JP2001302941A - 水酸化物組成物からなる充填材およびその製造方法、並びに、該充填材を用いた難燃性材料 - Google Patents

水酸化物組成物からなる充填材およびその製造方法、並びに、該充填材を用いた難燃性材料

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JP2001302941A JP2000119441A JP2000119441A JP2001302941A JP 2001302941 A JP2001302941 A JP 2001302941A JP 2000119441 A JP2000119441 A JP 2000119441A JP 2000119441 A JP2000119441 A JP 2000119441A JP 2001302941 A JP2001302941 A JP 2001302941A
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aluminum
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Akihiko Suda
明彦 須田
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
Toshio Yamamoto
敏生 山本
Masahiro Sugiura
正洽 杉浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性を高める効果に優れ、機械的特性や外
見の美しさを高める効果にも優れ、しかも化学的安定性
に優れた充填材を提供する。 【解決手段】 2種以上の水酸化物の混合粉末、具体的
には、マグネシウムの水酸化物およびアルミニウムの水
酸化物よりなる混合粉末を粉砕処理することにより、該
混合粉末の少なくとも一部を複水酸化物または固溶体と
した、水酸化物組成物からなる充填材。この充填材を可
燃性物質(樹脂,ゴム,紙,パルプ,天然繊維,合成繊
維など)に配合または塗布することにより、難燃性に優
れた、しかも、機械的性質などその他の物性も向上させ
た材料(難燃性材料)を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水酸化物組成物か
らなる充填材およびその製造方法、並びに、該充填材を
用いた難燃性材料に関し、特に、建材,内装材,家具,
玩具,電気製品,機械部品などを構成する樹脂製品等の
可燃性物質に配合または塗布するための、水酸化物組成
物からなる充填材およびその製造方法、並びに、該充填
材を用いた難燃性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】金属水酸化物は、樹脂製品に難燃性を付
与するための充填材として、広く用いられている。例え
ば、特開平7−252409号公報には、次の“耐熱安
定性ポリエステル組成物”が開示されている。「デカブ
ロモジフェニルエーテル,臭素化ポリカーボネート,臭
素化エポキシ化合物等の有機ハロゲン化合物系難燃剤
(全組成に対して2〜50重量%)と、三酸化アンチモン,
水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム等からなる難
燃助剤(全組成に対して2〜20重量%)を、予めそれ自体
で成形性を有しないポリエチレンワックス(有機ハロゲ
ン化合物系難燃剤及び難燃助剤に対して0.5〜100重量
%)と、それ自体で成形性を有しないポリエチレンワッ
クスの融点以上の温度で混練し、冷却粉砕したものと、
無機充填材(全組成に対して2〜50重量%)を含む耐熱安
定性ポリエステル組成物。」
【0003】しかし、デカブロモジフェニルエーテル,
臭素化ポリカーボネート,臭素化エポキシ化合物などの
有機ハロゲン化合物系難燃剤は、燃焼の際に有害ガスを
発生するという欠点があり、また、難燃助剤として用い
る三酸化アンチモンは、非常に高価であるという難点が
あった。
【0004】また、特開平6−128003号公報に
は、「水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,アル
ミン酸3カルシウム6水和物の1種以上の吸熱性金属水
酸化物と、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とからなる
不燃または準不燃複合材料(人造大理石)。」が開示され
ている。そして、この中では、水酸化物充填材の充填量
を95wt%より大きくし、優れた難燃性を付与する試み
が示されている。しかし、無機系充填材の含有率が高す
ぎる場合は、一般的に流動性が悪化し、成形性が悪くな
るという問題点があり、一般的ではない。
【0005】さらに、特開平6−116477号公報に
は、「フェノール樹脂に、無機充填材(水酸化マグネシ
ウムと未焼成クレーの混合物)を配合し、難燃性の信頼
性を高める目的で硼酸を併用し、更に、難燃化効果を上
げるため、水酸化アルミニウムを配合したフェノール樹
脂成形材料。」が開示されている。そして、この中で
は、難燃性を与えるための複数の充填材を併用し、50
〜600℃の広い温度範囲で吸熱脱水させることで、燃
焼熱を吸収させ、難燃性を高めると共に、流動性も確保
し、成形性を低下させない試みが示されている。しか
し、製品の成形温度は、場合によっては200℃以上が
用いられる場合があり、このような高温下での成形時
に、配合した水酸化物の分解が始まって、製品中に気泡
が生じたり、樹脂と充填材の間に間隙が生じて、機械的
な特性が劣化するといった不都合が発生する。
【0006】そのため、特開平6−191837号公報
には、無機系難燃剤として最も一般的に用いられるギブ
サイト型水酸化アルミニウムの分解温度を高めるため
に、「過飽和アルミン酸アルカリ溶液に種子水酸化アル
ミニウムを添加し、水酸化アルミニウムを製造する方法
において、種子水酸化アルミニウムとして、(1)過飽和
のアルミン酸アルカリ溶液の撹拌下、酸を添加し、平均
粒子径が0.05μ以下の中和ゲルを得た後、(2)この中和
ゲルを、撹拌下のアルカリ濃度1.3〜2.5mol/Lのアルミ
ン酸アルカリ溶液に、該溶液中のアルミニウム量に対
し、Al2O3換算で0.1重量%以上添加することにより得た
“平均二次粒子径0.1〜3μの水酸化アルミニウム”を用
いることを特徴とする高耐熱性水酸化アルミニウムの製
造方法。」が開示されている。
【0007】この方法は、比較的低温における水酸化ア
ルミニウムのベーマイト化による脱水等を有効に防止し
て水酸化アルミニウムの高耐熱化に有効である。しか
し、無機の充填材は、一般には非常に安価なものであ
り、このように高度な合成プロセスは、製造コストの面
で適当ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情下に鑑み、
本発明者等は、有害ガスを発生せずに難燃化効果を発揮
し、低温での分解の問題がなく、充填材としての機能に
も優れた“少なくとも一部が複水酸化物または固溶体か
らなる水酸化物組成物”、および、この水酸化物組成物
の生産性に優れた製造方法を見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0009】即ち、本発明は、第一に、可燃性物質に優
れた難燃性を付与し得るばかりでなく、該可燃性物質の
機械的性質などその他の物性も向上させることのできる
“水酸化物組成物からなる充填材”を提供することを目
的とし、第二に、大量生産が可能で、しかも安価に製造
できる上記充填材の製造方法を提供することを目的と
し、第三に、上記充填材を可燃性物質(樹脂,ゴム,
紙,パルプ,天然繊維,合成繊維など)に配合または塗
布することにより、難燃性に優れた、しかも機械的性質
などその他の物性も向上させた材料(難燃性材料)を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そして、本発明に係る充
填材は、2種以上の水酸化物の混合粉末を粉砕処理する
ことにより、該混合粉末の少なくとも一部を複水酸化物
または固溶体とした水酸化物組成物からなることを特徴
とし(請求項1)、これにより、前記第一の目的を達成す
ることができる。すなわち、難燃性を高める効果に優
れ、機械的特性や外見の美しさを高める効果にも優れ、
しかも、化学的安定性に優れた充填材を提供することが
できる。
【0011】また、本発明に係る充填材は、 ・前記2種以上の水酸化物が、少なくともマグネシウム
の水酸化物およびアルミニウムの水酸化物を含むこと
(請求項2)、 ・前記水酸化物組成物が、マグネシウムの水酸化物およ
びアルミニウムの水酸化物からなる混合粉末を粉砕処理
することにより得られた複水酸化物または固溶体であっ
て、Mg対Alの組成比が、2対1〜1対2であること
(請求項3)、 ・前記Mg対Alの組成比が、2対1,1対1または1
対2のいずれか一種であること(請求項4)、 を特徴とし、このように、充填材として、特に水酸化マ
グネシウムと水酸化アルミニウムを粉砕処理してなる水
酸化物組成物を用いることにより、難燃性を高める効果
に優れ、機械的特性や外見の美しさを高める効果にも優
れ、しかも、化学的安定性により優れた充填材を提供す
ることができる。
【0012】さらに、本発明に係る充填材は、 ・前記水酸化物組成物は、300〜500℃の熱分解温
度を有し(請求項5)、 ・前記複水酸化物が「MgAl2(OH)8」「Mg2Al(OH)10・XH2
O」「Mg4Al2(OH)14・3H2O」の3種類の結晶相を含むこ
と(請求項6)、 ・前記水酸化物組成物は、その50重量%以上の粒子の
粒子径が100μm以下であること(請求項7)、 を特徴とし、特に、熱分解温度が“300〜500℃”
を有することから、化学的安定性に優れ、水酸化マグネ
シウムのように容易に炭酸塩を形成したり、酸性の物質
と反応することがない。また、上記したように、粒子径
が100μm以下であり、このように微細であることか
ら、フイラーとしての優れた充填性も兼ね備えている。
【0013】本発明に係る上記充填材(請求項1〜請求
項7の充填材)は、可燃性材料用充填材であることを特
徴とし(請求項8)、このように、本発明に係る上記充填
材を、特に可燃性材料用の充填材として用いることによ
り、該可燃性材料に難燃性を付与するだけでなく、その
機械的特性や外見の美しさを高めることができる。
【0014】本発明に係る充填材の製造方法は、「2種
以上の水酸化物からなる混合粉末を粉砕処理し、該粉末
の少なくとも一部を複水酸化物または固溶体とするこ
と」を特徴とし(請求項9)、これにより、前記第二の目
的を達成することができる。すなわち、このように“混
合粉末を粉砕処理する”ことにより、容易に複水酸化物
を合成することができ、連続的に大量生産を安価に行う
ことができる。そして、前記した“難燃性を高める効果
に優れ、機械的特性や外見の美しさを高める効果にも優
れ、しかも化学的安定性に優れた充填材”を安価に供給
することができる。
【0015】また、本発明に係る充填材の製造方法は、 ・前記2種以上の水酸化物は、少なくともマグネシウム
の水酸化物およびアルミニウムの水酸化物を含むこと
(請求項10)、 ・前記2種以上の水酸化物は、マグネシウムの水酸化物
およびアルミニウムの水酸化物からなり、Mg対Alの
組成比が、2対1〜1対2であること(請求項11)、 ・前記Mg対Alの組成比が、2対1,1対1または1
対2のいずれか一種であること(請求項12)、 を特徴とし、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウム
から、少なくとも一部が複水酸化物または固溶体である
水酸化物組成物を、容易に、しかも安価に製造すること
ができる。
【0016】一方、本発明に係る難燃性材料は、前記請
求項1〜請求項8の充填材を可燃性物質に配合または塗
布してなることを特徴とし(請求項13)、この可燃性物
質としては、樹脂,ゴム,紙,パルプ,天然繊維および
合成繊維の少なくとも一種であることを特徴とする(請
求項14)。上記可燃性物質に前記請求項1〜請求項8
の充填材を配合または塗布することにより、前記第三の
目的を達成することができる。すなわち、難燃性に優れ
た、しかも機械的性質などその他の物性も向上させた材
料(難燃性材料)を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、それに先立って、本発明の作用効果につ
いて、“水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとの
複水酸化物”を例に挙げて、詳細に説明する。
【0018】水酸化物は加熱により吸熱しながら分解す
る。水酸化アルミニウムは、245〜320℃で熱分解
し、一方、水酸化マグネシウムは340〜490℃で熱
分解する。本発明により得られた水酸化物組成物は、水
酸化マグネシウムに近い“300〜500℃の熱分解温
度”を持っており、水酸化アルミニウム単味の状態より
加熱脱水温度が高い。また、水酸化マグネシウムに比
べ、本発明により得られた水酸化物組成物は、化学的な
安定性に優れ、水酸化マグネシウムのように容易に炭酸
塩を形成したり、酸性の物質と反応してしまうことはな
い。
【0019】また、本発明により得られた水酸化物組成
物は、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンとの同
形置換によりアニオン交換能を持つ。そのため、製品の
成形時の加熱による熱分解によって生じる気孔等の欠陥
ができ難く、また、原料の長期の保存や製品の長期使用
による炭酸塩の生成に伴う劣化の問題も回避でき、さら
には、アニオン交換能によって母材の樹脂等との界面の
なじみがよいため、機械的性質に優れ、また、他の添加
剤を併用する場合も、添加剤の分散性に優れ、それを有
効に機能させる、という効果も発揮する。
【0020】さらに、本発明の水酸化物組成物は、2種
以上の水酸化物からなる混合粉末を粉砕処理し、該混合
粉末の少なくとも一部を複水酸化物または固溶体とする
ことを特徴とする。このように“混合粉末を粉砕処理す
る”ことにより、容易に複水酸化物を合成することがで
き、連続的に大量生産を安価に行うことができる。そし
て、難燃性を高める効果に優れ、機械的特性や外見の美
しさを高める効果にも優れ、しかも化学的安定性に優れ
た充填材を安価に供給することができる。
【0021】[本発明に係る充填材およびその製造方法
の実施の形態]本発明において、2種以上の水酸化物か
らなる混合粉末としては、前記したマグネシウムの水酸
化物とアルミニウムの水酸化物からなる混合粉末が好ま
しいが、それ以外に、例えば、次のような混合粉末など
を挙げることができる。 ・リチウムの水酸化物とマンガンの水酸化物からなる混
合粉末。 ・ジルコニウムの水酸化物とチタニウムの水酸化物およ
び/または鉛の水酸化物からなる混合粉末。 ・セリウムの水酸化物とジルコニウムの水酸化物および
/またはセリウム以外の希土類元素の少なくとも1種か
らなる混合粉末。 ・セリウムの水酸化物とジルコニウムの水酸化物および
/またはアルカリ土類元素の少なくとも1種からなる混
合粉末。 ・水酸化アルミニウムと水酸化ランタンからなる混合粉
末。 ・リチウムの水酸化物とニッケルの水酸化物からなる混
合粉末。 ・バリウムの水酸化物とチタニウムの水酸化物および/
またはすずの水酸化物からなる混合粉末。 ・バリウムの水酸化物とチタニウムの水酸化物および/
またはストロンチウムの水酸化物からなる混合粉末。 ・ストロンチウムの水酸化物とチタニウムの水酸化物お
よび/またはカルシウムの水酸化物からなる混合粉末。 ・鉛の水酸化物とランタンの水酸化物および/またはジ
ルコニウムの水酸化物および/またはチタニウムの水酸
化物からなる混合粉末。 ・リチウムの水酸化物とニオブの水酸化物からなる混合
粉末。 ・鉛の水酸化物とビスマスの水酸化物および/またはニ
オブの水酸化物からなる混合粉末。 ・ビスマスの水酸化物とニオブの水酸化物からなる混合
粉末。 ・鉛の水酸化物とニオブの水酸化物からなる混合粉末。 ・すずの水酸化物と亜鉛の水酸化物からなる混合粉末。 ・亜鉛の水酸化物とチタニウムの水酸化物からなる混合
粉末。 ・チタニウムの水酸化物とアルミニウムの水酸化物から
なる混合粉末。 ・ジルコニウムの水酸化物とアルミニウムの水酸化物か
らなる混合粉末。 ・鉄の水酸化物と亜鉛の水酸化物からなる混合粉末。 ・チタニウムの水酸化物とタングステンの水酸化物から
なる混合粉末。 ・チタニウムの水酸化物とモリブデンの水酸化物からな
る混合粉末。 ・チタニウムの水酸化物と鉄の水酸化物からなる混合粉
末。 ・チタニウムの水酸化物とニッケルの水酸化物からなる
混合粉末。
【0022】本発明は、上記のような2種以上の金属の
水酸化物の混合粉末を粉砕処理し、該混合粉末の少なく
とも一部を複水酸化物または固溶体とした水酸化物組成
物からなる充填材を特徴とする。この“粉砕処理”の手
段について、その実施の形態を以下に詳細に説明する。
【0023】本発明の水酸化物組成物は、2種以上の金
属の水酸化物を混合し、この混合粉末を機械的に粉砕処
理し、該混合粉末に、機械的に十分なエネルギーを与え
て複水酸化物または固溶体に転化せしめることにより得
ることができる。例えば、2種以上の金属の水酸化物を
水等の液体中に均一に分散混合し、得られた混合物をボ
ール,ローラ,ロータ等がぶつかり合いまたは擦れ合う
タイプの粉砕装置を用いて、粉砕媒体にかかる加速度が
重力加速度の1.5倍以上、好ましくは5倍以上、より
好ましくは20倍以上、さらに好ましくは200倍以上
の粉砕条件で粉砕を行うことにより、2種以上の金属の
水酸化物を反応させ、複水酸化物または固溶体に転化さ
せることによって得ることができる。
【0024】粉砕に用いる装置としては、媒体攪拌型ミ
ルが適しているが、特にこれに限定されるものではな
い。複水酸化物または固溶体に転化させるのに十分な粉
砕効率を持っている装置ならば任意に使用することがで
きる。媒体撹拌型ミル以外にも、例えば、振動ボールミ
ルや遊星ボールミルのように粉砕容器の外部から強いエ
ネルギーを与え、容器内のボールを攪拌するタイプの装
置や、粉砕容器が内筒と外筒から構成され、それらが逆
方向に回転することによって内部のボールを攪拌するタ
イプの装置でも十分なエネルギーと時間を与えることに
よって、2種以上の金属の水酸化物粉末を反応させて複
水酸化物または固溶体に転化させることができる。
【0025】また、ボールを入れたポットを回転させる
タイプの通常のボールミルでは、混合粉末が所定の寸法
以下になるように十分に長い時間粉砕を行う必要があ
る。好ましくは、25時間以上、より好ましくは、10
0時間以上の粉砕を行う。
【0026】上述の粉砕装置を用いた粉砕の過程では、
水酸化物粒子が微細になるだけではなく、粉砕媒体の衝
撃によって水酸化物粒子の表面粗さの増加や結晶構造に
歪みが与えられ、より反応性が高まること、そして、両
者が十分に混ざり合うことの作用が生じる。なお、粉砕
媒体の材料が混入することは避けられないため、粉砕媒
体の材質としては、充填材との関係で選定する必要があ
る。
【0027】本発明の水酸化物組成物として、マグネシ
ウムの水酸化物とアルミニウムの水酸化物からなる混合
粉末を粉砕処理して得られた“少なくとも一部が複水酸
化物または固溶体からなる水酸化物組成物”について、
さらに詳細に説明する。
【0028】上記水酸化物組成物としては、Mg対Al
の組成比が、2対1〜1対2が好ましく、より好ましく
は、2対1,1対1または1対2である。その理由は、
Alの水酸化物成分の熱分解温度をMg(OH)2と同程
度まで高めるには、AlとMgがしっかり結合した水酸
化物化合物となる必要があり、そのような安定な水酸化
物化合物としては、該化合物中のMgとAlの比が、2
対1〜1対2(好ましくは、2対1,1対1又は1対2)
であるからである。
【0029】マグネシウムの水酸化物とアルミニウムの
水酸化物からなる混合粉末を粉砕処理して得られた水酸
化物組成物は、「MgAl2(OH)8」「Mg2Al(OH)10・XH2O」
「Mg4Al2(OH)14・3H2O」の3種類の結晶相を含み、30
0〜500℃の熱分解温度を有する。また、この水酸化
物組成物は、その50重量%以上の粒子の粒子径が10
0μm以下である。特に、熱分解温度が“300〜50
0℃”を有することから、前記したとおり、化学的安定
性に優れ、水酸化マグネシウムのように容易に炭酸塩を
形成したり、酸性の物質と反応することがない。また、
上記したように、粒子径が100μm以下であり、この
ように微細であることから、フイラーとしての優れた充
填性も兼ね備えている。
【0030】本発明に係る上記充填材は、特に、可燃性
材料の充填材として用いるが、本発明は、可燃性材料用
にのみ限定されるものではない。
【0031】(本発明に係る難燃性材料の実施の形態)
本発明に係る難燃性材料は、前記“水酸化物組成物から
なる充填材”を可燃性物質に配合または塗布してなるこ
とを特徴とする。可燃性物質としては、樹脂,ゴム,
紙,パルプ,天然繊維,合成繊維を用いることができ
る。
【0032】上記可燃性物質に配合する手段としては、
通常、ニーダやローラ型混練機等で行い、また、母材の
粘度が低い場合は、必要に応じてプロペラ攪拌器等を使
用する。この際の充填材の配合量としては、可燃性物質
の種類やその用途によって異なるが、通常、可燃性物質
100重量部あたり70〜95重量%が好ましい。ま
た、可燃性物質に塗布する手段としては、バインダ成分
を含ませた上で、ローラー,ドクターブレード,スプレ
ー塗布などで行う。バインダ成分としては、一般的な有
機または無機バインダを用いる。このように、上記可燃
性物質に、前記“水酸化物組成物からなる充填材”を配
合または塗布することにより、上記可燃性物質に難燃性
を付与することができ、しかも、引張り強さや硬さ等の
機械的性質や、表面平滑さや色の透明感等の外観上の美
しさなどその他の物性も向上させることができる。
【0033】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例
によって限定されるものではない。
【0034】(実施例)水酸化アルミニウム粉末と水酸
化マグネシウム粉末とを、Al対Mgの比が2対1にな
るように混合し、この混合粉末100gを2リットルの
水に入れ、プロペラ攪拌器で5分間撹拌して分散させ
た。次に、媒体撹拌ミル(ダイノーミル)を用いて、撹拌
翼回転数4200rpmで20時間粉砕を行い、水酸化
アルミニウムの大部分と水酸化マグネシウムの大部分と
を複水酸化物の結晶形態に変化させた。その後、150
℃で10時間乾燥して水分を除去し、粉末を得た。
【0035】得られた粉末のX線回折によると、この粉
末の結晶相は、「MgAl2(OH)8」「Mg2Al(O
H)10・XH2O」「Mg4Al2(OH)14・3H2O」の3
種類の複水酸化物と、少量のMg(OH)2および未同定
相の混合物からなっていることがわかった。ZrO2
粉砕メディアから混入したZrO2のピークは検出され
なかった。なお、この粉末を850℃まで加熱した後に
行ったX線回折法による分析の結果では、この粉末に、
粉砕媒体の摩耗によって混入した約10vol%のZr
2粉末が共存していた。
【0036】この粉末の粒子径をレーザー回折式粒度分
析計で測定したところ、メジアン径で44μmであっ
た。さらに、この粉末の脱水温度を熱重量分析計によっ
て測定したところ、300℃付近から脱水が始まり、5
00℃付近で脱水が終了した。なお、昇温速度は10℃
/minとした。
【0037】(比較例)水酸化アルミニウム粉末と水酸
化マグネシウム粉末とを、Al対Mgの比が2対1にな
るように混合し、この混合粉末100gを2リットルの
水に入れ、プロペラ攪拌器で5分間撹拌して分散させ、
粉砕処理は行わずに乾燥させた粉末を比較例とした。
【0038】比較例の粉末について、前記実施例の粉末
と同様に熱重量分析を行った結果、180℃付近から脱
水が始まり、500℃付近で脱水が終了した。この結果
より、前記実施例で用いる複水酸化物からなる粉末は、
水酸化マグネシウム並の耐熱性を持っていることがわか
る。
【0039】前記実施例および比較例で作製した粉末を
充填材として、熱可塑性ポリオレフィン樹脂に添加し、
リボンプレンターを用いて混練した。ポリオレフィン樹
脂100gに対して、充填材の添加量を200gとし
た。これを、バンバリーミキサーを用いて、加熱ロール
の隙間に通すことによってカレンダー加工し、厚さ0.
3mmの樹脂シートを形成した。(なお、この加熱ロー
ルによる加工の際、樹脂と充填材の混合物は140〜1
50℃の半溶融状態となって混合された後、130℃の
ロールで0.3mmの厚みに成形された。)
【0040】実施例で作製した粉末を用いた樹脂シート
は、比較例で作製した粉末を用いたそれより、約1.8
倍の引張り強さを持っていることがわかった。
【0041】このように、実施例で作製した粉末は、複
水酸化物からなるために、 ・水酸化アルミニウム粉末より熱分解温度が高いこと、 ・水酸化マグネシウム粉末より化学的安定性に優れるこ
と、 ・価数の異なるイオンの同形置換によりアニオン交換能
を持つため、母材とのなじみを向上する処理や添加剤を
複合化しやすいこと、 の理由によって、樹脂シートに、難燃性を付与するのみ
でなく、機械的特性にも優れたものが得られる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係る“水酸化物組成物からなる
充填材”は、難燃性フィラーとして広く一般に用いられ
ている水酸化アルミニウム粉末や、水酸化マグネシウム
粉末より、前者に対しては、より熱分解温度が高く、ま
た、後者に対しては化学的安定性に優れ、さらに、複塩
であるために、表面が活性で、母材との界面が安定であ
る特性を有している。そのため、本発明の充填材を用い
た材料は、難燃性のみでなく、機械的特性にも優れた難
燃性材料を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09C 1/40 C09C 1/40 3/04 3/04 C09K 21/02 C09K 21/02 (72)発明者 山本 敏生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉浦 正洽 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4G042 DA01 DA02 DC03 DE05 DE12 4G076 AA10 AA18 AB06 AC04 CA02 DA02 4H028 AA12 AB04 BA06 4J002 AA001 DE066 DE076 DE096 DE097 DE106 DE136 DE137 DE147 DE156 FD136 FD137 4J037 AA09 AA24 DD02 DD05 EE08 EE29 EE44 FF13 FF15 FF23

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種以上の水酸化物の混合粉末を粉砕処
    理することにより、該混合粉末の少なくとも一部を複水
    酸化物または固溶体とした水酸化物組成物からなること
    を特徴とする充填材。
  2. 【請求項2】 前記2種以上の水酸化物は、少なくとも
    マグネシウムの水酸化物およびアルミニウムの水酸化物
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の充填材。
  3. 【請求項3】 前記水酸化物組成物は、マグネシウムの
    水酸化物およびアルミニウムの水酸化物からなる混合粉
    末を粉砕処理することにより得られた複水酸化物または
    固溶体であって、Mg対Alの組成比が、2対1〜1対
    2であることを特徴とする請求項1に記載の充填材。
  4. 【請求項4】 前記Mg対Alの組成比が、“2対1”
    “1対1”または“1対2”のいずれか一種であること
    を特徴とする請求項3に記載の充填材。
  5. 【請求項5】 前記水酸化物組成物は、300〜500
    ℃の熱分解温度を持つことを特徴とする請求項3または
    請求項4に記載の充填材。
  6. 【請求項6】 前記複水酸化物は、「MgAl2(OH)8」「Mg
    2Al(OH)10・XH2O」および「Mg4Al2(OH)14・3H2O」の3
    種類の結晶相を含むことを特徴とする請求項3または請
    求項4に記載の充填材。
  7. 【請求項7】 前記水酸化物組成物は、その50重量%
    以上の粒子の粒子径が100μm以下であることを特徴
    とする請求項3または請求項4に記載の充填材。
  8. 【請求項8】 前記充填材が、可燃性材料用充填材であ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記
    載の充填材。
  9. 【請求項9】 2種以上の水酸化物からなる混合粉末を
    粉砕処理し、該粉末の少なくとも一部を複水酸化物また
    は固溶体とすることを特徴とする充填材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記2種以上の水酸化物は、少なくと
    もマグネシウムの水酸化物およびアルミニウムの水酸化
    物を含むことを特徴とする請求項9に記載の充填材の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記2種以上の水酸化物は、マグネシ
    ウムの水酸化物およびアルミニウムの水酸化物からな
    り、Mg対Alの組成比が、2対1〜1対2であること
    を特徴とする請求項9に記載の充填材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記Mg対Alの組成比が、2対1,
    1対1または1対2のいずれか一種であることを特徴と
    する請求項11に記載の充填材の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜請求項8のいずれかに記載
    の充填材を、可燃性物質に配合または塗布してなること
    を特徴とする難燃性材料。
  14. 【請求項14】 前記可燃性物質が、樹脂,ゴム,紙,
    パルプ,天然繊維および合成繊維の少なくとも一種であ
    ることを特徴とする請求項13に記載の難燃性材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004224590A (ja) * 2003-01-20 2004-08-12 Nittetsu Mining Co Ltd ハイドロタルサイト様化合物の合成方法
CN102352137A (zh) * 2011-08-18 2012-02-15 中国铝业股份有限公司 一种阻燃或填充用氢氧化铝粉体的制备方法
JP2015063452A (ja) * 2013-08-27 2015-04-09 N‐ルミネセンス株式会社 低温固相反応によるセラミックスの合成法

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