4 レンズ型 5 被覆組成物 6 光学シート 7 円筒形レンズ型 8 ニップロール 9 貯蔵タンク 10 供給ノズル 11 活性エネルギー線発光光源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/04 G02B 5/04 A (72)発明者 米田 宗央 愛知県名古屋市東区砂田橋4―1―60 三 菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 Fターム(参考) 2H042 BA03 BA15 BA19 BA20 CA12 CA15 CA17 4F100 AA02A AH02 AH02A AH08 AH08A AK25 AK25A AK42 AT00B BA02 EH46 EJ08 EJ54 GB90 JB02 JK06 YY00A 4J038 EA011 HA096 HA336 HA376 JC13 NA12

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エステル基含有化合物を含む被覆組成物
    であって、少なくとも一種の強酸(A)及び強酸(A)
    と水酸基含有化合物とのエステル化反応物(B)を両者
    の合計当量濃度[a]、並びに水素イオンを除く少なく
    とも一種の対イオン(C)を当量濃度[c]含有し、強
    酸(A)と強酸(A)と水酸基含有化合物とのエステル
    化反応物(B)との合計当量濃度[a]と対イオン
    (C)の当量濃度[c]との比[c]/[a]が0.2
    以上であり、当量濃度の差[a]−[c]が1×10-2
    (グラム等量/リットル)以下であることを特徴とする
    被覆組成物。
  2. 【請求項2】 前記強酸(A)と強酸(A)と水酸基含
    有化合物とのエステル化反応物(B)との合計当量濃度
    [a]が1×10-5(グラム等量/リットル)以上1×
    10-1(グラム等量/リットル)以下である請求項1記
    載の被覆組成物。
  3. 【請求項3】 強酸(A)と対イオン(C)からなる塩
    の25℃における水に対する溶解度が0.5質量%以下
    である請求項1又は2記載の被覆組成物。
  4. 【請求項4】 弱酸(D)を含む請求項1、2又は3記
    載の被覆組成物。
  5. 【請求項5】 前記エステル基含有化合物がエステル基
    含有単量体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    被覆組成物。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の被覆組成物の製造方法
    であって、エステル基含有化合物を含有し、当量濃度比
    [c]/[a]が0から0.2未満の組成物に、対イオ
    ン(C)と弱酸(D)との塩を添加することを特徴とす
    る被覆組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の被
    覆組成物をシート状基材に被覆してなる複合シート。
  8. 【請求項8】 複合シートが光学シートである請求項7
    記載の複合シート。
  9. 【請求項9】 前記光学シートが、シート状基材の少な
    くとも一方の表面に多数のレンズ列が賦型されたレンズ
    層を備える請求項8記載の複合シート。
  10. 【請求項10】 エステル基含有化合物とともに、エス
    テル化反応用酸触媒に由来する強酸(A)を含有する組
    成物の製造方法であって、強酸(A)と強酸(A)と水
    酸基含有化合物とのエステル化反応物(B)との合計当
    量濃度[a]に対する、水素イオンを除く少なくとも一
    種の対イオン(C)の当量濃度[c]の当量濃度比
    [c]/[a]が0.2以上であり、当量濃度の差
    [a]−[c]が1×10-2(グラム等量/リットル)
    以下となるように、対イオン(C)を含有させることを
    特徴とする被覆組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 弱酸(D)と対イオン(C)からなる
    塩を添加することにより、対イオン(C)を含有させる
    ことを特徴とする請求項10記載の被覆組成物の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019060904A (ja) * 2017-09-22 2019-04-18 大日本印刷株式会社 光学シート、面光源装置、映像源ユニット、及び表示装置

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