JP2001303359A - ポリビニルアルコ−ル系繊維の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコ−ル系繊維の製造方法

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JP2001303359A
JP2001303359A JP2000122445A JP2000122445A JP2001303359A JP 2001303359 A JP2001303359 A JP 2001303359A JP 2000122445 A JP2000122445 A JP 2000122445A JP 2000122445 A JP2000122445 A JP 2000122445A JP 2001303359 A JP2001303359 A JP 2001303359A
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drying
inorganic salts
mass
pva
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洋一 山本
Yoshihiko Kawamura
吉彦 河村
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡便かつ低コストであるにもかかわら
ず、機械的性能に優れ、しかも膠着しにくいポリビニル
アルコール系繊維を効率的に製造できる方法及び該方法
により得られるPVA系繊維を提供する。 【解決手段】 硼酸及び/または硼酸塩0.02〜0.
2質量%、ビニルアルコ−ル系ポリマ−5〜40質量%
を含み、かつ溶媒が水である紡糸原液を、アルカリ0.
0025〜0.25モル/リットル及び無機塩類を含む
アルカリ性凝固浴へ紡糸する凝固浴吐出工程を通過させ
た後、次いで少なくとも以下の工程を順に通過させてポ
リビニルアルコール系繊維を製造する。 (1) 酸0.005〜0.5モル/リットル及び無機
塩類を含む水溶液中で中和する中和工程。 (2) 糸篠の無機塩類付着量が1〜15質量%となる
ように糸篠を洗浄する洗浄工程。 (3) 糸篠を乾燥する乾燥工程。 (4) 乾熱延伸工程。 (5) 無機塩類が実質的に完全に除去されるまで糸篠
を洗浄した後に乾燥する乾燥仕上工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリビニルアルコール
(以下PVAと略記する場合がある)系繊維及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、耐アルカリ性、機械的性能、耐候
性等の諸性能に優れていることから、産業資材分野等に
おいてはPVA系繊維が広く使用されている。たとえ
ば、PVA系繊維の代表的な製造方法として、PVA水
溶液を脱水能を有する無機塩類を含む室温の凝固浴中に
湿式紡糸し、ロ−ラ−延伸、湿熱延伸した後、乾燥延伸
する方法が知られている。該方法によれば低コストで効
率的にPVA系繊維を製造可能であるものの、得られる
PVA系繊維の機械的性能に限界があった(一般には延
伸倍率は8倍程度で強度5.5cN/dtex程度)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のことから、PV
A系繊維の機械的性能をさらに高めるための種々の方法
が提案されている。たとえば特開平1−298208号
公報には、PVA系ポリマ−に対して0.5〜5質量%
の硼酸もしくは硼酸塩と、pHコントロ−ル用の酸を溶
解した比較的PVA濃度の低い紡糸原液を、湿式紡糸法
により55〜95℃のアルカリ飽和塩類浴(凝固浴)へ
吐出後、ロ−ラ−延伸して中和し、引き続いて残存硼酸
を一定レベル以下にするため水洗した後乾燥し、次いで
全延伸倍率17倍以上になるように乾熱延伸する方法が
提示されている。かかる方法により得られるPVA系繊
維は機械的性能に優れたものであるが、乾熱延伸工程前
に硼酸濃度を一定レベル以下にするための水洗工程を通
過させているため、1度形成された繊維構造が水洗によ
り破壊され、しかも糸篠中に多量の水分を含有した状態
で乾燥されるため膠着しやすい問題があった。従って、
生産速度を上げることが困難であるため生産コストが高
くなり、また残存する硼酸を水洗するためには巨大な設
備が必要であり効率的でなかった。
【0004】一方、PVAをジメチルスルホキシド等の
有機溶剤に溶解して得られる紡糸原液を固化浴に吐出し
て固化させて機械的性能に優れたPVA系繊維を製造す
る方法が提案されているが、かかる方法では繊維の製造
工程が煩雑であり、また製造コストが高くなる問題があ
る。本発明の目的は、比較的簡便かつ低コストであるに
もかかわらず、機械的性能に優れ、しかも膠着しにくい
PVA系繊維を効率的に製造できる方法及び該方法によ
り得られるPVA系繊維を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、 <1> 硼酸及び/または硼酸塩0.02〜0.2質量
%、ビニルアルコ−ル系ポリマ−5〜40質量%を含
み、かつ溶媒が水である紡糸原液を、アルカリ0.00
25〜0.25モル/リットル及び無機塩類を含むアル
カリ性凝固浴へ紡糸する凝固浴吐出工程を通過させた
後、次いで少なくとも以下の工程を順に通過させるポリ
ビニルアルコール系繊維の製造方法、 (1) 酸0.005〜0.5モル/リットル及び無機
塩類を含む水溶液中で中和する中和工程。 (2) 糸篠の無機塩類付着量が1〜15質量%となる
ように糸篠を洗浄する洗浄工程。 (3) 糸篠を乾燥する乾燥工程。 (4) 乾熱延伸工程。 (5) 無機塩類が実質的に完全に除去されるまで糸篠
を洗浄した後に乾燥する乾燥仕上工程。 <2> <1>に記載の水硬性材料補強用繊維の製造方
法、 <3> <1>に記載の方法により得られるポリビニル
アルコール系繊維、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるPVA系ポリ
マ−は、あらゆるPVA系ポリマ−を使用することがで
きる。たとえば、主鎖又は側鎖を他のモノマ−からなる
重合体又はモノマ−で変性されたPVAや、、例えばエ
チレン、イタコン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル
類などのモノマ−を含むものでもよい。耐熱水性等の点
からは共重合割合は20モル%以下であるのが好まし
い。またシンジオタクト部位が同じ主鎖に含まれるよう
なPVA系ポリマ−等を用いても良い。ポリマ−の平均
重合度は、紡糸原液の取扱性、コストの点から4000
以下、特に3000以下であるのが好ましく、繊維の強
度、耐熱水性等の点からは500以上であるのが望まし
い。またケン化度は、耐熱水性、機械的性能等の点から
96%以上、さらに99%以上100%以下とするのが
好ましい。ケン化度が低すぎると、凝固浴中に存在する
アルカリがPVAのケン化に使用されてPVAと硼酸の
反応(ゲル化)が十分に行われない場合があるため好ま
しくない。
【0007】かかるPVA系ポリマーを含有する紡糸原
液を調製すればよいが、製造コスト、製造効率の点から
は紡糸原液を構成する溶媒を水にする必要がある。紡糸
原液のPVA系ポリマ−の濃度は、その重合度によって
異なるが紡糸性及びコストの点からは5〜40質量%と
する必要があり、好ましくは10〜30質量%とする。
本発明においては、高強力繊維を得ることを目的として
いるので、PVA系ポリマ−の濃度は低い方がポリマ−
の分子鎖の絡みが少なく、高倍率延伸が可能となるので
好ましい。しかしながら、PVA系ポリマ−の濃度が低
すぎると生産性が低下し、また単繊維太さのバラツキ
(繊度斑)が発生しやすくなるので、該濃度を調整する
必要がある。
【0008】また本発明においては、凝固工程でPVA
に架橋構造を形成させて急激に脱水が生じるのを抑制
し、繊維の構成を均一化して強度及び初期弾性率を高め
る点からは、紡糸原液に硼酸及び/又は硼酸塩を添加す
る必要があり、具体的には紡糸原液における硼酸の濃度
を0.02質量%以上、特に0.04質量%以上とする
必要がある。紡糸原液に硼酸を添加しない場合には凝固
工程で脱水が急激に進行して繊維が不均一化されるため
に繊維の機械的性能、特に初期弾性率が十分に向上しな
い。逆に硼酸濃度が高すぎると、大規模な水洗工程を採
用しなければ繊維中の硼酸残存量が多くなりすぎるため
に延伸性が低下して高強力繊維が得られなくなる。大規
模な水洗工程を採用すれば硼酸残存量を適宜設定できる
が、この場合、膠着等が生じやすく、また大規模な装置
が必要となるため効率的でない。また、硼酸濃度が高す
ぎると繊維横断面にスキン−コア構造が形成されにくく
なるため、膠着防止性、水分散性も低下することにな
り、さらに断面充実度が高くなるため補強繊維として用
いた場合にマトリックスとの接着性が低下する。よって
紡糸原液における硼酸の濃度を0.2質量%以下、好ま
しくは0.15質量%以下とする必要がある。
【0009】もちろん、本発明の効果を損わない範囲で
あれば他の液体、添加剤、他のポリマー等が添加されて
いてもかまわない。たとえば口金の寿命、延伸工程の安
定性を高めるために、また繊度斑を改善するために紡糸
原液に1種又は2種以上の界面活性剤を添加すればよ
い。その際の添加率は凝固不良等を抑制するために20
質量%以下、特に0.1〜3質量%とするのが好まし
い。界面活性剤の種類は、ノニオン系、アニオン系、カ
チオン系、両性系いかなるものを用いても良いが、2種
類以上を併用して使用する場合には、沈殿が生じるよう
な組み合わせ(たとえばアニオン系とカチオン系)は好
ましくない。特にノニオン系界面活性剤を使用するのが
好ましい。また、界面活性剤を添加することにより延伸
工程の安定性が向上してより延伸倍率を高めて機械的性
能に優れた繊維を得ることが可能になる。また硼酸含有
するPVA紡糸原液が、口金から吐出する以前にゲル化
しないよう原液中での安定性を確保するため、紡糸原液
のpHを5以下の酸性側にしておくことが有用である。
このため紡糸原液へpHコントロール剤として酸を添加
しておくことが好ましい。酸としては酢酸などの有機酸
や硝酸などの無機酸が好適に使用され、酸濃度としては
紡糸原液のpHが2〜5となる程度が良く、例えば酢酸
の場合は0.003〜0.1モル/リットルが良い。
【0010】かかる紡糸原液を口金から凝固液に吐出し
て糸篠を形成すればよい。本発明で採用される紡糸方法
はPVAを硼酸によりゲル化できれば特に限定されず、
たとえばノズルが凝固浴と直接接している湿式紡糸、ま
たノズルと凝固浴との間に空気層や窒素層のような不活
性ガス層が介在する乾湿式紡糸でもよい。紡糸工程安定
性等の点からは湿式紡糸法を採用するのが好ましい。凝
固液としては、PVA水溶液に対して脱水能のある無機
塩類水溶液が好適に使用でき、特に高濃度水溶液、なか
でも飽和水溶液が好適に使用できる。凝固液を構成する
無機塩類としては、硫酸ナトリウム(芒硝)、硫酸アン
モニウム(融点513℃)、炭酸ナトリウム(融点85
2℃)など脱水能を有する塩類、好ましくは硫酸ナトリ
ウムの水溶液が用いられる。水溶液濃度は100g/リ
ットル以上から飽和濃度まで選択できる。なかでも工程
性、コスト等の点から無機塩類濃度は300g/リット
ル以上、特に320g/リットル以上であるのが好まし
く、さらに飽和水溶液凝固浴を用いるのが好ましい。か
かる凝固浴を用いた場合、脱水凝固によって繊維横断面
にスキン−コア構造が形成されて、膠着防止、水分散性
等に優れた繊維が得られる。
【0011】また本発明においては、紡糸原液に添加さ
れた硼酸及び/又は硼酸塩によりPVAに架橋構造を形
成させて急激な脱水凝固反応抑制するために、凝固液に
アルカリ性物質を添加する必要がある。好ましいアルカ
リとしては水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等が挙
げられるが、架橋構造形成性、コスト等の点からは水酸
化ナトリウムを用いるのが好ましい。アルカリ濃度は架
橋構造を十分に形成される点からは0.0025モル/
リットル以上、好ましくは0.01モル/リットル以上
とする必要があり、大規模な中和工程を簡略化する点等
からはアルカリ濃度0.25モル%以下/リットル、好
ましくは0.1モル%以下/リットルとする必要があ
る。アルカリ残存量が高くても酸の濃度を高くすれば中
和を行うことができるが、この場合、糸篠に付着した酸
等を除去するための負担が大きくなり、設備のコンパク
ト化の点でも好ましくない。凝固浴の温度は20〜70
℃、特に30〜50℃とするのが好ましく、また、本発
明の効果を損なわない範囲で他の添加物等が含まれてい
てもよい。
【0012】該凝固液に紡糸原液を吐出することによ
り、紡糸原液に添加された硼酸が凝固浴中のアルカリの
存在によりPVAが架橋され、糸篠が凝固浴中に急激に
脱水されなくなるため繊維断面の構造がある程度均一化
される。よって、糸篠高倍率延伸が可能となって機械的
性能に優れた繊維が得られる。なお、一般に紡糸原液に
硼酸及び/又は硼酸塩を添加してアルカリ性物質含有凝
固液に吐出すると急激な脱水凝固反応が大幅に抑制され
てスキン−コア構造が形成されなくなって繊維の断面充
実度も大きくなるが、本発明においては微量の硼酸及び
/硼酸塩を添加していることからスキン−コア構造が消
失するまでにはいたらず、膠着防止、水分散性の高い繊
維が得られる。また従来のPVA繊維の湿式紡糸での製
造方法や装置を利用でき、効率的かつ低コストで繊維を
製造できる。
【0013】かかる凝固浴吐出工程を通過させた後、次
いで少なくとも以下の工程を順に通過させて所望のPV
A系繊維を製造すればよい。 (1) 酸0.005〜0.5モル/リットル及び無機
塩類を含む水溶液中で中和する中和工程。 (2) 糸篠の無機塩類付着量が1〜15質量%となる
ように糸篠を洗浄する洗浄工程。 (3) 糸篠を乾燥する乾燥工程。 (4) 乾熱延伸工程。 (5) 無機塩類が実質的に完全に除去されるまで糸篠
を洗浄した後に乾燥する乾燥仕上工程。
【0014】上記の工程を順に詳細に説明する。口金よ
り凝固浴中に吐出された紡糸原液は、ゲル化及び脱水さ
れて糸篠を形成されるが、その後中和工程に導けばよ
い。中和に用いられる中和液は、PVA水溶液に対して
脱水能のある無機塩類水溶液に酸が添加された溶液を用
いればよい。無機塩類水溶液としては、無機塩類の高濃
度水溶液、なかでも飽和水溶液が好適に使用できる。中
和に用いられる中和液を構成する無機塩類としては、硫
酸ナトリウム(芒硝)、硫酸アンモニウム等が好まし
く、なかでも硫酸ナトリウムが好ましい。糸篠の膨潤・
膠着を抑制する点からは、凝固液の無機塩類濃度は30
0g/リットル以上、特に320g/リットル以上、さ
らに350g/リットルであるのが好ましい。
【0015】また効率的に中和を行う点からは、中和工
程に用いられる中和液の酸濃度は0.005〜0.5モ
ル/リットル、好ましくは0.02〜0.3モル/リッ
トルとするのが好ましい。酸濃度が低すぎると前工程の
アルカリをコンパクトな設備で中和するのが困難とな
り、中和浴中で糸篠を絞る等の物理的な液置換による強
制的な中和が必要となる。また濃度が高すぎると、前述
のように後の酸除去工程に負担がかかり、これも設備の
コンパクト化が困難となる。酸の種類は特に限定されな
いが、中和効率及びコストの点からは硫酸を用いるのが
好ましい。中和の方法は特に限定されないが、糸篠を中
和浴に浸漬して中和するのが工程上好ましく、温度は2
0〜70℃、特に30〜50℃とするのが好ましい。ま
た、凝固浴のアルカリ濃度と中和浴の酸濃度の比は、1
〜3:1、特に1.5〜2.5:1とするのが好まし
い。なお、中和工程で糸篠が膨潤・膠着するのを抑制す
る点からは、凝固浴吐出工程から中和工程にいたるまで
の工程(凝固浴吐出後離浴させてから中和工程にいたる
までの工程)で湿熱延伸工程を通過させるのが好まし
く、具体的には1〜4倍程度のロ−ラ−延伸を行うのが
より好ましい。
【0016】このように、本発明においては、紡糸原液
中の硼酸(塩)濃度、PVAと硼酸(塩)を架橋させる
ためのアルカリ濃度、アルカリを中和するための酸濃度
は、紡糸工程中で一般に中和工程の後に設置する酸を実
質的に完全に除去する大規模な水洗工程を簡略化すると
いう目的のために必要最小限にしておく必要がある。
【0017】本発明においては、上記の方法によって繊
維化された紡糸原糸を洗浄工程に導く必要がある。かか
る洗浄工程において中和工程で付着した酸を除去するの
みでなく、糸篠に付着した無機塩類付着量を特定範囲、
具体的には1〜15質量%とすることが重要である。本
発明者等は、無機塩類量と乾燥後の繊維の延伸性を鋭意
検討した結果、延伸性の向上すなわちPVA系繊維の力
学的物性の改質は、スキン−コア構造に代表される繊維
断面の均質度が支配的なのではなく、延伸工程において
糸篠に付着含有した無機塩類が延伸性に大きく影響して
いることを見出した。すなわち、繊維断面に観察される
スキン−コア構造は繊維の不均一構造を現しているもの
であるが、従来の方法では多量に付着した無機塩類が繊
維の延伸性を著しく低下させているのであって、無機塩
類付着状態をコントロールすることによって、スキン−
コア構造を有する繊維の延伸性を大幅に改善出来ること
を見出したものである。
【0018】一般に無機塩類を付着含有したまま糸篠を
乾燥することが行われているが、これは乾燥工程へ至る
糸篠の含有水分を少なくし、かつ乾燥工程での水分除去
を速やかに行わしめるためであり、さらに繊維内部から
蒸発した水分によって繊維表面が膨潤や溶解して単繊維
同士が膠着しないようにするためである。乾燥される前
の湿潤糸篠は自重の半分以上の水分を繊維内部に含有し
ているが、乾燥工程を通過させることにより水分含有量
を0.1質量%以下/PVA質量の低含量にする必要が
ある。すなわち乾燥が不十分で含水率が高くなると乾熱
延伸工程において溶断や発泡が生じやすくなり、そのた
め高倍率に延伸できなくなって繊維の機械的物性が不十
分となる。
【0019】特に繊維の単繊維繊度及び集束度(総繊
度)が大きいほど均一にかつ効率的に延伸を施すことが
困難となり、それにともなって水分調節や膠着を防止す
ることが一層重要となる。たとえばステープルのPVA
繊維製造が一般的な湿式紡糸法においては、生産性を高
めるため繊維の総繊度を10万dtex以上とする場合が多
いが、このとき糸篠の幅や厚みが正確に形作られ、かつ
長さ方向でも斑が無いことが高度に要求されると同時
に、無機塩類による糸篠からの十分な脱水と、加熱され
た糸篠内部での水分による繊維間膠着の防止が特に重要
となる。膠着が生じると繊維の品位、機械的性能が損わ
れるとともに、長さ1〜10mm程度のカットファイバ
ーを補強材として各種マトリックス(モルタル、ゴム、
プラスチックなど)に添加混合する場合、分散性が著し
く損われ、また紙等を製造する場合においても水中分散
性が損われて地合及び機械的性能に優れた紙が得られな
い。以上のような理由から、一般にPVA繊維に無機塩
類25質量%以上/PVA付着させた状態で乾燥処理が
なされているのが現状である。
【0020】しかしながら、無機塩類単体の熱的安定性
は高く一般的なPVA繊維の延伸や収縮温度の200〜
240℃域では固体のままの場合が多い。たとえば脱水
凝固能が高く取扱性に優れているため一般に広く使用さ
れている芒硝(硫酸ナトリウムの10水塩)は、40℃
以上で乾燥すると含水塩結晶となり、さらに温度上昇に
伴って水を徐々に放出していき最後には融点884℃の
無色斜方晶系の固い結晶となる。よって延伸工程におい
て芒硝(無水塩)は固体結晶として存在し、単繊維表面
を被覆して単繊維及び単繊維間を強固に固定しているこ
ととなる。そのため延伸工程中の加熱エネルギーの一部
が芒硝に吸収されるのみでなく、糸篠に均一にかかるべ
き延伸張力が不均一となってPVA系繊維の延伸細化挙
動に悪影響を与えていると考えられる。特に糸篠が延伸
炉内で融点近くまで加熱されて延伸される場合、繊維表
面に付着する芒硝は、その硬い形状のまま隣の繊維表面
に接触して、非常に軟化した繊維表面にキズを付けるこ
とも十分考えられ、その際延伸張力がそのキズ部分に集
中的にかかり、低い延伸倍率で繊維の切断へ至ることも
予想できるなど、延伸細化挙動へ大きく影響していると
みられる。
【0021】本発明者等は、鋭意研究の結果、膠着を防
止し乾燥を効率的に行うためには無機塩類を含有した状
態で乾燥することが必要であるが、該無機塩類の存在に
よって繊維の延伸性が損われることとなることを見出す
とともに、該問題を解決するために無機塩類の一部、特
に繊維表面の無機塩類を選択的に除去することによっ
て、マトリックスとの接着性及び柔軟性等に優れた横断
面形状を損うことなく、膠着が抑制されると同時に延伸
性が顕著に改善されることを見出したものである。一般
には繊維表面の無機塩類を除去すると膠着が発生し易く
なると考えられているが、湿潤状態の繊維内部に存在す
る無機塩類の一部は乾燥工程において水分と一緒に繊維
表面に移動するため、水洗工程で繊維表面の無機塩類が
完全に除去されても、乾燥工程で繊維間膠着を防止でき
るのである。該洗浄工程により、繊維表面及び単繊維間
に存在する無機塩類(以下、単に繊維表面に存在する無
機塩類と称する場合がある)の75〜95質量%,かつ
繊維内部に存在する無機塩類の0〜70質量%を除去す
るのがより好ましい。かかる除去率とすることにより本
発明の効果が効率的に得られる。繊維表面の無機塩類の
除去率を80質量%以上、繊維内部に存在する無機塩類
の除去率を20〜60質量%とするのがより好ましい。
【0022】具体的な洗浄方法としては水、アルコ−ル
等の洗浄液により洗浄する方法が好適に挙げられ、該洗
浄液中に浸漬する方法が特に好ましい。洗浄時間は膨潤
抑制等の点から1〜60秒程度、特に3〜40秒程度と
するのが好ましい。かかる簡便な方法を採用し、その洗
浄条件をコントロールすることによって無機塩類付着量
を所望の範囲とすることができ、また中和工程で付着し
た酸を実質的に除去できる。一般に中和工程で付着した
酸等を完全に除去するためには大規模な洗浄工程が必要
となるが、本発明においては低濃度の中和液を用いてい
ることから、かかる簡便な方法で酸を除去することが可
能となる。繊維に酸やアルカリが残存していると、乾熱
延伸工程で繊維が劣化するため所望の繊維が得られなく
なる。
【0023】洗浄工程で用いられる洗浄液(液体)は特
に限定されないが、コスト及び繊維の性能を損うことな
く効率的に繊維表面の無機塩類を除去する点からは、水
または低濃度無機塩類水溶液、特に低濃度無機塩類水溶
液を用いるのが好ましい。このとき長期間同一の洗浄液
を用いていると無機塩類濃度が高くなっていくことか
ら、洗浄液を適宜置換することで無機塩類濃度を一定濃
度以下に保つのが望ましい。塩類の水溶液濃度は200
g/リットル以下10g/リットル以上とするのが好ま
しい。繊維間膠着を抑制する点からは無機塩類濃度50
g/リットル以上の洗浄液を使用するのがより好まし
い。洗浄液には、本発明の効果が損なわれない範囲で他
の添加物が含まれていてもよい。洗浄液の温度は特に限
定されないが、膠着を防止する点からは10〜85、特
に20〜70℃とするのが好ましい。
【0024】洗浄工程においては、繊維表面の無機塩類
を選択的に除去する点及び繊維の膨潤をより効果的に抑
制する点からは、糸篠を緊張下で洗浄するのが好まし
く、張力を一定に保つのが好ましい。このとき、より速
やかに繊維表面の無機塩類を選択的に除去する点から、
浴中で糸篠に超音波振動を加えたり、糸篠を浴中で上下
に移動させてもかまわない。
【0025】無機塩類を実質的に完全に除去する場合に
は、糸篠太さや総繊度により洗浄条件が大きく異なる
が、本発明においては糸篠の太さが与える影響はきわめ
て小さい。すなわち、本発明においては繊維表面の無機
塩類を選択的に除去すれば目的が達成され、繊維表面の
無機塩類と繊維内部の無機塩類の適量を洗浄すればよい
からである。従って、生産性を考えると水洗工程での糸
篠の太さが大きいほど良く、例えば1万dtex以上、特に
10〜60万dtex以上のものが生産上有利である。この
ような大きな糸篠を水洗する場合には、糸篠の幅を広く
取り、厚みを薄くして塩類の洗浄効率を高めることが好
ましい。特に洗浄時の糸篠厚みは、3mm以下、好まし
くは2mm以下が良い。これにより糸篠の幅及び長さ方
向の洗浄斑を極小化でき、均一で設定通りの塩類洗浄が
可能となる。本発明においては乾熱延伸後の糸篠の総繊
度は1万〜200万dtex程度、特に10万〜170万dt
exのものを効率的に製造できる。
【0026】乾燥工程に導入される糸篠の無機塩類付着
量は、乾燥効率、膠着防止の点からPVA質量に対して
1質量%以上、さらに2質量%以上、特に3質量%以
上、またさらに5質量%以上とするのが好ましい。無機
塩類付着量が少なすぎると乾燥工程における乾燥効率が
低下し、さらに膠着が発生しやすくなる。乾燥工程へ糸
篠が含有する形で持ち込む水分量は、塩類洗浄浴の温度
が同じ場合、無機塩類の量が多いほど少ない。無機塩類
が芒硝の場合、無水洗時の水分量(単位PVA量に対し
て)を100とすると、糸篠全体で付着含有率が15質
量%/PVAで約150〜200、10質量%/PVA
で約250、約5質量%以下では水分量300以上とな
ってほぼ横這いとなる傾向にある。このため糸篠に付着
含有する水分を乾燥する場合、乾燥負荷の軽減のみを考
えると糸篠の無機塩類量は多い程良い。しかし延伸性等
の点からはPVA質量に対して15質量%以下、さらに
14質量%以下であるのが好ましい。無機塩類付着量が
多すぎると延伸性が十分に改善されない。
【0027】ここで最も好ましいのは、繊維表面に付着
した無機塩類を選択的に洗浄除去すると同時に繊維内部
の無機塩類を適度に残存させることである。乾燥工程に
導入される糸篠において、繊維表面の無機塩類付着量は
7質量%以下、特に5質量%以下とするのが好ましく延
伸性の点からは低ければ低いほどよい。逆に繊維内部は
膠着防止、乾燥効率の点から1質量%以上/PVA、特
に5質量%以上とするのが好ましく、延伸性の点からは
10質量%以下、さらに7質量%以下とするのが好まし
い。繊維内部の無機塩類付着量が1質量%以下となる
と、乾燥後のPVA系繊維の断面においてスキン−コア
構造が徐々に不明瞭となり、無機塩類が芒硝の場合、約
0.3質量部以下でほぼスキン−コア構造が無くなる傾
向がある。かかるスキンーコア構造が形成されていない
繊維は、無機塩類が過剰に除去されているため膠着が発
生して繊維の品位や水分散性が低下し、さらにコスト・
工程性等の点で不利であり本発明の効果は得られない。
なお洗浄工程前の繊維内部における無機塩類付着量は一
般的には10〜20質量%/PVAである。
【0028】また乾燥工程への持ち込み水分量を減少さ
せるには、糸篠の塩類洗浄後に50〜90℃の高温浴で
1〜4倍の湿熱延伸を行うのが効果的である。すなわ
ち、糸篠を高温浴で湿熱延伸すれば、糸篠の脱水凝固が
促進されて含水率が低下し、かつ続く乾燥工程へ入る時
の糸篠温度が高くなるために水分乾燥に必要な潜熱を保
有した状態となり、乾燥機内での糸篠の加熱が早くな
る。湿熱延伸浴の塩類濃度が高いと糸篠に再度塩類を再
付着させることになることから、凝固浴の無機塩類濃度
よりも低い無機塩類濃度とする必要があり、この点から
は湿熱延伸する浴の塩類濃度は低ければ低いほど良い。
しかしながら、糸篠の脱水凝固を適度に進行させる点か
らは凝固浴と同じ無機塩類を含有させるのが好ましく、
10g/リットル以上の無機塩類濃度とするのがより好
ましい。湿熱延伸浴で用いられる無機塩類としては、凝
固浴と同様のものが使用できる。
【0029】なかでも、湿熱延伸工程に入る際の糸篠の
塩類量(A質量部)と水分量(B質量部)より決まる濃
度(=A/(A+B)×100%)とするのがより好ま
しい。乾燥前の糸篠内部の塩類含有量と湿熱延伸浴の塩
類含有量をほぼ同じくすることにより、浴中で糸篠への
塩類付着はなされず、塩類除去のみ進行することとな
る。浴の塩類濃度は、糸篠の塩類付着含有量が10質量
%/PVAの場合には50〜150g/リットル程度、
5質量%/PVAの場合には20〜80g/リットル程
度が良いが、糸篠の延伸倍率や含水率、浴温度などで適
宜設定するのが良い。
【0030】湿熱延伸浴の温度は脱水作用の面では高い
ほど良いが、糸篠の膨潤溶解や断糸を防止する点から5
0〜90℃が良く、特に60〜80℃とするのが好まし
い。ただし糸篠の塩類付着含有量等の条件により温度を
注意して設定するのが好ましい。一般には無機塩類の付
着含有量が小さいほど好適な温度は低下する傾向にあ
る。以上の湿熱延伸工程を塩類の洗浄工程の後に導入す
ることで、糸篠が乾燥工程へ持ち込む水分量を更に低下
させることができ、乾燥負荷の低減に大きく効果が発揮
できる。
【0031】本発明においては、膠着防止用の油剤を付
与することなく効果的に繊維間膠着を抑制することがで
きるが、所望により水洗工程後に膠着防止用の油剤を糸
篠へ付着させてもよい。その付着方法は従来の公知の方
法、すなわち油剤槽へ糸篠を含浸させて付与する方法
や、油剤の付いたローラー表面を糸篠が接触する方法な
どが採用できる。油剤成分としてはPVA系繊維と接着
性が良くかつ乾燥温度(100〜150℃)でも固化せ
ず、しかもPVA系繊維の繊維間摩擦係数を上げないも
のが好ましい。例えばパラフィン系やシリコン系の油剤
が好適に使用できる。なお糸篠が湿潤状態の場合、繊維
内部に包含された無機塩類の一部は、乾燥工程において
水分除去を行う過程で水分と一緒に繊維表面にある程度
移動するため、水洗工程で繊維表面の無機塩類が実質的
に完全に除去されても、乾燥工程における繊維間膠着を
抑制できる。
【0032】油剤を付与するとカットファイバーの水中
分散性等の諸性能が低下しやすい問題があるので、油剤
の付着率を1.2質量%以下/PVA、さらに0.8質
量%以下、特に0〜0.5質量%/PVAとするのが好
ましい。本発明によれば繊維内部に存在する無機塩類に
より繊維間膠着を抑制でいることから、油剤を実質的に
付与しなくても高性能の繊維、具体的には水分散性レベ
ルA〜B,特に水分散性レベルAの繊維が得られる。な
お本発明にいう水分散性レベルは、実施例に記載の方法
により測定できる。次いで湿潤糸篠を乾燥すればよ
い。。乾燥は80〜150℃、特に100〜140℃程
度で行うのが好ましく乾燥後延伸されて巻き取られる。
乾燥工程に導入される糸篠の水分含有量は80〜300
質量%/PVA程度、特に90〜200質量%/PV
A、さらに100〜180質量%とするのが、膠着防止
及び乾燥効率の点で好ましい。
【0033】乾燥工程後、さらに延伸を施して機械的性
能に優れたPVA系繊維を製造する。その方法は特に限
定されず一般的に適用される延伸工程で延伸することが
できる好ましくは200〜240℃で乾熱延伸を行うの
が好ましい。全延伸倍率は12倍以上、特に14倍以
上、さらに15倍以上とするのが好ましい。本発明によ
れば、繊維が断糸するまでの最高延伸倍率(MaxT
D)が16倍以上、特に18倍以上、さらに19倍以上
となるため、高い延伸倍率で延伸することができる。断
糸等が問題にならない限り延伸倍率を高くしてもかまわ
ないが、一般的には30倍以下である。
【0034】一旦捲き取られた糸篠には無機塩類等が付
着含有されていることから、延伸後に再度洗浄処理を行
うのが好ましく、かかる洗浄処理後の無機塩類付着率を
0〜1.0質量%/PVA、特に0〜0.5質量%/P
VAとするとともに、残存硼酸量を0.5質量%/PV
A以下、好ましくは0.01〜0.3質量%/PVA、
さらに好ましくは0.01〜0.25質量%/PVAと
する必要がある。残存硼酸量や残存無機塩類量等が高い
場合には、高度な耐湿熱性や耐摩耗性が得られない。延
伸後の繊維は配向結晶化が高度に進行しているため、水
などで洗浄して実質的に完全に無機塩類等を除去しても
膨潤などが生じにくく、乾燥も容易に行うことができ
る。乾熱延伸後の洗浄は水で行うのが好ましく、効率性
及び繊維性能を損わない点から10〜80℃の水に20
〜60分程度浸漬するのが好ましい。続く乾燥処理は5
0〜160℃程度で段階的に温度を昇温させて乾燥仕上
工程を行うのが好ましい。
【0035】本発明においては、凝固浴吐出工程を通過
させた後、少なくとも上記の(1)〜(5)の工程を順
に通過させる必要があるが、必要に応じてさらに他の処
理を施してもかまわない。たとえば必要に応じて熱処
理、収縮処理、油剤付与処理、アセタール化処理等の諸
処理を通過させてもかまわない。繊維の機械的性能及び
膠着をより高度に抑制する点からは、凝固浴吐出工程か
ら中和工程にいたるまでの工程、中和工程から洗浄工程
にいたるまでの工程、洗浄工程から乾燥工程にいたるま
での工程から選ばれる1以上の工程、特に上記に挙げた
3工程のすべてで湿熱延伸を施すのが好ましい。湿熱延
伸は、80〜90℃の飽和芒硝浴中で行うのが好まし
く、1.1〜5倍、特に1.5〜3倍の湿熱延伸を施す
のが好ましい。
【0036】かかる方法によれば、高強力高弾性率で膠
着の生じにくい繊維を低コストで効率的に製造できる。
たとえば本発明によれば強度9cN/dtex以上、特に強度
10cN/dtex以上、さらに11cN/dtex以上の繊維、ま
た弾性率220cN/dtex以上、特に240cN/dtex以
上、さらに270cN/dtex以上、またさらに300cN/
dtex以上の繊維が得られる。さらに本発明によれば断面
充実度の比較的小さい繊維を得ることができる。断面充
実度が小さい場合には補強繊維として用いた場合等にマ
トリックスとの接着性が向上して優れた効果が得られ
る。具体的には断面充実度60%以下、特に40〜60
%の繊維を得ることができ。
【0037】また本発明によればスキンコア構造が形成
された繊維を得ることができる。スキン−コア構造が形
成されない方法を採用する場合には、大規模な装置や煩
瑣な作業が必要となるが、本発明によれば低コストで効
率的に所望の繊維を製造でいる。またスキン−コア構造
が形成される場合には繊維間膠着が生じにくくなり、高
品位で水分散性等に優れた繊維を得ることができる。繊
維間に膠着が生じると品位が損われるのみでなく、紙料
や水硬性材料等として水に分散させた際の均一分散性が
低下する。本発明によれば水分散性ランクAの繊維を得
ることができる。なお、本発明にいう水分散性ランクA
とは、長さ6mmにカットした試料繊維0.1g及び水
500ccを攪拌してJIS P3801で規定のタイ
プ5Aのろ紙にろ過した際に、繊維が実質的に集束せず
均一に分散しているものをいう。
【0038】また本発明においては、PVA系繊維の横
断面を光学顕微鏡で観察したときに1本の繊維の中で明
るく見える外周部分をスキン部、比較的暗く見える中心
部分をコア部と称する。すなわち、繊維横断面を光学顕
微鏡で観察すると明暗がみられる繊維が、スキン−コア
構造を有する繊維ということとなる。
【0039】本発明により得られるPVA系繊維は、高
強度高弾性率及び異形断面を有し、かつ膠着が生じにく
く水分散性の高いものであり、あらゆる形態で使用でき
る。たとえばカットファイバー、フィラメント、紡績
糸、ロープ、紐状物、織編物(不織布、織編物等)の形
態で使用でき、他の繊維と併用して使用することも可能
である。本発明の繊維は水分散性に優れていることか
ら、紙料として用いた場合の均一分散性が高く地合に優
れた紙が得られる。本発明の繊維の用途は特に限定され
ず、衣料用、医療用、産業用等のあらゆる用途に使用で
きる。たとえば、電池用セパレータ、ワイパー、ロー
プ、漁網、軽量帆布等に広く使用でき、なかでもセメン
ト、ゴム、樹脂等に対する補強材、特にモルタルやコン
クリートのような水硬性材料の補強材として好適に使用
でき,特にカットファイバーの状態で使用した場合に優
れた効果が得られる。たとえば単繊維繊度0.1〜10
00dtex、特に0.1〜100dtex、繊維長1〜100
mmのカットファイバーを補強材として用いればよく、
従来公知の方法により、水硬性材料、本発明の繊維から
なる補強材、水、さらに必要に応じて種々の添加剤を用
いて所望の水硬性硬化体を得ればよい。
【0040】
【実施例】以下、実施例を以て本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例により何等限定されるものではな
い。なお、特に記載のない限り、%は質量%を示す。 [無機塩類付着率 質量%/PVA]試料(乾燥工程導
入後の糸篠)を約2g採取し、105℃の乾燥器中で4
時間乾燥することで絶乾状態とした試料を十分に乾燥さ
せた質量既知の磁性ルツボに入れ、試料の質量(Ag)
を精秤する。この試料を入れたルツボを600℃の電気
炉中に入れ、20分間加熱することで試料を灰化させた
後、取り出して放冷し、60%硝酸水溶液をガラス棒に
て一滴灰化した試料に加え、再度500℃の電気炉中に
ルツボを入れて5分間加熱することで硝酸水溶液を揮発
させる。そして電気炉の温度を600℃まで上げて約1
5分処理し、試料を完全に灰化させる。その後、ルツボ
を電気炉から取り出し、吸湿しないようデシケーター中
で冷却させ、ルツボ質量を天秤にて精秤し、ルツボの質
量を引いて試料の灰化分の質量(Bg)を算出する。最
後に次式によって糸篠中の無機塩類付着率を求める。 無機塩類付着率(%/PVA)=B/(A−B)*10
【0041】[繊維内部の無機塩類付着率 質量%/P
VA,繊維表面の無機塩類付着率 質量%/PVA]試
料(乾燥工程導入後の糸篠)を約2g採取し、2℃の水
500cc中へ糸篠を浸漬させ、1分間糸篠を軽く洗浄す
ることで繊維表面に付着した(繊維間に存在する)芒硝
を除去し、その後室温のメタノール液中へ糸篠を約10
秒間含浸させ、糸篠に付着した水分をメタノールで置換
する。そして糸篠に付着したメタノールを風乾させ、引
き続き上記の芒硝付着含有率測定法で繊維内部の無機塩
類付着率Zを算出した。繊維表面の無機塩類付着率Y
(繊維表面及び繊維間の無機塩類付着率)は、別に測定
した試料全体の無機塩類付着率から繊維内部の無機塩類
付着率Zを差引くことにより求めた。
【0042】[単繊維強度 cN/dtex、初期弾性率 cN
/dtex ]予め湿度調整された単繊維を試料長10cm
になるように台紙に貼り、25℃×60%RHで24時
間以上放置し、次いで引張試験機(インストロン112
2)にて、JIS L−1015に準じて測定し、測定
回数n≧10の平均値で示す。なお単繊維の繊度(dte
x)は1.1/20g/dtex荷重下で100cm長にカ
ットし、質量法によりn≧10の平均値で示す(繊維長
が100cmより短い場合は後に質量法により換算して
繊度を求める)。繊度測定後の単繊維を用いて引張試験
を行い、その繊度と対応させて1本づつの強度を算出す
る。
【0043】繊維長が短くて試料長10cmを取ること
ができない場合には、最大長さを試験長として上記測定
条件に従って測定した。なお、試料が数mmにカットさ
れている場合は、予め温度調整された単繊維を試料長1
mmになるように台紙に貼り、25℃×60%RHで1
2時間以上放置し、次いで引張試験機(インストロン1
122)にて、引張速度0.5mm/分にて破断強度を
測定し、測定回数n≧20の平均値で示す。このときの
試料の繊度は、上記の質量法によって既知となった繊維
を対照として、各試料の断面をカミソリの刃で切断し、
光学顕微鏡によって約500倍以上に拡大して写真にと
り、繊度既知の対照繊維の断面積との面積比で試料の繊
度を算出する。
【0044】[断面充実度 %]繊維束を切断し、光学
顕微鏡でその横断面を拡大して写真撮影し、その後単繊
維の断面積が約4〜9cm2になるように拡大描写して
その断面積Fを求める。次に描写断面中で最も広い幅B
を直径とする円を描き、この断面積を求め、次ぎの式に
より断面の充実度を算出する。 断面充実度(%)=4F/(π×B2 )×100 この測定を同一繊維束の異なる単繊維について20回行
い、その平均値をもって断面充実度とする。
【0045】[スキン−コア構造の有無]繊維の横断面
を光学顕微鏡で観察し、断面の外周部の明るく光ってい
る部分をスキン部、その横断内部の暗い部分をコア部と
した。なお顕微鏡観察によりスキンーコア構造の有無の
判断が困難である場合は、密度勾配管法により求めた繊
維密度が密度1.30g/cm3以上のものはスキン−
コア構造がないものと判定する。
【0046】[水中分散性レベル]長さ6mmにカット
した試料繊維0.1gを、25℃にした水500ccが
入ったビーカー中へ入れ、撹拌器を用いて500rpm
で2分間撹拌する。500ccが入るロートに濾紙(J
IS P3801規定のタイプ5A)を事前に水で濡ら
して底部に馴染ませておき、撹拌を終えた分散水をロー
トに入れ、ガラス棒で軽く撹拌して抄紙時の斑を防止す
る。次にロート下部から水を吸引して濾紙上に繊維を抄
紙した後、濾紙ごとロートより取り出し風乾させる。得
られた抄紙サンプルの繊維分散性をA、B、C、Dの4
段階に分けて評価する。なお異なった2つのレベルの中
間の状態にあると思われるものは、たとえばA〜Bのよ
うに示すこととする。 A:各単繊維が集束せず均一に分散し、濾紙上の分布も
均一である状態。 B:各単繊維に僅かに集束部が見られ、濾紙上の分布に
少し斑があるがほぼ均一である状態。 C:各単繊維に集束部が一部見られ、濾紙上の分布に少
し斑がある状態。 D:各単繊維があまり分離せずに集束しており、濾紙上
の分布に斑がある状態。
【0047】[残存硼酸量 質量%/PVA]ルツボに
約2g(試料質量Wg)の繊維を精秤し、該試料を0.
1規定の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、それを10
5℃に保った乾燥機に12時間入れて水分を飛ばした
後、電気炉(400〜500℃)に60分間入れて熱を
かけた。得られた試料をルツボごとビーカーに入れ、さ
らに蒸留水を加えて30〜60分間放置し、次いでフェ
ノールフタレイン指示薬を滴下し、さらに腋芽赤色から
黄色になるまで0.1規定の塩酸を加え30〜60分間
煮沸した。これを冷却後、水酸化ナトリウム及び/また
は硫酸を滴下してpH7にした後、pHがそれ以上低く
ならなくなるまでマンニットを添加する。さらに再びp
H7になるまで0.1規定の水酸化ナトリウムを要した
量(Vml)を求め、0.62V/Wにより硼酸含有量を
求めた。
【0048】[実施例1]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16質量%、硼
酸0.12質量%となるように水に溶解して紡糸原液と
した。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000の
口金より、水酸化ナトリウム0.05モル/リットルを
含む硫酸ナトリウム飽和水溶液からなる浴温度40℃の
凝固浴中に湿式紡糸した。常法に従ってロ−ラ−間で
2.5倍湿延伸した後、硫酸濃度0.1モル/リット
ル、芒硝濃度380g/リットル、浴温度40℃の中和
浴で中和した(中和工程)。その後、50℃の硫酸ナト
リウム濃度100g/リットルの洗浄浴中に糸篠を導
き、緊張状態で約20秒間の浸漬を行うことで糸篠に付
着含有した酸及び芒硝を除去し(洗浄工程)、更に同組
成の浴中においてローラー間で1.6倍の湿延伸の後、
130℃の乾燥炉へ糸篠を入れて乾燥を行った(乾燥工
程)。その際の乾燥工程への持ち込み水分率は140質
量%/PVAであった。
【0049】この後、230℃の熱風延伸炉で全延伸率
(TD)が15倍となるよう乾熱延伸して巻きとった
(乾熱延伸工程)。またこのとき断糸する直前の最高延
伸倍率(MaxTD)は20倍であった。次いで50℃
の水洗浴中で30分間糸篠を緊張状態で水洗処理して残
存硼酸量を減じるとともに実質的に完全に硫酸ナトリウ
ムを除去し、引き続き70℃〜140℃まで段階的に温
度を昇温し糸篠を乾燥して繊維を製造した(乾燥仕上工
程)。かかる方法により、高性能の繊維を効率的かつ低
コストで製造することができた。つまり、乾燥工程の前
に繊維表面の無機塩類を選択的に除去していることか
ら、乾燥効率を実質的に損うことなくかつ膠着を生じる
ことなく効率的に糸篠を乾燥することができ、しかも高
倍率で延伸して繊維の機械的性能を顕著に高めることが
できた。またスキンコア構造が形成されていることから
膠着が生じにくく水分散性に優れたものであり、また断
面充実度も比較的小さいことから補強材として用いた場
合にマトリックスとの接着性に優れたものであった。結
果を表1に示す。
【0050】[実施例2〜5]紡糸原液における硼酸添
加量、凝固液における水酸化ナトリウム濃度、中和液に
おける硫酸濃度、洗浄液の芒硝濃度及び温度、洗浄液処
理時間及び乾熱延伸倍率(全延伸倍率)を表1のように
変更した以外は実施例1と同様に繊維を製造した。製造
効率・製造コストに優れ、しかも得られた繊維は実施例
1と同様に優れたものであった。結果を表1に示す。
【0051】[実施例6]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16質量%、硼
酸0.12質量%、ノニオン系界面活性剤(松本油脂製
「アクチ−ル G−1200」)0.48質量%となる
ように水に溶解して紡糸原液とし、乾熱延伸倍率(全延
伸倍率)を変更した以外は実施例1と同様にして繊維を
製造した。繊維の製造効率・製造コストに優れ、また得
られた繊維は、紡糸原液に界面活性剤を添加しているこ
とからより高倍率延伸が可能となったため極めて高性能
で強度及び初期弾性率の高いものであった。結果を表1
に示す。
【0052】[実施例7]実施例2で得られた紡糸原液
を孔数24000の口金より、水酸化ナトリウムを0.
025モル/リットルを含む硫酸ナトリウム飽和水溶液
からなる浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸した。常法
に従ってロ−ラ−間で2.5倍湿延伸した後、硫酸0.
05モル/リットル、硫酸ナトリウム380g/l、浴
温度40℃の中和浴で中和した。その後、50℃の硫酸
ナトリウム濃度100g/リットルの洗浄浴中に、幅1
60mm、厚さ2.5mmの糸篠を導き、緊張状態で約
20秒間の浸漬を行うことで糸篠に付着含有した酸及び
硫酸ナトリウムを洗浄し、更に75℃の硫酸ナトリウム
濃度100g/リットルの洗浄浴中ローラー間で1.6
倍延伸することで約26.5万dtex(乾燥状態でのPV
A換算値)の糸篠とした。その際の乾燥工程への持ち込
み水分率は130%/PVAであった。引き続き230
℃の熱風延伸炉で糸篠を乾熱延伸し、全体での延伸倍率
を14.5倍として、糸篠を捲き取った。このとき断糸
する直前の最高延伸倍率(MaxTD)は18.5倍で
あった。次いで50℃の水洗浴中で30分間糸篠を緊張
状態で水洗処理して実質的に完全に硫酸ナトリウムを除
去し、引き続き70℃〜140℃まで段階的に温度を昇
温し糸篠を乾燥して52800dtexの糸篠を得た。総繊
度が大きいにもかかわらず効率的かつ低コストで繊維を
製造することができ、また繊維性能についても、膠着の
発生がなく、しかも機械的性能等の諸性能に優れたもの
であった。結果を表1に示す。
【0053】[比較例1]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16質量%、硼
酸0.12質量%となるように水に溶解して紡糸原液と
した。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000の
口金より、水酸化ナトリウム0.05モル/リットルを
含む硫酸ナトリウム飽和水溶液、浴温度40℃の凝固浴
中に湿式紡糸した。常法に従ってロ−ラ−間で2.5倍
延伸した後、硫酸0.1モル/リットル、硫酸ナトリウ
ム380g/リットル、浴温度40℃の中和浴で中和し
た。さらに中和浴中で付着した硫酸を硫酸ナトリウム4
00g/l、浴温度40℃の置換浴中で20秒間洗浄
し、硫酸ナトリウム380g/l、浴温度90℃の浴で
1.5倍湿熱延伸した。その際の乾燥工程への持ち込み
水分率は70%/PVAであった。この後、130℃で
乾燥し、235℃で全延伸率(TD)が13倍となるよ
う乾熱延伸して巻きとった。またこのとき断糸する直前
の最高延伸倍率(MaxTD)は18倍であった。次い
で50℃の水洗浴中に30分間緊張状態で水洗処理して
実質的に完全に硫酸ナトリウムを除去した後、引き続き
70℃〜130℃まで段階的に温度を昇温して糸篠を乾
燥して糸篠を得た。乾熱延伸工程において多量の無機塩
類を含有しているために乾熱延伸により機械的性能を高
度に高めることができなかった。結果を表1に示す。
【0054】[比較例2]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16質量%とな
るように水に溶解したものを紡糸原液とした。該紡糸原
液を孔数2000の口金より、硫酸ナトリウム420g
/リットル、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸し、離
浴後引き続いてロ−ラ−間で2.5倍延伸することで約
17300dtex(乾燥状態でのPVA換算値)の糸篠と
した。その後、25℃の水の洗浄槽に糸篠を導き、緊張
状態で約7秒間の浸漬を行うことで糸篠に付着含有した
硫酸ナトリウムを洗浄し、再度ローラー間で1.6倍延
伸し、130℃の乾燥炉へ糸篠を入れて乾燥を行った。
その際の乾燥工程への持ち込み水分率は180質量%/
PVAであった。引き続き220℃の熱風延伸炉で糸篠
を乾熱延伸し全体での延伸倍率を13倍として糸篠を捲
き取った。このとき断糸する直前の最高延伸倍率(Ma
xTD)は17倍であった。次いで50℃の水洗浴中に
30分間緊張状態で水洗処理して実質的に完全に硫酸ナ
トリウムを除去した後、引き続き70℃〜130℃まで
段階的に温度を昇温して糸篠を乾燥し、4000dtexの
糸篠を得た。繊維の製造効率は高く膠着のない高品位の
繊維が得られたが、紡糸原液に硼酸が添加されておらず
凝固浴中でゲル化させることができなかったため実施例
に比して機械的性能、特に初期弾性率の低いものとなっ
た。結果を表1に示す。
【0055】[比較例3〜5]紡糸原液における硼酸添
加量、凝固液における水酸化ナトリウム濃度、中和液に
おける硫酸濃度、洗浄液の芒硝濃度及び温度、洗浄液処
理時間及び乾熱延伸倍率(全延伸倍率)を表1のように
変更した以外は実施例1と同様に繊維を製造した。比較
例3においては紡糸原液に添加する硼酸量が少ないた
め、比較例5においては凝固液に添加するアルカリ量が
少ないために機械的性能を十分に高めることができず、
逆に比較例4においては紡糸原液に添加する硼酸量を多
すぎるために繊維の断面充実度が大きくなり、しかも硼
酸を十分に除去できなかったために耐熱水性、耐久性等
の点で問題のあるものとなった。大規模な水洗工程を導
入すれば硼酸含有量を減じることができるが、生産効率
及び生産コストの劣ったものとなる。結果を表1に示
す。
【0056】[比較例6]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16質量%、硼
酸0.25質量%となるように水に溶解したものを紡糸
原液とした。該紡糸原液を孔数2000の口金より、水
酸化ナトリウム0.2モル/リットル、硫酸ナトリウム
350g/リットル、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡
糸し、離浴後引き続いてロ−ラ−間で3倍延伸した後、
硫酸0.82モル/リットル、硫酸ナトリウム380g
/リットル、浴温度40℃の中和浴で中和した。さらに
硫酸ナトリウム380g/リットル、浴温度90℃の浴
で1.7倍湿熱延伸し、35℃の水洗槽に糸篠を導き、
緊張状態で約5分間の浸漬を行うことで糸篠に付着含有
した硫酸ナトリウムや硼酸を完全に洗浄し、130℃の
乾燥炉へ糸篠を入れて乾燥を行った。引き続き230℃
の熱風延伸炉で糸篠を乾熱延伸し全体での延伸倍率を1
5.5倍として、4000dtexの糸篠を捲き取った。こ
のとき断糸する直前の最高延伸倍率(MaxTD)は2
1倍であった。洗浄工程においてまた無機塩類が実質的
に完全に除去されていることから、断面充実度が大きく
なるとともにスキンコア構造が消失し、乾燥効率が低下
して膠着が生じて水分散性の低いものとなった。結果を
表1に示す。
【0057】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硼酸及び/または硼酸塩0.02〜0.
    2質量%、ビニルアルコ−ル系ポリマ−5〜40質量%
    を含み、かつ溶媒が水である紡糸原液を、アルカリ0.
    0025〜0.25モル/リットル及び無機塩類を含む
    アルカリ性凝固浴へ紡糸する凝固浴吐出工程を通過させ
    た後、次いで少なくとも以下の工程を順に通過させるポ
    リビニルアルコール系繊維の製造方法。 (1) 酸0.005〜0.5モル/リットル及び無機
    塩類を含む水溶液中で中和する中和工程。 (2) 糸篠の無機塩類付着量が1〜15質量%となる
    ように糸篠を洗浄する洗浄工程。 (3) 糸篠を乾燥する乾燥工程。 (4) 乾熱延伸工程。 (5) 無機塩類が実質的に完全に除去されるまで糸篠
    を洗浄した後に乾燥する乾燥仕上工程。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水硬性材料補強用繊維
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法により得られるポ
    リビニルアルコール系繊維。
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