JP2001305690A - ハロゲン化銀写真乳剤、及びそれを用いたハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤、及びそれを用いたハロゲン化銀写真感光材料

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JP2001305690A JP2000126018A JP2000126018A JP2001305690A JP 2001305690 A JP2001305690 A JP 2001305690A JP 2000126018 A JP2000126018 A JP 2000126018A JP 2000126018 A JP2000126018 A JP 2000126018A JP 2001305690 A JP2001305690 A JP 2001305690A
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Takanori Hioki
孝徳 日置
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で高画質なハロゲン化銀写真感光材料
を提供する。 【解決手段】 ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多
層吸着しているハロゲン化銀写真乳剤において、2層目
以降の増感色素の吸着エネルギー(ΔG)が10kJ/
mol以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真乳
剤、または、2層目以降の増感色素が層状状態で存在す
ることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分光増感されたハロ
ゲン化銀写真乳剤、および、それを用いたハロゲン化銀
写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ハロゲン化銀写真感光材料の
高感度化のために多大な努力がなされてきた。ハロゲン
化銀写真乳剤においては、ハロゲン化銀粒子表面に吸着
した増感色素が感材に入射した光を吸収し、その光エネ
ルギーをハロゲン化銀粒子に伝達することによって感光
性が得られる。したがって、ハロゲン化銀の分光増感に
おいては、ハロゲン化銀粒子単位粒子表面積あたりの光
吸収率を増加させることによってハロゲン化銀へ伝達さ
れる光エネルギ−を増大させることが出来、分光感度の
高感度化が達成されると考えられる。ハロゲン化銀粒子
表面の光吸収率を向上させるためには、単位粒子表面積
あたりの分光増感色素の吸着量を増加させればよい。し
かし、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着量には
限界があり、単層飽和吸着(すなわち1層吸着)より多
くの色素発色団を吸着させるのは困難である。従って、
分光増感領域における個々のハロゲン化銀粒子の入射光
量子の吸収率は未だ低いのが現状である。
【0003】これらの点を解決する方法として提案され
たものを以下に述べる。ピー・ビー・ギルマン・ジュニ
アー(P.B.Gilman,Jr.)らは、フォトグ
ラフィック・サイエンス・アンド・エンジンニアリング
(Photographic Science and
Engineering)第20巻3号、第97貢
(1976年)において、1層目にカチオン色素を吸着
させ、さらに2層目にアニオン色素を静電力を用いて吸
着させた。ジー・ビー・バード(G.B.Bird)ら
は米国特許3,622,316号において、複数の色素
をハロゲン化銀に多層吸着させ、フェルスター(For
ster)型励起エネルギ−移動の寄与によって増感さ
せた。
【0004】杉本らは、特開昭63ー138、341
号、及び同64ー84、244号において、発光性色素
からのエネルギ−移動による分光増感を行った。アール
・スタイガー(R.Steiger)らは、フォトグラ
フィック・サイエンス・アンド・エンジンニアリング
(Photographic Science and
Engineering)第27巻2号、第59貢
(1983年)において、ゼラチン置換シアニン色素か
らの、エネルギ−移動による分光増感を試みた。池川ら
は、特開昭61ー251842号において、シクロデキ
ストリン置換色素からのエネルギ−移動による分光増感
を行った。
【0005】2つの別々に共役しておらず、共有結合で
連結された発色団をもつ、いわゆる連結色素について
は、例えば米国特許2,393,351号、同2,42
5,772号、同2,518,732号、同2,52
1,944号、同2,592,196号、欧州特許56
5,083号などに記載されている。しかし、これらは
光吸収率向上を狙ったものではなかった。積極的に光吸
収率向上を狙ったものとして、ジー・ビー・バード
(G.B.Bird)、エー・エル・ボロアー(A.
L.Borror)らは米国特許3,622,317号
及び同3,976,493号において、複数のシアニン
発色団を有する連結型増感色素分子を吸着させて光吸収
率を増やし、エネルギ−移動の寄与によって増感を図っ
た。鵜飼、岡崎、杉本は特開昭64ー91134号にお
いて、少なくとも2個のスルホ基及び/又はカルボキシ
ル基を含む実質的に非吸着性のシアニン、メロシアニ
ン、およびヘミシアニン色素のうち少なくとも1つを、
ハロゲン化銀に吸着されうる分光増感色素に結合させる
ことを提案した。
【0006】また、エル・シー・ビシュワカルマ(L.
C.Vishwakarma)は特開平6ー57235
号において、2つの色素の脱水縮合反応によって、連結
色素を合成する方法を示した。さらに、特開平6ー27
578号において、モノメチンシアニンとペンタメチン
オキソノールの連結色素が赤感性を有することを示した
が、この場合オキソノールの発光とシアニンの吸収の重
なりがなく、色素間でのフェルスター型の励起エネルギ
−移動による分光増感はおこらず、連結されたオキソノ
ールの集光作用による高感度化は望めない。
【0007】また、リチャード・パートンらは、欧州特
許0985964A1、欧州特許0985965A1、
欧州特許0985966A1、欧州特許0985965
A1において、カチオン性の色素とアニオン性の色素の
組み合わせによって多層吸着せしめ、2層目色素から1
層目色素へのエネルギー移動による高感化を試みた。
【0008】しかしこれらの方法では、実際にはハロゲ
ン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着する程度は不十
分で、ハロゲン化銀粒子単位粒子表面積あたりの光吸収
率を十分に増加させることはできておらず、十分な高感
化もできていないのが現状である。このため、実質的に
有効な多層吸着を実現することが求められていた。
【0009】我々は、そのために2層目以降の増感色素
間の分子間相互作用を強化することが有効であることを
見出した。また、その場合には、島状吸着による感度低
下と粒状性悪化、色素吸着量の粒子間分布の不均一化に
よる感度低下・軟調化のような予期しなかった弊害が生
じることが明らかとなってきた。
【0010】これらの現象について説明を加える。ま
た、多層吸着を実現するために色素分子間相互作用を強
化すると、2層目以降の色素が層状に成長して層状状態
で存在せず、島状に成長して島状状態で存在することが
明らかとなってきた。通常の単層吸着では増感色素吸着
量が多くなるにしたがって、ハロゲン化銀粒子上に層状
に成長し層状状態で存在する方向に向かうことが分かっ
ているので、多層吸着の場合に、2層目以降の色素が島
状に成長して島状状態で存在することは予期せぬ現象で
あった。また、2層目以降の色素が島状に成長して島状
状態で存在する場合、光吸収強度、感度が低下するのみ
ならず、画質も劣るという予期せぬ弊害があることも分
かってきた。また、多層吸着を実現するために色素分子
間相互作用を強化すると、色素吸着量の粒子間分布が不
均一化しやすくなることが明らかとなった。通常の単層
吸着では増感色素吸着量が多くなるにしたがって色素吸
着量の粒子間分布は均一化にむかうことがわかっている
ので、多層吸着の場合に色素吸着量分布が不均一化する
ことは全く予想外であった。しかも通常の1層吸着と比
較して、色素吸着量分布の不均一化に伴う弊害が著しく
大きいことも予想外の現象であった。
【0011】解析の結果、解析の結果、多層吸着構造を
構築するための相互作用は基本的に、(a) 他層の色素と
の分子間相互作用と、(b) 同1層の色素間分子間相互作
用の2つであるが、このうち(b)の同1層間(2層目色
素の場合は、2層目色素間)の分子間相互作用の割合が
高くなりすぎると、島状吸着しやすくなり、また色素吸
着量の粒子間分布が大きくなるとが明らかとなった。従
来の単層吸着の乳剤にはこのような現象は見られず、予
期せぬことであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高感
度で高画質なハロゲン化銀写真乳剤およびそれを用いた
ハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は鋭意研究
を行なった結果、下記の(1)〜(20)により達成さ
れることを見出した。
【0014】(1) ハロゲン化銀粒子表面上に増感色
素が多層吸着しているハロゲン化銀写真乳剤において、
2層目以降の増感色素の吸着エネルギー(ΔG)が10
kJ/mol以上であることを特徴とするハロゲン化銀
写真乳剤。 (2)2層目以降の増感色素の吸着エネルギー(ΔG)
が40kJ/mol以上であることを特徴とする(1)
記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (3)ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着し
ているハロゲン化銀写真乳剤において、2層目以降の増
感色素が層状状態で存在することを特徴とするハロゲン
化銀写真乳剤。 (4)ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着し
ているハロゲン化銀写真乳剤において、2層目以降の増
感色素が層状状態で存在することを特徴とする(1)又
は(2)記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (5) ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着
しているハロゲン化銀写真乳剤において、光吸収強度の
粒子間分布の変動係数が100%以下であることを特徴
とする(1)〜(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀
写真乳剤。 (6) 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強
度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以
上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有
することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載
のハロゲン化銀写真乳剤。 (7) (1)〜(6)に記載のハロゲン化銀写真乳剤
において、該乳剤の増感色素による分光吸収率の最大値
をAmaxとしたとき、Amaxの50%を示す最も短波長と最
も長波長の波長間隔が120nm以下であることを特徴と
する(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写
真乳剤。 (8) (1)〜(7)に記載のハロゲン化銀写真乳剤
において、該乳剤の増感色素による分光感度の最大値を
Smaxとしたとき、Smaxの50%を示す最も短波長と最も
長波長の波長間隔が120nm以下であることを特徴とす
る(1)〜(7)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真
乳剤。 (9) (7)又は(8)に記載のハロゲン化銀写真乳
剤において、Amaxの50%の分光吸収率を示す最も長波
長が460nmから510nm、または560nmから
610nm、または640nmから730nmの範囲で
あることを特徴とする(7)又は(8)記載のハロゲン
化銀写真乳剤。 (10) (7)又は(8)に記載のハロゲン化銀写真
乳剤において、Smaxの50%の分光感度を示す最も長波
長が460nmから510nm、または560nmから
610nm、または640nmから730nmの範囲で
あることを特徴とする(7)又は(8)記載のハロゲン
化銀写真乳剤。 (11) (1)〜(10)に記載のハロゲン化銀写真
乳剤のハロゲン化銀粒子において、2層目以降の増感色
素の励起エネルギーが1層目色素へ、効率10%以上で
エネルギー移動することを特徴とする(1)〜(10)
のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (12) (1)〜(11)に記載のハロゲン化銀写真
乳剤のハロゲン化銀粒子において、1層目の増感色素と
2層目以降の増感色素がともにJバンド吸収を示すこと
を特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載のハロ
ゲン化銀写真乳剤。 (13) プロトンが解離していない−CONHSO2
−基,−CONHCO−基,または−SO2 NHSO2
−基,を少なくとも1つ持つ増感色素を含有することを
特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載のハロゲ
ン化銀写真乳剤。 (14) 芳香族基を少なくとも1つ持つ増感色素を含
有することを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに
記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (15) 3環以上縮環した塩基性核を有する増感色素
を含有することを特徴とする(1)〜(14)のいずれ
かに記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (16) (1)〜(15)記載の増感色素が、1層目
の増感色素と2層目以降の増感色素が共有結合で連結さ
れた増感色素以外の増感色素であることを特徴とする
(1)〜(15)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真
乳剤。 (17) (1)〜(17)に記載のハロゲン化銀写真
乳剤が、アスペクト比2以上の平板状粒子が乳剤中の5
0%(面積)以上存在する乳剤であることを特徴とする
(1)〜(17)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真
乳剤。 (18) (1)〜(17)に記載のハロゲン化銀写真
乳剤のハロゲン化銀粒子が、セレン増感されていること
を特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載のハロ
ゲン化銀写真乳剤。 (19) (1)〜(18)に記載のハロゲン化銀写真
乳剤のハロゲン化銀粒子が、増感色素以外のハロゲン化
銀吸着性化合物を有することを特徴とする(1)〜(1
8)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (20) (1)〜(19)に記載のハロゲン化銀写真
乳剤を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン
化銀写真感光材料。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明においては、ハロゲン化銀粒子に増感色素
が多層吸着しており、2層目以降の増感色素の吸着エネ
ルギー(ΔG)が10kJ/mol以上であることを特
徴とするハロゲン化銀写真乳剤を用いる。また、これと
は独立して、2層目以降の増感色素が層状状態で存在す
ることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤を用いる。
【0016】本発明の要件である、2層目以降の増感色
素の吸着エネルギー(ΔG)として好ましくは20kJ
/mol以上、さらに好ましくは30kJ/mol以
上、さらに好ましくは、40kJ/mol以上、さらに
好ましくは42kJ/mol以上、さらに好ましくは5
0kJ/mol以上、さらに好ましくは60kJ/mo
l以上、さらに好ましくは70kJ/mol以上、さら
に好ましくは80kJ/mol以上である。上記のう
ち、20kJ/mol以上のとき、40kJ/mol以
上のとき、42kJ/mol以上のとき、飛躍的に性能
が向上する。上限は特にないが、好ましくは5000k
J/mol以下、さらに好ましくは1000kJ/mo
l以下である。
【0017】ただし、本発明の要件の1つの2層目以降
の増感色素の吸着エネルギー(ΔG)が10kJ/mo
lと定量的に述べる場合のみ、共有結合力(共有結合エ
ネルギー)は含まない。共有結合力は、最低でも104
kJ/mol以上はあることが知られている。1層目と
2層目色素を共有結合で連結した色素は、特願平11−
34444号、同11−34463号、同11−344
62号、に記載されている特定構造の連結色素などがあ
り、これらは当然2層目の増感色素は共有結合で1層目
色素と連結されているので、104kJ/mol以上の
吸着エネルギーを持つ。
【0018】本発明は、共有結合力を除いた2層目以降
の増感色素の吸着エネルギーが10kJ/mol以上の
ものが、優れていることを見出したものである。
【0019】ただし、連結色素でも、2層目以降の色素
の共有結合力を除いた吸着エネルギーが10kJ/mo
lの場合には該当する。また、言うまでもないが、本発
明の他の要件には連結色素も含まれる。 例えば、層状
成長や粒子間分布の観点で好ましい相互作用の要件とし
て述べる意味の場合には、共有結合力も含める。
【0020】次に層状状態について説明する。2層目以
降の増感色素が層状状態で存在するとは、2層目以降の
増感色素のうち、一部でも層状状態で存在する部分があ
ることを意味する。好ましくは、2層目以降の増感色素
のうち、層状状態が10%以上、さらに好ましくは30
%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましく
は70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好まし
くは100%の割合で存在する場合である。
【0021】層状状態で存在することについて、さらに
説明を加える。一般に、基板表面に薄膜が成長する場
合、すなわち本発明では増感色素が1層より多く吸着す
る場合は、次の3つの様式が考えられる。 1、層状成長(レアー・バイ・レアー・グロース(la
yer by layer growth;フランク−
ファン・デル・メルベ(Frank−van der
Merwe)型成長) 2、島状成長、又は、三次元核形成による成長(ニュー
クリエーション・アンド・グロース(nucleati
on and growth);ボルマー−ウェーバー
(Volmer−Weber)型成長) 3、混合成長(ニュークリエーション・アンド・レアー
・グロース(nucleation and laye
r growth);ストランスキー−クラスタノフ
(Stranski−Krastanov)型成長) これらの成長に関しては、P.Bennema、G.
H.Gilmer,”Crystal Growth:
An Introduction”,ed.P.Har
tman(North−Holland Publis
hing Company)Amsterdam.Lo
ndon(1973)pp.282〜310、後藤芳
彦、「固体物理」、第18巻、第7号、第380頁(1
983年)、後藤芳彦、井野正三、「固体物理」、第1
8巻、第3号、第121頁(1983年)、伊藤昭夫
編、「薄膜材料入門」、裳華房(1998年刊)、岩本
光正著、「有機超薄膜エレクトロニクス」、培風館(1
993年)、矢部明等著、「有機超薄膜入門」、培風館
(1989年)、日本表面科学会主催第一回薄膜基礎講
座要旨集、11月12日〜13日(1998年)(東京)、などで
述べられている。
【0022】層状成長は、多層吸着を形成する増感色素
のうち2層目以降の増感色素が、ハロゲン化銀粒子上の
1層目の増感色素に1層、1層積み重なって成長するこ
とを意味し、下層の増感色素からの拘束力が強い場合に
現れる。島状成長は、1層目の増感色素に2層目以降の
増感色素のクラスター(凝集体)が核形成し、それが島
状に成長することを意味し、2層目以降の増感色素間の
相互作用(結合力)が下層の増感色素から受ける拘束よ
り強い場合に見られる。混合成長では、2層目以降の初
期の数層は層状成長し、その後は島状の成長に変わるこ
とを意味し、2層目以降の増感色素と下層の増感色素と
の不整により膜中に蓄積する歪みエネルギーなどが原因
になる場合がある。また2層目以降の色素が二次元会合
体を形成する場合には、二次元会合体自身が層状成長し
やすい性質を有しているため、隣接する下層の色素層と
の相互作用エネルギーが比較的小さくても層状吸着しや
すく、好ましい。二次元会合体はいかなる会合様式でも
よいが、特に好ましくは後述するJ会合体を形成するこ
とである。
【0023】本発明の、2層目以降の増感色素が層状状
態で存在するためには、上記の成長様式のうち、層状成
長、又は混合成長によって成長した場合が好ましい。さ
らに好ましくは、層状成長によって成長した場合であ
る。
【0024】従来技術の多層吸着は、2層目以降の増感
色素が島状に存在しており、光吸収率向上効果、高感度
化効果とも完全に満足のいくものではなかった。
【0025】2層目以降の増感色素の存在状態はいかな
る方法を用いて観察しても良いが、好ましくは、顕微分
光法、STM 法、AFM 法、近接場光学顕微鏡法、カソード
ルミネッセンス法、蛍光顕微鏡法、イメージングSIMS
法、SEM 法およびTEM 法、などを用いて観察することが
できる。
【0026】多層吸着した色素が層状吸着であるか否か
は、ハロゲン化銀粒子表面上に形成された吸着色素層
数、あるいは色素量に場所(部位)による変動が存在す
るか否かで判断できる。本発明においては、吸着色素層
数、あるいは色素量の場所(部位)による変動が単層吸
着の変動の5倍以内であれば層状吸着と見なすことにす
る。当然、変動がより小さければ、より好ましい層状吸
着である。変動は、ハロゲン化銀粒子表面の場所(部
位)ごとの吸着色素層数、あるいは色素量の標準偏差や
変動係数(標準偏差/平均)で表すことができる。上記
に記載した増感色素の存在状態を観察する測定方法を用
いると、粒子表面の場所(部位)ごとに吸着色素層数、
あるいは色素量を定量する事ができるため、その変動を
調べることで層状吸着を判別することができる。
【0027】なお、1層目の増感色素についても、層状
状態で存在する場合が好ましい。一般に、ハロゲン化銀
粒子と1層目の増感色素の相互作用は強いので、1層目
は層状成長して層状状態で存在する場合が多い。
【0028】増感色素の吸着エネルギー(ΔG)のもと
になる相互作用としてはいかなるものでも良いが、例え
ば、ファン・デル・ワールス(van der Waa
ls)力(さらに細かくは、永久双極子−永久双極子間
に働く配向力、永久双極子−誘起双極子間に働く誘起
力、一時双極子−誘起双極子間に働く分散力に分けて表
現できる。)、電荷移動力(CT),クーロン力(静電
力)、疎水結合力、水素結合力、共有結合力(化学結合
力)、配位結合力などが挙げられる。これらの結合力
は、1つだけ利用することも、また任意のものを複数組
み合わせて用いることもできる。(本発明の要件の一つ
である、2層目以降の増感色素の吸着エネルギーが10
kJ/mol以上について述べる場合は、上記で述べた
ように共通結合力は含めて考えない。)
【0029】好ましくは、ファン・デル・ワールス力、
電荷移動力,クーロン力、疎水結合力、水素結合力、配
位結合力であり、さらに好ましくは、ファン・デル・ワ
ールス力、電荷移動力(CT),クーロン力、疎水結合
力、水素結合力であり、さらに好ましくはファン・デル
・ワールス力、電荷移動力(CT),クーロン力であ
り、特に好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロ
ン力であり、最も好ましくはファン・デル・ワールス力
である。
【0030】次に、2層目以降の増感色素の吸着エネル
ギー(ΔG)のものになる相互作用が、どの色素との間
に、どの程度の安定化エネルギーで働く場合が好ましい
かについて述べる。
【0031】2層以上のR層吸着の場合について述べ
る。この場合、i層目色素の吸着エネルギー(ΔG)の
もとになる相互作用の安定化エネルギーは、i層目色素
と(i−1)層目色素との相互作用の安定化エネルギー
(ΔGi(i−1))、i層目色素とi層目色素の相互
作用の安定化エネルギー(ΔGii)、i層目色素と
(i+1)層目色素の相互作用の安定化エネルギー(Δ
Gi(i+1))に分けることができる。(iは2以
上) このとき、下記の1,2,3の順に好ましい。なお、i
=R(すなわち最上層)の場合ΔGi(i+1)の相互
作用は存在しない。
【0032】1、ΔGi(i−1)>(Xi(i−
1))kJ/mol、及び/又は、ΔGii>(Xi
i)kJ/mol,及び/又は、ΔGi(i+1)>
(Xi(i+1))kJ/mol2、ΔGi(i−1)
>(Xi(i−1))kJ/mol、及び、ΔGii>
(Xii)kJ/mol、及び、ΔGi(i+1)>
(Xi(i+1))kJ/mol 3、1、2において、さらにΔGi(i−1)>ΔGi
i、ΔGi(i+1)>ΔGiiの場合
【0033】Xi(i−1)、Xii,及びXi(i+
1)の値は、10、20、30、40、50、60、7
0、80の順に好ましい。
【0034】なお、i層目色素と(i−2)層目色素、
i層目色素と(i+2)層目色素、i層目色素とハロゲ
ン化銀粒子、などの相互作用も存在するが、遠距離の相
互作用であるので無視できる。
【0035】上記で述べた、色素の吸着エネルギー(Δ
G)、及びそのもとになる相互作用の安定化エネルギー
は、いかなる方法で測定しても良い。
【0036】例えば、色素の吸着エネルギー(ΔG)
は、後述する色素脱着剤を用いる方法で熱力学的に求め
る方法(色素脱着剤を用いる方法は、浅沼らの報告(ジ
ャーナル オブ フィジカル ケミストリー B(Jo
urnal of Physical Chemist
ry B)第101巻2149頁から2153頁(19
97年))を参考にすることが出来る。)、後述する色
素の吸着量を求める方法で吸着等温線から求める方法
(例えば、ダブリュー・ウエスト(W.West)らの
ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(Jou
rnal of Physical Chemistr
y)第56巻、1054ページ(1952年)、E.G
unther,E.Moisar,J.Photog
r.Sci.,13,280(1965),T.Tan
i,S.Kikuchi,Bull.Soc.Sci.
Photogr.Japan,No.17,1(196
7),ibid.,18,1(1968),J.Pho
togr.Sci.,17,22(1969)などを参
考にすることができるが、後述するように沈降したハロ
ゲン化銀粒子を溶解して色素吸着量を測定する方法が有
用である。)、熱量計を用いて求める方法(例えば、
W.Gardner,A.Herz,49th Nat
ional Colloid Symposium,A
m.Chem.Soc.,June,1975.Sub
mitted to Photogr.Sci.En
g.、浅沼らのジャーナル オブ フィジカル ケミス
トリー B(Journal of Physical
Chemistry B)第101巻2149頁から
2153頁(1997年)に記載の方法)、などがあ
る。また、分子軌道法計算、分子力場計算などの計算化
学を用いることも可能である。
【0037】また、色素の吸着エネルギー(ΔG)のも
とになる相互作用の安定化エネルギーも、上記の方法を
利用して求めることができる。例えば、2層吸着の場合
は、2層目色素の吸着エネルギー(ΔG)は上記の方法
で求める。さらに、2層目色素間の相互作用の安定化エ
ネルギーを求める。その方法としては、実験的には、例
えば松原、田中らの方法(日本写真学会誌、52巻39
5頁1989年)を用いて求めることが出来る。例え
ば、使用する乳剤からハロゲン化銀粒子だけを除いたゼ
ラチン溶液中で、種々の温度で、2層目色素を種々の濃
度に変えたときの2層目色素同士の会合に由来する吸収
変化から安定化エネルギーを求めることができる。ま
た、分子軌道法計算、分子力場計算などの計算化学を用
いることも可能である。
【0038】このとき、(2層目色素の吸着エネルギー
(ΔG))=(1層目色素と2層目色素の相互作用の安
定化エネルギー)+(2層目色素間の相互作用の安定化
エネルギー)の式から、(1層目色素と2層目色素の相
互作用の安定化エネルギー)を求めることができる。
【0039】3層吸着の場合は、3層目色素の吸着エネ
ルギー(ΔG)とそのもとになる相互作用の安定化エネ
ルギーを、上記の2層目と同様な方法で求めることがで
きる。このとき、(2層目色素の吸着エネルギー(Δ
G))=(1層目色素と2層目色素の相互作用の安定化
エネルギー)+(2層目色素間の相互作用の安定化エネ
ルギー)+(2層目色素と3層目色素の相互作用の安定
化エネルギー)であるが、(2層目色素と3層目色素の
相互作用の安定化エネルギー)は(3層目色素と2層目
色素の相互作用の安定化エネルギー)と同一であるの
で、全て求めることができる。
【0040】4層吸着以上の場合も、同様にして全てを
求めることができる。
【0041】次に、増感色素間の相互作用について、別
の表現で好ましい場合を説明する。1層目の増感色素の
表面エネルギー密度をσ1、その上に成長する2層目の
増感色素の表面エネルギー密度をσ2とするとき、それ
らが接着した場合の界面エネルギー密度σ21をσ21
=σ2+σ1−γで定義する。γは2層目の増感色素の
1層目の増感色素に対する接着エネルギー密度である。
γ<0の場合、2層目の増感色素は1層目の増感色素に
吸着せず、多層吸着を形成しない場合が多い。これに対
して、γ>0の場合、吸着によって界面エネルギーが減
少するため、1層目の増感色素上に2層目の増感色素の
成長が生ずる。σ21≦σ1−σ2を満たすとき層状成
長することが有利であり、σ1−σ2<σ21<σ2+
σ1を満たすとき島状成長することが有利である。従っ
て、本発明において、σ21≦σ1−σ2である場合が
好ましい。
【0042】本発明において、2層目以降の増感色素の
吸着エネルギー(ΔG)のもとになる相互作用として
は、前述したように、いかなるものでも良いが、ここ
で、いくつかを説明する。水素結合としては、いかなる
ものでも良い。ただし、水素結合は環境の影響を受けや
すく、ハロゲン化銀写真乳剤では有効に働かないことが
多い。つまり、環境によって水素結合を形成したり、形
成しなかったりする。有効なものとしては、例えば、メ
ラミン類とシアヌル酸類、メラミン類とバルビツール酸
類、のような一つより多い多点の水素結合を用いる方法
が、好ましく用いられる場合がある。これらの多点水素
結合については、G.M.Whitesides,E.
E.Silmanek,J.P.Mathias,C.
T.Seto,D.N.Chin,M.Mammen,
D.M.Gordon,Acc.Chem.Res.,
28,37(1995),G.M.Whiteside
s,J.P.Mathias,C.T.Seto,Sc
ience,254,1312(1991),N.Ki
mizuka,et al,J.Am.Chem.So
c.,115,4387(1993)などに記載されて
いる。また、上記に比べて水素結合形成能力が劣るが、
2−ベンズイミダゾロン類が、環境にもよるが水素結合
を形成することもある。これらについては、K.E.S
chwiebert,D.N.Chin,J.C.Mc
donald,G.M.Whitesides,J.A
m.Chem.Soc.,118,4018(199
6),などに記載されている。具体的には、これらの多
点水素結合機能を有する機能性基を持つ増感色素を用い
る場合が好ましい。
【0043】また、弱い相互作用を複数利用して、全体
では強い相互作用となる例がある。例えば、ホスト−ゲ
スト相互作用がある。具体的には、クラウンエーテル、
クリプタンド、スフェランド、カリックスアレーン、シ
クロファン、シクロデキストリン、カテナン、ロタクサ
ン、などが挙げられる。これらについては、F.Vog
tle,”Supramolecular Chemi
stry”,John Wiley and Son
s,Ltd,(1989),M.Gubelmann,
A.Harriman,J.M.Lehn,J.L.S
essler,J.Phys.Chem.94,308
(1990),などに記載されている。具体的には、こ
れらの機能性基を持つ増感色素を用いる場合が好まし
い。
【0044】また、LB膜法、2分子膜なども知られて
いる。これらは、T.L.Penner,D.Mobi
us,J.Am.Chem.Soc.104,7407
(1982),M.Shimomura,T.Kuni
take,J.Am.Chem.Soc.,109,5
175(1987),下村政嗣、「固定化2分子膜‐光
機能材料としての可能性」、ぶんしん出版、(199
0)、F.Vogtle,”Supramolecul
ar Chemistry”,John Wiley
and Sons,Ltd,(1989),などに記載
されている。具体的には、これらの機能性基を持つ増感
色素を用いる場合が好ましい。
【0045】また、ハロゲン化銀乳剤中で、一種の共有
結合を形成する例として、シリコン層を形成する場合が
ある。例えば、ヒドロキシ基を持つ色素とテトラアルコ
キシシランを混合することで有機シリコン層を形成でき
る。これらは、いわゆる、有機−無機のハイブリッドし
たゾルゲル法である。これらについては、Chemic
al Reviews,95,399〜438(199
5)(特に第433頁),Li Dequan,M.
A.Ratner,T.J.Marks,J.Am.C
hem.Soc.,112,7389(1990),松
岡賢、「色素の化学と応用」、大日本図書(株)、(1
994)、などに記載されている。具体的には、これら
の機能性基を持つ増感色素を用いる場合が好ましい。
【0046】本発明において光吸収強度とは、単位粒子
表面積あたりの増感色素による光吸収面積強度であり、
粒子の単位表面積に入射する光量をI0 、該表面で増感
色素に吸収された光量をIとしたときの光学濃度Log
(I0 /(I0 −I))を波数(cm-1)に対して積分
した値と定義する。積分範囲は5000cm-1から35
000cm-1までである。
【0047】本発明にかかわるハロゲン化銀写真乳剤
は、分光吸収極大波長が500nmを超える粒子の場合
には光吸収強度が100以上、分光吸収極大波長が50
0nm以下の粒子の場合には光吸収強度が60以上のハ
ロゲン化銀粒子を全ハロゲン化銀粒子投影面積の1/2
以上含むことが好ましい。また、分光吸収極大波長が5
00nmを超える粒子の場合には、光吸収強度は好まし
くは150以上、さらに好ましくは170以上、特に好
ましくは200以上、であり、分光吸収極大波長が50
0nm以下の粒子の場合には、光吸収強度は好ましくは
90以上、さらに好ましくは100以上、特に好ましく
は120以上である。上限は特にないが、好ましくは2
000以下、さらに好ましくは1000以下、特に好ま
しくは500以下である。また分光吸収極大波長が50
0nm以下の粒子に関しては、分光吸収極大波長は35
0nm以上であることが好ましい。
【0048】光吸収強度を測定する方法の一例として
は、顕微分光光度計を用いる方法を挙げることができ
る。顕微分光光度計は微小面積の吸収スペクトルが測定
できる装置であり、一粒子の透過スペクトルの測定が可
能である。顕微分光法による一粒子の吸収スペクトルの
測定については、山下らの報告(日本写真学会、199
6年度年次大会講演要旨集、15ページ)を参照するこ
とができる。この吸収スペクトルから一粒子あたりの吸
収強度が求められるが、粒子を透過する光は上部面と下
部面の二面で吸収されるため、粒子表面の単位面積あた
りの吸収強度は前述の方法で得られた一粒子あたりの吸
収強度の1/2として求めることができる。このとき、
吸収スペクトルを積分する区間は光吸収強度の定義上は
5000cm -1から35000cm-1であるが、実験上
は増感色素による吸収のある区間の前後500cm-1
度を含む区間の積分で構わない。また、光吸収強度は増
感色素の振動子強度と単位面積当たりの吸着分子数で一
義的に決定される値であり、増感色素の振動子強度、色
素吸着量および粒子表面積を求めれば光吸収強度に換算
することが出来る。増感色素の振動子強度は、増感色素
溶液の吸収面積強度(光学濃度×cm-1)に比例する値
として実験的に求めることが出来るので、1Mあたりの
色素の吸収面積強度をA(光学濃度×cm-1)、増感色
素の吸着量をB(mol/molAg)、粒子表面積を
C(m2 /molAg)とすれば、次の式により光吸収
強度を誤差10%程度の範囲で求めることが出来る。 0.156 ×A×B/C この式から光吸収強度を算出しても、前述の定義に基づ
いて測定された光吸収強度(Log(I0 /(I0
I)))を波数(cm-1)に対して積分した値)と実質
的に同じ値が得られる。
【0049】光吸収強度を増加させる方法には、色素発
色団を粒子表面上に1層より多く吸着させる方法や、色
素の分子吸光係数を増大させる方法、あるいは、色素占
有面積を小さくする方法があり、いずれの方法を用いて
もよいが、好ましくは色素発色団を粒子表面上に1層よ
り多く吸着させる方法である。ここで、色素発色団が粒
子表面上に1層より多く吸着した状態とは、ハロゲン化
銀粒子近傍に束縛された色素が1層より多く存在するこ
とを意味し、分散媒中に存在する色素を含まない。ま
た、色素発色団が粒子表面上に吸着した物質と共有結合
で連結されている場合でも、連結基が非常に長く、色素
発色団が分散媒中に存在する場合には光吸収強度を増加
させる効果は小さく、1層より多い吸着とは見なされな
い。また、色素発色団を粒子表面上に1層より多く吸着
させる、いわゆる多層吸着においては、粒子表面に直接
吸着していない色素によって分光増感が生じることが必
要であり、そのためにはハロゲン化銀に直接吸着してい
ない色素から粒子に直接吸着した色素への励起エネルギ
ーの伝達が必要となる。したがって、励起エネルギーの
伝達が10段階を超えて起きる必要のある場合には、最
終的な励起エネルギーの伝達効率が低くなるため好まし
くない。この1例は特開平2―113239などのポリ
マー色素のように色素発色団の大部分が分散媒中に存在
し、励起エネルギーの伝達が10段階以上必要な場合が
挙げられる。本発明では一分子あたりの色素発色段数は
1から3が好ましく、1から2がさらに好ましい。
【0050】ここで述べた発色団とは、理化学辞典(第
四版、岩波書店、1987年)、985〜986頁に記載の
分子の吸収帯の主な原因となる原子団を意味し、例えば
C=C,N=Nなどの不飽和結合を持つ原子団など、い
かなる原子団も可能である。
【0051】例えば、シアニン色素、スチリル色素、ヘ
ミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン
色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コン
プレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン
色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキ
ソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、
アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、ア
ントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色
素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、
フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェ
ナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジ
ゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリ
ジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、
キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン
色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロ
フィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素が挙げ
られる。好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘ
ミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン
色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コン
プレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン
色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキ
ソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、
アザメチン色素などのポリメチン発色団が挙げられる。
さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、3
核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシア
ニン色素であり、特に好ましくはシアニン色素、メロシ
アニン色素、ロダシアニン色素であり、最も好ましくは
シアニン色素である。
【0052】これらの色素の詳細については、エフ・エ
ム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コ
ンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・
コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes a
nd Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド
・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロン
ドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Stu
rmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシ
ャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミス
トリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in he
terocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第4
82から515貢などに記載されている。好ましい色素
の一般式としては、米国特許第5,994,051号第
32〜36頁記載の一般式、および米国特許5,74
7,236号第30〜34頁記載の一般式が挙げられ
る。また、好ましいシアニン色素、メロシアニン色素、
ロダシアニン色素の一般式は、米国特許第5,340,
694号第21〜22欄の(XI)、(XII)、(XIII) に
示されているもの(ただし、n12 、n15 、n17 、n18 の
数は限定せず、0以上の整数(好ましくは4以下))が
挙げられる。
【0053】ハロゲン化銀粒子への色素発色団の吸着
は、好ましくは1.5層以上、さらに好ましくは1.7
層以上、特に好ましくは2層以上である。なお、上限は
特にないが、10層以下が好ましく、さらに好ましくは
5層以下である。
【0054】本発明においてハロゲン化銀粒子表面に発
色団が1層より多く吸着した状態とは、該乳剤に添加さ
れる増感色素のうち、ハロゲン化銀粒子表面の色素占有
面積が最も小さい色素によって到達する単位表面積あた
りの飽和吸着量を1層飽和被覆量とし、この1層飽和被
覆量に対して色素発色団の単位面積当たりの吸着量が多
い状態をいう。また、吸着層数は1層飽和被覆量を基準
とした時の吸着量を意味する。ここで、共有結合で色素
発色団が連結された色素の場合には、連結しない状態の
個々の色素の色素占有面積を基準とすることが出来る。
色素占有面積は、遊離色素濃度と吸着色素量の関係を示
す吸着等温線、および粒子表面積から求めることが出来
る。吸着等温線は、例えばエー・ハーツ(A.Her
z)らのアドソープション フロム アクエアス ソリ
ューション(Adsorption from Aqu
eous Solution)アドバンシーズ イン
ケミストリー シリーズ(Advances in C
hemistry Series)No.17、173
ページ(1968年)などを参考にして求めることが出
来る。
【0055】増感色素の乳剤粒子への吸着量は、色素を
吸着させた乳剤を遠心分離器にかけて乳剤粒子と上澄み
のゼラチン水溶液に分離し、上澄み液の分光吸収測定か
ら未吸着色素濃度を求めて添加色素量から差し引くこと
で吸着色素量を求める方法と、沈殿した乳剤粒子を乾燥
し、一定重量の沈殿をチオ硫酸ナトリウム水溶液とメタ
ノールの1:1混合液に溶解し、分光吸収測定すること
で吸着色素量を求める方法の2つの方法を用いることが
出来る。複数種の増感色素を用いている場合には高速液
体クロマトグラフィーなどの手法で個々の色素について
吸着量を求めることも出来る。上澄み液中の色素量を定
量することで色素吸着量を求める方法は、例えばダブリ
ュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ
フィジカル ケミストリー(Journal of
Physical Chemistry)第56巻、1
054ページ(1952年)などを参考にすることがで
きる。しかし、色素添加量の多い条件では未吸着色素ま
でも沈降することがあり、上澄み中の色素濃度を定量す
る方法では必ずしも正しい吸着量を得られないことがあ
った。一方沈降したハロゲン化銀粒子を溶解して色素吸
着量を測定する方法であれば乳剤粒子の方が圧倒的に沈
降速度が速いため粒子と沈降した色素は容易に分離で
き、粒子に吸着した色素量だけを正確に測定できる。こ
の方法が色素吸着量を求める方法として最も信頼性が高
い。写真性有用化合物の粒子への吸着量も増感色素と同
様に測定できるが、可視光域に吸収が小さいため、分光
吸収による定量方法よりも高速液体クロマトグラフィー
による定量方法が好ましい。
【0056】ハロゲン化銀粒子表面積の測定方法の一例
としては、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影
して、個々の粒子の形状とサイズを求め算出する方法が
ある。この場合、平板状粒子において厚みはレプリカの
影(シャドー)の長さから算出する。透過型電子顕微鏡
写真の撮影方法としては、例えば、日本電子顕微鏡学会
関東支部編「電子顕微鏡試料技術集」誠分堂新光社19
70年刊、バターワーズ社(Buttwrworth
s)、ロンドン、1965刊、ピー・ビー・ヒルシュ
(P.B.Hirsch)らのエレクトロン マイクロ
スコープ オブ チン クリスタル(Electron
Microscopy of ThinCrysta
ls)を参考にすることができる。
【0057】他の方法としては、例えばエイ・エム・ク
ラギン(A.M.Kragin)らのらのジャーナル
オブ フォトグラフィック サイエンス(The Jo
urnal of Photographic Sci
ence)第14巻、185ページ(1966年)、ジ
ェイ・エフ・パディ(J.F.Paddy)のトランス
アクションズ オブ ザ ファラデ− ソサイアティ
(Transactions of the Fara
day Society)第60巻1325ページ(1
964年)、エス・ボヤー(S.Boyer)らのジュ
ナル デ シミフィジク エ デ フィジコシミ ビジ
ョロジク(Journal de Chimie Ph
ysique et de Physicochimi
e biologique)第63巻、1123ページ
(1963年)、ダブリュー・ウエスト(W.Wes
t)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー
(Journal of Physical Chem
istry)第56巻、1054ページ(1952
年)、エイチ・ソーヴエニアー(H.Sauvenie
r)編集、イー・クライン(E.Klein)らのイン
ターナショナル・コロキウム(Internation
al Coloquium)、リエージュ(Lieg
e)、1959年、「サイエンティフィック フォトグ
ラフィー(Scientific Photograp
hy)」などを参考にすることができる。色素占有面積
は上記の方法で個々の場合について実験的に求められる
が、通常用いられる増感色素の分子占有面積はほぼ80
2付近であるので、簡易的にすべての色素について色
素占有面積を80Å2としておおよその吸着層数を見積
もることも出来る。
【0058】本発明において、ハロゲン化銀粒子に色素
発色団が多層に吸着している場合、ハロゲン化銀粒子に
直接吸着している、いわゆる1層目の色素発色団と2層
目以上の色素発色団の還元電位、及び酸化電位はいかな
るものでも良いが、1層目の色素発色団の還元電位が2
層目以上の色素発色団の還元電位の値から0.2vを引
いた値よりも、貴であることが好ましい。
【0059】還元電位、及び酸化電位の測定は、種々の
方法が可能であるが、好ましくは、位相弁別式第二高調
波交流ポーラログラフィーで行う場合であり、正確な値
を求めることができる。なお、以上の位相弁別式第二高
調波交流ポーラログラフィーによる電位の測定法はジャ
ーナル・オブ・イメージング・サイエンス(Journ
al of Imaging Science)、第3
0巻、第27頁(1986年)に記載されている。
【0060】また、2層目以上の色素発色団は、発光性
色素の場合が好ましい。発光性色素の種類としては色素
レーザー用に使用される色素の骨格構造を持つものが好
ましい。これらは例えば、前田三男、レーザー研究、第
8巻、694頁、803頁、958頁(1980年)及
び第9巻、85頁(1981年)、及びF. Sehaefer
著、「Dye Lasers」、Springer(1973年)の中に整
理されている。
【0061】さらに、1層目の色素発色団のハロゲン化
銀写真感光材料中における吸収極大波長が2層目以上の
色素発色団の吸収極大波長よりも長波長であることが好
ましい。さらに、2層目以上の色素発色団の発光が1層
目の色素発色団の吸収と重なることが好ましい。また、
1層目の色素発色団はJ-会合体を形成した方が好まし
い。さらに、所望の波長範囲に吸収および分光感度を有
するためには、2層目以上の色素発色団もJ会合体を形
成していることが好ましい。2層目色素の励起エネルギ
ーの1層目色素へのエネルギー移動効率は、好ましくは
30%以上、さらに好ましくは60%、特に好ましくは
90%以上である。ここで2層目色素の励起エネルギー
とは、2層目色素が光エネルギーを吸収して生成した励
起状態の色素が有するエネルギーを指す。ある分子の持
つ励起エネルギーが他の分子に移動する場合には励起電
子移動機構、フェルスター型エネルギー移動機構(Fo
rster Model)、デクスターエネルギー移動
機構(Dextor Model)等を経て励起エネル
ギーが移動すると考えられているため、本研究の多層吸
着系においても、これらの機構から考えられる効率よい
励起エネルギー移動を起こすための条件を満たすことが
好ましい。さらに、フェルスター型エネルギー移動機構
を起こすための条件を満たすことが特に好ましい。フェ
ルスター型のエネルギー移動効率を高めるためには、乳
剤粒子表面近傍の屈折率を低下させることも有効であ
る。2層目色素から1層目色素へのエネルギー移動の効
率は、2層目色素励起時の分光増感効率/1層目色素励
起時の分光増感効率として求めることが出来る。
【0062】本発明において用いる用語の意味を以下に
記述する。 色素占有面積:色素一分子あたりの占有面積。吸着等温
線から実験的に求めることが出来る。共有結合で色素発
色団が連結された色素の場合には、連結しない状態の個
々の色素の色素占有面積を基準とする。簡易的には80
2。 1層飽和被覆量:1層飽和被覆時の単位粒子表面積あた
りの色素吸着量。添加された色素のうち最小の色素占有
面積の逆数。 多層吸着:単位粒子表面積あたりの色素発色団の吸着量
が1層飽和被覆量よりも多い状態。 吸着層数:1層飽和被覆量を基準とした時の単位粒子表
面積あたりの色素発色団の吸着量。
【0063】また、本発明において光吸収強度の粒子間
分布は小さいことが好ましい。光吸収強度の粒子間分布
は、顕微分光法を用いて無作為に測定した100個以上
の粒子の光吸収強度の変動係数として表すことが出来
る。変動係数は100×標準偏差/平均(%)として求
められる。光吸収強度は色素吸着量に比例する値である
ので、光吸収強度の粒子間分布を色素吸着量の粒子間分
布と言い換えても構わない。光吸収強度の粒子間分布の
変動係数は、好ましくは60%以下、さらに好ましくは
30%以下、特に好ましくは10%以下である。増感色
素の吸収の最大値Amaxのそれぞれ50%を示す最も短波
長と最も長波長の間隔の粒子間分布の変動係数は、好ま
しくは30%以下、さらに好ましくは10%以下、特に
好ましくは5%以下である。また、粒子ごとの増感色素
の吸収極大波長について、好ましくは投影面積の70%
以上、さらに好ましくは90%以上の粒子が10nm以
内の波長範囲に吸収極大を持つことが好ましい。さらに
より好ましくは、粒子ごとの増感色素の吸収極大波長に
ついて、好ましくは投影面積の50%以上、さらに好ま
しくは70%以上、特に好ましくは90%以上の粒子が
5nm以内の波長範囲に吸収極大を持つことが好まし
い。
【0064】光吸収強度(色素吸着量)の粒子間分布
は、吸着部位がハロゲン化銀粒子表面に固定されている
場合には色素吸着量の増加とともに均一化することが知
られているが、本発明の多層吸着の場合には、2層にと
どまらず数層吸着が可能であるならば吸着部位に制限は
なく、ある粒子は1層吸着、ある粒子は三層吸着といっ
たように非常に粒子間分布が生じ易くなっていることが
わかった。解析の結果、2層目色素の全吸着エネルギー
に対する2層目色素間の相互作用エネルギーの割合が高
まる(1層目と2層目色素分子間の相互作用エネルギー
の割合が相対的に低下する)と、多層吸着系の色素吸着
量の粒子間不均一が生じ易くなること明らかとなった。
1層目と2層目色素分子間の相互作用エネルギーは、2
層目色素の全吸着エネルギーに対して、好ましくは20
%以上、さらに好ましくは40%以上である。
【0065】1層目色素と2層目色素間の相互作用を強
化するためには、1層目と2層目の色素分子間の静電相
互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合、配位
結合およびこれらの複合的な相互作用力を利用すること
が好ましい。また2層目色素間の主な相互作用は色素発
色団間のファンデルワールス相互作用であることが好ま
しいが、上記の好ましい関係を満たす範囲では静電相互
作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合、配位結
合およびこれらの複合的な相互作用を利用することもま
た好ましい。2層目色素の全吸着エネルギーに対する1
層目と2層目色素分子間の相互作用エネルギーの割合
は、前述の方法で同様に測定することが出来る。また色
素吸着量の粒子間分布、および2層目以降の増感色素の
状態は、色素の添加条件等にも影響される。好ましくは
比較的低温で色素を添加し、その後昇温する方法であ
る。また、色素を80℃以上の高温で添加するのは好ま
しくない場合がある。
【0066】光吸収強度60、又は100以上のハロゲ
ン化銀写真乳剤粒子を含有する乳剤の増感色素による分
光吸収率の最大値Amax、および分光感度の最大値Smaxの
それぞれ50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔
は、好ましくは120nm以下であり、さらに好ましく
は100nm以下である。またAmaxおよびSmaxの80%
を示す最も短波長と最も長波長の間隔は好ましくは20
nm以上で、好ましくは100nm以下、さらに好まし
くは80nm以下、特に好ましくは50nm以下であ
る。またAmaxおよびSmaxの20%を示す最も短波長と最
も長波長の間隔は、好ましくは180nm以下、さらに
好ましくは150nm以下、特に好ましくは120nm
以下、最も好ましくは100nm以下である。Amaxまた
はSmaxの50%の分光吸収率を示す最も長波長は好まし
くは460nmから510nm、または560nmから
610nm、または640nmから730nmである。
【0067】分光吸収極大波長が500nm未満で光吸
収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500n
m以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を
実現する好ましい第一の方法は、次のような特定の色素
を用いる方法である。
【0068】例えば、特開平10−239789、同8
−269009、同10−123650号、特開平8−
328189号に記載されている芳香族基を持つ色素、
又は芳香族基を持つカチオン色素とアニオン色素を併用
する方法、特開平10−171058号に記載されてい
る多価電荷を持つ色素を用いる方法、特開平10−10
4774号に記載されているピリジニウム基を持つ色素
を用いる方法、特開平10−186559号に記載され
ている疎水性基を持つ色素を用いる方法、特開平10−
197980号に記載されている配位結合基を持つ色素
を用いる方法、及び、特願平11−63588、同11
−80141号、同11−159731号、同11−1
59730号、同11−171324号、同11−22
1479号、同11−265769号、同11−260
643号、同11−331571号、同11−3315
70号、同11−311039号、同11−33156
7号、同11−347781号、特願2000−189
66号記載の特定の色素を用いる方法、などが好まし
い。
【0069】特に好ましい方法は、芳香族基を少なくと
も一つ持つ色素を用いる方法である。その中で、好まし
くは正に荷電した色素、分子内で荷電が相殺されている
色素、又は荷電を持たない色素のみ用いる方法、又は正
と負に荷電した色素を併用し、かつ、正及び負に荷電し
た色素のうち少なくとも一方が少なくとも一つの芳香族
基を置換基として持つ色素を用いる方法である。
【0070】芳香族基について、詳細に説明する。芳香
族基としては、炭化水素芳香族基、及び複素芳香族基が
ある。これらは、さらに炭化水素芳香族環、及び複素芳
香族環同士が縮合した多環縮合環、又は芳香族炭化水素
環と芳香族複素環が組み合わされた多環縮合環構造を持
つ基であっても良く、後述の置換基V等で置換されてい
ても良い。芳香族基に含まれる芳香族環として好ましく
は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナント
レン、フルオレン、トリフェニレン、ナフタセン、ビフ
ェニル、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾー
ル、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、
ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、インドール、
ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾフラン、
キノリジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キ
ノキサリン、キノキサゾリン、キノリン、カルバゾー
ル、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリ
ン、チアントレン、クロメン、キサンテン、フェノキサ
チイン、フェノチアジン、フェナジン等が挙げられる。
【0071】さらに好ましくは、上述の炭化水素芳香族
環であり、特に好ましくはベンゼン、ナフタレンであ
り、最も好ましくはベンゼンである。
【0072】色素としては、例えば前述の色素発色団の
例として示した色素が挙げられる。好ましくは、前述の
ポリメチン色素発色団の例として示した色素が挙げられ
る。
【0073】さらに好ましくは、シアニン色素、スチリ
ル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メ
ロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン
色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメ
ロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色
素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコ
ニウム色素、アザメチン色素であり、さらに好ましくは
シアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色
素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素であり、
特に好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダ
シアニン色素であり、最も好ましくはシアニン色素であ
る。
【0074】特に好ましい方法について、構造式を示し
て詳細に説明する。
【0075】すなわち、次の(1)、(2)の場合が好
ましい。(1)と(2)では、(2)がより好ましい。 (1)下記一般式(I)で表されるカチオン性、ベタイ
ン性、又はノニオン性のメチン色素のうち少なくとも一
種を用いる方法。 (2)下記一般式(I)で表されるカチオン性のメチン
色素のうち少なくとも一種と下記一般式(II)で表され
るアニオン性のメチン色素のうち少なくとも一種を同時
に用いる方法。 一般式(I)
【0076】
【化1】
【0077】式中、Z1は含窒素複素環を形成するのに
必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環してい
ても良い。R1はアルキル基、アリール基、又は複素環
基である。Q1 は一般式(I)で表される化合物がメチ
ン色素を形成するのに必要な基を表す。L1及びL2はメ
チン基を表す。p1は0または1を表す。ただしZ1
1 、Q1 、L1 、及びL2 は一般式(I)で表される
メチン色素が全体としてカチオン色素、ベタイン色素、
又はノニオン色素となる置換基を持つものとする。ただ
し、一般式(I)がシアニン色素、又はロダシアニン色
素の場合は、好ましくはカチオン色素となる置換基を持
つ場合である。M1は電荷均衡のための対イオンを表
し、m1は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数
を表す。 一般式(II)
【0078】
【化2】
【0079】式中、Z2は含窒素複素環を形成するのに
必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環してい
ても良い。R2 はアルキル基、アリール基、又は複素環
基である。Q2 は一般式(II) で表される化合物がメチ
ン色素を形成するのに必要な基を表す。L3 及びL4
メチン基を表す。p2 は0または1を表す。ただしZ
2 、R2 、Q2 、L3 、及びL4 は一般式(II) で表さ
れるメチン色素が全体としてアニオン色素となる置換基
を持つものとする。M2 は電荷均衡のための対イオンを
表し、m2 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の
数を表す。
【0080】但し、一般式(I)の化合物を単独で用いる
場合、R1は芳香族環を持つ基であることが好ましい。
【0081】また、一般式(I)の化合物と一般式(II)
の化合物を併用する場合は、R1 、及びR2 のうち少な
くとも一方は、芳香族環を持つ基であることが好まし
い。さらに、好ましくは、R1 及びR2 とも、芳香族環
を持つ基である場合である。
【0082】本発明のカチオン色素とは、対イオンを除
いた色素の電荷がカチオン性である色素ならばいずれで
も良いが、好ましくはアニオン性の置換基を持たない色
素である。また、本発明のアニオン色素とは、対イオン
を除いた色素の電荷がアニオン性である色素ならばいず
れでも良いが、好ましくはアニオン性の置換基を1つ以
上持つ色素である。本発明のベタイン色素とは、分子内
に電荷を持つが分子内塩を形成し、分子が全体として電
荷を持たない色素である。本発明のノニオン色素とは、
分子内に電荷を全く持たない色素である。
【0083】ここで言うアニオン性置換基とは、負電荷
を有した置換基であり、例えばpH5〜8の間で90% 以上
解離したプロトン解離性酸性基が挙げられる。具体的に
は、例えばスルホ基、カルボキシル基、スルファト基、
リン酸基、ほう酸基、が挙げられる。その他に、−CO
NHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニ
ルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニ
ルカルバモイル基)、−SO2 NHSO2 −基(スルフ
ォニルスルファモイル基)、フェノール性水酸基、な
ど、これらのpkaと周りのpHによっては、プロトン
が解離する基が挙げられる。さらに好ましくはスルホ
基、カルボキシル基、−CONHSO2−基、−CON
HCO−基、−SO2 NHSO2−基である。なお、−
CONHSO2 −基、−CONHCO−基、−SO2
HSO2 −基は、これらのpkaと周りのpHにより、
プロトンが解離しない場合もあり、この場合は、ここで
は言うアニオン性置換基には含めない。すなわち、プロ
トンが解離しない場合は、例えば後述する一般式(I-1)
で表わされる色素に、これらの基が2つ置換していて
も、カチオン色素と見なすことができる。
【0084】本発明においては、プロトンが解離してい
ない−CONHSO2−基,−CONHCO−基,また
は−SO2 NHSO2 −基,を少なくとも1つ持つ増感
色素を含有する場合が特に好ましい。さらに好ましく
は、芳香族基が、単結合または炭素数1〜4の連結基を
介して、これらの基に置換している場合である。これら
の色素は、特願平11−331571に記載されてい
る。
【0085】カチオン性置換基としては、置換又は無置
換のアンモニウム基、ピリジニウム基などが挙げられ
る。
【0086】一般式(I)で表わされる色素として、さ
らに好ましくは下記一般式(I-1)、(I-2)、(I-3)で表
されるときである。 一般式(I-1)
【0087】
【化3】
【0088】一般式(I-1)中、L5 、L6 、L7 、L
8 、L9 、L10、及びL11はメチン基を表す。p3 、及
びp4 は0または1を表す。n1は0、1、2、3また
は4を表す。Z3 及びZ4 は含窒素複素環を形成するた
めに必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環し
ていても良い。R3 、R4 はアルキル基、アリール基、
又は複素環基を表す。M1 、m1 は一般式(I)と同義で
ある。但し、R3 、R4、Z3 、Z4 、L5 〜L11は、
(I-1)がカチオン色素の場合アニオン性の置換基を持た
ず、(I-1)がベタイン色素の場合アニオン性の置換基を
1つ持つ。
【0089】一般式(I-2)
【0090】
【化4】
【0091】式(I-2)中、L12、L13、L14、及びL15
はメチン基を表す。p5 は0又は1を表す。q1 は0又
は1を表す。n2 は0、1、2、3又は4を表す。Z5
は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。
6 とZ6 ’は(N−R6)q1と一緒になって複素環、
又は非環式の酸性末端基を形成するために必要な原子群
を表す。ただし、Z5 、及びZ6 とZ6’に環が縮環し
ていても良い。R5 及びR6 はアルキル基、アリール
基、又は複素環基を表す。M1 、m1 は一般式(I)と同
義である。但し、R5 、R6 、Z5 、Z6 、Z6’、L
12〜L15は、(I-2)がカチオン色素の場合カチオン性
の置換基を持ち、(I-2)がベタイン色素の場合カチオン
性の置換基1つとアニオン性の置換基1つを持ち、(I-
2)がノニオン色素の場合カチオン性の置換基とアニオン
性の置換基を持たない。 一般式(I-3)
【0092】
【化5】
【0093】式(I-3)中、L16、L17、L18、L19、L
20、L21、L22、L23、及びL24はメチン基を表す。p
6 及びp7 は0又は1を表す。q2 は0又は1を表す。
3 及びn4 は0、1、2、3又は4を表す。Z7 、及
びZ9 は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を
表す。Z8 とZ8’は(N−R8)q2 と一緒になって複
素環を形成するために必要な原子群を表す。ただし、Z
7 、Z8 とZ8’及びZ9 には、環が縮環していても良
い。R7 、R8 及びR9 はアルキル基、アリール基、又
は複素環基を表す。M1 、m1 は一般式(I)と同義であ
る。但し、R7 、R8 、R9 、Z7 、Z8 、Z8’、Z9
、L16〜L24は、(I-3)がカチオン色素の場合アニオ
ン性の置換基を持たず、(I-3)がベタイン色素の場合ア
ニオン性の置換基を1つ持つ。
【0094】また、一般式(II)で表わされるアニオン
色素として、さらに好ましくは下記一般式(II-1)、
(II-2) 、(II-3) で表されるときである。 一般式(II-1)
【0095】
【化6】
【0096】一般式(II-1)中、L25、L26、L27、L
28、L29、L30、及びL31はメチン基を表す。p8 、及
びp9 は0または1を表す。n5 は0、1、2、3また
は4を表す。Z10及びZ11は含窒素複素環を形成するた
めに必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環し
ていても良い。R10、R11はアルキル基、アリール基、
又は複素環基を表す。M2 、m2 は一般式(II) と同義
である。但し、R10及びR11はアニオン性の置換基を有
する。
【0097】一般式(II-2)
【0098】
【化7】
【0099】式(II-2) 中、L32、L33、L34、及びL
35はメチン基を表す。p9 は0又は1を表す。q3 は0
又は1を表す。n6 は0、1、2、3又は4を表す。Z
12は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表
す。Z13とZ13’は(N−R13)q3と一緒になって複
素環、又は非環式の酸性末端基を形成するために必要な
原子群を表す。ただし、Z12、及びZ13とZ13’に環が
縮環していても良い。R12及びR13はアルキル基、アリ
ール基、又は複素環基を表す。M2 、m2 は一般式(I
I) と同義である。但し、R12、R13、のうち少なくと
も1つはアニオン性の置換基を有する。 一般式(II-3)
【0100】
【化8】
【0101】式(II-3) 中、L36、L37、L38、L39
40、L41、L42、L43、及びL44はメチン基を表す。
10及びp11は0又は1を表す。q4 は0又は1を表
す。n7及びn8 は0、1、2、3又は4を表す。
14、及びZ16は含窒素複素環を形成するために必要な
原子群を表す。Z15とZ15’は(N−R15)q4と一緒
になって複素環を形成するために必要な原子群を表す。
ただし、Z14,Z15とZ15’、及びZ16には、環が縮環
していても良い。R14、R15及びR16はアルキル基、ア
リール基、又は複素環基を表す。M2 、m2 は一般式
(II) と同義である。但し、R14、R15、R16、のうち
少なくとも2つはアニオン性の置換基を有する。
【0102】但し、一般式(I-1)、(I-2)、(I-3)の化
合物を単独で用いる場合、R3 及びR4 のうち少なくと
も一つ、好ましくは両方とも芳香族環を有する基、R5
及びR6 のうち少なくとも一つ、好ましくは両方とも芳
香族環を有する基、及びR7、R8 、及びR9 のうち少
なくとも一つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ
とも芳香族環を有する基である。
【0103】一般式(I-1)、(I-2)、(I-3)の化合物と
一般式(II-1) 、(II-2)、(II-3)の化合物を併用す
る場合は、組み合わせた色素のR3 〜R9 、及びR10
16のうち、少なくとも1つは芳香族環を有する基であ
り、好ましくは2つが芳香族環を有する基であり、さら
に好ましくは3つが芳香族環を有する基であり、特に好
ましくは4つ以上が芳香族環を有する基である。
【0104】上記の好ましい方法により、 分光吸収極
大波長が500nm未満で光吸収強度が60以上、また
は分光吸収極大波長が500nm以上で光吸収強度が1
00以上のハロゲン化銀粒子を実現することができる
が、2層目の色素は通常は単量体状態で吸着するため、
所望の吸収幅および分光感度幅よりも広くなることがほ
とんどである。したがって所望の波長域で高い感度を実
現するためには、2層目に吸着する色素にJ会合体を形
成させることが必要である。さらにJ会合体は蛍光収率
が高く、ストークスシフトも小さいため、光吸収波長の
接近した1層目色素へ2層目色素の吸収した光エネルギ
ーをフェルスター型のエネルギー移動で伝達するのにも
好ましい。
【0105】本発明において、2層目以上の色素とは、
ハロゲン化銀粒子には吸着しているが、ハロゲン化銀に
直接は吸着していない色素のことである。本発明におい
て2層目以上の色素のJ会合体とは、2層目以上に吸着
した色素の示す吸収の長波長側の吸収幅が、色素発色団
間の相互作用のない単量体状態の色素溶液が示す吸収の
長波長側の吸収幅の2倍以下であると定義する。ここで
長波長側の吸収幅とは、吸収極大波長と、吸収極大波長
より長波長で吸収極大の1/2の吸収を示す波長とのエ
ネルギー幅を表す。一般にJ会合体を形成すると単量体
状態と比較して長波長側の吸収幅は小さくなることが知
られている。単量体状態で2層目に吸着した場合には、
吸着位置および状態の不均一性があるため色素溶液の単
量体状態の長波長側の吸収幅の2倍以上に大きくなる。
したがって、上記定義により2層目以上の色素のJ会合
体を定義することが出来る。
【0106】2層目以上に吸着した色素の分光吸収は、
該乳剤の全体の分光吸収から1層目色素による分光吸収
を引いて求めることが出来る。1層目色素による分光吸
収は、1層目色素のみを添加したときの吸収スペクトル
を測定すれば求められる。また、増感色素が多層吸着し
た乳剤に色素脱着剤を添加して2層目以上の色素を脱着
させることで、1層目色素による分光吸収スペクトルを
測定することも出来る。色素脱着剤を用いて粒子表面か
ら色素を脱着させる実験では、通常1層目色素は2層目
以上の色素が脱着した後に脱着されるので、適切な脱着
条件を選べば、1層目色素による分光吸収を求めること
が出来る。これにより、2層目以上の色素の分光吸収を
求めることが可能となる。色素脱着剤を用いる方法は、
浅沼らの報告(ジャーナル オブ フィジカル ケミス
トリー B(Journal of Physical
Chemistry B)第101巻2149頁から
2153頁(1997年))を参考にすることが出来
る。
【0107】一般式(I)で表されるカチオン色素、ベ
タイン色素、又はノニオン色素、及び一般式(II)で表
されるアニオン色素を用いて、2層目色素のJ会合体を
形成させるためには、1層目として吸着させる色素と2
層目以降に吸着させる色素を分離して添加するのが好ま
しく、1層目色素と2層目以上の色素は異なる構造の色
素を用いることがより好ましい。2層目以上の色素はカ
チオン性の色素、ベタイン性の色素、ノニオン性の色素
を単独、又はカチオン性の色素とアニオン性の色素を併
用して添加することが好ましい。
【0108】1層目色素はいかなる色素を用いることも
出来るが、好ましくは一般式(I)または一般式(I
I)で表される色素であり、さらに好ましくは一般式
(I)で表わされる色素である。2層目色素は、一般式
(I)のカチオン色素、ベタイン色素、又はノニオン色
素を単独で用いる場合が好ましい。また、これと同列に
好ましい2層目色素としてカチオン色素とアニオン色素
を併用する場合は、いずれか一方が一般式(I)のカチ
オン色素または一般式(II)のアニオン色素である場
合が好ましく、さらに一般式(I)のカチオン色素と一
般式(II)のアニオン色素を両方とも含むことが好ま
しい。2層目色素としてのカチオン性色素/アニオン性
色素の比率は、好ましくは0.5〜2、さらに好ましく
は0.75〜1.33、最も好ましくは0.9から1.
11の範囲である。
【0109】本発明では一般式(I)あるいは一般式
(II)で表される色素以外を添加しても構わないが、
一般式(I)あるいは一般式(II)で表される色素
は、好ましくは全色素添加量の50%以上、さらに好ま
しくは70%以上、最も好ましくは90%以上である。
2層目色素はこのようにして添加することにより、2層
目色素の再配列を促進しつつ、2層目色素間の相互作用
を高めることができるためJ会合体形成が実現できる。
【0110】また一般式(I)または一般式(II)の
色素において、1層目色素として使用する場合は、
1 、Z2 は芳香族基が置換した塩基性核、又は3環以
上縮環した塩基性核である場合が好ましい。また、2層
目以上の色素として使用する場合、Z1,Z2は3環以上
縮環した塩基性核である場合が好ましい。
【0111】ここで、塩基性核の縮環数は、例えばベン
ゾオキサゾール核は2であり、ナフトオキサゾール核は
3である。また、ベンゾオキサゾール核がフェニル基で
置換されても、縮環数は2である。3環以上縮環した塩
基性核としては3環以上縮環した多環式縮環型複素環塩
基性核であればいかなるものでも良いが、好ましくは3
環式縮環型複素環、及び4環式縮環型複素環が挙げられ
る。3環式縮環型複素環として好ましくはナフト[2,3-
d] オキサゾール、ナフト[1,2-d] オキサゾール、ナフ
ト[2,1-d] オキサゾール、ナフト[2,3-d] チアゾール、
ナフト[1,2-d] チアゾール、ナフト[2,1-d] チアゾー
ル、ナフト[2,3-d] イミダゾール、ナフト[1,2-d] イミ
ダゾール、ナフト[2,1-d] イミダゾール、ナフト[2,3-
d] セレナゾール、ナフト[1,2-d] セレナゾール、ナフ
ト[2,1-d] セレナゾール、インドロ[5,6-d] オキサゾー
ル、インドロ[6,5-d] オキサゾール、インドロ[2,3-d]
オキサゾール、インドロ[5,6-d] チアゾール、インドロ
[6,5-d] チアゾール、インドロ[2,3-d] チアゾール、ベ
ンゾフロ[5,6-d] オキサゾール、ベンゾフロ[6,5-d] オ
キサゾール、ベンゾフロ[2,3-d] オキサゾール、ベンゾ
フロ[5,6-d] チアゾール、ベンゾフロ[6,5-d] チアゾー
ル、ベンゾフロ[2,3-d] チアゾール、ベンゾチエノ[5,6
-d] オキサゾール、ベンゾチエノ[6,5-d] オキサゾー
ル、ベンゾチエノ[2,3-d] オキサゾール等が挙げられ
る。また、4環式縮環型複素環として好ましくは、アン
トラ[2,3-d] オキサゾール、アントラ[1,2-d] オキサゾ
ール、アントラ[2,1-d] オキサゾール、アントラ[2,3-
d] チアゾール、アントラ[1,2-d] チアゾール、フェナ
ントロ[2,1-d] チアゾール、フェナントロ[2,3-d] イミ
ダゾール、アントラ[1,2-d] イミダゾール、アントラ
[2,1-d] イミダゾール、アントラ[2,3-d] セレナゾー
ル、フェナントロ[1,2-d] セレナゾール、フェナントロ
[2,1-d] セレナゾール、カルバゾロ[2,3-d] オキサゾー
ル、カルバゾロ[3,2-d] オキサゾール、ジベンゾフロ
[2,3-d] オキサゾール、ジベンゾフロ[3,2-d] オキサゾ
ール、カルバゾロ[2,3-d] チアゾール、カルバゾロ[3,2
-d] チアゾール、ジベンゾフロ[2,3-d] チアゾール、ジ
ベンゾフロ[3,2-d] チアゾール、ベンゾフロ[5,6-d] オ
キサゾール、ジベンゾチエノ[2,3-d] オキサゾール、ジ
ベンゾチエノ[3,2-d] オキサゾール、テトラヒドロカル
バゾロ[6,7-d] オキサゾール、テトラヒドロカルバゾロ
[7,6-d] オキサゾール、ジベンゾチエノ[2,3-d] チアゾ
ール、ジベンゾチエノ[3,2-d] チアゾール、テトラヒド
ロカルバゾロ[6,7-d] チアゾール等が挙げられる。3環
以上縮環した塩基性核として更に好ましくは、ナフト
[2,3-d] オキサゾール、ナフト[1,2-d] オキサゾール、
ナフト[2,1-d] オキサゾール、ナフト[2,3-d] チアゾー
ル、ナフト[1,2-d] チアゾール、ナフト[2,1-d] チアゾ
ール、インドロ[5,6-d] オキサゾール、インドロ[6,5-
d] オキサゾール、インドロ[2,3-d] オキサゾール、イ
ンドロ[5,6-d] チアゾール、インドロ[2,3-d] チアゾー
ル、ベンゾフロ[5,6-d] オキサゾール、ベンゾフロ[6,5
-d] オキサゾール、ベンゾフロ[2,3-d] オキサゾール、
ベンゾフロ[5,6-d] チアゾール、ベンゾフロ[2,3-d] チ
アゾール、ベンゾチエノ[5,6-d] オキサゾール、アント
ラ[2,3-d] オキサゾール、アントラ[1,2-d] オキサゾー
ル、アントラ[2,3-d] チアゾール、アントラ[1,2-d] チ
アゾール、カルバゾロ[2,3-d] オキサゾール、カルバゾ
ロ[3,2-d] オキサゾール、ジベンゾフロ[2,3-d] オキサ
ゾール、ジベンゾフロ[3,2-d] オキサゾール、カルバゾ
ロ[2,3-d] チアゾール、カルバゾロ[3,2-d] チアゾー
ル、ジベンゾフロ[2,3-d] チアゾール、ジベンゾフロ
[3,2-d] チアゾール、ジベンゾチエノ[2,3-d] オキサゾ
ール、ジベンゾチエノ[3,2-d] オキサゾール、が挙げら
れ、特に好ましくは、ナフト[2,3-d] オキサゾール、ナ
フト[1,2-d] オキサゾール、ナフト[2,3-d] チアゾー
ル、インドロ[5,6-d] オキサゾール、インドロ[6,5-d]
オキサゾール、インドロ[5,6-d] チアゾール、ベンゾフ
ロ[5,6-d] オキサゾール、ベンゾフロ[5,6-d] チアゾー
ル、ベンゾフロ[2,3-d] チアゾール、ベンゾチエノ[5,6
-d] オキサゾール、カルバゾロ[2,3-d] オキサゾール、
カルバゾロ[3,2-d] オキサゾール、ジベンゾフロ[2,3-
d] オキサゾール、ジベンゾフロ[3,2-d] オキサゾー
ル、カルバゾロ[2,3-d] チアゾール、カルバゾロ[3,2-
d] チアゾール、ジベンゾフロ[2,3-d] チアゾール、ジ
ベンゾフロ[3,2-d] チアゾール、ジベンゾチエノ[2,3-
d] オキサゾール、ジベンゾチエノ[3,2-d] オキサゾー
ルである。
【0112】また、ハロゲン化銀粒子表面上を色素発色
団が多層に被覆しているような吸着状態を実現したもう
一つの好ましい方法は、連結基によって共有結合で連結
した2つ以上の色素発色団部分を持つ色素化合物(本発
明では連結色素と称する。)を用いる方法である。用い
ることのできる色素発色団としてはいかなるものでも良
いが、前述の色素発色団で示したものが挙げられる。好
ましくは、前述の色素発色団で示したポリメチン色素発
色団である。さらに好ましくは、シアニン色素、メロシ
アニン色素、ロダシアニン色素、オキソノール色素であ
り、特に好ましくはシアニン色素、ロダシアニン色素、
メロシアニン色素であり、最も好ましくはシアニン色素
である。
【0113】ただし、本発明においては、このように1
層目の増感色素と2層目以降の増感色素が共有結合で連
結された増感色素を用いる場合よりも、前述のそれ以外
の増感色素を用いる方が好ましい。
【0114】好ましい例としては、例えば、特開平9−
265144号に記載されているメチン鎖で連結された
色素を用いる方法、特開平10−226758号に記載
されているオキソノール染料が連結された色素を用いる
方法、特開平10−110107、同10−30735
8、同10−307359、同10−310715号に
記載されている特定構造の連結色素を用いる方法、特願
平8−31212号、特開平10−204306号に記
載されている特定の連結基を持つ連結色素を用いる方
法、特願平11−34444号、同11−34463
号、同11−34462号、に記載されている特定構造
の連結色素を用いる方法、特願平10−249971号
に記載されている反応性基を持つ色素を用い乳剤中で連
結色素を生成させる方法などが挙げられる。
【0115】好ましい連結色素としては、下記一般式
(III)で表される色素である。 一般式(III)
【0116】
【化9】
【0117】式中、D1 及びD2 は色素発色団を表わ
す。Laは連結基、又は単結合を表す。q及びrは各々
1から100までの整数を表わす。M3 は電荷均衡対イ
オンを表し、m3 は分子の電荷を中和するのに必要な数
を表す。
【0118】D1、D2、Laについて述べる。
【0119】D1 ,及びD2 で表わされる色素発色団と
してはいかなるものでも良い。具体的には、前述の色素
発色団で示したものが挙げられる。好ましくは、前述の
色素発色団で示したポリメチン色素発色団である。さら
に好ましくは、シアニン色素、メロシアニン色素、ロダ
シアニン色素、オキソノール色素であり、特に好ましく
はシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素
であり、最も好ましくはシアニン色素である。好ましい
色素の一般式としては、米国特許第5,994,051
号第32〜36頁記載の一般式、および米国特許5,7
47,236号第30〜34頁記載の一般式が挙げられ
る。また、好ましいシアニン色素、メロシアニン色素、
ロダシアニン色素の一般式は、米国特許第5,340,
694号第21〜22欄の(XI)、(XII)、(XIII) に
示されているもの(ただし、n12 、n15 、n17 、n18 の
数は限定せず、0以上の整数(好ましくは4以下))が
挙げられる。
【0120】本発明において、一般式(III)で表される
連結色素がハロゲン化銀粒子に吸着した場合には、D2
はハロゲン化銀に直接吸着していない発色団であること
が好ましい。すなわち、D2 のハロゲン化銀粒子への吸
着力はD1 よりも弱い方が好ましい。さらに、ハロゲン
化銀粒子への吸着力の序列は、D1 >La>D2 となっ
ている場合が最も好ましい。
【0121】上記のように、D1 はハロゲン化銀粒子へ
の吸着性を持つ増感色素部分であることが好ましいが、
物理吸着、または化学吸着いずれによって吸着させても
構わない。
【0122】D2はハロゲン化銀粒子への吸着性が弱
く、また発光性色素の場合が好ましい。発光性色素の種
類としては色素レーザー用に使用される色素の骨格構造
を持つものが好ましい。これらはたとえば、前田三男、
レーザー研究、第8巻、694頁、803頁、958頁
(1980年)及び第9巻、85頁(1981年)、及
びF. Sehaefer 著、「Dye Lasers」、Springer(197
3年)の中に整理されている。
【0123】さらに、D1 のハロゲン化銀写真感光材料
中における吸収極大波長がD2 の吸収極大波長よりも長
波長であることが好ましい。さらに、D2 の発光がD1
の吸収と重なることが好ましい。また、D1 はJ-会合体
を形成した方が好ましい。さらに、一般式(I)で表さ
れる連結色素が所望の波長範囲に吸収および分光感度を
有するためには、D2 もJ会合体を形成していることが
好ましい。
【0124】D1 とD2 の還元電位、及び酸化電位はい
かなるものでも良いが、D1 の還元電位がD2 の還元電
位の値から0.2vを引いた値よりも、貴であることが
好ましい。
【0125】Laは連結基(好ましくは2価の連結基)
または単結合を表す。この連結基は、好ましくは炭素原
子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のうち、少なくとも
1種を含む原子又は原子団からなる。好ましくはアルキ
レン基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチ
レン、ペンチレン)、アリーレン基(例えばフェニレ
ン、ナフチレン)、アルケニレン基(例えば、エテニレ
ン、プロペニレン)、アルキニレン基(例えば、エチニ
レン、プロピニレン)、アミド基、エステル基、スルホ
アミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホ
ニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル
基、カルボニル基、−N(Va)−(Vaは水素原子、
又は一価の置換基を表わす。一価の置換基としては後述
のVが挙げられる。)、複素環2価基(例えば、6−ク
ロロ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル基、ピ
リミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−
ジイル基)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成され
る炭素数0以上100以下、好ましくは炭素数1以上2
0以下の連結基を表す。
【0126】上記の連結基は、更に後述のVで表わされ
る置換基を有しても良い。また、これらの連結基は環
(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環)を
含有しても良い。
【0127】更に好ましくは炭素数1以上10以下のア
ルキレン基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、
ブチレン)、炭素数6以上10以下のアリーレン基(例
えばフェニレン、ナフチレン)、炭素数2以上10以下
のアルケニレン基(例えば)例えば、エテニレン、プロ
ペニレン)、炭素数2以上10以下のアルキニレン基
(例えば、エチニレン、プロピニレン)、エーテル基、
アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エ
ステル基を1つ又はそれ以上組み合わせて構成される炭
素数1以上10以下の2価の連結基である。これらは、
後述のVで置換されていても良い。
【0128】Laはスルーボンド(through −bond)相
互作用によりエネルギー移動または電子移動を行っても
良い連結基である。スルーボンド相互作用にはトンネル
相互作用、超交換(super-exchange) 相互作用などがあ
るが、中でも超交換相互作用に基づくスルーボンド相互
作用が好ましい。スルーボンド相互作用及び超交換相互
作用は、シャマイ・スペイサー(Shammai Speiser)著、
ケミカル・レビュー(Chem. Rev.)第96巻、第1960−19
63頁、1996年で定義されている相互作用である。このよ
うな相互作用によりエネルギー移動または電子移動する
連結基としては、シャマイ・スペイサー(Shammai Spei
ser )著、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第96巻、
第1967−1969頁、1996年に記載のものが好ましい。
【0129】q及びrは1から100までの整数を表わ
す。好ましくは1から5の整数であり、さらに好ましく
は1から2の整数であり、特に好ましくは1である。q
及びrが2以上の場合は含まれる複数のLa及びD2
それぞれ相異なる連結基及び色素発色団であっても良
い。
【0130】一般式(III)の色素は全体で−1の電荷を
持つ場合が好ましい。
【0131】さらに好ましくは、一般式(III)におい
て、D1 及びD2 がそれぞれ独立に下記一般式(IV)、
(V)、(VI) 、又は(VII) で表されるメチン色素である
時である。 一般式(IV)
【0132】
【化10】
【0133】式(IV)中、L45、L46、L47、L48、L
49、L50、及びL51はメチン基を表す。p12、及びp13
は0または1を表す。n9は0、1、2、3または4を
表す。Z17及びZ18は含窒素複素環を形成するために必
要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環していて
も良い。M4 は電荷均衡対イオンを表し、m4 は分子の
電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R17及び
18はアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。 一般式(V)
【0134】
【化11】
【0135】式(V)中、L52、L53、L54、及びL55
メチン基を表す。p14は0又は1を表す。q5は0又は
1を表わす。n10は0、1、2、3又は4を表す。Z19
は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。
20とZ20’は(N−R20)q5と一緒になって複素
環、又は非環式の酸性末端基を形成するために必要な原
子群を表す。ただし、Z19、及びZ20とZ20’に環が縮
環していても良い。M5は電荷均衡対イオンを表し、m5
は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表
す。R19及びR20はアルキル基、アリール基、又は複素
環基を表す。 一般式(VI)
【0136】
【化12】
【0137】式(VI) 中、L56、L57、L58、L59、L
60、L61、L62、L63及びL64はメチン基を表す。p15
及びp16は0又は1を表す。q6は0又は1を表わす。
11及びn12は0、1、2、3又は4を表す。Z21、及
びZ23は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を
表す。Z22とZ22’は(N−R22)q6と一緒になって
複素環を形成するために必要な原子群を表す。ただし、
21、Z22とZ22’、及びZ23に環が縮環していても良
い。M6 は電荷均衡対イオンを表し、m6 は分子の電荷
を中和するのに必要な0以上の数を表す。R21、R22
びR23はアルキル基、アリール基、又は複素環基を表
す。 一般式(VII)
【0138】
【化13】
【0139】式(VII)中、L65、L66、及びL67はメチ
ン基を表す。q7 及びq8 は0又は1を表す。n13
0、1、2、3又は4を表す。Z24とZ24’は(N−R
24)q 7 と一緒になって、及び,Z25とZ25’は(N−
25)q8 と一緒になって,複素環、又は非環式の酸性
末端基を形成するために必要な原子群を表す。ただし、
24とZ24’、及びZ25とZ25’に環が縮環していても
良い。M7 は電荷均衡対イオンを表し、m7 は分子の電
荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R24、及び
25はアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
【0140】一般式(III) のD1 として好ましくは、上
記の一般式(IV),(V),(VI)で表わされるメチン色素の場
合であり、さらに好ましくは一般式(IV) で表わされる
メチン色素の場合である。一般式(III) のD2 として好
ましくは、上記の一般式(IV),(V),(VII) で表わされる
メチン色素の場合であり、さらに好ましくは一般式(I
V) ,(V)で表わされるメチン色素の場合であり、特に好
ましくは一般式(IV) で表わされるメチン色素の場合で
ある。
【0141】以上の一般式(I),(II) を用いる方法と、
一般式(III)を用いる方法のうち、一般式(I),(II) を
用いる方法の方がより好ましい。
【0142】以下、一般式(I)((I-1,2,3)を含む)、
(II)((II-1,2,3) を含む)、(IV),(V)、(VI)及
び(VII)で表されるメチン化合物について詳細に述べ
る。
【0143】一般式(I)及び(II) 中、Q1 及びQ2
メチン色素を形成するのに必要な基を表す。Q1 及びQ
2 により、いかなるメチン色素を形成することも可能で
あるが、前述の色素発色団の例として示したメチン色素
が挙げられる。
【0144】好ましくはシアニン色素、メロシアニン色
素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メ
ロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色
素、スチリル色素などが挙げられる。さらに好ましくは
シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素で
あり、特に好ましくはシアニン色素である。これらの色
素の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harme
r)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダ
イズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyc
lic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compound
s)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley
& Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年
刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロ
サイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス
・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyc
lic Compounds-Special topics in heterocyclic chemi
stry)」、第18章、第14節、第482から515貢
などに記載されている。好ましい色素の一般式として
は、米国特許第5,994,051号第32〜36頁記
載の一般式、および米国特許5,747,236号第3
0〜34頁記載の一般式が挙げられる。また、好ましい
シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素の
一般式は、米国特許第5,340,694号第21〜2
2欄の(XI)、(XII)、(XIII) に示されているもの
(ただし、n12 、n15 、n17 、n18 の数は限定せず、0
以上の整数(好ましくは4以下))が挙げられる。ま
た、一般式(I)及び(II) において、Q1 及びQ2 によ
りシアニン色素、ロダシアニン色素が形成される場合な
どは、下記のような共鳴式で表現することも可能であ
る。 一般式(I)
【0145】
【化14】
【0146】一般式(II)
【0147】
【化15】
【0148】一般式(I)、(II)、(IV) 、(V)、及
び(VI) 中、Z1 、Z2 、Z3 、Z 4 、Z5 、Z7 ,Z
9 、Z10、Z11、Z12、Z14、Z16、Z17、Z18
19、Z 21、及びZ23は含窒素複素環、好ましくは5又
は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表
す。ただし、これらに環が縮環していても良い。環とし
ては、芳香族環、又は非芳香族環いずれでも良い。好ま
しくは芳香族環であり、例えばベンゼン環、ナフタレン
環などの炭化水素芳香族環や、ピラジン環、チオフェン
環などの複素芳香族環が挙げられる。
【0149】含窒素複素環としてはチアゾリン核、チア
ゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキ
サゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、
セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、3,3−ジア
ルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインド
レニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイ
ミダゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−
キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3
−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリ
ン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラ
ゾール核、ピリミジン核などを挙げることができるが、
好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール
核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3
−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミダゾール核、2
−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−
キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核
であり、さらに好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾ
オキサゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核
(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミ
ダゾール核であり、特に好ましくはベンゾオキサゾール
核、ベンゾチアゾール核、ベンゾイミダゾール核であ
り、最も好ましくはベンゾオキサゾール核、ベンゾチア
ゾール核である。
【0150】これらの含窒素複素環上の置換基をVとす
ると、Vで示される置換基としては特に制限は無いが、
例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル
基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シク
ロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アル
キニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言って
も良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カル
ボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル
オキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバ
モイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ
ールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を
含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボ
ニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及び
アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモ
イル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル
基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、ア
リールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド
基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキ
シ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げ
られる。更に詳しくは、Vは、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直
鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表
す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から3
0のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコ
シル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチ
ルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数
3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例
えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデ
シルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましく
は、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロ
アルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアル
カンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例
えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビ
シクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構
造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以
下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキル
チオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を
表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこと
とする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換も
しくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケ
ニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置
換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニ
ル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ま
しくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシク
ロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロア
ルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例
えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキ
セン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしく
は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数
5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル
基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素
原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシク
ロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシク
ロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含
するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素
数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例え
ば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニ
ル基、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換
もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−ト
リル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカ
ノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5また
は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香
族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価
の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5も
しくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フ
リル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチ
アゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カ
ルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1か
ら30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、
メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、
n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリー
ルオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もし
くは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、
2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3
−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェ
ノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から
20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキ
シ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキ
シ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無
置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー
5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシ
ルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2か
ら30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキ
シ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリー
ルカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセ
チルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、
ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオ
キシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1
から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ
基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、
N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカル
ボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボ
ニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2
から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオ
キシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカ
ルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−
オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニ
ルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もし
くは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例え
ば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノ
キシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフ
ェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、
アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のア
ルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置
換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメ
チルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニ
ルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルア
ミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアル
キルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もし
くは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホ
ルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラ
ウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ
−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、ア
ミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から3
0の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例
えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカ
ルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルア
ミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカル
ボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換も
しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、
メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミ
ノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシル
オキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボ
ニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好
ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のア
リールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシ
カルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミ
ノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミ
ノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0
から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ
基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチル
アミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスル
ホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミ
ノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置
換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置
換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例え
ば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミ
ノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロ
ロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスル
ホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ま
しくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアル
キルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキ
サデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6
から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例え
ば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メト
キシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素
数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例
えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラ
ゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましく
は炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモ
イル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3
−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−
ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイ
ル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェ
ニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アル
キル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数
1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル
基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィ
ニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィ
ニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスル
フィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ま
しくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキ
ルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリ
ールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチル
スルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニル
スルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素
数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル
基、、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリー
ルカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置
換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カ
ルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロ
ロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オク
チルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニ
ル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニ
ル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無
置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキ
シカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−
ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキ
シカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましく
は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシ
カルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシ
ルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、
炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイ
ル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、
N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オク
チルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモ
イル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素
数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、
炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ
基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、
5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イ
ルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミ
ド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、
炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ
基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィ
ノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基
(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換
のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチル
オキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホス
フィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置
換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジ
フェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホス
フィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましく
は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィ
ニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミ
ノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基
(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換
のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジ
メチルシリル、フェニルジメチルシリル)、を表わす。
また、環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複
素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形
成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン
環、アントラセン環、キノリン環、フェナントレン環、
フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフ
ェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミ
ダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン
環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インド
リジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオ
フェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリ
ン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン
環、キノキサゾリン環、キノリン環、カルバゾール環、
フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン
環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェ
ノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が
挙げられる。)が縮合した構造をとることもできる。
【0151】上記の官能基の中で、水素原子を有するも
のは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても
良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボ
ニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノス
ルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、
アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。
その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、
p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセ
チルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基
が挙げられる。
【0152】置換基として好ましいものは上述のアルキ
ル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、芳香
環縮合、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基であ
る。
【0153】Z1 、Z2 、Z3 、Z4 、Z5 、Z7 、Z
9 、Z10、Z11、Z12、Z14、及びZ16上の置換基Vと
してさらに好ましくは芳香族基、芳香環縮合である。
【0154】一般式(IV)、(V)、または(VI) で表さ
れるメチン色素が、一般式(III)中のD1で表される発
色団を表すとき、Z17、Z18、Z19、Z21、及びZ23
の置換基Vとして、さらに好ましくは芳香族基、芳香環
縮合である。
【0155】一般式(IV)、(V)、または(VI) で表さ
れるメチン色素が、一般式(III)中のD2 で表される発
色団を表すとき、Z17、Z18、Z19、Z21、及びZ23
の置換基Vとして、さらに好ましくはカルボキシ基、ス
ルホ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはスルホ基
である。
【0156】Z6 とZ6 ’と(N−R6)q1 、Z13とZ
13’と(N−R13)q3 、Z20とZ20’と(N−R20
5、Z24とZ24’と(N−R24)q7 、及びZ25とZ
25’と(N−R25)q8 はそれぞれ一緒になって、複素
環、又は非環式の酸性末端基を形成するために必要な原
子群を表わす。複素環(好ましくは5又は6員の複素
環)としてはいかなるものでも良いが、酸性核が好まし
い。次に、酸性核及び非環式の酸性末端基について説明
する。酸性核及び非環式の酸性末端基は、いかなる一般
のメロシアニン色素の酸性核及び非環式の酸性末端基の
形をとることもできる。好ましい形においてZ6
13,Z20,Z24,Z25はチオカルボニル基、カルボニ
ル基、エステル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ
基、スルホニル基であり、さらに好ましくはチオカルボ
ニル基、カルボニル基である。Z6’,Z1 3’,
20’,Z24’、Z25’は酸性核及び非環式の酸性末端
基を形成するために必要な残りの原子群を表す。非環式
の酸性末端基を形成する場合は、好ましくはチオカルボ
ニル基、カルボニル基、エステル基、アシル基、カルバ
モイル基、シアノ基、スルホニル基などである。
【0157】q1 ,q3 ,q5 ,q7 ,及びq8 は0又
は1であるが、好ましくは1である。
【0158】ここでいう酸性核及び非環式の酸性末端基
は、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー
・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The
Theory of the Photograph
ic Process)第4版、マクミラン出版社、1
977年、198〜200貢に記載されている。ここで
は、非環式の酸性末端基とは、酸性すなわち電子受容性
の末端基のうち、環を形成しないものを意味することと
する。酸性核及び非環式の酸性末端基は、具体的には、
米国特許第3、567、719号、第3、575、86
9号、第3、804、634号、第3、837、862
号、第4、002、480号、第4、925、777
号、特開平3ー167546号、米国特許第5,99
4,051号、米国特許5,747,236号などに記
載されているものが挙げられる。
【0159】酸性核は、炭素、窒素、及び/又はカルコ
ゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原
子からなる複素環(好ましくは5員又は6員の含窒素複
素環)を形成するとき好ましく、さらに好ましくは炭
素、窒素、及び/又はカルコゲン(典型的には酸素、硫
黄、セレン、及びテルル)原子からなる5員又は6員の
含窒素複素環を形成するときである。具体的には、例え
ば次の核が挙げられる。
【0160】2ーピラゾリンー5ーオン、ピラゾリジン
ー3、5ージオン、イミダゾリンー5ーオン、ヒダント
イン、2または4ーチオヒダントイン、2ーイミノオキ
サゾリジンー4ーオン、2ーオキサゾリンー5ーオン、
2―チオオキサゾリジンー2、5―ジオン、2ーチオオ
キサゾリンー2、4ージオン、イソオキサゾリンー5ー
オン、2ーチアゾリンー4ーオン、チアゾリジンー4ー
オン、チアゾリジンー2、4ージオン、ローダニン、チ
アゾリジンー2、4ージチオン、イソローダニン、イン
ダンー1、3ージオン、チオフェンー3ーオン、チオフ
ェンー3ーオンー1、1ージオキシド、インドリンー2
ーオン、インドリンー3ーオン、2ーオキソインダゾリ
ニウム、3ーオキソインダゾリニウム、5、7ージオキ
ソー6、7ージヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン、シ
クロヘキサンー1、3ージオン、3、4ージヒドロイソ
キノリンー4ーオン、1、3ージオキサンー4、6ージ
オン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸、クロ
マンー2、4ージオン、インダゾリンー2ーオン、ピリ
ド[1,2−a]ピリミジンー1、3ージオン、ピラゾ
ロ[1,5−b]キナゾロン、ピラゾロ[1,5−a]
ベンゾイミダゾール、ピラゾロピリドン、1、2、3、
4ーテトラヒドロキノリンー2、4ージオン、3ーオキ
ソー2、3ージヒドロベンゾ[d]チオフェンー1、1
ージオキサイド、3ージシアノメチンー2、3ージヒド
ロベンゾ[d]チオフェンー1、1ージオキサイドの
核。
【0161】さらに、これらの核を形成しているカルボ
ニル基もしくはチオカルボニル基を、酸性核の活性メチ
レン位で置換したエキソメチレン構造を有する核、及
び、非環式の酸性末端基の原料となるケトメチレンやシ
アノメチレンなどの構造を有する活性メチレン化合物の
活性メチレン位で置換したエキソメチレン構造を有する
核。
【0162】これらの酸性核、及び非環式の酸性末端基
には、前述の置換基Vで示した置換基又は環が、置換し
ていても、縮環していても良い。
【0163】Z6 とZ6 ’と(N−R6)q1 、Z13とZ
13’と(N−R13)q3 、Z20とZ20’と(N−R20
5、Z24とZ24’と(N−R24)q7 、及びZ25とZ
25’と(N−R25)q8 として好ましくは、ヒダントイ
ン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリン
ー5ーオン、2ーチオオキサゾリンー2、4ージオン、
チアゾリジンー2、4ージオン、ローダニン、チアゾリ
ジンー2、4ージチオン、バルビツール酸、2ーチオバ
ルビツール酸であり、さらに好ましくは、ヒダントイ
ン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリン
ー5ーオン、ローダニン、バルビツール酸、2ーチオバ
ルビツール酸である。特に好ましくは2または4ーチオ
ヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、ローダニ
ン、バルビツール酸である。
【0164】Z8 とZ8 ’と(N−R8)q2 、Z15とZ
15’と(N−R15)q4 、及びZ22とZ22’と(N−R
22)q6 によって形成される複素環としては、前述のZ
6 とZ 6 ’と(N−R6)q1 、Z13とZ13’と(N−R
13)q3 、Z20とZ20’と(N−R20)q5 、Z24とZ
24’と(N−R24)q7 、及びZ25とZ25’と(N−R
25)q8 の複素環の説明で述べたものと同じものが挙げ
られる。好ましくは前述のZ6 とZ6 ’と(N−R6)q
1 、Z13とZ13’と(N−R13)q3 、Z20とZ 20’と
(N−R20)q5 、Z24とZ24’と(N−R24)q7
及びZ25とZ25’と(N−R25)q8 の複素環の説明で
述べた酸性核からオキソ基、又はチオキソ基を除いたも
のである。
【0165】さらに好ましくは、前述のZ6 とZ6 ’と
(N−R6)q1 、Z13とZ13’と(N−R13)q3 、Z
20とZ20’と(N−R20)q5 、Z24とZ24’と(N−
24)q7 、及びZ25とZ25’と(N−R25)q8 の具
体的として挙げた酸性核からオキソ基、又はチオキソ基
を除いたものであり、
【0166】さらに好ましくはヒダントイン、2または
4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、
2ーチオオキサゾリンー2、4ージオン、チアゾリジン
ー2、4ージオン、ローダニン、チアゾリジンー2、4
ージチオン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸
からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものであり、特
に好ましくは、ヒダントイン、2または4ーチオヒダン
トイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、ローダニン、バ
ルビツール酸、2ーチオバルビツール酸からオキソ基、
又はチオキソ基を除いたものであり、最も好ましくは2
または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ー
オン、ローダニンからオキソ基、又はチオキソ基を除い
たものである。
【0167】q2 、q4 、及びq6 は0又は1である
が、好ましくは1である。
【0168】R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R
7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R
23、R24、及びR25はアルキル基、アリール基、及び複
素環基であるが、具体的には、例えば、炭素原子1から
18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の
無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オ
クチル、ドデシル、オクタデシル)、炭素原子1から1
8、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置
換アルキル基{例えば置換基として前述のVが置換した
アルキル基が挙げられる。好ましくはアラルキル基(例
えばベンジル、2−フェニルエチル)、不飽和炭化水素
基(例えばアリル基)、ヒドロキシアルキル基(例え
ば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピ
ル)、カルボキシアルキル基(例えば、2−カルボキシ
エチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチ
ル、カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例え
ば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキ
シ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば2ーフ
ェノキシエチル、2ー(1ーナフトキシ)エチル)、ア
ルコキシカルボニルアルキル基(例えばエトキシカルボ
ニルメチル、2ーベンジルオキシカルボニルエチル)、
アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば3ーフェノ
キシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基
(例えば2ーアセチルオキシエチル)、アシルアルキル
基(例えば2ーアセチルエチル)、カルバモイルアルキ
ル基(例えば2ーモルホリノカルボニルエチル)、スル
ファモイルアルキル基(例えばN,Nージメチルスルフ
ァモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−ス
ルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、
4−スルホブチル、2−[3−スルホプロポキシ]エチ
ル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホ
プロポキシエトキシエチル)、スルホアルケニル基、ス
ルファトアルキル基(例えば、2ースルファトエチル
基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチ
ル)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン
−2−オン−1−イル)エチル、テトラヒドロフルフリ
ル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例
えばメタンスルホニルカルバモイルメチル基)、アシル
カルバモイルアルキル基(例えばアセチルカルバモイル
メチル基)、アシルスルファモイルアルキル基(例えば
アセチルスルファモイルメチル基)、アルキルスルフォ
ニルスルファモイルアルキル基(例えばメタンスルフォ
ニルスルファモイルメチル基)}、炭素数6から20、
好ましくは炭素数6から10、さらに好ましくは炭素数
6から8の無置換アリール基(例えばフェニル基、1ー
ナフチル基)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6
から10、さらに好ましくは炭素数6から8の置換アリ
ール基(例えば置換基の例として挙げた前述のVが置換
したアリール基が挙げられる。具体的にはp−メトキシ
フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニ
ル基などが挙げられる。)、炭素数1から20、好まし
くは炭素数3から10、さらに好ましくは炭素数4から
8の無置換複素環基(例えば2ーフリル基、2ーチエニ
ル基、2ーピリジル基、3ーピラゾリル、3ーイソオキ
サゾリル、3ーイソチアゾリル、2ーイミダゾリル、2
ーオキサゾリル、2ーチアゾリル、2ーピリダジル、2
ーピリミジル、3ーピラジル、2ー(1,3,5-トリアゾリ
ル)、3ー(1,2,4-トリアゾリル)、5ーテトラゾリ
ル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から1
0、さらに好ましくは炭素数4から8の置換複素環基
(例えば置換基の例として挙げた前述のVが置換した複
素環基が挙げられる。具体的には5ーメチルー2ーチエ
ニル基、4ーメトキシー2ーピリジル基などが挙げられ
る。)が挙げられる。
【0169】R1 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R
8 、及びR9 として好ましくは、芳香族環を有する基で
ある。芳香族環としては、炭化水素芳香族環、複素芳香
族環が挙げられ、これらは、さらに炭化水素芳香族環、
及び複素芳香族環同士が縮合した多環縮合環、又は芳香
族炭化水素環と芳香族複素環が組み合わされた多環縮合
環であっても良く、前述の置換基V等で置換されていて
も良い。芳香族環として好ましくは、前述の芳香族基の
説明で芳香族環の例として示したものが挙げられる。
【0170】また、芳香族環を有する基は、−Lb−A
1で表わすことができる。ここで、Lbは単結合を表わ
すか、または連結基である。A1は、芳香族基を表わ
す。Lbの連結基として好ましくは、前述のLaなどで
説明した連結基が挙げられる。A 1の芳香族基として好
ましくは、前述の芳香族基の例として挙げたものであ
る。
【0171】好ましくは、炭化水素芳香族環を有するア
ルキル基として、アラルキル基(例えば、ベンジル、2
−フェニルエチル、ナフチルメチル、2−(4−ビフェ
ニル)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば、2
−フェノキシエチル、2−(1−ナフトキシ)エチル、
2−(4−ビフェニロキシ)エチル、2−(o,mある
いはp−ハロフェノキシ)エチル、2−(o,mあるい
はp−メトキシフェノキシ)エチル)、アリーロキシカ
ルボニルアルキル基(3−フェノキシカルボニルプロピ
ル、2−(1−ナフトキシカルボニル)エチル)などが
挙げられる。また、複素芳香族環を有するアルキル基と
して例えば、2−(2−ピリジル)エチル、2−(4−
ピリジル)エチル、2−(2−フリル)エチル、2−
(2−チエニル)エチル、2−(2−ピリジルメトキ
シ)エチルが挙げられる。炭化水素芳香族基としては4
−メトキシフェニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル
などが挙げられる。複素芳香族基としては、2ーチエニ
ル基、4−クロロー2−チエニル、2ーピリジル、3ー
ピラゾリルなどが挙げられる。
【0172】さらに好ましくは上述の置換もしくは無置
換の炭化水素芳香族環、又は複素芳香族環を有するアル
キル基である。特に好ましくは、上述の置換もしくは無
置換の炭化水素芳香族環を有するアルキル基である。
【0173】R2 ,R10、R11,R12、R13,R14、R
15,及びR16として好ましくは、芳香族環を有する基で
ある。R10、R11の両方、及びR12、R13のうち少なく
とも1つ、及びR14、R15,R16のうち少なくとも2つ
はアニオン性の置換基を持つ。また、R2 はアニオン性
の置換基を持つ場合が好ましい。芳香族環としては、炭
化水素芳香族環、複素芳香族環が挙げられ、これらは、
さらに炭化水素芳香族環、及び複素芳香族環同士が縮合
した多環縮合環、又は芳香族炭化水素環と芳香族複素環
が組み合わされた多環縮合環であっても良く、前述の置
換基V等で置換されていても良い。芳香族環として好ま
しくは、前述の芳香族基の説明で芳香族環の例として示
したものが挙げられる。
【0174】また、芳香族環を有する基は、−Lc−A
2 で表わすことができる。ここで、Lcは単結合を表わ
すか、または連結基である。A2は、芳香族基を表わ
す。Lcの連結基として好ましくは、前述のLaなどで
説明した連結基が挙げられる。A 2の芳香族基として好
ましくは、前述の芳香族基の例として挙げたものであ
る。Lc,又はA2 には、少なくとも1つのアニオン性
置換基が置換している場合が好ましい。
【0175】好ましくは、炭化水素芳香族環を有するア
ルキル基として、スルホ基、リン酸基、及またはカルボ
キシル基が置換したアラルキル基(例えば、2−スルホ
ベンジル、4−スルホベンジル、4−スルホフェネチ
ル、3−フェニル−3−スルホプロピル、3−フェニル
−2−スルホプロピル、4,4−ジフェニル−3−スル
ホブチル、2−(4’−スルホ−4−ビフェニル)エチ
ル、4−ホスホベンジル)、スルホ基、リン酸基、及ま
たはカルボキシル基が置換したアリーロキシカルボニル
アルキル基(3−スルホフェノキシカルボニルプロピ
ル)、スルホ基、リン酸基、及またはカルボキシル基が
置換したアリーロキシアルキル基(例えば、2−(4−
スルホフェノキシ)エチル、2−(2−ホスホフェノキ
シ)エチル、4,4−ジフェノキシ−3−スルホブチ
ル)、などが挙げられる。また、複素芳香族環を有する
アルキル基としては、3−(2−ピリジル)−3−スル
ホプロピル、3−(2−フリル)−3−スルホプロピ
ル、2−(2−チエニル)−2−スルホプロピルなどが
挙げられる。炭化水素芳香族基としてはスルホ基、リン
酸基、及またはカルボキシル基が置換したアリール基
(例えば、4−スルホフェニル、4−スルホナフチ
ル)、複素芳香族基としては、スルホ基、リン酸基、及
またはカルボキシル基が置換した複素環基(例えば、4
−スルホー2ーチエニル基、4−スルオー2ーピリジル
基)などが挙げられる。
【0176】さらに好ましくは、上述のスルホ基、リン
酸基、及またはカルボキシル基が置換した炭化水素芳香
族環、又は複素芳香族環を有するアルキル基であり、特
に好ましくは上述のスルホ基、リン酸基、及またはカル
ボキシル基が置換した炭化水素芳香族環を有するアルキ
ル基である。最も好ましくは、2−スルホベンジル、4
−スルホベンジル、4−スルホフェネチル、3−フェニ
ル−3−スルホプロピル、4−フェニル−4−スルホブ
チルである。
【0177】一般式(IV)、(V) 、(VI)、または(VII)
で表されるメチン色素が、一般式(III)中のD1 で表さ
れる発色団を表すとき、R17、R18、R19、R20
21、R 22,R23,R24,及びR25で表される置換基と
して好ましくは上述の無置換アルキル基、置換アルキル
基(例えば、カルボキシアルキル基、スルホアルキル
基、アラルキル基、アリーロキシアルキル基)である。
【0178】一般式(IV)、(V)、(VI)、または(VII)
で表されるメチン色素が、一般式(III)中のD2 で表さ
れる発色団を表すとき、R17、R18、R19、R20
21、R 22,R23,R24,及びR25で表される置換基と
して好ましくは、無置換アルキル基、置換アルキル基で
あり、さらに好ましくはアニオン性の置換基を持つアル
キル基(例えばカルボキシアルキル基、スルホアルキル
基)であり、さらに好ましくはスルホアルキル基であ
る。
【0179】L1 、L2 、L3 、L4 、L5 、L6 、L
7 、L8 、L9 、L10、L11、L12、L13、L14
15、L16、L17、L18、L19、L20、L21、L22、L
23、L24、L25、L26、L27、L28、L29、L30
31、L32、L33、L34、L35、L36、L37、L38、L
39、L40、L41、L42、L43、L44、L45、L46
47、L48、L49、L50、L51、L52、L53、L54、L
55、L56、L57、L58、L59、L60、L61、L62
63、L64、L65、L66、及びL67はそれぞれ独立にメ
チン基を表す。L1〜L67で表されるメチン基は置換基
を有していても良く、置換基としては前述のVが挙げら
れる。例えば置換又は無置換の炭素数1から15、好ま
しくは炭素数1から10、特に好ましくは炭素数1から
5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、2−カルボ
キシエチル)、置換または無置換の炭素数6から20、
好ましくは炭素数6から15、更に好ましくは炭素数6
から10のアリール基(例えばフェニル、o−カルボキ
シフェニル)、置換または無置換の炭素数3から20、
好ましくは炭素数4から15、更に好ましくは炭素数6
から10の複素環基(例えばN,N−ジメチルバルビツ
ール酸基)、ハロゲン原子、(例えば塩素、臭素、沃
素、フッ素)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1
から10、更に好ましくは炭素数1から5のアルコキシ
基(例えばメトキシ、エトキシ)、炭素数0から15、
好ましくは炭素数2から10、更に好ましくは炭素数4
から10のアミノ基(例えばメチルアミノ、N,N−ジ
メチルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−
メチルピペラジノ)、炭素数1から15、好ましくは炭
素数1から10、更に好ましくは炭素数1から5のアル
キルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ)、炭素数
6から20、好ましくは炭素数6から12、更に好まし
くは炭素数6から10のアリールチオ基(例えばフェニ
ルチオ、p−メチルフェニルチオ)などが挙げられる。
また他のメチン基と環を形成してもよく、もしくはZ1
〜Z25、R1〜R25と共に環を形成することもできる。
【0180】L1 、L2 、L3 、L4 、L5 、L6 、L
10、L11、L12、L13、L16、L17、L23、L24
25、L26、L30、L31、L32、L33、L36、L37、L
43、L44、L45、L46、L50、L51、L52、L53
56、L57、L63、及びL64として好ましくは、無置換
メチン基である。
【0181】n1 、n2 、n3 、n4 、n5 、n6 、n
7 、n8 、n9 、n10、n11、n 12、及びn13はそれぞ
れ独立に0、1、2、3または4を表す。好ましくは
0、1、2、3であり、更に好ましくは0、1、2であ
り、特に好ましくは0、1である。n1 、n2 、n3
4 、n5 、n6 、n7 、n8 、n9 、n10、n11、n
12、及びn13が2以上の時、メチン基が繰り返されるが
同一である必要はない。
【0182】p1 、p2 、p3 、p4 、p5 、p6 、p
7 、p8 、p9 、p10、p11、p12、p13、p14
15、及びp16はそれぞれ独立に0または1を表す。好
ましくは0である。
【0183】M1 、M2 、M3 、M4 、M5 、M6 、及
びM7 は色素のイオン電荷を中性にするために必要であ
るとき、陽イオン又は陰イオンの存在を示すために式の
中に含められている。典型的な陽イオンとしては水素イ
オン(H+)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウム
イオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ
土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機
陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウム
イオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチ
ルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピ
リジニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ[ 5.4.
0] −7−ウンデセニウムイオン)などの有機イオンが
挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イ
オンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例え
ばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換ア
リ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン
酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、ア
リ−ルジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンス
ルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオ
ン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキ
ル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオ
ン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフル
オロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、ト
リフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さら
に、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色
素を用いても良い。また、CO2 - 、SO3 - は、対イ
オンとして水素イオンを持つときはCO2 H、SO3
と表記することも可能である。
【0184】m1 、m2 、m3 、m4 、m5 、m6 、及
びm7 は電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表
し、好ましくは0〜4の数であり、さらに好ましくは0
〜1の数であり、分子内で塩を形成する場合には0であ
る。
【0185】次に、発明の実施の形態の説明で詳細に述
べた、特に好ましい技術で使われる色素の具体例だけを
以下に示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0186】
【化16】
【0187】
【化17】
【0188】
【化18】
【0189】
【化19】
【0190】
【化20】
【0191】
【化21】
【0192】
【化22】
【0193】
【化23】
【0194】本発明の色素は、エフ・エム・ハーマー
(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−
シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ
(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related C
ompounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(Joh
n Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、1
964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著
「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・ト
ピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(H
eterocyclic Compounds-Special topics in heterocycl
ic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から
515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wi
ley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、197
7年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コ
ンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」
2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369
から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・
カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Com
pany Inc.)社刊、ニューヨーク、及び上述した特許・文
献(具体例の説明のために引用したもの)などに記載の
方法に基づいて合成することができる。
【0195】本発明において、本発明の増感色素だけで
なく、本発明以外の他の増感色素を用いたり、併用して
も良い。用いられる色素として、好ましくはシアニン色
素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシ
アニン色素、4核メロシアニン色素、アロポーラー色
素、ヘミシアニン色素、スチリル色素などが挙げられ
る。さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色
素、ロダシアニン色素であり、特に好ましくはシアニン
色素である。これらの色素の詳細については、エフ・エ
ム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コ
ンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・
コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes a
nd Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド
・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、
ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.
M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズー
スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・
ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics
in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14
節、第482から515貢などに記載されている。好ま
しい色素としては、米国特許第5,994,051号第
32〜44頁記載、及び米国特許第5,747,236
号第30〜39頁記載の一般式、及び具体例で示された
増感色素が挙げられる。また、好ましいシアニン色素、
メロシアニン色素、ロダシアニン色素の一般式は、米国
特許第5、340、694号第21〜22欄の(X
I)、(XII)、(XIII)に示されているもの(ただ
し、n12 、n15 、n17 、n18 の数は限定せず、0以上の
整数(好ましくは4以下)とする。)が挙げられる。
【0196】これらの増感色素は1種用いても良いが、
2種以上用いても良く、増感色素の組み合わせは、特に
強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米
国特許2,688,545号、同2,977,229
号、同3,397,060号、同3,522,052
号、同3,527,641号、同3,617,293
号、同3,628,964号、同3,666,480
号、同3,672,898号、同3,679,428
号、同3,303,377号、同3,769,301
号、同3,814,609号、同3,837,862
号、同4,026,707号、英国特許1,344,2
81号、同1,507,803号、特公昭43−493
36号、同53−12375号、特開昭52−1106
18号、同52−109925号などに記載されてい
る。
【0197】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物
質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んで良
い。
【0198】本発明における分光増感において有用な強
色増感剤(例えば、ピリミジルアミノ化合物、トリアジ
ニルアミノ化合物、アゾリウム化合物、アミノスチリル
化合物、芳香族有機酸ホルムアルデヒド縮合物、アザイ
ンデン化合物、カドミウム塩)、及び強色増感剤と増感
色素の組み合わせは、例えば米国特許3,511,66
4号、同3,615,613号、同3,615,632
号、同3,615,641号、同4,596,767
号、同4,945,038号、同4,965,182
号、同4,965,182号、同2,933,390
号、同3,635,721号、同3,743,510
号、同3,617,295号、同3,635,721号
等に記載されており、その使用法に関しても上記の特許
に記載されている方法が好ましい。
【0199】本発明の増感色素(また、その他の増感色
素、強色増感剤についても同様)を本発明のハロゲン化
銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認
められている乳剤調製の如何なる工程中であってもよ
い。例えば、米国特許2,735,766号、同3,6
28,960号、同4,183,756号、同4,22
5,666号、特開昭58−184142号、同60−
196749号等に開示されているように、ハロゲン化
銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時期、脱塩工程
中及び/または脱塩後から化学熟成の開始前迄の時期、
特開昭58−113920号等に開示されているよう
に、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗
布迄の時期の乳剤が塗布される前なら如何なる時期、工
程に於いて添加されても良い。また、米国特許4,22
5,666号、特開昭58−7629号等に開示されて
いるように、同一化合物を単独で、または異種構造の化
合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟
成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成
の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して
添加しても良く、分割して添加する化合物及び化合物の
組み合わせの種類をも変えて添加されても良い。
【0200】本発明の増感色素(また、その他の増感色
素、強色増感剤についても同様)の添加量としては、ハ
ロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲ
ン化銀1モル当たり、1×10-6〜8×10-3モルで用
いることができる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが
0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀1モル当
たり、2×10-6〜3.5×10-3モルの添加量が好ま
しく、7.5×10-6〜1.5×10-3モルの添加量が
より好ましい。但し、前述したように本発明の増感色素
を多層吸着させる場合は、多層吸着するのに必要な量を
添加する。
【0201】本発明の増感色素(また、その他の増感色
素、強色増感剤についても同様)は、直接乳剤中へ分散
することができる。また、これらはまず適当な溶媒、例
えばメチルアルコール、エチルアルコール、メチルセロ
ソルブ、アセトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合
溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤中へ添加する
こともできる。この際、塩基や酸、界面活性剤などの添
加物を共存させることもできる。また、溶解に超音波を
使用することもできる。また、この化合物の添加方法と
しては米国特許第3,469,987号などに記載のご
とき、該化合物を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を
親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加
する方法、特公昭46−24185号などに記載のごと
き、水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添
加する方法、米国特許第3,822,135号に記載の
ごとき、界面活性剤に化合物を溶解し、該溶液を乳剤中
へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のご
とき、レッドシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶
液を乳剤中へ添加する方法、特開昭50−80826号
に記載のごとき、化合物を実質的に水を含まない酸に溶
解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが用いられ
る。その他、乳剤中への添加には米国特許第2,91
2,343号、同3,342,605号、同2,99
6,287号、同3,429,835号などに記載の方
法も用いられる。
【0202】本発明において、増感色素以外のハロゲン
化銀吸着性化合物(ハロゲン化銀粒子に吸着する写真性
有用化合物)としては、被り防止剤、安定化剤、造核剤
等が挙げられる。被り防止剤、安定化剤については、例
えばリサーチディスクロージャー誌(Research
Disclosure)176巻アイテム17643
(RD17643)、同187巻アイテム18716(RD18716)お
よび同308巻アイテム308119(RD308119)に記載
の化合物を用いることができる。また、造核剤として
は、例えば米国特許2,563,785、同2,58
8,982に記載されたヒドラジン類、米国特許3,2
27,552に記載されたヒドラジド類、ヒドラゾン
類、英国特許1,283,835、特開昭52−696
13、同55−138742号、同60−11837
号、同62−210451号、同62−291637
号、米国特許3,615,515、同3,719,49
4、同3,734,738、同4,094,683、同
4,115,122、同4306016、同44710
44等に記載された複素環4級塩化合物、米国特許3,
718,470に記載された、造核作用のある置換基を
色素分子中に有する増感色素、米国特許4,030,9
25、同4,031,127、同4,245,037、
同4,255,511、同4,266,013、同4,
276,364、英国特許2,012,443等に記載
されたチオ尿素結合型アシルヒドラジン系化合物、及び
米国特許4,080,270、同4,278,748、
英国特許2,011,391B等に記載されたチオアミ
ド環やトリアゾール、テトラゾール等のヘテロ環基を吸
着基として結合したシアルヒドラジン系化合物等が用い
られる。
【0203】本発明において好ましいハロゲン化銀吸着
性化合物は、チアゾールやベンゾトリアゾール等の含窒
素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物、チオエーテル化
合物、スルフィン酸化合物、チオスルフォン酸化合物、
チオアミド化合物、尿素化合物、セレノ尿素化合物およ
びチオ尿素化合物であり、特に好ましくは含窒素ヘテロ
環化合物、メルカプト化合物、チオエーテル化合物およ
びチオ尿素化合物であり、特に好ましくは含窒素ヘテロ
環化合物である。含窒素ヘテロ環化合物は一般式(VIII)
〜(XI)で表される含窒素ヘテロ環化合物が好ましい。
【0204】
【化24】
【0205】一般式(VIII)の化合物は、複素環中に(互
換異性しうる)イミノ基を含む含窒素複素環化合物であ
り、一般式(IX)の化合物は(互換異性しうる)メルカプ
ト基を含む含窒素複素環化合物であり、一般式(X)の化
合物は(互換異性しない)チオン基を含む含窒素複素環
化合物であり、一般式(XI)の化合物は四級アンモニウム
基を含む含窒素複素環化合物である。またこれらは適当
な塩の形であってもよい。式中、Q1、Q2、Q3、Q
4は含窒素複素環を表し、例えばイミダゾール環、ベン
ゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、チアゾール
環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、オキサ
ゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール
環、ベンゾセレナゾール環、トリアゾール環、ベンゾト
リアゾール環、テトラゾール環、アザインデン環(例え
ば、ジアザインデン環、トリアザインデン環、テトラザ
インデン環、ペンタザインデン環)、プリン環、チアジ
アゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール
環、インダゾール環、トリアジン環、ピラゾール環、ピ
リミジン環、ピリダジン環、キノリン環、ローダニン
環、チオヒダントイン環、オキサゾリジンジオン環、フ
タラジン環などを挙げることが出来る。これらの中で好
ましいのは、一般式(VIII)では、アザインデン環、(ベ
ンゾ)トリアゾール環、インダゾール環、トリアジン
環、プリン環、テトラゾール環などであり、一般式(IX)
では、テトラゾール環、トリアゾール環、(ベンゾ)イ
ミダゾール環、(ベンゾ)チアゾール環、(ベンゾ)オ
キサゾール環、チアジアゾール環、アザインデン環、ピ
リミジン環などであり、一般式(X) では、(ベンゾ)チ
アゾール環、(ベンゾ)イミダゾール環、(ベンゾ)オ
キサゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環などで
あり、一般式(XI)では、(ベンゾ、ナフト)チアゾール
環、(ベンゾ、ナフト)イミダゾール環、(ベンゾ、ナ
フト)オキサゾール環などである。上記の表示の「(ベ
ンゾ、ナフト)チアゾール環」は「チアゾール環、ベン
ゾチアゾール環またはナフトチアゾール環」(他の場合
も同様)を表すものとする。これらの複素環には、適当
な置換基を有してもよく、例えば、ヒドロキシル基、ア
ルキル基(メチル基、エチル基、ペンチル基など)、ア
ルケニル基(アリル基など)、アルキレン基(エチニル
基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基な
ど)、アラルキル基(ベンジル基など)、アミノ基、ヒ
ドロキシアミノ基、アルキルアミノ基(エチルアミノ基
など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基な
ど)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基など)、ア
シルアミノ基(アセチルアミノ基など)、アシル基(ア
セチル基など)、アルキルチオ基(メチルチオ基な
ど)、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシル基(エト
キシ基など)、アリーロキシ基(フェノキシ基など)、
アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基な
ど)、置換されてよいカルバモイル基、置換されてよい
スルファモイル基、置換されてよいウレイド基、シアノ
基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)、ニトロ
基、メルカプト基、複素環(ピリジル基など)などであ
る。また式中、Rは、アルキル基(メチル基、エチル
基、ヘキシル基など)、アルケニル基(アリル基、2−
ブテニル基など)、アルキレン基(エチニル基など)、
アリール基(フェニル基など)、アラルキル基(ベンジ
ル基など)などを表し、これらはさらに適切な置換基を
有してもよい。X- は、アニオン(例えば、ハロゲンイ
オンなどの無機アニオンやパラトルエンスルフォネート
などの有機アニオン)を表す。上記化合物の中で好まし
いのは、一般式(VIII)、(IX)、(XI)の化合物である。特
に好ましいのは一般式(VIII)の中では、ヒドロキシル基
を置換したテトラザインデン類(互換異性でイミノ基を
有しうる)である。一般式(IX)の中では、酸性基(カル
ボキシ基、スルホ基)を有するメルカプトテトラゾール
類である。一般式(XI)の中では、ベンゾチアゾール類で
ある。上記化合物の中で、一般式(VIII)と(IX)の化合物
は銀イオンと結合して銀塩を形成するが、その銀塩の室
温付近での水への溶解度積が、10-9〜10-20 、特に
5×10-10 〜10-18 である含窒素複素環化合物が好
ましい。
【0206】写真性有用化合物の添加時期は増感色素の
添加前であっても、添加終了後であっても、添加開始か
ら添加終了までの期間であっても構わないが、好ましく
は増感色素の添加前、および添加開始から終了までの期
間であり、さらに好ましくは増感色素の添加開始から終
了までの期間である。写真性有用化合物の添加量は、添
加剤の機能や乳剤種によって様々であるが、典型的には
5×10-5〜5 ×10-3mol/mol Agである。
【0207】次に、粒子に吸着性の写真性有用化合物の
具体例を示す。もちろん、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0208】
【化25】
【0209】
【化26】
【0210】
【化27】
【0211】
【化28】
【0212】本発明において感光機構をつかさどる写真
乳剤にはハロゲン化銀として臭化銀、ヨウ臭化銀、塩臭
化銀、ヨウ化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ臭塩化銀、塩化銀の
いずれを用いてもよいが、乳剤最外表面のハロゲン組成
が0.1mol%以上、さらに好ましくは1mol%以
上、特に好ましくは5mol%以上のヨードを含むこと
によりより強固な多層吸着構造が構築できる。粒子サイ
ズ分布は、広くても狭くてもいずれでもよいが、狭い方
がよりこのましい。写真乳剤のハロゲン化銀粒子は、立
方体、八面体、十四面体、斜方十二面体のような規則的
(regular)な結晶体を有するもの、また球状、板状な
どのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、
高次の面((hkl)面)をもつもの、あるいはこれら
の結晶形の粒子の混合からなってもよいが、好ましくは
平板状粒子であり、平板状粒子については下記に詳細に
記述する。高次の面を持つ粒子についてはJournal of I
maging Science誌、第30巻(1986年)の247頁
から254頁を参照することができる。また、本発明に
用いられるハロゲン化銀写真乳剤は、上記のハロゲン化
銀粒子を単独または複数混合して含有していても良い。
ハロゲン化銀粒子は、内部と表層が異なる相をもってい
ても、接合構造を有するような多相構造であっても、粒
子表面に局在相を有するものであっても、あるいは粒子
全体が均一な相から成っていても良い。またそれらが混
在していてもよい。これら各種の乳剤は潜像を主として
表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内
部潜像型のいずれでもよい。
【0213】本発明では、ハロゲン組成が塩化銀、臭化
銀、塩臭化銀、ヨウ臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀
の平板ハロゲン化銀粒子が好ましく使用される。平板粒
子は、(100)又は(111)かの主表面を持つもの
が好ましい。(111)主表面を有する平板粒子、以下
これを(111)平板と呼ぶ、は普通三角形か六角形の
面をもつ。一般的には分布がより均一になれば、より六
角形の面を持つ平板粒子の比率が高くなる。六角形の単
分散平板に関しては特公平5−61205に記載されて
いる。
【0214】(100)面を主表面に持つ平板状粒子、
以下(100)平板と呼ぶ、は長方形または正方形の形
も持つ。この乳剤においては針状粒子より、隣接辺比が
5:1未満の粒子が平板粒子と呼ばれる。塩化銀或いは
塩化銀を多く含む平板粒子ににおいては、(100)平
板粒子は本来(111)平板に比べて主表面の安定性が
高い。(111)平板の場合は、(111)主表面を安
定化させる事が必要であるが、それに関しては特開平9
−80660号、特開平9−80656号、米国特許第
5298388号に記載されている。
【0215】本発明において用いられる塩化銀或いは塩
化銀の含有率の高い(111)平板に関しては下記の特
許に開示されている。米国特許第4414306号、米
国特許第4400463号、米国特許第4713323
号、米国特許第4783398号、米国特許第4962
491号、米国特許第4983508号、米国特許第4
804621号、米国特許第5389509号、米国特
許第5217858号、米国特許第5460934号。
【0216】本発明に用いられる高臭化銀(111)平
板粒子に関しては下記の特許に記載されている。米国特
許第4425425号、米国特許第4425426号、
米国特許第443426号、米国特許第4439520
号、米国特許第4414310号、米国特許第4433
048号、米国特許第4647528号、米国特許第4
665012号、米国特許第4672027号、米国特
許第4678745号、米国特許第4684607号、
米国特許第4593964号、米国特許第472288
6号、米国特許第4722886号、米国特許第475
5617号、米国特許第4755456号、米国特許第
4806461号、米国特許第4801522、米国特
許第4835322号、米国特許第4839268号、
米国特許第4914014号、米国特許第496201
5号、米国特許第4977074号、米国特許第498
5350号、米国特許第5061609号、米国特許第
5061616号、米国特許第5068173号、米国
特許第5132203号、米国特許第5272048
号、米国特許第5334469号、米国特許第5334
495号、米国特許第5358840号、米国特許第5
372927号。
【0217】本発明に用いられる(100)平板に関し
ては、下記の特許に記載されている。 米国特許第43
86156号、米国特許第5275930号、米国特許
第5292632号、米国特許第5314798号、米
国特許第5320938号、米国特許第5319635
号、米国特許第5356764号、欧州特許第5699
71号、欧州特許第737887号、特開平6−308
648号、特開平9−5911号。
【0218】本発明に使用するハロゲン化銀乳剤は、本
発明に開示する増感色素を吸着せしめた、より表面積/
体積比の高い平板状ハロゲン化銀粒子が好ましく、アス
ペクト比は2以上(好ましくは、100以下)、好まし
くは5以上80以下、より好ましくは8以上80以下の
粒子が全ハロゲン化銀粒子の50%(面積)以上存在
し、平板状粒子の厚さは、0.2μm未満が好ましく、
より好ましくは0.1μm未満、更に好ましくは0.0
7μm未満である。この様な高アスペクト比で且つ薄い
平板粒子を調製する為に下記の技術が適用される。本発
明の平板粒子は粒子間の転位線量分布が均一であること
が望ましい。本発明の乳剤は1粒子当たり10本以上の
転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒子の100ないし
50%(個数)を占めることが好ましく、より好ましく
は100ないし70%を、特に好ましくは100ないし
90%を占める。
【0219】50%を下回ると粒子間の均質性の点で好
ましくない。
【0220】本発明において転位線を含む粒子の割合及
び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子
について転位線を直接観察して求めることが好ましく、
より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300
粒子以上について観察して求める。
【0221】本発明の乳剤の調製時に用いられる保護コ
ロイドとして、及びその他の親水性コロイド層のバイン
ターとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、そ
れ以外の親水性コロイドも用いることができる。例え
ば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフ
トポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒ
ドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導
体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;
ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセ
タール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル
酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あ
るいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用
いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン
のほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.
Photo.Japan.No.16.P30(196
6)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよ
く、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いる
ことができる。本発明の乳剤は脱塩のために水洗し、新
しく用意した保護コロイド分散にすることが好ましい。
水洗の温度は目的に応じて選べるが、5°C〜50℃の
範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて
選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好
ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAg も目的に応
じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗
の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、
遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選ん
で用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を
用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを
用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶ
ことができる。
【0222】本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、
脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在
させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする
場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感
剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加
することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子
のコアー部のみ、あるいはシェル部のみにドープする方
法も選べる。例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、
Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、I
r、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、P
b、Biを用いることができる。これらの金属はアンモ
ニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あ
るいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解さ
せることができる塩の形であれば添加できる。例えば、
CdBr2 、CdCl2 、Cd(NO3)2 、Pb
(NO3)2、Pb(CH3 COO)2 、K3 [Fe(C
N)6 ]、(NH4)4 [Fe(CN)6 ]、K3 IrC
5 、(NH4)3 RhCl6 、K4 Ru(CN)6 があ
げられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シ
アノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオ
ニトロシル、オキソ、カルボニルのなかから選ぶことが
できる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよい
が2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
【0223】金属化合物は水またはメタノール、アセト
ンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ま
しい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液
(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカ
リ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を
添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸
・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成
前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えること
もできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO3)ある
いはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、K
Br、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して
添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化
アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時
期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を
組み合せるのも好ましい。
【0224】米国特許第3,772,031号に記載さ
れているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加す
る方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシ
アン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン
酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0225】本発明のハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セ
レン増感、金増感、パラジウム増感又は貴金属増感、還
元増感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工程
の任意の工程で施こすことができる。2種以上の増感法
を組み合せることは好ましい。どの工程で化学増感する
かによって種々のタイプの乳剤を調製することができ
る。粒子の内部に化学増感核をうめ込むタイプ、粒子表
面から浅い位置にうめ込むタイプ、あるいは表面に化学
増感核を作るタイプがある。本発明の乳剤は目的に応じ
て化学増感核の場所を選ぶことができるが、一般に好ま
しいのは表面近傍に少なくとも一種の化学増感核を作っ
た場合である。本発明で好ましく実施しうる化学増感の
一つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せで
あり、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォ
トグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、
1977年、(T.H.James、The Theo
ry of the Photographic Pr
ocess,4th ed,Macmillan,19
77)67−76頁に記載されるように活性ゼラチンを
用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロ
ージャー、120巻、1974年4月、12008;リ
サーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6
月、13452、米国特許第2,642,361号、同
第3,297,446号、同第3,772,031号、
同第3,857,711、同第3,901,714号、
同第4,266,018号、および同第3,904,4
15号、並びに英国特許第1,315,755号に記載
されるようにpAg 5〜10、pH5〜8および温度30〜
80℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラ
ジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せ
とすることができる。貴金属増感においては、金、白
金、パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いること
ができ、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者
の併用が好ましい。金増感の場合には、塩化金酸、カリ
ウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネー
ト、硫化金、金セレナイドのような公知の化合物を用い
ることができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩
または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物
は、R2 PdX6 またはR2 PdX4 で表わされる。こ
こでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウ
ム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素ま
たは沃素原子を表わす。
【0226】具体的には、K2 PdCl4 、(NH4)2
PdCl6 、Na2 PdCl4 、(NH4)2 PdCl
4 、Li2 PdCl4 、Na2 PdCl6 またはK2
dBr 4 が好ましい。金化合物およびパラジウム化合物
はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用する
ことが好ましい。硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素
系化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,85
7,711号、同第4,266,018号および同第
4,054,457号に記載されている硫黄含有化合物
を用いることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下
に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤に
は、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンの
ごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を
増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学
増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038
号、同第3,411,914号、同第3,554,75
7号、特開昭58−126526号および前述ダフィン
著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されてい
る。本発明の乳剤は金増感を併用することが好ましい。
金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1
×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ましいのは
1×10-5〜5×10-7モルである。パラジウム化合物
の好ましい範囲は1×10-3から5×10-7である。チ
オシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の好ましい
範囲は5×10-2から1×10-6である。本発明のハロ
ゲン化銀粒子に対して使用する好ましい硫黄増感剤量は
ハロゲン化銀1モル当り1×10-4〜1×10-7モルで
あり、さらに好ましいのは1×10-5〜5×10-7モル
である。本発明の乳剤に対して好ましい増感法としてセ
レン増感がある。セレン増感においては、公知の不安定
セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレ
ニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレ
ノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケトン
類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いること
ができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増感あ
るいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場合が
ある。
【0227】本発明のハロゲン化銀乳剤を粒子形成中、
粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、ある
いは化学増感後に還元増感することは好ましい。ここ
で、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添
加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg 1〜7の低pAg の雰
囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれ
るpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるいは熟成させる
方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法
を併用することもできる。還元増感剤を添加する方法は
還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法
である。還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、アス
コルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン
類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、
シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明の還
元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いること
ができ、また2種以上の化合物を併用することもでき
る。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿素、
ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導
体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤
製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハ
ロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲が適当
である。還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコール
類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類の
ような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。あら
かじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の適当
な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩ある
いは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ還元
増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハロゲ
ン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に伴っ
て還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続し
て長時間添加するのも好ましい方法である。
【0228】本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸
化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、
金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する
化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および
化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子
を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここ
で生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化
銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよ
く、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよ
い。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物で
あってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾ
ン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2
・H22 ・3H2 O、2NaCO3 ・3H22 、N
427 ・2H22 、2Na2 SO4 ・H22
・2H2 O)、ペルオキシ酸塩(例えば、K22
8 、K226 、K228)、ペルオキシ錯体化合
物(例えば、K2 [Ti(O2)C24 ]・3H2 O、
4K2 SO4 ・Ti(O2)OH・SO4 ・2H2 O、N
3 [VO(O2)(C24)2 ]・6H2 O)、過マン
ガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、
2 Cr27)のような酸素酸塩、沃素や臭素のような
ハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素酸カリ
ウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第
二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩がある。
【0229】また、有機の酸化剤としては、p−キノン
のようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過
酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−
ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)
が例として挙げられる。
【0230】本発明の好ましい酸化剤は、オゾン、過酸
化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォ
ン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。
前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ま
しい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす
方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法
のなかから選んで用いることができる。これらの方法は
粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることが
できる。
【0231】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、前記の
ハロゲン化銀吸着性化合物以外の化合物をも含有させる
ことができる。かぶり防止剤および安定化剤は粒子形成
前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散
時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のい
ろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳
剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果
を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズ
を小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を
制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いるこ
とができる。
【0232】本発明で得られるハロゲン化銀乳剤を用い
て製造される感光材料は、支持体上に青感色性層、緑感
色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層の少なくとも
1層が設けられていればよく、ハロゲン化銀乳剤層およ
び非感光性層の層数および層順に特に制限はない。典型
的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じで
あるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成
る感色性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感
光材料であり、該感光性層は青色光、緑色光、および赤
色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多
層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に
単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、
緑感色性層、青感色性層の順に設置される。しかし、目
的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性
層中に異なる感光性層が挾まれたような設置順をもとり
得る。
【0233】上記のハロゲン化銀感光性層の間および最
上層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設けて
もよい。
【0234】該中間層には、特開昭61−43748
号、同59−113438号、同59−113440
号、同61−20037号、同61−20038号に記
載されるようなカプラー、DIR化合物が含まれていて
もよく、通常用いられるように混色防止剤を含んでいて
もよい。
【0235】各単位感光性層を構成する複数のハロゲン
化銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号あるい
は英国特許第923,045号に記載されるように高感
度乳剤層、低感度乳剤層の2層構成を好ましく用いるこ
とができる。通常は、支持体に向かって順次感光度が低
くなる様に配列するのが好ましく、また各ハロゲン乳剤
層の間には非感光性層が設けられていてもよい。また、
特開昭57−112751号、同62−200350
号、同62−206541号、同62−206543号
に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳
剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよ
い。
【0236】具体例として支持体から最も遠い側から、
例えば低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層
(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性
層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光
性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/R
H/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/
RHの順等に設置することができる。
【0237】また特公昭55−34932号公報に記載
されているように、支持体から最も遠い側から青感光性
層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもでき
る。また特開昭56−25738号、同62−6393
6号明細書に記載されているように、支持体から最も遠
い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に設
置することもできる。
【0238】また特公昭49−15495号に記載され
ているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤
層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤
層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳
剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められ
た感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられ
る。このような感光度の異なる3層から構成される場合
でも、特開昭59−202464号に記載されているよ
うに、同一感色性層中において支持体より離れた側から
中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置
されてもよい。
【0239】その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中
感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高
感度乳剤層などの順に配置されていてもよい。
【0240】また、4層以上の場合にも、上記の如く配
列を変えてよい。
【0241】上記のように、それぞれの感光材料の目的
に応じて種々の層構成、配列を選択することができる。
【0242】本発明に関する感光材料には、前記の種々
の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種
々の添加剤を用いることができる。
【0243】これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ
・ディスクロージャー Item17643(1978
年12月)、同 Item 18716(1979年1
1月)および同 Item 308119(1989年
12月)に記載されており、その該当個所を後掲の表に
まとめて示した。
【0244】 添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119 1 化学増感剤 23頁 648 頁右欄 996 頁 2 感度上昇剤 同 上 3 分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄〜 996 右〜998 右 強色増感剤 649 頁右欄 4 増 白 剤 24頁 647 頁右欄 998 右 5 かぶり防止剤、 24〜25頁 649 頁右欄 998 右〜1000右 および安定剤 6 光吸収剤、 25〜26頁 649 頁右欄〜 1003左〜1003右 フィルター染料、 650 頁左欄 紫外線吸収剤 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650 左〜右欄 1002右 8 色素画像安定剤 25頁 1002右 9 硬 膜 剤 26頁 651 頁左欄 1004右〜1005左 10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650 頁右欄 1006左〜1006右 12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左 表面活性剤 13 スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左 防 止 剤 14 マット剤 1008左〜1009左 また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防
止するために、米国特許4,411,987号や同第
4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと
反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加するこ
とが好ましい。
【0245】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスク
ロージャーNo.17643、VII −C〜G、および同N
o.307105、VII −C〜Gに記載された特許に記
載されている。
【0246】イエローカプラーとしては、例えば米国特
許第3,933,501号、同第4,022,620
号、同第4,326,024号、同第4,401,75
2号、同第4,248,961号、特公昭58−107
39号、英国特許第1,425,020号、同第1,4
76,760号、米国特許第3,973,968号、同
第4,314,023号、同第4,511,649号、
欧州特許第249,473A号、等に記載のものが好ま
しい。
【0247】マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン
系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特
許第4,310,619号、同第4,351,897
号、欧州特許第73,636号、米国特許第3,06
1,432号、同第3,725,067号、リサーチ・
ディスクロージャーNo.24220(1984年6
月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディスク
ロージャーNo.24230(1984年6月)、特開昭
60−43659号、同61−72238号、同60−
35730号、同55−118034号、同60−18
5951号、米国特許第4,500,630号、同第
4,540,654号、同第4,556,630号、国
際公開WO88/04795号に記載のものが特に好ま
しい。
【0248】シアンカプラーとしては、フェノール系及
びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,0
52,212号、同第4,146,396号、同第4,
228,233号、同第4,296,200号、同第
2,369,929号、同第2,801,171号、同
第2,772,162号、同第2,895,826号、
同第3,772,002号、同第3,758,308
号、同第4,334,011号、同第4,327,17
3号、西独特許公開第3,329,729号、欧州特許
第121,365A号、同第249,453A号、米国
特許第3,446,622号、同第4,333,999
号、同第4,775,616号、同第4,451,55
9号、同第4,427,767号、同第4,690,8
89号、同第4,254,212号、同第4,296,
199号、特開昭61−42658号等に記載のものが
好ましい。
【0249】ポリマー化された色素形成カプラーの典型
例は、米国特許第3,451,820号、同第4,08
0,211号、同第4,367,282号、同第4,4
09,320号、同第4,576,910号、英国特許
第2,102,137号、欧州特許第341,188A
号に記載されている。
【0250】発色色素が適度な拡散性を有するカプラー
としては、米国特許第4,366,237号、英国特許
第2,125,570号、欧州特許第96,570号、
西独特許(公開)第3,234,533号に記載のもの
が好ましい。
【0251】発色色素の不要吸収を補正するためのカラ
ード・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo.
17643のVII −G項、同No.307105のVII −
G項、米国特許第4,163,670号、特公昭57−
39413号、米国特許第4,004,929号、同第
4,138,258号、英国特許第1,146,368
号に記載のものが好ましい。また、米国特許第4,77
4,181号に記載のカップリング時に放出された蛍光
色素により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや、
米国特許第4,777,120号に記載の現像主薬と反
応して色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基と
して有するカプラーを用いることも好ましい。
【0252】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出する化合物もまた本発明で好ましく使用できる。
現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のRD1
7643、VII −F項及び同No.307105、VII −
F項に記載された特許、特開昭57−151944号、
同57−154234号、同60−184248号、同
63−37346号、同63−37350号、米国特許
第4,248,962号、同第4,782,012号に
記載されたものが好ましい。
【0253】現像時に画像状に造核剤もしくは現像促進
剤を放出するカプラーとしては、英国特許第2,09
7,140号、同第2,131,188号、特開昭59
−157638号、同59−170840号に記載のも
のが好ましい。また、特開昭60−107029号、同
60−252340号、特開平1−44940号、同1
−45687号に記載の現像主薬の酸化体との酸化還元
反応により、かぶらせ剤、現像促進剤、ハロゲン化銀溶
剤等を放出する化合物も好ましい。
【0254】その他、本発明の感光材料に用いることの
できる化合物としては、米国特許第4,130,427
号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,4
72号、同第4,338,393号、同第4,310,
618号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−18
5950号、特開昭62−24252号等に記載のDI
Rレドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出
カプラー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしく
はDIRレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第
173,302A号、同第313,308A号に記載の
離脱後復色する色素を放出するカプラー、RD.No.1
1449、同24241、特開昭61−201247号
等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米国特許第4,5
55,477号等に記載のリガンド放出カプラー、特開
昭63−75747号に記載のロイコ色素を放出するカ
プラー、米国特許第4,774,181号に記載の蛍光
色素を放出するカプラーが挙げられる。
【0255】本発明に使用するカプラーは、種々の公知
の分散方法により感光材料に導入できる。水中油滴分散
法に用いられる高沸点溶媒の例は、例えば、米国特許第
2,322,027号に記載されている。水中油滴分散
法に用いられる常圧での沸点が175℃以上の高沸点有
機溶剤の具体例としては、フタル酸エステル類(例え
ば、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレー
ト、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレ
ート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)
フタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェ
ニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピ
ル)フタレート);リン酸またはホスホン酸のエステル
類(例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェ
ート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エ
チルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェー
ト、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロプロ
ピルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホ
スホネート);安息香酸エステル類(例えば、2−エチ
ルヘキシルベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−
エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート);アミ
ド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,
N−ジエチルラウリルアミド、N−テトラデシルピロリ
ドン);アルコール類またはフェノール類(例えば、イ
ソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミ
ルフェノール);脂肪族カルボン酸エステル類(例え
ば、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチ
ルアゼレート、グリセロールトリブチレート、イソステ
アリルラクテート、トリオクチルシトレート);アニリ
ン誘導体(例えば、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−
5−tert−オクチルアニリン);炭化水素類(例え
ば、パラフィン、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナ
フタレン)を例示することができる。また補助溶剤とし
ては、例えば、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃
以上かつ約160℃以下の有機溶剤が使用でき、典型例
としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオ
ン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、
2−エトキシエチルアセテート、ジメチルホルムアミド
が挙げられる。
【0256】ラテックス分散法の工程、効果および含浸
用ラテックスの具体例は、例えば、米国特許第4,19
9,363号、西独特許出願(OLS)第2,541,
274号および、同第2,541,230号に記載され
ている。
【0257】本発明のカラー感光材料中には、フェネチ
ルアルコールや特開昭63−257747号、同62−
272248号、および特開平1−80941号に記載
の、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オ
ン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノ
ール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−
フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンゾ
イミダゾールのような各種の防腐剤もしくは防黴剤を添
加することが好ましい。
【0258】本発明は種々のカラー感光材料に適用する
ことができる。例えば、一般用もしくは映画用のカラー
ネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反
転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムおよ
びカラー反転ペーパーを代表例として挙げることができ
る。本発明は、カラーデュープ用フィルムにも特に好ま
しく使用できる。
【0259】本発明に使用できる適当な支持体は、例え
ば、前述のRD.No.17643の28頁、同No.
18716の647頁右欄から648頁左欄、および同
No.307105の879頁に記載されている。
【0260】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下である
ことが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μ
m以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。
また膜膨潤速度T1/2 が30秒以下が好ましく、2
0秒以下がより好ましい。ここでの膜厚は、25℃相対
湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味する。
また、膜膨潤速度T1/2 は当該技術分野において公
知の手法に従って測定することができ、例えばエー・グ
リーン(A.Green)らによりフォトグラフィック
・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photo
gr.Sci.Eng.)、19巻、2号、124〜1
29頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用す
ることにより測定できる。なお、T1/2 は発色現像
液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤
膜厚の90%を飽和膜厚とし、飽和膜厚の1/2に到達
するまでの時間と定義する。
【0261】膜膨潤速度T1/2 は、バインダーとし
てのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の
経時条件を変えることによって調整することができる。
【0262】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性
コロイド層(バック層と称す)を設けることが好まし
い。このバック層には、例えば、前述の光吸収剤、フィ
ルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜
剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性
剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率
は150〜500%が好ましい。
【0263】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD.No.17643の28〜29頁、同No.
18716の651頁左欄〜右欄、および同No.30
7105の880〜881頁に記載された通常の方法に
よって現像処理することができる。
【0264】本発明の感光材料の現像処理に用いる発色
現像液は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主
薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現
像主薬としては、アミノフェノール系化合物も有用であ
るが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用
され、その代表例としては3−メチル−4−アミノ−
N,Nジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メ
チル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホ
ンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−β−メトキシエチルアニリン、及びこれらの
硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩など
が挙げられる。これらの中で、特に、3−メチル−4−
アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリ
ンの硫酸塩が好ましい。これらの化合物は目的に応じ2
種以上併用することもできる。
【0265】発色現像液は、例えば、アルカリ金属の炭
酸塩、ホウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、
塩化物塩、臭化物塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール
類、ベンゾチアゾール類もしくはメルカプト化合物のよ
うな現像抑制剤またはかぶり防止剤を含むのが一般的で
ある。また必要に応じて、ヒドロキシルアミン、ジエチ
ルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、N,N−ビスカルボ
キシメチルヒドラジンの如きヒドラジン類、フェニルセ
ミカルバジド類、トリエタノールアミン、カテコールス
ルホン酸類の如き各種保恒剤;エチレングリコール、ジ
エチレングリコールのような有機溶剤;ベンジルアルコ
ール、ポリエチレングリコール、四級アンモニウム塩、
アミン類のような現像促進剤;色素形成カプラー、競争
カプラー、1−フェニル−3−ピラゾリドンのような補
助現像主薬;粘性付与剤;アミノポリカルボン酸、アミ
ノポリホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカル
ボン酸に代表されるような各種キレート剤を用いること
ができる。キレート剤としては、例えば、エチレンジア
ミン四酢酸、ニトリル三酢酸、ジエチレントリアミン五
酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチ
ルイミノジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−
ジホスホン酸、ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホ
スホン酸、エチレンジアミン−N,N,N,N−テトラ
メチレンホスホン酸、エチレンジアミン−ジ(o−ヒド
ロキシフェニル酢酸)及びそれらの塩を代表例として挙
げることができる。
【0266】また、反転処理を実施する場合は、通常黒
白現像を行なってから発色現像する。この黒白現像液に
は、例えば、ハイドロキノンのようなジヒドロキシベン
ゼン類、例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドンのよ
うな3−ピラゾリドン類、または例えば、N−メチル−
p−アミノフェノールのようなアミノフェノール類の公
知の黒白現像主薬を単独であるいは組み合わせて用いる
ことができる。これらの発色現像液及び黒白現像液のp
Hは、9〜12であることが一般的である。また、これ
らの現像液の補充量は、処理するカラー写真感光材料に
もよるが、一般に感光材料1平方メートル当たり3リッ
トル以下であり、補充液中の臭化物イオン濃度を低減さ
せておくことにより500ml以下にすることもでき
る。補充量を低減する場合には、処理液の空気との接触
面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防
止することが好ましい。
【0267】処理槽での写真処理液と空気との接触面積
は、以下に定義する開口率で表わすことができる。即
ち、 開口率=[処理液と空気との接触面積(cm2 )]÷[処
理液の容量(cm3 )] 上記の開口率は0.1以下であることが好ましく、より
好ましくは0.001〜0.05である。このように開
口率を低減させる方法としては、処理槽の写真処理液面
に、例えば浮き蓋のような遮蔽物を設ける方法に加え
て、特開平1−82033号に記載された可動蓋を用い
る方法、特開昭63−216050号に記載されたスリ
ット現像処理方法を挙げることができる。開口率を低減
させることは、発色現像及び黒白現像の両工程のみなら
ず、後続の諸工程、例えば、漂白、漂白定着、定着、水
洗、安定化の全ての工程において適用することが好まし
い。また、現像液中の臭化物イオンの蓄積を抑える手段
を用いることにより、補充量を低減することもできる。
【0268】発色現像処理の時間は通常2〜5分の間で
設定されるが、高温高pHとし、かつ発色現像主薬を高
濃度に使用することにより、更に処理時間の短縮を図る
こともできる。
【0269】発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理さ
れる。漂白処理は定着処理と同時に行なわれてもよいし
(漂白定着処理)、個別に行なわれてもよい。更に処理
の迅速化を図るため、漂白処理後に漂白定着処理する処
理方法でもよい。さらに、二槽の連続した漂白定着浴で
処理すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、
又は漂白定着処理後に漂白処理することも目的に応じ任
意に実施できる。漂白剤としては、例えば、鉄(III)の
ような多価金属の化合物、過酸類(特に、過硫酸ソーダ
は映画用カラーネガフィルムに適する)、キノン類、ニ
トロ化合物が用いられる。代表的漂白剤としては、鉄
(III)の有機錯塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸、
ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン
四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパ
ン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸のような
アミノポリカルボン酸類との錯塩、または、例えば、ク
エン酸、酒石酸、リンゴ酸との錯塩を用いることができ
る。これらのうち、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯
塩、及び1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)錯塩
をはじめとするアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩は、
迅速処理と環境汚染防止の観点から好ましい。さらに、
アミノボリカルボン酸鉄(III)錯塩は、漂白液において
も、漂白定着液においても特に有用である。これらのア
ミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩を用いた漂白液又は漂
白定着液のpHは通常4.0〜8であるが、処理の迅速
化のためにさらに低いpHで処理することもできる。
【0270】漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる:例えば、米国特許第3,893,858号、西独
特許第1,290,812号、同第2,059,988
号、特開昭53−32736号、同53−57831
号、同53−37418号、同53−72623号、同
53−95630号、同53−95631号、同53−
104232号、同53−124424号、同53−1
41623号、同53−18426号、リサーチ・ディ
スクロージャーNo.17129号(1978号7月)
に記載のメルカプト基またはジスルフィド基を有する化
合物;特開昭51−140129号に記載のチアゾリジ
ン誘導体;特公昭45−8506号、特開昭52−20
832号、同53−32735号、米国特許第3,70
6,561号に記載のチオ尿素誘導体、西独特許第1,
127,715号、特開昭58−16235号に記載の
沃化物塩;西独特許第966,410号、同第2,74
8,430号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特
公昭45−8836号に記載のポリアミン化合物;その
他特開昭49−40943号、同49−59644号、
同53−94927号、同54−35727号、同55
−26506号、同58−163940号記載の化合
物;臭化物イオン等が使用できる。なかでも、メルカプ
ト基またはジスルフィド基を有する化合物が促進効果が
大きい観点で好ましく、特に米国特許第3,893,8
58号、西独特許第1,290,812号、特開昭53
−95630号に記載の化合物が好ましい。更に、米国
特許第4,552,884号に記載の化合物も好まし
い。これらの漂白促進剤は感材中に添加してもよい。撮
影用のカラー感光材料を漂白定着するときに、これらの
漂白促進剤は特に有効である。
【0271】漂白液や漂白定着液には上記の化合物の他
に、漂白ステインを防止する目的で有機酸を含有させる
ことが好ましい。特に好ましい有機酸は、酸解離定数
(pKa)が2〜5である化合物で、具体的には、例え
ば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸を挙げること
ができる。
【0272】定着液や漂白定着液に用いられる定着剤と
しては、例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエ
ーテル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物塩を挙げる
ことができる。このなかではチオ硫酸塩の使用が一般的
であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用で
きる。また、チオ硫酸塩と、例えば、チオシアン酸塩、
チオエーテル系化合物、チオ尿素の併用も好ましい。定
着液や漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫
酸塩、カルボニル重亜硫酸付加物あるいは欧州特許第2
94,769A号に記載のスルフィン酸化合物が好まし
い。更に、定着液や漂白定着液には、液の安定化の目的
で、各種アミノポリカルボン酸類や有機ホスホン酸類の
添加が好ましい。
【0273】本発明において、定着液または漂白定着液
には、pH調整のためにpKaが6.0〜9.0の化合
物、好ましくはイミダゾール、1−メチルイミダゾー
ル、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール
の如きイミダゾール類を0.1〜10モル/リットル添
加することが好ましい。
【0274】脱銀工程の時間の合計は、脱銀不良が生じ
ない範囲で短い方が好ましい。好ましい時間は1分〜3
分、更に好ましくは1分〜2分である。また、処理温度
は25℃〜50℃、好ましくは35℃〜45℃である。
好ましい温度範囲においては脱銀速度が向上し、かつ処
理後のステイン発生が有効に防止される。
【0275】脱銀工程においては、撹拌ができるだけ強
化されていることが好ましい。撹拌強化の具体的な方法
としては、特開昭62−183460号に記載の感光材
料の乳剤面に処理液の噴流を衝突させる方法や、特開昭
62−183461号に回転手段を用いて撹拌効果を上
げる方法が挙げられる。更には、液中に設けられたワイ
パーブレードと乳剤面を接触させながら感光材料を移動
させ、乳剤表面を乱流化することによってより撹拌効果
を向上させる方法や、処理液全体の循環流量を増加させ
る方法が挙げられる。このような撹拌向上手段は、漂白
液、漂白定着液、定着液のいずれにおいても有効であ
る。撹拌の向上は、乳剤膜中への漂白剤および、定着剤
の供給を速め、結果として脱銀速度を高めるものと考え
られる。また、前記の撹拌向上手段は漂白促進剤を使用
した場合により有効であり、促進効果を著しく増加させ
たり、漂白促進剤により定着阻害作用を解消させること
ができる。
【0276】本発明の感光材料の現像に用いられる自動
現像機は、特開昭60−191257号、同60−19
1258号、同60−191259号に記載の感光材料
搬送手段を有していることが好ましい。前記の特開昭6
0−191257号に記載のとおり、このような搬送手
段は前浴から後浴への処理液の持込みを著しく削減で
き、処理液の性能劣化を防止する効果が高い。このよう
な効果は、各工程における処理時間の短縮や処理液補充
量の低減に特に有効である。
【0277】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一
般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性
(例えば、カプラーのような使用素材による)、用途、
更には、例えば、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、
向流、順流のような補充方式、その他種々の条件に応じ
て広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式におけ
る水洗タンク数と水量の関係は、Journal of
the Society of Motion Pi
cture and Television Engi
neers 第64巻、P.248〜253(1955
年5月号)に記載の方法で求めることができる。
【0278】前記文献に記載の多段向流方式によれば、
水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の
滞留時間の増加によりバクテリアが繁殖し、生成した浮
遊物が感光材料に付着するというような問題が生じる。
本発明のカラー感光材料の処理おいては、このような問
題の解決策として、特開昭62−288838号に記載
のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる
方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭
57−8542号に記載の、例えば、イソチアゾロン化
合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸
ナトリウムのような塩素系殺菌剤、その他、例えば、ベ
ンゾトリアゾールのような、堀口博著「防菌防黴剤の化
学」(1986年)三共出版、衛生技術会編「微生物の
滅菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日
本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に
記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0279】本発明の感光材料の処理おける水洗水のp
Hは、4〜9、好ましくは5〜8である。水洗水温およ
び水洗時間も、例えば感光材料の特性、用途に応じて種
々設定し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜1
0分、好ましくは25〜40℃で30秒〜5分の範囲が
選択される。更に、本発明の感光材料は、上記水洗に代
えて、直接安定液によって処理することもできる。この
ような安定化処理においては、特開昭57−8543
号、同58−14834号、同60−220345号に
記載の公知の方法はすべて用いることができる。
【0280】また、前記水洗処理に続いて、更に安定化
処理する場合もある。その例として、撮影用カラー感光
材料の最終浴として使用される、色素安定化剤と界面活
性剤を含有する安定浴を挙げることができる。色素安定
化剤としては、例えば、ホルマリンやグルタルアルデヒ
ドのようなアルデヒド類、N−メチロール化合物、ヘキ
サメチレンテトラミンあるいはアルデヒド亜硫酸酸付加
物を挙げることができる。この安定浴にも、各種キレー
ト剤や防黴剤を加えることができる。
【0281】上記水洗及び/又は安定液の補充に伴うオ
ーバーフロー液は脱銀工程のような他の工程において再
利用することもできる。
【0282】例えば自動現像機を用いた処理において、
上記の各処理液が蒸発により濃縮化する場合には、水を
加えて濃縮補正することが好ましい。
【0283】本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料
には、処理の簡略化及び迅速化の目的で発色現像主薬を
内蔵させても良い。内蔵させるためには、発色現像主薬
の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例えば、米
国特許第3,342,597号記載のインドアニリン系
化合物、例えば、同第3,342,599号、リサーチ
・ディスクロージャーNo.14,850及び同No.
15,159に記載のシッフ塩基型化合物、同No.1
3,924に記載のアルドール化合物、米国特許第3,
719,492号に記載の金属塩錯体、特開昭53−1
35628号に記載のウレタン系化合物を挙げることが
できる。
【0284】本発明のハロゲン化銀カラー感光材料は、
必要に応じて、発色現像を促進する目的で、各種の1−
フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵しても良い。典型
的な化合物は、例えば、特開昭56−64339号、同
57−144547号、および同58−115438号
に記載されている。
【0285】本発明における各種処理液は、10℃〜5
0℃において使用される。通常は33℃〜38℃の温度
が標準的であるが、より高温にして処理を促進し処理時
間を短縮したり、逆により低温にして画質の向上や処理
液の安定性の改良を達成することができる。
【0286】また、本発明のハロゲン化銀感光材料は、
米国特許第4,500,626号、特開昭60−133
449号、同59−218443号、同61−2380
56号、欧州特許第210,660A2号などに記載さ
れている熱現像感光材料にも適用できる。
【0287】また、本発明のハロゲン化銀カラー写真感
光材料は、特公平2−32615号、実公平3−397
84号などに記載されているレンズ付きフィルムユニッ
トに適用した場合に、より効果を発現しやすく有効であ
る。
【0288】本発明は拡散転写感材にも好ましく用いる
ことが出来る。拡散転写感材の最も代表的な形態はカラ
ー拡散転写フィルム・ユニットであり、そしてその代表
的な形態は、一つの透明な支持体上に受像要素と感光要
素とが積層されており、転写画像の完成後、感光要素を
受像要素から剥離する必要のない形態である。更に具体
的に述べると、受像要素は少なくとも1層の媒染層から
なり、又感光要素の好ましい態様に於いては青感性乳剤
層、緑感性乳剤層及び赤感性乳剤層の組合せ、又は緑感
性乳剤層、赤感性乳剤層及び赤外光感光性乳剤層の組合
せ、或いは青感性乳剤層、赤感性乳剤層及び赤外光感光
性乳剤層の組合せと、前記の各乳剤層にイエロー色素像
形成化合物、マゼンタ色素像形成化合物及びシアン色素
像形成化合物がそれぞれ組合わされて構成される(ここ
で「赤外光感光性乳剤層」とは700nm以上、特に74
0nm以上の光に対して分光感度極大を持つ乳剤層をい
う)。そして、該媒染層と感光層あるいは色素像形成化
合物含有層の間には、透明支持体を通して転写画像が観
賞できるように、酸化チタン等の固体顔料を含む白色反
射層が設けられる。
【0289】明所で現像処理を完成できるようにするた
めに白色反射層と感光層の間に更に遮光層を設けてもよ
い。又、所望により感光要素の全部又は一部を受像要素
から剥離できるようにするために適当な位置に剥離層を
設けてもよい。このような態様は、例えば特開昭56−
67840号やカナダ特許674,082号に記載され
ている。
【0290】また積層型であって剥離する別の態様とし
て特開昭63−226649号に記載の白色支持体上
に、少なくとも(a)中和機能を有する層、(b)染料
受像層、(c)剥離層、(d)色素像形成化合物と組合
わされた少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層を順次有
する感光要素、遮光剤を含むアルカリ処理組成物、及び
透明カバーシートから成り、該乳剤層の該処理組成物を
展開する側と反対側に遮光機能をもつ層を有することを
特徴とするカラー拡散転写写真フィルムユニットがあ
る。
【0291】また、別の剥離不要の形態では、一つの透
明支持体上に前記の感光要素が塗設され、その上に白色
反射層が塗設され、更にその上に受像層が積層される。
同一支持体上に受像要素と白色反射層と剥離層と感光要
素とが積層されており、感光要素を受像要素から意図的
に剥離する態様については、米国特許3,730,71
8号に記載されている。
【0292】他方、二つの支持体上にそれぞれ感光要素
と受像要素が別個に塗設される代表的な形態には大別し
て二つあり、一つは剥離型であり、他は剥離不要型であ
る。これらについて詳しく説明すると、剥離型フィルム
・ユニットの好ましい態様では、一つの支持体上に少な
くとも1層の受像層が塗設されており、又感光要素は遮
光層を有する支持体上に塗設されていて、露光終了前は
感光層塗布面と媒染層塗布面は向き合っていないが露光
終了後(例えば現像処理中)は感光層塗布面が画像形成
装置内で反転して受像層塗布面と互いに接するように工
夫されている。媒染層で転写画像が完成した後は速やか
に感光要素が受像要素から剥離される。
【0293】また、剥離不要型フィルム・ユニットの好
ましい態様では、透明支持体上に少なくとも1層の媒染
層が塗設されており、又透明又は遮光層を有する支持体
上に感光要素が塗設されていて、感光層塗布面と媒染層
塗布面とが向き合って重ね合わされている。
【0294】以上述べた形態に更にアルカリ性処理液を
含有する、圧力で破裂可能な容器(処理要素)を組合わ
せてもよい。なかでも一つの支持体上に受像要素と感光
要素が積層された剥離不要型フィルム・ユニットではこ
の処理要素は感光要素とこの上に重ねられるカバーシー
トの間に配置されるのが好ましい。又、二つの支持体上
にそれぞれ感光要素と受像要素が別個に塗設された形態
では、遅くとも現像処理時に処理要素が感光要素と受像
要素の間に配置されるのが好ましい。処理要素には、フ
ィルム・ユニットの形態に応じて遮光剤(カーボン・ブ
ラックやpHによって色が変化する染料等)及び白色顔
料(酸化チタン等)のいずれか又は両方を含むのが好ま
しい。更にカラー拡散転写方式のフィルム・ユニットで
は、中和層と中和タイミング層の組合せからなる中和タ
イミング機構がカバーシート中、又は受像要素中、ある
いは感光要素中に組み込まれているのが好ましい。
【0295】本発明に用いられる色素像形成物質は、銀
現像に関連して拡散性色素(色素プレカーサーでもよ
い)を放出する非拡散性化合物であるか、あるいはそれ
自体の拡散性が変化するものであり、「写真プロセスの
理論」(The Theory of the Photographic Process)第4
版に記載されている。これらの化合物は、いずれも下記
一般式(XII) で表すことができる。 一般式(XII) (DYE−Y)n −Z {DYEは色素基、一時的に短波化された色素基又は色
素前駆体基を表し、Yは単なる結合又は連結基を表し、
Zは銀現像に関連して(具体的には、画像状に潜像を有
する感光性銀塩に対応又は逆対応して)(DYE−Y)
n −Zで表される化合物の拡散性に差を生じさせるか、
又は、DYEを放出し、放出されたDYEと(DYE−
Y)n −Zとの間に拡散性において差を生じさせるよう
な性質を有する基を表し、nは1又は2を表し、nが2
の時、2つのDYE−Yは同一でも異なっていてもよ
い。} このZの機能により、銀現像部で拡散性となるネガ型化
合物と未現像部で拡散性となるポジ型化合物とに大別さ
れる。ネガ型のZの具体例としては、現像の結果酸化
し、開裂して拡散性色素を放出するものがあげられる。
Zの具体例は米国特許3,928,312号、同3,9
93,638号、同4,076,529号、同4,15
2,153号、同4,055,428号、同4,05
3,312号、同4,198,235号、同4,17
9,291号、同4,149,892号、同3,84
4,785号、同3,443,943号、同3,75
1,406号、同3,443,939号、同3,44
3,940号、同3,628,952号、同3,98
0,479号、同4,183,753号、同4,14
2,891号、同4,278,750号、同4,13
9,379号、同4,218,368号、同3,42
1,964号、同4,199,355号、同4,19
9,354号、同4,135,929号、同4,33
6,322号、同4,139,389号、特開昭53−
50736号、同51−104343号、同54−13
0122号、同53−110827号、同56−126
42号、同56−16131号、同57−4043号、
同57−650号、同57−20735号、同53−6
9033号、同54−130927号、同56−164
342号、同57−119345等に記載されている。
ネガ型の色素放出レドックス化合物のZのうち、特に好
ましい基としてはN−置換スルファモイル基(N−置換
基としては芳香族炭化水素環やヘテロ環から誘導される
基)を挙げることができる。このZの代表的な基を以下
に例示するが、これらのみに限定されるものではない。
【0296】
【化29】
【0297】ポジ型の化合物についはて、アンゲバンテ
・ヘミ・インターナショナル・エデション・インイング
リッシュ(Angev.Chem.Int.Ed.Engl.)、22、191
(1982)に記載されている。具体例としては、当初
アルカリ条件下では拡散性であるが、現像により酸化さ
れて非拡散性となる化合物(色素現像薬)があげられ
る。この型の化合物に有効なZとしては米国特許298
3606号にあげられたものが代表的である。また、別
の型としては、アルカリ条件下で自己閉環する等して拡
散性色素を放出するが、現像に伴い酸化されると実質的
に色素の放出がおこらなくなるようなものである。この
ような機能を持つZの具体例については、米国特許3,
980,479号、特開昭53−69033号、同54
−130927号、米国特許3,421,964号、同
4,199,355号等に記載されている。また別な型
としては、それ自体は色素を放出しないが、還元される
と色素を放出するものがある。この型の化合物は電子供
与体とともに組合わせて用い、銀現像によって画像様に
酸化した残りの電子供与体との反応によって像様に拡散
性色素を放出させることができる。このような機能を持
つ原子団については、例えば米国特許4,183,75
3号、同4,142,891号、同4,278,750
号、同4,139,379号、同4,218,368
号、特開昭53−110827号、米国特許4,27
8,750号、同4,356,249号、同4,35
8,535号、特開昭53−110827号、同54−
130927号、同56−164342号、公開技報8
7−6199号、欧州特許公開220746A2号等に
記載されている。以下にZの具体例を例示するが、これ
らのみに限定されるものではない。
【0298】
【化30】
【0299】このタイプの化合物が使用される場合には
耐拡散性電子供与化合物(ED化合物として周知)又は
そのプレカーサー(前駆体)と組合わせて用いるのが好
ましい。ED化合物の例としては例えば米国特許4,2
63,393号、同4,278,750号、特開昭56
−138736号等に記載されている。また別の型の色
素像形成物質の具体例としては、下記のものも使用でき
る。
【0300】
【化31】
【0301】この詳細は米国特許3,719,489号
や同4,098,783号に記載されている。一方、前
記の一般式のDYEで表わされる色素の具体例は下記の
文献に記載されている。 イエロー色素の例:米国特許3,597,200号、同
3,309,199号、同4,013,633号、同
4,245,028号、同4,156,609号、同
4,139,383号、同4,195,992号、同
4,148,641号、同4,148,643号、同
4,336,322号:特開昭51−114930号、
同56−71072号:Research Disclosure 1763
0(1978)号、同16475(1977)号に記載
されているもの。 マゼンタ色素の例:米国特許3、453、107号、同
3,544,545号、同3,932,380号、同
3,931,144号、同3,932,308号、同
3,954,476号、同4,233,237号、同
4,255,509号、同4,250,246号、同
4,142,891号、同4,207,104号、同
4,287,292号:特開昭52−106,727
号、同53−23,628号、同55−36,804
号、同56−73,057号、同56−71060号、
同55−134号に記載されているもの。 シアン色素の例:米国特許3,482,972号、同
3,929,760号、同4,013,635号、同
4,268,625号、同4,171,220号、同
4,242,435号、同4,142,891号、同
4,195,994号、同4,147,544号、同
4,148,642号;英国特許1,551,138
号;特開昭54−99431号、同52−8827号、
同53−47823号、同53−143323号、同5
4−99431号、同56−71061号;ヨーロッパ
特許(EP)53,037号、同53,040号;Rese
arch Disclosure 17,630(1978)号、及び同
16,475(1977)号に記載されているもの。 これらの化合物は、特開昭62−215,272号、1
44〜146頁記載の方法で分散することができる。ま
た、これらの分散物には、特開昭62−215,272
号、137〜144頁記載の化合物を含ませてもよい。
【0302】
【実施例】次に本発明をより詳細に説明するため、以下
に実施例を示すが、本発明はそれらに限定されるもので
はない。
【0303】実施例1 (種乳剤aの調製)KBr0.017g、平均分子量2
0000の酸化処理ゼラチン0.4gを含む水溶液11
64mlを35℃に保ち撹拌した。AgNO3 (1.6
g)水溶液とKBr水溶液と平均分子量20000の酸
化処理ゼラチン(2.1g)水溶液をトリプルジェット
法で48秒間に渡り添加した。この時,銀電位を飽和カ
ロメル電極に対して13mVに保った。KBr水溶液を
加え、銀電位を−66mVとした後,60℃に昇温し
た。平均分子量100000のコハク化ゼラチン21g
を添加した後、NaCl(5.1g)水溶液を添加し
た。AgNO3 (206.3g)水溶液とKBr水溶液
をダブルジェット法で流量加速しながら61分間に渡っ
て添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対し
て−44mVに保った。脱塩した後、平均分子量100
000のコハク化ゼラチンを加え、40℃でpH5.
8、pAg8.8に調整し、種乳剤を調製した。この種
乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを8
0g含有し、平均円相当直径1.46μm、円相当直径
の変動係数28%、平均厚み0.046μm、平均アス
ペクト比32の平板粒子であった。
【0304】(コアの形成)上記種乳剤aを134g,
KBr1.9g,平均分子量100000のコハク化ゼ
ラチン22gを含む水溶液1200mlを75℃に保ち
撹拌した。AgNO3(43.9g)水溶液とKBr水
溶液と分子量20000のゼラチン水溶液を特開平10
−43570号に記載の磁気カップリング誘導型攪拌機
を有する別のチャンバ−内で添加前直前混合して25分
間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極
に対して−40mVに保った。
【0305】(第1シェルの形成)上記コア粒子の形成
後、AgNO3 (43.9g)水溶液とKBr水溶液と
分子量20000のゼラチン水溶液を同上の別のチャン
バ−内で添加前直前混合して20分間に渡って添加し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−40
mVに保った。
【0306】(第2シェルの形成)上記第1シェルの形
成後、AgNO3 (42.6g)水溶液とKBr水溶液
と分子量20000のゼラチン水溶液を同上の別のチャ
ンバ−内で添加前直前混合して17分間に渡って添加し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20
mVに保った。その後、55℃に降温した。
【0307】(第3シェルの形成)上記第2シェルの形
成後、銀電位を−55mVに調整し、AgNO3 (7.
1g)水溶液とKI(6.9g)水溶液と分子量200
00のゼラチン水溶液を同上の別のチャンバ−内で添加
前直前混合して5分間に渡って添加した。
【0308】(第4シェルの形成)上記第3シェルの形
成後、AgNO3 (66.4g)水溶液とKBr水溶液
をダブルジェット法で30分間に渡って一定流量で添加
した。途中で6塩化イリジウムカリウムと黄血塩を添加
した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して30
mVに保った。通常の水洗を行い、ゼラチンを添加し、
40℃でpH5.8、pAg8.8に調整した。この乳
剤を乳剤bとした。乳剤bは平均円相当径3.3μm、
円相当径の変動係数21%、平均厚み0.090μm、
平均アスペクト比37の平板粒子であった。また、全投
影面積の70%以上が円相当径3.3μ以上で厚み0.
090μ以下の平板粒子により占められていた。色素占
有面積を80Å2としたときの1層飽和被覆量は1.4
5×10-3mol/molAgであった。
【0309】比較例1 乳剤bを56℃に昇温し、(2)を2.4×10-4mo
l/molAgと(3)を9.6×10-4mol/mo
lAg添加した後、C−5、チオシアン酸カリウム,塩
化金酸,チオ硫酸ナトリウムおよびN,N−ジメチルセ
レノ尿素を添加し最適に化学増感を施した。さらに
(2)を2.5×10-4mol/molAg添加して60
分間攪拌した。 本発明1 乳剤bを56℃に昇温し、(2)を2.4×10-4mo
l/molAgと(3)を9.6×10-4mol/mo
lAg添加した後、C−5、チオシアン酸カリウム,塩
化金酸,チオ硫酸ナトリウムおよびN,N−ジメチルセ
レノ尿素を添加し最適に化学増感を施した。さらに
(2)を2.5×10-4mol/molAg添加して1
0分間攪拌した。その後(SS−1)を2.0×10-3
mol/molAg添加して、温度を80℃に昇温し
て、さらに60分間撹拌した。 本発明2 乳剤bを56℃に昇温し、(2)を2.4×10-4mo
l/molAgと(3)を9.6×10-4mol/mo
lAg添加した後、C−5、チオシアン酸カリウム,塩
化金酸,チオ硫酸ナトリウムおよびN,N−ジメチルセ
レノ尿素を添加し最適に化学増感を施した。さらに
(2)を2.5×10-4mol/molAg添加して1
0分間攪拌した。その後(1)を2.0×10-3mol
/molAg添加してさらに60分間撹拌した。 本発明3 本発明2の(1)を(15)に変えた以外は同様。 本発明4 本発明2の(1)を(16)に変えた以外は同様。 比較例2、乳剤bを56℃に昇温し、(19)を12.
0×10-4mol/molAg添加した後、C−5、チ
オシアン酸カリウム,塩化金酸,チオ硫酸ナトリウムお
よびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最適に化学増
感を施した。さらに(19)を2.5×10-4mol/
molAg添加して10分間攪拌した。 本発明5、乳剤bを56℃に昇温し、(19)を12.
0×10-4mol/molAg添加した後、C−5、チ
オシアン酸カリウム,塩化金酸,チオ硫酸ナトリウムお
よびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最適に化学増
感を施した。さらに(19)を2.5×10-4mol/
molAg添加して10分間攪拌した。その後(20)
を2.0×10-3mol/molAg添加してさらに6
0分間撹拌した。 比較例3、乳剤bを56℃に昇温し、(21)を12.
0×10-4mol/molAg添加した後、C−5、チ
オシアン酸カリウム,塩化金酸,チオ硫酸ナトリウムお
よびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最適に化学増
感を施した。さらに(21)を2.5×10-4mol/
molAg添加して10分間攪拌した。 本発明6、乳剤bを56℃に昇温し、(21)を12.
0×10-4mol/molAg添加した後、C−5、チ
オシアン酸カリウム,塩化金酸,チオ硫酸ナトリウムお
よびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最適に化学増
感を施した。さらに(21)を2.5×10-4mol/
molAg添加して10分間攪拌した。その後、テトラ
メトキシシランを18.0×10-4mol/molAg
加え、さらに(22)を14.5×10-4mol/mo
lAg添加してさらに120分間撹拌した。 比較例4、乳剤bを56℃に昇温し、(SS-2)を12.
0×10-4mol/molAg添加した後、C−5、チ
オシアン酸カリウム,塩化金酸,チオ硫酸ナトリウムお
よびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最適に化学増
感を施した。さらに(SS-2)を2.5×10-4mol/
molAg添加して60分間攪拌した。 本発明7、乳剤bを56℃に昇温し、(18)を12.
0×10-4mol/molAg添加した後、C−5、チ
オシアン酸カリウム,塩化金酸,チオ硫酸ナトリウムお
よびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最適に化学増
感を施した。さらに(18)を2.5×10-4mol/
molAg添加して60分間攪拌した。
【0310】但し増感色素は、特開平11−52507
号に記載の方法で作成した固体微分散物として、使用し
た。すなわち硝酸ナトリウム0.8重量部および硫酸ナ
トリウム3.2重量部をイオン交換水43部に溶解し、
増感色素13重量部を添加し、60℃の条件下でヂゾル
バ−翼を用い2000rpmで20分間分散することに
より、増感色素の固体分散物を得た。
【0311】
【化32】
【0312】単位面積当たりの光吸収強度の測定は、得
られた乳剤をスライドガラス上に薄く塗布し、カールツ
アイス株式会社製の顕微分光光度計MSP65を用いて
以下の方法でそれぞれの粒子の透過スペクトルおよび反
射スペクトルを測定して、吸収スペクトルを求めた。透
過スペクトルのリファレンスは粒子の存在しない部分
を、反射スペクトルは反射率の分かっているシリコンカ
ーバイドを測定してリファレンスとした。測定部は直径
1μmの円形アパチャー部であり、粒子の輪郭にアパー
チャー部が重ならないように位置を調整して14000
cm-1(714nm)から28000cm-1(357n
m)までの波数領域で透過スペクトル及び反射スペクト
ルを測定し、1−T(透過率)−R(反射率)を吸収率
Aとして吸収スペクトルを求めた。ハロゲン化銀の吸収
を差し引いて吸収率A’とし、−Log(1−A’)を
波数(cm-1)に対して積分した値を1/2にして単位
表面積あたりの光吸収強度とした。積分範囲は1400
0cm-1から28000cm -1までである。この際、光
源はタングステンランプを用い、光源電圧は8Vとし
た。光照射による色素の損傷を最小限にするため、一次
側のモノクロメータを使用し、波長間隔は2nm、スリ
ット幅を2.5nmに設定した。200粒子について吸
収スペクトルおよび光吸収強度を求め、光吸収強度の粒
子間分布の変動係数を求めた。
【0313】なお、画質を、粒状性により評価した。粒
状性の評価は、各実験NO.の試料に対してRMS 値測定用
のパターンを通して光源として色温度3200°Kのハ
ロゲンランプを用いて露光したサンプルを、上記現像な
どの写真処理を行い、これらの試料をミクロ濃度計(測
定アパーチャー径48μm)で測定しRMS値を求め、相
対的に○×で評価した。画質の悪いものは×であり、画
質に良いものは○である。
【0314】増感色素の吸着状態の評価はナノスコープ
社製のAFM法を用いて行った。粒子表面に吸着したゼラ
チンを蛋白質分解酵素で分解して、増感色素吸着層の構
造が観測できる状態の試料を作成し、非接触タッピング
モードで試料損傷を極力低減した条件下、空間分解能2n
mで観察した粒子表面の凹凸の標準偏差を、吸着状態の
目安とした。
【0315】色素吸着量は、得られた液体乳剤を10,
000rpmで10分間遠心沈降させ、沈殿を凍結乾燥
した後、沈殿0.05gを25%チオ硫酸ナトリウム水
溶液25mlとメタノールを加えて50mlにした。この溶
液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、色素濃度を
定量して求めた。このようにして求めた、色素吸着量と
1層飽和被覆量から色素の吸着層数を求めた。
【0316】2層目以降の増感色素の吸着エネルギー
は、発明の詳細な説明のところで述べた色素脱着剤を用
いる浅沼らの報告を用いて測定を行った。また、色素の
吸着量を求める方法で吸着等温線から求める方法、熱量
計を用いて求める方法でも同様な結果を与えた。
【0317】また、2層目以降の増感色素の吸着エネル
ギーのうち、2層目以降の色素間の相互作用による安定
化エネルギーは、発明の詳細な説明に記載したようにし
て求めることができるが、具体的には松原、田中らの方
法(日本写真学会誌、52巻395頁1989年)を用
いた。
【0318】また得られた乳剤にゼラチン硬膜剤、及び
塗布助剤を添加し、塗布銀量が3.0g−Ag/m2
なるように、セルロースアセテートフィルム支持体上
に、ゼラチン保護層とともに同時塗布した。得られたフ
ィルムをタングステン電球(色温度2854K)に対し
て連続ウエッジ色フィルターを通して1秒間露光した。
色フィルターとして色素側を励起するマイナス青露光用
の富士ゼラチンフィルターSC−50(富士フイルム
(株)製)を用いて500nm以下の光を遮断し、試料
に照射した。露光した試料は、下記の表面現像液MAA
−1を用いて20℃で10分間現像した。
【0319】表面現像液MAA−1処方 メトール 2.5g L−アスコルビン酸 10g ナボックス(富士フイルム(株)) 35g 臭化カリウム 1g 水を加えて 1リットル pH 9.8
【0320】現像後、20℃において以下の定着液で定着
を行った。 定着液処方 チオ硫酸アンモニウム 170g 亜硫酸ナトリウム(無水) 15g 硼酸 7g 氷酢酸 15ml カリ明ばん 20g エチレンジアミン四酢酸 0.1g 酒石酸 3.5g 水を加えて 1リットル 処理したフィルムは富士自動濃度計で光学濃度を測定
し、感度は被り+0.2の光学濃度を与えるのに要した
光量の逆数で示した。本発明1、2、3、4と比較例1
は比較例1の感度を100としたときの相対値で表わし
た。本発明5は比較例2の感度を100としたときの相
対値で表わした。本発明6は比較例3の感度を100と
したときの相対値で表わした。本発明7は比較例4の感
度を100としたときの相対値で表わした。従って、比
較例1本発明1、2、3、4と、比較例2と本発明5
と、比較例3と本発明6と、比較例4と本発明7のグル
ープの感度の絶対値は異なる。比較例1は比較例2、
3、4より高感度である。結果を表1に示した。
【0321】
【表1】
【0322】比較例1、2、3,4は、単層吸着であ
る。本発明1は多層吸着しており高感度化するが、2層
目の増感色素の吸着エネルギーがあまり大きくなく、さ
らに2層目色素間の相互作用エネルギーに比べて、1層
目と2層目色素間の相互作用エネルギーが小さく、2層
目色素が島状状態であるために、その吸着層数のわりに
光吸収強度が小さく、光吸収強度の変動係数が大きい。
また、Amaxの50%の間隔は広く、全体的に幅広い
吸収であり好ましくない。また感度が低く、さらに画質
が悪いという全く予期せぬ弊害があることが分かった。
さらに、階調も軟調で好ましくなかった。
【0323】本発明2〜7はいずれも多層吸着してお
り、また本発明の2,3,4については、2層目色素の
吸着エネルギーが大きく、かつ2層目色素間の相互作用
エネルギーに対して1層目と2層目の色素間の相互作用
エネルギーが大きい。本発明2〜7は、2層目以降の増
感色素が層状状態であるため、その吸着層数に見合った
光吸収強度と感度が得られており、光吸収強度の変動係
数も小さい。また、それだけに留まらず、顕著に画質も
良化することを見出した。さらに、階調が軟調化するよ
うな弊害も認められなかった。本発明2〜7では、Am
axの50%の間隔は小さく、全体的に幅の狭い吸収を
示す。これらは、1層目色素、2層目色素ともJ-会合体
を形成している。
【0324】また、2層目以降の色素の吸収極大波長
(例えば、本発明2は565nm)における、分光増感
の相対量子収率と1層目色素のみの相対量子収率の比か
ら、励起された2層目以降の色素の励起エネルギーのう
ち、1層目色素へエネルギー移動した割合を見積もる
と、本発明の1は20%、本発明の2〜7は90%以上
であった。
【0325】1層目と2層目色素が共有結合で連結され
ている本発明の6、7は、1層目と2層目色素が共有結
合で連結されていない本発明の2、3、4、5に比べ
て、Amaxの50%の間隔は広く劣っている。従っ
て、本発明においては、色素間が共有結合で連結されて
いない場合がより好ましい。
【0326】2層目色素の状態について補足説明を行
う。比較例1、2,3,4は単層吸着しかしておらず、
凹凸の標準偏差が小さく層状状態を示している。本発明
1は、多層吸着しているが、凹凸の標準偏差が大きく島
状状態であることが分かった。これに対して、本発明
2,3、4,5,6,7はいずれも多層吸着しており、
凹凸の標準偏差が小さく、いずれも2層目以降の増感色
素は層状状態であることが分かった。
【0327】以上のように、本発明者らは、本発明にお
いて、2層目以降の増感色素の吸着エネルギー、または
2層目以降の増感色素の状態が本発明の要件を満たす場
合に、吸着層数に見合った光吸収強度、感度が得られる
のに留まらず、画質も良好であることを見出した。
【0328】実施例2 特願平11ー268662の試料108において、第1
1層の乳剤Pの増感色素を,本発明の表2の増感色素に
変更し、実施例1と同様の色素添加および化学増感を行
い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示し
た。
【0329】
【表2】
【0330】本発明の実施例1と同様な効果が得られる
ことが分かる。また、同様に特願平11ー268662
の試料108において、第11層の乳剤Pの増感色素
を,本発明の実施例1の比較例2、4、本発明3,4,
5,7、の増感色素に変更したところ、実施例1と同様
な効果が得られた。また、特願平11ー268662の
試料108において、第6層の乳剤Jの増感色素を,本
発明の実施例1の比較例3、本発明6、の増感色素に変
更したところ、実施例1と同様な効果が得られた。以上
のように、本発明の増感色素が多層吸着した乳剤を含有
するカラー感光材料においても、本発明は同様に有用で
あることが分かった。
【0331】実施例3 実施例1および2と同様な比較を、特開平8−2990
4号の実施例5のカラーネガ感材の系、特開平7−92
601号、同11−160828号の実施例1のカラー
反転感材の系、特開平6−347944の実施例1のカ
ラーペーパーの系、特開平8−122954号の実施例
1のX線感材の系、特願平11−89801号の実施例
1のインスタント感材の系、特願2000−89436
の実施例1の熱現像感材の系、特開平8−292512
の実施例1の印刷感材の系、で評価して行った。その結
果、実施例1と同様な効果が得られ、同様に有用である
ことが分かった。
【0332】
【発明の効果】本発明によって、増感色素が多層吸着し
たことによる高感硬調で画質悪化等の弊害のないハロゲ
ン化銀写真乳剤およびハロゲン化銀写真感光材料の提供
が可能となった。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多
    層吸着しているハロゲン化銀写真乳剤において、2層目
    以降の増感色素の吸着エネルギー(ΔG)が10kJ/
    mol以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真乳
    剤。
  2. 【請求項2】2層目以降の増感色素の吸着エネルギー
    (ΔG)が40kJ/mol以上であることを特徴とす
    る請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層
    吸着しているハロゲン化銀写真乳剤において、2層目以
    降の増感色素が層状状態で存在することを特徴とするハ
    ロゲン化銀写真乳剤。
  4. 【請求項4】ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層
    吸着しているハロゲン化銀写真乳剤において、2層目以
    降の増感色素が層状状態で存在することを特徴とする請
    求項1又は2記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多
    層吸着しているハロゲン化銀写真乳剤において、光吸収
    強度の粒子間分布の変動係数が100%以下であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハロゲン
    化銀写真乳剤。
  6. 【請求項6】 分光吸収極大波長が500nm未満で光
    吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500
    nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子
    を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6に記載のハロゲン化銀写真
    乳剤において、該乳剤の増感色素による分光吸収率の最
    大値をAmaxとしたとき、Amaxの50%を示す最も短波長
    と最も長波長の波長間隔が120nm以下であることを特
    徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀
    写真乳剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7に記載のハロゲン化銀写真
    乳剤において、該乳剤の増感色素による分光感度の最大
    値をSmaxとしたとき、Smaxの50%を示す最も短波長と
    最も長波長の波長間隔が120nm以下であることを特徴
    とする請求項1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写
    真乳剤。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載のハロゲン化銀写
    真乳剤において、Amaxの50%の分光吸収率を示す最も
    長波長が460nmから510nm、または560nm
    から610nm、または640nmから730nmの範
    囲であることを特徴とする請求項7又は8に記載のハロ
    ゲン化銀写真乳剤。
  10. 【請求項10】 請求項7又は8に記載のハロゲン化銀
    写真乳剤において、Smaxの50%の分光感度を示す最も
    長波長が460nmから510nm、または560nm
    から610nm、または640nmから730nmの範
    囲であることを特徴とする請求項7又は8に記載のハロ
    ゲン化銀写真乳剤。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10に記載のハロゲン化銀
    写真乳剤のハロゲン化銀粒子において、2層目以降の増
    感色素の励起エネルギーが1層目色素へ、効率10%以
    上でエネルギー移動することを特徴とする請求項1〜1
    0のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11に記載のハロゲン化銀
    写真乳剤のハロゲン化銀粒子において、1層目の増感色
    素と2層目以降の増感色素がともにJバンド吸収を示す
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のハ
    ロゲン化銀写真乳剤。
  13. 【請求項13】 プロトンが解離していない−CONH
    SO2−基、−CONHCO−基または−SO2 NHS
    2 −基を少なくとも1つ持つ増感色素を含有すること
    を特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のハロゲ
    ン化銀写真乳剤。
  14. 【請求項14】 芳香族基を少なくとも1つ持つ増感色
    素を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれ
    かに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  15. 【請求項15】 3環以上縮環した塩基性核を有する増
    感色素を含有することを特徴とする請求項1〜14のい
    ずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15記載の増感色素が、1
    層目の増感色素と2層目以降の増感色素が共有結合で連
    結された増感色素以外の増感色素であることを特徴とす
    る請求項1〜15のいずれかに記載のハロゲン化銀写真
    乳剤。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16に記載のハロゲン化銀
    写真乳剤が、アスペクト比2以上の平板状粒子が乳剤中
    の全ハロゲン化銀粒子の50%(面積)以上存在する乳
    剤であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに
    記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17に記載のハロゲン化銀
    写真乳剤が、セレン増感されていることを特徴とする請
    求項1〜17のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳
    剤。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18に記載のハロゲン化銀
    写真乳剤のハロゲン化銀粒子が、増感色素以外のハロゲ
    ン化銀吸着性化合物を有することを特徴とする請求項1
    〜18のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19に記載のハロゲン化銀
    写真乳剤を少なくとも1層有することを特徴とするハロ
    ゲン化銀写真感光材料。
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