JP2001310914A - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂の製造方法

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JP2001310914A
JP2001310914A JP2000130012A JP2000130012A JP2001310914A JP 2001310914 A JP2001310914 A JP 2001310914A JP 2000130012 A JP2000130012 A JP 2000130012A JP 2000130012 A JP2000130012 A JP 2000130012A JP 2001310914 A JP2001310914 A JP 2001310914A
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polymer
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JP2000130012A
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Yoshio Irie
好夫 入江
Takashi Azumi
隆 安積
Kenta Kanaida
健太 金井田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水性樹脂の架橋密度を調整することで物性
を改良する為、多くの内部架橋剤が提案されている。架
橋の反応としては、単量体との共重合や、重合体の有す
る官能基との反応等がある。しかし、従来公知の内部架
橋剤では吸水性樹脂の物性が制御しにくい。本発明の目
的は、乾燥や表面処理等の熱が掛かる製造工程における
可溶分の増加が少なく、且つ吸収倍率の高い、衛生材料
等に用いた際に優れた性能を示す吸水性樹脂の製造方法
を提供することにある。 【解決手段】 不飽和単量体の重合体を主鎖とし、その
内部架橋剤として、オキサゾリン基を含有し分子量20
0以上の架橋剤、および/または、オキサゾリン基およ
び不飽和基を含有する架橋剤を用いることを特徴とする
吸水性樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水性樹脂および
その製造方法に関する。
【0002】より詳しくは、乾燥や表面処理等の加熱に
よる物性の低下(可溶分の増加・吸収倍率の低下)がな
い/または殆ど見られない吸水性樹脂であって、衛生材
料等に用いた際に優れた性能を示す、高吸収倍率/低可
溶分の吸水性樹脂の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、大量の水を吸収することを目的と
し、生理用ナプキン、紙おむつ等の衛生材料を構成する
材料の一つとして吸水性樹脂が幅広く利用されている。
また、衛生材料以外にも、農園芸用分野、土木業分野に
おいて土壌保水剤、脱水剤として、あるいは食品等のド
リップシート等の吸水性樹脂が広範囲に利用されてい
る。
【0004】上記吸水性樹脂としては、例えば、ポリア
クリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリルグ
ラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト
重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重
合体のケン化物、カルボキシメチルセルロース架橋体、
アクリロニトリル重合体若しくはアクリルアミド重合体
の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマ
ーの架橋体、架橋イソブチレンーマレイン酸共重合体、
2ーアクリルアミドー2ーメチルプロパンスルホン酸と
アクリル酸の共重合体の架橋体等が知られている。
【0005】これら吸水性樹脂は、親水性重合体内部に
架橋構造を導入して、水膨潤性且つ水不溶性の架橋重合
体としたものである。吸水性樹脂の物性には、架橋密度
が大きく影響するため、内部架橋剤の種類や量によって
その架橋密度が調整されている。架橋密度を下げると吸
収倍率は向上するが、同時に可溶分(吸水性樹脂中の水
可溶成分)も増加すること、一方、可溶分を減らすため
に架橋密度を上げると吸収倍率も小さくなることは、当
業者においてよく知られていることである。
【0006】可溶分は吸水性樹脂が、水、尿、体液等の
被吸収液体と接触してヒドロゲルを形成した際に、そこ
から浸出されてしまう。このように被吸収液体によって
抽出される可溶分は、吸水性樹脂の吸収倍率を低下させ
るばかりではなく、そのヌルつきのために不快感を与え
たり、被吸収液体を汚染する等の好ましくない状況を作
り出す。従って、吸収倍率ができるだけ高くしかも可溶
分ができるだけ少ないという、相反する条件を満たす内
部架橋剤および吸水性樹脂の製造方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】吸水性樹脂の架橋密度
を調整することで物性を改良する為、多くの内部架橋剤
が提案されている。架橋の反応としては、単量体との共
重合や、重合体の有する官能基との反応等がある。しか
し、従来公知の、例えば共重合性の内部架橋剤では、主
鎖における架橋点の分布に偏りが生じ易く、そのため、
吸水性樹脂の物性を制御しにくい。又、従来公知の、重
合体の有する官能基との反応による内部架橋では、主鎖
における架橋点の分布は共重合性の内部架橋剤に比べて
均一になりやすいものの、架橋反応の制御の難しさや、
架橋反応により生じる官能基が、乾燥や表面処理等の熱
が掛かる工程で副反応を起こし、吸水性樹脂の物性の低
下を起こしやすい。
【0008】例えばトリメチロールプロパントリアクリ
レート等のアクリルエステル系内部架橋剤を用いると、
高吸収倍率でかつ低可溶分である吸水性樹脂が得られ難
かった。さらに、テトラアリロキシエタン等のアリルエ
ーテル系内部架橋剤を用いた場合、重合で得られた含水
ゲル状重合体を生産性の良好な高温で乾燥して吸水性樹
脂を得ようとすると、乾燥時に吸収倍率が大きく低下
し、結果として十分満足のいく吸水性樹脂を得ることが
できなかった。また、多価アルコール等を内部架橋剤と
して用いた場合は反応が高温で進行する為吸収倍率のコ
ントロールが困難となり、さらに性能的にも満足のいく
物は得られなかった。また、エチレングリコールジグリ
シジルエーテル等のエポキシ系内部架橋剤を用いると、
架橋反応により水酸基が生成し、乾燥や表面処理等の熱
が掛かる工程において副反応が起こり吸収倍率が大きく
低下し十分満足のいく吸水性樹脂を得ることができなか
った。
【0009】よって、本発明の目的は、乾燥や表面処理
等の熱が掛かる製造工程における可溶分の増加が少なく
且つ吸収倍率の高い、衛生材料等に用いた際に優れた性
能を示す吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決すべく
本願発明者が鋭意検討した結果、オキサゾリン基を有す
る化合物を吸水性樹脂の内部架橋剤として用いる事によ
って、乾燥等の熱が掛かる工程における可溶分の増加が
少なく、その結果、可溶分が少なく且つ吸収倍率が高い
吸水性樹脂の製造方法を発明するに至った。
【0011】すなわち、オキサゾリン基を含有し分子量
が200以上である内部架橋剤、および/または、オキ
サゾリン基および不飽和基を含有する内部架橋剤を用い
ることを特徴とする、不飽和単量体の重合体が主鎖であ
る吸水性樹脂の製造方法を見出した。
【0012】即ち本発明は以下に示す吸水性樹脂の製造
方法である。
【0013】(1) オキサゾリン基を含有し分子量が
200以上である内部架橋剤を用いることを特徴とす
る、不飽和単量体の重合体が主鎖である吸水性樹脂の製
造方法。
【0014】(2) オキサゾリン基および不飽和基を
含有する内部架橋剤を用いることを特徴とする、不飽和
単量体の重合体が主鎖である吸水性樹脂の製造方法。
【0015】(3) 該オキサゾリン基を有する内部架
橋剤の分子量が1000以上である、上記(1)または
(2)記載の製造方法。
【0016】(4) 該オキサゾリン基を有する内部架
橋剤の分子量が10000以上である、上記(1)また
は(2)記載の製造方法。
【0017】(5) 該オキサゾリン基を有する内部架
橋剤が、不飽和単量体の重合時に用いられる上記(1)
から(4)のいずれかに記載の製造方法。 (6) 該オキサゾリン基を有する内部架橋剤が、オキ
サゾリン基を含有する重合体である上記(1)記載の製
法。
【0018】(7) 該オキサゾリン基を有する内部架
橋剤と不飽和単量体より得られた含水ゲル状重合体を1
00℃以上の雰囲気で乾燥する上記(1)から(6)の
いずれかに記載の製法。
【0019】(8) 不飽和単量体が、酸基含有水溶性
不飽和単量体および/またはその塩である上記(1)記
載の製造方法。
【0020】(9) 酸基含有水溶性不飽和単量体の中
和率が、50モル%未満であることを特徴とする上記
(8)記載の製造方法。
【0021】(10) 酸基含有水溶性不飽和単量体
が、(メタ)アクリル酸および/またはその塩であるこ
とを特徴とする上記(8)または(9)記載の製造方
法。
【0022】(11) 不飽和単量体または重合体中の
酸基量に対して、オキサゾリン基が0.01mol%か
ら10mol%となるように該オキサゾリン基を有する
内部架橋剤を使用することを特徴とする上記(8)から
(10)のいずれかに記載の製造方法。
【0023】(12) 酸基を有する不飽和単量体の重
合体に該オキサゾリン基を有する内部架橋剤を添加する
ことを特徴とする上記(1)記載の製造方法。
【0024】(13) 酸基を有する不飽和単量体の重
合体が含水ゲル状である上記(12)記載の製造方法。
【0025】(14) 該オキサゾリン基を有する内部
架橋剤が一分子中にオキサゾリン基を3以上有する請求
項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明に用いた語句の意味
を詳しく説明する。
【0027】本発明で言う主鎖とは、不飽和単量体を重
合することで得られる高分子重合体のことである。内部
架橋剤とは、主鎖間を結合せしめることで、重合体を水
不溶性・水膨潤性の架橋重合体とする化合物のことで、
不飽和単量体溶液に溶解/分散させる、または、不飽和
単量体を重合することで得られた不飽和単量体の重合体
に混合/分散させる化合物のことである。該架橋剤は、
不飽和単量体と共重合性を有する、または/且つ、主鎖
の官能基と結合する官能基を有する化合物である。ま
た、表面架橋剤とは、加圧下の吸収特性等を高めるため
に、該含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕することで得られ
た吸水性樹脂の表面近傍を更に架橋する為に用いる化合
物のことである。吸水性樹脂とは水に溶けることなく自
重の5倍以上、好ましくは10〜2000倍ものイオン
交換水を吸収し、水不溶性のヒドロゲルを形成しうる水
不溶性・水膨潤性架橋重合体のことである。
【0028】以下に本発明を詳しく説明する。
【0029】本発明は、不飽和単量体の重合体を主鎖と
し、その内部架橋剤として、オキサゾリン基を有する分
子量が200以上の内部架橋剤、および/または、オキ
サゾリン基および不飽和基を含有する内部架橋剤を用い
る吸水性樹脂の製造方法である。
【0030】本発明の吸水性樹脂の製造方法において、
オキサゾリン基を含有し分子量が200以上である内部
架橋剤と、オキサゾリン基および不飽和基を含有する内
部架橋剤はそれぞれ単独で用いてもよく、併用してもよ
い。
【0031】以下に、本発明で吸水性樹脂の主鎖を得る
ための水溶性不飽和単量体について説明する。
【0032】本発明で吸水性樹脂の主鎖に用いられる重
合体とは、オキサゾリン基と反応する官能基を有する水
溶性不飽和単量体から得られる重合体であれば特に限定
されず、またこれらの単量体ないし重合体以外に、本発
明以外の目的を逸脱しない範囲でその他の単量体ないし
重合体を併用して使用してもよい。なお、該オキサゾリ
ン基と反応する官能基としては、カルボキシル基、フェ
ノール性水酸基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、
エポキシ基等があり、好ましくは酸基を含有するもの、
特に好ましくはカルボキシル基を有するものである。
【0033】本発明で用いられるオキサゾリン基と反応
する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、(無
水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ソルビン酸、
イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトル
エンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレン
スルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタン
スルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホ
ン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォ
スフェート等の、酸基含有不飽和単量体;メルカプタン
基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単
量体;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド等のアミド基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単
量体が挙げられる。これら単量体は単独で用いてもよ
く、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。
【0034】また、その他の単量体として、前述の酸基
含有不飽和単量体の塩や、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、
N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリ
ジン等のノニオン性親水性基含有単量体を二種類以上混
合して用いてもよい。さらに、吸水性樹脂の親水性を極
度に阻害しない程度の量で、例えば、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート等のアクリル酸エステル類や酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等の疎水性単量体を使用しても
よい。
【0035】本発明における好ましい単量体は、得られ
る吸水性樹脂の性能やコストの点から、酸基含有不飽和
単量体およびその塩であり、アクリル酸およびアルカリ
金属塩、アンモニウム塩、またはアミン塩で中和された
アクリル酸塩を主成分として用いるのが好ましい。その
際、アクリル酸およびアクリル酸塩の総和に対するアク
リル酸塩の含有量(以下中和率と記す)は70モル%〜
0モル%、より好ましくは50モル%未満、さらに好ま
しくは20モル%未満、好ましくは0モル%である。中
和率が70%以上であれば、オキサゾリン基とカルボキ
シル基の反応率が低下し、その結果、可溶分量が増加
し、好ましくない。なお、(メタ)アクリル酸等の酸基
含有単量体を主成分として用いる際に中和率が50モル
%未満の場合には、重合中あるいは重合終了後、重合系
に水酸化物、リチウム塩/ナトリウム塩/カリウム塩な
どのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、またはアミン塩
等のアルカリ物質を添加、混合し、中和率を50モル%
〜90モル%にすることが好ましく、55モル%〜80
モル%にすることがより好ましい。
【0036】次いで、本発明で吸水性樹脂の内部架橋剤
に用いられる、オキサゾリン基を有する分子量200以
上の架橋剤、および/または、オキサゾリン基および不
飽和基を含有する架橋剤について説明する。
【0037】本発明では特定のオキサゾリン基を有する
内部架橋剤、すなわち、オキサゾリン基を有する分子量
200以上の内部架橋剤、および/または、オキサゾリ
ン基および不飽和基を含有する内部架橋剤であり、好ま
しくは、オキサゾリン基を含有する重合体が用いられ
る。オキサゾリン基含有架橋剤でも分子量が200に満
たない場合、製造時の安全性の見地より好ましくない。
【0038】本発明の、オキサゾリン基を含有し分子量
が200以上である内部架橋剤は、オキサゾリン基を含
有し分子量が200以上であれば特に限定されないが、
好ましくは2−オキサゾリン基を少なくとも2個以上有
する化合物であり、下記一般式(1)で表される構造単
位を2個以上有するもの、
【0039】
【化1】
【0040】(式中R1〜R4は別個に水素原子、アルキ
ル基、芳香族基、ハロゲン基、置換アルキル基又は置換
芳香族基を表す。)である。
【0041】本発明の、オキサゾリン基および不飽和基
を含有する内部架橋剤は、オキサゾリン基および不飽和
基を含有する内部架橋剤であれば特に限定されないが、
好ましくは2−オキサゾリン基を少なくとも1個以上有
する重合性不飽和単量体であり、下記一般式(2)によ
って表されるものである。
【0042】
【化2】
【0043】(式中R1〜R4は別個に水素原子、アルキ
ル基、芳香族基、ハロゲン基、置換アルキル基又は置換
芳香族基を表し、R5は付加重合性不飽和結合を持つ非
環状有機基である。) 本発明で用いられる、該オキサゾリン基を有する内部架
橋剤は一分子中にオキサゾリン基を3個以上有するもの
がよく、好ましくは3〜10000、より好ましくは3
〜1000である。
【0044】以下、本発明の、オキサゾリン基を含有し
分子量が200以上である内部架橋剤、および、オキサ
ゾリン基および不飽和基を含有する内部架橋剤について
述べる。
【0045】本発明のオキサゾリン化合物は水溶性のも
のが好ましく、例えば、オキサゾリン基を少なくとも2
個以上有する化合物として、1,3−フェニレンビスオ
キサゾリン、1,4−フェニレンビスオキサゾリンなど
のオキサゾリン基を一分子中に複数有する内部架橋剤が
挙げられる。また、2−オキサゾリン基を少なくとも1
個以上有する重合性不飽和単量体として、2-ビニル-2
-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリ
ン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプ
ロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メ
チル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-
2-オキサゾリン等を挙げることができるが、本発明で
は、好ましくはオキサゾリン基を有する内部架橋剤とし
て、オキサゾリン基含有重合体であり特に好ましくは共
重合体が用いられる。
【0046】以下、本発明で内部架橋剤として特に好ま
しく用いられるオキサゾリン基含有重合体についてさら
に説明する。
【0047】本発明で好ましく用いられるオキサゾリン
基を含む重合体は、付加重合性オキサゾリン(a)およ
び必要に応じて用いる少なくとも1種の他のモノマー
(b)を重合して得ることができる。付加重合性オキサ
ゾリン(a)とは下記一般式(3)によって表されるも
のである。
【0048】
【化3】
【0049】(式中R1〜R4は別個に水素原子、アルキ
ル基、芳香族基、ハロゲン基、置換アルキル基又は置換
芳香族基を表し、R5は付加重合性不飽和結合を持つ非
環状有機基である。) 付加重合性オキサゾリン(a)の具体例としては2-ビニ
ル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサ
ゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イ
ソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4
-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチ
ル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの群
より選ばれる1種または2種以上の混合物を使用するこ
とができる。なかでも2-イソプロペニル-2-オキサゾ
リンが好ましい。
【0050】付加重合性オキサゾリン(a)の使用量は
特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含む
重合体を得る際に使用する単量体混合物中1重量%以上
90重量%未満であることが好ましい。1重量%未満の
量では、内部架橋剤として用いた場合、架橋の程度が不
十分であり、また、90重量%以上使用しても架橋の程
度は変らず、経済的に不利である。
【0051】本発明におけるオキサゾリン化合物として
好ましく用いられるオキサゾリン基を含む重合体を得る
ために必要に応じて用いる少なくとも1種の他のモノマ
ー(b)とはオキサゾリン基と反応せず、上記付加重合
性オキサゾリン(a)と共重合可能な単量体であれば特
に制限なく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2ーエチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコ
ール、(メタ)アクリル酸2ーヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2ーアミノエチルおよびその塩等の(メ
タ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸 ナトリ
ウム、(メタ)アクリル酸 アンモニウム等の(メタ)ア
クリル酸 塩類;(メタ)アクリルニトリル等の不飽和ニ
トリル類;(メタ)アクリルアミド、Nーメチロール(メ
タ)アクリルアミド、 Nー(2ーヒドロキシエチル)
(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチル
ビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエー
テル類;エチレン、プロピレン等のαーオレフィン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロ
ゲンα、βー不飽和単量体類;スチレン、αーメチルス
チレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等の、α、βー
不飽和芳香族単量体類が挙げられ、これらの1種又は2
種以上の混合物を使用することができる。
【0052】本発明におけるオキサゾリン化合物として
好ましく用いられるオキサゾリン基を含む重合体は一般
に付加重合性オキサゾリン(a)および必要に応じて用い
る少なくとも1種の他のモノマー(b)よりなる単量体
混合物を、従来公知の重合法、たとえば水性媒体中での
溶液重合等を行うことにより製造できる。この場合の水
性媒体としては水と混和可能なものであれば特に制限は
ないが、例示すれば水、水と親水性溶媒との混合溶液が
挙げられる。
【0053】この場合の親水性溶媒としてはメチルアル
コール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソ
ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アル
コール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポ
リ)エチレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラ
クタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコー
ル、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4
−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、
1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリ
オキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレン
ブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール又は
それらの誘導体等が挙げられこれらのうちの1種又は2
種以上を用いることができる。
【0054】本発明で用いることができるオキサゾリン
基を含む重合体は、上記以外の方法で製造してもよく、
例えば、ニトリル基を有するポリマーを原料として合成
する方法(参考として特開平9−235320)や、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステルから合成する方法(参考
として、米国特許5705573)などが挙げられる
が、勿論、これらの方法以外を用いてもよい。
【0055】本発明に用いることのできるオキサゾリン
化合物は好ましくは水溶性を示すものであり、好ましく
用いられるオキサゾリン基を含む重合体の場合には、単
量体混合物中の親水性を示す単量体の割合が50重量%
以上、好ましくは70重量%以上である。ここでいう親
水性単量体とはたとえば、付加重合性オキサゾリン
(a)が例示でき、必要に応じて用いる少なくとも1種
の他のモノマー(b)の中では (メタ)アクリル酸メト
キシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2ー
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2ーアミノエチ
ルおよびその塩、(メタ)アクリル酸 ナトリウム、(メ
タ)アクリル酸 アンモニウム等の(メタ)アクリル酸
塩、(メタ)アクリルニトリル、 (メタ)アクリルアミ
ド、Nーメチロール(メタ)アクリルアミド、 Nー(2ー
ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレン
スルホン酸ナトリウム等が例示できる。
【0056】これらオキサゾリン基含有重合体の分子量
は、該重合体の合成の経済性および該重合体の使用時の
安全性および取扱性を鑑みて、200以上、好ましくは
1000以上、より好ましくは5000以上、さらに好
ましくは1万〜100万、さらにより好ましくは2万〜
10万の範囲である。
【0057】本発明では、上記したオキサゾリン基含有
内部架橋剤を用いて、不飽和単量体の重合体を主鎖を架
橋することで吸水性樹脂を得ることを特徴とするが、オ
キサゾリン基含有架橋剤は、重合体または単量体、好ま
しくは単量体に加えて用いられる。
【0058】この時、該内部架橋剤としてのオキサゾリ
ン化合物を、上記重合体または架橋体、または上記単量
体の重合時に用いるに際し、該化合物がそれらの溶液、
不飽和単量体の重合体、または架橋体に十分に溶解もし
くは分散することが重要である。溶解性もしくは分散性
が極端に低いと、主鎖の架橋点の分布が不均一になり、
得られる吸水性樹脂の可溶分の増加や吸収倍率の低下等
の性能の低下だけでなく、未反応の内部架橋剤が多量に
残存して、経済的に無駄であり、好ましくない。
【0059】上記オキサゾリン基含有内部架橋剤の使用
量は特に制限はないが、重合条件に応じて所望の吸水性
樹脂の物性を生じる使用量を選択すればよい。吸水性樹
脂としての性能および経済性を鑑みると、不飽和単量体
または重合体中のオキサゾリン基と架橋反応する官能基
に対して、オキサゾリン基が0.01mol%から10
mol%となるように該オキサゾリン基を有する内部架
橋剤を使用することが好ましい。
【0060】また上記オキサゾリン基含有内部架橋剤成
分とともに、必要により他の従来公知の内部架橋剤を併
用することができる。具体的には、特開平10−182
750のP.4に記載の内部架橋剤が挙げられる。これ
らのうち反応性を考慮して、1種または2種以上を用い
ることができる。これらの使用量は求める吸水性樹脂の
吸収倍率や可溶分量により、適宜用いることができる。
【0061】また、上記架橋剤の他に、澱粉、澱粉の誘
導体、セルロース、セルロースの誘導体、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コールの誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、ポリ
(メタ)アクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子;次
亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤;ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノステアレート等の従来公知の界面活性剤等
を添加してもよい。
【0062】上記単量体および架橋剤(以下、単量体成
分と記す)の重合方法としては、特に限定されるもので
はなく、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重
合、沈殿重合等の公知の方法を採用することができる。
このうち、重合反応の制御の容易さ、および得られる吸
水性樹脂の性能面から、該単量体成分の水溶液を重合す
る方法、即ち、水溶液重合および逆相懸濁重合が好まし
い。尚、水溶液重合、逆相懸濁重合は、USP4625
001号、同4767323号、同4446261号、
同4683274号、同4690996号、同4721
6647号、同4738867号、同4748076号
等に記載されている。
【0063】上記重合方法における単量体成分の水溶液
の濃度、即ち、水溶液中における単量体成分の割合は、
特に限定されるものではないが、10重量%以上である
ことが好ましく、10〜60重量%の範囲内であること
がさらに好ましい。また、反応温度や反応時間等の反応
条件は、用いる単量体成分の組成等に応じて適宜設定す
ればよく、特に限定されるものではない。
【0064】本発明における単量体成分の水溶液を重合
する方法としては、通常の重合方法を用いることができ
る。具体的には、特開平10−182750のP.4に
記載の方法が挙げられる。
【0065】こうして得られた重合体の例としては、ア
クリル酸およびその部分中和物の重合体、澱粉−アクリ
ロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリ
ル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸
エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル重合体
若しくはアクリルアミド重合体の加水分解物、または前
述重合体の架橋体、カチオン性モノマーの重合体とその
架橋体、架橋イソブチレンーマレイン酸共重合体とその
架橋体、2ーアクリルアミドー2ーメチルプロパンスル
ホン酸とアクリル酸の共重合体とその架橋体等が挙げら
れる。好ましくは、アクリル酸またはアクリル酸部分中
和物の重合体とその架橋体であり、これら重合体の内部
架橋剤にオキサゾリン基を有する化合物の重合体を用い
てもよい。これら重合体の内部架橋剤としてオキサゾリ
ン基を有する化合物の重合体を用いる際は、重合体が含
水ゲル状であることが好ましく、その含水率は50%以
上、好ましくは65%以上である。また、未架橋の重合
体に内部架橋剤としてオキサゾリン基を有する化合物を
用いる際は、オキサゾリン基の反応性を鑑みて、好まし
くは、重合体に酸基、より好ましくはカルボキシル基を
有することが望ましい。
【0066】上記重合により得られる重合体は、通常、
40〜90重量%の水分を含んだ含水ゲル状態であり、
その用途が衛材等である場合には、含水率が10重量%
以下となるように該含水ゲル状重合体を乾燥した後、好
ましくは粉砕を行い吸水性樹脂とする。
【0067】上記含水ゲル状重合体の乾燥方法として
は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法によ
り乾燥される。例えば有機溶剤中での共沸脱水による
方法、強制通風炉、減圧乾燥機、マイクロ波乾燥機、
赤外線乾燥機、所定温度に加熱されたベルトまたはドラ
ムドライヤー等を用いて直接乾燥する方法等が挙げられ
る。の共沸脱水は製品中に有機溶媒が残存する問題が
あり、これを完全に除去するためにはコスト高となるこ
とから、の含水ゲル状重合体を直接乾燥する方法が好
ましい。この際の乾燥温度は50℃〜230℃が好まし
く、生産性の点からは100℃〜180℃がより好まし
い。従来公知の架橋剤では、含水ゲル状重合体を直接乾
燥することで、水可溶分量の増加等の物性の低下が起こ
るが、本発明の架橋剤では、水可溶分量の低下が確認さ
れた。これは、未反応のオキサゾリン基が水可溶分とな
る重合体と反応する為と考えられる。乾燥温度が120
℃より低いと完全に乾燥するまでに長時間を必要とし、
生産性の低下を招くため、好ましくない。また、230
℃を超えると吸水性樹脂の著しい劣化が起こる場合があ
り、注意を必要とする。通常、これらの方法によって、
固形分60%以上、さらに、90%以上まで乾燥される
ことが好ましい。
【0068】上記の様に乾燥して得られた吸水性樹脂
は、必要により従来公知の方法で、粉砕および/または
分級してもよい。例えば、高速回転式粉砕機(ピンミ
ル、ハンマーミル等)、スクリューミル(コーヒーミ
ル)、ロールミル等が挙げられる。粉末状の吸水性樹脂
を目的とする場合、平均粒子径10〜2000μm、さ
らに好ましくは100〜1000μm、最も好ましくは
300〜600μm程度に調整され、かつ、その粒度分
布は狭い方が好ましい。
【0069】さらに、上記製造方法により得られた吸水
性樹脂は、必要により加圧下の吸収特性を高めるため
に、該吸水性樹脂が有する官能基と反応し得る架橋剤
(以下表面架橋剤と記す)と混合、処理してその表面近
傍を架橋してもよい。表面架橋剤との反応は、乾燥せず
に含水ゲル状重合体で行うこともできるが、最終製品の
吸収特性を高めるためには、好ましくは含水率が10重
量%以下となるように乾燥した後、必要に応じて粉砕お
よび所望の粒度に調整することが好ましい。表面架橋剤
としては、上記重合体が有する官能基と反応可能な化合
物であれば、特に限定されるものではない。上記表面架
橋剤としては、具体的には、例えば、プロピレングリコ
ール、グリセリン、ブタンジオールなどの多価アルコー
ル類、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどの
多価エポキシ化合物、(ポリ)エチレンイミン等の多価
アミン化合物、アルキレンカーボネート化合物、多価オ
キサゾリン化合物(参考として、特開平11−2409
59)、ハロエポキシ化合物やそのポリアミン付加物
(ポリアミド−ポリアミドのエピハロヒドリン付加物;
商標Kymene;ハーキュレス製)、多価金属等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。これらの表
面架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類
以上を混合して用いてもよい。
【0070】上記重合体と表面架橋剤とを混合する際に
は、混合あるいは混合後に、必要に応じて、水、水蒸
気、または水と親水性有機溶媒とからなる水性液等を添
加してもよい。この場合に使用される水の量は、用いる
重合体の種類や粒径等にもよるが、重合体の固形分10
0重量部に対して、10重量部以下、好ましくは1重量
部〜5重量部の範囲内である。
【0071】親水性有機溶媒としては、特に限定される
ものではないが、具体的には、例えば、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、is
o−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、is
o−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級
アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テ
トラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホ
ルムアルデヒド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等
のスルホキシド類等が挙げられる。
【0072】上記重合体と表面架橋剤とを混合する際に
は、例えば、上記重合体を分散させた後、表面架橋剤を
混合してもよく、水や水性液に溶解させた表面架橋剤
を、重合体に直接噴霧もしくは滴下して混合してもよ
い。また、水を用いて混合する場合には、水に不要な微
粒子状の粉体や、各種有機酸や無機酸、界面活性剤等を
共存させてもよい。
【0073】吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際に
用いられる混合装置は、両者を均一かつ確実に混合する
ために、大きな混合力を備えていることが好ましい。上
記の混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁
円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリ
ュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気
流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニー
ダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等が好適であ
る。
【0074】吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合した後、
表面架橋剤の種類により、加熱処理を行い、吸水性樹脂
の表面近傍を架橋させる。上記加熱処理の処理温度は、
用いる表面架橋剤にもよるが、 40℃以上250℃以
下が好ましい。処理温度が40℃未満の場合には、均一
な架橋構造が形成されず、従って、加圧下吸収倍率が好
ましい範囲に入る吸水性樹脂を得ることができないこと
がある。処理温度が250℃を越える場合には、吸水性
樹脂の劣化を引き起こし、吸水性樹脂の性能が低下する
場合があり注意を要する。
【0075】上記の加熱処理は、通常の乾燥機または加
熱炉を用いて行うことができる。上記の乾燥機として
は、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、デス
ク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機
等が挙げられる。
【0076】本発明により得られる吸水性樹脂は、安全
性が高いだけではなく、生産性の良好な高温での乾燥時
でも、可溶分増加率が小さく、結果として、従来公知の
架橋剤を用いて得られた吸水性樹脂よりも高吸収倍率で
かつ可溶分の少ない優れた物性を示す。よって、本発明
で得られた吸水性樹脂は、子供用および大人用おむつ、
生理用ナプキン、失禁用パッド、母乳パッド、ペットシ
ート等の衛生材料に特に最適に使用することができる。
【0077】また、本発明で得られる吸水性樹脂は、鮮
度保持材、保冷材、ドリップ吸収材等の保水材、結露防
止剤、土木建築用の止水材やパッキング材、電線や光フ
ァイバーの止水材等の吸水性樹脂を利用する各種用途に
も有用である。
【0078】以下、実施例によって本発明を説明する
が、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるもので
はない。本発明において、含水ゲル状重合体の吸収倍率
および可溶分量、該含水ゲル状重合体を乾燥して得られ
る吸水性樹脂の吸収倍率、可溶分量、および吸収倍率低
下率は以下の方法で測定した。
【0079】<測定方法> (a)含水ゲル状重合体の吸収倍率 固形分A重量%の粒子状含水ゲル状重合体W1(g)
(100重量%固形分として約0.2g)を不織布製の
袋(60mm×60mm)に均一に入れ、0.9重量%塩化
ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。24時
間後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて 250Gで
3分間水切りを行った後、袋の重量W2(g)を測定し
た。また、同様の操作を含水状ゲル重合体を用いないで
行い、その時の重量W0(g)を測定した。そして、こ
れら重量W1、W2、W0から次式に従って吸収倍率(g
/g)を算出した。
【0080】吸収倍率 (g/g)=(W2(g) −W0(g))
/W1(g)×(100/A)−1 (b)含水ゲル状重合体の可溶分量 固形分A重量%の粒子状含水ゲル状重合体W3(g)
(100重量%固形分として約0.5g)を1000g
の脱イオン水中に分散し、16時間攪拌した後、濾紙で
濾過した。次に、得られた濾液50gを100mlビー
カーにとり、該濾液に0.1N−水酸化ナトリウム水溶
液1ml、N/200−メチルグリコールキトサン水溶
液10ml、および、0.1重量%トルイジンブルー水
溶液4滴を加えた。次いで、上記ビーカーの溶液を、N
/400−ポリビニル硫酸カリウム水溶液を用いてコロ
イド滴定し、溶液の色が青色から赤紫色に変化した時点
を定の終点として滴定量B(ml)を求めた。また、濾
液50gに代えて脱イオン水50gを用いて同様の操作
を行い、ブランクとして滴定量C(ml)を求めた。そ
して、これら滴定量B、Cと含水ゲル状重合体の繰り返
し単位の分子量Dとから、次式に従って可溶分量(重量
%)を算出した。 可溶分量(重量%)=(C−B)×0.005×D/W
3×(100/A) (c)吸水性樹脂の吸収倍率 吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋(60mm×60m
m)に均一に入れ、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液
(生理食塩水)中に浸漬した。60分後に袋を引き上
げ、遠心分離機を用いて 250Gで3分間水切りを行
った後、袋の重量W4(g)を測定した。また、同様の
操作を含水状ゲル重合体を用いないで行い、その時の重
量W0(g)を測定した。そして、これら重量W4、W0
から次式に従って吸収倍率(g/g)を算出した。
【0081】吸収倍率 (g/g)=(W4(g) −W0(g))
/吸水性樹脂(g)−1 (b)吸水性樹脂の可溶分量 吸水性樹脂0.5gを1000gの脱イオン水中に分散
し、16時間攪拌した後、濾紙で濾過した。次に、得ら
れた濾液50gを100m1ビーカーにとり、該濾液に
0.1N−水酸化ナトリウム水溶液1ml、N/200
−メチルグリコールキトサン水溶液10ml、および、
0.1重量%トルイジンブルー水溶液4滴を加えた。次
いで、上記ビーカーの溶液を、N/400−ポリビニル
硫酸カリウム水溶液を用いてコロイド滴定し、溶液の色
が青色から赤紫色に変化した時点を定の終点として滴定
量B(ml)を求めた。また、濾液50gに代えて脱イ
オン水50gを用いて同様の操作を行い、ブランクとし
て滴定量C(ml)を求めた。そして、これら滴定量
B、Cと含水ゲル状重合体の繰り返し単位の分子量Dと
から、次式に従って可溶分量(重量%)を算出した。 可溶分量(重量%)=(C−B)×0.005×D/
0.5
【0082】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定
されるものではない。
【0083】(合成例1)撹拌機、還流冷却器、窒素導
入管、温度計および滴下ロートを備えたフラスコに、脱
イオン水370部を仕込み、適量の28重量%アンモニ
ア水でpHを9.0に調整した後、ゆるやかに窒素ガス
を流しながら60℃に加熱した。そこへ2、2’−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の5%水溶液を注
入し、続いて予め調節しておいたアクリル酸エチル2
部,メタクリル酸メチル2部、アクリル酸メトキシポリ
エチレングリコール76部および2−イソプロペニル−
2−オキサゾリンの単量体混合物20部を3時間にわた
って滴下した。反応中は窒素ガスを吹き込み続け内温を
60±1℃に保った。滴下終了後、内温を70℃に昇温
させて3時間撹拌を続けて反応を完結させた。冷却後、
適量の28重量%アンモニア水を添加して、pH9.0
に調整し、重量平均分子量55,000、不揮発分30
%のオキサゾリン基含有水溶性重合体の水溶液を得た。
【0084】(実施例1)温度計、窒素ガス導入管およ
び排気孔を備えた蓋と底面300mm×220mm、深
さ600mmのバットからなる反応容器に、アクリル酸
700g、内部架橋剤として、合成例1記載のオキサゾ
リン基含有重合体水溶液6.487g、および脱イオン
水1268.91gを供給混合し、20℃の水浴に底か
ら10mmの高さまで浸した。この水溶液に窒素ガスを
導入し、脱気した後、窒素気流雰囲気下5重量%V−5
0(和光純薬製アゾ系重合開始剤)水溶液3.89g、
5重量%過硫酸ナトリウム水溶液3.89gおよび0.
5重量%L−アスコルビン酸水溶液3.50gを添加混
合した。次に、0.35重量%過酸化水素水4.00g
を添加混合した。単量体濃度は35重量%、中和率は0
%であった。重合開始後、重合系は攪拌せずに水溶液の
温度を15℃にし、冷却を行った。45分後重合系は最
高到達温度の80℃を示した。この後、水浴の温度を6
0℃にし20分後に含水ゲル状重合体を得た。この含水
ゲル状重合体をミートチョッパーで解砕し、この含水ゲ
ル状重合体を100℃で1時間加温した後、14.33
重量%の炭酸ナトリウム水溶液233.46gを含水ゲ
ル状重合体200gに対して添加混合し、48時間室温
にて保管することで、含水ゲル状重合体(1)を得た。
その後、170℃、30分間熱風乾燥機で乾燥し、得ら
れた乾燥物を粉砕することで、吸水性樹脂(1)を得
た。
【0085】含水ゲル状重合体(1)は、吸収倍率9
0.3倍、可溶分27.4%であった。
【0086】吸水性樹脂(1)は、吸収倍率70.4
倍、可溶分12.0%であった。
【0087】乾燥による可溶分の変化量は−15.4ポ
イントであった。
【0088】(比較例1)実施例1において、オキサゾ
リン含有架橋剤に代えて、内部架橋剤をポリエチレング
リコールジアクリレート(平均分子量487)0.94
62gとする以外は実施例1と同様に重合および乾燥を
行い、比較含水ゲル状重合体(1)比較吸水性樹脂
(1)を得た。
【0089】比較含水ゲル状重合体(1)は、吸収倍率
40.7倍、可溶分2.1%であった。
【0090】比較吸水性樹脂(1)は、吸収倍率56.
7倍、可溶分11.2%であった。
【0091】乾燥による可溶分の変化量は+9.1ポイ
ントであった。
【0092】この様に、オキサゾリン含有架橋剤を用い
ることで、 乾燥による可溶分の増加がない(可溶分が減少する) 比較吸水性樹脂(1)と比較して、ほぼ同量の可溶分
にもかかわらず、吸収率が大きく向上することが示され
る。
【0093】(合成例2)撹拌機、還流冷却器、窒素導
入管、温度計および滴下ロートを備えたフラスコに、脱
イオン水370部を仕込み、適量の28重量%アンモニ
ア水でpHを9.0に調整した後、ゆるやかに窒素ガス
を流しながら60℃に加熱した。そこへ2、2’−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の5%水溶液を注
入し、続いて予め調節しておいたアクリル酸エチル2
部,メタクリル酸メチル2部、アクリル酸メトキシポリ
エチレングリコール95部および2−イソプロペニル−
2−オキサゾリンの単量体混合物1部を3時間にわたっ
て滴下した。反応中は窒素ガスを吹き込み続け内温を6
0±1℃に保った。滴下終了後、内温を70℃に昇温さ
せて3時間撹拌を続けて反応を完結させた。冷却後、適
量の28重量%アンモニア水を添加して、pH9.0に
調整し、重量平均分子量65,000、不揮発分30%
のオキサゾリン基含有水溶性重合体の水溶液を得た。
【0094】(実施例2)脱気孔がついた蓋を有する容
器に、ポリアクリル酸(株式会社日本触媒製AS−5
8、分子量800000)5g、内部架橋剤として、合
成例2記載のオキサゾリン基含有重合体水溶液15.0
5g、炭酸ナトリウム0.368g、および脱イオン水
29.465gを十分混合した。重合体濃度は10重量
%、中和率は10%であった。この後、容器に蓋をし、
100℃雰囲気下に2時間置くことで、含水ゲル状重合
体を得た。この含水ゲル状重合体をハサミで解砕し、
4.048重量%の炭酸ナトリウム水溶液50gを含水
ゲル状重合体50gに対して添加混合し、48時間室温
にて保管することで、含水ゲル状重合体を得た。その
後、170℃、30分間熱風乾燥機で乾燥し、得られた
乾燥物を粉砕することで、吸水性樹脂(1)を得た。
【0095】吸水性樹脂(2)は、吸収倍率32.5
倍、可溶分6.0%であった。
【0096】(比較例2)実施例2において、オキサゾ
リン含有架橋剤に代えて、架橋剤をエチレングリコール
ジグリシジルエーテル(平均分子量288)0.05
g、脱イオン水44.95gとする以外は実施例2と同
様に架橋および乾燥を行い、比較吸水性樹脂(2)を得
た。
【0097】比較吸水性樹脂(2)は、吸収倍率35.
4倍、可溶分9.9%であった。
【0098】この様に、オキサゾリン含有架橋剤を用い
ることで、比較吸水性樹脂と比較して、吸収倍率がほぼ
同じであるにも関わらず、可溶分の少ない吸水性樹脂を
得ることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AB02P AB04P AJ01P AJ02P AJ08P AJ09P AK32P AL08P AL09P AM14P AM15P AM19P AP01P AP07P AQ06P AQ08P AQ12P AQ15Q BA03P BA05P BA06P BA31P BA52P BA56P BA64P BC43P BC65P BC79Q CA04 JA59 JA60 JA64 JA67

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オキサゾリン基を含有し分子量が200
    以上である内部架橋剤を用いることを特徴とする、不飽
    和単量体の重合体が主鎖である吸水性樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 オキサゾリン基および不飽和基を含有す
    る内部架橋剤を用いることを特徴とする、不飽和単量体
    の重合体が主鎖である吸水性樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 該オキサゾリン基を有する内部架橋剤
    が、不飽和単量体の重合時に用いられる請求項1または
    2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 該オキサゾリン基を有する内部架橋剤
    が、オキサゾリン基を含有する重合体である請求項1記
    載の製法。
  5. 【請求項5】 不飽和単量体が、酸基含有水溶性不飽和
    単量体および/またはその塩である請求項1記載の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 酸基含有水溶性不飽和単量体が、(メ
    タ)アクリル酸および/またはその塩であることを特徴
    とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸基を有する不飽和単量体の中和率が5
    0mol%未満であることを特徴とする請求項5または
    6記載の製造方法
  8. 【請求項8】 酸基を有する不飽和単量体の重合体に該
    オキサゾリン基を有する内部架橋剤を添加することを特
    徴とする請求項1記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 該オキサゾリン基を有する内部架橋剤が
    一分子中にオキサゾリン基を3個以上有する請求項1〜
    8のいずれかに記載の製造方法。
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