JP2001304150A - スクロール圧縮機 - Google Patents
スクロール圧縮機Info
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Abstract
運転する。 【解決手段】両歯形のスクロール圧縮機100では、旋
回スクロール1の鏡板30の両側に、渦巻状のラップ3
1、32が形成されている。この渦巻き状のラップと噛
合うラップ41、42が固定スクロール2、3に形成さ
れている。また、固定スクロールのラップの外径側に
は、ダストラップ10A、10Bが形成されている。こ
れら各ラップの端部には溝が形成されており、高分子材
料を含むシール部材が収納されている。このシール部材
が相手側の鏡板30、41、42面と摺動したときに発
生する静電気の電荷を、クランク軸4の端部に設けたボ
ルト14からブラシ15を介して固定スクロールに流し
て、クランク軸に電荷が蓄積するのを防止する。
Description
ラップを有するスクロール圧縮機に係り、特に空気圧縮
機に用いて好適な両歯型のオイルフリースクロール圧縮
機に関する。
を有する固定スクロールと、この固定スクロールのラッ
プと噛合うラップを有する旋回スクロールを備えたスク
ロール圧縮機が、冷凍空調用に用いられている。そし
て、近年、低騒音である利点のゆえに、空気圧縮機にも
用いられてきている。
は使い勝手の良さから塗装用等の小風量から工場空気源
等の大風量へとその需要が大風量まで高まっている。そ
こで、大風量の需要を満たすために、鏡板面の両側にラ
ップを有する旋回スクロールを有するいわゆる両歯式ス
クロール圧縮機が脚光を浴びている。この両歯式スクロ
ール圧縮機の例が、特開平10−246189号公報や
特開平10−25268号公報に記載されている。
積形圧縮機の一つであるので、密閉空間を形成する必要
がある。特にオイルフリー式圧縮機の場合、油膜による
シールが形成されないので、スクロールラップの先端と
このスクロールラップが対向する鏡板間にシール部材と
して、チップシールと呼ばれる弾性を有する部材を配置
している。このチップシールは、シール性に優れている
ことはもちろんのこと、低摩擦であることも要求され
る。そこで、通常、フッ素樹脂等の高分子材料が多用さ
れる。
ると、次の不具合が発生する恐れがあることが本発明者
らの実験的研究により判明した。つまり、スクロール圧
縮機、特に空気圧縮用オイルフリー型のスクロール圧縮
機では、クランク軸を支持するために、グリス封入式軸
受を用いている。そして、運転中は軸受の油膜が、クラ
ンク軸と固定スクロールとの間、およびクランク軸と旋
回スクロールの間を電気的に絶縁している。また、旋
回、固定両スクロール部材は、アルミ合金の素材を絶縁
体であるアルマイト皮膜で被覆して用いているので、旋
回スクロールと固定スクロールとの間も電気的に絶縁し
ている。
ロールを接地した状態で使用する。一方、旋回スクロー
ルとクランク軸は接地されていない。この状態で圧縮機
を起動すると、チップシールがスクロール部材の鏡板面
を摺動することにより、またはベルトがプーリを摺動す
ることにより静電気が発生し、その電荷がクランク軸や
旋回スクロールに蓄積される。この蓄積量は、小容量機
のときにはそれほど多くはなかったが、圧縮機容量の増
大に伴い顕著になってきている。そして、この電荷によ
り転がり軸受の内輪と外輪との間に電位差を生じ、これ
に誘引された水素イオンが軸受内部で応力の高い場所に
集積する。集積した水素イオンが軸受鋼の内部組織を変
化させ、軸受鋼の内部からクラックを発生する等の不具
合を生じ、最悪の場合には、転がり軸受を電気的に損傷
させることが判明した。
されたものであり、その目的はスクロール圧縮機を長期
間にわたり信頼性高く運転することにある。
に、本発明のスクロール圧縮機は、渦巻き状のラップを
有する旋回スクロールと、この旋回スクロールのラップ
と噛合う渦巻き状のラップを有する固定スクロールと、
旋回スクロールを駆動するクランク軸と、固定スクロー
ルと旋回スクロールの少なくともいずれかのラップ先端
に取付けたチップシールとを備え、旋回スクロールとク
ランク軸の少なくとも一方は導電性の材料からなり、ス
クロール圧縮機の運転中は旋回スクロールが固定スクロ
ールに電気的に導通する導通手段を設けている。
スクロール圧縮機は、渦巻き状のラップを有する旋回ス
クロールと、この旋回スクロールのラップと噛合う渦巻
き状のラップを有する固定スクロールと、旋回スクロー
ルを駆動するクランク軸と、固定スクロールと旋回スク
ロールの少なくともいずれかのラップ先端に取付けたチ
ップシールとを備え、旋回スクロールとクランク軸の少
なくとも一方は絶縁体または不導体被膜表面処理が施さ
れており、スクロール圧縮機の運転中は旋回スクロール
が固定スクロールに電気的に導通する導通手段を設けて
いる。
おいて、クランク軸に溜まった静電気をクランク軸外に
導くスリップリングまたはブラシをクランク軸端部に設
けても良く;チップシールは導電性材料からなり、この
チップシールが接触する前記旋回スクロールまたは固定
スクロールの表面を導電性としても良い。さらに、スク
ロールラップの外径側に環状のダストラップを設け、こ
のダストラップの先端に導電性のダストシールを配設す
るのが望ましい。
は、クランク軸を支持する転がり軸受を有し、この転が
り軸受の内輪と外輪とが運転中に導通する;転がり軸受
が、導電性グリースを有する;クランク軸を支持する転
がり軸受を設け、この転がり軸受の内輪と外輪と転動体
の少なくともいずれかは電気的な絶縁体である;クラン
ク軸を支持する転がり軸受を設け、この転がり軸受の内
輪と外輪と転動体少なくともいずれかが不導体皮膜を形
成する材料であっても良い。なお、この不導体皮膜を形
成する材料は、マルテンサイト系ステンレスであっても
よい。
のスクロール圧縮機は、旋回スクロールは鏡板の両側に
渦巻き状のラップを有しており、固定スクロールは旋回
スクロールのそれぞれのラップに噛み合うラップを有す
る一対の固定スクロール部材を有しており、旋回スクロ
ールと固定スクロールのラップとで形成される作動室に
潤滑油等の油の混入の無いオイルフリー圧縮機であって
もよい。
他のスクロール圧縮機は、ラップを有する旋回スクロー
ルと、この旋回スクロールのラップと噛合うラップを有
する固定スクロールと、旋回スクロールを駆動し、旋回
スクール及び固定スクロールの双方のラップより外径側
に配置されたクランク軸および補助クランク軸と、クラ
ンク軸に取付けられた第1のプーリと補助クランク軸に
取付けられた第2のプーリと、この第1及び第2のプー
リの外周側に装架されたベルトとを備え、ベルトと第1
及び第2のプーリとを電気的に導通させている。
クロール圧縮機は、ラップを有する旋回スクロールと、
この旋回スクロールのラップと噛合うラップを有する固
定スクロールと、旋回スクロールを駆動し、旋回スクー
ル及び固定スクロールの双方のラップより外径側に配置
されたクランク軸および補助クランク軸と、クランク軸
に取付けられた第1のプーリと補助クランク軸に取付け
られた第2のプーリと、この第1及び第2のプーリの外
周側に装架されたベルトとを備え、クランク軸と第1の
プーリとの間、及び補助クランク軸と第2のプーリとの
間を電気的に絶縁している。
クロール圧縮機は、鏡版の両側に渦巻き状のラップを有
する旋回スクロールと、この旋回スクロールのラップに
噛み合うラップを有する1対の固定スクロールと、旋回
スクロールを回転駆動し、固定スクロール及び旋回スク
ロールのラップよりも外径側に配置された主クランク軸
と補助クランク軸と、これら主クランク軸及び補助クラ
ンク軸を支承する複数の転がり軸受と、主クランク軸及
び補助クランク軸に取付けられた第1、第2のプーリ
と、この第1、第2のプーリに装架された樹脂製のタイ
ミングベルトと、旋回スクロールラップ及び固定スクロ
ールラップの先端に形成された溝に保持された樹脂製の
チップシールとを備え、タイミングベルト部及びチップ
シール部で発生した静電気を旋回スクロール側から固定
スクロール側に逃がす静電気放出手段を設けている。
電気放出手段は、クランク軸と補助クランク軸の少なく
とも何れかの軸端部に設けたスリップリングであっても
よく;静電気放出手段は、複数の転がり軸受への静電気
の滞留を防止する導電性グリースであってもよい。ま
た、軸受をグリース潤滑軸受とし、このグリースの基油
にエーテル系合成油を、増ちょう剤にウレア化合物を用
いることが望ましい。
機において、旋回スクロールまたはクランク軸の少なく
とも一方を、導電性部材を介して固定スクロールまたは
その他の接地部材と接触させ、旋回スクロールとクラン
ク軸と固定スクロールを同電位に保つ;または、旋回ス
クロールと固定スクロールとクランク軸との間に電位差
があったとしても、絶縁物などを配置して、電気的な軸
受損傷が及ぶのを防止するようにすればよい。
を、図面を用いて説明する。図1は、旋回スクロールの
鏡板面の両側にラップが形成された、いわゆる両歯式ス
クロール圧縮機の本体ブロックの図であり、その縦断面
図である。本圧縮機は、図13にその概要を示すよう
に、主として空気圧縮用に使用される。この図13にお
いて、圧縮機ユニット50は筐体51内の底部に設けた
ベース上にモータ60が据え付けられている。モータ6
0の回転軸に取付けたプーリに装架されたベルト64に
より、モータ60の駆動力はスクロール圧縮機68に伝
達される。スクロール圧縮機68は、筐体51内に設け
た圧縮機支持部材62にその脚部を据え付けられてい
る。モータ60の回転軸のプーリ取り付け側と反対端に
は、モータ60及びスクロール圧縮機68、スクロール
圧縮機で圧縮された圧縮空気を冷却するためのファン5
6が取付けられている。モータ60が回転すると、圧縮
機ユニット50の周囲空気が筐体51に設けた取入れ口
から矢印66のように流れて、ファン56の吸込み側に
導かれ、ファン56の吐出側に形成されたダクト52内
に配置された熱交換器54を冷却する。
100は、鏡板30の両面に渦巻状のスクロールラップ
31、32が形成された旋回スクロール1、この旋回ス
クロール1のラップ32、32と噛合って圧縮作動室を
形成する渦巻状のスクロールラップ41、42が鏡板4
4、45に形成された固定スクロール2(図1中の左
側)および固定スクロール3(図1中の右側)、旋回ス
クロール1を駆動する主クランク軸4、この主クランク
軸4と同期回転する補助クランク軸5、主クランク軸4
と補助クランク軸5を同期させるタイミングベルト6、
タイミングベルトが装架されるタイミングプーリ7、主
クランク軸4を駆動するモータ(図示せず)の動力を主
クランク4軸に伝達するのに用いるVプーリ8を備えて
おり、固定スクロール3のほぼ中央部には、圧縮された
空気を吐出する吐出口9が形成されている。
機の動作は、以下の通りである。モータで発生した動力
を、Vプーリ8へVベルトで伝達する。これにより、主
クランク軸4が回転し、同期用のタイミングベルト6お
よびタイミングプーリ7を介して補助クランク軸5に動
力が伝達され、補助クランク軸5が同期回転する。両ク
ランク軸4、5が同期回転すると、旋回スクロール1
が、固定スクロール2、3の双方に対して自転すること
なく偏心運動する。流体は図示しない吸い込み口から吸
い込まれ、旋回スクロール1の回転が進むにつれて圧縮
され、吐出口9から吐出される。なお、固定スクロール
1の両ラップ41、42の外径側には、圧縮作動室内に
ダストが侵入するのを防止するため、リング状のダスト
ラップ10A、10Bが形成されている。
を示す。図1の左側の固定スクロールを例に取る。固定
スクロール2のラップ41の先端には、このラップ41
の渦巻き方向に沿って溝43が形成されており、この溝
43内にはチップシール11が遊嵌されている。このチ
ップシール11は、圧縮作動室内の圧縮ガスがラップ4
1の渦巻き方向および旋回スクロール3の半径方向(中
心部側から外周部側)に漏れるのを防止するためのもの
であり、旋回スクロール1、固定スクロール2、3の少
なくとも1つのラップ先端部に配置される。そして、運
転中はこのチップシールが配置されたスクロール部材に
対向するスクロール部材の鏡板面上を、チップシールが
摺動する。
形成したダストラップ10Bの詳細断面を示す。固定ス
クロール2のラップ41の外周側に、ダストラップ10
Bが形成されている。ダストラップ10Bの、鏡板44
面と反対端部には、全周に溝46が形成されている。そ
して、溝46内にはダストシール12がバックアップチ
ューブ13に押し上げられように収められている。旋回
スクロール1と固定スクロール2を組み立てたると、バ
ックアップチューブ13とダストシール12の弾性によ
り、ダストシール12が旋回スクロール1の鏡板30面
に密着し、ダストが圧縮作動室に入るのを防止する。
摺動性や耐熱性、弾性を考慮して4弗化エチレン樹脂を
含む高分子材料を用いる。ダストシールやチップシール
は摺動するので発熱する。したがって、さらに耐熱性が
望まれるときは、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂を用いて
もよい。
ールは高分子材料を主成分としているので、相手スクロ
ール部材の鏡板面と摺動する際に、静電気を発生する。
そして特に空気圧縮機のように潤滑剤を圧縮作動室に持
ち込まない場合や不導体皮膜処理が施されている場合に
は、この静電気が発生した部材に滞留しやすい。
付けたプーリとこのプーリに装架したタイミングベルト
とは、通常運転では、微少量スリップしながら動力伝達
している。ベルトの材料としては、可撓性を確保するた
めに、樹脂材料を主成分とした材料が用いられる。その
結果、プーリ部に静電気が発生する。
は、固定スクロールというカバー内に収容された旋回ス
クロールがクランク軸及び補助クランク軸により回転駆
動されるものであるから、クランク軸や補助クランク軸
と旋回スクロールまたは固定スクロールの導通経路が確
保されないと静電気が滞留することとなる。そこで本発
明者らは静電気が、スクロール圧縮機に及ぼす影響の実
験的研究を推し進めた。
大小に関わらず、放電経路さえ確保されていれば機器に
及ぼす影響は少ない。しかしながら、放電経路中に絶縁
部があると、その絶縁部に帯電する。この絶縁部位置が
転がり軸受部であれば、スクロール圧縮機を運転すると
転がり軸受の内輪と外輪のそれぞれが帯電する。その結
果、内輪と外輪との間に電位差を生じる、との知見を得
た。
電位差が生じたときに、従来報告されていない軸受損傷
パターンが得られた。そして静電気が発生しても、例え
ばモータのようにベルトがスリップするだけではこのよ
うな損傷パターンは得られなかった。
ては、繰返し応力による疲労破壊が最も一般的で、軸受
の公称寿命はこの疲労破壊に基づいて決定される。転が
り疲労により転がり軸受が損傷すると、軸受内部には様
々な組織変化が生じる。代表的な損傷としては、最大せ
ん断応力が作用する場所付近に生じる損傷で、特定方向
に発生する縞模様や、最大せん断応力の作用場所付近に
存在する不純物を起点として発生するクラックがある。
このような疲労破壊による損傷のほかに軸受の内輪と外
輪との間に電位差が生じていると、電食現象が生じる可
能性がある。通常、転がり軸受において電位差により電
食現象が生じると、転動面に洗濯板のような模様が発生
する。
差による損傷パターンはこれらのいずれとも異なったパ
ターンであった。そして、実験条件によっては、転がり
疲労に基づいた軸受の公称寿命(L10寿命とも呼ぶ)
の1/10程度まで短縮する場合があった。
ーンの原因は、実験を推し進めた結果、以下のメカニズ
ムによるものと推論する。旋回スクロールや固定スクロ
ールのラップ端部に取付けたチップシールやダストシー
ルが相手スクロールの鏡版と摺動したり、クランク軸及
び補助クランク軸に取付けたプーリに装架したベルトが
スリップしたりして発生した静電気は、旋回スクロール
やクランク軸、補助クランク軸に帯電する。そして、旋
回スクロールやクランク軸、補助クランク軸と固定スク
ロールとの間に電位差が発生する。
ランク軸を支承する転がり軸受の潤滑材であるグリスか
ら水分を分解させる。グリースの分解が促進されると、
グリースから水素が発生する。クランク軸や補助クラン
ク軸が回転すると、グリース中の油分が形成する油膜に
おいて振動等により不完全な部分が生じ、この不完全な
部分から発生した水素が軸受鋼中に侵入する。そして転
動体や内輪、外輪の内部であって最大せん断応力が生じ
る場所付近に蓄積される。本発明者らは軸受鋼中に水素
が侵入するという上述の事実を実験的に確認した。
は、タイミングベルとやモータの駆動力を伝えるベルト
を採用しているので、クランク軸及び補助クランク軸を
支承する軸受の負荷が周方向一方の側に寄ったいわゆる
片当たり現象を生じ易い。その結果、転がり軸受の転動
体には過大なせん断力が発生し、油膜が破断しやすくな
る。
含まれる水分から発生した水素の影響であり、この水素
が転動体や内輪、外輪等の軸受部材の内部に侵入し、侵
入した部分の組織を変化させる。その結果、軸受部材に
クラックが発生し、このクラックが軸受部材の表面に到
達したときに軸受損傷となって現れる。これは、従来の
電食現象とは全く異なるものであり、グリースとある程
度以上の軸受荷重(変動荷重を含む)と静電気の電位差
との3つが存在して始めて生じる現象である。
電気が発生しても、それが軸受の損傷を引き起こすのを
防止するために、静電気の除電手段もしくは放電手段を
設けている。その具体例を図4以下に示す。図4は、ク
ランク軸の部分詳細断面図である。この図4に示した実
施例においては、クランク軸4を固定スクロール3に接
地している。クランク軸4の軸端に、丸頭のボルト14
を取付る。固定スクロール3の外表面側であって、クラ
ンク軸4の端部に設けたボルトの頭部14Aに接触可能
なように、図5に詳細を示すブラシ15を取付ける。
やダストシールで発生した静電気の電荷は、クランク軸
4に流れてくる。そして、クランク軸4の軸端からボル
ト14へ、次いで、ボルト頭部14A、ブラシ15を介
して固定スクロール3へと電荷が流れる。これにより、
クランク軸4に電荷がたまるのを防止できる。ボルト1
4の頭部14Aはブラシの摩耗速度を遅くするために、
球状であることが望ましい。構成を簡単化するために、
ボルト14を省いて、ブラシ15を直接クランク軸4に
接触させるようにしてもよい。この場合も、軸端は球状
であればブラシと軸端の接触抵抗を低減できる。本実施
例では、ブラシを固定スクロール側に設けたが、クラン
ク軸側に設けてもよい。
5Bから構成されている。ブラシ部15Aの材料は、金
属、カーボン、導電性樹脂などの導体である。このブラ
シ部15Aは、ボルト頭部14Aまたはクランク軸端と
摺動するので耐摩耗性に優れたものが望ましい。板部1
5Bには、リン青銅やステンレス材等の弾性に富む導体
を用いる。板部15Bの弾性により、ブラシ部15Aを
ボルト頭部14Aやクランク軸端に確実に押しつけるこ
とが可能になる。このようにブラシを用いて除電すれ
ば、転がり軸受の内輪と外輪とが同電位になり、電位差
をエネルギーとしたグリス中の水分の分解を抑制でき
る。
ラシを介して固定スクロールに電荷を流す上記実施例の
いくつかの変形例を、図6以下に示す。クランク軸4の
軸端に、ブラシ15との接触用のアタッチメント16を
取付ける。一方、固定スクロール3には、アダプタ17
を介してブラシ15が取付けられている。ブラシ15と
アタッチメント16を接触させることにより、図4に示
した実施例と同様の作用、効果が得られる。
を取付け、クランク軸4端に取付けたボルト25または
クランク軸4そのもの、またはボール26等を介して接
触させ、クランク軸4に流れてきた電荷を放電してい
る。本変形例では、ブラシ18は、固定スクロール3に
取付けた中空のボルト18Aと、このボルト18A内に
保持されたブラシ部18Cと、これも中空のボルト内に
保持されたばね18Bとからなる。そして、ブラシ部1
8Cには、ばね18Bにより押圧力が付加されている。
本変形例によれば、ばねによりブラシ部に常に適切な押
圧力が付加されるという利点を有する。
部からブラシを用いて固定スクロールに電荷を流してい
たが、ブラシの代わりにスリップリングを用いた例を図
8に示す。図8は、クランク軸の軸端部の詳細断面図で
ある。クランク軸4にスリップリング20を取付け、ス
リップリング20と固定スクロール3間を導線21で接
続する。これによっても、上記各実施例および変形例と
同様の効果が得られる。
固定スクロール2を接地して、チップシールやダストシ
ールで発生した静電気を放電する例を示す。図9ないし
図11は、スクロール圧縮機の部分縦断面図で、ラップ
の外周側部である。図9においては、固定スクロール2
に取り付けたブラシ18を、旋回スクロール1の鏡板3
0面と摺動させている。また、図10においては、旋回
スクロール1に導電性の板19を取り付け、この板19
にブラシ18を摺動させている。本変形例によれば、ブ
ラシの取付、取り外しが容易になるという利点がある。
様のブラシ15を固定スクロール2に取付け、旋回スク
ロール1の鏡板30面上を摺動させている。本変形例に
よっても、上述した各実施例および変形例と同様な効果
が得られる。なお、ブラシ15を旋回スクロール1に取
付け、固定スクロール2の鏡板面上を摺動させても良い
ことはいうまでもない。
ルやダストシールであることが判明したので、チップシ
ール11やダストシール12を導電性の材料とし、その
摺動相手である、例えば固定スクロールも導電性材料と
する。さらに、固定スクロールの表面に処理する表面処
理も導電性皮膜とすれば、旋回スクロール1には電荷が
たまらないので、静電気による不具合を回避できる。
は、クランク軸近傍に配置される軸受まで流れてくる。
そこで、クランク軸を支持する図12に示した転がり軸
受のシールド板25を導電性部材とし、このシールド板
25に内輪22および外輪23の双方を接触させる。こ
れにより、クランク軸4または旋回スクロール1の少な
くとも一方を接地できる。なお、図12において、転が
り軸受は、内輪22、外輪23と玉24の間にグリース
26が保持されている。このグリース26を導電性にし
ても、クランク軸4または旋回スクロール1の少なくと
も一方を接地できる。さらに、グリース26の基油をエ
−テル油、増ちょう剤をウレアとすれば、運転時の油膜
が厚くなり、以下に述べる酸化膜などの絶縁膜と同じ効
果が得られる。
の内輪22、外輪23、玉24の少なくともいずれか
に、酸化被膜などの絶縁性被膜を処理する。または、セ
ラミック材や、不導体皮膜が形成されたステンレス材と
する。これは、たとえ静電気が発生したとしても、酸化
皮膜やステンレス材が軸受鋼中への水素の侵入を抑制
し、軸受鋼の組織変化を抑制できるからである。
したVベルト64やタイミングベルト6の少なくとも一
方の駆動面を導体にすれば、電荷の発生を抑制できる。
Vプーリを絶縁体とし、ベルトとプーリがすべって発生
する電荷がクランク軸側に流れるのを防止する。これに
より、軸受が損傷するのを防止できる。
軸受に不具合が発生する恐れがあるのは、上述したよう
に静電気が存在すること、グリース中に水分があり、そ
れが分解して水素を発生すること、グリースの油膜が破
断する恐れがあることによる。そこで、もっとも簡便に
は水分量を低減すれば軸受の不具合の発生を防止でき
る。これはグリース内の水分量を0.2%以下にするこ
とで対処できる。また、グリースの基油に酸化安定性及
び熱安定性に富むものを、増ちょう剤に耐熱性、耐水
性、せん断安定性に富むものを選定すれば、グリースの
油膜の破断が防止され、軸受寿命を向上できる。その意
味からも、基油をエステル系合成油とし、増ちょう剤を
ウレア化合物とすることが望ましい。
おいても、旋回スクロールやクランク軸及び補助クラン
ク軸に集まった静電気を、固定スクロールに放電または
通電しているが、スクロール圧縮機を載置している圧縮
機支持部材に通電または放電するようにしても同様の効
果が得られる。さらに、上記説明では両歯型スクロール
圧縮機を例に取っているが、本発明は両歯型スクロール
圧縮機に限定されるものではなく、静電気の発生が予測
される全てのスクロール圧縮機に適用できる。
ル部材やベルト等の樹脂材料を含む部材が摺動して発生
する静電気が軸受部に流れて軸受を損傷させることを防
止できるので、長期にわたってスクロール圧縮機を信頼
性高く運転できる。
断面図。
部の詳細断面図。
部の詳細断面図。
部の詳細断面図。
部の変形例の詳細断面図。
部の変形例の詳細断面図。
部の変形例の詳細断面図。
面図。
例の詳細断面図。
例の詳細断面図。
の断面図。
圧縮機ユニットの部分断面図。
クロール、4…主クランク、5…補助クランク、6…タ
イミングベルト、7…タイミングプーリ、8…Vプー
リ、9…吐出口、10…ダストラップ、11…チップシ
ール、12…ダストシール、13…バックアップチュー
ブ、14…ボルト、15…ブラシ、16…アタッチメン
ト、17…アダプタ、18…ブラシ、19…板、20…
スリップリング、21…導線、22…内輪、23…外
輪、24…玉、25…シールド板、26…グリース、3
0…鏡板、312、32…ラップ、41、42…ラッ
プ、43…溝、44、45…鏡板、46…溝、100…
スクロール圧縮機。
Claims (17)
- 【請求項1】渦巻き状のラップを有する旋回スクロール
と、この旋回スクロールのラップと噛合う渦巻き状のラ
ップを有する固定スクロールと、前記旋回スクロールを
駆動するクランク軸と、前記固定スクロールと旋回スク
ロールの少なくともいずれかのラップ先端に取付けたチ
ップシールとを備えたスクロール圧縮機において、前記
旋回スクロールとクランク軸の少なくとも一方は導電性
の材料からなり、スクロール圧縮機の運転中は前記旋回
スクロールが前記固定スクロールに電気的に導通する導
通手段を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。 - 【請求項2】渦巻き状のラップを有する旋回スクロール
と、この旋回スクロールのラップと噛合う渦巻き状のラ
ップを有する固定スクロールと、前記旋回スクロールを
駆動するクランク軸と、前記固定スクロールと旋回スク
ロールの少なくともいずれかのラップ先端に取付けたチ
ップシールとを備えたスクロール圧縮機において、前記
旋回スクロールとクランク軸の少なくとも一方は絶縁体
または不導体被膜表面処理が施されており、スクロール
圧縮機の運転中は前記旋回スクロールが前記固定スクロ
ールに電気的に導通する導通手段を設けたことを特徴と
するスクロール圧縮機。 - 【請求項3】前記導通手段は、前記クランク軸の軸端部
に設けられ、前記クランク軸に溜まった静電気をクラン
ク軸外に導くスリップリングまたはブラシであることを
特徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧縮
機。 - 【請求項4】前記チップシールは導電性材料からなり、
このチップシールが接触する前記旋回スクロールまたは
固定スクロールの表面を導電性としたことを特徴とする
請求項1または2に記載のスクロール圧縮機 - 【請求項5】前記固定スクロールのラップの外径側に環
状のダストラップを設け、このダストラップの先端に導
電性のダストシールを配設したことを特徴とする請求項
1または2に記載のスクロール圧縮機。 - 【請求項6】前記クランク軸を支持する転がり軸受を有
し、この転がり軸受の内輪と外輪とが運転中に導通する
ようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の
スクロール圧縮機。 - 【請求項7】前記転がり軸受が、導電性グリースを有す
ることを特徴とする請求項6に記載のスクロール圧縮
機。 - 【請求項8】前記クランク軸を支持する転がり軸受を有
し、この転がり軸受の内輪と外輪と転動体の少なくとも
いずれかは電気的な絶縁体であることを特徴とする請求
項1または2に記載のスクロール圧縮機。 - 【請求項9】前記クランク軸を支持する転がり軸受を有
し、この転がり軸受の内輪と外輪と転動体の少なくとも
いずれかが不導体皮膜を形成する材料からなることを特
徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。 - 【請求項10】前記不導体皮膜を形成する材料は、マル
テンサイト系ステンレスであることを特徴とする請求項
9に記載のスクロール圧縮機。 - 【請求項11】前記旋回スクロールは鏡板の両側に渦巻
き状のラップを有しており、前記固定スクロールは旋回
スクロールのそれぞれのラップに噛み合うラップを有す
る一対の固定スクロール部材を有しており、旋回スクロ
ールと固定スクロールのラップとで形成される作動室に
潤滑油等の油の混入の無いオイルフリー圧縮機であるこ
とを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧
縮機。 - 【請求項12】ラップを有する旋回スクロールと、この
旋回スクロールのラップと噛合うラップを有する固定ス
クロールと、前記旋回スクロールを駆動し、前記旋回ス
クール及び固定スクロールの双方のラップより外径側に
配置されたクランク軸および補助クランク軸と、前記ク
ランク軸に取付けられた第1のプーリと補助クランク軸
に取付けられた第2のプーリと、この第1及び第2のプ
ーリの外周側に装架されたベルトとを備えたスクロール
圧縮機において、前記ベルトと前記第1及び第2のプー
リとを電気的に導通させたことを特徴とするスクロール
圧縮機。 - 【請求項13】ラップを有する旋回スクロールと、この
旋回スクロールのラップと噛合うラップを有する固定ス
クロールと、前記旋回スクロールを駆動し、前記旋回ス
クール及び固定スクロールの双方のラップより外径側に
配置されたクランク軸および補助クランク軸と、前記ク
ランク軸に取付けられた第1のプーリと補助クランク軸
に取付けられた第2のプーリと、この第1及び第2のプ
ーリの外周側に装架されたベルトとを備えたスクロール
圧縮機において、前記クランク軸と前記第1のプーリと
の間、及び前記補助クランク軸と前記第2のプーリとの
間を電気的に絶縁したことを特徴とするスクロール圧縮
機。 - 【請求項14】鏡版の両側に渦巻き状のラップを有する
旋回スクロールと、この旋回スクロールのラップに噛み
合うラップを有する1対の固定スクロールと、前記旋回
スクロールを回転駆動し、固定スクロール及び旋回スク
ロールのラップよりも外径側に配置された主クランク軸
と補助クランク軸と、これら主クランク軸及び補助クラ
ンク軸を支承する複数の転がり軸受と、主クランク軸及
び補助クランク軸に取付けられた第1、第2のプーリ
と、この第1、第2のプーリに装架された樹脂製のタイ
ミングベルトと、前記旋回スクロールラップ及び固定ス
クロールラップの先端に形成された溝に保持された樹脂
製のチップシールとを備えたオイルフリーの両歯型のス
クロール圧縮機において、前記タイミングベルト部及び
前記チップシール部で発生した静電気を旋回スクロール
側から固定スクロール側に逃がす静電気放出手段を設け
たことを特徴とするスクロール圧縮機。 - 【請求項15】前記静電気放出手段は、クランク軸と補
助クランク軸の少なくともいずれかの軸端部に設けたス
リップリングであることを特徴とする請求項14に記載
のスクロール圧縮機。 - 【請求項16】前記静電気放出手段は、複数の転がり軸
受への静電気の滞留を防止する導電性グリースであるこ
とを特徴とする請求項14に記載のスクロール圧縮機。 - 【請求項17】前記軸受はグリース潤滑軸受であり、こ
のグリースの基油はエーテル系合成油であり、増ちょう
剤がウレア化合物であることを特徴とする請求項14に
記載のスクロール圧縮機。
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