JP2001296239A - 摩擦係数測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 物体表面の摩擦係数を手軽に測定でき、しか
も構造が簡単で経済性に優れ、持ち運びも簡単な摩擦係
数測定装置を提供する。 【解決手段】 被測定物体１０の表面上を移動操作され
る移動体２０に、摺動体３０、押圧手段４０及び荷重測
定器５０を取り付ける。摺動体３０は、押圧手段４０に
よって被測定物体１０の表面に所定の圧力で押し付けら
れており、移動体２０の移動に伴って被測定物体１０の
表面上を摺動すると共に、移動体２０の移動方向に相対
移動が可能である。荷重測定器５０は、移動体２０の移
動時に、摺動体３０に作用する移動方向と逆方向の荷重
を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば鉄道車両用
レール等の表面の摩擦係数の測定に使用される摩擦係数
測定装置に関し、特に構造が簡単で手軽に使用できる簡
易式の摩擦係数測定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄道車両用レールと車輪間の粘着（車輪
が滑走しない境界条件）を評価するための指標として、
レール表面の摩擦係数は不可欠である。しかし、レール
表面の摩擦係数を手軽に測定できる装置は、出願人の知
る限り存在しない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】レール表面の摩擦係数
を手軽に測定できる装置が存在しないため、現場でのレ
ール表面の状況を定量的に把握することができなかっ
た。

【０００４】本発明の目的は、物体表面の摩擦係数を手
軽に測定できる操作性に優れ、しかも構造が簡単で経済
性に優れ、持ち運びも簡単な摩擦係数測定装置を提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の摩擦係数測定装置は、摩擦係数を測定すべ
き物体表面上をその表面に沿って移動操作される移動体
と、移動体の移動に伴って前記物体表面上を摺動し、且
つ移動体の移動方向に相対移動できるように移動体に取
り付けられた摺動体と、摺動体と共に移動体に取り付け
られており、移動体の移動時に摺動体に作用する移動方
向と逆方向の荷重を測定する荷重測定器とを備える。

【０００６】本発明の摩擦係数測定装置では、摺動体
は、摩擦係数を測定すべき物体表面の摩擦係数に対応す
る力でその表面上に保持される。物体表面上で移動体を
前後に移動させることにより、この保持力に対応する荷
重が荷重測定器に付加され、測定される。従って、摩擦
係数を測定すべき物体表面上で移動体を前後に移動させ
るだけで、物体表面の摩擦係数が測定される。

【０００７】高精度な測定のためには、摺動体を物体表
面に所定の圧力で押圧する押圧手段を設けるのがよい。
また、操作性向上及び構造簡略化のために、移動体は、
移動用のローラを有し、物体表面上を一方向に往復移動
し得る構成が好ましい。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。

【０００９】図１〜図３は本発明の一実施形態を示す摩
擦係数測定装置の３面図であり、図１は側面図、図２は
平面図、図３は正面図である。

【００１０】本実施形態の摩擦係数測定装置は、例えば
鉄道車両用レール表面の摩擦係数の測定に好適に使用さ
れる。この摩擦係数測定装置は、被測定物体であるレー
ル１０上をその長手方向に移動操作される移動体２０
と、移動体２０の中に組み込まれた摺動体３０と、摺動
体３０をレール１０の表面に所定の圧力で押圧するため
に移動体２０に取り付けられた両側一対の押圧手段４
０，４０と、移動体２０の上に搭載されたデジタル式の
荷重測定器５０とを備えている。

【００１１】移動体２０は、フレーム２１に前後一対の
移動用のローラ２２，２２を取付けたコロであり、その
全長は例えば３０ｃｍ程度であり、横幅はここではレー
ル１０の頭部の横幅とほぼ同じ７ｃｍ程度である。

【００１２】フレーム２１は、両側一対のサイドプレー
ト２１ａ，２１ａと、サイドプレート２１ａ，２１ａを
連結する前後一対の連結プレート２１ｂ，２１ｂと、サ
イドプレート２１ａ，２１ａの後部上に取付けられたゲ
ージ取付けプレート２１ｃと、サイドプレート２１ａ，
２１ａの中央後部上に取付けられた押しボルト取付けプ
レート２１ｄとで構成されている。

【００１３】摺動体３０は、フレーム２１のサイドプレ
ート２１ａ，２１ａと連結プレート２１ｂ，２１ｂとで
囲まれた空間に収容されている。この摺動体３０は、側
面から見てＬ形のベース３１と、Ｌ形ベース３１の水平
部下面に取付けられた２個の接触子３２，３２と、Ｌ形
ベース３１の垂直部の上部から水平部に沿って後方へ延
出した連結棒３３とを備えている。

【００１４】Ｌ形ベース３１は、連結プレート２１ｂ，
２１ｂの間で前後方向及び上下方向に移動可能である。
このベース３１は、連結プレート２１ｂ，２１ｂの下部
を対向側へ突出させて形成したストッパ２１ｅ，２１ｅ
により下方への抜け止めがなされており、移動体２０を
レール１０の表面上へ載置した状態で、ストッパ２１
ｅ，２１ｅから浮き上がって、２個の接触子３２，３２
のみでレール１０上に支持される。

【００１５】連結棒３３は、押しボルト取付けプレート
２１ｄの上方を後方に延びており、その基部は、Ｌ形ベ
ース３１の上下動を阻害しないために、その垂直部の上
部に、上下方向に移動可能に連結されている。その先端
部は、後述する荷重測定器５０に連結されている。

【００１６】両側一対の押圧手段４０，４０は、フレー
ム２１の押しボルト取付けプレート２１ｄに取付けられ
ている。各押圧手段４０は、押しボルト取付けプレート
２１ｄに直角に貫通して取付けられたボルト状の軸体４
１と、軸体４１の下方に上下方向に移動可能に連結され
た押しローラ４２と、押しローラ４２を下方に付勢する
コイルスプリング４３と備えている。

【００１７】押しローラ４２は、Ｌ形ベース３１の水平
部上面に、Ｌ形ベース３１の前後動を阻害しなように弾
性的に接触しており、この接触により、Ｌ形ベース３１
を下方へ所定の圧力で押圧する。

【００１８】荷重測定器５０は市販のフォースゲージ
で、頭頂部から直角に突出する棒状の計測軸５１を備え
ており、計測軸５１に付加される軸方向の荷重を、両方
向について計測して正面の表示部５２にデジタル表示す
る。この荷重測定器５０は、計測軸５１を前方に向け、
表示部５２を上方に向けた状態で、フレーム２１の押し
ボルト取付けプレート２１ｄ上に取付けられており、そ
の計測軸５１は、摺動体３０の連結棒３３の先端部にジ
ョイント３４を介して連結されている。

【００１９】次に、本実施形態の摩擦係数測定装置の使
用方法について説明する。

【００２０】移動体２０を手に持ち、前後方向をレール
１０の長手方向に一致させて、レール１０上に乗せる。
これにより、移動体２０内の摺動体３０は、２個の接触
子３２，３２が、押圧手段４０，４０により設定された
所定の圧力でレール１０の表面に押し付けられた状態に
なる。

【００２１】この状態で、移動体２０を前後に移動させ
る。移動体２０をレール１０の表面に押し付ける荷重
は、移動体２０内の摺動体３０に付加されない。移動体
２０内に前後動可能に収容され所定の圧力で圧下された
摺動体３０は、レール１０の表面の摩擦係数に対応する
力でその表面上に保持される。このため、移動体２０を
前後に移動させ、荷重測定器５０が前後に移動すること
により、この保持力に対応する荷重が荷重測定器５０の
計測軸５１に付加され、表示部５２にデジタル表示され
る。

【００２２】従って、移動体２０をレール１０の表面上
で前後に移動させことにより、その表面の摩擦係数に対
応する数値が荷重測定器５０に表示され、例えば摩擦係
数が０．１のとき荷重測定器５０に１ｋｇが表示される
ように、接触子３２，３２の仕様や押圧荷重を設計して
おけば、レール１０の表面の摩擦係数が瞬時に判明す
る。

【００２３】なお、上記実施形態では、レール１０の表
面の摩擦係数を測定する例を説明したが、レール１０の
表面に限らず、種々の物体表面の摩擦係数の測定に適用
可能であり、対象物体の形状等に合わせた装置形状、寸
法、構造等の設計が可能である。

【００２４】

【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明の摩擦係
数測定装置は、物体表面上で移動体を前後に移動操作す
るだけで、その表面の摩擦係数を手軽に測定でき、小型
で扱いやすい。従って、操作性に優れる。また、構造が
簡単で経済性に優れる。更に、小型であることにより、
持ち運びも簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す摩擦係数測定装置の
側面図である。

【図２】同摩擦係数測定装置の平面図である。

【図３】同摩擦係数測定装置の正面図である。

【符号の説明】

１０ レール（測定対象物体） ２０ 移動体 ２１ フレーム ２２ ローラ ３０ 摺動体 ３１ ベース ３２ 接触子 ３３ 連結棒 ４０ 押圧手段 ５０ 荷重測定器 ５１ 計測軸 ５２ 表示部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陸 康思 兵庫県尼崎市扶桑町１番８号 住友金属テ クノロジー株式会社内 Ｆターム(参考） 2F051 AA00 AB01 BA07

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 摩擦係数を測定すべき物体表面上をその
   表面に沿って移動操作される移動体と、移動体の移動に
   伴って前記物体表面上を摺動し、且つ移動体の移動方向
   に相対移動できるように移動体に取り付けられた摺動体
   と、摺動体と共に移動体に取り付けられており、移動体
   の移動時に摺動体に作用する移動方向と逆方向の荷重を
   測定する荷重測定器とを備えることを特徴とする摩擦係
   数測定装置。
2. 【請求項２】 摺動体を物体表面に所定の圧力で押圧す
   る押圧手段を備えることを特徴とする請求項１に記載の
   摩擦係数測定装置。
3. 【請求項３】 前記移動体は、移動用のローラを有し、
   物体表面上を一方向に往復移動可能である請求項１又は
   ２に記載の摩擦係数測定装置。